(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】伝送線路の差動保護
(51)【国際特許分類】
H02H 3/34 20060101AFI20230220BHJP
G01R 31/08 20200101ALN20230220BHJP
【FI】
H02H3/34 M
G01R31/08
(21)【出願番号】P 2021539858
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(86)【国際出願番号】 EP2020050160
(87)【国際公開番号】W WO2020144150
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-09-01
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジエンピン
(72)【発明者】
【氏名】シ,ヂャンペン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ヨウ・イー
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-121944(JP,A)
【文献】特開平09-168228(JP,A)
【文献】特開平09-200945(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0090728(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0063767(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0035882(US,A1)
【文献】国際公開第2016/074198(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/08
H02H 3/28 - 3/353
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送システム(25)の伝送線路(20)の差動保護のための方法であって、
前記伝送線路(20)から抑制電流I
resと差動電流I
dとを取得すること(S102)と、
前記差動電流について補償電流を判断すること(S104)と、
前記補償電流によって補償された前記差動電流および前記抑制電流を、トリップ判定を行うための差動保護構成(1210)に提供すること(S106)と、
前記伝送システム(25)について内部故障(F2)を検出すること(S108)と、その結果、
前記補償電流によって補償されない前記差動電流および前記抑制電流を、前記トリップ判定を行うための前記差動保護構成(1210)に提供すること(S110)とを含む、方法。
【請求項2】
さらに、
前記伝送システム(25)について外部故障(F1)を検出すること(S112)と、その結果、
前記差動保護構成(1210)を、トリップ判定を行えないようにすること(S114)とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記差動保護構成(1210)は、ゼロにセットされた前記差動電流および前記抑制電流を前記トリップ判定を行うための前記差動保護構成(1210)に供給することによって、トリップ判定を行えないようにされる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記伝送システム(25)は、正相網として表現可能であり、前記抑制電流I
resおよび前記差動電流I
dは、前記正相網のパラメータから算出されることにより得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記補償電流は、容量性補償電流である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
M端子伝送システム(25)に対する時間tにおける前記抑制電流は、I
res,
x(t)で示され、
【数1】
として定義され、式中、I
s,m,x(t)は、位相xについての、伝送線路(20)に沿った端子mからの時間tにおける瞬間的な送られる電流を表し、
mは、1≦m≦Mの整数であり、位相A、B、Cを有する三相伝送システム(25)についてx∈{A,B,C}である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記補償電流は、正常動作の間、それにより補償された差動電流がゼロとなるように決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記伝送線路(20)は超高電圧(UHV)伝送線路(20)である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記伝送線路(20)は、配電システムの一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
伝送システム(25)の伝送線路(20)の差動保護のための構成(10a、10b、10c)であって、処理回路(1410)を備え、前記処理回路(1410)は、前記構成(10a、10b、10c)に、
前記伝送線路(20)から抑制電流I
resと差動電流I
dとを得させ、
前記差動電流について補償電流を判断させ、
前記補償電流によって補償された前記差動電流および前記抑制電流を、トリップ判定を行うための差動保護構成(1210)に提供させ、
