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7230749運転支援制御装置、運転支援制御方法、および運転支援制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】運転支援制御装置、運転支援制御方法、および運転支援制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/0969 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
G08G1/0969
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019163152
(22)【出願日】2019-09-06
(65)【公開番号】P2021043532
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】502324066
【氏名又は名称】株式会社デンソーアイティーラボラトリ
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 顕
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-186045(JP,A)
【文献】特開2010-271749(JP,A)
【文献】特開2011-033447(JP,A)
【文献】特開2019-027999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載表示装置(70)を搭載する車両において用いられる運転支援制御装置であって、
前記車両としての自車両(M)の走行におけるエネルギー消費度合を推定する自車両推定部(110)と、
前記自車両に先行する先行車両(P)の速度および質量に関する情報を取得する先行車両情報取得部(140,150)と、
前記速度および前記質量に応じた前記先行車両の駆動力に基づき、前記先行車両の走行における前記エネルギー消費度合を推定する先行車両推定部(160)と、
前記自車両の前記エネルギー消費度合と前記先行車両の前記エネルギー消費度合とを比較して表示させる表示制御部(190)と、
を備える運転支援制御装置。
【請求項2】
前記先行車両情報取得部は、前記先行車両と前記自車両との車間距離に基づいて、前記先行車両の前記速度を推定し、
前記先行車両推定部は、前記先行車両情報取得部にて推定された前記速度に基づいて前記エネルギー消費度合を推定する請求項1に記載の運転支援制御装置。
【請求項3】
前記自車両推定部および前記先行車両推定部は、所定の走行期間ごとに前記エネルギー消費度合を推定し、走行する道路種別に応じて前記走行期間を変化させる請求項1または請求項2に記載の運転支援制御装置。
【請求項4】
前記自車両推定部および前記先行車両推定部は、所定の走行期間ごとに前記エネルギー消費度合を推定し、前記走行期間を前記自車両の前記速度に応じて変化させる請求項1または請求項2に記載の運転支援制御装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記自車両の現在地点を前記先行車両が通過した際の前記先行車両の前記エネルギー消費度合を表示させる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の運転支援制御装置。
【請求項6】
前記先行車両推定部は、前記自車両と同一車線を走行する前記先行車両について前記エネルギー消費度合を推定する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の運転支援制御装置。
【請求項7】
前記先行車両推定部は、前記同一車線を走行する前記先行車両が存在しない場合、前記自車両と異なる車線を走行する前記先行車両の前記エネルギー消費度合を推定する請求項6に記載の運転支援制御装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記先行車両が存在しない場合、現在における前記自車両の前記エネルギー消費度合と、過去における前記自車両の前記エネルギー消費度合とを比較して表示させる請求項6または請求項7に記載の運転支援制御装置。
【請求項9】
前記先行車両情報取得部は、前記先行車両の検出情報に基づいて前記先行車両の前記質量を推定し、
前記先行車両推定部は、前記先行車両情報取得部にて推定された前記先行車両の前記質量に基づいて、前記エネルギー消費度合を推定する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の運転支援制御装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記自車両の前記エネルギー消費度合を示す自車両コンテンツ(CTm)と、前記先行車両の前記エネルギー消費度合を示す先行車両コンテンツ(CTp)とを並べて表示させる請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の運転支援制御装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記自車両の前記エネルギー消費度合と前記先行車両の前記エネルギー消費度合との差分を示す差分コンテンツ(CTd)を表示させる請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の運転支援制御装置。
【請求項12】
車載表示装置(70)を搭載する車両において用いられ、プロセッサ(101)によって実行される運転支援制御方法であって、
前記車両としての自車両(M)の走行におけるエネルギー消費度合を推定し(S50)、
