IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-リレー装置 図1
  • 特許-リレー装置 図2
  • 特許-リレー装置 図3
  • 特許-リレー装置 図4
  • 特許-リレー装置 図5
  • 特許-リレー装置 図6
  • 特許-リレー装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】リレー装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/24 20060101AFI20230221BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
H02H3/24 A
H02H3/24 D
H02J1/00 309D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020209467
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096390
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2022-12-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】金澤 明
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-254185(JP,A)
【文献】特開2001-160746(JP,A)
【文献】特開2020-111882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R16/00-17/02
H02H3/08-3/253
H02J1/00-1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1対象と第2対象との間の電気的接続のオンオフを切り替えるリレー装置であって、
前記第1対象に電気的に接続された第1端子と、
前記第2対象に電気的に接続された第2端子と、
前記第1端子と前記第2端子との間の電気的接続のオンオフを切り替えるリレーと、
前記リレーのオンオフ制御を行う制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記第1端子の第1電圧と第1しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオフにする第1オフ制御をハードウェアにより実行し、
前記第1電圧と、前記第1しきい値電圧よりも大きい第2しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオフにする第2オフ制御をソフトウェアにより実行する、リレー装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリレー装置であって、
ハードウェアによる前記第1オフ制御では、第1しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第1しきい値電圧未満のとき、前記リレーがオフにされる、リレー装置。
【請求項3】
請求項1に記載のリレー装置であって、
ソフトウェアによる前記第2オフ制御では、しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第2しきい値電圧未満のとき、前記リレーがオフにされる、リレー装置。
【請求項4】
請求項2に記載のリレー装置であって、
ソフトウェアによる前記第2オフ制御では、前記第1しきい値時間よりも大きい第2しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第2しきい値電圧未満のとき、前記リレーがオフにされる、リレー装置。
【請求項5】
請求項4に記載のリレー装置であって、
前記制御部は、前記第1電圧と、前記第1しきい値電圧よりも大きくかつ前記第2しきい値電圧よりも小さい第3しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオフにする第3オフ制御をソフトウェアにより実行し、
ソフトウェアによる前記第3オフ制御では、前記第1しきい値時間よりも大きくかつ前記第2しきい値時間よりも小さい第3しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第3しきい値電圧未満であるとき、前記リレーがオフにされる、リレー装置。
【請求項6】
請求項1に記載のリレー装置であって、
前記制御部は、前記第1電圧と、前記第1しきい値電圧及び前記第2しきい値電圧よりも大きい第3しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオンにするオン制御をソフトウェアにより実行する、リレー装置。
【請求項7】
請求項6に記載のリレー装置であって、
ハードウェアによる前記第1オフ制御では、第1しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第1しきい値電圧未満のとき、前記リレーがオフにされ、
ソフトウェアによる前記オン制御では、前記第1しきい値時間よりも大きい第2しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第3しきい値電圧よりも大きいとき、前記リレーがオンにされる、リレー装置。
【請求項8】
請求項6に記載のリレー装置であって、
ソフトウェアによる前記第2オフ制御では、第1しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第2しきい値電圧未満のとき、前記リレーがオフにされ、
ソフトウェアによる前記オン制御では、前記第1しきい値時間よりも小さい第2しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第3しきい値電圧よりも大きいとき、前記リレーがオンにされる、リレー装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のリレー装置であって、
前記制御部は、
前記第2端子の第2電圧と第4しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオフにする第4オフ制御をハードウェアにより実行し、
前記第2電圧と、前記第4しきい値電圧よりも大きい第5しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオフにする第5オフ制御をソフトウェアにより実行する、リレー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リレー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、短絡が発生した場合にリレーをオフにする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-034381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
短絡には、その度合いが大きくて比較的大きな短絡電流が流れる短絡もあれば、その度合いが小さくて比較的小さな短絡電流が流れる短絡も存在する。特許文献1の技術では、短絡度合いについては考慮されていない。
【0005】
そこで、短絡度合い大きい場合であっても小さい場合であっても適切にリレーをオフにすることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のリレー装置は、第1対象と第2対象との間の電気的接続のオンオフを切り替えるリレー装置であって、前記第1対象に電気的に接続された第1端子と、前記第2対象に電気的に接続された第2端子と、前記第1端子と前記第2端子との間の電気的接続のオンオフを切り替えるリレーと、前記リレーのオンオフ制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記第1端子の第1電圧と第1しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオフにする第1オフ制御をハードウェアにより実行し、前記第1電圧と、前記第1しきい値電圧よりも大きい第2しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオフにする第2オフ制御をソフトウェアにより実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、短絡度合い大きい場合であっても小さい場合であっても適切にリレーをオフにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1はリレー装置の構成の一例を示す概略図である。
図2図2はハードオフ部の構成の一例を示す概略図である。
図3図3はマイクロコントローラの構成の一例を示す概略図である。
