(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】補正装置、補正方法及び補正プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20230221BHJP
H04N 1/60 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
G06T1/00 510
H04N1/60
(21)【出願番号】P 2019049373
(22)【出願日】2019-03-18
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】尾塩 浩
(72)【発明者】
【氏名】猪野 広紀
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/004005(WO,A1)
【文献】特開2009-071541(JP,A)
【文献】特開2011-182006(JP,A)
【文献】望月 理香 ほか2名,色弁別閾値を基準とした新しい色弱補正法の提案,電子情報通信学会論文誌 ,2011年02月01日,第J94-A巻 第2号,p.127~137
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
H04N 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色域それぞれに対するユーザの感度特性の情報に基づき、感度が所定の閾値以下となる色域を特定する特定部と、
特定した前記色域ごとの感度に応じて、前記色域に対する濃度の調整、彩度の調整、前記色域とは異なる他の色域への変換、の少なくともいずれかを行うプロファイルを生成する生成部と
、
生成された前記プロファイルを使用して、各画素の画素値が変換された画像データが表示画面に表示された場合であって、ユーザから位置の指定を受け付け、受け付けた位置における前記画像データの色がユーザによって指示された色に変更された場合に、変更後の色に基づいて、生成された前記プロファイルを補正する補正部と
を有する補正装置。
【請求項2】
前記特定部は、異なる色の組に対して入力を受け付けたユーザの認識結果に基づいて、該ユーザの前記感度特性を判定する、請求項1に記載の補正装置。
【請求項3】
前記特定部は、異なる色の組に対して入力を受け付けたユーザの認識結果に基づいて、該ユーザの色覚特性のタイプ及び各タイプのレベルを判定し、判定結果に基づいて、該ユーザの前記感度特性を判定する、請求項1に記載の補正装置。
【請求項4】
前記生成部は、特定した前記色域の感度がゼロの場合、前記色域とは異なる他の色域への変換を行うプロファイルを生成する、請求項1に記載の補正装置。
【請求項5】
前記生成部は、特定した前記色域の感度がゼロではない場合、前記色域に対する濃度の調整、彩度の調整のいずれかを行うプロファイルを生成する、請求項1に記載の補正装置。
【請求項6】
異なる色域それぞれに対するユーザの感度特性の情報に基づき、感度が所定の閾値以下となる色域を特定し、
特定した前記色域ごとの感度に応じて、前記色域に対する濃度の調整、彩度の調整、前記色域とは異なる他の色域への変換、の少なくともいずれかを行うプロファイルを生成
し、
生成された前記プロファイルを使用して、各画素の画素値が変換された画像データが表示画面に表示された場合であって、ユーザから位置の指定を受け付け、受け付けた位置における前記画像データの色がユーザによって指示された色に変更された場合に、変更後の色に基づいて、生成された前記プロファイルを補正する、
処理をコンピュータが実行する補正方法。
【請求項7】
異なる色域それぞれに対するユーザの感度特性の情報に基づき、感度が所定の閾値以下となる色域を特定し、
特定した前記色域ごとの感度に応じて、前記色域に対する濃度の調整、彩度の調整、前記色域とは異なる他の色域への変換、の少なくともいずれかを行うプロファイルを生成
し、
生成された前記プロファイルを使用して、各画素の画素値が変換された画像データが表示画面に表示された場合であって、ユーザから位置の指定を受け付け、受け付けた位置における前記画像データの色がユーザによって指示された色に変更された場合に、変更後の色に基づいて、生成された前記プロファイルを補正する、
処理をコンピュータに実行させるための補正プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補正装置、補正方法及び補正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に色覚特性が異なる人(例えば、1型色覚、2型色覚等と診断された人)の場合、表示されたカラー画像に写る物体の状態を正しく認識できなかったり、カラー画像全体の情景を他の人とは異なる情景として捉えることになる。
【0003】
これは、色覚特性が異なる人の場合、特定の波長を検知することができないか、あるいは特定の波長を検知する感度が低いからである。
【0004】
一方で、従来より、色覚特性が異なる人を検査し、いずれのタイプに属するかを判定する判定手法が提案されている。当該判定手法によれば、色覚特性が異なる人を複数のタイプに分類することができるため、例えば、携帯端末に表示するカラー画像について、タイプに応じた色変換を行うことで、ユーザに見やすく表示することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、同じタイプに分類されたユーザであっても、波長を検知する感度にはレベル差がある。このため、タイプごとに一律に色変換を行うことは妥当でない。
【0007】
