(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】電池残量計測装置、電池残量計測方法および電池残量計測プログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/388 20190101AFI20230221BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230221BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230221BHJP
G01R 31/367 20190101ALI20230221BHJP
【FI】
G01R31/388
H02J7/00 X
H01M10/48 P
G01R31/367
(21)【出願番号】P 2018137643
(22)【出願日】2018-07-23
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 健一
(72)【発明者】
【氏名】中本 裕之
(72)【発明者】
【氏名】山中 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】寿福 義幸
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-311771(JP,A)
【文献】特開2015-111070(JP,A)
【文献】特開平06-224844(JP,A)
【文献】特開2018-109532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0011269(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/388
G01R 31/367
H02J 7/00
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整する時刻調整部と、
前記時刻調整部が調整した時刻に前記電池電圧を計測する計測部と、を備え、
前記時刻調整部は、前記電池の動作期間と、前記電池電圧を計測する時刻との関係を予めテーブルとして保持しており、前記テーブルを参照することで、前記電池電圧を計測する時刻を調整し、
前記テーブルは、前記計測対象物に動作を行わせた後に前記計測部が前記電池電圧を計測することで取得されたものであることを特徴とする電池残量計測装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記電池から前記計測対象物に流れる電流に応じて、前記動作期間を検出することを特徴とする請求項1に記載の電池残量計測装置。
【請求項3】
前記動作期間においては、前記計測部は、前記電池電圧の計測を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の電池残量計測装置。
【請求項4】
前記時刻調整部は、前記動作期間後かつ前記電池電圧を計測する時刻までの間に、さらに前記検出部が前記計測対象物の次の動作期間を検出した場合、前記次の動作期間に応じて前記電池電圧を計測する時刻を遅らせることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電池残量計測装置。
【請求項5】
前記計測部による前記電池電圧の計測は、要求信号を受信するまで行われないことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電池残量計測装置。
【請求項6】
前記時刻調整部は、前記要求信号の受信後、所定の時間が計測しても前記計測部による前記電池電圧の計測が行われない場合に、アラーム信号を出力することを特徴とする請求項5記載の電池残量計測装置。
【請求項7】
前記時刻調整部は、所定期間にわたって、前記計測対象物の動作をサスペンドさせることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の電池残量計測装置。
【請求項8】
前記時刻調整部は、前記計測対象物の初期動作時に、前記計測部が少なくとも1回前記電池電圧を計測するまで、前記計測対象物の動作をサスペンドさせることを特徴とする請求項7記載の電池残量計測装置。
【請求項9】
前記計測部が計測した前記電池電圧に応じて、前記電池の残量を予測する予測部、を備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の電池残量計測装置。
【請求項10】
前記予測部は、前記電池の開放電圧と残量との関係を表すテーブルを用いて、前記電池の残量を予測することを特徴とする請求項9記載の電池残量計測装置。
【請求項11】
前記計測対象物は、センシング動作によって得られたセンシング結果を出力するセンサであることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の電池残量計測装置。
【請求項12】
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出部が検出し、
前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を時刻調整部が調整し、
前記時刻調整部が調整した時刻に計測部が前記電池電圧を計測し、
前記時刻調整部は、前記電池の動作期間と、前記電池電圧を計測する時刻との関係を予めテーブルとして保持しており、前記テーブルを参照することで、前記電池電圧を計測する時刻を調整し、