図4図4はソフトオンオフ部の動作の一例を示すフローチャートである。
図5図5はソフトオンオフ部の動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6はソフトオンオフ部の動作の一例を示すフローチャートである。
図7図7はソフトオンオフ部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のリレー装置は、次の通りである。
【0011】
(1)第1対象と第2対象との間の電気的接続のオンオフを切り替えるリレー装置であって、前記第1対象に電気的に接続された第1端子と、前記第2対象に電気的に接続された第2端子と、前記第1端子と前記第2端子との間の電気的接続のオンオフを切り替えるリレーと、前記リレーのオンオフ制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記第1端子の第1電圧と第1しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオフにする第1オフ制御をハードウェアにより実行し、前記第1電圧と、前記第1しきい値電圧よりも大きい第2しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオフにする第2オフ制御をソフトウェアにより実行する。本開示によると、第1対象に電気的に接続された第1端子の第1電圧と、比較的小さい第1しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいてリレーをオフにする第1オフ制御がハードウェアにより実行される。これにより、第1対象での短絡度合いが大きく第1電圧が小さくなったときに、ハードウェアによりリレーをオフにすることができる。その結果、第1対象での短絡度合いが大きい場合に、第1対象と第2対象との電気的接続をハードウェアによりすぐにオフにすることができる。よって、第1対象で発生した短絡の影響が第2対象に及びにくくなる。さらに、本開示によると、第1対象に電気的に接続された第1端子の第1電圧と、比較的大きい第2しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいてリレーをオフにする第2オフ制御がソフトウェアにより実行される。これにより、第1対象での短絡度合いが小さく第1電圧がそれほど小さくならないときに、ソフトウェアによりリレーをオフにすることができる。このように、ソフトウェアによりリレーをオフにすることによって、専用のハードウェアが不要になることから、回路規模を小さくすることができる。一方で、ソフトウェアによりリレーをオフにする場合には、リレーのオフまで多少時間がかかるものの、第1対象での短絡度合いは小さいことから、第1対象での短絡が、リレーがオフされるまでに第2対象に与える影響は小さい。よって、短絡度合い大きい場合であっても小さい場合であっても適切にリレーをオフにすることができる。
【0012】
(2)ハードウェアによる前記第1オフ制御では、第1しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第1しきい値電圧未満のとき、前記リレーがオフにされてもよい。この場合、第1電圧が第1しきい値電圧未満である状態が継続するときにリレーがオフにされることから、第1対象に短絡が発生していないにもかかわらずリレーが誤ってオフにされる可能性を低減することができる。
【0013】
(3)ソフトウェアによる前記第2オフ制御では、しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第2しきい値電圧未満のとき、前記リレーがオフにされてもよい。この場合、第1電圧がしきい値電圧未満である状態が継続するときにリレーがオフにされることから、第1対象に短絡が発生していないにもかかわらずリレーが誤ってオフにされる可能性を低減することができる。
【0014】
(4)ソフトウェアによる前記第2オフ制御では、前記第1しきい値時間よりも大きい第2しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第2しきい値電圧未満のとき、前記リレーがオフにされてもよい。この場合、ソフトウェアによる第2オフ制御では、第1電圧が第2しきい値電圧未満である状態が比較的長く継続するとき、リレーがオフにされる。これにより、第1対象での短絡度合いが小さいときには、比較的長い時間、第1対象と第2対象との間の電気的接続を維持することができる。
【0015】
(5)前記制御部は、前記第1電圧と、前記第1しきい値電圧よりも大きくかつ前記第2しきい値電圧よりも小さい第3しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオフにする第3オフ制御をソフトウェアにより実行し、ソフトウェアによる前記第3オフ制御では、前記第1しきい値時間よりも大きくかつ前記第2しきい値時間よりも小さい第3しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第3しきい値電圧未満であるとき、前記リレーがオフにされてもよい。この場合、ソフトウェアによる第2オフ制御によって、第1対象での短絡度合いがかなり小さいときに、比較的長い時間、第1対象と第2対象との間の電気的接続が維持される。一方で、ソフトウェアによる第3オフ制御によって、第1対象での短絡度合いがあまり小さくないときには、比較的短い時間、第1対象と第2対象との間の電気的接続が維持される。よって、第1対象での短絡度合いに応じて、第1対象と第2対象との間の電気的接続の維持時間を適切に変更することができる。
【0016】
(6)前記制御部は、前記第1電圧と、前記第1しきい値電圧及び前記第2しきい値電圧よりも大きい第3しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオンにするオン制御をソフトウェアにより実行してもよい。この場合、第1電圧と第3しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいてリレーをオンにするオン制御がソフトウェアにより実行される。このように、ソフトウェアによりリレーをオンにすることによって、専用のハードウェアが不要になることから、回路規模を小さくすることができる。
【0017】
(7)ハードウェアによる前記第1オフ制御では、第1しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第1しきい値電圧未満のとき、前記リレーがオフにされ、ソフトウェアによる前記オン制御では、前記第1しきい値時間よりも大きい第2しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第3しきい値電圧よりも大きいとき、前記リレーがオンにされてもよい。この場合、ソフトウェアによるオン制御では、第1電圧が第3しきい値電圧よりも大きい状態が比較的長く継続するときにリレーがオンにされることから、第1対象での短絡が解消していないにもかかわらずリレーが誤ってオンにされる可能性が低減する。
【0018】
(8)ソフトウェアによる前記第2オフ制御では、第1しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第2しきい値電圧未満のとき、前記リレーがオフにされ、ソフトウェアによる前記オン制御では、前記第1しきい値時間よりも小さい第2しきい値時間以上、前記第1電圧が前記第3しきい値電圧よりも大きいとき、前記リレーがオンにされてもよい。この場合、ソフトウェアによるオン制御では、第1電圧が第3しきい値電圧よりも大きい状態の継続時間があまり長くなくてもリレーがオンにされることから、第1対象での短絡が解消した場合にすぐにリレーをオンにすることができる。
【0019】
(9)前記制御部は、前記第2端子の第2電圧と第4しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオフにする第4オフ制御をハードウェアにより実行し、前記第2電圧と、前記第4しきい値電圧よりも大きい第5しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいて前記リレーをオフにする第5オフ制御をソフトウェアにより実行してもよい。この場合、第1対象で短絡が発生した場合だけではなく、第2対象で短絡が発生した場合にも、同様にリレーをオフにすることができる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のリレー装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内におけるすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
<リレー装置の概略説明>