一つの側面では、ユーザの色覚特性に応じたカラー画像の表示を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、補正装置は、
異なる色域それぞれに対するユーザの感度特性の情報に基づき、感度が所定の閾値以下となる色域を特定する特定部と、
特定した前記色域ごとの感度に応じて、前記色域に対する濃度の調整、彩度の調整、前記色域とは異なる他の色域への変換、の少なくともいずれかを行うプロファイルを生成する生成部と、
生成された前記プロファイルを使用して、各画素の画素値が変換された画像データが表示画面に表示された場合であって、ユーザから位置の指定を受け付け、受け付けた位置における前記画像データの色がユーザによって指示された色に変更された場合に、変更後の色に基づいて、生成された前記プロファイルを補正する補正部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
ユーザの色覚特性に応じたカラー画像の表示を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】携帯端末の外観構成及び機能構成の一例を示す図である。
【
図2】携帯端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】ユーザ用プロファイルの一例を示す図である。
【
図5】特性判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】判定用データの組群の具体例を示す図である。
【
図7】ユーザの色覚特性の判定結果の一例を示す図である。
【
図8】ユーザ用プロファイル生成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】ユーザ用プロファイル生成処理の具体例を示す図である。
【
図10】表示処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】ユーザ用プロファイルを使用して画像データを表示する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】表示処理中の画面例を示す第1の図である。
【
図13】表示処理中の画面例を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0012】
[第1の実施形態]
<携帯端末の外観構成及び機能構成>
はじめに、第1の実施形態に係る補正装置の一例である、携帯端末の外観構成及び機能構成について説明する。
図1は、携帯端末の外観構成及び機能構成の一例を示す図である。
図1に示すように、携帯端末100の表示画面には、携帯端末100にインストールされている各種プログラムを起動させるためのアイコンが表示される。
【0013】
図1(a-1)の例は、生成プログラムを起動させるための“生成アプリ”アイコン101が表示され、ユーザから、“生成アプリ”アイコン101のタップを受け付けた様子を示している。
【0014】
生成プログラムとは、携帯端末100のユーザの色覚特性を判定し、表示画面に表示されるカラー画像(静止画、動画)のプロファイルを、判定した色覚特性に応じて生成するためのプログラムである。
【0015】
“生成アプリ”アイコン101のタップを受け付けることで、携帯端末100は生成プログラムが起動する。これにより、携帯端末100は、
図1(a-2)に示すように、特性判定部110及びプロファイル生成部120として機能する。
【0016】
特性判定部110は特定部の一例である。特性判定部110は、判定用データ格納部130に格納された複数の判定用データ(様々な色のブロック)を読み出し、携帯端末100の表示画面に異なる判定用データ同士を組み合わせて表示する。また、特性判定部110は、表示した判定用データの組における色の違いを、ユーザが認識できるか否かを判定することで、ユーザの色覚特性を判定する(感度が所定の閾値以下となる色域を特定する)。
【0017】
プロファイル生成部120は生成部の一例であり、プロファイル格納部140に格納されたデフォルトのプロファイルを読み出し、特性判定部110において判定された、ユーザの色覚特性に基づいてユーザ用プロファイルを生成する。なお、デフォルトのプロファイルとは、ユーザの感度に関係なく予め設定されたプロファイルである。プロファイル生成部120では、ユーザの感度が低い波長の色を、濃度や彩度を増大させた色に変換するユーザ用プロファイルを生成する。また、プロファイル生成部120では、ユーザが検知できない波長の色を、ユーザが検知できる波長の色に変換するユーザ用プロファイルを生成する。更に、プロファイル生成部120は、生成したユーザ用プロファイルを、ユーザ情報と対応付けてプロファイル格納部140に格納する。
【0018】
一方、
図1(b-1)の例は、画像用プログラムを起動させるための“画像用アプリ”アイコン102が表示され、ユーザから、“画像用アプリ”アイコン102のタップを受け付けた様子を示している。
【0019】
画像用プログラムとは、携帯端末100の表示画面に、静止画を表示したり、動画を再生したりするためのプログラムの総称である。
【0020】
“画像用アプリ”アイコン102のタップを受け付けることで、携帯端末100は画像用プログラムが起動する。これにより、携帯端末100は、
図1(b-2)に示すように、画像表示部150、プロファイル選択部160、プロファイル補正部170として機能する。
【0021】
画像表示部150は、携帯端末100のユーザからの指示に基づいて、カラー画像(静止画または動画)を、携帯端末100の表示画面に表示する。
【0022】
