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特許7230311再使用可能な作動ユニットを有する腹膜透析交換のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】再使用可能な作動ユニットを有する腹膜透析交換のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/28 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
A61M1/28 100
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019151185
(22)【出願日】2019-08-21
(62)【分割の表示】P 2018000229の分割
【原出願日】2014-03-11
(65)【公開番号】P2019213916
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2019-09-17
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-10
(31)【優先権主張番号】61/784,562
(32)【優先日】2013-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/917,739
(32)【優先日】2013-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591013229
【氏名又は名称】バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
(73)【特許権者】
【識別番号】501453189
【氏名又は名称】バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Baxter Healthcare S.A.
【住所又は居所原語表記】Thurgauerstr.130 CH-8152 Glattpark (Opfikon) Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100168734
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ミンクス, マーク エス.
【合議体】
【審判長】村上 聡
【審判官】佐々木 一浩
【審判官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-527308(JP,A)
【文献】特表2011-527616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の腹膜透析患者に腹膜透析溶液交換を施す施設による使用のために構成されたシステムであって、
前記施設に配置され、複数の患者が同時に使用するように構成された腹膜透析溶液供給部と、
前記施設で前記腹膜透析患者に腹膜透析溶液を送達するように構成された複数の腹膜透析ディスポーザブルセットと、
前記施設に配置された少なくとも1つのコンピュータであって、
患者の処方指示を電子的に読み取ること、
前記処方指示から前記腹膜透析溶液の処方指示された量を電子的に特定すること、および
前記処方指示から、処方指示された腹膜透析ディスポーザブルセットを電子的に読み取ることであって、前記処方指示された腹膜透析ディスポーザブルセットが、前記複数の腹膜透析ディスポーザブルセットのうちの1つである、ことと、
を行うように構成され配置された少なくとも1つのコンピュータと、
前記施設内に配置された少なくとも1つの治療ステーションであって、前記処方指示された腹膜透析ディスポーザブルセットを、複数の患者が同時に使用できる前記腹膜透析溶液供給部に流体接続できるように構成されており、前記処方指示に基づいて前記施設で腹膜透析治療を行うために、前記特定された量の前記腹膜透析溶液を前記透析溶液供給部から前記患者に計量供給することができる、少なくとも1つの治療ステーションと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記患者によって提供されたコンピュータ可読媒体を受け入れて前記処方指示を読み取るように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記処方指示を前記患者の透析クリニックから取得するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記患者の透析クリニックとデータ通信し、前記システムは、前記腹膜透析治療による患者データを前記透析クリニックに送信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記腹膜透析溶液供給部は、前記腹膜透析溶液を保持する容器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記腹膜透析溶液の前記特定された量は、前記腹膜透析溶液を保持する複数の容器を必要とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記容器は、最初は空であり、前記少なくとも1つの治療ステーションのうちの1つで腹膜透析溶液を充填される、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記腹膜透析溶液供給部は、複数の腹膜透析ディスポーザブルセットに溶液を供給するようなサイズにされたバッチ式腹膜透析溶液タンクを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのコンピュータは、前記処方指示から前記腹膜透析溶液の処方指示されたタイプを電子的に特定するように更に構成され配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記処方指示された腹膜透析ディスポーザブルセットは、腹膜透析装置と共に使用できるカセットを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記透析装置は、前記システムによって提供される複数の透析装置のうちの1つである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記処方指示された腹膜透析ディスポーザブルセットは、連続携行式腹膜透析ディスポーザブルセットである、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記処方指示された腹膜透析ディスポーザブルセットは、複数の腹膜透析溶液供給部に同時に接続されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
複数の腹膜透析患者に腹膜透析溶液交換を施すためのシステムであって、
複数の患者が同時に使用するように構成された少なくとも1つの腹膜透析溶液供給部と、
前記腹膜透析患者に腹膜透析溶液を送達するように構成された複数の腹膜透析ディスポーザブルセットと、
少なくとも1つのコンピュータであって、
患者の処方指示を電子的に読み取ること、
前記処方指示から前記腹膜透析溶液の処方指示された量を電子的に特定すること、
前記処方指示から前記腹膜透析溶液の処方指示されたタイプを電子的に特定すること、および
前記処方指示から、処方指示された腹膜透析ディスポーザブルセットを電子的に読み取ることであって、前記処方指示された腹膜透析ディスポーザブルセットが、前記複数の腹膜透析ディスポーザブルセットのうちの1つである、ことと、
を行うように構成され配置された少なくとも1つのコンピュータと、
少なくとも1つの治療ステーションであって、前記処方指示された腹膜透析ディスポーザブルセットを、複数の患者が同時に使用できる、前記少なくとも1つの腹膜透析溶液供給部のうちの1つに流体接続できるように構成されており、前記処方指示に基づいて前記治療ステーションで腹膜透析治療を行うために、前記特定された量の前記特定されたタイプの前記腹膜透析溶液を、接続された前記透析溶液供給部から前記患者に計量供給することができる、少なくとも1つの治療ステーションと、
を備えるシステム。
【請求項15】
前記特定されたタイプの前記腹膜透析溶液は、複数の異なるデキストロースまたはグルコースレベルの腹膜透析溶液から選択された、特定されたデキストロースまたはグルコースレベルの腹膜透析溶液を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記腹膜透析溶液の前記特定された量は、前記腹膜透析治療のための前記腹膜透析溶液の総量である、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
複数の腹膜透析患者に腹膜透析溶液交換を施すための施設であって、
前記施設に配置され、複数の患者が同時に使用するように構成された少なくとも1つの腹膜透析溶液供給部と、
前記施設で前記腹膜透析患者に腹膜透析溶液を送達するように構成された複数の腹膜透析ディスポーザブルセットと、
前記施設に配置された少なくとも1つのコンピュータであって、
患者の処方指示を電子的に読み取ること、
前記処方指示から前記腹膜透析溶液の処方指示された量を電子的に特定すること、
前記処方指示から前記腹膜透析溶液の処方指示されたタイプを電子的に特定すること、および
前記処方指示から、処方指示された腹膜透析ディスポーザブルセットを電子的に読み取ることであって、前記処方指示された腹膜透析ディスポーザブルセットが、前記複数の腹膜透析ディスポーザブルセットのうちの1つである、ことと、
を行うように構成され配置された少なくとも1つのコンピュータと、
前記施設内に配置された少なくとも1つの治療ステーションであって、前記患者が前記処方指示された腹膜透析ディスポーザブルセットを、複数の患者が同時に使用できる、前記少なくとも1つの腹膜透析溶液供給部のうちの1つに接続できるように構成されており、前記処方指示に基づいて前記施設で腹膜透析治療を行うために、前記特定された量の前記特定されたタイプの前記腹膜透析溶液を、接続された前記透析溶液供給部から前記患者に計量供給することができる、少なくとも1つの治療ステーションと、
を備える施設。
【請求項18】
複数の治療ステーションを備え、前記複数の治療ステーションは、自動腹膜透析エリアおよび連続携行式腹膜透析エリアを含む異なるエリアに区分されている、請求項17に記載の施設。
【請求項19】
前記治療ステーションの前記異なるエリアは、同一のバッチ式腹膜透析溶液タンクから複数の患者が腹膜透析溶液を受け得るバッチ式腹膜透析エリアを更に含む、請求項18に記載の施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、腹膜透析治療に関する。より詳細には本開示は、単一の箇所にいる複数の患者に対して簡便且つ安価な腹膜透析治療を可能にするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]腎臓によって毒素や老廃物が血液から適正にろ過されない腎臓病を患っている人は多い。腎臓障害が起きると、血液や組織中で水やミネラルが不平衡な状態となり、また窒素代謝による毒性の最終生成物(例えば、尿素、クレアチニン、尿酸その他)が蓄積する可能性がある。腎臓が障害された人は、少なくとも腎臓のろ過機能を代替することなく生命を維持することは不可能である。
【0003】
[0003]腎臓病を患った患者を治療するためには様々な形態の透析治療が使用されている。透析治療の一形態は、患者の血液を人工的な腎臓透析装置に通して浄化した後に患者に戻し入れるような血液透析である。血液透析は体外性の処置であるため、治療に関連してある種の制約が存在する。例えば治療は典型的には、数時間続くと共に、治療センターで毎週約3回実行されるのが一般的である。
【0004】
[0004]第2の形態の透析治療は、人工腎臓ではなく患者自身の腹膜を半透過膜として使用するような腹膜透析である。腹膜透析に対する利点の1つは、患者が医療施設を訪問したり、又は血液透析治療に関連する高価な装置を利用することなく自宅で治療を受けられることである。
【0005】
[0005]患者が腹膜透析治療を受けるときに、埋め込まれたカテーテルを通して腹膜内に透析溶液が周期的に注入される。透析溶液と血流の間で、通常は腎臓によって排泄される水、毒素及び老廃物を除去するように天然の身体膜を横切った拡散及び浸透交換が生じる。ある時間期間の後、使用済の透析溶液は腹膜から排出され、未使用流体で置き換えられる。透析溶液が患者の腹膜に留まる時間期間のことを貯留時間と呼ぶ。
【0006】
[0006]一般に、自動腹膜透析(「APD」)と連続携行式腹膜透析(「CAPD」)という2つのタイプの腹膜透析治療が存在する。APDは透析装置を用いて、埋め込まれたカテーテルを通して腹膜に対する透析溶液の排出、充填及び貯留を行う。患者が透析装置に接続されている間に排出、充填及び貯留のサイクルが数回行われるのが通常である。APDの主たる利点は、これが患者にとってハンズフリーであり、このため夜間の患者の就寝中に実行可能であり、これにより昼間は患者が解放されることにある。
【0007】
[0007]CAPDでは、埋め込まれたカテーテルを通して透析溶液が手作業で腹膜内に導入される。貯留時間の間、透析溶液と血液の間で溶質の交換が実現される。この交換が実現された後、患者は透析溶液を手作業で腹膜から排出させ且つ排出された溶液を手作業で未使用流体に置き換えている。このプロセスは、医師の処方指示ごとに反復される。CAPDの利点の1つは、患者に充填及び排出するのに重力が使用されるため患者が装置を必要としないことである。
【0008】
[0008]患者がAPDを行うかCAPDを行うかによらず、患者の処方指示によって昼間の交換が求められることがある。昼間の交換の間に患者は、患者の腹膜から使用済みの透析液を排出すると共に、腹膜を透析液の未使用サプライで満たす。昼間の交換は特に仕事をしている患者にとっては厄介となる可能性がある。患者が自宅に戻れない場合、患者は職場で場所を見つけて処置を行わなければならない。処置の実行に必要な溶液やディスポーザブル品もまた、職場に備えておく必要がある。材料の転送及び保管並びに処置は、患者にとって気まずかったり、恥ずかしかったりすることがある。
【0009】
[0009]したがって、特に昼間の交換などの単一の交換についての改良型の腹膜透析治療に対する要求が存在する。
【発明の概要】
【0010】
[0010]本開示はこれらの要求や他の要求について、複数の患者が、患者が未使用透析溶液や関連する供給品を自宅や職場に保管しておく必要がないように遠隔の箇所において腹膜透析治療を受けることを可能にするシステム及び方法を提供することを追求するものである。本システム及び方法は、例えば昼間に透析治療を実行するために自宅に戻る時間がないような患者にとって有用である。本システム及び方法は、専用の在宅透析装置へのアクセスをもたない又は専用の在宅透析装置を有する手段をもたない発展途上国や低所得地域の患者にとって有用である。本システム及び方法はまた、好都合で且つ費用対効果がよい方式で多数の患者に効果的な腹膜透析治療を提供できる。例えば本システム及び方法では、患者が職場に向かう途中や職場からの帰り道に、仕事の合間に、又は他の日常的活動の合間やこれに関連させて本開示に従った施設に立ち寄ることが可能であり、仕事や日々の予定が多忙な患者が使用することができる。多忙な患者は、例えば充填(又は、排出及び充填)セッションのために施設に立ち寄り、次いで後のある時点で自宅に戻ったときに後続の排出(又は、排出及び充填)セッションを実行することによって、自分の時間を最適化するように本開示に従った施設と連携して在宅装置を使用することが可能である。
【0011】
[0011]本システム及び方法は施設を含む。この施設は、複数の腹膜透析治療ステーション又は複数の腹膜透析治療室を含む。各治療ステーション又は治療室は、1つ又は複数の腹膜透析患者交換を実行することができる。透析ステーション又は透析室には、テレビ、コンピュータ、ヘッドホン、タブレット、インターネットアクセス、その他などの電気機器及び/又は娯楽機器が装備されており、これにより患者は交換の間(また、患者が複数回の交換を実行する場合には長時間にわたって)接遇を受けることや仕事を行うことが可能となることが企図される。したがって患者は、職場を離れ、施設に行き、且つ患者の内部作業ウェブサイトにログインして仕事を継続したままで交換を実行することができる。
【0012】
[0012]施設は、代替として職場に配置させることが可能であり、これによれば患者は仕事の前、仕事の間又は仕事の後でその作業予定に邪魔されることなく簡便に治療を受けることができる。施設はさらに代替として、例えば住戸や滞在箇所にいる者が自分自身の透析装置を所有すること又は自分自身のディスポーザブル供給品を保管することを要することなく簡便に治療を受けられるように、住戸内やその近傍、鉄道駅、バスステーションや空港、又はホステル又は他の一時滞在箇所に配置させることが可能である。このような施設は、滞在者の大部分が専用の在宅透析装置にアクセスする手段や専用の在宅透析装置へのアクセスを有しないような発展途上国において特に有用である。ある種の国々(例えば、アジア)では、従業員が平日は職場の近くで生活しまた週末は自宅に戻ることができるように職場の近くに一時滞在箇所を設けている。本開示の施設はこのような任意の一時滞在箇所又は一時滞在箇所の近くに配置させることが可能である。
【0013】
[0013]各施設はフロントデスク又はエントリエリアを有することが企図される。施設への患者訪問は、予約方式によること及び/又はウォークイン型事業に対応することが可能である。患者はある実施形態では、患者の療法処方指示を有するコンピュータ可読媒体又は患者の処方指示の確認を可能にさせる他の患者識別子を所持している。確認が終わると患者は、施設の治療エリアに入ることが許可され、正しいタイプ(例えば、バッチ式かバッグ入りか)の充填装置に接続され、且つ処方指示されたディスポーザブル供給品の提供を受ける。患者は次いで、例えばカーテンや個室間仕切りによって遮蔽されることがある指定された交換ステーションに進む。
【0014】
[0014]交換ステーションは、本開示の譲受人によって提供されるHomeChoice(商標)やHomeChoicePro(商標)装置などの自動腹膜透析(「APD」)装置を含むことが可能である。このステーションは代替形態として、連続携行式腹膜透析(「CAPD」)治療を提供するように構成することが可能である。ある実施形態では施設は、任意の操作透析処方指示の要求を満足するセンター内APDとCAPDステーションの両方を提供する。
【0015】
[0015]APD治療とCAPD治療の両方でディスポーザブルセットが使用される。APDディスポーザブルセットは典型的には、APD装置に結合され且つAPD装置によって操作されるディスポーザブルのポンプ用カセットを必要とする。ディスポーザブルカセットには複数のチューブが接続されている。これらのチューブは、患者、ドレイン、及び腹膜透析溶液又は透析液の1つ又は複数の供給バッグに接続される。CAPDディスポーザブルセットは、装置とやり取りする必要がないため典型的にはより単純である。このセットは、患者、ドレイン、及び1つ又は複数の透析流体供給に接続するための複数のチューブを含む。このセットは、サイクル間の切り替えのために手動操作式のバルブを用いることや、これに代えて手動ピンチクランプを用いることがある。
【0016】
[0016]バッグ入り溶液を用いるかバッチ溶液を用いるかによらず患者には、正しい量及び種類の透析溶液が提供される。CAPD治療では、患者は治療エリアに入った後に、自身の流出透析流体を手作業で排出し、次いで自身の腹膜に施設によって提供された透析溶液を手作業で充填する。センター内APD治療では患者は、指定された透析装置まで進む。患者には、1回又は複数回の自動交換を実行するために装置内に装填された当該装置用のカセットが提供される。
【0017】
[0017]各施設におけるドレインは、大型の共同体や家屋ドレインを含むことが可能である。共同体又は家屋ドレインによって、複数の患者による共通のタンク又は水盤への迅速な排出が可能になる。共通のドレインに対する滅菌性の接続及び分離が保証されるような構造及び方法が提供されており、詳細には以下で検討するような大型の透析液保管槽又はマルチ治療充填用容器についても同様である。例えば治療エリアは、滅菌性の接続のために滅菌ユニット(例えば、UV放射)や滅菌薬剤(例えば、清拭用アルコール)を提供することが可能である。治療エリアはまた、治療や患者看護を強化するためにそのすべてが使用できるような計量器、血圧用腕帯及びサンプル収集バッグや関連する分析器も提供することがある。
【0018】
[0018]患者は代替形態として、単一の患者ドレイン容器又はバッグに排出することが可能である。共同体のドレイン容器状況又は単一のドレイン容器状況の何れにおいても、患者の流出物のサンプルを取ることが可能であることが企図される。患者が希望する場合及び/又は患者の処方指示によって流出物分析の実行が求められる場合に、施設がオンサイトで流出物分析を実行することが明示的に企図される。施設の家屋ドレインは、生物系廃棄物の処分に関する規制に準拠させる。同様に施設は、流出物廃棄容器及び使用済みのディスポーザブルのカセットやセットを適正に処分するような装備としている。
【0019】
[0019]代替形態として使用済みの透析液を捨てるのではなく、流出透析液のうちの一部又は全部を、例えば吸着剤システムを用いて使用可能な透析液に再生成させることがある。吸着剤システムは、患者から吸収した流出透析液から不用な成分(例えば、毒素、繊維素及び代謝老廃物)を除去することによって、この透析液を再度使用することを可能とさせる。吸着剤システムはまた、再生成させた透析液に望ましい成分(例えば、デキストロース、グルコース及び/又は塩)を添加し、透析液を再構成すると共に、限外ろ過除去のための所望の浸透勾配を維持することが可能である。吸着剤システムを用いて施設によって収集した流出透析液を清浄することによって、施設は発注し保管しておかねばならない未使用透析液の量を低減することが可能となる。例えば1人の患者は未使用透析液を毎月数百リットル使用する可能性があり、したがってサービス提供する患者が百人しかいない小さい施設であっても、その施設が吸着剤システムを備えて使用済み透析液を再生成した場合にその未使用透析液の在庫を1か月あたり数千リットル削減することが可能である。吸着剤システムを用いて施設によって収集した流出透析液を清浄することによってさらに、環境に対して廃棄される使用済み流体の量が低減される。
【0020】
[0020]代替形態として又は吸着剤再生成に対する追加として、電気透析(「ED」)、逆電気透析(「EDR」)、電気脱イオン(「EDI」)、限外ろ過、逆浸透ろ過、紫外放射、又はオゾンのうちの任意の1つ又は複数などの他の形態の流出物清浄が再生成のために使用されることがある。オゾンは、酸素に紫外光を当てることによってオンラインで生成することが可能である。このオゾンは次いで、例えばベンチャーポンプを介するなどにより流出物ストリーム内に引き入れることが可能である。オゾンは陽圧下では十分に貯蔵されない傾向がある。
【0021】
[0021]透析溶液や透析液は、バッグ入りとすること、又は大型の保管槽に保管することが可能である。自宅や職場で使用される透析液は典型的にはバッグ入りであり、また本開示の施設においてはバッグ入りの透析液の使用が企図される。代替として又は追加として透析液は、複数の患者に共通な大型の槽内に保管することが可能である。透析液は異なる多様な形で(例えば、デキストロースやグルコースの異なるレベルを有するように)提供されており、また個々の各患者についてその処方指示ごとに設定される。昼間の交換では例えば、患者の処方指示された夜間透析液と異なる透析液が使用される。これに従って、グルコース又はデキストロースのレベルが異なる透析液を有する異なる槽が設けられることが企図される。
【0022】
[0022]槽はそれぞれに、その各々が例えば重力送達用の異なる患者ラインに接続している複数の出口を有することがある。新たな接続部のそれぞれが流体を患者に流すのが許可される前に滅菌されるように、各出口の周りに紫外(「UV」)ランプが配置されることが企図される。UVランプは、接続と切断を可能とさせるように開かれるクラムシェルの形態とすることが可能である。接続後にクラムシェルは閉じられると共に、接続部がUV滅菌される。接続部は代替として又は追加として、例えば過酸化水素蒸気、ガンマ照射、過酢酸、酸化エチレン、エタノール、ホルマリン、グルタルアルデヒド、低エネルギー電子ビーム及び/又は当技術分野で周知の他の任意の滅菌方法の使用によるなど他の方法によって滅菌することが可能である。安全のために、これらの滅菌方法のうちの幾つかは、患者から隔離された部屋で実行されることがある。
【0023】
[0023]本明細書の様々な実施形態は、医療費償還を有しておらず、透析治療を要する患者が治療を受ける余裕がないような国々を対象としている。ここで主要な目標の1つは、ディスポーザブル品廃棄の量、またしたがってディスポーザブル品のコストをできる限り大幅に低減することである。ディスポーザブル品廃棄の量を低減するために妥当な方法の1つは、未使用と消耗済み透析流体に接触する成分を再生し且つ再使用することである。したがって以下で検討する複数の実施形態では、再使用可能なドレイン容器が提供される。再使用可能なドレイン容器は可搬式である。患者は、施設に入ると乾燥した消毒済みのドレイン容器を受け取り、且つリモートの交換を実施し終えた後に流出流体で充填されたドレイン容器を返却する。
【0024】
[0024]一実現形態では再使用可能なドレイン容器は、充填され、滅菌され且つ加熱された充填用容器及び再使用可能なCAPDセットと結合される。患者は、施設に入った後に3つすべての再使用可能ユニットを受け取り、これを患者ステーションまで運び、リモートのPD交換を実行し、且つ再生のために使用済みのユニットを持って行き施設のフロントデスクに戻す。ユニットを受け取るためにデポジットが要求される場合、患者はユニットの返却に対してデポジットを受け取ることがある。
【0025】
[0025]次いで3つのユニットの各々が再生される。一実施形態では、ドレイン容器、充填用容器及びCAPDセットのうちの幾つか又は全部は、消毒のため、滅菌のため、また充填用容器に滅菌された透析液を再装填するために外部の箇所(例えば、中央箇所)に送られる。代替形態としてドレイン容器は、治療施設で消毒されることがある。しかし、この第1の実現形態では透析液及び流体の調製及び滅菌に使用する装置を外部箇所に配置させること、並びに施設が最小限の装置を維持することが企図される。例えば施設に必要なのは、充填された再使用可能な充填用容器、また単なるドレイン容器の消毒(滅菌ではなく)だけで容認可能である場合で恐らくは再使用可能なドレイン容器を消毒するための熱水消毒浴やユニットを加温するためのより大型の加温器のみのことがある。再生の大部分は、外部箇所で実施されており、毎日使用済みのユニットが治療施設から搬出されまた再生されたユニットが治療施設に搬入される。
【0026】
[0026]さらに、CAPDセットを保持するパウチを提供することが企図される。パウチは、搬送のために再使用可能なドレイン容器に対して離脱可能にスナップ留めされる。CAPDセットは、配管脚の1つが患者まで続いており、第2の配管脚が充填用容器まで続いており、且つ第3の配管脚がドレイン容器まで続いているような3つの配管脚を有するように構成されることがある。この3つの脚は接合点に集まっている。患者が排出フェーズ又はシーケンスからフラッシングフェーズ又はシーケンス(プライミングのため)に、また次いで患者充填フェーズ又はシーケンスに切り替えることを可能にするために、接合点に手動フロー制御デバイスが設けられている。CAPDセットは代替形態として、単一のラインとなるように構成されることがある。ここで患者は、この単一のラインを先ず患者及びドレイン容器に接続し、患者排出を実行する。患者は次いで、このラインをドレイン容器から外すと共に、このラインの同じ端部を充填用容器に再接続する。患者は次いで患者充填を実行するが、これには恐らくはシングルラインCAPDセットに設けられた疎水性ベントを通して空気を先ずベントすることによって患者ラインをプライミングすることが必要である。
【0027】
[0027]シングルラインCAPDセットは、3脚式CAPDセットと比べて消毒及び滅菌をより容易にし得る。排出ラインは特に、繊維素や他の患者粒子状物で満たされた状態になることがある。シングルラインCAPDセットでは、このような粒子状物のフラッシングをより簡単とすることができる。さらに、充填のためのシングルラインAPDセットの患者への再接続は、粒子状物の一部を患者充填の終了前に患者に押し戻し、これによりリモートの交換の完了後におけるこれらの粒子の除去を不要にすることがある。しかしながら、3脚式APDセットもまた患者粒子状物を適正に除き且つその後に消毒することが可能であることが企図される。
【0028】
[0028]別の実現形態では再使用可能なドレイン容器は、永久型又は半永久型の充填システムと結合されている。すなわち治療施設の各CAPD患者ステーションには、適所に据え付けられており、且つ治療施設のフロントデスクから出したり入れたり搬送させない充填システムが設けられる。充填システムは、作動ユニット及び充填用容器を含む。充填用容器は、作動ユニットの内部に置かれており、且つ清浄、置換又は頻繁でない他の何らかの目的で取外しが必要となるまでユニット内に留められる。作動ユニットは、充填用容器をユニットから容易に取外し可能となるように少なくとも1つの面に沿って開かれている。作動ユニットは、複数のバルブを制御すると共に複数のセンサからの読み値を記録する制御ユニットを含む。バルブ及びセンサは、電気配線を介して作動ユニットに繋げられており、このため通常使用時において移動させまた充填用容器へ離脱可能に結合させること、並びに何らかの理由で容器を作動ユニットから除去する必要があるときに充填用容器から取り外すことが可能となる。バルブは、容器充填及び容器注出を実行するために充填用容器に至る又は充填用容器からのチューブについて、挟んで閉鎖させたり挟み付けを開いたりする。センサは、制御ユニットに対して液体温度や導電率フィードバックなど必要なフィードバックを提供する。
【0029】
[0029]作動ユニットは一実施形態では、充填用容器にどれだけの液体が送達されたか及びどれだけの透析液が充填用容器から注出されたかを記録する計量器を含む。作動ユニットは、必要なものが何かに応じて他のアクチュエータを含む。例えば充填用容器に提供される液体が十分に滅菌性でない場合、作動ユニットには必要な残りの滅菌を実行するために液体を照射する複数の紫外(「UV」)ライトが装備される。充填用容器に提供される液体が体温まで加熱されていない場合、作動ユニットには液体を適正な温度まで加熱する1つ又は複数の加熱用コイルが設けられる。充填用容器に提供される液体が透析液ではなく浄化水である場合、充填用容器には透析添加剤(例えば、顆粒化又は粉末化された添加剤)を受け入れるための取外し可能キャップが設けられる。作動ユニットの導電率センサはその制御ユニットに、添加剤が適正な体積の水と混合済みであることを確認するための信号を送信する。添加剤は、裂開式のパケットに入れて提供することが可能である。
【0030】
[0030]永久型又は半永久型の充填システムに対して追加して単独の滅菌ユニットを設けることが可能である。滅菌ユニットは、使用の箇所及び時点でCAPDセットについて必要な追加の任意の滅菌を提供するために使用される。充填システム及び滅菌ユニットと一緒に3脚式又はシングルラインCAPDセットの何れかを使用することが可能である。滅菌ユニットは一方、PDセット滅菌を必要とする本明細書に記載した任意の実施形態と一緒に使用することが可能である。
【0031】
[0031]滅菌ユニットは一実施形態では、ベース及び蓋を伴ったクラムシェル又は蝶番形構成を含む。このベース及び蓋にはそれぞれ、CAPDセットを照射して滅菌するUVライトが設けられている。患者は、CAPDセットをベース内にセットし、蓋を閉じ、且つスイッチ又はボタンを押下して滅菌を開始させる。一実施形態では、最悪のシナリオであってもCAPDセットを滅菌できるような知られたプリセットの時間量にわたってUV照射が行われ、次いで自動的にシャットダウンされる。患者は、使用するためにCAPDセットを即座に取り外すことが可能である。滅菌ユニットの照射を交換の合間の消毒(例えば、熱水槽を介する)と組み合わせることによって、CAPDセットを滅菌されたバッグの形に包装する必要がなくなり、ディスポーザブル品廃棄が低減される。CAPDセットは再使用されており、ディスポーザブル品廃棄はさらに低減される。
【0032】