図1はリレー装置1の一例を示す概略図である。リレー装置1は、第1対象と第2対象との間の電気的接続のオンオフを切り替えるリレー装置であって、例えば自動車に搭載される。第1対象及び第2対象のそれぞれは、例えば、バッテリと当該バッテリが出力する電力が供給される負荷とを含むシステムである。第1対象及び第2対象の例はこれに限られない。また、リレー装置1は自動車以外に搭載されてもよい。
【0022】
図1に示される、リレー装置1は、端子2Aと、端子2Bと、リレー3と、制御部4と、これらを収容するケース10とを備える。端子2A及び端子2Bはケース10から部分的に露出している。端子2Aには、第1対象としてのシステム100Aが電気的に接続されている。端子2Bには、第2対象としてのシステム100Bが電気的に接続されている。リレー装置1は、システム100Aとシステム100Bとの間の電気的接続のオンオフを切り替えることが可能である。リレー装置1は、システム100Aとシステム100Bとを電気的に接続する配線の途中に設けられている。本例では、システム100Aと、システム100Bと、リレー装置1とで、システム200が構成されている。システム200は、例えば、複数のバッテリを備えるバッテリシステムである。バッテリシステムは電源システムであるとも言える。
【0023】
システム100Aは、例えば、バッテリ101Aと、バッテリ101Aの出力端子に電気的に接続された負荷102Aとを備える。負荷102Aには、バッテリ101Aが出力する電力が供給される。負荷102Aは、バッテリ101Aからの電力に基づいて動作を行う。端子2Aは、バッテリ101Aの出力端子及び負荷102Aに電気的に接続されている。端子2Aにはバッテリ101Aの出力電圧が供給される。バッテリ101Aは例えば二次電池である。バッテリ101Aは、鉛蓄電池であってもよいし、リチウムイオン電池であってもよいし、他の種類のバッテリであってもよい。バッテリ101Aは、通常、例えば12.6Vの電圧を出力する。バッテリ101Aは例えばオルタネータによって充電される。負荷102Aは、例えば、カーナビゲーションシステムであってもよいし、電動式パワーステアリングシステムであってもよいし、他の種類の負荷であってもよい。
【0024】
システム100Bは、例えば、バッテリ101Bと、バッテリ101Bの出力端子に電気的に接続された負荷102Bとを備える。負荷102Bには、バッテリ101Bが出力する電力が供給される。負荷102Bは、バッテリ101Bからの電力に基づいて動作を行う。端子2Bは、バッテリ101Bの出力端子及び負荷102Bに電気的に接続されている。端子2Bにはバッテリ101Bの出力電圧が供給される。バッテリ101Bは例えば二次電池である。バッテリ101Bは、鉛蓄電池であってもよいし、リチウムイオン電池であってもよいし、他の種類のバッテリであってもよい。バッテリ101Bは、通常、例えば12.6Vの電圧を出力する。バッテリ101Bは例えばオルタネータによって充電される。負荷102Bは、例えば、カーナビゲーションシステムであってもよいし、電動式パワーステアリングシステムであってもよいし、他の種類の負荷であってもよい。負荷102Bは、負荷102Aと同等の負荷であってもよいし、異なる負荷であってもよい。
【0025】
リレー3は、端子2Aと端子2Bとの間の電気的接続のオンオフを切り替えることが可能である。端子2A及び端子2Bには、システム100A及び100Bがそれぞれ電気的に接続されていることから、リレー3は、システム100Aとシステム100Bとの間の電気的接続のオンオフを切り替えることが可能であると言える。リレー3は、コイル及びスイッチを備える有接点リレー(メカニカルリレーともよばれる)であってもよいし、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の半導体素子を備える無接点リレーであってもよい。
【0026】
リレー3がオンのとき、端子2Aと端子2Bとが電気的に接続されることによって、システム100Aと100Bとは電気的に接続される。これにより、システム100Aの負荷102Aには、バッテリ101Aとバッテリ101Bの両方が電気的に接続される。したがって、リレー3がオンのときには、負荷102Aは、バッテリ101Aの出力電力だけではなく、バッテリ101Bの出力電力に基づいて動作することができる。同様に、システム100Bの負荷102Bには、バッテリ101Bとバッテリ101Aの両方が電気的に接続される。したがって、負荷102Bは、バッテリ101Bの出力電力だけではなく、バッテリ101Aの出力電力に基づいて動作することができる。
【0027】
制御部4は、リレー3のオンオフ制御を行うことが可能である。本例では、リレー3は、例えばノーマリーオンタイプのリレーであって、駆動されていないときにはオンとなっている。制御部4は、リレー3をオフにするオフ条件が成立したとき、リレー3を駆動してリレー3をオフにする。そして、制御部4は、リレー3をオンにするオン条件が成立したとき、リレー3の駆動を停止してリレー3をオンにする。オフ条件は複数あってもよいし、オン条件は複数あってもよい。リレー3は、ノーマリーオフタイプのリレーであってもよい。
【0028】
本例では、制御部4は、例えば、端子2A及び2Bの電圧に基づいてリレー3のオンオフ制御を行う。例えば、制御部4は、リレー3がオンのとき、端子2Aの電圧20a(第1電圧20aともいう)が低下すると、リレー3を駆動してリレー3をオフにする。これにより、バッテリ101Aの出力端子に接続された配線が短絡するなどしてシステム100Aに短絡が発生して第1電圧20aが低下したときに、制御部4はリレー3をオフにすることができる。よって、システム100Aでの短絡がシステム100Bに影響を与えにくくなる。例えば、システム100Aでの短絡によってバッテリ101Bの出力電圧が低下することが発生しにくくなる。
【0029】
同様に、制御部4は、リレー3がオンのとき、端子2Bの電圧20b(第2電圧20bともいう)が低下すると、リレー3を駆動してリレー3をオフにする。これにより、システム100Bと端子2Bを接続する電線が短絡するなどしてシステム100Bに短絡が発生して第2電圧20bが低下したときに、制御部4はリレー3をオフにすることができる。よって、システム100Bでの短絡がシステム100Aに影響を与えにくくなる。
【0030】
また、制御部4は、リレー3がオフのとき、第1電圧20aが増加すると、リレー3の駆動を終了してリレー3をオンにする。これにより、システム100Aでの短絡が解消して第1電圧20aが増加したときに、制御部4はリレー3をオンにすることができる。よって、システム100Aでの短絡が解消したときには、システム100Aとシステム100Bとを電気的に接続することができる。
【0031】
同様に、制御部4は、リレー3がオフのとき、第2電圧20bが増加すると、リレー3の駆動を終了してリレー3をオンにする。これにより、システム100Bでの短絡が解消して第2電圧20bが増加したときに、制御部4はリレー3をオンにすることができる。よって、システム100Bでの短絡が解消したときには、システム100Bとシステム100Aとを電気的に接続することができる。
【0032】
制御部4は、例えば、ハードウェア回路5と、マイクロコントローラ6と、OR回路7と、駆動回路8とを備えている。駆動回路8は、例えば、トランジスタ及び抵抗等で構成されており、リレー3を駆動することができる。駆動回路8は、ハードウェア回路5及びマイクロコントローラ6によって制御される。
【0033】
ハードウェア回路5は、例えば、トランジスタ、抵抗及びコンデンサ等で構成されており、リレー3がオンの場合にリレー3をオフにすることが可能である。ハードウェア回路5は、リレー3がオンの場合に、端子2Aの第1電圧20aに基づいてリレー3をオフにするオフ制御をハードウェアにより実行するハードオフ部5として機能する。ハードオフ部5は、リレー3がオンの場合に、端子2Bの第2電圧20bに基づいてリレー3をオフにするオフ制御をハードウェアにより実行することも可能である。ここで、ハードウェアにより制御等の処理が実行されるとは、ソフトウェア(言い換えばプログラム)が使用されずにハードウェアだけで制御等の処理が実行されることを意味する。ハードウェアによる処理は、その実行にソフトウェアが不要な処理である。ハードオフ部5は、例えば、その機能の実行にソフトウェア(言い換えばプログラム)が不要なハードウェア回路で構成されている。したがって、ハードオフ部5は、ソフトウェアを記憶していない。ハードオフ部5は、リレー3をオフにする場合には、ハードオフ信号5aを出力する。ハードオフ信号5aは、例えばデジタル値の“1”を示す。以後、“1”及び“0”はデジタル値を示す。
【0034】
マイクロコントローラ6は、一種のコンピュータである。マイクロコントローラ6は、リレー3がオンの場合に、第1電圧20aに基づいてリレー3をオフにするオフ制御をソフトウェアにより実行することが可能である。また、マイクロコントローラ6は、リレー3がオンの場合に、第2電圧20bに基づいてリレー3をオフにするオフ制御をソフトウェアにより実行することが可能である。ここで、ソフトウェアにより制御等の処理が実行されるとは、コンピュータがソフトウェア(言い換えればプログラム)を実行することによって制御等の処理が実行されることを意味する。ソフトウェアによる処理とは、コンピュータでのソフトウェアの実行により実現される処理である。ソフトウェアによる処理は、ソフトウェアに記述されている処理であるとも言える。マイクロコントローラ6は、リレー3をオフにする場合には、ソフトオフ信号6aを出力する。ソフトオフ信号6aは例えば“1”を示す。