プロファイル選択部160は変換部の一例である。プロファイル選択部160は、“画像用アプリ”アイコン102をタップしたユーザに応じたユーザ用プロファイルを、プロファイル格納部140から読み出す。また、プロファイル選択部160は、読み出したユーザ用プロファイルを使用して、画像表示部150によって携帯端末100の表示画面に表示されるカラー画像(静止画または動画)の各画素の画素値を変換する。これにより、携帯端末100のユーザは、自身が検知しやすい波長の色が含まれるカラー画像を視認することができる。
【0023】
プロファイル補正部170は補正部の一例である。プロファイル補正部170は、携帯端末100の表示画面に表示中のカラー画像に対して、ユーザが、特定の領域を指定することで、自身が検知しにくい波長の色を指定した場合に、これを受け付ける。
【0024】
また、プロファイル補正部170は、指定を受け付けた色について、ユーザの指示に基づいてユーザが検知しやすい波長の色に変更することで、ユーザ用プロファイルを補正する。更に、プロファイル補正部170は、補正後のユーザ用プロファイルをプロファイル格納部140に格納する。
【0025】
<携帯端末のハードウェア構成>
次に、携帯端末100のハードウェア構成について説明する。
図2は、携帯端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、携帯端末100は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203を有する。CPU201、ROM202、RAM203は、いわゆるコンピュータを形成する。
【0026】
また、携帯端末100は、補助記憶装置204、タッチパネル装置205、通信装置206、音声入力装置207、音声出力装置208を有する。なお、携帯端末100の各ハードウェアは、バス209を介して相互に接続されている。
【0027】
CPU201は、補助記憶装置204にインストールされている各種プログラム(例えば、生成プログラム、画像用プログラム等)を実行する演算デバイスである。CPU201が生成プログラムを実行することで、携帯端末100は、特性判定部110及びプロファイル生成部120として機能する。また、CPU201が画像用プログラムを実行することで、携帯端末100は、画像表示部150、プロファイル選択部160、プロファイル補正部170として機能する。
【0028】
ROM202は、不揮発性メモリである。ROM202は、補助記憶装置204にインストールされている各種プログラムをCPU201が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する主記憶デバイスとして機能する。
【0029】
RAM203は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM203は、補助記憶装置204にインストールされている各種プログラムがCPU201によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0030】
補助記憶装置204は、各種プログラム(例えば、生成プログラム、画像用プログラム等)や、各種プログラムが実行される際に用いられる情報を格納する補助記憶デバイスである。例えば、判定用データ格納部130、プロファイル格納部140は、補助記憶装置204において実現される。
【0031】
タッチパネル装置205は、表示画面を有し、カラー画像を表示する表示デバイスである。また、タッチパネル装置205は、携帯端末100のユーザが携帯端末100に対して各種指示を入力する際に用いる入力デバイスでもある。
【0032】
通信装置206は、不図示のネットワークに接続するための通信デバイスである。なお、補助記憶装置204にインストールされる各種プログラムは、例えば、通信装置206を介して、ネットワークよりダウンロードされることでインストールされる。
【0033】
音声入力装置207は、携帯端末100のユーザが携帯端末100に対して各種指示を音声入力するための音声入力デバイスである。音声出力装置208は、携帯端末100のユーザに対して、携帯端末100の内部状態を音声出力するための音声出力デバイスである。
【0034】
<判定用データの具体例>
次に、判定用データ格納部130に格納される判定用データについて説明する。
図3は、判定用データの一例を示す図である。
【0035】
図3に示すように、判定用データ格納部130には、様々な色相の色のブロックを含む判定用データ群300が格納される。なお、
図3の例では、判定用データ群300として、“5R”、“10R”、“5YR”、・・・等、20種類の判定用データが示されているが、判定用データ群300に含まれる判定用データは20種類に限定されない。
【0036】
例えば、“5R”で特定される色の判定用データと、“10R”で特定される色の判定用データとの間には、“5R”で特定される色と、“10R”で特定される色との間の色相を有する判定用データが複数含まれているものとする。
【0037】
また、
図3の例では、各色相に対して、1種類の濃度及び彩度の判定用データを示しているが、各色相には、濃度及び彩度の異なる複数の判定用データが含まれているものとする。
【0038】
図3に例示した判定用データ群300に対して、特性判定部110では、異なる判定用データ同士を組み合わせ、判定用データの組を生成する。
図3において、組310_1は、“5R”で特定される色の判定用データと、“10R”で特定される色の判定用データとの組を生成した様子を示している。
図3の符号310は、特性判定部110により生成された、判定用データの組群の一例を示している。
【0039】
<ユーザ用プロファイルの具体例>
次に、プロファイル格納部140に格納されるユーザ用プロファイルについて説明する。
図4は、ユーザ用プロファイルの一例を示す図である。
