(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/13 20060101AFI20230221BHJP
B60C 11/12 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
B60C11/13 B
B60C11/12 B
(21)【出願番号】P 2021161148
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0001500
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515201615
【氏名又は名称】錦湖タイヤ株式会社
【氏名又は名称原語表記】Kumho Tire Co., Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】パク, チャン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ジェ ムン
(72)【発明者】
【氏名】キム, テ ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ス ミン
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-501082(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101646573(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102006031779(DE,A1)
【文献】特開2012-116339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0203709(US,A1)
【文献】特表2017-530050(JP,A)
【文献】特開2005-170381(JP,A)
【文献】国際公開第2011/027889(WO,A1)
【文献】特開2015-98325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/12-11/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音低減のための空気入りタイヤであって、
路面に接触される表面から内側に引込形成され、前記空気入りタイヤの円周方向に沿って延びる溝を含むトレッド部と、
前記溝から突出し、前記円周方向に沿って互いに離間配置される複数の騒音低減部と、を含み、
前記溝は、
前記トレッド部の表面から前記空気入りタイヤの半径方向に所定距離離間された溝底面と、
前記溝底面と連結され、所定の曲率を有する連結曲面を含む複数の溝側面と、を含み、
前記騒音低減部は、
前記連結曲面及び前記溝底面に支持される支持面と、
前記支持面の反対側に位置して、前記連結曲面から離間配置された突出面と、を含み、
前記突出面は、前記半径方向の外側に行くにつれて前記溝底面に垂直な仮想の平面から遠くなる形状の突出曲面を含
み、
前記複数の溝側面は、第1の溝側面及び第2の溝側面を含み、
前記騒音低減部は、前記第1の溝側面と前記第2の溝側面との間の最大間隔の20%以上30%以下で、前記第1の溝側面又は前記第2の溝側面のうちのいずれか1つと前記溝底面とから突出し、
前記騒音低減部の高さは、前記半径方向を基準に前記トレッド部の表面から前記溝底面までの長さの65%以上75%以下で形成され、
前記複数の騒音低減部の中心間の前記円周方向への離隔距離は、前記騒音低減部の厚さの1倍以上、2倍以下である、
空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記空気入りタイヤは、前記空気入りタイヤの中心を通り、前記タイヤの軸方向に対して垂直な平面の子午面を有し
、
前記第1の溝側面と前記第2の溝側面とは、前記トレッド部の表面から前記溝底面に近づく方向に行くにつれて相互間の軸方向間隔が縮むように傾き、
前記第1の溝側面と前記第2の溝側面とは、それぞれ前記子午面に対して傾くように延びる、
請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記トレッド部は、
前記表面から内側に引込まれ、前記溝が延長形成された方向とずれた方向に延びて前記溝と連結されるサイプをさらに含み、
前記騒音低減部は、前記円周方向を基準に前記サイプから離間配置される、
請求項
1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
複数の前記騒音低減部のうち前記サイプに最も近接して形成された前記騒音低減部と前記サイプとの間の間隔は1.5mm以上3.0mm以下である、
請求項3に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関するものであって、詳しくは溝に騒音低減部を配置して溝から発生する騒音が低減できる空気入りタイヤ(PNEUMATIC TIRE)に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
