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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】ピストンリングおよび昇圧ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F16J 9/12 20060101AFI20230220BHJP
   F16J 9/24 20060101ALI20230220BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
F16J9/12
F16J9/24
F04B39/00 107J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021181938
(22)【出願日】2021-11-08
【審査請求日】2022-10-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000139023
【氏名又は名称】株式会社リケン
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】原田 基至
(72)【発明者】
【氏名】中道 憲治
(72)【発明者】
【氏名】木原 勇一
(72)【発明者】
【氏名】光田 公彦
(72)【発明者】
【氏名】浅井 英明
(72)【発明者】
【氏名】深田 純
(72)【発明者】
【氏名】平山 大輔
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-117393(JP,A)
【文献】実開昭63-83475(JP,U)
【文献】特開2017-155843(JP,A)
【文献】実開平5-58879(JP,U)
【文献】特開平11-63226(JP,A)
【文献】国際公開第2020/157834(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 7/00-10/04
F04B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線に沿って円筒状に形成されるとともに前記軸線に沿って往復動して流体を圧縮するピストンに取り付けられるピストンリングであって、
前記ピストンの外周面に形成された溝部に挿入され、前記軸線に対して周方向に延びる円環状に形成されるとともに低圧側合口を有する低圧側リングと、
前記溝部に挿入され、前記周方向に延びる円環状に形成されるとともに高圧側合口を有する高圧側リングと、を備え、
前記低圧側リングおよび前記高圧側リングは、前記高圧側リングが圧縮される流体に近接するように前記軸線に沿った方向に重ねて配置され、
前記低圧側リングには、前記ピストンに対する前記周方向の回転を規制する低圧側回転規制部が形成されており、
前記高圧側リングには、前記ピストンに対する前記周方向の回転を規制する高圧側回転規制部と、前記低圧側リングへ向けて突出するとともに前記低圧側合口に挿入される低圧側突出部とが形成されており、
前記低圧側突出部は、前記周方向の両側において前記低圧側リングとの間に隙間を設けた状態で前記低圧側合口に挿入されるピストンリング。
【請求項2】
前記高圧側回転規制部は、前記溝部の前記高圧側リングと対向する高圧側側面に向けて突出する形状を有し、前記高圧側側面に形成されるとともに前記軸線に直交する径方向に延びる高圧側回転規制溝に係合する請求項1に記載のピストンリング。
【請求項3】
前記低圧側突出部は、前記溝部の前記低圧側リングと対向する低圧側側面に形成されるとともに前記軸線に直交する径方向に延びる低圧側回転規制溝に係合する請求項2に記載のピストンリング。
【請求項4】
前記軸線に対して前記周方向に延びる円環状に形成されるとともに前記低圧側リングの内周面および前記高圧側リングの内周面に接触して配置される外周面を有する内側リングを有し、
前記内側リングには、前記ピストンに対する前記周方向の回転を規制する内側回転規制部が形成されており、
前記内側リングの外周面には、凹部が形成されており、
前記低圧側回転規制部は、前記内側リングの外周面に向けて突出する形状を有し、前記凹部に係合する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のピストンリング。
【請求項5】
前記内側回転規制部は、前記溝部の前記高圧側リングと対向する高圧側側面に向けて突出する形状を有し、前記高圧側側面に形成されるとともに前記軸線に直交する径方向に延びる内側回転規制溝に係合する請求項4に記載のピストンリング。
【請求項6】
前記低圧側リングは、2以上の所定数の前記低圧側合口により前記所定数の低圧側部材に分割されており、
前記所定数の前記低圧側部材のそれぞれに前記低圧側回転規制部が形成されており、
