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特許7230480カラーフィルタ用感光性着色組成物及びカラーフィルタ
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  • 特許-カラーフィルタ用感光性着色組成物及びカラーフィルタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】カラーフィルタ用感光性着色組成物及びカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20230221BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20230221BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20230221BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230221BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20230221BHJP
   C08F 220/28 20060101ALI20230221BHJP
   C08F 220/32 20060101ALI20230221BHJP
   C08F 299/00 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G03F7/027 502
G02F1/1335 505
C08G18/67 010
C08F220/28
C08F220/32
C08F299/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018234064
(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2020095194
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】718000495
【氏名又は名称】東洋ビジュアルソリューションズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】須田 康明
(72)【発明者】
【氏名】横田 洋一郎
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-137531(JP,A)
【文献】国際公開第2017/221620(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/002690(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0120816(KR,A)
【文献】国際公開第2017/164127(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/151044(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G03F 7/004
G03F 7/027
G02F 1/1335
C08G 18/67
C08F 220/28
C08F 220/32
C08F 299/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑色顔料(A)、重合性化合物(B)、カルボキシル基を有するチオール化合物(C)(ただし、芳香環を有するカルボキシル基を有する単官能チオールを除く)、バインダー樹脂(D)、及び光重合開始剤(E)を含有し、
前記カルボキシル基を有するチオール化合物(C)が、下記一般式(1)で表される化合物(C-1A)である、カラーフィルタ用感光性着色組成物。
一般式(1)
【化1】


(一般式(1)中、R は炭素数1~10のアルキレン基である。)
【請求項2】
前記カルボキシル基を有するチオール化合物(C)の含有量が、感光性着色組成物の全固形分量に対して、1.0質量%以上10.0質量%以下である請求項1記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
【請求項3】
前記重合性化合物(B)が、多官能ウレタンアクリレートであることを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物。
【請求項4】
基板上に、請求項1~いずれか1項に記載のカラーフィルタ用感光性着色組成物から形成されてなる緑色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタ。
【請求項5】
請求項のカラーフィルタを備える液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、及びカラー撮像素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用感光性着色組成物、並びにこれを用いて形成されるフィルタセグメントを具備するカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーフィルタは、より濃く鮮やかな色を表示するために高色再現性が求められている。高色再現をするためには、赤色、緑色、青色の各カラーフィルタ画素中に含まれる顔料の量を増やす必要がある。顔料の含有量を増やす方法としては各画素の膜厚を厚くする方法若しくは、感光性着色組成物の顔料濃度を増やす方法がある。
【0003】
カラーフィルタ画素は、その作製工程の中で、感光性着色組成物の塗膜に紫外線を照射し塗膜を硬化させる工程及び、塗膜の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施す工程を含む。しかし、カラーフィルタ画素中の顔料量が大きくなると、塗膜の底部まで紫外線が届かず表面は固まっているが、塗膜の底部は固まっていない現象が起きる。この状態で塗膜を加熱すると、紫外線照射で固まっている表面と固まっていない底部の熱収縮差により、塗膜の表面にシワが入る現象が起こってしまう。
【0004】
塗膜の表面にシワが発生すると、カラーフィルタで色を表示する際、色にムラが発生するため好ましくない。特に、緑色画素はシワが発生する傾向が大きく、感光性着色組成物に関して好ましい材料選定を行うことで、シワの発生を抑制する必要がある。(特許文献1、2)
【0005】
また、感光性着色組成物の塗膜の紫外線未露光部をアルカリ現像液によって除去する工程において、塗膜の剥離片が浮遊すると配管詰まりの原因となる。そのため、塗膜の紫外線未露光部が、現像液に対して溶解しやすい適性(以下、剥離現像性)が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-142480号公報
【文献】特開2017-137483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、先行文献1記載の着色樹脂組成物や、先行文献2記載のチオール化合物を含む着色樹脂組成物では、表面性状は向上したものの、剥離現像性に乏しく、また薬品耐性も劣っていた。
【0008】
すなわち本発明は、塗膜表面のシワが発生せず、さらに耐薬品性と剥離現像性に優れたカラーフィルタ用感光性着色組成物、ならびに、該カラーフィルタ用感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタを提供することにある。
【0009】
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の光重合連鎖移動剤として、少なくとも、カルボキシル基を有するチオール化合物を含有することにより、カラーフィルタ画素にシワの発生がなく、かつ耐薬品性にも優れるカラーフィルタを得ることができるカラーフィルタ用感光性着色組成物、及び、シワの発生がなくかつ耐薬品性にも優れるカラーフィルタが作製できることを見出し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、緑色顔料(A)、重合性化合物(B)、カルボキシル基を有するチオール化合物(C)、バインダー樹脂(D)、及び光重合開始剤(E)を含有するカラーフィルタ用感光性着色組成物に関する。
【0011】
前記カルボキシル基を有するチオール化合物(C)がカルボキシル基を有する単官能チオール(C-1)である前記カラーフィルタ用感光性着色組成物に関する。
【0012】
前記カルボキシル基を有するチオール化合物(C)が、下記一般式(1)で表される化合物(C-1A)である前記カラーフィルタ用感光性着色組成物に関する。
一般式(1)
【化1】
【0013】
(一般式(1)中、Rは炭素数1~10のアルキレン基である。)
【0014】
前記カルボキシル基を有するチオール化合物(C)の含有量が、感光性着色組成物の全固形分量に対して、1.0質量%以上10.0質量%以下である前記カラーフィルタ用感光性着色組成物に関する。
【0015】
前記重合性化合物(B)が、多官能ウレタンアクリレートであることを特徴とする前記カラーフィルタ用感光性着色組成物に関する。
【0016】
基板上に、前記カラーフィルタ用感光性着色組成物から形成されてなる緑色フィルタセグメントを具備するカラーフィルタに関する。
【0017】
前記カラーフィルタを備える液晶表示装置に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のカラーフィルタ用感光性着色組成物により、カラーフィルタ画素にシワの発生がなく、かつ耐薬品性、剥離現像性にも優れるカラーフィルタ用感光性着色組成物、及び、該カラーフィルタ用感光性着色組成物を用いた高品質のカラーフィルタを得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、液晶表示装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の感光性着色組成物の各構成成分について説明する。
なお、本願では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。
また、本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0021】
<緑色顔料(A)>
本発明の感光性組成物は、緑色顔料(A)を含む。緑色顔料(A)としては、例えばC.I.ピグメント グリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、37、45、48、50、51、54、55、58、59、62、63などを挙げることができるが、特にこれらに限定されない。これらの中でも、透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントグリーン36、58、59、62又は63である。
また、本発明の感光性着色組成物は、後述の黄色顔料を併用してもよい
【0022】
<黄色顔料>
黄色顔料では、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、192、193、194、196、198、199、213、214、231等が挙げられる。好ましくはC.I.ピグメントイエロー138、139、150、185、231である。
【0023】
<その他の着色剤>
本発明の感光性組成物は、緑色顔料(A)および黄色顔料以外の、顔料や染料などの着色剤を含有することができる。
【0024】
赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、291等を挙げることができる。また特表2011-523433号公報に記載のジケトピロロピロール顔料、又は特開2014-112527号公報に記載のアゾ顔料、特開2013-161026号公報に記載のアゾ顔料等が挙げられる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、177、224、242、269、254、291又であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、254、291である。
【0025】
また赤色着色組成物には、C.I.ピグメントオレンジ36、38、43、51、55、59、61、71、又は73等の橙色顔料及び/又は後述の黄色顔料を併用してもよい。
【0026】
青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79などを挙げることができる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、又は15:6であり、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6である。また青色着色組成物には、後述の紫色顔料を併用してもよい。
【0027】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50などを挙げることができる。これらの中でも、フィルタセグメントの耐熱性、耐光性、及び透過率の観点から、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、又は23であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23である。
【0028】
シアン色フィルタセグメントを形成するためのシアン色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントブルー15:1、15:2、15:4、15:3、15:6、16、81等の青色顔料を単独で又は混合して用いることができる。
【0029】
マゼンタ色フィルタセグメントを形成するためのマゼンタ色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、19、C.I.ピグメントレッド144、146、177、169、81等の紫色顔料及び赤色顔料を単独で又は混合して用いることができる。マゼンタ色組成物には、黄色顔料を併用することができる。
【0030】
また、無機顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組合せて用いられる。
【0031】
染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等のいずれも用いることができる。また、これらの誘導体や、染料をレーキ化したレーキ顔料の形態であってもかまわない。
【0032】
さらに、スルホン酸やカルボン酸等の酸性基を有する酸性染料、直接染料の形態の場合は、酸性染料の無機塩や、酸性染料と四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、もしくは一級アミン化合物等の含窒素化合物との造塩化合物、又はこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化して造塩化合物として用いること、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物として用いることで耐性に優れたものとなるために、堅牢性に優れた着色組成物とすることができ、好ましい。
また、酸性染料とオニウム塩基を有する化合物との造塩化合物も、堅牢性に優れるため好ましく、より好ましくは、オニウム塩基を有する化合物が、側鎖にカチオン性基を有する樹脂である場合である。
【0033】
塩基性染料の形態の場合は、有機酸や過塩素酸もしくはその金属塩を用いて造塩化して用いることができる。中でも、塩基性染料の造塩化合物が耐性、顔料との併用性に優れているために好ましく、さらに塩基性染料と、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である有機スルホン酸、有機硫酸、フッ素基含有リンアニオン化合物、フッ素基含有ホウ素アニオン化合物、シアノ基含有窒素アニオン化合物、ハロゲン化炭化水素基を有する有機酸の共役塩基を有するアニオン化合物、又は酸性染料とを造塩した、造塩化合物を用いることがより好ましいものである。
【0034】
また、色素骨格に重合性不飽和基を有する場合、耐性に優れた染料とすることができ、好ましい。
【0035】
染料の化学構造としては、例えば、アゾ系染料、ジスアゾ系染料、アゾメチン系染料(インドアニリン系染料、インドフェノール系染料など)、ジピロメテン系染料、キノン系染料(ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料など)、カルボニウム系染料(ジフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料など)、キノンイミン系染料(オキサジン系染料、チアジン系染料など)、アジン系染料、ポリメチン系染料(オキソノール系染料、メロシアニン系染料、アリーリデン系染料、スチリル系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料など)、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料、ペリノン系染料、インジゴ系染料、チオインジゴ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、ニトロソ系染料、ローダミン系染料、及びそれらの金属錯体系染料等から選ばれる染料に由来する色素構造を挙げることができる。
【0036】
これらの色素構造の中でも、色相、色分離性、色むらなどの色特性の観点から、アゾ系染料、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、スクアリリウム系染料、キノフタロン系染料、フタロシアニン系染料、サブフタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造が好ましく、キサンテン系染料、シアニン系染料、トリフェニルメタン系染料、アントラキノン系染料、ジピロメテン系染料、フタロシアニン系染料から選ばれる色素に由来する色素構造がより好ましい。色素構造を形成しうる具体的な色素化合物については「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
【0037】
<顔料の微細化>
本発明の感光性着色組成物に使用する着色剤が顔料の場合、微細化して用いることが好ましい。微細化方法は特に限定されるものではなく、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用でき、本発明で例示するように湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理等を行い微細化することができる。顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は5~90nmの範囲であることが好ましい。5nmよりも小さくなると有機溶剤中への分散が困難になり、90nmよりも大きくなると十分なコントラスト比を得ることができない場合がある。このような理由から、より好ましい平均一次粒子径は10~70nmの範囲である。
【0038】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、プラネタリー型ミキサー等のバッチ式又は連続式混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0039】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対し、50~2000質量部用いることが好ましく、300~1000質量部用いることが最も好ましい。
【0040】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100質量部に対し、5~1000質量部用いることが好ましく、50~500質量部用いることが最も好ましい。
【0041】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100質量部に対し、5~200質量部の範囲であることが好ましい。
【0042】
<色素誘導体>
本発明に用いる感光性着色組成物には、必要に応じて色素誘導体を添加することができる。
【0043】