[0032]充填システム、再使用充填用容器、再使用ドレイン容器及び滅菌ユニットによって治療施設を自己充足型とすることが可能である、すなわち再生センターに対する搬入搬出を不要にすることが可能である。一実施形態では治療施設が有する必要があるのは、局所性の患者ステーション充填システム及び滅菌ユニットと組み合わせて使用するための1つ又は複数の準備室水浄化ユニット、準備室熱水槽消毒システム又はユニット、及び恐らくは準備室予熱器だけである。一実施形態において生成される唯一の廃棄品は顆粒化又は粉末化された透析添加剤を保持するために使用したパケットだけである。
【0033】
[0033]本発明のシステム及び方法によれば、患者は在宅治療と1つ又は複数の腹膜透析施設での治療とを交互にすることが可能である。在宅治療は、PD治療とすることも、血液透析(「HD」)などの血液治療とすることも可能である。HDとPDの処方計画を組み合わせることが有益であることが提唱されている。PD施設はまた、仕事やビジネスで旅行中のHD患者にとってもより好都合となり得る。
【0034】
[0034]患者の在宅治療や施設内治療に関連するデータを電子診療記録データベースに記憶させるためにウェブポータルを通して患者の在宅装置及び様々な施設に対して1つ又は複数のサーバコンピュータを接続することが可能である。データベースは、患者の処方指示のパラメータを確認するため及び/又は患者が施設で治療を受けることの確認若しくは許可のために、患者が治療を必要とするたびごとにアクセスすることが可能である。したがって患者はコンピュータ可読媒体を持ち運ぶ必要がない。これに代えて患者をシステム上に記録し且つシステム上に配置させておくことが可能である。システムによってまた、患者の担当医が患者の治療にアクセスし且つ変更することが可能となる。患者の在宅装置と様々な施設の両者は更新された情報を即座に受け取ると共に、これに従って患者の治療を調整することが可能である。
【0035】
[0035]しかしシステムは必ずしもサーバ方式とする必要はないことを理解すべきである。これに代えて施設は、例えばフラッシュドライブ又はコンピュータスティックを介して患者の処方指示を受け入れて確認するためにコンピュータを使用すること、及び患者の処方指示された溶液種別及び体積を特定することが可能である。この代替的な施設は、サーバ方式のシステムやウェブサイトが実現可能でないような発展途上国や他の地域において使用することが可能である。発展途上国では、ペリスタルティックな(peristaltic)処置のうちの一部又は全部を施設で実行することが可能である。
【0036】
[0036]本システム及び方法によれば患者は、1日中自宅に戻ることを要することなく好都合に腹膜透析治療を受けることが可能となる。本システム及び方法は、例えば患者が本開示の治療施設のうちの1つにおいてすべての腹膜透析交換のうちの全部又は大部分を実行すると想定すると、患者が自宅に大量の透析溶液を保管しなければならないことから患者を解放することが可能である。患者が居住する町又は市の全体にわたって幾つかの治療施設が配置されていれば患者は、所与の日に何を行わなければならないかによらず、腹膜透析治療への好都合なアクセスを見出せる可能性が高い。
【0037】
[0037]したがってリモートの腹膜透析交換を実行するためのシステム及び方法を提供できることが本開示の利点である。
【0038】
[0038]好都合に腹膜透析交換を提供するためのシステム及び方法を提供できることが本開示の別の利点である。
【0039】
[0039]腹膜透析交換を在宅腹膜透析治療と組み合わせて実行するためのシステム及び方法を提供できることが本開示のまた別の利点である。
【0040】
[0040]リモートの腹膜透析交換施設から患者のクリニックや病院に治療データを伝送するためのシステム及び方法を提供できることが本開示のさらに別の利点である。
【0041】
[0041]選択可能な複数の治療の提供方法が存在するようなリモートの腹膜透析交換を提供するためのシステム及び方法を提供できることが本開示のさらにまた別の利点である。
【0042】
[0042]リモートの腹膜透析交換をディスポーザブル品廃棄を低減させた方式で提供するためのシステム及び方法を提供できることが本開示のさらに別の利点である。
【0043】
[0043]リモートの腹膜透析交換を安全且つ滅菌性の方式で実行するためのシステム及び方法を提供できることが本開示のさらにまた別の利点である。
【0044】
[0044]さらにまた、透析流体の再使用及び/又は透析流体の作成をオンラインで行うリモートの腹膜透析交換を提供するためのシステム及び方法を提供できることが本開示の利点である。
【0045】
[0045]さらにまた、生じるディスポーザブル品の廃棄又はコストが非常に少ない腹膜透析システム及び方法を提供できることが本開示の利点である。
【0046】
[0046]使用の箇所及び時点で治療流体及び治療セットを滅菌する腹膜透析充填ユニット及び滅菌ユニットを提供できることが本開示のさらに別の利点である。
【0047】
[0047]再使用のための再生が可能である再使用可能な充填用容器、ドレイン容器及びCAPDセットを提供できることが本開示のさらに別の利点である。
【0048】
[0048]追加の特徴及び利点が、本明細書に記載されており、また以下の詳細な説明及び図面から明らかとなろう。本開示は、例えば、以下のようなシステム及び方法も含む。
[態様1]
充填用容器と、
充填用容器を取外し可能に受け入れる作動ユニットであって、作動ユニットによって受け入れられたときの充填用容器に対して、充填用容器内にある間の流体を患者の腹腔への送達のための生理学的に安全な状態に置くように構成され配置された滅菌源を含む、作動ユニットと、
を備える腹膜透析システム。
[態様2]
流体が水又は透析液である、上記態様1の腹膜透析システム。
[態様3]
流体が水であり、腹膜透析システムが、水と混合されたときに患者の腹腔への送達に適した透析液を形成する添加剤のパケットを含む、上記態様1の腹膜透析システム。
[態様4]
充填用容器が、パケットから添加剤を受け取るための開口部を提供する、上記態様3の腹膜透析システム。
[態様5]
滅菌源が、複数の紫外線(「UV」)ライトを含む、上記態様1の腹膜透析システム。
[態様6]
滅菌源が、作動ユニットによって受け入れられたときに充填用容器の複数の側面に隣接して配置される複数のパネルを含む、上記態様1の腹膜透析システム。
[態様7]
作動ユニットが、充填用容器に流体がどれだけ送達されたかを測定するための計測デバイスを含む、上記態様1の腹膜透析システム。
[態様8]
計測デバイスが計量器を含む、上記態様7の腹膜透析システム。
[態様9]
作動ユニットが、作動ユニットによって受け入れられたときの充填用容器内の流体を加熱するように位置決めされ配置された加熱器を含む、上記態様1の腹膜透析システム。
[態様10]
充填用容器の入口又は出口のうちの少なくとも一方と一緒に選択可能に動作可能となるように作動ユニットに操作可能に接続された少なくとも1つのバルブを含む、上記態様1の腹膜透析システム。
[態様11]
充填用容器が入口チューブ及び出口チューブを含み、少なくとも1つのバルブが、入口チューブと一緒に動作可能な充填バルブと、出口チューブと一緒に動作可能な注出バルブとを含む、上記態様10の腹膜透析システム。
[態様12]
作動ユニットが、制御ユニットと、制御ユニットにフィードバックを提供する少なくとも1つのセンサとを含む、上記態様1の腹膜透析システム。
[態様13]
少なくとも1つのセンサが充填用容器に取外し可能に結合されている、上記態様12の腹膜透析システム。
[態様14]
作動ユニット)から分離された滅菌ユニットであって、腹膜透析セットを受け入れるようなサイズにされ、腹膜透析セットを患者の腹腔へ流体を送達するための生理学的に安全な状態に置くように構成された滅菌ユニットを含む、上記態様1の腹膜透析システム。
[態様15]
滅菌ユニットが、腹膜透析セットを生理学的に安全な状態に置くために紫外線(「UV」)放射を使用する、上記態様14の腹膜透析システム。
[態様16]
作動ユニット及び滅菌ユニットから分離された消毒ユニットであって、滅菌ユニットを用いて腹膜透析セットを生理学的に安全な状態に置く前に腹膜透析セットを消毒するように構成された消毒ユニットを含む、上記態様14の腹膜透析システム。
[態様17]
消毒ユニットが熱水消毒ユニットである、上記態様16の腹膜透析システム。
[態様18]
作動ユニットから分離されており、作動ユニットを用いて流体を生理学的に安全な状態に置く前に流体を浄化するための流体浄化ユニットを含む、上記態様1の腹膜透析システム。
[態様19]
流体浄化ユニットが蒸留、逆浸透、炭素ろ過、紫外線(「UV」)放射、電気脱イオン、限外ろ過又はこれらの任意の組合せからなる群より選択された少なくとも1つのプロセスを使用する、上記態様18の腹膜透析システム。
[態様20]
患者に提供される腹膜透析セットと、
腹膜透析セットを患者に提供する前に腹膜透析セットを消毒するように構成された消毒ユニットと、
腹膜透析セットを受け入れるようなサイズにされ、腹膜透析セットを患者の腹腔へ流体を送達するための生理学的に安全な状態に置くように構成された滅菌ユニットと、
充填用容器と、
充填用容器を取外し可能に受け入れる作動ユニットであって、作動ユニットによって受け入れられたときの充填用容器に対して、充填用容器内の流体を患者の腹腔への送達のための生理学的に安全な状態に置くように構成され配置された滅菌源を含む、作動ユニットと、
を備える腹膜透析システム。
[態様21]
単一の施設内に設けられる、上記態様20の腹膜透析システム。
[態様22]
透析用の添加剤パケット、消毒された腹膜透析(「PD」)セット及びドレイン容器を患者に提供するステップと、
患者ステーションにおいて、滅菌ユニットと、充填用容器を収容する作動ユニットとを提供するステップと、
滅菌ユニット内に消毒された腹膜透析セットを配置することを患者に可能とさせるステップと、
滅菌ユニットに対して、消毒された腹膜透析セットを患者に使用するための生理学的に安全な状態に置かせるステップと、
添加剤パケットの内容物を作動ユニットによって収容された充填用容器内に空けることを患者に可能とさせるステップと、
充填用容器に対して、浄化水を充填させ添加剤の内容物を浄化水と混合して腹膜透析液を形成させるステップと、
生理学的に安全な腹膜透析セットを用いて流出流体をドレイン容器に排出することを患者に可能とさせるステップと、
腹膜透析液を加熱し滅菌して、生理学的に安全であり且つ適正に加熱された透析液を形成するステップと、
流出流体の排出が完了し、透析液が生理学的に安全であり適正に加熱されたときに、充填用容器から腹膜透析セットを通して生理学的に安全であり適正に加熱された透析液が充填されることを患者に可能とさせるステップと、
を含む腹膜透析法。
[態様23]
ドレイン容器に排出される流出流体の量を計量するステップを含む、上記態様22の腹膜透析法。
[態様24]
患者に送達される生理学的に安全であり適正に加熱された透析液の量を計量し、送達された量を排出された量から差し引き、患者から除去された限外ろ過(「UF」)の量を測定するステップを含む、上記態様23の腹膜透析法。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本開示の腹膜透析交換施設を配置するための一実施形態の斜視図である。
図2】本開示の腹膜透析交換施設を配置するための別の実施形態の斜視図である。
図3】患者が本開示の腹膜透析交換施設に入った後に治療セッションを開始するための一実施形態の斜視図である。
図4】本開示の交換施設のバッチ治療エリアを構築するための一実施形態の斜視図である。
図5】本開示の交換施設のバッチ又は連続携行式腹膜透析(「CAPD」)治療エリアを構築するための一実施形態の斜視図である。
図6A】本開示の交換施設のCAPD治療エリアに関する再使用可能な供給及びドレイン容器システムを構築するための一実施形態の斜視図である。
図6B図6Aの再使用可能な供給及びドレイン容器システムと一緒に使用可能なCAPDセットの一実施形態の平面図である。
図6C図6Aのシステムが本開示の交換施設のCAPD治療エリアの一実施形態で使用されているところを示した斜視図である。
図6D】ハブアンドスポーク型の施設構成を用いた図6A及び6Bの再使用可能な供給及びドレイン容器システム並びにCAPDセットに対する清浄及び再生に関する一実施形態を示した概略図である。
図7A】代替的な双方向CAPDセットを伴った図6Aの再使用可能な供給及びドレイン容器システムを用いて患者排出処置を実施している本開示の交換施設のCAPD治療エリアの一実施形態の斜視図である。
図7B】代替的な双方向CAPDセットを伴った図6Aの再使用可能な供給及びドレイン容器システムを用いて患者充填処置を実施している本開示の交換施設のCAPD治療エリアの一実施形態の斜視図である。
図8A】永久型又は半永久型の充填システムの一実施形態を用いた本開示の交換施設のCAPD治療エリアの斜視図である。
図8B図8Aのシステムで使用可能な永久型又は半永久型の充填システムの一実施形態の斜視図である。
図8C図8A及び8Bの永久型又は半永久型の充填システムと一緒に使用可能な充填用容器の一実施形態の斜視図である。
図8D図8A及び8Bの永久型又は半永久型の充填システムと一緒に使用可能な作動ユニットの一実施形態の斜視図である。
図8E図8A及び8Bの永久型又は半永久型の充填システムと一緒に使用可能な作動ユニットの一実施形態の上部平面図である。
図8F図8A及び8Bの永久型又は半永久型の充填システム並びに本明細書で検討した他のシステム実施形態の何れかと一緒に使用可能な滅菌ユニットの一実施形態の斜視図である。
図8G】規定された体積の水と混合したときに化学的に平衡状態の透析液を生成するような透析添加剤を包含するパケットに関する一実施形態の斜視図である。
図9】本開示の交換施設の自動腹膜透析(「APD」)治療エリアを構築するための一実施形態の斜視図である。
図10】本開示に従った腹膜透析交換施設の一実施形態の平面図である。
図11】本開示に従った腹膜透析交換施設のバッチ腹膜透析治療エリアの一実施形態の斜視図である。
図12】本開示に従った腹膜透析交換施設の自動腹膜透析(「APD」)装置治療エリアに関する一実施形態の平面図である。
図13】本開示に従った腹膜透析交換施設の連続携行式腹膜透析(「CAPD」)装置治療エリアに関する一実施形態の平面図である。
図14】本開示に従ったシステムに関する一実施形態のブロック概要図である。
図15】本開示に従ったシステムに関する別の実施形態のブロック概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
治療施設配置
[0074]ここで図面、及び特に図1を参照すると、本開示の治療施設100を配置するための一実施形態を示している。治療施設100は1人又は複数人の透析患者16を含む歩行者14の行き来が多い大都市に通行量が多い街路12に沿って配置されることが企図される。患者16は腹膜透析(「PD」)患者に限定することが可能である。しかし医師又は臨床医が同意した場合は、血液透析(「HD」)、血液ろ過(「HF」)又は血液透析ろ過(「HDF」)を受けることが典型的であるような患者にも施設100で1つ又は複数のPD交換の実行が可能であることが企図される。例えば、仕事や休暇で来ている患者16が患者の通常の治療に代えて施設100でPD治療を実行すること(そうすることがより好都合である場合)が可能である。
【0051】
[0075]街路12は図示した実施形態では、人通りの多い歩道のある通行量が多い街路であり、これにより施設100に対する視認性が高い。図1では治療施設100は、建築物22及び24と境を接する建築物20内にある単一の事業所である。施設100は代替形態として、建築物22又は24などのこれより大きな建築物や高層建築の内部に収容された多くの事業所のうちの1つである可能性もある。街路12は、通行量が多い都市街路とすること、或いは例えばモール、ストリップモール、ビジネスパーク、又は別の視認性が高い箇所など郊外の街路や道とすることが可能である。施設100は、希望する場合に病院、医療センター又は医師のオフィスに配置すること、或いはこれらの近くに配置することが可能である。施設100は、図1に示したように明瞭に表示すること、又は個別の出入り口について総体で示すことが可能である。
【0052】
[0076]図10に関連してさらに検討することにするが、施設100は患者16が出入りする際に通る扉102を含む。扉102は、図示したように施設100の外面に配置すること、又は建築物の内部、廊下周辺及び医師のオフィスで満たされた建築物などの建築物の任意のフロアに配置することが可能である。扉102は任意の歩行者14又は患者16が自由に開けることが可能であり、或いは希望する場合に扉102は患者16がカードをスライドさせることによって開くような自動開放器によりロックすること及び自動開放器を設けることが可能であり、或いは患者16が現れたことや患者16が扉ベルを鳴らした時点で施設100の内部で働いている人によって電子式に開かれる。
【0053】
[0077]ここで図2を参照すると施設100は代替形態として、鉄道駅や発着場の近くの建築物の内部に配置されている。本開示の施設100は鉄道駅、バスステーション、空港その他などの大規模交通の場所に配置し、これによりこの箇所に到着する又はこの箇所から出発する患者がこの箇所に到着したとき(例えば、仕事に赴く前)或いは鉄道、バス又は飛行機による出発前、その他(例えば、仕事を終えた後や長旅の前)に1回又は複数回の透析交換を実行できることが明確に企図される。
【0054】
[0078]ある種の国々は、働く人が週末自宅に帰るまで平日に使用する一時的な滞在又は宿泊施設を有する。このような箇所或いはホステル、ホテル、療養施設、又は団地型マンションに施設100が配置されることが明確に企図される。さらに、大きな工場などの作業場、又は工業団地内の中央箇所にPD交換施設100を配置させ、作業中の人が仕事の前、仕事の合間又は仕事の後の何れかにおいて1時間程度かけて1回又は複数回の透析交換(例えば、昼間の交換)を実行できるようにすることが明確に企図される。
【0055】
治療施設構成
[0079]ここで図3を参照すると図10に関連して示すように、患者16が扉102を通って施設に入った後、患者は一実施形態ではデスク104に至ると共に、コンピュータ106a又は106b、スマートタブレット106c、又はこれらのある種の組合せに配員された施設専門スタッフ18と話をすることができる。患者16と施設専門スタッフ18の間の対話については図10、14及び15に関連して以下で詳細に説明するが、この対話は一般的には、施設100で治療を受けることについて施設専門スタッフ18が患者16を検証し且つ患者が認証済み(例えば、処方指示済み)であることを確認する(また認証済みであれば治療の種別及び治療パラメータを特定する)ような対話となる。図示した実施形態では患者16は施設専門スタッフ18に、スマートカード、メモリスティック、フラッシュドライブその他26を手渡しており、これを施設専門スタッフ18はコンピュータ106a、106b、タブレット106c又はこれらのある種の組合せの中に挿入するか、さもなければコンピュータ106a、106b、タブレット106c又はこれらのある種の組合せと電子的に接続している。さらに患者16は、施設専門スタッフ18がデスク104で視覚的に調べるような患者のスマートフォン又はタブレットを用いたバーコードや他の標識を提示可能にすることも企図される。患者16に関する認証及び/又は確認のための他の構造や機能については以下で検討することにする。
【0056】
[0080]ここで図4を参照すると、大型のバッチタンクCAPDシステムを示している。ここでは患者16がデスク104において認証又は確認を受けると、患者16は施設100の治療エリア内に入ることが許可される。図4は、患者16が大型の透析バッチ溶液タンク210からの透析流体を受け取るような一実施形態を示している。大型の透析バッチ溶液タンク210に関係する治療については図10及び11と関連して以下で詳細に検討することにする。この時点では、単一の大型の透析溶液タンク210を用いて複数の患者16が同時に交換を実行可能であることを了解することが重要である。
【0057】
[0081]図示した実施形態では、大型の透析溶液タンク210をハブとして使用し、ここから複数の個別式及び半個室の患者ステーション30a~30dを形成するように複数の壁32a~32dが延びている。所与のハブタンク210について形成される壁及び患者ステーションの数は4つより多いこと又は4つより少ないことがある。その各々が分離壁及び対応する患者ステーションを有する複数のハブタンク210を所与の施設100のデスクエリア104の後ろ側に配置させることがある。図示していないが、患者ステーション30a~30dは例えばカーテン、壁及び/又は扉によって囲まれることがある。
【0058】
[0082]図示した実施形態では各患者ステーション30a~30dは、1つ又は複数のPD交換の間に患者が快適に休息できるようにする椅子、ソファー、ベッド、その他34を含む。椅子、ソファー又はベッド34を配置させる際に押し当てる壁と反対側の壁には、1つ又は複数のPD交換の間に患者16に娯楽及び/又は情報を提供するためにテレビ又はコンピュータモニタ36を設けることが可能である。テレビ36は、デスク又はテーブル40上にセットすること及び/又はデスク若しくはテーブル40内に保管しておくことが可能であると共に、図示した実施形態においてすべて各患者ステーション30a~30dに設けられているリモコン38を介して制御されている。各患者ステーション30a~30dについて、患者のパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット、コンピュータ/タブレット合成体、コンパクトディスクプレーヤ、デジタル音楽プレーヤ、ポータブルテレビ、その他にパワー供給するための1つ又は複数の壁面コンセント42を設けることが可能である。
【0059】
[0083]図示した実施形態では、患者ステーション30a~30dのうちの1つにいる各患者16は、患者ライン50を介して大型の透析溶液タンク210からPD治療流体を受け取っている。図10及び11は、図4の患者ライン50の役割をすること又は患者ライン50に置き換えられる分配器220a、220b、その他を通じてPD治療流体がどのようにして計量可能となるかについて詳細に検討している。図10及び11はまた、大型の透析溶液タンク210を介して治療を受ける患者16が、最初のPD交換前又は複数のPD交換の間で流出透析液を排出できるようにする様々な方法について検討している。
【0060】
[0084]ここで図5を参照すると、バッグ入りCAPDの一実施形態を示している。患者16がデスク104において認証又は確認を受けた後に、患者16は代替的な治療施設100に進むことが許可され、ここでPD治療流体が最初に患者バッグ52に供給され、次いで患者バッグ52から患者ライン50を通して患者16に供給される。図5では、壁62a~62dで仕切られた代替的な患者ステーション60a~60c(ステーションは任意の数だけ設けることが可能である)は、図5に示したように円形方式のレイアウトではなく水平方向に並べられている。本明細書で検討した水平、円形又は他の患者ステーション幾何学配置のうちの何れも本明細書で検討した任意のタイプのPD流体送達機構(例えば、バッグ入り式、バッチ式又はオンライン式)及び/又は本明細書で検討した任意のタイプの流出物PD流体ドレイン機構(例えば、バッグ入り式や共同体ドレイン)と一緒に使用することが可能である。
【0061】
[0085]水平方向に並置された患者ステーション60a~60cは、図4に関連して上で検討した椅子、ソファー、ベッド、その他34、テレビ36、リモコン38、デスク又はテーブル40、及び/又は壁面交流コンセント42のうちの任意の1つ又は複数又は全部を有することが可能である。ステーション60a~60cは同様に、カーテン、壁及び/又は扉によって閉ざすことが可能である。
【0062】
[0086]図5のPD交換の実施形態では患者16はそれぞれに、例えば施設100で実施する最初のPD溶液交換を始めるため又は複数の患者充填の中間で、自分のドレインバッグ54に排出を行う。本明細書で検討したように患者排出は、バッグ54など個別のバッグに対することも、共通のドレインに対することもある。患者バッグ52は、加温器55上に配置されており、さらに患者16に送達される未使用のPD流体、患者16から除去される消耗済みPD流体、及び患者から除去される追加の限外ろ液(「UF」)流体のうちの任意の1つ又は複数又は全部を計量するために計量器56が設けられることがある。UFは、例えば患者16から除去される消耗済み流体の総重量から患者16に送達される未使用流体の総重量を引き算することによって測定することが可能である。
【0063】
[0087]図5は、詳細には以下で検討する本開示の別の特徴を導入している、すなわち施設100はある特定の治療の間に異なる患者16について又は異なる回について異なる種類の透析液を提供することが可能である。例えば図4では、異なる大型の透析溶液タンク210がデキストロース又はグルコースのレベルが異なる透析液を保持することが可能である。同様に図5では、患者ステーション60a及び60bがダイアニール(DIANEAL)(商標)PD溶液を受け取る患者専用である一方、患者ステーション60cはエクストラニール(EXTRANEAL)(商標)PD溶液を受け取る患者専用である。ダイアニール(商標)PD溶液とエクストラニール(商標)PD溶液は何れも本開示の譲受人により市販されている。
【0064】
[0088]図5は、マニホールドライン64が患者ステーション60a~60dの後側で大型の透析溶液タンク210などのダイアニール(商標)PD溶液源から、患者ステーション60a及び60bの内部に配置された溶液ライン68まで繋がっていることを示している。患者ステーション60a~60cの後側で大型の透析溶液タンク210などのエクストラニール(商標)溶液源から患者ステーション60cの内部に配置された溶液ライン68まで第2のマニホールドライン66が繋がっている。患者16又は施設専門スタッフ18(図3)は、患者16が最初に患者ステーション60a~60cのうちの1つに到着したときに、バルブ付きコネクタ70を用いて溶液ライン68を患者バッグ52の充填ポート72に接続することが可能である。バッグ52が満たされた後に、バルブ付きコネクタ70は患者バッグ52の充填ポート72から取り外される。患者16は次いで、例えば患者の転送セットにあるバルブ、患者ライン50の患者端にあるバルブを用いること、及び/又は患者ライン50に配置された1つ又は複数のピンチクランプ(図示せず)を開くことによって、準備完了であればいつでもバッグ52から自身の充填を行うことが可能である。
【0065】
[0089]ここで、患者ライン50、患者バッグ52及びドレインバッグ54によって図10及び13に関連して以下で検討する連続携行式腹膜透析(「CAPD」)ディスポーザブルセット412と同様の構造が形成されることに留意されたい。実際に、CAPDはマニホールドライン64及び66を用いた図示したバッチ透析に代えて図5の患者ステーション60a~60cにあるセット412を使用して実行することが可能である。
【0066】
[0090]バルブ付きコネクタ70を患者バッグ52の充填ポート72に反復して滅菌的に接続することが可能である限りにおいて、患者バッグは患者16による訪問の間に複数回使用することが可能である。患者16はしたがって、複数のドレインバッグ54を充填することがある。ある実施形態では患者16又は施設専門スタッフ18(図3)は、患者の交換の終了時点で患者バッグ52を計量器56から除去し、患者の総排出重量を記録するために計量器56の上に1つ又は複数のドレインバッグ54を順次又は組にして置く。患者バッグ52を除去する前に患者の総充填重量が記録される。患者のセッション中UFはしたがって、総充填重量を総排出重量から引き算することによって計算することが可能である。施設100で作成された患者データの記録及び監視のための様々な方法については以下で検討することにする。
【0067】
[0091]ここで図6Aを参照すると、ディスポーザブル品を排除したCAPDユニット140を用いたCAPD実施形態を示している。ある種の国々では、透析治療について患者に償還がなされない。このようなケースではコストを低く抑えることが特に重要である。これを実現するための一方法はディスポーザブル品廃棄を低減する又は排除することである。構成品を再使用且つ再滅菌することによって、材料コスト及びバイオハザードになり得るものが処分を要することに関連するあらゆるコストが節減される。CAPDユニット140は容易に持ち運びが可能な組み上げ形態で示している。CAPDユニット140は、再使用可能な充填用容器142及び再使用可能なドレイン容器160を含む。再使用可能な充填用容器142と再使用可能なドレイン容器160は、同じ材料から製作することも異なる材料から製作することも可能であり、また一実施形態では半剛性又は剛性のプラスチックから製作される。
【0068】
[0092]一実施形態では充填用容器142及びドレイン容器160は、ポリプロピレン(「PP」)、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、ポリカーボネート(「PC」)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(「PET-G」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、及びこれらの組合せなどのプラスチックである。充填用容器は代替として又は追加として、316ステンレス鋼などのステンレス鋼とすることが可能である。ドレイン容器160aは代替として又は追加としてステンレス鋼又はアルミニウムとすることが可能である。容器142及び160は様々な実施形態では、概して均等であり且つ約1mm~約7mm(例えば、約4mm)とすることが可能な壁厚を有する。容器142及び160は、単一の交換動作向けのサイズにされた内部体積を画定しており、一実施形態では例えば約1~約3リットルの未使用のPD透析液又は患者流出流体を保持するように構成することが可能である。
【0069】
[0093]再使用可能な充填用容器142は一実施形態では、紫外(「UV」)エネルギー、過酸化水素蒸気、ガンマ照射、過酢酸、酸化エチレン、エタノール、ホルマリン、グルタルアルデヒド、低エネルギー電子ビーム及び/又はこれらの任意の組合せなど適当なプロセスを介して再滅菌可能な材料から製作される。再使用可能なドレイン容器160も同様に滅菌することが可能であるが、再使用可能なドレイン容器160は例えば熱水や蒸気の消毒を介した滅菌でなく単なる消毒で十分なことがある。
【0070】
[0094]再使用可能な充填用容器142は図示した実施形態では、上部壁144、底部壁(見えていない)、側面壁146、前面壁148及び背面壁(見えていない)を含む。持ち運びのために図6Aに示したように、再使用可能な充填用容器142はその側面を付けて置かれている。再使用可能な充填用容器142は、図示したように概して矩形の六面形状を有すること、或いは円形の側面、長円の側面及び7つ以上の側面や表面又は6つ未満の側面や表面を有することが可能である。前面壁148にはラベル151が付けられており、このラベルは分離したラベルとすることや前面壁内に永続的に成形することが可能である。ラベル151は、溶液種類(例えば、商標名)、溶液体積及び溶液組成(例えば、デキストロースレベル、グルコースレベル、重炭酸塩及び/又は電解質レベル)などの情報を含む。
【0071】
[0095]前面壁148はまた、手動オン/オフバルブ154を有し且つキャップ156aを装備した充填スパウト152を含む。キャップ156aは、スパウト152のネジ付き端部にねじ込まれる例えばルアー(luer)キャップなどのネジ付きキャップとすることが可能である。閉鎖状態にあるバルブ154によってPD溶液が再使用可能な充填用容器142から流れ出るのを防止しているため、キャップ156aは必ずしもPD溶液の全重量を封止する必要はない。しかし不注意でバルブ154が開かれた場合でも、キャップ156aによって自由流出の状況が防止される。キャップ156aはまた、スパウト152のネジ付き端部を滅菌状態に維持する。
【0072】
[0096]充填スパウト152にはまた、再使用可能な充填用容器142に残ったPD溶液が容器に戻るのを防止するためにダックビル型チェックバルブなどの一方向チェックバルブ(図示せず)を設けることが可能である。チェックバルブは、0.5psig以下など小さいクラッキング圧力を有することが可能である。図6Aには図示していないが、再使用可能な充填用容器142には例えばその背面又は上部の壁又は表面に、残留した任意のPD溶液をより適正に容器から注ぎ出せるように及び/又は滅菌用の流体や物質を充填用容器142を通してフラッシングできるように選択可能に開かれるドレインポートを設けることが可能である。或いは図示したように、上部壁144に疎水性ベント145を設けることが可能である。ベント145は、再使用可能な充填用容器142に対する例えば滅菌用薬剤又は未使用のPD溶液の充填に役立つ。ベント145はまた、再使用可能な充填用容器142が患者16に未使用PD溶液をスムーズに重力フィードするのに役立つ一方、充填用容器142内への空気を浄化して重力フィードされた流体を追い出すことを可能にする。
