(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-17
(45)【発行日】2023-02-28
(54)【発明の名称】中空糸膜モジュール
(51)【国際特許分類】
B01D 63/02 20060101AFI20230220BHJP
【FI】
B01D63/02
(21)【出願番号】P 2022510746
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2021012926
(87)【国際公開番号】W WO2021193930
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2020058981
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020058982
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020058983
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】波形 和彦
(72)【発明者】
【氏名】牟田口 康夫
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/082095(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/151051(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108031294(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0258492(US,A1)
【文献】国際公開第2020/111175(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D61/00-71/82
B01D53/22
C02F1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中空糸膜と、
前記複数の中空糸膜が並ぶように前記複数の中空糸膜を支持する支持体とを備え、
前記支持体は、前記中空糸膜の一対の端部を夫々保持する一対の保持部と、前記一対の保持部の夫々に接続されて前記一対の保持部が互いに対向するように支持する一対の支柱部と、前記保持部と前記支柱部との接続を補強するための少なくとも1つの補強部材とを有しており、
前記保持部の各々には、前記一対の支柱部が夫々接続可能に形成された接続部が設けられており、
前記補強部材は、前記接続部の少なくとも1つに設けられており、前記補強部材は、前記接続部に挿入されて前記接続部に取り付け可能に形成されており、前記補強部材は、前記接続部に取り付けられた状態において前記接続部又は前記支柱部に向かって突出する部分である突起部を少なくとも1つ有していることを特徴とする中空糸膜モジュール。
【請求項2】
前記補強部材は、前記接続部に向かうように形成された前記突起部を少なくとも1つ有しており、また、前記支柱部に向かうように形成された前記突起部を少なくとも1つ有していることを特徴とする請求項1記載の中空糸膜モジュール。
【請求項3】
前記補強部材は、前記補強部材の挿入方向に沿って延びる面を4つ有しており、前記4つの面の各々に前記突起部が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の中空糸膜モジュール。
【請求項4】
前記補強部材の前記突起部は、前記補強部材の挿入方向に沿って延びるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項5】
前記補強部材は、前記補強部材の挿入方向に沿って延びる空間を形成する中空部を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項6】
前記補強部材は、前記中空部を2つの空間に区画する区画部を有していることを特徴とする請求項5記載の中空糸膜モジュール。
【請求項7】
前記区画部は、前記補強部材の挿入方向に延びていることを特徴とする請求項6記載の中空糸膜モジュール。
【請求項8】
前記接続部には、前記支柱部の端部が配置される配置部と、前記配置部に配置された前記支柱部に対向して前記支柱部に隣接する空間を形成する壁部とが設けられており、前記補強部材は前記空間に挿入されて取り付けられるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項9】
前記少なくとも1つの接続部には、複数の前記補強部材が設けられており、前記接続部は、前記複数の補強部材が一方の側と他方の側との間に前記支柱部を挟んで取り付けられるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項10】
前記一方の側に取り付けられる前記補強部材と前記他方の側に取り付けられる前記補強部材とは、互いに異なる大きさを有していることを特徴とする請求項9記載の中空糸膜モジュール。
【請求項11】
前記接続部には、前記支柱部の端部が配置される配置部と、前記配置部に配置された前記支柱部に対向して前記支柱部に隣接する空間を形成する壁部とが設けられており、前記補強部材は前記空間に挿入されて取り付けられるように形成され、
前記壁部は、前記一方の側に前記配置部に配置された前記支柱部に隣接する空間を形成し、また、前記他方の側に前記配置部に配置された前記支柱部に隣接する他の空間を形成することを特徴とする請求項9又は10記載の中空糸膜モジュール。
【請求項12】
前記一方の側と前記他方の側は、前記保持部の延び方向に並んでいることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項13】
前記補強部材と、前記接続部及び前記支柱部との間に、充填材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項14】
複数の中空糸膜と、
前記複数の中空糸膜が並ぶように前記複数の中空糸膜を支持する支持体とを備え、
前記支持体は、前記中空糸膜の一対の端部を夫々保持する一対の保持部と、前記一対の保持部の夫々に接続されて前記一対の保持部が互いに対向するように支持する一対の支柱部と、前記保持部と前記支柱部との接続を補強するための複数の補強部材とを有しており、
前記保持部の各々には、前記一対の支柱部が夫々接続可能に形成された接続部が設けられており、
前記接続部の少なくとも1つには、前記補強部材が挿入可能に形成された隙間を形成する挿入部が複数形成されており、
複数の前記補強部材のうち少なくとも1つは、前記補強部材の挿入方向に交差する方向に突出する規制部を有しており、
前記複数の挿入部の一部は、前記挿入部に挿入された前記補強部材の前記規制部を前記挿入部の外側に突出させる開放部が形成されており、他の前記複数の挿入部とは大きさが異なることを特徴とする中空糸膜モジュール。
【請求項15】
前記開放部において前記規制部が突出する方向における幅は、前記挿入部の一部の方が前記他の挿入部よりも小さいことを特徴とする請求項14記載の中空糸膜モジュール。
【請求項16】
前記開放部は、前記挿入部の前記補強部材の挿入方向後方側の端部に形成されていることを特徴とする請求項14又は15記載の中空糸膜モジュール。
【請求項17】
前記複数の挿入部は、前記保持部に接続された前記支柱部を挟んで対向するように設けられていることを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項18】
前記複数の挿入部は、前記保持部の延び方向に並んで設けられていることを特徴とする請求項17記載の中空糸膜モジュール。
【請求項19】
前記接続部は2つの前記挿入部を有しており、該2つの挿入部の一方に前記開放部が形成されており、前記開放部が形成された一方の挿入部は、他方の前記挿入部よりも前記保持部の延び方向において前記保持部の内部側に設けられていることを特徴とする請求項18記載の中空糸膜モジュール。
【請求項20】
前記開放部において前記規制部が突出する方向は前記保持部の延び方向に沿っており、前記開放部が形成された一方の挿入部の前記保持部の延び方向における幅は、前記他方の挿入部の前記保持部の延び方向における幅よりも小さいことを特徴とする請求項19記載の中空糸膜モジュール。
【請求項21】
前記規制部は、前記規制部を有する前記補強部材が前記他の挿入部に挿入されている際に前記他の挿入部に接触するように形成されていることを特徴とする請求項14乃至20のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項22】
前記規制部は、前記補強部材の挿入方向に沿って延びる板状の部分であることを特徴とする請求項14乃至21のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項23】
前記規制部を有する補強部材は、前記補強部材の挿入方向に沿う面である外周面を形成する部分である本体部を有しており、前記本体部は、前記挿入部の一部に挿入可能な形状を有していることを特徴とする請求項14乃至22のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項24】
前記規制部を有さない前記補強部材は、前記挿入部の一部に挿入不能であって前記他の挿入部に挿入可能に形成されていることを特徴とする請求項14乃至23のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項25】
前記補強部材は、前記挿入部に挿入されて前記接続部に取り付けられた状態において、前記支柱部に接触可能に又は隙間を空けて対向可能に形成されていることを特徴とする請求項14乃至24のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項26】
複数の中空糸膜と、
前記複数の中空糸膜が並ぶように前記複数の中空糸膜を支持する支持体とを備え、
前記支持体は、前記中空糸膜の一対の端部を夫々保持する一対の保持部と、前記一対の保持部の夫々に接続されて前記一対の保持部が互いに対向するように支持する一対の支柱部と、前記保持部と前記支柱部との接続を補強するための複数の補強部材とを有しており、
前記保持部の各々には、前記一対の支柱部が夫々接続可能に形成された接続部が設けられており、
前記接続部の少なくとも1つには、前記補強部材が挿入可能に形成された隙間を形成する挿入部が複数形成されており、
前記補強部材は、前記補強部材の挿入方向に交差する方向に突出した突出部を有しており、
前記複数の挿入部の一部は、前記挿入部に挿入された前記補強部材の前記突出部を前記挿入部の外側に突出させる開放部が形成されており、
他の前記挿入部は、前記突出部を含めて前記補強部材が挿入可能に形成されていることを特徴とする中空糸膜モジュール。
【請求項27】
前記開放部において前記突出部が突出する方向における幅は、前記挿入部の一部の方が前記他の挿入部よりも小さいことを特徴とする請求項26記載の中空糸膜モジュール。
【請求項28】
前記開放部は、前記挿入部の前記補強部材の挿入方向後方側の端部に形成されていることを特徴とする請求項26又は27記載の中空糸膜モジュール。
【請求項29】
前記複数の挿入部は、前記保持部に接続された前記支柱部を挟んで対向するように設けられていることを特徴とする請求項26乃至28のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項30】
前記複数の挿入部は、前記保持部の延び方向に並んで設けられていることを特徴とする請求項29記載の中空糸膜モジュール。
【請求項31】
前記接続部は2つの前記挿入部を有しており、該2つの挿入部の一方に前記開放部が形成されており、前記開放部が形成された一方の挿入部は、他方の前記挿入部よりも前記保持部の延び方向において前記保持部の内部側に設けられていることを特徴とする請求項30記載の中空糸膜モジュール。
【請求項32】
前記開放部において前記突出部が突出する方向は前記保持部の延び方向に沿っており、前記開放部が形成された一方の挿入部の前記保持部の延び方向における幅は、前記他方の挿入部の前記保持部の延び方向における幅よりも小さいことを特徴とする請求項31記載の中空糸膜モジュール。
【請求項33】
前記突出部は、前記補強部材の挿入方向に沿って延びる板状の部分であることを特徴とする請求項26乃至32のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項34】
前記補強部材は、前記補強部材の挿入方向に沿う面である外周面を形成する部分である本体部を有しており、前記本体部は、前記挿入部の一部に挿入可能な形状を有していることを特徴とする請求項26乃至33のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【請求項35】
前記補強部材は、前記挿入部に挿入されて前記接続部に取り付けられた状態において、前記支柱部に接触可能に又は隙間を空けて対向可能に形成されていることを特徴とする請求項26乃至34のいずれか1項記載の中空糸膜モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸膜モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、中空糸膜モジュールユニットに設けられる中空糸膜モジュールとして、上部ハウジングと、下部ハウジングと、一対の支柱と、中空糸膜シート状物とを備えるとともに、上部ハウジングの取水口に合流管が接続され、合流管に吸引ポンプが接続されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された中空糸膜モジュールでは、一対の支柱が上部ハウジングの両端部と下部ハウジングの両端部とを夫々接続することにより、ハウジング同士の間隔が一定に保持され、全体として平坦な中空糸膜モジュールが構成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような中空糸膜モジュールでは、一対のハウジングと一対の支柱とによって長方形の枠状の枠部材が構成される。中空糸膜モジュールは一般に大きく、このため、枠部材に対して小さな外力が加わるだけで、枠部材を変形させるような荷重が発生し、ハウジングと支柱との接続部に大きな荷重が加わる虞がある。特に、中空糸膜モジュール全体が大型化すると、この接続部に加わる荷重が大きくなりやすい。また、接続部に加わる荷重が大きくなると、ハウジングと支柱との接続部が破損する虞もある。このため、従来の中空糸膜モジュールに対しては、接続部に加わる荷重に対する耐久性を向上させることが望まれていた。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐久性を向上させることができる中空糸膜モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜と、前記複数の中空糸膜が並ぶように前記複数の中空糸膜を支持する支持体とを備え、前記支持体は、前記中空糸膜の一対の端部を夫々保持する一対の保持部と、前記一対の保持部の夫々に接続されて前記一対の保持部が互いに対向するように支持する一対の支柱部と、前記保持部と前記支柱部との接続を補強するための少なくとも1つの補強部材とを有しており、前記保持部の各々には、前記一対の支柱部が夫々接続可能に形成された接続部が設けられており、前記補強部材は、前記接続部の少なくとも1つに設けられており、前記補強部材は、前記接続部に挿入されて前記接続部に取り付け可能に形成されており、前記補強部材は、前記接続部に取り付けられた状態において前記接続部又は前記支柱部に向かって突出する部分である突起部を少なくとも1つ有していることを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記補強部材は、前記接続部に向かうように形成された前記突起部を少なくとも1つ有しており、また、前記支柱部に向かうように形成された前記突起部を少なくとも1つ有している。
【0009】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記補強部材は、前記補強部材の挿入方向に沿って延びる面を4つ有しており、前記4つの面の各々に前記突起部が少なくとも1つ設けられている。