前記高圧側リングには、前記所定数の前記低圧側突出部が形成されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のピストンリング。
【請求項7】
軸線に沿って円筒状に形成されるとともに前記軸線に沿って往復動して流体を圧縮するピストンと、
前記ピストンの外周面に形成された溝部に挿入される請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のピストンリングと、を備える昇圧ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体を圧縮するピストンに取り付けられるピストンリングおよび昇圧ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、往復動式のポンプ等に用いられるピストンに取り付けられるピストンリングとして、ピストンが往復動する方向に低圧側リングと高圧側リングを2段に重ね合わせて配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されるピストンリングは、低圧側リングの合口に高圧側リングの凸部が挿入され、高圧側リングの合口に低圧側リングの凸部が挿入される。特許文献1に開示されるピストンリングによれば、合口に凸部が入り込むため、合口からの流体の漏れを抑制し、ピストンリングの機密性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-117393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるピストンリングにおいて、高圧側リングと低圧側リングとは、それぞれピストンリングの周方向に移動可能にリング溝に取り付けられる。そのため、高圧側リングの凸部が、低圧側リングの合口の周方向の一方側に偏って配置される可能性があり、その場合には低圧側リングの合口の周方向の他方側に形成される隙間が大きくなる。この隙間に配置される高圧側リングの領域においては、ピストンにより圧縮される流体の圧力が作用すると、作用した圧力を低圧側リングに伝達することができないため、応力が集中して疲労破壊に至る可能性がある。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、低圧側リングの低圧側合口に挿入される高圧側リングの低圧側突出部が周方向の一方側に偏って配置され、高圧側リングの一部の領域に応力が集中して疲労破壊に至ることを防止することが可能なピストンリングおよび昇圧ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るピストンリングは、軸線に沿って円筒状に形成されるとともに前記軸線に沿って往復動して流体を圧縮するピストンに取り付けられるピストンリングであって、前記ピストンの外周面に形成された溝部に挿入され、前記軸線に対して周方向に延びる円環状に形成されるとともに低圧側合口を有する低圧側リングと、前記溝部に挿入され、前記周方向に延びる円環状に形成されるとともに高圧側合口を有する高圧側リングと、を備え、前記低圧側リングおよび前記高圧側リングは、前記高圧側リングが圧縮される流体に近接するように前記軸線に沿った方向に重ねて配置され、前記低圧側リングには、前記ピストンに対する前記周方向の回転を規制する低圧側回転規制部が形成されており、前記高圧側リングには、前記ピストンに対する前記周方向の回転を規制する高圧側回転規制部と、前記低圧側リングへ向けて突出するとともに前記低圧側合口に挿入される低圧側突出部とが形成されており、前記低圧側突出部は、前記周方向の両側において前記低圧側リングとの間に隙間を設けた状態で前記低圧側合口に挿入される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、低圧側リングの低圧側合口に挿入される高圧側リングの低圧側突出部が周方向の一方側に偏って配置され、高圧側リングの一部の領域に応力が集中して疲労破壊に至ることを防止することが可能なピストンリングおよび昇圧ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係る昇圧ポンプを示す縦断面図である。
図2図1に示すピストンリングを高圧側リングの側からみた斜視図である。
図3図2に示すピストンリングの分解斜視図である。
図4図2に示すピストンリングを高圧側リングの側からみた平面図である。
図5図2に示すピストンリングを低圧側リングの側からみた平面図である。
図6図4に示すA部分をピストンリングの径方向に沿ってみた図である。
図7図6に示すピストンリングのD-D矢視断面図である。
図8図4に示すB部分をピストンリングの径方向に沿ってみた図である。
図9図8に示すピストンリングのE-E矢視断面図である。
図10図4に示すC部分をピストンリングの径方向に沿ってみた図である。
図11図10に示すピストンリングのF-F矢視断面図である。
図12】本開示の第2実施形態に係るピストンリングを高圧側リングの側からみた平面図である。