本発明に用いる色素誘導体としては、有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などを有する公知の色素誘導体を用いることができる。例えば、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物及びこれらのアミン塩や、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素としては、例えばジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、等が挙げられる。
【0044】
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体としては、特開2001-220520号公報、WO2009/081930号パンフレット、WO2011/052617号パンフレット、WO2012/102399号パンフレット、特開2017-156397号公報、フタロシアニン系色素誘導体としては、特開2007-226161号公報、WO2016/163351号パンフレット、特開2017-165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系色素誘導体としては、特開昭63-264674号公報、特開平09-272812号公報、特開平10-245501号公報、特開平10-265697号公報、特開2007-079094号公報、WO2009/025325号パンフレット、キナクリドン系色素誘導体としては、特開昭48-54128号公報、特開平03-9961号公報、特開2000-273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体としては、特開2011-162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体としては、特開2007-314785号公報、トリアジン系色素誘導体としては、特開昭61-246261号公報、特開平11-199796号公報、特開2003-165922号公報、特開2003-168208号公報、特開2004-217842号公報、特開2007-314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体としては、特開2009-57478号公報、キノフタロン系色素誘導体としては、特開2003-167112号公報、特開2006-291194号公報、特開2008-31281号公報、特開2012-226110号公報、ナフトール系色素誘導体としては、特開2012-208329号公報、特開2014-5439号公報、アゾ系色素誘導体としては、特開2001-172520号公報、特開2012-172092号公報、酸性置換基としては、特開2004-307854号公報、塩基性置換基としては、特開2002-201377号公報、特開2003-171594号公報、特開2005-181383号公報、特開2005-213404号公報、などに記載の公知の色素誘導体が挙げられる。なおこれらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
【0045】
これら色素誘導体は、単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
より具体的には、以下の色素誘導体が好ましい。
【0046】
[ジケトピロロピロール系色素誘導体]
【化2】
【0047】
[フタロシアニン系色素誘導体]
【化3】
【0048】
[アントラキノン系色素誘導体]
【化4】
【0049】
[キナクリドン系色素誘導体]
【化5】
【0050】
[ジオキサジン系色素誘導体]
【化6】
【0051】
[チアジンインジゴ系色素誘導体]
【化7】
【0052】
[トリアジン系色素誘導体]
【化8】
【0053】
[ベンゾイソインドール系色素誘導体]
【化9】
【0054】
[キノフタロン系色素誘導体]
【化10】
【0055】
【化11】
【0056】
[ナフトール系色素誘導体]
【化12】
【0057】
[アゾ系色素誘導体]
【化13】
【0058】
一般式(101)~(112)、(114)~(128)、(130)~(133)中、
101~R117、R129、R130、R141~R145はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいフタルイミドアルキル基、置換基を有してもよいアシル基、アミノ基、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、ハロゲン基、一般式(150)~(155)、(158)、又は(159)で表される基である。m及びnはそれぞれ独立に、正の整数を表す。但し、1分子中に複数の置換基を有する場合、1つ以上は水素原子以外の置換基である。また、1分子中に置換基が1つのみの場合は、水素原子以外の置換基である。
【0059】
一般式(113)中、R118は、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、-SO177、又は-NR178179である。ただし、R177は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又はハロゲン原子であり、R178及びR179は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、又はR178とR179とで一体となって更なる窒素、酸素若しくは硫黄原子を含んでもよい複素環を表す。
119は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアシル基を表す。
120、R121、R123~R128は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有してもよいアルコキシ基、又はNR180181である。ただし、R180及びR181は、互いに独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、又はR180とR181とで一体となって更なる窒素、酸素若しくは硫黄原子を含んでもよい複素環を表す。
122は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアシル基、又は一般式(150)~(155)で表される基を表す。
【0060】
一般式(129)中、R131~R140は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、パーフルオロアルキル基、アルコキシル基又は一般式(150)、(153)若しくは(159)で表される基を表す。R131~R140の隣接する基は、-NHCONH-基によって結合してベンズイミダゾロン環を形成しても良い。R131~R140のうち少なくとも1つは、一般式(150)、(153)又は(159)で表される基である。
【0061】
【化14】
【0062】
一般式(150)~(155)中、
は、直接結合、-SO2 -、-CO-、-CH2-、-CH2NHCOCH2-、-CONHCCO-、又は-CONHC-を表す。
は、直接結合、-NR170SO-、-SONR170-、-CONR170-、- NR170CO-、又は-CHNR170COCHNR170-を表す。
は、直接結合、置換基を有してもよいアリーレン基、又は置換基を有してもよい複素芳香環を表し、これらの基は、-NR170- 、-O-、-SO-又はCO-から選ばれる2価の連結基で相互に結合されていてもよい。
は、直接結合、-NR170- 又は-O-を表す。
oは、0~20の整数を表す。
は、水素原子、銅原子、亜鉛原子、マンガン原子、ニッケル原子、コバルト原子、鉄原子を表す。
は、水素原子、カルシウム原子、バリウム原子、ストロンチウム原子、マンガン原子又はアルミニウム原子を表す。
iは、Mの価数を表す。
150及びR151はそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はR150とR151とで一体となって更なる窒素、酸素若しくは硫黄原子を含む、置換基を有してもよい複素環を表す。
152~R156、R159~R162は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はポリオキシアルキレン基を表す。
157及びR158は、それぞれ独立に、下記一般式(156)若しくは(157)で表される基、-O-(CH-R171、-OR172、-NR173174 、-Cl、-F又はY-Y-Y-Qを表し、R157及びR158のいずれか一方は、下記一般式(156)若しくは(157)で表される基、-O-(CH-R171、-OR172、又はNR173174である。
170は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。
171は、置換基を有してもよい複素環残基を表し、R172~R174はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表し、Qは有機色素残基を表す。
【0063】
【化15】
【0064】
一般式(156)中、Zは-NR170-、-CONH-又は-O-を表し、Zは、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基、置換基を有してもよいアリーレン基を表し、これらの基は、-NR170-、-O-、-SO-又はCO-から選ばれる2価の連結基で相互に結合されていてもよい。ただし、R170は、一般式(150)~(155)におけるR170と同義である。
150及びR151はそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいフェニル基、又はR150とR151とで一体となって更なる窒素、酸素若しくは硫黄原子を含む、置換基を有してもよい複素環を表す。
【0065】
【化16】
【0066】
一般式(157)中、Zは、トリアジン環と窒素原子を結ぶ単結合、-NR175-、-NR175-Z-CO-、-NR175-Z-CONR176- 、-NR175-Z-SO-、-NR175-Z- SONR176-、-O-Z-CO-、-O-Z-CONR175-、-O-Z-SO-、又はO-Z-SONR175-を表し、R175及びR176は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表し、Zは、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアルケニレン基又は置換基を有してもよいアリーレン基を表す。
152~R156は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいフェニル基又はポリオキシアルキレン基を表す。
【0067】
【化17】
【0068】
【化18】
【0069】
一般式(159)中、X2は、-SO2-、-CO-、-NH-、-SO2NH-、-NHSO2-、-CONH-又は-NHCO-を表し、R163~R167は、それぞれ独立に、水素原子、アルコキシル基、アミノ基、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基又は一般式(150)~(155)で表される基である。
【0070】
置換基を有してもよいアルキル基は、アルキル基としては炭素数1から20の直鎖アルキル基が好ましく、有してもよい置換基としては水素若しくはハロゲン基が好ましい。
置換基を有してもよいフタルイミドアルキル基は、アルキル基としては炭素数が1から3のアルキル基が好ましく、有してもよい置換基としては水素若しくはハロゲン基が好ましい。
置換基を有してもよいアシル基は、アルキル基としては炭素数が1から10のアシル基が好ましく、有してもよい置換基としては水素若しくはハロゲン基が好ましい。
置換基を有してもよいアルコキシ基は、アルキル基としては炭素数が1から5の直鎖アルコキシ基が好ましく、有してもよい置換基としては水素若しくはハロゲン基が好ましい。
置換基を有してもよいアルケニル基又はアルケニレン基は、有してもよい置換基としては水素、炭素数1から10の直鎖アルキル基が好ましい。
置換基を有してもよいフェニル基は、有してもよい置換基としては水素、ハロゲン基、炭素数1から10の直鎖アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
置換基を有してもよいアリーレン基は、有してもよい置換基としては水素、ハロゲン基、炭素数1から10の直鎖アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
置換基を有してもよい複素環は、複素環としてはアザシクロブタン、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピランが好ましく、有してもよい置換基としては水素、ハロゲン基、炭素数1から10の直鎖アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
置換基を有してもよい複素芳香環は、複素芳香環としてはピロール、ピリジン、フラン、チオフェンが好ましく、有してもよい置換基としては水素、ハロゲン基、炭素数1から10の直鎖アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
【0071】
色素誘導体は、顔料100質量部に対し、1~100質量部添加することが好ましく、3~70質量部添加することがより好ましく、5~50質量部添加することがさらに好ましい。
【0072】
顔料に色素誘導体を添加し、アシッドペースティング、アシッドスラリー、ドライミリング、ソルトミリング、ソルベントソルトミリング等の顔料化処理を行う事で、顔料表面に色素誘導体が吸着し、色素誘導体を添加しない場合と比較して顔料の一次粒子をより微細化することができる。
【0073】
顔料に色素誘導体を添加し二本ロール、三本ロール、ビーズを用いた湿式分散などの分散処理を行うことで、色素誘導体が顔料表面に吸着し顔料表面が極性を持ち樹脂型分散剤の吸着が促進され、顔料、色素誘導体、樹脂型分散剤、溶媒、その他添加剤との相溶性が向上し、着色組成物や着色硬化性組成物とした時の分散安定性や経時粘度安定性が向上する。また、相溶性が向上することで着色硬化性組成物をガラス基板等に塗工した際の塗膜経時安定性に優れ、着色硬化性組成物の塗布から露光までの待ち時間(PCD:Post Coating Delay)や露光から熱処理までの待ち時間(PED:Post Exposure Delay)に対するパターン形状などの安定性・特性依存性や、線幅感度安定性が良好となる。また顔料表面が色素誘導体および樹脂型分散剤で吸着・被覆されることで、塗膜を加熱焼成した際の顔料の凝集や昇華による結晶析出を抑制できる。さらに現像時間ばらつきや現像残渣も抑制される。
【0074】
<樹脂型分散剤>
本発明の感光性着色組成物には公知の樹脂型分散剤を用いることができる。樹脂型分散剤(M)としては、添加着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものであれば良く、具体的には、ポリウレタン等のウレタン系分散剤、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
塩基性官能基を有する高分子分散剤としては、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などが挙げられる。
【0075】
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミ-・ジャパン社製のDisperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2009、2010、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164またはAnti-Terra-U、203、204、またはBYK-P104、P104S、220S、LPN6919、LPN21116、LPN21324またはLactimon、Lactimon-WSまたはBykumen等、日本ル-ブリゾ-ル社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、BASF社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスパ-PA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
【0076】
本発明の感光性着色組成物には、カルボキシル基を有する樹脂型分散剤を好適に用いることができる。カルボキシル基を有する樹脂型分散剤の形状としては、直鎖状の樹脂型分散剤、櫛型の樹脂型分散剤がある。
【0077】
[カルボキシル基を有する櫛型の樹脂型分散剤]
カルボキシル基を有する櫛型の樹脂型分散剤は、WO2008/007776号公報、特開2008-029901号公報、特開2009-155406号公報、特開2010-185934号公報、特開2011-157416号公報等の公知の方法で製造することができる。
例えば、水酸基を有する重合体の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂型分散剤であるか、水酸基を有する化合物の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体である樹脂型分散剤である。あるいは、水酸基を有する化合物の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、水酸基、t-ブチル基あるいはオキセタン骨格、ブロックイソシアネートなどの熱架橋基を有するエチレン性不飽和単量体とそれ以外を重合した側鎖を持つ樹脂型分散剤とさらにその側鎖の水酸基にイソシアネート基を有するチレン性不飽和単量体を反応させて得られる樹脂型分散剤である。
【0078】
[カルボキシル基を有する直鎖状の樹脂型分散剤]
カルボキシル基を有する直鎖状の樹脂型分散剤は、特開2009-251481号公報、特開2007-23195号公報、特開1996-143651号公報等の公知の方法で製造することができる。直鎖の分散剤の製造方法の一例として、カルボキシル基を有する分散剤は、片末端に1つの水酸基を有するビニル系重合体を原料として、トリカルボン酸無水物を水酸基に付加することによって製造することが出来る。
【0079】
樹脂型分散剤は、着色剤全量に対して3~200重量%程度使用することが好ましく、成膜性の観点から5~100重量%程度使用することがより好ましい。
【0080】
<バインダー樹脂(D)>
本発明の感光性着色組成物は、バインダー樹脂(D)を含む。バインダー樹脂(D)は、400~700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂を用いる。バインダー樹脂(D)には、その主たる硬化方式で分類すると熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エチレン性不飽和二重結合等を有する活性エネルギー線硬化性樹脂などがあり、活性エネルギー線硬化性樹脂は熱可塑性樹脂であっても熱硬化の機能を併せ持つものであってもよく、さらに現像性の観点からアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。また、活性エネルギー線硬化性でない熱可塑性樹脂を含んでもよく、これについてもアルカリ可溶性であることが好ましい。これらを単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0081】
本発明の感光性着色組成物中のバインダー樹脂(D)の含有量は、着色剤の全重量を基準(100質量部)として、好ましくは20~400質量部、さらに好ましくは50~250質量部である。成膜性及び諸耐性が良好なことから、20質量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、400質量部以下の量で用いることが好ましい。
【0082】
<熱可塑性樹脂>
バインダー樹脂(D)として用いることができる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂はアルカリ可溶性であることが好ましく、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基及び/又は水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂は、現像性、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0083】