前記伝送システム(25)について内部故障(F2)を検出させ、その結果、
前記補償電流によって補償されない前記差動電流および前記抑制電流を、前記トリップ判定を行うための前記差動保護構成(1210)に提供させるように構成される、構成(10a、10b、10c)。
【請求項11】
前記処理回路(1410)は、さらに、前記構成(10a、10b、10c)に、
前記伝送システム(25)について外部故障(F1)を検出させ、その結果、
前記差動保護構成(1210)を、トリップ判定を行えないようにするよう構成される、請求項10に記載の構成(10a、10b、10c)。
【請求項12】
前記処理回路(1410)は、さらに、ゼロにセットされた前記差動電流および前記抑制電流を前記トリップ判定を行うための前記差動保護構成(1210)に供給することによって、前記差動保護構成(1210)がトリップ判定を行えないようにするように構成される、請求項11に記載の構成(10a、10b、10c)。
【請求項13】
請求項4~9のいずれかによる方法を実行するようにさらに構成される、請求項10~12のいずれか1項に記載の構成(10a、10b、10c)。
【請求項14】
前記処理ユニットは、前記構成(10a、10b、10c)に含まれる、保護リレーなどのインテリジェント電子装置(IED)の一部である、請求項10~13のいずれか1項に記載の構成(10a、10b、10c)。
【請求項15】
伝送システム(25)の伝送線路(20)の差動保護のためのコンピュータプログラム(1620)であって、前記コンピュータプログラム(1620)はコンピュータコードを含み、構成(10a、10b、10c)の処理回路(1410)上で実行されると、前記構成(10a、10b、10c)に、
前記伝送線路(20)から抑制電流I
resと差動電流I
dとを取得させ(S102)、
前記差動電流について補償電流を判断させ(S104)、
前記補償電流によって補償された前記差動電流および前記抑制電流を、トリップ判定を行うための差動保護構成(1210)に提供させ(S106)、
前記伝送システム(25)について内部故障(F2)を検出させ、(S108)、その結果、
前記補償電流によって補償されない前記差動電流および前記抑制電流を、前記トリップ判定を行うための前記差動保護構成(1210)に提供させる(S110)、コンピュータプログラム(1620)。
【請求項16】
請求項15に記載のコンピュータプログラム(1620)と、前記コンピュータプログラム(1620)が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体(1630)とを備える、コンピュータプログラム製品(1610)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で提示される実施形態は、伝送システムの伝送線路の差動保護のための方法、構成、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
電力伝送システムにおいて、長い伝送線路は、非常に高い容量性充電電流を有し得る。したがって、特に、高い故障インピーダンスを有する内部故障の間、超高電圧(UHV)線路差動保護の依存性を増加させるために、容量性電流の実時間補償が必要となり得る。
【0003】
線路差動保護のための既存の機構は、通常、正常動作条件の間に測定または計算された差動電流を差し引いて、高インピーダンス地絡に対してより敏感ではない内部故障期間中でも差動電流の補償を続けることに基づいている。これは、短い伝送線路適用条件に関して許容され、なぜならば、容量性充電電流は、短い伝送線路条件では、低インピーダンス内部故障に対しては、それほど高くないからである。伝送線路が、特にUHV線路の場合、より長くなると、対応する容量性充電電流は、正常動作条件の間は、かなりより大きくなる。
【0004】
容量性充電電流の連続補償の既存の機構は、内部故障期間中でも、線路差動保護の依存性を低減するだけでなく、内部故障条件中の補償された充電電流も正確ではない可能性がある。この理由の1つは、内部故障期間中の伝送線路に沿った実際の電圧が、正常動作条件中の場合と同じではない可能性があることである。
【0005】
したがって、改善された線路差動保護機構が依然として必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
概要
本明細書における実施形態の目的は、上述の問題のない、または少なくともこれらの問題が低減もしくは緩和される、伝送システムの伝送線路の効率的な線路差動保護を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、伝送システムの伝送線路の差動保護のための方法が提供される。この方法は、伝送線路から抑制電流および差動電流を得ることを含む。この方法は、差動電流について補償電流を判断することを含む。この方法は、補償電流によって補償された差動電流および抑制電流を、トリップ判定を行うための差動保護構成に供給することを含む。この方法は、伝送システムについて内部故障を検出することを含む。この方法は、結果として、補償電流によって補償されない差動電流および抑制電流を、トリップ判定を行うための差動保護構成に与えることを含む。
【0009】
