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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】樹脂パネルの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/06 20060101AFI20230221BHJP
   B62D 29/04 20060101ALI20230221BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20230221BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20230221BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
B62D25/06 C
B62D29/04 Z
F16J15/10 U
F16B5/10 A
F16B5/10 B
F16B5/07 L
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019190358
(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公開番号】P2021066196
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】窪田 博司
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-117775(JP,U)
【文献】特開2011-080534(JP,A)
【文献】実開昭62-078577(JP,U)
【文献】特開2010-000839(JP,A)
【文献】特開2000-168461(JP,A)
【文献】特開2011-064243(JP,A)
【文献】特開2005-186744(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0073021(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
F16B 5/00- 5/12
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対し、板状をなす樹脂パネルを取り付けるための樹脂パネルの取付構造であって、
前記車体と前記樹脂パネルとの間に配置されて前記樹脂パネルの周方向に延び、前記車体と前記樹脂パネルとに当接しつつ、前記車体と前記樹脂パネルとの間で止水を行う止水部材と、
前記止水部材の内周側に配置され、前記車体に前記樹脂パネルを取り付ける取付体とを備え、
前記樹脂パネルは、前記車体に面する第1面と、前記第1面の反対側に位置して車外に面する第2面とを有し、
前記取付体は、前記車体に設けられた第1取付部材と、
前記第1面に設けられ、前記第1取付部材と係合しつつ前記第1取付部材を保持可能な第2取付部材とを有し、
前記第2取付部材は、前記樹脂パネルの熱伸縮によって、前記第1取付部材が前記第2取付部材に対して前記第1面及び前記第2面に沿う方向に変位することを許容する一方、前記第1取付部材が前記第2取付部材から前記樹脂パネルの板厚方向に離脱することを規制し、
前記第1取付部材は、前記車体に固定される一端部と、前記一端部と一体をなし、前記第2取付部材に保持される他端部とを有する金属片からなり、
前記第2取付部材は、前記第1面に一体に形成され、
前記一端部と前記他端部との間には、前記一端部と前記他端部とを前記第2取付部材に臨むように配置させつつ、前記一端部と前記他端部とを前記樹脂パネルの板厚方向に離間させる折返し部が設けられていることを特徴とする樹脂パネルの取付構造。
【請求項2】
車体に対し、板状をなす樹脂パネルを取り付けるための樹脂パネルの取付構造であって、
前記車体と前記樹脂パネルとの間に配置されて前記樹脂パネルの周方向に延び、前記車体と前記樹脂パネルとに当接しつつ、前記車体と前記樹脂パネルとの間で止水を行う止水部材と、
前記止水部材の内周側に配置され、前記車体に前記樹脂パネルを取り付ける取付体とを備え、
前記樹脂パネルは、前記車体に面する第1面と、前記第1面の反対側に位置して車外に面する第2面とを有し、
前記取付体は、前記車体に設けられた第1取付部材と、
前記第1面に設けられ、前記第1取付部材と係合しつつ前記第1取付部材を保持可能な第2取付部材とを有し、
前記第2取付部材は、前記樹脂パネルの熱伸縮によって、前記第1取付部材が前記第2取付部材に対して前記第1面及び前記第2面に沿う方向に変位することを許容する一方、前記第1取付部材が前記第2取付部材から前記樹脂パネルの板厚方向に離脱することを規制し、
前記第1取付部材には、前記車体側から前記樹脂パネル側に向かって延びる軸部と、前記軸部に接続する抜け止め部とが設けられ、
前記第2取付部材には、前記軸部が内部で移動することを許容しつつ、前記軸部及び前記抜け止め部を前記樹脂パネルの板厚方向に挿通させる挿通孔が設けられていることを特徴とする樹脂パネルの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂パネルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体に対し、板状をなす樹脂パネルを取り付けるための樹脂パネルの取付構造(以下、単に取付構造という。)としては、従来より種々の構成が提案されている。例えば、特許文献1に開示された取付構造は、接着剤と、取付体とを備えている。また、この取付構造では、車体がボディパネルと、サンシェードハウジングとを有している。そして、樹脂パネルは、車体に面する第1面と、第1面の反対側に位置して車外に面する第2面とを有している。
