(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】タイヤ研磨装置及び研磨方法
(51)【国際特許分類】
B24B 19/22 20060101AFI20230221BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20230221BHJP
B24B 49/02 20060101ALI20230221BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20230221BHJP
B29D 30/00 20060101ALI20230221BHJP
B24B 7/16 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
B24B19/22
B24B41/06 Z
B24B49/02 Z
B24B49/12
B29D30/00
B24B7/16 Z
(21)【出願番号】P 2019028359
(22)【出願日】2019-02-20
【審査請求日】2021-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村山 翔士
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-277925(JP,A)
【文献】特開2008-128790(JP,A)
【文献】特開2001-287162(JP,A)
【文献】特開2008-137309(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03269569(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B7/16
B24B19/22-19/24
B24B41/00-51/00
B29D30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥石を用いてタイヤの側面に設けられた隆起部を研磨して浮出しマークを露出させるためのタイヤ研磨装置であって、
前記タイヤを
インフレート状態で保持するリム部と、
前記リム部を回転させる回転部と、
前記リム部の回転角度を計測するエンコーダーと、
前記側面の凹凸を計測する表面形状測定センサーと、
前記タイヤに対する前記砥石の位置を調整する調整部と、
前記隆起部の研磨状態を観測するイメージセンサーと、
前記イメージセンサーによって観測された前記隆起部の研磨状態に基づいて、当該隆起部の研磨状態の良否を判定する判定部と
、
前記表面形状測定センサーが計測した、前記側面の凹凸に関するデータに基づいて、前記隆起部の高さ及び位置を特定し、前記タイヤに対する前記砥石の位置を前記調整部に調整させる、制御部と
を備える、タイヤ研磨装置。
【請求項2】
前記隆起部の研磨状態の良否判定結果に基づいて、前記判定部が前記隆起部の研磨継続可否を判定する、請求項1に記載のタイヤ研磨装置。
【請求項3】
前記エンコーダーにおいて計測された前記リム部の回転角度に基づいて、前記判定部が前記隆起部の研磨を継続する位置を特定する、請求項2に記載のタイヤ研磨装置。
【請求項4】
砥石を用いてタイヤの側面に設けられた隆起部を研磨して浮出しマークを露出させるためのタイヤ研磨方法であって、
前記タイヤを
インフレート状態でリム部に保持する工程と、
表面形状測定センサーにて計測された、前記側面の凹凸に関するデータに基づいて、前記隆起部の高さ及び位置を特定し、前記隆起部の高さ及び位置を考慮して、前記タイヤに対する前記砥石の位置を調整する工程と、
前記砥石を用いて前記隆起部を研磨する工程と、
前記リム部を回転させながら、イメージセンサーを用いて前記隆起部の研磨状態を観測する工程と、
前記イメージセンサーによって観測された前記隆起部の研磨状態に基づいて、当該隆起部の研磨状態の良否を判定する工程と
を含
み、
前記研磨工程において、前記タイヤを回転させつつ、前記砥石の位置を微調整しながら、前記隆起部が研磨される、タイヤ研磨方法。
【請求項5】
前記隆起部の研磨状態の良否判定結果に基づいて、前記判定工程において前記隆起部の研磨継続可否が判定される、請求項4に記載のタイヤ研磨方法。
【請求項6】
前記観測工程において、エンコーダーを用いて前記リム部の回転角度が計測され、
