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特許7230476電力管理方法、電力管理システムおよび電力管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】電力管理方法、電力管理システムおよび電力管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20230221BHJP
【FI】
G06Q50/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018232139
(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公開番号】P2020095424
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】関 光浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 友治
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-074841(JP,A)
【文献】国際公開第2017/090110(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/130307(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電装置と、
電気湯沸器と、
前記太陽光発電装置および前記電気湯沸器のそれぞれと通信可能に接続されたコンピュータとを備える電力管理システムにおいて、
前記コンピュータが、
単位時間毎に、前記太陽光発電装置により発電した電力量と管理対象で消費している電力量とを収集する処理と、
前記電気湯沸器の作動に必要となる電力量と、夜間及び昼間に買電する場合の単位電力量当たりの買電料金と、前記太陽光発電装置により発電した電力を売る場合の単位電力量当たりの売電料金とを記憶した記憶部を参照する処理と、
太陽光発電により発生した電力の内の売電中の電力が前記電気湯沸器の消費電力よりも大きく、且つ、夜間電力料金で前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせた場合の想定電気料金から前記太陽光発電装置により前記発電した電力を売電することにより得られる料金を減算して求める節約金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額よりも多い場合に、前記発電した電力を使用した前記電気湯沸器の動作を行なわせる処理と
前記節約金額の累計値が閾値金額以下であるかを判定し、前記節約金額の累計値が前記閾値金額以下の場合に、0をマージン金額として設定し、前記節約金額の累計値が前記閾値金額よりも大きい場合に、前記閾値金額をマージン金額として設定する処理と、
前記節約金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額に前記マージン金額を加算した金額よりも多い場合に、前記発電した電力を前記電気湯沸器の動作のために供給する処理と
を備えることを特徴とする、電力管理方法。
【請求項2】
太陽光発電装置と、
電気湯沸器と、
前記太陽光発電装置および前記電気湯沸器のそれぞれと通信可能に接続されたコンピュータとを備える電力管理システムであって、
単位時間毎に、前記太陽光発電装置により発電した電力量と管理対象で消費している電力量とを収集する収集部と、
前記電気湯沸器の作動に必要となる電力量と、夜間及び昼間に買電する場合の単位電力量当たりの買電料金と、前記太陽光発電装置により発電した電力を売る場合の単位電力量当たりの売電料金とを記憶した記憶部を参照する参照部と、
太陽光発電により発生した電力の内の売電中の電力が、前記電気湯沸器の消費電力よりも大きい第1条件が満たされたかを判定する第1判定部と、
夜間電力料金で前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせた場合の想定電気料金から前記太陽光発電装置により前記発電した電力を売電することにより得られる料金を減算して求める節約金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額よりも多い第2条件を満たすかを判断する第2判断部と、
前記第1条件および前記第2条件が満たされている場合に、前記発電した電力を使用した前記電気湯沸器の動作を行なわせる制御を行なう制御部と
を備え
前記制御部が、
前記節約金額の累計値が閾値金額以下であるかを判定し、前記節約金額の累計値が前記閾値金額以下の場合に、0をマージン金額として設定し、前記節約金額の累計値が前記閾値金額よりも大きい場合に、前記閾値金額をマージン金額として設定し、
前記節約金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額に前記マージン金額を加算した金額よりも多い場合に、前記発電した電力を前記電気湯沸器の動作のために供給する制御を行なう
ことを特徴とする電力管理システム。
【請求項3】
太陽光発電装置および電気湯沸器のそれぞれと通信可能に接続されたコンピュータに、
単位時間毎に、前記太陽光発電装置により発電した電力量と管理対象で消費している電力量とを収集し、
前記電気湯沸器の作動に必要となる電力量と、夜間及び昼間に買電する場合の単位電力
量当たりの買電料金と、前記太陽光発電装置により発電した電力を売る場合の単位電力量当たりの売電料金とを記憶した記憶部を参照して、
太陽光発電により発生した電力の内の売電中の電力量が前記電気湯沸器の消費電力量よりも大きく、且つ、夜間電力料金で前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせた場合の想定電気料金から前記太陽光発電装置により前記発電した電力を売電することにより得られる料金を減算して求める節約金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額よりも多い場合に、前記発電した電力を使用した前記電気湯沸器の動作を行なわせる処理と、
前記節約金額の累計値が閾値金額以下であるかを判定し、前記節約金額の累計値が前記閾値金額以下の場合に、0をマージン金額として設定し、前記節約金額の累計値が前記閾値金額よりも大きい場合に、前記閾値金額をマージン金額として設定する処理と、
前記節約金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額に前記マージン金額を加算した金額よりも多い場合に、前記発電した電力を前記電気湯沸器の動作のために供給する処理と
を実行させる電力管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理方法、電力管理システムおよび電力管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヒートポンプ(HP:Heat Pump)技術を利用し空気の熱で湯を沸かす自然冷媒ヒートポンプ給湯器を家庭に設置して運用することが行なわれている。このような自然冷媒ヒートポンプ給湯器として、例えば、エコキュート(登録商標)が知られている。
【0003】
そして、家庭に自然冷媒ヒートポンプ給湯器を設置し、昼夜の電力料金の差額を利用して、夜間の安い時間帯の電力を用いてヒートポンプ給湯器でお湯の沸き上げ(湯沸し)を行なうことで、昼間の湯沸しのための電力消費を低減させることが行なわれている。
【0004】
また、近年においては、家庭において太陽光発電を行なうことも一般的に行なわれている。2009年11月に我が国で開始された再生可能エネルギーの固定買取制度においては、家庭用の太陽光発電により昼間発電した電気を、例えば48円/kWhの売電単価で電力会社等に売る(売電する)ことで需要家が利益を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-199157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の再生可能エネルギーの固定買取制度において、余剰電力の買い取り価格(売電価格)は所定期間(例えば、10年)が経過した以降は、売電価格が買電価格より安価となることが予想される。その結果、減額後の売電価格(例えば、10円/kWh)が夜間の電力料金(例えば、16円/kWh)よりも安くなる場合がある。この場合、需要家にとって、余剰電力を売却するよりも自身で使用(自家消費)して電力供給会社より購入する電力の使用量を削減した方が電気代が安くなる事態が生じる。
