(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】含フッ素ピリミジン化合物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 403/04 20060101AFI20230220BHJP
【FI】
C07D403/04 CSP
(21)【出願番号】P 2022510582
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2021012124
(87)【国際公開番号】W WO2021193685
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2020055036
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502145313
【氏名又は名称】ユニマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】清野 淳弥
(72)【発明者】
【氏名】青津 理恵
(72)【発明者】
【氏名】小金 敬介
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-104364(JP,A)
【文献】国際公開第2013/101830(WO,A1)
【文献】特表2013-515688(JP,A)
【文献】ZHANG, Nan,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2009年,17,111-118
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 403/04
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される、含フッ素ピリミジン化合物。
【化1】
(上記一般式(1)において、
Rは、炭素数1~12の炭化水素基を表し、
B
1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、CVまたはNを表し、但し、W、X、YおよびZの少なくとも1つはNであり、Nは置換基を有していてもよく、
Vは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
A
1およびA
2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。)
【請求項2】
前記Rは、炭素数1~10のアルキル基である、請求項1に記載の含フッ素ピリミジン化合物。
【請求項3】
下記一般式(2)で表されるフルオロイソブチレン誘導体と、下記一般式(3)で表される化合物またはその塩とを反応させることにより、下記一般式(1)の含フッ素ピリミジン化合物を得る工程を有する、含フッ素ピリミジン化合物の製造方法。
【化2】
(上記一般式(1)~(3)において、
Rは、炭素数1~12の炭化水素基を表し、
B
1、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、CVまたはNを表し、但し、W、X、YおよびZの少なくとも1つはNであり、Nは置換基を有していてもよく、
Vは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
A
1およびA
2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。)
【請求項4】
下記一般式(4)で表されるフルオロイソブタン誘導体と、下記一般式(3)で表される化合物またはその塩とを反応させることにより、下記一般式(1)の含フッ素ピリミジン化合物を得る工程を有する、含フッ素ピリミジン化合物の製造方法。
【化3】
(上記一般式(1)、(3)または(4)において、
Qは、ハロゲン原
子を表し、
Rは、炭素数1~12の炭化水素基を表し、
B
1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、CVまたはNを表し、但し、W、X、YおよびZの少なくとも1つはNであり、Nは置換基を有していてもよく、
Vは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
A
1およびA
2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。)
【請求項5】
前記Rは、炭素数1~10のアルキル基である、請求項3または4に記載の含フッ素ピリミジン化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素ピリミジン化合物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、含フッ素ピリミジン化合物は種々の生物活性を有することが報告されている。なかでも、ピリミジン環の2位にイミダゾール環等を置換基として有する化合物について、医薬・農薬分野においての使用が有望視されている。
【0003】
より具体的には、ピリミジン環の2位にイミダゾール環を有する化合物は、非特許文献1に開示されている。非特許文献1では、ピリミジン環の2位に1-メチルイミダゾリル基を、ピリミジン環の5位に2,4,6-トリフルオロフェニル基を有する化合物が、COLO205細胞の増殖阻害活性を有することが報告されている。
【0004】
一方、ピリミジン環の5位にトリフルオロメチル基を有し、4位および6位に置換基を有するピリミジン化合物の合成法として、例えば、非特許文献2~4に開示されている方法が知られている。具体的には、非特許文献2にはトリフルオロメタンスルフィン酸ナトリウム(Langlois試薬)を使用した合成法、非特許文献3にはトリフルオロ酢酸誘導体を使用した合成法、非特許文献4には無水トリフルオロメタンスルホン酸を使用した合成法がそれぞれ報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Bioorganic & Medicinal Chemistry,2009年、17巻、111~118頁
【文献】Tetrahedron,2016年、72巻、3250~3255頁
【文献】ACS Catalysis,2018年、8巻、2839~2843頁
【文献】Angewandte Chemie International Edition,2018年、57巻、6926~6929頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来、反応性および選択性の面から、ピリミジン環の5位に含フッ素置換基を、2位に置換基として複素環を有し、4位および6位に置換基を有する含フッ素ピリミジン化合物の製造は困難であり、このような含フッ素ピリミジン化合物は報告されていなかった。該含フッ素ピリミジン化合物は、様々な生物活性を有することが期待され、ピリミジン環の4位および6位に置換基を有し、2位に置換基として複素環を有する新規な含フッ素ピリミジン化合物、およびその製造方法を確立することが望まれていた。
【0007】
非特許文献2に報告されている製造方法では、トリフルオロメチル基導入時の位置選択性が低いことから、複素環が置換したピリミジン化合物のように複数の複素環を有する基質に対しては、トリフルオロメチル基の導入効率が低下するか、またはトリフルオロメチル基の導入が困難となる懸念がある。また、基質に対してトリフルオロメチル化剤としてLanglois試薬を3倍量使用するばかりか、別途酸化剤として有害な酢酸マンガン(III)水和物をも基質の3倍量使用するため、環境上の問題も考慮する必要がある。