タイヤは小型車両から重装備車両まで多様な車両に装着されて車両の荷重を支持し、車両の動力を地面に伝達する動力伝達機能及び制動機能、そして車両の走行時に発生する地面からの振動、衝撃等を緩衝する機能を行う。このような車両の走行と制動において重要な部分を担うタイヤは、内部の空気圧が備えられてタイヤの機能を行っていた。
【0003】
時代の変化に伴って未舗装道路の比重は次第に減少し、電気自動車のように内燃機関がない車両が補給されることで、最近にはタイヤの様々な主要性能のうち、騒音が重要視されている。
【0004】
従来のタイヤは路面と接触するトレッド部を含み、トレッド部には溝が形成されてもよい。このような溝は排水性を良くするが、車両の走行によって溝で空気が流動し、流動される空気によって気柱共鳴音(Pipe Resonance)が発生することがある。このような気柱共鳴音は騒音を引き起こし得る問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は前記のような背景から発明されたものであって、溝から発生する騒音を低減できる空気入りタイヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一溝側面によると、騒音低減のための空気入りタイヤであって、路面に接触される表面から内側に引込形成され、前記空気入りタイヤの円周方向に沿って延びる溝を含むトレッド部と、前記溝から突出し、前記円周方向に沿って互いに離間配置される複数の騒音低減部と、を含み、前記溝は、前記トレッド部の表面から前記空気入りタイヤの半径方向に所定距離離間された溝底面と、前記溝底面と連結され、所定の曲率を有する連結曲面を含む複数の溝側面と、を含み、前記騒音低減部は、前記連結曲面及び前記溝底面に支持される支持面と、前記支持面の反対側に位置して、前記連結曲面から離間配置された突出面と、を含み、前記突出面は、前記半径方向の外側に行くにつれて前記溝底面に垂直な仮想の平面から遠くなる形状の突出曲面を含む、空気入りタイヤが提供されることができる。
【0007】
前記空気入りタイヤは、前記空気入りタイヤの中心を通り、前記タイヤの軸方向に対して垂直な平面の子午面を有し、前記複数の溝側面は、第1の溝側面及び第2の溝側面を含み、前記第1の溝側面と前記第2の溝側面とは、前記トレッド部の表面から前記溝底面に行くにつれて相互間の前記軸方向間隔が縮むように傾き、前記第1の溝側面と前記第2の溝側面とは、それぞれ前記子午面に対して傾くように延びる、空気入りタイヤが提供されることができる。
【0008】
前記騒音低減部は、前記半径方向への高さが、前記トレッド部の表面から前記溝底面までの長さの半分以上となるように提供される、空気入りタイヤが提供されることができる。
【0009】
前記騒音低減部の前記円周方向への厚さは、前記複数の騒音低減部の中心間の前記円周方向への離間距離よりも小さい又は同一である、空気入りタイヤが提供されることができる。
【0010】
前記トレッド部は、前記表面から内側に引込まれ、前記溝が延長形成された方向とずれた方向に延びて前記溝と連結されるサイプをさらに含み、前記騒音低減部は、前記円周方向を基準に前記サイプから離間配置される、空気入りタイヤが提供されることができる。
【0011】
本発明の実施形態による空気入りタイヤの溝には騒音低減部が配置されることができるので、溝により発生する騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態による空気入りタイヤの平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態による溝に配置された騒音低減部の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態による溝の断面図である。
【
図4】
図4は、
図1のIV-IVに沿って切断した空気入りタイヤの部分断面図である。
【
図5】
図5A乃至
図5Cは、本発明の第1実施形態による騒音低減部の断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態による空気入りタイヤから発生する騒音レベルを示した表である。
【
図8】
図8は、本発明の第1実施形態による空気入りタイヤの騒音評価結果を示したグラフである。
【
図9】
図9は、本発明の第1実施形態による空気入りタイヤの排水性能の評価結果を示した表である。
【
図10A】
図10Aは、本発明の第2実施形態による空気入りタイヤの複数の溝側面の断面図である。
【
図10B】
図10Bは、本発明の第2実施形態による空気入りタイヤの複数の溝側面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の技術的思想を具現するための具体的な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