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明の感光性着色組成物は、現像性、耐熱性、透明性の点から、バインダー樹脂(D)として、アルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましい。カラーフィルタ作製時のアルカリ現像工程において現像溶解性を付与するためのものであり、酸基及び/又は水酸基を有する。アルカリ可溶性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有さないアルカリ可溶性樹脂や、組成物の光感度を向上させる、エチレン性不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂をそれぞれ単独または併用して用いる。
【0084】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂としては、可視光領域の400~700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
【0085】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、アルカリ現像溶解性を付与するために、2,000以上40,000以下であり、3,000以上30,000以下が好ましく、4,000以上20,000以下がより好ましい。また、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が2,000以上であると基板に対する密着性が向上し、優れた露光パターンが得られる。重量平均分子量(Mw)が40,000以下であると、アルカリ現像溶解性が良好であり、残渣が無くパターンの直線性が良好となる。
【0086】
本発明におけるアルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ現像溶解性を付与するために50以上~200以下(KOHmg/g)であり、70以上180以下の範囲が好ましく、より好ましくは90以上170以下の範囲である。酸価が50以上であると、アルカリ現像溶解性が向上し、200以下であると基板への密着性が優れているため、酸価がこの範囲にあるとき良好な微細パターンを形成できる。
【0087】
<エチレン性不飽和二重結合を有さないアルカリ可溶性樹脂>
本発明の感光性着色組成物は、塗膜の硬化度合を調整するために、エチレン性不飽和二重結合を有さないアルカリ可溶性樹脂を含有することができる。少なくとも1種のカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体と、その他の前記エチレン性不飽和単量体を1種以上用いて合成し、側鎖にエチレン性不飽和結合を付与しないことで、エチレン性不飽和二重結合を有しないアルカリ可溶性樹脂が得ることができる。
【0088】
<エチレン性不飽和二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂>
本発明の感光性着色組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。特に以下に示す(i) や(ii)の方法によりエチレン性不飽和二重結合を導入した樹脂を用いることで、活性エネルギー線で露光し塗膜を形成する際に、樹脂が3次元架橋されることで架橋密度が上がり、薬品耐性が良好になる。
【0089】
[方法(i)]
方法(i)としては、例えば、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
【0090】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0091】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0092】
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解したりすること等もできる。また、多塩基酸無水物として、エチレン性不飽和二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、又は無水マレイン酸を用いると、更にエチレン性不飽和二重結合を増やすことができる。
【0093】
方法(i)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を付加反応させ、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
【0094】
[方法(ii)]
方法(ii)としては、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0095】
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3
-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタアクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用して用いてもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、及び/又はポリ12-ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、又はグリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、また感度の点からは2個以上6個以下の水酸基を有するものを使用することが感度の点から好ましく、グリセロールモノ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0096】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体としては、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0097】
アルカリ可溶性樹脂を構成するモノマーとして以下のものが挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
あるいは、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
【0098】
あるいは、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類、下記一般式(2)で表される化合物、具体的にはEO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのエチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0099】
一般式(2)
【化19】
【0100】
(一般式(2)中、Rは、水素原子、又はメチル基であり、Rは、炭素数2若しくは3のアルキレン基であり、Rは、ベンゼン環を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基であり、nは、1~15の整数である。)
【0101】
又、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ε-カプロラクトン付加アクリル酸、ε-カプロラクトン付加メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びクロトン酸等が挙げられる。
【0102】
又、水酸基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることもできる。水酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。又、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ-バレロラクトン、(ポリ)ε-カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12-ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0103】
又、リン酸エステル基含有エチレン性不飽和モノマーを用いることもできる。リン酸エステル基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、上記水酸基含有エチレン性不飽和モノマーの水酸基にたとえば5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応せしめることで得ることができるモノマーが挙げられる。
【0104】
<熱硬化性化合物(F)>
本発明においては、バインダー樹脂である熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物(F)を含むことが出来る。本発明のカラーフィルタ用感光性着色組成物を用いてカラーフィルタを作製する際、熱硬化性化合物を含むことで、フィルタセグメントの焼成時に反応し塗膜の架橋密度を高め、そのためフィルタセグメントの耐熱性が向上し、フィルタセグメント焼成時の顔料凝集が抑えられ、コントラスト比が向上するという効果が得られる。
【0105】
熱硬化性化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。
熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、およびフェノール化合物が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明のカラーフィルタ用感光性着色組成物ではエポキシ化合物およびオキセタン化合物が好ましく用いられる。
【0106】
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。
このようなエポキシ化合物の例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD等)、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等)との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール、α,α,α’,α’-ベンゼンジメタノール、ビフェニルジメタノール、α,α,α’,α’-ビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’-ジクロロキシレン、ビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、アルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ化合物であればこれらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0107】
市販品としては、例えば、エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート190P、エピコート191P(以上は商品名;油化シェルエポキシ(株)製)、エピコート1004、エピコート1256(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製)、EPPN-501H、502H(商品名;日本化薬(株)製)、JER 1032H60(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、JER 157S65、157S70(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN-201(商品名;日本化薬(株)製)、JER152、JER154(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、EOCN-1020(以上は商品名;日本化薬(株)製)、セロキサイド2021、EHPE-3150(以上商品名;ダイセル化学工業(株)製)、デナコールEX-211、212、252、313、314、321、411、421、512、521、611、612、614、614B、622、711、721、(以上は商品名;ナガセケムテックス(株)製)、TEPIC-L,TEPIC-H、TEPIC-S(日産化学工業株式会社製)等が挙げられる。
などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0108】
エポキシ化合物の配合量は、着色剤100重量部に対し、0.5~300重量部であることが好ましく、1.0~50重量部であることがより好ましい。0.5重量部未満ではコントラスト比および耐熱性改善効果が小さく、300重量部より多いとフォトリソグラフィーによるフィルタセグメント形成時に不具合を生ずる場合がある。
【0109】
(オキセタン化合物)
オキセタン化合物としては、オキセタン基を有する公知の化合物を特に限定されず使用することができる。オキセタン化合物は、オキセタン基が1官能であるもの、オキセタン基が2官能であるもの、オキセタン基が2官能以上であるものが挙げられる。
【0110】
オキセタン基が1官能のものとしては、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアクリレート、 (3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-メタクリロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
具体例としては、大阪有機化学工業株式会社製OXE-10、OXE-30、東亞合成株式会社製OXT-101、OXT-212等が挙げられる。
【0111】
オキセタン基が2官能のものとしては、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル-3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-フェノキシメチル)オキセタン、3,7-ビス(3-オキセタニル)-5-オキサ-ノナン、1,2-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコースビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
具体例としては、宇部興産株式会社製OXBP、OXTP、東亞合成株式会社製OXT-121、OXT-221等が挙げられる。
【0112】
オキセタン基が2官能以上であるものとしては、
ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂(例えば、特許第3783462号記載のオキセタン変性フェノールノボラック樹脂等)や前述のOXE-30のような(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。このような重合体は、公知の重合法を用いて得ることができる。
【0113】
本発明の感光性着色組成物に用いられるオキセタン化合物の含有量は、感光性着色組成物の固形分100質量%中、通常0.5~50質量%、好ましくは1~40質量%である。オキセタン化合物の含有量が、前記の範囲にあると水シミが良好で、かつ耐薬品性が高い優れた塗膜が得られるため好ましい。
【0114】
(メラミン化合物)
本発明におけるメラミン化合物とは、メラミン環構造を有する化合物を指す。メラミン化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。本発明において好ましいのは、メチロール型やエーテル型であり、メラミン環1個当たりのメチロール基および/またはエーテル基数が平均5.0以上のメラミン化合物である。メラミン環1個当たりのメチロール基および/またはエーテル基数が平均5.0未満であると、反応点が少なく、硬化時の架橋構造が十分に密にならないため熱処理工程によるコントラスト比低下抑制やNMP耐性改善の効果が小さくなる場合がある。
【0115】
市販品としては、例えば、二カラックMW-30HM、MW-390、MW-100LM、MX-750LM、MW-30M、MW-30、MW-22、MS-21、MS-11、MW-24X、MS-001、MX-002、MX-730、MX-750、MX-708、MX-706、MX-042、MX-45、MX-500、MX-520、MX-43、MX-417、MX-410(三和ケミカル社製)、サイメル232、235、236、238、285、300、301、303、350、370(日本サイテックインダストリーズ社製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0116】
中でもメラミン環1個当たりのメチロール基および/またはエーテル基数が平均5.0以上である、二カラックMW-30HM、MW-390、MW-100LM、MX-750LM、MW-30M、MW-30、MW-22、MS-21、MS-11、MW-24X、MX-45(三和ケミカル社製)サイメル232、235、236、238、300、301、303、350(日本サイテックインダストリーズ社製)などが、密な架橋構造が得られる点で好ましい。
【0117】
(硬化剤)
また本発明のカラーフィルタ用感光性着色組成物には、熱硬化性化合物の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤(硬化促進剤)などを含んでいてもよい。硬化剤としては、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性化合物と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。硬化剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性化合物100重量部に対し、0.01~15重量部が好ましい。
【0118】
<重合性化合物(B)>
本発明の感光性着色組成物には、重合性化合物(B)を含む。重合性化合物(B)には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
【0119】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0120】
これらの市販品としては、日本化薬社製のKAYARAD R-128H、R526、PEG400DA、MAND、NPGDA、R-167、HX-220、R-551、R712、R-604、R-684、GPO-303、TMPTA、DPHA、DPEA-12、DPHA-2C、D-310、D-330、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120、及び東亜合成社製のアロニックスM-303、M-305、M-306、M-309、M-310、M-321、M-325、M-350、M-360、M-313、M-315、M-400、M-402、M-403、M-404、M-405、M-406、M-450、M-452、M-408、M-211B、M-101A、大阪有機社製のビスコート#310HP、#335HP、#700、#295、#330、#360、#GPT、#400、#405、新中村化学社製のNKエステルA-9300等を好適に使用することができる。
【0121】
(酸基を有する重合性化合物)
本発明における重合性化合物(B)は、酸基を有する光重合性化合物を含有してもよい。酸基を有する光重合性化合物を用いることで、本発明の感光性着色組成物をアルカリ現像する際、形成した塗膜のアルカリ現像液へ溶解性を上げることができ、現像速度を向上したり残渣を低減することができる。酸基としては、スルホン酸基やカルボキシル基、リン酸基等を挙げることができる。
【0122】
酸基を有する光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げることができる。具体例としては、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレート又はモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレート又はモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられるが、本発明の効果はこれらに限定されるものではない。