図13】本開示の第2実施形態に係るピストンリングを低圧側リングの側からみた平面図である。
図14】本開示の第3実施形態に係るピストンリングを径方向に沿ってみた図である。
図15図14に示すピストンリングのG-G矢視断面図である。
図16】本開示の第4実施形態に係るピストンリングを径方向に沿ってみた図である。
図17図16に示すピストンリングのH-H矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係る昇圧ポンプ100について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る昇圧ポンプ100を示す縦断面図である。本実施形態の昇圧ポンプ100は、低温(例えば、-253℃から-100℃)の流体(例えば、液体水素、液体窒素、液体アルゴン、液化天然ガス等)を圧縮して昇圧させる装置である。図1に示すように、本実施形態の昇圧ポンプ100は、ピストン10と、ピストンリング20と、ピストンロッド30と、シリンダブロック40と、逆止弁50と、逆止弁60と、を備える。
【0010】
ピストン10は、シリンダブロック40の内部に形成されたシリンダCLの内部において、軸線Xに沿って往復動して流体を圧縮する部材である。ピストン10は、軸線Xに沿って延びるように円筒状に形成される。ピストン10は、端面10aとシリンダCLにより画定される圧縮室CSを縮小することにより低温流体を圧縮する。
【0011】
ピストンリング20は、シリンダCLの内周面と対向するピストン10の外周面10bに形成される複数本の溝部11に挿入される部材である。ピストンリング20は、軸線X回りの周方向に沿って延びる円環状に形成される。ピストンリング20は、シリンダCLの内周面との間に円環状のシール領域を形成し、ピストン10が往復動する際に、圧縮された低温流体が高圧側(圧縮室CS側)から低圧側(ピストンロッド30側)へ漏れ出ることを防止する。ピストンリング20の詳細な構造については、後述する。
【0012】
ピストンロッド30は、円形の断面形状を有する棒状部材であり、一端がピストン10に連結され、他端が駆動部(図示略)に連結される。駆動部は、駆動源からの動力によりピストンロッド30を軸線Xに沿って直線的に往復動させる。
【0013】
シリンダブロック40は、その内部に中空円筒状のシリンダCLを有する部材である。シリンダCLの圧縮室CSには、大気圧状態に近い低温流体が流入する流入口41と、圧縮室CSで圧縮された低温流体が流出する流出口42が設けられている。流入口41には、図1中に示す流入方向(圧縮室CSへ向けた方向)への低温流体の流通を許容し、逆方向への流通を妨げる逆止弁50が設けられている。流出口42には、図1中に示す流出方向(圧縮室CSから遠ざかる方向)への低温流体の流通を許容し、逆方向への流通を妨げる逆止弁60が設けられている。
【0014】
本実施形態の昇圧ポンプ100は、駆動部により駆動されて往復動するピストンロッド30に取り付けられたピストン10により、流入口41から流入する低温流体を圧縮室CSで圧縮し、圧縮した低温流体を流出口42から外部へ供給する。
【0015】
次に、ピストンリング20の詳細な構造について、図面を参照して説明する。図2は、図1に示すピストンリング20を高圧側リング22の側からみた斜視図である。図3は、図2に示すピストンリング20の分解斜視図である。図4は、図2に示すピストンリング20を高圧側リング22の側からみた平面図である。図5は、図2に示すピストンリング20を低圧側リング21の側からみた平面図である。
【0016】
図6は、図4に示すA部分をピストンリング20の径方向RDaに沿ってみた図である。図7は、図6に示すピストンリング20のD-D矢視断面図である。図8は、図4に示すB部分をピストンリング20の径方向RDbに沿ってみた図である。図9は、図8に示すピストンリング20のE-E矢視断面図である。
【0017】
図10は、図4に示すC部分をピストンリング20の径方向RDcに沿ってみた図である。図11は、図10に示すピストンリング20のF-F矢視断面図である。図7図9図11の断面図に示す矢印は、圧縮室CSから溝部11へ流入する流体の流入方向を示している。後述する図15および図17の断面図に示す矢印も、圧縮室CSから溝部11へ流入する流体の流入方向を示している。
【0018】
図2および図3に示すように、本実施形態のピストンリング20は、ピストン10の溝部11に取り付けられるものであり、低圧側リング21と、高圧側リング22と、内側リング23と、バックアップリング24と、を備える。図2および図3に示すように、本実施形態のピストンリング20は、低圧側リング21と高圧側リング22を軸線Xに沿って重ねたものを外周側に配置し、その内側に内側リング23を配置し、内側リング23の更に内側にバックアップリング24を配置して一体化したものである。
【0019】