なお、本発明の説明にあたり、関連された公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0015】
また、ある構成要素が他の構成要素に「連結」または「接触」されると言及された場合には、該他の構成要素に直接的に連結または接触されることもあるが、その間に他の構成要素が存在することもあると解されるべきである。
【0016】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を有さない限り、複数の表現を含む。
【0017】
また、本明細書で上側、下側、側面等の表現は図面における図示を基準に説明したものであり、該当対象の方向が変更されると異なるように表現され得ることを予め明らかにする。同様の理由で、添付図面において一部構成要素は誇張されるか、省略されるか、または概略的に図示されており、各構成要素の大きさは実際の大きさを全的に反映するものではない。
【0018】
また、第1、第2等のように序数を含む用語は、多様な構成要素の説明に使用されることができるが、当該構成要素はこれらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的でのみ使用される。
【0019】
明細書で使用する「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素及び/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分及び/または群の存在や付加を除外させるものではない。
【0020】
一方、以下で述べる半径方向(Radial direction, R)はタイヤの半径方向を意味する。軸はタイヤの回転軸を意味することができ、軸方向(Axial direction, A)はタイヤの回転軸と平行な方向を意味する。軸方向はタイヤの回転軸中心を必ず通るものではなく、タイヤの回転軸方向と平行な方向を含む。また、円周方向(Circumferential direction, C)はタイヤの外周面に沿う方向であって、半径方向と垂直な方向を意味する。このような円周方向は、タイヤの側面から見たとき、時計回り方向及び反時計回り方向のうちいずれかであることができる。
【0021】
一方、特別な言及がなければ、前記方向は正の方向及び負の方向の両方を包括する。
【0022】
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態による空気入りタイヤ1について説明する。
【0023】
図1を参照すると、本発明の第1実施形態による空気入りタイヤ1はトレッド部100及び騒音低減部200を含んでもよい。
【0024】
トレッド部100は空気入りタイヤ1の外側に配置されて、路面が直接接地される構成であって、厚いゴム層に該当し、タイヤ内部を保護するために切り上げと衝撃、そして耐摩耗性に優れたゴム材質で形成されてもよい。トレッド部100の表面は路面に接触する部分であって、空気入りタイヤ1のサイドウォール(未図示)方向に延長形成されてもよい。また、トレッド部100は排水性能、条件摩擦性能等の向上のために、溝110及びサイプ120を含んでもよい。
【0025】
図2をさらに参照すると、溝110はトレッド部100の表面から内側に引込まれるように形成されてもよい。このような溝110は空気入りタイヤ1の円周方向または軸方向に形成されてもよく、円周方向または軸方向にずれた方向に延長形成されてもよい。以下、溝110は円周方向に形成されることを基準に説明するが、これに限定されるものではない。また、溝110は複数個で形成されて互いに離間されて配置されてもよい。例えば、円周方向に形成される複数の溝110は軸方向に互いに離間されて配置されてもよい。また、溝110の延長方向に垂直な溝110の幅は1.1mm以上で形成されてもよい。このような溝110は複数の溝側面111、112及び溝底面113を含んでもよい。
【0026】
図3をさらに参照すると、複数の溝側面111、112はトレッド部100の表面から凹入されて形成されてもよい。このような複数の溝側面111、112は溝底面113と連結され、溝底面113と連結される部分は所定の曲率を有してもよい。曲率は、例えばR5(5mm)以下で形成されてもよい。また、複数の溝側面111、112は、第1溝側面111と第2溝側面112を含んでもよい。第2溝側面112は、第1溝側面111よりもトレッド部100の中心部からさらに離間された位置に配置されてもよい。例えば、子午面(meridian plane, m)を基準に軸方向一側(
図1の左側)に位置した溝110内の複数の溝側面111、112のうち、第2溝側面112は、第1溝側面111よりも軸方向一側(
図1の左側)に位置する。また、子午面mを基準に軸方向他側(
図1の右側)に位置した溝110内の複数の溝側面111、112のうち、第2溝側面112は、第1溝側面111よりも軸方向他側(