【0123】
これらの市販品としては、大阪有機社製のビスコート#2500P、及び東亜合成社製アロニックスM-5300、M-5400、M-5700、M-510、M-520等を好適に使用することができる。
【0124】
(ウレタン結合を有する重合性化合物)
本発明における重合性化合物(B)は、エチレン性不飽和結合とウレタン結合を少なくとも1つずつ有する光重合性化合物を含有することが好ましい。ウレタン結合を有する光重合性化合物を含有することで、形成した塗膜を加熱した際の色材の析出を抑制したり、耐溶剤性や基材への密着性を向上できる。特に、多官能ウレタンアクリレートは耐薬品性の観点から好ましい。
【0125】
ウレタン結合を有する重合性化合物としては、例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0126】
水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレー、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
【0127】
また、多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0128】
これらの市販品としては、共栄社化学社製のAH-600、AT-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G、DAUA-167、新中村化学工業社製のUA-160TM、大阪有機化学工業社製のUV-4108F、UV-4117F等を好適に使用することができる。
【0129】
上記の重合性化合物(B)は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0130】
重合性化合物(B)の配合量は、感光性着色組成物の全固形分を基準(100質量部)として、1~50質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から2~40質量部であることがより好ましい。
【0131】
<光重合開始剤(E)>
本発明の感光性組成物は、光重合開始剤(E)を含む。光重合開始剤(E)を含むことで、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成することができる。光重合開始剤(E)を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性組成物の形態で調製することが好ましい。
【0132】
光重合開始剤(E)としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、又はエタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0133】
市販品としては、アセトフェノン系化合物としては、全てIGM Resins社製で「Omnirad 907」(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン)、「Omnirad 369E」(2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン)、「Omnirad 379EG」(2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン)、ホスフィン系化合物としては、全てIGM Resins社製で「Omnirad 819」(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド)、「Omnirad TPO」(ジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド)、などが挙げられる。
【0134】
本発明においては、これらの中でも、オキシムエステル系化合物を含有することが好ましい。
【0135】
(オキシムエステル系化合物)
オキシムエステル系化合物は、紫外線を吸収することによってオキシムのN-O結合の解裂がおこり、イミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成する。これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でパターンを形成させることができる。感光性着色組成物の着色剤濃度が高い場合、塗膜の紫外線透過率が低くなり塗膜の硬化度が低くなることがあるが、オキシムエステル系化合物は高い量子効率を持つため好適に使用される。より好ましくは、一般式(3)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤である。
【0136】
(一般式(3)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤)
一般式(3)
【化20】
【0137】
一般式(3)において、
は、水素原子、又は置換基を有しても良い、アルケニル基、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、ホスフィノイル基、カルバモイル基、もしくはスルファモイル基であり、
は、水素原子、又は置換基を有しても良い、アルケニル基、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルオキシ基、もしくはアミノ基である。
Zは、直接結合又は-CO-基、
は、置換基を有しても良いカルバゾール基を含む1価の有機基、Ph-S-Ph-基(Phは、置換基を有しても良い、フェニル基又はフェニレン基を示す)等であることが好ましい。
【0138】
における置換基を有しても良いアルケニル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状又は縮合多環状アルケニル基が挙げられ、それらは構造中に複数の炭素-炭素二重結合を有していてもよく、具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、1,3-ブタジエニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロペンタジエニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0139】
における置換基を有しても良いアルキル基としては、炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状又は縮合多環状アルキル基、又は炭素数2から18であり場合により1個以上の-O-で中断されている直鎖状、分岐鎖状、単環状又は縮合多環状アルキル基が挙げられる。炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状又は縮合多環状アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、tert-オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、4-デシルシクロヘキシル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、炭素数2から18であり場合により-O-の1個以上により中断されている直鎖状、分岐鎖状アルキル基の具体例としては、-CH-O-CH、-CH-CH-O-CH-CH、-CH-CH-CH-O-CH-CH、-(CH-CH-O)-CH(ここでnは1から8である)、-(CH-CH-CH-O)-CH(ここでmは1から5である)、-CH-CH(CH)-O-CH-CH、-CH-CH-(OCH等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0140】
炭素数2から18であり場合により-O-の1個以上により中断されている単環状又は縮合多環状アルキル基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
【化21】
【0142】
における置換基を有しても良いアルキルオキシ基としては、炭素原子数1~18の直鎖状、分岐鎖状、単環状又は縮合多環状アルキルオキシ基、又は炭素数2から18であり場合により1個以上の-O-で中断されている直鎖状、分岐鎖状、単環状又は縮合多環状アルキルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1~18の直鎖状、分岐鎖状、単環状又は縮合多環状アルキルオキシ基の具体例としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ノルボルニルオキシ基、ボロニルオキシ基、4-デシルシクロヘキシルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、炭素数2から18であり場合により1個以上の-O-で中断されている直鎖状、分岐鎖状アルキルオキシ基の具体例としては、-O-CH-O-CH、-O-CH-CH-O-CH-CH、-O-CH-CH-CH-O-CH-CH、-O-(CH-CH-O)-CH(ここでnは1から8である)、-O-(CH-CH-CH-O)-CH(ここでmは1から5である)、-O-CH-CH(CH)-O-CH-CH、-O-CH-CH-(OCH等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0143】
炭素数2から18であり場合により-O-の1個以上により中断されている単環状又は縮合多環状アルキルオキシ基の具体例としては、以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0144】
【化22】
【0145】
における置換基を有しても良いアリール基としては、炭素数6から24の単環又は縮合多環アリール基が挙げられ、具体例としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アンスリル基、9-アンスリル基、2-フェナントリル基、3-フェナントリル基、9-フェナントリル基、1-ピレニル基、5-ナフタセニル基、1-インデニル基、2-アズレニル基、1-アセナフチル基、2-フルオレニル基、9-フルオレニル基、3-ペリレニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,3-キシリル基、2,5-キシリル基、メシチル基、p-クメニル基、p-ドデシルフェニル基、p-シクロヘキシルフェニル基、4-ビフェニル基、o-フルオロフェニル基、m-クロロフェニル基、p-ブロモフェニル基、p-ヒドロキシフェニル基、m-カルボキシフェニル基、o-メルカプトフェニル基、p-シアノフェニル基、m-ニトロフェニル基、m-アジドフェニル基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0146】
における置換基を有しても良いアリールオキシ基としては、炭素数4~18の単環又は縮合多環アリールオキシ基が挙げられ、具体例としては、フェノキシ基、1ーナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、9-アンスリルオキシ基、9-フェナントリルオキシ基、1-ピレニルオキシ基、5-ナフタセニルオキシ基、1-インデニルオキシ基、2-アズレニルオキシ基、1-アセナフチルオキシ基、9-フルオレニルオキシ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0147】
における置換基を有しても良い複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素原子数4~24の芳香族あるいは脂肪族の複素環基が挙げられ、2-チエニル基、2-ベンゾチエニル基、ナフト[2,3-b]チエニル基、3-チアントレニル基、2-チアンスレニル基、2-フリル基、2-ベンゾフリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H-ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H-インドリル基、2-インドリル基、3-インドリル基、1H-インダゾリル基、プリニル基、4H-キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、β-カルボリニル基、フェナントリジニル基、2-アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、3-フェニキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、チオキサントリル基、4-キノリニル基、4-イソキノリル基、3-フェノチアジニル基、2-フェノキサチイニル基、3-クマリニル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0148】
における置換基を有しても良い複素環オキシ基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素数4~18の単環状又は縮合多環状複素環オキシ基が挙げられ、具体例としては、2-フラニルオキシ基、2-チエニルオキシ基、2-インドリルオキシ基、3-インドリルオキシ基、2-ベンゾフリルオキシ基、2-ベンゾチエニルオキシ基、2-カルバゾリルオキシ基、3-カルバゾリルオキシ基、4-カルバゾリルオキシ基、9-アクリジニルオキシ基等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0149】
における置換基を有しても良いアルキルスルファニル基としては、炭素数1から20の直鎖状、分岐鎖状、単環状又は縮合多環状アルキルチオ基が挙げられ、具体例としては、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、プロピルスルフィニル基、イソプロピルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、ペンチルスルフィニル基、ヘキシルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、オクチルスルフィニル基、2-エチルヘキシルスルフィニル基、デシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、オクタデシルスルフィニル基、シアノメチルスルフィニル基、メチルオキシメチルスルフィニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0150】
における置換基を有しても良いアリールスルファニル基としては、炭素数6~18の単環状又は縮合多環状アリールチオ基が挙げられ、具体例としては、フェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、9-アンスリルチオ基、9-フェナントリルチオ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0151】
における置換基を有しても良いアリールスルフィニル基としては、炭素数6~30のアリールスルフィニル基が好ましく、具体例としては、フェニルスルフィニル基、1-ナフチルスルフィニル基、2-ナフチルスルフィニル基、2-クロロフェニルスルフィニル基、2-メチルフェニルスルフィニル基、2-メチルオキシフェニルスルフィニル基、2-ブチルオキシフェニルスルフィニル基、3-クロロフェニルスルフィニル基、3-トリフルオロメチルフェニルスルフィニル基、3-シアノフェニルスルフィニル基、3-ニトロフェニルスルフィニル基、4-フルオロフェニルスルフィニル基、4-シアノフェニルスルフィニル基、4-メチルオキシフェニルスルフィニル基、4-メチルスルファニルフェニルスルフィニル基、4-フェニルスルファニルフェニルスルフィニル基、4-ジメチルアミノフェニルスルフィニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0152】
における置換基を有しても良いアルキルスルホニル基としては、炭素数1~20のアルキルスルホニル基が好ましく、具体例としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2-エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メチルオキシメチルスルホニル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0153】
における置換基を有しても良いアリールスルホニル基としては、炭素数6~30のアリールスルホニル基が好ましく、具体例としては、フェニルスルホニル基、1-ナフチルスルホニル基、2-ナフチルスルホニル基、2-クロロフェニルスルホニル基、2-メチルフェニルスルホニル基、2-メチルオキシフェニルスルホニル基、2-ブチルオキシフェニルスルホニル基、3-クロロフェニルスルホニル基、3-トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3-シアノフェニルスルホニル基、3-ニトロフェニルスルホニル基、4-フルオロフェニルスルホニル基、4-シアノフェニルスルホニル基、4-メチルオキシフェニルスルホニル基、4-メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4-フェニルスルファニルフェニルスルホニル基、4-ジメチルアミノフェニルスルホニル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0154】
における置換基を有しても良いアシル基としては、水素原子又は炭素数1から18の直鎖状、分岐鎖状、単環状又は縮合多環状の脂肪族が結合したカルボニル基、炭素数2から20のアルキルオキシ基が置換したカルボニル基、炭素数6から18の単環状あるいは縮合多環状アリール基が結合したカルボニル基、炭素数6から18の単環状あるいは縮合多環状のアリールオキシ基が置換したカルボニル基、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子を含む、炭素数4~18の単環又は縮合多環状の複素環基が結合したカルボニル基が挙げられ、具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、シンナモイル基ベンゾイル基、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメチルオキシカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、1-ナフトイル基、2-ナフトイル基、9-アンスリルカルボニル基、フェニルオキシカルボニル基、4-メチルフェニルオキシカルボニル基、3-ニトロフェニルオキシカルボニル基、4-ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2-メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、1-ナフトイルオキシカルボニル基、2-ナフトイルオキシカルボニル基、9-アンスルリルオキシカルボニル基、3-フロイル基、2-テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0155】
における置換基を有しても良いアシルオキシ基としては、炭素数2~20のアシルオキシ基が挙げられ、具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、トリフルオロメチルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、1-ナフチルカルボニルオキシ基、2-ナフチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0156】
における置換基を有しても良いアミノ基としては、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ベンジルアミノ基、ジベンジルアミノ基等が挙げられる。
【0157】