【0073】
[0097]側面壁146には、希望したときに側面壁146から引き上げられる蝶番形ハンドルとすることが可能なハンドル158を含む、又はハンドル158が設けられ、これによりユーザ(例えば、患者や施設専門スタッフ)は、例えば使用する部屋や個室までユニット140全体を持ち上げることが可能である。図示した実施形態では、再使用可能な充填用容器142はPD溶液で満たされると共に、ドレイン容器160と組み合わせてその側面を付けて置かれる。他の充填及びドレイン容器の構成の組合せも可能である。ただし図示した構成の組合せはCAPDユニット140のフットプリント全体にわたって液体重量を均一に分散させるので有利である。持ち運びのときに再使用可能な充填用容器142が妥当に流体で満たされると仮定して、流体は過度に飛び跳ねさせるべきではない。ハンドル158は代替形態として、CAPDユニット140が運搬時により垂直に吊り下がるように再使用可能な充填用容器142の上部表面144上又はドレイン容器160の上部表面上に配置させることが可能である。
【0074】
[0098]再使用可能なドレイン容器160は図示した実施形態では、上部壁162、底部壁(見えていない)、側面壁(見えていない)、前面壁164及び背面壁(見えていない)を含む。図6Aに示したような持ち運びのために、再使用可能なドレイン容器160も同様にその側面を付けて置かれる。再使用可能なドレイン容器160は、図示したように概して矩形の六面形状を有すること、或いは円形の側面、長円の側面及び7つ以上の側面や表面又は6つ未満の側面や表面を有することが可能である。
【0075】
[0099]上部壁162は、キャップ170aを装備した排出流体入口168を含む。キャップ170aは同様に、排出流体入口168のネジ付き端部にねじ込まれる例えばルアーキャップなどのネジ付きキャップとすることが可能である。キャップ170aは、排出入口168のネジ付き端部を消毒状態又は滅菌状態に維持する。ドレイン容器160の上部壁162と底部壁(見えていない)の各々は、ユーザ(患者や施設専門スタッフ)がCAPDユニット140を一体に保持するため、又は充填用容器142とドレイン容器160を引き離して除去するために利用する伸縮可能なストラップ176の端部を取外し可能に受け入れる装着用ペグ166を含む(例えば、これと一緒に成形される)か、又はこれが設けられている。伸縮可能なストラップ176は伸縮可能なナイロン又はバンジーコード(bungee cord)材料から製作することが可能である。ストラップ176は図示した実施形態では、再使用可能な充填用容器142のハンドル158の下に容易にはめ込むことを可能とするように薄くしている。ストラップ176は、充填用容器142が取り外されたときに再使用可能なドレイン容器160に形状フィットするように圧縮され、これによりストラップはドレイン容器160と接続された状態に留まり且つ保管によってドレイン容器160から失われることがない。
【0076】
[00100]上部壁162は、再使用可能な充填用容器142の上部壁144と同様であり、疎水性ベント167を設けることが可能である。ベント167は、再使用可能なドレイン容器160を例えば消毒薬や滅菌用薬剤又は患者からの使用済み流出物を充填するのに役立つ。ベント167は、再使用可能なドレイン容器160に流出物溶液をスムーズに重力フィードするのに役立ち、これにより空気を容器160から追い出すことを可能にする。
【0077】
[00101]再使用可能なドレイン容器160の前面壁164は図示した実施形態では、柔軟なCAPDセットパウチ180の各隅を取外し可能に受け入れる4つの装着用ペグ174を含む(例えば、これと一緒に成形される)か、又はこれが設けられている。パウチ180は図示した実施形態では、再使用可能なドレイン容器160の装着用ペグ174を覆うように除去可能に嵌め合せるために装着用穴を画定する外側タブを形成するようにエッジ184のところで封止された内側チェンバを含む。一実施形態ではエッジ184のうちの1つは、治療のために開かれ、次いでパウチ180及びその囲繞されたCAPDセット190が別の治療のために清浄され再滅菌された後に再封止されるように構成されている。再封止可能なエッジ184は、さねはぎ(tongue-and-groove)タイプとすること、又は閉じられたときに2つのフラップを一体に封止して閉じるジッパーを含み、堅牢であり、封止性であり且つ選択可能に開くことが可能なパウチ180用の閉包を提供することが可能である。ある実施形態では、任意のジッパーやさねはぎ材料を含むパウチ180用のすべての材料は、本明細書で検討した滅菌処置のうちの少なくとも1つに耐えることが可能である。
【0078】
[00102]再封止可能なパウチ180は、以下でより詳細に検討するような再使用可能なCAPDセット190を保持する。パウチ180は再使用可能なドレイン容器160と一緒に設けられると共に、これによって運ばれる。患者16が治療のためにユニット140を伴って施設100内の指定されたエリアまで進むと、充填用容器142をドレイン容器160から持ち上げ可能とするように患者は伸縮可能なストラップ176を除去する。次いでパウチ180は、使用のためにCAPDセット190を取り外せるようにドレイン容器160から引き離されて開かれる。伸縮可能なストラップ176及び再封止可能なパウチ180をドレイン容器160に接続することによって、各充填用容器142を他の充填用容器142と一緒に加熱された環境で整然とまた付属の構造なしに保管することが可能となる。PD溶液は、患者への送達前に体温又は約37°C(98°F)まで加熱させるべきである。したがって、充填用容器142を所望の温度まで加熱し所望の温度に維持する1つ又は複数のより大きな加熱され且つ断熱された保管エリア又はタンクを施設100(例えば、準備室150)内に設けることが企図される。充填用容器142を整然と又は付属の構造なしに構築することはまた、施設100の全体的な加熱効率の支援となる。
【0079】
[00103]ここで図6Bを参照すると、セット190は、本開示のCAPDセットに関する一実施形態を示している。CAPDセット190は、患者ライン192、充填ライン194及び排出ライン196を含む。患者ライン192は取外し可能キャップ198bによってキャップ止めされており、患者が自身の転送セットからキャップ198aを取り外した後にこれが外されると患者の転送セットへの患者ライン192の接続が可能となる。充填ライン194は取外し可能キャップ156bによってキャップ止めされており、患者が充填スパウト152からキャップ156aを取り外した後にこれが外されると充填用容器142の充填スパウト152への充填ライン194の接続が可能となる。排出ライン196は取外し可能キャップ170bによってキャップ止めされており、患者が排出入口168からキャップ170aを取り外した後にこれが外されるとドレイン容器160の排出入口168への排出ライン196の接続が可能となる。
【0080】
[00104]図6Bはまた、排出ライン196がサンプルポート202を含むことを示している。サンプルポートは、突き刺し可能な隔壁204を含み、例えばアルコール清拭で消毒した後でこれを通すように患者はシリンジ又は針を挿入し、患者の排出中に患者流出物サンプルを抜くことが可能である。シリンジは、患者の所有物として保持させることも、治療施設100によって提供して治療施設100に戻させることも可能である。
【0081】
[00105]治療と治療の間での洗浄、消毒及び再滅菌をより容易にするようにCAPDセット190を改良することが企図される。例えば、患者ライン192、充填ライン194及び排出ライン196のうちの1つ又は複数又は全部により大きな内側直径を有させて、例えば0.375インチ(9.5ミリメートル)の外側直径とし、これにより機械式ブラシ又はパイプクリーナータイプのデバイスをライン内に挿入して前後に動かし交換後に残った繊維素や他の材料をすべて除去できるようにすることが企図される。患者ライン192、充填ライン194及び排出ライン196の内側壁のうちの1つ又は複数又は全部は代替として又は追加として、生理学的に安全な非摩擦性の材料でコーティングすることが可能である。さもなければ、ライン192、194及び196を低摩擦性の又はつるつるした材料、或いは捕捉される繊維素や他の残留材料の量を低減するような材料の別形態から製作することが可能である。代替として又は追加として、CAPDセット190が加圧された水や洗剤での清浄の間により高い圧力を受けることを可能とするように、患者ライン192、充填ライン194及び排出ライン196の壁のうちの1つ又は複数又は全部をより厚くすることが可能である。さらに代替として又は追加として、CAPDセット190をオゾンなどのより強力な洗剤又は他の清浄薬剤或いは上でリストした滅菌薬剤や処理の何れかに晒せるように、患者ライン192、充填ライン194及び排出ライン196のうちの1つ又は複数又は全部を特に化学的に不活性な材料から製作するかこうした材料でコーティングすることが可能である。またさらなる代替として又は追加として、CAPDセット190を長時間の高温や蒸気消毒に晒せるように、患者ライン192、充填ライン194及び排出ライン196のうちの1つ又は複数又は全部を高温抵抗材料から製作することが可能である。CAPDセット190に使用される材料及びチューブのサイズは、CAPDセットを容易に衛生化(例えば、消毒及び滅菌)することが可能となるように且つセット内に残された残留する身体タンパク質や他の材料をすべて除去するように選択される。
【0082】
[00106]図6Bはさらに、CAPDセット190が余分の未使用の転送セットキャップ198aも含むことを示している。患者16がCAPDユニット140を用いたPD交換を完了したときに、ユーザは患者の転送セットに未使用の転送セットキャップ198aを配置させ、次の交換の時間になるまで転送セットを清浄で保護された状態に維持する。患者は、古い転送セットキャップ198aを他の使用済みキャップ198b、156a/156b及び170a/170b並びに再滅菌のための使用済みのチューブ類と一緒にパウチ180内に配置させる。
【0083】
[00107]図6Bはまた、CAPDセット190の一部として又はCAPDセット190と組み合わせた使用において患者が所望のフロー経路又は無フロー状態を選択するためにフロー制御デバイス90を操作可能であることを示している。フロー制御デバイス90に関する様々な実施形態が、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられ且つ依拠の対象となる2007年11月29日に出願された「Flow Control Device For Peritoneal Dialysis」と題する米国特許公開第2009/0143723号に開示されている。例証を容易にするために図示したようなフロー制御デバイス90は、患者ポート92、充填ポート94、排出ポート96及びダイアル98を含む。ある実施形態では、患者ライン192は「Y字形」又は「T字形」を成して充填ライン194及び排出ライン196に至っている。フロー制御デバイス90内に「Y」又は「T」字形のチューブコネクタを配置させることによって、患者ライン192が患者ポート92を通って延び、充填ライン194が充填ポート94を通って延び、且つ排出ライン196が排出ポート96を通って延びるようにすることが可能である。
【0084】
[00108]図6Bの例では、ダイアル98から延びる矢印がポート92、94又は96の何れの方向も指さないようにダイアル98を回したとき、フロー制御デバイス90はデバイス90の下側のライン192、194及び196がすべて塞がれた無フロー状態にある。患者がダイアル98を逆時計方向に(図6Bの矢印で示したように)回転させ、患者が最初に行うように指示されたように矢印が患者ポート92及び排出ポート96の方向を指すようにすると、患者ライン192及び排出ライン196が開き、患者による排出が可能となる。患者がダイアル98を逆時計方向にさらに回転させ、患者が2番目に行うように指示されたように矢印が充填ポート94及び排出ポート96の方向を指すようにすると、充填ライン194及び排出ライン196が開き、充填ライン194は空気を排出するようにプライミング及びフラッシングすることが可能となる。患者がダイアル98を逆時計方向にまたさらに回転させ、患者が3番目に行うように指示されたように矢印が患者ポート92及び充填ポート94の方向を指すようにすると、患者ライン192及び充填ライン194が開かれ、患者16は未使用のPD溶液による充填を受けることが可能となる。ダイアル98を排出、フラッシング又は充填設定の何れかの中間に回転させると、制御デバイス90は無フロー状態に入り、患者16は排出、フラッシング及び充填のシーケンスの合間での休止が可能である。
【0085】
[00109]フロー制御デバイス90は、サンプルポート102に関するシリンジと同様に、患者の資産とすることや、代替形態として治療施設100によって提供することや治療施設100に戻させることが可能である。図示した実施形態では、フロー制御デバイス90が実際上は未使用流体や流出物の何れの流体にも接触せず、したがって再滅菌を要しないことを前提としている。患者ライン192、充填ライン194又は排出ライン196のうちの任意の1つ又は複数が患者ポート92、充填ポート94又は排出ポート96に流体接続され(これらのポートを通るのではなく)、代替的なデバイス90が流体に接触することになるような代替的な一実施形態では、フロー制御デバイス90はパウチ180を介して供給されると共に、治療の終了時点で再滅菌のためにパウチ180内に配置される。しかし明瞭にするために、フロー制御デバイスが流体と接触しない場合であってもパウチ180によってフロー制御デバイス90を保管、供給及び持ち運ぶことも可能である。
【0086】
[00110]ここで図6Cを参照すると、CAPDユニット140を動作状態にした治療施設100を示している。例証を容易にするために、単一の患者ステーション126bだけを全体に示している。しかし図4及び5の実施形態の場合と全く同様に、図6Bの治療施設100がそれぞれの壁又はパーテーション128b、128c...128nによって分離された複数の患者ステーション126a、126b、126c...126nを有することが企図される。患者ステーション126a~126nは、図4に関連して上で検討した椅子、ソファー、ベッド、その他34、テレビ36、リモコン38、デスク又はテーブル40、及び/又は壁面交流コンセント42のうちの任意の1つ又は複数又は全部を有することが可能である。ステーション126a~126cは同様に、カーテン、壁及び/又は扉によって閉ざすことが可能である。
【0087】
[00111]図6Cは、患者16が図6A及び6Bに示した形態のCAPDユニット140が与えられこのユニットを指定された患者ステーション126bまで持ち運び終えたことを示している。患者16は、再使用可能な充填用容器142を再使用可能なドレイン容器160から取り外せるように伸縮可能なストラップ176を除去済みである。患者16はまた、この時点で再使用可能なドレイン容器160にだけ接続されるように伸縮可能なストラップ176を再接続済みである。ある実施形態では、計量器56が患者ステーション126bに設けられている。患者16は先ず計量器56上に予備加熱された再使用可能な充填用容器142を載せると共に、再使用可能な充填用容器142内に配置された未使用透析液の重量を記録する(例えば、紙の上に手作業による又はスマートフォンやタブレットへの入力による)、或いは(例えば、計量器56から施設コンピュータ106a~106fのうちの1つへのワイヤレス信号で)記録済みである。再使用可能な充填用容器142の重量は概ね既知であり、またこれを計量器56によって記録された重量から引き算することが可能であり、又は交換の終了時点で全ドレイン容器を重量測定したときに再使用可能なドレイン容器160の重量によって相殺されると仮定することが可能であり、ここで排出された流出物重量と未使用透析液充填重量との差が交換を通じて除去された患者の限外ろ過(「UF」)量として(上述のように手作業で又は自動的に)記録される。
【0088】
[00112]患者16は次に、予備加熱済みの再使用可能な充填用容器142を計量器56から持ち上げると共にこの充填用容器を、患者16にとって安全な(例えば、2psigの)適正な重力フィード圧力で未使用の加熱済み透析液を流すことを可能とするような高位にセットされる(又は、セットされるように調節可能な高さを有する)張り出し棚、棚、テーブル又は台座134の上に置く。このような高さは例えば、約2フィート(0.60メートル)とすることが可能である。次いで患者16は、この再使用可能なドレイン容器160を自分の椅子の隣にある計量器56の上に置く。計量器56は必須ではないこと、並びに計量器56がなくとも患者16は代わりに先ず再使用可能なドレイン容器160を自分の椅子の隣の床面に置き、次いで再使用可能な充填用容器142を張り出し棚、棚、テーブル又は台座134上に置くことも可能であることを理解されたい。患者ステーション126a~126n及びこれを利用する対応する施設100は比較的構造が単純であることを理解されたい。施設100に必要なものは、フロントデスク104、充填用容器加温器及び患者ステーション126a~126nだけである。一方、患者ステーション126a~126nに必要なものは、椅子、計量器56、張り出し棚、棚、テーブル又は台座134、及び患者を快適にするために必要な他の何らかの付随物だけである。
【0089】
[00113]次いで患者16は、CAPDセット190を自分自身に対して、再使用可能な充填用容器142に対して、且つ再使用可能なドレイン容器160に対して接続する。汚染の可能性を最小限にするために、患者16はキャップをラインから取り外し、次いでこのラインをできる限り速やかにその相手先に接続する。例えば患者16は、先ず排出流体入口168からキャップ170aをまた排出ライン196からキャップ170bを取り外し、次いで排出ライン196を即座に排出流体入口168に接続することが可能である。次に患者16は充填スパウト152からキャップ156aをまた充填ライン194からキャップ156bを取り外し、次いで充填ライン194を即座に充填スパウト152に接続することが可能である。次いで患者16は、自身の転送セットから転送セットキャップ198aをまた患者ライン192からキャップ198bを取り外し、次いで患者ライン192を即座に患者の転送セット(図示せず)に接続することが可能である。充填ライン194及び排出ライン196また可能性としては患者ライン192も、手動クランプ(例えば、ハルキーロバーツ(Halkey Roberts)(商標)クランプ)を介する、フロー制御デバイス90を介する、又は可能性としては手動クランプとフロー制御デバイス90の両方を使用することで上述の接続の間は塞がれている。
【0090】
[00114]図示した例では、6つの取り外されたキャップ156a、156b、170a、170b、198a及び198bが保管のために張り出し棚、棚、テーブル又は台座134の上に置かれている。図6Cではパウチ180について、患者16がPD交換の終了時点で患者の転送セットをキャップで断にするためにパウチから取り外すことになる余分の滅菌済み転送セットキャップ198aを保持するように示している。滅菌済みの転送セットキャップ198aは滅菌前に小さい封入殺菌剤ポケットを装備しておくことが可能である。患者16が交換の終了時点で患者の転送セットの上にキャップ198aに付けたときに、このポケットが破られて殺菌剤が患者の転送セットの先端の上に広がる。殺菌剤は、交換と交換の間に患者の転送セットを滅菌された状態に維持するのに役立つ。組み込み消毒薬を有する適当なキャップの1つが、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられ且つ依拠の対象となる本開示の譲受人に譲渡された「Dialysis Connector And Cap Having An Integral Disinfectant」と題する米国特許第7,198,611号に示されている。
【0091】
[00115]次いで患者16は交換を実行するために、手動クランプ(例えば、ハルキーロバーツ(商標)クランプ)又はフロー制御デバイス90の何れかを操作する。ここでも、手動クランプ(図示せず)及び/又はフロー制御デバイス90は、患者16の資産とすること、又は代替形態として施設100によって患者に貸し出すことが可能である。その構成要素が施設100の資産である場合、患者16は手動クランプ(図示せず)及び/又はフロー制御デバイス90を治療の終了時点で例えば必要に応じて再生及び再パッキングのためにパウチ180内に配置することによってこれをフロントデスク104に返却することが可能である。
【0092】
[00116]患者16がCAPDセット190で手動クランプ(図示せず)及び/又はフロー制御デバイス90のどれを使用するかによらず、排出、フラッシング及び充填のルーチンは上述のようになる。患者16は先ずクランプの除去及び/又は充填ライン194が閉じられるようなフロー制御デバイス90のセットを行う一方、患者ライン192及び排出ライン196が開かれ患者16は再使用可能なドレイン容器160への流出物の排出が可能となる。排出流体によって空気が疎水性ろ過ベント167を通して容器160から押し出され、これにより容器160はCAPDセット190から空気を内部のどこにも押し出すことがなく、且つ排出流体の流れがスムーズとなる。
【0093】
[00117]ある実施形態では患者16は、CAPDセット190の「Y」又は「T」チューブコネクタを概ね水平面内に来るようにセットする、及び/又は再使用可能なドレイン容器160に入れられた排出流体の量を(例えば、容器がどの程度満たされているかを見ること又は計量器56を見ることによって)監視する、及び/又は排出が終わりそうであることを直観的に察知する、これによって患者は交換の排出フェーズを流出物(ただし依然として滅菌性)流体を患者ライン192内に残したままで終了させ、空気が中に入るのを防止することが可能である。このために、PD患者は流出物の大部分(例えば、80パーセント)を迅速に排出し、次いで流出物流量が大幅に低下する効率的フローの壁に当たるのが典型的である。低フローの排出期間において患者16は、流出物の最後の部分(例えば、20パーセント)の排出を試みて自分の留置カテーテルの位置を直すために動き回ったり立ち上がったりすることが可能である。排出フェーズを患者ライン192が満たされた状態で終えるために患者16が患者ライン192を意識するのはこの時間においてである。しかし患者ライン192が空気で部分的又は完全に満たされた場合であっても、(i)患者ライン192は少量の空気しか存在できない程の細さであり、また(ii)空気は患者自身に由来するものか消毒済み又は滅菌済みの再使用可能なドレイン容器160に由来するものかの何れかでありこの空気によって汚染物が運ばれることはない。排出の終了時点で患者16は、排出ライン196を容器160から取り外すと共に排出キャップ170aを排出流体入口168に戻し、これによりここで一杯になったドレイン容器160を傾けて持ち運ぶことが可能となる。
【0094】
[00118]排出フェーズ終了時点又は患者16が初めに流体で満たされていないときに、患者16は患者ライン192が閉じられるような手動クランプのセット及び/又はフロー制御デバイス90のセットを行う一方、充填ライン194及び排出ライン196が開かれ、患者16は充填ライン194をプライミング及びフラッシングし、空気をライン194から再使用可能な充填又はドレイン容器142、160に押し出すことが可能となる。患者16には、流体で満たされた充填ライン194が見えている。充填ライン194が完全に満たされると、患者16は手動クランプ及び/又はフロー制御デバイス90を用いて充填ラインのフラッシングを終了させる。再使用可能な充填用容器142内の未使用流体レベルの低下によって、疎水性ろ過ベント145を通して空気が引かれ且つ浄化され、これにより容器142はCAPDセット190から追い出し空気を内部からどこにも見出すことがなく、またフラッシングの間の流体の流れがスムーズとなる。
【0095】
[00119]プライミング及びフラッシングフェーズ終了時点で患者16は、患者ライン192及び充填ライン194が開かれるように手動クランプのセット及び/又はフロー制御デバイス90のセットを行う一方、排出ライン196が閉じられて、患者16を容器142からの未使用流体により(所望の落差高圧で)重力充填することが可能である。再使用可能な充填用容器142内の未使用流体レベルの低下によって、疎水性ろ過ベント145を通して再度空気が引かれ且つ浄化され、これにより容器142はCAPDセット190から追い出し空気を内部のどこにも見出すことがなく、また未使用のPD充填流体の患者16への流れがスムーズとなる。
【0096】
[00120]患者充填またしたがってPD交換が完了した後に、患者16は荷物を纏めて自分の昼間や夕方に戻ることが可能である。しかし患者16は所定の貯留時間にわたって施設100に留まり、上述の処置を1回又は複数回反復すること(このケースでは患者16には患者ステーション126bで使用するために複数のCAPDユニット140が与えられる)が企図される。患者ステーション126a~126nには、加温器或いは1つ又は複数の予備加熱済みの再使用可能な充填用容器142を保管するための断熱ボックス(図示せず)を設けることが可能である。さもなければ患者16は、各回ごとにフロントデスク104に戻り、古いCAPDユニット140を外すと共に2回目、3回目、その他の交換のために新たなCAPDユニットを受け取ることが可能である。このようなケースでは、患者ステーション126a~126nに加温器や断熱ボックスは不要である。
【0097】
[00121]患者16がフロントデスク104に戻る前に、患者は滅菌性キャップ198aをパウチ180から取り外し、患者ライン192を自分の転送セットから分離し、且つ新たな滅菌性キャップ198aを転送セットに配置する(例えば、ねじ込まれる)。ここでも、滅菌性キャップ198aには、キャップ198aがパウチ180内にあった時間のため又は患者ライン192が転送セットから除去されたことから生じ得るあらゆる微生物を殺すために消毒薬を装填することが可能である。
【0098】
[00122]次いで患者16は、CAPDセット190と、張り出し棚、棚、テーブル又は台座134からの残りの5つのキャップ(排出キャップ170aは排出流体入口168に戻されている)と、恐らくはフロー制御デバイス90及び/又は手動クランプとを回収し、これらをパウチ180内に配置させる。患者は、ドレイン容器160の装着用ペグ166のうちの1つからストラップ176を分離し、充填用容器142をドレイン容器160上に配置し、且つストラップ176をドレイン容器のペグ166に再接続する。患者16は、パウチ180を装着用ペグ174に押し付け、使用済みのCAPDセット190を図6Aに示した形態に復元する。次いで患者16は、充填用容器142のハンドル158を使用して使用済みのCAPDセット190をフロントデスク104に返却する。患者16に未使用のCAPDセット190を受け取った時点でデポジットを支払わせること、また施設100は必要な再使用可能なアイテム(例えば、全部のキャップ、使用済みCAPDセット190、恐らくはフロー制御デバイス90、及び/又は手動クランプ)がすべて揃ってパウチ180が返却された場合にだけ患者16にデポジットを返すことが企図される。
【0099】
[00123]上述の交換は廃棄物を全く出すことがなく、ディスポーザブル品コストが不要となることを理解されたい。「再使用可能品」のコストは、CAPDセット190及び流体容器の再生場所までの及び再生場所からの運搬のコスト、再生それ自体のコスト、並びにこれに続く治療施設100における保管及び加熱のコストである。
【0100】
[00124]ここで図6Dを参照すると、図6A~6CのCAPDユニット140に関する動作フローシステム270の1つを示している。システム270は、ある地理的エリア272(例えば、今のところ透析又は腎臓障害治療償還が殆どないか全くない国の人口が過密な都市とすることが可能)に実装される。例示のシステム270は、9つのサテライト治療施設100a~100iを含む。システム270は、10番目の治療施設100jとしてもサービス提供が可能な中央の再生センター274を含む。両方向矢印は、治療施設100a~100iと再生センター274/施設100jの間における双方向の搬出入を示している。
【0101】
[00125]一実施形態では、患者16がフロントデスク104に持ってきた使用済みCAPDユニット140は排出され、次いで再滅菌、消毒及び再充填のために再生センター274/施設100jにそのままの形で搬出される。再生センター274/施設100jは、再使用可能な充填用容器142、CAPDセット190、キャップ156a、156b、170a、170b、198a及び198b、並びに恐らくは再使用可能なドレイン容器160を機械的に、化学的に及び/又は熱的に滅菌するために必要とされる装置及び化学薬品(必要な場合)を含む。転送セットキャップ198aには、一実施形態では新たな消毒薬パウチが装備される。代替的な一実施形態では再使用可能なドレイン容器160は、例えば熱水又は蒸気によって消毒されるが、滅菌プロセスは受けていない。
【0102】
[00126]また別の代替的実施形態では再使用可能なドレイン容器160は同様に消毒されるが、消毒はそのサテライト治療施設100a~100iで行われる。これで搬出入コストは削減されるが、各サテライト治療施設100a~100iは消毒用の(例えば、熱水槽又は蒸気清浄の)システムを有することが要求される。さらに、使用済みのキャップ及びCAPDセット190を伴ったパウチ180を再使用可能なドレイン容器160と一緒のままとする場合、各サテライト治療施設100a~100iは、CAPDセット190、キャップ156a、156b、170a、170b、198a及び198bを滅菌するため且つ転送セットキャップ198aに消毒用ポケットを再装填するための方法を有することが必要となる。このようなケースでは、各患者16がコードが付けられた(例えば、バーコード付けされた、番号付けされた、またさもなければ当該患者だけが使用するように指定された)幾つかのCAPDセット190を購入することが企図される。これによればバイオフィルムは患者自身のフィルムとなるため、CAPDセット190の内部にバイオフィルムが残されたとしてもこれが許容可能となるという点において利点を提供し得る。したがって、使用済みのCAPDセット190及びキャップに必要なのはパウチに配置する前の機械的清浄及び続く熱水又は蒸気消毒のみとすることであり、これが次いでパウチの内部とCAPDセット190の外部を滅菌するための滅菌プロセス(例えば、UV放射)を受ける。患者16が治療施設100に入ると、患者はここで自分自身のセットのうちの1つを受け取る。2つ以上のセットを有することによって患者16は、施設100に毎日来て、再生済みのセットを受け取ることが可能となる一方、第2又は第3のセットは翌日の交換のために再生中となる。
【0103】
[00127]さらに別の代替的な実施形態では、CAPDセット190の清浄が過度に困難であると判定された場合に、そのセット(及び、多分キャップ)は使用の都度捨てられる可能性がある。フロー制御デバイス90及び/又は手動クランプは再使用することが可能である。ここで、PD交換が患者にとってできる限り手頃なものとなるように、ディスポーザブルで清浄なCAPDセット190をできる限り費用対効果よく製作することが企図される。
【0104】
[00128]ここで図7A及び7Bを参照すると、代替的なCAPDユニット240を使用する代替的な治療施設100を示している。ここでも例証を容易にするために、単一の患者ステーション136bだけを全体に示している。しかし図4及び5の実施形態の場合と全く同様に、図7A及び7Bの治療施設100はそれぞれの壁又はパーテーション138b、138c...138nによって分離された複数の患者ステーション136a、136b、136c...136nを有することが企図される。患者ステーション136a~136cは、図4に関連して上で検討した椅子、ソファー、ベッド、その他34、テレビ36、リモコン38、デスク又はテーブル40、及び/又は壁面交流コンセント42のうちの任意の1つ又は複数又は全部を有することが可能である。ステーション136a~136cは同様に、カーテン、壁及び/又は扉によって閉ざすことが可能である。
【0105】
