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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/16 20060101AFI20230221BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20230221BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20230221BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
H02K5/16 Z
F16H1/32 A
H02K5/173 A
H02K7/116
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018123822
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020005431
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】金城 秀一
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 一弘
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-153624(JP,A)
【文献】特開2004-048887(JP,A)
【文献】特開2016-154428(JP,A)
【文献】国際公開第2018/100966(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/16
F16H 1/32
H02K 5/173
H02K 7/116
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転するモータシャフト、前記モータシャフトに固定されるロータ本体、および前記ロータ本体と隙間を介して径方向に対向するステータを有するモータと、
前記モータシャフトの軸方向一方側の部分に連結される減速機構と、
前記モータシャフトの軸方向一方側において前記モータシャフトの軸方向に延び、前記減速機構を介して前記モータシャフトの回転が伝達される出力シャフトと、
前記モータを収容し、軸方向一方側に開口する第1開口部を有する第1ケースと、
前記第1ケースの軸方向一方側に位置し、軸方向他方側に開口する第2開口部を有する第2ケースと、
前記第1ケースに固定されるベアリングホルダと、
前記ベアリングホルダに保持され、前記モータシャフトのうち前記ロータ本体よりも軸方向他方側の部分を回転可能に支持する第1ベアリングと、
前記モータシャフトのうち前記ロータ本体よりも軸方向一方側の部分を前記第2ケースに対して回転可能に支持する第2ベアリングと、
を備え、
前記第1ケースと前記第2ケースとは、前記第1開口部と前記第2開口部とが軸方向に対向した状態で互いに固定され、
前記第1ケースは、前記ステータの軸方向他方側を覆う壁部を有し、
前記壁部は、前記壁部を軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記ベアリングホルダは、
前記第1ベアリングを保持し、前記貫通孔に挿入される筒状のホルダ筒部と、
前記ホルダ筒部から径方向外側に延びるホルダフランジ部と、
を有し、
前記ホルダフランジ部は、前記壁部に固定され、
前記貫通孔の内径は、前記ホルダ筒部の外径よりも大きく、
前記ホルダ筒部の径方向外側面のうち周方向の少なくとも一部は、前記貫通孔の径方向内側面から径方向内側に離れた位置に位置し、
前記壁部に軸方向に締め込まれて前記ホルダフランジ部を前記壁部に固定する複数のネジ部材をさらに備え、
前記ホルダフランジ部は、前記ホルダフランジ部を軸方向に貫通する貫通部を有し、
前記ネジ部材は、
前記貫通部に通されるネジ本体部と、
前記ネジ本体部の端部に設けられたネジ頭部と、
を有し、
前記ネジ頭部は、前記貫通部の周縁部と接触し、
前記貫通部の径方向の寸法は、前記ネジ本体部の外径よりも大きく、
前記壁部は、
樹脂製の壁部本体と、
前記壁部本体に埋め込まれた金属製の金属部材と、
を有し、
前記金属部材は、前記ネジ部材が締め込まれる雌ネジ部を有し、
前記金属部材の軸方向他方側の面は、前記壁部本体の軸方向他方側の面よりも軸方向他方側に位置し、
前記ホルダフランジ部は、前記金属部材の軸方向他方側の面に接触する、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記ホルダフランジ部は、前記壁部本体から軸方向他方側に離れた位置に位置する、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記貫通部は、径方向に延び、径方向外側に開口する、請求項2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記貫通部および前記ネジ部材は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に3つ以上配置される、請求項2または3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記ベアリングホルダは、板金製である、請求項1からのいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記ホルダ筒部は、
前記ホルダフランジ部の径方向内縁部から軸方向一方側に延びる外側筒部と、
前記外側筒部の径方向内側において前記外側筒部の軸方向一方側の端部から軸方向他方側に延び、径方向外側面が前記外側筒部の径方向内側面と接触する内側筒部と、
を有する、請求項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記第2ケースは、
樹脂製の第2ケース本体と、
前記第2ケース本体に埋め込まれ、軸方向に延びる円筒状である金属製の円筒部材と、
を有し、
前記円筒部材の内周面には、前記減速機構が固定され、
前記出力シャフトは、前記円筒部材に回転可能に支持される、請求項1からのいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項8】
前記モータシャフトは、前記中心軸に対して偏心した偏心軸を中心とする偏心軸部を有し、
前記減速機構は、
前記偏心軸部に第3ベアリングを介して連結される外歯ギアと、
前記外歯ギアの径方向外側を囲み、前記外歯ギアと噛み合う内歯ギアと、