【0003】
接着剤は、車体と樹脂パネルとの間、より詳細には、ボディパネルと樹脂パネルの第1面との間に充填されている。取付体は、複数のボルト取付座と、取付フランジと、複数の締結ボルトと、複数のナットとで構成されている。各ボルト取付座は、樹脂パネルの第1面に形成されている。また、各ボルト取付座には、長手方向に延びる係止溝が形成されている。取付フランジは、サンシェードハウジングに形成されている。また、取付フランジには、係止溝に対応するように複数のボルト挿通孔が形成されている。各締結ボルトには、係止溝内を摺動可能な首部が形成されている。
【0004】
この取付構造では、接着剤及び取付体によって、車体に樹脂パネルが取り付けられている。具体的には、ボディパネルと樹脂パネルとの間で接着剤が固化することにより、ボディパネルと樹脂パネルとが接着されている。また、取付体では、樹脂パネルの板厚方向において、ボルト取付座側から係止溝及びボルト挿通孔に締結ボルトを挿通する。この際、締結ボルトでは、首部が係止溝内に配置される。そして、ボルト挿通孔側において、ナットによって締結ボルトを締結することにより、サンシェードハウジングに樹脂パネルが取り付けられている。
【0005】
ところで、樹脂パネルには熱伸縮が不可避的に生じることから、車体に取り付けられた状態において、樹脂パネルは熱伸縮に伴って、車体に対して変位しようとする。具体的には、熱伸縮によって樹脂パネルは、車体に対して第1面及び第2面に沿う方向に変位しようとするとともに、車体に対して樹脂パネルの板厚方向に変位しようとする。
【0006】
この点、この取付構造では、樹脂パネルが熱伸縮することにより、締結ボルトの首部が係止溝を摺動する。これにより、取付体は、樹脂パネルがサンシェードハウジングに対して第1面及び第2面に沿う方向に変位することを許容する。このため、この取付構造では、熱伸縮する樹脂パネルに対して車体側からの荷重が作用し難くなっている。また、この取付構造では、各締結ボルトを各ナットに締結させることにより、取付体は、樹脂パネルが車体に対して樹脂パネルの板厚方向に変位することを規制する。こうして、この取付構造では、熱伸縮する樹脂パネルが車体に対して樹脂パネルの板厚方向に離間することが防止されており、車体と樹脂パネルとの接着が剥がれ難くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5182262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の取付構造では、取付体において、各締結ボルトを各ナットにそれぞれ締結する必要があるため、車体に対する樹脂パネルの取付作業の効率を高くし難い。また、この取付構造では、接着剤が固化してボディパネルと樹脂パネルとが接着されるまでに時間を要することから、この点においても車体に対する樹脂パネルの取付作業の効率を高くし難い。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、熱伸縮する樹脂パネルが車体に対して樹脂パネルの板厚方向に変位することを防止しつつ、車体に対する樹脂パネルの取付作業の向上を実現可能な樹脂パネルの取付構造を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の樹脂パネルの取付構造は、車体に対し、板状をなす樹脂パネルを取り付けるための樹脂パネルの取付構造であって、
前記車体と前記樹脂パネルとの間に配置されて前記樹脂パネルの周方向に延び、前記車体と前記樹脂パネルとに当接しつつ、前記車体と前記樹脂パネルとの間で止水を行う止水部材と、
前記止水部材の内周側に配置され、前記車体に前記樹脂パネルを取り付ける取付体とを備え、
前記樹脂パネルは、前記車体に面する第1面と、前記第1面の反対側に位置して車外に面する第2面とを有し、
前記取付体は、前記車体に設けられた第1取付部材と、
前記第1面に設けられ、前記第1取付部材と係合しつつ前記第1取付部材を保持可能な第2取付部材とを有し、
前記第2取付部材は、前記樹脂パネルの熱伸縮によって、前記第1取付部材が前記第2取付部材に対して前記第1面及び前記第2面に沿う方向に変位することを許容する一方、前記第1取付部材が前記第2取付部材から前記樹脂パネルの板厚方向に離脱することを規制し、
前記第1取付部材は、前記車体に固定される一端部と、前記一端部と一体をなし、前記第2取付部材に保持される他端部とを有する金属片からなり、
前記第2取付部材は、前記第1面に一体に形成され、
前記一端部と前記他端部との間には、前記一端部と前記他端部とを前記第2取付部材に臨むように配置させつつ、前記一端部と前記他端部とを前記樹脂パネルの板厚方向に離間させる折返し部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の取付構造では、第1取付部材と第2取付部材とが係合した状態において、第2取付部材は、樹脂パネルの熱伸縮によって、第1取付部材が第2取付部材に対して第1面及び第2面に沿う方向に変位することを許容する。これにより、この取付構造では、熱伸縮する樹脂パネルは、車体に対して第1面及び第2面に沿う方向に変位できる。このため、この取付構造によれば、熱伸縮する樹脂パネルに対し、車体側からの荷重が作用し難い。
【0012】
一方、第1取付部材と第2取付部材とが係合した状態において、第2取付部材は、樹脂パネルの熱伸縮によって、第1取付部材が第2取付部材から樹脂パネルの板厚方向に離脱することを規制する。これにより、この取付構造では、熱伸縮によって樹脂パネルが車体に対して樹脂パネルの板厚方向に変位することを防止できる。このため、止水部材が樹脂パネルや車体から離間したり、止水部材が樹脂パネルや車体から脱落したりすることを防止できる。
【0013】