[00129]CAPDユニット240は、既に上で説明したようにすべての関連する構造及び代替品を含め再使用可能な充填用容器142及び再使用可能なドレイン容器160を含む。代替的なCAPDユニット240と上で検討したCAPDユニット140との主な違いは、CAPDセット190が簡略なCAPDセット290に置き換えられた点である。簡略なCAPDセット290は、各端部において患者キャップ294及びドレイン/充填用容器キャップ296によってキャップ止めされた単一のライン又はチューブ292を含む。ライン又はチューブ292は、CAPDセット190に関して材料の何れから製作することも可能であり、また上で検討した直径、長さ及び壁厚の何れを有することも可能である。図7A及び7Bに示したようにライン又はチューブ292は、再使用可能な充填用容器142と再使用可能なドレイン容器160の両方に至るだけの十分な長さである。
【0106】
[00130]CAPDセット190と同様にCAPDセット290もまた、突き刺し可能な隔壁204を含んでおり、例えばアルコール清拭で消毒した後でこれを通すように患者はシリンジ又は針を挿入し、患者の排出中に患者流出物サンプルを抜くことが可能である。ここでもシリンジは、患者の所有物とすることも、治療施設100によって提供して治療施設100に戻させることも可能である。
【0107】
[00131]図7Aは、患者16がCAPDユニット240を与えられこのユニットを指定された患者ステーション136bまで持ち運び終えたことを示している。患者16は再使用可能な充填用容器142が再使用可能なドレイン容器160から取り外せるように伸縮可能なストラップ176を除去済みである。患者16はまた、この時点で再使用可能なドレイン容器160にだけ接続されるように伸縮可能なストラップ176を再接続済みである。患者16は次いで計量器56上に予備加熱された再使用可能な充填用容器142を載せると共に、再使用可能な充填用容器142内の流体の重量を(例えば、紙の上に手作業で又はスマートフォンやタブレットへの入力を介して)記録する、或いは(例えば、計量器56から施設コンピュータ106a~106fのうちの1つへのワイヤレス信号を介して)記録済みである。
【0108】
[00132]患者16は次に、予備加熱済みの再使用可能な充填用容器142を計量器56から持ち上げると共にこの充填用容器を、未使用の加熱済み透析液を患者16にとって安全な適正な重力フィード圧力で流すことを可能とするような高位にセットされる(又は、セットされるように調節可能な高さを有する)張り出し棚、棚、テーブル又は台座134の上に置く。次いで患者16は、再使用可能なドレイン容器160を自分の椅子の隣の計量器56上に置く。ここでも、計量器56は必須ではなく、また計量器56がなくとも患者16は代わりに先ず再使用可能なドレイン容器160を自分の椅子の隣の床面に置き、次いで再使用可能な充填用容器142を張り出し棚、棚、テーブル又は台座134上に置くことが可能である。
【0109】
[00133]図7Aは、CAPDユニット240を用いた排出処置を示している。ここで、ライン又はチューブ292の両端が機械式クランプ(ここで、フロー制御デバイス90については不要)を介してクランプされた状態で、患者16は排出流体入口168からキャップ170aをまたライン又はチューブ292の遠位端からドレイン/充填用容器キャップ296を取り外すと共に、キャップ170a及び296を張り出し棚、棚、テーブル又は台座134上にセットする。患者は次いで、ライン又はチューブ292の遠位端をドレイン容器160の排出流体入口168に接続する。次いで患者16は、患者の転送セットから患者キャップ198aをまたライン又はチューブ292の近位端から患者キャップ294を取り外すと共に、キャップ198a及び294を張り出し棚、棚、テーブル又は台座134上にセットする。患者は次いで、ライン又はチューブ292の近位端を患者の転送セットに接続する。患者はここで排出するようにセットされる。
【0110】
[00134]図7Aに示したような排出のために、患者16は流出流体の患者の腹膜からドレイン容器160への重力フローを可能とするように手動クランプ(例えば、ハルキーロバーツ(商標)クランプ)をライン又はチューブ292から取り外す。ドレイン容器160の疎水性キャップ167によって、流出流体が容器を満たす間に空気をベントさせることが可能であり、これにより流出流体は患者の腹膜からドレイン容器までスムーズに流れることができる。ここでも患者16は初めは迅速に排出し、次いで低流量ステージに至る。低流量ステージにおいて患者16は、患者の腹膜からの患者の流出物の最後の部分の排出を助けるために立ち上がったり自分の体を使うことが可能である。患者16は排出の任意の時点で突き刺し可能な隔壁204から排出サンプルを引き出すことが可能である。患者16が排出フェーズの終了間際にあるとき(計量器56、容器160内の排出流体のレベルを用いるか得られた知識を通じた患者による決定に従う)、患者はライン又はチューブ292の遠位端をクランプすると共に、ラインの遠位端をドレイン容器160の排出流体入口168から取り外し、ラインがプライミング状態のままとなるようにチューブ292内に流体を残すように試みる。次いで患者16は排出キャップ170aを排出流体入口168に戻しており、これによりここで一杯になったドレイン容器160を傾けて持ち運ぶことが可能となる。
【0111】
[00135]図7Bに示したように未使用流体で満たすために患者16は、充填用容器充填スパウト152からキャップ156aを取り外し、キャップ156aを張り出し棚、棚、テーブル又は台座134上にセットする。患者16はライン又はチューブ292の遠位端をドレイン容器160の流体入口168から再使用可能な充填用容器142の充填スパウト152まで動かすと共に、この遠位端を充填スパウト152に接続する。次いで患者16は、ライン又はチューブ292の遠位端から手動クランプを取り外し、再使用可能な充填用容器142の手動オン/オフバルブ154を開く。何らかの理由でライン292がプライミングされないかプライミングが完全でない場合、患者16はライン又はチューブ292の近位端(例えば、患者と突き刺し可能な隔壁204の間)でクランプを閉じることが可能である。充填用容器からの未使用流体は、ライン又はチューブ292に重力フィードし、これにより空気がラインの上方に押されて充填用容器142に入り且つ容器の疎水性ベント145から出される。必要な場合は、疎水性ベント(図示せず)を再使用可能なライン又はチューブ292の突き刺し可能な隔壁204に組み込むことが可能であり、これによればライン又はチューブ292に重力フィードされる充填用容器142からの未使用流体によって空気を疎水性ベント(図示せず)から滅菌方式で押し出すことが可能となる。疎水性ベントによって、排出フェーズ後にライン292をプライミング状態にする必要性をなくすことができる。プライミングが完了したら、ライン又はチューブ292の近位端にある手動クランプを取り外すことが可能である。
【0112】
[00136]充填用容器142からの未使用流体は次いで、患者の腹膜を満たす。未使用流体の充填が完了すると、患者はCAPDユニット140について上で検討したのと同じ方式でCAPDユニット240を片付ける。特に、患者16がフロントデスク104に戻る前に、患者はパウチ180から新たな滅菌性キャップ198aを取り外し、ライン又はチューブ292を自身の転送セットから分離し、且つこの新たな滅菌性キャップ198aを転送セットに配置する(例えば、ねじ込む)。前と同じように滅菌性キャップ198aには、キャップ198aがパウチ内にあった時間のため又は患者ライン292が転送セットから除去されたことから生じ得るあらゆる微生物を殺すために消毒薬を装填することが可能である。次いで患者16は、張り出し棚、棚、テーブル又は台座134からの残りの3つのキャップ198a、294及び296(排出キャップ170aは排出流体入口168に戻されている)と、恐らくは手動クランプとを回収し、これらをパウチ180内に配置させる。患者は、ドレイン容器160の装着用ペグ166のうちの1つからストラップ176を分離し、充填用容器142をドレイン容器160上に配置し、且つストラップ176をドレイン容器のペグ166に再接続する。次いで患者16は、パウチ180を装着用ペグ174に押し付け、使用したCAPDユニット240を図6Aに示した形態に復元する。次いで患者16は、充填用容器142のハンドル158を使用して使用済みのCAPDユニット240をフロントデスク104に返却する。ここでも、患者16には未使用のCAPDセット240を受け取った時点でデポジットを支払わせること、また施設100は必要な再使用可能なアイテム(例えば、全部のキャップ、使用済みCAPDユニット240、また恐らくは手動クランプ)がすべて揃ってパウチ180が返却された場合にだけ患者16にデポジットを返すことが企図される。
【0113】
[00137]上述の交換も同様に廃棄物を殆ど又は全く出すことがなく、ディスポーザブル品コストが大幅に低減又は排除されることを理解されたい。「再使用可能品」のコストは、CAPDセット290及び容器の再生場所まで及び再生場所からの運搬のコスト、再生それ自体のコスト、並びにこれに続く治療施設100における保管及び加熱のコストである。
【0114】
[00138]図6Dの動作フローシステム270は図7A及び7BのCAPDセット290及びユニット240に等しく適用可能である。一実施形態では、患者16がフロントデスク104に持ってきた使用済みのCAPDセット290及びユニット240は排出され、次いで再滅菌、消毒及び再充填のために再生センター274/施設100jにそのままの形で搬出される。再生センター274/施設100jは、再使用可能な充填用容器142、CAPDセット190、キャップ170a、198a、292及び294、並びに恐らくは再使用可能なドレイン容器160を機械的に、化学的に及び/又は熱的に滅菌するために必要とされる装置及び化学薬品(必要な場合)を含む。転送セットキャップ198aには、一実施形態では新たな消毒薬パウチが装備される。代替的な一実施形態では再使用可能なドレイン容器160は、例えば熱水又は蒸気によって消毒されるが、滅菌プロセスは受けていない。
【0115】
[00139]上と同様に再使用可能なドレイン容器160をそのサテライト治療施設100a~100iで消毒することが可能である。これで搬出入コストは削減されるが、各サテライト治療施設100a~100iは消毒用の(例えば、熱水槽又は蒸気清浄の)システムを有することが要求される。さらに、使用済みのキャップ及びCAPDセット290を伴ったパウチ180を再使用可能なドレイン容器160と一緒のままとする場合、各サテライト治療施設100a~100iは、CAPDセット290、キャップ170a、198a、294及び296を滅菌するため且つ転送セットキャップ198aに消毒用ポケットを再装填するための方法を有することが必要となる。このようなケースでは、各患者16がコードが付けられた(例えば、バーコード付けされた、番号付けされた、またさもなければ当該患者だけが使用するように指定された)幾つかのCAPDセット290を購入することが企図される。これによればCAPDセット190に関して上で検討した利点を提供し得る。
【0116】
[00140]さらに別の代替的な実施形態では、CAPDセット290の清浄が過度に困難であると判定された場合に、そのセット(及び、多分キャップ)は使用の都度捨てられる可能性がある。ここで、PD交換が患者にとってできる限り手頃なものとなるように、清浄なCAPDセット290をできる限り費用対効果よく製作することが企図される。しかし直線ラインのCAPDセット290によれば清浄、消毒及び滅菌が、上で検討したCAPDセット190と比べてより容易になることを理解すべきである。
【0117】
[00141]ここで図8A~8Gを参照すると、代替的な充填システムを使用する代替的な治療施設100を示している。ここでも例証を容易にするために、単一の患者ステーション186bだけを全体に示している。しかし図4及び5の実施形態の場合と全く同様に、図8A~8Fの治療施設100はそれぞれの壁又はパーテーション188b、188c...188nによって分離された複数の患者ステーション186a、186b、186c...186nを有することが企図される。患者ステーション186a~186nは、図4に関連して上で検討した椅子、ソファー、ベッド、その他34、テレビ36、リモコン38、デスク又はテーブル40、及び/又は壁面交流コンセント42のうちの任意の1つ又は複数又は全部を有することが可能である。ステーション136a~136nは同様に、カーテン、壁及び/又は扉によって閉ざすことが可能である。
【0118】
[00142]図8A~8Gのシステムは、上で検討したCAPDセット190又は290の何れを使用することも可能である(ここでは、セット190を使用している図としている)。CAPDセット190又は290は、ここでもCAPDセットパウチ180内に設けることが可能である。CAPDセット190又は290で使用されるキャップを排除すること、またこれに代えてパウチ180に既に上で説明したような消毒用の破り出し可能なパウチの装備が可能な新たな患者転送セットキャップ198aのみを設けることが企図される。また別の代替的な実施形態では、パウチ180もまた排除されており、且つ代わりに新たな転送セットキャップ198aが患者チューブ192の端部に配置される。キャップ198aに消毒薬が備えられている場合、消毒薬が出てこないようにキャップ198aを患者チューブ80に緩くねじ込むことが可能である。
【0119】
[00143]さらにCAPDセット190又は290は一実施形態では、患者16に与えられる時点では完全に滅菌されていない。これに代えて治療と治療の合間に、残留する繊維素や粒子状物をセットから機械的にフラッシングしてセットから患者のものが全くなくなるようにCAPDセット190又は290が熱水消毒される。この熱水によってまた、CAPDセット190又は290が部分的に滅菌される。希望する場合に、熱水消毒に対して例えば有機溶剤などのマイルドな滅菌用薬剤を追加することが可能である。この場合はこのマイルドな滅菌用薬剤をCAPDセット190又は290からフラッシングするために消毒プロセスの終了時点で熱水が使用される。
【0120】
[00144]CAPDセット190又は290の最終的な滅菌は、様々な実施形態では患者ステーション186bにおいて滅菌ユニット340を用いて行われる。図8A及び8Fでは滅菌ユニット340は、ベース342と、このベース342に蝶番式に接続された蓋360とを含む。ベース342及び蓋360は、テーブルや張り出し棚134などの張り出し棚(図8F)の上にセットするように構成することが可能である。図8Aに示した実施形態ではベース342には代替形態として、ベース342及び蓋360を床面から持ち上げて支えるために脚344からなるそれ自体の組が設けられている。ベース342及び蓋360の内側表面は一実施形態では、以下で検討する理由のために紫外(「UV」)光反射材料から製作されるか紫外(「UV」)光反射材料でコーティングされる。患者16はCAPDセット190又は290及び転送セットキャップ198aを、ベース342と蓋360の間のクラムシェル内に配置し、このクラムシェルを閉じる。次いで滅菌ユニット340によってUVライト又はUV-LEDからなる上側及び下側のアレイを、消毒済みのCAPDセット190又は290と転送セットキャップ198aとを適正な滅菌状態とするのに十分な時間にわたって付勢させる。
【0121】
[00145]電源コード346はベース342又は蓋360から電源差込口42まで続いている。電源差込口42によってベース342と蓋360の両方に設けられたUV発光ダイオード(UV-LED)などの複数のUVライト348に電力供給する。UVライト348は代替形態としてUVランプとすることが可能である。UVライト348は、1つ又は複数のワイヤ又はプリント回路基板のトレース350(図8F)を介して直列又は並列で接続されている。一実施形態ではベース342及び蓋360の内側表面を、1つ又は複数の銅トレース350がその上に形成されるようにセラミック又はFR-4のプリント回路基板とすることが企図される。UVライト348は、例えば所望により直列又は並列の何れかでトレースワイヤ350に表面装着される。代替形態としてワイヤ350は、UVライト348がハードワイヤ接続、はんだ付け、またさもなければ電気的に接続を受けるメッシュを形成する。さらに別の代替形態としてUVライト348は、ベース342及び蓋360の内部表面によって提供されるソケットにねじ込む又はプラグ接続するUV電球である。UV電球も同様に、直列又は並列の関係で互いにワイヤ接続されている。
【0122】
[00146]電源コード346は、図示した実施形態ではベース342に配置されたソケット352にプラグ接続される。電力はソケット352から手動オン/オフスイッチ354まで進む。スイッチは、ベース342に対して蓋360が閉じられたときに閉じる第2の機械的スイッチ(図示せず)と電気的に直列に組み合わせて配置することが企図される。この方式では、電力を受け取るようにUVライト348のスイッチ354をオンにする前に蓋360を閉めて、外部に存在するものを傷害する又は妨害する可能性があるUV光エネルギーがユニット340が開かれているときに放出されるのを防止しなければならない。スイッチ354は、好都合に手を延ばして作動させるために滅菌ユニット340の何れの表面に沿って配置することも可能である。図示した実施形態ではスイッチ354は、電子回路356と電気的に連絡している。電子回路356は、1つ又は複数の電気的構成要素を含むと共に、到来するAC電力を所望の電圧及び/又は種類(例えば、DC)になるように条件付け及び/又は調節することなど1つ又は複数の機能を実行することが可能である。
【0123】
[00147]電子回路356はまた、患者16がCAPDセット190又は290と転送セットキャップ198aをベース342上に置き、蓋360を閉じ、且つスイッチ354(例えば、瞬時型の自己復帰スイッチ)を押した後で処方指示された滅菌時間量にわたってUVライト348が電力供給を受けることを可能とするようにプリセットされたタイマを含むことが可能である。タイマに従った処方指示された時間量が経過すると、UVライト348への電力が自動的に除去されると共にレディライト及び/又は音響発生器(図示せず)が作動される。患者16は次いで、使用するためにCAPDセット190又は290を滅菌ユニット340から取り外すことが可能である。転送セットキャップ198aは、PD交換が完了し且つ患者16が清浄な転送セットキャップを必要とするまで滅菌ユニット340の内部に留め置くことが可能である。ベース342及び蓋360のUVライト348の各々が放出する累積光からの総消毒力はCAPDセット190又は290をある妥当な時間期間以内(例えば2~10分間)で滅菌するのに(ある設計因子だけ)十分なものである。
【0124】
[00148]CAPDセット190又は290の最終の滅菌を患者ステーション186bにおいて実行することの利点の1つは、患者がその後で直ぐにCAPDセット190又は290をドレイン及び/又は充填用容器に接続するので、CAPDセット190又は290をキャップ止めすることを要しないことである。さらにCAPDセットパウチ180もまた排除され得る。さらにまた、例えば患者が排出及び充填中に患者16によって既存のキャップ198aをユニット340を用いて滅菌していた実施形態では、新たな転送セットキャップ198aを排除することが可能である。この場合に患者16は交換終了時点で、自分自身の再滅菌済みの転送セットキャップ198aを自分の転送セットに移し替えると共に、デポジット返還のために使用済みのCAPDセット190又は290だけをフロントデスク104まで持って行く。治療施設100は当日の遅くに又は夜間に、使用され且つ返却されたCAPDセット190及び/又は290と恐らくはキャップ198aとをすべて回収し、これらをCAPDセット190及び/又は290の内部を通して熱水を循環させ且つフラッシングする熱水滅菌浴又はユニット内に配置し、さらに循環される水をろ過してCAPDセット190及び/又は290の内部から除去された粒子状物及び屑を捕捉しており、これによりこのような粒子状物及び屑が熱水ループから除去される。消毒されたCAPDセット190及び/又は290は次いで、当日の遅く又は翌日に使用するために乾燥させて保管される。
【0125】
[00149]今説明した熱水消毒と組み合わせた滅菌ユニット340並びにCAPDパウチ180を不要とさせるその使用は、図6A~6D並びに図7A及び7Bの実施形態を含む本明細書に記載した治療施設の実施形態の何れでも使用可能であることが明確に企図される。図6Dに関して、CAPDセットパウチ180とCAPDセット190及び290に関連するキャップの排除、またさらにはCAPDセットの施設100内の再滅菌によって、再生センター274/治療施設100jへの送達及び再生センター274/治療施設100jからの送達を必要とする構成品の量が大幅に低減され、また恐らくは不要となる。
【0126】
[00150]その関連する構造及び代替品のすべてを含む再使用可能なドレイン容器160は、図8A~8Gの治療施設100で再度使用することが可能である。ここでもドレイン容器160と一緒にキャップ156aが設けられており、且つCAPDセット190又は290に接続するために図8Aに示したように取り外される。CAPDセット190及び290に関して上で検討したように治療施設100において再使用可能なドレイン容器160が熱水によってフラッシングされると共にキャップ156aが再使用されており、これにより再生センター274/治療施設100jへの送達及び再生センター274/治療施設100jからの送達を必要とする構成品がさらに排除されることが企図される。容器160はドレイン容器であるため、完全に再滅菌する必要はない。しかし使用と使用の間に例えば熱水消毒や漂白剤などのマイルドな洗剤を介してドレイン容器160を消毒することが企図される。
【0127】
[00151]図8A及び8Bは、上で検討した再使用可能な充填用容器142を永久型又は半永久型の充填システム430で置き換えたものを示している。一般に充填システムは、作動ユニット460に取外し可能に結合させた充填用容器432を含む。作動ユニット460は、張り出し棚、棚、テーブル又は台座134に対する適所に維持する(例えば、ボルト留め可能である)と共に、患者16によってあちこちに持ち運ばれることがない。図8Aは作動ユニット460が、一実施形態ではユニット460とは別とすることやその一部を成させることが可能な計量器56と一緒に動作していることを示している。作動ユニット460は、1対の滅菌パネル462a/462b、制御ユニット480、レディライト474、電気作動式充填バルブ464及び電気作動式注出バルブ466(アイテムの一部を提示)を含む。
【0128】
[00152]充填用容器432は作動ユニット460と少なくとも半永久的に結合状態に(例えば、複数の患者の複数の治療全体にわたって、複数日間又はさらに複数週にわたって)維持されることが企図される。充填用容器432はしかし、間欠的な清浄、修理又は置換のために取り外すことが可能である。図8A及び8Cは、充填用容器432が再使用可能な充填用容器142の場合と全く同じように疎水性ベント145を含むことが可能であることを示している。図8A及び8Cの半永久型の充填用容器432は、未使用であるが必ずしも滅菌性とは限らない水又は腹膜透析溶液を充填ライン434及び作動ユニット460の電気作動式充填バルブ464を介して受け取る。作動ユニット460の計量器56は、未使用流体の重量を半永久型の充填用容器432に入る際に量るために制御ユニット480及び電気作動式充填バルブ464と一緒に動作する。未使用流体の実際の重量が患者の処方指示された充填重量に達したとき、制御ユニット480は充填バルブ464を閉鎖させ、処方指示された量の未使用流体を充填用容器432内に残留させる。制御ユニット480によって透析液が、(i)適正に滅菌され、(ii)適正な化学組成にあり、且つ(iii)適正な温度にあると判定されると、制御ユニット480はレディライト474を点灯させ、患者16が出口バルブ464を開かせると共に患者の充填を開始させる制御ユニット480上の「GO」又は「START」ボタンの押下を可能にする。
【0129】
[00153]以下で図8Eに示すように、計量器56は一実施形態では、充填用容器432内の未使用流体を加熱するための加熱器490と組み合わされる。代替的な一実施形態では未使用流体は充填ライン434を通して充填用容器432まで流す前に適正な温度まで加熱される。代替として又は追加として、滅菌パネル462a/462bは充填用容器内に存在する未使用流体を加熱する、又は必要な加熱を切り上げる。図8Aについて上で説明したCAPDセット190及び290の熱水消毒及び施設内滅菌と組み合わせた半永久型の充填用容器432よれば、再生センター274が全く不要となる。治療施設100a~100jはしたがって、自己充足的で且つ互いに独立して運用することが可能である。
【0130】
[00154]ここで図8B~8Eを参照すると、半永久型の充填システム430、充填用容器432及び作動ユニット460に関する様々な実施形態をより詳細に示している。上で検討したように充填用容器432は、図8Cに示したようなある種の事例では作動ユニット460から取り外すことが可能である。しかし通常では充填用容器432は、図8Bに示したように作動ユニット460内に据えられると共に、これに従って動作する。作動ユニット460からの充填用容器432の簡単な取外しを促進するために、作動ユニット460は概して3側面とし、滅菌パネル462a/462bが2つの側面を提供し且つ滅菌パネル462a/462bに接続された前面パネル470が第3の側面を提供するようにしている。充填用容器432は、ユニット460の開放された背部及び/又は上部を通じて作動ユニット460に入るように及び作動ユニット460から出すように摺動させる。図示したように作動ユニット460の上部は代替として又は追加として、充填用容器432がユニットの開放された上部を通して作動ユニット460に入るように及び作動ユニット460から出すような摺動を可能とするように開放されたままである。開放された上部によってまた、充填用容器432の上部への様々な構造の装着が可能となる。前面パネル470にあるノッチ472は、充填用容器432の出口ピッグテイル436が前面パネル470及びユニット460の外部で延びるのを可能にする。
【0131】
[00155]作動ユニット460の滅菌パネル462a/462b及び前面パネル470は、例えばステンレス鋼又はアルミニウムなどの金属から製作することが可能である。充填用容器432は、ポリプロピレン(「PP」)、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、ポリカーボネート(「PC」)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(「PET-G」)、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、及びこれらの組合せなど上で検討したプラスチック材料のうちの何れから製作することも可能である。好ましい一実施形態では充填用容器432は、紫外(「UV」)光透過材料から製作される。
【0132】
[00156]図示した実施形態ではレディライト474(例えば、緑色のライト)が、前面パネル470に装着されると共に、制御ユニット480まで続くワイヤ476を介して電力供給されている。制御ユニット480は、電源42からAC電力を受け入れ、様々な外部センサからのアナログ及び/又はデジタル入力を受け入れ、且つアナログ及び/又はデジタル出力を、電気作動式バルブ464及び466、滅菌パネル462a/462b、並びに1つ又は複数の加熱素子(設けられている場合)などの外部デバイスに送信する市販のプログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)とすることが可能である。制御ユニット480はまた、温度センサ494、導電率センサ494/496、グルコースセンサ及び/又は計量器56用の1つ又は複数のロードセルなど、半永久型の充填システム430と一緒に使用されるセンサに電力供給することが可能である。
【0133】
[00157]図8B及び8Dは、制御ユニット480が追加として、ユーザによって制御ユニット480のメモリへの値の入力及び/又は「GO」や「STOP」などのコマンドの起動を行うためのタッチパネルキーパッド482を含むことが可能であることを示している。キーパッド482は例えば、電気機械的メンブレンスイッチキーパッド又はタッチ画面キーパッドとすることが可能である。制御ユニット480内の1つ又は複数のメモリは、ユーザ及びセンサ入力を受け入れ、このような入力を問い合わせるアルゴリズムを利用し、且つ電気作動式バルブ464及び466、滅菌パネル462a/462b、1つ又は複数の加熱素子490、並びにセンサ494及び496への出力を実行するユニット480の1つ又は複数のマイクロプロセッサと一緒に動作する。1つ又は複数のメモリとプロセッサはまた、液晶ディスプレイ(「LCD」)パネルや発光ダイオード(「LED」)パネルなどの表示パネルや表示デバイス484上にプログラムに従ってデータを表示するように動作する。
【0134】
[00158]表示パネル484上にはこれに代えて、レディライト474又は同様の標識やマークを表示することが可能である。表示パネル484は代替として又は追加として、スタートアップ(例えば、滅菌及び/又は加温)処置のうちの何パーセントが実施済みであるかの指示を提供する。表示パネル484は代替として又は追加として、容器432を充填する又は空にする処置のうちの何パーセントが実施済みであるかの指示を提供する。表示パネル484は代替として又は追加として、患者16をPD治療セットアップステップを通るように進ませ、ステップが完了したときに患者16に「GO」を押すように求めており、この後で制御ユニット480は、セットアップが完了済みの場合に実行する又は治療を開始する次の治療ステップを表示する。
【0135】
[00159]表示パネル484はある実施形態では、キーパッド482を用いてパラメータ値を入力するために患者16に押させる番号0~9を表示する。例えばある治療セットアップステップは、患者の処方指示された充填体積を患者が入力するためのものとすることがある。表示パネル484はこれを実行するように患者16にプロンプトを出す。患者16はキーパッド482を用いて体積(例えば、リットル単位)を入力する。表示パネル484は、患者16に戻すように入力された体積を表示する。次いで患者16は、確認又は「GO」ボタンを押す。制御ユニット480は患者の体積又はリットル入力をグラムに変換し、計量器56の出力を入力された重量と比較できるようにする。患者16が容器432の容量より大きい充填体積を入力した場合、表示パネル484はエラーメッセージを表示すると共に、違う量を入力するように患者16にプロンプトを出すことが可能である。
【0136】
[00160]代替形態として患者16はキーパッド482を用いて患者識別(「ID」)コードを入力する。制御ユニット480は、施設100のすべてのコンピュータ106a~106f~100nを施設100内に配置された制御ユニット480のすべてとリンクしているネットワークに接続されている。このネットワークと連絡した記憶装置又はメモリは、患者のIDコードを充填体積や溶液種類などの治療処方指示情報と一緒に記憶する。一実施形態では、患者16が自身のコードを入力した後に、ネットワークの記憶装置又はメモリは、患者のプロフィールを呼び出すと共に表示パネル484に「あなたがJane Doeさんであることを確認してください」などの確認プロンプトを送る。患者は、例えば「GO」ボタンの押下によって自分が本人であると確認するか、又は例えば「STOP」ボタンの押下によって人違いであることを示す。人違いが起きた場合、ネットワークは表示パネル484上に、患者に自分のIDコードを再入力して確認プロセスを反復するように要求するメッセージを表示することが可能である。人違いが続いた場合、施設専門スタッフ18が呼び出される可能性がある。患者16によってネットワークが自身を適正に識別し終えたと確認されると、ネットワークには患者のプロフィールが分かっており、適正な充填体積を容器432に充填させるように制御ユニット480に自動的に指令すると共に、適正なタイプの透析液を作成及び/又は送達させるように患者16にプロンプトを出す。患者IDを用いることによって、患者16が患者の処方指示された充填体積と異なる充填体積を入力することが防止される。患者のID及びプロフィールは、施設ネットワークのものに対する代替として又は追加として制御ユニット480の1つ又は複数のメモリデバイス上に記憶することが可能である。
【0137】