図4に示すように、ユーザ用プロファイル400は、Lab色空間における、変換前の色と変換後の色との対応関係を、ユーザの色覚特性に応じて規定したテーブルである。
【0040】
図4に示すように、ユーザ用プロファイル400には、情報の項目として、“変換前”と“変換後”とが含まれ、それぞれの項目には、更に“L”、“a”、“b”、“L’”、“a’”、“b’”、が含まれる。このように、ユーザ用プロファイル400には、Lab色空間における変換前の色(L値、a値、b値)と、変換後の色(L’値、a’値、b’値)とが対応付けて格納される。
【0041】
図4に示すユーザ用プロファイル400を使用することで、例えば、色(L
1、a
1、b
1)は、色(L
1’、a
1’、b
1’)に変換され、色(L
2、a
2、b
2)は、色(L
2’、a
2’、b
2’)に変換される。また、
図4に示すユーザ用プロファイル400を使用することで、例えば、色(L
3、a
3、b
3)は、色(L
3’、a
3’、b
3’)に変換される。
【0042】
なお、携帯端末100の表示画面に表示されるカラー画像の各画素の画素値は、(R値、G値、B値)で規定される。このため、プロファイル選択部160では、カラー画像を表示するにあたり、RGB色空間で表される各画素の画素値(R値、G値、B値)を、一旦、Lab色空間に変換し、画素値(L値、a値、b値)を得る。そして、プロファイル選択部160では、ユーザ用プロファイル400に基づいて、Lab色空間内で画素値を変換し、変換後の画素値(L’値、a’値、b’値)を得た後、更に画素値(R’値、G’値、B’値)に変換して出力する。
【0043】
なお、携帯端末100の表示画面に表示されるカラー画像が、例えば、カラーの印刷物をスキャンした画像であった場合には、スキャン時に、画素値(C値、M値、Y値、K値)が画素値(R値、G値、B値)に変換される。また、プロファイル選択部160より出力されるカラー画像が、例えば、プリントアウトされる場合にあっては、プリント時に、画素値(R’値、G’値、B’値)が画素値(C’値、M’値、Y’値、K’値)に変換される。
【0044】
<特性判定処理の流れ>
次に、特性判定部110により実行される特性判定処理の流れについて説明する。
図5は、特性判定処理の流れを示すフローチャートである。生成プログラムが起動され、特性判定部110が動作することにより、
図5に示すフローチャートが実行される。
【0045】
ステップS501において、特性判定部110は、判定用データ格納部130に格納された判定用データ群300を読み出す。
【0046】
ステップS502において、特性判定部110は、読み出した判定用データ群300から、予め定められた判定用データの組を選択し、選択した判定用データの組を設定する。
【0047】
ステップS503において、特性判定部110は、組カウンタiに“1”を入力する。
【0048】
ステップS504において、特性判定部110は、設定した判定用データの組のうち、i番目の判定用データの組を、携帯端末100の表示画面に表示する。
【0049】
ステップS505において、特性判定部110は、表示した判定用データの組に対するユーザの入力を受け付ける。ユーザは、特性判定部110により表示された判定用データの組について、それぞれの色を認識できたか否かを示す認識結果を入力する。特性判定部110は、ユーザにより入力された認識結果を蓄積する。
【0050】
ステップS506において、特性判定部110は、ステップS505において蓄積された認識結果に基づいて、ユーザの色覚特性を判定可能か否かを判断する。ステップS506において、判定可能でないと判断した場合には(ステップS506においてNOの場合には)、ステップS507に進む。
【0051】
ステップS507において、特性判定部110は、ステップS502において設定された判定用データの組に対して、更に、判定用データの組の追加が必要か否かを判断する。ステップS502において設定された判定用データの組のうち、未だ、表示されていない判定用データの組がある場合、特性判定部110は、ステップS507において判定用データの組の追加が不要であると判断する(ステップS507においてNOと判断する)。この場合、特性判定部110は、直接、ステップS509に進む。
【0052】
一方、ステップS502において設定された全ての判定用データの組について表示が完了していた場合、特性判定部110は、ステップS507において判定用データの組の追加が必要であると判断する(ステップS507においてYESと判断する)。この場合、特性判定部110は、ステップS508に進む。
【0053】
ステップS508において、特性判定部110は、新たな判定用データの組を追加して設定する。
【0054】
ステップS509において、特性判定部110は、組カウンタiをインクリメントし、ステップS504に戻る。
【0055】
一方、ステップS506において、ユーザの色覚特性を判定可能であると判断した場合には(ステップS506においてYESの場合には)、ステップS510に進む。ステップS510において、特性判定部110は、ステップS505において蓄積した認識結果に基づいて、ユーザの色覚特性を判定し、特性判定処理を終了する。
【0056】
<特性判定処理の具体例>
次に、特性判定処理の具体例として、特性判定部110により設定される判定用データの組群、及び、特性判定部110により判定される、ユーザの色覚特性の具体例について説明する。
【0057】
図6は、判定用データの組群の具体例を示す図である。
図6に示すように、特性判定部110は、予め定められた判定用データの組600_1~600_Nを選択し、選択した判定用データの組600_1~600_Nを設定する。
【0058】
設定された判定用データの組600_1~600_Nは、順次、表示画面に表示され、ユーザにより、認識結果が入力される。