前記テーブルは、前記計測対象物に動作を行わせた後に前記計測部が前記電池電圧を計測することで取得されたものであることを特徴とする電池残量計測方法。
【請求項13】
コンピュータに、
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整し、調整後の前記時刻に前記電池電圧を計測部に計測させる処理を実行させ、
前記時刻を調整する場合において、前記電池の動作期間と、前記電池電圧を計測する時刻との関係を予めテーブルとして保持しており、前記テーブルを参照することで、前記電池電圧を計測する時刻を調整し、
前記テーブルは、前記計測対象物に動作を行わせた後に前記計測部が前記電池電圧を計測することで取得されたものであることを特徴とする電池残量計測プログラム。
【請求項14】
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整する時刻調整部と、
前記時刻調整部が調整した時刻に前記電池電圧を計測する計測部と、を備え、
前記動作期間においては、前記計測部は、前記電池電圧の計測を行わないことを特徴とする電池残量計測装置。
【請求項15】
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整する時刻調整部と、
前記時刻調整部が調整した時刻に前記電池電圧を計測する計測部と、を備え、
前記時刻調整部は、前記動作期間後かつ前記電池電圧を計測する時刻までの間に、さらに前記検出部が前記計測対象物の次の動作期間を検出した場合、前記次の動作期間に応じて前記電池電圧を計測する時刻を遅らせることを特徴とする電池残量計測装置。
【請求項16】
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整する時刻調整部と、
前記時刻調整部が調整した時刻に前記電池電圧を計測する計測部と、を備え、
前記計測部による前記電池電圧の計測は、要求信号を受信するまで行われず、
前記時刻調整部は、前記要求信号の受信後、所定の時間が計測しても前記計測部による前記電池電圧の計測が行われない場合に、アラーム信号を出力することを特徴とする電池残量計測装置。
【請求項17】
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整する時刻調整部と、
前記時刻調整部が調整した時刻に前記電池電圧を計測する計測部と、を備え、
前記時刻調整部は、前記計測対象物の初期動作時に、前記計測部が少なくとも1回前記電池電圧を計測するまで、前記計測対象物の動作をサスペンドさせることを特徴とする電池残量計測装置。
【請求項18】
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整する時刻調整部と、
前記時刻調整部が調整した時刻に前記電池電圧を計測する計測部と、を備え、
前記計測対象物は、センシング動作によって得られたセンシング結果を出力するセンサであることを特徴とする電池残量計測装置。
【請求項19】
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出部が検出し、
前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を時刻調整部が調整し、
前記時刻調整部が調整した時刻に計測部が前記電池電圧を計測し、
前記動作期間においては、前記計測部は、前記電池電圧の計測を行わないことを特徴とする
電池残量計測方法。
【請求項20】
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出部が検出し、
前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を時刻調整部が調整し、
前記時刻調整部が調整した時刻に計測部が前記電池電圧を計測し、
前記時刻調整部は、前記動作期間後かつ前記電池電圧を計測する時刻までの間に、さらに前記検出部が前記計測対象物の次の動作期間を検出した場合、前記次の動作期間に応じて前記電池電圧を計測する時刻を遅らせることを特徴とする電池残量計測方法。
【請求項21】
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出部が検出し、
前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を時刻調整部が調整し、
前記時刻調整部が調整した時刻に計測部が前記電池電圧を計測し、
前記計測部による前記電池電圧の計測は、要求信号を受信するまで行われず、
前記時刻調整部は、前記要求信号の受信後、所定の時間が計測しても前記計測部による前記電池電圧の計測が行われない場合に、アラーム信号を出力することを特徴とする電池残量計測方法。
【請求項22】
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出部が検出し、
前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を時刻調整部が調整し、
前記時刻調整部が調整した時刻に計測部が前記電池電圧を計測し、
前記時刻調整部は、前記計測対象物の初期動作時に、前記計測部が少なくとも1回前記電池電圧を計測するまで、前記計測対象物の動作をサスペンドさせることを特徴とする電池残量計測方法。
【請求項23】
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出部が検出し、