前記出力シャフトから径方向外側に拡がり、前記外歯ギアの軸方向一方側に位置する出力フランジ部と、
前記出力フランジ部と前記外歯ギアとのうちの一方から他方に向かって軸方向に突出し、周方向に沿って配置される複数の突出部と、
を有し、
前記出力フランジ部と前記外歯ギアとのうちの他方は、周方向に沿って配置される複数の穴部を有し、
前記穴部は、内径が前記突出部の外径よりも大きく、
前記複数の突出部は、前記複数の穴部のそれぞれに挿入され、前記穴部の内側面を介して、前記外歯ギアを前記中心軸回りに揺動可能に支持し、
前記内歯ギアは、前記円筒部材の内周面に固定される、請求項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項9】
前記第2ベアリングは、前記モータシャフトと前記出力シャフトとを互いに相対回転可能に連結する、請求項1からのいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
互いに固定される2つのケースを備える電動アクチュエータが知られている。例えば、特許文献1の電動アクチュエータは、2つのケースとして、ステータが固定されるリヤケースと、減速機が固定されるフロントケースと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-109226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動アクチュエータにおいては、入力軸を支持するベアリングが、各ケースにそれぞれ支持される。そのため、例えばケース同士の組み付け誤差等により、各ケース内のベアリング同士の位置が径方向にずれると、入力軸が傾く場合がある。これにより、電動アクチュエータから生じる騒音および振動が大きくなる場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、モータシャフトの軸精度を向上できる構造を有する電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、中心軸を中心として回転するモータシャフト、前記モータシャフトに固定されるロータ本体、および前記ロータ本体と隙間を介して径方向に対向するステータを有するモータと、前記モータシャフトの軸方向一方側の部分に連結される減速機構と、前記モータシャフトの軸方向一方側において前記モータシャフトの軸方向に延び、前記減速機構を介して前記モータシャフトの回転が伝達される出力シャフトと、前記モータを収容し、軸方向一方側に開口する第1開口部を有する第1ケースと、前記第1ケースの軸方向一方側に位置し、軸方向他方側に開口する第2開口部を有する第2ケースと、前記第1ケースに固定されるベアリングホルダと、前記ベアリングホルダに保持され、前記モータシャフトのうち前記ロータ本体よりも軸方向他方側の部分を回転可能に支持する第1ベアリングと、前記モータシャフトのうち前記ロータ本体よりも軸方向一方側の部分を前記第2ケースに対して回転可能に支持する第2ベアリングと、を備える。前記第1ケースと前記第2ケースとは、前記第1開口部と前記第2開口部とが軸方向に対向した状態で互いに固定される。前記第1ケースは、前記ステータの軸方向他方側を覆う壁部を有する。前記壁部は、前記壁部を軸方向に貫通する貫通孔を有する。前記ベアリングホルダは、前記第1ベアリングを保持し、前記貫通孔に挿入される筒状のホルダ筒部と、前記ホルダ筒部から径方向外側に延びるホルダフランジ部と、を有する。前記ホルダフランジ部は、前記壁部に固定される。前記貫通孔の内径は、前記ホルダ筒部の外径よりも大きい。前記ホルダ筒部の径方向外側面のうち周方向の少なくとも一部は、前記貫通孔の径方向内側面から径方向内側に離れた位置に位置する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいてモータシャフトの軸精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
図2図2は、本実施形態の電動アクチュエータの一部を示す断面図である。
図3図3は、本実施形態のベアリングホルダを上側から視た図である。
図4図4は、本実施形態の電動アクチュエータの一部を示す断面図であって、図1におけるIV-IV断面図である。
図5図5は、本実施形態のベアリングホルダを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向Z」と呼ぶ。また、各図に適宜示すX軸方向およびY軸方向は、軸方向Zと直交する水平方向であり、互いに直交する方向である。
【0010】
また、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。本実施形態において、上側は、軸方向他方側に相当し、下側は、軸方向一方側に相当する。なお、上下方向、水平方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0011】
図1および図2に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ10は、ケース11と、ベアリングホルダ100と、中心軸J1の軸方向Zに延びるモータシャフト21を有するモータ20と、制御部70と、コネクタ部80と、減速機構30と、出力部40と、回転検出装置60と、配線部材90と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、ブッシュ54と、を備える。第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、例えば、ボールベアリングである。
【0012】
図1に示すように、ケース11は、モータ20および減速機構30を収容する。ケース11は、モータ20を収容するモータケース12と、減速機構30を収容する減速機構ケース13と、を有する。モータケース12は、第1ケースに相当する。減速機構ケース13は、第2ケースに相当する。すなわち、電動アクチュエータ10は、第1ケースとしてのモータケース12と、第2ケースとしての減速機構ケース13と、を備える。モータケース12は、ケース筒部12aと、壁部12bと、制御基板収容部12fと、上蓋部12cと、端子保持部12dと、第1配線保持部14と、を有する。モータケース12の各部は、後述する金属部材110を除いて樹脂製である。
【0013】
ケース筒部12aは、中心軸J1を中心として軸方向Zに延びる円筒状である。ケース筒部12aは、軸方向Zの両側に開口する。ケース筒部12aは、下側に開口する第1開口部12gを有する。すなわち、モータケース12は、第1開口部12gを有する。ケース筒部12aは、モータ20の径方向外側を囲む。
