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特許7230234第1のメモリと第2のメモリを含む流体吐出デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】第1のメモリと第2のメモリを含む流体吐出デバイス
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20230220BHJP
   G11C 17/16 20060101ALI20230220BHJP
   G11C 16/08 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14
G11C17/16
G11C16/08
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021554729
(86)(22)【出願日】2019-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(86)【国際出願番号】 US2019028403
(87)【国際公開番号】W WO2020214189
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ング,ブーン,ビン
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-063056(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009903(WO,A1)
【文献】特開2008-191447(JP,A)
【文献】特開2010-042511(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009904(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/14
G11C 17/16
G11C 16/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出デバイスであって、
活性化された際に流体を吐出するための流体付勢デバイスと、
コントローラからの第1のアドレスデータを伝送するための複数の第1のデータ線と、
前記コントローラからの第2のアドレスデータを伝送するための第2のデータ線と、
前記流体吐出デバイスに関する情報を格納し、前記複数の第1のデータ線上の第1のアドレスデータに応答して、イネーブルにされることになる第1のメモリ素子と、
前記第1のメモリ素子がイネーブルにされた状態で前記第1のメモリ素子のデータを伝える及びID信号を伝送するためのID線と、
前記流体付勢デバイスに関連したデータを格納し、前記第2のデータ線上の第2のアドレスデータ及び前記ID線上の前記ID信号の第1の論理レベルに応答して、イネーブルにされることになる第2のメモリ素子と、
前記第2のメモリ素子および前記流体付勢デバイスに電気結合され、前記流体付勢デバイスがイネーブルにされた状態で前記流体付勢デバイスを活性化し、前記第2のメモリ素子がイネーブルにされた状態で前記第2のメモリ素子のデータを伝えることになる噴射線と、
前記第2のデータ線上の前記第2のアドレスデータ及び前記ID線上の前記ID信号の第1の論理レベルに応答して前記第2のメモリ素子をイネーブルにするための、前記第2のメモリ素子と接地ノードとの間の第1のスイッチと、
前記ID線上の前記ID信号の第1の論理レベルに応答して前記第2のメモリ素子をイネーブルにするための、前記噴射線と前記第2のメモリ素子との間の第2のスイッチとを含む、流体吐出デバイス
【請求項2】
前記第2のデータ線上の前記第2のアドレスデータ及び前記ID線上の前記ID信号の第2の論理レベルに応答して前記流体付勢デバイスをイネーブルにするための、前記流体付勢デバイスと前記接地ノードとの間の第3のスイッチを更に含む、請求項1に記載の流体吐出デバイス。
【請求項3】
前記第2のメモリ素子が、複数の第2のメモリ素子を含み、前記第1のスイッチが、複数の第1のスイッチを含み、この場合、前記複数の第1のスイッチのそれぞれは、前記複数の第2のメモリ素子の1つに対応し、前記第2のスイッチは、前記噴射線と前記複数の第2のメモリ素子のそれぞれとの間に電気結合され、前記複数の第1のスイッチのそれぞれは、前記複数の第2のメモリ素子のそれぞれと前記接地ノードとの間に電気結合される、請求項1又は2に記載の流体吐出デバイス
【請求項4】
前記流体付勢デバイスは、複数の流体付勢デバイスを含み、前記第3のスイッチは、複数の第3のスイッチを含み、この場合、複数の第3のスイッチのそれぞれは、前記複数の流体付勢デバイスの1つに対応し、前記噴射線は、前記複数の流体付勢デバイスのそれぞれに電気結合され、前記複数の第3のスイッチのそれぞれは、前記複数の流体付勢デバイスのそれぞれと前記接地ノードとの間に電気結合される、請求項2又は請求項2に従属する請求項3に記載の流体吐出デバイス。
【請求項5】
前記複数の第1のデータ線上の第1のアドレスデータに応答して、前記第1のメモリ素子をイネーブルにするためのシフトレジスタ復号器を更に含む、請求項1~の何れか1項に記載の流体吐出デバイス
【請求項6】
前記第1のメモリ素子は、前記第1のメモリ素子がイネーブルにされた状態で、読み出し動作および/または書き込み動作のために前記ID線を介してアクセスされ、
前記第2のメモリ素子は、前記第2のメモリ素子がイネーブルにされた状態で、読み出し動作および/または書き込み動作のために前記噴射線を介してアクセスされる、請求項1~の何れか1項に記載の流体吐出デバイス
【請求項7】
吐出デバイスであって、
活性化された際に流体を吐出するための流体付勢デバイスと、
第1の選択線と、
第2の選択線と、
前記流体吐出デバイスに関する情報を格納し、前記第1の選択線上の第1の論理レベルに応答して、イネーブルにされることになる第1のメモリ素子と、
前記第1のメモリ素子がイネーブルにされた状態で前記第1のメモリ素子のデータを伝える及びID信号を伝送するためのID線と、
前記流体付勢デバイスに関連したデータを格納し、前記第2の選択線上の第1の論理レベル及び前記ID線上の前記ID信号の第1の論理レベルに応答して、イネーブルにされることになる第2のメモリ素子と、
前記第2のメモリ素子および前記流体付勢デバイスに電気結合され、前記流体付勢デバイスがイネーブルにされた状態で前記流体付勢デバイスを活性化し、前記第2のメモリ素子がイネーブルにされた状態で前記第2のメモリ素子のデータを伝えることになる噴射線と、
前記第2の選択線上の第1の論理レベル及び前記ID線上の前記ID信号の第1の論理レベルに応答して前記第2のメモリ素子をイネーブルにするための、前記第2のメモリ素子と接地ノードとの間の第1のスイッチと、
前記ID線上の前記ID信号の第1の論理レベルに応答して前記第2のメモリ素子をイネーブルにするための、前記噴射線と前記第2のメモリ素子との間の第2のスイッチとを含む、流体吐出デバイス
【請求項8】
前記第2の選択線上の前記第1の論理レベル及び前記ID線上の前記ID信号の第2の論理レベルに応答して前記流体付勢デバイスをイネーブルにするための、前記流体付勢デバイスと前記接地ノードとの間の第3のスイッチを更に含む、請求項7に記載の流体吐出デバイス。
【請求項9】
前記第2のメモリ素子が、複数の第2のメモリ素子を含み、前記第1のスイッチが、複数の第1のスイッチを含み、この場合、前記複数の第1のスイッチのそれぞれは、前記複数の第2のメモリ素子の1つに対応し、前記第2のスイッチは、前記噴射線と前記複数の第2のメモリ素子のそれぞれとの間に電気結合され、前記複数の第1のスイッチのそれぞれは、前記複数の第2のメモリ素子のそれぞれと前記接地ノードとの間に電気結合される、請求項7又は8に記載の流体吐出デバイス
【請求項10】
前記流体付勢デバイスは、複数の流体付勢デバイスを含み、前記第3のスイッチは、複数の第3のスイッチを含み、この場合、複数の第3のスイッチのそれぞれは、前記複数の流体付勢デバイスの1つに対応し、前記噴射線は、前記複数の流体付勢デバイスのそれぞれに電気結合され、前記複数の第3のスイッチのそれぞれは、前記複数の流体付勢デバイスのそれぞれと前記接地ノードとの間に電気結合される、請求項8又は請求項8に従属する請求項9に記載の流体吐出デバイス
【請求項11】
記第1のメモリ素子は、前記第1のメモリ素子がイネーブルにされた状態で、読み出し動作および/または書き込み動作のために前記ID線を介してアクセスされ、
前記第2のメモリ素子は、前記第2のメモリ素子がイネーブルにされた状態で、読み出し動作および/または書き込み動作のために前記噴射線を介してアクセスされる、請求項10に記載の流体吐出デバイス
【請求項12】
コントローラからの第1のアドレスデータを伝送するための複数の第1のデータ線と、
前記コントローラからの第2のアドレスデータを伝送するための第2のデータ線とを更に含み、
前記第1のメモリ素子は、前記複数の第1のデータ線上の第1のアドレスデータ及び前記第1の選択線上の第1の論理レベルに応答して、イネーブルにされ、
前記第2のメモリ素子は、前記第2のデータ線上の第2のアドレスデータ、前記第2の選択線上の第1の論理レベル、及び前記ID線上の前記ID信号の第1の論理レベルに応答して、イネーブルにされる、請求項7~11の何れか1項に記載の流体吐出デバイス
【請求項13】