前記エンコーダーを用いて計測された前記リム部の回転角度に基づいて、前記判定工程において前記隆起部の研磨を継続する位置が特定される、請求項5に記載のタイヤ研磨方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ研磨装置及び研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図3(a)に示されるように、タイヤ2の側面4に浮出しマーク6(ホワイトレターとも称される。)が設けられることがある。このタイヤ2を得るには、
図3(b)に示された浮出しマーク6形成用の隆起部8を有するタイヤ2が先に準備される。この隆起部8は、浮出しマーク6の表面を覆う薄いゴム層10を有する。このゴム層10を除去し浮出しマーク6を露出させることにより、
図3(a)に示されたタイヤ2が得られる。
【0003】
隆起部8のゴム層10を除去するためには、例えば、下記の特許文献1に示されたタイヤ研磨装置が用いられる。このタイヤ研磨装置では、タイヤ2はリムに組み込まれる。タイヤ2の内部に空気が充填される。隆起部8の高さ及び位置を特定した上で、研磨は行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タイヤ研磨装置においては、砥石の位置があらかじめセットされる。タイヤ2をリムに組み込んだ状態や、タイヤ2の内部に空気を充填した状態によっては、タイヤ研磨装置における隆起部8の高さ等に変動が生じることがある。この変動は、隆起部8の研磨状態に影響する。研磨が不十分な場合、ゴム層10の一部が残る恐れは否めない。このため、研磨を行ったタイヤ2全てについて、作業者による研磨状態の確認が行われる。この研磨状態の確認作業は、タイヤ2の生産性に影響する。
【0006】
タイヤ2の生産性の向上を図るために、タイヤ研磨装置において、隆起部8の研磨状態を確認し、研磨不足のタイヤ2を特定できる技術の確立が求められている。
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、タイヤの生産性の向上に貢献できる、タイヤ研磨装置及び研磨方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るタイヤ研磨装置は、砥石を用いてタイヤの側面に設けられた隆起部を研磨して浮出しマークを露出させるための装置である。このタイヤ研磨装置は、前記タイヤを保持するリム部と、前記リム部を回転させる回転部と、前記リム部の回転角度を計測するエンコーダーと、前記タイヤに対する前記砥石の位置を調整する調整部と、前記隆起部の研磨状態を観測するイメージセンサーと、前記イメージセンサーによって観測された前記隆起部の研磨状態に基づいて、当該隆起部の研磨状態の良否を判定する判定部とを備える。
【0009】
好ましくは、このタイヤ研磨装置では、前記隆起部の研磨状態の良否判定結果に基づいて、前記判定部が前記隆起部の研磨継続可否を判定する。
【0010】
好ましくは、このタイヤ研磨装置では、前記エンコーダーにおいて計測された前記リム部の回転角度に基づいて、前記判定部が前記隆起部の研磨を継続する位置を特定する。
【0011】
本発明の一態様に係るタイヤ研磨方法は、砥石を用いてタイヤの側面に設けられた隆起部を研磨して浮出しマークを露出させるための方法である。このタイヤ研磨方法は、
(1)前記タイヤをリム部に保持する工程、
(2)前記タイヤに対する前記砥石の位置を調整する工程、
(3)前記砥石を用いて前記隆起部を研磨する工程、
(4)前記リム部を回転させながら、イメージセンサーを用いて前記隆起部の研磨状態を観測する工程、及び
(5)前記イメージセンサーによって観測された前記隆起部の研磨状態に基づいて、当該隆起部の研磨状態の良否を判定する工程を含む。
【0012】
好ましくは、このタイヤ研磨方法では、前記隆起部の研磨状態の良否判定結果に基づいて、前記判定工程において前記隆起部の研磨継続可否が判定される。
【0013】
好ましくは、このタイヤ研磨方法では、前記観測工程においてエンコーダーを用いて前記リム部の回転角度が計測され、前記エンコーダーを用いて計測された前記リム部の回転角度に基づいて、前記判定工程において前記隆起部の研磨を継続する位置が特定される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のタイヤ研磨装置及び研磨方法では、イメージセンサーを用いて隆起部の研磨状態が確認され、研磨不足のタイヤが特定される。このタイヤ研磨装置及び研磨方法は、タイヤの生産性の向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ研磨装置の概要を説明する概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るタイヤ研磨方法のフローが示されたフロー図である。
