(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 75/60 20060101AFI20230220BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
B65D75/60
B65D33/00 C
(21)【出願番号】P 2022074807
(22)【出願日】2022-04-28
【審査請求日】2022-04-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591230664
【氏名又は名称】丸東産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】楳原 紗里菜
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-106457(JP,A)
【文献】特開2012-162270(JP,A)
【文献】特開2008-247440(JP,A)
【文献】特開2020-164172(JP,A)
【文献】特開2011-140326(JP,A)
【文献】特開2014-037264(JP,A)
【文献】特表2017-523096(JP,A)
【文献】実公昭51-009521(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/60
B65D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の正面に設けられた易開封部と、
前記易開封部に沿って前記袋の正面の手前側に設けられた掴み部と、
前記易開封部の両端に設けられた固定部と、を有し、
前記易開封部が、切込みキズ、ミシン目、微細孔、およびレーザー加工からなる群から選択されるものであり、
前記易開封部が、前記袋の背面には設けられておらず、
前記掴み部を前記袋の前記背面から離隔する方向となる正面側に引っ張ることで、
前記掴み部が前記袋の正面から分離せずに前記易開封部が破れ、かつ、前記易開封部に沿った開口部が開いた状態のポケット状の袋をなすものである包装袋。
【請求項2】
前記掴み部が、方形、半円形、台形、および三角形からなる群から選択されるいずれかの形状である請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記掴み部が、穴加工、および凹凸加工からなる群から選択されるいずれかの加工部を有する請求項1に記載の包装袋。
【請求項4】
前記易開封部に沿って、袋の正面と背面とを再封する再封部を有する請求項1に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装袋に関する。また包装袋の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子などの食品や様々な日用品など、多様な用途で包装袋は使用されている。包装袋は、その用途や内容物に合わせた形状のものが提供されている。しかし、大きな開口部を設けることが求められるとき、開口するための開封部分も大きくなることなどから開けにくくなる。
【0003】
袋を開けるとき、強く引っ張ったり、引き裂いたり、ハサミなどで切り取ることでそのまま開けることもできるため、用途によっては開封のための工夫が特にされない場合もある。一方で、袋を開けやすくする易開封の加工として、切り口(ノッチ)を設けたり、カットテープや糸を挿入したり、切込み疵をつけたり、微細な孔や傷をつけたり、一軸延伸フィルムを用いたり、レーザー加工したりする場合もある。これらの開封用の加工がされた包装袋も広く利用されている。
【0004】
例えば、特許文献1は、内面が熱接着性樹脂層からなる袋であって、開封用テープが袋の端縁熱接着部間の全長にわたって熱接着性樹脂層面に接着されると共に、開封用テープの少なくとも一方の端縁に、切込みと非熱接着部とからなる開封部が形成された構成の易開封袋を開示している。
【0005】
特許文献2は、フィルムAとフィルムBとが重ねられて周辺部が熱シールされた易開封性包装袋であって、前記のフィルムAは、少なくとも一方向直線カット性を有するフィルムと熱融着性樹脂フィルム層を含む積層フィルムであり、前記のフィルムBは、一方向直線カット性を有さないフィルムと熱融着性樹脂層を含む積層フィルムであり、かつ前記周辺部の熱シール部内に、前記熱シール部を貫通した切り込み摘み部をフィルムAの一方向直線カット方向に沿って引き裂き易い方向に設けられていることを特徴とする易開封性包装袋を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-30537号公報
【文献】特開2004-292011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の易開封の加工により、無加工の袋よりは開けやすくなる。しかし、易開封のための加工部分が小さく持ちにくかったり、勢いよく開けてしまい中身がこぼれてしまったり、意図しない方向に開いてしまったり、開け方がわからない場合もある。また、使い慣れていない場合、易開封の加工がされていることに気づかない場合もある。
【0008】
また、開けるために破ったり引き裂いたりして開口部とするための作業と、そのあとその開口部を開く作業の複数の段階で開ける必要がある。また、包装袋は様々な用途で用いられるため、適した手段を選択しやすいように、より多くの包装形状も求められる。係る状況下、本発明は、容易に開封できる包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0010】
<1> 袋の正面に設けられた易開封部と、前記易開封部に沿って前記袋の正面の手前側に設けられた掴み部と、前記易開封部の両端に設けられた固定部と、を有する包装袋。