第2の態様によれば、伝送システムの伝送線路の差動保護のための構成が提供される。構成は処理回路を備える。処理回路は、構成に、伝送線路から抑制電流および差動電流を得させるように構成される。処理回路は、構成に、差動電流の補償電流を判断させるように構成される。処理回路は、構成に、補償電流によって補償された差動電流および抑制電流を、トリップ判定を行うための差動保護構成に供給させるように構成される。処理回路は、構成に、伝送システムの内部故障を検出させるように構成される。処理回路は、構成に、結果として、補償電流によって補償されない差動電流および抑制電流を、トリップ判定を行うための差動保護構成に与えさせるように構成される。
【0010】
有利なことに、これは、上述の問題を被らない伝送線路の効率的な差動保護を提供する。
【0011】
有利なことに、適応補償を用いることによって、差動電流は、線路差動保護のための最良の依存性および安全性を得るために、内部故障条件の間は元の差動電流を維持しながら、正常動作条件(および外部故障条件)の間は非常に低いレベルに補償される。
【0012】
第3の態様によれば、伝送システムの伝送線路の差動保護のためのコンピュータプログラムが提供され、コンピュータプログラムは、構成上で実行されると、構成に第1の態様による方法を実行させるコンピュータプログラムコードを含む。
【0013】
第4の態様によれば、第3の態様によるコンピュータプログラムと、コンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体とを備える、コンピュータプログラム製品が提示される。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であり得る。
【0014】
開示された実施形態の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明、従属請求項、および図面から明らかとなるであろう。
【0015】
概して、特許請求の範囲で用いられるすべての用語は、本明細書中で特に明示的にそうではないと定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「ある/その要素、装置、構成要素、手段、モジュール、ステップなど」へのすべての言及は、特にそうではないと明記しない限り、その要素、装置、構成要素、手段、モジュール、ステップなどのうちの少なくとも1つの例に言及するものとして広義に解釈されるべきである。本明細書に開示される任意の方法のステップは、明示的に述べられない限り、開示される順序どおりに実施される必要はない。
【0016】
ここで、添付の図面を参照して、本発明の概念を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態による伝送システムを示す概略図である。
【
図2】実施形態による伝送システムを示す概略図である。
【
図3】実施形態による伝送システムを示す概略図である。
【
図9】実施形態による差動保護構成またはその一部を示す概略図である。
【
図11】実施形態による差動保護構成またはその一部を示す概略図である。
【
図12】実施形態による差動保護構成またはその一部を示す概略図である。
【
図13】実施形態による方法のフローチャートである。
【
図14】実施形態による構成の機能ユニットを示す概略図である。
【
図15】一実施形態による構成の機能モジュールを示す概略図である。
【
図16】一実施形態によるコンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
本発明の概念は、本発明の概念の特定の実施形態が示される添付の図面を参照して以下により充分に説明される。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が充分かつ完全であり、本発明の概念の範囲を当業者に充分に伝えるように、例として提供される。記載全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。破線によって示される任意のステップまたは特徴は、任意選択と見なされるべきである。
【0019】
図1は、本明細書で開示される実施形態が適用される配電システムの伝送システム25を概略的に示す。伝送システム25は、伝送システム25の伝送線路20の差動保護のための少なくとも1つの構成10a、10bを備える。2つ以上の構成10a、10bは、通信リンク23を介して作動的に接続されてもよい。さらに、2つ以上の構成10a、10bは、伝送線路20の差動保護のための共通構成10cの一部であってもよい。構成10a、10bは、リレーとして動作するインテリジェント電子装置(IED)の一部であるか、またはそれを備えてもよい。伝送システム25は、電源21a、21b、電流電圧変換器22a、22b、および回路遮断器23a、23bをさらに含む。F1およびF2は、それぞれ伝送線路20に沿った外部故障および内部故障を示す。伝送線路20は、超高圧(UHV)伝送線路20である場合がある。伝送線路20は、配電システムの一部である場合がある。
【0020】
本明細書に開示される実施形態は、伝送システム25の伝送線路20の差動保護のための機構に関する。そのような機構を得るために、構成10a、10b、10c、構成10a、10b、10cによって実行される方法、および構成10a、10b、10c上で実行されると構成10a、10b、10cに該方法を実行させる、例えばコンピュータプログラムの形態のコードを含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0021】