【0010】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記補強部材の前記突起部は、前記補強部材の挿入方向に沿って延びるように形成されている。
【0011】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記補強部材は、前記補強部材の挿入方向に沿って延びる空間を形成する中空部を有している。
【0012】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記補強部材は、前記中空部を2つの空間に区画する区画部を有している。
【0013】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記区画部は、前記補強部材の挿入方向に延びている。
【0014】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記接続部には、前記支柱部の端部が配置される配置部と、前記配置部に配置された前記支柱部に対向して前記支柱部に隣接する空間を形成する壁部とが設けられており、前記補強部材は前記空間に挿入されて取り付けられるように形成されている。
【0015】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記少なくとも1つの接続部には、複数の前記補強部材が設けられており、前記接続部は、前記複数の補強部材が一方の側と他方の側との間に前記支柱部を挟んで取り付けられるように形成されている。
【0016】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記一方の側に取り付けられる前記補強部材と前記他方の側に取り付けられる前記補強部材とは、互いに異なる大きさを有している。
【0017】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記壁部は、前記一方の側に前記配置部に配置された前記支柱部に隣接する空間を形成し、また、前記他方の側に前記配置部に配置された前記支柱部に隣接する他の空間を形成する。
【0018】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記一方の側と前記他方の側は、前記保持部の延び方向に並んでいる。
【0019】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記補強部材と、前記接続部及び前記支柱部との間に、充填材が設けられている。
【0020】
上記目的を達成するために、本発明に係る中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜と、前記複数の中空糸膜が並ぶように前記複数の中空糸膜を支持する支持体とを備え、前記支持体は、前記中空糸膜の一対の端部を夫々保持する一対の保持部と、前記一対の保持部の夫々に接続されて前記一対の保持部が互いに対向するように支持する一対の支柱部と、前記保持部と前記支柱部との接続を補強するための複数の補強部材とを有しており、前記保持部の各々には、前記一対の支柱部が夫々接続可能に形成された接続部が設けられており、前記接続部の少なくとも1つには、前記補強部材が挿入可能に形成された隙間を形成する挿入部が複数形成されており、複数の前記補強部材のうち少なくとも1つは、前記補強部材の挿入方向に交差する方向に突出する規制部を有しており、前記複数の挿入部の一部は、前記挿入部に挿入された前記補強部材の前記規制部を前記挿入部の外側に突出させる開放部が形成されており、他の前記複数の挿入部とは大きさが異なることを特徴とする。
【0021】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記開放部において前記規制部が突出する方向における幅は、前記挿入部の一部の方が前記他の挿入部よりも小さい。
【0022】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記開放部は、前記挿入部の前記補強部材の挿入方向後方側の端部に形成されている。
【0023】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記複数の挿入部は、前記保持部に接続された前記支柱部を挟んで対向するように設けられている。
【0024】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記複数の挿入部は、前記保持部の延び方向に並んで設けられている。
【0025】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記接続部は2つの前記挿入部を有しており、該2つの挿入部の一方に前記開放部が形成されており、前記開放部が形成された一方の挿入部は、他方の前記挿入部よりも前記保持部の延び方向において前記保持部の内部側に設けられている。
【0026】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記開放部において前記規制部が突出する方向は前記保持部の延び方向に沿っており、前記開放部が形成された一方の挿入部の前記保持部の延び方向における幅は、前記他方の挿入部の前記保持部の延び方向における幅よりも小さい。
【0027】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記規制部は、前記規制部を有する前記補強部材が前記他の挿入部に挿入されている際に前記他の挿入部に接触するように形成されている。
【0028】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記規制部は、前記補強部材の挿入方向に沿って延びる板状の部分である。
【0029】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記規制部を有する補強部材は、前記補強部材の挿入方向に沿う面である外周面を形成する部分である本体部を有しており、前記本体部は、前記挿入部の一部に挿入可能な形状を有している。
【0030】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記規制部を有さない前記補強部材は、前記挿入部の一部に挿入不能であって前記他の挿入部に挿入可能に形成されている。
【0031】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記補強部材は、前記挿入部に挿入されて前記接続部に取り付けられた状態において、前記支柱部に接触可能に又は隙間を空けて対向可能に形成されている。
【0032】
上記目的を達成するために、本発明に係る中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜と、前記複数の中空糸膜が並ぶように前記複数の中空糸膜を支持する支持体とを備え、前記支持体は、前記中空糸膜の一対の端部を夫々保持する一対の保持部と、前記一対の保持部の夫々に接続されて前記一対の保持部が互いに対向するように支持する一対の支柱部と、前記保持部と前記支柱部との接続を補強するための複数の補強部材とを有しており、前記保持部の各々には、前記一対の支柱部が夫々接続可能に形成された接続部が設けられており、前記接続部の少なくとも1つには、前記補強部材が挿入可能に形成された隙間を形成する挿入部が複数形成されており、前記補強部材は、前記補強部材の挿入方向に交差する方向に突出した突出部を有しており、前記複数の挿入部の一部は、前記挿入部に挿入された前記補強部材の前記突出部を前記挿入部の外側に突出させる開放部が形成されており、他の前記挿入部は、前記突出部を含めて前記補強部材が挿入可能に形成されていることを特徴とする。
【0033】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記開放部において前記突出部が突出する方向における幅は、前記挿入部の一部の方が前記他の挿入部よりも小さい。
【0034】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記開放部は、前記挿入部の前記補強部材の挿入方向後方側の端部に形成されている。
【0035】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記複数の挿入部は、前記保持部に接続された前記支柱部を挟んで対向するように設けられている。
【0036】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記複数の挿入部は、前記保持部の延び方向に並んで設けられている。
【0037】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記接続部は2つの前記挿入部を有しており、該2つの挿入部の一方に前記開放部が形成されており、前記開放部が形成された一方の挿入部は、他方の前記挿入部よりも前記保持部の延び方向において前記保持部の内部側に設けられている。
【0038】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記開放部において前記突出部が突出する方向は前記保持部の延び方向に沿っており、前記開放部が形成された一方の挿入部の前記保持部の延び方向における幅は、前記他方の挿入部の前記保持部の延び方向における幅よりも小さい。
【0039】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記突出部は、前記補強部材の挿入方向に沿って延びる板状の部分である。
【0040】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記補強部材は、前記補強部材の挿入方向に沿う面である外周面を形成する部分である本体部を有しており、前記本体部は、前記挿入部の一部に挿入可能な形状を有している。
【0041】
本発明の一態様に係る中空糸膜モジュールにおいて、前記補強部材は、前記挿入部に挿入されて前記接続部に取り付けられた状態において、前記支柱部に接触可能に又は隙間を空けて対向可能に形成されている。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係る中空糸膜モジュールによれば、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの正面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との接続部を拡大して示す他の部分拡大断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの補強部材の斜視図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける中空糸膜束の概略構成を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との他の接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図8】本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との他の接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図9】本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との他の接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態における補強部材の変形例が取り付けられた接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図11】本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける補強部材の他の変形例を示す斜視図である。
【
図12】本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図13】本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との接続部を拡大して示す他の部分拡大断面図である。
【
図14】本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの他の補強部材の斜視図である。
【
図15】本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの一方の補強部材の斜視図である。
【
図16】本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの一方の補強部材と一方の挿入部との関係を模式的に示す断面図である。
【
図17】本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの他の補強部材と他の挿入部との関係を模式的に示す断面図である。
【
図18】本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの他の補強部材を一方の挿入部に誤って組み付けようとした様子を模式的に示す断面図である。
【
図19】本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの一方の補強部材を他の挿入部に誤って組み付けようとした様子を模式的に示す断面図である。
【
図20】本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との他の接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図21】本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との他の接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図22】本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との他の接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図23】本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図24】本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との接続部を拡大して示す他の部分拡大断面図である。
【
図25】本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの補強部材の斜視図である。
【
図26】本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの補強部材の側面図である。
【
図27】本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの一方の挿入部の断面図である。
【
図28】本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュールの他方の挿入部の断面図である。
【
図29】本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との他の接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図30】本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との他の接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【
図31】本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュールにおける保持部と支柱部との他の接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0045】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュール1の斜視図であり、
図2は、中空糸膜モジュール1の正面図であり、
図3は、中空糸膜モジュール1における保持部と支柱部との接続部を拡大して示す部分拡大断面図であり、
図4は、中空糸膜モジュール1における保持部と支柱部との接続部を拡大して示す他の部分拡大断面図であり、