<2> 前記掴み部が、方形、半円形、台形、および三角形からなる群から選択されるいずれかの形状である前記の包装袋。
<3> 前記掴み部が、穴加工、および凹凸加工からなる群から選択されるいずれかの加工部を有する前記の包装袋。
<4> 前記易開封部に沿って、袋の正面と背面とを再封する再封部を有する前記の包装袋。
<5> シートの幅方向に易開封部の加工をする工程と、前記易開封部に沿って、前記シートを山折りに折り曲げて掴み部とするための加工をする工程と、前記シートの幅方向の両端をサイドシールして固定部を加工する工程と、を有する、包装袋の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容易に開封できる包装袋が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図5】本発明の包装袋の製造工程に関する概要図である。
【
図6】本発明の包装袋の掴み部の変形例の概要図である。
【
図7】本発明の包装袋の掴み部の変形例の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0014】
[本発明の包装袋]
本発明の包装袋は、袋の正面に設けられた易開封部と、易開封部に沿って袋の正面の手前側に設けられた掴み部と、易開封部の両端に設けられた固定部と、を有する。本発明の包装袋は、容易に開封できる包装袋である。
【0015】
[本発明の包装袋の製造方法]
本発明の包装袋の製造方法は、シートの幅方向に易開封部の加工をする工程と、易開封部に沿って、シートを山折りに折り曲げて掴み部とするための加工をする工程と、シートの幅方向の両端をサイドシールして固定部を加工する工程と、を有する。以下、本発明の包装袋の製造方法を、単に、本発明の製造方法と呼ぶ場合がある。本発明の製造方法により製造される包装袋は容易に開封でき、本発明の製造方法は効率よく本発明の包装袋を製造することができる。
【0016】
なお、本願において本発明の製造方法により本発明の包装袋を得ることもでき、本願においてそれぞれに対応する構成は相互に利用することができる。
【0017】
[包装袋10]
図1は、本発明の包装袋の実施形態の概要図である。
図1(a)は、包装袋10を正面視した概要図である。
図1(b)は、包装袋10の中央付近の断面の概要図である。包装袋10は、正面21の易開封部31と、掴み部41と、固定部51を有する。また、上部に固定部52と、下部に固定部53を有し、固定部51、52、53により、正面21と背面22との周囲が閉じられて保管時には密封して包装することができる。なお、本願において、易開封部31及び掴み部41を設ける面を正面21と呼び、包装袋10をなす正面21の反対側の面を背面22と呼ぶ。
【0018】
[易開封部31]
易開封部31は、袋の正面21に設けられた部分である。易開封部31は、開封しやすいように袋のシートに加工を施した部分である。易開封部31は、例えば、切込みキズや、ミシン目、微細孔、レーザー加工などで加工することで開封されやすいものとすることができる。包装袋10の易開封部31は、正面21に掴み部41に沿って設けるのみでもよく背面22には設けないでもよい。または使用状態に合わせて開封位置を変更するために、易開封部31とは異なる位置に他の易開封部を設けてもよい。
【0019】
[掴み部41]
掴み部41は、易開封部31に沿って袋の正面21に設けられている。また、掴み部41は、正面21側から包装袋10を見たとき、手前側に設けられている。包装袋10を開けるとき、使用者は掴み部41を掴み、正面視したときに手前側に引っ張ることで易開封部31を容易に開口させることができる。
【0020】
[固定部51]
固定部51は、易開封部31の両端に設けられている。固定部51は、いわゆるサイドシールで設けられた部分とすることができる。易開封部31を開いたとき、その両端の固定部51で開封が止まる。
【0021】
[固定部52、53]
固定部52、53は、正面21と背面22との周囲を固定して密封する袋部をなすために固定した部分である。固定部52は上部を固定するいわゆるトップシールであり、固定部53は下部を固定するボトムシールである。
【0022】
[内容物9]
包装袋10の内部には、任意の内容物9を収容することができる。内容物9は、食品や日用品などを対象とすることができる。食品は、例えば、穀類や、豆類、野菜、果実、乳、肉、水産物、またこれらの加工品や、菓子、嗜好品、調味料、調味加工品などを対象とすることができる。また、日用品は、例えば、衛生用品や家庭用品、洗剤、トイレタリー用品、オーラルケア用品、化粧品関連品、化学製品、雑貨品などを対象とすることができる。包装袋10は、易開封部31を開いた開口部から内容物9を取り出すため、固形のものなどに特に適している。
【0023】
包装袋10は、包装に用いられる各種素材を用いて形成することができる。例えば、プラスチック包材や、紙、金属箔、またこれらを組み合わせた複合材などを用いることができる。また、包装袋10は、平袋で形成した例であるが、他の形状でもよく、ガゼット袋や、ピロー袋、角底袋、スタンド袋などとしてもよい。
【0024】
図2は、本発明の包装袋の実施形態の概要図である。
図2(a)は密封した状態であり、
図2(b)は使用時に開封した状態である。包装袋10を使用するとき、使用者は、
図2(a)に示すように、正面21に取り付けた掴み部41を、背面22から離隔する方向となる正面21側方向に引っ張る。これにより、易開封部31が破れて、易開封部31の上下で、正面上部211と、正面下部212とが離隔して、開口部8の部分が容易に開く。これにより、固定部53でボトムシールされたポケット状の袋の開口部8から、内容物9を取り出すことができる。
【0025】