【0008】
非特許文献3および4に報告されている製造方法により得られた化合物をさらに修飾・誘導体化することにより、該含フッ素ピリミジン化合物へと変換することが考えられる。しかしながら、工程数の増加による煩雑化および効率の低下が避けられないか、または該含フッ素ピリミジン化合物の製造自体が困難な場合があった。また、ルテニウム錯体触媒存在下での光照射が必要であること、非特許文献3では、基質に対してトリフルオロメチル化剤を2.5~3倍量使用する必要があること、非特許文献4では、基質に対してトリフルオロメチル化剤を3倍量使用する必要があることから、実用には向かないと考えられる。
【0009】
そこで、本発明者らは、特定の原料を反応させることにより、ピリミジン環上の2つの窒素原子の間の2位に所定のアゾール系構造を導入できるとの知見を得て、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、従来から知られていなかった、ピリミジン環の4位および6位に置換基を有し、2位に置換基としてアゾール系構造を有する新規な含フッ素ピリミジン化合物、および、該含フッ素ピリミジン化合物を簡易的に製造することが可能な製造方法を提供する。
【0010】
本発明の実施態様に係る含フッ素ピリミジン化合物は、下記一般式(1)で表される。
【化1】
(上記一般式(1)において、
Rは、炭素数1~12の炭化水素基を表し、
B
1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、CVまたはNを表し、但し、W、X、YおよびZの少なくとも1つはNであり、Nは置換基を有していてもよく、
Vは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
A
1およびA
2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。)
【0011】
本発明の実施態様に係る含フッ素ピリミジン化合物の製造方法は、下記一般式(2)で表されるフルオロイソブチレン誘導体と、下記一般式(3)で表される化合物またはその塩とを反応させることにより、下記一般式(1)の含フッ素ピリミジン化合物を得る工程を有する。
【化2】
(上記一般式(1)~(3)において、
Rは、炭素数1~12の炭化水素基を表し、
B
1、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、CVまたはNを表し、但し、W、X、YおよびZの少なくとも1つはNであり、Nは置換基を有していてもよく、
Vは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
A
1およびA
2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。)
【0012】
本発明の他の実施態様に係る含フッ素ピリミジン化合物の製造方法は、下記一般式(4)で表されるフルオロイソブタン誘導体と、下記一般式(3)で表される化合物またはその塩とを反応させることにより、下記一般式(1)の含フッ素ピリミジン化合物を得る工程を有する。
【化3】
(上記一般式(1)、(3)または(4)において、
Qは、ハロゲン原子、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)または-NA
1A
2を表し、
Rは、炭素数1~12の炭化水素基を表し、
B
1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、CVまたはNを表し、但し、W、X、YおよびZの少なくとも1つはNであり、Nは置換基を有していてもよく、
Vは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
A
1およびA
2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。)
【0013】
本発明の一実施態様において、前記Rは、炭素数1~10のアルキル基である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ピリミジン環の4位および6位に置換基を有し、2位にアゾール系構造を有する、新規な含フッ素ピリミジン化合物、および、該含フッ素ピリミジン化合物を簡易的に製造することが可能な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。但し、本発明の範囲は、以下に説明する具体例に限定されるものではない。
【0016】
(含フッ素ピリミジン化合物)
本実施形態における含フッ素ピリミジン化合物は、下記一般式(1)で表され、ピリミジン環の4位、5位および6位上にそれぞれ特定の置換基(-OR、-CF3、-F)を有し、2位にアゾール系構造を有している。ピリミジン環は所定のアゾール系構造を有する置換基と結合しており、具体的には、ピリミジン環上の2つの窒素原子の間に存在する炭素原子が、アゾール系構造に存在する炭素原子と結合している。すなわち、アゾール系構造に存在する窒素原子は、ピリミジン環上の2つの窒素原子の間に存在する炭素原子とは直接結合されていない。
【0017】
【0018】
Rは、炭素数1~12の、炭素原子および水素原子からなる炭化水素基であれば特に限定されず、鎖状炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基などを挙げることができる。鎖状炭化水素基は合計の炭素数が1~12であれば特に限定されず、直鎖状炭化水素基であっても、分岐した鎖状炭化水素基であってもよい。Rが芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は合計の炭素数が6~12であれば特に限定されず、置換基を有する芳香族炭化水素基であっても、置換基を有さない芳香族炭化水素基であってもよい。また、芳香族炭化水素基は、縮合多環構造を有していてもよい。Rが脂環式炭化水素基である場合、脂環式炭化水素基は合計の炭素数が3~12であれば特に限定されず、置換基を有する脂環式炭化水素基であっても、置換基を有さない脂環式炭化水素基であってもよい。また、脂環式炭化水素基は、橋かけ環構造を有していてもよい。
【0019】
鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、ter-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等のアルキニル基等を挙げることができる。
【0020】
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。
【0021】
脂環式炭化水素基としては、飽和又は不飽和の環状の炭化水素基が挙げられ、環状の炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等を挙げることができる。
【0022】
Rは、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましい。Rが炭素数1~10のアルキル基であることにより、含フッ素ピリミジン化合物の原料である一般式(2)のフルオロイソブチレン誘導体、および一般式(4)のフルオロイソブタン誘導体を容易に調製することができる。
【0023】