本明細書で開示される機構は、伝送線路差動保護のために適応的容量性充電電流補償を提供することによって、差動線路保護のための現在の機構の上述の問題を克服する。容量性電流の補償は、内部故障を検出すると、最終差動電流が元々決定された差動電流に等しくなるように無効化される。
【0022】
ここで、2端子伝送線路の態様を開示する。
図2は、伝送線路が典型的な2端子伝送システムとして表される、
図1の伝送システムの簡略化を示す。
【0023】
図2の関連するベクトルは、伝送線路に沿った関連する正相ベクトルをそれぞれ示し:Vs1は送電端正相電圧、Vr1は受電端正相電圧、Vm1は中点正相電圧、およびI
Chargは正常負荷条件中の容量性充電電流である。Vs1とVr1との間の負荷角度をδとすると、中点正相電圧Vm1は、δの半分だけベクトルVs1から遅れる。I
Chargは、
図2の中央に示されるように、Vm1から常に90度前方にある。
図2の下部には、所与の伝送システムついての等価な正相網が示される。C1は総線路における正相漏洩キャパシタンスであり、Z1は総線路正相インピーダンスである。
【0024】
正常動作条件中の各位相における容量性充電電流は、
図2の下に示されるように正相網に基づいて計算することができ、ここで、C1は、三相システム内の開始相として位相Aを考慮することによる正相キャパシタンスである:
【0025】
【0026】
ここで、a=-0.5+j0.866であり、これは、三相送電システムの回転係数である。
【0027】
フェーザー領域においては、中点電圧Vm1は、式(2)で与えられるようなT型集中等価回路に基づいて、
図2の下部に与えられるような正相網に基づいて計算することができる。ここで、Is1は、送電端において測定される正相電流である。
【0028】
【0029】
三相伝送線路の場合、各位相容量性充電電流は、式(1)、(2)に基づいて計算することができ、または代替的に、最初に位相Aの容量性電流を計算し、次いで位相Aの容量性電流を、式(1)で与えられるような三相系信号関係に基づいて、位相Cについては回転係数「a」を乗算することによって+120度で回転させ、位相Bについては「a2」を乗算することによって-120度回転させることによって、計算することができる。
【0030】
式(1)、(2)に基づく各位相についての計算された容量性電流(Icharge_a, Icharg_b, Icharg_c)は、正常負荷条件中の各位相における実際の差動電流(Id_a, Id_b, Id_c)
と完全に一致する。各位相の差動電流および抑制電流(Ires_a, Ires_b, Ires_c)は、送電端電流(Is_a, Is_b, Is_c)および受電端電流(Ir_a, Ir_b, Ir_c)の両方からの同期された信号としての瞬間電流に基づいて計算され、それは以下の式(3)から(8)を用いて得ることができる。位相Aを例にとって、差動保護機能の一般的な基準は、式(9)によって与えられ得る。
【0031】
【0032】
ここで、k1は抑制係数であり、それは1未満であり、一般に0.2~0.6の範囲の値をとる。Threshold1は、通常、公称負荷電流の約20%である正の値である。Id_a_rms(t)は、位相A差動電流Id_a(t)の二乗平均平方根(RMS)値であり、Ires_a_rms(t)は、
位相A抑制電流Ires_a(t)の二乗平均平方根(RMS)値である。
【0033】
ここで多端子伝送線路の態様を開示する。
多端子伝送線路の場合、同じ原理を適用することができる。次いで、正相キャパシタンスC1は、C1Σで示される接続線路正相キャパシタンスの総和によって置き換えられることになる。正相網における中点電圧は、等価な正相網に基づいて計算されることになる。中点は、多端子伝送線路システム内の最も離れた2つの端子間の伝送線路に沿うことになる。総等価静電容量は、差動ゾーン内に「M」個の端子が接続されると仮定すると、以下の式(10)で計算することができる:
【0034】
【0035】
総充電電流(位相Aを例とする)は、以下の式(11)のように算出することができる。
【0036】
【0037】
ここで、Vm1(t)は、多端子伝送線路システム内の最も離れた2つの端子間の伝送線路に沿った正相網における中点電圧である。位相Bおよび位相Cに対する容量性電流も、式(1)に示されるものと同じ回転係数を用いることによって得ることができる。
【0038】
3端子接続網の一例を
図3に示す。3つの電源が3端子システムとして接続される。ここで、2つの端子間の最長線路は、電源Sと電源Rとの間の伝送線路である。この最長伝送線路において中点は250kmである。Vs1、Vr1、Vt1、Is1、およびIt1は、計算のための関連する正相電圧および正相電流である。Z1は、500kmオーバーヘッド線路に対する正相インピーダンスである。多端子線路システムにおいて異なるタイプの伝送線路が用いられる場合、正相網インピーダンス値の対応する修正を修正する必要がある。
【0039】
正相網に基づいて、中点電圧Vm1は、以下の式(12)のように計算することができ、最終容量性充電電流は、式(10)および式(11)に基づいて計算することができる。
【0040】
【0041】
ここで、線路差動保護用途のための実時間容量性電流補償の態様が、位相Aループを一例として考慮することによって開示される。
【0042】
実時間容量性電流計算および補償は、線路差動保護のために用いることができ、それは、線路差動保護のための安全性を向上させることができ、なぜならば、補償は、正常負荷条件の間、差動電流をほぼゼロレベルに補償することができるからである。補償は、各位相についてそれぞれ以下の式(13)を用いることによって得ることができる:
【0043】
【0044】
一方、補償は、内部故障によって生成される外乱の場合には差動電流が実際の差動電流に等しくなるようにオフに切り換えられるか、または外部故障条件の場合には制御され得る。
【0045】
図4は、一例として位相Aループを考慮することによって、位相Aからの地絡(ソリッド地絡)を伴う内部故障条件を示す。ここで、信号final_IDは、位相Aにおける補償された差動電流である。Ida1 (Ida1=Ida(t))は、位相Aにおける元の差動電流(補償されない差動電流)である。補償された差動電流final_IDは、正常条件の間、ほぼゼロであり、次いで、内部故障が検出されると、元の差動電流Ida1に切り換えられて戻ることが示される。Ida1rms (Ida1rms=Id_a_rms(t))は、位相Aにおける差動電流の平方自乗平均値(RMS)である。Iresrms (Iresrms=Ires_a_rms(t))は、位相Aに対する抑制電流のRMS値である。Final_IDrmsは、位相Aにおける補償された差動電流のRMS値である。信号Diff_Trip は、内部故障条件に対する最終トリップ信号である。この場合、トリップ信号は、一般的な差動保護抑制特性に基づいて5ms後に値1にセットされる。補償は、正常条件中の線路差動保護の安全性に対して肯定的な効果をもたらし、内部ソリッド故障条件中の保護の依存性に影響を及ぼさないことは明らかである。
【0046】
高インピーダンス故障条件を伴う内部故障の場合、補償された差動電流は大幅に低減されることになり、なぜならば、高インピーダンス故障は電圧および電流の両方について明白な変化を生じさせないからである。したがって、各位相における差動電流および抑制電流は、変化が限られることになる。
図5は、1000オームの故障インピーダンスを有する位相Aにおける高インピーダンス故障を示す。トリップ信号Diff_Tripは10ms後に値1にセットされる。
図5に見られるように、位相Aにおける元の差動電流Ida1 (Ida1=Ida(t)) は、高インピーダンス地絡の場合の内部故障期間中においてはあまり変化しない。一方、所与の伝送線路の容量性漏洩電流は、1000アンペアのピーク値にほぼ近い。差動電流に対する補償Id_comp (Id_comp=Id_comp_a(t))が維持される場合、それは故障期間中の差動保護の依存性を低減する。関連するRMS値は、Id_com_rmsである。差動保護の依存性は影響を受けることになる。この条件では、内部故障が
図5に示されるように信号final_ID および final_IDrmsで検出されると、元の差動電流に切り換えて戻ることが
有利である。これにより、より良好な依存性が得られる。
【0047】
位相Aにおける内部故障中のこの高インピーダンス故障条件が、
図6を参照してさらに例示される。
図6(a)のベクトル図は、故障期間差動電流(IA_diff)および関連する容量性充電電流(IA_diff_C)および故障抵抗電流(IA_diff_R)を示す。
図6(b)は、瞬間信号およびそれらの信号のRMS値を示す。
図6(b)の中間窓から、補償された差動電流RMS値(Id_comp_rms)は、補償されない差動電流RMS値ida1rms (ida1rms=Id_a_rms(t))よりもはるかに低いことがわかる。
図6の例示的な例では、Ia_diff_R=425A、Ia_diff_C=900A、Ia_diff=995A、および Id_comp_rms=425Aである。また、補償されない差動電流角度は、中点正相電圧ベクトル角度の90度前であり、
図6(a)に沿った故障期間中は、中点正相電圧の61度前であることもわかる。
図6(c)は、高インピーダンスRfを伴う位相Aから地絡への等価回路を示す。ここでCeqは位相Aにおける等価正相容量である。Vafは、位相A対接地電圧であり、それは、高インピーダンス故障に対する測定されたVm1に近い。
【0048】
外部故障の場合、理論的には、差動電流は、送電端および受電端の電流方向性に基づいてゼロとなることになる。実際には、特に、長い伝送線路条件の場合、
図7においてIda1として見られるような最終差動電流は、電流変換器の飽和、測定誤差などによって生じる可能性のある誤差に起因してソリッド地絡を伴う外部故障期間中はゼロではない。安全性の観点から、差動電流をゼロに保つことが有利であり得る。したがって、外部故障が検出されると、外部故障検出スイッチを用いて、差動電流をゼロに切り替えるかもしれない。別の方法は、外部故障が検出された場合に、差動電流をIda1として元の差動電流として保つことである。
【0049】
内部故障および外部故障検出の態様を開示する。
内部故障検出には、位相Aを例にとって、以下の式(14)、(15)、(16)に示すような基準を用いることができる。ここで、tは時間であり、Tは関連する電力システムの1基本サイクル時間である。
【0050】
【0051】
ここで、式(14)は、位相Aにおける差動電流の変化に関する計算であり、式(15)は、位相Aにおける抑制電流の変化に関する計算であり、式(16)は、位相Aにおける差動電流における角度変化の計算である。
【0052】
内部故障は、関連する故障相において、差動電流、または抑制電流、の突然の増加を生じさせる可能性がある。並行して、差動電流角度は、