図2に示すように、低圧側リング21と高圧側リング22とは、軸線Xに沿った方向に重ねて配置される。高圧側リング22は、圧縮された流体に近接するように、低圧側リング21よりも圧縮室CSに近接した側に配置される。図5に示す低圧側リング21の外径D1は、図4に示す高圧側リング22の外径D2と一致している。
【0020】
低圧側リング21と高圧側リング22と内側リング23は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の樹脂材料により形成されている。バックアップリング24は、ステンレス等の金属材料により形成されている。
【0021】
低圧側リング21は、ピストン10の外周面10bに形成された溝部11に挿入され、軸線Xに対して周方向CDに延びる円環状に形成される部材である。ピストン10の溝部11は、軸線X回りに環状に形成される。図7に示すように、溝部11は、高圧側側面11aと、低圧側側面11bと、底面11cとを有する。
【0022】
図3に示すように、低圧側リング21は、周方向CDにおいて離間した一対の端部が隙間を空けて対向して配置される低圧側合口21aを有する。低圧側リング21は、内側リング23から径方向の外側へ向けた付勢力を受け、シリンダCLの内周面に接触する。
【0023】
図3および図5に示すように、低圧側リング21には、ピストン10に対する周方向CDの回転を規制する低圧側回転規制部21bが形成されている。低圧側回転規制部21bは、低圧側リング21の内周面から内側リング23の外周面に向けて突出する形状を有し、内側リング23の外周面に形成される凹部23cに係合する。図5に示すように、低圧側回転規制部21bは、周方向CDにおいて、低圧側合口21aから180度離れた位置に配置される。
【0024】
後述するように、内側リング23は、ピストン10に対して軸線X回りに回転しないように配置される。そのため、低圧側回転規制部21bが内側リング23の凹部23cに係合すると、低圧側リング21がピストン10に対して軸線X回りの周方向CDに回転しないように規制される。これにより、ピストン10に対して、低圧側リング21の周方向CDの位置が固定される。
【0025】
高圧側リング22は、ピストン10の外周面10bに形成された溝部11に挿入され、軸線Xに対して周方向CDに延びる円環状に形成される部材である。図3に示すように、高圧側リング22は、周方向CDにおいて離間した一対の端部が隙間を空けて対向して配置される高圧側合口22aを有する。高圧側リング22は、内側リング23から径方向の外側へ向けた付勢力を受け、シリンダCLの内周面に接触する。
【0026】
図3および図4に示すように、高圧側リング22には、ピストン10に対する周方向CDの回転を規制する高圧側回転規制部22bが形成されている。図8および図9に示すように、高圧側回転規制部22bは、ピストン10の外周面に形成される溝部11の高圧側側面11aに向けて突出する形状を有する。
【0027】
高圧側回転規制部22bは、高圧側側面11aに形成される高圧側回転規制溝11dに係合する。これにより、ピストン10に対して、高圧側リング22の周方向CDの回転が規制される。図4に示すように、高圧側回転規制部22bは、周方向CDにおいて、高圧側合口22aから180度離れた位置に配置される。
【0028】
図3および図5に示すように、高圧側リング22には、低圧側リング21へ向けて突出するとともに低圧側合口21aに挿入される低圧側突出部22cが形成されている。図8に示すように、低圧側突出部22cは、周方向CDの両側において、低圧側リング21との間にそれぞれ長さL1の隙間を設けた状態で、低圧側合口21aに挿入される。
【0029】
低圧側リング21および高圧側リング22のそれぞれは、ピストン10に対して、周方向CDの回転が規制されている。図8に示すように、ピストン10が往復動を繰り返しても、低圧側突出部22cと低圧側リング21とは、それぞれ長さL1の隙間を設けた状態で維持される。
【0030】
ここで、本実施形態の比較例について説明する。本実施形態の比較例のピストンリングは、低圧側回転規制部21bおよび高圧側回転規制部22bの少なくともいずれかを備えておらず、低圧側リング21または高圧側リング22のいずれか一方の周方向CDの回転が規制されていないものとする。
【0031】
比較例のピストンリングは、低圧側リング21または高圧側リング22のいずれか一方の周方向CDの回転が規制されていないため、ピストン10が往復動を繰り返すと、図8に破線で示すように、低圧側突出部22cの周方向の一方側の端部と低圧側リング21とが接触した状態となる場合がある。この場合、低圧側突出部22cの周方向CDの一方側の端部と低圧側リング21との間の隙間が長さL1の2倍の長さL2になってしまう。
【0032】