【0014】
壁部12bは、ケース筒部12aの内周面から径方向内側に拡がる円環状である。壁部12bは、モータ20の後述するステータ23の上側を覆う。壁部12bは、壁部12bを軸方向Zに貫通する貫通孔12hを有する。図3に示すように、本実施形態において貫通孔12hは、中心軸J1を中心とする円形状である。貫通孔12hの内径は、後述するホルダ筒部101の外径D2よりも大きい。図2に示すように、壁部12bは、樹脂製の壁部本体12iと、金属製の金属部材110と、を有する。壁部本体12iは、ケース筒部12aの内周面から径方向内側に拡がる円環状の部分である。
【0015】
金属部材110は、円環状であり、内周面に雌ネジ部111を有する。金属部材110は、例えば、ナットである。金属部材110は、壁部本体12iに埋め込まれる。より詳細には、金属部材110は、壁部本体12iのうち径方向内縁部に埋め込まれる。金属部材110は、貫通孔12hの径方向内側面よりも径方向外側に離れた位置に位置する。金属部材110の上側の面は、壁部本体12iの上側の面よりも上側に位置する。金属部材110の上側の面は、軸方向Zと直交する平坦な面である。図3に示すように、本実施形態において金属部材110は、複数設けられる。複数の金属部材110は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。金属部材110は、例えば、3つ設けられる。
【0016】
図1に示すように、制御基板収容部12fは、後述する制御基板71を収容する部分である。制御基板収容部12fは、ケース筒部12aの上側部分の径方向内側に構成される。制御基板収容部12fの底面は、壁部12bの上面である。制御基板収容部12fは、上側に開口する。上蓋部12cは、制御基板収容部12fの上端開口を塞ぐ板状の蓋である。端子保持部12dは、ケース筒部12aから径方向外側に突出する。端子保持部12dは、径方向外側に開口する円筒状である。端子保持部12dは、後述する端子81を保持する。
【0017】
第1配線保持部14は、ケース筒部12aから径方向外側に突出する。図1では、第1配線保持部14は、ケース筒部12aからX軸方向の負の側に突出する。第1配線保持部14は、軸方向Zに延びる。第1配線保持部14の上端部の軸方向位置は、壁部12bの軸方向位置とほぼ同じである。第1配線保持部14の周方向位置は、例えば、コネクタ部80の周方向位置と異なる。
【0018】
減速機構ケース13は、モータケース12の下側に位置する。減速機構ケース13は、減速機構ケース本体13iと、円筒部材16と、を有する。本実施形態において減速機構ケース本体13iは、第2ケース本体に相当する。減速機構ケース本体13iは、樹脂製である。減速機構ケース本体13iは、底壁部13aと、筒部13bと、突出筒部13cと、第2配線保持部15と、を有する。底壁部13aは、中心軸J1を中心とする円環状である。底壁部13aは、減速機構30の下側を覆う。
【0019】
筒部13bは、底壁部13aの径方向外縁部から上側に突出する円筒状である。筒部13bは、上側に開口する。筒部13bの上端部は、ケース筒部12aの下端部に接触して固定される。突出筒部13cは、底壁部13aの径方向内縁部から下側に突出する円筒状である。突出筒部13cは、軸方向両側に開口する。
【0020】
第2配線保持部15は、筒部13bから径方向外側に突出する。図1では、第2配線保持部15は、筒部13bからX軸方向の負の側、すなわち第1配線保持部14が突出する側と同じ側に突出する。第2配線保持部15は、第1配線保持部14の下側に配置される。第2配線保持部15は、例えば、中空で上側に開口する箱状である。第2配線保持部15の内部は、筒部13bの内部と繋がる。第2配線保持部15は、底壁部15aと、側壁部15bと、を有する。底壁部15aは、底壁部13aから径方向外側に延びる。図1では、底壁部15aは、底壁部13aからX軸方向の負の側に延びる。側壁部15bは、底壁部15aの外縁部から上側に延びる。
【0021】
本実施形態においては、底壁部13aと底壁部15aとによって減速機構ケース本体13iの底部13jが構成される。底部13jは、底部13jの下側の面から上側に窪む収容凹部17を有する。本実施形態において収容凹部17は、底壁部13aと底壁部15aとに跨って設けられる。
【0022】
円筒部材16は、軸方向Zに延びる円筒状である。より詳細には、円筒部材16は、中心軸J1を中心とし、軸方向両側に開口する多段の円筒状である。円筒部材16は、金属製である。本実施形態において円筒部材16は、板金製である。そのため、金属板をプレス加工することにより円筒部材16を作ることができ、円筒部材16の製造コストを低減できる。本実施形態において円筒部材16は、非磁性材である。
【0023】
円筒部材16は、減速機構ケース本体13iに埋め込まれる。円筒部材16は、大径部16aと、円環部16bと、小径部16cと、を有する。大径部16aは、円筒部材16の上側部分である。大径部16aは、筒部13bに埋め込まれる。大径部16aの内周面のうち上側の端部は、減速機構ケース13の内部に露出する。図4に示すように、大径部16aは、内周面に、径方向外側に窪む位置決め凹部16dを有する。なお、図4においては、減速機構ケース本体13iの図示を省略する。
【0024】
図1に示すように、円環部16bは、大径部16aの下側の端部から径方向内側に延びる円環状の部分である。本実施形態において円環部16bは、中心軸J1を中心とする円環板状である。円環部16bは、底壁部13aに配置される。本実施形態において円環部16bは、底壁部13aの上側の面に位置する。円環部16bの径方向外縁部は、筒部13bに埋め込まれる。円環部16bの上面のうち径方向内側寄りの部分は、減速機構ケース13の内部に露出する。円環部16bは、後述する第1マグネット63の下側を覆う。
【0025】
小径部16cは、円筒部材16の下側部分である。小径部16cは、円環部16bの径方向内縁部から下側に延びる。小径部16cの外径および内径は、大径部16aの外径および内径よりも小さい。小径部16cは、突出筒部13cの径方向内側に嵌め合わされる。小径部16cの内部には、軸方向Zに延びる円筒状のブッシュ54が配置される。ブッシュ54は、小径部16cに嵌め合わされて、突出筒部13c内に固定される。ブッシュ54は、上端部に径方向外側に突出するブッシュフランジ部54aを有する。ブッシュフランジ部54aは円環部16bの上面に接触する。これにより、ブッシュ54が小径部16cの内部から下側に抜けることが抑制される。
【0026】