図3は、本発明の包装袋の実施形態の概要図である。本発明の包装袋は、まず、(1)に示すように掴み部を指で掴む。次に、(2)に示すように掴み部を引っ張る。これにより(3)に示すように開口部から取り出せる状態となる。このように、掴み部を掴んだ状態で引っ張るだけで、易開封部が破れて、かつ開口部が開いた状態となる。すわなち、破ることと開けることがワンアクションでできる。一般的な包装では、易開封部を破いた状態ではまだ開口部は開いていない状態のため、そのあと、破いた部分を開ける必要があるが、本発明では、この作業が分かれておらず、より容易に少ない作業で開けることができる。
【0026】
図4は、本発明の包装袋の実施形態の概要図である。包装袋11は、
図1等に示す包装袋10の変形例である。包装袋11は包装袋10に準じる構成を有し、さらに、再封加工部61、62を有する。
図4(a)は、包装袋11を正面視した概要図である。
図4(b)は、包装袋11を側面視した断面の概要図である。
図4(c)は、易開封部31を開封して内容物9を取り出す状態を示す概要図である。
図4(d)は、再封加工部61、62を閉じた再封部60で、再度、封をした状態である。
【0027】
[再封加工部61、62]
再封加工部61、62は、包装袋11を再封するための部分である。再封加工部61は、易開封部31に沿って設けられている。また、再封加工部62は再封加工部61と対応する背面22側の位置に設けられている。再封加工部61、62は、チャックテープなどとすることができる。なお、これらの再封加工部61、62を取り付けやすく、これらの位置と対応しやすいように、易開封部31は直線状に設けることができる。
【0028】
[本発明の包装袋の製造工程例]
図5は、本発明の包装袋の製造工程に関する概要図である。
図5(a)に示すように、まず、正面用シート210と、背面用シート220を用いて、平袋を形成する例である。
図5(a)~
図5(d)は、包装袋とするときの側面側に相当する向きから見たものである。正面用シート210と背面用シート220とは、上下に搬送しながら連続的に製造することができる。
【0029】
まず、
図5(b)に示すように、正面用シート210の幅方向に易開封加工部3とするための加工を行う。次に、
図5(c)、
図5(d)に示すように、易開封加工部3に沿って、正面用シート210を山折り部410に折り曲げて掴み部41とするための加工を行う。
【0030】
そして、
図5(e)に示すように、正面用シート210と背面用シート220とを、幅方向の両端側でサイドシールして固定部51を設ける。また、トップシールとなる固定部52のシールと、ボトムシールとなる固定部53を行うことで、易開封部31等を設け、周囲を閉じたものとすることができる。
【0031】
袋に内容物を収容するときは、包装袋の各種包装手段を用いることができる。例えば、サイドシールの固定部51のみを行って筒状として、内容物を収容してから、幅方向に横断するシールを行って、その中央を裁断することで、固定部52、固定部53を設けてもよい。または、ボトムシールとする固定部53のみを予め行い、三方シール袋の状態として、ポケット状の内側に上部から内容物を容れて、その後、トップシールを行って固定部52を設けて密封するものとしてもよい。
【0032】
図6は、本発明の掴み部の変形例の概要図である。ここでは、掴み部の形状を各種変更したものである。
図6(a)の掴み部は、方形である。
図6(b)の掴み部は、半円である。
図6(c)の掴み部は、台形である。
図6(d)の掴み部は、三角形である。これらのように掴み部は、方形や、半円形、台形、三角形などの形状とすることができる。掴み部の形状を半円型や、台形、三角形などとすると、中心部の掴み部がより大きくなるため、使用者がこの中央付近を掴むように誘導することができる。これにより、中央付近から引っ張って開封するため、容易に幅方向に偏りなく効率よく開封することができる。
【0033】
図7は、本発明の掴み部の変形例の概要図である。ここでは、掴み部に様々な加工を行って変更したものである。
図7(a)の掴み部は、パンチ穴があけられたものである。
図7(b)の掴み部は、凹凸加工がされたものである。これらのように掴み部は、穴加工や、凹凸加工などの加工がされた加工部を有するものとすることができる。穴は、パンチ穴などによる穴とすることができ、このような穴があることで、穴に指などをかけて引っ張りやすくなり、開封するための力をかけやすくなる。また、凹凸加工がされていることで、凹凸が滑り止めとなり、掴んで力を伝えやすくなる。
【0034】
本発明の包装袋は、容易に開封することができるため、袋の開け方に慣れていない子供などにも適している。また、開封後も、サイドシールとボトムシールによる三方シールの状態が維持されるため、ポケット状となり内容物を収容しておくことができる。また、開封の前後で、いずれの部分も分離せずに開封できるため、一体化したまま扱うことができ、細部のみを独立して廃棄する必要などがなく扱いやすい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の包装袋は、様々なものの包装に利用することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0036】
10 包装袋
21 正面
210 正面用シート
211 正面上部
212 正面下部
22 背面
220 背面用シート
3 易開封加工部
31 易開封部
41 掴み部
410 山折り部
51、52、53 固定部
60 再封部
61、62 再封加工部
9 内容物
【要約】
【課題】容易に開封できる包装袋やその製造方法を提供する。
【解決手段】袋の正面21に設けられた易開封部31と、易開封部31に沿って袋の正面21の手前側に設けられた掴み部41と、易開封部31の両端に設けられた固定部51と、を有する包装袋10。シートの幅方向に易開封部31の加工をする工程と、易開封部31に沿ってシートを山折りに折り曲げて掴み部41とするための加工をする工程と、シートの幅方向の両端をサイドシールして固定部51を加工する工程と、を有する、包装袋10の製造方法。
【選択図】
図1