比較例のピストンリングにおいて、低圧側突出部22cの周方向CDの一方側の端部と低圧側リング21との間の隙間が長くなると、隙間の位置に配置される高圧側リング22に作用する応力が増大してしまう。これは、隙間の部分に低圧側リング21が存在せず、圧縮された流体の圧力が隙間の位置に配置される高圧側リング22にかかるからである。それに対して、本実施形態のピストンリング20は、低圧側リング21および高圧側リング22の周方向CDの回転が規制されるため、隙間の長さが長さL1に維持される。
【0033】
内側リング23は、ピストン10の外周面10bに形成された溝部11に挿入され、軸線Xに対して周方向CDに延びる円環状に形成される部材である。図3に示すように、内側リング23は、周方向CDにおいて離間した一対の端部が隙間を空けて対向して配置される内側合口23aを有する。
【0034】
図4および図5に示すように、内側リング23は、低圧側リング21の内周面および高圧側リング22の内周面に接触して配置される外周面を有する。内側リング23は、バックアップリング24から付与される径方向の外側へ向けた付勢力を低圧側リング21および高圧側リング22の双方へ、周方向CDの各位置において均等に伝達する。
【0035】
図3および図4に示すように、内側リング23には、ピストン10に対する周方向CDの回転を規制する内側回転規制部23bが形成されている。図10および図11に示すように、内側回転規制部23bは、ピストン10の外周面に形成される溝部11の高圧側側面11aに向けて突出する形状を有し、高圧側側面11aに形成される内側回転規制溝11eに係合する。これにより、ピストン10に対して、内側リング23の周方向CDの回転が規制される。図4に示すように、内側回転規制部23bは、周方向CDにおいて、内側合口23aから180度離れた位置に配置される。
【0036】
図5および図11に示すように、内側リング23の外周面には、径方向の内側に向けて凹む凹部23cが形成されている。凹部23cには、低圧側リング21の低圧側回転規制部21bが係合される。凹部23cに係合される低圧側リング21は、内側リング23に対して、周方向CDの回転が規制される。
【0037】
バックアップリング24は、ピストン10の外周面10bに形成された溝部11に挿入され、軸線Xに対して周方向CDに延びる円環状に形成される部材である。図3に示すように、バックアップリング24は、周方向CDにおいて離間した一対の端部が隙間を空けて対向して配置される合口24aを有する。
【0038】
図4および図5に示すように、バックアップリング24は、内側リング23の内周面に接触して配置される外周面を有する。バックアップリング24は、金属材料により弾性変形可能に形成されており、周方向CDの各位置において径方向の外側へ向けた付勢力を内側リング23に付与する。
【0039】
以上説明した本実施形態のピストンリング20が奏する作用及び効果について説明する。
本実施形態のピストンリング20によれば、低圧側回転規制部21bにより低圧側リング21のピストン10に対する周方向CDの回転が規制され、高圧側回転規制部22bにより高圧側リング22のピストン10に対する周方向CDの回転が規制される。そのため、ピストン10の往復動を繰り返しても、低圧側リング21および高圧側リング22の周方向CDの位置を保持することができる。
【0040】
低圧側リング21および高圧側リング22の周方向CDの位置が保持されるため、ピストン10の往復動を繰り返しても、高圧側リング22が有する低圧側突出部22cが、周方向のCD両側において低圧側リング21との間に隙間を設けた状態が維持される。したがって、低圧側リング21の低圧側合口21aに挿入される高圧側リング22の低圧側突出部22cが周方向CDの一方側に偏って配置され、高圧側リング22の一部の領域に応力が集中して疲労破壊に至ることを防止することができる。
【0041】
本実施形態のピストンリング20によれば、内側回転規制部23bにより内側リング23のピストン10に対する周方向CDの回転が規制される。そのため、内側リング23の外周面に形成される凹部23cに低圧側回転規制部21bを係合させることにより低圧側リング21のピストン10に対する周方向CDの回転を規制することができる。
【0042】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る昇圧ポンプについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0043】
第1実施形態の昇圧ポンプ100が備えるピストンリング20は、低圧側リング21が単一の低圧側合口21aを有する単一の部材により形成され、高圧側リング22が単一の高圧側合口22aを有する単一の部材により形成されるものであった。それに対して、本実施形態の昇圧ポンプが備えるピストンリング20Aは、低圧側リング21が2つの低圧側合口21aにより分割された2つの部材により形成され、高圧側リング22が2つの高圧側合口22aにより分割された2つの部材により形成され、内側リング23が2つの内側合口23aにより分割された2つの部材に形成される。
【0044】