前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を時刻調整部が調整し、
前記時刻調整部が調整した時刻に計測部が前記電池電圧を計測し、
前記計測対象物は、センシング動作によって得られたセンシング結果を出力するセンサであることを特徴とする電池残量計測方法。
【請求項24】
コンピュータに、
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整し、調整後の前記時刻に前記電池電圧を計測部に計測させる処理を実行させ、
前記動作期間においては、前記計測部は、前記電池電圧の計測を行わないことを特徴とする電池残量計測プログラム。
【請求項25】
コンピュータに、
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整し、調整後の前記時刻に前記電池電圧を計測部に計測させる処理を実行させ、
前記動作期間後かつ前記電池電圧を計測する時刻までの間に、さらに前記検出部が前記計測対象物の次の動作期間を検出した場合、前記次の動作期間に応じて前記電池電圧を計測する時刻を遅らせる処理を実行させることを特徴とする電池残量計測プログラム。
【請求項26】
コンピュータに、
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整し、調整後の前記時刻に前記電池電圧を計測部に計測させる処理を実行させ、
前記計測部による前記電池電圧の計測は、要求信号を受信するまで行われず、
前記要求信号の受信後、所定の時間が計測しても前記計測部による前記電池電圧の計測が行われない場合に、アラーム信号を出力する処理を実行させることを特徴とする電池残量計測プログラム。
【請求項27】
コンピュータに、
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整し、調整後の前記時刻に前記電池電圧を計測部に計測させる処理を実行させ、
前記計測対象物の初期動作時に、前記計測部が少なくとも1回前記電池電圧を計測するまで、前記計測対象物の動作をサスペンドさせる処理を実行させることを特徴とする電池残量計測プログラム。
【請求項28】
コンピュータに、
電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整し、調整後の前記時刻に前記電池電圧を計測部に計測させる処理を実行させ、
前記計測対象物は、センシング動作によって得られたセンシング結果を出力するセンサであることを特徴とする電池残量計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、電池残量計測装置、電池残量計測方法および電池残量計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電池駆動される機器においては、電池が交換されてからあるいは電池が充電されてから、電池残量があとどれほどあるのか、電池残量が無くなるのかといった情報を高精度にリアルタイムで計測できることが望まれる。電池の開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)が電池残量特性を精度良く示すため、電池電圧を計測することで電池残量を予測することができる。しかしながら、電池電圧は計測対象物の動作によって変動するため、正確な残量予測は困難である。そこで、計測対象物の動作モードを判別し、計測する動作モードを決めて電池電圧計測を行うことによって残量予測を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ただし、計測するモードにおいても電池電圧は変動するため、当該変動分を吸収するために平均電圧を算出して残量予測精度を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-224844号公報
【文献】特開平10-229646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電池電圧変動分を吸収できるくらいの平均電圧を算出するためには、電池電圧を長時間にわたって計測し続けねばならず、計測に要する消費電流が大きくなってしまう。
【0005】
1つの側面では、本発明は、省電力で電池残量予測精度を高めることができる電池残量計測装置、電池残量計測方法および電池残量計測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、電池残量計測装置は、電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部と、前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整する時刻調整部と、前記時刻調整部が調整した時刻に前記電池電圧を計測する計測部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
省電力で電池残量予測精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例に係るセンサノードの全体構成を例示するブロック図である。
【
図2】電池の開放電圧と電池の放電深度との関係を表す開放電圧曲線を例示するとともに、経過時間と電池の電池電圧との関係を例示する図である。
【
図3】(a)は経過時間とセンサに流れる電流との関係を例示する図であり、(b)は動作検出信号を例示する図である。
【
図4】(a)は動作検出部の構造の詳細を例示する図であり、(b)~(d)は各信号を例示する図である。
【