B1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-CnF2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA1、-SOmA1(mは0~3の整数である)、-NA1A2、-COOA1または-CONA1A2を表し、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-CnF2n+1、ニトロ基、-OA1、-SOmA1または-COOA1を表す。
【0024】
B1において、ハロゲン原子は、F、Cl、BrまたはIであり、FまたはClであることが好ましい。
【0025】
B1において、炭素数1~10の炭化水素基は、炭素原子および水素原子からなる炭化水素基であれば特に限定されず、例えば、上記Rの中で炭素数が1~10の炭化水素基とすることができる。
【0026】
B1において、-CnF2n+1は、炭素原子およびフッ素原子からなるパーフルオロアルキル基であれば特に限定されず、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。また、nは1~10の整数であり、1~3の整数であることが好ましい。
【0027】
B1において、-OA1、-SOmA1に含まれるA1は、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。A1が炭素数1~10の炭化水素基を表す場合、例えば、上記Rの中で炭素数が1~10の炭化水素基とすることができる。また、mは0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましい。
【0028】
B1において、-NA1A2に含まれるA1およびA2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。A1およびA2は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。A1およびA2が炭素数1~10の炭化水素基を表す場合、例えば、上記Rの中で炭素数が1~10の炭化水素基とすることができる。
【0029】
B1において、-COOA1に含まれるA1は、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。A1が炭素数1~10の炭化水素基を表す場合、例えば、上記Rの中で炭素数が1~10の炭化水素基とすることができる。
【0030】
B1において、-CONA1A2に含まれるA1およびA2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。A1およびA2は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。A1およびA2が炭素数1~10の炭化水素基を表す場合、例えば、上記Rの中で炭素数が1~10の炭化水素基とすることができる。
【0031】
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、CVまたはNを表す。但し、W、X、YおよびZの少なくとも1つはNであり、Nは置換基を有していてもよい。すなわち、W、X、YおよびZの少なくとも1つは置換されたまたは非置換のNである。W、X、YおよびZの少なくとも1つがCVである場合、Vは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-CnF2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA1、-SOmA1(mは0~3の整数である)、-NA1A2、-COOA1または-CONA1A2を表し、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-CnF2n+1、ニトロ基、-OA1、-SOmA1または-COOA1を表す。W、X、YおよびZの少なくとも2つは、置換されたまたは非置換のNであることが好ましい。Nが置換基を有する場合、置換基として、炭素数1~20の炭化水素基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、ter-ブチル基、フェニル基、ベンジル基、トリフェニルメチル基が挙げられる。このような炭化水素基は、炭素原子および水素原子からなる炭化水素基であれば特に限定されず、例えば、上記Rの中で炭素数が1~10の炭化水素基とすることもできる。
【0032】
Vにおいて、ハロゲン原子は、F、Cl、BrまたはIであり、FまたはClであることが好ましい。
【0033】
Vにおいて、炭素数1~10の炭化水素基は、炭素原子および水素原子からなる炭化水素基であれば特に限定されず、例えば、上記Rの中で炭素数が1~10の炭化水素基とすることができる。
【0034】
Vにおいて、-CnF2n+1は、炭素原子およびフッ素原子からなるパーフルオロアルキル基であれば特に限定されず、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。また、nは1~10の整数であり、1~3の整数であることが好ましい。
【0035】
Vにおいて、-OA1、-SOmA1に含まれるA1は、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。A1が炭素数1~10の炭化水素基を表す場合、例えば、上記Rの中で炭素数が1~10の炭化水素基とすることができる。また、mは0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましい。
【0036】
Vにおいて、-NA1A2に含まれるA1およびA2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。A1およびA2は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。A1およびA2が炭素数1~10の炭化水素基を表す場合、例えば、上記Rの中で炭素数が1~10の炭化水素基とすることができる。
【0037】
Vにおいて、-COOA1に含まれるA1は、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。A1が炭素数1~10の炭化水素基を表す場合、例えば、上記Rの中で炭素数が1~10の炭化水素基とすることができる。
【0038】
Vにおいて、-CONA1A2に含まれるA1およびA2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。A1およびA2は、それぞれ同じであっても、異なっていてもよい。A1およびA2が炭素数1~10の炭化水素基を表す場合、例えば、上記Rの中で炭素数が1~10の炭化水素基とすることができる。
【0039】
本実施形態における含フッ素ピリミジン化合物は、ピリミジン環の2位に特定の置換基(イミダゾリル基等のアゾール系構造)、ピリミジン環の4位、5位および6位上に特定の置換基(-OR、-CF3、-F)を有するため、構造拡張性の観点から優れた効果を有することができ、特に、所望の生物活性(例えば、各種細胞の増殖阻害活性)を期待できる。また、アゾール系構造が置換基を有する場合、本実施形態における含フッ素ピリミジン化合物に更なる特性を付与することができる。また、ピリミジン環の4位および6位上の置換基は異なる基(-ORと-F)であるため、非対称な構造へ容易に誘導体化を行うことができ、中間体としての使用も期待できる。より具体的には、酸性条件下で含フッ素ピリミジン化合物を反応させることにより-ORを修飾して誘導体を得ることができる。また、塩基性条件下で含フッ素ピリミジン化合物を反応させることにより-Fを修飾して誘導体を得ることができる。本実施形態における含フッ素ピリミジン化合物は例えば、有機半導体、液晶などの電子材料の分野において有用である。