図6の例は、このうち、判定用データの組600_2に含まれる色についてはユーザが認識できたが、判定用データの組600_3に含まれる色についてはユーザが認識できなかった場合を示している。
【0059】
この場合、特性判定部110では、判定用データの組600_2と判定用データの組600_3との間に含まれる判定用データの組610_1及び判定用データの組610_2を追加して設定する。また、ユーザは、判定用データの組610_1及び判定用データの組610_2について、認識結果を入力する。
【0060】
図6の例は、判定用データの組610_1に含まれる色についてはユーザが認識できたが、判定用データの組610_2に含まれる色についてはユーザが認識できなかった場合を示している。
【0061】
この場合、特性判定部110では、判定用データの組610_1と判定用データの組610_2との間に含まれる判定用データの組620_1を追加して設定する。また、ユーザは、判定用データの組620_1について、認識結果を入力する。
【0062】
このように、特性判定部110では、予め定められた判定用データの組群600に対して入力されたユーザの認識結果に基づいて、判定用データの組を順次追加し、判定用データの組群610、620へと組群を拡張していく。これにより、特性判定部110では、ユーザの色覚特性を所定のタイプ(1色覚、2色覚、1型色覚、2型色覚、3型色覚)に分類するだけでなく、各タイプのレベルを判定することが可能となる。
【0063】
なお、1色覚とは、L錐体(赤色を検知する錐体)、M錐体(緑色を検知する錐体)、S錐体(青色を検知する錐体)のいずれも働かないタイプの色覚特性を指す。また、2色覚とは、L錐体、M錐体、S錐体のいずれか1つの錐体が働かないタイプの色覚特性を指す。更に、1型色覚とは、L錐体の感度が低いタイプの色覚特性を指し、2型色覚とは、M錐体の感度が低いタイプの色覚特性を指し、3型色覚とは、S錐体の感度が低いタイプの色覚特性を指す。
【0064】
図7は、ユーザの色覚特性の判定結果の一例を示す図である。上述したとおり、色覚特性のタイプには、“1色覚”、“2色覚”、“1型色覚”、“2型色覚”、“3型色覚”が含まれ、特性判定部110では、それぞれのタイプについて、レベルを判定する。なお、特性判定部110は、特性判定処理において蓄積された様々な色についての認識結果から、各錐体の感度を推定することで、ユーザがそれぞれのタイプについてどのレベルにあるのかを判定するものとする。
【0065】
判定結果700の例では、それぞれのタイプのレベルをバーグラフで表現し、ユーザがそれぞれのタイプについてどのレベルにあるのかを、三角形のマーカにより表現している。
【0066】
<ユーザ用プロファイル生成処理の流れ>
次に、プロファイル生成部120により実行されるユーザ用プロファイル生成処理の流れについて説明する。
図8は、ユーザ用プロファイル生成処理の流れを示すフローチャートである。生成プログラムが起動され、特性判定部110による特性判定処理が終了すると、プロファイル生成部120が動作し、
図8に示すフローチャートが実行される。
【0067】
ステップS801において、プロファイル生成部120は、特性判定部110により判定された判定結果700を取得する。
【0068】
ステップS802において、プロファイル生成部120は、判定結果700に基づいて、感度が低い(ゼロではないが、所定の閾値以下に低下している)波長範囲の色域を特定する。また、プロファイル生成部120は、特定した色域に含まれる色(L値、a値、b値)を、デフォルトのプロファイルの“変換前”において特定する。
【0069】
また、プロファイル生成部120は、特定した色の濃度や彩度を増大させた色(L’値、a’値、b’値)を判定する。更に、プロファイル生成部120は、特定した色(L値、a値、b値)に対応付けて、判定した色(L’値、a’値、b’値)を、デフォルトのプロファイルの“変換後”に格納する。これにより、感度が低い(所定の閾値以下に低下している)波長範囲の色域について、ユーザ用プロファイル400を生成することができる。
【0070】
ステップS803において、プロファイル生成部120は、判定結果700に基づいて、検知不可能な(感度がゼロの)波長範囲の色域を特定し、当該色域に含まれる色(L値、a値、b値)を、デフォルトのプロファイルの“変換前”において特定する。また、プロファイル生成部120は、特定した色に色相が近い色であって、ユーザが検知可能な波長の色(L’値、a’値、b’値)を判定する。そして、プロファイル生成部120は、特定した色(L値、a値、b値)に対応付けて、判定した色(L’値、a’値、b’値)を、デフォルトのプロファイルの“変換後”に格納する。これにより、検知不可能な波長範囲の色域について、ユーザ用プロファイル400を生成することができる。
【0071】
ステップS804において、プロファイル生成部120は、生成したユーザ用プロファイル400をプロファイル格納部140に格納し、ユーザ用プロファイル生成処理を終了する。
【0072】
<ユーザ用プロファイル生成処理の具体例>
次に、ユーザ用プロファイル生成処理の具体例について説明する。
図9は、ユーザ用プロファイル生成処理の具体例を示す図である。
【0073】
このうち、
図9(a)は、横軸に波長を、縦軸に感度をとったグラフであり、曲線910は、ユーザの色覚特性を、色相ごとの感度として模式的に示したものである(判定結果700に基づいて生成される)。
図9(a)の例は、プロファイル生成部120が、検知不可能な波長範囲の色域に含まれる各色について、比較的波長が近い色(色相が近い色)であって、当該ユーザが検知可能な波長の色を対応付けた様子を示している(矢印911参照)。
【0074】
また、