図5】(a)および(b)はセンサの動作期間の時間幅と復帰時間との関係を例示する図である。
【
図6】(a)および(b)は時刻調整用テーブルの作成について例示する図である。
【
図7】(a)はセンサの動作例であり、(b)は動作検出信号を例示し、(c)は時刻調整用テーブルを例示する図である。
【
図8】時刻調整アルゴリズムを表すタイムチャートを例示する図である。
【
図9】電圧計測部および残量予測部の詳細を例示する図である。
【
図10】センサノードの動作を表すフローチャートを例示する図である。
【
図11】
図10のフローチャートに従った処理を
図8のタイムチャートに適用した場合のタイムチャートを例示する図である。
【
図12】(a)および(b)は要求信号が入力された際に電池残量予測を行う場合について例示する図である。
【
図13】要求信号を受けて残量予測を行う場合の時刻調整部のフローチャートについて例示する図である。
【
図14】要求信号を受けて残量予測を行う場合のタイムチャートを例示する図である。
【
図15】(a)はタイマが定期的に電池残量予測の要求を行う場合において警告伝達を行う場合について例示する図であり、(b)は制御部が電池残量予測の要求を行う場合において警告伝達を行う場合について例示する図である。
【
図16】警告伝達を行う場合の時刻調整部40のフローチャートについて例示する図である。
【
図17】(a)はタイマが定期的に電池残量予測の要求を行う場合においてセンシング動作をサスペンドする場合について例示する図であり、(b)は制御部が電池残量予測の要求を行う場合においてセンシング動作をサスペンドする場合について例示する図である。
【
図18】センシング動作をサスペンドする場合の時刻調整部のフローチャートについて例示する図である。
【
図19】センシング動作頻度が高い場合に
図18のフローチャートを適用した場合のタイムチャートを例示する図である。
【
図20】時刻調整部のハードウェア構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施例の説明に先立って、電池残量予測の概要について説明する。例えば、環境データを吸い上げるために大量にばら撒かれるセンサノードは、有線による電源確保が困難であることから、ほとんどが電池駆動機器になると考えられる。例えば、下水道氾濫検知システムにおいては、下水道の水位をセンシングするために、各マンホールの直下に設置されるため、電源線を各センサノードに接続することは困難である。したがって、センサノードは電池駆動式になっている。
【0010】
電池駆動式のセンサノードでは、電池交換作業のコストが大きくなるため、出来るだけ電池寿命を延伸させることが好ましい。そこで、データ取得が不要な時間帯はセンシング動作を停止させて不要な消費電力を抑制し、データ取得が必要なときだけセンシング動作させるといった間欠的な動作制御が行われる。
【0011】
また、環境センシングシステムにおいては、運用の継続性が重要である。したがって、いつの間にかセンサノードの電池残量が底をついてデータ取得が出来ない状態が続くと、システム全体として著しい信頼性の低下を招くことにつながる。そこで、1次電池駆動のセンサノードの場合は電池交換時期を、リチウムイオン充電池のような2次電池駆動の場合は充電時期を高い精度で測定できることが好ましい。したがって、電池残量を高精度に計測できる技術が重要な位置付けを占める。
【0012】
例えば、電池残量特性を精度良く示す電池の開放電圧(OCV))管理テーブルを持っておき、現在の電池電圧を計測することで現在の電池残量を予測することが考えられる。しかしながら、電池電圧は、センサノードの動作状態によって激しく変動するため、計測した時刻によっては残量予測誤差が大きくなるおそれがある。
【0013】
そこで、例えば、計測対象物の動作モードをモニタリングしておき、例えば動作モードが待受モードになった時の電池電圧を計測することが考えられる。但し、待受モードにおいても、電池電圧は変動するために、電池電圧を計測し続けて平均電圧を算出することで、その変動分を吸収することによって、電池残量を高精度に予測する。しかしながら、電池電圧変動分を吸収できるくらいの平均電圧を算出するためには、電池電圧を長時間にわたって計測し続けねばならず、計測に要する消費電流が大きくなってしまう。
【0014】
そこで、以下の実施例では、省電力で電池残量予測精度を高めることができる電池残量計測装置、電池残量計測方法および電池残量計測プログラムについて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1に係るセンサノード100の全体構成を例示するブロック図である。
図1で例示するように、センサノード100は、センサ部10、電池20、動作検出部30、時刻調整部40、電圧計測部50、残量予測部60などを備える。センサ部10は、変換器11、センサ12、送受信部13、制御部14などを備える。
【0016】
変換器11は、電池20の電力をセンサ12用の電力に変換する。センサ12は、変換器11で変換される電力を用いて、何らかのデータを取得するセンサである。センサ12は、例えば、水位計、温度計、湿度計、加速度計などである。送受信部13は、センサ12が取得したデータを送信する。制御部14は、変換器11、センサ12、送受信部13などの動作を制御する。
【0017】
送受信部13によって送信されたデータは、送受信部を備える中継装置201で受信される。中継装置201は、インターネットなどの電気通信回線を介してデータを管理サーバ202に送信する。管理サーバ202は、受信したデータを用いて、解析を行う。