【0007】
そこで、電気料金の総合的な支出金額を勘案して、家庭への負担が最も少なくなるようなエネルギー管理が求められる。
【0008】
1つの側面では、本発明は、需要家にとって電気料金の支出が少なくなるように太陽光発電装置によって発電した電力を有効に使用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、この電力管理方法は、太陽光発電装置と、電気湯沸器と、前記太陽光発電装置および前記電気湯沸器のそれぞれと通信可能に接続されたコンピュータとを備える電力管理システムにおいて、前記コンピュータが、単位時間毎に、前記太陽光発電装置により発電した電力量と管理対象で消費している電力量とを収集し、前記電気湯沸器の作動に必要となる電力量と、夜間及び昼間に買電する場合の単位電力量当たりの買電料金と、前記太陽光発電装置により発電した電力を売る場合の単位電力量当たりの売電料金とを記憶した記憶部を参照して、太陽光発電により発生した電力の内の売電中の電力が前記電気湯沸器の消費電力よりも大きく、且つ、夜間電力料金で前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせた場合の想定電気料金から前記太陽光発電装置により前記発電した電力を売電することにより得られる料金を減算して求める節約金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額よりも多い場合に、前記発電した電力を使用した前記電気湯沸器の動作を行なわせる。
また、前記節約金額の累計値が閾値金額以下であるかを判定し、前記節約金額の累計値が前記閾値金額以下の場合に、0をマージン金額として設定し、前記節約金額の累計値が前記閾値金額よりも大きい場合に、前記閾値金額をマージン金額として設定し、前記節約金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額に前記マージン金額を加算した金額よりも多い場合に、前記発電した電力を前記電気湯沸器の動作のために供給する。
【発明の効果】
【0010】
1つの側面では、需要家にとって電気料金の支出が少なくなるように太陽光発電装置によって発電した電力を有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の一例としての電力管理システムの機能構成を示す図である。
図2】実施形態の一例としての電力管理システムの管理サーバのハードウェア構成を例示する図である。
図3】実施形態の一例としての電力管理システムにおける電力管理方法の概要を説明するための図である。
図4】実施形態の一例としての電力管理システムにおける太陽光発電量と需要家システムにおける消費電力量との関係を示す図である。
図5】実施形態の一例としての電力管理システムにおける電気料金の節約金額を説明するための図である。
図6】実施形態の一例としての電力管理システムにおける電力制御方法を説明するための図である。
図7】実施形態の一例としての電力管理システムにおいて需要家向けに提示する情報のイメージ図である。
図8】実施形態の一例としての電力管理システムにおける太陽光余剰電力監視部による処理を説明するためのフローチャートである。
図9図8のステップA6の詳細な処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本電力管理方法、電力管理システムおよび電力管理プログラムにかかる実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形例や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(実施形態および各変形例を組み合わせる等)して実施することができる。また、各図は、図中に示す構成要素のみを備えるという趣旨ではなく、他の機能等を含むことができる。
【0013】
(A)構成
図1は実施形態の一例としての電力管理システム1の機能構成を示す図である。
【0014】
本電力管理システム1は、管理サーバ10と1つ以上の需要家システム20とを備え、これらの管理サーバ10と需要家システム20とは通信ネットワーク50を介して相互に通知可能に接続されている。
【0015】
通信ネットワーク50は、例えば、LAN(Local Area Network)であってもよい。
【0016】
需要家システム20は、需要家の例えば自宅に設置される。需要家は電気の供給を受けて使用する者である。
【0017】
需要家システム20は、図1に示すように、HP給湯器21,太陽光発電装置22,HEMS(Home Energy Management System)コントローラ25およびスマートメータ23を備える。
【0018】
HEMSコントローラ25は、各家に設置され、需要家システム20と管理サーバ10との間のデータ送受信を行なうコントローラである。HEMSコントローラ25は、HP給湯器21,太陽光発電装置22およびスマートメータ23と管理サーバ10との各間においてデータ送受信を行なう。HEMSコントローラ25は、HP給湯器21、太陽光発電装置22およびスマートメータ23間等、需要家システム20内におけるデータ送受信を行なってもよい。
【0019】
また、HEMSコントローラ25は、HP給湯器21,太陽光発電装置22およびスマートメータ23を制御する機能を備えてもよい。例えば、HEMSコントローラ25は、HP給湯器21を起動させて沸き上げを開始させ、また、沸き上げを停止させる。
【0020】
HEMSコントローラ25は、図示しないメモリを備え、このメモリに沸き上げ開始時刻および沸き上げ終了時刻を記憶する。HEMSコントローラ25は、沸き上げ開始時刻になると、HP給湯器21を起動して沸き上げを行なわせる制御を行なう。また、HEMSコントローラ25は、沸き上げ終了時刻になるとHP給湯器21に対して沸き上げを停止させる制御を行なう。
HEMSコントローラ25に対する沸き上げ開始および沸き上げ終了(沸き上げ停止)の制御は後述する管理サーバ10が行なう。すなわち、管理サーバ10がHEMSコントローラ25に対して沸き上げ開始時刻および沸き上げ終了時刻を指示(通知)する。
【0021】
沸き上げ開始時刻および沸き上げ終了時刻は、HP給湯器21による沸き上げ処理を制御するためのHP制御情報として用いられる。
【0022】
HP給湯器21は、ヒートポンプ技術を利用し空気の熱で湯を沸かす自然冷媒ヒートポンプ給湯器(電気湯沸器)である。HP給湯器21をエコキュートといってもよい。
【0023】
HP給湯器21は、HEMSコントローラ25からの制御に従って、図示しないボイラの水の沸き上げを行なう。HP給湯器21は、電力を用いて沸き上げを行なうことで、電力エネルギーの貯蓄を実現する。
【0024】
HP制御情報(沸き上げ開始時刻,沸き上げ終了時刻)は、予めHP制御計画作成部11(後述)により規定された時刻が初期値として設定されるとともに、管理サーバ10(HP制御情報送信部13)から更新指示とともに通知されるHP制御情報により更新される。
【0025】
HEMSコントローラ25は、HP給湯器21の消費電力量をHP消費電力値として管理サーバ10に送信(通知)する機能を有する。HEMSコントローラ25は、例えば、定期的にHP給湯器21の消費電力量を取得し、HP消費電力値として管理サーバ10に送信する。
【0026】
HP給湯器21としては、既知の種々のヒートポンプ給湯器を用いることができ、その詳細な説明は省略する。
【0027】
太陽光発電装置22は、図示しない太陽光パネルを備え、太陽光による発電を行なう発電装置である。HEMSコントローラ25は、太陽光発電装置22が発電した電力量を太陽光発電値として管理サーバ10に送信する機能を備える。HEMSコントローラ25は、例えば、定期的に太陽光発電装置22が発電した電力量を取得し、太陽光発電値として管理サーバ10に送信する。