そして、この取付構造では、車体に樹脂パネルを取り付けるに当たって、車体と樹脂パネルとに止水部材を当接させつつ、第1取付部材と第2取付部材とを係合させれば足りる。このように、この取付構造によれば、車体に樹脂パネルを取り付けるに当たって、複数の締結ボルトを複数のナットにそれぞれ締結させる作業を行う必要がなく、また、車体と樹脂パネルとを接着剤によって接着する必要もない。
【0014】
したがって、本発明の樹脂パネルの取付構造によれば、熱伸縮する樹脂パネルが車体に対して樹脂パネルの板厚方向に変位することを防止しつつ、車体に対する樹脂パネルの取付作業を向上させることができる。
【0015】
第1取付部材は、車体に固定される一端部と、一端部と一体をなし、第2取付部材に保持される他端部とを有する金属片からな。そして、第2取付部材は、第1面に一体に形成されてい。このため、第1取付部材を容易に製造することが可能である。さらに、第2取付部材が樹脂パネルの第1面に一体に形成されるため、接着等によって第2取付部材を第1面に設ける作業が不要であるとともに、第1面に対する第2取付部材の位置決め作業も不要となる。このため、車体に対する樹脂パネルの取付作業をより向上させることができる。
【0016】
また一端部と他端部との間には、一端部と他端部とを第2取付部材に臨むように配置させつつ、一端部と他端部とを樹脂パネルの板厚方向に離間させる折返し部が設けられている。このため、他端部を第2取付部材に容易に保持させることが可能となる。
【0017】
また、本発明の樹脂パネルの取付構造は、車体に対し、板状をなす樹脂パネルを取り付けるための樹脂パネルの取付構造であって、
前記車体と前記樹脂パネルとの間に配置されて前記樹脂パネルの周方向に延び、前記車体と前記樹脂パネルとに当接しつつ、前記車体と前記樹脂パネルとの間で止水を行う止水部材と、
前記止水部材の内周側に配置され、前記車体に前記樹脂パネルを取り付ける取付体とを備え、
前記樹脂パネルは、前記車体に面する第1面と、前記第1面の反対側に位置して車外に面する第2面とを有し、
前記取付体は、前記車体に設けられた第1取付部材と、
前記第1面に設けられ、前記第1取付部材と係合しつつ前記第1取付部材を保持可能な第2取付部材とを有し、
前記第2取付部材は、前記樹脂パネルの熱伸縮によって、前記第1取付部材が前記第2取付部材に対して前記第1面及び前記第2面に沿う方向に変位することを許容する一方、前記第1取付部材が前記第2取付部材から前記樹脂パネルの板厚方向に離脱することを規制し、
前記第1取付部材には、前記車体側から前記樹脂パネル側に向かって延びる軸部と、前記軸部に接続する抜け止め部とが設けられ
前記第2取付部材には、前記軸部が内部で移動することを許容しつつ、前記軸部及び前記抜け止め部を前記樹脂パネルの板厚方向に挿通させる挿通孔が設けられていることを特徴とする
【0018】
この取付構造では、第2取付部材の挿通孔に対し、第1取付部材の軸部及び抜け止め部を樹脂パネルの板厚方向に挿通させることによって、第1取付部材と第2取付部材とを容易に係合させることが可能となる。そして、この取付構造では、軸部が挿通孔内で移動することが許容されることにより、第1取付部材と第2取付部材とが係合した状態において、熱伸縮する樹脂パネルは、車体に対して第1面及び第2面に沿う方向に変位可能となる。また、挿通孔に軸部及び抜け止め部が一旦挿通されれば、抜け止め部は、挿通孔からの軸部の抜け止めを行う。これにより、この取付構造では、熱伸縮する樹脂パネルが車体に対して樹脂パネルの板厚方向に変位することを好適に防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の樹脂パネルの取付構造によれば、熱伸縮する樹脂パネルが車体に対して樹脂パネルの板厚方向に変位することを防止しつつ、車体に対する樹脂パネルの取付作業を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施例1の取付構造が採用された車両を示す上面図である。
図2図2は、実施例1の取付構造に係り、図1のA-A断面を示す断面図である。
図3図3は、実施例1の取付構造に係り、樹脂パネルを第1面側から示す背面図である。
図4図4は、実施例1の取付構造に係り、図2のX部分を示す要部拡大断面図である。
図5図5は、実施例1の取付構造に係り、樹脂パネルが熱伸縮した際における図4と同様の要部拡大断面図である。
図6図6は、実施例2の取付構造に係り、図4と同様の要部拡大断面図である。
図7図7は、実施例2の取付構造に係り、第1取付部材を示す側面図である。
図8図8は、実施例2の取付構造に係り、第2取付部材を図6のD1方向から示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施例1)
図1、2に示すように、実施例1の取付構造は、車両1に採用されている。車両1は乗用自動車である。この車両1は、車体3と、ルーフパネル5とを備えている。車体3は、車室CRを形成している。また、車体3は、ボディパネル31と、サンシェードハウジング33と、内装パネル35とを有している。ルーフパネル5は、本発明における「樹脂パネル」の一例である。
【0023】
本実施例では、図1に示す実線矢印によって、車体3の前後方向及び左右方向を規定している。また、図2では、図1に対応して、車体3の左右方向を規定している他、車体3の上下方向を規定している。そして、図3以降では、図1及び図2に対応して、車体3の前後方向、左右方向及び上下方向を規定している。
【0024】
図2に示すように、ボディパネル31には、開口部31aと取付凹部31bとが形成されている。開口部31aは、ボディパネル31を上下方向に貫通している。取付凹部31bは、開口部31aの外周側に配置されている。より具体的には、図1に示すように、取付凹部31bは、矩形の環状に形成されている。これにより、取付凹部31bは、開口部31aを外周側から囲包している。