図5は、中空糸膜モジュール1の補強部材6の斜視図である。
【0046】
図1~3に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュール1は、複数の中空糸膜21と、複数の中空糸膜21が並ぶように複数の中空糸膜21を支持する支持体3とを備えている。支持体3は、一対の保持部41,42と、一対の支柱部51,52と、少なくとも1つの補強部材6,7とを有している。一対の保持部41,42は、中空糸膜21の一対の端部21A,21Bを夫々保持する部材である。一対の支柱部51,52は、一対の保持部41,42の夫々に接続されて、一対の保持部41,42が互いに対向するように一対の保持部41,42を支持する部材である。補強部材6,7は、保持部41,42と支柱部51,52との接続を補強するための部材である。保持部41,42の各々には、一対の支柱部51,52が夫々接続可能に形成された接続部30が設けられている。補強部材6,7は、接続部30の少なくとも1つに設けられており、補強部材6,7は、接続部30に挿入されて接続部30に取り付け可能に形成されている。また、補強部材6,7は、接続部30に取り付けられた状態において接続部30又は支柱部51,52に向かって突出する部分である突起部63,73を少なくとも1つ有している。以下、中空糸膜モジュール1について具体的に説明する。
【0047】
図1~3に示すように、中空糸膜モジュール1は、所定の方向である延在方向に延びる中空糸膜21が並列に並ぶことで形成されたシート状の処理部2を有しており、支持体3は、処理部2を囲んで処理部2を支持する枠状の部材である。中空糸膜21の端部21A,21Bが一対の保持部41,42に夫々保持されており、中空糸膜21は保持部41,42の延び方向に並んで設けられている。支柱部51,52は、中空糸膜21の延在方向に沿って延びており、保持部41,42の夫々の一方の側の端部411,421に支柱部51の夫々の端部511,512が夫々接続されており、保持部41,42の夫々の他方の側の端部412,422に支柱部52の夫々の端部521,522が夫々接続されている。保持部41,42の端部411,412,421,422には、支柱部51又は支柱部52が接続されて固定される接続部30が設けられている。
【0048】
中空糸膜モジュール1は、例えば活性汚泥処理に用いられるものであって、複数の中空糸膜モジュール1が濾過装置に設けられるようになっている。複数の中空糸膜モジュール1が設けられる濾過装置では、例えば処理水槽(開放されたものであっても閉塞されたものであってもよい)内に板状の中空糸膜モジュール1が並んで収容され、処理水槽内に処理対象の液体が導入され、導入された液体が中空糸膜モジュール1を通過することにより液体が濾過される。なお、中空糸膜モジュール1の用途は、活性汚泥処理装置用に限定されず、例えば大型排水処理装置や浄水処理装置に用いられてもよい。
【0049】
中空糸膜モジュール1は、
図1,2に示すように全体として板状の形状を呈しており、濾過装置に取り付けられた使用状態において、中空糸膜21の延在方向が鉛直方向に沿うように配置される。以降では、鉛直方向をZ方向とし、水平面内において互いに直交する2方向をX方向及びY方向とし、Z方向における上側(
図1において紙面上方の側)及び下側(
図1において紙面下方の側)を単に「上側」及び「下側」と呼ぶことがある。また、使用状態の姿勢における中空糸膜モジュール1について、X方向、Y方向及びZ方向を用いて各部の位置関係について説明する。なお、中空糸膜モジュール1が使用される際の姿勢は、鉛直方向に沿ったものでなくてもよく、他の姿勢であってもよい。
【0050】
処理部2では、Z方向を延在方向として直線状に延びる複数の中空糸膜21が、X方向に並んでいる。これにより、処理部2は、ZX平面に沿って延びるシート状(平板状)に形成されている。即ち、Y方向が処理部2の厚さ方向となっている。中空糸膜21は、公知の中空糸膜と同様の中空糸膜であり、筒状(管状)に形成されて両側の端部21A,21Bが開口しており、液体が中空糸膜21を通過して中空糸膜21内に案内されることにより、この液体が濾過されるようになっている。
【0051】
より具体的には、処理部2は、中空糸膜束4が複数並列に並べられて形成されている。中空糸膜束4は、
図6に示すように、複数の中空糸膜21が束ねられて形成された部材である。中空糸膜束4は、一対の封止枠22を有しており、一対の封止枠22は、複数の中空糸膜21を互いに密接して束ねて保持している。具体的には、封止枠22は四角形筒状の部材であり、束ねられた複数の中空糸膜21の端部21A,21Bを夫々保持している。封止枠22と中空糸膜21の端部21A,21Bとの間は、ポリウレタン等から形成された封止部23によって封止されている。具体的には、封止部23は、中空糸膜10の端部21A,21Bの外周面に液密に接触し、また、封止枠22の内周面に液密に接触し、封止枠22と中空糸膜21との間を封止している。なお、中空糸膜21の端部21A,21Bの開口は封止されておらず、中空糸膜21は開口を介して外部と連通するようになっている。
【0052】
支持体3は、
図1,2に示すように、処理部2を囲むように長方形枠状に形成されている。支持体3において、保持部41,42がX方向に沿って延び、支柱部51,52がZ方向に沿って延びている。支持体3の枠内におけるX方向寸法は、例えば、処理部2のX方向寸法と同等又は若干大きく設定され、支持体3の枠内におけるZ方向寸法は、例えば、処理部2のZ方向寸法と同等又は若干小さく設定されている。即ち、保持部41と保持部42との間において、中空糸膜21は弛んで張られていてもよい。
【0053】
保持部41,42は、
図3,4に示すように、延び方向に直交する方向の一方に開放している溝47を有している。溝47は、保持部41,42の延び方向に延びている。溝47は、
図3,4に示すように、2つの空間である溝上部47Aと溝下部47Bとを形成している。溝47において、溝上部47Aと溝下部47Bとは互いに重なっている。具体的には、溝上部47Aは溝47の開口を有する空間であり、溝下部47Bに連通しており、溝下部47Bは溝上部47Aにつながる部分以外は保持部41,42によって閉じられた空間であり、後述するように流路を形成する。上側の保持部41の溝47の溝上部47Aには、中空糸膜束4の一方の封止枠22が収容されており、下側の保持部42の溝47の溝上部47Aには、中空糸膜束4の他方の封止枠22が収容されている。保持部41の溝上部47A内には、複数の封止枠22が並べて収容されており、保持部42の溝上部47A内には、複数の封止枠22が並べて収容されている。この保持部41,42の溝上部47A内に収容された複数の封止枠22は、接着材によって保持部41,42に固定されている。この接着材よって、溝47の外部に対する溝下部47Bの密封が図られている。これにより、保持部41,42の溝47の溝下部47Bが各中空糸膜束4の各中空糸膜21の開口と連通し、また、溝下部47Bは中空糸膜21によって濾過された液体が通過可能な流路となっている。
【0054】
上側の保持部41のX方向両側の端部411,412は、接続口410が形成されることで吸引ポンプが接続可能となっている。下側の保持部42のX方向両側の端部421,422には、接続口410と同様の開口が形成されるとともに栓9が設けられることでこの開口が閉塞されている(
図3,9参照)。下側の保持部42には接続口410が形成されていなくてもよい。また、上側の保持部41の端部411,412は、図示のように壁部44Aによって延び方向(X方向)に溝47の溝下部47Bを塞いでいなくてもよく、溝下部47Bに壁部44Aが形成されないことによって接続口410が形成されていてもよい。同様に、下側の保持部42の端部421,422は、図示のように壁部44Aによって延び方向(X方向)に溝47の溝下部47Bを塞いでいなくてもよく、溝下部47Bに壁部44Aが形成されないことによって接続口410と同様の開口が形成されていてもよい。この場合、栓9は溝下部47Bの断面形状に倣った形状となり、開口を閉鎖する。保持部41において、端部412側は、端部411側と同様に形成されており、また、保持部42において、端部422側は、端部421側と同様に形成されている。
【0055】
支柱部51,52は、液体が通過可能な内部空間を有して管状に形成されている。X方向一方側に配置される支柱部51は、上側の保持部41の端部411と下側の保持部42の端部421とを接続する。X方向他方側に配置される支柱部52は、上側の保持部41の端部412と下側の保持部42の端部422とを接続する。これにより、保持部41,42の溝下部47Bと支柱部51,52の内部空間とが、後述するように接続部30によって選択的に連通可能となるようになっている。本実施の形態においては、
図3,8を用いて後述するように、下側の保持部42の端部421には、保持部42の溝下部47Bと支柱部51の内部空間とを連通可能にする接続部30が設けられており、上側の保持部41の端部412には、保持部41の溝下部47Bと支柱部52の内部空間とを連通可能にする接続部30が設けられている。一方、
図7,9を用いて後述するように、上側の保持部41の端部411には、保持部41の溝下部47Bの中空糸膜モジュール21に連通する部分と支柱部51の内部空間とを遮断する遮断壁48が形成された接続部30が設けられており、下側の保持部42の端部422には、保持部42の溝下部47Bの中空糸膜モジュール21に連通する部分と支柱部52の内部空間とを遮断する遮断壁48が形成された接続部30が設けられている。これにより、支持体3において、下側の保持部42と支柱部51とにより形成される下から上に向かうL字状の流路と、上側の保持部41に沿う流路とが形成されている。このように、支持体3において、2つの独立した流路が形成されている。
【0056】
上記のように支持体3が構成され、2つの独立したL字状の流路及び直線状の流路が形成されていることで、上側の保持部41における端部412側の接続口410に吸引ポンプを接続し、溝下部47B内を吸引して減圧することにより、中空糸膜21内に案内されて濾過された液体の一部は、中空糸膜21を通って上側の保持部41の溝下部47B内に入り、保持部41の溝下部47B内を端部412側に向かって流れて接続口410から排出される。また、上側の保持部41における端部411側の接続口410に吸引ポンプを接続して、溝下部47B内を吸引して減圧することにより、中空糸膜21内に案内されて濾過された液体の他の一部は、中空糸膜21を通って下側の保持部42の溝下部47B内に入り、保持部42の溝下部47B内を端部421側に向かって流れた後、X方向一方側の支柱部51を上側に向かって通過し、上側の保持部41に到達して端部411側の接続口410から排出される。
【0057】
本実施の形態においては、保持部41と保持部42とは同一の形態を有しており、また、支柱部51と支柱部52とは同一の形態を有している。支持体3において、保持部41と保持部42とはY方向に平行な軸に対して回転対称に設けられている。例えば、保持部41と保持部42とは互いに共通する共通部材である。保持部41と保持部42とは互いに共通する共通部材でなくてもよい。なお、支持体3における保持部41,42と支柱部51,52との連通形態や、中空糸膜21によって濾過された液体の排出形態については、上記の構成によるものに限定されず、吸引ポンプによって吸引することで、中空糸膜21によって液体が濾過されて支持体3から排出されるような構造となっていればよい。
【0058】
ここで、支持体3における保持部41,42と支柱部51,52との接続構造の詳細について
図3,4,
図7~9を参照しつつ説明する。
図3に示すように、下側の保持部42のX方向一方側の端部421と支柱部51の下側の端部512とは、接続部31によって接続されている。また、
図7に示すように、上側の保持部41のX方向一方側の端部411と支柱部51の上側の端部511とは、接続部32によって接続されている。また、
図8に示すように、上側の保持部41のX方向他方側の端部412と支柱部52の上側の端部521とは、接続部33によって接続されており、
図9に示すように、下側の保持部42のX方向他方側の端部422と支柱部52の下側の端部522とは、接続部34によって接続されている。
【0059】
図3,4に示すように、保持部42の端部421の接続部31には、支柱部51の端部512が配置される配置部43と、配置部43に配置された支柱部51に対向して支柱部51に隣接する空間(挿入部46A,46B)を形成する壁部44A~44Dとが設けられており、補強部材6,7は空間を形成する挿入部46A,46Bに挿入されて取り付けられるように形成されている。具体的には、接続部31には、Z方向の上側に向かって突出した配置部43と、配置部43を挟んでX方向において互いに対向する一対の壁部44A,44Bと、配置部43を挟んでY方向において互いに対向する一対の壁部44C,44Dとが形成されている。一対の壁部44A,44Bの夫々と配置部43との間には所定の間隔が設けられており、X方向一方側(外側)の壁部44Aと配置部43との間のX方向における間隔の方が、X方向他方側(内側)の壁部44Bと配置部43との間のX方向における間隔よりも大きくなっている。配置部43及び一対の壁部44A,44Bは、共通の底部45から突出しており、一対の壁部44A,44Bの方が配置部43よりも高く突出寸法が大きく形成され、壁部44Aの方が壁部44Bよりも高く形成されている。壁部44C,44Dは夫々、保持部42の長手方向に延びる一対の側面の一部である。底部45は、保持部42の底壁42Aに間隔を空けて対向して設けられている板状の部分である。底壁42Aは、保持部42において溝47の底部を形成する部分である。底部45は、溝47において溝上部47Aと溝下部47Bとの接合部上に設けられていてもよく、この接合部よりも上側又は下側に設けられていてもよい。
【0060】
配置部43は、支柱部51の端部512の開口512Aに挿入又は圧入可能な形状となっている。配置部43は、支柱部51の開口512Aに対応した形状となっており、例えば四角形筒状である。配置部43を開口512Aに挿入した状態において、支柱部51と、壁部44A、壁部44C、壁部44D及び底部45とによって、Z方向上側に開口する空間である挿入部46Aが形成され、同様に、支柱部51と、壁部44B、壁部44C、壁部44D及び底部45とによって、Z方向上側に開口する空間である挿入部46Bが形成される。なお、支柱部51と一対の壁部44C,44Dとの間に隙間が形成されてもよいし、隙間が形成されなくてもよい。上述のように、外側の挿入部46Aの方が、内側の挿入部46BよりもX方向寸法が大きく、これらのY方向寸法は同じ又は略同じとなっている。このように、挿入部46Aと挿入部46Bとは互いに異なる大きさを有している。このため、後述する対応する補強部材6,7が誤って取り付けられることを防止できる。
【0061】
補強部材6,7は夫々、挿入部46A,46Bに挿入されて取り付けられるように形成されており、挿入部46Aには補強部材6が設けられ、挿入部46Bには補強部材7が設けられる。例えば、挿入部46A,46BのX方向寸法の差に応じて、補強部材6の方が補強部材7よりもX方向寸法が大きく、これらのY方向寸法及びZ方向寸法は同じ又は略同じとなっている。また、補強部材6,7は互いに同様な形態を有しており、以下では補強部材6の形状について説明し、特に説明がない限りは補強部材7も挿入部46Bに対応して同様の形状を有しているものとする。
【0062】
補強部材6は、挿入部46Aの形状に対応した形状となっており、すきまばめ又は中間ばめの状態で挿入部46Aに取り付けられるような形状となっている。補強部材6は締まりばめの状態で挿入部46Aに取り付けられるような形状となっていてもよい。補強部材6は、例えば四角形筒状の形状となっており、
図5にも示すように、補強部材6は、補強部材6の挿入部46Aへの挿入方向であるZ方向に沿って延びる空間を形成する中空部61を有しており、中空部61を画成する四角形筒状の外筒部62を有している。また、補強部材6は、中空部61を2つの空間に区画する板状の区画部64を有している。区画部64は、例えば、補強部材6の挿入方向に延びており、ZX平面に沿って延びている。中空部61は、Z方向の両端部が開口した貫通孔状に形成されている。外筒部62は、補強部材6が挿入部46Aに取り付けられた状態において、壁部44Aに対向する板部62Aと、支柱部51に対向する板部62Bと、壁部44Cに対向する板部62Cと、壁部44Dに対向する板部62Dとによって構成されている。
【0063】