【0035】
また、マイクロコントローラ6は、リレー3がオフの場合に、第1電圧20aに基づいてリレー3をオンにするオン制御をソフトウェアにより実行することが可能である。また、マイクロコントローラ6は、リレー3がオフの場合に、第2電圧20bに基づいてリレー3をオンにするオン制御をソフトウェアにより実行することが可能である。マイクロコントローラ6は、リレー3をオンにする場合には、ソフトオフ信号6aの出力を停止する。また、マイクロコントローラ6は、ハードオフ部5に対してハードオフ信号5aを出力しないことを指示するハードオフ禁止信号6bをハードオフ部5に出力する。ハードオフ禁止信号6bは例えば“1”を示す。ハードオフ部5は、ハードオフ禁止信号6bが入力されている間、第1電圧20a及び第2電圧20bにかかわらず、ハードオフ信号5aを出力しない。
【0036】
OR回路7には、ハードオフ信号5a及びソフトオフ信号6aが入力される。OR回路7は、ハードオフ信号5aが入力されているとき“1”を出力する。また、OR回路7は、ソフトオフ信号6aが入力されているとき“1”を出力する。OR回路7は、ハードオフ信号5a及びソフトオフ信号6aの両方が入力されていないとき“0”を出力する。駆動回路8は、OR回路7の出力が“1”を示すとき、リレー3を駆動してリレー3をオフにする。一方で、駆動回路8は、OR回路7の出力が“0”を示すとき、リレー3を駆動せずにリレー3をオンにする。
【0037】
以上の構成を備えるリレー装置1では、ハードオフ部5がハードオフ信号5aを出力しているとき、リレー3がオフとなる。また、マイクロコントローラ6がソフトオフ信号6aを出力しているとき、リレー3がオフとなる。一方で、ハードオフ部5がハードオフ信号5aを出力しておらず、かつマイクロコントローラ6がソフトオフ信号6aを出力していないときには、リレー3がオンとなる。これにより、ハードオフ部5は、リレー3がオンのときにハードオフ信号5aを出力することによって、リレー3をオフにすることができる。また、マイクロコントローラ6は、ハードオフ部5がハードオフ信号5aを出力していない状態では、ソフトオフ信号6aの出力及びその停止によって、リレー3をオンオフ制御することができる。
【0038】
<ハードオフ部の構成例>
図2はハードオフ部5(言い換えれば、ハードウェア回路5)の構成の一例を示す概略図である。図2に示されるように、ハードオフ部5は、例えば、基準電圧回路50と、コンパレータ51と、コンパレータ52と、OR回路53と、フィルタ54と、AND回路55と、NOT回路56とを備える。基準電圧回路50は、基準電圧を生成して出力する。基準電圧は例えば8Vである。基準電圧回路50の電源は、例えば、バッテリ101A及びバッテリ101Bとは別の電池から供給される。
【0039】
コンパレータ51は、第1しきい値電圧50aと第1電圧20aとを比較する。コンパレータ51は、第1電圧20aが第1しきい値電圧50a未満のとき“1”を出力する。一方で、コンパレータ51は、第1電圧20aが第1しきい値電圧50a以上のとき“0”を出力する。
【0040】
コンパレータ52は、第2しきい値電圧50bと第2電圧20bとを比較する。コンパレータ52は、第2電圧20bが第2しきい値電圧50b未満のとき“1”を出力する。一方で、コンパレータ52は、第2電圧20bが第2しきい値電圧50b以上のとき“0”を出力する。
【0041】
コンパレータ51には、例えば、基準電圧回路50で生成される基準電圧が第1しきい値電圧50aとして入力される。また、コンパレータ52には、例えば基準電圧が第2しきい値電圧50bとして入力される。本例では、第1しきい値電圧50aと第2しきい値電圧50bとは同じ値であり、例えば8Vである。
【0042】
OR回路53には、コンパレータ51及びコンパレータ52の出力が入力される。OR回路53の出力は、2個の入力の少なくとも一方が“1”を示すとき“1”を示す。一方で、OR回路53の出力は、2個の入力の両方が“0”を示すとき“0”を示す。
【0043】
フィルタ54は、OR回路53の出力をフィルタして出力する。フィルタ54は、例えば、グリッジ除去フィルタであって、第1しきい値時間未満のパルス幅の信号は通過させない。フィルタ54は、OR回路53の出力が“0”を示す場合、“0”を出力する。また、フィルタ54は、OR回路53の出力が“0”から“1”に変化したときには、すぐに“1”を出力せずに、OR回路53の出力が第1しきい値時間以上“1”を示すと、“1”の出力を開始する。そして、フィルタ54は、OR回路53の出力が“1”から“0”に変化したときには、ただちに“0”を出力する。フィルタ54は、OR回路53の出力が“0”から“1”に変化した後であっても、第1しきい値時間を経過するまでに“0”に変化するときには、“0”を出力し続ける。第1しきい値時間は例えば500μ秒に設定される。
【0044】
NOT回路56にはハードオフ禁止信号6bが入力される。NOT回路56は、ハードオフ禁止信号6bが入力されている場合、0”を出力する。一方で、NOT回路56は、ハードオフ禁止信号6bが入力されていない場合、“1”を出力する。
【0045】
AND回路55は、フィルタ54の出力とNOT回路56の出力とが入力される。AND回路55は、フィルタ54の出力とNOT回路56の出力の両方が“1”を示すとき“1”を出力する。一方で、AND回路55は、フィルタ54の出力とNOT回路56の出力の少なくとも一つが“0”を示すとき“0”を出力する。AND回路55から出力される“1”を示す信号がハードオフ信号5aとしてOR回路7に入力される。
【0046】
以上のような構成を備えるハードオフ部5では、第1電圧20aが第1しきい値電圧50a(例えば8V)未満の場合には、フィルタ54には“1”が入力される。そして、第1しきい値時間(例えば500μm)以上、第1電圧20aが第1しきい値電圧50a未満の場合、フィルタ54から“1”が出力される。このとき、ハードオフ部5にハードオフ禁止信号6bが入力されていない場合、AND回路55からハードオフ信号5aが出力される。よって、ハードオフ部5にハードオフ禁止信号6bが入力されていない場合であって、かつリレー3がオンである場合、第1しきい値時間以上、第1電圧20aが第1しきい値電圧50a未満のときには、ハードオフ部5はリレー3をオフにする。一方で、ハードオフ部5は、第1電圧20aが第1しきい値電圧50a未満となっても、第1電圧20aが第1しきい値電圧50a未満である状態の継続時間が第1しきい値時間未満のときには、リレー3をオフにしない。
【0047】
同様に、ハードオフ部5にハードオフ禁止信号6bが入力されていない場合であって、かつリレー3がオンである場合、第1しきい値時間以上、第2電圧20bが第2しきい値電圧50b未満の場合には、ハードオフ部5はリレーをオフにする。一方で、ハードオフ部5は、第2電圧20bが第2しきい値電圧50b未満となっても、第2電圧20bが第2しきい値電圧50b未満である状態の継続時間が第1しきい値時間未満のときには、リレー3をオフにしない。
【0048】
以後、第1しきい値電圧50a及び第2しきい値電圧50bをそれぞれ第1ハードオフ電圧及び第2ハードオフ電圧と呼ぶことがある。また、フィルタ54の第1しきい値時間をハードオフ開始時間と呼ぶことがある。
【0049】
このように、ハードオフ部5は、リレー3がオンである場合、第1電圧20aが、ハードオフ開始時間以上、第1ハードオフ電圧未満のときには、リレー3をオフにする。これにより、システム100Aで比較的度合いの大きい短絡が発生して第1電圧20aが第1ハードオフ電圧(例えば8V)未満になり、その状態がハードオフ開始時間(例えば500μ秒)以上継続すると、リレー3がオフにされる。その結果、システム100Aで発生した短絡がシステム100Bに影響を与えにくくなる。
【0050】
また、ハードオフ部5は、リレー3がオンである場合、第2電圧20bが、ハードオフ開始時間以上、第2ハードオフ電圧未満のときには、リレー3をオフにする。これにより、システム100Bで比較的度合いの大きい短絡が発生して第2電圧20bが第2ハードオフ電圧(例えば8V)未満になり、その状態がハードオフ開始時間(例えば500μ秒)以上継続すると、リレー3がオフにされる。その結果、システム100Bで発生した短絡がシステム100Aに影響を与えにくくなる。
【0051】
<マイクロコントローラの構成例>
図3はマイクロコントローラ6の構成の一例を示す概略図である。図3に示されるように、マイクロコントローラ6は、例えば、一種のプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)60と、記憶部61と、A/Dコンバータ62と、A/Dコンバータ63と、デジタルI/Oポート64とを備える。