【0025】
また、図2に示すように、ボディパネル31は、アウタパネル311とインナパネル312とを有している。アウタパネル311及びインナパネル312は、金属製の板材に対してプレス加工を施すことで形成されている。アウタパネル311は、車外側に配置されており、ボディパネル31、ひいては車体3の表面を構成している。アウタパネル311には、第1支持フランジ311aが形成されている。第1支持フランジ311aは、取付凹部31b内に位置しており、開口部31aに向かって延びている。インナパネル312は、アウタパネル311の内側、すなわち車内側に配置されている。インナパネル312には、第2支持フランジ312aが形成されている。第1支持フランジ311aと同様、第2支持フランジ312aも開口部31aに向かって延びている。第1支持フランジ311aと第2支持フランジ312aとを含め、アウタパネル311とインナパネル312とは、複数個所にスポット溶接が施されることにより、互いに接合されて一体化されている。
【0026】
図1に示すように、サンシェードハウジング33は、第1フレーム331と、第2フレーム332と、第3フレーム333と、第4フレーム334とを有している。第1~4フレーム331~334は、それぞれ金属製である。第1フレーム331は、車体3の左側に配置されており、前後方向に延びている。第2フレーム332は、車体3の右側に配置されており、前後方向に延びている。第3フレーム333は、車体3の前側に配置されており、第1フレーム331と第2フレーム332との間で左右方向に延びている。第4フレーム334は、車体3の後側に配置されており、第1フレーム331と第2フレーム332との間で左右方向に延びている。これらの第1~4フレーム331~334により、サンシェードハウジング33は矩形の枠状をなしている。なお、サンシェードハウジング33の形状は適宜設計可能である。
【0027】
サンシェードハウジング33、すなわち第1~4フレーム331~334には、それぞれ図2に示すガイドレール33aと、複数の第1取付孔33bとが形成されている。ガイドレール33aは、第1~4フレーム331~334における長手方向に延びている。ガイドレール33a内には、サンシェード7が配置されている。サンシェード7は、車両1の乗員(図示略)が車室CR側から操作することにより、ガイドレール33a内を移動可能となっている。これにより、サンシェード7は、ルーフパネル5及び開口部31aを通じた車室CR内への採光を調整可能となっている。なお、図2では、説明を容易にするため、サンシェード7の形状を簡略化しつつ、仮想線で図示している。また、図1では、サンシェード7の図示を省略している。
【0028】
図1に示すように、各第1取付孔33bは、長孔形状に形成されており、第1~4フレーム331~334を上下方向に貫通している。ここで、各第1取付孔33bは、ルーフパネル5の中心C1から放射方向に延びるように第1~4フレーム331~334に配置されている。なお、各第1取付孔33bの個数は適宜設計可能である。
【0029】
図2に示すように、内装パネル35は、樹脂製の板材によって形成されている。詳細な図示を省略するものの、内装パネル35は、ボディパネル31に取り付けられている。これにより、内装パネル35は、車室CRの天井を構成しつつ、車室CR側からボディパネル31及びサンシェードハウジング33を覆っている。
【0030】
ルーフパネル5は、車体3の天井部分に配置されている。ルーフパネル5は、パネル本体51と、枠体53とで構成されている。パネル本体51、ひいてはルーフパネル5は、前後方向及び左右方向に延びる板状に形成されている。より具体的には、ルーフパネル5は、図1に示すように、ボディパネル31の取付凹部31bよりもやや小さい矩形状をなしている。また、図2に示すように、ルーフパネル5は、車体3の上方側、つまり車外側に向かって所定の曲率で凸状に湾曲している。なお、ルーフパネル5は、湾曲せずに平坦な板状とされていても良い。
【0031】
パネル本体51は、第1裏面51aと、第1表面51bと、第1端面51cとを有している。第1裏面51aは、パネル本体51における車体3側に位置している。第1表面51bは、第1裏面51aの反対側に位置しており、車外に面している。第1表面51bは、本発明における「第2面」の一例である。第1端面51cは、第1裏面51aと第1表面51bとに接続しており、パネル本体51を周方向に一周している。
【0032】
パネル本体51は、ポリカーボネートを主成分とする透明樹脂によって形成されている。これにより、パネル本体51は、第1表面51bから第1裏面51aまで透光性を有している。なお、パネル本体51は、ポリカーボネート以外の透明樹脂を主成分とするもので形成されても良い。また、パネル本体51の板厚は適宜設計することができる。
【0033】
図3に示すように、枠体53は、パネル本体51の第1裏面51aに一体に形成されており、矩形の枠状をなしている。また、図2に示すように、枠体53は、パネル本体51よりも板厚が薄く形成されている。枠体53は、ポリカーボネートを主成分とする黒色の不透明樹脂によって形成されている。なお、パネル本体51は、ポリカーボネート以外の不透明樹脂を主成分とするもので形成されても良く、黒色以外の不透明樹脂によって形成されても良い。また、枠体53の板厚についても適宜設計することができる。
【0034】
枠体53は、第2裏面53aと、第2表面53bと、第2端面53cとを有している。第2裏面53aは、枠体53における車体3側に位置しており、車体3に面している。第2裏面53aは、本発明における「第1面」の一例である。第2表面53bは、第2裏面53aの反対側に位置しており、パネル本体51の第1裏面51aに面しつつ、第1裏面51aと接合している。第2端面53cは、第2裏面53aと第2表面53bとに接続している。第2端面53cは、枠体53を周方向に一周することにより、枠体53の外周面を構成している。また、第2端面53cは、第1端面51cとともに、ルーフパネル5の端面を構成している。