前記自車両に先行する先行車両(P)の速度および質量に関する情報を取得し(S90,S100)、
前記速度および前記質量に応じた前記先行車両の駆動力に基づき、前記先行車両の走行における前記エネルギー消費度合を推定し(S130)、
前記自車両の前記エネルギー消費度合と前記先行車両の前記エネルギー消費度合とを比較して表示させる(S140)、
ことを含む運転支援制御方法。
【請求項13】
車載表示装置(70)を搭載する車両において用いられ、記憶媒体(102)に格納され、プロセッサ(101)に実行させる命令を含む運転支援制御プログラムであって、
前記命令は、
前記車両としての自車両(M)の走行におけるエネルギー消費度合を推定させ(S50)、
前記自車両に先行する先行車両(P)の速度および質量に関する情報を取得させ(S90,S100)、
前記速度および前記質量に応じた前記先行車両の駆動力に基づき、前記先行車両の走行における前記エネルギー消費度合を推定させ(S130)、
前記自車両の前記エネルギー消費度合と前記先行車両の前記エネルギー消費度合とを比較して表示させる(S140)、
ことを含む運転支援制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、運転支援制御の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車両の目標加速度を設定し、目標加速度に対するアクセルペダルの操作量の過不足を表示させる技術が開示されている。特許文献1の技術では、信号機のある交差点を極力停車せずに通過できる目標加速度が設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-58826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、実際の交通状況によっては、目標加速度に応じた操作を行えない場合が発生し得る。故に、交通状況に即した運転を行うと、実行可能な操作量の範囲に対して乖離した表示内容となり得る。このため、特許文献1の表示内容は、交通状況に即した運転における自車両のエネルギー消費度合の大きさを視認する指標にはなりにくかった。
【0005】
開示される目的は、交通状況に即した運転におけるエネルギー消費の大きさを視認可能な運転支援制御装置、運転支援制御方法、および運転支援制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示された運転支援制御装置のひとつは、車載表示装置(70)を搭載する車両において用いられる運転支援制御装置であって、車両としての自車両(M)の走行におけるエネルギー消費度合を推定する自車両推定部(110)と、自車両に先行する先行車両(P)の速度および質量に関する情報を取得する先行車両情報取得部(140,150)と、速度および質量に応じた先行車両の駆動力に基づき、先行車両の走行におけるエネルギー消費度合を推定する先行車両推定部(160)と、自車両のエネルギー消費度合と先行車両のエネルギー消費度合とを比較して表示させる表示制御部(190)と、を備える。
【0008】
開示された運転支援制御方法のひとつは、車載表示装置(70)を搭載する車両において用いられ、プロセッサ(101)によって実行される運転支援制御方法であって、車両としての自車両(M)の走行におけるエネルギー消費度合を推定し(S50)、自車両に先行する先行車両(P)の速度および質量に関する情報を取得し(S90,S100)、速度および質量に応じた先行車両の駆動力に基づき、先行車両の走行におけるエネルギー消費度合を推定し(S130)、自車両のエネルギー消費度合と先行車両のエネルギー消費度合とを比較して表示させる(S140)、ことを含む。
【0009】
開示された運転支援制御プログラムのひとつは、車載表示装置(70)を搭載する車両において用いられ、記憶媒体(102)に格納され、プロセッサ(101)に実行させる命令を含む運転支援制御プログラムであって、命令は、車両としての自車両(M)の走行におけるエネルギー消費度合を推定させ(S50)、自車両に先行する先行車両(P)の速度および質量に関する情報を取得させ(S90,S100)、速度および質量に応じた先行車両の駆動力に基づき、先行車両の走行におけるエネルギー消費度合を推定させ(S130)、自車両のエネルギー消費度合と先行車両のエネルギー消費度合とを比較して表示させる(S140)、ことを含む。
【0010】
この開示によれば、自車両のエネルギー消費度合と、先行車両のエネルギー消費度合とが、比較されて表示される。故に、実質的に共通した交通状況の中で走行する先行車両に対する、自車両のエネルギー消費度合の相対的な大きさが視認可能となる。以上により、交通状況に即した運転におけるエネルギー消費度合の大きさを視認可能な運転支援制御装置、運転支援制御方法、および運転支援制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】運転支援制御装置を含む車両システムを示す図である。
図2】運転支援制御装置の概略的な構成の一例を示す図である。
図3】先行車両の速度の推定方法を説明するためのグラフである。
図4】比較表示の一例を示す図である。
図5】運転支援制御方法の一例を示すフローチャートである。
図6】他の実施形態における比較表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態の運転支援制御装置100について、図1図5を参照しながら説明する。運転支援制御装置100は、自車両Mに搭載された電子制御装置(ECU)である。運転支援制御装置100は、車間距離計測装置10、自車位置計測装置20、車速センサ30、前方カメラ40、地図データベース60、および表示装置70と通信バス等を介して接続されている。