ここで、アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、ドデシルアミノ基、オクタデシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、イソブチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、sec-ブチルアミノ基、tert-ブチルアミノ基、sec-ペンチルアミノ基、tert-ペンチルアミノ基、tert-オクチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、シクロブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、シクロヘプチルアミノ基、シクロオクチルアミノ基、シクロドデシルアミノ基、1-アダマンタミノ基、2-アダマンタミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0158】
ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジノニルアミノ基、ジデシルアミノ基、ジドデシルアミノ基、ジオクタデシルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、メチルイソブチルアミノ基、シクロプロピルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0159】
アリールアミノ基としては、アニリノ基、1-ナフチルアミノ基、2-ナフチルアミノ基、o-トルイジノ基、m-トルイジノ基、p-トルイジノ基、2-ビフェニルアミノ基、3-ビフェニルアミノ基、4-ビフェニルアミノ基、1-フルオレンアミノ基、2-フルオレンアミノ基、2-チアゾールアミノ基、p-ターフェニルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0160】
ジアリールアミノ基としては、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N-フェニル-1-ナフチルアミノ基、N-フェニル-2-ナフチルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0161】
アルキルアリールアミノ基としては、N-メチルアニリノ基、N-メチル-2-ピリジノ基、N-エチルアニリノ基、N-プロピルアニリノ基、N-ブチルアニリノ基、N-イソプロピル、N-ペンチルアニリノ基、N-エチルアニリノ基、N-メチル-1-ナフチルアミノ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0162】
における置換基を有しても良いホスフィノイル基としては、炭素数2から50のホスフィノイル基が挙げられ、具体例としては、ジメチルホスフィノイル基、ジエチルホスフィノイル基、ジプロピルホスフィノイル基、ジフェニルホスフィノイル基、ジメトキシホスフィノイル基、ジエトキシホスフィノイル基、ジベンゾイルホスフィノイル基、ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィノイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0163】
における置換基を有しても良いカルバモイル基としては、炭素数1から30のカルバモイル基が挙げられ、具体例としては、N-メチルカルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、N-プロピルカルバモイル基、N-ブチルカルバモイル基、N-ヘキシルカルバモイル基、N-シクロヘキシルカルバモイル基、N-オクチルカルバモイル基、N-デシルカルバモイル基、N-オクタデシルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基、N-2-メチルフェニルカルバモイル基、N-2-クロロフェニルカルバモイル基、N-2-イソプロポキシフェニルカルバモイル基、N-2-(2-エチルヘキシル)フェニルカルバモイル基、N-3-クロロフェニルカルバモイル基、N-3-ニトロフェニルカルバモイル基、N-3-シアノフェニルカルバモイル基、N-4-メトキシフェニルカルバモイル基、N-4-シアノフェニルカルバモイル基、N-4-メチルスルファニルフェニルカルバモイル基、N-4-フェニルスルファニルフェニルカルバモイル基、N-メチル-N-フェニルカルバモイル基、N、N-ジメチルカルバモイル基、N、N-ジブチルカルバモイル基、N、N-ジフェニルカルバモイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0164】
における置換基を有しても良いスルファモイル基としては、炭素数0から30のスルファモイル基が挙げられ、具体例としては、スルファモイル基、N-アルキルスルファモイル基、N-アリールスルファモイル基、N、N-ジアルキルスルファモイル基、N、N-ジアリールスルファモイル基、N-アルキル-N-アリールスルファモオイル基等が挙げられる。より具体的には、N-メチルスルファモイル基、N-エチルスルファモイル基、N-プロピルスルファモイル基、N-ブチルスルファモイル基、N-ヘキシルスルファモイル基、N-シクロヘキシルスルファモイル基、N-オクチルスルファモイル基、N-2-エチルヘキシルスルファモイル基、N-デシルスルファモイル基、N-オクタデシルスルファモイル基、N-フェニルスルファモイル基、N-2-メチルフェニルスルファモイル基、N-2-クロロフェニルスルファモイル基、N-2-メトキシフェニルスルファモイル基、N-2-イソプロポキシフェニルスルファモイル基、N-3-クロロフェニルスルファモイル基、N-3-ニトロフェニルスルファモイル基、N-3-シアノフェニルスルファモイル基、N-4-メトキシフェニルスルファモイル基、N-4-シアノフェニルスルファモイル基、N-4-ジメチルアミノフェニルスルファモイル基、N-4-メチルスルファニルフェニルスルファモイル基、N-4-フェニルスルファニルフェニルスルファモイル基、N-メチル-N-フェニルスルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、N,N-ジブチルスルファモイル基、N,N-ジフェニルスルファモイル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0165】
における置換基を有しても良い、アルケニル基、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、複素環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルオキシ基、及びアミノ基としては、前述のR1における置換基を有しても良いアルケニル基、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルキルオキシ基、置換基を有しても良いアリール基、置換基を有しても良いアリールオキシ基、置換基を有しても良い複素環基、置換基を有しても良い複素環オキシ基、置換基を有しても良いアルキルスルファニル基、置換基を有しても良いアリールスルファニル基、置換基を有しても良いアルキルスルフィニル基、置換基を有しても良いアリールスルフィニル基、置換基を有しても良いアルキルスルホニル基、置換基を有しても良いアリールスルホニル基、置換基を有しても良いアシルオキシ基、及び、置換基を有しても良いアミノ基と同義である。
【0166】
及びYにおけるこれら置換基としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p-トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p-トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基等のアルキル基、フェニル基、p-トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基等のアリール基、フリル基、チエニル基等の複素環基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p-トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
また、これらの置換基は1個以上あるいは1種以上存在することができ、さらにこれらの置換基の水素原子がさらに他の置換基で置換されていても良い。
【0167】
一般式(3)に表されるオキシムエステル系光重合開始剤の中でも、下記一般式(4)、又は(5)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤は、感度に優れ、さらに好ましいものである。
【0168】
[一般式(4)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤]
一般式(4)
【化23】
【0169】
一般式(4)は、一般式(3)におけるYがPh-S-Ph-基の場合に相当し、Y~Yは、水素原子、又は置換基を有しても良い、アルキル基又はアリール基、アシル基が好ましい。Y~Yにおける、置換基を有しても良いアルキル基、又は置換基を有しても良いアリール基としては、Y及びYにおけるアルキル基、又はアリール基と同義である。
【0170】
[一般式(4a)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤]
一般式(4a)
【化24】
【0171】
一般式(4a)は、一般式(4)におけるZが-CO-基に相当する。さらにYとしては置換基を有しても良いアリール基が、Yとしては置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基が、Y及びYとしては水素原子がさらに好ましく、Yとしては水素原子、もしくはY-CO-基であることがさらに好ましい。
【0172】
7としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p-トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基、メチルスルファニル基、tert-ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基、フェニルスルファニル基、p-トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基、メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基等のジアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p-トリルアミノ基等のアリールアミノ基、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、p-トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、ベンゾフラニル基等のアリール基、フリル基、チエニル基等の複素環基等の他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、メルカプト基、スルホ基、メシル基、p-トルエンスルホニル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリメチルシリル基、ホスフィニコ基、ホスホノ基、トリメチルアンモニウミル基、ジメチルスルホニウミル基、トリフェニルフェナシルホスホニウミル基等が挙げられる。
【0173】
の置換基としてさらに好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基等のシクロアルキル基である。
【0174】
一般式(4a)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤としては、具体的には、下記化学式(4a-1)又は(4a-2)で表わされる光重合開始剤等である。
【0175】
【化25】
【0176】
[一般式(4b)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤]
一般式(4b)
【化26】
【0177】
一般式(4b)は、一般式(4)におけるZが直接結合の場合に相当する。一般式(4b)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤としては、YおよびYとしては置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基が好ましく、Y~Yの少なくとも1つは置換基を有していてもよいアシル基が好ましい。具体的には、下記化学式(4a-1)又は(4a-2)で表わされる光重合開始剤等である。
【0178】
【化27】
【0179】
[一般式(5)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤]
一般式(5)
【化28】
【0180】
一般式(5)は、一般式(3)におけるYが置換基を有しても良いカルバゾール基を含む1価の有機基の場合に相当し、Y~Y14は、Y及びYにおける置換基と同義である。
【0181】
さらにYとして置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基が、Yとして置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基、又は置換基を有しても良いアリール基が、Y~Y14として水素原子、又は置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基、又は置換基を有しても良いアリール基が好ましい。
【0182】
一般式(5)におけるZが直接結合の場合には、下記一般式(5a)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤が好ましい。
【0183】
「一般式(5a)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤」
一般式(5a)
【化29】
【0184】
一般式(5a)は、一般式(5)におけるZが直接結合、Yが置換基を有しても良いカルバゾール基を含む1価の有機基の場合に相当し、一般式(5)におけるY~Y10、及びY12~Y13が水素原子である。
また、Y11はY15-CO-基、又はニトロ基であることが好ましい。Y15はY及びYにおける置換基と同義であり、置換基を有しても良いアリール基であることが好ましい。Y15-CO-基としては、さらに置換基を有しても良いアセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基であることが好ましい。より好ましくは置換基を有しても良いベンゾイル基、又はニトロ基である。Y14としては、置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基、又は置換基を有しても良いアリール基が好ましい。
【0185】
また、置換基を有しても良いベンゾイル基における置換基として好ましくは、炭素数1~20のアルキル基、又はアルキルオキシ基が好ましい。さらにアルキル基としては、メチル基、エチル基が好ましく、アルキルオキシ基のなかでも、炭素数2から18であり場合により1個以上の-O-で中断されている直鎖状、分岐鎖状、単環状又は縮合多環状アルキルオキシ基が好ましく、Yにおける炭素数2から18であり場合により1個以上の-O-で中断されている直鎖状、分岐鎖状、単環状又は縮合多環状アルキルオキシ基と同義である。
【0186】
は、置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基が好ましく、置換基として好ましくは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基等のシクロアルキル基である。また、置換基を有しても良いアリール基が好ましく、置換基として好ましくは、さらに置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基、又はメトキシ基、エトキシ基、tert-ブトキシ基等のアルコキシ基が好ましい。
【0187】
一般式(5a)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤としては、具体的には、下記化学式(5a-1)~(5a-6)で表わされる光重合開始剤等である。
【0188】
【化30】
【0189】
「一般式(5b)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤」
一般式(5)におけるZが-CO-基の場合には、下記一般式(5b)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤が好ましい。
【0190】
一般式(5b)
【化31】
【0191】
一般式(5b)は、一般式(5)におけるZが-CO-基、Yが置換基を有しても良いカルバゾール基を含む1価の有機基の場合に相当し、ケト型カルバゾール基を有するオキシムエステル系光重合開始剤である。Y~Y13は水素原子、置換基を有しても良い炭素数1~20のアルキル基、又は置換基を有しても良いアリール基が好ましく、Y14は置換基を有しても良いアリール基であることが好ましい。置換基を有しても良いアリール基の置換基としては、アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基等のアシル基が好ましく、より好ましくはベンゾイル基である。
【0192】
一般式(5b)で表わされるオキシムエステル系光重合開始剤としては、具体的には、下記化学式(5b-1)~(5b-4)で表わされる光重合開始剤等である。
【0193】
【化32】
【0194】
これらオキシムエステル系化合物の市販品としては、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)(IRGACURE OXE01)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(IRGACURE OXE02)(いずれもBASF社製)、N-1919(ADEKA社製)、TRONLY TR-PBG-304、TRONLY TR-PBG-305、TRONLY TR-PBG-309(いずれも常州強力新材料社製)等が市販されている。また、この他に、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報等に記載のオキシムエステル系光重合開始剤を用いることも可能である。
【0195】
光重合開始剤(E)の含有量は、感光性着色組成物の全固形分を基準(100質量部)として、0.1~20質量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から0.5~10質量部であることがより好ましい。0.1質量部よりも少ない場合、形成パターンの基材との密着性が悪くなり、20質量部を超えると現像性に問題が生じることや、パターン形成後の熱処理工程で明度低下が生じる場合がある。
【0196】
<増感剤>
さらに、本発明の感光性着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0197】
上記増感剤の中で、特に好適に増感しうる増感剤としては、チオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が挙げられる。さらに具体的には、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等が用いられる。
【0198】
これらの増感剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
市販品としては、「KAYACURE DETX-S」(2,4-ジエチルチオキサントン 日本化薬社製)、「CHEMARK DEABP」(4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン Chemark Chemical社製)などが挙げられる。
【0199】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0200】