板部62A~62Dの夫々において外側を向いた面620A~620Dには、中空部61側とは反対側に向かって突出する部分である突起部63が2つずつ設けられている。面620Aに形成された突起部63は壁部44Aに向かって突出し、壁部44Aに隙間を空けて対向するように、または、壁部44Aに接触するように形成されている。面620Bに形成された突起部63は支柱部51に向かって突出し、支柱部51に隙間を空けて対向するように、または、支柱部51に接触するように形成されている。面620C,620Dに形成された突起部63は夫々壁部44C,44Dに向かって突出し、壁部44C,44Dに隙間を空けて対向するように、または、壁部44C,44Dに接触するように形成されている。板部62A及び板部62Bにおいて、突起部63はY方向に対称に形成されており、また、板部62C及び板部62Dにおいて、突起部63はX方向に対称に形成されている。
【0064】
突起部63を含む補強部材6のX方向寸法は、挿入部46AのX方向寸法(壁部44Aと支柱部51との間隔)と同じ又は略同じである。突起部63を含んだ補強部材6のY方向寸法は、挿入部46AのY方向寸法(壁部44Cと壁部44Dとの間隔)と同じ又は略同じである。これにより、補強部材6は、挿入部46Aに上述のように嵌め込まれるようになっている。補強部材6は、底部45に接触するまでZ方向に挿入部46A内を移動され、挿入部46Aに嵌め込まれる。突起部63を含む補強部材6のX方向寸法及びY方向寸法は夫々、挿入部46AのX方向寸法及びY方向寸法に対し、0.1~3mm程度小さいことが好ましく、0.5~2mm程度小さいことがより好ましい。このように補強部材6のX方向寸法及びY方向寸法を挿入部46Aの対応する寸法よりも小さく設定することにより、補強部材6を挿入部46Aに挿入する際の作業性を向上させることができる。
【0065】
補強部材7も補強部材6と同様に、中空部61、外筒部62、突起部63、及び区画部64に夫々対応する、中空部71と、外筒部72と、突起部73と、区画部74とを有しており、補強部材7は、挿入部46Bにすきまばめ又は中間ばめの状態で取り付けられるような形状となっている。補強部材7は締まりばめの状態で挿入部46Bに取り付けられるような形状となっていてもよい。外筒部72は、板部62A~62Dに夫々対応する板部72A~72Dによって形成されており、突出部73は、外筒部62の面620A~620Dに夫々対応する外筒部72の面720A~720Dから突出している。補強部材7の突起部73は、壁部44B、支柱部51、壁部44C、又は壁部44Dに夫々隙間を空けて対向するように、または、接触するように形成されている。補強部材7は、底部45に接触するまでZ方向に挿入部46B内を移動され、挿入部46Bに嵌め込まれる。突起部73を含む補強部材7のX方向寸法及びY方向寸法は夫々、挿入部46BのX方向寸法及びY方向寸法に対し、0.1~3mm程度小さいことが好ましく、0.5~2mm程度小さいことがより好ましい。これにより、補強部材7を挿入部46Bに挿入する際の作業性を向上させることができる。
【0066】
上記のように挿入部46A,46Bに補強部材6,7を嵌め込んだ状態において、中空部61,71の内部、板部62B,72Bと支柱部51,52との夫々の間、板部62A,72Aと壁部44A,44Bとの夫々の間、及び板部62C,62D,72C,72Dと壁部44C、44Dとの夫々の間に充填材8が設けられる。充填材8は、例えばウレタン系の接着剤から成る接着材であって、第1の接着材81、第2の接着材82、及び第3の接着材83を有している。第1の接着材81は底部45側に設けられ、第1の接着材81の処理部2側に第2の接着材82が積層され、第2の接着材82の処理部2側に第3の接着材83が積層される。
図3,7~9に記載のように、第2の接着材82は、中空糸膜束4の封止部23として、また、溝47の溝上部47Aの充填に用いられ、第3の接着材83は、中空糸膜21の封止部23との付け根部分に着けられる。この第3の接着材83は、中空糸膜21の保護のために取り付けられ、揺動によって中空糸膜21の付け根部分が折れたり破損したりすることを防止するために取り付けられる。
【0067】
第1の接着材81は第2の接着材82よりも弾性変形容易であり、第2の接着材82は、第1の接着材81よりも硬質なものとなっている。このため後述するように、支持体3に変形が生じた際に、第1の接着材81によって各部の変形を許容しやすく、第2の接着材82によって各部の変形を抑制するようになっている。これにより、配置部43の基端部43Aや支柱部51の端部512の損傷を抑制しやすくなっている。また、第3の接着材83は第1の接着材81と同様に弾性変形容易であり、第3の接着材83は、中空糸膜21の封止部23との付け根部分を柔軟に保持している。なお、本実施の形態において、第1の接着材81と第3の接着材83とは同じ接着材であるが、互いに異なる接着材であってもよい。
【0068】
補強部材6,7に突起部63,73が形成されていることで、面620A~620Dと夫々対向する壁部44A、支柱部51、壁部44C、及び壁部44Dとの間に隙間が形成され、面720A~720Dと夫々対向する壁部44B、支柱部51、壁部44C、及び壁部44Dとの間に隙間が形成される。具体的には、面620Bの突起部63以外の部分と支柱部51との間に必ず隙間が形成され、面620Aの突起部63以外の部分と壁部44Aとの間に必ず隙間が形成され、面620Cの突起部63以外の部分と壁部44Cとの間に必ず隙間が形成され、面620Dの突起部63以外の部分と壁部44Dとの間に必ず隙間が形成される。また、面720Bの突起部73以外の部分と支柱部51との間に必ず隙間が形成され、面720Aの突起部73以外の部分と壁部44Bとの間に必ず隙間が形成され、面720Cの突起部73以外の部分と壁部44Cとの間に必ず隙間が形成され、面720Dの突起部73以外の部分と壁部44Dとの間に必ず隙間が形成される。このように補強部材6,7の周りに隙間が形成されていることで、隙間が形成されない形態と比較して、挿入部46A,46Bに夫々挿入された補強部材6,7の周りに充填材8が充填されやすくなっている。補強部材6,7の各面には突起部63又は突起部73が2つずつ設けられている。このため、補強部材6,7の各面と補強部材6,7の各面が対向する保持部材41,42側の各面との間に2つの突起部63又は突起部73が介在するので、補強部材6,7の周りの隙間の間隔を一定以上に保つことができる。
【0069】
中空糸膜モジュール1に対して例えばX方向の力が作用すると、長方形枠状の支持体3が平行四辺形状に歪もうとする。即ち、保持部41,42に対して支柱部51,52が揺動しようとする。このような揺動時に、特に配置部43に変形が生じやすく、配置部43の基端部43Aに負荷が集中しやすい。
【0070】
中空糸膜モジュール1には補強部材6,7が設けられていることで、保持部41,42に対する支柱部51,52の揺動を抑制することができる。また、接続部30には、補強部材6,7が設けられる空間である挿入部46A,46Bが形成されているため、保持部41,42の各々に支柱部51,52を夫々組み付ける際に、支柱部51,52と壁部44A,44Bとの間にクリアランスを確保することができ、組立性を向上させることができる。
【0071】
また、補強部材6,7に突起部63,73が形成されていることで、上記のように充填材8が充填されやすく、補強部材6,7と、支柱部51,52及び壁部44A,44B,44C,44Dとの接着性を向上させることができる。これにより、充填材8の剥がれにより支柱部51,52が揺動しやすくなることを抑制することができる。即ち、支持体3の歪みを抑制することができ、配置部43等が損傷しにくく、中空糸膜モジュール1の耐久性を向上させることができる。
【0072】
また、補強部材6,7が、ZX平面に沿って延びて中空部61,71を区画する区画部64,74を夫々有することで、補強部材6,7に対して支柱部51,52の揺動による外力が加わっても中空部61,71が潰れるような変形が生じにくく、補強部材6,7の剛性を高めることができ、これにより支柱部51,52の揺動を抑制することができる。
【0073】
このように、本発明の実施の形態に係る中空糸膜モジュール1によれば、接続部30に補強部材6,7が設けられており、また、補強部材6,7に突起部63,73が形成されていることで、耐久性を向上させることができる。
【0074】
また、補強部材6,7が区画部64,74を有することで、補強部材6,7の強度が向上し、中空糸膜モジュール1の耐久性をさらに向上させることができる。
【0075】
図7~9に示すように、接続部32,33,34は、接続部31と同様の構成を有しているが、保持部41と支柱部51,52との間の流路を形成する構成において、または、保持部42と支柱部51,52との間の流路を形成する構成において、接続部31は接続部32とは異なり、接続部33は接続部34とは異なる。上述の
図3,4に示す接続部31においては、底部45に隣接する溝下部47Bの部分と、この底部45に隣接する溝下部47Bの部分に隣接する溝下部47Bの部分とは連通している。また、配置部43は基端部43Aと先端部43Bとを貫通する中空部43Cを有しており、配置部43の中空部43Cは、底部45を貫通して中空糸膜21からの流路である溝下部47Bに連通している。
【0076】
一方、吸引ポンプに接続される保持部41の端部411に設けられた接続部32は、
図7に示すように、底部45に隣接する溝下部47Bの部分と、この底部45に隣接する溝下部47Bの部分に隣接する溝下部47Bの部分とを遮断する板状の部分である遮断壁48が設けられている。これにより、中空糸膜21によって濾過されて支柱部51を上昇してきた液体が、中空糸膜21に連通する保持部41の溝下部47Bに流れず、接続口410に向かうようになっている。なお、接続部32には、遮断壁48が設けられていなくてもよい。
【0077】
また、吸引ポンプに接続される保持部41の他方の端部412に設けられた接続部33は、
図8に示すように、保持部42の端部421に設けられた接続部31と同じ形態となっている。具体的には、底部45に隣接する溝下部47Bの部分と、この底部45に隣接する溝下部47Bの部分に隣接する溝下部47Bの部分とは連通しており、また、配置部43の中空部43Cは、底部45を貫通して中空糸膜21からの流路である保持部41の溝下部47Bに連通している。これにより、保持部41の端部412においては、中空糸膜21によって濾過されて中空糸膜21を上昇してきた液体が、保持部41の溝下部47Bを端部411側から端部412側に流れ、接続口410に向かうようになっている。例えば、接続部31と接続部33とは互いに共通する共通部材であり、この共通部材が取付位置や取付方向を変えて接続部31又は接続部33として用いられる。接続部31と接続部33とは互いに共通する共通部材でなくてもよい。
【0078】
また、下側の保持部42の端部422に設けられた接続部34は、
図9に示すように、保持部41の端部411に設けられた接続部32と同じ形態となっている。具体的には、底部45に隣接する溝下部47Bの部分と、この底部45に隣接する溝下部47Bの部分に隣接する溝下部47Bの部分とを遮断する板状の部分である遮断壁48が設けられている。また、保持部42の端部422の接続口410は栓9によって閉じられている。これにより、中空糸膜21によって濾過されて中空糸膜21を下降してきた液体が、中空糸膜21に連通する保持部42の溝下部47Bを流れて保持部42の端部422側の接続口410から流れ出ることが防止され、また、支柱部52を下降してくる液体が、中空糸膜21に連通する保持部42の溝下部47Bに流れず、また、保持部42の端部422側の接続口410から流れ出ることが防止されている。例えば、接続部32と接続部34とは互いに共通する共通部材であり、この共通部材が取付位置や取付方向を変えて接続部32又は接続部34として用いられる。接続部32と接続部34とは互いに共通する共通部材でなくてもよい。なお、接続部34には、遮断壁48が設けられていなくてもよい。
【0079】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形例等も本発明に含まれる。例えば、上記の本発明の第1の実施の形態では、補強部材6,7が挿入方向に沿った壁状の区画部64,74を有するものとしたが、中空部を区画する区画部は、支柱部51,52の揺動に対抗する力を発生させるものであれば他の形状であってもよい。例えば、区画部のZ方向寸法が、補強部材全体のZ方向寸法よりも小さくてもよく、区画部がX方向に沿って延びる棒状に形成されていてもよい。また、区画部は、挿入方向に傾斜する方向に延びていてもよく、挿入方向に直交する方向に延びていてもよい。また、補強部材6,7は、複数の区画部を有していてもよい。また、例えば、外筒部の厚さが充分に厚い場合や、補強部材の材質の強度が高い場合、補強部材の寸法が小さい場合等、補強部材が充分に変形しにくい場合には、区画部は形成されていなくてもよい。
【0080】
また、区画部を形成する構成に代えて、変形例として
図10に示すように、各挿入部46A,46Bに対して、複数の補強部材が挿入されるようにしてもよい。例えば、挿入部46Aに複数の補強部材10をY方向に沿って並べて設けてもよく、挿入部46Bに複数の補強部材11をY方向に沿って並べて設けてもよい。図示の例では、挿入部46Aに2つの補強部材10がY方向に並んで設けられており、挿入部46Bに複数の補強部材11がY方向に沿って並んで設けられている。補強部材10,11は、補強部材6,7と同様に、中空部101,111と外筒部102,112とを有しており、外筒部102,112には突起部103,113が形成されており、区画部が形成されていない。補強部材10,11のうち、他の補強部材10,11と対向する面には突起部103,103は形成されていない。このように、Y方向において別体の補強部材10,11を複数並べることにより、1つの補強部材のみを設ける構成と比較して、1つの補強部材10,11全体のY方向寸法及び中空部101,111のY方向寸法が小さくなり、補強部材10,11の剛性を向上させることができる。これにより、区画部を形成する構成と同様に、中空糸膜モジュールの耐久性を向上させることができる。
【0081】
なお、上記の本発明の第1の実施の形態のような区画部を有する補強部材を、Y方向に複数並べてもよく、このような構成によれば中空糸膜モジュールの耐久性をさらに向上させることができる。
【0082】
また、上記の本発明の第1の実施の形態では、挿入部46Aと挿入部46Bとが、支柱部51,52夫々をX方向において挟むものとしたが、挿入部46Aと挿入部46Bとが、支柱部51,52夫々をY方向において挟むものとしてもよい。
【0083】
また、上記の本発明の第1の実施の形態では、補強部材6,7が中空部61,71を有する筒状であるものとしたが、本発明に係る補強部材の形状は筒状に限定されない。補強部材は、例えば、挿入方向の一方の側(上側又は下側)が開口した有底筒状(カップ状)に形成されてもよいし、開口を有してないブロック状に形成されてもよい。また、有底筒状の補強部材においては、凹状(非貫通状)の中空部が形成されており、この中空部を区画する区画部を設けてもよい。また、補強部材の中空部又は凹部に充填材を充填してもよい。
【0084】
また、上記の本発明の第1の実施の形態では、配置部43が筒状に突出して支柱部51,52に挿入されるものとしたが、配置部は、支柱部を配置可能な形状を有していればよい。例えば、底部45に溝部又は凹部を形成することで支柱部を挿入可能とし、このような溝部又は凹部を配置部としてもよい。即ち、配置部は、支柱部を位置決め可能なものであればよい。また、支柱部が設けられていなくてもよい。
【0085】
また、
図11に示すように、補強部材6において、突起部63は、挿入方向(Z方向に)間隔を空けて複数設けられていてもよく、また、突起部63は、1つの面に3つ以上設けられていてもよい。また、補強部材6において、突起部63は、挿入方向(Z方向)に斜めに延びていてもよく、また、直線状に延びておらず、曲がって延びているものであってもよい。また、突起部63は、挿入方向に直交する方向に延びていてもよい。補強部材7,10,11についても同様である。
【0086】
また、全ての接続部30又はいずれか1つの接続部30には、挿入部46A及び挿入部46Bのいずれか一方のみが設けられているものであってもよい。例えば、壁部44B及び壁部44Aのいずれか一方が、接続部30に接続された支柱部51,52に接触するように又は隙間を空けて対向するようにし、接続部30に、挿入部46A及び挿入部46Bのいずれか一方のみが形成されるようにできる。
【0087】