図12は、本開示の本実施形態に係るピストンリング20Aを高圧側リング22側からみた平面図である。図13は、本実施形態に係るピストンリング20Aを低圧側リング21側からみた平面図である。
【0045】
図12に示すように、本実施形態の高圧側リング22は、周方向CDに沿って180度の間隔を空けて配置される2つの高圧側合口22aにより2つの高圧側部材22A1,22A2に分割されている。図12および図13に示すように、高圧側部材22A1と高圧側部材22A2のそれぞれには、高圧側回転規制部22bと低圧側突出部22cとが形成されている。
【0046】
図12および図13に示すように、本実施形態の内側リング23は、周方向CDに沿って180度の間隔を空けて配置される2つの内側合口23aにより2つの内側部材23A1,23A2に分割されている。内側部材23A1と内側部材23A2のそれぞれには、内側回転規制部23bと凹部23cとが形成されている。
【0047】
図13に示すように、本実施形態の低圧側リング21は、周方向CDに沿って180度の間隔を空けて配置される2つの低圧側合口21aにより2つの低圧側部材21A1,21A2に分割されている。低圧側部材21A1と低圧側部材21A2のそれぞれには、低圧側回転規制部21bが形成されている。
【0048】
1つの低圧側リング21に設ける低圧側合口21aの周方向CDの長さ(隙間)は、低温流体による収縮量等を考慮して、一定の長さに定められる。第1実施形態の低圧側リング21は低圧側合口21aを1つだけ有するが、本実施形態の低圧側リング21は低圧側合口21aを2つ有する。そのため、本実施形態の低圧側リング21の低圧側合口21aの周方向CDの長さは、第1実施形態の低圧側リング21の低圧側合口21aの周方向CDの長さの半分とすることができる。
【0049】
本実施形態によれば、第1実施形態に比べて、低圧側リング21の低圧側合口21aの周方向CDの長さを短くすることができる。そのため、第1実施形態の低圧側リング21よりも、低圧側合口21aに配置される高圧側リング22に作用する低圧流体の圧力による応力を低減することができる。
【0050】
以上の説明において、ピストンリング20Aは、低圧側リング21が2つの低圧側合口21aにより分割された2つの部材により形成され、高圧側リング22が2つの高圧側合口22aにより2つの部材により分割された形成され、内側リング23が2つの内側合口23aにより分割された2つの部材に形成されているものとしたが、他の態様であってもよい。
【0051】
例えば、ピストンリング20Aは、低圧側リング21が2以上の所定数の低圧側合口21aにより分割された所定数の低圧側部材により形成され、高圧側リング22が所定数の高圧側合口22aにより分割された所定数の高圧側部材により形成され、内側リング23が所定数の内側合口23aにより分割された所定数の内側部材に形成されていてもよい。
【0052】
この場合、所定数の高圧側部材のそれぞれには、高圧側回転規制部22bと低圧側突出部22cとが形成される。また、所定数の内側部材のそれぞれには、内側回転規制部23bと凹部23cとが形成される。また、所定数の低圧側部材のそれぞれには、低圧側回転規制部21bが形成される。
【0053】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係る昇圧ポンプについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0054】
第1実施形態の昇圧ポンプ100が備えるピストンリング20は、高圧側回転規制部22bにより高圧側リング22の周方向CDの回転を規制するものであった。それに対して、本実施形態の昇圧ポンプが備えるピストンリング20Bは、高圧側回転規制部22bと低圧側突出部22cの双方により、高圧側リング22の周方向CDの回転を規制するものである。
【0055】
図14は、本実施形態に係るピストンリング20Bを径方向に沿ってみた図である。図15は、図14に示すピストンリングのG-G矢視断面図である。図14および図15に示すように、本実施形態のピストンリング20Bが備える高圧側リング22の低圧側突出部22cは、溝部11の低圧側側面11bに形成される低圧側回転規制溝11fに係合する形状を有する。低圧側回転規制溝11fは、低圧側リング21と対向する低圧側側面11bに形成され、軸線Xに直交する径方向に延びるように形成される。
【0056】
本実施形態のピストンリング20Bによれば、高圧側リング22の低圧側突出部22cを、低圧側側面11bに形成される低圧側回転規制溝11fに係合させることにより、高圧側リング22が周方向CDに回転することを規制することができる。高圧側回転規制部22bと低圧側突出部22cの双方により高圧側リング22が周方向CDに回転することが規制されるため、高圧側回転規制部22bのみで規制する場合に比べ、高圧側回転規制部22bに生じる応力を低減することができる。
【0057】
〔第4実施形態〕