【0052】
記憶部61は記憶回路であると言える。記憶部61は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などの、CPU60が読み取り可能な非一時的な記録媒体を含む。記憶部61には、マイクロコントローラ6を制御するためのプログラム610等が記憶されている。マイクロコントローラ6の各種機能は、CPU60が記憶部61内のプログラム610を実行することによって実現される。本例では、CPU60がプログラム610を実行することによって、CPU60には、リレー3のオンオフ制御を実行するソフトオンオフ部600が機能ブロックとして形成される。
【0053】
A/Dコンバータ62は、端子2Aでの第1電圧20aをアナログ値からデジタル値に変換してソフトオンオフ部600に入力する。A/Dコンバータ63は、端子2Bでの第2電圧20bをアナログ値からデジタル値に変換してソフトオンオフ部600に入力する。
【0054】
ソフトオンオフ部600は、入力される第1電圧20a(デジタル値)と、第3しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいてリレー3をオフにすることが可能である。例えば、ソフトオンオフ部600は、リレー3がオンの場合に、第2しきい値時間以上、第1電圧20aが第3しきい値電圧未満のとき、ソフトオフ信号6aを出力する。ソフトオフ信号6aはデジタルI/Oポート64を通じてOR回路7に入力される。これにより、リレー3がオンの場合に、第2しきい値時間以上、第1電圧20aが第3しきい値電圧未満のとき、リレー3がオフにされる。一方で、ソフトオンオフ部600は、第1電圧20aが第3しきい値電圧未満になっても、第1電圧20aが第3しきい値電圧未満である状態の継続時間が第2しきい値時間未満のときには、リレー3をオフにしない。第3しきい値電圧は、第1しきい値電圧及び第2しきい値電圧よりも大きく設定される。第3しきい値電圧は例えば10Vに設定される。第2しきい値時間は、例えば第1しきい値時間よりも大きく設定される。第2しきい値時間は、例えば10秒に設定される。
【0055】
また、ソフトオンオフ部600は、入力される第2電圧20b(デジタル値)と、第4しきい値電圧とを比較し、その比較結果に基づいてリレー3をオフにすることが可能である。例えば、ソフトオンオフ部600は、リレー3がオンの場合に、第3しきい値時間以上、第2電圧20bが第4しきい値電圧未満のとき、ソフトオフ信号6aを出力する。これにより、リレー3がオンの場合に、第3しきい値時間以上、第2電圧20bが第4しきい値電圧未満のとき、リレー3がオフにされる。一方で、ソフトオンオフ部600は、第2電圧20bが第4しきい値電圧未満になっても、第2電圧20bが第4しきい値電圧未満である状態の継続時間が第3しきい値時間未満のときには、リレー3をオフにしない。第4しきい値電圧は、第1しきい値電圧及び第2しきい値電圧よりも大きく設定される。第4しきい値電圧は、例えば第3しきい値電圧と同じであって、例えば10Vに設定される。第3しきい値時間は、例えば第1しきい値時間よりも大きく設定される。第3しきい値時間は、例えば第2しきい値時間と同じに設定され、例えば10秒に設定される。
【0056】
また、ソフトオンオフ部600は、入力される第1電圧20aと第5しきい値電圧とを比較し、入力される第2電圧20bと第6しきい値電圧とを比較する。そして、ソフトオンオフ部600は、それらの比較結果に基づいてリレー3をオンにすることが可能である。
【0057】
例えば、ソフトオンオフ部600は、リレー3がオフの場合に、第4しきい値時間以上、第1電圧20aが第5しきい値電圧よりも大きくかつ第2電圧20bが第6しきい値電圧よりも大きいとき、ソフトオフ信号6aの出力を停止するとともに、ハードオフ禁止信号6bを出力する。ハードオフ禁止信号6bはデジタルI/Oポート64を通じてハードオフ部5に入力される。これにより、ソフトオンオフ部600がソフトオフ信号6aを出力していることによりリレー3がオフに設定されている場合に、第1電圧20aが第5しきい値電圧よりも大きくかつ第2電圧20bが第6しきい値電圧よりも大きい状態が第4しきい値時間以上継続したとき、ソフトオンオフ部600からのソフトオフ信号6aの出力が停止して、リレー3がオンにされる。また、ハードオフ部5がハードオフ信号5aを出力していることによりリレー3がオフに設定されている場合に、第4しきい値時間以上、第1電圧20aが第5しきい値電圧よりも大きくかつ第2電圧20bが第6しきい値電圧よりも大きいとき、ソフトオンオフ部600からハードオフ禁止信号6bがハードオフ部5に入力される。これにより、ハードオフ部5からのハードオフ信号5aの出力が停止して、リレー3がオンにされる。一方で、ソフトオンオフ部600は、第1電圧20a及び第2電圧20bがそれぞれ第5しきい値電圧及び第6しきい値電圧未満になったとしても、第1電圧20aが第5しきい値電圧未満であり、かつ第2電圧20bが第6しきい値電圧未満である状態の継続時間が第4しきい値時間未満のときには、ソフトオフ信号6aの出力を停止せず、かつハードオフ禁止信号6bを出力せず、リレー3がオンにされない。
【0058】
第5しきい値電圧は、第1しきい値電圧50a、第2しきい値電圧50b、第3しきい値電圧及び第4しきい値電圧よりも大きく設定される。第5しきい値電圧は、例えば12Vに設定される。第6しきい値電圧は、第1しきい値電圧50a、第2しきい値電圧50b、第3しきい値電圧及び第4しきい値電圧よりも大きく設定される。第6しきい値電圧は、例えば第5しきい値電圧と同じに設定され、例えば12Vに設定される。第4しきい値時間は、例えば、第1しきい値時間よりも大きく設定され、第2しきい値時間及び第3しきい値時間よりも小さく設定される。第4しきい値時間は例えば1秒に設定される。
【0059】
以後、第3しきい値電圧及び第4しきい値電圧をそれぞれ第1ソフトオフ電圧及び第2ソフトオフ電圧と呼ぶことがある。また、第2しきい値時間及び第3しきい値時間をそれぞれ第1ソフトオフ開始時間及び第2ソフトオフ開始時間と呼ぶことがある。また、第5しきい値電圧及び第6しきい値電圧をそれぞれ第1ソフトオン電圧及び第2ソフトオン電圧と呼ぶことがある。また、第4しきい値時間をソフトオン開始時間と呼ぶことがある。
【0060】
このように、ソフトオンオフ部600は、第1電圧20aが、第1ソフトオフ開始時間以上、第1ソフトオフ電圧未満のときには、リレー3をオフにする。これにより、システム100Aで比較的度合いの小さい短絡が発生して第1電圧20aが第1ソフトオフ電圧(例えば10V)未満になり、その状態が第1ソフトオフ開始時間(例えば10秒)以上継続すると、リレー3がオフにされる。その結果、システム100Aで発生した短絡がシステム100Bに影響を与えにくくなる。
【0061】
また、ソフトオンオフ部600は、第2電圧20bが、第2ソフトオフ開始時間以上、第2ソフトオフ電圧未満のときには、リレー3をオフにする。これにより、システム100Bで比較的度合いの小さい短絡が発生して第2電圧20bが第2ソフトオフ電圧(例えば10V)未満になり、その状態が第2ソフトオフ開始時間(例えば10秒)以上継続すると、リレー3がオフにされる。その結果、システム100Bで発生した短絡がシステム100Aに影響を与えにくくなる。
【0062】
また、ソフトオンオフ部600は、ソフトオン開始時間以上、第1電圧20aが第1ソフトオン電圧よりも大きくかつ第2電圧20bが第2ソフトオン電圧よりも大きいときには、リレー3をオンにする。これにより、システム100Bで短絡が発生していない状態で、システム100Aでの短絡が解消して第1電圧20aが第1ソフトオン電圧(例えば12V)よりも大きくなり、その状態がソフトオン開始時間(例えば1秒)以上継続すると、リレー3がオンにされる。その結果、システム100Aで短絡が解消した場合に、システム100Aとシステム100Bとを電気的に接続することができる。また、システム100Aで短絡が発生していない状態で、システム100Bでの短絡が解消して第2電圧20bが第2ソフトオン電圧(例えば12V)よりも大きくなり、その状態がソフトオン開始時間(例えば1秒)以上継続すると、リレー3がオンにされる。その結果、システム100Bで短絡が解消した場合に、システム100Bとシステム100Aとを電気的に接続することができる。
【0063】
なお、マイクロコントローラ6の構成は上記の例に限られない。例えば、マイクロコントローラ6は複数のCPU101を備えてもよい。また、マイクロコントローラ6は、CPU以外の、プログラムを実行することが可能なプロセッサを備えてもよい。また記憶部61は、ROM及びRAM以外の、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体を備えていてもよい。記憶部61は、例えば、小型のハードディスクドライブ及びSSD(Solid State Drive)などを備えていてもよい。
【0064】
<リレー装置の動作例>