【0018】
制御部14は、データの取得が不要な時間帯は、センサ12のセンシング動作を停止させ、データの取得が必要なときだけセンサ12にセンシング動作を行わせる。すなわち、制御部14は、センサ12に間欠動作を行わせる。例えば、制御部14は、センサ12の初期接続動作完了後には、一定の周期でセンサ12にセンシング動作を行わせる。それにより、消費電力が抑制され、電池20の寿命を延伸することができる。なお、センサ12の動作が停止している状態とは、電池20からセンサ12に流れる電流が所定の閾値以下となる場合であって、待機電力に相当する電流程度がセンサ12に流れる場合が含まれる。なお、当該所定の閾値は、例えば、開放電圧(OCV)に戻るのに十分に小さい電流値という基準で決まる。例えば、この閾値を超えた電流が流れ続ければ、電池20の電圧は開放電圧に戻らなくなる。
【0019】
動作検出部30は、センサ部10の動作を検出する。時刻調整部40は、センサ部10の電池電圧VBATの時間的変動を考慮して、電池電圧VBATの測定時刻を調整する。電圧計測部50は、時刻調整部40が調整した時間に従って、電池20の電池電圧VBATを測定する。残量予測部60は、電圧計測部50が計測した電池電圧VBATから、電池20の残量QRを予測する。
【0020】
ここで、電池20の電池残量(以下、残量Q
Rと称する。)と、センサ部10の動作が停止している場合の電池20の電圧(開放電圧)との関係について説明する。
図2右図は、電池20の開放電圧と、電池20の放電深度Q
Xとの関係を表す開放電圧曲線を例示する図である。放電深度Q
Xは、電池20の残量に対応するパラメータである。放電深度が大きいほど、電池20の残量が少ないことを表す。電池20の終止電圧時の放電深度をQ
BATとすると、残量Q
Rは、Q
BAT-Q
Xで表すことができる。
図2右図で例示するように、放電深度が大きいほど(電池20の残量が少ないほど)、開放電圧が低くなっている。このように、放電深度と開放電圧とは、1対1の関係を有している。したがって、開放電圧を測定することで、電池20の残量Q
Rを測定できることになる。なお、充電不可の1次電池および充電可能な2次電池のいずれであっても、開放電圧から放電深度を取得できるものであれば、本実施例の電池20に適用することができる。
【0021】
センサ部10が動作している動作期間、その後にセンサ部10が動作しない待機期間においては、電池20の電圧(以下、電池電圧V
BATと称する。)は、開放電圧よりも低くなってしまう。
図2左図は、経過時間と電池20の電池電圧V
BATとの関係を例示する図である。
図2左図で例示するように、センサ部10の動作期間では、電池20の電池電圧V
BATは開放電圧よりも低い値を示している。また、センサ部10の動作期間後の待機期間でも、電池電圧V
BATはすぐには開放電圧に戻らず、所定時間(復帰時間)経過後に開放電圧に戻っている。そこで、本実施例においては、センサ部10の動作期間終了後の復帰時間経過後に電池20の電池電圧V
BATを測定する。
【0022】
本実施例においては、センサ部10の間欠動作に伴って電池20の電池電圧VBATが変動する。そこで、センサ部10が動作を停止してから電池電圧VBATが開放電圧へ復帰するまでの復帰時間との関係を予め取得しておくことで、常時電池電圧計測を実施しなくても、電池電圧VBATが開放電圧へ復帰した時刻を予測することができる。この復帰した時刻に所定回数(例えば1度だけ)電池電圧VBATを計測すれば、計測に要する消費電流を小さく抑えつつ、精度良く開放電圧を計測することができる。すなわち、精度良くかつ省電力で電池20の残量を予測することができる。
【0023】
以下、各部の動作の詳細について説明する。動作検出部30は、電池20からセンサ12に流れる電流を検出することで、センサ12の動作期間を検出する。
図3(a)は、経過時間(横軸)と、センサ12に流れる電流(縦軸)との関係を例示する図である。
図3(a)で例示するように、センサ12の動作期間においては、電池20からセンサ12に流れる電流が大きくなる。そこで、動作検出部30は、電池20からセンサ12への電源供給線に計測用抵抗の両端の電位差を検出することで、電池20からセンサ12に流れる電流が閾値以上となっているか否かを判定する。それにより、動作検出部30は、センサ12が動作しているか否かを検出することができる。動作検出部30は、
図3(b)で例示するように、電池20からセンサ12に流れる電流が閾値以上となっている場合に、動作検出信号DT=1(High)を出力する。また、動作検出部30は、電池20からセンサ12に流れる電流が閾値未満となっている場合に動作検出信号DT=0(Low)を出力する。
【0024】
図4(a)は、動作検出部30の構造の詳細を例示する図である。
図4(a)で例示するように、動作検出部30は、電池電圧V
BATよりも低い電圧を抵抗分割によって生成し、これを基準電圧V
refとする。動作検出部30は、センサ12に流れる電流の大小によって変動する計測電圧V
sensが基準電圧V
refよりも降下しているか否かを、比較器を用いて検出する。動作検出部30は、計測電圧V
sensが基準電圧V
refよりも降下した場合に、センサ12が動作しているとみなして、動作検出信号DT=1を出力する。逆に、計測電圧V
sensが基準電圧V
refよりも高くなった場合に、動作検出部30は、センサ12の動作が終了したとみなして、動作検出信号DT=0を出力する。なお、抵抗分割によって基準電圧V
refを生成するための電力が消費されるが、1μA以下程度の消費電流で済む。
【0025】