次に、本開示の第4実施形態に係る昇圧ポンプについて、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0058】
第1実施形態の昇圧ポンプ100が備えるピストンリング20は、溝部11の高圧側リング22と対向する高圧側側面11aに向けて突出する形状を有する高圧側回転規制部22bを備えるものであった。それに対して、本実施形態の昇圧ポンプが備えるピストンリング20Cは、溝部11の低圧側側面11bに向けて凹んだ形状を有する高圧側回転規制部22dを備えるものである。
【0059】
図16は、本実施形態に係るピストンリング20Cを径方向に沿ってみた図である。図17は、図16に示すピストンリングのH-H矢視断面図である。図16および図17に示すように、ピストンリング20Cは、溝部11の低圧側側面11bに向けて凹んだ形状を有する高圧側回転規制部22dを備える。高圧側回転規制部22dは、溝部11の高圧側側面11aから高圧側リング22へ向けて突出する突出部11gに係合するように配置される。突出部11gは、軸線Xに直交する径方向に延びるように形成される。
【0060】
高圧側リング22は、高圧側回転規制部22dを突出部11gに係合させることにより、周方向CDの回転が規制される。そのため、ピストン10の往復動を繰り返しても、低圧側リング21および高圧側リング22の周方向CDの位置を保持することができる。
【0061】
以上説明した本実施形態に記載のピストンリングは、例えば以下のように把握される。
本開示に係るピストンリング(100)は、軸線(X)に沿って円筒状に形成されるピストン(20)の外周面に形成された溝部(11)に挿入され、前記軸線に対して周方向(CD)に延びる円環状に形成されるとともに低圧側合口(21a)を有する低圧側リング(21)と、前記溝部に挿入され、前記周方向に延びる円環状に形成されるとともに高圧側合口(22a)を有する高圧側リング(22)と、を備え、前記低圧側リングおよび前記高圧側リングは、前記高圧側リングが圧縮される流体に近接するように前記軸線に沿った方向に重ねて配置され、前記低圧側リングには、前記ピストンに対する前記周方向の回転を規制する低圧側回転規制部(21b)が形成されており、前記高圧側リングには、前記ピストンに対する前記周方向の回転を規制する高圧側回転規制部(22b)と、前記低圧側リングへ向けて突出するとともに前記低圧側合口に挿入される低圧側突出部(22c)とが形成されており、前記低圧側突出部は、前記周方向の両側において前記低圧側リングとの間に隙間を設けた状態で前記低圧側合口に挿入される。
【0062】
本開示に係るピストンリングによれば、低圧側回転規制部により低圧側リングのピストンに対する周方向の回転が規制され、高圧側回転規制部により高圧側リングのピストンに対する周方向の回転が規制される。そのため、ピストンの往復動を繰り返しても、低圧側リングおよび高圧側リングの周方向の位置が保持される。低圧側リングおよび高圧側リングの周方向の位置が保持されるため、ピストンの往復動を繰り返しても、高圧側リングが有する低圧側突出部が、周方向の両側において低圧側リングとの間に隙間を設けた状態が維持される。したがって、低圧側リングの低圧側合口に挿入される高圧側リングの低圧側突出部が周方向の一方側に偏って配置され、高圧側リングの一部の領域に応力が集中して疲労破壊に至ることを防止することができる。
【0063】
本開示に係るピストンリングにおいて、前記高圧側回転規制部は、前記溝部の前記高圧側リングと対向する高圧側側面(11a)に向けて突出する形状を有し、前記高圧側側面に形成されるとともに前記軸線(X)に直交する径方向(RD)に延びる高圧側回転規制溝(11d)に係合する構成としてもよい。
【0064】
本構成のピストンリングによれば、ピストンに形成された溝部の高圧側側面に向けて突出する形状を有する高圧側回転規制部を、高圧側側面に形成される高圧側回転規制溝に係合させることにより、高圧側リングが周方向に回転することを規制することができる。
【0065】
上記構成のピストンリングにおいて、前記低圧側突出部は、前記溝部の前記低圧側リングと対向する低圧側側面(11b)に形成されるとともに前記軸線に直交する径方向(RD)に延びる低圧側回転規制溝(11f)に係合する構成としてもよい。
【0066】
本構成のピストンリングによれば、高圧側リングの低圧側突出部を、低圧側側面に形成される低圧側回転規制溝に係合させることにより、高圧側リングが周方向に回転することを規制することができる。高圧側回転規制部と低圧側突出部の双方により高圧側リングが周方向に回転することが規制されるため、高圧側回転規制部のみで規制する場合に比べ、高圧側回転規制部に生じる応力を低減することができる。
【0067】
本開示に係るピストンリングにおいては、前記軸線に対して前記周方向に延びる円環状に形成されるとともに前記低圧側リングの内周面および前記高圧側リングの内周面に接触して配置される外周面を有する内側リング(23)を有し、前記内側リングには、前記ピストンに対する前記周方向の回転を規制する内側回転規制部(23b)が形成されており、前記内側リングの外周面には、凹部(23c)が形成されており、前記低圧側回転規制部は、前記内側リングの外周面に向けて突出する形状を有し、前記凹部に係合する構成としてもよい。