減速機構ケース13は、上側に開口する第2開口部13hを有する。本実施形態において第2開口部13hは、筒部13bの上側の開口と第2配線保持部15の上側の開口とによって構成される。モータケース12と減速機構ケース13とは、第1開口部12gと第2開口部13hとが軸方向Zに対向した状態で互いに固定される。モータケース12と減速機構ケース13とが互いに固定された状態において、第1開口部12gの内部と第2開口部13hの内部とは、互いに繋がる。
【0027】
本実施形態においてモータケース12および減速機構ケース13は、例えば、それぞれインサート成形によって作られる。モータケース12は、金属部材110と配線部材90のうち後述する第1配線部材91とをインサート部材としたインサート成形によって作られる。減速機構ケース13は、円筒部材16と配線部材90のうち後述する第2配線部材92とをインサート部材としたインサート成形によって作られる。
【0028】
ベアリングホルダ100は、モータケース12に固定される。ベアリングホルダ100は、金属製である。本実施形態においてベアリングホルダ100は、板金製である。そのため、金属板をプレス加工することによりベアリングホルダ100を作ることができ、ベアリングホルダ100の製造コストを低減できる。図5に示すように、ベアリングホルダ100は、筒状のホルダ筒部101と、ホルダフランジ部102と、支持部103と、を有する。本実施形態においてホルダ筒部101は、中心軸J1を中心とする円筒状である。図2に示すように、ホルダ筒部101は、径方向内側に第1ベアリング51を保持する。ホルダ筒部101は、貫通孔12hに挿入される。ホルダ筒部101は、制御基板収容部12fの内部から貫通孔12hを介して壁部12bよりも下側に突出する。
【0029】
図3に示すように、ホルダ筒部101の外径D2は、貫通孔12hの内径D1よりも小さい。そのため、ホルダ筒部101の径方向外側面のうち周方向の少なくとも一部は、貫通孔12hの径方向内側面から径方向内側に離れた位置に位置する。図2および図3に示す例では、ホルダ筒部101の径方向外側面は、全周に亘って貫通孔12hの径方向内側面から径方向内側に離れた位置に位置する。
【0030】
図2に示すように、本実施形態においてホルダ筒部101は、外側筒部101aと、内側筒部101bと、を有する。外側筒部101aは、ホルダフランジ部102の径方向内縁部から下側に延びる円筒状である。外側筒部101aの径方向外側面は、ホルダ筒部101の径方向外側面である。内側筒部101bは、外側筒部101aの径方向内側において外側筒部101aの下側の端部から上側に延びる円筒状である。内側筒部101bの径方向外側面は、外側筒部101aの径方向内側面と接触する。このように、2つの筒部を径方向に重ねてホルダ筒部101を構成することで、ホルダ筒部101の強度を向上できる。内側筒部101bの径方向内側には、第1ベアリング51が保持される。内側筒部101bの上側の端部は、第1ベアリング51よりも上側に位置する。内側筒部101bの上側の端部は、外側筒部101aの上側の端部よりも僅かに下側に位置する。
【0031】
ホルダフランジ部102は、ホルダ筒部101から径方向外側に延びる。本実施形態においてホルダフランジ部102は、ホルダ筒部101の上側の端部から径方向外側に延びる。図5に示すように、ホルダフランジ部102は、中心軸J1を中心とする円環板状である。ホルダフランジ部102は、ホルダフランジ部102を軸方向Zに貫通する貫通部102aを有する。本実施形態においてホルダフランジ部102は、径方向に延び、径方向外側に開口する。言い換えると本実施形態において貫通部102aは、ホルダフランジ部102の径方向外縁部から径方向内側に窪む部分である。
【0032】
貫通部102aの内側面のうち径方向内側の縁部は、軸方向Zに沿って視て、径方向内側に凹となる円弧状である。貫通部102aの径方向外側の開口部は、径方向外側に向かうに従って周方向の寸法が大きくなる。本実施形態において貫通部102aは、複数設けられる。複数の貫通部102aは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。貫通部102aは、例えば、3つ設けられる。図3に示すように、各貫通部102aの内部は、各金属部材110の上側に位置する。貫通部102aの径方向の寸法Lは、後述するネジ本体部121の外径D3よりも大きい。本実施形態において貫通部102aの径方向の寸法Lは、貫通部102aの径方向内側の端部とホルダフランジ部102の径方向外縁部との間の径方向の距離に相当する。貫通部102aの径方向の寸法Lおよび周方向の寸法は、金属部材110の外径よりも小さい。
【0033】
ホルダフランジ部102は、壁部12bの上側に位置する。ホルダフランジ部102は、壁部12bに固定される。本実施形態においてホルダフランジ部102は、壁部12bに軸方向Zに締め込まれる複数のネジ部材120によって壁部12bに固定される。すなわち、電動アクチュエータ10は、ホルダフランジ部102を壁部12bに固定する複数のネジ部材120をさらに備える。本実施形態においてネジ部材120は、壁部12bのうち金属部材110の雌ネジ部111に締め込まれる。ネジ部材120は、例えば、3つ設けられる。
【0034】
図2に示すように、ネジ部材120は、ネジ本体部121と、ネジ頭部122と、を有する。ネジ本体部121は、貫通部102aに通されて、金属部材110の雌ネジ部111に締め込まれる。図3に示すように、ネジ本体部121の外径D3は、貫通部102aの径方向の寸法Lよりも小さい。本実施形態において貫通部102aの径方向の寸法Lとネジ本体部121の外径D3との差は、貫通孔12hの内径D1とホルダ筒部101の外径D2との差よりも大きい。
【0035】
図2に示すように、ネジ頭部122は、ネジ本体部121の上側の端部に設けられる。ネジ頭部122は、ホルダフランジ部102の上側に位置する。ネジ頭部122は、ホルダフランジ部102の上側の面のうち貫通部102aの周縁部と接触する。図3に示すように、ネジ頭部122の軸方向Zに沿って視た外形は、例えば、円形状である。ネジ頭部122の外径D4は、貫通部102aの径方向の寸法Lおよび貫通部102aの周方向の寸法よりも大きい。
【0036】
以上のように、各ネジ部材120がホルダフランジ部102の上側から各貫通部102aを通って金属部材110に締め込まれることで、ホルダフランジ部102が壁部12bに固定される。これにより、ベアリングホルダ100がモータケース12に固定される。本実施形態では、貫通部102aおよびネジ部材120が、周方向に沿って一周に亘って等間隔に3つ以上配置される。そのため、ベアリングホルダ100をより強固かつ安定してモータケース12に固定できる。ホルダフランジ部102の径方向外縁部は、ネジ部材120の径方向外縁部よりも径方向内側に位置する。