[00161]さらなる代替形態として、患者16にはカード、リストバンド、キーチェーンタグ、ネックレスタグ、その他の形態をした識別(「ID」)タグが提供される。このタグは、バーコード、無線周波数タグ(「RFIDタグ」)又は他の読取り可能構造、エネルギータイプ又はマークを含む。作動ユニット460には一方、例えば制御ユニット480とデータフロー連絡したバーコード、RFID又は他の読取り機(図示せず)などの対応する読取り機が設けられている。患者16は一実施形態では自分のタグを読取り機にスキャンさせる。スキャンされた情報は制御ユニット480からネットワークに送達され、ここで患者のプロフィールが引き出される。ネットワークには患者のプロフィールが分かっておりここでも、適正な充填体積を容器432に充填させるように制御ユニット480に自動的に指令すると共に、適正なタイプの透析液を作成及び/又は送達させるように患者16にプロンプトを出す。患者IDタグを用いることによって同様に、患者16が患者の処方指示された充填体積と異なる充填体積を入力することが防止され、また患者がIDコードを記憶しておく必要がなくなる。患者のIDプロフィールはここでも、施設ネットワークのものに対する代替として又は追加として制御ユニット480の1つ又は複数のメモリデバイス上に記憶することが可能である。
【0138】
[00162]IDコードとIDタグの両方の実施形態はまた、誰かが他の人のIDコードやIDタグを不正に使用する者が治療を受けるのを防止するために患者パスワードを入力するように要求することが可能である。
【0139】
[00163]上で検討した技法のうちの何れかによって適正な充填体積が確認された後、制御ユニット480は続いて作動ユニット460に充填バルブ464を開放させる一方、注出バルブ466は閉じた状態に保たせる。図8B及び8Dを参照すると図示した実施形態では、充填バルブ464及び注出バルブ466は、ばね閉鎖式、付勢開放式、電気作動式のソレノイドピンチバルブである。したがってバルブ464及び466は、電源が取り外されたり失われたりしたときに自動的に閉鎖し半永久型の充填システム430が無フロー状態になるためフェールセーフである。バルブ464及び466は、電気ケーブル464a及び466aのそれぞれによって制御ユニット480に、またしたがって作動ユニット460に接続されている。電気ケーブル464a及び466aによって制御ユニット480はバルブ464及び466に選択可能に電力供給することが可能となる。この電気ケーブルはまた、作動ユニット460へのバルブ464及び466の柔軟な接続を提供しており、このためバルブは作動ユニット460に取り付けられた状態を依然として維持しながら、取り外すために充填用容器432から持ち上げることが可能である(図8D)。
【0140】
[00164]バルブ464及び466は、その各々がそれぞれのバルブの体部に機械式に取り付けられたプレスバー464b及び466bのそれぞれを含む。充填用容器432のピッグテイルチューブ436及び438は、バルブから電力が除去されるとバルブプランジャとプレスバー464b及び466bとの間で圧縮状態となる。バルブ464及び466の各々はまた、一実施形態ではバルブの体部に蝶番式に接続されると共にそのそれぞれのプレスバー464b及び466bの上で適所に回転自在にスナップ嵌めされるロック用ピン464c及び466cのそれぞれを含む。適所にスナップ嵌めされるとロック用ピン464c及び466cは、バルブが付勢されてバルブプランジャがプレスバー464b及び466bから引き離されているときであってもバルブ464及び466がピッグテイル436、438から外れるのを防止する。施設専門スタッフ18が例えば容器432を作動ユニット460から取り外すためにバルブ464及び466をそのそれぞれのチューブから除去したいとき、施設専門スタッフ18はロック用ピン464c及び466cをロック解除し、ピンをプレスバー464b及び466bのそれぞれから離れるように回転させ、バルブプランジャによってチューブ436、438が挟まれなくなるようにバルブ464及び466を付勢し、且つバルブ464及び466をチューブから引き離す。バルブ464及び466が除去された状態では、容器432は自由に作動ユニット460から引き離せる。
【0141】
[00165]一実施形態では例えばバルブの配置及び除去、バルブ点検、又は他の理由でバルブ464及び466を手作業で付勢するためには、制御ユニット480を介して施設専門スタッフ18がサービスモードに入ることを可能にすることが企図される。各作動ユニット460は、キーパッド482を介して入力されるサービスモードコードを有することが可能である。適正なコードが入力されると、作動ユニット460はサービスモードに入り施設専門スタッフ18に対して表示パネル484上に幾つかのサービスモードオプションを表示させる。このようなオプションのうちの1つは、バルブ464及び466のトグル切替え又は付勢とすることが可能である。表示デバイス484上に各バルブ464及び466ごとにタッチ可能ボタンを表示させることが可能である。さもなければ、バルブのトグル切替えにキーパッド482を使用可能とするように、表示デバイス484上に「充填バルブを開くには1にタッチ」、「注出バルブを開くには2にタッチ」などの指示を表示させることが可能である。何れのケースにおいても、施設専門スタッフ18がバルブ464又は466のうちの1つを開くために表示ボタン又はキーパッドボタンを選択したときに、制御ユニット480は施設専門スタッフ18からのさらなるボタンの押下がなくとも事前定義の時間期間にわたってバルブを開放状態に維持しており、これにより施設専門スタッフはバルブ464及び466をチューブ436及び438に当てること又はバルブをそれぞれのチューブから除去することの何れかをするためのフリーハンドを得ることが可能となることが企図される。
【0142】
[00166]注出バルブ466及び出口ピッグテイル436を閉じた状態に維持しながら制御ユニット480によって充填バルブ464及び入口ピッグテイル438が開けられたとき、充填用容器432は液体(例えば、より詳細には以下で検討するような浄化された又は滅菌された水、或いは浄化された又は滅菌された透析液)での充填が始まる。液体を充填用容器432内に満たすに連れて、疎水性ベント145は置換空気を逃がすことが可能となる。さらに計量器56は、流体全体の重量を計測する。計量器又はロードセル56は図8A、8B、8D及び8Eに示している。図8Eの作動ユニット460の上面図は、計量器56が単一のセンサ(例えば、ロードセル又は歪みゲージ)を含むことが可能であることを示している。代替形態として計量器56は、単一の正確な重量読み値を生成するようにその出力が合成される複数のセンサを含むことが可能である。
【0143】
[00167]上で言及したように、計量器56からの読み値は制御ユニット480によって受け取られると共に指令された充填体積又は重量と比較される。充填用容器432の内部の液体の実際の体積又は重量が指令された体積又は重量に達すると、制御ユニット480は充填バルブ464及び入口ピッグテイル438を閉じる。充填の間には、充填がどの程度まで実施済みかについてさらにどのくらいの充填の実施を要するかと関連させて表示デバイス484で患者16に示すことが企図される。瞬時のパーセント値を絶えず増加させること、塗りつぶし色での色付けが増大されるキャラクタや形状によること、及び/又は目下の充填に関する実際の瞬時体積数値又は重量数値を絶えず増加させることによって動的な充填表示を示すことが可能である。充填表示によって患者は、さらにどれだけの充填時間を要するかを確認することが可能となる。患者16は充填用容器432が充填されている間に必要な任意の排出を実行することが企図される。患者16は、上で検討した方法及び代替形態のうちの何れかに従い且つ上で検討した構造のうちの何れかを使用して再使用可能なドレイン容器160内に排出を行う。
【0144】
[00168]充填が完了した後の次のステップは、充填用容器432に送達された液体の種類及び液体の状態に依存する。本開示では、(i)充填用容器432が未加熱の浄化済み透析液で充填済みである、(ii)充填用容器432が加熱された浄化済み透析液で充填済みである、(iii)充填用容器432が未加熱の滅菌済み透析液で充填済みである(iv)充填用容器432が加熱された滅菌済み透析液で充填済みである、(v)充填用容器432が未加熱の浄化水で充填済みである、(vi)充填用容器432が加熱された浄化水で充填済みである、(vii)充填用容器432が未加熱の滅菌済みの水で充填済みである、及び(viii)充填用容器432が加熱された滅菌済みの水で充填済みである、という少なくとも8つのシナリオを企図している。
【0145】
[00169]充填用容器432が加熱された滅菌済み透析液で充填済みであるというシナリオ(iv)の場合にのみ、制御ユニット480は充填バルブ464及び入口ピッグテイル438の閉鎖が維持された状態で注出バルブ466及び出口ピッグテイル436を開き、充填用容器432及び充填患者16を空にするように進行することが可能である。他のシナリオ(i)~(iii)及びシナリオ(v)~(viii)のそれぞれは、作動ユニット460に追加の入力を要求する。特に、シナリオ(i)は加熱及び滅菌を要求し、シナリオ(ii)は滅菌を要求し、シナリオ(iii)は加熱を要求し、シナリオ(v)は加熱、滅菌及び透析添加剤を要求し、シナリオ(vi)は滅菌及び透析添加剤を要求し、シナリオ(vii)は加熱及び透析添加剤を要求し、且つシナリオ(viii)は透析添加剤を要求する。
【0146】
[00170]液体の加熱を要求するシナリオ(i)、(iii)、(v)及び(vii)に関しては液体の加熱を、(a)充填ライン434を通じて充填用容器432に送達される前、(b)充填ライン434を通じて充填用容器432に送達されている間、(c)充填用容器432内にある間、及び(d)これらの任意の組合せにおいて行うことが企図される。液体(水又は透析液)は、患者16に送達される前に約37°C(98°F)又は体温まで加熱させるべきである。したがって施設100が高温の気候帯に位置する場合は、水又は透析液を空調設備のない部屋に保管しておき充填用容器432において所望の温度まで追加の度数分だけ加熱することも可能となり得る。代替として又は追加として水又は透析液は、図10に関連して以下で検討する奥の部屋(例えば、保管室150)にあるより大型の保管タンクで充填用容器432への送達前に加熱することも可能である。さらなる代替として又は追加として、例えば約37°C(98°F)まで加熱した加熱用コイルを充填ライン434の周りに巻き付けて充填ライン内にある流体を加熱することも可能である。最後の2つのシナリオの何れにおいても充填用容器432における加熱が、シナリオ(ii)、(iv)、(vi)及び(viii)で指定したように要求されないことがある。しかしシナリオ(i)、(iii)、(v)及び(vii)では、必要な場合に37°C(98°F)に至らせるようにあと何度かの加熱を実行できるように充填用容器432での加熱が追加的に設けられる可能性がある。
【0147】
[00171]充填用容器432での加熱が関連するとして記載した加熱シナリオの何れかにおいて、図8Eに示したような1つ又は複数の抵抗加熱用コイル又は素子490を設けることが企図される。図示した実施形態では加熱用コイル又は素子490は、充填用容器432が上に置かれる加熱用プレート492内に収められている。加熱プレート492は一方、計量器56の1つ又は複数のセンサ(例えば、ロードセル又は歪みゲージ)の上部に据えることが可能である。加熱用プレート492、加熱用コイル又は素子490及び空の充填用容器432の一定の重量は、計量器56によって充填用容器432内の流体の重量を読み取る前にゼロ調整されるか、又は空の充填用容器432、加熱用プレート492、加熱用コイル又は素子490及び充填流体を合成した検出重量から差し引かれる。
【0148】
[00172]制御ユニット480は一実施形態では、水又は透析液をできる限り迅速且つ安全に約37°C(98°F)まで加熱するように、加熱用コイル又は素子490への電力デューティサイクル(オン対オフの百分率又はフル電力に対する百分率)を制御する。一実施形態では、全体抵抗が同じ2つの加熱用コイル又は素子490が設けられ、これらを組み合わせて加熱用プレート492の総面積を覆うように広げている。電圧検出回路(図示せず)が制御ユニット480と一緒に設けられている。電圧検出回路は、入ってくるライン電圧を検出すると共に、これを制御ユニット480のプロセッサ及びメモリに中継する。制御ユニット480はまた、切替え回路を含んでおり、これにより、より高いライン電圧(例えば、190~250VAC)が検出された場合に制御ユニット480は切替え回路に対して2重式の等抵抗加熱用コイル又は素子490に直列で電力供給するように指令する。より低いライン電圧(例えば、80~140VAC)が検出された場合に制御ユニット480は切替え回路に対して、2重式の等抵抗加熱用コイル又は素子490に並列で電力供給するように指令する。結果としてコイル又は素子490は、入ってくるライン電圧によらず概ね同じ量の加熱電力又はワット数を出力することになる。充填システム430はしたがって、入ってくるライン電圧が異なる様々な国々で使用すること、またこれであっても同じ加熱アルゴリズムを使用することが可能となる。
【0149】
[00173]制御ユニット480が水又は透析液を加熱するために使用するデューティサイクル制御アルゴリズムは、一実施形態では1つ又は複数の温度センサ494からの温度フィードバックを使用する。図8B、8D及び8Eに温度センサ494を示しており、これらは様々な実施形態ではサーミスタ又は熱電対とすることが可能である。図8B及び8Cに示したように、充填用容器432内の滅菌性環境の維持に役立つように、永久型金属(例えば、ステンレス鋼)製プローブ442を充填用容器内まで延ばしている。プローブ442は充填用容器432が充填しているときに水又は透析液と接触する。水又は透析液からの熱は金属プローブ442を伝って上昇し、一部が充填用容器432の上部表面450から出るように広がる。金属プローブ442のうちの充填用容器432の上部表面450から出るように延びる部分は、一実施形態では充填用容器432と一緒に成形されるカプラ444内に途中まで延びている。カプラ444は図8Bに示したように、温度センサ494がカプラ内に挿入され且つカプラによって適所に圧入式に保持されるための余地を残している。温度センサ494は金属プローブ442に当たって行きどまりとなっており、これにより水又は透析液からの熱をプローブ442から温度センサ494までさらに伝導させ、制御ユニット480に戻すように送信される対応する信号を作成することが可能である。
【0150】
[00174]図8C及び8Dは、充填用容器432を作動ユニット460から取り外すため(例えば、温度センサ494の交換のため)や他の任意の所望の理由のために温度センサ494を充填用容器432のカプラ444から引き抜き可能であることを示している。プローブ442は、容器の底部の方向に沿うなど充填用容器432内に所望の任意の距離だけ延ばすことが可能である。
【0151】
[00175]制御ユニット480は一実施形態では、1つ又は複数の温度センサ494からの信号をその制御アルゴリズムのフィードバックとして使用する。一般的に言って、1つ又は複数の温度センサ494によって検知される実際の液体温度が指令された温度(例えば、約37°C(98°F))より下により大きく離れるほど、コイル又は素子490に加えられる加熱デューティサイクルがより大きくなる。制御ユニット480は水や液体を指令された温度まで迅速に且つ温度オーバーシュートを殆ど伴わずに加熱するために比例、積分及び微分(「PID」)制御を格納して使用することが企図される。
【0152】
[00176]充填用容器432での滅菌を要求しない上のシナリオ(iii)、(iv)、(vii)及び(viii)では、滅菌が準備室150で実行されるか、又は見えない箇所(例えば、中央箇所)で実行されその後に施設100に滅菌済み流体が搬入されている。現場の準備室150で実行される滅菌は例えば大型の槽内において、過酸化水素蒸気、ガンマ照射、過酢酸、酸化エチレン、エタノール、ホルマリン、グルタルアルデヒド、低エネルギー電子ビーム及び/又は当技術分野で周知の他の任意の滅菌方法の使用を通じるなど本明細書にリストした任意の技法を介して実施される。準備室150におけるこれらの方法は安全のために患者16から離れたところで実行することが好ましい。
【0153】
[00177]充填用容器432での最終的な滅菌を要求する上のシナリオ(i)、(ii)、(v)及び(vi)に関して図8D及び8Eは、一実施形態では滅菌パネル462a及び462bが作動ユニット460と一緒に設けられることを示している。図示した実施形態では滅菌パネル462a及び462bはその各々が、UV発光ダイオード(UV-LED)やUVランプなどの複数の紫外(「UV」)ライト498を設けている。UVライト498は、一実施形態では1つ又は複数のワイヤやプリント回路基板トレース500を介して直列に接続されている。一実施形態では滅菌パネル462a及び462bの内側表面をセラミック又はFR-4プリント回路基板とし、この上に1つ又は複数の銅トレース500が形成されることが企図される。UVライト498は、所望により例えば直列又は並列の何れかでトレースワイヤ500に表面装着される。代替形態としてワイヤ500は、UVライト498をハードワイヤ接続、はんだ付け、またさもなければ電気的に接続する相手となるメッシュを形成する。またさらに別の代替形態としてUVライト498は、滅菌パネル462a及び462bの内部表面によって提供される又はこの内部表面にあるソケットにねじ込まれた又はプラグ接続されたUV電球としている。これらのUV電球は同様にして、直列又は並列の関係で互いにワイヤ接続させることが可能である。
【0154】
[00178]充填用容器432内の液体の滅菌を支援するため、及びエネルギー効率を向上させるために、充填用容器432の上部表面450、前表面452、後表面454、及び必要な場合に底部表面(図8C参照)をUV光反射材料によって形成するか、又はUV光反射材料によってコーティングすることが企図される。滅菌パネル462a及び462bのそれぞれに直接接して配置される充填用容器432の側面表面456及び458はUV光透過材料から製作される。図8Cに示したようにさらに、充填用容器432の側面表面456及び458を比較的幅広に且つ前表面452及び後表面454を比較的幅狭に製作し、これにより必要とするUV光貫通深さを低減することも企図される。例えば側面表面456及び458の水平の長さを、前及び後表面452及び454の水平の長さXの3倍又は4倍とすることが可能である。
【0155】
[00179]滅菌パネル462a及び462bのUVライト498の各々が放出する累積の光からの総消毒力は水又は透析液をある妥当な時間期間(例えば、5~10分間)又は水や透析液の加熱に必要な持続時間以内で滅菌できるような(ある設計因子だけ)十分なものである。UV消毒は高度に浄化された水(例えば、逆浸透又は蒸留水)を処理する際により効果的であるとされている。懸濁粒子は、粒子内に潜り込んだ微生物がUV光から遮蔽されるためUV滅菌で問題となる可能性がある。しかし本明細書で検討した浄化システムのうちの何れかによって水又は透析液を充填用容器432に達する前に浄化することが企図される。この浄化システムは例えば、充填用容器432に達する前により大型の有機体を予備ろ過して除去するように準備室150内に配置することが可能である。充填用容器432に受け入れた純粋な又は超純粋な水又は透析液によってまた、液体が透明になり容器432全体に及ぶ光透過率したがってUV線量が改善される。さらに、水又は透析液が容器432内にトラップされ且つバッチ処理式に滅菌を受けるため、UV光は液体内にトラップされた残りの粒子や微生物のすべてに当たるだけの時間及び機会が得られることになる。
【0156】
[00180]さらに、UVライト498がその全体加熱において水又は透析液に送達させるすべての熱に依拠することが企図される。したがって環境性の予備加熱、コイル又は素子490からの加熱、及びUVライト498からの加熱の組合せは、妥当な時間期間(例えば、患者が排出に要する時間及び/又は適正なUV滅菌に必要な時間)以内で水又は透析液を体温まで加熱するのに十分となることが企図される。
【0157】
[00181]図示した実施形態では、滅菌に関するフィードバックセンサは存在しない。適当な滅菌時間は、施設の水供給品質、予備ろ過の種類や量、充填用容器432内の滅菌体積、及び滅菌パネル462a及び462bから出力されるパワーなどのある種の要因に基づいて経験的に決定される。したがって滅菌時間はベンチマークとして確認することが可能である。環境性の予備加熱、コイル又は素子490からの加熱、及びUVライト498からの加熱を充填用容器432においてUV滅菌に必要な時間以内に又は概ね必要な時間で有効に実施できる場合、準備室150に単独の大型バッチ加熱が不要になり、これに代えて充填用容器432においてオンデマンド式に実施されるのでこのような加熱は有利となり得る。このようなケースでは準備室150に必要なものを、患者ステーション186a~186nの各々について必要となる液体を浄化する水又は透析液の浄化ユニットのみとし得る。さらに、流体の移動の間尾熱損失を低減するために患者ステーション186a~186nまで導かれるライン(例えば、充填ライン434)のそれぞれを断熱することが企図される。
【0158】
[00182]作動ユニット460に関連する加熱及び/又は滅菌を自動化し、これらのプロセスを患者16によって開始させることを要しないようにすることが企図される。このためには制御ユニット480は一実施形態では、ある量の充填液体が充填用容器432内に導入されるまで待機し、その後に加熱素子又はコイル490及び/又は滅菌パネル462a及び462bを付勢する。計量器56によって事前定義の量の充填液体が存在する(例えば、1/5満たされた)との信号が発せられると、制御ユニット480は加熱素子又はコイル490及び/又は滅菌パネル462a及び462bを作動させる。加熱素子又はコイル490は、滅菌パネル462a及び462bの前又は後に作動させることが可能である。ある実施形態では制御ユニット480は、加熱素子又はコイル490並びに/又は滅菌パネル462a及び462bを作動させるために、計量器56からの事前定義重量信号と、バルブ464及び466が充填状態にあるとの知見と、を必要とする。この合成要件によれば、充填が実施されていないときに誤った重量信号(例えば、充填用容器432上に配置させたもの)によって加熱器及び滅菌パネルが不注意に作動されるのが防止される。
【0159】
[00183]ここで図8Gを参照すると、透析液の作成のために添加剤を浄化水と混合することを必要とする上にリストしたシナリオ(v)~(viii)のうちの何れかでは、適正な体積の浄化された又は消毒された水と混合されたときに正確に策定された処方指示された透析液を形成する粉末添加剤を包含した滅菌済みのパケット510を提供することが企図される。ある実施形態では患者16は、フロントデスク104(図3)に近づくと施設専門スタッフ18から処方指示された滅菌済みパケット510を受け取る。代替的な一実施形態では患者16は、複数のパケット510を事前購入しており、且つ使用のための各訪問ごとに施設100に1つ又は複数のパケット510を持って行く。患者16には、当日に必要なものが何かに基づいて患者が治療を調整できるようにする様々な策定によるパケット510を提供することが可能である。例えば患者16がある特定の日にだるさや水分過剰を感じている場合、患者は医師によって余分の限外ろ過(「UF」)の除去用に処方指示されたパケット510を選択することが可能である。さもなければ患者16が前回の交換でUFを除去してもらっているが、さらなる排除を希望する場合、患者は処方指示された低UF除去のパケットを選択することが可能である。
【0160】
[00184]パケット510は図8Gに示した実施形態では、透析液種類などのある種の情報を、例えばダイアニール(商標)又はエクストラニール(商標)PD溶液などの商標名によって提供する。図示したパケット510はまた、浸透性薬剤(例えば、グルコースレベル、デキストロースレベル及び/又は他の高分子量や低分子量薬剤レベル)、緩衝剤(例えば、乳酸塩レベル、酢酸塩レベル及び/又は重炭酸塩レベル)、並びに/又は電解質(例えば、ナトリウムレベル、カルシウムレベル、マグネシウムレベル及び/又はカリウムレベル)などの透析添加剤成分を指定する。図示したパケット510はさらに、添加剤と混合することを必要とする浄化水体積(例えば、2リットル)を指定する。腹膜透析溶液において通常とするものと比べて濃度がより高い1つ又は複数の電解質(例えば、ナトリウム)を提供することが明確に企図される。こうする理由は、浄化済み又は滅菌済みの水及び添加剤から混合された透析液の導電率を、以下で検討するようなセンサ494及び496によって検知可能なレベルまで上昇させることにある。任意の1つ又は複数の電解質は、このような目的で必要に応じて上昇させるが、そのレベルは患者16にとって依然として生理学的に安全なレベルまでとすることが可能である。
【0161】
[00185]パケット510は滅菌した後に封止(例えば、真空封止)すること、又は封止(例えば、真空封止)した後に滅菌することが可能である。滅菌は本明細書で検討した方法のうちの何れかによって実行することが可能である。パケット510は、破断点でちぎって開けるように、継ぎ目の近く切断して開けるように、又はちぎり取りタブを設けるように構成することが可能である。ある実施形態ではパケット510にはまた、充填システム430に配置させた適当な読取り機(図示せず)によって読み取られるバーコードなどの読取り可能マーク512を設けることが可能である。読取り可能マーク512は制御ユニット480に対して、溶液種類、必要な水混合体積、及び/又は使用期限などの情報を提供する。したがってパケット510に、患者16に正しい種類のパケット510が提供されているとの前提の下でどれだけの浄化水を充填用容器432に入れられるかを制御ユニット480に教えさせることが明確に企図される。したがって上で検討した患者識別チェックは不要とし得るか、又はパケット510によって提供される情報に対する追加として又はこのような情報に基づくチェックとして実行され得る。制御ユニット480はまた、制御ユニット480によってパケット510が期限切れであることが検出された場合に制御ユニット480によって、アラームを鳴動させる、充填を阻止する及び/又は施設専門スタッフ18に通知するように日時に関する内部クロックをメンテナンスすることが可能である。
【0162】
[00186]図8B及び8Cは、一実施形態では充填用容器432に取外し可能な(例えば、ネジ付きの)キャップ440が設けられることを示している。ある実施形態では制御ユニット480は表示デバイス484を介して、キャップ440を除去するように、パケット510を開くように、且つパケット510の内容物を未充填の充填用容器432に注ぐように患者16にプロンプトを出す。次いで制御ユニット480は表示デバイス484を介して、選択可能な「パケット空」ボタンを表示することや、「パケットが完全に空のときにGOにタッチ」などのメッセージを表示することが可能である。任意の識別確認要件に従って患者16によってパケット510が容器432に空けられたことが確認された後に、制御ユニット480は充填を受けるように充填バルブ464を開くように指令する。充填用容器432に入る浄化水の乱流によってパケット510の顆粒化された添加剤が完全に溶解され且つ混合される。
【0163】
[00187]図8B~8Eは、作動ユニット460がある実施形態ではさらに導電率センサ496を備えることを示している。導電率センサ496は、導電率センサ対を形成するように並んだ温度センサ494を動作させる。制御ユニット480は温度センサ494からの信号を使用して導電率センサ対494及び496からの温度及び信号を補償し、正確な導電率読み値を生成する。図8B及び8Cに示したように、充填用容器432内の滅菌性環境の維持に役立てるために、永久型金属(例えば、ステンレス鋼)製のプローブ446を必要なだけ下に充填用容器内まで延ばしている。プローブ446は充填用容器432を充填しているときに水又は透析液と接触する。制御ユニット480内に配置された検知回路に出入りするように電気が導電率センサ496、プローブ446、透析液、プローブ442及びセンサ494を通って流れる。透析液の導電率がより高いほど、検知回路で検知される電流がより多くなる。
【0164】
[00188]金属プローブ446のうち充填用容器432の上部表面450から延び出た部分は、一実施形態では充填用容器432と一緒に成形されるカプラ448内に途中まで延びている。カプラ448は図8Bに示したように、導電率センサ496がカプラに挿入され且つカプラによって適所に圧入式に保持されるための余地を残している。導電率センサ496は金属プローブ446に当たって行きどまりとなっており、これにより透析液からの電気をプローブ446から温度センサ496までさらに伝導させ、制御ユニット480に戻すことが可能である。図8C及び8Dはまた、充填用容器432を作動ユニット460から取り外すため、導電率センサ496の交換のため又は他の任意の所望の理由のために導電率センサ496を充填用容器432のカプラ448から引き抜くことが可能であることを示している。プローブ448は、容器の底部の方向に沿うことを含め充填用容器432内に所望の任意の距離だけ延ばすことが可能である。
【0165】
[00189]制御ユニット480は一実施形態では、透析液が適正な体積の浄化水と混合され終えたとの確認として導電率センサ対494及び496からの信号を使用する。主たる混合制御は、容器432を処方指示された量まで充填することである。これが実施される場合、透析液を適正に混合させるべきである。透析液が適正に混合されたことの確認として導電率読み値を使用することが可能である。パケット510の粉末添加剤が少量の浄化水だけで溶解されたとき、その導電率レベルは添加剤が処方指示された体積で溶解されたときより高くなる。制御ユニット480は、充填が実施されるに従って導電率レベルの低下を監視すると共に、実際の最終透析液導電率が容認可能な処方指示範囲内にあることを確認するか、最終導電率レベルが受け容れられる導電率範囲から外れている(より高い又はより低い)場合に施設専門スタッフ18にアラーム及び/又は通知するかの何れかを行う。
【0166】
[00190]図8A~8Gに関する上の説明に基づいて、永久型又は半永久型の充填システム430において加熱、滅菌及び透析液混合の3つすべてが実施される一シナリオでは、事象のシーケンスは一例として以下のように進行する(ステップは必ずしも記述した順序に従うとは限らない)。
(i) 患者16が、自宅から持参するかフロントデスク104で取得した透析添加剤パケット510、さらには再使用可能なドレイン容器160、CAPDセット190又は290及び新たな患者転送セットキャップ198aを伴って患者ステーション186bに到着する。
(ii) 患者16は、CAPDセット190又は290及び新たな患者転送セットキャップ198aを滅菌ユニット340内に配置すると共に、当該セット及びキャップの最終滅菌を開始する。
(iii) 患者16はパケット510を開き、その内容物を空の充填用容器432に空け、且つ容器を閉じる。
(iv) 患者16は体積を直接入力し、患者IDを入力し、IDタグのスキャン又はパケット510のスキャンをして充填体積を制御ユニット480に装填する、また患者及び体積確認が終わった後に充填システム430は、容器432を水で満たすこと及び流体加熱及び最終の流体消毒を充填中のある時点で自動的に作動させることを含む充填処置を開始する。
(v) 充填の間に患者16は、既にあった患者転送セットキャップ198aを取り外し、CAPDセット190又は290を患者の転送セット、再使用可能なドレイン容器160及び充填用容器ピッグテイル436(CAPDセット190)に接続するか、又は単に患者の転送セット及び再使用可能なドレイン容器160(CAPDセット290)に接続し、且つ患者排出を開始する。
(vi) 排出が完了したとき且つ患者送達に関する透析液体積、滅菌性、温度及び組成が満足されたことを示すレディライト474が点灯したときに患者16は、(a)充填用容器432から再使用可能なドレイン容器160へのフラッシングシーケンスを開始し、これに続いてGO及びSTOPボタン、フロー制御デバイス90並びにCAPDセット190を用いて充填用容器432から患者16への対患者注出シーケンスを行うか、或いは(b)CAPDセット290の遠位端を再使用可能なドレイン容器160から取り外し、これを充填用容器ピッグテイル436に接続し、且つGOボタンと、CAPDセット290がプライミングを要求する場合に恐らくはピンチクランプと、を用いて充填用容器432から患者16への対患者注出シーケンスを開始するか、の何れかを行う。
(vii) 対患者注出シーケンス又は患者充填シーケンスが完了すると、排出流体重量と患者充填流体重量の差が、除去された限外ろ過(「UF」)として手作業又は電子式に記録され、これを患者16によってログ記録すること及び/又は治療施設100における保管のために施設専門スタッフ18に報告することが可能である。