流体吐出デバイスに関する情報を格納するための第1のメモリ素子、及び前記流体吐出デバイスの流体付勢デバイスに関連したデータを格納するための第2のメモリ素子にアクセスするための方法であって、
前記第1のメモリ素子がイネーブルにされた状態で、前記第1のメモリ素子のデータを伝えることになるID線上にID信号を生成し、
第1の選択信号および第2の選択信号を逐次に生成し、
前記第1の選択信号、及びコントローラからの第1のアドレスデータを伝送することになる複数の第1のデータ線上の第1のアドレスデータに応答して、前記第1のメモリ素子をイネーブルにし、
前記第2の選択信号、及び前記コントローラからの第2のアドレスデータを伝送することになる第2のデータ線上の第2のアドレスデータに応答して、前記第2のメモリ素子をイネーブルにすることを含み、
前記第2のメモリ素子をイネーブルにすることは、前記第2の選択信号、前記第2のデータ線上の第2のアドレスデータ及び前記ID線上の前記ID信号の第1の論理レベルに応答する、前記第2のメモリ素子と接地ノードとの間の第1のトランジスタを介して、且つ前記ID線上の前記ID信号の第1の論理レベルに応答する、噴射線と前記第2のメモリ素子との間の第2のトランジスタを介して前記第2のメモリ素子をイネーブルにすることを含み、前記第1の噴射線は、前記流体付勢デバイスがイネーブルにされた状態で前記流体付勢デバイスを活性化する、及び前記第2のメモリ素子がイネーブルにされた状態で前記第2のメモリ素子のデータを伝えることになる、方法。
【請求項14】
前記第2の選択信号および前記ID線上の前記ID信号の第2の論理レベルに応答して、前記流体付勢デバイスをイネーブルにすることを更に含み、
前記流体付勢デバイスをイネーブルにすることは、前記第2の選択信号および前記ID線上の前記ID信号の第2の論理レベルに応答して、前記流体付勢デバイスと前記接地ノードとの間の第3のトランジスタを介して、前記流体付勢デバイスをイネーブルにすることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のメモリ素子が、複数の第2のメモリ素子を含み、前記第1のトランジスタが、複数の第1のトランジスタを含み、この場合、前記複数の第1のトランジスタのそれぞれは、前記複数の第2のメモリ素子の1つに対応し、前記第2のトランジスタは、前記噴射線と前記複数の第2のメモリ素子のそれぞれとの間に電気結合され、前記複数の第1のトランジスタのそれぞれは、前記複数の第2のメモリ素子のそれぞれと前記接地ノードとの間に電気結合され、
前記流体付勢デバイスは、複数の流体付勢デバイスを含み、前記第3のトランジスタは、複数の第3のトランジスタを含み、この場合、複数の第3のトランジスタのそれぞれは、前記複数の流体付勢デバイスの1つに対応し、前記噴射線は、前記複数の流体付勢デバイスのそれぞれに電気結合され、前記複数の第3のトランジスタのそれぞれは、前記複数の流体付勢デバイスのそれぞれと前記接地ノードとの間に電気結合される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
アドレス信号を生成することを更に含み、
前記第2のメモリ素子をイネーブルにすることは、前記第2の選択信号、前記第2のデータ線上の第2のアドレスデータ、及び前記アドレス信号に応答して、前記第2のメモリ素子をイネーブルにすることを含む、請求項13~15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のメモリ素子がイネーブルにされた状態で、読み出し動作および/または書き込み動作のために前記ID線を介して前記第1のメモリ素子にアクセスし、
前記第2のメモリ素子がイネーブルにされた状態で、読み出し動作および/または書き込み動作のために前記噴射線を介して前記第2のメモリ素子にアクセスすることを更に含む、請求項13~16の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
流体吐出システムの一例としてのインクジェット印刷システムは、プリントヘッド、液体インクをプリントヘッドに供給するインク供給部、及びプリントヘッドを制御する電子コントローラを含むことができる。流体吐出デバイスの一例としてのプリントヘッドは、印刷媒体上へ印刷するように、インク滴を複数のノズル又はオリフィスを介して、用紙のような印刷媒体へ向けて吐出する。幾つかの例において、オリフィスは、プリントヘッド及び印刷媒体が互いに対して移動する際に、オリフィスからの適切に順序付けられたインク吐出により、文字または他のイメージが印刷媒体上に印刷されるように少なくとも1つの列またはアレイに配列される。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】流体吐出システムの一例を示すブロック図である。
図2】流体吐出デバイスの一例を示す略図である。
図3】流体吐出デバイスの第1のメモリと第2のメモリを含む回路の一例を示すブロック図である。
図4】流体吐出デバイスの第1のメモリと第2のメモリを含む回路の別の例を示すブロック図である。
図5】流体吐出デバイスのメモリ素子を含む回路の一例を示す略図である。
図6】流体吐出デバイスのメモリ素子を含む回路の別の例を示す略図である。
図7A】流体吐出デバイスの複数のメモリ素子を含む回路の一例を示す略図である。
図7B】流体吐出デバイスの複数のメモリ素子を含む回路の別の例を示す略図である。
図8A】流体吐出デバイスの複数のメモリ素子および複数の流体付勢デバイスを含む回路の一例を示す略図である。
図8B】流体吐出デバイスの複数のメモリ素子および複数の流体付勢デバイスを含む回路の一例を示す略図である。
図9A】第1のメモリ、第2のメモリ及び流体付勢デバイスを含む回路の一例を示す略図である。
図9B】第1のメモリ、第2のメモリ及び流体付勢デバイスを含む回路の別の例を示す略図である。
図10A図9Bの回路の動作の一例を示すタイミング図である。
図10B図9Bの回路の動作の一例を示すタイミング図である。
図11A図9Bの回路の動作の別の例を示すタイミング図である。
図11B図9Bの回路の動作の別の例を示すタイミング図である。
図12】流体吐出システムの一例を示すブロック図である。
図13A】流体吐出デバイスの第1のメモリと第2のメモリにアクセスするための方法の一例を示す流れ図である。
図13B】流体吐出デバイスの第1のメモリと第2のメモリにアクセスするための方法の一例を示す流れ図である。
図13C】流体吐出デバイスの第1のメモリと第2のメモリにアクセスするための方法の一例を示す流れ図である。
図13D】流体吐出デバイスの第1のメモリと第2のメモリにアクセスするための方法の一例を示す流れ図である。
図14A】流体吐出デバイスのメモリにアクセスするための方法の一例を示す流れ図である。
図14B】流体吐出デバイスのメモリにアクセスするための方法の一例を示す流れ図である。
図15A】流体吐出デバイスのメモリにアクセスするための方法の別の例を示す流れ図である。
図15B】流体吐出デバイスのメモリにアクセスするための方法の別の例を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
詳細な説明
以下の詳細な説明において、その一部を形成する添付図面を参照し、当該添付図面では、本開示が実施され得る特定の例が実例として示される。理解されるべきは、他の例が利用されることができ、構造的または論理的変更が本開示の範囲から逸脱せずに行われ得る。従って、以下の詳細な説明は、制限する意味で解釈されるべきでなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。理解されるべきは、本明細書で説明される様々な例の特徴は、特に断りのない限り、部分的に又は全体的に互いに組み合わされ得る。
【0004】
本明細書で使用される限り、「論理ハイ」信号は、論理「1」又は「オン」信号、或いは集積回路に供給される論理電力にほぼ等しい電圧(例えば、約1.8Vから15V、例えば5.6V)を有する信号である。本明細書で使用される限り、「論理ロー」信号は、論理「0」又は「オフ」信号、或いは集積回路に供給される論理電力の論理電力地帰路にほぼ等しい電圧(例えば、約0V)を有する信号である。
【0005】
印刷システムで使用するためのプリントヘッドは、印刷流体滴が個々のノズルから吐出されるように付勢されるノズルを含むことができる。各ノズルは流体付勢デバイスを含む。流体付勢デバイスは、活性化された際に、印刷流体滴を、対応するノズルにより吐出させる。一例において、各流体付勢デバイスは、活性化された際に、ノズルの噴射チャンバ内の印刷流体を気化させるための熱を生成する加熱素子(例えば、熱抵抗器)を含む。印刷流体の気化により、印刷流体滴がノズルから放出される。他の例において、各流体付勢デバイスは、圧電素子を含む。活性化された際、圧電素子は、ノズルから印刷流体滴を吐出するための力を印加する。他の例において、他のタイプの流体付勢デバイスが、ノズルから流体を吐出するために使用され得る。
【0006】
印刷システムは、二次元(2D)又は三次元(3D)印刷システムであることができる。2D印刷システムは、紙媒体または他のタイプの印刷媒体のような、印刷媒体上にイメージを形成するために、インクのような印刷流体を吐出する。3D印刷システムは、構築材料の逐次の層を堆積することにより、3D物体を形成する。3D印刷システムから吐出される印刷流体は、インク、並びに構築材料の層の粉末を溶融する、構築材料の層をディーテイリングする(例えば、構築材料の層のエッジ又は形状をはっきりさせることにより)などのために使用される薬剤を含むことができる。