【0037】
図2に示すように、ネジ部材120によって固定されたホルダフランジ部102は、金属部材110の上側の面に接触する。より詳細には、ホルダフランジ部102の下側の面のうち貫通部102aの周縁部が、金属部材110の上側の面に接触する。ホルダフランジ部102は、壁部本体12iから上側に離れた位置に位置する。そのため、金属部材110によってホルダフランジ部102を精度よく軸方向Zに位置決めできる。また、ホルダフランジ部102が軸方向Zに対して傾くことを抑制できる。また、ホルダフランジ部102が壁部本体12iに直接的には接触しない。そのため、線膨張係数の違いによって樹脂製の壁部本体12iと金属製の金属部材110との間に熱変形量の差が生じた場合であっても、壁部本体12iに応力が加えられることを抑制できる。これにより、壁部本体12iが破損すること、および金属部材110が壁部本体12iから抜けること等を抑制できる。
【0038】
支持部103は、内側筒部101bの上側の端部から径方向内側に突出する。支持部103は、中心軸J1を中心とする円環板状である。支持部103の径方向内側には、モータシャフト21が通される。支持部103の上側の面は、ホルダフランジ部102の上側の面よりも下側に位置する。支持部103は、第1ベアリング51の外輪から上側に離れた位置に位置する。支持部103と第1ベアリング51の外輪との軸方向Zの間には、ウェーブワッシャ55が設けられる。ウェーブワッシャ55は、第1ベアリング51の外輪に下側向きの予圧を加える。
【0039】
図1に示すように、モータ20は、モータシャフト21と、ロータ本体22と、ステータ23と、を有する。モータシャフト21は、中心軸J1を中心として回転する。モータシャフト21は、第1ベアリング51と第2ベアリング52とによって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。第1ベアリング51は、ベアリングホルダ100に保持され、モータシャフト21のうちロータ本体22よりも上側の部分を回転可能に支持する。第2ベアリング52は、モータシャフト21のうちロータ本体22よりも下側の部分を減速機構ケース13に対して回転可能に支持する。
【0040】
モータシャフト21の上端部は、貫通孔12hを通って壁部12bよりも上側に突出する。モータシャフト21は、中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする偏心軸部21aを有する。偏心軸部21aは、ロータ本体22よりも下側に位置する。偏心軸部21aには、第3ベアリング53の内輪が嵌め合わされて固定される。
【0041】
ロータ本体22は、モータシャフト21に固定される。図示は省略するが、ロータ本体22は、モータシャフト21の外周面に固定される円筒状のロータコアと、ロータコアに固定されるマグネットと、を有する。ステータ23は、ロータ本体22と隙間を介して径方向に対向する。ステータ23は、ロータ本体22の径方向外側においてロータ本体22を囲む。ステータ23は、ロータ本体22の径方向外側を囲む環状のステータコア24と、ステータコア24に装着されるインシュレータ25と、インシュレータ25を介してステータコア24に装着される複数のコイル26と、を有する。ステータコア24は、ケース筒部12aの内周面に固定される。これにより、モータ20は、モータケース12に保持される。
【0042】
制御部70は、制御基板71と、第2取付部材73と、第2マグネット74、第2回転センサ72と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、制御基板71と、第2取付部材73と、第2マグネット74、第2回転センサ72と、を備える。
【0043】
制御基板71は、軸方向Zと直交する平面に拡がる板状である。制御基板71は、モータケース12に収容される。より詳細には、制御基板71は、制御基板収容部12f内に収容され、壁部12bから上側に離れて配置される。制御基板71は、モータ20と電気的に接続される基板である。制御基板71には、ステータ23のコイル26が電気的に接続される。制御基板71は、例えば、モータ20に供給される電流を制御する。すなわち、制御基板71には、例えば、インバータ回路が搭載される。
【0044】
第2取付部材73は、中心軸J1を中心とする円環状である。図2に示すように、第2取付部材73の内周面は、モータシャフト21の上端部に位置する縮径部21bの外周面に固定される。縮径部21bは、外径が小さくなる部分である。第2取付部材73は、第1ベアリング51およびベアリングホルダ100の上側に配置される。第2取付部材73は、例えば、非磁性材である。なお、第2取付部材73は、磁性材であってもよい。第2取付部材73は、縮径部21bに嵌め合わされる筒状の取付筒部73aと、取付筒部73aの上側の端部から径方向外側に拡がる取付円環部73bと、を有する。取付円環部73bは、中心軸J1を中心とする円環板状である。取付円環部73bの径方向外縁部は、下側に窪む。
【0045】
第2マグネット74は、中心軸J1を中心とする円環状である。第2マグネット74は、取付円環部73bの径方向外縁部の上端面に固定される。第2マグネット74の第2取付部材73への固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤による接着である。第2取付部材73と第2マグネット74とは、モータシャフト21と共に回転する。第2マグネット74は、第1ベアリング51およびホルダ筒部101の上側に配置される。第2マグネット74は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。
【0046】
第2回転センサ72は、モータ20の回転を検出するセンサである。第2回転センサ72は、制御基板71の下面に取り付けられる。第2回転センサ72は、第2マグネット74と隙間を介して軸方向Zに対向する。第2回転センサ72は、第2マグネット74によって生じる磁界を検出する。第2回転センサ72は、例えばホール素子である。図示は省略するが、第2回転センサ72は、周方向に沿って複数、例えば3つ設けられる。第2回転センサ72は、モータシャフト21と共に回転する第2マグネット74によって生じる磁界の変化を検出することで、モータシャフト21の回転を検出することができる。
【0047】
図1に示すコネクタ部80は、ケース11外の電気的配線との接続が行われる部分である。コネクタ部80は、モータケース12に設けられる。コネクタ部80は、上述した端子保持部12dと、端子81と、を有する。端子81は、端子保持部12dに埋め込まれて保持される。端子81の一端は、制御基板71に固定される。端子81の他端は、端子保持部12dの内部を介してケース11の外部に露出する。本実施形態において端子81は、例えば、バスバーである。