(viii) 患者は、使用済みCAPDセット190又は290、使用済み患者転送セットキャップ198a、及び装填された再使用可能なドレイン容器160を回収し、これらをフロントデスク104に返却し、且つデポジットを回収する(預けてある場合)。
(ix) 使用済みCAPDセット190又は290、使用済み患者転送セットキャップ198a、及び装填された再使用可能なドレイン容器160は必要であれば空にされると共に、当日の後で又は夜間に消毒される。
【0167】
[00191]上のシナリオでは治療施設100が完全に自己充足的であり、ピックアップ品の送達を必要としないことを理解すべきである。施設が提供を要するのは、1つ又は複数の水浄化ユニット、1つ又は複数のディスポーザブル消毒ユニット(例えば、熱水循環ユニット)、並びに恐らくは1つ又は複数の充填水予備加熱ユニットだけである。発生する唯一の廃棄物はパケット510の包みだけである。
【0168】
[00192]ここで図9を参照すると、代替的な自動腹膜透析(「APD」)装置の実施形態を示している。ここで、患者16がデスク104において認証又は確認された後に患者16は、APD装置330が使用されるようなさらなる代替的な治療施設100へ進むことが許可される。APD装置330については、図10及び12に関連して以下で詳細に検討することにする。図9では、壁82a~82cによって区分された代替的な患者ステーション80a及び80b(任意の数だけ設けることが可能)が、図4に示した円形方式のレイアウトと異なり水平方向に並置されている。水平方向に並置されたAPD患者ステーション80a及び80bは、図4に関連して上で検討した椅子、ソファー、ベッド、その他34、テレビ36、リモコン38、デスク又はテーブル40、及び/又は壁面交流コンセント42のうちの任意の1つ又は複数又は全部を有することが可能である。ステーション80a及び80cは例えばカーテン、壁及び/又は扉を用いて閉鎖することが可能である。図示した実施形態ではAPD患者16にはベッド34が提供されている。APD装置330はベッド34に隣接して配置させ、患者ライン320を加熱器又は充填バッグ314バッグから患者16まで延ばせるようにしている。
【0169】
[00193]APD治療については図12に関連して以下で検討することにする。ここで留意に値する要点の1つは、APD装置330は複数の供給バッグ322を用いた動作が可能であることである。供給バッグ322はすべて、同じ種類の透析液(例えば、ダイアニール(商標)PD溶液)を包含することがある。代替形態としてPD治療を調整するためにこれらの供給バッグ322が、異なる種類の透析液(例えば、2つのバッグがダイアニール(商標)PD溶液を有し、且つ最後の1つのバッグがエクストラニール(商標)PD溶液を有する)を包含することがある。さらに、本開示の施設100でのAPD装置330を用いたAPD治療は単一の供給バッグ322だけを用いた単一の交換だけしか実行できず、またこの単一の供給バッグ322は加熱のために装置330の上に配置し得ることを理解すべきである。図9では、複数の供給バッグを伴った使用が可能な加熱器バッグ314を、APD装置330の上部に配置させた加熱器パンの上に配置している。
【0170】
[00194]装置330を用いるAPD患者は、カセットから排出ライン316を通してドレインバッグ324に排出する。装置330を用いるAPD患者は、供給バッグ332から加熱器バッグ314に充填し、ここでPD溶液が例えば37°Cまで加熱され、次いで加熱器バッグ314から患者の腹膜に至る。
【0171】
[00195]ここで図10を参照すると、上の図1~6で検討したシナリオ及び設定のうちの何れかで使用される施設100の可能なレイアウトの1つを上部平面図で示している。図1及び2に関連して上で検討したように施設100は、スタンドアロンの建築物、通行量が多い都市街路に沿った建築物、モール内の建築物、大型建築物の一部としての建築物、輸送ステーション、その他など適当な任意のタイプの建築物に配置することが可能である。施設100はまた職場への配置又は住戸内への配置が可能であり、これによれば患者は仕事の前、仕事の間又は仕事の後で治療を受けることができ、自身の仕事又は自宅の予定の乱れができる限り少なくなるので好都合である。施設100はさらに代替として、住戸や滞在箇所にいる者が自分自身の透析装置を所有することを要することなく簡便に治療を受けられるように、住戸、ホステル又は他の一時滞在箇所の中又はその近傍に配置させることが可能である。このような施設は、滞在者の大部分が専用の在宅透析装置へのアクセスや専用の在宅透析装置を有する手段を有しないような発展途上国において特に有用である。さらにある種の国々では、従業員が平日は職場の近くで生活し且つ週末は自宅に戻ることができるように職場の近くに一時滞在箇所を設けている。本開示の施設は、このような任意の一時滞在箇所に又は一時滞在箇所の近くに配置させることが可能である。
【0172】
[00196]施設100によって患者は、希望に従って仕事の前、仕事の間及び/又は仕事の後に交換を実行することが可能となる。患者は例えば、自宅と職場の間に配置された施設100で第1の交換を実行し、仕事の合間に職場の近く又は職場にある第2の施設100で第2の交換を実行し、且つ職場から自宅に戻る間に最初の施設100で第3の交換を実行することが可能である。図14及び15に関連して以下で検討するシステム10及び110のシステムハブ520は、複数の施設100からの患者データを恰も患者が1つの施設100しか使用していないかのようにして収集し且つ一緒に解析することが可能である。
【0173】
[00197]図10でまた上の図1~3に関連して示したように、施設100は患者16が入る際に通る扉102を含む。患者16が扉102から入った後、患者はデスク104(図3にも図示)に近づき、コンピュータ106a~106fに配員された施設専門スタッフと話をする。図10では施設100は6つのコンピュータ106a~106fに配員された6人の施設専門スタッフ18(図3)分の余地を示しているが、施設100はこれに代えて所望の任意の数のコンピュータ106(一般にコンピュータ106a~106fのうちの何れかを指す)及び/又は施設専門スタッフを有することが可能である。例えば、より小さい共同体の設定では施設100は、単一のコンピュータ又は1人の専門スタッフだけしか有しないことがある。コンピュータ106は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、又はコンピュータ/タブレットのハイブリッドとすることが可能である。モバイルラップトップコンピュータ、タブレット及びコンピュータ/タブレットのハイブリッドによって施設専門スタッフ18は、施設100を動き回り、フロントデスク104での職務の管理、施設100の異なる部屋でのデスク作業、患者への看護又は指示の提供、及び/又は供給室の運用などの複数の機能を実行することが可能となる。図示した実施形態ではコンピュータ106は、ワイヤレス送受信機108を介してウェブポータル524又は560(以下の図14及び15で示す)とワイヤレス式に通信する。
【0174】
[00198]本明細書で検討した方法又は処置のうちの何れかに従って患者が確認された後に、患者は扉110を通ってホールに入り、適当な明瞭に標識付けされた交換室扉112、114又は116に至るまでホールを通って進む。扉112を通って入る交換室はバッチ腹膜透析治療エリア200であり、ここでは複数の腹膜透析患者が指定されたタイプの溶液の同じ大型のバッチからの充填を受けることが可能である(これについては図11に関連して詳細に検討する)。扉114を通って入る交換室は自動腹膜透析(「APD」)装置治療エリア300であり、ここでは複数の患者の各々がセンター内APD装置を使用する(これについては図12に関連して詳細に検討する)。扉116を通って入る交換室は連続携行式腹膜透析(「CAPD」)治療エリア400であり、ここでは複数の患者の各々がCAPD交換装置を使用する(これについては図13に関連して詳細に検討する)。施設100は、バッチ腹膜透析治療エリア200、APD装置治療エリア300及び/又はCAPD治療エリア400のうちの1つ又は複数又は全部を有することがある。施設100の治療エリア(複数可)はさらなる代替形態として、治療エリア200、300及び400を任意に組み合わせた混合型とすることがある。
【0175】
[00199]図10は、バッチ腹膜透析治療エリア200が、その各々によって異なるデキストロース又はグルコースレベルの透析液の保持が可能な複数の大型の透析溶液タンク210a、210b、210c及び210dを含むことを示している。代替形態として透析液溶液タンク210a~210dは、デキストロース又はグルコースを低レベルとする或いはデキストロース又はグルコースを伴わないように処方された透析液を保持することが可能である。例えばグルコースを伴わない透析液は、エクストラニール(商標)及びニュートラニール(NUTRINEAL)(商標)の商標名で本開示の譲受人によって市販されている。周知であり且つ承認されたデキストロースレベルは例えば0%~4.25%であり、また周知であり且つ承認されたグルコースレベルは例えば0%~3.86%である。
【0176】
[00200]バッチ腹膜透析治療エリア200はまた、複数の共通ドレインエリア250を含む。代替形態としてバッチ腹膜透析治療エリア200の内部の患者は、ドレインバッグ又は個々のドレインに排出を行う。紫外(「UV」)滅菌器などの複数の滅菌ユニット244は、患者が各自に対して滅菌方式で接続及び分離できるように透析溶液タンク210a、210b、210c及び210dと共通ドレインエリア250とに設けられている。バッチ腹膜透析治療エリア200は、患者ディスポーザブル品を要求することも要求しないこともあるが、何れのケースにおいてもAPD装置治療エリア300及び/又はCAPD治療エリア400と比べて発生するディスポーザブル品廃棄をより少なくすべきである。
【0177】
[00201]施設100は1日で数百個のディスポーザブルセットを使用する可能性があるため、ディスポーザブルセットをできる限り多くリサイクル及び/又は再使用することが望ましい。セット及び/又は包装の幾つかの部品は乾いたままであり、再使用のために簡単に再滅菌することが可能である。このようなディスポーザブル部品には例えば、流出透析液に接触しないプラスチック部品(例えば、キャップ、プラスチックバッグ)、紙及び包装からの段ボールが含まれる。しかし流体と接触することになるディスポーザブルセットに関連する何れのチューブ類及びポンプセクションは、使用後にバイオハザードとなっており、より慎重に処理される。濡れたディスポーザブル部品は、外部素材に接触しないように封止された容器に回収し、バイオハザードが広がるのを防止することが可能である。この容器は、濡れたディスポーザブル部品が化学滅菌溶液(又は、上にリストした他のもの)で消毒されると共にリサイクル又は再使用される場所に運ばれる。ここでの消毒は、例えば肝炎や後天性免疫不全症候群(「AIDS」)への感染があり得る人の血液に曝される可能性があるためバイオハザード環境で実施される。リサイクルや再使用のためにチューブ類を消毒することが不可能な場合は、これに代えてバイオハザードとのラベルを付けて包装し、認可を受けたバイオハザード廃棄物引取業者に引き渡している。
【0178】
[00202]同様に、リサイクルや再使用が不可能な使用済みの透析液や流体は何れも、バイオハザードとして処分される。CAPD患者は、流体を下水道に流すことによって流出透析液を処分することが多い。しかし施設100は使用済み透析液を毎日数百リットルも処分することがあり得るため、施設は使用済みの透析液を捨てる前に消毒することがある。何れのバイオハザード材料の廃棄処分も有害物質管理規則(「COSHH」:Control of Substances Hazardous to Heath)、米国労働安全衛生庁(「OSHA」:Occupational Safety and Health Administration)、及び米国環境保護庁(「EPA」:Environmental Protection Agency)の規制に準拠するように保証するために特段の注意が図られる。
【0179】
[00203]患者がバッチ腹膜透析治療エリア200に入ると、患者はデスク120aに近づき、フロントデスク104にあるコンピュータ106のうちの1つから受け取ったオーダーを係員に手渡す。さもなければオーダーは、フロントデスクのコンピュータ106a~106fのうちの1つから治療エリア200のコンピュータ106gに送られる。さらなる代替形態として施設専門スタッフ18は、患者をフロントデスクエリアからバッチ腹膜透析治療エリア200まで進ませると共に、例えば専門スタッフのモバイルラップトップコンピュータ、タブレット、又はコンピュータ/タブレットのハイブリッドを介して患者のオーダーを入力する。何れのケースにおいても、オーダーはこの時点での請求目的で入力される。患者はフロントデスク104において自己負担金を請求されることも請求されないこともある。バッチ腹膜透析治療エリア200に治療に必要なディスポーザブル品が全くない場合、施設専門スタッフ18は治療エリアデスク120aの後ろからディスポーザブル品を引き出すか、又は扉122を通って保管室150に入りディスポーザブル品を取得する。ここでもバッチ腹膜透析治療エリア200にいる患者はディスポーザブルを全く必要としないことがある。
【0180】
[00204]バッチ腹膜透析治療エリア200にいる患者が目下使用済みの透析流体で満たされている場合、患者は共通ドレインエリア250のうちの1つに患者の転送セットを介して接続する。このような接続は滅菌ユニット244及び/又は清拭用アルコールなどの清浄薬剤を用いて実施することが可能である。患者は次いで、排出をできる限り完全となるように使用済みの流体を例えば着座位置で排出する。排出した後に患者は、充填のために指定された透析溶液タンク210a、210b、210c又は210dまで進む。患者はここでも例えば滅菌ユニット244及び/又は清拭用アルコールなどの清浄薬剤を用いて自分の転送セットを指定された溶液タンクに接続する。患者は次いで、より詳細には図11に関連して説明するような腹膜透析充填処置を実行する。
【0181】
[00205]患者は貯留期間の経過を待ち且つ上述の交換を再度実行することが可能であり、また希望する場合これを複数回行うことが可能である。さもなければ患者は単一の交換を実施し、次いで施設100を離れることがある。バッチ腹膜透析治療エリア200にいる間に患者は、例えばテレビ118aを介してテレビを見ること、患者のコンピュータで仕事をすること、読書をすること、又はワイヤレス送受信機108を介してインターネットに接続することが可能である。患者は(例えば、施設専門スタッフ18の支援を得て)計量器130で自分の体重を測定することや血圧用腕帯132で自分の血圧を計ることが企図される。排出前及び/又は排出後及び/又は充填後において、患者体重と血圧の何れか一方又は両方が記録されることがある。同じ記録は患者のグルコース監視のために実施することも可能である。患者が読み値を記録してこれを専門スタッフに伝えることがあり、専門スタッフが読み値を記録することがあり、又は読み値が計量器130及び/又は圧力腕帯132からワイヤレス式に治療エリアコンピュータ106gやフロントデスクのコンピュータに送信されることがある。患者の体重、血圧、グルコースレベル、排出量(複数可)及び充填量(複数可)などの治療データのすべては、記録及びログ記録される。患者データは患者のクリニックや病院522a、522b又は522c(図14及び15)に送ることが可能である。腹膜透析患者データを受け取って追跡するための臨床医システムの1つが、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられ且つ依拠の対象となる2013年3月14日に出願された「Home Medical Device Systems And Methods For Therapy Prescription And Tracking, Servicing And Inventory」と題する米国特許出願第13/828,900号に図示され且つ説明されている。
【0182】
[00206]大型の透析溶液タンク210a、210b、210c及び210dは、滅菌済み流体のタンク(例えば、剛性プラスチック製又はステンレス鋼製タンク)であり、このタンクは空のときに扉122を介して保管室150を通して除去されると共に保管室150からの同じデキストロース又はグルコースレベルの透析液を貯蔵した充満したタンク210と交換されることが企図される。空のタンク210は、工場に搬出され、空の間に例えば酸化エチレンを用いて滅菌され、次いで所望のデキストロース又はグルコースレベルをもつ滅菌済み透析流体によって制御された滅菌方式で充填されており、その後で再充填されたタンク210を施設100に戻すように搬出することが可能である。代替的な一実施形態では、大型の透析溶液タンク210a、210b、210c及び210dはバッチ腹膜透析治療エリア200の内部の適所のままとし、空のときに例えば酸化エチレンによって滅菌され、次いで所望のデキストロース又はグルコースレベルをもつ滅菌済みの透析流体によって滅菌方式でオンサイトで再充填される。保管室150の内部のタンク210はしたがって、バッチ腹膜透析治療エリア200内に配置されたタンク210a、210b、210c及び210dを再充填するためのさらにより大型の滅菌性のタンクとする可能性がある。
【0183】
[00207]さらに施設100は、流出透析液を使用可能な透析液に再生成するためのオンサイト吸着剤システムを含むことが可能であることも企図される。このような吸着剤システムは、患者から取得した流出透析液内の不用な成分(例えば、毒素、繊維素及び代謝老廃物)を除去する。吸着剤システムはまた、望ましい成分(例えば、デキストロース、グルコース)及び電解質(例えば、カリウム、カルシウム)を添加して透析液を復元すると共に、患者からの限外ろ過の除去のための所望の浸透勾配を維持することが可能である。周知の吸着剤システムの1つは、尿素、クレアチニン、尿酸及び他の代謝副産物などの尿毒素を吸収する吸着剤カートリッジを使用する。流出透析液が吸着剤カートリッジを通過する際に、不用な成分が透析液から除去されると共に透析液は追加の治療のために使用可能となって出てくる。次いで必要に応じて塩及び/又は糖質を添加するために浄化された透析液に注入剤がポンピングされる。適当な吸着剤システム及び対応する方法が、そのそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み入れられ且つ依拠の対象となる「Systems and Methods for Peritoneal Dialysis」と題する米国特許第7,208,092号、「Systems and Methods for Performing Peritoneal Dialysis」と題する米国特許第7,867,214号、及び「Systems and Methods for Performing Peritoneal Dialysis」と題する米国特許第7,922,686号に示されている。
【0184】
[00208]吸着剤システムは、複数の患者から除去された流出透析流体が大量バッチで一度に再生成されるように施設100に据え付けることが可能である。代替形態として吸着剤システムは、流出透析液が各患者から除去されるに従って即座に且つ個別に再生成されるように構成されている。施設100によって回収された流出透析液を再生成するために吸着剤システムを使用することによって、施設100に搬入し且つ施設100によって保管することを要する未使用透析液の量が低減される。このような吸着剤システムの使用によってまた、上で検討したような施設100が対処し且つ処分する必要がある廃棄物流体の量が低減される。
【0185】
[00209]代替形態として又は吸着剤再生成に対する追加として、施設100は、電気透析(「ED」)、逆電気透析(「EDR」)、電気脱イオン(「EDI」)、限外ろ過、逆浸透ろ過、紫外放射、又はオゾンのうちの任意の1つ又は複数など、再生成のための他の形態の流出物清浄を提供することが可能である。オゾンは、酸素に紫外光を当てることによってオンラインで生成することが可能である。このオゾンは次いで、例えばベンチャーポンプを介するなどにより流出透析液ストリーム内に引き入れることが可能である。オゾンは陽圧下では十分に貯蔵されない傾向がある。
【0186】
[00210]さらに施設100は、流出透析液から分離された水の少なくとも一部分を再使用するための水浄化システムを含むことも可能であることが企図される。流出透析液を使用可能な透析液まで再生成させない場合であっても、流出透析液から水を除去し且つ浄化することによって廃棄処分を要する廃棄物流体の体積を低減することが可能である。さらに浄化水は施設100において、オンライン又は使用時点で作成される未使用透析液の調製を含む他の用途に使用することが可能である。流出透析液から分離された水の浄化に加えて水浄化システムは、水道水の受け入れ、水道水の浄化、及び未使用濃縮物の使用又は上に記載した吸着剤システムとの組合せの何れかによる浄化した水道水を用いた透析液のオンラインでの調製のために据え付けることが可能である。適当な水浄化システムの1つが、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられ且つ依拠の対象となる2011年4月25日に出願された「Water Purification System and Method」と題する米国特許公開第2011/0197971号に示されている。一実施形態では浄化システムは、水を好ましくは0.03エンドトキシン単位/ml(「EU/ml」)未満且つ0.1コロニー形成単位/ml(「CFU/ml」)未満とするように水道水を浄化する(例えば、病原体や塩素などのイオンを除去する)ためのフィルタを含む。
【0187】
[00211]再度図10を参照すると、患者がAPD装置治療エリア300に入ると、患者はデスク120bに近づき、フロントデスク104にあるコンピュータ106のうちの1つから受け取ったオーダーを係員に手渡す。さもなければオーダーは、フロントデスクのコンピュータ106a~106fのうちの1つから治療エリア300のコンピュータ106hに送られる。さらなる代替形態として施設専門スタッフ18は、患者をフロントデスクエリアからAPD装置治療エリア300まで進ませると共に、例えば専門スタッフのモバイルラップトップコンピュータ、タブレット、又はコンピュータ/タブレットのハイブリッドを介して患者のオーダーを入力する。何れのケースにおいても、オーダーはこの時点での請求目的で入力されており、ここでもフロントデスク104における自己負担金を含むことがある。APD装置治療エリア300のAPD装置治療ステーション310a~310jの各々は、図12に関連して以下で詳細に示すようなAPD装置330と一緒に動作可能なディスポーザブルセット312を使用する。施設専門スタッフは、治療エリアデスク120bの後ろからディスポーザブルセット312を引き出すか、又は扉124を通って保管室150に入りディスポーザブルセット312を取得する。適当なAPD装置の1つは、本開示の譲受人によって提供されるHomeChoice(商標)又はHomeChoicePro(商標)装置である。
【0188】
[00212]APD装置治療エリア300にいる患者が目下使用済みの透析流体で満たされている場合、患者は共通ドレインエリア250のうちの1つに患者の転送セットを介して接続するが、これも前と同様に滅菌ユニット244及び/又は清拭用アルコールなどの清浄薬剤によって実施可能である。患者は次いで、排出をできる限り完全となるように使用済みの流体を例えば着座位置で排出する。排出は代替形態として自動で実施することが可能であり、この際にAPD装置330は患者からの消耗済み流体を、ディスポーザブルセット312の一部として提供されるドレインバッグにポンピングする。排出した後に患者は、充填のために指定されたAPD装置治療ステーション310a~310jまで進む(又は、既にAPD装置治療ステーションにいる)。バッチ腹膜透析治療エリア200の場合と異なりディスポーザブルセット312には患者の処方指示されたデキストロース又はグルコースレベルの透析液と処方指示された充填体積とを有する充填バッグ(複数可)が設けられることになる。したがって、患者に与えられるディスポーザブルカセット312の受け入れ及び操作が装置によって可能である限り、患者が治療を遂行する具体的なAPD装置治療ステーション310a~310jは重要でないことがある。ステーション310a~310jには異なるバージョンの装置330が存在することがあり、また患者は例えばプログラミング又はユーザインターフェースの理由からある特定のバージョンの装置330をより好むことがある。患者は自分の転送セットを例えば滅菌ユニット244及び/又は清拭用アルコールなどの清浄薬剤を用いることで滅菌方式でディスポーザブルセット312に接続する。患者は、ディスポーザブルセット312をAPD装置330に装填すること、治療をプログラムすること、及び治療を実行することを可能にすることができる。この代替形態では、施設専門スタッフのうちの1人がディスポーザブルセット312の装填、治療のプログラミング、及び/又は治療の実行のうちの任意の1つ又は複数又は全部について患者を支援することがある。ディスポーザブルセット312がAPD装置330に装填された後、装置330は以下でより詳細に説明するような自動腹膜透析充填処置を実行する。
【0189】
[00213]バッチ治療の場合と同様に、APD治療エリア300にかけられている患者は貯留期間の経過を待ち且つ上述の交換を再度実行することが可能であり、また希望する場合これを複数回行うことが可能である。さもなければ患者は単一の交換を実施し、次いで施設100を離れることがある。装置330にいる間に患者は、例えばテレビ118bを介してテレビを見ること、患者のコンピュータで仕事をすること、読書をすること、又はワイヤレス送受信機108を介してインターネットに接続することが可能である。上と同様に患者は例えば施設専門スタッフ18の支援を得て、計量器130で自分の体重を測定すること及び/又は血圧用腕帯132で自分の血圧を計ることが企図される。排出前及び/又は排出後及び/又は充填後において、患者体重と血圧の何れか一方又は両方が記録されることがある。同じ記録は患者のグルコース監視のために実施することも可能である。患者の体重、血圧、グルコースレベル、排出量(複数可)及び充填量(複数可)などの治療データのすべてはここでも、記録されること、ログ記録されること、及び患者のクリニックや病院22a、22b又は22cに送ることが可能である。
【0190】
[00214]保管室150は、予備のAPD装置330及びディスポーザブルセット312を含む。保管室150はまた、次に検討する連続携行式腹膜透析(「CAPD」)治療エリア400のステーション410a~410l向けの予備のディスポーザブルセット412を保管する。また治療エリア200、300及び400のうちの何れかのために保管室150は、予備の滅菌ユニット244、重量計量器130、血圧用腕帯132、グルコースモニタ(図示せず)及び他の所望の装置を保管する。適当な滅菌ユニットは、そのそれぞれの内容全体が参照により本明細書に組み入れられ且つ依拠の対象となる2007年7月5日に出願された「Peritoneal Dialysis Patient Connection System」と題する米国特許出願第11/773,623号、及び2007年7月5日に出願された「Peritoneal Dialysis Patient Connection System Using Ultraviolet Light Emitting Diodes」と題する米国特許出願第11/773,824号に記載されている。
【0191】
[00215]一方患者がCAPD治療エリア400に入ったときは、患者はデスク120cに近づき、フロントデスク104にあるコンピュータ106のうちの1つから受け取ったオーダーを係員に手渡す。さもなければオーダーは、フロントデスクのコンピュータ106a~106fのうちの1つから治療エリア400のコンピュータ106iに送られる。さらなる代替形態として施設専門スタッフは、患者をフロントデスクエリアからAPD装置治療エリア400まで進ませると共に、例えば専門スタッフのモバイルラップトップコンピュータ、タブレット、又はコンピュータ/タブレットのハイブリッドを介して患者のオーダーを入力する。何れのケースにおいても、オーダーはこの時点での請求目的で入力されており、ここでもフロントデスク104における自己負担金を含むことがある。CAPD治療エリア400のCAPD治療ステーション410a~410lの各々は、患者によって手作業で操作されるディスポーザブルセット412を使用する。施設専門スタッフは、治療エリアデスク120cの後ろからディスポーザブルセット412を引き出すか、又は扉124を通って保管室150に入りディスポーザブルセット412を取得する。
【0192】
[00216]CAPD治療エリア400にいる患者が目下使用済みの透析流体で満たされている場合、患者は共通排出エリア250のうちの1つに患者の転送セットを介して接続するが、これも前と同様に滅菌ユニット244及び/又は清拭用アルコールなどの清浄薬剤によって実施可能である。排出は代替形態として手作業で実施することが可能であり、この際に患者は、患者からの消耗済み流体を、ディスポーザブルセット412の一部として提供されるドレインバッグに重力フィードする。患者は次いで、排出をできる限り完全となるように使用済みの流体を例えば着座位置で排出する。排出した後に患者は、充填のために指定されたCAPD治療ステーション410a~410lまで進む(又は、既にCAPD治療ステーションにいる)。バッチ腹膜透析治療エリア200の場合と異なり、ディスポーザブルセット412にはディスポーザブルセット312と同様に、患者の処方指示されたデキストロース又はグルコースレベルの透析液と処方指示された充填体積とを有する充填バッグ(複数可)が設けられることになる。したがって、患者が治療を遂行する具体的なCAPD治療ステーション410a~410lは重要ではない。患者は自分自身を治療のためにディスポーザブルセット412に接続する可能性が高い。この代替形態では、施設専門スタッフのうちの1人がディスポーザブルセット412への接続について患者を支援することがある。患者は自分の転送セットを例えば滅菌ユニット244及び/又は清拭用アルコールなどの清浄薬剤を用いることで滅菌方式でディスポーザブルセット412に接続する。患者は次いで、以下でより詳細に説明するような手動腹膜透析充填処置を実行する。
【0193】
[00217]所定のレベルのグルコース及びデキストロースの透析液を貯蔵することの代替として、比率調整した溶液を施設においてオンデマンドで作成することがある。一実施形態では施設100は、未使用透析液、水や他の濃縮物、又はグルコース、デキストロース及び電解質などの望ましい成分を液体状で包含する溶液に関する別々の容器を含むことが可能である。代替形態として、液体濃縮物の代替品としての乾燥した化学薬品や濃縮された化学試薬の使用を用いること、及び濃縮物を保管するのに必要なスペースを削減することが可能である。施設100は透析液、水、塩、濃縮物及び/又は他の化学薬品と溶液を各患者の処方指示に基づいてオンデマンドで混合する。例えば未使用透析液を作成する一方法は、酸濃縮物を重炭酸塩濃縮物と混合し、次いで得られた混合物を水で希釈することである。この例では、酸濃縮物を別々のイオン濃度で保管することが可能であり、また重炭酸塩濃縮物を重炭酸ナトリウムとして及び/又は塩化ナトリウムと混合された重炭酸ナトリウムとして保管することが可能である。濃縮物は次いで、患者の指定の処方指示に従ってオンサイトで混合されて未使用透析液が調製される。透析液のオンサイトでの混合によって施設100は、事前に混合済みの透析液を使用することで消費されるディスポーザブルの包装の量を削減することが可能となる。これに代えて透析液は透析液をオンラインで調製するために濃縮液及び/又は化学薬品のより大型の容器を使用して必要に応じて調製することが可能である。腹膜透析溶液を混合するための適当なシステム及び方法の1つが、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられ且つ依拠の対象となる「System and Method for Providing Sterile Fluids for Admixed Solutions in Automated Peritoneal Dialysis」と題する米国特許第5,925,011号に示されている。混合された透析液溶液は、例えば透析治療のために患者に提供される加熱/計量バッグに液体を分配することによって患者に提供することが可能である。