【
図3】
図3は、タイヤの側面に設けられた浮出しマークを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0017】
[タイヤ研磨装置]
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ研磨装置22の概要を示す。このタイヤ研磨装置22(以下、研磨装置22とも称される。)は、
図3に示されたタイヤ2の側面4に設けられた隆起部8を研磨して浮出しマーク6を露出させるために用いられる。この研磨装置22は、リム部24、回転部26、エンコーダー28、研磨部30、調整部32、表面形状測定センサー34、及びイメージセンサー36を備える。なお、
図1に示されたタイヤ2では、説明の便宜のために、側面4に設けられた隆起部8の図示は省略する。
【0018】
リム部24は、研磨の対象であるタイヤ2を保持する。この研磨装置22では、タイヤ2を保持できるのであればリム部24の構成に特に制限はない。このリム部24は、下リム38と上リム40とを備える。図示されないが、このリム部24は、上リム40に対して下リム38を上下に移動させるために昇降手段を備える。このリム部24では、下リム38は、上リム40に対して上下に移動可能である。上リム40が下リム38に対して上下に移動可能なように、このリム部24が構成されてもよい。
【0019】
この研磨装置22では、タイヤ2の一方のビード部が下リム38に嵌め合わされると、上リム40と下リム38との間の間隔が狭められ、他方のビード部が上リム40に嵌め合わされる。タイヤ2がリム部24に組み合わされた後、配管42を通じてタイヤ2の内部に空気が充填される。これにより、タイヤ2がインフレートされる。
【0020】
回転部26は、リム部24を回転させる。前述したように、リム部24にはタイヤ2が保持される。リム部24の回転により、タイヤ2が回転する。この研磨装置22では、リム部24に保持されたタイヤ2を回転させることができるのであれば回転部26の構成に特に制限はない。
【0021】
この研磨装置22では、回転部26は回転軸44を備える。回転軸44の上端は下リム38に取り付けられ、その下端は架台46の内部にセットされた原動機(図示されず)に連結されている。原動機が回転軸44を回転させることにより、リム部24に装着されたタイヤ2が回転する。
【0022】
エンコーダー28は、回転部26の回転軸44に取り付けられる。前述したように、回転軸44にはリム部24が取り付けられる。このエンコーダー28は、リム部24の回転角度を計測する。この研磨措置では、エンコーダー28として、市販のロータリーエンコーダーが適用される。
【0023】
前述したように、リム部24にはタイヤ2が装着される。エンコーダー28により計測されるリム部24の回転角度は、このリム部24に装着されたタイヤ2の回転角度でもある。
【0024】
研磨部30は、タイヤ2の側面4に設けられた隆起部8を研磨する。この研磨装置22では、隆起部8の表面を研磨できるのであれば研磨部30の構成に特に制限はない。この研磨装置22では、研磨部30は、砥石48と、原動機50と、伝動具52とを備える。
【0025】
砥石48はディスク状である。砥石48の中心には回転棒54が通され、この回転棒54が回転可能に支持プレート56に固定される。この研磨装置22では、回転棒54はその延在方向がタイヤ2の径方向に一致するように配置される。
【0026】
原動機50は、支持プレート56に固定される。この原動機50は、砥石48を回転させるためのトルクを発生する。この研磨部30では、原動機50が駆動することにより砥石48が回転する。この研磨装置22では、原動機50はモーターである。
【0027】
伝動具52は、砥石48を支持する回転棒54と原動機50との間に位置する。伝動具52は、原動機50が発生するトルクを回転棒54に伝動する。この伝動具52には、プーリーによる伝動機構が採用されている。歯車等による伝動機構が、この伝動具52に採用されてもよい。
【0028】
この研磨装置22では、砥石48が回転しながら隆起部8に接触する。これにより、隆起部8の表面に形成された薄いゴム層10が除かれる。
【0029】
調整部32は、タイヤ2に対する砥石48の位置を調整する。この研磨装置22では、砥石48の位置を調整できるのであれば調整部32の構成に特に制限はない。この研磨装置22では、調整部32は、砥石48をタイヤ2の径方向に移動させる第一移動ユニット58と、この砥石48をこの研磨装置22の上下方向、すなわち、タイヤ2の軸方向に移動させる第二移動ユニット60とを備える。
【0030】