【0035】
図3に示すように、枠体53の第2裏面53aには、複数の係合片9と、複数の取付フランジ11とが一体に形成されている。各係合片9は、本発明における「第2取付部材」の一例である。
【0036】
各係合片9は、ルーフパネル5の中心C1に対して放射方向に配置されている。これにより、各係合片9は、それぞれ中心C1に臨みつつ、中心C1を外周側から囲っている。図2に示すように、各係合片9は、第1壁部9aと係合部9bとを有している。第1壁部9aは、基端側、すなわち第2裏面53a側で第2裏面53aと一体をなしており、第2裏面53aから車体3側に向かって直線状に延びている。係合部9bは、第1壁部9aの先端側と一体をなしている。係合部9bは、第1壁部9a側から第2裏面53aと平行で中心C1側に向かって延びる板状に形成されている。このように、各係合片9では、第1壁部9aによって、係合部9bは、第2裏面53aよりも車体3側に離間している。なお、係合片9の個数は適宜設計可能である。
【0037】
各取付フランジ11は、図1及び図2に示す第1取付孔33bに対応するように、配置されている。つまり、図3に示すように、各取付フランジ11は、各係合片9よりも内周側で中心C1を囲うように配置されている。図2に示すように、各取付フランジ11は、第2壁部11aと取付部11bとを有している。第2壁部11aは、基端側で第2裏面53aと一体をなしており、第2裏面53aから車体3側に向かって直線状に延びている。取付部11bは、第2壁部11aの下端側と一体をなしている。取付部11bは、第2壁部11a側からルーフパネル5の外周側に向かって延びる板状に形成されている。このように、各取付フランジ11では、第2壁部11aによって、取付部11bは、第2裏面53aよりも車体3側に離間している。なお、各取付フランジ11の形状は適宜設計可能である。
【0038】
また、取付部11bには、第2取付孔11cが形成されている。第2取付孔11cは、取付部11bを貫通している。第2取付孔11cには、取付クリップ13の一端側が挿通されている。これにより、取付部11bに対して取付クリップ13が取り付けられている。取付クリップ13には、シール部13aと係止部13bとが形成されている。なお、図3では、取付クリップ13の図示を省略している。また、取付クリップ13の形状は適宜設計可能である。
【0039】
図1及び図2に示すように、車両1では、実施例1の取付構造によって、車体3に対してルーフパネル5が取り付けられている。この取付構造は、止水部材15と、取付体17とを備えている。
【0040】
図4に示すように、止水部材15は、合成ゴム等の樹脂材によって形成されており、図1に示すように、ルーフパネル5を一周する矩形の環状をなしている。
【0041】
図4に示すように、取付体17は、複数の係合クリップ19と、上記の各係合片9とで構成されている。係合クリップ19は、本発明における「第1取付部材」の一例である。各係合クリップ19の個数と、各係合片9の個数とは同数とされている。
【0042】
各係合クリップ19は、金属片を略U字形状に屈曲させることで形成されている。これにより、各係合クリップ19には、一端部19aと、他端部19bと、折返し部19cとが形成されている。
【0043】
一端部19aは、各係合クリップ19における下側、すなわち車体3側に位置している。他端部19bは、各係合クリップ19における上側、すなわちルーフパネル5側に位置している。折返し部19cは、一端部19aと他端部19bとの間に位置している。この折返し部19cにより、各係合クリップ19では、一端部19a及び他端部19bが係合片9に臨むように配置されている。つまり、各係合クリップ19では、一端部19a及び他端部19bが折返し部19cに対して同じ側に位置している。また、折返し部19cにより、各係合クリップ19では、一端部19a及び他端部19bが上下方向、すなわち、ルーフパネル5の板厚方向に離間している。
【0044】
各係合クリップ19は、接着剤21によって、一端部19aがアウタパネル311の第1支持フランジ311aに接着されている。こうして、各係合クリップ19は、ボディパネル31に固定されている。ここで、図1に示すように、各係合クリップ19は、ボディパネル31において、各係合片9にそれぞれ対応する位置に配置されている。つまり、各係合クリップ19は、ボディパネル31において、ルーフパネル5の中心C1を囲いつつ、中心C1に対して放射方向に配置されている。この際、各係合クリップ19では、一端部19a及び他端部19bが係合片9に臨むように配置される。このため、各係合クリップ19は、一端部19a及び他端部19bが中心C1に対して放射方向の外側、すなわち、ルーフパネル5の外周側に臨む状態で配置されている。
【0045】
図4に示すように、この取付構造では、止水部材15がボディパネル31とルーフパネル5との間、より具体的には、アウタパネル311の第1支持フランジ311aと、枠体53の第2裏面53aに配置される。この際、止水部材15は、第1支持フランジ311aと、第2裏面53aとの間において、取付体17よりも外周側となる位置に配置される。こうして、止水部材15は、ルーフパネル5の重量によって厚さ方向に僅かに弾性変形しつつ、第1支持フランジ311aと、第2裏面53aとに当接する。これにより、止水部材15は、第1支持フランジ311aと、第2裏面53aとの間における止水を行う。
【0046】
ここで、この取付構造において、止水部材15は、第1支持フランジ311aと、第2裏面53aとを接着することはない。つまり、止水部材15は、ボディパネル31とルーフパネル5との固定を行わない。なお、位置決めの容易化を図るため、第1支持フランジ311a又は第2裏面53aのいずれかに対して、両面テープ等で止水部材15を仮止めしつつ、第1支持フランジ311aと、第2裏面53aとの間に止水部材15を配置しても良い。
