(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】測定器具及び測定器具セット
(51)【国際特許分類】
G01B 3/34 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
G01B3/34
(21)【出願番号】P 2018197992
(22)【出願日】2018-10-19
【審査請求日】2021-08-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年4月11日ホテルニューオータニ博多において開催された第61回日本形成外科学会総会・学術集会にて発表
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田澤 俊介
(72)【発明者】
【氏名】大谷 優人
(72)【発明者】
【氏名】倉島 衆
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-235954(JP,A)
【文献】中国実用新案第207850249(CN,U)
【文献】特許第4605985(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/34
A61B 5/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経の太さの寸法を測定する測定器具であって、
神経が挿入される開口と、前記開口と通じ、前記開口と同等の断面を有する中空部分と、を有する部材を
備え、
前記部材は、吸水率が0.2%以下の素材からなり、再生対象の神経が内孔に挿入されることにより前記再生対象の神経が再生する神経再生誘導管の疑似品として用いられ、
前記部材の中空部分の断面の寸法は、前記神経再生誘導管の吸水時の前記内孔の断面の寸法と同等である、
測定器具。
【請求項2】
前記部材は、光を透過させる素材からなる部分を含む、
請求項
1に記載の測定器具。
【請求項3】
前記部材の弾性率は、3.0N/m
2以下である、
請求項1
または2に記載の測定器具。
【請求項4】
前記部材は、押し出し成型により形成される、
請求項1から
3のうち何れか1項に記載の測定器具。
【請求項5】
請求項1から
4のうち何れか1項に記載の測定器具を複数備え、
前記部材の形状は、円筒状であり、
前記部材の内径は、夫々異なり、
前記部材は、内径の寸法に応ずる色が着色される、または、前記部材の外表面には、内径の寸法に応ずる表示がある、
測定器具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定器具及び測定器具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
神経を再生させる神経再生誘導管に関する技術が開示されている(例えば特許文献1)。再生対象の神経は、神経再生誘導管に挿入されることにより、その細胞が増殖伸長し、再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再生対象の神経を神経再生誘導管に挿入する処置を行う場合、再生対象の神経の太さに適した内孔を有する神経再生誘導管(以降、好適な神経再生誘導管という)を事前に選択しておく必要がある。好適な神経再生誘導管を選択する方法として、事前に再生対象の神経の太さを精密に測定し、好適な神経再生誘導管を選択することが考えられる。しかしながら、このような方法の場合、再生対象の神経の太さを精密に測定するために別の測定器具を用意し測定を行う手間が必要となる。また、神経は柔らかい組織であるため、ノギスやスケールといった一般的な測定器具を用いた場合には、神経が変形し正確な寸法が測定できないおそれがある。
【0005】
一方、神経再生誘導管が吸水性の材料から形成されている場合、使用前に生理食塩水等に神経再生誘導管を浸漬し膨潤させておく必要があるが、膨潤に伴って神経再生誘導管の内孔が変化することが考えられる。神経の太さの正確な測定がなされなかった結果、神経再生誘導管に再生対象の神経を挿入できないという事態が生じる恐れがあり、好適な神経再生誘導管を選択し直す手間が生じ、一度好適であるとして選択した神経再生誘導管を廃棄することにより無駄な費用が発生することも考えられる。