【0028】
太陽光発電装置22としては、既知の種々の太陽光発電装置を用いることができ、その詳細な説明は省略する。
【0029】
太陽光発電装置22によって発電された電力は、需要家において一般的な電力として使用することができる他、電力会社等に売却(売電)することもできる。また、太陽光発電装置22によって発電された電力は、自身が備えられた需要家システム20(以下、自需要家システム20という場合がある)のHP給湯器21においてボイラの水を沸かすために使用(自家使用)することもできる。
【0030】
スマートメータ23は電力量計である。スマートメータ23は、自需要家システム20の太陽光発電装置22によって発電され電力会社等に売電された電気量(売電力量)を管理する。また、スマートメータ23は、電力会社から購入(買電)した電力量(買電力量)も管理する。
【0031】
また、HEMSコントローラ25は、スマートメータ23が管理する電力量の情報(例えば、売電力量や買電力量)をスマートメータ値として管理サーバ10に送信(通知)する機能を備える。以下、買電力量を系統使用分電気量という場合がある。
【0032】
HEMSコントローラ25は、例えば、定期的にスマートメータ23から電力量の情報を取得し、スマートメータ値として管理サーバ10に送信する。
【0033】
管理サーバ10は、本電力管理システム1における各需要家システム20を管理する。例えば、管理サーバ10は、各需要家システム20に備えられたHP給湯器21の動作を制御する。
【0034】
図2は実施形態の一例としての電力管理システム1の管理サーバ10のハードウェア構成を例示する図である。
【0035】
本電力管理システム1においては、管理サーバ10は、需要家システム20毎に、スマートメータ値,太陽光余剰電力およびHP消費電力値を監視して、需要家の損が発生しないようにHP給湯器21の稼動を制御する。
【0036】
図2に例示する管理サーバ10は、サーバ機能を有する情報処理装置(コンピュータ)であって、プロセッサ101,メモリ102,記憶装置103およびネットワークインタフェース(I/F:Interface)104を備える。
【0037】
記憶装置103は、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)、SSD(Solid State Drive),ストレージクラスメモリ(Storage Class Memory:SCM)等の記憶装置であって、種々のデータを格納するものである。
【0038】
メモリ102はROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む記憶メモリである。メモリ102のROMには、電力管理制御にかかるソフトウェアプログラムやこのプログラム用のデータ類が書き込まれている。メモリ102上のソフトウェアプログラムは、プロセッサ101に適宜読み込まれて実行される。また、メモリ102のRAMは、一次記憶メモリあるいはワーキングメモリとして利用される。
【0039】
メモリ102においては、各需要家システム20から送信されるスマートメータ値,太陽光発電値,HP消費電力値等が記憶領域に格納される。
【0040】
メモリ102には、夜間及び昼間に買電する場合の単位電力量当たりの買電料金や、太陽光発電装置22により発電した電力を売る場合の単位電力量当たりの売電料金も記憶される。また、メモリ102に、HP給湯器21関連で保持する情報として、HP給湯器21の定格電力と沸き上げ時間を記憶してもよい。
【0041】
メモリ102におけるこれらの情報は、例えば、後述する状態確認部122によって参照される。
【0042】
ネットワークインタフェース104は、通信ネットワーク50に通信可能に接続される。これにより管理サーバ10は、通信ネットワーク50を介して各需要家システム20に備えられた図示しないネットワークインタフェースと接続され、各需要家システム20のHP給湯器21,太陽光発電装置22およびスマートメータ23との間でデータの送受信を実現させる。
【0043】
プロセッサ101は、管理サーバ10全体を制御する。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit),MPU(Micro Processing Unit),DSP(Digital Signal Processor),ASIC(Application Specific Integrated Circuit),PLD(Programmable Logic Device),FPGA(Field Programmable Gate Array)のいずれか一つであってもよい。また、プロセッサ101は、CPU,MPU,DSP,ASIC,PLD,FPGAのうちの2種類以上の要素の組み合わせであってもよい。
【0044】
そして、管理サーバ10のプロセッサ101が、電力管理プログラムを実行することにより、後述するHP制御計画作成部11,太陽光余剰電力監視部12およびHP制御情報送信部13として機能するようになっている。
【0045】
なお、これらのHP制御計画作成部11,太陽光余剰電力監視部12およびHP制御情報送信部13としての機能を実現するためのプログラム(電力管理プログラム)は、例えばフレキシブルディスク,CD(CD-ROM,CD-R,CD-RW等),DVD(DVD-ROM,DVD-RAM,DVD-R,DVD+R,DVD-RW,DVD+RW,HD DVD等),ブルーレイディスク,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。そして、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0046】
HP制御計画作成部11,太陽光余剰電力監視部12およびHP制御情報送信部13としての機能を実現する際には、内部記憶装置(本実施形態ではメモリ102のRAMやROM)に格納されたプログラムがコンピュータのマイクロプロセッサ(本実施形態ではプロセッサ101)によって実行される。このとき、記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータが読み取って実行するようにしてもよい。
【0047】
管理サーバ10には、図示しないディスプレイやプリンタ等の出力装置を備えてもよく、また、キーボードやマウス等のオペレータが操作・入力を行なうための入力装置を備えてもよい。
【0048】
図3は実施形態の一例としての電力管理システム1における電力管理方法の概要を説明するための図である。
【0049】
図3において、太線Aは需要家の太陽光発電装置によって発電された電力(太陽光発電力)の遷移を示し、細実線Bは需要家宅における消費電力の遷移を示す。なお、この図3においては、晴天時の例について示すものとする。また、図3中において、横軸は経過時間を示し、縦軸は電力を示す。そして、図3中において曲線内の領域の面積が電力量を表す。
【0050】
そして、太陽光発電力と消費電力との差、すなわち、太陽光発電力から消費電力を減算して求められる電力値(図3中の符号C参照)が太陽光余剰電力である。太陽光余剰電力は、電力会社等への売電電力としてよい。太陽光余剰電力は需要家システム20に備えられるスマートメータ23の逆潮流に相当する。
【0051】
管理サーバ10は、需要家毎(一般家庭)の太陽光余剰電力を監視する。管理サーバ10は、夜間電力でお湯を沸かした場合と太陽光余剰電力および系統電力(昼間電気料金)でお湯を沸かした場合とで電気料金を比較評価し、需要家に損が発生しないようにHP給湯器21の稼働を制御する。
【0052】
なお、図3に示す例においては、6:30~18:00の時間帯に需要家システム20におけるデータ収集が行なわれ、スマートメータ値,太陽光発電値およびHP消費電力値が収集される。6:30~18:00以外の時間帯においては、これらのデータ収集は行なわれない(データ未収期間)。
【0053】
また、9:00~16:30の期間はHP給湯器制御時間(エコキュート制御時間)であり、HP給湯器21による沸き上げが行なわれる(沸き上げ中)。ただし、需要家が在宅する時間帯(在宅時間帯)はHP給湯器制御の対象外であってもよい。HP給湯器制御期間以外の期間は未制御の状態に相当する。