【0040】
(含フッ素ピリミジン化合物の製造方法)
本実施形態における含フッ素ピリミジン化合物の製造方法は、(a)下記一般式(2)で表されるフルオロイソブチレン誘導体と、下記一般式(3)で表される化合物またはその塩とを反応させることにより、下記一般式(1)の含フッ素ピリミジン化合物を得る工程を有する。
【化5】
(上記一般式(1)~(3)において、
Rは、炭素数1~12の炭化水素基を表し、
B
1、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、CVまたはNを表し、但し、W、X、YおよびZの少なくとも1つはNであり、Nは置換基を有していてもよく、
Vは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
A
1およびA
2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。)
【0041】
一般式(2)において、Rは、上述した一般式(1)の化合物において定義したものと同じであり、一般式(3)において、B1、W、X、YおよびZのそれぞれは、上述した一般式(1)の化合物において定義したものとそれぞれ同じである。
【0042】
上記一般式(2)におけるRは、炭素数1~10のアルキル基を表すことが好ましい。一般式(2)におけるRは、例えば、上述した一般式(1)におけるRの中で炭素数が1~10のアルキル基とすることができる。
【0043】
一般式(2)で表されるフルオロイソブチレン誘導体と、一般式(3)で表される化合物との上記(a)の反応は、下記反応式(A)として表される。
【化6】
【0044】
上記反応式(A)において、上記一般式(3)の化合物は、それぞれ塩の形態であってもよい。一般式(3)の化合物が塩の形態である場合、例えば、一般式(3)の化合物のアミジノ基を構成するアミノ部分(-NH2)およびイミノ部分(=NH)のうち少なくとも一方の部分がカチオン化されて(-NH3
+)および(=NH2
+)となり、対イオンと塩を形成する形態を挙げることができる。対イオンは1価のアニオンであれば特に限定されず、例えば、F-、Cl-、Br-、I-などのハロゲン化物イオンを挙げることができる。
【0045】
本実施形態における含フッ素ピリミジン化合物の製造方法では、例えば、ハロゲン化水素捕捉剤の存在下で上記(a)の反応を一段階で行うことができる。そのため、簡易的に上記一般式(1)の含フッ素ピリミジン化合物を得ることができる。なお、上記(a)の反応では、一般式(2)で表されるフルオロイソブチレン誘導体と、一般式(3)の化合物のアミジノ基との間で環状のピリミジン構造が形成される。該ピリミジン構造の2位には、一般式(3)の化合物におけるアゾール系構造に由来する基が位置する。また、該ピリミジン構造の4位、5位および6位にはそれぞれ、フルオロイソブチレン誘導体に由来する-OR、CF3およびFが位置する。
【0046】
ハロゲン化水素捕捉剤は、上記(A)の反応式において一般式(3)の化合物中のアミジノ基に由来する水素原子と、一般式(2)のフルオロイソブチレン誘導体に由来するフッ素原子とから形成されるフッ化水素(HF)を捕捉する機能を有する物質である。ハロゲン化水素捕捉剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、フッ化ナトリウムおよびフッ化カリウム等の無機化合物、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン、メチルトリアザビシクロデセンおよびジアザビシクロオクタン等の有機窒素誘導体を用いることができる。
【0047】
上記(A)の含フッ素ピリミジン化合物を得る工程は、フッ化物イオン捕捉剤の存在下で行われてもよい。上記一般式(2)で表されるフルオロイソブチレン誘導体と、上記一般式(3)で表される化合物またはその塩とを、フッ化物イオン捕捉剤として、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウムまたはテトラメチルアンモニウムのカチオンと、トリフルオロ酢酸、ヘプタフルオロ酪酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、N,N-ヘキサフルオロプロパン-1,3-ジスルホニルイミド、テトラフェニルホウ酸、テトラキス[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸またはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸のアニオンとの塩の存在下で反応させることが好ましい。これらの中でも、カリウム塩またはナトリウム塩の使用が好ましく、ナトリウム塩の使用がより好ましい。フッ化物イオン捕捉剤に由来するカチオンは、反応中に一般式(2)で表されるフルオロイソブチレン誘導体から遊離したフッ素イオンを捕捉し、有機溶媒への溶解性の低い塩として析出されることで反応が促進され、これにより、高い収率で、上記一般式(1)で表される含フッ素ピリミジン化合物を得ることができると考えられる。
【0048】
上記(a)の反応時の反応温度は、0~100℃が好ましく、5~50℃がより好ましく、10~20℃がさらに好ましい。上記(a)の反応時の反応時間は、0.5~48時間が好ましく、1~36時間がより好ましく、2~12時間がさらに好ましい。
【0049】
上記(a)の反応で使用する溶媒としては、テトラヒドロフラン、モノグライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、ジメチルエチレン尿素、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシドおよびスルホラン等の非プロトン性極性溶媒、または、水等のプロトン性極性溶媒とジクロロメタン、トルエンおよびジエチルエーテル等の非水溶性溶媒との二相系溶媒などを挙げることができる。また、上記(a)の反応の触媒として、任意に、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の第四級アンモニウムハライド、第四級ホスホニウムハライド、クラウンエーテル類などを使用することができる。
【0050】
他の実施形態における含フッ素ピリミジン化合物の製造方法は、(b)下記一般式(4)で表されるフルオロイソブタン誘導体と、下記一般式(3)で表される化合物またはその塩とを反応させることにより、下記一般式(1)の含フッ素ピリミジン化合物を得る工程を有する。
【化7】
(上記一般式(1)、(3)または(4)において、
Qは、ハロゲン原子、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)または-NA
1A
2を表し、
Rは、炭素数1~12の炭化水素基を表し、
B
1は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
W、X、YおよびZは、それぞれ独立して、CVまたはNを表し、但し、W、X、YおよびZの少なくとも1つはNであり、Nは置換基を有していてもよく、
Vは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~10の炭化水素基、-C
nF
2n+1(nは1~10の整数である)、ニトロ基、ボロン酸基、-OA
1、-SO
mA
1(mは0~3の整数である)、-NA
1A
2、-COOA
1または-CONA
1A
2を表し、
A
1およびA