【0047】
また、この取付構造では、取付体17において、各係合クリップ19と、各係合片9とをそれぞれ係合させている。具体的には、各係合クリップ19と、各係合片9とを上下方向、すなわち、ルーフパネル5の板厚方向に接近させる。この際、各係合片9によって、各係合クリップ19をルーフパネル5の中心C1側に弾性変形させる。そして、係合クリップ19の一端部19aと他端部19bとの間に係合片9の係合部9bを進入させつつ、他端部19bと係合部9bとをルーフパネル5の板厚方向で当接させて、他端部19bを係合部9bに保持させる。この際、図4及び図5の白色矢印で示すように、他端部19bは、係合クリップ19の復元力によって係合部9bに押し当てられる状態となる。このため、他端部19bが係合部9bに保持される状態が維持されることで、各係合クリップ19と各係合片9とが係合する状態が維持される。こうして、各係合クリップ19と、各係合片9とが係合され、ボディパネル31とルーフパネル5とが固定されている。
【0048】
さらに、図2に示すように、この取付構造では、サンシェードハウジング33の各第1取付孔33bに対して、各取付クリップ13の他端側をそれぞれ挿通させている。これにより、各取付クリップ13では、係止部13bがサンシェードハウジング33に当接し、第1取付孔33bからの各取付クリップ13の抜け止めを行う。こうして、取付体17よりもルーフパネル5の内周側において、ルーフパネル5は、サンシェードハウジング33にも取り付けられている。そして、サンシェードハウジング33は、ボディパネル31の開口部31a内に配置されて、枠体53と内装パネル35との間に位置している。ここで、各第1取付孔33bは長孔形状であるため、ルーフパネル5がサンシェードハウジング33に取り付けられた状態で、各取付クリップ13は、各第1取付孔33b内において各第1取付孔33bの長手方向に移動することが可能となっている。また、ルーフパネル5がサンシェードハウジング33に取り付けられることにより、各第1取付孔33bは、各取付クリップ13のシール部13aに覆われている。これにより、各第1取付孔33b内に水等が進入することが防止されている。
【0049】
ところで、ルーフパネル5は樹脂製であるため、金属製のボディパネル31やサンシェードハウジング33に比べて、温度変化による熱伸縮が大きくなる。また、温度変化により、ルーフパネル5は、第1表面51bや第2裏面53aに沿いつつ、中心C1から放射方向に熱伸縮するとともに、板厚方向に熱伸縮することになる。このため、車両1では、各係合クリップ19と各係合片9とが係合した状態、つまり、車体3にルーフパネル5が取り付けられた状態で、ルーフパネル5は車体3に対して変位しようとする。具体的には、温度変化による熱膨張の場合には、ルーフパネル5は、第1表面51bや第2裏面53aに沿いつつ、中心C1から放射状に広がるように伸張する。このため、図5に示すように、ルーフパネル5は、車体3に対して放射状に広がる方向に変位することになる。また、ルーフパネル5は、車体3から上方に離れるように変位することになる。
【0050】
この点、この取付構造では、ルーフパネル5に熱伸縮が生じれば、各係合クリップ19の他端部19bと、各係合片9の係合部9bとは、当接した状態を維持しつつ、ルーフパネル5の第1表面51bや第2裏面53aに沿って、中心C1に対する放射方向に相対移動することができる。このため、例えば、ルーフパネル5が熱膨張する場合には、図5の黒色矢印で示すように、他端部19bは、係合部9bに対して右方向、つまり、ルーフパネル5の中心C1側にずれることができる。このように、この取付構造では、各係合クリップ19と各係合片9とが係合した状態において、各係合片9は、各係合クリップ19が各係合片9に対して、第1表面51b及び第2裏面53aに沿う方向に変位することを許容する。これにより、熱伸縮するルーフパネル5は、ボディパネル31に対して、第1表面51bや第2裏面53aに沿う方向に変位することが可能となっている。
【0051】
また、この取付構造では、サンシェードハウジング33の各第1取付孔33bが長孔形状とされており、各取付クリップ13が各第1取付孔33b内で移動することが可能となっている。そして、各第1取付孔33bは、ルーフパネル5の中心C1から放射方向に延びている。このため、熱伸縮するルーフパネル5は、サンシェードハウジング33に対しても、第1表面51bや第2裏面53aに沿う方向に変位することが可能となっている。
【0052】
これらにより、この取付構造によれば、熱伸縮するルーフパネル5対し、車体3側、つまり、ボディパネル31やサンシェードハウジング33からの荷重が作用し難くなっている。また、この取付構造では、止水部材15がボディパネル31とルーフパネル5との固定を行わないため、熱伸縮するルーフパネル5が車体3に対して第1表面51bや第2裏面53aに沿う方向に変位するに当たり、止水部材15が抵抗となり難い。このため、熱伸縮するルーフパネル5対して止水部材15からの荷重も作用し難くなっている。さらに、止水部材15は、ボディパネル31とルーフパネル5との固定を行わないことから、ルーフパネル5やボディパネル31からの荷重を受け難くなる。このため、止水部材15に亀裂等が生じ難く、耐久性が高くなっている。
【0053】