【0054】
本電力管理システム1においては、管理サーバ10は、スマートメータ23から通知される需要家システム20(太陽光発電装置22)による売電量を監視し、売電量がHP給湯器21の消費電力を満たす(上回る)場合に、HP給湯器21にお湯の沸き上げを行なわせる。
【0055】
図4は実施形態の一例としての電力管理システム1における太陽光発電量と需要家システム20における消費電力量との関係を示す図である。この図4において、横軸は経過時間を示し、縦軸は電力量を示す。
【0056】
消費電力量には、HP給湯器21の消費電力量(図4の符号D1参照)と、HP給湯器21以外の機器の消費電力量(図4の符号D2参照)とが含まれる。
【0057】
本電力管理システム1においては、夜間電気料金でお湯を沸かした場合と太陽光余剰電力および系統電力(昼間電気料金)でお湯を沸かした場合との電気料金を比較評価し、需要家の損が発生しないようにHP給湯器21の稼働を制御する。
【0058】
図4においては、昼間電気料金の時間帯において、太陽光発電量が消費電力量を下回る場合に、割高な昼間電気をHP給湯器21による沸き上げに使用することとなる(図4の符号D3参照)。
【0059】
図5は実施形態の一例としての電力管理システム1における電気料金の節約金額を説明するための図である。
【0060】
図5中において、金額E1は夜間料金の電力で沸き上げを行なう場合にかかると想定される電気料金(想定電気料金)を示す。金額E2は、再生可能エネルギーの固定買取制度において、所定期間が経過して買い取り価格(売電価格)が減額された金額の売電料金の電力で沸き上げを行なう場合にかかる電気料金を示す。
【0061】
減額後の売電価格(例えば、10円/kWh)が夜間の電力料金(例えば、16円/kWh)よりも安くなった場合には、夜間料金の電力で沸き上げを行なうよりも、減額後の売電価格の太陽光余剰電力を用いて沸き上げを行なうことは、売電価格の電力を用いて沸き上げを行なうことと等しい。従って、夜間料金の電力で沸き上げを行なうよりも、減額後の売電価格の太陽光余剰電力を用いて沸き上げを行なう方が電気料金は安くなる。
【0062】
金額E3は、太陽光余剰電力を用いて沸き上げを行なうことで、夜間料金の電力で沸き上げを行なうことに比べて節約できた電気料金を示す。金額E3は、金額E1から金額E2を減算することで求められる(E3=E1-E2)。
【0063】
本電力管理システム1においては、管理サーバ10は、節約できた電気料金が昼間の買電料金を加味しても得をしている間(節約できている間)は、HP給湯器21にお湯を沸かし続けさせる。
【0064】
なお、管理サーバ10は、単位時間(例えば、5分)毎に需要家システム20からのスマートメータ値,太陽光発電量およびHP給湯器21を評価し、需要家に損が発生しないように制御を行なう。
【0065】
図6は実施形態の一例としての電力管理システム1における電力制御方法を説明するための図である。
【0066】
図6中において、金額F1は、夜間料金の電力で沸き上げを行なう場合にかかると想定される電気料金(想定電気料金)を示す。金額F2は、再生可能エネルギーの固定買取制度において、所定期間が経過して買い取り価格(売電料金)が減額された金額の太陽光余剰電力を用いて沸き上げを行なう場合(売電料金で沸き上げた場合)にかかる電気料金を示す。金額F3は、太陽光余剰電力を用いて沸き上げを行なうことで、夜間料金の電力で沸き上げを行なうことに比べて節約できた電気料金を示す。
【0067】
また、金額F4は、太陽光発電でまかなえる電気料金を示す。金額F5は需要家システム20におけるHP給湯器21以外の消費電力量の料金を示す。
【0068】
金額F6は、沸き上げにより発生した買電の電気料金を示し、太陽光発電の不足分の電気量の電気料金に相当する。金額F6においては、昼間の高い電気料金が適用される。
【0069】
本電力管理システム1においては、金額F3と金額F6とを比較し、金額F6にマージンαを加えた値が金額F3未満(F6+α<F3)である間は、HP給湯器21にお湯を沸かし続けさせる。すなわち、需要家システム20において、節約できた電気料金の金額F3が、昼間の買電料金の金額F6以上であるとの条件が満たされている間は、管理サーバ10は当該需要家システム20のHP給湯器21にお湯を沸かし続けさせる。
【0070】
そして、需要家システム20において、金額F6にマージンαを加えた値が金額F3以上であることを検知すると(F6+α≧F3)、管理サーバ10は当該需要家システム20のHP給湯器21に沸き上げを停止させる。これにより、HP給湯器21への電気料金で評価し、需要家に損が発生しないようにすることができる。
【0071】
また、管理サーバ10は、上記の金額F3と金額F6との比較を定期的(例えば、5分間隔)に行なうものであり、この比較の間隔を短くすることでリアルタイム性を向上させることができる。
【0072】
図7は実施形態の一例としての電力管理システム1において需要家向けに提示する情報(需要家向け画面24)のイメージ図である。
【0073】
需要家向け画面24は、例えば、需要家システム20に備えられた図示しないディスプレイに表示してもよい。また、この需要家向け画面24の内容を紙等の媒体に印刷して需要家に提示してもよい。
【0074】
この図7に例示する需要家向け画面24は、太陽光発電装置22による発電量や(符号G1参照)、HP給湯器21の消費電力量(符号G2参照)を提示する。
【0075】
また、需要家向け画面24は、夜間料金で沸き上げた場合の電気料金(符号G3),太陽光余剰電力で沸き上げることにより生じた電気料金(符号G4参照),購入した電力の金額(符号G5)および節約できた金額(符号G6参照)をそれぞれ提示する。
【0076】
さらに、需要家向け画面24は、太陽光発電による買電価格の単価(符号G7参照),夜間電力料金の単価(符号G8)および昼間電気料金の単価(符号G9参照)をそれぞれ提示する。
【0077】
また、需要家向け画面24は、HP給湯器21の消費電力量,需要家システム20におけるHP給湯器21以外の機器による消費電力量,太陽光発電量および買電量の時間経過による推移を、それぞれグラフで表している(符号G10~G13参照)。さら需要家向け画面24は、節約金額の時間経過による推移についてもグラフで表している(符号G14参照)。
【0078】
このような需要家向け画面24を需要家に提示することで顧客満足を向上させることができる。
【0079】
次に、管理サーバ10の機能構成について説明する。図1に示すように、管理サーバ10は、HP制御計画作成部11,太陽光余剰電力監視部12およびHP制御情報送信部13としての機能を備える。また、管理サーバ10においては、メモリ102に昼間沸き上げ状態情報126およびHP制御計画情報127を備える。
【0080】
昼間沸き上げ状態情報126は、需要家システム20のHP給湯器21の状態を示す情報である。昼間沸き上げ状態情報126においては、HP給湯器21の状態として、「未制御」,「沸き上げ中」および「沸き上げ完了」の3つの状態のうちいずれかが設定される。
【0081】
ここで、昼間沸き上げ状態が「沸き上げ中」とは、HP給湯器21による沸き上げが行なわれている期間内であることを示す。
【0082】
また、昼間沸き上げ状態が「未制御」とは、HP給湯器21による沸き上げが行なわれていない期間内であることを示す。
【0083】
さらに、昼間沸き上げ状態が「沸き上げ完了」とは、HP給湯器21のボイラの水の沸き上げが完了した状態であることを示す。
【0084】
昼間沸き上げ状態情報126には、例えば、HP制御計画作成部11によって作成されたHP給湯器21の制御計画を反映させてもよい。
【0085】
HP制御計画情報127は、HP制御計画を規定するものであり、HP制御計画作成部11により生成される。
【0086】
HP制御計画作成部11は、各需要家システム20のHP給湯器21の制御計画を作成する。具体的には、HP制御計画作成部11は、沸き上げるために十分な太陽光余剰電力が生じていると判断されたときに後5分コマより沸き上げ開始するための沸き上げ開始時刻と、沸き上げを完了させるための沸き上げ終了時刻とを制御計画に設定する(コマについては後述)。これらの沸き上げ開始時刻および沸き上げ終了時刻は、HP給湯器21に対する制御の初期値として用いてもよい。以下、HP給湯器21の制御計画をHP制御計画という場合がある。