図9(a)の例は、プロファイル生成部120が、感度が低い(所定の閾値以下に低下している)波長範囲の色域について、濃度や彩度を増大させた色を対応付けた様子を示している(矢印912、913参照)。このように、プロファイル生成部120では、ユーザの色覚特性に応じたユーザ用プロファイル400を生成することができる。
【0075】
なお、プロファイル生成部120によるユーザ用プロファイル生成処理を、Lab色空間で表現すると、
図9(b)に示すとおりとなる。
図9(b)において、領域920は、Lab色空間において、任意の波長の色に対して高い感度を有するユーザの色域を表している。一方、領域930は、Lab色空間において、特定の波長の色に対して感度が低い、または検知不可能なユーザの色域を表している。
【0076】
プロファイル生成部120では、領域920に含まれる各色を、領域940に含まれる各色のいずれかに対応付けることで、ユーザ用プロファイル400を生成する。このような処理は、表示装置で再現可能な色域と、印刷装置で再現可能な色域とが異なる場合に、表示装置で再現可能な色域に含まれる各色を、印刷装置で再現可能な色域に含まれる各色に対応付ける処理と同様である。つまり、プロファイル生成部120によるユーザ用プロファイル生成処理は、ユーザの色覚特性に基づくガマットマッピング処理である、と言い換えることができる。
【0077】
<表示処理の流れ>
次に、画像用プログラムを起動させることで実行される表示処理の流れについて説明する。
図10は、表示処理の流れを示すフローチャートである。画像用プログラムを起動させることで、画像表示部150、プロファイル選択部160及びプロファイル補正部170が動作し、
図10に示すフローチャートが実行される。
【0078】
ステップS1001において、画像表示部150は、携帯端末100の表示画面に表示する画像データを読み出す。なお、画像表示部150が画像データを読み出す際の読み出し先は任意であり、通信装置206を介してネットワークから画像データをダウンロードしてもよいし、補助記憶装置204に格納されている画像データを読み出してもよい。
【0079】
ステップS1002において、プロファイル選択部160は、画像表示部150により読み出された画像データを分析する。ステップS1003において、プロファイル選択部160は、画像データの分析結果に基づいて、デフォルトのプロファイルを使用するか否かを判断する。
【0080】
ここで、読み出した画像データにおいて、ユーザの感度が低い波長の色及びユーザが検知不可能な波長の色のいずれも含まれていなかったとする。この場合、プロファイル選択部160は、ステップS1004においてデフォルトのプロファイルを使用すると判断し(ステップS1004においてYESと判断し)、ステップS1005に進む。
【0081】
ステップS1005において、プロファイル選択部160は、プロファイル格納部140よりデフォルトのプロファイルを読み出し、読み出したデフォルトのプロファイルを使用して、画像データの各画素の画素値を変換したうえで、画像データを表示する。
【0082】
一方、読み出した画像データにおいて、ユーザの感度が低い波長の色またはユーザが検知不可能な波長の色が含まれていたとする。この場合、ステップS1004において、プロファイル選択部160は、デフォルトのプロファイルを使用しないと判断し(ステップS1004においてNOと判断し)、ステップS1006に進む。
【0083】
ステップS1006において、プロファイル選択部160は、ユーザ用プロファイルを使用して画像データを表示する処理を実行する。上述したとおり、デフォルトのプロファイルは、ユーザの感度に関係なく予め設定されたプロファイルであるため、読み出した画像データにおいて、ユーザの感度が低い波長の色またはユーザが検知不可能な波長の色が含まれていると、ユーザは当該色を識別できない。これに対して、ユーザ用プロファイルを使用すれば、読み出した画像データの各画素が、ユーザによって識別可能な色に変換されるため、ユーザにとっては見やすくなる。なお、ステップS1006の処理の詳細は後述する。
【0084】
ステップS1007において、画像表示部150は、表示処理を終了するか否かを判断する。ステップS1007において、表示処理を継続すると判断した場合には(ステップS1007においてNOの場合には)、ステップS1001に戻る。一方、ステップS1007において、表示処理を終了すると判断した場合には(ステップS1007においてYESの場合には)、表示処理を終了する。
【0085】
<ユーザ用プロファイルを使用して画像データを表示する処理の詳細>
次に、ユーザ用プロファイルを使用して画像データを表示する処理(ステップS1006)の詳細について説明する。
図11は、ユーザ用プロファイルを使用して画像データを表示する処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
ステップS1101において、プロファイル選択部160は、画像表示部150により読み出された画像データの各画素の画素値を、ユーザ用プロファイル400を使用して変換する。これにより、画像表示部150は、各画素の画素値が変換された画像データを表示画面に表示する。
【0087】
ステップS1102において、プロファイル補正部170は、補正要求を受け付けたか否かを判断する。ステップS1102において、補正要求を受け付けていないと判断した場合には(ステップS1102においてNOの場合には)、
図10のステップS1007に戻る。
【0088】
一方、ステップS1102において、補正要求を受け付けたと判断した場合には(ステップS1102においてYESの場合には)、ステップS1103に進む。
【0089】