図4(b)~
図4(d)で例示するように、センサ12の動作期間においては、計測電圧V
sensが基準電圧V
refを下回り、動作検出信号DT=1が出力されている。一方、センサ12の待機期間においては、計測電圧V
sensが基準電圧V
refを上回り、動作検出信号DT=0が出力されている。
【0026】
また、センサ12の動作期間の時間幅と、センサ12の動作によって降下した電池電圧V
BATが開放電圧へ復帰するまでの復帰時間との間に、
図5(a)で例示する関係があることがわかっている。時刻調整部40は、この関係を「時刻調整用テーブル」として内部に格納している。なお、
図5(b)で例示するように、動作期間の時間幅が大きいほど(消費クーロン量が多いほど)、電池電圧V
BATが開放電圧に戻るまでの時間が長くなる。
【0027】
図6(a)および
図6(b)は、時刻調整用テーブルの作成について例示する図である。
図6(a)で例示するように、電源ONの直後の時だけ、電圧計測部50を常時計測モードとし、最初の動作期間t
Xから、その終了後に電池電圧V
BATが復帰していく様子を常時電池電圧計測によりモニタリングしながら、電池電圧V
BATが収束した場合に復帰時間T
Xをデータ取得する。例えば、以前の計測値(例えば、5分前の計測値)と比較して偏差が所定範囲内(例えば1%以内)に収束した場合に、復帰時間T
Xをデータ取得する。
図6(b)で例示するように、
(t
X,T
X)をプロットし、残りのデータは(0,0)を通るように線形補完することで、時刻調整用テーブルを作成することができる。テーブル作成完了後は、通常モードへ移行することで省電力化を図ることができる。
【0028】
図7(a)のセンサ12の動作例では、電源ONしてから、中継装置201との通信を確立するための初期接続動作が行われる。その後、通常のセンシング動作が所定の間隔で行われる。この間、
図7(b)で例示するように、動作検出部30は、初期接続の動作期間t
B、1回あたりのセンサ12の動作期間t
Aを検出する。時刻調整部40は、
図7(c)で例示する時刻調整用テーブルを参照し、動作期間t
Aに対応する復帰時間T
Aおよび動作期間t
Bに対応する復帰時間T
Bを取得する。時刻調整部40は、動作検出信号DTが1から0になってから復帰時間が経過した時刻以降に、計測指示信号EN=1を出力することで、電圧計測を許可する。
【0029】
図8は、時刻調整アルゴリズムを表すタイムチャートを例示する図である。まず、電源ONから初期接続が始まるため、初期接続動作によって動作電流が検出される。その間(期間α)、初期接続動作による流れる電流によって電池電圧V
BATが大きく降下していて開放電圧を計測できないため、時刻調整部40は、電池電圧V
BATの計測指示信号ENを0とする。初期接続動作が停止して動作検出信号DTが1から0に変化すると、時刻調整部40は、初期接続動作の動作期間t
Bを使って時刻調整テーブルから復帰時間T
Bを取得する。その復帰時間T
Bが経過するまで電池電圧V
BATが開放電圧へ復帰できていないと見なせるため、時刻調整部40は、計測指示信号ENを0とする。その間に、再びセンシング動作が行われると、時刻調整部40は、それらの動作期間t
Aを使って時刻調整テーブルから復帰時間T
Aを参照し、現在の復帰時間へ次々に累積していく(期間β)。その後、実際の経過時間がその累積された復帰時間を満了し、電池電圧V
BATが計測できるタイミングがやってくれば、時刻調整部40は計測指示信号ENを1とする。それにより、実際に電池電圧V
BATが開放電圧へ復帰したタイミングで計測を行うことができる(期間γ)。このように確実に開放電圧を計測できるようになるため、残量予測に使用する電池電圧計測は1回だけで済む。それにより、省電力で電池残量予測精度を高めることができる。
【0030】
図9は、電圧計測部50および残量予測部60の詳細を例示する図である。
図9で例示するように、電圧計測部50は、抵抗分割して電池電圧V
BATのレベルを落とし、増幅器で増幅してADコンバータで計測できるようにする。電圧計測部50は、電池20の残量予測時に抵抗分圧比を考慮してV
BATレベルで復元する。電圧計測部50は、AD変換後のV
BATを、データラッチ部にて保持する。残量予測部60は、電池20の開放電圧曲線を参照し、データラッチ部で保持されたAD変換後のV
BATから放電深度Q
Xを取得し、当該放電深度Q
Xから電池残量Q
Rを予測する。なお、データラッチ部は、時刻調整部40から許可信号が入力されるまで、AD変換後のV
BATを取り込まない。あるいは、残量予測部60に許可信号を入力する構成とし、計測指示信号EN=1が入力されるまで残量予測部60が残量予測を行わないようにしてもよい。ただし、計測指示信号EN=1が入力されない時間帯は、十分に消費電流が小さくなる箇所に計測指示信号EN=1を入力することが好ましい。
【0031】
例えば、あるセンサノードのケースでは、センサ部の平均消費電流が約100μAであったのに対し、常時電圧計測のために約40μAも消費していたため、合計消費電流が140μAとなってしまう。これに対して、本実施例では、電池残量の計測精度を維持しつつ、電圧計測に要する消費電流を5μA以下に抑制できるため、140μAが105μAへ削減できることになり、約33%のエネルギー削減となる。仮に、センサ部の省電力化が更に進んで、センサ部の平均消費電流が約50μAへ半減すれば、本実施例では上記のエネルギー削減率は、約64%へと上昇することになる。
【0032】
図10は、時刻調整アルゴリズムを表すフローチャートを例示する図である。