【0087】
HP制御計画作成部11によるHP給湯器21の制御計画の初期値の作成は、例えば、過去の需要家システム20における太陽光発電の実績や天候予測等に基づいて行なってもよく、既知の種々の手法を用いて実現することができる。
【0088】
HP制御計画情報127は、沸き上げ開始時刻と沸き上げ終了時刻と昼間沸き上げ強制停止日時とを含む。HP制御計画情報127は管理サーバ10のメモリ102の所定の領域に記憶される。昼間沸き上げ強制停止日時は、HP給湯器21によるお湯の沸き上げを強制的に停止させる日時である。
【0089】
HP制御計画情報127の、沸き上げ開始時刻,沸き上げ終了時刻および昼間沸き上げ強制停止日時は、HP制御情報送信部13により需要家システム20のHP給湯器21に送信され、HP給湯器21のHP制御情報の書き換えに用いられる。
【0090】
太陽光余剰電力監視部12は、需要家システム20から通知されるスマートメータ値,太陽光発電値およびHP消費電力値を監視し、これらの情報に基づいて、需要家に金額的な損失が発生することがないように、需要家システム20に備えられるHP給湯器21の動作制御を行なう。
【0091】
太陽光余剰電力監視部12は、図1に示すように、監視情報収集部121,状態確認部122,電気料金計算部123,電気料金監視部124およびHP制御情報更新部125としての機能を備える。
【0092】
監視情報収集部121は、各需要家システム20からスマートメータ値,太陽光発電値およびHP消費電力値を取得する。
【0093】
例えば、監視情報収集部121は、各需要家システム20に対して、スマートメータ値,太陽光発電値およびHP消費電力値の送信を要求することで、これらの情報を収集してもよい。また、需要家システム20からこれらの情報を定期もしくは不定期に管理サーバ10に送信し、監視情報収集部121が送信されたこれらの情報を受信することで取得してもよい。
【0094】
HEMSコントローラ25は、スマートメータ値,太陽光発電値およびHP消費電力値を、定期的に自発的に監視情報収集部121に送信してもよく、また、監視情報収集部121からの送信要求に応じて送信してもよい。
【0095】
HP制御情報更新部125は、HP制御計画情報127を更新する。HP制御情報更新部125は、HP制御計画情報127の沸き上げ開始時刻,沸き上げ終了時刻および昼間沸き上げ強制停止日時を更新する。
【0096】
ここで、本電力管理システム1は、5分間隔で需要家システム20の監視とHP給湯器21の制御を行なう。従って、スマートメータ23のスマートメータ値や太陽光発電値等は5分毎(5分単位)で処理される。以下、5分間隔で区切られた1つの処理単位をコマと称する場合がある。1コマは5分間に相当する。コマをサイクルと言ってもよい。
【0097】
管理サーバ10における制御処理の実行に際して、処理を行なっている現在時刻(処理時刻)を含む最新コマを最新5分コマもしくは現5分コマという場合がある。また、現5分コマの1つ前(5分前)のコマを前5分コマという場合がある。一方、現5分コマの1つ後のコマ、すなわち、現5分コマの5分後のコマを後5分コマという場合がある。後5分コマには現5分コマよりも5分後の時刻(現在5分コマ+5分)である将来時刻が設定される。
【0098】
HP給湯器21による沸き上げを開始させる場合には、HP制御情報更新部125は、HP制御計画情報127の沸き上げ開始時刻に、後5分コマの時刻を設定する。後5分コマの時刻を沸き上げ開始時刻に設定されたHEMSコントローラ25は、HP給湯器21に、次サイクルである後5分コマの時刻に相当する時刻になると沸き上げを開始させる。
【0099】
また、HP制御情報更新部125は、HP給湯器21による沸き上げを開始させる場合には、沸き上げ開始時刻として、沸き上げ開始時刻に沸き上げ時間を加算した値を設定する。沸き上げ時間は、HP給湯器21のボイラの水の沸き上げるためにかかる時間である。沸き上げ時間は、HP給湯器21の性能に応じて適宜設定してもよく、HP給湯器21において実際に沸き上げにかかる時間を測定して得た時間を設定してもよい。
【0100】
一方、HP給湯器21による沸き上げを停止(計画停止)させる場合には、HP制御情報更新部125は、HEMSコントローラ25にHP制御計画情報127の沸き上げ終了時刻を通知することで、沸き上げ終了時刻を設定する。沸き上終了時刻が設定されたHEMSコントローラ25は、沸き上終了時刻になるとHP給湯器21に対して停止命令を送信して沸き上げを停止させる。
【0101】
HP制御情報更新部125は、HP給湯器21による沸き上げを開始させる場合には、昼間沸き上げ状態情報126に沸き上げ中であることを示す情報を設定する。また、HP制御情報更新部125は、HP給湯器21による沸き上げを停止させる場合には、昼間沸き上げ状態情報126に沸き上げ停止(計画停止)であることを示す情報を設定する。
【0102】
HP給湯器21による沸き上げを強制的に停止(強制停止)させる場合には、HP制御情報更新部125は、HEMSコントローラ25に対して、沸き上終了時刻(昼間沸き上げ強制停止日時)を通知して、HP制御計画情報127の昼間沸き上げ強制停止日時に後5分コマの時刻を設定する。HP制御計画情報127の昼間沸き上げ強制停止日時に停止時刻が設定されたHEMSコントローラ25は、次サイクルである後5分コマの時刻に相当する時刻になると、HP給湯器21に対して沸き上げを停止(強制停止)させる。
昼間沸き上げ強制停止日時に停止時刻が設定されたHEMSコントローラ25は、停止日時が来るとHP給湯器21に停止命令を送信することで停止させる。HEMSコントローラ25は、HP給湯器21に対して更新指示とともに停止時刻を割り込み通知により通知してもよい。
【0103】
また、HP制御情報更新部125は、HP給湯器21による沸き上げを強制的に停止させる場合には、昼間沸き上げ状態情報126に沸き上げ停止(強制停止)であることを示す情報を設定する。
【0104】
状態確認部122は、本電力管理システム1における種々の状態を確認する。例えば、状態確認部122は、当該処理を実行中の時刻が売電優先期間内であるかを確認する。売電優先期間は特別に売電単価が高く設定された期間であり、この売電優先期間においては、太陽光余剰電力を売電することにより需要家は通常よりも高い利益を得ることができる。このような売電優先期間においては、太陽光余剰電力は沸き上げに用いるよりも売電する方が需要家にとって得になる。
【0105】
また、状態確認部122は、昼間沸き上げ状態情報126を参照することで、各需要家システム20におけるHP給湯器21の状態を確認する。例えば、状態確認部122は、昼間沸き上げ状態として、HP給湯器21が「未制御」,「沸き上げ中」および「沸き上げ完了」の3つの状態のうちいずれの状態であるかを確認する。
【0106】
状態確認部122は、昼間沸き上げ状態が「未制御」の状態において、太陽光余剰電力がHP給湯器21の沸き上げ電力を満たすかを判定する。
【0107】
具体的には、状態確認部(第1判定部)122は、以下の条件(a:第1条件)が満たされているかを判定(第1の判定)する。
【0108】
太陽光発電装置.処理時刻を含む最新5分コマおよび前5分コマの発電電力(売電電力)
> 機器情報(HP給湯器).定格電力 ・・・(a)
【0109】
上記の条件(a)において、「太陽光発電装置.処理時刻を含む最新5分コマおよび前5分コマの売電電力」は、太陽光発電装置の発電電力値における、最新5分コマと前5コマとの各発電電力(売電電力)を意味する。
【0110】
また、上記の条件(a)において、「機器情報(HP給湯器).定格電力」は、当該処理対象の需要家システム20におけるHP給湯器21の定格電力、すなわち、HP給湯器21が沸き上げを行なうために要する消費電力を示す。
【0111】
従って、条件(a)においては、最新5分コマで需要家システム20が売電した電力と、その1つ前である前5分コマで需要家システム20が売電した電力とが、ともにHP給湯器21の定格電力を超えているかを判断する。
【0112】