【0048】
コネクタ部80には、図示しない電気的配線を介して外部電源が接続される。より詳細には、端子保持部12dに外部電源が取り付けられ、外部電源が有する電気的配線が端子保持部12d内に突出した端子81の部分と電気的に接続される。これにより、端子81は、制御基板71と電気的配線とを電気的に接続する。したがって、本実施形態では、端子81および制御基板71を介して、外部電源からステータ23のコイル26に電源が供給される。
【0049】
減速機構30は、モータシャフト21の下側の部分の径方向外側に配置される。減速機構30は、減速機構ケース13の内部に収容される。減速機構30は、底壁部13aおよび円環部16bとモータ20との軸方向Zの間に配置される。減速機構30は、外歯ギア31と、複数の突出部32と、内歯ギア33と、出力フランジ部42と、を有する。
【0050】
外歯ギア31は、偏心軸部21aの偏心軸J2を中心として、軸方向Zと直交する平面に拡がる略円環板状である。図4に示すように、外歯ギア31の径方向外側面には、歯車部が設けられる。外歯ギア31は、偏心軸部21aに第3ベアリング53を介して連結される。これにより、減速機構30は、モータシャフト21の下側の部分に連結される。外歯ギア31は、第3ベアリング53の外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第3ベアリング53はモータシャフト21と外歯ギア31とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結する。
【0051】
図1に示すように、複数の突出部32は、外歯ギア31から出力フランジ部42に向かって軸方向Zに突出する。突出部32は、下側に突出する円柱状である。図4に示すように、複数の突出部32は、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数の突出部32は、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
【0052】
内歯ギア33は、外歯ギア31の径方向外側を囲んで固定され、外歯ギア31と噛み合う。内歯ギア33は、中心軸J1を中心とする円環状である。図1に示すように、内歯ギア33は、円筒部材16の上側の端部の径方向内側に位置する。内歯ギア33は、金属製の円筒部材16の内周面に固定される。そのため、減速機構ケース本体13iを樹脂製としつつ、内歯ギア33を減速機構ケース13に強固に固定できる。これにより、内歯ギア33が減速機構ケース13に対して移動することを抑制でき、内歯ギア33の位置がずれることを抑制できる。本実施形態において内歯ギア33は、大径部16aの内周面に圧入によって固定される。このように、減速機構30は、円筒部材16の内周面に固定され、減速機構ケース13に保持される。図4に示すように、内歯ギア33の内周面には、歯車部が設けられる。内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と噛み合う。より詳細には、内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と一部において噛み合う。
【0053】
内歯ギア33は、径方向外側に突出する位置決め凸部33aを有する。位置決め凸部33aは、大径部16aに設けられた位置決め凹部16dに嵌め合わされる。これにより、位置決め凸部33aが位置決め凹部16dに引っ掛かり、内歯ギア33が円筒部材16に対して周方向に相対回転することを抑制できる。
【0054】
出力フランジ部42は、出力部40の一部である。出力フランジ部42は、外歯ギア31の下側に位置する。出力フランジ部42は、中心軸J1を中心として径方向に拡がる円環板状である。出力フランジ部42は、後述する出力シャフト41の上側の端部から径方向外側に拡がる。図1に示すように、出力フランジ部42は、ブッシュフランジ部54aに上側から接触する。
【0055】
出力フランジ部42は、複数の穴部42aを有する。本実施形態において複数の穴部42aは、出力フランジ部42を軸方向Zに貫通する。図4に示すように、穴部42aの軸方向Zに沿って視た形状は、円形状である。穴部42aの内径は、突出部32の外径よりも大きい。複数の穴部42aのそれぞれには、外歯ギア31に設けられた複数の突出部32がそれぞれ挿入される。突出部32の外周面は、穴部42aの内周面と内接する。穴部42aの内周面は、突出部32を介して、外歯ギア31を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。言い換えれば、複数の突出部32は、穴部42aの内側面を介して、外歯ギア31を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
【0056】
出力部40は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。図1に示すように、出力部40は、減速機構ケース13に収容される。出力部40は、出力シャフト41と、出力フランジ部42と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、出力シャフト41と、出力フランジ部42と、を備える。本実施形態において出力部40は、単一の部材である。
【0057】
出力シャフト41は、モータシャフト21の下側においてモータシャフト21の軸方向Zに延びる。出力シャフト41は、円筒部41aと、出力シャフト本体部41bと、を有する。円筒部41aは、出力フランジ部42の内縁から下側に延びる円筒状である。円筒部41aは、底部を有し上側に開口する円筒状である。円筒部41aは、ブッシュ54の径方向内側に嵌め合わされる。これにより、出力シャフト41は、ブッシュ54を介して円筒部材16に回転可能に支持される。上述したように円筒部材16には、減速機構30が固定される。そのため、金属製の円筒部材16によって、減速機構30と出力シャフト41とを共に支持することができる。これにより、減速機構30と出力シャフト41とを軸精度よく配置することができる。
【0058】
円筒部41aの内部には、第2ベアリング52が収容される。第2ベアリング52の外輪は、円筒部41aの内部に嵌め合わされる。これにより、第2ベアリング52は、モータシャフト21と出力シャフト41とを互いに相対回転可能に連結する。円筒部41aの内部には、モータシャフト21の下端部が位置する。モータシャフト21の下端面は、円筒部41aの底部の上面と隙間を介して対向する。