2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基を表す。)
【0051】
一般式(4)において、Rは、上述した一般式(1)の化合物において定義したものと同じであり、ハロゲン原子、-OA1、-SOmA1(mは0~3の整数である)および-NA1A2は、上述した一般式(1)の化合物において定義したものと同じである。
【0052】
上記一般式(1)および(4)におけるRは、炭素数1~10のアルキル基を表すことが好ましい。一般式(4)におけるRは、例えば、上述した一般式(1)におけるRの中で炭素数が1~10のアルキル基とすることができる。
【0053】
一般式(4)で表されるフルオロイソブタン誘導体と、一般式(3)で表される化合物との上記(b)の反応は、下記反応式(B)として表される。
【化8】
【0054】
上記反応式(B)において、一般式(3)の化合物は、それぞれ塩の形態であってもよい。一般式(3)の化合物が塩の形態である場合、例えば、一般式(3)の化合物のアミジノ基を構成するアミノ部分(-NH2)およびイミノ部分(=NH)のうち少なくとも一方の部分がカチオン化されて(-NH3
+)および(=NH2
+)となり、対イオンと塩を形成する形態を挙げることができる。対イオンは1価のアニオンであれば特に限定されず、例えば、F-、Cl-、Br-、I-などのハロゲン化物イオンを挙げることができる。
【0055】
他の実施形態における含フッ素ピリミジン化合物の製造方法では、例えば、上記(B)の反応を一段階で行うことができる。そのため、簡易的に上記一般式(1)の含フッ素ピリミジン化合物を得ることができる。なお、上記(b)の反応では、一般式(4)で表されるフルオロイソブタン誘導体と、一般式(3)の化合物のアミジノ基との間で環状のピリミジン構造が形成される。該ピリミジン構造の2位には、一般式(3)の化合物におけるアゾール系構造に由来する基が位置する。また、該ピリミジン構造の4位、5位および6位にはそれぞれ、フルオロイソブタン誘導体に由来する-OR、CF3およびFが位置する。
【0056】
上記(b)の反応時の反応温度は、0~100℃が好ましく、5~50℃がより好ましく、10~20℃がさらに好ましい。上記(b)の反応時の反応時間は、0.5~48時間が好ましく、1~36時間がより好ましく、4~24時間がさらに好ましい。上記(b)の反応では、上記(a)と同様のハロゲン化水素捕捉剤を使用してもよい。
【0057】
上記(b)の反応で使用する溶媒としては、テトラヒドロフラン、モノグライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルピロリドン、ジメチルエチレン尿素、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシドおよびスルホラン等の非プロトン性極性溶媒、または、水等のプロトン性極性溶媒とジクロロメタン、トルエンおよびジエチルエーテル等の非水溶性溶媒との二相系溶媒などを挙げることができる。また、上記(b)の反応の触媒として、任意に、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の第四級アンモニウムハライド、第四級ホスホニウムハライド、クラウンエーテル類などを使用することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【実施例】
【0059】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。また、特に言及がない限り、室温とは20℃±5℃の範囲内であるとする。
【0060】
(実施例1)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-(2-(1-メチルイミダゾリル))-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
氷水冷下、アセトニトリル10gに、1-メチル-2-アミジノイミダゾール塩酸塩2g(12mmol)、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン3g(14mmol)を加えた。続いて、内温が10℃を越えないようにジイソプロピルエチルアミン8g(62mmol)とアセトニトリル10gの混合溶液を滴下し、室温まで昇温させた。約16時間後、アセトニトリルを減圧留去し、次いで酢酸エチルに溶解させてカラム精製を行い、下記の式(5)で示される化合物(化学式:C10H8F4N4O、分子量:276.19g/mol)0.7gを得た。得られた化合物の単離収率は20%であった。
【0061】
【0062】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(CI、m/z):276([M]+)
1H-NMR(300MHz、CDCl3) δppm:7.30(d,1H)、7.12(d,1H)、4.25(s,3H)、4.18(s,3H)
19F-NMR(300MHz、C6F6) δppm:-58.5(d,3F)、-60.3(dd,1F)
【0063】
(実施例2)
実施例1の1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペンの代わりに、1,1,1,3,3-ペンタフルオロ-3-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-プロパンを使用した、6-フルオロ-4-メトキシ-2-(2-(1-メチルイミダゾリル))-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
氷水冷下、アセトニトリル10gに、1-メチル-2-アミジノイミダゾール塩酸塩2g(12mmol)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロ-3-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-プロパン3g(14mmol)を加えた。続いて、内温が10℃を越えないようにジイソプロピルエチルアミン10g(78mmol)とアセトニトリル10gの混合溶液を滴下し、室温まで昇温させた。約16時間後、アセトニトリルを減圧留去し、次いで酢酸エチルに溶解させてカラム精製を行った。得られた化合物の分析結果は、実施例1の生成物と同様であった。
【0064】
尚、実施例2では、得られた化合物の単離収率は算出していないが、1,1,1,3,3-ペンタフルオロ-3-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-プロパンから、系中で1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペンを生成させる過程で発生し得る副生成物に起因して、不純物の種類およびその量の増加が予測される。そのため、実施例1の製法の方が、対応する実施例2の製法と比較して、得られた生成物の単離収率が高いと考えられる。
【0065】
(実施例3)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-[3-(1-メチル-1H-ピラゾリル)]-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