最新5分コマで需要家システム20が売電した電力と、その1つ前の5分コマで需要家システム20が売電した電力とが、ともにHP給湯器21の定格電力を超えている場合には、HP給湯器21による沸き上げを行なわせることが望ましい。売電電力がHP給湯器21の定格電力を超えている場合は、これからHP給湯器21を起動させてもままだ太陽光余剰電力が生じることが期待できるからである。
【0113】
なお、上記の条件(a)を満たし、且つHP制御計画において、昼間沸き上げ状態が未制御である場合に、HP制御情報更新部125は、HP給湯器21による沸き上げを開始させるためのHP制御情報の更新を行なう。
【0114】
すなわち、HP制御情報更新部125は、HP制御計画情報127の沸き上げ開始時刻に、後5分コマの時刻を設定する。また、HP制御情報更新部125は、沸き上げ終了時刻として、沸き上げ開始時刻に沸き上げ時間を加算した値を設定する。さらに、HP制御情報更新部125は、昼間沸き上げ状態情報126に「沸き上げ中」であることを示す情報を設定する。
【0115】
また、状態確認部122は、処理時刻(現在時刻)とHP制御計画情報127の沸き上げ終了時刻との比較を行なう。
【0116】
「処理時刻≧HP制御計画情報127の沸き上げ終了時刻」である場合、すなわち、処理時刻がHP制御計画情報127の沸き上げ終了時刻以降である場合には、HP制御情報更新部125が、昼間沸き上げ状態情報126に「沸き上げ停止」であることを示す情報を設定する。
【0117】
一方、「処理時刻<HP制御計画情報127の沸き上げ終了時刻」である場合、すなわち、処理時刻がHP制御計画情報127の沸き上げ終了時刻前である場合には、後述する電気料金監視部124による電気料金評価が行なわれる。
【0118】
電気料金計算部123は、以下の(i)~(iii)の3種類の電気料金を算出する。なお、以下の式中において、単位をkhWに換算するために電力量(Wh)を1000で除算している。
【0119】
(i)太陽光余剰電気使用分の電気料金
昼間沸き上げ状態情報126において「沸き上げ中」が設定されている場合に、電気料金計算部123は以下の太陽光余剰消費分の電気料金(単位:円)を算出する。
太陽光余剰消費分の電気料金(円)=5分間のHP消費電力量(Wh) ÷ 1000
× 売電単価(円/kWh)の総和 ・・・(1)
【0120】
(ii)系統からの電気使用分の電気料金
昼間沸き上げ状態情報126において「沸き上げ中」が設定されており、且つ、系統からの電気使用分(スマートメータ23の消費電力量)が0よりも多い(>0)場合に、電気料金計算部123は、以下の系統使用分電気料金(単位:円)を算出する。
系統使用分電気料金(円) = 5分間のスマートメータ消費電力量(Wh) ÷ 1000
× 昼間電気料金単価(円/kWh)の総和 ・・・(2)
【0121】
(iii)夜間沸き上げ想定の電気料金
昼間沸き上げ状態情報126において「沸き上げ中」が設定されている場合に、電気料金計算部123は、以下の夜間沸き上げ想定の電気料金(単位:円)を算出する。
夜間使用想定電気料金(円) = 5分間のHP消費電力量(Wh) ÷ 1000
× 夜間電気料単価(円/kWh)の総和 ・・・(3)
電気料金監視部124は、太陽光余剰電力(売電料金)でお湯を沸き上げることで節約できた電気料金と、昼間に発生した系統電力(買電料金)とを比較し、沸き上げを継続するか、中止するかを判定する。
【0122】
電気料金監視部(第2判定部)124は、以下の条件(b1:第2条件)もしくは条件(b2:第3条件)が満たされているかを判断する(第2の判定)。条件(b1)もしくは条件(b2)が満たされている場合、すなわち、節約できた電気料金が昼間の買電料金を超えている間は、昼間沸き上げ状態情報126における「沸き上げ中」を継続する。つまり、何もせずに処理を終了する。
【0123】
[節約金額の累積額がα未満の場合]
夜間沸き上げ想定の電気料金(iii)-太陽光余剰消費分の電気料金(i)
≧ 系統からの電気使用分の電気料金(ii) ・・・(b1)
【0124】
[節約金額の累積額がα以上の場合]
夜間沸き上げ想定の電気料金(iii)-太陽光余剰消費分の電気料金(i)
≧ 系統からの電気使用分の電気料金(ii)+α ・・・(b2)
また、上記条件(b1),(b2)のいずれにも該当しない場合には、昼間沸き上げ状態情報126に、沸き上げ停止(強制停止)を設定する。また、電気料金監視部124は、昼間沸き上げ状態情報126の昼間沸き上げ強制停止日時に、後5分コマに対応する時刻を設定する。
【0125】
上述の如く、太陽光余剰電力監視部12は5分間隔で需要家システム20の監視とHP給湯器21の制御を行なう。これにより、節約できた電気料金(図6の金額F3)が昼間の買電料金(図6の金額F6)以上であるとの条件が満たされないと判断された時点で、当該条件が満たされなくなってから5分近くが経過している場合が生じうる。そこで、マージンαを設定し、節約できた電気料金(図6の金額F3)よりも昼間の買電料金(図6の金額F6)が多くなる状態が5分間経過しても、需要家に損が生じることがないようにする。
【0126】
すなわち、その5分間で沸き上げのための電力を全量系統からの電気で賄った場合でも、合計すると需要家が損することがなくなり、割高な昼間の電気料金を使い過ぎることがなくなる。
【0127】
ただし、沸き上げ開始直後は、必ず電気料金監視の式が成り立たず、すぐに沸き上げを強制停止させることになるため、沸き上げ開始直後の沸き上げを継続させるために、節約金額の累積値がαを超えるまでは、マージンαを設定しない(α=0とする)。
【0128】
HP制御情報送信部13は、HP制御計画作成部11によって決定された各のHP給湯器21の沸き上げ開始時刻および沸き上げ終了時刻を、HP制御情報として需要家システム20(HP給湯器21)に送信する。
【0129】
また、HP制御情報送信部13は、太陽光余剰電力監視部12により各のHP給湯器21の沸き上げ開始時刻や沸き上げ終了時刻が決定されると、これらの沸き上げ開始時刻や沸き上げ終了時刻を、HP制御情報として需要家システム20(HEMSコントローラ25)に送信する。
【0130】
HP制御情報送信部13は、太陽光発電装置22により発電した電力をHP給湯器21の動作のために供給させる制御を行なう制御部として機能する。
【0131】
(B)動作
上述の如く構成された実施形態の一例としての電力管理システム1における太陽光余剰電力監視部12による処理を、図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0132】
なお、図8はステップA1~A10の処理を示し、図9図8のステップA6の詳細な処理(ステップB1~B3)を示す。
【0133】
ステップA1において、状態確認部122は現在日時(処理日時)が売電優先期間内であるかを確認する。現在日時が売電優先期間内である場合には(ステップA1のYESルート参照)、処理を終了する。
【0134】
確認の結果、売電優先期間外である場合には(ステップA1のNOルート参照)、ステップA2に移行する。
【0135】
ステップA2において、状態確認部122は、昼間沸き上げ状態情報126を参照して、需要家システム20のHP給湯器21の状態を確認する。
【0136】
確認の結果、昼間沸き上げ状態情報126に「未制御」が設定されている場合には(ステップA2の“未制御”ルート参照)、ステップA3に移行する。
【0137】
ステップA3においては、上述した条件(a)が満たされたかを確認する。すなわち、状態確認部122は、最新5分間で需要家システム20が売電した電力量と、その1つ前の5分間で需要家システム20が売電した電力量とが、ともにHP給湯器21の定格電力を超えているかを判断する。
【0138】
確認の結果、条件(a)が満たされていない場合には(ステップA3のNOルート参照)、処理を終了する。
【0139】
また、確認の結果、条件(a)が満たされている場合には(ステップA3のYESルート参照)、ステップA4に移行する。
【0140】
ステップA4において、HP制御情報更新部125は、HP給湯器21による沸き上げを開始させるためのHP制御計画情報127の更新を行なう。
【0141】