【0006】
そこで、本願は、再生対象の神経の太さに適した神経再生誘導管を選択する際の手間や費用を節減し、より正確に神経再生誘導管を選択する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0008】
すなわち本発明の一側面に係る測定器具は、神経の太さの寸法を測定する測定器具であって、神経が挿入される開口と、開口と通じ、開口と同等の断面を有する中空部分と、を有する部材を備える、測定器具である。
【0009】
当該構成によれば、異なる寸法の中空部分を有する測定器具を複数用意し、夫々の測定器具に対して、再生対象の神経を開口部から中空部分へ挿入することを試みる。そして、再生対象の神経を中空部分へ挿入できた場合、当該神経が挿入できた測定器具の中空部分の断面の寸法から、再生対象の神経の太さを把握することができる。また、再生対象の神経を中空部分へ挿入できた測定器具が複数ある場合、一番小さい中空部分の断面の寸法から、再生対象の神経の太さを把握することができる。すなわち、再生対象の神経の太さを簡易に測定することができる。また、再生対象の神経を中空部分へ挿入できた場合、当該
神経を挿入できた中空部分に相当する内孔を有する神経再生誘導管を、再生対象の神経に適した神経再生誘導管として選択することができる。よって、再生対象の神経の太さを精密に測定しなくとも、再生対象の神経に適した神経再生誘導管を正確に選択することができる。すなわち、再生対象の神経に適した神経再生誘導管を選択する手間を節減することができる。
【0010】
上記一側面に係る測定器具において、部材は、吸水率が0.2%以下の素材からなってもよい。
【0011】
当該構成によれば、部材はほとんど吸水せず、膨潤しないため、部材の中空部分の断面の寸法は濡れた場合であっても略一定である。当該構成の部材が、神経再生誘導管の疑似品として用いられ、部材の中空部分の断面の寸法が、神経再生誘導管の膨潤時の内孔の断面の寸法と同等である場合、膨潤による神経再生誘導管の内径の変化を見越して、適切な神経再生誘導管を選択していることとなる。よって、再生対象の神経に適する神経再生誘導管を選択し直すことは抑制される。また、一度好適であるとして選択した神経再生誘導管を廃棄することは抑制される。すなわち、再生対象の神経に適した神経再生誘導管を選択する際の手間や無駄な費用が発生することは抑制される。
【0012】
上記一側面に係る測定器具において、部材は、再生対象の神経が内孔に挿入されることにより再生対象の神経が再生する神経再生誘導管の疑似品として用いられ、部材の中空部分の断面の寸法は、神経再生誘導管の吸水時の前記内孔の断面の寸法と同等であってもよい。
【0013】
当該構成によれば、再生対象の神経を中空部分へ挿入できた場合、当該神経を挿入できた中空部分に相当する内孔を有する神経再生誘導管を、再生対象の神経に適した神経再生誘導管として選択することができる。また、当該選択は、膨潤による神経再生誘導管の内径の変化を見越して、適切な神経再生誘導管を選択していることとなる。よって、再生対象の神経に適する神経再生誘導管を選択し直すことは抑制される。また、一度好適であるとして選択した神経再生誘導管を廃棄することは抑制される。すなわち、再生対象の神経に適した神経再生誘導管を選択する際の手間や無駄な費用が発生することは抑制される。
【0014】
上記一側面に係る測定器具において、部材は、光を透過させる素材からなる部分を含んでもよい。
【0015】
当該構成によれば、中空部分へ挿入される再生対象の神経の様子を外部から視認することができる。
【0016】
上記一側面に係る測定器具において、部材の弾性率は、3.0N/m2以下であってもよい。
【0017】
当該構成によれば、神経再生誘導管が比較的柔軟な材料から形成されている場合、測定器具は、神経再生誘導管と同じ程度の柔軟性を有することとなる。よって、当該構成に再生対象の神経を挿入する際の作業の流れや作業者が受ける感覚は、神経再生誘導管に再生対象の神経を挿入する際の作業の流れや作業者が受ける感覚と似ることとなる。よって、再生対象の神経に適した神経再生誘導管を選択する際の選択の誤りを抑制することができる。
【0018】
上記一側面に係る測定器具において、部材は、押し出し成型により形成されてもよい。
【0019】
当該構成によれば、測定器具を製造するための費用を節減することができる。