【0013】
車間距離計測装置10は、自車両Mと、自車両Mに先行する先行車両Pとの間の車間距離を計測する車載センサである。車間距離計測装置10は、例えばミリ波レーダ、ライダ等の探査波センサである。車間距離計測装置10は、探査波を照射し、先行車両Pにて反射された反射波を受信する処理により、検出情報を生成する。車間距離計測装置10は、生成した検出情報を解析することで、解析済みの検出情報として、車間距離を特定する。車間距離計測装置10は、特定した車間距離を、運転支援制御装置100に逐次提供する。なお、車間距離計測装置10は、解析前の検出情報を車間距離に関する情報として運転支援制御装置100に提供してもよい。また、車間距離計測装置10は、後述の前方カメラ40であってもよい。
【0014】
自車位置計測装置20は、自車両Mの現在の位置情報を計測する。例えば、自車位置計測装置20は、衛星受信器、慣性センサ、および制御部を含む構成である。衛星受信器は、測位衛星システムにて用いられる複数の人工衛星(測位衛星)から送信された測位信号を受信する。衛星受信器は、GPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、BeiDou等の衛星測位システムのうちで、少なくとも1つの衛星測位システムの各測位衛星から、測位信号を受信可能である。慣性センサは、例えばジャイロセンサおよび加速度センサを有している。
【0015】
制御部は、プロセッサ、メモリ、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを主体として含む構成である。制御部は、GNSS受信器で受信する測位信号、慣性センサの計測結果、および通信バスに出力された車速情報等を組み合わせ、自車両Mの自車位置および進行方向等を逐次測位する。制御部は、測位結果に基づく自車両Mの位置情報および方角情報を、通信バスを通じて、運転支援制御装置100等に提供する。
【0016】
車速センサ30は、自車両Mの走行速度(自速度Vm)を検出する。車速センサ30は、例えば、自車両Mの各輪のハブ部分に設けられ、各輪の回転速度を検出することで、自車速を測定する。車速センサ30は、検出した自車速情報を、運転支援制御装置等に逐次提供する。前方カメラ40は、自車両Mの前方の所定範囲を撮像範囲とする撮像センサである。前方カメラ40は、自車両Mのルームミラー、インストルメントパネル上面等に設けられている。前方カメラ40は、撮像した前方の画像情報(前方情報)または前方情報の解析結果を運転支援制御装置100に逐次出力する。
【0017】
地図データベース60は、不揮発性メモリを主体に構成されており、通常のナビゲーションに用いられるよりも高精度な地図データ(以下、「高精度地図データ」)を記憶している。高精度地図データには、道路の三次元形状情報(道路構造情報)、レーン数情報、各レーンに許容された進行方向を示す情報等、高度運転支援および自動運転に利用可能な情報が含まれている。なお、地図データベース60は、ナビゲーション装置にて用いられるナビゲーション地図データを記憶している不揮発性メモリであってもよい。
【0018】
表示装置70は、自車両Mに搭載された車載表示デバイスである。表示装置70は、運転支援制御装置100と電気的に接続されており、運転支援制御装置100によって生成された表示データを逐次取得する。表示装置70は、表示データに基づくコンテンツを表示することで、各種情報を運転者に提示する。
【0019】
例えば、表示装置70は、ヘッドアップディスプレイ(以下、「HUD(Head-Up Display)」)である。この場合、表示装置70は、投影部材に規定された投影領域に光を結像させることで、運転者から視認可能な虚像として、コンテンツを表示する。投影部材は、フロントウィンドシールドや運転席前方に設けられた透光性コンバイナ等である。虚像としてのコンテンツは、投影部材を通して見える外界風景と重畳された状態で視認される。
【0020】
運転支援制御装置100は、表示装置70を含む複数の車載デバイスを統合的に制御する電子制御装置である。運転支援制御装置100は、プロセッサ101、メモリ102、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。プロセッサ101は、演算処理のためのハードウェアである。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)およびRISC(Reduced Instruction Set Computer)-CPU等のうち、少なくとも一種類をコアとして含む。
【0021】
メモリ102は、コンピュータにより読み取り可能なプログラムおよびデータ等を非一時的に格納または記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体および光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。メモリ102は、後述の運転支援制御プログラム等、プロセッサ101によって実行される種々のプログラムを格納している。
【0022】
プロセッサ101は、メモリ102に格納された運転支援制御プログラムに含まれる複数の命令を、実行する。これにより運転支援制御装置100は、運転支援するための機能ブロックを、複数構築する。このように運転支援制御装置100では、運転支援するためにメモリ102に格納されたプログラムが複数の命令をプロセッサ101に実行させることで、複数の機能ブロックが構築される。具体的に、運転支援制御装置100には、図2に示すように、自車両推定部110、先行車両特定部130、速度推定部140、車重推定部150、先行車両推定部160、および表示情報生成部190等の機能部が構築される。