また、上述の本発明の第1の実施の形態においては、全ての接続部30に補強部材6,7又は補強部材10,11を設けるものとしたが、発生する荷重が小さい接続部30には、補強部材6,7又は補強部材10,11を設けなくてもよい。また、各接続部分に、強部材6,7又は補強部材10,11が設けられる接続部30、挿入部46A及び挿入部46Bのいずれか一方のみが設けられる接続部30、及び強部材6,7又は補強部材10,11が設けられない接続部30の中から選択的に接続部を設けてもよい。同様に、各接続部30に、補強部材6,7又は補強部材10,11の中から選択的に補強部材を設けてもよい。また、各接続部分に、接続部31,32,33,34の中から選択的に接続部を設けてもよい。
【0088】
以下、本発明の第2の実施の形態について図面を参照しながら説明する。上述の本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュール1と同一の部材又は同様の機能を有する部材については、同一の符号を用い、その説明を省略する。
【0089】
図12,13は、本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュール201における保持部と支柱部との接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。また、
図14は、本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュール201の補強部材206の斜視図であり、
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュール201の補強部材207の斜視図である。
【0090】
図1,2,12に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュール201は、複数の中空糸膜21と、複数の中空糸膜21が並ぶように複数の中空糸膜21を支持する支持体3とを備えている。支持体3は、一対の保持部41,42と、一対の支柱部51,52と、少なくとも1つの補強部材206,207とを有している。一対の保持部41,42は、中空糸膜21の一対の端部21A,21Bを夫々保持する部材である。一対の支柱部51,52は、一対の保持部41,42の夫々に接続されて、一対の保持部41,42が互いに対向するように一対の保持部41,42を支持する部材である。補強部材206,207は、保持部41,42と支柱部51,52との接続を補強するための部材である。保持部41,42の各々には、一対の支柱部51,52が夫々接続可能に形成された接続部30が設けられている。接続部30の少なくとも1つには、補強部材206,207が挿入可能に形成された隙間を形成する挿入部46A,46Bが複数形成されている。複数の補強部材206,207のうち少なくとも1つ(補強部材207)は、補強部材207の挿入方向に交差する方向に突出する規制部275を有している。複数の挿入部46A,46Bの一部(挿入部46B)には、挿入部46Bに挿入された補強部材7の規制部275を挿入部46Bの外側に突出させる開放部49が形成されており、他の複数の挿入部46Aとは大きさが異なっている。以下、中空糸膜モジュール1について具体的に説明する。
【0091】
支持体3における保持部41,42と支柱部51,52との接続構造の詳細について
図12,13,
図20~22を参照しつつ説明する。
図12に示すように、下側の保持部42のX方向一方側の端部421と支柱部51の下側の端部512とは、接続部31によって接続されている。また、
図20に示すように、上側の保持部41のX方向一方側の端部411と支柱部51の上側の端部511とは、接続部32によって接続されている。また、
図21に示すように、上側の保持部41のX方向他方側の端部412と支柱部52の上側の端部521とは、接続部33によって接続されており、
図22に示すように、下側の保持部42のX方向他方側の端部422と支柱部52の下側の端部522とは、接続部34によって接続されている。
【0092】
図12,13に示すように、保持部42の端部421の接続部31には、支柱部51の端部512が配置される配置部43と、配置部43に配置された支柱部51に対向して支柱部51に隣接する空間(挿入部46A,46B)を形成する壁部44A~44Dとが設けられており、補強部材206,207はこの空間を形成する挿入部46A,46Bに挿入されて取り付けられるように形成されている。具体的には、接続部31には、Z方向の上側に向かって突出した配置部43と、配置部43を挟んでX方向において互いに対向する一対の壁部44A,44Bと、配置部43を挟んでY方向において互いに対向する一対の壁部44C,44Dとが形成されている。一対の壁部44A,44Bの夫々と配置部43との間には所定の間隔が設けられており、X方向一方側(外側)の壁部44Aと配置部43との間のX方向における間隔の方が、X方向他方側(内側)の壁部44Bと配置部43との間のX方向における間隔よりも大きくなっている。配置部43及び一対の壁部44A,44Bは、共通の底部45から突出しており、一対の壁部44A,44Bの方が配置部43よりも高く突出寸法が大きく形成され、壁部44Aの方が壁部44Bよりも高く形成されている。壁部44C,44Dは夫々、保持部42の長手方向に延びる一対の側面の一部である。底部45は、保持部42の底壁42Aに間隔を空けて対向して設けられている板状の部分である。底壁42Aは、保持部42において溝47の底部を形成する部分である。底部45は、溝47において溝上部47Aと溝下部47Bとの接合部上に設けられていてもよく、この接合部よりも上側又は下側に設けられていてもよい。
【0093】
配置部43は、支柱部51の端部512の開口512Aに挿入又は圧入可能な形状となっている。配置部43は、支柱部51の開口512Aに対応した形状となっており、例えば四角形筒状である。配置部43を開口512Aに挿入した状態において、支柱部51と、壁部44A、壁部44C、壁部44D及び底部45とによって、Z方向上側に開口する空間である挿入部46Aが形成され、同様に、支柱部51と、壁部44B、壁部44C、壁部44D及び底部45とによって、Z方向上側に開口する空間である挿入部46Bが形成される。なお、支柱部51と一対の壁部44C,44Dとの間に隙間が形成されてもよいし、隙間が形成されなくてもよい。上述のように、外側の挿入部46Aの方が、内側の挿入部46BよりもX方向寸法が大きく、これらのY方向寸法は同じ又は略同じとなっている。このように、挿入部46Aと挿入部46Bとは互いに異なる大きさを有している。
【0094】
上述のように、本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュール201においては、接続部31に2つの挿入部46A,46Bが設けられている。また、接続部31において、保持部42の延び方向(X方向)において内側(壁部44B側)に、延び方向の幅が小さい挿入部46Bが設けられており、持部42の延び方向(X方向)において外側(壁部44A側)に、延び方向の幅が大きい挿入部46Aが設けられている。また、後述するように、挿入部46Bには補強部材207の規制部275が案内される開放部49が形成されている。
【0095】
補強部材206,207は夫々、挿入部46A,46Bに挿入されて取り付けられるように形成されており、挿入部46Aには補強部材206が設けられ、挿入部46Bには規制部275を有する補強部材207が設けられる。補強部材206は、すきまばめ又は中間ばめの状態で挿入部46Aに取り付けられるような形状となっている。補強部材206は締まりばめの状態で挿入部46Aに取り付けられるような形状となっていてもよい。補強部材206は、
図14にも示すように、補強部材206の挿入部46Aへの挿入方向であるZ方向に沿って延びる空間を形成する中空部261を有しており、中空部261を画成する四角形筒状の外筒部262を有している。また、補強部材206は、中空部261を2つの空間に区画する板状の区画部264を有している。区画部264は、例えば、補強部材206の挿入方向に延びており、ZX平面に沿って延びている。中空部261は、Z方向の両端部が開口した貫通孔状に形成されている。外筒部262は、板部262A,262B,262C,262Dを有している。補強部材206が挿入部46Aに取り付けられた状態において、板部262Aは壁部44Aに対向し、板部262Bは支柱部51に対向し、板部62Cは壁部44Cに対向し、板部62Dは壁部44Dに対向するように形成されている。
【0096】
板部262A~262Dの夫々において外側を向いた面2620A~2620Dには、中空部261側とは反対側に向かって突出する部分である突起部263が2つずつ設けられている。面2620Aに形成された突起部263は壁部44Aに向かって突出し、壁部44Aに隙間を空けて対向するように、または、壁部44Aに接触するように形成されている。面2620Bに形成された突起部263は支柱部51に向かって突出し、支柱部51に隙間を空けて対向するように、または、支柱部51に接触するように形成されている。面2620C,2620Dに形成された突起部263は夫々壁部44C,44Dに向かって突出し、壁部44C,44Dに隙間を空けて対向するように、または、壁部44C,44Dに接触するように形成されている。板部262A及び板部262Bにおいて、突起部263はY方向に対称に形成されており、また、板部262C及び板部262Dにおいて、突起部263はX方向に対称に形成されている。
【0097】
補強部材207は、
図15にも示すように、規制部275を有しており、また、補強部材207の挿入部46Bへの挿入方向(Z方向)に沿う面である外周面271Aを形成する部分である本体部271を有している。本体部271は、挿入部46Bに挿入可能な形状を有しており、すきまばめ又は中間ばめの状態で挿入部46Bに取り付けられるような形状となっている。本体部271は締まりばめの状態で挿入部46Bに取り付けられるような形状となっていてもよい。本体部271は、例えば四角形筒状の形状となっている。具体的には、本体部271は、補強部材207の挿入部46Bへの挿入方向であるZ方向に沿って延びる空間を形成する中空部273と、中空部273を画成する四角形筒状の外筒部272とを有している。また、本体部271は、中空部273を2つの空間に区画する板状の区画部274を有している。区画部274は、例えば、補強部材207の挿入方向に延びており、ZX平面に沿って延びている。中空部273は、Z方向の両端部が開口した貫通孔状に形成されている。外筒部272は、板部272A,272B,272C,272Dを有しており、Z方向に平行に又は略平行に延びる四角形筒面状の外周面271Aを形成している。補強部材207が挿入部46Bに取り付けられた状態において、板部272Aは壁部44Bに対向し、板部272Bは支柱部51に対向し、板部272Cは壁部44Cに対向し、板部272Dは壁部44Dに対向するように形成されている。板部272A,272B,272C,272Dの夫々の外側に面する面2720A,2720B,2720C,2720Dが外周面271Aを形成している。
【0098】
板部272A~272Dの夫々の面2720A~2720Dには、補強部材206と同様に、突起部278が2つずつ設けられている。面2720Aに形成された突起部278は壁部44Bに向かって突出し、壁部44Bに隙間を空けて対向するように、または、壁部44Bに接触するように形成されている。面2720Bに形成された突起部278は支柱部51に向かって突出し、支柱部51に隙間を空けて対向するように、または、支柱部51に接触するように形成されている。面2720C,2720Dに形成された突起部78は夫々壁部44C,44Dに向かって突出し、壁部44C,44Dに隙間を空けて対向するように、または、壁部44C,44Dに接触するように形成されている。板部272A及び板部272Bにおいて、突起部278はY方向に対称に形成されており、また、板部272C及び板部272Dにおいて、突起部278はX方向に対称に形成されている。
【0099】
補強部材7は、具体的には、2つの規制部275を有している。規制部275は、例えば、
図15に示すように、補強部材207の挿入部46Bへの挿入方向に沿って延びる板状に形成されており、板部272Aの面2720Aから補強部材207の挿入方向に直交する方向に沿って突出している。規制部275は、面2720Aにおいて、挿入方向後ろ側である上側に設けられている。規制部275は、例えば、板部272C,272DにおけるZ方向上側の一部を、板部272Aから突出するように延長した形状を有している。即ち、補強部材207は、規制部275が設けられていない下側の幅狭部276と、規制部275が設けられることでX方向寸法が大きくなっている上側の幅広部277とを有している。規制部275は、後述するように、補強部材207が挿入部46B内に挿入されて補強部材207の下端が底部45に接触した状態において、挿入部46Bの開放部49に収容されて開放部49から挿入部46Bの外側に突出するように形成されている。なお、図示の例では、規制部275は本体部271の上端271Bまで延びているが、規制部275は、本体部271の上端271Bまで達していなくてもよい。また、規制部275の形状は板状に限られず、開放部49に収容可能な形状であればよく、棒状やブロック状等他の形状であってもよい。また、規制部275は、面2720Aの面2720C,D側の端部に形成されていなくてもよく、面2720Aの内部に形成されていてもよい。
【0100】
上記のように挿入部46A,46Bに補強部材206,7を嵌め込んだ状態において、中空部261,273の内部、板部262B,272Bと支柱部51,52との夫々の間、板部262A,272Aと壁部44A,44Bとの夫々の間、板部262C,272Cと壁部44Cとの夫々の間、及び板部262D,272Dと壁部44Dとの夫々の間に充填材8が設けられる。充填材8は、例えばウレタン系の接着剤から成る接着材であって、第1の接着材81、第2の接着材82、及び第3の接着材83を有している。第1の接着材81は底部45側に設けられ、第1の接着材81の処理部2側に第2の接着材82が積層され、第2の接着材82の処理部2側に第3の接着材83が積層される。なお、
図12,20~22に記載のように、第2の接着材82は、中空糸膜束4の封止部23として、また、溝47の溝上部47Aの充填に用いられ、第3の接着材83は、中空糸膜21の封止部23との付け根部分に着けられる。この第3の接着材83は、中空糸膜21の保護のために取り付けられ、揺動によって中空糸膜21の付け根部分が折れたり破損したりすることを防止するために取り付けられる。
【0101】
第1の接着材81は第2の接着材82よりも弾性変形容易であり、第2の接着材82は、第1の接着材81よりも硬質なものとなっている。このため後述するように、支持体3に変形が生じた際に、第1の接着材81によって各部の変形を許容しやすく、第2の接着材82によって各部の変形を抑制するようになっている。これにより、配置部43の基端部43Aや支柱部51の端部512の損傷を抑制しやすくなっている。また、第3の接着材83は第1の接着材81と同様に弾性変形容易であり、第3の接着材83は、中空糸膜21の封止部23との付け根部分を柔軟に保持している。なお、本実施の形態において、第1の接着材81と第3の接着材83とは同じ接着剤であるが、互いに異なる接着材であってもよい。
【0102】
次いで、補強部材206,207が挿入部46A,46Bに夫々挿入されて取り付けられた取付状態について、
図12,13,16~19を参照しつつ詳細に説明する。
図16は補強部材207と挿入部46Bとの関係を模式的に示す断面図であり、
図17は補強部材206と挿入部46Aとの関係を模式的に示す断面図である。
図18は補強部材206を挿入部46Bに誤って組み付けようとした様子を模式的に示す断面図であり、
図19は補強部材207を挿入部46Aに誤って組み付けようとした様子を模式的に示す断面図である。なお、補強部材206,207は、挿入部46A,46Bに嵌め込まれることで中空糸膜モジュール201における向きが決まるが、以降の説明では、補強部材206,207が取付状態の姿勢にあるとして、各部の寸法等について説明する。
【0103】
図16に示すように、補強部材207の幅狭部276のX方向寸法を幅L1とし、幅広部277のX方向寸法を幅L2とする。本体部271の規制部275が形成されていない幅狭部276のZ方向寸法を高さHとする。また、
図17に示すように、補強部材206全体のX方向寸法を幅L3とする。なお、幅L1~L3は、突起部263,278も含んだ寸法とする。