ステップS1103において、プロファイル補正部170は、表示画面に表示された画像について位置の指定を受け付け、受け付けた位置の色を識別する。
【0090】
ステップS1104において、プロファイル補正部170は、携帯端末100のユーザが、簡易モードでユーザ用プロファイル400を補正するか、エキスパートモードでユーザ用プロファイル400を補正するかを判断する。
【0091】
ステップS1104において、簡易モードでユーザ用プロファイル400を補正すると判断した場合には、ステップS1105に進む。
【0092】
ステップS1105において、プロファイル補正部170は、簡易モードの補正画面を表示して、ユーザから、変更後の色について指定を受け付ける。
【0093】
一方、ステップS1104において、エキスパートモードでユーザ用プロファイル400を補正すると判断した場合には、ステップS1106に進む。
【0094】
ステップS1106において、プロファイル補正部170は、エキスパートモードの補正画面を表示して、ユーザから、変更後の色について指定を受け付ける。
【0095】
ステップS1107において、プロファイル補正部170は、ユーザ用プロファイル400の“変換前”の色(L値、a値、b値)の中から、ステップS1103において識別した色(L値、a値、b値)を特定する。また、プロファイル補正部170は、特定した色(L値、a値、b値)に対応付けられた“変換後”の色(L’値、a’値、b’値)を、ステップS1105またはS1106において指定された色(L’値、a’値、b’値)に変更する。これにより、プロファイル補正部170は、ユーザ用プロファイル400を補正することができる。なお、プロファイル補正部170は、補正後のユーザ用プロファイル400を、プロファイル格納部140に格納する。
【0096】
<表示処理の画面例>
次に、表示処理中の画面例(ユーザ用プロファイル400を使用する場合)について説明する。
図12及び
図13は、表示処理中の画面例を示す第1及び第2の図である。
【0097】
このうち、
図12は、画像用プログラムが起動され、画像データが読み出された様子を示している。
図12に示すように、画像用プログラムが起動されることで、画像表示部150及びプロファイル選択部160が動作し、表示画面には、ユーザ用プロファイル400が使用された画像データが表示される。
【0098】
また、
図12に示すように、画像用プログラムが起動されることで、プロファイル補正部170が動作し、表示画面には、指定ボタン1201、簡易ボタン1202、エキスパートボタン1203が表示される。
【0099】
なお、
図12の例は、ユーザにより指定ボタン1201が押下されることで補正要求を受け付けた後、表示画面に表示された画像の任意の位置がユーザにより指定された様子を示している。具体的には、ユーザにより、3箇所の位置が指定された様子を示している。
【0100】
一方、
図13の例は、ユーザにより位置が指定された後に、簡易ボタン1202またはエキスパートボタン1203が押下された様子を示している。このうち、
図13(a)は、ユーザにより簡易ボタン1202が押下された様子を示している。
図13(a)に示すように、簡易ボタン1202が押下されると、簡易モードの補正画面1310が表示される。
【0101】
簡易モードの補正画面1310には、指定された位置の色について、濃度や彩度を調整(増大、減少)するための操作キーと、指定された位置の色について、特定の他の色(ユーザが検知可能な色)に変更するための操作キーとが含まれる。これにより、ユーザは、簡単な操作で、指定した位置の色(感度が低い色、検知不可能な色)が所望の色に変換されるよう、ユーザ用プロファイル400を補正することができる。
【0102】
以降、表示画面には、補正後のユーザ用プロファイル400により各画素の画素値が変換された画像データが表示されることになる。
【0103】
また、
図13(b)は、ユーザによりエキスパートボタン1203が押下された様子を示している。
図13(b)に示すように、エキスパートボタン1203が押下されると、エキスパートモードの補正画面1320が表示される。
【0104】
エキスパートモードの補正画面1320では、ユーザは指定した位置の色を、特定の他の色に変換するための指示を、高い色分解能で入力することができる。これにより、ユーザは、指定した位置の色(感度が低い色、検知不可能な色)が所望の色に変換されるよう、ユーザ用プロファイル400を精度よく補正することができる。
【0105】
以降、表示画面には、補正後のユーザ用プロファイル400により各画素の画素値が変換された画像データが表示されることになる。
【0106】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る携帯端末100では、
・異なる色域それぞれに対するユーザの感度特性を判定し、感度が所定の閾値以下となる色域を特定する。
・特定した色域ごとのユーザの感度に応じて、特定した色域に対する濃度の調整、彩度の調整、特定した色域とは異なる他の色域への変換、の少なくともいずれかを行うユーザ用プロファイルを生成する。
【0107】
これにより、第1の実施形態に係る携帯端末100によれば、ユーザの色覚特性に応じたカラー画像を表示することが可能になる。
【0108】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、ユーザ用プロファイル生成処理において、感度が低い(所定の閾値以下に低下している)波長範囲の色域に含まれる色を、濃度や彩度を増大させた色に変換させるユーザ用プロファイル400を生成するものとして説明した。しかしながら、ユーザ用プロファイル400の生成方法はこれに限定されず、濃度や彩度を減少させた色に変換させるユーザ用プロファイルを生成してもよい。あるいは、色相が近い色であって、ユーザの感度が高い他の色に変換させるユーザ用プロファイルを生成してもよい。