【0020】
上記一側面に係る測定器具のうち何れか一つの測定器具を複数備え、部材の形状は、円筒状であり、部材の内径は、夫々異なり、部材は、内径の寸法に応ずる色が着色される、または、部材の外表面には、内径の寸法に応ずる表示があってもよい。
【0021】
当該構成によれば、測定器具セットに含まれる夫々の測定器具の内径を容易に把握することが可能となるため、夫々の測定器具の取り違えを抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、再生対象の神経の太さに適した神経再生誘導管を選択する際の手間や費用を節減し、より正確に神経再生誘導管を選択する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態にかかるサイザの概要の一例を示している。
【
図2】
図2は、神経再生誘導管を形成する材料と、サイザを形成するシリコンゴムとの弾性率の測定結果の比較を示す一例である。
【
図3】
図3は、複数のサイザから形成されるサイザセットの概要の一例を示している。
【
図4】
図4は、サイザセットを使用する際の概要の一例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0025】
<装置構成>
図1は、本発明の実施形態にかかるサイザ1の概要の一例を示している。ここで、サイザ1は、本発明の「測定器具」の一例である。
図1に示されるサイザ1は、円筒状の部材であり、端部に開口部2を備える。サイザ1の断面は、開口部2と同等の形状である。ここで、神経細胞を増殖伸長させ、神経を再生させる神経再生誘導管の内孔の断面と同等となるように、サイザ1の断面は調節されている。また、神経再生誘導管が吸水性の材料から形成されている場合、吸水により膨潤し、変化した神経再生誘導管の内孔の断面と略同一となるように、サイザ1の断面は調節されている。
【0026】
また、サイザ1は、シリコンゴムにより形成される。サイザ1を形成するシリコンゴムの吸水率は、約0.1%程度であり、吸水はほとんどせず、膨潤しない。すなわち、サイザ1の断面は、濡れた場合であっても略一定である。また、サイザ1を形成するシリコンゴムは、半透明であり、光を透過させる。そして、シリコンゴムは、本発明の「光を透過させる素材」の一例である。また、サイザ1の内径は数mm程度であり、サイザ1の長さは30mm程度である。また、サイザ1は、押し出し成型により製造される。
【0027】
図2は、神経再生誘導管を形成する材料と、サイザ1を形成するシリコンゴムとの弾性率の測定結果の比較を示す一例である。
図2に示される棒グラフの値は、いくつかのサンプルの弾性率の平均値であり、誤差バーは当該サンプルの弾性率の標準偏差を示している。
図2に示されるように、サイザ1を形成するシリコンゴムは、1.5Nから3.0N程度の弾性率である。一方で、神経再生誘導管を形成する材料の弾性率は、1.0Nから1.5N程度である。すなわち、神経再生誘導管とサイザ1との柔軟性は、同程度である。
【0028】
図3は、複数のサイザ1から形成されるサイザセット10の概要の一例を示している。ここで、サイザセット10は、本発明の「測定器具セット」の一例である。
図3に示されるように、サイザセット10は、例えば6種類の異なる内径を有するサイザ1から形成さ
れる。夫々のサイザ1の内径の寸法は、各品種の神経再生誘導管の内径に対応した寸法とされている。具体的には、膨潤時に1.0mm、1.3mm、2.0mm、2.3mm、2.8mm、3.7mmの内径を有する神経再生誘導管に対応する。また、夫々のサイザ1は、内径の寸法に応ずる色を有する素材により形成されている。
【0029】
図4は、サイザセット10を使用する際の概要の一例を示している。ユーザは、サイザセット10の中から、あるサイザ1を選択する。ここで、サイザ1は、その内径の寸法ごとに色分けされているため、色を識別することにより、ユーザは所望の内径を有するサイザ1であるか否かを容易に判断することができる。そのため、ユーザが夫々の測定器具の取り違える事態を抑制することができる。
【0030】