【0023】
自車両推定部110は、自車両Mの走行におけるエネルギー消費度合を推定する。自車両推定部110は、車速センサ30にて検出された自速度情報、予めメモリ102等に記憶された自車両Mの質量に関する自車重情報、自車位置計測装置20にて検出された位置情報、および地図データベース60に格納された地図情報等を取得する。自車両推定部110は、後述する先行車両推定部160と同様の算出方法により、自車両Mの走行に使用されるエネルギー量Emをエネルギー消費度合として算出する。自車両推定部110は、算出したエネルギー量Emを、自車両Mの位置情報と関連付けて、自車両データベース120および表示情報生成部190に適宜提供する。なお、自車両推定部110は、先行車両推定部160と異なる算出方法にてエネルギー消費度合を推定してもよい。また、自車両推定部110は、他の車載ECUにて推定されたエネルギー消費度合を取得することで、エネルギー消費度合を推定する構成であってもよい。
【0024】
自車両データベース120は、メモリ102に確保された記憶領域である。自車両データベース120は、自車両推定部110にて算出したエネルギー量Emを記憶する。エネルギー量Emは、位置情報に関連付けられて記憶される。
【0025】
先行車両特定部130は、前方カメラ40の検出した前方情報を画像解析することで、エネルギー消費度合の比較対象となる先行車両Pを特定する。例えば、先行車両特定部130は、画像解析により先行車両Pおよび走行区画線を抽出する。そして、先行車両特定部130は、まず自車両Mと同一の車線を走行する先行車両Pが有れば、比較対象とする。
【0026】
同一の車線を走行する先行車両Pが無い場合、先行車両特定部130は、自車両Mと異なる車線を走行する先行車両Pを比較対象とする。異なる車線を走行する先行車両Pが無い場合、先行車両特定部130は、比較対象となる先行車両Pが無いと判定する。なお、先行車両特定部130は、ミリ波レーダ、ライダおよびソナーといった他の検出構成、および自車位置計測装置20の測位情報等を組み合わせて先行車両Pの特定に利用してもよい。また、先行車両特定部130は、前方カメラ40または他の車載ECUから、特定済みの先行車両Pに関する情報を取得してもよい。
【0027】
先行車両特定部130は、比較対象となる先行車両Pが有る場合、特定した先行車両Pに関する情報を、速度推定部140および車重推定部150に提供する。先行車両特定部130は、比較対象となる先行車両Pが無い場合、先行車両P無しの旨の情報を、表示情報生成部190に提供する。
【0028】
速度推定部140は、先行車両Pと自車両Mとの車間距離に基づいて、先行車両Pの速度である先行速度Vpを推定する。具体的には、速度推定部140は、車間距離計測装置10から取得した車間距離の時間変化と、車速センサ30から取得した自速度Vmとをパラメータとして利用して、先行速度Vpを算出する。
【0029】
速度推定部140の実行する先行速度Vpの算出方法の一例について、図3を参照して以下に説明する。まず、ある時点での車間距離L0、当該時点から時間Δtだけ経過した後の車間距離L1とすると、以下の数式(1)が成立する。
【数1】
【0030】
数式(1)の式変形により、先行速度Vpについて以下の数式(2)が成立する。
【数2】
【0031】
以上により、速度推定部140は、取得した車間距離L0,L1、自速度Vm、および経過時間Δtと、数式(2)とに基づいて、先行速度Vpを算出する。なお、速度推定部140は、上述の算出方法において、経過時間Δtの間の先行速度Vpおよび自速度Vmを一定とみなす。速度推定部140は、算出した先行速度Vpを、先行車両推定部160へと提供する。
【0032】
車重推定部150は、特定された先行車両Pの質量である先行車重Mpを推定する。例えば、車重推定部150は、前方情報中の先行車両Pが撮像された領域を対象として画像解析を行い、先行車両Pの大きさ、形状等に基づいて、車重を推定すればよい。車重推定部150は、推定した先行車重Mpを、先行車両推定部160へと提供する。以上の速度推定部140および車重推定部150は、先行車両Pの速度および質量に関する情報を取得する先行車両情報取得部の一例である。
【0033】
先行車両推定部160は、先行速度Vpおよび先行車重Mpに応じた先行車両Pの駆動力Fpに基づき、先行車両Pの走行におけるエネルギー消費度合を推定する。例えば、先行車両推定部160は、先行車両Pが走行に使用するエネルギー量Epを、エネルギー消費度合として推定する。先行車両推定部160は、エネルギー量Epの推定に利用するパラメータとして、先行速度Vpおよび先行車重Mpに加えて、道路勾配θを取得する。例えば、先行車両推定部160は、自車位置、先行車両Pの自車両Mに対する相対位置、および地図データベース60に格納された地図情報を利用して、先行車両Pの現在位置における道路勾配θを特定すればよい。先行車両推定部160は、算出したエネルギー量Epを、表示情報生成部190に逐次提供する。
【0034】
次に、第1実施形態において自車両推定部110および先行車両推定部160の実行するエネルギー量の推定方法について説明する。なお、以下の説明における速度Vx、車重Mx、駆動力Fx、パワーPx、エネルギー量Exについて、自車両推定部110では自車両Mのパラメータが使用され、先行車両推定部160では先行車両Pのパラメータが使用される。
【0035】
まず、走行において車両にかかる力、すなわち車両を駆動させる駆動力Fxは、以下の数式(3)にて算出される。
【数3】