図1の右側)に位置する。本明細書で子午面mは空気入りタイヤ1の中心を通りながら軸方向に垂直な平面を意味する。言い換えれば、それぞれの溝110において、第2溝側面112は、第1溝側面111よりも子午面mから軸方向に遠くなるように配置される。
【0027】
また、第1溝側面111と第2溝側面112は、溝底面113に近い方向に近づくにつれて相互間の間隔が縮まるように傾いてもよい。第1溝側面111と第2溝側面112とが傾いた角度gは、例えば、半径方向を基準に5°以上30°以下で形成されてもよい。言い換えれば、第1溝側面111と第2溝側面112のそれぞれが子午面mと成す角度gは、5°以上30°以下であってもよい。また、複数の溝側面(111、112)のそれぞれは、連結曲面111a、112aと傾斜面111b、112bとを含んでもよい。
【0028】
連結曲面111a、112aは上述のように、溝側面のうち溝底面113と連結されて所定の曲率で形成された部分である。このような連結曲面111a、112aは騒音低減部200を支持してもよい。第1溝側面111は溝底面113と連結される第1連結曲面111aを含んでもよく、第2溝側面112は溝底面113と連結される第2連結曲面112aを含んでもよい。
【0029】
傾斜面111b、112bは、連結曲面111a、112aとトレッド部100の表面の間に位置してもよい。また、傾斜面111b、112bは、騒音低減部200の後述する第2連結部220bに連結されてもよい面である。また、傾斜面111b、112bは、上述のように子午面mと角度gを形成するように傾いてもよい。言い換えれば、第1溝側面111は、第1連結曲面111aに連結される第1傾斜面111bを含んでもよく、第2溝側面112は第2連結曲面112aに連結される第2傾斜面112bを含んでもよい。また、第1傾斜面111bと第2傾斜面112bは、溝底面113に近づくにつれて相互間の軸方向間隔が縮まるように傾いてもよい。例えば、第1傾斜面111bの角度g1と第2傾斜面112bの角度g2は、それぞれ子午面mに対して5°以上30°以下に傾くように延長されてもよい。第1傾斜面111bの角度g1と第2傾斜面112bの角度g2は同一でも互いに異なってもよい。
【0030】
溝底面113は、複数の溝側面111、112に連結され、トレッド部100の表面と平行な方向に形成されてもよい。言い換えれば、溝底面113は第1溝側面111と第2溝側面112との間に位置してもよい。
【0031】
図4をさらに参照すると、サイプ120はトレッド部100の表面に内側に引込まれ、溝110が延長された方向にずれた方向に延びて溝110と連結されてもよい。例えば、サイプ120はサイドウォールに近づく方向または軸方向に延長されてもよい。また、サイプ120の延長方向に垂直なサイプ120の幅は1.0mm以下に形成されてもよい。このようなサイプ120の一側は、溝110の第1溝側面111または第2溝側面112に連結されてもよい。また、サイプ120は騒音低減部200から円周方向を基準に離間されてもよい。また、複数のサイプ120のうち一部は1つの溝110に連結されてもよい。溝110に複数のサイプ120が連結されることにより、トレッド部100の表面には複数のブロック(Pitch)130が形成されてもよい。このような複数のサイプ120の間には複数の騒音低減部200が配置されてもよい。また、騒音低減部200は円周方向を基準にサイプ120から離間されて配置されてもよい。例えば、サイプ120と騒音低減部200の間の間隔Eは、1.5mm以上3.0mm以下であってもよい。間隔Eは複数の騒音低減部200のうち、サイプ120に最も近づいて形成された騒音低減部200からの間隔であってもよい。このようなサイプ120は、複数のサイプ側面121、122及びサイプ底面123を含んでもよい。
【0032】
複数のサイプ側面121、122は、トレッド部10の表面から内側に引込まれるように形成されてもよい。また、複数のサイプ側面121、122は複数の溝側面111、112のうちいずれか1つと連結されてもよい。このような複数のサイプ側面121、122によって、上述したサイプ120と騒音低減部200との間の間隔Eは、複数の騒音低減部200のうちのいずれか1つと、これと最も近づいて形成された複数のサイプ側面121、122のうちのいずれか1つとの間の間隔であってもよい。
【0033】
サイプ底面123は、複数のサイプ側面121、122に連結され、トレッド部100の表面と平行な方向に形成されてもよい。言い換えれば、サイプ底面123は、複数のサイプ底面123の間に位置してもよい。複数のサイプ底面123は、複数のサイプ側面121、122がトレッド部100の表面から凹入される長さに応じて、少なくとも一部は異なる位置に配置されてもよい。言い換えれば、サイプ底面123は複数の溝側面111、112のうちのいずれか1つまたは溝底面113と連結されてもよい。
【0034】
図5A乃至