すなわち、HP制御情報更新部125は、HP制御計画の沸き上げ開始時刻に、後5分コマの時刻を設定する。また、HP制御情報更新部125は、沸き上げ終了時刻として、沸き上げ開始時刻に沸き上げ時間を加算した値を設定する。さらに、HP制御情報更新部125は、昼間沸き上げ状態情報126に「沸き上げ中」であることを示す情報を設定する。
【0142】
HP制御情報送信部13は昼間沸き上げ状態情報126から沸き上げ開始時刻および沸き上げ終了時刻を読み出して、対応するHEMSコントローラ25に送付する。HEMSコントローラ25は、沸き上終了時刻になるとHP給湯器21に沸き上げを停止させる。これにより、HP給湯器21の沸き上げ開始時刻および沸き上げ終了時刻が更新される。その後、処理を終了する。
【0143】
また、ステップA2における確認の結果、昼間沸き上げ状態情報126に「沸き上げ完了」が設定されている場合には、(ステップA2の“沸き上げ完了”ルート参照)、そのまま処理を終了する。
【0144】
さらに、また、ステップA2における確認の結果、昼間沸き上げ状態情報126に「沸き上げ中」が設定されている場合には、(ステップA2の“沸き上げ中”ルート参照)、ステップA5に移行する。
【0145】
ステップA5において、状態確認部122は、処理時刻≧HP制御計画情報127の沸き上げ終了時刻であるかを確認する。
【0146】
確認の結果、処理時刻がHP制御計画情報127の沸き上げ終了時刻以降である場合には(ステップA5のYESルート参照)、ステップA10に移行する。
【0147】
ステップA10においては、HP制御情報更新部125が、昼間沸き上げ状態情報126に「沸き上げ停止」であることを示す情報を設定する(計画停止)。その後、処理を終了する。
【0148】
ステップA5における確認の結果、処理時刻がHP制御計画情報127の沸き上げ終了時刻前である場合には(ステップA5のNOルート参照)、ステップA6において、マージンαの設定が行なわれる。
【0149】
ここで、図9に示すフローチャート(ステップB1~B3)に従って、実施形態の一例としての電力管理システム1におけるマージンαの設定方法を説明する。
【0150】
図9のステップB1において、電気料金監視部124は、節約金額の累積値がα以下であるかを確認する。確認の結果、節約金額の累積値がα以下である場合には(ステップB1のYESルート参照)、ステップB2において、α=0を設定する。すなわち、上記条件(b1)が採用される。
【0151】
一方、節約金額の累積値がαよりも大きい場合には(ステップB1のNOルート参照)、ステップB3において、電気料金監視部124は、αに予め規定された0以外の値を設定する。すなわち、上記条件(b2)が採用される。
【0152】
その後、図8のステップA7において、電気料金監視部124による、条件(b1)もしくは条件(b2)が満たされているかの判断(電気料金評価)が行なわれる。
【0153】
条件(b1)もしくは条件(b2)が満たされている場合には(ステップA7のYESルート参照)、そのまま処理を終了する。すなわち、昼間沸き上げ状態情報126の「沸き上げ中」が継続される。
【0154】
一方、条件(b1)および条件(b2)のいずれも満たされない場合には(ステップA7のNOルート参照)、ステップA8において、昼間沸き上げ状態情報126に沸き上げ停止(強制停止)が設定される。
【0155】
また、電気料金監視部124は、昼間沸き上げ状態情報126の昼間沸き上げ強制停止日時に、後5分コマに対応する時刻を設定し、処理を終了する。
【0156】
(C)効果
このように、本発明の一実施形態としての電力管理システム1によれば、太陽光余剰電力を用いて沸き上げを行なうことで、夜間料金の電力で沸き上げを行なうことに比べて節約できた電気料金(金額F3)と、太陽光発電の不足分を買電することによる電気料金(金額F6)とを比較する。
【0157】
そして、需要家システム20において、節約できた電気料金の金額F3が、昼間の買電料金の金額F6以上であるとの条件が満たされている間は、管理サーバ10は当該需要家システム20のHP給湯器21にお湯を沸かし続けさせる。
【0158】
これにより、需要家にとって電気料金の支出が少なくなるように太陽光発電装置22によって発電した電力を有効に使用することができる。また、売電価格(単価)が減額された後においても、需要家システム20において需要家に金銭的な利益を最大化することができるシステム運用を実現することができる。
【0159】
また、マージンαを設定し、節約できた電気料金(図6の金額F3)よりも昼間の買電料金(図6の金額F6)が多くなる状態が5分間経過しても、需要家に損が生じることがないようにする。すなわち、その5分間で沸き上げのための電力を全量系統からの電気で賄った場合でも、合計すると需要家が損することがなくなり、割高な昼間の電気料金を使い過ぎることがなくなる。
【0160】
太陽光余剰電力監視部12において、監視情報収集部121が、HEMSコントローラ25を介して、HP消費電力値,スマートメータ値および太陽光発電値を定期的に収集する。そして、状態確認部122および電気料金監視部124が、収集した情報を用いて第1条件(a),第2条件(b1)もしくは第3条件(b2)が満たされるかを判断する。そして、電気料金監視部124が、これらの判断結果に応じて、HP給湯器21による沸き上げを継続するか中止するかを判定する。すなわち、監視情報収集部121により収集した情報を用いた評価がリアルタイムに行なわれ、HP給湯器21による沸き上げを継続するか中止するかの判定が行なわれる。
【0161】
HP給湯器21による沸き上げを停止させると判定した場合には、電気料金監視部124が、昼間沸き上げ状態情報126の昼間沸き上げ強制停止日時に、後5分コマに対応する時刻を設定する。そして、HP制御情報更新部125が、HEMSコントローラ25に昼間沸き上げ強制停止日時を沸き上げ終了時刻として通知することで、HP給湯器21の沸き上げ終了時刻を設定する。
【0162】
需要家システム20においては、このようにして更新された沸き上げ終了時刻(昼間沸き上げ強制停止日時)になると、HEMSコントローラ25がHP給湯器21の沸き上げを停止させる。
【0163】
これにより、監視情報収集部121により定期的に収集した情報を用いて、HP給湯器21の沸き上げ停止の制御をリアルタイムに行なうことができ、需要家システム20における電気料金の無駄を無くし、需要家に損を発生させない運用を実現することができる。
【0164】
HP制御情報更新部125が、HP給湯器21による沸き上げを開始させる場合には、沸き上げ開始時刻として、沸き上げ開始時刻に沸き上げ時間を加算した値を設定する。HP制御情報更新部125が、HEMSコントローラ25にHP制御計画情報127の沸き上げ開始時刻を通知することで、沸き上げ開始時刻を設定する。これにより、監視情報収集部121により定期的に収集した情報を用いて、HP給湯器21の沸き上げ開始の制御をリアルタイムに行なうことができ、これによっても、需要家システム20における電気料金の無駄を無くし、需要家に損を発生させない運用を実現することができる。
【0165】
このように、本電力管理システム1においては、太陽光余剰電力監視部12が、需要家システム20における実績(HP消費電力値,スマートメータ値および太陽光発電値)をリアルタイムで評価し、HP給湯器21の稼働をコントロールする。
【0166】
需要家システム20における実績値をリアルタイム評価することで、電気料金を低減し、需要家に損を発生させない制御を実現することができる。
【0167】
(D)その他
開示の技術は上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成および各処理は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0168】
例えば、上述した実施形態においては、管理サーバ10は、5分間隔で需要家システム20の監視とHP給湯器21の制御を行なっているが、これに限定されるものではない。例えば、5分未満の間隔もしくは5分よりも長い間隔で需要家システム20の監視とHP給湯器21の制御を行なってもよく、適宜変更して実施することができる。
【0169】
また、上述した実施形態においては、需要家システム20に太陽光発電装置が備えられているが、これに限定されるものではない、例えば、風力等の他のエネルギーを用いて発電を行なう発電装置を備えてもよく、種々変形して実施することができる。