数式(3)において、Vxmi[mile/hour]およびVxme[m/s]はそれぞれ各単位での車速である。a[lbf],b[lbh/mph],c[lbf/mph2]は、車種によって定められている係数である。各係数は、自車両Mの場合は予めメモリ102等に記憶されており、先行車両Pの場合は、車重推定部150における解析結果等に基づき、予め記憶されたテーブル等から適宜選択される。Mx[kg]は車重、g[m/s2]は重力加速度である。θ[rad]は、道路勾配である。A[N/lbf]は、変換係数である。
【0036】
上述の駆動力Fxが作用して車両が速度Vxで動くとき、当該駆動力Fxによるパワー(仕事率)Pxは、以下の数式(4)にて算出される。
【数4】
【0037】
したがって、車両の走行において消費されるエネルギー量Ex[kJ]は、以下の数式(5)にて算出される。
【数5】
【0038】
数式(5)において、T[s]は、任意に設定可能な走行期間である。各車両推定部110,160は、この所定の走行期間Tごとにエネルギー量Exを算出する。各車両推定部110,160は、走行期間Tを、例えば走行する道路種別に応じて変化させる。道路種別は、道路の属性(高速道路、一般道路等)、または構造(起伏、カーブの多さ等)などによって予め規定された分類であり、走行環境の変化が多さ、すなわち車両の運転における必要な操作の多さによって区別される。具体的には、走行期間Tは、高速道路等の比較的走行環境の変化が少ない道路の場合には、より長く設定され、山道等の比較的走行環境の変化が多い道路の場合には、より短く設定される。
【0039】
表示情報生成部190は、表示装置70に、先行車両Pのエネルギー量Epと、自車両Mのエネルギー量Emとを比較して表示させる。具体的には、表示情報生成部190は、自車両推定部110および先行車両推定部160から取得したエネルギー量Em,Epに基づき、コンテンツの表示に必要な表示データを生成し、表示装置70に提供する。なお、表示データには、コンテンツの画像データ、または画像データの生成に必要な各エネルギー量Em,Epに関する情報が含まれている。後者の場合には、表示装置70のECUにて画像データが生成される。表示情報生成部190は、表示制御部の一例である。
【0040】
表示情報生成部190は、自車両Mの現在地点を先行車両Pが通過した際のエネルギー量Epを、自車両Mの現在地点におけるエネルギー量Emと比較して表示させる。例えば、表示情報生成部190は、先行車両推定部160から取得した先行車両Pのエネルギー量Epを、先行車両Pの位置情報と関連付けてバッファリングする。そして、表示情報生成部190は、自車両Mの現在地点に対応する地点におけるエネルギー量Epを、自車両Mの現在地点におけるエネルギー量Emと比較するパラメータとして、バッファリングしているデータの中から読み出す。
【0041】
表示情報生成部190が表示装置70に表示させるコンテンツについて、図4を参照して説明する。表示情報生成部190は、自車両Mのエネルギー消費度合を示す自車両コンテンツCTmと、先行車両Pのエネルギー消費度合を示す先行車両コンテンツCTpとを並べて表示させる。
【0042】
自車両コンテンツCTmおよび先行車両コンテンツCTpは、各車両M,Pのエネルギー量に応じて表示態様が変更される。具体的には、各コンテンツCTm,CTpは、対応する車両のエネルギー量に応じて表示色が変更される。例えば、各コンテンツCTm,CTpは、エネルギー量が比較的小さい場合には緑色で表示され、エネルギー量が大きくなるにつれて赤色へと変化して表示される。したがって、運転者は、各コンテンツCTm,CTpの表示色の違いを視認することで、自車両Mのエネルギー量Epと先行車両Pのエネルギー量Epとの相対的な大きさの関係を認識することができる。運転者が、表示内容に従って自車両コンテンツCTmを先行車両コンテンツCTpよりも緑色に近い表示色とするように運転することで、自車両Mは、先行車両Pよりも少ないエネルギー量Emで走行可能となる。
【0043】
例えば、各コンテンツCTm,CTpは、画角VA内の特定位置に固定されて表示されるコンテンツである。画角VA内で上下に並べられた図形画像である。各コンテンツCTm,CTpは、画角VA内で上下に並べられた図形画像である。例えば、画角VA内で自車両コンテンツCTmの上方に先行車両コンテンツCTpが配置される。また、各コンテンツCTm,CTpは、上底が下底よりも短い台形画像とされる。先行車両コンテンツCTpは、自車両コンテンツCTmよりも幅方向の長さを短く規定されている。先行車両コンテンツCTpの下底は自車両コンテンツCTmの上底以下の長さとされる。また、コンテンツCTm,CTpの台形の脚辺は、共通の消失点に向かって延びる線分とされている。結果として、コンテンツCTm,CTpは、自車両コンテンツCTmが先行車両コンテンツCTpの手前側に配置された如き見かけの奥行を表現する。
【0044】
なお、表示情報生成部190は、先行車両特定部130にて先行車両Pが無いと判定されている場合には、自車両Mの過去のエネルギー量Emを、現在のエネルギー量Emと比較して表示させる。具体的には、表示情報生成部190は、現在の自車位置に対応する位置での過去のエネルギー量Emが、自車両データベース120の中に格納されているか否かを判定する。このとき、自車両Mが現在走行する道路と同じ道路でのエネルギー量Emのデータが自車両データベース120に含まれていればよく、必ずしも車線が同じである必要はない。対応する過去のエネルギー量Emが有ると判定すると、表示情報生成部190は、先行車両コンテンツCTpと同様の表示態様で、当該過去のエネルギー量Emを現在のエネルギー量Emと比較表示する。
【0045】
次に、機能ブロックの共同により、運転支援制御装置100が実行する運転支援制御方法のフローを、図5に従って以下に説明する。なお、後述するフローにおいて「S」とは、プログラムに含まれた複数命令によって実行される、フローの複数ステップを意味する。