図16に示すように、挿入部46Bの幅をW1とし、挿入部46Bの深さをD1とする。また、
図17に示すように、挿入部46Aの幅をW2とし、挿入部46Aの深さをD2とする。なお、挿入部46Bの幅とは支柱部51と壁部44BとのX方向における間隔であり、挿入部46Bの深さとは底部45からの壁部44BのZ方向の突出寸法である。また、挿入部46Aの幅とは支柱部51と壁部44AとのX方向における間隔であり、挿入部46Aの深さとは底部45からの壁部44AのZ方向の突出寸法である。
【0104】
図12,16に示すように、壁部44Bには挿入部46BをX方向に開放する開放部49が形成されており、壁部44Bは挿入部46Bの他の壁部44C,44Dよりも低くなっている。開放部49は、補強部材207の規制部275が挿入方向に挿入可能となるように形成されており、挿入部46Bの開放側(上側)にも開放されている。具体的には、開放部49は、壁部44Bにおいて挿入部46Bの開放側の端部に形成されている。また、開放部49は、壁部44BのY方向の幅全体に亘って形成されているが、壁部44BのY方向の幅全体に亘って形成されていなくてもよい。幅狭部276の幅L1が挿入部46Bの幅W1以下となっていることで、挿入部46Bに対し、補強部材207のうち幅狭部276が挿入可能となっている。なお、幅狭部276の幅L1は、本体部271が挿入部46Bに挿入可能であれば、挿入部46Bの幅W1よりも大きくなっていてもよい。一方、規制部275が突出している幅広部277の幅L2は挿入部46Bの幅W1よりも大きいものの、幅狭部276の高さHが挿入部46Bの深さD1以上となっていることから、規制部275は壁部44Bと干渉せずに開放部49内に収容されて、補強部材207は挿入部46B内に挿入される。補強部材207が挿入部46B内に挿入されて取り付けられた状態において、規制部275は開放部49を通ってX方向に挿入部46Bの外部に突出している。一方、
図17に示すように、補強部材206の幅L3が挿入部46Aの幅W2以下となっていることで、挿入部46Aに対して補強部材206が挿入可能となっている。補強部材206の幅L3は、補強部材206が挿入部46Aに挿入可能であれば、挿入部46Aの幅W2よりも大きくなっていてもよい。なお、
図13は、補強部材207の幅狭部276側における断面を示している。
【0105】
次に、補強部材206,207を誤って組み付けようとした場合について説明する。
図18に示すように、補強部材206の幅L3が挿入部46Bの幅W1よりも大きくなっていることで、挿入部46Bに対して補強部材206が挿入不能となっており、誤組み付けが抑制される。また、
図19に示すように、補強部材207のうち幅狭部276の幅L1は挿入部46Aの幅W2よりも小さいため、幅狭部276は挿入部46Aに挿入可能となっている。しかしながら、幅狭部276の高さHが挿入部46Aの深さD2よりも小さく、且つ、規制部275の幅広部277の幅L2の方が挿入部46Aの幅W2よりも大きいことから、補強部材207を挿入部46Aに挿入している際に、規制部275が壁部44Aに接触する。これにより、本体部271が挿入部46Aに挿入可能であっても、補強部材207の挿入部46Aへの挿入が規制される。従って、挿入部46Aに対して補強部材207の全体を挿入することはできず、誤組み付けが抑制される。
【0106】
なお、補強部材207の本体部271の幅L1は、挿入部46Bの幅W1に対し、0.1~3mm程度小さいことが好ましく、0.5~2mm程度小さいことがより好ましい。同様に、補強部材206の幅L3は、挿入部46Aの幅W2に対し、0.1~3mm程度小さいことが好ましく、0.5~2mm程度小さいことがより好ましい。また、補強部材207の本体部271及び補強部材206のY方向寸法は夫々、挿入部46B,46Aに対し、0.1~3mm程度小さいことが好ましく、0.5~2mm程度小さいことがより好ましい。このように補強部材206及び補強部材207の本体部271のX方向寸法及びY方向寸法を挿入部46A,46Bの対応する寸法よりも夫々小さく設定することにより、補強部材206,207を夫々挿入部46A,46Bに挿入する際の作業性を向上させることができる。
【0107】
補強部材206,207に突起部263,278が形成されていることで、面2620A~2620Dと夫々対向する壁部44A、支柱部51、壁部44C、及び壁部44Dとの間に隙間が形成され、面2720A~2720Dと夫々対向する壁部44B、支柱部51、壁部44C、及び壁部44Dとの間に隙間が形成される。具体的には、面2620Bの突起部263以外の部分と支柱部51との間に必ず隙間が形成され、面2620Aの突起部263以外の部分と壁部44Aとの間に必ず隙間が形成され、面2620Cの突起部263以外の部分と壁部44Cとの間に必ず隙間が形成され、面2620Dの突起部263以外の部分と壁部44Dとの間に必ず隙間が形成される。また、面2720Bの突起部278以外の部分と支柱部51との間に必ず隙間が形成され、面2720Aの突起部278以外の部分と壁部44Bとの間に必ず隙間が形成され、面2720Cの突起部278以外の部分と壁部44Cとの間に必ず隙間が形成され、面2720Dの突起部278以外の部分と壁部44Dとの間に必ず隙間が形成される。このように補強部材206,207の周りに隙間が形成されていることで、隙間が形成されない形態と比較して、挿入部46A,46Bに夫々挿入された補強部材206,207の周りに充填材8が充填されやすくなっている。補強部材206,207の各面には突起部263又は突起部278が2つずつ設けられている。このため、補強部材206,207の各面と補強部材206,207の各面が対向する保持部材41,42側の各面との間に2つの突起部263又は突起部278が介在するので、補強部材206,207の周りの隙間の間隔を一定以上に保つことができる。
【0108】
中空糸膜モジュール201に対して例えばX方向の力が作用すると、長方形枠状の支持体3が平行四辺形状に歪もうとする。即ち、保持部41,42に対して支柱部51,52が揺動しようとする。このような揺動時に、特に配置部43に変形が生じやすく、配置部43の基端部43Aに負荷が集中しやすい。
【0109】
中空糸膜モジュール201には補強部材206,207が設けられていることで、保持部41,42に対する支柱部51,52の揺動を抑制することができる。また、接続部30には、補強部材206,207が設けられる空間である挿入部46A,46Bが形成されているため、保持部41,42の各々に支柱部51,52を夫々組み付ける際に、支柱部51,52と壁部44A,44Bとの間にクリアランスを確保することができ、組立性を向上させることができる。
【0110】
また、補強部材206,207に突起部263,278が形成されていることで、上記のように充填材8が充填されやすく、補強部材206,207と、支柱部51,52及び壁部44A,44B,44C,44Dとの接着性を向上させることができる。これにより、充填材8の剥がれにより支柱部51,52が揺動しやすくなることを抑制することができる。即ち、支持体3の歪みを抑制することができ、配置部43等が損傷しにくく、中空糸膜モジュール201の耐久性を向上させることができる。
【0111】
また、補強部材206,207が、ZX平面に沿って延びて中空部261,271を区画する区画部264,274を夫々有することで、補強部材206,207に対して支柱部51,52の揺動による外力が加わっても中空部261,271が潰れるような変形が生じにくく、補強部材206,207の剛性を高めることができ、これにより支柱部51,52の揺動を抑制することができる。
【0112】
このように、本発明の第2の実施の形態に係る中空糸膜モジュール201によれば、接続部30に補強部材206,207が設けられており、補強部材206,207によって耐久性を向上させることができる。また、補強部材207が規制部275を有することで、補強部材207が挿入部46Aに誤って挿入されることが抑制され、組立性を向上させることができる。
【0113】
また、補強部材206,207に突起部263,278が形成されていることで、中空糸膜モジュール201の耐久性を向上させることができる。
【0114】
また、補強部材206,207が区画部264,274を有することで、補強部材206,207の強度が向上し、中空糸膜モジュール201の耐久性をさらに向上させることができる。
【0115】
図20~22に示すように、接続部32,33,34は、接続部31と同様の構成を有しているが、保持部41と支柱部51,52との間の流路を形成する構成において、または、保持部42と支柱部51,52との間の流路を形成する構成において、接続部31は接続部32とは異なり、接続部33は接続部34とは異なる。上述の
図12,13に示す接続部31においては、底部45に隣接する溝下部47Bの部分と、この底部45に隣接する溝下部47Bの部分に隣接する溝下部47Bの部分とは連通している。また、配置部43は基端部43Aと先端部43Bとを貫通する中空部43Cを有しており、配置部43の中空部43Cは、底部45を貫通して中空糸膜21からの流路である溝下部47Bに連通している。
【0116】
一方、吸引ポンプに接続される保持部41の端部411に設けられた接続部32は、
図20に示すように、底部45に隣接する溝下部47Bの部分と、この底部45に隣接する溝下部47Bの部分に隣接する溝下部47Bの部分とを遮断する板状の部分である遮断壁48が設けられている。これにより、中空糸膜21によって濾過されて支柱部51を上昇してきた液体が、中空糸膜21に連通する保持部41の溝下部47Bに流れず、接続口410に向かうようになっている。なお、接続部32には、遮断壁48が設けられていなくてもよい。
【0117】
また、吸引ポンプに接続される保持部41の他方の端部412に設けられた接続部33は、
図21に示すように、保持部42の端部421に設けられた接続部31と同じ形態となっている。具体的には、底部45に隣接する溝下部47Bの部分と、この底部45に隣接する溝下部47Bの部分に隣接する溝下部47Bの部分とは連通しており、また、配置部43の中空部43Cは、底部45を貫通して中空糸膜21からの流路である保持部41の溝下部47Bに連通している。これにより、保持部41の端部412においては、中空糸膜21によって濾過されて中空糸膜21を上昇してきた液体が、保持部41の溝下部47Bを端部411側から端部412側に流れ、接続口410に向かうようになっている。例えば、接続部31と接続部33とは互いに共通する共通部材であり、この共通部材が取付位置や取付方向を変えて接続部31又は接続部33として用いられる。接続部31と接続部33とは互いに共通する共通部材でなくてもよい。
【0118】
また、下側の保持部42の端部422に設けられた接続部34は、
図22に示すように、保持部41の端部411に設けられた接続部32と同じ形態となっている。具体的には、底部45に隣接する溝下部47Bの部分と、この底部45に隣接する溝下部47Bの部分に隣接する溝下部47Bの部分とを遮断する板状の部分である遮断壁48が設けられている。また、保持部42の端部422の接続口410は栓9によって閉じられている。これにより、中空糸膜21によって濾過されて中空糸膜21を下降してきた液体が、中空糸膜21に連通する保持部42の溝下部47Bを流れて保持部42の端部422側の接続口410から流れ出ることが防止され、また、支柱部52を下降してくる液体が、中空糸膜21に連通する保持部42の溝下部47Bに流れず、また、保持部42の端部422側の接続口410から流れ出ることが防止されている。例えば、接続部32と接続部34とは互いに共通する共通部材であり、この共通部材が取付位置や取付方向を変えて接続部32又は接続部34として用いられる。接続部32と接続部34とは互いに共通する共通部材でなくてもよい。なお、接続部34には、遮断壁48が設けられていなくてもよい。
【0119】
なお、本発明は上記の本発明の第2の実施の形態に限定されず、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形例等も本発明に含まれる。例えば、上記の本発明の第2の実施の形態では、挿入部46Aと挿入部46Bとが、支柱部51,52夫々をX方向において挟むものとしたが、挿入部46Aと挿入部46Bとが、支柱部51,52夫々をY方向において挟むものとしてもよい。この場合、挿入部46Bの開放部49は、壁部44C又は壁部44Dに同様に形成され、規制部275は、補強部材207の本体部271の面2720C又は面2720Dに開放部49に対応して同様に形成される。また、挿入部46Aと挿入部46Bとが、支柱部51,52夫々をX方向において挟む場合であっても、挿入部46Bが挿入部46Aよりも外側に形成されてもよい。この場合、規制部275は、上述の
図12に示す場合とは反対側に挿入部46Bの外部に突出する。
【0120】
また、上記の本発明の第2の実施の形態では、規制部275を有する補強部材207が挿入される挿入部46Bの壁部44Bが、規制部を有していない補強部材206が挿入される挿入部46Aの壁部44Aよりも壁高さが低く形成されて、開放部49が形成されているものとしたが、開放部49の形態はこのような形態に限定されない。例えば、壁部44Bの壁高さD1を補強部材207の幅狭部276の高さHよりも大きくし、壁部44Bに規制部275に対応したスリット状の切り欠き等を形成して開放部49を形成してもよい。
【0121】
また、上記の本発明の第2の実施の形態では、規制部275が板状に形成されているものとしたが、規制部は、本体部から突出したものであればよく、例えば棒状であってもよいし塊状であってもよく、その形状は限定されない。
【0122】
また、上記の本発明の第2の実施の形態では、補強部材206,207が挿入方向に沿った壁状の区画部264,274を有するものとしたが、中空部を区画する区画部は、支柱部51,52の揺動に対抗する力を発生させるものであれば他の形状であってもよい。例えば、区画部のZ方向寸法が、補強部材全体のZ方向寸法よりも小さくてもよく、区画部がX方向に沿って延びる棒状に形成されていてもよい。また、区画部は、挿入方向に傾斜する方向に延びていてもよく、挿入方向に直交する方向に延びていてもよい。また、補強部材206,207は、複数の区画部を有していてもよい。また、例えば、外筒部の厚さが充分に厚い場合や、補強部材の材質の強度が高い場合、補強部材の寸法が小さい場合等、補強部材が充分に変形しにくい場合には、区画部は形成されていなくてもよい。
【0123】
また、上記の本発明の第2の実施の形態では、補強部材206,207が中空部261,273を有する筒状であるものとしたが、本発明に係る補強部材の形状は筒状に限定されない。補強部材は、例えば、挿入方向の一方の側(上側又は下側)が開口した有底筒状(カップ状)に形成されてもよいし、開口を有してないブロック状に形成されてもよい。また、有底筒状の補強部材においては、凹状(非貫通状)の中空部が形成されており、この中空部を区画する区画部を設けてもよい。また、補強部材の中空部又は凹部に充填材を充填してもよい。
【0124】
また、上記の本発明の第2の実施の形態では、配置部43が筒状に突出して支柱部51,52に挿入されるものとしたが、配置部は、支柱部を配置可能な形状を有していればよい。例えば、底部45に溝部又は凹部を形成することで支柱部を挿入可能とし、このような溝部又は凹部を配置部としてもよい。即ち、配置部は、支柱部を位置決め可能なものであればよい。また、支柱部が設けられていなくてもよい。
【0125】
また、補強部材において、突起部は、挿入方向(Z方向に)間隔を空けて複数設けられていてもよく、また、突起部は、1つの面に3つ以上設けられていてもよい。また、補強部材において、突起部は、挿入方向(Z方向)に斜めに延びていてもよく、また、直線状に延びておらず、曲がって延びているものであってもよい。また、突起部は、挿入方向に直交する方向に延びていてもよい。また、補強部材は突起部を有していなくてもよい。この場合、外筒部の各面が上述の突起部と同様に対応する挿入部の壁部や支柱部に接触又は近接するように形成される。
【0126】
また、全ての接続部30又はいずれか1つの接続部30には、挿入部46A及び挿入部46Bが夫々2つ以上設けられているものであってもよい。また、挿入部46Aが2つ以上設けられる場合は、この複数の挿入部46Aは全て同じ大きさではなくてもよく、同様に、挿入部46Bが2つ以上設けられる場合は、この複数の挿入部46Bは全て同じ大きさではなくてもよい。
【0127】