そして、選択したサイザ1の開口部2から再生対象の神経3をサイザ1の内部へ挿入することを試みる。サイザ1は半透明であるため、再生対象の神経3を内部へ挿入している際に、神経の様子を外部から視認することが可能である。このようにして再生対象の神経3をサイザ1の内部へ挿入することを試みることを他のサイザ1についても同様に繰り返す。そして、再生対象の神経が挿入できるサイザ1のうち、最も内径の小さいサイザ1の当該内径の寸法を再生対象の神経3の太さと決定する。
【0031】
また、使用済みのサイザ1は、医療機関において、洗浄・滅菌され、繰り返し使用される。
【0032】
[作用・効果]
上記のようなサイザ1であれば、再生対象の神経を開口部2から円筒の内部へ挿入することを試み、再生対象の神経を無理なく円筒の内部へ挿入できた場合、神経を挿入できたサイザ1の当該内径の寸法を再生対象の神経の太さとみなすことができる。また、再生対象の神経を中空部分へ挿入できたサイザ1が複数ある場合、一番小さいサイザ1の内径の寸法から、再生対象の神経の太さを把握することができる。すなわち、再生対象の神経の太さを簡易に測定することができる。また、再生対象の神経をサイザ1の円筒へ挿入できた場合、当該神経を挿入できたサイザ1の円筒に相当する内孔を有する神経再生誘導管を、再生対象の神経に適した神経再生誘導管として選択することができる。よって、再生対象の神経の太さを精密に測定しなくとも、再生対象の神経に適した神経再生誘導管を正確に選択することができる。すなわち、再生対象の神経に適した神経再生誘導管を選択する手間を節減することができる。
【0033】
また、上記のようなサイザ1の円筒の内径の寸法は、吸水性の材料により形成され、吸水により膨潤した神経再生誘導管の変化した内孔の寸法に対応させている。すなわち、ユーザは、膨潤による神経再生誘導管の内孔の変化を見越して、適切な神経再生誘導管を選択していることとなる。よって、再生対象の神経に適する神経再生誘導管を選択し直すことは抑制される。また、一度好適であるとして選択した神経再生誘導管を廃棄することは抑制される。すなわち、再生対象の神経に適した神経再生誘導管を選択する際の手間や無駄な費用が発生することは抑制される。
【0034】
また、上記のようなサイザ1は、半透明なシリコンゴムによって形成されているため、サイザ1の内部へ挿入される神経の様子を外部から視認することができる。よって、例えば、再生対象の神経をサイザ1の内部へ挿入している際に、再生対象の神経が無理に押し込まれていないか、再生対象の神経を傷付けていないかを確認することが可能となる。
【0035】
また、上記のようなサイザ1の弾性率は、1.5Nから3.0N程度であるから比較的柔らかく、また神経再生誘導管と同じ程度の柔軟性を有する。よって、再生対象の神経をサイザ1へ挿入した場合、サイザ1は変形し、その変形の度合いは、再生対象の神経を神
経再生誘導管へ挿入した場合の神経再生誘導管の変形の度合いと同程度となる。よって、サイザ1に再生対象の神経を挿入する際の作業の流れや作業者が受ける感覚は、神経再生誘導管に再生対象の神経を挿入する際の作業の流れや作業者が受ける感覚と似ることとなる。よって例えば、サイザ1が変形することにより、再生対象の神経をサイザ1へ挿入することができたが、当該サイザ1の内径の寸法と略同一の寸法の内孔を有する神経再生誘導管へ再生対象の神経を挿入する際、神経再生誘導管が変形せずに再生対象の神経が挿入できない、といった事態が生じることは抑制される。すなわち、再生対象の神経に適した神経再生誘導管を選択する際の選択の誤りを抑制することができる。
【0036】
また、サイザ1は、押し出し成型により製造されている。よって、製造コストを節減することができる。また、使用されたサイザ1は、洗浄・滅菌され、繰り返し使用される。よって、サイザ1による再生対象の神経の太さを測定するための費用は節減される。
【0037】
また、サイザセット10に含まれるサイザ1は、夫々内径の寸法に応ずる色を有する素材により形成されている。換言すれば、夫々のサイザ1の内径の寸法を容易に把握することができる。よって、夫々のサイザ1の取り違えは抑制される。また、このようなサイザセット10は、サイザセット10の中から所望の寸法の内径を有するサイザ1を選ぶ際に役に立つ。
【0038】
<その他実施例>
上記のサイザ1は、吸水率が0.1%程度であり、吸水はほとんどせず、膨潤しない。そして、サイザ1の内径の寸法は、濡れた場合であっても略一定であった。しかし、サイザ1Aは、神経再生誘導管が吸水性の材料から形成されている場合、神経再生誘導管を形成する材料と同様の吸水率を有する吸水性の材料から形成されてもよい。そして、サイザ1Aが膨潤し、変化した場合のサイザ1Aの内径は、同じく膨潤し、変化した場合の神経再生誘導管の内孔の寸法に対応するように調節されている。