図10で例示するように、時刻調整部40は、初期設定を行う(ステップS1)。具体的には、時刻調整部40は、t
x=0、T
w=0、EN=0とする。t
Xは、動作期間レジスタである。T
Wは、計測待機時間レジスタである。次に、時刻調整部40は、動作検出部30によって動作電流が検出されているか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、時刻調整部40は、動作検出信号DTが1であるか否かを判定する。
【0033】
ステップS2で「Yes」と判定された場合、時刻調整部40は、電圧計測部50に、計測不許可を指示するために、計測指示信号ENを0とする(ステップS3)。次に、時刻調整部40は、検出時間をカウントする(ステップS4)。具体的には、時刻調整部40は、tx+tS=txとする。tSは、タイムステップである。その後、ステップS2から再度実行される。
【0034】
ステップS2で「No」と判定された場合、時刻調整部40は、時刻調整用テーブルを参照し、動作期間レジスタtXに対応する復帰時間Txを取得する(ステップS5)。次に、時刻調整部40は、動作期間レジスタtXを0にリセットする(ステップS6)。次に、時刻調整部40は、計測待機時間レジスタTWに加算代入を行う(ステップS7)。具体的には、時刻調整部40は、TW+TX=TWとする。
【0035】
次に、時刻調整部40は、計測待機時間レジスタTWをカウントダウンする(ステップS8)。具体的には、時刻調整部40は、TW-ts=TWとする。その後、時刻調整部40は、計測待機時間レジスタTWがマイナスであるか否かを判定する(ステップS9)。ステップS9で「No」と判定された場合、ステップS2から再度実行される。ステップS9で「Yes」と判定された場合、時刻調整部40は、電圧計測部50に、計測許可を指示するために、計測指示信号ENを1とする(ステップS10)。次に、時刻調整部40は、計測待機時間TWを0にリセットする(ステップS11)。その後、ステップS2から再度実行される。
【0036】
図11は、
図10の時刻調整アルゴリズムに従った処理を
図8のタイムチャートに適用した場合のタイムチャートを例示する図である。センサ12の動作期間(DT=1)においては、計測が不許可となっている(EN=0)。また、センサ12の動作が検出されるたびに、その動作期間(t
X)から時刻調整用テーブルが参照され、復帰時間(T
X)が取得される。この復帰時間T
Xは、計測待機時間T
Wに累積されていく。計測待機時間T
W>0の期間においても、計測が不許可となっている(EN=0)。また、計測待機時間T
Wからは、実際の経過時間が減算されていく。計測待機時間T
Wが0を下回った時点においてセンサ12の動作が検出されていなければ(DT=0)、計測許可信号が出力される(EN=1)。
【実施例2】
【0037】
図12(a)および
図12(b)は、要求信号が入力された際に電池残量予測を行う場合について例示する図である。
図12(a)は、センサノード100が備えるタイマ70が定期的に電池残量予測の要求を行う場合を例示する図である。
図12(b)は、制御部14が電池残量予測の要求を行う場合を例示する図である。いずれも、要求信号reqが出力され、時刻調整部40が受信する。
【0038】
図13は、この場合に時刻調整部40が実行する要求処理を表すフローチャートを例示する図である。
図14は、そのタイムチャートを例示する図である。時刻調整部40は、計測指示信号AENを0とする(ステップS21)。次に、時刻調整部40は、要求信号req=1が入力されたか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22で「No」と判定された場合、ステップS21から再度実行される。それにより、時刻調整部40は、要求信号req=1が入力されるまで待機する。
【0039】
ステップS22で「Yes」と判定された場合、時刻調整部40は、計測指示信号EN=1が入力された否かを判定する(ステップS23)。ステップS23で「No」と判定された場合、ステップS23が再度実行される。それにより、時刻調整部40は、計測指示信号EN=1が出力されるまで待機する。ステップS23で「Yes」と判定された場合、時刻調整部40は、電圧計測部50へ計測指示信号AEN=1を出力する(ステップS24)。この場合、時刻調整部40は、計測必要期間(例えば、1秒)を決定する(ステップS25)。例えば、電池電圧を正しく計測し、電池残量(QR)を予測できるための期間のみ計測許可を発行してから自動的に計測許可を解除することで、無駄な電池電圧計測期間を無くして省電力化することができる。
【0040】
なお、
図13のフローチャートと並行して、
図10のフローチャートも実行される。電圧計測部50は、計測指示信号AEN=1および計測指示信号EN=1の両方が入力された場合に、電池電圧の計測を行う。
【0041】
本実施例によれば、電池残量予測の要求がなされるまで電池残量予測が行われないため、無駄な電池電圧計測期間を無くして省電力化することができる。
【実施例3】
【0042】
図15(a)は、タイマ70が定期的に電池残量予測の要求を行う場合において警告伝達を行う場合について例示する図である。
図15(b)は、制御部14が電池残量予測の要求を行う場合において警告伝達を行う場合について例示する図である。これらの例は、センサ12のセンシング動作の頻度が高い場合に、電池電圧が計測できる期間が少なくなってしまう場合の例である。
【0043】
図16は、この場合に時刻調整部40が実行する要求処理を表すフローチャートを例示する図である。