増感剤を使用する際の含有量は、感光性着色組成物中に含まれる光ラジカル重合開始剤100質量部に対し、2~60質量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から4~50質量部であることがより好ましい。
【0201】
<カルボキシル基を有するチオール化合物(C)>
本発明の感光性着色組成物は連鎖移動剤として、カルボキシル基を有するチオール化合物(C)を含む。チオールを光重合開始剤とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られる感光性着色組成物は高感度となる。そのため、塗膜の上部と底部で均一な硬化状態が得られ、その後塗膜を加熱処理しても、熱収縮差による塗膜の表面のシワを抑制できる。さらにカルボキシル基を含有することでアルカリ現像液に対する溶解性が向上し、剥離現像性が良化する。
【0202】
カルボキシル基を有するチオール化合物(C)としては、1分子中にチオール基とカルボキシル基をそれぞれ1つ以上含有する化合物であればよく、官能基数は問わないが、特にカルボキシル基を有する単官能チオール化合物(C-1)であることが好ましく、さらに下記一般式(1)で表される化合物(C-1A)であることがより好ましい。
【0203】
一般式(1)
【化33】
【0204】
(一般式(1)中、Rは炭素数1~10のアルキレン基である。)
【0205】
カルボキシル基を有する単官能チオール化合物(C-1)としては、3-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸などが挙げられる。また、無水コハク酸や無水トリメリット酸などのような分子内に1つの酸無水物基を有する化合物と、水酸基含有単官能チオールを反応させて得られる化合物でも良い。
【0206】
一般式(1)で表される化合物(C-1A)としては、チオリンゴ酸などが挙げられる。
【0207】
またカルボキシル基を有する多官能チオール化合物(C-2)としては、無水コハク酸や無水トリメリット酸などのような分子内に1つの酸無水物基を有する化合物と、水酸基含有多官能チオールを反応させて得られる化合物や、無水ピロメリット酸のような分子内に2つ以上の酸無水物基を有する化合物と、水酸基含有単官能チオールもしくは水酸基含有多官能チオールを反応させて得られる化合物でも良い。
【0208】
[分子内に1つの酸無水物基を有する化合物]
分子内に1つの酸無水物基を有する化合物は、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、アルケニル無水コハク酸、3-カルボキシメチルグルタル酸無水物、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸-1,2-無水物、無水トリメリット酸、1,3,8-ナフタレントリカルボン酸1,8-無水物、1,2,5-ナフタレントリカルボン酸1,2-無水物など挙げられる。
【0209】
[分子内に2つ以上の酸無水物基を有する化合物]
分子内に2つ以上の酸無水物基を有する化合物は、例えば、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボルナン-2-酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0210】
[水酸基含有多官能チオール]
水酸基含有多官能チオールとしては、例えば、1,2-ジメルカプト-3-プロパノール、1,3-ジメルカプト-2-プロパノール、2,3-ジメルカプト-1-ブタノール、2,4-ジメルカプト-1-ブタノール、3,4-ジメルカプト-1-ブタノール、1,3-ジメルカプト-2-ブタノール、1,4-ジメルカプト-2-ブタノール、3,4-ジメルカプト-2-ブタノール、トリメチロールプロパンジメルカプトアセテート、トリメルカプトペンタエリスリトール、ペンタエリトリトールトリス (3-メルカプトアセタート )、ジペンタエリトリトールペンタキス (3-メルカプトプロピオナート)などが挙げられる。
【0211】
[水酸基含有単官能チオール]
水酸基含有単官能チオールとしては、例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセリン)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0212】
カルボキシル基を有するチオール化合物(C)の含有量は、感光性着色組成物の全固形分中1.0~10.0%であることが好ましく、より好ましくは1.5~8.0%である。さらに好ましくは2.0~4.0%であり、この範囲において、シワ、薬品耐性や剥離現像性が良好となる。1.0%以上の場合、シワ抑制効果に優れ、一方10.0%以下の場合、耐薬品性が良好である。
【0213】
<その他のチオール化合物(H)>
【0214】
本発明の感光性着色組成物には、カルボキシル基を有するチオール化合物(C)以外のその他のチオール化合物(H)を含んでもよい。
【0215】
カルボキシル基を含有しない単官能チオールとしては、トリチルチオール、2-メルカプト-5-メチルチオ-1,3,4-チアジアゾールなどがあげられる。
【0216】
また、SH基が2個以上あるメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールを用いることもできる。この場合、官能基数が増えることで、重合開始機能が向上し、パターンにおける表面から基材付近まで硬化させることができる。
【0217】
多官能チオールとしては、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
【0218】
これら任意に使用できるその他のチオール化合物(H)は、1種を単独で、又は2種以上を混合して利用できる。
【0219】
<重合禁止剤>
本発明の感光性着色組成物には、露光時にマスクの回折光による感光を防ぐために、重合禁止剤を含有させることができる。重合禁止剤を添加することで感光による連鎖重合で所望のパターン外まで硬化が進行しないようにする効果が得られる。
【0220】
重合禁止剤としては、カテコール、レゾルシノール、1,4-ヒドロキノン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-tert-ブチルカテコール、3-tert-ブチルカテコール、4-tert-ブチルカテコール、3,5-ジ-tert-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、2-エチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、2-プロピルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、2-n-ブチルレゾルシノール、4-n-ブチルレゾルシノール、2-tert-ブチルレゾルシノール、4-tert-ブチルレゾルシノール等のアルキルレゾルシノール系化合物、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロール、フロログルシンなどが挙げられる。重合禁止剤の含有量は、感光性着色組成物の溶剤を除いた重量100質量部に対して、0.01~0.4質量部が好ましい。この範囲において、重合禁止剤の効果が大きくなり、テーパーの直線性や塗膜のシワ、パターン解像性等が良好になる。
【0221】
<紫外線吸収剤>
発明の感光性着色組成物は、紫外線吸収剤を含んでも良い。本発明における紫外線吸収剤とは、紫外線吸収機能を有する有機化合物であり、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、ベンゾフェノン系有機化合物、サリチル酸エステル系有機化合物、シアノアクリレート系有機化合物、及びサリシレート系有機化合物などが挙げられる。
【0222】
紫外線吸収剤の含有量は、光重合開始剤と紫外線吸収剤との合計100質量%中、5~70質量%が好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記より少ない場合、紫外線吸収剤の効果が小さく、解像性が確保できず、上記より多い場合には、感度が低くなり画素はがれやホール径が設計値より大きくなってしまうといった不具合が発生することがある。
【0223】
このとき感光性着色組成物が増感剤を含む場合には、光重合開始剤の含有量に増感剤の含有量を含むこととする。
【0224】
また、光重合開始剤と紫外線吸収剤の合計含有量は、感光性着色組成物の固形分100質量%中、1~20質量%が好ましい。光重合開始剤と紫外線吸収剤の合計含有量が上記より少ない場合、密着性が弱まり画素はがれが発生し、上記より多い場合には、感度が高すぎ解像性が悪くなることがある。
【0225】
このとき感光性着色組成物が増感剤を含む場合には、光重合開始剤の含有量に増感剤の含有量を含むこととする。
【0226】
ベンゾトリアゾール系有機化合物としては2-(5メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α, α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2-メトキシ-1-メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-9側鎖及び直鎖アルキルエステルの混合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル 3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、オクチル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネート、2-エチルヘキシル-3-[3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネートが挙げられる。その他ベンゾトリアゾール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0227】
さらに具体的には、株式会社BASF社製TINUVIN P、PS、234、326、329、384-2、900、928、99-2、1130、株式会社ADEKA製アデカスタブLA-29、LA-31RG、LA-32、LA-36、ケミプロ化成株式会社製KEMISORB71、73、74、79、279、大塚化学株式会社製RUVA-93等が挙げられる。
【0228】
トリアジン系有機化合物としては、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2‐[4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル)‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル]‐5‐[3‐(ドデシルオキシ)‐2‐ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと(2-エチルヘキシル)-グリシド酸エステルの反応生成物、2,4-ビス「2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル」-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-(ヘキシルオキシ)フェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[2-(2-エチルヘキサノイルオキシ)エトキシ]フェノール、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0229】
さらに具体的には、ケミプロ化成社製KEMISORB 102、BASF社製TINUVIN 400、405、460、477、479、1577ED、ADEKA社アデカスタブLA-46、LA-F70、サンケミカル社製CYASORB UV-1164等が挙げられる。
【0230】
ベンゾフェノン系有機化合物としては、2,4-ジ-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸-3水温、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、2,2’-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-ドデシロキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0231】
さらに具体的には、ケミプロ化成株式会社製KEMISORB 10、11、11S、12、111、シプロ化成株式会社製SEESORB 101、107、株式会社ADEKA社製アデカスタブ1413、サンケミカル株式会社製UV-12等が挙げられる。
【0232】
サリチル酸エステル系有機化合物としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p-オクチルフェニル、サリチル酸p-tertブチルフェニル等が挙げられる。その他サルチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0233】
<酸化防止剤>
本発明の感光性着色組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤は、感光性着色組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化やITOアニール時の熱工程によって酸化し黄変することを防ぐため、塗膜の透過率を高くすることができる。特に感光性着色組成物の着色剤濃度が高い場合、塗膜架橋成分量が少なくなるため高感度の架橋成分の使用や、光重合開始剤の増量といった対応を取るため熱工程の黄変が強くなる現象が見られる。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
【0234】
本発明における「酸化防止剤」とは、ラジカル補足機能、又は過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、及びヒドロキシルアミン系の化合物があげられ、公知の酸化防止剤が使用できる。また、本発明で用いられる酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有していないものが好ましい。
【0235】
これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤又はイオウ系酸化防止剤が挙げられる。
【0236】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,1,3-トリス-(2’-メチル-4’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)-ブタン、4,4’-ブチリデン-ビス-(2-t-ブチル-5-メチルフェノール)、3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5 -メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルメチル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-4-t-ブチル-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、2,2’-メチレンビス(6-t-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’チオジエチルビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、i-オクチル3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステルのカルシウム塩、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、ビス[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロピオン酸]エチレンビスオキシビスエチレン、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2,2’-チオ-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-アミル-ヒドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-4-ノニルフェノール、2,2’-イソブチリデン-ビス-(4,6-ジメチル-フェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-(1-メチル-シクロヘキシル)-p-クレゾール)、2,4-ジメチル-6-(1-メチル-シクロヘキシル)-フェノール等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0237】
さらに具体的には、株式会社ADEKA社製アデカスタブAO-20、AO-30、AO-40,AO-50、AO-60、AO-80、AO-330、ケミプロ株式会社製KEMINOX101、179、76、9425、株式会社BASF社製IRGANOX1010、1035、1076、1098、1135、1330、1726、1425WL、1520L、245、259、3114、5057、565、サンケミカル株式会社製サイアノックスCY-1790、CY-2777等が挙げられる。
【0238】
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカノキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カルボネート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、コハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[[6-[(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ]-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールと3,5,5-トリメチルヘキサン酸のエステル、N,N’-4,7-テトラキス〔4,6-ビス{N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ}-1,3,5-トリアジン-2-イル〕-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル,1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジル)[[3,5-ビス(1,1ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネートメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピリペリジルセバケート、ポリ[[6-モルホリノ-s-トリアジン-2,4-ジイル]-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]-ヘキサメチレン-[(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-C12-21およびC18不飽和脂肪酸エステル、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)アミノ-N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)プロピオンアミド等が挙げられる。その他ヒンダードアミン構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0239】
さらに具体的には、株式会社ADEKA製アデカスタブLA-52、LA-57、LA-63P、LA-68、LA-72、LA-77Y、LA-77G、LA-81、LA-82、LA-87、LA-402F、LA-502XP、ケミプロ化成株式会社製KAMISTAB29、62、77、94、株式会社BASF製Tinuvin249、TINUVIN111FDL、123、144、292、5100、サンケミカル株式会社製サイアソーブUV-3346、UV-3529、UV-3853等が挙げられる。