【0046】
まずS10で、運転支援制御装置100は、自車両推定部110により自速度情報および自車重情報を取得する。次にS20では、道路勾配を取得する。次にS30にて、数式(3)に基づいて自車両Mの駆動力Fmを算出してS40へと進む。S40では、駆動力Fmおよび数式(4)に基づいてパワーPmを算出する。S50では、パワーPmおよび数式(5)に基づいて、過去T秒間におけるエネルギー量Emを算出する。エネルギー量Emを算出するとS60へと進み、表示情報生成部190にてエネルギー量Emを自車両コンテンツCTmとして表示装置70に表示させる。
【0047】
次に、S70では、先行車両特定部130にて自車両Mを先行する先行車両Pが有るか否かを判定する。先行車両Pが有ると判定すると、S80へと進み、速度推定部140にて先行車両Pと自車両Mとの車間距離を取得してS90へと進む。S90では、取得した車間距離の時間変化に基づき、速度推定部140にて先行速度Vpを推定する。次に、S100では、前方カメラ40の検出情報に基づき、車重推定部150にて先行車重Mpを推定する。
【0048】
次に、S110では、先行速度Vpおよび先行車重Mpに基づき、先行車両推定部160にて数式(3)に基づき先行車両Pの駆動力Fpを推定してS120へと進む。S120では、駆動力Fpに基づきパワーPpを算出してS130へと進む。S130では、パワーPpおよび数式(5)に基づいて、過去T秒間におけるエネルギー量Epを算出する。エネルギー量Epを算出するとS140へと進み、表示情報生成部190にてエネルギー量Epを先行車両コンテンツCTpとして表示装置70に表示させる。S140の処理を実行すると、S10へと戻る。
【0049】
一方で、S70にて先行車両Pが無いと判定されると、S150へと進む。S150では、表示情報生成部190にて、自車両データベース120に過去のエネルギー量Emのデータが有るか否かを判定する。無いと判定されるとS10へと戻る。一方で、過去のエネルギー量Emのデータが有ると判定されると、S160に進み、先行車両コンテンツCTpの代わりに自車両Mの過去のエネルギー量Emを表示させる。S160の処理を実行すると、S10へと戻る。
【0050】
次に第1実施形態の運転支援制御装置100のもたらす作用効果について説明する。
【0051】
運転支援制御装置100は、自車両Mの走行におけるエネルギー消費度合と、先行速度Vpおよび先行車重Mpに応じた先行車両Pの駆動力に基づき推定した、先行車両Pの走行におけるエネルギー消費度合とを、比較して表示させる。故に、運転者は、車両の流れや勾配の大きさ等の交通状況が実質的に共通した状況の中で走行する先行車両Pに対する、自車両Mのエネルギー消費度合の相対的な大きさが視認可能となる。以上により、運転支援制御装置100は、交通状況に即した運転におけるエネルギー消費度合の大きさを視認可能とする。
【0052】
さらに、運転支援制御装置100は、エネルギー消費度合の先行車両Pとの比較により、共通した状況における具体的な相手である先行車両Pと対戦する如くのゲーム性を高めた表示が可能となる。故に、運転支援制御装置100は、運転者に対して楽しさを感じさせることができるので、運転者が継続的にエネルギー消費度合の表示を利用するように仕向けることができる。これにより、運転者は、経済的かつ環境負荷の小さい運転を継続し得る。
【0053】
またこれにより、運転者は、エネルギー消費度合を先行車両Pよりも抑える運転を行い得るので、結果として、先行車両Pの影響を受けないように車間距離をより大きくとった運転となり得る。加えて、上述した運転支援制御装置100を搭載した車両が増加することで、エネルギー消費度合を抑制する運転が社会全体に伝搬し得る。
【0054】
また、第1実施形態では、速度推定部140にて先行車両Pと自車両Mとの車間距離に基づいて先行速度Vpが推定され、先行車両推定部160にて、推定された先行速度Vpに基づいてエネルギー消費度合が推定される。これによれば、先行車両Pのエネルギー消費度合において必要な先行速度Vpを、車間距離に基づいて推定できる。車間距離は自車両Mに搭載された計測装置から取得し得るので、先行速度Vpを取得するための先行車両Pとの通信が不要となる。したがって、運転支援制御装置100は、エネルギー消費度合の推定における通信負荷を低減できる。
【0055】
さらに、表示情報生成部190は、自車両Mの現在地点を先行車両Pが通過した際の先行車両Pのエネルギー消費度合を表示させる。これによれば、自車両Mの現在地点におけるエネルギー消費度合と、自車両Mの現在地点で先行車両Pが消費したエネルギー消費度合とが、比較表示され得る。したがって、同じ地点における各車両M,Pのエネルギー消費度合を、より正確に比較し得る。
【0056】
加えて、先行車両推定部160は、自車両Mと同一車線を走行する先行車両Pについてエネルギー消費度合を推定する。これによれば、先行車両推定部160は、より交通状況が近い先行車両Pについて、エネルギー消費度合を推定することができる。
【0057】
また、先行車両推定部160は、同一車線を走行する先行車両Pが存在しない場合、自車両Mと異なる車線を走行する先行車両Pのエネルギー消費度合を推定する。これによれば、先行車両推定部160は、同一車線を走行する先行車両Pが存在しない場合であっても、異なる車線を走行する先行車両Pのエネルギー消費度合を、代わりに推定することができる。
【0058】