図4及び5はソフトオンオフ部600の動作の一例を示すフローチャートである。記憶部61内のプログラム610には図4及び5の処理が記述されており、CPU60がプログラム610を実行することによって図4及び5の処理が実行される。
【0065】
図4に示されるように、ステップs1において、ソフトオンオフ部600は、A/Dコンバータ62及びA/Dコンバータ63からそれぞれ第1電圧20a及び第2電圧20bを取得する。
【0066】
次にステップs2において、ソフトオンオフ部600は、ステップs1で取得した第1電圧20aが第1ソフトオン電圧(例えば12V)よりも大きく、かつステップs1で取得した第2電圧20bが第2ソフトオン電圧(例えば12V)よりも大きいかを判定する。ステップs2においてNOと判定されるとステップs3が実行される。一方で、ステップs2においてYESと判定されるとステップs4が実行される。
【0067】
ステップs3では、ソフトオンオフ部600は超過継続時間に零を設定する。ここで、超過継続時間とは、第1電圧20aが第1ソフトオン電圧よりも大きく、かつ第2電圧20bが第2ソフトオン電圧よりも大きい状態の継続時間を意味する。ステップs3の後、ステップs5が実行される。ソフトオンオフ部600は、マイクロコントローラ6が備えるタイマを用いて、超過継続時間及び後述の第1低下継続時間等の各種時間を計測することができる。
【0068】
ステップs4において、ソフトオンオフ部600は、超過継続時間の計測を決定する。ステップs4において、ソフトオンオフ部600は、超過継続時間が零であり超過継続時間の計測中ではないときには、超過継続時間の計測を開始する。一方で、ステップs4において、ソフトオンオフ部600は、超過継続時間の計測中であるときには、超過継続時間の計測を継続する。ステップs4の後、ステップs5が実行される。
【0069】
ステップs5において、ソフトオンオフ部600は、ステップs1で取得された第1電圧20aが第1ソフトオフ電圧(例えば10V)未満であるかを判定する。ステップs5においてNOと判定されると、ステップs6が実行される。一方で、ステップs5においてYESと判定されると、ステップs7が実行される。
【0070】
ステップs6では、ソフトオンオフ部600は第1低下継続時間を零に設定する。ここで、第1低下継続時間とは、第1電圧20aが第1ソフトオフ電圧未満である状態の継続時間を意味する。ステップs6の後、ステップs8が実行される。
【0071】
ステップs7において、ソフトオンオフ部600は第1低下継続時間の計測を決定する。ステップs7において、ソフトオンオフ部600は、第1低下継続時間が零であり第1低下継続時間の計測中ではないときには、第1低下継続時間の計測を開始する。一方で、ステップs7において、ソフトオンオフ部600は、第1低下継続時間の計測中であるときには、第1低下継続時間の計測を継続する。ステップs7の後、ステップs8が実行される。
【0072】
ステップs8において、ソフトオンオフ部600は、ステップs1で取得された第2電圧20bが第2ソフトオフ電圧(例えば10V)未満であるかを判定する。ステップs8においてNOと判定されると、ステップs9が実行される。一方で、ステップs8においてYESと判定されると、ステップs10が実行される。
【0073】
ステップs9では、ソフトオンオフ部600は第2低下継続時間を零に設定する。ここで、第2低下継続時間とは、第2電圧20bが第2ソフトオフ電圧未満である状態の継続時間を意味する。ステップs9の後、図5のステップs11が実行される。
【0074】
ステップs10において、ソフトオンオフ部600は第2低下継続時間の計測を決定する。ステップs10において、ソフトオンオフ部600は、第2低下継続時間が零であり第2低下継続時間の計測中ではないときには、第2低下継続時間の計測を開始する。一方で、ステップs10において、ソフトオンオフ部600は、第2低下継続時間の計測中であるときには、第2低下継続時間の計測を継続する。ステップs10の後、ステップs11が実行される。
【0075】
図5に示されるように、ステップs11において、ソフトオンオフ部600は超過継続時間がソフトオン開始時間(例えば1秒)以上であるかを判定する。ステップs11においてYESと判定されると、ステップs13が実行される。一方で、ステップs11においてNOと判定されるとステップs12が実行される。
【0076】
ステップs13では、ソフトオンオフ部600はソフトオフ信号の非出力を決定する。ステップs13において、ソフトオンオフ部600は、ソフトオフ信号を出力中である場合には、ソフトオフ信号の出力を停止する。一方で、ステップs13において、ソフトオンオフ部600は、ソフトオフ信号を出力していない場合には、継続してソフトオフ信号を出力しない。
【0077】
ステップs13の後、ステップs14において、ソフトオンオフ部600は、ハードオフ禁止信号の出力を決定する。ステップs14において、ソフトオンオフ部600は、ハードオフ禁止信号を出力していない場合には、ハードオフ禁止信号の出力を開始する。一方で、ステップs14において、ソフトオンオフ部600は、ハードオフ禁止信号を出力中である場合には、継続してハードオフ禁止信号を出力する。ステップs14の後、図4のステップs1が再度実行される。以後、ソフトオンオフ部600は同様に動作する。
【0078】
ステップs12では、ソフトオンオフ部600はハードオフ禁止信号の非出力を決定する。ステップs12において、ソフトオンオフ部600は、ハードオフ禁止信号を出力中の場合には、ハードオフ禁止信号の出力を停止する。一方で、ステップs12において、ソフトオンオフ部600は、ハードオフ禁止信号を出力していない場合には、継続してハードオフ禁止信号を出力しない。ステップs12の後のステップs15が実行される。
【0079】
ステップs15において、ソフトオンオフ部600は、第1低下継続時間が第1ソフトオフ開始時間(例えば10秒)以上であるかを判定する。ステップs15においてYESと判定されるとステップs17が実行される。一方で、ステップs15においてNOと判定されるとステップs16が実行される。
【0080】
ステップs16において、ソフトオンオフ部600は、第2低下継続時間が第2ソフトオフ開始時間(例えば10秒)以上であるかを判定する。ステップs16においてYESと判定されるとステップs17が実行される。一方で、ステップs16においてNOと判定されると、ステップs1が再度実行される。以後、ソフトオンオフ部600は同様に動作する。
【0081】
ステップs17では、ソフトオンオフ部600はソフトオフ信号の出力を決定する。ステップs17において、ソフトオンオフ部600は、ソフトオフ信号を出力していない場合には、ソフトオフ信号の出力を開始する。一方で、ステップs17において、ソフトオンオフ部600は、ソフトオフ信号を出力中の場合には、継続してソフトオフ信号を出力する。ステップs17の後の再度ステップs1が実行される。以後、ソフトオンオフ部600は同様に動作する。
【0082】
以下に図4及び図5を用いてリレー装置1の動作の一例について説明する。
【0083】
例えば、システム100A及びシステム100Bが安定しており短絡が発生していない場合を考える。この場合、第1電圧20a及び第2電圧20bは例えば12.6Vとなる。第1電圧20a及び第2電圧20bがソフトオン開始時間(例えば1秒)以上12.6Vを維持している場合、ステップs11においてYESと判定される。これにより、システム100A及びシステム100Bにおいて短絡が発生していない場合には、ソフトオンオフ部600からソフトオフ信号6aは出力されず、ハードオフ禁止信号6bがハードオフ部5に入力される。ハードオフ禁止信号がハードオフ部5に入力されると、ハードオフ部5はハードオフ信号5aを出力しない。よって、システム100A及びシステム100Bにおいて短絡が発生していない場合には、リレー3はオンとなっている。
【0084】
他の例として、システム100Bには短絡は発生しておらず、システム100Aに度合いが大きい短絡(言い換えれば短絡電流が大きい短絡)が発生して、第1電圧20aが第1ハードオフ電圧(例えば8V)未満に低下した場合を考える。この場合、ハードオフ部5では、OR回路53の出力が“1”となる。そして、第1電圧20aが第1ハードオフ電圧未満である状態が第1ハードオフ開始時間(例えば500μ秒)以上になると、フィルタ54の出力が“1”となる。一方で、ソフトオンオフ部600は、ステップs11においてNOと判定してステップs12を実行することから、ハードオフ部5にはハードオフ禁止信号6bは入力されない。これにより、ハードオフ部5のAND回路55からは“1”が出力され、ハードオフ部5からハードオフ信号5aが出力される。よって、システム100Aにおいて度合いが大きい短絡が発生した場合には、リレー3がハードウェアによりオフにされる。
【0085】