【0059】
出力シャフト本体部41bは、円筒部41aの底部から下側に延びる。本実施形態において出力シャフト本体部41bは、中心軸J1を中心とする円柱状である。出力シャフト本体部41bの外径は、円筒部41aの外径および内径よりも小さい。出力シャフト本体部41bの下端部は、突出筒部13cよりも下側に突出する。出力シャフト本体部41bの下端部には、電動アクチュエータ10の駆動力が出力される他の部材が取り付けられる。
【0060】
モータシャフト21が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部21aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部21aの公転は第3ベアリング53を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、穴部42aの内周面と突出部32の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア33の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア33に、外歯ギア31を介してモータシャフト21の回転力が伝達される。
【0061】
ここで、本実施形態では、内歯ギア33は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア33に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の偏心軸J2回りの回転は、穴部42aと突出部32とを介して、出力フランジ部42に伝達される。これにより、出力シャフト41が中心軸J1回りに回転する。このようにして、出力シャフト41には、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。
【0062】
出力シャフト41の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。具体的に、本実施形態の減速機構30の構成では、モータシャフト21の回転に対する出力シャフト41の回転の減速比Rは、R=-(N2-N1)/N2で表される。減速比Rを表す式の先頭の負符号は、モータシャフト21の回転する向きに対して、減速される出力シャフト41の回転の向きが逆向きとなることを示している。N1は、外歯ギア31の歯数であり、N2は、内歯ギア33の歯数である。一例として、外歯ギア31の歯数N1が59で、内歯ギア33の歯数N2が60の場合、減速比Rは、-1/60となる。
【0063】
このように、本実施形態の減速機構30によれば、モータシャフト21の回転に対する出力シャフト41の回転の減速比Rを比較的大きくできる。そのため、出力シャフト41の回転トルクを比較的大きくできる。
【0064】
回転検出装置60は、出力部40の回転を検出する。回転検出装置60は、第1マグネット63と、被覆部62と、第1回転センサ61と、を有する。第1マグネット63は、中心軸J1を中心とする円環状である。第1マグネット63は、出力部40に取り付けられる。より詳細には、第1マグネット63は、出力フランジ部42の下面に固定される。第1マグネット63は、突出部32の下側に位置する。第1マグネット63の下側の端部は、円環部16bの上側に隙間を介して対向する。
【0065】
第1回転センサ61は、収容凹部17の内部に位置する。第1回転センサ61は、円環部16bを挟んで第1マグネット63の下側に位置する。第1回転センサ61は、第1マグネット63によって生じる磁界を検出する。第1回転センサ61は、例えばホール素子である。出力部40と共に回転する第1マグネット63によって生じる磁界の変化を検出することで、第1回転センサ61は、出力部40の回転を検出することができる。ここで、本実施形態によれば、円筒部材16は非磁性材である。そのため、第1マグネット63と第1回転センサ61との間に円筒部材16が位置しても、第1回転センサ61による第1マグネット63の磁界の検出精度が低下することを抑制できる。
【0066】
被覆部62は、収容凹部17の内部に位置する。本実施形態において被覆部62は、収容凹部17の内部に充填される。被覆部62は、樹脂製である。第1回転センサ61は、被覆部62に埋め込まれて覆われる。
【0067】
配線部材90は、第1回転センサ61に電気的に接続される。本実施形態において配線部材90は、回転検出装置60の第1回転センサ61と制御部70の制御基板71とを繋ぐための部材である。本実施形態において配線部材90は、細長で板状のバスバーである。図示は省略するが、本実施形態において配線部材90は、3つ設けられる。各配線部材90のそれぞれは、第1配線部材91と、第2配線部材92と、が接続されて構成される。
【0068】
第1配線部材91は、第2配線保持部15の内部から制御基板収容部12fの内部まで延びる。第1配線部材91の一部は、第1配線保持部14、ケース筒部12aおよび壁部本体12iに埋め込まれる。これにより、第1配線部材91は、モータケース12に保持される。
【0069】
第1配線部材91の下端部91aは、第1配線保持部14から下側に突出し、第2配線保持部15の内部に位置する。第1配線部材91の上端部91bは、壁部本体12iから上側に突出して制御基板71に接続される。これにより、第1配線部材91は、制御基板71に電気的に接続され、コネクタ部80を介してケース11外の電気的配線と電気的に接続される。
【0070】
第2配線部材92の一部は、底部13jに埋め込まれる。これにより、第2配線部材92は、減速機構ケース13に保持される。第2配線部材92の上端部92aは、底壁部15aから上側に突出する。第2配線部材92の上端部92aは、第1配線部材91の下端部91aと接続される。第2配線部材92の下端部92bは、底部13jを貫通して収容凹部17の内部に突出する。下端部92bは、配線部材90の一端部に相当する。これにより、配線部材90は、ケース11の内部からケース11を貫通して、一端部が収容凹部17の内部に突出する。下端部92bは、第1回転センサ61と接続される。これにより、第1回転センサ61は、配線部材90の一端部と接続される。下端部92bは、被覆部62に埋め込まれて覆われる。このように、配線部材90の一端部および第1回転センサ61が被覆部62に埋め込まれて覆われるため、収容凹部17内に位置する配線部材90の一端部および第1回転センサ61に水分等が接触することを阻止できる。
【0071】