1-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボキシイミドアミド塩酸塩0.5g(2.9mmol)をアセトニトリル29mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.7g(3.3mmol)とジイソプロピルエチルアミン1.9g(14.7mmol)を加え、室温で23.8時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(6)で示される化合物(化学式:C10H8F4N4O、分子量:276.19g/mol)0.2g(0.6mmol)を得た。得られた化合物の単離収率は21.8%であった。
【0066】
【0067】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):277.1([M+H]+)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:7.46(d,J=2.5Hz,1H)、7.06(d,J=2.1Hz,1H)、4.22(s,3H)、2.05(s,3H)
【0068】
(実施例4)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-[4-(1-メチル-1H-ピラゾリル)]-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシイミドアミド塩酸塩の粗精製物0.4g(2.3mmol)をアセトニトリル23mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.6g(2.8mmol)とジイソプロピルエチルアミン1.6g(12.4mmol)を加え、室温で23時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(7)で示される化合物(化学式:C10H8F4N4O、分子量:276.19g/mol)0.05g(0.2mmol)を得た。得られた化合物の2ステップ収率は4.0%であった。
【0069】
【0070】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):277.1([M+H]+)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:8.15(s,1H)、8.11(s,1H)、4.16(s,3H)、3.98(s,3H)
【0071】
(実施例5)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-[5-(1-メチル-1H-ピラゾリル)]-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキシイミドアミド塩酸塩0.4g(2.2mmol)をアセトニトリル22mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.5g(2.4mmol)とジイソプロピルエチルアミン1.5g(12.6mmol)を加え、室温で22.5時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(8)で示される化合物(化学式:C10H8F4N4O、分子量:276.19g/mol)0.2g(0.8mmol)を得た。得られた化合物の単離収率は34.7%であった。
【0072】
【0073】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):277.5([M+H]+)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:7.54(d,J=2.1Hz,1H)、7.18(d,J=2.1Hz,1H)、4.36(s,3H)、4.19(s,3H)
【0074】
(実施例6)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-[2-(1-メチル-1H-ピロリル)]-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
1-メチル-1H-ピロール-2-カルボキシイミドアミド塩酸塩の粗精製物0.3gをアセトニトリル10mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.2gとジイソプロピルエチルアミン0.4gを加え、室温で23時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(9)で示される化合物(化学式:C11H9F4N3O、分子量:275.21g/mol)の粗精製物を得た。
【0075】
【0076】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):275.8([M]+)
【0077】
(実施例7)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキシイミドアミド塩酸塩0.4g(2.2mmol)をアセトニトリル22mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.6g(2.8mmol)とジイソプロピルエチルアミン1.5g(11.6mmol)を加え、室温で21.3時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(10)で示される化合物(化学式:C9H7F4N5O、分子量:277.18g/mol)0.4g(1.4mmol)を得た。得られた化合物の単離収率は69.4%であった。
【0078】
【0079】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):277.7([M]+)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:8.29(s,1H)、4.25(s,1H),4.21(s,3H)
【0080】
(実施例8)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-カルボキシイミドアミド塩酸塩0.3g(1.9mmol)をアセトニトリル18mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.5g(2.4mmol)とジイソプロピルエチルアミン1.2g(9.3mmol)を加え、室温で23時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(11)で示される化合物(化学式:C9H7F4N5O、分子量:277.18g/mol)0.3g(1.0mmol)を得た。得られた化合物の単離収率は52.3%であった。
【0081】
【0082】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):277.7([M]+)
1H-NMR(400MHz、CDCl3)δppm:8.43(s,1H)、4.50(s,3H)、4.22(s,3H)
【0083】
(実施例9)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イル)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
1-メチル-1H-1,2,4-イミダゾール-5-カルボキシイミドアミド塩酸塩0.3g(1.8mmol)をアセトニトリル18mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.4g(1.9mmol)とジイソプロピルエチルアミン1.2g(9.3mmol)を加え、室温で19.3時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(12)で示される化合物(化学式:C9H7F4N5O、分子量:277.18g/mol)0.07g(0.3mmol)を得た。得られた化合物の単離収率は14.3%であった。