他の例として、システム100Aには短絡が発生しておらず、システム100Bに度合いが大きい短絡が発生して、第2電圧20bが第2ハードオフ電圧(例えば8V)未満に低下した場合を考える。この場合、ハードオフ部5では、OR回路53の出力が“1”となる。そして、第2電圧20bが第2ハードオフ電圧未満である状態が第2ハードオフ開始時間(例えば500μ秒)以上になると、フィルタ54の出力が“1”となる。一方で、ソフトオンオフ部600は、ステップs11においてNOと判定してステップs12を実行することから、ハードオフ部5にはハードオフ禁止信号6bは入力されない。これにより、ハードオフ部5のAND回路55からは“1”が出力され、ハードオフ部5からハードオフ信号5aが出力される。よって、システム100Bにおいて度合いが大きい短絡が発生した場合には、リレー3がオフにされる。
【0086】
他の例として、システム100Bには短絡は発生しておらず、システム100Aに度合いが小さい短絡が発生して、第1電圧20aが第1ソフトオフ電圧(例えば10V)未満に低下した場合を考える。第1電圧20aが第1ソフトオフ電圧未満である状態が第1ソフトオフ開始時間(例えば10秒)以上継続すると、ステップs15においてYESと判定される。これにより、ソフトオンオフ部600からソフトオフ信号6aが出力される。このとき、ハードオフ部5がハードオフ信号5aを出力していない場合、リレー3の状態はソフトオフ信号6aによってオンからオフに変化する。システム100Bに短絡が発生していない場合には、第1電圧20aが第1ソフトオフ電圧(例えば10V)未満であって第1ハードオフ電圧(例えば8V)以上である状態が、第1ソフトオフ開始時間(例えば10秒)以上継続すると、リレー3はオンからオフに変化する。第1電圧20aが第1ハードオン電圧(例えば8V)未満となった場合には、ハードオフ部5によってリレー3がオフにされることから、ステップs15でYESと判定されたときにはソフトオンオフ部600からソフトオフ信号6aが出力されるものの、ソフトオフ信号6aによってリレー3がオフにされることはない。
【0087】
他の例として、システム100Aには短絡は発生しておらず、システム100Bに度合いが小さい短絡が発生して、第2電圧20bが第2ソフトオフ電圧(例えば10V)未満に低下した場合を考える。第2電圧20bが第2ソフトオフ電圧未満である状態が第2ソフトオフ開始時間(例えば10秒)以上継続すると、ステップs16においてYESと判定される。これにより、ソフトオンオフ部600からソフトオフ信号6aが出力される。このとき、ハードオフ部5がハードオフ信号5aを出力していない場合、リレー3の状態はソフトオフ信号6aによってオンからオフに変化する。システム100Aに短絡が発生していない場合には、第2電圧20bが第2ソフトオフ電圧(例えば10V)未満であって第2ハードオフで電圧(例えば8V)以上である状態が、第2ソフトオフ開始時間(例えば10秒)以上継続すると、リレー3はオンからオフに変化する。
【0088】
他の例として、システム100Bに短絡が発生していない状態で、システム100Aでの短絡が解消して、第1電圧20aが第1ソフトオン電圧(例えば12V)よりも大きくなった場合を考える。第1電圧20aが第1ソフトオン電圧よりも大きい状態がソフトオン開始時間(例えば1秒)以上継続すると、ステップs11においてYESと判定される。そして、ステップs13及びs14が実行される。リレー3がハードオフ部5によりオフにされている場合には、ステップs14の実行でハードオフ部5にハードオフ禁止信号6bが入力されることによって、リレー3はオフからオンに変化する。一方で、リレー3がソフトオンオフ部600によりオフにされている場合には、ステップs13の実行でソフトオンオフ部600からのソフトオフ信号6aの出力が停止することによって、リレー3はオフからオンに変化する。
【0089】
他の例として、システム100Aに短絡が発生していない状態で、システム100Bでの短絡が解消して、第2電圧20bが第2ソフトオン電圧(例えば12V)よりも大きくなった場合を考える。第2電圧20bが第2ソフトオン電圧よりも大きい状態がソフトオン開始時間(例えば1秒)以上継続すると、ステップs11においてYESと判定される。そして、ステップs13及びs14が実行される。リレー3がハードオフ部5によりオフにされている場合には、ステップs14の実行でハードオフ部5にハードオフ禁止信号6bが入力されることによって、リレー3はオフからオンに変化する。一方で、リレー3がソフトオンオフ部600によりオフにされている場合には、ステップs13の実行でソフトオンオフ部600からのソフトオフ信号6aの出力が停止することによって、リレー3はオフからオンに変化する。
【0090】
以上のように、本例では、システム100Aに電気的に接続された端子2Aの第1電圧20aと、比較的小さい値の第1ハードオフ電圧(例えば8V)とを比較し、その比較結果に基づいてリレー3をオフにするオフ制御がハードウェアにより実行される。これにより、システム100Aでの短絡度合いが大きく第1電圧20aが小さくなったときに、ハードウェアによりリレー3をオフにすることができる。その結果、システム100Aでの短絡度合いが大きい場合に、システム100Aとシステム100Bとの電気的接続をハードウェアによりすぐにオフにすることができる。よって、システム100Aで発生した短絡の影響がシステム100Bに及びにくくなる。
【0091】
さらに、本例では、第1電圧20aと、比較的大きい値の第1ソフトオフ電圧(例えば10V)とを比較し、その比較結果に基づいてリレー3をオフにするオフ制御がソフトウェアにより実行される。これにより、システム100Aでの短絡度合いが小さく第1電圧20aがそれほど小さくならないときに、ソフトウェアによりリレー3をオフにすることができる。このように、ソフトウェアによりリレー3をオフにすることによって、専用のハードウェアが不要になることから、回路規模を小さくすることができる。一方で、ソフトウェアによりリレー3をオフにする場合には、リレー3のオフまで多少時間がかかるものの、システム100Aでの短絡度合いは小さいことから、システム100Aでの短絡が、リレー3がオフされるまでにシステム100Bに与える影響は小さい。
【0092】
よって、システム100Aでの短絡度合い大きい場合であっても小さい場合であっても適切にリレー3をオフにすることができる。
【0093】
同様に、本例では、第2電圧20bと、比較的小さい値の第2ハードオフ電圧(例えば8V)とを比較し、その比較結果に基づいてリレー3をオフにするオフ制御がハードウェアにより実行される。これにより、システム100Bでの短絡度合いが大きく第2電圧20bが小さくなったときに、ハードウェアによりリレー3をオフにすることができる。その結果、システム100Bでの短絡度合いが大きい場合に、システム100Bとシステム100Aとの電気的接続をハードウェアによりすぐにオフにすることができる。よって、システム100Bで発生した短絡の影響がシステム100Aに及びにくくなる。
【0094】
さらに、本例では、第2電圧20bと、比較的大きい値の第2ソフトオフ電圧(例えば10V)とを比較し、その比較結果に基づいてリレー3をオフにするオフ制御がソフトウェアにより実行される。これにより、システム100Bでの短絡度合いが小さく第2電圧20bがそれほど小さくならないときに、ソフトウェアによりリレー3をオフにすることができる。このように、ソフトウェアによりリレー3をオフにすることによって、専用のハードウェアが不要になることから、回路規模を小さくすることができる。一方で、ソフトウェアによりリレー3をオフにする場合には、リレー3のオフまで多少時間がかかるものの、システム100Bでの短絡度合いは小さいことから、システム100Bでの短絡が、リレー3がオフされるまでにシステム100Aに与える影響は小さい。
【0095】
また、本例では、第1電圧20aと第1ソフトオン電圧とを比較し、その比較結果に基づいてリレー3をオンにするオン制御がソフトウェアにより実行される。また、本例では、第2電圧20bと第2ソフトオン電圧とを比較し、その比較結果に基づいてリレー3をオンにするオン制御がソフトウェアにより実行される。このように、ソフトウェアによりリレー3をオンにすることによって、専用のハードウェアが不要になることから、回路規模を小さくすることができる。
【0096】
また、本例では、ハードオフ開始時間以上、第1電圧20aが第1ハードオフ電圧未満のとき、リレー3がオフにされる。これにより、第1電圧20aが第1ハードオフ電圧未満である状態が継続するときにリレーがオフにされる。よって、システム100Aに短絡が発生していないにもかかわらずリレー3が誤ってオフにされる可能性を低減することができる。
【0097】
同様に、本例では、ハードオフ開始時間以上、第2電圧20bが第2ハードオフ電圧未満のとき、リレー3がオフにされる。これにより、システム100Bに短絡が発生していないにもかかわらずリレー3が誤ってオフにされる可能性を低減することができる。
【0098】
また、本例では、第1ソフトオフ開始時間以上、第1電圧20aが第1ソフトオフ電圧未満のとき、リレー3がオフにされる。これにより、第1電圧20aが第1ソフトオフ電圧未満である状態が継続するときにリレー3がオフにされる。よって、システム100Aに短絡が発生していないにもかかわらずリレー3が誤ってオフにされる可能性を低減することができる。
【0099】