【0007】
本明細書で使用される限り、用語「プリントヘッド」は一般に、プリントヘッドダイ又は支持構造体上に実装された複数のダイを含むアセンブリを意味する。ダイ(「集積回路ダイ」とも呼ばれる)は、ノズル、及び/又はノズルにより流体の吐出を制御するための制御回路を形成するための様々な層が設けられる基板を含む。
【0008】
幾つかの例において、印刷システムで使用するためのプリントヘッドに言及されるが、留意されるべきは、本開示の技術およびメカニズムは、ノズルを介して流体を吐出(分注)することができる非印刷用途で使用される他のタイプの流体吐出デバイスに適用可能である。係る他のタイプの流体吐出デバイスの例は、流体検知システム、医療システム、輸送手段、流量制御システムなどで使用されるものを含む。
【0009】
プリントヘッドダイ又は他のタイプの流体吐出ダイを含むデバイスが物理的に小さくなり続けているので、デバイスの制御回路に使用される信号線の数は、デバイスの外形寸法に影響を及ぼす可能性がある。多数の信号線は、信号線を外部信号線に電気接続するために使用される多数の信号パッド(「ボンディングパッド」と呼ばれる)を用いることにつながる可能性がある。流体吐出デバイスに特徴要素を追加することは、使用する信号線(及び対応するボンディングパッド)の数の増加につながる可能性があり、それは貴重なダイ空間を占める可能性がある。流体吐出デバイスに追加され得る追加の特徴要素の例は、メモリデバイスを含む。
【0010】
従って、流体吐出デバイスの信号線の数を低減することを可能にするために制御線とデータ線を共用することができる流体吐出デバイス(1つ又は複数のダイを含む)の様々な例示的な回路が、本明細書で開示される。本明細書で使用される限り、用語「線(ライン)」は、信号(単数または複数)を伝送するために使用され得る導体(単数)(又は代案として、複数の導体)を意味する。
【0011】
図1は、流体吐出システム100の一例を示すブロック図である。流体吐出システム100は、流体吐出コントローラ102及び流体吐出デバイス106を含む。流体吐出コントローラ102は、複数の制御線104を介して流体吐出デバイス106に通信可能に結合される。流体吐出デバイス106は、制御回路108、流体付勢デバイス110、第1のメモリ112及び第2のメモリ114を含むことができる。制御回路108は、流体付勢デバイス110、第1のメモリ112、及び第2のメモリ114に電気結合される。
【0012】
流体吐出コントローラ102は、流体吐出デバイス106から分離される。流体吐出コントローラ102は、制御線104を介して流体吐出デバイス106を制御するためのプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の適切な論理回路を含むことができる。例えば、印刷システムにおいて、流体吐出コントローラ102は、印刷システムの一部であるプリントヘッド駆動コントローラであることができるが、流体吐出デバイス106は、印刷カートリッジ(インク又は別の薬剤を含む)の一部または別の構造体の一部であるプリントヘッド集積回路ダイであることができる。
【0013】
流体吐出デバイス106の流体付勢デバイス110は、流体を吐出するために選択的に制御可能であるノズルのアレイを含むことができる。第1のメモリ112は、流体吐出デバイス106を一意に識別するような、流体吐出デバイス106に関する識別データ及び/又は他の情報を格納するために使用されるIDメモリを含むことができる。第2のメモリ114は、流体付勢デバイス110に関連したデータを格納するために使用される噴射メモリを含むことができ、この場合、データは、例として、以下の、即ち、ダイの場所、領域情報、液滴重量符号化情報、認証情報、選択された流体付勢デバイスをイネーブル又はディスエーブルにするためのデータなどの何れか又は幾つかの組み合わせを含むことができる。
【0014】
第1のメモリ112及び第2のメモリ114は、ハイブリッドメモリ構成を形成するために異なるタイプのメモリで実現され得る。第1のメモリ112は、電気的プログラマブル読取り専用メモリ(EPROM)のような、不揮発性メモリで実現され得る。第2のメモリ114は、ヒューズメモリのような不揮発性メモリで実現されることができ、この場合、ヒューズメモリは、第2のメモリ114へデータをプログラムするために選択的に溶断され得る(又は溶断されない)ヒューズのアレイを含む。特定例のタイプのメモリが上記で挙げられたが、留意されるべきは、他の例において、第1のメモリ112及び第2のメモリ114は、他のタイプのメモリで実現され得る。幾つかの例において、第1のメモリ112及び第2のメモリ114は、同じタイプのメモリで実現され得る。
【0015】
一例において、流体吐出デバイス106の流体付勢デバイス110、第1のメモリ112、及び第2のメモリ114は、共通のダイ(即ち、流体吐出ダイ)上に形成され得る。別の例において、流体付勢デバイス110は、1つのダイ(即ち、流体吐出ダイ)上に実現され得るが、第1のメモリ112及び第2のメモリ114は別個のダイ(又はそれぞれの別個のダイ)上に実現され得る。例えば、第1のメモリ112及び第2のメモリ114は、流体吐出ダイから分離した第2のダイ上に形成されることができ、又は代案として、第1のメモリ112及び第2のメモリ114は、流体吐出ダイから分離した異なる個々のダイ上に形成され得る。他の例において、第1のメモリ112の一部が1つのダイ上にあることができ、第1のメモリ112の別の部分が別のダイ上にあることができる。同様に、第2のメモリ114の一部が1つのダイ上にあることができ、第2のメモリ114の別の部分が別のダイ上にあることができる。
【0016】
制御回路108は、制御線104を介して受信した制御信号に基づいて、流体付勢デバイス110、第1のメモリ112及び第2のメモリ114の動作を制御する。制御線104は、噴射(FIRE)線、CSYNC線、選択(SELECT)線、アドレスデータ(ADDRESS DATA)線、ID線、クロック(CLOCK)線、及び他の線を含む。他の例において、複数の噴射線、及び/又は複数の選択線、及び/又は複数のアドレスデータ線が存在する場合がある。制御回路108は、ID線上のID信号に基づいて、流体付勢デバイス110又は第2のメモリ114を選択することができる。ID線は、読み出し動作および/または書き込み動作のために第1のメモリ112にアクセスするためにも使用され得る。第1のメモリ112のメモリ素子は、選択線およびアドレスデータ線上の選択信号およびデータ信号に基づいてアドレス指定され得る。
【0017】
噴射線は、流体付勢デバイス110がID線上の第1の論理レベルに応答して制御回路108により選択された際に、流体付勢デバイス110の付勢を制御するために使用される。第1の論理レベルに設定された際の噴射線上の噴射信号により、個々の流体付勢デバイス(又は複数の流体付勢デバイス)は、係る流体付勢デバイス(単数または複数)が選択線およびアドレスデータ線上の選択信号およびデータ信号に基づいてアドレス指定される場合に、活性化される。噴射信号が第1の論理レベルと異なる第2の論理レベルに設定される場合、流体付勢デバイス(単数または複数)は活性化されない。また、噴射線は、第2のメモリ114がID線上の第2の論理レベルに応答して制御回路108により選択される場合に、読み出し動作および/または書き込み動作のために第2のメモリ114にアクセスするためにも使用され得る。第2のメモリ114のメモリ素子は、選択線およびアドレスデータ線上の選択信号およびデータ信号に基づいて、アドレス指定され得る。
【0018】
CSYNC信号は、流体吐出デバイス106においてアドレス(Ax及びAyと呼ばれる)を開始するために使用される。選択線は、特定の流体付勢デバイス又はメモリ素子を選択するために使用され得る。アドレスデータ線は、特定の流体付勢デバイス又はメモリ素子(又は流体付勢デバイスの特定のグループ又はメモリ素子のグループ)をアドレス指定するためのアドレスビット(単数または複数)を伝送するために使用され得る。クロック線は、制御回路108のクロック信号を伝送するために使用され得る。
【0019】
本開示の幾つかの具現化形態に従って、適応性を高めるために、及び流体吐出デバイス106に設けられる必要がある入力/出力(I/O)パッドの数を低減するために、噴射線およびID線のそれぞれは、一次タスクと二次タスクの双方を実行する。上述されたように、噴射線の一次タスクは、選択された流体付勢デバイス(単数または複数)110を活性化することである。噴射線の二次タスクは、第2のメモリ114のデータを伝えることである。このように、データ経路は、流体吐出コントローラ102と流体吐出デバイス106との間に別個のデータ線を設ける必要なしに、流体吐出コントローラ102と第2のメモリ114との間に(噴射線を介して)設けられ得る。
【0020】
ID線の一次タスクは、第1のメモリ112のデータを伝えることである。ID線の二次タスクは、制御回路108に流体付勢デバイス110又は第2のメモリ114をイネーブルにさせることである。このように、共通噴射線は、流体付勢デバイス110の付勢を制御するために及び第2のメモリ114のデータを伝えるために使用されることができ、この場合、ID線は、流体付勢デバイス110が噴射線により制御されている場合に及び噴射線が第2のメモリ114のデータを伝えるために使用され得る場合に、選択するために使用され得る。
【0021】