図16で例示するように、
図13のステップS21~ステップS25と同様の処理が行われる。ただし、ステップS23で「No」と判定された場合、時刻調整部40は、EN待ち期間を計測する(ステップS26)。具体的には、t
Y+t
S=t
Yとする。t
Yは、EN待ち期間計測レジスタである。次に、時刻調整部40は、EN待ち期間計測レジスタt
Yがタイムアウト設定時間T
OVを上回ったか否かを判定する(ステップS27)。ステップS27で「Yes」と判定された場合、時刻調整部40は、電池電圧の計測ができないことを表す警告信号(alert)を出力する(ステップS28)。ステップS27で「No」と判定された場合、ステップS23から再度実行される。
【0044】
本実施例によれば、要求信号reqを受信してからタイムアウト設定時間TOVが経過しても計測指示信号EN=1が出力されない場合について、警告信号(alert)が出力される。送受信部13は、この警告信号を送信する。それにより、管理サーバ202は、センサノード100の異常を検知することができる。
【実施例4】
【0045】
図17(a)は、タイマ70が定期的に電池残量予測の要求を行う場合においてセンシング動作をサスペンドする場合について例示する図である。
図17(b)は、制御部14が電池残量予測の要求を行う場合においてセンシング動作をサスペンドする場合について例示する図である。これらの例は、センサ12のセンシング動作の頻度が高い場合に、電池電圧が計測できる期間が無くなってしまう場合の例である。
【0046】
図18は、これらの場合の時刻調整アルゴリズムを表すフローチャートを例示する図である。
図18で例示するように、時刻調整部40は、初期設定を行う(ステップS31)。具体的には、時刻調整部40は、t
x=0、T
w=0、EN=0に加えて、susp=1とする。なお、suspが1である場合、制御部14は、センサ12のセンシング動作を禁止する。suspが0となった場合に、制御部14は、センサ12のセンシング動作禁止を解除する。
【0047】
その後、ステップS2~ステップS10と同様のステップS32~ステップS40の処理が行われる。ステップS40の実行後、時刻調整部40は、TWを0にリセットし、suspを0にリセットする(ステップS41)。その後、ステップS32から再度実行される。このようにすることで、センサ12のセンシング動作をサスペンドさせることができる。
【0048】
図19は、センシング動作頻度が高い場合に、
図18のフローチャートを適用した場合のタイムチャートを例示する図である。電源ONからサスペンド(susp=1)が出力され、初期接続動作が終了してもセンサ処理動作が開始しない。初期動作終了後、復帰時間T
Bを満了した時点で電池電圧計測が行われて、初期の電池残量が予測できる。その後でサスペンドが解除され(susp=0)、通常の処理へと戻る。ここで注目すべきは、この
図19の動作パターンの場合、サスペンド機能が無ければT
Wの値が0以下にならないため、永遠に電池電圧計測できないことである。少なくとも、サスペンド機能の存在により、電源ON直後の電池残量に関しては正しく予測できることになる。
【0049】
図20は、時刻調整部40のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
図20で例示するように、時刻調整部40は、CPU101、RAM102、記憶装置103などを備える。これらの各機器は、バスなどによって接続されている。CPU(Central Processing Unit)101は、中央演算処理装置である。CPU101は、1以上のコアを含む。RAM(Random Access Memory)102は、CPU101が実行するプログラム、CPU101が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置103は、不揮発性記憶装置である。記憶装置103として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。記憶装置103に記憶されている電池残量計測装置をCPU101が実行することによって、時刻調整部40が実現される。なお、時刻調整部40は、専用の回路等によって構成されていてもよい。
【0050】
なお、上記各例においては、センサノード100が残量予測部60を備えていたが、それに限られない。例えば、センサノード100は電圧計測部50の計測結果を送受信部13から送信し、管理サーバ202が残量予測部60の処理を行ってもよい。また、上記各例においては、電池20の電力を利用して動作する負荷としてセンサ12を用いたが、電池20の電力を利用して動作する他の負荷を用いてもよい。
【0051】
上記各例において、動作検出部30が、電池からの電力供給によって間欠動作する計測対象物の動作期間を検出する検出部の一例として機能する。時刻調整部40が、前記検出部が検出した前記動作期間に応じて、前記電池の電池電圧を計測する時刻を調整する時刻調整部の一例として機能する。電圧計測部50が、前記時刻調整部が調整した時刻に前記電池電圧を計測する計測部の一例として機能する。残量予測部60が、前記計測部が計測した前記電池電圧に応じて、前記電池の残量を予測する予測部の一例として機能する。
【0052】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 センサ部
11 変換器
12 センサ
13 送受信部
14 制御部
20 電池
30 動作検出部
40 時刻調整部
50 電圧計測部
60 残量予測部
70 タイマ
100 センサノード