図6(a)に示されるように、総容量性電流条件から、容量性電流と抵抗電流の両方の組み合わせへと減少することになる。差動電流角度の減少は、故障抵抗レベルに依存することになる。式(14)~(16)は、位相Aを例とする一般的な式であり、差動電流、抑制電流、および差動電流の角度の急変についての各位相計算に適用できるものであり、上記の急変値を求めるのに、1サイクルデータの代わりに2サイクルデータを用いるなど、他の方法を用いることもできる。
【0053】
図8および
図9は、内部故障検出スイッチが内部故障例にうまく用いられ得ることを示し、論理がソリッド故障および高インピーダンス故障の両方に対して機能することを示す。以下で説明する
図12に関して、
図9は、位相Aを例として考慮することによる内部故障検出スイッチのスキーム900を示す。内部故障の場合、補償が無効化されるように内部故障スイッチは1にセットされ、実際の差動電流が差動保護に用いられる。これにより、差動保護の感度が向上する。
【0054】
外部故障の場合、故障相の対応する差動電流は、外部故障における電流方向変化に起因して直ちに減少することになる。抑制電流は、故障点に供給される高い故障電流のため、故障発生の直後に増加する。故障相における差動電流および抑制電流の変化を用いて、外部故障を検出することができる。基本的な概念は、外部故障の効率的な識別を与える、差動電流の減少および抑制電流の突然の増加を検出することである。電流変換器(CT)飽和条件の場合、各ゼロ交差点後1~2ms以内にCTが飽和しない場合には、外部故障を検出することは依然として可能である。線路保護スキームの大部分に対するこの条件は、線路CTが大きな比差を有さないため、満たされることになる。
図10および
図11は、
図2に示される受電端変電所のバスバーにおける外部故障についての例を示す。以下に説明する
図12に関して、
図11は、位相Aを例にとって、外部故障検出スイッチのスキーム1100を示す。外部故障が検出されると、外部故障スイッチは、差動電流がゼロにセットされるように、1にセットされる。
【0055】
構成10aにおいて適応的容量性電流補償を伴う全体的な差動保護スキーム1200が、一例として位相Aを用いることによって
図12に示される。
図12において、Set1は、差動保護構成1210において実行される瞬間差動保護基準のための閾値であり、Set2は、RMSに基づく差動保護基準のための閾値である。K1は比の値であり、通常0.5に設定される。構成10aは、(
図11により詳細に示されるように)外部故障検出スイッチおよび(
図9により詳細に示されるように)内部故障検出スイッチを備える。外部故障検出スイッチについてCtrl=1の場合、外部故障検出スイッチは位置Aにセットされ、そうでなければ位置Bにセットされる。内部故障検出スイッチについてCtrl=1の場合、内部故障検出スイッチは位置Aにセットされ、そうでなければ位置Bにセットされる。したがって、2つの信号Ctrlを用いて、外部故障検出スイッチの位置および内部故障検出スイッチの位置を制御することができる。
【0056】
Id_comp_a(t)は式(13)に従って、Id_a(t)およびIcharg_a(t)から決定される。
さらに、Final_Ida(t)は、位相Aの実時間差動電流であり、Final_Ida(t)のRMS値は、Final_lda_rms(t)と示され、以下の式(17)で与えられるように、基本電力周波数サイクル時間Tに基づいて継続的に計算される。
【0057】
【0058】
図13は、伝送システム25の伝送線路20の差動保護のための方法の実施形態を示すフローチャートである。これらの方法は、構成10a、10b、10cによって実行される。本方法は、コンピュータプログラム1620として有利に提供される。
【0059】
S102:伝送線路20から抑制電流Iresおよび差動電流Idが得られる。
各位相A,B,Cの抑制電流Iresおよび差動電流Idは、式(3)~(8)のように算出することができる。正常条件の間、すなわち、故障が発生していないとき、差動電流は、伝送システム25の伝送線路漏洩電流を表す。
【0060】
S104:差動電流に対して、補償電流が判断される。一実施形態によれば、補償電流は容量性補償電流である。
【0061】
S106:補償電流によって補償された差動電流および抑制電流は、トリップ判定を行うための差動保護構成1210に供給される。
図12を参照すると、内部故障検出スイッチはしたがって位置Aにセットされ、外部故障検出スイッチは位置Bにセットされる。
【0062】
S108:伝送システム25について内部故障F2が検出される。
S110:(ステップS108のように)内部故障が検出された結果として、補償電流によって補償されない差動電流および抑制電流が、トリップ判定を行うための差動保護構成1210に供給される。
図12を参照すると、内部故障検出スイッチは位置Bにセットされ、外部故障検出スイッチは位置Bにセットされる。
【0063】
この点、三相AC伝送システムでは、差動電流および抑制電流は相分離しており、3つの差動電流および抑制電流が存在する。各位相は、1つの差動電流および1つの抑制電流を有し、したがって、位相当たり1つの差動保護スキームがある。これらの3つの差動保護スキーム(各位相において1つ)は、全体的な差動保護スキームを定義するために並列に実行される。一例として、位相Aに故障がある場合、位相Aの差動保護機能は故障を検出し、位相Aをトリップすることになる。さらなる例として、位相Aおよび位相Bに関与する故障が存在する場合、位相Aおよび位相Bのための差動保護スキームの両方が故障を検出し、故障を隔離するために位相Aおよび位相Bのための回路遮断器にトリップを送るなどする。