【0194】
[00218]エリア200及び300の治療の場合と同様に、CAPD治療エリア400にいる患者は貯留期間の経過を待ち且つ上述の交換を再度実行することが可能であり、また希望する場合これを複数回行うことが可能である。さもなければ患者は単一の交換を実施し、次いで施設100を離れることがある。治療ステーション410a~410lにいる間に患者は、例えばテレビ118cを介してテレビを見ること、患者のコンピュータで仕事をすること、読書をすること、又はワイヤレス送受信機108を介してインターネットに接続することが可能である。上と同様に患者は例えば施設専門スタッフ18の支援を得て、計量器130で自分の体重を測定すること及び血圧用腕帯132で自分の血圧を計ることが企図される。排出前及び/又は排出後及び/又は充填後において、患者体重と血圧の何れか一方又は両方が記録されることがある。同じことは患者のグルコース監視のために実施することも可能である。患者の体重、血圧、グルコースレベル、排出量(複数可)及び充填量(複数可)などの治療データのすべてはここでも、記録されること、ログ記録されること、及び患者のクリニックや病院22a、22b又は22cに送ることが可能である。
【0195】
施設治療エリア
[00219]ここで図11を参照すると、上で検討したバッチ腹膜透析治療エリア200に関する一実施形態を示している。バッチ腹膜透析治療エリア200は、処方指示されたタイプの透析溶液を指定量で分配する。バッチ腹膜透析治療エリア200は、上で検討した治療施設100の一部分とすることが可能であり、また上でリストしたグルコース又はデキストロースのレベルを有するものなど異なる選択腹膜透析溶液からなるマルチ治療容器である大型の透析溶液タンク210a、210b、210c...210nを含む。例えば各タンク210a、210b及び210cは、周知であり且つ承認されたレベルにある例えば異なるデキストロースレベル(例えば、1.5%、2.5%及び4.25%のデキストロース)又はグルコースレベル(例えば、1.36%、2.27%及び3.86%のグルコース)を有する異なる透析溶液212a、212b及び212cを包含することが可能である。
【0196】
[00220]タンク210a~210cは、ステンレス鋼又はプラスチックとすることが可能であり、またある実施形態では例えば酸化エチレン滅菌によって滅菌することが可能である。タンク210a~210cは、持ち運びのための一体型のキャスタを有することが可能であり、又は持ち運びのための転がりパレット又はフォークリフトに対する積み下ろしのために傾けることが可能である。タンク210a~210cは図示した実施形態ではその各々に、タンクのガラスや他の放射波透過性の窓又は区画に接続される赤外線又は紫外線放射加熱器などの加熱器214を備える。加熱器214は代替形態としてタンクがその上に据え付けられる抵抗加熱器(図示せず)とすることが可能である。何れのケースにおいても、加熱器214は制御ユニット215から電力又はデューティサイクル信号を受け取る。制御ユニット215は例えば、加熱器214と一緒にボックス内に配置されたマイクロコントローラ(例えば、プロセッサ及びメモリを包含する)とすることが可能である。熱電対やサーミスタなどの温度センサ216が各タンク210a~210cの内部に配置されると共に、透析流体の温度(例えば、デューティサイクル)制御のために温度信号を検出してマイクロコントローラにフィードする。マイクロコントローラは、送受信機108を介してバッチエリアのコンピュータ106g及び/又はフロントデスクのコンピュータ106a~106fのうちの1つにワイヤレス式にリンクさせたワイヤレスモデムに接続することが可能である。
【0197】
[00221]さらに、タンクの上部に設けられた超音波式又はレーザ式のセンサなどのアナログ出力液位センサ218を存在させることがあり、これによりタンク210a~210cの内部の透析液のレベルを検出し且つこれを示す信号を、加熱器214の筐体の内部に収容されたマイクロコントローラに送信する。液体のレベル又は体積は代替形態として、各タンク210a~210cの下に計量器(図示せず)を設けることによって確認することが可能である。一実施形態では計量器はそれ自体が、ワイヤレスの重量信号をバッチエリアのコンピュータ106g及び/又はフロントデスクのコンピュータ106a~106fのうちの1つに送信することが可能である。これらの実施形態では、各タンク210a~210c内の透析液の温度及びレベル(又は、体積)をリモート式に監視することが可能である。さらに、施設専門スタッフにタンク210a~210cの切替え又は再充填がもう直ぐに必要となることを知らせるためのソフトウェアをリモートのコンピュータに設けることが可能である。
【0198】
[00222]さらにタンク内の透析流体レベルをタンクの外部から見ることができるようにタンク210a~210cを半透明プラスチックなどの半透明な材料から製作することも企図される。さらに各タンク210a~210cには、疎水性又は高効率粒子状物空気(「HEPA」)フィルタ219を例えばタンクの上部に設け、ろ過された空気をタンクに入れて消費された透析液を変位させタンク内が負圧にならないようにすることが可能である。
【0199】
[00223]図示した実施形態では、各タンク210a~210cに複数の腹膜透析供給分配器(例えば、分配器220a~220f)が設けられる。分配器220a~220fは、タンク210a~210cに取り付けられる(例えば、折り畳み可能に取り付けられる)ことがある。この方式では分配器を、滅菌、点検及び修理のためにタンクと一緒に移動させる。代替形態として分配器220a~220fは、個々に滅菌済みバッグ(図示せず)に入れて施設100に搬入され、保管室150に保管され、滅菌済みバッグから取り外され、且つ必要なときに例えば滅菌ユニット244及び/又はアルコールなどの滅菌清浄薬剤を用いて滅菌方式でタンク210a~210cのうちの1つに接続される。
【0200】
[00224]タンク210aの分配器220aは、分配器の一実施形態について詳細に示したものである。分配器220aは、供給ライン222、下流側圧力を制御する圧力調整器224、計量デバイス充填バルブ226、計量デバイス228、計量デバイスディスペル(dispel)バルブ232、並びにチェックバルブ236及び分配器コネクタ238まで柔軟に続く柔軟なライン234を含む。タンク210a~210c内の透析流体は、患者に重力フィードされる。タンク内に保持される透析流体が大量であるため大きな落差圧力を生成することが可能である。圧力調整器224は、調整器の下流側の透析流体の圧力をより管理可能な範囲内(例えば、5~10psig)とさせている。
【0201】
[00225]計量デバイス228は、放出と受光(例えば、光又はレーザの放出と受光)の対として動作可能な液位センサ230a及び230bを含む。液位センサ230a及び230bは患者16又は施設専門スタッフ18によって計量デバイス228のスケールに沿って処方指示された充填レベルまで上下に移動させる。図示していないが計量デバイス228と一緒に、液位センサ230a及び230bを処方指示された充填レベルまで、手動式又はモータ式でのねじの回転によって精密方式で並進させるボールねじタイプの並進装置を設けることが可能である。計量デバイス228を充填するためには、ディスペルバルブ232が閉じられる一方で、充填バルブ226が開かれ、これにより管理可能な圧力及び対応する流量下で液体が計量チューブを満たす。
【0202】
[00226]制御ユニット215は、透析流体が計量チューブを満たし、そのレベルによって液位センサ230aからセンサ230bに進む光又はエネルギーの線束が妨害されるようになったときに、充填バルブ226が閉じられるようにプログラムされている。バルブ226及び232と液位センサ230a及び230bとは、図示した実施形態ではタンクの制御ユニット215を介して電気的に制御される。さらにろ過空気ポート(図示せず)をフィルタ219と同様に計量デバイス228の上部に配置し、これにより計量デバイス228のチューブ内に圧力が形成されないように、且つタンク210a及び210cから供給ライン222に入るあらゆる空気が圧力を受けて計量デバイス228の上部に追いやられる又は上部から出ることも企図される。
【0203】
[00227]計量デバイス228からの患者の充填のためには、充填バルブ226が閉じた状態に維持される一方、ディスペルバルブ232が開かれる。流体は、ディスペルバルブ232、柔軟なライン234、チェックバルブ236及びコネクタ238を通過し、患者の転送セット242を通過し、且つ患者に留置の埋め込みカテーテルを介して患者16に入るように、安全な低圧力で重力フィードされる。流体送達の前に患者は、例えば滅菌ユニット244及び/又は清拭用アルコールなどの殺菌清浄薬剤を介して患者の転送セット242の分配器コネクタ238への滅菌性の接続を行う。チェックバルブ236によって患者流体が供給ライン222内に移動するのが防止される。さらに供給ライン222は使用と使用の間で完全なプライミング状態に維持される。分配器コネクタ238は、患者転送セット242が分配器コネクタ238に係合させない限りチェックバルブ236を通って流体が供給ライン222から全く出ることができないように構成される。このために分配器コネクタ238に、オン/オフバルブ(図示せず)を設けることがある。分配器コネクタ238はまた、各使用の前に滅菌済み先端によって置き換えられるディスポーザブル先端(図示せず)を有することがある。
【0204】
[00228]計量デバイス228は代替形態として、患者の処方指示によってあらかじめ決定された透析溶液212a~212cの量を満足させるように透析溶液の流れを監視及び計量することが可能な他の装置を含むことが可能である。代替的な一実施形態では計量デバイス228は、患者が処方指示された量の透析溶液を受け取り終えたことを判定するために透析液流量対時間を監視し且つ積算する積算流量計を含む。
【0205】
[00229]別の代替的な実施形態では計量デバイス228は、膜又は隔壁によって分離されたチェンバの内側壁間で前後にフラップする膜又は隔壁によって区画された既知且つ固定体積のチェンバを有するバランスチェンバを含む。タンク210a~210cから流入する加圧された透析液は、その各々が膜の異なる側面に進む2つの入口ラインに分割される。各入口ラインはバルブ制御されている。バルブは、膜の交互の側面からチェンバ内に透析液を押し込むようにシーケンス動作させており、各回ごとに同じ体積の透析液が患者を向いた膜のもう一方の側面でチェンバから押し出される。したがって膜又は隔壁の各側面についてチェンバから患者の方向に進む1つとした2つの出口ラインも存在しており、各出口ラインもまたバルブ制御されており、出口ラインのバルブは入口ラインのバルブと同期してシーケンス動作させており、また膜のある側面にある入口バルブは膜のもう一方の側面にある出口バルブと一緒に開き且つ閉じており、この逆もまた真である。バルブ制御された出口ラインは柔軟なライン234、チェックバルブ236、コネクタ238及び患者16に至る単一の出口ラインを形成するように互いに結ばれている。制御ユニット215は、バルブが何回シーケンス動作されたかをカウント又は承知している。この数にチェンバの既知体積を掛け算することによって、患者に対してポンピングされる絶えず増大する総体積が得られる。ポンピングされた実際の総体積が処方指示された総体積に等しくなると、交換充填が完了しバランスチェンババルブが閉じられる。ここで処方指示された総体積は、(i)分配器220a~220fが設けられたユーザインターフェース又はキーパッド、或いは(ii)制御ユニット215とワイヤレス式に連絡した施設専門スタッフのうちの1人のコンピュータ、タブレット、又はコンピュータ/タブレットのハイブリッドを介して、タンク210a~210cの制御ユニット215に電子式に入力することが可能である。
【0206】
[00230]多くの事例において患者16は、自身の腹膜内に先ず排出を要する使用済み透析溶液がある状態でバッチ腹膜透析治療エリア200に入ることになる。これをするために患者16は先ず、(i)続いて計量及び/又はサンプリングを受け次いで捨てられるドレインバッグ(図示せず)、或いは(ii)個々のドレイン(図示せず)に接続することが可能である。しかし図示した実施形態では患者16はこれに代えて、図10に関連して上で検討した共通ドレインエリア250に排出することが可能である。共通ドレインエリア250はタンク又は水盤252を含む。複数のバルブ制御された排出ラインアセンブリ254a~254gがタンク又は水盤252から延び出ている。バルブ制御された各排出ラインアセンブリ254a~254gは、患者16から再使用可能な秤量バッグ又は容器258まで又は秤量バッグ又は容器258からタンク又は水盤252までの何れかの方向に排出流体を流すことが可能な3方向バルブ256を含む。ある実施形態では、バルブ256の何れの位置も患者16からドレインタンク又は水盤252まで流体を流すことが不可能であり、患者に対して秤量バッグ又は容器258への排出が強制される。患者は、上で既に検討したように滅菌ユニット244及び/又は殺菌薬剤を介してバルブ256に接続する。
【0207】
[00231]図示したように各秤量バッグ又は容器258は計量器260上に据えられる。計量器260は、患者の排出重量を送受信機108を介してワイヤレス式にコンピュータ106a~106gに送信することが可能であり、次いでコンピュータ106a~106gは患者のクリニック22a~22cに送信するために排出体積を上で検討した他の交換データと一緒にログ記録する。コンピュータ106a~106gへの流出物重量データ転送は、代替形態として本明細書で既に検討したように手作業で実施される。ある実施形態では秤量バッグ又は容器258には、流出物サンプルの取得を可能とさせるサンプルポート(図示せず)が設けられており、このサンプルは患者16が自身の交換を実行しながら実行可能な分析のために例えばバッチエリアデスク120a又はフロントデスク104にいる施設専門スタッフ18に渡すことが可能である。この結果は、施設100を離れる時点で患者に渡すこと及び/又は患者のクリニック22a~22cに送られる交換データの一部としてログ記録することが可能である。患者体積及び限外ろ過制御のためには患者の排出体積の追跡のために排出された透析液を計量することが望ましいが、排出された透析液を計量するための手段又はリソースを有する施設100はすべてではないことが企図される。このようなケースでは患者はこれに代えて、このような計量を行わずに流出透析液を共通のドレインに排出することが可能である。
【0208】
[00232]秤量バッグ又は容器258への患者の排出が完了した後に、患者や施設専門スタッフ18はバッグ又は容器258を、例えばタンク又は水盤252によって提供されるフック又は張り出し棚まで持ち上げ、バルブ256とそれぞれの排出ライン254a~254gのタンク又は水盤への接続部の両者より上方に高く配置させることが企図される。次いでバルブ256の位置は、患者の流出物が秤量バッグ又は容器258からタンク又は水盤252まで重力で流れるように切り替えられる。タンク又は水盤252は、患者の腹膜からの使用済み透析液などの生物系廃棄物を効率よく且つ有効に取り扱うように構成され且つ配置される。
【0209】
[00233]ここで図12を参照すると、上で検討したAPD装置腹膜透析治療エリア300の一実施形態を示している。APD装置腹膜透析治療エリア300は処方指示されたタイプの透析溶液を指定量だけ注出すると共に、上で検討したような治療施設100の一部とすることが可能である。治療エリア300は、その各々がAPD装置330と一緒に動作可能なディスポーザブルセット312を提供するAPD装置治療ステーション310a~310dを含む。各ディスポーザブルセット312は、周知であり且つ承認されたレベルにある例えば異なるデキストロースレベル(例えば、1.5%、2.5%及び4.25%デキストロース)又はグルコースレベル(例えば、1.36%、2.27%及び3.86%グルコース)を有する異なる透析溶液を包含することが可能である。各ディスポーザブルセット312はまた、処方指示されたタイプの透析液を指定された体積だけ包含することが可能である。さもなければディスポーザブルセット312は、処方指示された体積より多くの透析液を包含すること、及び処方指示された体積の透析液を患者16にポンピングすることについてAPD装置330に依拠することが可能である。
【0210】
[00234]ディスポーザブルセット312は、単一の透析液充填バッグ314だけを包含することがある。ここでは患者は、図10及び11に関連して既に上で検討したこれらの図面に関連して検討したすべての代替形態を含む共通ドレインエリア250に排出することが可能である。患者が共通ドレインエリア250に排出するとき、ディスポーザブルセット312はドレインバッグ或いは関連する排出ライン又はチューブを必要としない。代替形態としてディスポーザブルセット312には、排出ライン316に取り付けるドレインバッグを含ませ、これがAPD装置330に対して患者についての自動的な排出を実行させている。さらに別の代替形態として、APD装置330は患者流出物を排出ライン316を介して個々のドレインにポンピングする。
【0211】
[00235]図示した実施形態では透析液充填バッグ314は、APD装置330の上部に配置された加熱器332上に置かれる。加熱器332は充填バッグ314内の透析液を、患者の体温(例えば、約37°C)になるように又はこの近くまで加熱する。しかし患者の充填が開始可能となるまでの加熱時間を短縮する又は不要にするために充填バッグ314を保管室150に保管されたディスポーザブルセット312の一部として予備加熱することが明確に企図される。チューブ318は充填バッグ314からポンピングされた加熱済みの透析液を、APD装置330内に装填済みのディスポーザブルのポンピング用カセット内に送り且つこのカセットによって送っており、したがって図12では見ることができない。適当なディスポーザブルのポンピング用カセットの1つが、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられ且つ依拠の対象となる米国特許第5,989,423号に図示され且つ記載されている。APD装置330は次いで、加熱済みの透析液をカセットから出て患者ライン320を通して患者16までポンピングする。ディスポーザブルのポンピング用カセットを介することでAPD装置330は、患者の腹膜に処方指示された透析液を正確な充填体積だけポンピングすることが可能である。処方指示された体積は、一実施形態ではユーザインターフェース334を介して患者や施設専門スタッフ18によって手作業でAPD装置330の制御ユニット(図示していないが処理及びメモリを含む)に入力される。代替形態として施設専門スタッフは処方指示された充填体積を、施設専門スタッフのラップトップコンピュータ、タブレット、又はコンピュータ/タブレットのハイブリッドを介してAPD装置330の制御ユニット(プロセッサ及びメモリ)にリモート式且つワイヤレス式で入力する。
【0212】
[00236]単一の交換の場合は、充填バッグ314からの処方指示された充填が患者16に対してポンピングされた後に、患者は装置330を分離し且つ施設100を離れることが可能である。複数の充填の場合には患者は、装置330に接続されたままとすることも装置330から分離することも可能であるが、装置330に対する物理的に近くに(例えば、装置から30分以内に)留まる一方、充填バッグ314からの溶液は患者の腹膜に貯留させておき、毒素及び限外ろ液(「UF」)を除去する。処方指示された貯留期間が終わった後に、装置330は使用済みの流出透析液を患者からディスポーザブルのポンピング用カセットに且つこのカセットによって自動的に引き込み、一方このカセットは排出ライン316を介した排出のために流出透析液をポンピングする。
【0213】
[00237]ディスポーザブルセット312はしたがって、排出及び充填処置を1回又は複数回反復できるように1つ又は複数の追加の供給バッグ322を含むことがある。装置330は充填体積及び排出体積のすべてを、ログ記録及び本明細書に記載した任意のデータフロー方式を介した患者のクリニック22a~22cへの送達のために記録する。1つ又は複数の追加の供給バッグ322は、最初の充填バッグ314と異なるタイプの透析液を包含することが可能である。例えば最後の充填供給バッグ322は、患者が施設100を離れた後で患者の腹膜内に残すように処方指示された透析液を包含することがある。
【0214】
[00238]ここで図13を参照すると、上で検討したCAPD腹膜透析治療エリア400の一実施形態を示している。CAPD腹膜透析治療エリア400も同様に、処方指示されたタイプの透析溶液を指定量だけ注出すると共に、上で検討したような治療施設100の一部とすることが可能である。治療エリア400は、その各々が患者によって手作業で操作されるのが典型的なディスポーザブルセット412を提供するCAPD治療ステーション410a~410dを含む。各ディスポーザブルセット412は、周知であり且つ承認されたレベルにある例えば異なるデキストロースレベル(例えば、1.5%、2.5%及び4.25%デキストロース)又はグルコースレベル(例えば、1.36%、2.27%及び3.86%グルコース)を有する異なる透析溶液を包含することが可能である。各ディスポーザブルセット412はまた、処方指示されたタイプの透析液を指定された体積だけ包含することが可能である。さもなければディスポーザブルセット412は、処方指示された体積より多くの透析液を包含すること、及び透析液の処方指示された体積の計量について患者に依拠することが可能である。
【0215】
[00239]ディスポーザブルセット412は図示した実施形態では、CAPD治療の実行のために3つのクランプ414a、414b及び414cを使用するツインバッグCAPDセットをである。クランプ414aが第1のチューブ416に装着され、このチューブが患者の転送セット242(図11)に接続され、さらにこのセットが患者の身体に埋め込まれたカテーテルまで続いている。クランプ414bが第2のチューブ418に装着されており、このチューブは一方の端部において第1のチューブ416のもう一方の端部に接合されたY字形ジョイント420に接続されている。第2のチューブ418は、患者に処方指示された量及び種類の透析液を供給するためにそのもう一方の端部において透析流体バッグ又は容器422に接続されている。クランプ414bが、患者の使用済み流出透析液を回収し且つ捨てるためにその一方の端部においてドレインバッグ426に接続された第3のチューブ424に装着されている。
【0216】
[00240]患者が最初に消耗済み流出物で満たされたとき、患者はバルブ414a及び414cを開き、ドレインバッグ426への重力排出を行う。排出流体の系をフラッシングするために患者は次いで、バルブ414b及び414cを開き、ドレインへの少量の未使用流体の重力フローを可能にし、第2のチューブ418がフラッシング及びプライミングされる。患者は次いで、患者への未使用流体の重力フィードを可能にするようにバルブ414a及び414bを開くことによって未使用透析液を再充填する。ディスポーザブルセット412は代替形態として別々のバルブ414a~414cを、Y字形ジョイント420に接続されると共に排出、フラッシング及び充填のステップの各々を実行する手動設定の複数のポジションを提供する単一のマルチポジションバルブに置き換えることが可能である。
【0217】
[00241]複数の交換のために患者に対して複数のディスポーザブルセット412が提供されることがある。何れのケースにおいても患者は代替形態として、図10及び11に関連して上で既に検討したこれらの図面に関連して検討したすべての代替形態を含むように、共通ドレインエリア250にもまた個々の家屋ドレインにも排出することが可能である。患者が共通ドレインエリア250又は家屋ドレインに排出する際にディスポーザブルセット412に必要なものは、バルブ414aの患者端部において及び溶液バッグ422のもう一方の端部において接続される単一のライン416だけである。単一のライン416はフラッシングステップを不要にするようにバルブ414aのところまで前プライミングした状態で包装しておくことが可能である。APDセット312の場合と同様にCAPDセット412の溶液バッグ422は、患者充填が開始可能となるまでの加熱時間を短縮する又は不要にするために保管室150において患者の体温(例えば、約37°C)になるように又はこの温度近くまで予備加温しておくことが可能である。
【0218】
[00242]単一の交換の場合は、充填バッグ422からの処方指示された充填が患者16に重力フィードされた後に、患者はセット412を分離し且つ施設100を離れることが可能である。複数の充填の場合は、患者は施設100に対する物理的に近くに(例えば、施設から30分以内に)留まる一方、充填バッグ422からの溶液は患者の腹膜に貯留させておき、毒素及び限外ろ液(「UF」)を除去する。処方指示された貯留期間が終わった後に患者は、第2のディスポーザブルセット412を用いてドレインバッグ426に、上で検討したような共同体ドレイン250又は別の家屋ドレインに排出を行うと共に、第2の供給バッグ422による別の充填を実行する。
【0219】
[00243]施設100は、充填体積及び排出体積のすべてを、ログ記録及び患者のクリニック22a~22cへの送達のために本明細書に記載した任意のデータフロー方式を介して記録する。1つ又は複数の追加の供給バッグ422は、最初の充填バッグ422と異なるタイプの透析液を包含することが可能である。例えば最後の充填供給バッグ422は、患者が施設100を離れた後で患者の腹膜内に残すように処方指示された透析液を包含することがある。
【0220】
施設システムアーキテクチャ
[00244]図14及び15は、上に記載した施設をより大型のシステムの形に統合するための様々な実施形態を示している。さらに、本開示の施設を運用するための様々な方法も図示している。図14では腹膜透析システム10は、システムハブ520及びウェブポータル560を介して電子診療記録データベース522a、522b及び522cにアクセス可能な腹膜透析交換施設100a、100b及び100cを含む。図15では腹膜透析システム110は、ウェブポータル524を介して電子診療記録データベース522a、522b及び522cにアクセス可能な腹膜透析交換施設100a、100b及び100cを含む。この2つのシステムの主な違いは、図14のシステム10では、透析交換施設100a、100b及び100cを介してアクセスを受けるウェブポータル560が患者の在宅装置を提供し且つサポートする例えば装置、溶液及びディスポーザブル品の供給者(「装置供給者」)などの同じ主体によって提供されていることである。ここで施設100a、100b及び100cは装置供給者によって主に所有され且つ運用されている。他方図15のシステム110ではウェブポータル524は、異なる主体によって(例えば、装置供給者と協働するクリニックのうちの1つによって)ホストされている。その各々がそれ自体のウェブポータル524をホストしているような、システム110で運用される複数の異なる主体又はクリニックが存在することがある。例えば装置供給者と協働するクリニックAは、ある国の中のその装置供給者が運用している部分にサービス提供することがある一方、装置供給者と協働するクリニックBはその国の別の部分にサービス提供する、等々である。ここで施設100a、100b及び100cは、装置供給者以外のクリニック又は企業によって主に所有され且つ運用されることがある。
【0221】
[00245]システム10及び110では、交換施設100a、100b及び100cは腹膜透析患者がその箇所で腹膜透析治療を受けることが可能なウォークイン型施設である。各施設100はある実施形態では、患者から処方指示を受け取ると共に患者が認可された担当医による腹膜透析治療の処方指示されたことを確認する。一実施形態では常連の患者について、患者が自身の処方指示を施設に持参することを要することなく、自身を識別させ、データベースからのアクセスを受け且つ治療を実行するように施設のコンピュータ内に記憶しておくことが可能である。患者の処方指示は、治療の種別(例えば、APD対CAPD)、治療1回あたりの交換回数、並びに各交換ごとの溶液の体積及び種類などの複数の治療パラメータを指定している。異なる透析溶液は、デキストロース又はグルコース、塩及び他の成分を異なる組成で包含する。グルコース又はデキストロースは、透析液により提供される浸透勾配を制御しており、これにより次いで限外ろ液(「UF」)として患者の身体から引き出される及び腹膜に引き入れられる過剰流体がどの程度の量かやどの程度の速さとするかが制御される。デキストロースレベルがより高いほど、溶液のUF能力がより高くなるが、溶液のカロリー摂取もより高くなる。患者は、昼間の交換の場合などより長貯留時間の交換ではグルコース又はデキストロースを多くしたり少なくしたりすることを要することがあり得る。カリウムやカルシウムなどの電解質も、健康な血液の場合と同様の濃度で透析溶液内に含めることが多い。透析溶液の組成及び交換1回あたり使用される透析溶液の量はしたがって、個々の各患者を最適に治療するように認可された担当医によって処方指示される。
【0222】
[00246]本開示は、患者の処方指示を受け取り且つ確認するための様々な装置及び方法を案出している。本明細書で検討した実施形態では患者は外部の病院やクリニックから認可された担当医によって患者に提供された紙の処方指示又は電子ファイル又はデータ記憶デバイス(例えば、フラッシュドライブ)を伴って交換施設100(一般に各施設100a、100b、100c...100nと呼ぶことも、まとめてすべての施設と呼ぶこともある)に現れる可能性がある。次いで施設100はウェブポータル560(図14)又は524(図15)を介して、ウェブポータルを通じた電子診療記録(「EMR」)データベース522a、522b及び/又は522cへのアクセスによって処方指示を確認することが可能である。医師又は臨床医データベース522a、522b及び522cは、各患者の目下の透析処方指示に関連するデータを記憶しており、また追加として過去の治療データや過去の治療処方指示などの履歴情報を保持することがあり、このうち施設100を介してアクセス可能なのは全くない又はその一部又は全部とさせ得る。したがってデータベース522a、522b及び522cは、1つ又は複数の目下の処方指示とのマッチングのために患者の処方指示を簡単に(手作業又は自動で)目視し、施設100に対してマッチングが得られたか否かの連絡を戻すことがある。さもなければデータベース522a、522b及び522cは、患者の承認済み処方指示(複数可)を確認のために施設100にいる専門スタッフに表示することがある。
【0223】
[00247]データベース522a、522b及び522cは追加として、施設専門スタッフ18が患者について指定された治療データにアクセスすることを可能にすることができる。例えば患者は、複数の承認済み処方指示及び所与の日に使用する任意の処方指示を選択する自由を有することがある。患者データは、ある処方指示が1つ又は複数の他の処方指示と比べてより適正に機能し得ることを指示することがある。施設専門スタッフ18は、こうしたデータを見ると共に当該日について患者のより適正なパフォーマンスとなる治療のうちの1つ又は複数を推奨するように訓練されている。
【0224】
[00248]さらに患者が患者処方指示を施設100に持参することを要求されないことも企図される。これに代えて、患者名及び/又は患者識別子が施設100で入力され、施設100はウェブポータル524又は560を通じてデータベース522a、522b及び522cと通信し、次いで存在していれば患者の目下承認済みの処方指示(複数可)を戻すように伝送させる。ここでは確認は存在しているがマッチングは全く要求されない。
【0225】
[00249]データベース522a、522b又は522c上で患者を見つけることができなかった場合、患者に交換実行をさせる認証を得るために施設専門スタッフ18に患者の医師又は臨床医と連絡を取らせることが企図される。また上で検討したようにある種の国々又は国内の地域では、確認のためにシステムに対してリンクする能力を有しないことがある。これに従って、処方指示が正当であると見られる限りにおいて交換を実施し得るように紙で又は電子的に持参された処方指示を自己認証できるようにすることが企図される。ここでもまた、患者が最初に施設100を訪問したときに、患者及び患者自身の目下の処方指示を現場施設100のコンピュータに入力し、患者が次回施設100に戻ったときに確認の実行ができるようにすることが可能である。患者の処方指示が変更された場合、現地施設100のコンピュータにその変更を書き留めておくことが可能である。
【0226】