第一移動ユニット58は、第一案内部材62と、第一移動部材64とを備える。この第一移動ユニット58は、第一案内部材62に対して第一移動部材64が移動するように構成されている。この第一移動ユニット58では、第一移動部材64はタイヤ2の径方向に移動可能である。
【0031】
この研磨装置22では、研磨部30が固定された支持プレート56が第一移動ユニット58の第一移動部材64に固定される。研磨部30は、砥石48を備える。この第一移動ユニット58は、砥石48をタイヤ2の径方向に移動させる。この研磨装置22では、第一移動ユニット58により、砥石48の径方向位置が調整される。
【0032】
第二移動ユニット60は、第二案内部材66と、第二移動部材68とを備える。この第二移動ユニット60は、第二案内部材66に対して第二移動部材68が移動するように構成されている。この第二移動ユニット60では、第二移動部材68はタイヤ2の軸方向、言い換えればこの研磨装置22の上下方向に移動可能である。
【0033】
この研磨装置22では、第二移動ユニット60の第二移動部材68に、前述の第一移動ユニット58がセットされる。前述したように、第一移動ユニット58には砥石48がセットされる。したがって、この第二移動ユニット60は、砥石48をタイヤ2の軸方向に移動させる。この研磨装置22では、第二移動ユニット60により、砥石48の軸方向位置が調整される。
【0034】
表面形状測定センサー34は、リム部24に装着されたタイヤ2の側面4に対向するように配置される。この表面形状測定センサー34は、側面4の凹凸を計測する。この計測は、タイヤ2を回転させながら行われる。この研磨装置22では、表面形状測定センサー34により計測された側面4の凹凸に関するデータに基づいて、隆起部8の高さ及び位置が特定される。
【0035】
この研磨装置22では、側面4の凹凸が計測できるのであれば表面形状測定センサー34の構成に特に制限はない。この研磨装置22では、表面形状測定センサー34として、市販のレーザー変位計が適用される。
【0036】
イメージセンサー36は、リム部24に装着されたタイヤ2の側面4に対向するように配置される。このイメージセンサー36は、研磨の対象である隆起部8の研磨状態を観測する。この観測は、タイヤ2を回転させながら行われる。
【0037】
この研磨装置22では、隆起部8の研磨状態を観測できるのであればイメージセンサー36の構成に特に制限はない。この研磨装置22では、イメージセンサー36として、市販のイメージセンサー(例えば、キーエンス社製の「デジタルカラー判別センサ CZ-Vシリーズ」)が適用される。
【0038】
この研磨装置22は、制御モジュール70を備える。この制御モジュール70は、例えばCPU等の演算部、RAM及びROMを含む記憶部等を有するマイクロコンピュータにより構成され、記憶部に記憶されたプログラムを演算部が実行することによって所定の機能を発揮する。
【0039】
この研磨装置22では、制御モジュール70は、リム部24、回転部26、エンコーダー28、研磨部30、調整部32、表面形状測定センサー34及びイメージセンサー36と通信ケーブル72で繋げられる。
【0040】
この研磨装置22において制御モジュール70は、記憶部に記憶された、この研磨装置22の動作設定に基づいて、リム部24、回転部26、エンコーダー28、研磨部30、調整部32、表面形状測定センサー34、及びイメージセンサー36の動作を制御する制御部74としての機能を有する。言い換えれば、この研磨装置22は、一構成要素として、この研磨装置22の動作設定プログラムに基づいて、リム部24、回転部26、エンコーダー28、研磨部30、調整部32、表面形状測定センサー34、及びイメージセンサー36の動作を制御する制御部74を備える。
【0041】
この制御モジュール70は、リム部24を稼働させて、このリム部24にタイヤ2をインフレート状態で保持させる。この制御モジュール70は、リム部24に保持されたタイヤ2の側面4の凹凸を表面形状測定センサー34に計測させる。この制御モジュール70は、この表面形状測定センサー34から入力された、側面4の凹凸に関するデータに基づいて、隆起部8の高さ及び位置を特定し、タイヤ2に対する砥石48の位置を調整部32に調整させる。この制御モジュール70は、回転部26にリム部24を回転させる。この制御モジュール70は、研磨部30に砥石48を回転させる。この制御モジュール70は、タイヤ2を回転させつつ、砥石48の位置を微調整しながら、隆起部8を研磨する。
【0042】