また、上述の本発明の第2の実施の形態においては、全ての接続部30に補強部材206,207を設けるものとしたが、発生する荷重が小さい接続部30には、補強部材206,207を設けなくてもよい。また、各接続部分に、強部材206,207が設けられる接続部30、挿入部46A及び挿入部46Bのいずれか一方のみが設けられる接続部30、及び強部材206,207が設けられない接続部30の中から選択的に接続部を設けてもよい。また、接続部31,32,33,34の中から選択的に接続部を設けてもよい。
【0128】
以下、本発明の第3の実施の形態について図面を参照しながら説明する。上述の本発明の第1の実施の形態に係る中空糸膜モジュール1と同一の部材又は同様の機能を有する部材については、同一の符号を用い、その説明を省略する。
【0129】
図23,24は、本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュール301における保持部と支柱部との接続部を拡大して示す部分拡大断面図である。また
図25は、本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュール301の補強部材306の斜視図であり、
図26は、本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュール301の補強部材306の側面図であり、
図27は、本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュール301の挿入部46Bの断面図であり、
図28は、本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュール301の挿入部46Aの断面図である。
【0130】
図23に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュール301は、複数の中空糸膜21と、複数の中空糸膜21が並ぶように複数の中空糸膜21を支持する支持体3とを備えている。支持体3は、一対の保持部41,42と、一対の支柱部51,52と、少なくとも1つの補強部材306とを有している。一対の保持部41,42は、中空糸膜21の一対の端部21A,21Bを夫々保持する部材である。一対の支柱部51,52は、一対の保持部41,42の夫々に接続されて、一対の保持部41,42が互いに対向するように一対の保持部41,42を支持する部材である。補強部材306は、保持部41,42と支柱部51,52との接続を補強するための部材である。保持部41,42の各々には、一対の支柱部51,52が夫々接続可能に形成された接続部30が設けられている。接続部30の少なくとも1つには、補強部材306が挿入可能に形成された隙間を形成する挿入部46A,46Bが複数形成されている。補強部材306は、補強部材306の挿入方向に交差する方向に突出した突出部365を有している。複数の挿入部46A,46Bの一部(挿入部46B)は、挿入部46Bに挿入された補強部材306の突出部365を挿入部46Bの外側に突出させる開放部49が形成されている。他の挿入部46Aは、突出部365を含めて補強部材306が挿入可能に形成されている。以下、中空糸膜モジュール1について具体的に説明する。
【0131】
図23,24に示すように、保持部42の端部421の接続部31には、支柱部51の端部512が配置される配置部43と、配置部43に配置された支柱部51に対向して支柱部51に隣接する空間(挿入部46A,46B)を形成する壁部44A~44Dとが設けられており、補強部材306はこの空間を形成する挿入部46A,46Bに挿入されて取り付けられるように形成されている。具体的には、接続部31には、Z方向の上側に向かって突出した配置部43と、配置部43を挟んでX方向において互いに対向する一対の壁部44A,44Bと、配置部43を挟んでY方向において互いに対向する一対の壁部44C,44Dとが形成されている。一対の壁部44A,44Bの夫々と配置部43との間には所定の間隔が設けられており、X方向一方側(外側)の壁部44Aと配置部43との間のX方向における間隔の方が、X方向他方側(内側)の壁部44Bと配置部43との間のX方向における間隔よりも大きくなっている。配置部43及び一対の壁部44A,44Bは、共通の底部45から突出しており、一対の壁部44A,44Bの方が配置部43よりも高く突出寸法が大きく形成され、壁部44Aの方が壁部44Bよりも高く形成されている。壁部44C,44Dは夫々、保持部42の長手方向に延びる一対の側面の一部である。底部45は、保持部42の底壁42Aに間隔を空けて対向して設けられている板状の部分である。底壁42Aは、保持部42において溝47の底部を形成する部分である。底部45は、溝47において溝上部47Aと溝下部47Bとの接合部上に設けられていてもよく、この接合部よりも上側又は下側に設けられていてもよい。
【0132】
配置部43は、支柱部51の端部512の開口512Aに挿入又は圧入可能な形状となっている。配置部43は、支柱部51の開口512Aに対応した形状となっており、例えば四角形筒状である。配置部43を開口512Aに挿入した状態において、支柱部51と、壁部44A、壁部44C、壁部44D及び底部45とによって、Z方向上側に開口する空間である挿入部46Aが形成され、同様に、支柱部51と、壁部44B、壁部44C、壁部44D及び底部45とによって、Z方向上側に開口する空間である挿入部46Bが形成される。なお、支柱部51と一対の壁部44C,44Dとの間に隙間が形成されてもよいし、隙間が形成されなくてもよい。上述のように、外側の挿入部46Aの方が、内側の挿入部46BよりもX方向寸法が大きく、これらのY方向寸法は同じ又は略同じとなっている。このように、挿入部46Aと挿入部46Bとは互いに異なる大きさを有している。
【0133】
上述のように、本実施の第3の形態に係る中空糸膜モジュール301においては、接続部31に2つの挿入部46A,46Bが設けられている。また、接続部31において、保持部42の延び方向(X方向)において内側(壁部44B側)に、延び方向の幅が小さい挿入部46Bが設けられており、持部42の延び方向(X方向)において外側(壁部44A側)に、延び方向の幅が大きい挿入部46Aが設けられている。また、後述するように、挿入部46Bには補強部材306の突出部365が案内される開放部49が形成されている。
【0134】
補強部材306は、
図25にも示すように、突出部365を有しており、また、補強部材306の挿入部46A,46Bへの挿入方向(Z方向)に沿う面である外周面361Aを形成する部分である本体部361を有している。補強部材306は、挿入部46A,46Bに挿入されて取り付けられるように形成されており、挿入部46A,46Bのいずれにも、補強部材306が設けられる。具体的には、補強部材306は、突出部365が設けられた部分において、すきまばめ又は中間ばめの状態で挿入部46Aに取り付けられるような形状となっている。補強部材306は、突出部365が設けられた部分において、締まりばめの状態で挿入部46Aに取り付けられるような形状となっていてもよい。また、補強部材306は、本体部361において、すきまばめ又は中間ばめの状態で挿入部46Bに取り付けられるような形状となっている。補強部材306は、本体部361において、締まりばめの状態で挿入部46Bに取り付けられるような形状となっていてもよい。補強部材306は、
図25にも示すように、補強部材306の挿入部46A,46Bへの挿入方向であるZ方向に沿って延びる空間を形成する中空部363と、中空部363を画成する四角形筒状の外筒部362とを有している。また、本体部361は、中空部363を2つの空間に区画する板状の区画部364を有している。区画部364は、例えば、補強部材306の挿入方向に延びており、ZX平面に沿っている。中空部363は、Z方向の両端部が開口した貫通孔状に形成されている。外筒部362は、板部362A,362B,362C,362Dを有しており、Z方向に平行に又は略平行に延びる四角形筒面状の外周面361Aを形成している。
図24に示すように、補強部材306が挿入部46A,46Bに取り付けられた状態において、板部362Aは夫々壁部44A,44Bに対向し、夫々の板部362Bは支柱部51に対向し、板部362C,362Dは夫々壁部44C,44D又は壁部44D,44Cに対向するように形成されている。補強部材306は、突出部365がX方向におけるいずれの方向に向いた姿勢でも挿入部46Aに挿入可能であるが、
図23,24に示すように、補強部材36は、突出部365が互いに離れる側に向かって延びるように挿入部46A,46Bに取り付けられることが好ましい。
【0135】
板部362A~362Dの夫々において外側を向いた面3620A~3620Dには、中空部363側とは反対側に向かって突出する部分である突起部368が2つずつ設けられている。補強部材306が挿入部46Bに取り付けられた状態で、面3620Aに形成された突起部368は壁部44Bに向かって突出し、壁部44Bに隙間を空けて対向するように、または、壁部44Bに接触するように形成されている。補強部材306が挿入部46Bに取り付けられた状態で、面3620Bに形成された突起部368は支柱部51に向かって突出し、支柱部51に隙間を空けて対向するように、または、支柱部51に接触するように形成されている。また、
図24に示すように補強部材306が挿入部46Aに取り付けられた状態で、面3620Bに形成された突起部368は支柱部51に向かって突出し、支柱部51に隙間を空けて対向するように、または、支柱部51に接触するように形成されている。補強部材306が挿入部46A又は挿入部46Bに取り付けられた状態で面3620C,3620Dに形成された突起部368は夫々壁部44C,44D又は壁部44D,44Cに向かって突出し、壁部44C,44D又は壁部44D,44Cに隙間を空けて対向するように、または、壁部44C,44D又は壁部44D,44Cに接触するように形成されている。板部362A及び板部362Bにおいて、突起部368は、Y方向に対称に形成されており、また、板部362C,362Dにおいて、突起部368は、X方向に対称に形成されている。
【0136】
補強部材306は、具体的には、2つの突出部365を有している。突出部365は、例えば、
図25に示すように、補強部材306の挿入部46A,46Bへの挿入方向に沿って延びる板状に形成されており、板部362Aの面3620Aから補強部材306の挿入方向に直交する方向に沿って突出している。突出部365は、面3620Aにおいて、挿入方向後ろ側である上側に設けられている。突出部365は、例えば、板部362C,362DにおけるZ方向上側の一部を、板部362Aから突出するように延長した形状を有している。即ち、補強部材306は、突出部365が設けられていない下側の幅狭部366と、突出部365が設けられることでX方向寸法が大きくなっている上側の幅広部367とを有している。突出部365は、後述するように、補強部材306が挿入部46B内に挿入されて補強部材306の下端が底部45に接触した状態において、挿入部46Bの開放部49に収容されて開放部49から挿入部46Bの外側に突出するように形成されている。また、後述するように、補強部材306は、補強部材306が挿入部46A内に挿入されて補強部材306の下端が底部45に接触した状態において、補強部材306の全体が挿入部46A内に収容されるように形成されている。そして
図23,24に示すように、補強部材306のこの取付状態において、突出部365の先端365Aは、壁部44Aに隙間を空けて対向するように、または、接触するように形成されている。
【0137】
なお、図示の例では、突出部365は本体部361の上端361Bまで延びているが、突出部365は、本体部361の上端361Bまで達していなくてもよい。また、突出部365の形状は板状に限られず、開放部49に収容可能な形状であればよく、棒状やブロック状等他の形状であってもよい。また、突出部365は、面3620Aの面3620C,D側の端部に形成されていなくてもよく、面3620Aの内部に形成されていてもよい。
【0138】
上述のように、補強部材306は、挿入部46Aに対し、板部362Bが支柱部51側を向き、板部362Aが壁部44A側を向くように挿入される。このとき、補強部材306の全体が挿入部46Aに挿入される。また、補強部材306は、挿入部46Bに対し、板部362Bが支柱部51側を向き、板部362Aが壁部44B側を向くように挿入される。このとき、補強部材306のうち本体部361の幅狭部366のみが挿入部46Bに挿入される。
【0139】
上記のように挿入部46A,46Bに補強部材306を嵌め込んだ状態において、中空部363の内部、板部362Bと支柱部51との夫々の間、板部362Aと壁部44A,44Bとの夫々の間、板部362C,362Dと壁部44C,44D又は板部44D,44Cとの夫々の間に充填材8が設けられる。充填材8は、例えばウレタン系の接着剤から成る接着材であって、第1の接着材81、第2の接着材82、及び第3の接着材83を有している。第1の接着材81は底部45側に設けられ、第1の接着材81の処理部2側に第2の接着材82が積層され、第2の接着材82の処理部2側に第3の接着材83が積層される。なお、
図23,29~31に記載のように、第2の接着材82は、中空糸膜束4の封止部23として、また、溝47の溝上部47Aの充填に用いられ、第3の接着材83は、中空糸膜21の封止部23との付け根部分に着けられる。この第3の接着材83は、中空糸膜21の保護のために取り付けられ、揺動によって中空糸膜21の付け根部分が折れたり破損したりすることを防止するために取り付けられる。
【0140】
第1の接着材81は第2の接着材82よりも弾性変形容易であり、第2の接着材82は、第1の接着材81よりも硬質なものとなっている。このため後述するように支持体3に変形が生じた際に、第1の接着材81によって各部の変形を許容しやすく、第2の接着材82によって各部の変形を抑制するようになっている。これにより、配置部43の基端部43Aや支柱部51の端部512の損傷を抑制しやすくなっている。また、第3の接着材83は第1の接着材81と同様に弾性変形容易であり、第3の接着材83は、中空糸膜21の封止部23との付け根部分を柔軟に保持している。なお、本実施の形態において、第1の接着材81と第3の接着材83とは同じ接着材であるが、互いに異なる接着材であってもよい。
【0141】
次いで、補強部材306が挿入部46A,46Bの夫々に挿入されて取り付けられた取付状態について、
図23,24,26~28を参照しつつ詳細に説明する。なお、補強部材306は、挿入部46A,46Bに嵌め込まれることで中空糸膜モジュール301における向きが決まるが、以降の説明では、補強部材306が取付状態の姿勢にあるとして、各部の寸法等について説明する。
【0142】
図26に示すように、補強部材306の幅狭部366のX方向寸法(本体部361のX方向寸法)を幅L11とし、幅広部367のX方向寸法(本体部361及び突出部365を含むX方向寸法)を幅L12とする。本体部361の突出部365が形成されていない幅狭部366のZ方向寸法を高さHとする。なお、幅L11,L12は、突起部368も含んだ寸法とする。
図27に示すように、挿入部46Bの幅をW1とし、挿入部46Bの深さをD1とする。また、
図28に示すように、挿入部46Aの幅をW2とし、挿入部46Aの深さをD2とする。なお、挿入部46Bの幅とは支柱部51と壁部44BとのX方向における間隔であり、挿入部46Bの深さとは底部45からの壁部44BのZ方向の突出寸法である。また、挿入部46Aの幅とは支柱部51と壁部44AとのX方向における間隔であり、挿入部46Aの深さとは底部45からの壁部44AのZ方向の突出寸法である。
【0143】
図23,27に示すように、壁部44Bには挿入部46BをX方向に開放する開放部49が形成されており、壁部44Bは挿入部46Bの他の壁部44C,44Dよりも低くなっている。開放部49は、補強部材306の突出部365が挿入方向に挿入可能となるように形成されており、挿入部46Bの開放側(上側)にも開放されている。具体的には、開放部49は、壁部44Bにおいて挿入部46Bの開放側の端部に形成されている。また、開放部49は、壁部44BのY方向の幅全体に亘って形成されているが、壁部44BのY方向の幅全体に亘って形成されていなくてもよい。幅狭部366の幅L11が挿入部46Bの幅W1以下となっていることで、挿入部46Bに対し、補強部材306のうち幅狭部366が挿入可能となっている。なお、幅狭部366の幅L11は、本体部361が挿入部46Bに挿入可能であれば、挿入部46Bの幅W1よりも大きくなっていてもよい。一方、突出部365が突出している幅広部367の幅L12は挿入部46Bの幅W1よりも大きいものの、幅狭部366の高さHが挿入部46Bの深さD1以上となっていることから、突出部365は壁部44Bと干渉せずに開放部49内に収容されて、補強部材306は挿入部46B内に挿入される。