【0064】
ここで、構成10a、10b、10cによって実行される伝送システム25の伝送線路200の差動保護のさらなる詳細に関する実施形態を開示する。
【0065】
補償電流は、正常動作の間、補償された差動電流がゼロとなるように、決定されてもよい。
図12を参照すると、外部故障検出スイッチはしたがって位置Aにセットされる。
【0066】
上記で開示されるように、例えば、
図2を参照して、伝送システム25は、正相網として表現可能である。抑制電流I
resおよび差動電流I
dは、正相網のパラメータから計算することによって取得されるかもしれない。
【0067】
いくつかの態様では、外部故障F1が検出され、したがって、ステップS112およびS114が実行される。
【0068】
S112:伝送システム25について外部故障F1が検出される。
S114:外部故障が検出された結果として、差動保護構成1210は、トリップ判定を行うことができなくされる。いくつかの実施形態では、差動保護構成1210は、ゼロにセットされる差動電流および抑制電流をトリップ判定を行うための差動保護構成1210に与えることによってトリップ判定を行うことができなくされる。
図12を参照すると、外部故障検出スイッチはしたがって位置Aにセットされる。
【0069】
ここで、故障が発生した場合、その故障は内部故障F2または外部故障F1のいずれかである、と仮定されるかもしれない。これは、2つ以上の故障が時間的に次々と発生する可能性があることを排除するものではなく、時間的に第1に発生する故障は内部故障F2または外部故障F1のいずれかであり、時間的に第2に発生する故障は内部故障F2または外部故障F1のいずれかである、などとなる。したがって、どのアクションまたはステップを実行するかは、どのタイプの故障が検出されるかに依存する。
【0070】
したがって、本発明を構築する代替方法は、制限電流Iresおよび差動電流Idを得ると、補償電流を、故障が検出されなかったかどうか、内部故障が検出されたかどうか、または外部故障が検出されたかどうかに応じて、(トリップ判定を行うための差動保護構成1210に与えられる前に、)印加するかどうかを判断することである。補償電流は、内部故障が検出された場合には印加されない。差動保護構成1210は、外部故障が検出された場合、トリップ判定を行うことができないようにされる。差動電流は、外部故障が検出された場合、ゼロにセットされるかもしれない。補償電流は、故障が検出されない場合に印加される。これは、外部故障検出スイッチの位置および内部故障検出スイッチの位置を上記のようにセットすることにより達成できる。
【0071】
したがって、本発明の代替的な構成によると、抑制電流Iresおよび差動電流Idが得られる。そして、故障が検出されなかったか、内部故障が検出されたか、外部故障が検出されたかをチェックする。故障が検出されなかった場合、補償電流を決定し、補償電流によって補償された差動電流および抑制電流を、トリップ判定を行うための差動保護構成1210に与える。内部故障が検出されると、補償電流によって補償されない差動電流および抑制電流が、トリップ判定を行うための差動保護構成1210に供給される。外部故障が検出されると、差動電流はゼロにセットされ、抑制電流は、トリップ判定を行うための差動保護構成1210に供給される。この点、外部故障中、全ての端子電流の平均値の絶対値の総和である抑制電流は、より高くなることになる。差動電流はゼロであるので、式(9)に基づく差動保護、すなわち、条件
【0072】
【0073】
は満たされないことになり、したがって差動保護の安全性を保証する。再び、これは、外部故障検出スイッチの位置および内部故障検出スイッチの位置を上記のようにセットすることによって達成され得る。
【0074】
時間tにおけるM端子伝送システム25の抑制電流は、Ires,x(t)と示され、
【0075】
【0076】
として定義され、式中、Is,m,x(t)は、位相xについての、伝送線路(20)に沿った端子m(mは、1≦m≦Mの整数)からの時間tにおける瞬間的な送られる電流を表し、位相A、B、Cを有する三相伝送システム(25)についてx∈{A,B,C}である。
【0077】
図14は、ある実施形態による、伝送システム25の伝送線路20の差動保護のための構成10a、10b、10cの構成要素を、いくつかの機能ユニットに関して概略的に示す。処理回路1410は、例えば記憶媒体1430の形態で(
図16に示すような)コンピュータプログラム製品1610に格納されたソフトウェア命令を実行することが可能な、好適な中央処理ユニット(CPU)、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)などのうちの1つまたは複数の任意の組み合わせを用いて提供される。処理回路1410はさらに、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として提供され得る。
【0078】
特に、処理回路1410は、上記で開示したように、構成10a、10b、10cに動作またはステップのセットを実行させるように構成される。例えば、記憶媒体1430は、動作のセットを記憶することができ、処理回路1410は、構成10a、10b、10cに動作のセットを実行させるために、記憶媒体1430から動作のセットを取り出すように構成することができる。動作のセットは、実行可能な命令のセットとして提供されてもよい。
【0079】