図2は、図1の流体吐出デバイス106の一例をより詳細に示す略図である。流体吐出デバイス106は、流体付勢デバイス110、第1のメモリ112、第2のメモリ114、ラッチ130と132、シフトレジスタ復号器134、アドレス生成器136、噴射線140、ID線142、及びスイッチ144、146、148及び150を含む。一例において、噴射線140及びID線142は、図1の制御線104の一部である。ラッチ130と132、シフトレジスタ復号器134、アドレス生成器136、及びスイッチ144、146、148及び150は、図1の制御回路108の一部であることができる。
【0022】
ID線142は、ラッチ130の入力、ラッチ132の入力、及び第1のメモリ112に電気結合される。噴射線140は、スイッチ146の一方の側に、及び流体付勢デバイス110に電気結合される。ラッチ130の出力は、スイッチ146の制御入力に電気結合される。スイッチ146の他方の側は、第2のメモリ114に電気結合される。ラッチ132の出力は、スイッチ148の制御入力に電気結合される。スイッチ148は、第2のメモリ114と共通ノード又は接地ノード152との間に電気結合される。スイッチ150は、流体付勢デバイス110と共通ノード又は接地ノード152との間に電気結合される。アドレス生成器136の出力は、スイッチ148の制御入力に及びスイッチ150の制御入力に電気結合される。シフトレジスタ134の出力は、スイッチ144の制御入力に電気結合される。スイッチ144は、第1のメモリ112と共通ノード又は接地ノード152との間に電気結合される。
【0023】
第1のメモリ112は、複数のメモリ素子を含むことができる。スイッチ144は、複数のスイッチを含むことができ、この場合、各スイッチは、第1のメモリ112のメモリ素子の1つに対応する。シフトレジスタ復号器134は、選択されたメモリ素子に対応するスイッチ144を閉じることによって、読み出しアクセス及び/又は書き込みアクセスのために第1のメモリ112のメモリ素子を選択する。シフトレジスタ復号器134は、ディスエーブルにされたメモリ素子に対応するスイッチ144を開くことによって、第1のメモリ112のメモリ素子をディスエーブルにする。第1のメモリ112のメモリ素子がシフトレジスタ復号器134により選択された状態で、メモリ素子は、ID線142を介して読み出し動作および/または書き込み動作のためにアクセスされ得る。
【0024】
ラッチ130は、ID線142上のID信号を受け取り、ID信号の論理レベルをラッチし、そのラッチされた値に基づいてスイッチ146を制御する。ラッチされた値の第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)に応答して、ラッチ130はスイッチ146をターンオンする。ラッチされた値の第2の論理レベル(例えば、論理ロー)に応答して、ラッチ130はスイッチ146をターンオフする。スイッチ146が閉じられた状態で、第2のメモリ114は、噴射線140を介して読み出しアクセス及び/又は書き込みアクセスのためにイネーブルにされる。スイッチ146が開いた状態で、第2のメモリ114はディスエーブルにされる。
【0025】
第2のメモリ114は、複数のメモリ素子を含むことができる。スイッチ148は、複数のスイッチを含むことができ、この場合、各スイッチは、第2のメモリ114のメモリ素子の1つに対応する。スイッチ150は、複数のスイッチを含むことができ、この場合、各スイッチは、流体付勢デバイス110の1つに対応する。ラッチ132は、ID線142上のID信号を受け取り、ID信号の反転された論理レベルをラッチし、そのラッチされた値に基づいてスイッチ148を制御する。ラッチされた値の第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)に応答して、ラッチ132はスイッチ148をディスエーブルにする(即ち、スイッチ148がターンオンされるのを阻止する)。ラッチされた値の第2の論理レベル(例えば、論理ロー)に応答して、ラッチ132はスイッチ148をイネーブルにする(即ち、スイッチ148がターンオンされることを可能にする)。
【0026】
アドレス生成器136は、第2のメモリ114のメモリ素子または流体付勢デバイス110を選択するためのアドレス信号AxとAyを生成する。また、第2のメモリ114のメモリ素子または流体付勢デバイス110の選択は、アドレスデータ線上のデータ信号(D2)に基づくこともできる。従って、図2に示され及びより詳細に後述されるように、スイッチ148は、ID×D2×AxAyに基づいて制御されることができ、スイッチ150は、ID’×D2×AxAyに基づいて制御され得る。スイッチ150が開いており、スイッチ146が閉じており且つスイッチ148が閉じている状態で、第2のメモリ114は、噴射線140を介して、読み出し動作および/または書き込み動作のためにアクセスされ得る。スイッチ146が開いており、スイッチ148が開いており且つスイッチ150が閉じている状態で、流体付勢デバイス110は、噴射線140を介して活性化され得る。
【0027】
図3は、流体吐出デバイスの第1のメモリ及び第2のメモリを含む回路200の一例を示すブロック図である。一例において、回路200は、複数の流体付勢デバイスを駆動するための集積回路の一部である。回路200は、第1のメモリ112及び第2のメモリ114を含む。第1のメモリ112は、複数の第1のメモリ素子212~212を含み、この場合、「M」は、メモリ素子の任意の適切な数である。第2のメモリ114は、複数の第2のメモリ素子214~214を含み、この場合、「N」は、メモリ素子の任意の適切な数である。第1のメモリ112及び第2のメモリ114は、同じ数のメモリ素子または異なる数のメモリ素子を含むことができる。
【0028】
また、回路200は、複数の第1のデータ(D1~D1)線216~216、及び第2のデータ(D2)線218も含む。第1のデータ線216~216は、第1のメモリ112に電気結合され、第2のデータ線218は第2のメモリ114に電気結合される。一例において、第1のデータ線216~216及び第2のデータ線218は、図1の制御線104のアドレスデータ線の一部である。この例において、第1のメモリ112のメモリ素子212は、複数の第1のデータ線216~216上の第1のデータに応答してイネーブルにされ、第2のメモリ114のメモリ素子214は、第2のデータ線218上の第2のデータに応答してイネーブルにされる。
【0029】
図4は、流体吐出デバイスの第1のメモリ及び第2のメモリを含む回路230の別の例を示すブロック図である。一例において、回路230は、複数の流体付勢デバイスを駆動するための集積回路の一部である。回路230は、図3に関連して前述された及び図示されたように、第1のメモリ112及び第2のメモリ114を含む。また、回路230は、ID線142、第1の選択(S4)線236、及び第2の選択(S5)線238も含む。第1の選択線236は、第1のメモリ112に電気結合され、第2の選択線238及びID線142は、第2のメモリ114に電気結合される。この例において、第1のメモリ112のメモリ素子212は、第1の選択線236上の第1の論理レベルに応答してイネーブルにされ、第2のメモリ114のメモリ素子214は、第2の選択線238上の第1の論理レベル及びID線上の第1の論理レベルに応答してイネーブルにされる。
【0030】
一例において、図3の回路200は、図4の回路230と組み合わせられ得る。従って、第1のメモリ112は、第1のデータD1、D1、及びD1(例えば、図1のシフトレジスタ復号器134を介して)により生成されたアドレスに基づいてアクセスされることができるが、第2のメモリ114は、第2のデータD2により生成されたアドレスに基づいてアクセスされ得る。第1のデータ及び第2のデータは、互いに完全に無関係であることができる。更に、第1のメモリ112は、S4選択信号に応答してイネーブルにされ得るが、第2のメモリ114はS5選択信号に応答してイネーブルにされ得る。S4選択信号およびS5選択信号は、交互交番的にされ得る。このように、シフトレジスタ(例えば、図1のシフトレジスタ復号器134)に起因したID信号の破損は、回避され得る。
【0031】
図5は、流体吐出デバイスのメモリ素子を含む回路250の一例を示す略図である。一例において、回路250は、複数の流体付勢デバイスを駆動するための集積回路の一部である。回路250は、噴射(FIRE)線140、ID線142、メモリ素子252、ラッチ254、及び放電経路256を含む。噴射線140は、メモリ素子252に電気結合される。ID線142は、ラッチ254の入力に電気結合される。ラッチ254の出力は放電経路256の入力に電気結合される。放電経路256は、メモリ素子252と共通ノード又は接地ノード152との間に電気結合される。
【0032】
放電経路256は、メモリ素子252が読み出しアクセス及び/又は書き込みアクセスのためにイネーブルにされていない際に、メモリ素子252がフローティングすることを避ける。この例において、ラッチ254は、ID線142上の第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)に応答して放電経路をディスエーブルにし、ID線上の第2の論理レベル(例えば、論理ロー)に応答して、放電経路をイネーブルにする。メモリ素子252がイネーブルにされる場合、放電経路256はディスエーブルにされ、メモリ素子252は、読み出し動作および/または書き込み動作のために噴射線140を介してアクセスされ得る。一例において、ラッチ254は、図2のラッチ132を提供し、放電経路256はスイッチ148に対する制御入力の一部であり、メモリ素子252は、図2の第2のメモリ114のメモリ素子である。