この研磨装置22では、隆起部8の研磨後、制御モジュール70は、隆起部8表面における浮出しマーク6の露出状況をイメージセンサー36に観測させる。この制御モジュール70には、イメージセンサー36において得られる、隆起部8表面における浮出しマーク6の露出状況に関するデータ(例えば、露出した浮出しマーク6に対応する白色部分の位置情報)、言い換えれば、隆起部8の研磨状態に関するデータが入力される。このデータに基づいて、この制御モジュール70は、隆起部8の研磨状態の良否を判定する。
【0043】
この研磨装置22は、研磨状態の判定の基準としての閾値を設定することができる。この研磨装置22では、制御モジュール70にこの閾値が記憶されるとともに、この制御モジュール70において、イメージセンサー36から入力されたデータに基づいて白色部分の面積が算出され、この算出面積と閾値とが対比される。そして、この対比に基づいて、隆起部8の研磨状態の良否が判定される。
【0044】
この研磨装置22の制御モジュール70は、イメージセンサー36によって観測された隆起部8の研磨状態に基づいて、隆起部8の研磨状態の良否を判定する、判定部76としての機能を有する。言い換えれば、この研磨装置22は、一構成要素として、イメージセンサー36によって観測された隆起部8の研磨状態に基づいて、隆起部8の研磨状態の良否を判定する、判定部76を備える。
【0045】
この研磨装置22では、イメージセンサー36を用いて隆起部8の研磨状態が確認され、そして研磨不足のタイヤ2が特定される。この研磨装置22では、作業者による研磨状態の確認作業は不要である。このタイヤ研磨装置22は、タイヤ2の生産性の向上に貢献できる。
【0046】
この研磨装置22では、隆起部8の研磨状態の良否判定結果に基づいて、判定部76としての制御モジュール70が隆起部8の研磨継続可否を判定してもよい。この場合、前述の、白色部分の算出面積と閾値とを対比し、算出面積が閾値を超えていれば、研磨状態は良好と判定され、隆起部8の研磨は終了する。算出面積が閾値以下であれば、研磨状態は不良と判定され、再度、隆起部8が研磨される。この研磨装置22では、ゴム層10の一部が残存していても、隆起部8の研磨継続可否の判定を繰り返すことにより、隆起部8が良好に研磨され、浮出しマーク6が鮮明に露出したタイヤ2が得られる。この研磨装置22では、ゴム層10の残存が確認されたタイヤ2について行われていた、作業者による、ゴム層10の除去作業が不要である。この研磨装置22は、タイヤ2の生産性を効果的に向上させる。この観点から、この研磨装置22では、隆起部8の研磨状態の良否判定結果に基づいて、判定部76としての制御モジュール70は隆起部8の研磨継続可否を判定するのが好ましい。
【0047】
前述したように、この研磨装置22では、エンコーダー28においてリム部24の回転角度が計測される。イメージセンサー36においては、タイヤ2の側面4の画像データが取得される。この研磨装置22では、リム部24の回転角度、すなわちタイヤ2の回転角度を側面4の画像データに関連付けることにより、隆起部8各部の研磨状態が把握できる。研磨の不十分な位置が特定できるので、この研磨装置22は、研磨の不十分な位置に限定して、研磨を行うことができる。この研磨装置22では、隆起部8は必要以上に研磨されない。この研磨装置22は、タイヤ2の生産性をより効果的に向上させる。この観点から、エンコーダー28において計測されたリム部24の回転角度に基づいて、判定部76としての制御モジュール70は隆起部8の研磨を継続する位置を特定するのが好ましい。
【0048】
[タイヤ研磨方法]
次に、砥石48を用いてタイヤ2の側面4に設けられた隆起部8を研磨して浮出しマーク6を露出させるためのタイヤ研磨方法について説明する。このタイヤ研磨方法には、前述の研磨装置22が用いられる。
【0049】
図2は、このタイヤ研磨方法(以下、研磨方法とも称される。)のフローを示す。この研磨方法は、保持工程S1、調整工程S2、研磨工程S3、観測工程S4及び判定工程S5を含む。
【0050】
保持工程S1では、タイヤ2がリム部24に保持される。この保持工程S1では、タイヤ2がリム部24に組み込まれた後、タイヤ2の内部に空気が充填され、タイヤ2がインフレートされる。これにより、タイヤ2の保持が完了する。
【0051】
調整工程S2では、表面形状測定センサー34を用いて、側面4の凹凸状態が計測される。この表面形状測定センサー34にて計測された、側面4の凹凸に関するデータに基づいて、隆起部8の高さ及び位置が特定される。隆起部8の高さ及び位置を考慮して、タイヤ2に対する砥石48の位置が調整される。
【0052】