【0144】
一方、幅広部367の幅L12が挿入部46Aの幅W2以下となっていることで、挿入部46Aに対しては、補強部材306のうち幅広部367も挿入可能となっており、補強部材306の全体が収容可能となっている。なお、挿入部46Aの深さD2は、幅狭部366の高さHよりも大きくなっていればよく、補強部材306は、挿入部46Aにおいて幅広部367の一部(突出部365の一部)が収容されるようになっていてもよい。補強部材306の幅L12は、補強部材306が幅広部367において挿入部46Aに挿入可能であれば、挿入部46Aの幅W2よりも大きくなっていてもよい。
【0145】
なお、補強部材306の本体部361の幅L11は、挿入部46Bの幅W1に対し、0.1~3mm程度小さいことが好ましく、0.5~2mm程度小さいことがより好ましい。同様に、補強部材306の幅広部367の幅L12は、挿入部46Aの幅W2に対し、0.1~3mm程度小さいことが好ましく、0.5~2mm程度小さいことがより好ましい。また、補強部材306の本体部361のY方向寸法は、挿入部46B,46Aに対し、0.1~3mm程度小さいことが好ましく、0.5~2mm程度小さいことがより好ましい。このように補強部材306の本体部361のX方向寸法及びY方向寸法を挿入部46A,46Bの対応する寸法よりも夫々小さく設定することにより、補強部材306を挿入部46A,46Bに挿入する際の作業性を向上させることができる。
【0146】
補強部材306に突起部368が形成されていることで、挿入部46Aにおいて面3620B~3620Dと夫々対向する支柱部51、壁部44C、及び壁部44Dとの間に隙間が形成され、挿入部46Bにおいて面3620A,3620B,3620D,3620Cと夫々対向する壁部44B、支柱部51、壁部44C、及び壁部44Dとの間に隙間が形成される。具体的には、挿入部46Aにおいて、面3620Bの突起部368以外の部分と支柱部51との間に必ず隙間が形成され、面3620Cの突起部368以外の部分と壁部44Cとの間に必ず隙間が形成され、面3620Dの突起部368以外の部分と壁部44Dとの間に必ず隙間が形成される。また、挿入部46Bにおいて、面3620Bの突起部368以外の部分と支柱部51との間に必ず隙間が形成され、面3620Aの突起部368以外の部分と壁部44Bとの間に必ず隙間が形成され、面3620Cの突起部368以外の部分と壁部44Dとの間に必ず隙間が形成され、面3620Dの突起部368以外の部分と壁部44Cとの間に必ず隙間が形成される。このように補強部材306の周りに隙間が形成されていることで、隙間が形成されない形態と比較して、挿入部46A,46Bに夫々挿入された補強部材306の周りに充填材8が充填されやすくなっている。補強部材306の各面には突起部368が2つずつ設けられている。このため、補強部材306の各面と補強部材306の各面が対向する保持部材41,42側の各面との間に2つの突起部368が介在するので、補強部材306の周りの隙間の間隔を一定以上に保つことができる。
【0147】
中空糸膜モジュール301に対して例えばX方向の力が作用すると、長方形枠状の支持体3が平行四辺形状に歪もうとする。即ち、保持部41,42に対して支柱部51,52が揺動しようとする。このような揺動時に、特に配置部43に変形が生じやすく、配置部43の基端部43Aに負荷が集中しやすい。
【0148】
中空糸膜モジュール301には補強部材306が設けられていることで、保持部41,42に対する支柱部51,52の揺動を抑制することができる。また、接続部30には、補強部材306が設けられる空間である挿入部46A,46Bが形成されているため、保持部41,42の各々に支柱部51,52を夫々組み付ける際に、支持部51,52と壁部44A,44Bとの間にクリアランスを確保することができ、組立性を向上させることができる。
【0149】
また、補強部材306に突起部368が形成されていることで、上記のように充填材8が充填されやすく、補強部材306と、支柱部51,52及び壁部44A,44B,44C,44Dとの接着性を向上させることができる。これにより、充填材8の剥がれにより支柱部51,52が揺動しやすくなることを抑制することができる。即ち、支持体3の歪みを抑制することができ、配置部43等が損傷しにくく、中空糸膜モジュール301の耐久性を向上させることができる。
【0150】
また、補強部材306が、ZX平面に沿って延びて中空部361を区画する区画部364を有することで、補強部材306に対して支柱部51,52の揺動による外力が加わっても中空部361が潰れるような変形が生じにくく補強部材306の剛性を高めることができ、これにより支柱部51,52の揺動を抑制することができる。
【0151】
このように、本発明の第3の実施の形態に係る中空糸膜モジュール301によれば、接続部30に補強部材306が設けられており、補強部材306によって耐久性を向上させることができる。また、補強部材306が、挿入部46Bに対して挿入可能な寸法を有する本体部361と、挿入部46Aに対して挿入可能な寸法を有するように本体部361及び突出部365とを有することで、挿入部46A,46Bに設ける補強部材306を共通化することができ、低コスト化を図ることができる。
【0152】
また、補強部材306に突起部368が形成されていることで、中空糸膜モジュール301の耐久性を向上させることができる。
【0153】
また、補強部材306が区画部364を有することで、補強部材306の強度が向上し、中空糸膜モジュール301の耐久性をさらに向上させることができる。
【0154】
図29~31に示すように、接続部32,33,34は、接続部31と同様の構成を有しているが、保持部41と支柱部51,52との間の流路を形成する構成において、または、保持部42と支柱部51,52との間の流路を形成する構成において、接続部31は接続部32とは異なり、接続部33は接続部34とは異なる。上述の
図23,24に示す接続部31においては、底部45に隣接する溝下部47Bの部分と、この底部45に隣接する溝下部47Bの部分に隣接する溝下部47Bの部分とは連通している。また、配置部43は基端部43Aと先端部43Bとを貫通する中空部43Cを有しており、配置部43の中空部43Cは、底部45を貫通して中空糸膜21からの流路である溝下部47Bに連通している。
【0155】
一方、吸引ポンプに接続される保持部41の端部411に設けられた接続部32は、
図29に示すように、底部45に隣接する溝下部47Bの部分と、この底部45に隣接する溝下部47Bの部分に隣接する溝下部47Bの部分とを遮断する板状の部分である遮断壁48が設けられている。これにより、中空糸膜21によって濾過されて支柱部51を上昇してきた液体が、中空糸膜21に連通する保持部41の溝下部47Bに流れず、接続口410に向かうようになっている。なお、接続部32には、遮断壁48が設けられていなくてもよい。
【0156】
また、吸引ポンプに接続される保持部41の他方の端部412に設けられた接続部33は、
図30に示すように、保持部42の端部421に設けられた接続部31と同じ形態となっている。具体的には、底部45に隣接する溝下部47Bの部分と、この底部45に隣接する溝下部47Bの部分に隣接する溝下部47Bの部分とは連通しており、また、配置部43の中空部43Cは、底部45を貫通して中空糸膜21からの流路である保持部41の溝下部47Bに連通している。これにより、保持部41の端部412においては、中空糸膜21によって濾過されて中空糸膜21を上昇してきた液体が、保持部41の溝下部47Bを端部411側から端部412側に流れ、接続口410に向かうようになっている。例えば、接続部31と接続部33とは互いに共通する共通部材であり、この共通部材が取付位置や取付方向を変えて接続部31又は接続部33として用いられる。接続部31と接続部33とは互いに共通する共通部材でなくてもよい。
【0157】
また、下側の保持部42の端部422に設けられた接続部34は、
図31に示すように、保持部41の端部411に設けられた接続部32と同じ形態となっている。具体的には、底部45に隣接する溝下部47Bの部分と、この底部45に隣接する溝下部47Bの部分に隣接する溝下部47Bの部分とを遮断する板状の部分である遮断壁48が設けられている。また、保持部42の端部422の接続口410は栓9によって閉じられている。これにより、中空糸膜21によって濾過されて中空糸膜21を下降してきた液体が、中空糸膜21に連通する保持部42の溝下部47Bを流れて保持部42の端部422側の接続口410から流れ出ることが防止され、また、支柱部52を下降してくる液体が、中空糸膜21に連通する保持部42の溝下部47Bに流れず、また、保持部42の端部422側の接続口410から流れ出ることが防止されている。例えば、接続部32と接続部34とは互いに共通する共通部材であり、この共通部材が取付位置や取付方向を変えて接続部32又は接続部34として用いられる。接続部32と接続部34とは互いに共通する共通部材でなくてもよい。なお、接続部34には、遮断壁48が設けられていなくてもよい。
【0158】
なお、本発明は上記の本発明の第3の実施の形態に限定されず、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形例等も本発明に含まれる。上記の本発明の第3の実施の形態では、挿入部46Aと挿入部46Bとが、支柱部51,52夫々をX方向において挟むものとしたが、挿入部46Aと挿入部46Bとが、支柱部51,52夫々をY方向において挟むものとしてもよい。この場合、挿入部46Bの開放部49は、壁部44C又は壁部44Dに同様に形成され、突出部65は、補強部材306の本体部361の面3620C又は面3620Dに開放部49に対応して同様に形成される。また、挿入部46Aには、挿入部46Bに取り付けられた補強部材306と支柱部51,52に関して背向した姿勢で又は同じ姿勢で補強部材306は取り付けられる。また、挿入部46Aと挿入部46Bとが、支柱部51,52夫々をX方向において挟む場合であっても、挿入部46Bが挿入部46Aよりも外側に形成されてもよい。この場合、突出部65は、上述の
図23に示す場合とは反対側に挿入部46Bの外部に突出する。
【0159】
また、上記の本発明の第3の実施の形態では、X方向寸法が小さい挿入部46Bを形成する壁部44Bが、X方向寸法が大きい挿入部46Aを形成する壁部44Aよりも壁高さが低く形成されて、開放部49が形成されているものとしたが、開放部49の形態はこのような形態に限定されない。例えば、壁部44Bの壁高さD1を補強部材306の幅狭部366の高さHよりも大きくし、壁部44Bに突出部365に対応したスリット状の切り欠き等を形成して開放部49を形成してもよい。
【0160】
また、上記の本発明の第3の実施の形態では、突出部365が板状に形成されているものとしたが、突出部は、本体部から突出したものであればよく、例えば棒状であってもよいし枠状であってもよく、その形状は限定されない。
【0161】
また、上記の本発明の第3の実施の形態では、補強部材306が挿入方向に沿った壁状の区画部364を有するものとしたが、中空部を区画する区画部は、支柱部51,52の揺動に対抗する力を発生させるものであれば他の形状であってもよい。例えば、区画部のZ方向寸法が、補強部材全体のZ方向寸法よりも小さくてもよく、区画部がX方向に沿って延びる棒状に形成されていてもよい。また、区画部は、挿入方向に傾斜する方向に延びていてもよく、挿入方向に直交する方向に延びていてもよい。また、補強部材306は、複数の区画部を有していてもよい。また、例えば、外筒部の厚さが充分に厚い場合や、補強部材の材質の強度が高い場合、補強部材の寸法が小さい場合等、補強部材が充分に変形しにくい場合には、区画部は形成されていなくてもよい。
【0162】
また、上記の本発明の第3の実施の形態では、補強部材306が中空部361を有する筒状であるものとしたが、本発明に係る補強部材の形状は筒状に限定されない。補強部材は、例えば、挿入方向の一方の側(上側又は下側)が開口した有底筒状(カップ状)に形成されてもよいし、開口を有してないブロック状に形成されてもよい。また、有底筒状の補強部材においては、凹状(非貫通状)の中空部が形成されており、この中空部を区画する区画部を設けてもよい。また、補強部材の中空部又は凹部に充填剤を充填してもよい。
【0163】
また、上記の本発明の第3の実施の形態では、配置部43が筒状に突出して支柱部51,52に挿入されるものとしたが、配置部は、支柱部を配置可能な形状を有していればよい。例えば、底部45に溝部又は凹部を形成することで支柱部を挿入可能とし、このような溝部又は凹部を配置部としてもよい。即ち、配置部は、支柱部を位置決め可能なものであればよい。また、支柱部が設けられていなくてもよい。
【0164】
また、補強部材において、突起部は、挿入方向(Z方向に)間隔を空けて複数設けられていてもよく、また、突起部は、1つの面に3つ以上設けられていてもよい。また、補強部材において、突起部は、挿入方向(Z方向)に斜めに延びていてもよく、また、直線状に延びておらず、曲がって延びているものであってもよい。また、突起部は、挿入方向に直交する方向に延びていてもよい。また、補強部材は突起部を有していなくてもよい。この場合、外筒部の各面が上述の突起部と同様に対応する挿入部の壁部や支柱部に接触又は近接するように形成される。
【0165】
また、全ての接続部30又はいずれか1つの接続部30には、挿入部46A及び挿入部46Bが夫々2つ以上設けられているものであってもよい。また、挿入部46Aが2つ以上設けられる場合は、この複数の挿入部46Aは全て同じ大きさではなくてもよく、同様に、挿入部46Bが2つ以上設けられる場合は、この複数の挿入部46Bは全て同じ大きさではなくてもよい。
【0166】
また、上述の本発明の第3の実施の形態においては、全ての接続部30に補強部材306を設けるものとしたが、発生する荷重が小さい接続部30には、補強部材306を設けなくてもよい。また、各接続部分に、強部材306が設けられる接続部30、挿入部46A及び挿入部46Bのいずれか一方のみが設けられる接続部30、及び強部材306が設けられない接続部30の中から選択的に接続部を設けてもよい。また、接続部31,32,33,34の中から選択的に接続部を設けてもよい。
【0167】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る中空糸膜モジュールに限定されるものではなく、本発明の概念及び請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0168】
1…中空糸膜モジュール、2…処理部、21…中空糸膜、21A,21B…端部、22…封止枠、23…封止部、3…支持体、30,31,32,33,34…接続部、4…中空糸膜束、41,42…保持部、411,412,421,422…端部、41A,42A…底壁、43…配置部、43A…基端部、43B…先端部、43C…中空部、44A~44D…壁部、45…底部、46A,46B…挿入部、47…溝、47A…溝上部、47B…溝下部、48…遮断壁、49…開放部、410…接続口、51,52…支柱部、511,512,521,522…端部、512A…開口、6,7…補強部材、61,71…中空部、62,72…外筒部、62A~62D,72A~72D…板部、620A~620D,720A~720D…面、63,73…突起部、64,74…区画部、8…充填材、81…第1の接着材、82…第2の接着材、83…第1の接着材、9…栓、10,11…補強部材、101,111…中空部、102,112…外筒部、103,113…突起部、201…中空糸膜モジュール、206,207…補強部材、261,273…中空部、262,272…外筒部、262A~262D,272A~272D…板部、2620A~2620D,2720A~2720D…面、263,278…突起部、264,274…区画部、271…本体部、271A…外周面、271B…上端、275…規制部、276…幅狭部、277…幅広部、301…中空糸膜モジュール、306…補強部材、361…本体部、361A…外周面、361B…上端、362…外筒部、362A~362D…板部、3620A~3620D…面、363…中空部、364…区画部、365…突出部、365A…先端、366…幅狭部、367…幅広部、368…突起部