【0084】
【0085】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):277.7([M]+)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:8.06(s,1H)、4.40(s,3H)、4.28(s,3H)
【0086】
(実施例10)
2-(5-クロロ-1-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-6-フルオロ-4-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
5-クロロ-1-メチル-1H-イミダゾール-2-カルボキシイミドアミド塩酸塩0.3g(1.3mmol)をアセトニトリル13mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.3g(1.4mmol)とジイソプロピルエチルアミン0.9g(7.0mmol)を加え、室温で23時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(13)で示される化合物(化学式:C10H7ClF4N4O、分子量:310.64g/mol)を得た。
【0087】
【0088】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):310.0([M]+)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:7.27(s,1H)、4.24(s,3H)、4.13(s、3H)
【0089】
(実施例11)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-[2-(メタンスルフォニル)-1-メチル-1H-イミダゾール-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
2-(メタンスルフォニル)-1-メチル-1H-イミダゾール-4-カルボキシイミドアミド塩酸塩0.3g(1.5mmol)をアセトニトリル19.4mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.5g(2.4mmol)とジイソプロピルエチルアミン1.3g(10.1mmol)を加え、室温で17時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(14)で示される化合物(化学式:C11H10F4N4O3S、分子量:354.28g/mol)0.3g(0.9mmol)を得た。得られた化合物の単離収率は66.3%であった。
【0090】
【0091】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):354.0([M]+)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:7.89(s,1H)、4.21(s,3H)、4.09(s,3H)、3.53(s,3H)
【0092】
(実施例12)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-(1-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
1-フェニル-1H-イミダゾール-4-カルボキシイミドアミド塩酸塩の粗精製物0.3gをアセトニトリル12.4mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.3g(1.4mmol)とジイソプロピルエチルアミン0.8g(6.2mmol)を加え、室温で14時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(15)で示される化合物(化学式:C15H10F4N4O、分子量:338.27g/mol)0.03g(0.07mmol)を得た。
【0093】
【0094】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):339.1([M+H]+)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:8.21(d,J=1.2Hz,1H)、7.98(d,J=1.2Hz,1H)、7.44-7.57(m,5H)、4.25(s,3H)
【0095】
(実施例13)
6-フルオロ-4-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)-2-(1-トリフェニルメチル-1H-イミダゾール-4-イル)ピリミジンの製造
1-(トリフェニルメチル)イミダゾール-4-カルボキシイミドアミド塩酸塩の粗精製物0.3g(0.7mmol)をアセトニトリル7.3mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.2g(0.9mmol)とジイソプロピルエチルアミン0.5g(3.9mmol)を加え、室温で15.8時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(16)で示される化合物(化学式:C28H20F4N4O、分子量:504.49g/mol)0.02g(0.04mmol)を得た。
【0096】
【0097】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):504.2([M]+)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:7.83(s,1H)、7.57(s,1H)、7.36-7.38(m,9H)、7.15-7.18(m,6H)、4.18(s,3H)
【0098】
(実施例14)
6-フルオロ-2-(1-メチル-3-ニトロ-1H-ピラゾール-5-イル)-4-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
1-メチル-3-ニトロ-1H-ピラゾール-5-カルボキシイミドアミド塩酸塩の粗精製物0.3gをアセトニトリル15mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.3g(1.4mmol)とジイソプロピルエチルアミン1.0g(7.7mmol)を加え、室温で13.4時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(17)で示される化合物(化学式:C10H7F4N5O3、分子量:321.19g/mol)0.1g(0.3mmol)を得た。
【0099】
【0100】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):321.3([M]-)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:7.73(s,1H)、4.46(s,1H)、4.22(s,3H)
【0101】
(実施例15)
6-フルオロ-2-[1-メチル-5-(メチルチオ)-1H-ピラゾール-3-イル]-4-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