研磨工程S3では、砥石48が回転させられる。リム部24を回転させて、タイヤ2が回転させられる。隆起部8の表面に砥石48が当てられ、隆起部8が研磨される。この研磨工程S3では、リム部24を回転させてタイヤ2を回転させながら、砥石48を用いて隆起部8が研磨される。研磨を開始してから予め設定された時間が経過すると、砥石48が隆起物から離され、研磨が停止される。なお、砥石48が研磨できる領域よりも研磨すべき領域が大きい場合、この研磨工程S3において、タイヤ2を回転させつつ、調整部32を用いて砥石48の位置を微調整しながら、隆起部8は研磨される。
【0053】
観測工程S4では、隆起部8の研磨が終わると、イメージセンサー36を用いて、隆起部8表面における浮出しマーク6の露出状況、すなわち隆起部8の研磨状態が観測される。これにより、隆起部8の研磨状態に関するデータが得られる。
【0054】
判定工程S5では、イメージセンサー36によって観測された隆起部8の研磨状態に基づいて、隆起部8の研磨状態の良否が判定される。この判定工程S5では、研磨状態の良否判定のために、例えば、前述したように、イメージセンサー36から入力されたデータに基づいて算出される、露出した浮出しマーク6に対応する白色部分の面積が用いられる。この算出面積と、予め設定された閾値とを対比することで、隆起部8の研磨状態の良否が判定される。
【0055】
この研磨方法では、イメージセンサー36を用いて隆起部8の研磨状態が確認され、研磨不足のタイヤ2が特定される。この研磨方法では、作業者による研磨状態の確認作業は不要である。このタイヤ研磨方法は、タイヤ2の生産性の向上に貢献できる。
【0056】
この研磨方法では、隆起部8の研磨状態の良否判定結果に基づいて、判定工程S5において、隆起部8の研磨継続可否が判定されてもよい。この場合、判定の基準となる閾値が設定され、前述の、白色部分の算出面積とこの閾値とが対比される。この対比において、算出面積が閾値を超えていれば、研磨状態は良好と判定され、隆起部8の研磨は終了する。算出面積が閾値以下であれば、研磨状態は不良と判定され、再度、隆起部8が研磨される。
【0057】
この研磨方法では、ゴム層10の一部が残存しても、隆起部8の研磨継続可否の判定を繰り返すことにより、隆起部8が良好に研磨され、浮出しマーク6が鮮明に露出したタイヤ2が得られる。この研磨方法では、ゴム層10の残存が確認されたタイヤ2について行われていた、作業者による、ゴム層10の除去作業が不要である。この研磨方法は、タイヤ2の生産性を効果的に向上させる。この観点から、この研磨方法では、隆起部8の研磨状態の良否判定結果に基づいて、判定工程S5において隆起部8の研磨継続可否が判定されるのが好ましい。
【0058】
前述したように、この研磨装置22では、エンコーダー28においてリム部24の回転角度が計測される。イメージセンサー36においては、タイヤ2の側面4の画像データが取得される。この研磨方法では、リム部24の回転角度、すなわちタイヤ2の回転角度を側面4の画像データに関連付けることにより、隆起部8各部の研磨状態が把握できる。研磨の不十分な位置が特定できるので、この研磨方法は、この研磨の不十分な位置に限定して、研磨を行うことができる。この研磨方法では、隆起部8は必要以上に研磨されない。この研磨方法は、タイヤ2の生産性をより効果的に向上させる。この観点から、観測工程において、エンコーダー28を用いてリム部24の回転角度が計測され、このエンコーダー28において計測されたリム部24の回転角度に基づいて、判定工程において隆起部8の研磨を継続する位置が特定されるのが好ましい。
【0059】
以上説明したように、本発明のタイヤ研磨装置22及び研磨方法では、イメージセンサー36を用いて隆起部8の研磨状態が確認され、研磨不足のタイヤ2が特定される。このタイヤ研磨装置22及び研磨方法は、タイヤ2の生産性の向上に貢献できる。
【0060】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は前述の実施形態に限定されるものではなく、この技術的範囲には特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上説明された隆起部の表面の研磨技術は、種々のタイヤにも適用できる。
【符号の説明】
【0062】
2・・・タイヤ
4・・・側面
6・・・浮出しマーク
8・・・隆起部
10・・・ゴム層
22・・・タイヤ研磨装置
24・・・リム部
26・・・回転部
28・・・エンコーダー
30・・・研磨部
32・・・調整部
34・・・表面形状測定センサー
36・・・イメージセンサー
44・・・回転軸
48・・・砥石
58・・・第一移動ユニット
60・・・第二移動ユニット
70・・・制御モジュール
74・・・制御部
76・・・判定部