本実施形態によれば、貫通孔12hの内径D1は、ホルダ筒部101の外径D2よりも大きく、ホルダ筒部101の径方向外側面のうち周方向の少なくとも一部は、貫通孔12hの径方向内側面から径方向内側に離れた位置に位置する。そのため、ベアリングホルダ100が壁部12bに固定される前においては、貫通孔12hの径方向内側面とホルダ筒部101の径方向外側面との隙間分だけベアリングホルダ100を径方向に移動させることができる。これにより、モータケース12に対して第1ベアリング51の径方向の位置を調整することができる。したがって、例えば組み付け誤差等によってモータケース12に対する第2ベアリング52の径方向位置がずれた場合であっても、第1ベアリング51の径方向位置を第2ベアリング52の径方向位置に合わせることができ、第1ベアリング51と第2ベアリング52とを軸精度よく配置することができる。そのため、第1ベアリング51および第2ベアリング52に支持されるモータシャフト21が傾くことを抑制でき、モータシャフト21の軸精度を向上できる。これにより、電動アクチュエータ10から生じる騒音および振動が増大することを抑制できる。
【0072】
なお、各図においては、ホルダ筒部101の中心と貫通孔12hの中心とが共に中心軸J1と一致し、ホルダ筒部101の径方向外側面の全周が貫通孔12hの径方向内側面から径方向内側に離れた構成を示しているが、これに限られない。ベアリングホルダ100の径方向位置の調整量によっては、貫通孔12hの中心は、中心軸J1と一致しない場合もあり得る。また、ホルダ筒部101の径方向外側面の一部が貫通孔12hの径方向内側面と接触することもあり得る。
【0073】
また、本実施形態によれば、貫通部102aを通るネジ部材120によってホルダフランジ部102が固定され、貫通部102aの径方向の寸法Lは、ネジ本体部121の外径D3よりも大きい。そのため、ベアリングホルダ100の径方向位置を調整しても、貫通部102aの径方向の寸法Lとネジ本体部121の外径D3との差分以内であれば、ネジ本体部121を貫通部102aに通すことができ、ネジ部材120を金属部材110の雌ネジ部111に締め込むことができる。これにより、ベアリングホルダ100の径方向位置を調整しつつ、ベアリングホルダ100をネジ部材120によって壁部12bに固定することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、貫通部102aの径方向の寸法Lとネジ本体部121の外径D3との差は、貫通孔12hの内径D1とホルダ筒部101の外径D2との差よりも大きい。そのため、ホルダ筒部101を径方向に移動可能な範囲内であれば、ベアリングホルダ100の径方向位置をいずれの位置に調整しても、ネジ部材120によってベアリングホルダ100を壁部12bに固定することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、貫通部102aは、径方向に延び、径方向外側に開口する。そのため、貫通部102aの径方向の寸法Lを大きくしやすく、許容できるベアリングホルダ100の径方向位置調整量を大きくできる。
【0076】
また、本実施形態によれば、第2ベアリング52は、モータシャフト21と出力シャフト41とを互いに相対可能に連結する。そのため、第1ベアリング51と第2ベアリング52との軸精度を向上できることで、モータシャフト21と出力シャフト41との軸精度を向上させることができる。
【0077】
また、第2ベアリング52によってモータシャフト21と出力シャフト41とが連結される場合、第2ベアリング52は、減速機構ケース13に対して出力シャフト41を介して間接的に支持される。そのため、第2ベアリング52が減速機構ケース13に対して直接的に支持される場合に比べて、第2ベアリング52の位置が不安定となりやすく、モータシャフト21の軸がぶれやすい。これに対して、本実施形態によれば、上述したようにモータシャフト21の軸精度を向上できるため、モータシャフト21の軸がぶれることを抑制できる。すなわち、第2ベアリング52によってモータシャフト21と出力シャフト41とが連結される場合に、本実施形態におけるモータシャフト21の軸精度を向上できる効果をより有用に得られる。
【0078】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。ホルダフランジ部に設けられた貫通部は、ホルダフランジ部を軸方向Zに貫通するならば、特に限定されない。貫通部は、径方向外側に開口しない孔であってもよい。ベアリングホルダを壁部に固定するネジ部材の数は、特に限定されない。ベアリングホルダの壁部への固定方法は、ネジ部材に限られず、特に限定されない。例えば、接着剤を用いてベアリングホルダを壁部に固定してもよいし、溶接によってベアリングホルダを壁部に固定してもよい。ベアリングホルダは、板金製でなくてもよい。例えば、ベアリングホルダは、ダイカストによって作られてもよい。
【0079】
壁部は、金属部材を有しなくてもよい。この場合、例えば、壁部本体を金属製とし、壁部本体に雌ネジ穴を設けてもよい。減速機構は、特に限定されない。上述した実施形態では、複数の突出部32は、外歯ギア31から出力フランジ部42に向かって軸方向Zに突出する構成としたが、これに限られない。複数の突出部は、出力フランジ部から外歯ギアに向かって軸方向Zに突出してもよい。この場合、外歯ギアが複数の穴部を有する。
【0080】
また、上述した実施形態の電動アクチュエータの用途は限定されず、上述した実施形態の電動アクチュエータは、いかなる機器に搭載されてもよい。上述した実施形態の電動アクチュエータは、例えば、車両に搭載される。また、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0081】
10…電動アクチュエータ、12…モータケース(第1ケース)、12b…壁部、12g…第1開口部、12h…貫通孔、12i…壁部本体、13…減速機構ケース(第2ケース)、13h…第2開口部、13i…減速機構ケース本体(第2ケース本体)、16…円筒部材、20…モータ、21…モータシャフト、21a…偏心軸部、22…ロータ本体、23…ステータ、30…減速機構、31…外歯ギア、32…突出部、33…内歯ギア、41…出力シャフト、41a…円筒部、42…出力フランジ部、42a…穴部、51…第1ベアリング、52…第2ベアリング、53…第3ベアリング、100…ベアリングホルダ、101…ホルダ筒部、101a…外側筒部、101b…内側筒部、102…ホルダフランジ部、102a…貫通部、110…金属部材、111…雌ネジ部、120…ネジ部材、121…ネジ本体部、122…ネジ頭部、J1…中心軸、J2…偏心軸、Z…軸方向
図1
図2
図3
図4
図5