【0170】
さらに、上述した実施形態においては、需要家システム20にHP給湯器21が備えられているが、これに限定されるものではなく、ヒートポンプ以外の手法を用いて電気エネルギーの貯蓄を行なってもよい。
【0171】
また、上述した実施形態においては、管理サーバ10が需要家システム20のHP給湯器21に対する沸き上げの開始や停止を制御する例を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、管理サーバ10(太陽光余剰電力監視部12)は、遠隔操作可能であり、且つ電力消費をコントロールできる他の電子機器の動作を制御してもよく、種々変形して実施することができる。他の電子機器としては、例えば、蓄電池や電気自動車のような電気をエネルギーとして蓄えられる機器であってもよい。
【0172】
上述した実施形態において、太陽光余剰電力監視部12としての機能を管理サーバ10に備えているが、これに限定されるものではない。例えば、太陽光余剰電力監視部12としての機能を他のサーバのような管理サーバ10の外部に備えてもよく、また、太陽光余剰電力監視部12としての機能を需要家システム20内に備えてもよい。太陽光余剰電力監視部12としての機能をHEMSの機能として備えてもよく、種々変形して実施することができる。
【0173】
上述した実施形態においては、需要家システム20に太陽光発電装置22が備えられた例を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、風力発電も含めた固定買取価格制度の対象となっている再生可能エネルギーを生成する装置であってもよく、種々変形して実施することができる。
【0174】
また、上述した開示により本実施形態を当業者によって実施・製造することが可能である。
【0175】
(E)付記
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0176】
(付記1)
太陽光発電装置と、
電気湯沸器と、
前記太陽光発電装置および前記電気湯沸器のそれぞれと通信可能に接続されたコンピュータとを備える電力管理システムにおいて、
前記コンピュータが、
単位時間毎に、前記太陽光発電装置により発電した電力と管理対象で消費している電力とを収集する処理と、
前記電気湯沸器の作動に必要となる電力量と、夜間及び昼間に買電する場合の単位電力量当たりの買電料金と、前記太陽光発電装置により発電した電力を売る場合の単位電力量当たりの売電料金とを記憶した記憶部を参照する処理と、
太陽光発電により発生した電力の内の売電中の電力が前記電気湯沸器の消費電力よりも大きく、且つ、夜間電力料金で前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせた場合の想定電気料金から前記太陽光発電装置により前記発電した電力を売電することにより得られる料金を減算して求める金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額よりも多い場合に、前記発電した電力を使用した前記電気湯沸器の動作を行なわせる処理と
を備えることを特徴とする、電力管理方法。
【0177】
(付記2)
夜間電力料金で前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせた場合の想定電気料金から前記太陽光発電装置により前記発電した電力を売電することにより得られる料金を減算して求める金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額に、前記単位時間と前記買電金額に基づいて算出したマージン金額を加算した金額よりも多い場合に、前記発電した電力を使用した前記電気湯沸器の動作を行なわせる処理
を備えることを特徴とする、付記1記載の電力管理方法。
【0178】
(付記3)
太陽光発電装置と、
電気湯沸器と、
前記太陽光発電装置および前記電気湯沸器のそれぞれと通信可能に接続されたコンピュータとを備える電力管理システムであって、
単位時間毎に、前記太陽光発電装置により発電した電力量と管理対象で消費している電力量とを収集する収集部と、
前記電気湯沸器の作動に必要となる電力量と、夜間及び昼間に買電する場合の単位電力量当たりの買電料金と、前記太陽光発電装置により発電した電力を売る場合の単位電力量当たりの売電料金とを記憶した記憶部を参照する参照部と、
太陽光発電により発生した電力の内の売電中の電力が、前記電気湯沸器の消費電力よりも大きい第1条件が満たされたかを判定する第1判定部と、
夜間電力料金で前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせた場合の想定電気料金から前記太陽光発電装置により前記発電した電力を売電することにより得られる料金を減算して求める金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額よりも多い第2条件を満たすかを判断する第2判断部と、
前記第1条件および前記第2条件が満たされている場合に、前記発電した電力を使用した前記電気湯沸器の動作を行なわせる制御を行なう制御部と
を備える電力管理システム。
【0179】
(付記4)
前記制御部が、
夜間電力料金で前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせた場合の想定電気料金から前記太陽光発電装置により前記発電した電力を売電することにより得られる料金を減算して求める金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額に、前記単位時間と前記買電金額に基づいて算出したマージン金額を加算した金額よりも多い第3条件を満たすかを判断する
ことを特徴とする、付記3記載の電力管理システム。
【0180】
(付記5)
太陽光発電装置および電気湯沸器のそれぞれと通信可能に接続されたコンピュータに、
単位時間毎に、前記太陽光発電装置により発電した電力量と管理対象で消費している電力量とを収集し、
前記電気湯沸器の作動に必要となる電力量と、夜間及び昼間に買電する場合の単位電力量当たりの買電料金と、前記太陽光発電装置により発電した電力を売る場合の単位電力量当たりの売電料金とを記憶した記憶部を参照して、
太陽光発電により発生した電力の内の売電中の電力が前記電気湯沸器の消費電力よりも大きく、且つ、夜間電力料金で前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせた場合の想定電気料金から前記太陽光発電装置により前記発電した電力を売電することにより得られる料金を減算して求める金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額よりも多い場合に、前記発電した電力を使用した前記電気湯沸器の動作を行なわせる処理を実行させる電力管理プログラム。
【0181】
(付記6)
夜間電力料金で前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせた場合の想定電気料金から前記太陽光発電装置により前記発電した電力を売電することにより得られる料金を減算して求める金額が、前記電気湯沸器に沸き上げを行なわせるために発生した買電金額に、前記単位時間と前記買電金額に基づいて算出したマージン金額を加算した金額よりも多い場合に、前記発電した電力を前記電気湯沸器の動作のために供給する
処理を前記コンピュータに実行させる付記5記載の電力管理プログラム。
【符号の説明】
【0182】
1 電力管理システム
10 管理サーバ
11 HP制御計画作成部
12 太陽光余剰電力監視部
121 監視情報収集部
122 状態確認部
123 電気料金計算部
124 電気料金監視部
125 HP制御情報更新部
126 昼間沸き上げ状態情報
127 HP制御計画情報
20 需要家システム
21 HP給湯器
22 太陽光発電装置
23 スマートメータ
24 需要家向け画面
25 HEMSコントローラ
101 プロセッサ
102 メモリ
103 記憶装置
104 ネットワークインタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9