1-メチル-5-(メチルチオ)-1H-ピラゾール-3-カルボキシイミドアミド塩酸塩0.5g(2.0mmol)をアセトニトリル10mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.5g(2.4mmol)とジイソプロピルエチルアミン1.3g(10.1mmol)を加え、室温で24.4時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(18)で示される化合物(化学式:C11H10F4N4OS、分子量:322.28g/mol)0.3g(0.9mmol)を得た。得られた化合物の単離収率は47.3%であった。
【0102】
【0103】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):354.0([M+MeOH]-)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:7.04(s,1H)、4.22(s,3H)、4.01(s,3H)、2.49(s,3H)
【0104】
(実施例16)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-[3-メトキシ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
3-メトキシ-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシイミドアミド塩酸塩の粗生成物0.2gをアセトニトリル12mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.3g(1.4mmol)とジイソプロピルエチルアミン0.3g(6.2mmol)を加え、室温で14.7時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(19)で示される化合物(化学式:C11H10F4N4O2、分子量:306.22g/mol)の粗精製物を得た。
【0105】
【0106】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):306.7([M]+)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:7.96(s,1H)、4.14(s,3H)、4.02(s,3H)、3.81(s,3H)
【0107】
(実施例17)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-(4-ヨード-1-メチル-1H-ピロリル-2-イル)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
4-ヨード-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボキシイミドアミド塩酸塩の粗精製物0.1gをアセトニトリル6mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.2gとジイソプロピルエチルアミン0.4gを加え、室温で15.8時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(20)で示される化合物(化学式:C11H8F4IN3O、分子量:401.10g/mol)の粗精製物を得た。
【0108】
【0109】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):403.5([M]-)
【0110】
(実施例18)
4-[6-フルオロ-4-メトキシ-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル]-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボン酸メチルの製造
4-カルバムイミドイル-1-メチル-1H-ピロール-2-カルボン酸メチル塩酸塩0.2g(0.9mmol)をアセトニトリル9.2mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.2g(0.9mmol)とジイソプロピルエチルアミン0.6g(4.6mmol)を加え、室温で14.8時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(21)で示される化合物(化学式:C13H11F4N3O3、分子量:333.24g/mol)の粗精製物を得た。
【0111】
【0112】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):333.6([M]+)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:7.66(d,J=1.5Hz,1H)、7.60(d,J=1.8Hz,1H)、4.16(s,3H)、4.00(s,3H)、3.86(s,3H)
【0113】
(実施例19)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-[1-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル]-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
1-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-カルボキシイミドアミド塩酸塩0.2g(1.1mmol)をアセトニトリル10mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.3g(1.4mmol)とジイソプロピルエチルアミン0.7g(5.4mmol)を加え、室温で15.7時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(22)で示される化合物(化学式:C10H6F7N5O、分子量:345.18g/mol)0.2g(0.6mmol)を得た。得られた化合物の単離収率は64.1%であった。
【0114】
【0115】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):345.8([M]-)
1H-NMR(400MHz、CDCl3) δppm:4.34(q,J=1.7Hz,3H)、4.19(s,3H)
【0116】
(実施例20)
6-フルオロ-4-メトキシ-2-(1,5-ジメチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)-5-(トリフルオロメチル)ピリミジンの製造
1,5-ジメチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキシイミドアミド塩酸塩0.3g(1.5mmol)をアセトニトリル15mlに溶解し、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-メトキシ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン0.4g(1.9mmol)とジイソプロピルエチルアミン1.0g(7.7mmol)を加え、室温で18.5時間攪拌した。攪拌後、反応液をカラム精製し、下記の式(23)で示される化合物(化学式:C10H9F4IN5O、分子量:291.21g/mol)の粗精製物を得た。
【0117】
【0118】
分析結果は、下記の通りであった。
マススペクトル(APCI、m/z):291.7([M]+)