[00250]詳細には以下で検討するが、上で検討した実施形態のうちの何れかに従って処方指示が確認されるか自己認証された後に、その処方指示は患者が目下の治療に必要とする透析溶液の体積及び種類を決定するために使用される。この処方指示はまた、透析溶液を装置を介して患者に送達させるか、手作業で送達させるかを指示している。この情報を知ることによって患者は、治療の取得に向けた次のステップに進むことが可能である。
【0227】
[00251]図示した実施形態ではシステムハブ520が、接続サーバ530、サービスポータル540並びにウェブポータル560及び/又は524に接続されている。システムハブ520は、新たな治療処方指示を在宅装置550にダウンロードするため及び在宅APD装置550から目下の治療データを受け取るために、患者の在宅腹膜透析又はAPD装置550と接続サーバ530を通じて通信する。図示した実施形態では装置550は、患者の自宅(点線図14及び15)にある例えばモデム552、血圧モニタ554、計量器556及びワイヤレスタブレットユーザインターフェース558などのユーザインターフェースを含むことが可能な腹膜透析周辺機器に関するハブである。モデム552、血圧モニタ554、計量器556及びタブレット558は、在宅APD装置550とワイヤレス式に通信することがあり、又は代替形態として在宅装置550にワイヤ接続されることがある。
【0228】
[00252]モデム552は、在宅装置550とシステムハブ520の間の通信を可能にするための3G、4G、5G又は他のタイプのインターネットモデムとすることが可能である。血圧モニタ554及び計量器556は、患者の血圧及び重量を取得し且つ記録することが可能である。同様に血圧モニタ554は、患者の腕の周りで加圧される空気制御式の血圧用腕帯とすることがある。血圧モニタ554は、在宅装置550の制御プロセッサに血圧データを送信することが可能であり、或いは患者が自分で自身の血圧を計測してそのデータをタブレット558に入力し、次いで血圧データを在宅装置550の制御プロセッサに伝送することが可能である。在宅APD装置550の制御プロセッサは、例えば治療後にどれだけの限外ろ過が患者から除去されたかを計算するために計量器556からの重量データを使用することが可能である。治療データは保存されると共に、後でモデム552を介して電子診療記録データベース522a~522cに転送され目下の治療処方指示の評価において及び新たな処方指示の決定のために使用される。
【0229】
[00253]重量及び血圧データの保存以外に、在宅装置550を用いて患者によって実行される各在宅腹膜透析治療によって、パラメータ並びに治療全体にわたる在宅装置550及び患者の動きに関連するデータが保存されることになる。装置550は例えば、透析流体流量と、治療全体にわたって除去された限外ろ液の総量と、を保存することが可能である。エラー、アラート、アラーム条件及び治療ステップが首尾よく実行できたか否かも記録することが可能である。次いで治療データがモデム552を介した在宅装置550から、接続サーバ530を介したシステムハブ520に送信され、ここで病院又は臨床医データベース522a、522b又は522cに保存され、次いでこれが上で検討したように施設100a、100b又は100cによりアクセスされ得る。
【0230】
[00254]医師及び臨床医データベース522a、522b及び522cは、患者特異的な治療及び処方指示データを包含しており、したがってデータベースへのアクセスは厳格に制限される可能性がある。図14及び15に示した実施形態のそれぞれにおいて施設100a、100b及び100cは、ウェブポータルを通じた医師又は臨床医データベース522a、522b及び522cへのあるレベルのアクセスを取得可能とし得る。図14では施設100a、100b及び100c並びに患者及び臨床医562a、562b及び562cは例えばその自宅のコンピュータから、装置供給者によってホストされたウェブポータル560にそれぞれアクセスする。医師/臨床医は、患者や一般公衆では取得が不可能なデータへのアクセスを有することになる。施設100a、100b及び100cは医師/臨床医レベルのアクセス、一般公衆レベルのアクセス、又はこれらの間のどこかのレベルのアクセスを有することがある。図15では、図14の装置供給者ポータル560により提供されるのと同じレベルの患者データベースへのアクセスが医師/臨床医インターネットポータル524を介して施設100a、100b及び100cに与えられることがある。図15においてもまた、医師/臨床医ポータル524並びに施設100a、100b及び100cはクリニックや病院によって管理及び/又は所有されている。図14ではこれと異なり、ポータル560並びに施設100a、100b及び100cは、装置供給者によって管理及び/又は所有されている。
【0231】
[00255]再度図14図15の両方を参照すると、システムハブ520及び接続サーバ530もまたサービスポータル540に接続されている。接続サーバ530によってサービス要員指揮者542並びにサービス要員544a、544b及び544cは在宅装置550及び/又はモデムのシリアル番号を用いてネットワーク全体にわたる様々なアセットの追跡及び取り出しが可能となる。このアセットには、施設100a、100b及び100cの内部に配置されたAPD装置及び/又は他の装置を含むことがある。接続サーバ530はまた、ファームウェアアップグレードを受け取り、患者の自宅に配置されたAPD装置又は施設100a、100b及び100cの内部に配置されたセンター内APD装置に提供するためにも使用することが可能である。施設100a、100b及び100cの内部を含むシステム10、110のどこかに配置させたAPD装置及び/又は他の装置は、サービス要員にオンサイト及び/又はリモートでアクセス、診断及び障害追跡させるためにサービスモードで動作させることもある。サービス技術員もまた、施設100a、100b及び100cの内部を含むシステム10、110のどこかに配置させたAPD装置及び/又は他の装置に保存されたデータファイルをリモートで調査して取り出し、装置エラーの原因を決定することが可能である。
【0232】
[00256]システム10及び110は患者が在宅透析装置550とポータル524及び560へのインターネットアクセスとを有することを前提としているが、本開示は人々が腎臓療法へのアクセスを要するが在宅APD装置550やインターネットへのアクセス又はこれらの手段を有しないような発展途上国や他の地域でも使用可能であることが想定される。システム10及び110はしたがって、在宅透析装置、サービス要員サポート、システムハブサポート、又はウェブポータルへのアクセスを有しないような地域に配置されたウォークアップ(walk-up)患者も含み且つサポートする。ここでは施設100は代わりに、顧客及び/又は処方指示の受け入れ及び確認のためのコンピュータ及びソフトウェアを提供している。
【0233】
[00257]例えば、患者が紙の処方指示を持って施設100に現れた場合、施設は患者が提供した処方指示を確認するために処方指示医師の病院やクリニックに電話連絡することが可能である。認可された担当医もまた、患者の代わって直接施設100に連絡し治療を推進するように患者の施設への訪問前に処方指示を提供することが可能である。処方指示が施設100に関連する病院やクリニックによって記載されている場合、施設は施設に患者が到着した時点で既に患者の記録へのアクセスを有していることがある。当業者であれば本開示に従った施設(例えば、先進国内の施設)によって利用可能であるような患者の処方指示を受け取る追加的な方法が存在することを理解されよう。
【0234】
[00258]処方指示が認可された担当医によって直接施設に提供される場合や処方指示が施設に関連する病院やクリニックによって処方指示される場合などの幾つかのケースでは、施設は処方指示の受け取りと同時に処方指示を確認することが可能である。患者が施設100において自分で処方指示を作成する場合などの他のケースでは、施設が処方指示を受け取った後で確認プロセスが行われる。施設の常連患者のケースでは、施設は電子式又は紙のファイルに患者の処方指示を保持しておき、最初の訪問において処方指示が確認済みとなった後で患者が治療のために施設に入る度ごとに処方指示を取り出すことを可能とし得る。
【0235】
[00259]施設100が患者の処方指示を確認し終えた後は施設には、透析溶液の種類及び量、またさらにはこのために必要なあらゆるディスポーザブル品目が分かっている。各施設100はしたがって、異なる残留腎臓機能及び毒素搬出特性を有する異なる患者のニーズを満たすように化合物濃度が様々な複数の腹膜透析溶液及び関連するディスポーザブル品を保管している。各患者ごとに処方指示された指定量の透析溶液を注出することは、幾つかの方法(以下にそのうちの幾つかを記載する)によって実現することが可能である。
【0236】
本開示の追加の態様
[00260]本明細書に記載した主題の態様は単独で有用となり得るものであり、また本明細書に記載した他の態様のうちの任意の1つ又は複数との組合せにおいても有用となり得る。上の記述を限定するものではなく本開示の第1の態様では、腹膜透析患者を治療する方法は、複数の異なる腹膜透析溶液を単一の箇所に提供するステップと、この単一の箇所において患者を受け入れるステップと、患者に関する処方指示を受け取るステップと、この処方指示に基づいて腹膜透析溶液のうちの1つを選択するステップと、患者が選択された腹膜透析溶液を用いて腹膜透析治療を受けることを可能にするステップと、を含む。
【0237】
[00261]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第2の態様では、受け取るステップは処方指示を受け入れるサブステップを含む。
【0238】
[00262]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第3の態様では、受け取るステップは処方指示を呼び出すサブステップを含む。
【0239】
[00263]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第4の態様では、受け取るステップは処方指示を確認するサブステップを含む。
【0240】
[00264]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第5の態様では、可能にするステップは患者に腹膜透析装置及びカセットを提供するサブステップを含む。
【0241】
[00265]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第6の態様では、可能にするステップは連続携行式腹膜透析セット及び/又はカテーテルを提供するサブステップを含む。
【0242】
[00266]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第7の態様では、可能にするステップは選択された腹膜透析溶液のマルチ治療容器へのアクセスを提供するサブステップを含む。
【0243】
[00267]第7の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第8の態様では、可能にするステップは処方指示によって指定された患者に対する選択された腹膜透析溶液の量を計量するサブステップを含む。
【0244】
[00268]第8の態様、他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第9の態様では、選択された腹膜透析溶液は容器に入れ且つ患者に従った体積で提供される。
【0245】
[00269]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第10の態様では、可能にするステップは患者が消耗済み透析流体を手作業で排出することを可能にするサブステップを含む。
【0246】
[00270]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第11の態様では、単一の箇所にいる複数の人に対する腹膜透析を可能にする方法は、多様な濃度の複数の透析溶液を単一の箇所に用意するステップと、この箇所と異なるクリニックや病院の腹膜透析患者である人を受け入れるステップと、患者を腹膜透析溶液のうちの1つにマッチングさせるステップであって、患者は次いでこのマッチングさせた腹膜透析溶液を腹膜透析治療で使用し得るマッチングさせるステップと、を含む。
【0247】
[00271]第11の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第12の態様では、患者はクリニックや病院によって提供される情報にアクセスすることによって確認される。
【0248】
[00272]第11の態様、他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第13の態様では、腹膜透析溶液はクリニックや病院によって提供される処方指示に基づいてマッチングされる。
【0249】
[00273]第11の態様、他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第14の態様では、患者を受け入れるステップは患者によって提供された情報を入力すると共にこの入力された情報に基づいてマッチングされた腹膜透析溶液を取得するサブステップを含む。
【0250】
[00274]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第15の態様では、単一の箇所にいる複数の患者に対する腹膜透析自己治療を可能にする方法は、様々な濃度の透析溶液の注出が可能な複数の腹膜透析装置を用意するステップと、患者によって提供された処方指示に基づいて患者を透析溶液にマッチングさせるステップであって、患者は次いで腹膜透析治療の実行のために腹膜透析装置のうちの1つを使用し得るマッチングさせるステップと、を含む。
【0251】
[00275]第15の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第16の態様では、処方指示はデータ記憶デバイスを介して提供される。
【0252】
[00276]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第17の態様では、複数の腹膜透析患者に対する腹膜透析交換を提供するための施設は、様々な濃度の複数の腹膜透析溶液と、患者について処方指示された治療に関する患者からの情報を受け入れるように構成されたシステムと、を含んでおり、この治療は透析溶液のうちの1つを処方指示しており且つ患者はこの処方指示された腹膜透析溶液を用いて施設において腹膜透析交換を実行することが可能である。
【0253】
[00277]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第18の態様では、腹膜透析患者のためのウォークイン型施設は、様々な濃度の透析溶液を包含する複数の腹膜透析装置と、患者からの処方指示を受け入れ且つ確認する手段と、を含んでおり、この処方指示は透析溶液にマッチングさせることが可能であり且つ患者はこの施設において自己治療を実行することが可能である。
【0254】
[00278]第18の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第19の態様では、治療は施設に関連する病院やクリニックによって処方指示されている。
【0255】
[00279]第18の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第20の態様では、治療が施設と異なる所有権の病院やクリニックによって処方指示されている。
【0256】
[00280]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第21の態様では、腹膜透析システムは、再使用可能な充填用容器と、再使用可能なドレイン容器と、再使用可能な充填用容器又は再使用可能なドレイン容器の少なくとも一方に流体接続されるように構成され且つ配置された再使用可能な連続携行式腹膜透析(「CAPD」)セットと、を含む。
【0257】
[00281]第21の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第22の態様では、再使用可能な充填用容器と再使用可能なドレイン容器とは、手で持ち運ぶために1つのユニットとするように一体に組み合わさるように構成されている。
【0258】
[00282]第21の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第23の態様では、再使用可能な充填用容器と再使用可能なドレイン容器のうちの少なくとも一方は剛性又は半剛性である。
【0259】
[00283]第21の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第24の態様では、再使用可能な充填用容器又は再使用可能なドレイン容器は、1つのユニットを形成するように一体に組み合わせたときに容器を手で持ち運ぶためのハンドルを含む。
【0260】
[00284]第21の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第25の態様では、再使用可能な充填用容器には処方指示されたタイプの腹膜透析(「PD」)溶液でラベル付されている。
【0261】
[00285]第21の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第26の態様では、再使用可能な充填用容器は処方指示されたタイプの腹膜透析(「PD」)溶液で充填される。
【0262】
[00286]第26の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第27の態様では、システムは患者治療施設を含み、且つ再使用可能な充填用容器が患者治療施設からリモートの箇所において処方指示されたPD溶液で充填されるように構成されている。
【0263】
[00287]第26の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第28の態様では、システムは患者治療施設を含み、且つ再使用可能な充填用容器がこの患者治療施設において処方指示されたPD溶液で充填されるように構成されている。
【0264】
[00288]第28の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第29の態様では、システムは、再使用可能な充填用容器がPD溶液で充填される前に治療施設においてPD溶液を調製するように構成されている。
【0265】
[00289]第28の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第30の態様では、再使用可能な充填用容器には最初に濃縮物が提供されており、次いで治療施設において浄化水と混合される。
【0266】
[00290]第28の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第31の態様では、システムは、患者への容器及び溶液の送達前に患者治療施設において充填用容器及びPD溶液が滅菌処置を受けるように構成されている。
【0267】
[00291]第28の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第32の態様では、システムは患者治療施設の患者治療箇所に滅菌デバイスを含んでおり、充填用容器及びPD溶液は患者への容器及び溶液の送達後に滅菌デバイスにかけられている。
【0268】
[00292]第21の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第33の態様では、再使用可能な充填用容器はバルブ制御された注入スパウトを含む。
【0269】
[00293]第21の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第34の態様では、再使用可能なCAPDセットがパウチに設けられており、且つ充填又はドレイン容器はパウチを離脱可能に保持するための構造を含む。
【0270】
[00294]第34の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第35の態様では、パウチは再封止可能である。
【0271】
[00295]第21の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第36の態様では、再使用可能なCAPDセットがパウチに設けられており、且つパウチに設けられた置換患者転送セットキャップを含む。
【0272】
[00296]第21の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第37の態様では、再使用可能なCAPDセットは患者ラインと流体連通する充填ライン及び排出ラインを含む。
【0273】
[00297]第21の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第38の態様では、CAPDセットは、ユーザが排出モードからフラッシングモードに充填モードに切り替えるために操作可能な手動バルブを含む。
【0274】
[00298]第21の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第39の態様では、システムは、充填用容器からの1つのキャップ、ドレイン容器からの1つのキャップ、及びパウチからの1つのキャップというCAPDセットからの3つのキャップが治療後に滅菌プロセスを受けるようにして構成されている。
【0275】
[00299]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第40の態様では、腹膜透析システムは、再使用可能な充填用容器と再使用可能なドレイン容器とを含んでおり、この再使用可能な充填用容器と再使用可能なドレイン容器とは手で持ち運ぶために1つのユニットとするように一体に組み合わさるように構成されている。
【0276】
[00300]第40の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第41の態様では、ディスポーザブルCAPDセットは、(i)滅菌プロセスを受けるディスポーザブルパウチの形で提供される、及び/又は(ii)再使用可能な充填用容器又は再使用可能なドレイン容器のうちの少なくとも一方に流体接続されるように構成され且つ配置される。
【0277】
[00301]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第42の態様では、腹膜透析システムは、充填用容器と、この充填用容器を取外し可能に受け入れる作動ユニットと、を含んでおり、この作動ユニットは、充填用容器に対して作動ユニットによって受け入れられたときに充填用容器内の流体を患者の腹腔への送達について生理学的に安全な状態に置くように構成され且つ配置された滅菌源を含む。
【0278】
[00302]第42の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第43の態様では、その流体が水又は透析液である。
【0279】
[00303]第42の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第44の態様では、流体が水であり、且つ水と混合させたときに患者の腹腔への送達に適した透析液を形成する添加剤のパケットを含む。
【0280】
[00304]第44の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第45の態様では、充填用容器はパケットから添加剤を受け取るための開口部を備える。
【0281】
[00305]第42の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第46の態様では、滅菌源は複数の紫外(「UV」)ライトを含む。
【0282】
[00306]第42の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第47の態様では、滅菌源は作動ユニットによって受け入れられたときに充填用容器の複数の側面に隣接して配置された複数のパネルを含む。
【0283】
[00307]第42の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第48の態様では、作動ユニットは容器に流体がどれだけ送達されたかを測定するための計測デバイスを含む。
【0284】
[00308]第48の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第49の態様では、計測デバイスは計量器を含む。
【0285】
[00309]第42の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第50の態様では、作動ユニットは、作動ユニットによって受け入れられたときに充填用容器内の流体を加熱するように位置決めされ且つ配置された加熱器を含む。
【0286】
[00310]第42の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第51の態様では、腹膜透析システムは、充填用容器の入口又は出口のうちの少なくとも一方と選択可能に動作可能となるように作動ユニットに操作可能に接続された少なくとも1つのバルブを含む。
【0287】
[00311]第51の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第52の態様では、充填用容器が入口チューブと出口チューブとを含み、且つ少なくとも1つのバルブが入口チューブと一緒に動作可能な充填バルブと出口チューブと一緒に動作可能な注出バルブとを含む。
【0288】
[00312]第42の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第53の態様では、作動ユニットは、制御ユニットと、この制御ユニットにフィードバックを提供する少なくとも1つのセンサと、を含む。
【0289】
[00313]第53の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第54の態様では、少なくとも1つのセンサは充填用容器に取外し可能に結合されている。
【0290】
[00314]第42の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第55の態様では、腹膜透析システムは、作動ユニットから分離された滅菌ユニットであって、腹膜透析セットを受け入れるようなサイズにされ、且つこのセットを流体を患者の腹腔に送達するための生理学的に安全な状態に置くように構成された滅菌ユニットを含む。
【0291】
[00315]第55の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第56の態様では、滅菌ユニットは、腹膜透析セットを生理学的に安全な状態に置くための紫外(「UV」)放射を使用していた。
【0292】
[00316]第55の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第57の態様では、腹膜透析システムは、作動ユニット及び滅菌ユニットから分離された消毒ユニットであって、滅菌ユニットを用いて腹膜透析セットを生理学的に安全な状態に置く前に腹膜透析セットを消毒するように構成された消毒ユニットを含む。
【0293】
[00317]第57の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第58の態様では、消毒ユニットは熱水消毒ユニットである。
【0294】
[00318]第42の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第59の態様では、腹膜透析システムは、作動ユニットから分離されており、作動ユニットを用いて流体を生理学的に安全な状態に置く前に流体を浄化するための流体浄化ユニットを含む。
【0295】
[00319]第59の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第60の態様では、流体浄化ユニットは、蒸留、逆浸透、炭素ろ過、紫外(「UV」)放射、電気脱イオン、限外ろ過又はこれらの任意の組合せからなる群より選択された少なくとも1つのプロセスを使用する。
【0296】
[00320]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第61の態様では、腹膜透析(「PD」)方法は、透析添加剤パケット、消毒されたPDセット及びドレイン容器を患者に提供するステップと、患者ステーションにおいて、滅菌ユニット及び充填用容器を収容する作動ユニットを用意するステップと、患者が消毒されたPDセットの滅菌ユニット内へ配置することを可能にするステップと、滅菌ユニットを消毒されたPDセットを患者での使用について生理学的に安全な状態に置くステップと、患者が添加剤パケットの内容物を作動ユニットに収容された充填用容器内に空けることを可能にするステップと、充填用容器を浄化水で充填させると共に添加剤内容物を浄化水と混合してPD透析液を形成するステップと、患者が生理学的に安全なPDセットを用いた流出流体のドレイン容器へ排出することを可能にするステップと、生理学的に安全であり且つ適正に加熱された透析液を形成するためにPD透析液を加熱し滅菌するステップと、流出流体排出が完了し且つ透析液が生理学的に安全であり且つ適正に加熱されたときに、患者を充填用容器からPDセットを通して生理学的に安全であり且つ適正に加熱された透析液で充填するステップと、を含む。
【0297】
[00321]第61の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第62の態様では、PD方法はドレイン容器に排出された流出流体の量を計量するステップを含む。
【0298】
[00322]第62の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第63の態様では、PD方法は、患者に送達された生理学的に安全であり且つ適正に加熱された透析液の量を計量すると共に、この送達された量を排出された量から差し引き、患者から除去された限外ろ過(「UF」)の量を測定するステップを含む。
【0299】
[00323]第61の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第64の態様では、PD方法は、患者が使用済みのPDセット及び充填済みのドレイン容器を再生のために返却することを可能にするステップを含む。
【0300】
[00324]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第65の態様では、腹膜透析(「PD」)システムは、患者に提供される腹膜透析セットと、患者にこの腹膜透析セットを提供する前に腹膜透析セットを消毒するように構成された消毒ユニットと、腹膜透析セットを受け入れるようなサイズにされ、且つ流体を患者の腹腔に送達するための生理学的に安全な状態に腹膜透析セットを置くように構成された滅菌ユニットと、充填用容器と、充填用容器を取外し可能に受け入れる作動ユニットであって、充填用容器に対して作動ユニットによって受け入れられたときに充填用容器内の流体を患者の腹腔への送達について生理学的に安全な状態に置くように構成され且つ配置された滅菌源を含む作動ユニットと、を含む。
【0301】
[00325]第65の態様や他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第66の態様では、システムは単一の施設内に設けられる。
【0302】
[00326]他の任意の態様又は本明細書でリストした態様の組合せと組み合わせて使用し得る本開示の第67の態様では、腹膜透析(「PD」)方法は、再使用可能な充填用容器、再使用可能なドレイン容器及び再使用可能な連続携行式腹膜透析(「CAPD」)セットを患者に提供するステップと、患者が充填用容器、ドレイン容器及びCAPDセットを用いてCAPD治療を実行することを可能にするステップと、CAPD治療後に患者から充填用容器、ドレイン容器及びCAPDセットを受け取るステップと、充填用容器、ドレイン容器及びCAPDセットを後続のCAPD治療で使用するために再生するステップと、を含む。
【0303】
[00327]本開示の第68の態様では、図1~15に関連して図示し且つ説明した構造及び機能のうちの何れかは、上の態様のうちの任意の1つ又は複数又は全部と組み合わせて使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15