【0033】
図6は、流体吐出デバイスのメモリ素子を含む回路270の別の例を示す略図である。一例において、回路270は、複数の流体付勢デバイスを駆動するための集積回路の一部である。回路270は、噴射(FIRE)線140、ID線142、メモリ素子252、ラッチ272、及びスイッチ274を含む。スイッチ274は、噴射線140とメモリ素子252との間に電気結合される。ラッチ272の入力は、ID線142に電気結合される。ラッチ272の出力は、スイッチ274の制御入力に電気結合される。メモリ素子252は、共通ノード又は接地ノード152に電気結合される。
【0034】
この例において、ラッチ272は、ID線142上の第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)に応答してスイッチ274をイネーブルに(即ち、ターンオン)し、ID線上の第2の論理レベル(例えば、論理ロー)に応答してスイッチ274をディスエーブルに(即ち、ターンオフ)する。スイッチ274がイネーブルにされた状態で、噴射線140がメモリ素子252に電気結合される。スイッチ274がディスエーブルにされた状態で、噴射線140がメモリ素子252から電気的に切断される。スイッチ274がイネーブルにされた状態で、メモリ素子252は、読み出し動作および/または書き込み動作のために噴射線140を介してアクセスされ得る。一例において、ラッチ272は、図2のラッチ130を提供し、スイッチ274は図2のスイッチ146を提供し、メモリ素子252は図2の第2のメモリ114のメモリ素子である。
【0035】
図7Aは、流体吐出デバイスの複数のメモリ素子を含む回路300の一例を示す略図である。一例において、回路300は、複数の流体付勢デバイスを駆動するための集積回路の一部である。回路300は、噴射(FIRE)線140、複数のメモリ素子214~214、第1のスイッチ304、及び複数の第2のスイッチ308~308を含む。スイッチ304は、噴射線140と各メモリ素子214~214の第1の側との間に電気結合される。スイッチ304の制御入力は、制御(Vy)信号線302に電気結合される。各第2のスイッチ308~308の第1の側は、個々のメモリ素子214~214の第2の側に電気結合される。各第2のスイッチ308~308の他方の側は、共通ノード又は接地ノード152に電気結合される。各第2のスイッチ308~308の制御入力はそれぞれ、制御(X~X)信号線306~306に電気結合される。
【0036】
Vy制御信号は、ID信号(例えば、ID線142上の)に基づくことができる。制御信号X~Xは、ID信号(例えば、ID線142上の)、D2データ信号(例えば、D2データ線218上の)及びAx及びAyアドレス信号(例えば、アドレス生成器136からの)に基づくことができる。この例において、メモリ素子214~214は、Vy信号に応答してスイッチ304をターンオンし、及び個々のX~X信号に応答して少なくとも1つの個々の第2のスイッチ308~308をターンオンすることにより、イネーブルにされ得る。メモリ素子214~214がイネーブルにされた状態で、イネーブルにされたメモリ素子は、噴射線140を介して読み出し動作および/または書き込み動作のためにアクセスされ得る。一例において、第1のスイッチ304は、図2のスイッチ146を提供し、各第2のスイッチ308~308図2のスイッチ148を提供する。
【0037】
図7Bは、流体吐出デバイスの複数のメモリ素子を含む回路320の別の例を示す略図である。一例において、回路320は、複数の流体付勢デバイスを駆動するための集積回路の一部である。回路320は、回路320において第1のトランジスタ324が第1のスイッチ304の代わりに使用され且つ複数の第2のトランジスタ328~328が第2のスイッチ308~308の代わりに使用されていることを除いて、図7Aに関連して前述されて図示された回路300に類似する。第1のトランジスタ324は、噴射線140と各メモリ素子214~214の第1の側との間に電気結合されたソース・ドレイン経路を有する。各第2のトランジスタ328~328は、個々のメモリ素子214~214と共通ノード又は接地ノード152との間に電気結合されたソース・ドレイン経路を有する。各第2のトランジスタ328~328のゲートはそれぞれ、制御信号線306~306に電気結合される。
【0038】
この例において、メモリ素子214~214は、論理ハイVy信号に応答して第1のトランジスタ324をターンオンし、且つ個々の論理ハイX~X信号に応答して少なくとも1つの個々の第2のトランジスタ328~328をターンオンすることにより、イネーブルにされ得る。メモリ素子214~214がイネーブルにされた状態で、イネーブルにされたメモリ素子は、噴射線140を介して読み出し動作および/または書き込み動作のためにアクセスされ得る。一例において、第1のトランジスタ324は、図2のスイッチ146を提供し、各第2のトランジスタ328~328図2のスイッチ148を提供する。
【0039】
図8A図8Bは、流体吐出デバイスの複数のメモリ素子および複数の流体付勢デバイスを含む回路350の一例を示す略図である。一例において、回路350は、複数の流体付勢デバイスを駆動するための集積回路の一部である。回路350は、図7Bに関連して前述されて図示された回路320を含む。更に、図8Aに示されたように、回路350は、複数の流体付勢デバイス352~352、及び複数の第3のスイッチ(例えば、第3のトランジスタ)358~358を含む。各流体付勢デバイス352~352は、噴射線140と個々の第3のトランジスタ358~358のソース・ドレイン経路の一方の側との間に電気結合される。各第3のトランジスタ358~358のソース・ドレイン経路の他方の側は、共通ノード又は接地ノード152に電気結合される。各第3のトランジスタ358~358のゲートはそれぞれ、制御(Y~Y)信号線356~356に電気結合される。
【0040】
図8Bに示されたように、回路350は、アドレス生成器136及び復号器360も含む。アドレス生成器136の出力は、Axアドレス信号線362及びAyアドレス信号線364を介して復号器360の入力に電気結合される。復号器360に対する他の入力は、ID線142及び第2のデータ線218に電気結合される。復号器360の第1の出力はそれぞれ、制御信号線306~306を介して第2のトランジスタ328~328のゲートに電気結合される。復号器360の第2の出力はそれぞれ、制御信号線356~356を介して、第3のトランジスタ358~358のゲートに電気結合される。
【0041】
AxとAyは、例えば選択線上の選択信号およびCSYNC線上のCSYNC信号に応答して、アドレス生成器136により出力される。一例において、復号器360は、アドレスに応答して、個々の第2のトランジスタ328~328N又は個々の第3のトランジスタ358~358をターンオンするためにアドレス(例えば、D2、Ax、Ay)を受け取る。別の例において、ID線142上の第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)に応答して、復号器360は、アドレスに応答して、個々の第2のトランジスタ328~328Nをターンオンし、ID線142上の第2の論理レベル(例えば、論理ロー)に応答して、復号器360は、アドレスに応答して、個々の第3のトランジスタ358~358をターンオンし、個々の流体付勢デバイス352~352をイネーブルにする。流体付勢デバイス352~352がイネーブルにされた状態で、イネーブルにされた流体付勢デバイスは、噴射線140を介して活性化され得る。一例において、各第3のトランジスタ358~358は、図2のスイッチ150を提供する。
【0042】
図9Aは、第1のメモリ112、第2のメモリ114、及び流体付勢デバイス110を含む回路400の一例をより詳細に示す略図である。一例において、回路400は、複数の流体付勢デバイスを駆動するための集積回路の一部である。第1のメモリ112は複数のメモリ素子を含むが、図9Aには1つのメモリ素子212だけが示される。同様に、第2のメモリ114は複数のメモリ素子を含むが、図9Aには1つのメモリ素子214だけが示される。流体付勢デバイス110は複数の流体付勢デバイスを含むが、図9Aには、1つの流体付勢デバイス352だけが示される。
【0043】
回路400は、前述されたような噴射線140、ID線142、第1のデータ線216~216、第2のデータ線218、選択線236と238、Axアドレス信号線362、Ayアドレス信号線364、シフトレジスタ復号器134、及びトランジスタ324、328及び358を含む。更に、回路400は、バッファ408、インバータ410、及びトランジスタ402、404、406、412、414、416、418、420、422、432、434、436、438、440及び442を含む。一例において、トランジスタ402、404及び406は、図2のスイッチ144を提供することができる。バッファ408は、図2のラッチ130又は図6のラッチ272を提供することができる。インバータ410は、図2のラッチ132又は図5のラッチ254を提供することができる。トランジスタ416は、第1のメモリ114用の図5の放電経路256の一部を提供することができる。トランジスタ436は、流体付勢デバイス110用の放電経路を提供することができる。トランジスタ412、414、418、420、422、432、434、438、440及び442は、図8Bの復号器360の一部を提供することができる。