したがって、処理回路1410は、それによって、本明細書に開示される方法を実行するように構成される。記憶媒体1430はまた、例えば、磁気メモリ、光メモリ、ソリッドステートメモリ、もしくはさらには遠隔装着型メモリのいずれか1つまたは組み合わせであり得る永続的記憶装置も含み得る。構成10a、10b、10cは、伝送システム25から電流値を取得し、差動保護構成1210に電流値を提供し、および別の構成10a、10b、10cとの通信のために少なくとも構成された通信インターフェース1420をさらに含むことができる。したがって、通信インターフェース1420は、アナログ構成要素およびデジタル構成要素を含む1つまたは複数の送信機ならびに受信機を含み得る。処理回路1410は、例えば、通信インターフェース1420および記憶媒体1430にデータおよび制御信号を送ること、通信インターフェース1420からデータおよび報告を受信すること、ならびに記憶媒体1430からデータおよび命令を取り出すことによって、構成10a、10b、10cの一般的な動作を制御する。構成10a、10b、10cの他の構成要素および関連する機能は、本明細書で提示される概念を不明瞭にしないよう省略される。
【0080】
図15は、ある実施形態による、伝送システム25の伝送線路20の差動保護のための構成10a、10b、10cの構成要素を、いくつかの機能モジュールに関して概略的に示している。
図15の構成10a、10b、10cは、いくつかの機能モジュール、すなわち、ステップS102を実行するように構成された取得モジュール1510a、ステップS104を実行するように構成された判断モジュール1510b、ステップS106を実行するように構成された提供モジュール1510c、ステップS108を実行するように構成された検出モジュール1510d、およびステップS110を実行するように構成された提供モジュール1510eを備える。
【0081】
図15の構成10a、10b、10cは、さらに、ステップS112を実行するように構成された検出モジュール1510f、およびステップS114を実行するように構成された無効化モジュール1510gのいずれかなど、いくつかの任意選択的機能モジュールを含むことができる。概して、各機能モジュール1510a~1510gは、一実施形態では、ハードウェアでのみ実現されてもよく、別の実施形態では、ソフトウェアの支援を得て実現されてもよく、すなわち、後者の実施形態は、記憶媒体1430に記憶されたコンピュータプログラム命令を有し、コンピュータプログラム命令は、処理回路上で実行されると、構成10a、10b、10cに、
図15に関連して上述した対応するステップを実行させる。モジュールはコンピュータプログラムの部分に対応するが、モジュールは、その中で別個のモジュールである必要はなく、それらがソフトウェアにおいて実現される態様は、用いられるプログラミング言語に依存することも、言及されるべきである。好ましくは、1つ以上またはすべての機能モジュール1510a~1510gは、場合によっては通信インターフェース1420および/または記憶媒体1430と協働して、処理回路1410により実現され得る。したがって、処理回路1410は、記憶媒体1430から、機能モジュール1510a~1510gによって提供される命令をフェッチし、これらの命令を実行し、それによって、本明細書で開示される任意のステップを実行するように構成されてもよい。
【0082】
図16は、コンピュータ可読記憶媒体1630を備えるコンピュータプログラム製品1610の一例を示す。このコンピュータ可読記憶媒体1630には、コンピュータプログラム1620を記憶することができ、コンピュータプログラム1620は、処理回路1410ならびに通信インターフェース1420および記憶媒体1430などの処理回路1410に作動的に結合されたエンティティおよびデバイスに、本明細書に記載の実施形態による方法を実行させることができる。したがって、コンピュータプログラム1620および/またはコンピュータプログラム製品1610は、本明細書で開示する任意のステップを実行するための手段を提供することができる。
【0083】
図16の例では、コンピュータプログラム製品1610は、CD(コンパクトディスク)またはDVD(デジタル多用途ディスク)またはブルーレイディスクなどの光ディスクとして示される。コンピュータプログラム製品1610はまた、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読取専用メモリ(EPROM)または電気的に消去可能なプログラム可能読取専用メモリ(EEPROM)などのメモリとして、およびより特には、USB(ユニバーサルシリアルバス)メモリまたはコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリなどのフラッシュメモリなどの外部メモリにおけるデバイスの不揮発性記憶媒体として具現化され得る。したがって、コンピュータプログラム1620は、ここでは、示される光ディスク上でトラックとして概略的に示されるが、コンピュータプログラム1620は、コンピュータプログラム製品1610に好適な任意の方法で格納することができる。
【0084】
以上、いくつかの実施形態を参照しながら、本発明の概念を主に説明した。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上記で開示されたもの以外の他の実施形態が、特許請求の範囲によって定義される本発明の概念の範囲内で等しく可能である。