【0068】
本構成のピストンリングによれば、内側回転規制部により内側リングのピストンに対する周方向の回転が規制されるため、内側リングの外周面に形成される凹部に低圧側回転規制部を係合させることにより低圧側リングのピストンに対する周方向の回転を規制することができる。
【0069】
上記構成のピストンリングにおいて、前記内側回転規制部は、前記溝部の前記高圧側リングと対向する高圧側側面に向けて突出する形状を有し、前記高圧側側面に形成されるとともに前記軸線に直交する径方向に延びる内側回転規制溝(11e)に係合する構成としてもよい。
【0070】
本構成のピストンリングによれば、ピストンに形成された溝部の高圧側側面に向けて突出する形状を有する内側回転規制部を、高圧側側面に形成される内側回転規制溝に係合させることにより、内側リングが周方向に回転することを規制することができる。
【0071】
本開示に係るピストンリングにおいて、前記低圧側リング(10)は、2以上の所定数の前記低圧側合口により前記所定数の低圧側部材(21A1,21A2)に分割されており、前記所定数の前記低圧側部材のそれぞれに前記低圧側回転規制部が形成されており、前記高圧側リングには、前記所定数の前記低圧側突出部が形成されている構成としてもよい。
【0072】
本構成のピストンリングによれば、低圧側リングに2以上の所定数の低圧側合口が設けられるため、低圧側合口を単一とする場合に比べ、熱収縮による合口の周方向の隙間の長さ(開き量)を短くすることができる。これにより、低圧側リングの隙間に配置される高圧側リングの領域が狭くなり、高圧側リングに部分的に作用する応力を減少させることができる。
【0073】
以上説明した実施形態に記載の昇圧ポンプは、例えば以下のように把握される。
本開示に係る昇圧ポンプは、軸線に沿って円筒状に形成されるとともに前記軸線に沿って往復動して流体を圧縮するピストン(10)と、前記ピストンの外周面に形成された溝部に挿入される上記のいずれかに記載のピストンリング(20)と、を備える。
【0074】
本開示に係る昇圧ポンプによれば、低圧側回転規制部により低圧側リングのピストンに対する周方向の回転が規制され、高圧側回転規制部により高圧側リングのピストンに対する周方向の回転が規制される。そのため、ピストンの往復動を繰り返しても、低圧側リングおよび高圧側リングの周方向の位置が保持される。低圧側リングおよび高圧側リングの周方向の位置が保持されるため、ピストンの往復動を繰り返しても、高圧側リングが有する低圧側突出部が、周方向の両側において低圧側リングとの間に隙間を設けた状態が維持される。したがって、低圧側リングの低圧側合口に挿入される高圧側リングの低圧側突出部が周方向の一方側に偏って配置され、高圧側リングの一部の領域に応力が集中して疲労破壊に至ることを防止することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 ピストン
10b 外周面
11 溝部
11a 高圧側側面
11b 低圧側側面
11c 底面
11d 高圧側回転規制溝
11e 内側回転規制溝
11f 低圧側回転規制溝
11g 突出部
20,20A,20B,20C ピストンリング
21 低圧側リング
21A1,21A2 低圧側部材
21a 低圧側合口
21b 低圧側回転規制部
22 高圧側リング
22A1,22A2 高圧側部材
22a 高圧側合口
22b 高圧側回転規制部
22c 低圧側突出部
22d 高圧側回転規制部
23 内側リング
23a 内側合口
23b 内側回転規制部
23c 凹部
24 バックアップリング
24a 合口
30 ピストンロッド
40 シリンダブロック
100 昇圧ポンプ
CD 周方向
CL シリンダ
CS 圧縮室
RDa,RDb,RDc 径方向
X 軸線
【要約】
【課題】高圧側リングの一部の領域に応力が集中して疲労破壊に至ることを防止する。
【解決手段】低圧側合口21aを有する低圧側リング21と、高圧側合口22aを有する高圧側リング22と、を備え、低圧側リング21および高圧側リング22は、高圧側リング22が圧縮される流体に近接するように軸線Xに沿った方向に重ねて配置され、低圧側リング21には、ピストンに対する周方向CDの回転を規制する低圧側回転規制部が形成されており、高圧側リング22には、ピストンに対する周方向CDの回転を規制する高圧側回転規制部22bと、低圧側リング21へ向けて突出するとともに低圧側合口21aに挿入される低圧側突出部22cとが形成されており、低圧側突出部22cは、周方向CDの両側において低圧側リング21との間に隙間を設けた状態で低圧側合口21aに挿入されるピストンリング20を提供する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17