【0044】
シフトレジスタ復号器134の第1の入力は、第1のデータ線216~216に電気結合される。シフトレジスタ復号器134の第2の入力は、第1の選択(S4)線236に電気結合される。シフトレジスタ復号器134の出力は、トランジスタ402、404及び406のゲートに電気結合される。トランジスタ402、404及び406は、メモリ素子212と共通ノード又は接地ノード152との間に直列に電気結合される。トランジスタ402、404及び406がターンオンされる場合、メモリ素子212は、アドレス指定され、その結果、メモリ素子212のデータは、ID線142を介してアクセスされ得る。
【0045】
シフトレジスタ復号器134は、シフトレジスタ復号器134にアドレスデータビットを入力するために、第1のデータ線216~216のそれぞれに接続されたシフトレジスタを含む。各シフトレジスタは、一連のシフトレジスタセルを含み、当該シフトレジスタセルは、フリップフロップ、他の記憶素子、又は記憶素子の次の選択までそれらの値を保持することができる任意のサンプルホールド回路(例えば、プレチャージしてアドレスデータビットを数値化するための回路)として実現され得る。直列に接続された1つのシフトレジスタセルの出力は、次のシフトレジスタセルの入力に供給されて、シフトレジスタを通じてデータシフトを行うことができる。各シフトレジスタを通じて提供されるアドレスデータビットは、トランジスタ402、404及び406のそれぞれのゲートに接続される。
【0046】
シフトレジスタ復号器134においてシフトレジスタを用いることにより、少ない数のデータ線216~216を用いて、より大きなアドレス空間を選択することができる。例えば、各シフトレジスタは、8個(又は任意の他の数)のシフトレジスタセルを含むことができる。3個のシフトレジスタ(それぞれが8個の長さ)を含むシフトレジスタ復号器134に対する3個のアドレスデータビット(D1、D1及びD1)入力を用いることにより、シフトレジスタ復号器134によりアドレス指定され得るアドレス空間は、512ビットである(シフトレジスタ復号器134のシフトレジスタを用いずに3個のアドレスビットが使用される場合に8ビットだけである代わりに)。シフトレジスタ復号器134の出力は、第1の選択(S4)線236上の第1の論理レベルに応答してイネーブルにされ、第1の選択(S4)線236上の第2の論理レベルに応答してディスエーブルにされ得る。
【0047】
バッファ408は、ID線142とVyノード409を介してトランジスタ324のゲートとの間に電気結合される。インバータ410は、ID線142とVxノード411を介してトランジスタ416のゲートとの間に電気結合される。トランジスタ416のソース・ドレイン経路の一方の側は、共通ノード又は接地ノード152に電気結合される。トランジスタ416のソース・ドレイン経路の他方の側は、トランジスタ414のソース・ドレイン経路の一方の側、トランジスタ418のソース・ドレイン経路の一方の側、トランジスタ420のソース・ドレイン経路の一方の側、及びトランジスタ422のソース・ドレイン経路の一方の側に電気結合される。各トランジスタ418、420及び422のソース・ドレイン経路の他方の側は、共通ノード又は接地ノード152に電気結合される。トランジスタ418のゲートは、第2のデータ線218に電気結合される。トランジスタ420のゲートは、Axアドレス信号線362に電気結合される。トランジスタ422のゲートは、Ayアドレス信号線364に電気結合される。トランジスタ414のゲートは、第2の選択(S5)線238に電気結合される。トランジスタ414のソース・ドレイン経路の他方の側は、トランジスタ412のソース・ドレイン経路の一方の側、及びトランジスタ328のゲートに電気結合される。トランジスタ412のソース・ドレイン経路の他方の側とゲートは、第1の選択(S4)線236に電気結合される。
【0048】
トランジスタ436のゲートは、ID線142に電気結合される。トランジスタ436のソース・ドレイン経路の一方の側は、共通ノード又は接地ノード152に電気結合される。トランジスタ436のソース・ドレイン経路の他方の側は、トランジスタ434のソース・ドレイン経路の一方の側、トランジスタ438のソース・ドレイン経路の一方の側、トランジスタ440のソース・ドレイン経路の一方の側、及びトランジスタ442のソース・ドレイン経路の一方の側に電気結合される。各トランジスタ438、440及び442のソース・ドレイン経路の他方の側は、共通ノード又は接地ノード152に電気結合される。トランジスタ438のゲートは、第2のデータ線218に電気結合される。トランジスタ440のゲートは、Axアドレス信号線362に電気結合される。トランジスタ442のゲートは、Ayアドレス信号線364に電気結合される。トランジスタ434のゲートは、第2の選択(S5)線238に電気結合される。トランジスタ434のソース・ドレイン経路の他方の側は、トランジスタ432のソース・ドレイン経路の一方の側、及びトランジスタ358のゲートに電気結合される。トランジスタ432のソース・ドレイン経路の他方の側とゲートは、第1の選択(S4)線236に電気結合される。
【0049】
メモリ素子214と流体付勢デバイス352にそれぞれ接続された個々のトランジスタ328と358を制御するために、2個の別個の復号器が使用される。トランジスタ328のゲートは、トランジスタ412、414、418、420及び422を含む第1の復号器に接続される。トランジスタ358のゲートは、トランジスタ432、434、438、440及び442を含む第2の復号器に接続される。S4選択信号は、S5選択信号より時間的に早く活性化され得る。Ax、Ay、D2、S4及びS5の組み合わせは、第1の復号器および第2の復号器に対するアドレス入力を形成する。
【0050】
ID線142上のID信号が第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)である場合、トランジスタ436はターンオンし、トランジスタ358のゲートを放電された状態のままにし(即ち、トランジスタ358のゲートをディスエーブルにする)、その結果、流体付勢デバイス352は、非活性化された状態を維持される。更に、ID信号が第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)である場合、トランジスタ324はバッファ408によりターンオンされ、トランジスタ416はインバータ410によりターンオフされ、その結果、トランジスタ328が第1の復号器に対するアドレス入力に基づいてターンオンされる際、メモリ素子214が噴射線140を介して読み出し動作および/または書き込み動作のためにアクセスされ得る。
【0051】
ID線142上のID信号が第2の論理レベル(例えば、論理ロー)である場合、トランジスタ436はターンオフし、その結果、トランジスタ358が第2の復号器に対するアドレス入力に基づいてターンオンされる際に、流体付勢デバイス352は、噴射線140を介して活性化され得る。更に、ID信号が第2の論理レベル(例えば、論理ロー)である場合、トランジスタ324はバッファ408によりターンオフされ、トランジスタ416はインバータ410によりターンオンされる。トランジスタ416がターンオンされた状態で、トランジスタ328のゲートは、放電された状態のままであり(即ち、トランジスタ328のゲートはディスエーブルにされる)、その結果、メモリ素子214は非選択状態に維持される。
【0052】
図9Bは、第1のメモリ112、第2のメモリ114、及び流体付勢デバイス110を含む回路450の別の例をより詳細に示す略図である。一例において、回路450は、複数の流体付勢デバイスを駆動するための集積回路の一部である。回路450は、回路450において、トランジスタ452、454、456、458、460及び462がバッファ408の代わりに使用され且つトランジスタ468、470及び472がインバータ410の代わりに使用されていることを除いて、図9Aに関連して前述されて図示された回路400に類似する。
【0053】
トランジスタ460とトランジスタ462は、ノード459と共通ノード又は接地ノード152との間に直列に電気結合される。トランジスタ462のゲートはID線142に電気結合され、トランジスタ460のゲートはS4選択線236に電気結合される。トランジスタ458は、S3選択線234とノード459との間に電気結合されたソース・ドレイン経路を有する。トランジスタ458のゲートは、S3選択線234に電気結合される。トランジスタ454及びトランジスタ456は、トランジスタ324のゲートと共通ノード又は接地ノード152との間に直列に電気結合される。トランジスタ456のゲートは、ノード459に電気結合される。トランジスタ454のゲートは、S5選択線238に電気結合される。トランジスタ452は、S4選択線236とトランジスタ324のゲートとの間に電気結合されたソース・ドレイン経路を有する。トランジスタ452のゲートは、S4選択線236に電気結合される。
【0054】
トランジスタ470及びトランジスタ472は、トランジスタ416のゲートと共通ノード又は接地ノード152との間に直列に電気結合される。トランジスタ472のゲートは、ID線142に電気結合される。トランジスタ470のゲートは、S4選択線236に電気結合される。トランジスタ468は、S3選択線234とトランジスタ416のゲートとの間に電気結合されたソース・ドレイン経路を有する。トランジスタ468のゲートは、S3選択線234に電気結合される。