図5Cをさらに参照すると、騒音低減部200は、溝110で流動される空気によって発生する気柱共鳴音を減少させて騒音を低減することができる。このような騒音低減部200は溝110から突出されて、複数個形成され、円周方向に沿って互いに離間されるように配置されてもよい。また、騒音低減部200は、第1溝側面111及び第2溝側面112のうちの1つ以上から突出されてもよい。一例として、騒音低減部200は第1溝側面111と溝底面113とから突出されて円周方向に沿って互いに離間配置されてもよい。他の例として、複数の騒音低減部200は、第2溝側面112と溝底面113とから突出されて円周方向に沿って互いに離間配置されてもよい。さらに他の例として、複数の騒音低減部200のうちの一部である第1騒音低減部200aは、第1溝側面111と溝底面113とから突出されて円周方向に沿って互いに離間配置され、残りの第2騒音低減部200bは第2溝側面112と溝底面113とから突出されて円周方向に沿って互いに離間配置されてもよい。また、第1騒音低減部200aと第2騒音低減部200bとは互いに離間されてもよい。
【0035】
図3、
図4及び
図6をさらに参照すると、半径方向を基準に騒音低減部200の半径方向への高さbは、トレッド部の表面から溝底面までの長さの半分以上で形成されてもよい。例えば、騒音低減部200の高さbは、半径方向を基準にトレッド部100の表面から溝底面113までの長さBに65%以上、75%以下で形成されてもよい。騒音低減部200の円周方向への厚さWは、複数のサイプ120間の間隔または複数のサイプ120の間に形成されたブロック(Pitch)の長さの3~10%以下であってもよいが、これに限定されるものではない。例えば、騒音低減部200の厚さWは1.0mm以上3.0mm以下であってもよい。また、騒音低減部の厚さWは、複数の騒音低減部の中心間の円周方向への離間距離Lよりも小さくまたは同一でもよい。言い換えれば、複数の騒音低減部200の中心間の円周方向への離間距離Lは、騒音低減部200の厚さWの1倍以上、2倍以下であってもよい。例えば、離間距離Lは1.0mm以上6.0mm以下であってもよい。また、複数の騒音低減部200は、300個以上1000個以下で溝110に配置されてもよい。このような騒音低減部200は、支持面210及び突出面220を含んでもよい。
【0036】
支持面210は、第1溝側面111及び第2溝側面112のうちのいずれか1つと溝底面113とに支持されてもよい。また、連結曲面111a、112aによって支持面210もこれに対応して曲面で形成されてもよい。言い換えれば、支持面210は曲面で形成されて連結曲面111a、112a、傾斜面111b、112b及び溝底面113に支持されてもよい。例えば、支持面210は第1連結曲面111a、第1傾斜面111b及び溝底面113に支持されてもよく、第2連結曲面112a、第2傾斜面112b及び溝底面113に支持されてもよい。
【0037】
突出面220は支持面210の反対側に位置して連結曲面111a、112aから離間配置されてもよい。このような突出面220は、第1溝側面111及び第2溝側面112のうちのいずれか1つと溝底面113とに連結されてもよい。突出面220は溝底面113に連結される一側と一側の反対面に位置して第1溝側面111または第2溝側面112に連結される他側とを含んでもよい。以下、突出面220の一側を第1連結部220aと称し、突出面220の他側を第2連結部220bと称する。突出面220の第1連結部220aと第2連結部220bは支持面210に連結されてもよい。また、突出面220は、溝底面113に垂直な仮想の平面である第1仮想面Vから、空気入りタイヤ1の半径方向の外側に行くほど遠くなる形状の突出曲面を含んでもよい。言い換えれば、第1連結部220aは第2連結部220bよりも第1仮想面220に近づいてもよい。また、突出面220は、溝底面113に垂直であり、突出面220の第1連結部220aを通る仮想の平面である第2仮想面Sに接する形状でもよい。
【0038】
軸方向を基準に第2仮想面Sから突出面220の第2連結部220bまでの長さaは、第1溝側面111と第2溝側面112との間の最大間隔Iに20%以上30%以下でもよい。言い換えれば、騒音低減部200は、第1溝側面111と第2溝側面112との間の最大間隔Iに20%以上30%以下で第1溝側面111または第2溝側面112のうちのいずれか1つと溝底面113とから突出されてもよい。
【0039】
以下、
図7乃至
図9をさらに参照して、本発明の第1実施形態による空気入りタイヤ1の作用及び効果について説明する。
【0040】
本発明の第1実施形態による空気入りタイヤ1の溝110に騒音低減部200が配置されているので、溝110で流動される空気の流れによって発生する騒音を低減することができる。
【0041】
図7に図示されたV1、V2、V3は形態が互いに異なる溝であり、V4、V5は互いに異なる形態の騒音低減部が配置された溝である。溝の形態が異なっても騒音レベルと単位体積当たりの騒音レベルに変化されるものはない。その反面、騒音低減部が備えられることにより、単位体積当たりの騒音レベルがV4では4%改善され、V5では6%以上改善された。また、半径方向に長く形成された騒音低減部を含むV5がV4よりも騒音レベルと単位体積当たりの騒音レベルがさらに多く改善された。言い換えれば、V5のように騒音低減部200が溝底面113及び溝側面111、112に備えられることにより効率的に騒音を低減することができる。