一方、この取付構造では、各係合クリップ19と各係合片9とが係合した状態において、熱伸縮するルーフパネル5が車体3からルーフパネル5の板厚方向に変位、すなわち、ルーフパネル5の板厚方向にルーフパネル5が車体3から離間しようすれば、各係合クリップ19の他端部19bと、各係合片9の係合部9bとがルーフパネル5の板厚方向に強く押し当ることになる。このため、他端部19bと係合部9bとは、ルーフパネル5の板厚方向に離間することがない。また、各取付クリップ13は、係止部13bによって各第1取付孔33bから抜け止めがされるため、各取付クリップ13も、各第1取付孔33bから離脱することができなくなっている。こうして、この取付構造では、熱伸縮によって、ルーフパネル5がボディパネル31やサンシェードハウジング33に対して、ルーフパネル5の板厚方向に変位することを防止できる。この結果、この取付構造では、止水部材15がルーフパネル5やボディパネル31から離間したり、止水部材15がルーフパネル5やボディパネル31から車体から脱落したりし難くなっている。このため、ルーフパネル5とボディパネル31との間から水が進入し難くなっている。また、この取付構造では、ルーフパネル5が板厚方向に変位することを防止することにより、例えば、ルーフパネル5に対して移動可能な開閉パネルをさらに設けた場合、ルーフパネル5が開閉パネルの移動を妨げ難くなる。
【0054】
そして、この取付構造では、車体3にルーフパネル5を取り付けるに当たって、ボディパネル31とルーフパネル5とに止水部材15を当接させつつ、各係合クリップ19と各係合片9と係合させ、かつ、各取付クリップ13を各第1取付孔33bに挿通させれば足りる。このように、この取付構造によれば、車体3にルーフパネル5を取り付けるに当たって、複数の締結ボルトを複数のナットにそれぞれ締結させる作業を行う必要がない。また、この取付構造では、止水部材15をルーフパネル5及びボディパネル31に接着する必要もない。
【0055】
したがって、実施例1の取付構造によれば、熱伸縮するルーフパネル5が車体3に対してルーフパネル5の板厚方向に変位することを防止しつつ、車体3に対するルーフパネル5の取付作業を向上させることができる。
【0056】
特に、この取付構造では、各係合クリップ19を金属片によって形成しており、一端部19a、他端部19b及び折返し部19cとを有する略U字形状としている。このため、各係合クリップ19の製造を容易化することが可能となっている。このため、この取付構造を採用する車両1を低廉化することができる。
【0057】
また、各係合クリップ19では、折返し部19cによって、一端部19aと他端部19bとが各係合片9に臨むように配置されているとともに、一端部19aと他端部19bとがルーフパネル5の板厚方向に離間している。このため、この取付構造では、他端部19bを各係合片9の係合部9bに容易に保持させることが可能となっており、ひいては、各係合クリップ19と各係合片9とを容易に係合させることが可能となっている。
【0058】
さらに、この取付構造では、各係合片9を枠体53に一体に形成している。これにより、この取付構造では、接着等によって各係合片9を枠体53に設ける作業が不要となっているとともに、枠体53に対する各係合片9の位置決め作業も不要となっている。この点においても、この取付構造では、車体3に対するルーフパネル5の取付作業を向上させることが可能となっている。
【0059】
また、枠体53は不透明の黒色であるため、取付体17、各取付フランジ11、止水部材15及びサンシェードハウジング33は、ルーフパネル5の第1表面51b側から見えなくなっている。このため、車体3及びルーフパネル5、ひいては車両1の美観が高くなっている。
【0060】
(実施例2)
図6に示すように、実施例2の取付構造では、取付体17に変えて、取付体18を備えている。取付体18は、複数の係合ピン23と、複数の係合ブラケット25とで構成されている。各係合ピン23も本発明における「第1取付部材」の一例である。また、各係合ブラケット25も本発明における「第2取付部材」の一例である。
【0061】
各係合ピン23は樹脂製である。各係合ピン23は、図7に示すように、第1基部23aと、軸部23bと、抜け止め部23cとを有している。第1基部23aは平坦な板状に形成されている。軸部23bは、第1基部23aに一体に形成されており、第1基部23a側からルーフパネル5側に向かって直線状に延びる円柱状をなしている。抜け止め部23cは、軸部23bの先端に一体に形成されている。抜け止め部23cは球状に形成されている。ここで、軸部23bの直径は長さL1に設定されており、抜け止め部23cの直径は、長さL1よりも長い長さL2に設定されている。
【0062】
図6に示すように、各係合ピン23は、接着剤27によって、第1基部23aがアウタパネル311の第1支持フランジ311aに接着されている。こうして、各係合ピン23は、ボディパネル31に固定されている。詳細な図示を省略するものの、各係合ピン23は、ボディパネル31において、ルーフパネル5の中心C1を囲うように配置されている。
【0063】
各係合ブラケット25は、ケース25aと、保持部材25bとを有している。ケース25a及び保持部材25bは、それぞれ樹脂製である。ここで、保持部材25bは、ケース25aに比べて剛性の低い樹脂によって形成されている。このため、保持部材25bは、ケース25aに比べて弾性変形し易くなっている。
【0064】
ケース25aには、第2基部251と、円筒部252とが形成されている。第2基部251は、平坦な板状をなしている。円筒部252は、第2基部251に一体に形成されており、第2基部251側から車体3側に向かって直線状に延びている。保持部材25bは、円筒部252内に設けられており、円筒部252に固定されている。
【0065】