【0055】
S3選択信号は、S4選択信号よりも時間的に早く活性化され得る。S4選択信号は、S5選択信号よりも時間的に早く活性化され得る。ID線142上のID信号が第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)の状態で、第2の論理レベル(例えば、論理ロー)が、S3及びS4選択信号に応答して、Vxノード411でラッチされる。ID信号が第2の論理レベル(例えば、論理ロー)である場合、第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)が、S3及びS4選択信号に応答して、Vxノード411でラッチされる。
【0056】
ID線142上のID信号が第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)の状態で、第2の論理レベル(例えば、論理ロー)が、S3及びS4選択信号に応答して、ノード459でラッチされる。ID信号が第2の論理レベル(例えば、論理ロー)である場合、第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)が、S3及びS4選択信号に応答して、ノード459でラッチされる。ノード459が第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)の状態で、第2の論理レベル(例えば、論理ロー)が、S4及びS5選択信号に応答して、Vyノード409でラッチされる。ノード459が第2の論理レベル(例えば、論理ロー)の状態で、第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)が、S4及びS5選択信号に応答して、Vyノード409でラッチされる。従って、ID線142上のID信号が第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)である状態で、第1の論理レベル(例えば、論理ハイ)が、S3、S4及びS5選択信号に応答して、Vyノード409でラッチされる。ID信号が第2の論理レベル(例えば、論理ロー)の状態で、第2の論理レベル(例えば、論理ロー)が、S3、S4及びS5選択信号に応答して、Vyノード409でラッチされる。
【0057】
図10A及び図10Bは、図9Bの回路450の動作の一例を示すタイミング図である。図10Aは、メモリ素子214がイネーブルにされた時に関するタイミング図500aを示し、図10Bは、流体付勢デバイス352がイネーブルにされた時に関するタイミング図500bを示す。タイミング図500a及び500bは、CSYNC信号、S1選択信号、S2選択信号、S3選択線234上のS3選択信号、S4選択線236上のS4選択信号、S5選択線238上のS5選択信号、クロック信号、D1データ線216上のD1データ信号、D1データ線216上のD1データ信号、D2データ線218上のD2データ信号、ID線142上のID信号、Vxノード411上のVx信号、及び噴射線140上の噴射(FIRE)信号を含む。
【0058】
S1~S5選択信号が逐次に活性化される。S1及びS2選択信号は、シフトレジスタ復号器134を制御するように、第1のメモリ112により使用され得る。図10Aに示されるように、502において、ID信号が論理ハイであり、S4信号が論理ハイである際、Vxは論理ローである。かくして、S5信号が論理ハイである際、メモリ素子214の放電経路はオフであり、メモリ素子214は、504で示されるように噴射信号を介して、読み出しアクセス及び/又は書き込みアクセスのためにイネーブルにされる。図10Bに示されるように、506において、ID信号が論理ローであり、S4信号が論理ハイである際、Vxが論理ハイである。かくして、S5信号が論理ハイである際、メモリ素子214の放電経路がオンであり、メモリ素子214はディスエーブルにされる。メモリ素子214がディスエーブルにされた状態で、流体付勢デバイス352がイネーブルにされ、508で示されるように、噴射信号を介して活性化され得る。
【0059】
一例において、図10A及び図10Bに示されるように、ID信号および噴射信号は、同時にターンオン(即ち、論理ハイ)されることができない。従って、ID信号は、S5が論理ハイである際に噴射信号を準備するためにS4信号が論理ハイである際にVxを提供するようにラッチされる。また、これは、メモリ素子214のトランジスタ328のゲート又は流体付勢デバイス352のトランジスタ358のゲートの何れかが選択されていない際にフローティング状態を避けるために放電経路を有することも確実にする。フローティング状態は、第2のメモリ114に格納されたデータの破損を防止するために回避されるべきである。
【0060】
図11A及び図11Bは、図9Bの回路の動作の別の例を示すタイミング図である。図11Aは、メモリ素子214がイネーブルにされた時に関するタイミング図550aを示し、図11Bは、流体付勢デバイス352がイネーブルにされた時に関するタイミング図550bを示す。タイミング図550a及び550bは、CSYNC信号、S1選択信号、S2選択信号、S3選択線234上のS3選択信号、S4選択線236上のS4選択信号、S5選択線238上のS5選択信号、クロック信号、D1データ線216上のD1データ信号、D1データ線216上のD1データ信号、D2データ線218上のD2データ信号、ID線142上のID信号、Vyノード409上のVy信号、及び噴射線140上の噴射(FIRE)信号を含む。
【0061】
図11Aに示されるように、552において、ID信号が論理ハイであり、S4信号が論理ハイである際、S5信号が論理ハイである際にVyは論理ハイである。Vyが論理ハイである状態で、メモリ素子214は、554で示されるように噴射信号を介して、読み出しアクセス及び/又は書き込みアクセスのためにイネーブルにされる。図11Bに示されるように、556において、ID信号が論理ローであり、S4信号が論理ハイである際、S5信号が論理ハイである際にVyが論理ローである。Vyが論理ローの状態で、メモリ素子214はディスエーブルにされて、噴射信号から絶縁される。メモリ素子214がディスエーブルにされた状態で、流体付勢デバイス352がイネーブルにされ、558で示されるように、噴射信号を介して活性化され得る。
【0062】
一例において、図11A及び図11Bに示されたように、ID信号および噴射信号は、同時にターンオン(即ち、論理ハイ)されることができない。従って、ID信号は、S5が論理ハイである際に噴射信号を準備するためにS4信号が論理ハイである際にVyを提供するようにラッチされる。また、トランジスタ324は、流体付勢デバイス352が活性化された際に、噴射信号とメモリ素子214との間の絶縁体としての機能も果たす。これは、メモリ素子214が高頻度(高周波数)で高電圧にさらされることを防止することができ、メモリ素子214の信頼性を改善することができる。
【0063】
図12は、流体吐出システム600の一例を示すブロック図である。流体吐出システム600は、プリントヘッドアセンブリ602のような流体吐出アセンブリ、及びインク供給アセンブリ610のような流体供給アセンブリを含む。図示された例において、流体吐出システム600は、サービスステーションアセンブリ604、キャリッジアセンブリ616、印刷媒体搬送アセンブリ618、及び電子コントローラ620も含む。以下の説明は、インクに関して流体の取り扱いのためのシステム及びアセンブリの例を提供するが、開示されたシステム及びアセンブリは、インク以外の流体の取り扱いにも適用可能である。
【0064】
プリントヘッドアセンブリ602は、複数のオリフィス又はノズル608を介してインク又は流体の小滴を吐出する、図1の流体吐出デバイス106のような少なくとも1つのプリントヘッド又は流体吐出ダイ606を含む。一例において、小滴は、印刷媒体624上へ印刷するように、印刷媒体624のような媒体の方へ送られる。一例において、印刷媒体624は、用紙、厚紙、透明フィルム、マイラー(登録商標)、布地、及び同類のもののような、任意のタイプの適切なシート材料を含む。別の例において、印刷媒体624は、粉末ベッドのような三次元(3D)印刷用の媒体、又はリザーバ又は容器のような、バイオプリンティング及び/又は創薬試験用の媒体を含む。一例において、ノズル608は、プリントヘッドアセンブリ602及び印刷媒体624が互いに対して移動する際に、ノズル608からのインクの適切に順序付けられた吐出により、文字、記号および/または他のグラフィックス又はイメージが印刷媒体624上に印刷されるように、少なくとも1つの列またはアレイで配列される。
【0065】
インク供給アセンブリ610は、インクをプリントヘッドアセンブリ602に供給し、インクを貯蔵するためのリザーバ612を含む。それ故に、一例において、インクはリザーバ612からプリントヘッドアセンブリ602へ流れる。一例において、プリンタアセンブリ602及びインク供給アセンブリ610は、インクジェット又は流体ジェット印刷カートリッジ又はペンに一緒に収容される。別の例において、インク供給アセンブリ610は、プリントヘッドアセンブリ602から分離しており、供給管および/またはバルブのようなインターフェース接続613を介してインクをプリントヘッドアセンブリ602に供給する。
【0066】