さらに加えて、表示情報生成部190は、先行車両Pが存在しない場合、現在における自車両Mのエネルギー消費度合と、過去における自車両Mのエネルギー消費度合とを比較して表示させる。これによれば、表示情報生成部190は、比較できる先行車両Pが存在しない場合であっても、過去と現在での自車両Mのエネルギー消費度合を比較して表示させることで、自車両Mのエネルギー消費度合を相対的に表示できる。特に、第1実施形態における表示情報生成部190は、現在の自車位置に対応する位置での過去の自車両Mのエネルギー消費度合を表示する。故に、表示情報生成部190は、比較できる先行車両Pが存在しない場合であっても、交通状況に即した運転におけるエネルギー消費の大きさが視認可能となる。またこれにより、運転者は、自身の現在の運転によるエネルギー消費度合を、自身の過去の運転によるエネルギー消費度合と比較できる。故に、運転者は、過去のエネルギー消費度合よりも小さいエネルギー消費度合を目指して自身の運転を調整可能となる。したがって、表示情報生成部190は、より経済的かつ環境負荷の小さい運転をするための運転能力を向上させることができる。
【0059】
また、先行車両推定部160は、先行車両Pの検出情報に基づき車重推定部150にて推定された先行車重Mpを用いて、エネルギー消費度合を推定する。これによれば、先行車両Pのエネルギー消費度合において必要な先行車重Mpを、先行車両Pの検出情報に基づいて推定できる。先行車両Pの検出情報は自車両Mに搭載された前方カメラ40等から取得し得るので、先行車重Mpを取得するための先行車両Pとの通信が不要となる。したがって、運転支援制御装置100は、エネルギー消費度合の推定における通信負荷を低減できる。
【0060】
表示情報生成部190は、自車両Mのエネルギー消費度合を示す自車両コンテンツCTmと、先行車両Pのエネルギー消費度合を示す先行車両コンテンツCTpとを並べて表示させる。これによれば、自車両Mのエネルギー消費度合と、先行車両Pのエネルギー消費度合とが、それぞれ別々のコンテンツとして並べて表示され得る。故に、運転者は、先行車両Pと自車両Mとでエネルギー消費度合を比較していることを理解し易い。またこれにより、運転者は、エネルギー消費度合に関して先行車両Pと競っている感覚を誘起し得る。したがって、表示情報生成部190は、運転者に対して、エネルギー消費度合をより低減する運転を行う動機付けとなり易い表示ができる。
【0061】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態における運転支援制御装置100の変形例について説明する。第1実施形態において、自車両推定部110および先行車両推定部160は、エネルギー量Em,Epを算出する走行期間Tを、道路種別に応じて変更するとしたが、走行期間Tの設定方法は、これに限らない。
【0062】
自車両推定部110および先行車両推定部160は、走行期間Tを自車両Mの速度に応じて変更してもよい。例えば、自車両推定部110および先行車両推定部160は、自車両Mの速度が遅いほど、走行期間Tを短くしてもよい。
【0063】
これによれば、運転支援制御装置100は、自車両Mの速度に応じた期間ごとにエネルギー量Em,Epを比較表示し得る。特に、第2実施形態の運転支援制御装置100は、自車両Mの速度が遅いほど、走行期間Tを短くする。このため、運転支援制御装置100は、例えば市街地を走行中の場合など、交通状況の変化が比較的多くなり得るために高速で走行できない状況において、表示させるエネルギー消費度合をより高い頻度で更新し得る。
【0064】
(第3実施形態)
または、第3実施形態として、自車両推定部110および先行車両推定部160は、道路リンクごとにエネルギー量を算出するように走行期間Tを設定してもよい。この場合、自車両推定部110および先行車両推定部160は、道路リンク(例えば交差点と交差点との間等)ごとの走行時間を走行期間Tとする。なお、ここでの道路リンクは、交差点や道路の終端点を示す道路ノード間を接続する道路区間であり、地図データベース60に格納された情報である。
【0065】
(第4実施形態)
上述の実施形態において、自車両推定部110および先行車両推定部160は、それぞれ対応する車両のエネルギー量Em,Epをエネルギー消費度合として算出するとした。これに代えて、自車両推定部110および先行車両推定部160は、各車両の燃費または電力量換算の燃費(電費)をエネルギー消費度合として算出してもよい。
【0066】
この場合のエネルギー消費度合の算出方法の一例を以下に説明する。なお、以下では、各車両M,Pの電費をエネルギー消費度合として算出するものとする。自車両推定部110および先行車両推定部160は、算出したエネルギー量Exと以下の数式(6)とに基づいて、エネルギー量Exを電力量Wx[kWh]に変換する。
【数6】
【0067】
また、自車両推定部110および先行車両推定部160は、車両の走行距離Dx[km]を以下の数式(7)に基づいて算出する。
【数7】
【0068】
自車両推定部110および先行車両推定部160は、以上で算出した電力量Wxおよび走行距離Dxと、以下の数式(8)とに基づき、電費ηx[km/kWh]を算出する。
【数8】
【0069】
表示情報生成部190は、以上により算出された各車両M,Pの電費ηxを、エネルギー消費度合として表示装置70に表示させる。なお、表示情報生成部190は、エネルギー量Exおよび電費ηxの両方を表示させてもよい。
【0070】
(第5実施形態)
上述の実施形態において、車重推定部150は、先行車両Pの車種の判別結果に基づいて、先行車重Mpを推定するとした。これに代えて、車重推定部150は、先行車両Pの車種に関わらず、先行車重Mpを一定としてもよい。例えば、車重推定部150は、先行車重Mpを自車重Mmと同じ値とする。これによれば、先行車両Pを自車両Mと同種の車両とみなしてエネルギー量Epを推定できる。なお、車重推定部150は、推定される先行車重Mpが自車重Mmよりも重い場合には、先行車重Mpをより小さい値に補正し、推定される先行車重Mpが自車重Mmよりも軽い場合には、先行車重Mpをより大きい値に補正してもよい。