図8に示すように、保持部材25bには、第1溝部253と、第2溝部254と、挿通孔255とが形成されている。第1溝部253は、保持部材25bの右端から左端まで直線状に延びつつ、保持部材25bをルーフパネル5の板厚方向に貫通している。第2溝部254は、保持部材25bの前端から後端まで直線状に延びつつ、保持部材25bをルーフパネル5の板厚方向に貫通している。挿通孔255は、保持部材25bの中心に位置している。挿通孔255は、第1、2溝部253、254と連通しつつ、保持部材25bをルーフパネル5の板厚方向に貫通している。ここで、挿通孔255の内径は、長さL3とされている。この長さL3は、図7に示す長さL1よりも長く、長さL2よりも僅かに短く設定されている。このため、挿通孔255の内径は、係合ピン23の軸部23bよりも大径である一方、抜け止め部23cよりも僅かに小径となっている。
【0066】
図6に示すように、各係合ブラケット25は、接着剤29によって、枠体53の第2裏面53aに接着されている。ここで、各係合ブラケット25は、各係合ピン23に対応する位置で、第2裏面53aにそれぞれ配置されている。つまり、各係合ブラケット25は、第2裏面53aにおいて、ルーフパネル5の中心C1を囲うように配置されている。
【0067】
この取付構造でも、止水部材15がアウタパネル311の第1支持フランジ311aと、枠体53の第2裏面53aとの間に配置される。そして、この取付構造では、取付体18において、各係合ピン23と、各係合ブラケット25とをそれぞれ係合させる。具体的には、各係合ピン23と、各係合ブラケット25とをルーフパネル5の板厚方向に接近させつつ、各係合ブラケット25の挿通孔255に対し、各係合ピン23の抜け止め部23c及び軸部23bを挿通させる。この際、挿通孔255は、抜け止め部23cよりも小径であるため、各係合ブラケット25では、挿通孔255が拡径するように保持部材25bが弾性変形する。こうして、抜け止め部23cは、挿通孔255に挿通されて円筒部252内に位置する。また、軸部23bは、挿通孔255内に位置する。これらにより、各係合ピン23と、各係合ブラケット25とが係合され、ボディパネル31にルーフパネル5が取り付けられている。ここで、抜け止め部23cは、円筒部252内に位置した後は、挿通孔255からの軸部23bの抜け止めを行う。このため、各係合ピン23と、各係合ブラケット25とが係合する状態が維持される。
【0068】
また、図示を省略するものの、この取付構造においても、実施例1の取付構造と同様、各取付クリップ13によって、ルーフパネル5がサンシェードハウジング33に取り付けられている。この取付構造を含め、車両1における他の構成は、実施例1と同様であり、同一の構成については、同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0069】
この取付構造では、各係合ピン23における軸部23bは、各係合ブラケット25における挿通孔255に比べて小径となっている。このため、各係合ピン23は、各係合ブラケット25に係合した状態において、各係合ブラケット25に対して変位することが可能となっている。これにより、この取付構造でも、熱伸縮するルーフパネル5は、ボディパネル31に対して、第1表面51bや第2裏面53aに沿う方向に変位することが可能となっている。
【0070】
また、この取付構造では、各係合ピン23と、各係合ブラケット25とが係合すれば、抜け止め部23cが挿通孔255からの軸部23bの抜け止めを行う。このため、各係合ピン23と、各係合ブラケット25とは、ルーフパネル5の板厚方向に離間することが不可能となる。こうして、この取付構造でも、熱伸縮するルーフパネル5がボディパネル31に対して、ルーフパネル5の板厚方向に変位することを防止できる。
【0071】
そして、この取付構造では、各係合ピン23と各係合ブラケット25と係合させるに当たって、第2取付部材の挿通孔255に対し、軸部23b及び抜け止め部23cをルーフパネル5の板厚方向に挿通させれば足りる。このため、各係合ピン23と各係合ブラケット25とを容易に係合させることが可能となっている。この取付構造における他の作用は、実施例1の取付構造と同様である。
【0072】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0073】
例えば、実施例1、2の取付構造では、車体3に対するルーフパネル5の取り付けを行っている。しかし、これに限らず、車体3の側面に設けられるサイドウィンドウや車体3の後方に設けられるリヤウィンドウを本発明における「樹脂パネル」とすることにより、実施例1、2の取付構造によって、車体3に対するサイドウィンドウやリヤウィンドウの取り付けを行っても良い。
【0074】
また、取付体17、18によって、サンシェードハウジング33に対するルーフパネル5の取り付けを行っても良い。
【0075】
さらに、車体3において、サンシェードハウジング33を省略し、車体3に対するルーフパネル5の取り付けを取付体17、18のみによって行っても良い。
【0076】
また、ルーフパネル5をパネル本体51のみで構成し、各係合片9や各係合ブラケット25をパネル本体51の第1裏面51aに設けても良い。
【0077】
さらに、ルーフパネル5に対し、第1、2端面51c、53c、すなわちルーフパネル5の端面を覆うモール部材を設け、このモール部材を本発明における「止水部材」としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、乗用自動車の他、運送車両や産業車両等の車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
3…車体
5…ルーフパネル(樹脂パネル)
9…係合片(第2取付部材)
15…止水部材
17、18…取付体
19…係合クリップ(第1取付部材)
19a…一端部
19b…他端部
19c…折返し部
23…係合ピン(第1取付部材)
23b…軸部
23c…抜け止め部
25…係合ブラケット(第2取付部材)
51b…第1表面(第2面)
53a…第2裏面(第1面)
255…挿通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8