キャリッジアセンブリ616は、プリントヘッドアセンブリ602を印刷媒体搬送アセンブリ618に対して位置決めし、印刷媒体搬送アセンブリ618は、プリントヘッドアセンブリ602に対して印刷媒体624を位置決めする。かくして、印刷区域626が、プリントヘッドアセンブリ602と印刷媒体624との間の領域において、ノズル608に隣接して画定される。一例において、プリントヘッドアセンブリ602は、キャリッジアセンブリ616がプリントヘッドアセンブリ602を印刷媒体搬送アセンブリ618に対して移動するような走査型プリントヘッドアセンブリである。別の例において、プリントヘッドアセンブリ602は、キャリッジアセンブリ616が印刷媒体搬送アセンブリ618に対して所定位置にプリントヘッドアセンブリ602を固定するような、非走査型プリントヘッドアセンブリである。
【0067】
サービスステーションアセンブリ604は、プリントヘッドアセンブリ602、より具体的にはノズル608の機能性を維持するために、プリントヘッドアセンブリ602のスピッティング、ワイピング、キャッピング及び/又はプライミングを行う。例えば、サービスステーションアセンブリ604は、ノズル608から余分なインクを拭き取る及び取り除くために周期的にプリントヘッドアセンブリ602上を横切るゴム製ブレード又はワイパを含むことができる。更に、サービスステーションアセンブリ604は、未使用の期間中にノズル608を乾燥から保護するためにプリントヘッドアセンブリ602を覆うキャップを含むことができる。更に、サービスステーションアセンブリ604は、リザーバ612が適切なレベルの圧力と流動性を維持することを確実にするための、及びノズル608が詰まらない又は滴を染み出させないことを確実にするためのスピッティング中に、プリントヘッドアセンブリ602がインクを吐出するインク壺を含むことができる。サービスステーションアセンブリ604の機能は、サービスステーションアセンブリ604とプリントヘッドアセンブリ602との間の相対移動を含むことができる。
【0068】
電子コントローラ620は、通信経路603を介してプリントヘッドアセンブリ602と通信し、通信経路605を介してサービスステーションアセンブリ604と通信し、通信経路617を介してキャリッジアセンブリ616と通信し、通信経路619を介して印刷媒体搬送アセンブリ618と通信する。一例において、プリントヘッドアセンブリ602がキャリッジアセンブリ616に取り付けられる場合、電子コントローラ620及びプリントヘッドアセンブリ602は、通信経路601を通じて、キャリッジアセンブリ616を経由して通信することができる。また、電子コントローラ620は、一具現化形態において、新たな(又は使用済み)インクサプライが検出され得るように、インク供給アセンブリ610とも通信することができる。
【0069】
電子コントローラ620は、コンピュータのようなホストシステムからデータ628を受け取り、データ628を一時的に格納するためのメモリを含むことができる。データ628は、電子伝送経路、赤外線伝送経路、光伝送経路または他の情報伝送経路に沿って、流体吐出システム600に送られ得る。データ628は例えば、印刷されるべき文章および/またはファイルを表す。それ故に、データ628は、流体吐出システム600用の印刷ジョブを形成し、少なくとも1つの印刷ジョブコマンド及び/又はコマンドパラメータを含む。
【0070】
一例において、電子コントローラ620は、ノズル608からのインク滴の吐出に関するタイミング制御を含む、プリントヘッドアセンブリ602の制御を行う。それ故に、電子コントローラ620は、印刷媒体624上に文字、記号、及び/又は他のグラフィックス又はイメージを形成する、吐出されるインク滴のパターンを定義する。タイミング制御、及びそれ故に吐出されるインク滴のパターンは、印刷ジョブコマンド及び/又はコマンドパラメータにより決定される。一例において、電子コントローラ620の一部を形成する論理および駆動回路は、プリントヘッドアセンブリ602上に位置する。別の例において、電子コントローラ620の一部を形成する論理および駆動回路は、プリントヘッドアセンブリ602から離れて位置する。
【0071】
図13A図13Dは、流体吐出デバイスの第1のメモリと第2のメモリにアクセスするための方法700の一例を示す流れ図である。一例において、方法700は、図1の流体吐出システム100により実現され得る。図13Aに示されるように、702において、方法700は、第1の選択信号および第2の選択信号を逐次に生成することを含む。704において、方法700は、第1の選択信号および複数の第1のデータ線上の第1のデータに応答して第1のメモリ素子をイネーブルにすることを含む。706において、方法700は、第2の選択信号および第2のデータ線上の第2のデータに応答して第2のメモリ素子をイネーブルにすることを含む。
【0072】
図13Bに示されるように、708において、方法700は、アドレス信号を生成することを更に含むことができる。この場合、第2のメモリ素子をイネーブルにすることは、第2の選択信号、第2のデータ線上の第2のデータ、及びアドレス信号に応答して第2のメモリ素子をイネーブルにすることを含むことができる。
【0073】
図13Cに示されるように、710において、方法700は、ID線上に信号を生成することを更に含むことができる。712において、方法700は、第2の選択信号およびID線上の第1の論理レベルに応答して、流体付勢デバイスをイネーブルにすることを更に含むことができる。この場合、第2のメモリ素子をイネーブルにすることは、第2の選択信号およびID線上の第2の論理レベルに応答して、第2のメモリ素子をイネーブルにすることを含むことができる。
【0074】
図13Dに示されるように、714において、方法700は、第1のメモリ素子がイネーブルにされた状態で、ID線を介して第1のメモリ素子にアクセスすることを更に含むことができる。716において、方法700は、第2のメモリ素子がイネーブルにされた状態で、噴射線を介して第2のメモリ素子にアクセスすることを更に含むことができる。
【0075】
図14A図14Bは、流体吐出デバイスのメモリにアクセスするための方法800の一例を示す流れ図である。一例において、方法800は、図1の流体吐出システム100により実現され得る。図14Aに示されたように、802において、方法800は、第1のスイッチを介して、ID線上の第1の論理レベルに応答して、複数のメモリ素子の各メモリ素子の第1の側を噴射線に電気接続し、第1のスイッチを介して、ID線上の第2の論理レベルに応答して、複数のメモリ素子の各メモリ素子の第1の側を噴射線から電気的に切断することを含む。804において、方法800は、複数の第2のスイッチの個々の第2のスイッチを介して、アドレス信号に応答して、複数のメモリ素子の個々のメモリ素子の第2の側を共通ノードに電気接続することを含む。
【0076】
一例において、第1のスイッチは、第1のトランジスタを含み、複数の第2のスイッチは、複数の第2のトランジスタを含む。図14Bに示されたように、806において、方法800は、個々のメモリ素子が噴射線と共通ノードとの間に電気接続された状態で、噴射線を介して複数のメモリ素子の個々のメモリ素子にアクセスすることを更に含むことができる。
【0077】
図15A及び図15Bは、流体吐出デバイスのメモリにアクセスするための方法900の別の例を示す流れ図である。一例において、方法900は、図1の流体吐出システム100により実現され得る。図15Aに示されたように、902において、方法900は、ID線上にID信号を生成することを含む。904において、方法900は、第1の選択信号および第2の選択信号を逐次に生成することを含む。906において、方法900は、第1の選択信号に応答してID信号をラッチすることを含む。908において、方法900は、第1の論理レベルを有する、ラッチされたID信号に応答して、メモリ素子をイネーブルにすることを含む。910において、方法900は、メモリ素子がイネーブルにされた状態で、第2の選択信号に応答して、噴射線を介してメモリ素子にアクセスすることを含む。
【0078】
一例において、メモリ素子をイネーブルにすることは、第1の論理レベルを有する、ラッチされたID信号に応答して、メモリ素子を噴射線に電気接続することを含む。別の例において、ID信号をラッチすることは、ID信号を反転し、第1の選択信号に応答して、反転されたID信号(反転ID信号)をラッチすることを含み;及びメモリ素子をイネーブルにすることは、第2の論理レベルを有する、ラッチされた反転ID信号に応答して、メモリ素子に結合された放電経路をターンオフすることを含む。
【0079】
図15Bに示されるように、912において、方法900は、第2の論理レベルを有するID信号に応答して、流体付勢デバイスをイネーブルにすることを更に含むことができる。914において、方法900は、流体付勢デバイスがイネーブルにされた状態で、第2の選択信号に応答して、噴射線を介して流体付勢デバイスを活性化することを更に含むことができる。
【0080】
本明細書において、特定の例が図示および説明されたが、様々な代替の及び/又は等価の具現化形態が、本開示の範囲から逸脱せずに、図示および説明された特定の例と置き換えられ得る。本出願は、本明細書で説明された特定の例の任意の改作または変形を網羅することが意図されている。従って、本開示は、特許請求の範囲およびその等価物によってのみ制限されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図15A
図15B