【0039】
このようなサイザ1Aの場合、サイザ1Aを濡らしてサイザ1の内径を膨潤により変化させた後、再生対象の神経がサイザ1Aへ挿入され、再生対象の神経の太さが測定される。そして、再生対象の神経を円筒の内部へ無理なく挿入できた場合、神経を挿入できたサイザ1Aの当該内径の寸法に対応する寸法の内孔を有する神経再生誘導管を、再生対象の神経に適した神経再生誘導管として選択することができる。また、再生対象の神経を挿入できたサイザ1Aが複数ある場合、一番小さいサイザ1Aの内径の寸法に対応する寸法の内孔を有する神経再生誘導管を、再生対象の神経に適した神経再生誘導管として選択することができる。よって、再生対象の神経の太さを精密に測定しなくとも、再生対象の神経に適した神経再生誘導管を正確に選択することができる。すなわち、再生対象の神経に適した神経再生誘導管を選択する手間を節減することができる。
【0040】
また、上記のようなサイザ1Aによる、再生対象の神経に適した神経再生誘導管の選択は、膨潤による神経再生誘導管の内孔の変化を見越して、適切な神経再生誘導管を選択していることとなる。よって、再生対象の神経に適する神経再生誘導管を選択し直すことは抑制される。また、一度好適であるとして選択した神経再生誘導管を廃棄することは抑制される。すなわち、再生対象の神経に適した神経再生誘導管を選択する際の手間や無駄な費用が発生することは抑制される。
【0041】
また、サイザ1を形成する部分の寸法は、吸水性の材料により形成され、吸水により膨潤した神経再生誘導管の変化を見越した寸法であってもよい。
【0042】
また、上記のサイザセット10のサイザ1は、内径の寸法に応ずる色を有する素材により形成されている。しかし、サイザセット10のサイザ1の色は全て同一であり、内径の
寸法に対応する文字、記号、あるいは模様等がサイザ1の外表面に施されていてもよい。このようなサイザセットであっても、ユーザが夫々のサイザ1を取り違える事態を抑制することができる。
【0043】
また、サイザ1の外形の形状は何でもよい。また、サイザ1の長手方向に対する断面の形状は、円形に限定されず、楕円形や多角形などであってもよい。また、神経再生誘導管の断面形状は円形に限定されない。そして、上記のサイザ1は、円筒状であり、再生対象の神経を円筒内へ挿入できた場合、神経を挿入できたサイザ1の当該内径の寸法に対応する寸法の内孔を有する神経再生誘導管を、再生対象の神経に適した神経再生誘導管として選択していた。しかし、サイザ1が円筒状でない場合であって、再生対象の神経をサイザ1の中空部分へ挿入できた場合、神経を挿入できたサイザ1の当該中空部分の断面の寸法に対応する寸法の断面の内孔を有する神経再生誘導管を、再生対象の神経に適した神経再生誘導管として選択してもよい。
【0044】
また、再生対象の神経が挿入される開口部2とは反対側のサイザ1の端部は塞がれていてもよい。
【0045】
また、サイザ1の長さは上記の実施形態に示される例に限定されない。サイザ1の長さは、再生対象の神経を挿入する作業がし易い長さであってもよい。
【0046】
また、サイザ1の材料は、シリコンゴムに限定されず、濡れた場合であっても吸水性の低く、内径の寸法が略一定である材料であればなんでもよい。
【0047】
また、サイザ1の開口部2の縁は、再生対象の神経が挿入されやすいように、面取りなどの工夫が施されていてもよい。
【0048】
また、サイザセット10のサイザ1の内径の寸法、個数は、上記の実施形態に示される例に限定されない。
【0049】
また、サイザ1の弾性率は、神経再生誘導管の弾性率と大きく異なってもよく、またサイザ1は、比較的硬い材料により形成されてもよい。また、サイザ1は、光を透過させない素材から形成され、円筒の内部が視認できなくともよい。
【0050】
また、サイザ1には、取手や他の部材が付いていてもよい。
【0051】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。
【符号の説明】
【0052】
1、1A・・サイザ;2・・開口部;3・・再生対象の神経;10・・サイザセット