【0240】
リン系酸化防止剤としては、ジ(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)2-エチルヘキシルフォスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、テトラ(C12~C15アルキル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジフォスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)フォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリス(イソデシル)フォスファイト、トリフェニルフォスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4-ビフェニルジフォスホニト、トリス(トリデシル)フォスファイト、フェニルイソオクチルフォスファイト、フェニルイソデシルフォスファイト、フェニルジ(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフォスファイト、4,4’イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリスジノニルフェニルフォスファイト、トリス(ビフェニル)フォスファイト、ジ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラトリデシル4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)ジフォスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタントリフォスファイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルフォスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ソジウム-2,2-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-フォスファイト、1,3-ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)-ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジtert-ブチル-6-メチルフェニル)等が挙げられる。その他フォスファイト構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0241】
さらに具体的には、株式会社ADEKA製アデカスタブPEP-36、PEP-8、HP-10、2112、1178、1500、C、135A、3010、TPP、株式会社BASF製IRGAFOS168、クラリアントケミカルズ株式会社製HostanoxP-EPQ等が挙げられる。
【0242】
イオウ系酸化防止剤としては、2,2-ビス{〔3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロポキシ〕メチル}プロパン-1,3-ジイルビス〔3-(ドデシルチオ)プロピオネート〕、3,3’-チオビスプロピオン酸ジトリデシル、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス〔(オクチルチオ)メチル〕-o-クレゾール、2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール等が挙げられる。その他チオエーテル構造を有するオリゴマータイプ及びポリマータイプの化合物等も使用することが出来る。
【0243】
さらに具体的には、株式会社ADEKA製アデカスタブAO-412S、AO-503、ケミプロ化成株式会社製KEMINOXPLS等が挙げられる。
【0244】
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0245】
また酸化防止剤の含有量は、感光性着色組成物の固形分100質量%中、0.5~5.0質量%の場合、透過率、分光特性、及び感度が良好であるためより好ましい。
【0246】
<レベリング剤(I)>
本発明の感光性着色組成物には、透明基板上での組成物の塗布性、着色被膜の乾燥性を良好することを目的として、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0247】
シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーや、側鎖や末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0248】
さらに具体的には、ビックケミー社製BYK-300、306、310、313、315N、320、322、323、330、331、333、342、345/346、347、348、349、370、377、378、3455、UV3510、3570、東レ・ダウコーニング株式会社製FZ-7002、2110、2122、2123、2191、5609、信越化学工業株式会社製X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、KF-354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-4515、KF-6004、KP-341等が挙げられる。
【0249】
フッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤又はレべリング剤が挙げられる。
【0250】
さらに具体的には、AGCセイミケミカル株式会社製サーフロンS-242、S-243、S-420、S-611、S-651、S-386、DIC株式会社製メガファックF-253、F-477、F-551、F-552、F-555、F-558、F-560、F-570、F-575,F-576、R-40-LM、R-41、RS-72-K、DS-21、住友スリーエム株式会社製FC-4430、FC-4432、三菱マテリアル電子化成株式会社製EF-PP31N09、EF-PP33G1、EF-PP32C1、株式会社ネオス製フタージェント602A等が挙げられる。
【0251】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシフェニレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキイエチレンソルビタントリイソステアレート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
【0252】
さらに具体的には、花王株式会社製エマルゲン103、104P、106、108、109P、120、123P、130K、147、150、210P、220、306P、320P、350、404、408、409PV、420、430、705、707、709、1108、1118S-70、1135S-70、1150S-60、2020G-HA、2025G、LS-106、LS-110、LS-114、MS-110、A-60、A-90、B-66、PP-290、ラテムルPD-420、PD-430、PD-430S、PD450、レオドールSP-L10、SP-P10、SP-S10V、SP-S20、SP-S30V、SP-O10V、SP-O30V、スーパーSP-L10、AS-10V、AO-10V、AO-15V、TW-L120、TW-L106、TW-P120、TW-S120V、TW-S320V、TW-O120V、TW-O106V、TW-IS399C、スーパーTW-L120、430V、440V、460V、MS-50、MS-60、MO-60、MS-165V、エマノーン1112、3199V、3299V、3299RV、4110、CH-25、CH-40、CH-60(K)、アミート102、105、105A、302、320、アミノーンPK-02S、L-02、ホモゲノールL-95、株式会社ADEKA社製アデカプルロニックL-23、31、44、61、62、64、71、72、101、121、TR-701、702、704、913R、共栄社化学株式会社製(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95等が挙げられる。
【0253】
カチオン性界面活性剤としてはアルキルアミン塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0254】
さらに具体的には、花王株式会社製アセタミン24、コータミン24P、60W、86Pコンク等が挙げられる。
【0255】
アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等が挙げられる。
【0256】
さらに具体的には、株式会社ネオス製フタージェント100、150、株式会社ADEKA社製アデカホープYES-25、アデカコールTS-230E、PS-440E、EC-8600等が挙げられる。
【0257】
両性界面活性剤としてはラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
【0258】
さらに具体的には、花王株式会社製アンヒトール20AB、20BS、24B、55AB、86B、20Y-B、20N等が挙げられる。
【0259】
本発明の感光性着色組成物にレベリング剤を含有する場合、レベリング剤の添加量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.001~2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005~1.0質量%である。この範囲内であることで、感光性着色組成物の塗布性とパターン密着性、透過率のバランスが良好となる。
本発明の感光性着色組成物は、レベリング剤を、1種類のみを含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0260】
<貯蔵安定剤>
本発明の感光性着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色剤の全量を基準(100重量%)として、0.1~10重量%の量で用いることができる。
【0261】
<密着向上剤>
本発明の感光性着色組成物には、基材との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることができる。密着向上剤による密着性が向上することにより、細線の再現性が良好となり解像度が向上する。
【0262】
密着向上剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等のアミノシラン類、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト類、p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル類、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド類、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド類、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート類などのシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤は、感光性着色組成物中の着色剤100質量部に対し、0.01~10質量部、好ましくは0.05~5質量部の量で用いることができる。この範囲内で効果が大きくなり、密着性、解像性、感度のバランスが良好であるためより好ましい。
【0263】
<感光性着色組成物の製造方法>
本発明に含まれる感光性着色組成物は、顔料等の着色剤を、分散剤、バインダー樹脂などの着色剤担体及び/又は溶剤中に、好ましくは分散助剤(色素誘導体や界面活性剤)と一緒に、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる(顔料分散体または着色剤分散体)。このとき、2種以上の着色剤等を同時に着色剤担体に分散しても良いし、別々に着色材担体に分散したものを混合しても良い。染料等、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
【0264】
また、カラーフィルタ用感光性着色組成物(レジスト材)として用いる場合には、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物は、前記着色剤分散体と、光重合性単量体及び/又は光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の分散助剤、及び添加剤等を混合して調整することができる。光重合開始剤は、着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した着色組成物に後から加えてもよい。
【0265】
<分散助剤>
着色剤を着色剤担体中に分散する際に、適宜、色素誘導体、分散剤、界面活性剤等の分散助剤を含有することができる。分散助剤は、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物は、明度、コントラスト、保存安定性が良好になる。色素誘導体と分散剤に関しては、前記に説明した通りである。
【0266】
<界面活性剤>
界面活性剤としては、前記レべリング剤にて説明したものが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0267】
界面活性剤を添加する場合には、着色剤100質量部に対し、好ましくは0.1~55質量部、さらに好ましくは0.1~45質量部である。界面活性剤の配合量が、0.1質量部未満の場合には、添加した効果が得られ難く、含有量が55質量部より多いと、過剰な分散剤により分散に影響を及ぼす場合がある。
【0268】
<溶剤(N)>
本発明の感光性着色組成物には、ガラス等の基板上に乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布して着色膜を形成することを容易にするために溶剤を含有させる。溶剤は、感光性着色組成物の塗布性が良好であることに加え、感光性着色組成物の各成分の溶解性、さらには安全性を考慮して選定される。
【0269】
溶剤としては、当該分野で通常使用される溶剤を用いることが出来、沸点、SP値、蒸発速度、粘度などの性能を勘案し、塗布条件(速度、乾燥条件など)に合わせて適宜、単独または混合して使用される。
【0270】
使用される溶剤としては、例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0271】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ-ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0272】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
【0273】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジアセテートなどが挙げられる。
【0274】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
【0275】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0276】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
【0277】
アミド溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどが挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0278】
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下である有機溶剤を含むことが好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等がより好ましい。
【0279】
<粗大粒子の除去>
本発明の着色分散体もしくは感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように感光性着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0280】
<カラーフィルタ>
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
本発明のカラーフィルタは、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、及び青色フィルタセグメントを具備する。また、カラーフィルタは、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、及び黄色フィルタセグメントを具備するものであってもよい。
【0281】
<カラーフィルタの製造方法>
カラーフィルタは、印刷法又はフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度及び平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0282】
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した感光性着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して露光(放射線の照射)を行う。その後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0283】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、露光を行うこともできる。
【0284】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明の感光性着色組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0285】
透明基板あるいは反射基板上に各色フィルタセグメントを形成する前に、あらかじめブラックマトリクスを形成することができる。ブラックマトリクスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜が用いられるが、これらに限定されない。また、上記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスター(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に各色フィルタセグメントを形成することもできる。また本発明のカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や透明導電膜などが形成される。
【0286】
本発明のカラーフィルタは、シール剤を用いて対向基板と張り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入したのち注入口を封止し、必要に応じて偏光膜や位相差膜を基板の外側に張り合わせることにより、カラー液晶表示装置が製造される。このカラー液晶表示装置は、ツイステッド・ネマティック(TN)、スーパー・ツイステッド・ネマティック(STN)、イン・プレーン・スイッチング(IPS)、ヴァーティカリー・アライメント(VA)、オプティカリー・コンベンセンド・ベンド(OCB)等のカラーフィルタを使用してカラー化を行う液晶表示モードに使用することができる。
【0287】
また、本発明のカラーフィルタは、カラー液晶表示装置以外にカラー固体撮像素子、有機EL表示装置、量子ドット表示装置、及び電子ペーパー等の製造に使用することもできる。
【0288】
<液晶表示装置>