【0071】
(第6実施形態)
上述の実施形態において、表示情報生成部190は、自車両コンテンツCTmと、先行車両コンテンツCTpとを並べて表示させることで、各車両のエネルギー消費度合を比較して表示させるとした。これに代えて、表示情報生成部190は、自車両Mのエネルギー消費度合と先行車両Pのエネルギー消費度合との差分を示す差分コンテンツCTdを表示させてもよい。
【0072】
例えば、表示情報生成部190は、図6に示すように、先行車両Pのエネルギー量Epを基準としたグラフとして差分コンテンツCTdを表示させる。詳記すると、差分コンテンツCTdは、中心付近に先行車両Pのエネルギー量Epを示す基準線CTfと、当該基準線CTfから左右のいずれかに延びるバーグラフ状のインジケータCTiとを含んで構成される。自車両Mのエネルギー量Emが先行車両Pのエネルギー量Epより大きいと、インジケータCTiは、基準線CTfから左右のうち一方側(例えば右側)へと延びる。また、自車両Mのエネルギー量Emが先行車両Pのエネルギー量Epより小さいと、インジケータCTiは、基準線CTfから左右のうち他方側(例えば左側)へと延びる。インジケータCTiの基準線CTfからの長さは、各エネルギー量Em,Ep同士の差分が大きいほど、長くなる。
【0073】
これによれば、自車両Mと先行車両Pとのエネルギー消費度合の差分が表示される。故に、自車両Mのエネルギー消費度合が先行車両Pのエネルギー度合に対して大きいのか小さいのかをより明確に理解することができる。
【0074】
(第7実施形態)
第7実施形態において、運転支援制御装置100は、ACC(Adaptive Cruise Control)を実行するACC機能を有する。ACC機能は、先行車両Pの検出情報に基づいて駆動力および制動力を調整することで、自車両Mの走行速度を制御する高度運転支援機能である。運転支援制御装置100は、ACC機能がオン状態とされている場合、先行車両Pの速度を目標走行速度とすることにより、先行車両Pまでの車間距離を維持しつつ、自車両Mを先行車両Pに対して追従走行させる。運転支援制御装置100は、先行車両Pが検出されていない場合には、運転者によって設定された目標走行速度で、自車両Mを巡航させる。運転支援制御装置100は、運転者による操作スイッチのオン操作によりACC機能を実行し、運転者による操作スイッチのオフ操作、およびアクセルペダルまたはブレーキペダルの操作量が閾値を上回った場合に、ACC機能を中断する。
【0075】
運転支援制御装置100は、ACC機能の実行中にエネルギー消費度合の比較表示を実行している場合、比較表示を行っていない場合と比較して、上述の閾値を大きい値に変更する。すなわち、比較表示を行っている間、運転者は、ACC機能による追従走行を行いつつ、加減速操作によってエネルギー消費度合を調整することができる。
【0076】
(他の実施形態)
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0077】
上述の実施形態において、運転支援制御装置100は、HUDにエネルギー消費度合の比較表示を実行させるとした。これに代えて、運転支援制御装置100は、メータに設けられたディスプレイ、およびインストルメントパネルの中央に設けられたCID(Center Information Display)等の他の車載表示装置に比較表示を実行させてもよい。
【0078】
上述の実施形態において、運転支援制御装置100は、車両に搭載されたセンサの検出情報に基づいて、先行速度Vpおよび先行車重Mpを推定するとした。これに代えて、先行車両Pまたはデータセンタ等と通信を行うことで、先行速度Vpまたは先行車重Mpを取得してもよい。
【0079】
上述の実施形態において、表示情報生成部190は、自車両Mの現在地点を先行車両Pが通過した際の先行車両Pのエネルギー消費度合を表示させるとした。これに代えて、表示情報生成部190は、先行車両Pの現在地点における先行車両Pのエネルギー消費度合を表示させる構成であってもよい。
【0080】
運転支援制御装置100は、デジタル回路およびアナログ回路のうち少なくとも一方をプロセッサとして含んで構成される、専用のコンピュータであってもよい。ここで特にデジタル回路とは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SOC(System on a Chip)、PGA(Programmable Gate Array)、およびCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のうち、少なくとも一種類である。またこうしたデジタル回路は、プログラムを格納したメモリを、備えていてもよい。
【0081】
運転支援制御装置100は、1つのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供され得る。例えば、上述の実施形態における運転支援制御装置100の提供する機能の一部は、他のECUによって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0082】
100 運転支援制御装置、 101 プロセッサ、 102 メモリ(記憶媒体)、 110 自車両推定部、 140 速度推定部(先行車両情報取得部)、 150 車重推定部(先行車両情報取得部)、 160 先行車両推定部、 190 表示情報生成部(表示制御部)、 70 表示装置(車載表示装置)、 CTm 自車両コンテンツ、 CTp 先行車両コンテンツ、 CTd 差分コンテンツ、 M 自車両、 P 先行車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6