【0109】
また、上記第1の実施形態では、画像(静止画、動画)を表示する画像用プログラムが起動された場合に、画像表示部150、プロファイル選択部160及びプロファイル補正部170が動作するものとして説明した。しかしながら、プロファイル選択部160が動作するタイミングは、画像用プログラムが起動された場合に限定されない。
【0110】
例えば、撮影プログラムや仮想現実プログラムが起動された場合に、画像表示部150、プロファイル選択部160及びプロファイル補正部170が動作するように構成してもよい。これにより、例えば、撮影プログラムにより撮影中の撮影画像を、ユーザ用プロファイル400を使用して変換したうえで、表示画面に表示することができる。また、仮想現実プログラムにより撮影中の撮影画像を、ユーザ用プロファイル400を使用して変換したうえで、表示画面に表示することができる。
【0111】
また、上記第1の実施形態では、ユーザがユーザ用プロファイル400を1つ生成する場合について説明したが、ユーザが生成するユーザ用プロファイルの数は1つに限定されず複数であってもよい。例えば、物体の状態を識別することを優先したユーザ用プロファイルや、情景を維持することを優先したユーザ用プロファイル等を別々に生成し、利用シーンに応じてユーザが使い分けてもよい。
【0112】
物体の状態を識別することを優先したユーザ用プロファイルとしては、例えば、信号機の色を識別することを優先したユーザ用プロファイル等が挙げられる。当該ユーザ用プロファイルでは、例えば、赤色と黄色が識別できず、いずれの色も黄色と認識してしまうユーザ用として、赤色を全く異なる色(例えば、黒色)に変換する。かかるユーザ用プロファイルによれば、例えば、ユーザが仮想現実プログラムにより撮影された撮影画像を見ながら、街中を歩行するシーン等において有益である。
【0113】
また、情景を維持することを優先したユーザ用プロファイルとしては、例えば、ユーザが風景写真を視認する際に利用するユーザ用プロファイル等が挙げられる。当該ユーザ用プロファイルでは、例えば、赤色と緑色が識別できず、いずれの色も緑色と認識してしまうユーザ用として、赤色を同系の橙色に変換する。これにより、ユーザは、風景写真により表現された情景に近い情景を認識することができる。
【0114】
また、上記第1の実施形態では、特性判定処理におけるユーザの指示、及び、表示処理におけるユーザの指示が、タッチパネル装置205を介して入力されるものとして説明した。しかしながら、特性判定処理におけるユーザの指示、及び、表示処理におけるユーザの指示は、例えば、音声入力装置207を介して音声入力されてもよい。
【0115】
なお、開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
異なる色域それぞれに対する感度特性の情報に基づき、感度が所定の閾値以下となる色域を特定する特定部と、
特定した前記色域ごとの感度に応じて、前記色域に対する濃度の調整、彩度の調整、前記色域とは異なる他の色域への変換、の少なくともいずれかを行うプロファイルを生成する生成部と
を有する補正装置。
(付記2)
前記特定部は、異なる色の組を表示した場合の、ユーザの認識結果に基づいて、該ユーザの前記感度特性を判定する、付記1に記載の補正装置。
(付記3)
前記特定部は、異なる色の組を表示した場合の、ユーザの認識結果に基づいて、該ユーザの色覚特性のタイプ及び各タイプのレベルを判定し、判定結果に基づいて、該ユーザの前記感度特性を判定する、付記1に記載の補正装置。
(付記4)
前記生成部は、特定した前記色域の感度がゼロの場合、前記色域とは異なる他の色域への変換を行うプロファイルを生成する、付記1に記載の補正装置。
(付記5)
前記生成部は、特定した前記色域の感度がゼロではない場合、前記色域に対する濃度の調整、彩度の調整のいずれかに基づいたプロファイルを生成する、付記1に記載の補正装置。
(付記6)
前記生成部により生成されたプロファイルを使用して、表示画面に表示する画像データの各画素の画素値を変換する変換部を更に有する、付記1に記載の補正装置。
(付記7)
前記変換部により各画素の画素値が変換された画像データが表示された表示画面において、位置の指定を受け付けることで、指定を受け付けた位置における前記画像データの色を特定し、前記プロファイルにおいて、該特定した色を、ユーザにより指示された色に変更する補正部を更に有する、付記6に記載の補正装置。
(付記8)
異なる色域それぞれに対する感度特性の情報に基づき、感度が所定の閾値以下となる色域を特定し、
特定した前記色域ごとの感度に応じて、前記色域に対する濃度の調整、彩度の調整、前記色域とは異なる他の色域への変換、の少なくともいずれかを行うプロファイルを生成する、
処理をコンピュータが実行する補正方法。
(付記9)
異なる色域それぞれに対する感度特性の情報に基づき、前記感度が所定の閾値以下となる色域を特定し、
特定した前記色域ごとの感度に応じて、前記色域に対する濃度の調整、彩度の調整、前記色域とは異なる他の色域への変換、の少なくともいずれかを行うプロファイルを生成する、
処理をコンピュータに実行させるための補正プログラム。
【0116】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0117】
100 :携帯端末
110 :特性判定部
120 :プロファイル生成部
150 :画像表示部
160 :プロファイル選択部
170 :プロファイル補正部
400 :ユーザ用プロファイル
600_1~600_N :判定用データの組
610_1、610_2 :判定用データの組
620_1 :判定用データの組
700 :判定結果