本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタと、光源とを具備する。光源としては、冷陰極管(CCFL),白色LEDが挙げられるが、本発明においては赤の再現領域が広がるという点で、白色LEDを使用することが好ましい。図1は、本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置10の概略断面図である。図1に示す装置10は、離間対向して配置された一対の透明基板11および21を備え、それらの間には、液晶LCが封入されている。
【0289】
液晶LCは、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In-Plane switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)等の駆動モードに応じて配向される。第1の透明基板11の内面には、TFT(薄膜トランジスター)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
【0290】
他方、第2の透明基板21の内面には、本発明のカラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。
【0291】
カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。
【0292】
また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、バックライトユニット30が設けられている。
【0293】
白色LED光源としては、青色LEDの表面に蛍光フィルタを形成したものや、青色LEDの樹脂パッケージに蛍光体を含有させたものがあり、430nm~485nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ3)を有し、530nm~580nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ4)を有し、600nm~650nmの範囲内で発光強度が極大となる波長(λ5)を有し、かつ波長λ3における発光強度I3と波長λ4における発光強度I4の比(I4/I3)が0.2以上0.4以下であり、波長λ3における発光強度I3と波長λ5における発光強度I5の比(I5/I3)が0.1以上1.3以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED1)や、430nm~485nmの範囲内に発光強度が最大となる波長(λ1)を有し、530nm~580nmの範囲内に第2の発光強度のピーク波長(λ2)を有し、波長λ1における発光強度I1と波長λ2における発光強度I2の比(I2/I1)が0.2以上0.7以下である分光特性を持つ白色LED光源(LED2)が好ましい。
【0294】
LED1としては、具体的にはNSSW306D-HG-V1(日亜化学社製)、NSSW304D-HG-V1(日亜化学社製)等が挙げられる。
【0295】
LED2としては、具体的にはNSSW440(日亜化学社製)、NSSW304D(日亜化学社製)等が挙げられる。
【実施例
【0296】
以下に、実施例により本発明を説明する。なお、実施例中の「部」及び「%」とは、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0297】
実施例に先立ち、樹脂の重量平均分子量、及び樹脂の酸価の測定方法の計算方法について説明する。
【0298】
(樹脂の平均分子量)
樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてTHF溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1wt%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
【0299】
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の固形分濃度から、樹脂の固形分あたりの酸価を算出した。
【0300】
<バインダー樹脂(D)の製造例>
(バインダー樹脂(D-1)液の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管および撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン196部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より、n-ブチルメタクリレート37.2部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート12.9部、メタクリル酸12.0部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)20.7部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.1部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、アクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2部をサンプリングして180℃、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してバインダー樹脂(D-1)液を調製した。重量平均分子量(Mw)は26000であった。
【0301】
(バインダー樹脂(D-2)液の調製)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコにシクロヘキサノン370部を仕込み、80℃に昇温し、フラスコ内を窒素置換した後、滴下管より、ジシクロペンタニルメタクリレート18部、ベンジルメタクリレート10部、グリシジルメタクリレート18.2部、メタクリル酸メチル25部、及び2,2'-アゾビスイソブチロニトリル2.0部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下後、更に100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、更に100℃で1時間反応を続けた。次に、容器内を空気置換に替え、アクリル酸9.3部(グリシジル基の100%)にトリスジメチルアミノフェノール0.5部及びハイドロキノン0.1部を上記容器内に投入し、120℃で6時間反応を続け固形分酸価0.5となったところで反応を終了し、アクリル樹脂の溶液を得た。更に、引き続きテトラヒドロ無水フタル酸19.5部(生成した水酸基の100%)、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で3.5時間反応させアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(N-1)を添加してバインダー樹脂(D-2)液を調製した。重量平均分子量(Mw)は19000であった。
【0302】
<重合性化合物(B)>
重合性化合物(B)には以下の化合物を使用した。
【0303】
ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(B-1)
[アロニックスM402(東亞合成株式会社製)]
多官能ウレタンアクリレート(B-2)
[多官能ウレタンアクリレート(B-2)は、以下のように調整した。内容量が1リットルの5つ口反応容器に、ペンタエリスリトールトリアクリレート432g、ヘキサメチレンジイソシアネート84gを仕込み、60℃で8時間反応させ、アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレート(B-2)を含む生成物を得た。生成物中、多官能ウレタンアクリレート(B-2)の占める割合は、70質量%であり、残部を他の光重合性モノマーで占めている。なお、IR分析により反応生成物中にイソシアネート基が存在しないことを確認した。]
【0304】
<熱硬化性化合物(F)>
熱硬化性化合物(F)には以下の化合物を使用した。
【0305】
(エポキシ化合物(F-1))
2,2’-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物
[EHPE-3150(ダイセル社製)]、
ソルビトールのグリシジルエーテル化エポキシ化合物
[デナコールEX611(ナガセケムテックス株式会社製)]、
イソシアヌル酸トリグリシジル
を、それぞれ同量混合し、エポキシ化合物(F-1)とした。
【0306】
<光重合開始剤(E)>
光重合開始剤(E)には以下の化合物を使用した。
【0307】
(2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン)(E-1)
[Omnirad 369E(IGM Resins B.V.社製)]
化学式(4b-1)で表される化合物(E-2)
【化34】
【0308】
<増感剤(G) >
増感剤(G)には以下の化合物を使用した。
2,4-ジエチルチオキサントン(G-1)
[カヤキュアDETX-S(日本化薬社製)]
【0309】
<カルボキシル基を有する単官能チオール化合物(C-1)>
カルボキシル基を有する単官能チオール(C-1)には以下の化合物を使用した。
3-メルカプトプロピオン酸(C-1-1)
[東京化成工業株式会社製]
チオグリコール酸(C-1-2)
[東京化成工業株式会社製]
チオリンゴ酸(C-1-3)
[東京化成工業株式会社製]
【0310】
【表1】
【0311】
<カルボキシル基を有する多官能チオール化合物(C-2)>
[カルボキシル基を有する多官能チオール化合物(C-2)は、以下のように調整した。ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール10.8部、ピロメリット酸無水物10.9部、モノ-n-ブチル錫(IV)オキシド0.01部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート32.6部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で97%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後、冷却し多官能チオール(C-2-1)の40%溶液として取り出した。]
【0312】
<その他のチオール化合物(H)>
その他のチオール化合物(H)には以下の化合物を使用した。
ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(H-1)
[PEMP(堺化学工業社製)]
トリチルチオール(H-2)
[東京化成工業株式会社製]
【0313】
<レベリング剤(I)>
レベリング剤(I)には以下の化合物を使用した。
ビックケミー社製「BYK-330 」 :1部
DIC株式会社製「メガファックF-551」 :1部
花王株式会社製「エマルゲン103」 :1部
をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート97部に溶解させた混合溶液(I-1)とした。
【0314】
<溶剤(N) >
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :30部
シクロヘキサノン :30部
3-エトキシプロピオン酸エチル :10部
プロピレングリコールモノメチルエーテル :10部
シクロヘキサノールアセテート :10部
ジプロプレングリコールメチルエーテルアセテート :10部
以上、それぞれ上記重量部にて混合し、溶剤(N-1)とした。
【0315】
<緑色顔料(A)>
(微細化処理緑色顔料(A-1)の作製)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 58(DIC社製「FASTOGENGREEN A110」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次にこの混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化処理緑色顔料(A-1)を得た。
【0316】
(微細化処理緑色顔料(A-2)の作製)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン 36(トーヨーカラー社製「リオノールグリーン 6YK」):500部、塩化ナトリウム:500部、およびジエチレングリコール:250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、120℃で8時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化処理緑色顔料(A-2)を得た。
【0317】
(微細化処理緑色顔料(A-3)の作製)
三つ口フラスコに、98%硫酸500部、下記式(6)で示すフタロシアニン顔料50部、1,2-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBDMH)129.3部を加え撹拌し、20℃、6時間、反応させた。その後、3℃の氷水5000部に上記反応混合物を注入し、析出した固体をろ取し、水洗した。ビーカーに2.5%水酸化ナトリウム水溶液500部、ろ取した残渣を加え、80℃、1時間撹拌した。その後、この混合物をろ取、水洗、乾燥して、フタロシアニン環に臭素原子が平均で10.1個置換された顔料を得た。
次に、3口フラスコに、N-メチルピロリドンを500部、得られたフタロシアニン環に臭素原子が平均で10.1個置換された顔料を50部およびリン酸ジフェニル13.9部を加え、90℃に加熱し8時間反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させて、フタロシアニン系緑色顔料である微細化処理緑色顔料(A-3)を得た。
【0318】
式(6)
【化35】
【0319】
<黄色顔料J>
(微細化処理黄色顔料(J-1)の作製)
C.I.ピグメントイエロー138(PY138)(BASF社製「パリオトールイエローK0960-HD」)100部、塩化ナトリウム700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、80℃で6時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、80℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、95部の微細化処理黄色顔料(J-1)を得た。
【0320】
(微細化処理黄色顔料(J-2)の作製)
金属錯体系黄色顔料C.I.ピグメントイエロー150(ランクセス社「E4GN」)500部、塩化ナトリウム2500部、及びジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃で6時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥し、微細化処理黄色顔料(J-2)を得た。
【0321】
<樹脂型分散剤溶液(L)の製造>
市販の樹脂型分散剤であるBYK社製LPN21116と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを混合して不揮発分20質量%の溶液を調製し、樹脂型分散剤溶液(L-1)を得た。
【0322】
<顔料分散体の製造方法>
(顔料分散体(P-1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し顔料分散体(P-1)を作製した。
微細化処理緑色顔料(A-1) :14.0部
樹脂型分散剤溶液(L-1) :15.0部
バインダー樹脂(D-1)溶液 :15.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤) :56.0部
【0323】
(顔料分散体(P-2~5))
顔料、樹脂型分散剤溶液、バインダー樹脂溶液、および溶剤を表2に記載された組成、および配合量(質量部)に変更した以外は、顔料分散体(P-1)と同様に行い、顔料分散体(P-2~5)をそれぞれ作製した。
【0324】
【表2】
【0325】
[実施例1]
(感光性着色組成物(M-1))
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過し、感光性着色組成物(M-1)を作製した。
顔料分散体(P-1) :28.0部
顔料分散体(P-4) :6.0部
顔料分散体(P-5) :6.0部
カルボキシル基を有する単官能チオール(C-1-1) :0.4部
バインダー樹脂(D-2) :11.0部
重合性化合物(B-2) :4.0部
光重合性開始剤(E-1) :0.2部
光重合性開始剤(E-2) :0.2部
熱硬化性化合物(F-1) :0.1部
増感剤(G-1) :0.1部
レベリング剤(I-1) :1.0部
溶剤(N-1) :43.0部
【0326】
[実施例2~12、比較例1~3]
(感光性着色組成物(M-2~15))
表3に示す組成、および配合量(重量部)に変更した以外は実施例1の感光性着色組成物(M-1)と同様に行い、実施例2~12および比較例1~3の感光性着色組成物(M-2~15)をそれぞれ得た。なお、本明細書で実施例1、2、および12は、参考例である。
【0327】
【表3】
【0328】
<感光性着色組成物の評価>
得られた感光性着色組成物(M-1~15)の塗膜の試験を下記の方法で行った。試験の結果を表4に示す。なお、下記評価結果で、◎、○、および△は実用可、×は実用不可である。
【0329】
[シワ]
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行った。ついで220℃で30分間加熱、放冷し、塗膜基板を得た。作製した塗膜基板は、220℃での熱処理後で、膜厚が1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μmになるようにした。得られた塗膜は光学顕微鏡を用い、200倍の倍率で塗膜表面のシワを観察し、下記基準で評価した。×は使用困難なレベルである。
◎:3.0μmでもシワの発生なし
○:2.0μm以上の塗膜でシワが発生
×:1.0μm以上の塗膜でシワが発生(使用困難)
【0330】
[耐薬品性]
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行った。ついで220℃で30分間加熱、放冷し、塗膜基板を得た。作製した塗膜基板は、220℃での熱処理後で、y=0.600の色度に合うようにした。得られた塗膜のC光源での色度([L*(1)、a*(1)、b*(1)])を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」)を用いて測定した。さらにその後、耐薬品性試験として得られた塗膜を1-メチル-2-ピロリドンに30分浸漬させ、その後純水で1-メチル-2-ピロリドンを洗浄した後、C光源での色度([L*(2)、a*(2)、b*(2)])を測定し、下記計算式により、色差ΔE*abを求め、下記基準で評価した。×は使用困難なレベルである。
ΔE*ab=[[L*(2)-L*(1)]2+[a*(2)-a*(1)]2+[b*(2)-b*(1)]2]1/2
◎:ΔE*abが1.5未満
○:ΔE*abが1.5以上、3.0未満
△:ΔE*abが3.0以上、5.0未満
×:ΔE*abが5.0以上(使用困難)
【0331】
[剥離現像性]
得られた感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、超高圧水銀ランプを用いて、積算光量150mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像を行った。未露光部の現像の様子を観察し、下記基準で評価した。×は使用困難なレベルである。
◎:剥離片の発生無し
○:剥離片は5秒未満で溶解
×:剥離片の溶解に5秒以上を要する(使用困難)
【0332】
【表4】
【0333】
表4の結果から実施例1~12は、塗膜表面のシワ、耐薬品性、剥離現像性において、いずれも良好であり、実用性を有していた。
一方、比較例1~3は、実用困難であった。
【符号の説明】
【0334】
10 液晶表示装置
11 透明基板
12 TFTアレイ
13 透明電極層
14 配向層
15 偏光板
21 透明基板
22 カラーフィルタ
23 透明電極層
24 配向層
25 偏光板
30 バックライトユニット
31 白色LED光源
LC 液晶


図1