【0042】
また、
図8に図示されたように、溝110に騒音低減部200を適用すると、適用しない場合より、500hz乃至800hz帯域で騒音が改善されることができる。
【0043】
図9に図示されたように、溝110に騒音低減部200を配置しても溝110の排水性能にほぼ影響を及ぼさない。
図9に図示されたV1は騒音低減部がないタイヤの排水性能を示したものであり、V5は本発明の騒音低減部200が適用されたタイヤの排水性能を示したものである。また、V2、V3、V4は互いに異なる形状の突出部が溝で適用された状態におけるタイヤの排水性能を示したものである。STは直線走行状態におけるタイヤの排水性能を示したものであり、COはコーナリング状態におけるタイヤの排水性能を示したものである。このような
図9によれば、本発明の騒音低減部200が適用されたV5がST及びCO状態でV2、V3、V4よりも排水性能に優れることが確認できる。また、V5の排水性能はV1の排水性能に近接し得る。言い換えれば、本発明の騒音低減部200が溝110に適用されても溝110は効率的に水を排出することができる。
【0044】
以下、
図10A及び
図10Bを参照して、本発明の第2実施形態による空気入りタイヤ1について説明する。本発明の第2実施形態を説明するに当たり、上述した第1実施形態と比較したとき、複数の溝側面111、112のうちの1つ以上は表面連結面111c、112cをさらに含むことができる点に相違点がある。以下、このような相違点を中心に説明し、同じ説明及び図面符号は上述した実施形態を援用する。
【0045】
表面連結面111c、112cは、傾斜面111b、112bとトレッド部100の表面の間に位置してもよい。このような表面連結面111c、112cの半径方向の長さdはトレッド部100の表面から溝底面113までの長さBに25%以下で形成されてもよい。また、表面連結面111c、112cは傾斜面111b、112bと所定の角度fを形成するために仮想面Vからさらに遠くなるように傾いてもよい。例えば、傾いた表面連結面111c、112cの角度fは傾斜面111b、112bを基準に30°以下で提供されてもよい。言い換えれば、表面連結面111c、112cは仮想面Vを基準に傾斜面111b、112bよりもさらに傾いてもよい。
【0046】
このような表面連結面111c、112cは複数の溝側面111、112のうちの1つ以上に含まれてもよい。一例として、
図10Aに図示されたように、第1溝側面111は第1傾斜面111bとトレッド部100の表面の間に配置される第1表面連結面111cを含んでもよく、第2溝側面112は第2傾斜面112bに連結される第2表面連結面112cを含んでもよい。他の例示として、
図10Bに図示されたように、第1溝側面111は第1表面連結面111cを含み、第2溝側面112の第2傾斜面112bが直にトレッド部20の表面に連結されてもよい。また他の例示として、第2溝側面112は第2表面連結面112cを含み、第1溝側面111の第1傾斜面111bが直にトレッド部100の表面に連結されてもよい。また、第1表面連結面111cと第1傾斜面111bとの間の角度f1と第2表面連結面112cと第2傾斜面112bとの間の角度f2は互いに同一でも異なるように形成されてもよい。
【0047】
以下、本発明の第2実施形態による空気入りタイヤ1の作用及び効果について説明する。
【0048】
騒音低減部200が溝110に適用されると溝110の面積が小さくなることがあるので、上述のようにV1に比して排水性能が低下し得る。複数の溝側面111、112のうちの1つ以上が表面連結面111c、112cを含むと溝110の面積がさらに確保(面積が大きくなる)され得るので、低下した排水性能が補完できる。
【0049】
以上、本発明の実施形態を具体的な実施形態として説明したが、これは例示に過ぎないものであって、本発明はこれに限定されるものではなく、本明細書に開示された技術的思想による最広の範囲を有するものと解されるべきである。当業者は開示された実施形態を組み合わせ/置換して適示されていない形状のパターンを実施することができるが、これも本発明の範囲を外れないものである。その他にも当業者は本明細書に基づいて開示された実施形態を容易に変更または変形することができ、このような変更または変形も本発明の権利範囲に属することは明白である。
【符号の説明】
【0050】
1…空気入りタイヤ、100…トレッド部、110…溝、111…溝側面、111a…連結曲面、111b…傾斜面、111c…表面連結面、112…溝側面、112a…連結曲面、112b…傾斜面、112c…表面連結面、113…溝底面、120…サイプ、121…サイプ側面、123…サイプ底面、200…騒音低減部、200a…騒音低減部、200b…騒音低減部、210…支持面、220…突出面、220…仮想面、220…突出面、220a…連結部、220b…連結部。