同様に、本例では、第2ソフトオフ開始時間以上、第2電圧20bが第2ソフトオフ電圧未満のとき、リレー3がオフにされる。これにより、システム100Bに短絡が発生していないにもかかわらずリレー3が誤ってオフにされる可能性を低減することができる。
【0100】
また、本例では、第1電圧20aが、第1ハードオフ開始時間よりも大きい第1ソフトオフ開示時間以上、第1ソフトオフ電圧未満のときに、リレー3がオフにされる。これにより、第1電圧20aが第1ソフトオフ電圧未満である状態が比較的長く継続するとき、リレー3がオフにされる。よって、システム100Aでの短絡度合いが小さいときには、比較的長い時間、システム100Aとシステム100Bとの間の電気的接続を維持することができる。
【0101】
同様に、本例では、第2電圧20bが、第2ハードオフ開始時間よりも大きい第2ソフトオフ開示時間以上、第2ソフトオフ電圧未満のときに、リレー3がオフにされる。これにより、第2電圧20bが第2ソフトオフ電圧未満である状態が比較的長く継続するときに、リレー3がオフにされる。よって、システム100Bでの短絡度合いが小さいときには、比較的長い時間、システム100Bとシステム100Aとの間の電気的接続を維持することができる。
【0102】
また、本例のように、ハードオフ開始時間よりも大きいソフトオン開始時間以上、第1電圧20aが第1ソフトオン電圧よりも大きいとき、リレー3がオンにされる場合には、第1電圧20aが第1ソフトオン電圧よりも大きい状態が比較的長く継続するときにリレー3をオンにすることができる。よって、システム100Aでの短絡が解消していないにもかかわらずリレー3が誤ってオンにされる可能性が低減する。
【0103】
同様に、ハードオフ開始時間よりも大きいソフトオン開始時間以上、第2電圧20bが第2ソフトオン電圧よりも大きいとき、リレー3がオンにされる場合には、第2電圧20bが第2ソフトオン電圧よりも大きい状態が比較的長く継続するときにリレー3をオンにすることができる。よって、システム100Bでの短絡が解消していないにもかかわらずリレー3が誤ってオンにされる可能性が低減する。
【0104】
また、第1ソフトオフ開始時間よりも小さいソフトオン開始時間以上、第1電圧20aが第1ソフトオン電圧よりも大きいとき、リレー3がオンにされる場合には、第1電圧20aがソフトオン電圧よりも大きい状態の継続時間があまり長くなくてもリレー3をオンにすることができる。よって、システム100Aでの短絡が解消した場合にすぐにリレー3をオンにすることができる。
【0105】
同様に、第2ソフトオフ開始時間よりも小さいソフトオン開始時間以上、第2電圧20bが第2ソフトオン電圧よりも大きいとき、リレー3がオンにされる場合には、第2電圧20bがソフトオン電圧よりも大きい状態の継続時間があまり長くなくてもリレー3をオンにすることができる。よって、システム100Bでの短絡が解消した場合にすぐにリレー3をオンにすることができる。
【0106】
上記の例では、ソフトオンオフ部600は、第1電圧20aに基づいてリレー3をオフにする場合、第1電圧20aと1つのしきい値電圧(つまり第1ソフトオフ電圧)とを比較していたが、第1電圧20aと互いに異なる複数のしきい値電圧とを比較してもよい。同様に、ソフトオンオフ部600は、第2電圧20bと互いに異なる複数のしきい値電圧とを比較してもよい。図6及び7は、この場合のソフトオンオフ部600の動作の一例を示すフローチャートである。図6及び7の例では、ソフトオンオフ部600は、第1電圧20aと2つのしきい値電圧とを比較し、第2電圧20bと2つのしきい値電圧とを比較している。
【0107】
上述のステップs9が実行されると、図6に示されるように、ステップs21が実行される。ステップs21は上述のステップs10の後にも実行される。ステップs21では、ソフトオンオフ部600は、ステップs1で取得された第1電圧20aが、しきい値電圧である第3ソフトオン電圧未満であるかを判定する。第3ソフトオフ電圧は、第1ハードオフ電圧よりも大きく、かつ第1ソフトオフ電圧よりも小さく設定される。第3ソフトオフ電圧は、例えば9Vに設定される。ステップs21においてNOと判定されるとステップs22が実行される。一方で、ステップs21においてYESと判定されるとステップs23が実行される。
【0108】
ステップs22では、ソフトオンオフ部600は第3低下継続時間を零に設定する。ここで、第3低下継続時間とは、第1電圧20aが第3ソフトオフ電圧未満である状態の継続時間を意味する。ステップs22の後、ステップs24が実行される。
【0109】
ステップs23において、ソフトオンオフ部600は第3低下継続時間の計測を決定する。ステップs23において、ソフトオンオフ部600は、第3低下継続時間が零であり第3低下継続時間の計測中ではないときには、第3低下継続時間の計測を開始する。一方で、ステップs23において、ソフトオンオフ部600は、第3低下継続時間の計測中であるときには、第3低下継続時間の計測を継続する。ステップs23の後、ステップs23が実行される。
【0110】
ステップs24において、ソフトオンオフ部600は、ステップs1で取得された第2電圧20bが、しきい値電圧である第4ソフトオフ電圧未満であるかを判定する。第4ソフトオフ電圧は、第2ハードオフ電圧よりも大きく、かつ第2ソフトオフ電圧よりも小さく設定される。第4ソフトオフ電圧は、例えば第3ソフトオフ電圧と同じであり、例えば9Vに設定される。ステップs24においてNOと判定されるとステップs25が実行される。一方で、ステップs24においてYESと判定されるとステップs26が実行される。
【0111】
ステップs25では、ソフトオンオフ部600は第4低下継続時間を零に設定する。ここで、第4低下継続時間とは、第2電圧20bが第4ソフトオフ電圧未満である状態の継続時間を意味する。ステップs25の後、上述のステップs11が実行される(図11参照)。
【0112】
ステップs26において、ソフトオンオフ部600は第4低下継続時間の計測を決定する。ステップs26において、ソフトオンオフ部600は、第4低下継続時間が零であり第4低下継続時間の計測中ではないときには、第4低下継続時間の計測を開始する。一方で、ステップs26において、ソフトオンオフ部600は、第4低下継続時間の計測中であるときには、第4低下継続時間の計測を継続する。ステップs26の後、上述のステップs11が実行される。
【0113】
図5と同様に、ステップs11においてYESと判定されると、ステップs13及びステップs14が実行され、その後、ステップs1が再度実行される。一方で、ステップs11においてNOと判定されると、図5と同様にステップs12,s15,s16が実行される。ステップs16においてNOと判定されると、ステップs27が実行される。
【0114】
ステップs27では、ソフトオンオフ部600は、第3低下継続時間が、しきい値時間である第3ソフトオフ開始時間以上であるかを判定する。第3ソフトオフ開始時間は、例えば、ハードオフ開始時間よりも大きく、かつ第1ソフトオフ開始時間よりも小さく設定される。第3ソフトオフ開始時間は、例えば5秒に設定される。ステップs27においてYESと判定されると、ステップs17が実行される。一方で、ステップs27においてNOと判定されるとステップs28が実行される。
【0115】
ステップs28において、ソフトオンオフ部600は、第4低下継続時間が第4ソフトオフ開始時間以上であるかを判定する。第4ソフトオフ開始時間は、例えば、ハードオフ開始時間よりも大きく、かつ第2ソフトオフ開始時間よりも小さく設定される。第4ソフトオフ開始時間は、例えば第3ソフトオフ開始時間と同じに設定され、例えば5秒に設定される。ステップs28においてYESと判定されるとステップs17が実行される。一方で、ステップs28においてNOと判定されると、ステップs1が再度実行される。以後、ソフトオンオフ部600は同様に動作する。
【0116】
図6及び7の例では、ソフトオンオフ部600は、第1電圧20aと、比較的値が小さい第3ソフトオフ電圧との比較結果に基づいてリレー3をオフにするとともに、第1電圧20aと、比較的値が大きい第1ソフトオフ電圧との比較結果に基づいてリレー3をオフにしている。これにより、システム100Aにおいて、度合いが小さめの短絡が発生した場合であっても、度合いがかなり小さい短絡が発生した場合であっても、リレー3を適切にオフにすることができる。
【0117】
図6及び7の例では、例えば、システム100Aに度合いがあまり小さくない短絡が発生して第1電圧20aが第3ソフトオフ電圧(例えば9V)未満になり、その状態が、第3ソフトオフ開始時間(例えば5秒)以上継続すると、リレー3はオフにされる。これにより、システム100Aでの短絡度合いがあまり小さくないときには、比較的短い時間だけ、システム100Aとシステム100Bとの間の電気的接続が維持される。一方で、システム100Aにおいて度合いがかなり小さい短絡が発生して第1電圧20aが第1ソフトオフ電圧(例えば10V)未満になり、その状態が、第1ソフトオフ開始時間(例えば10秒)以上継続すると、リレー3はオフにされる。これにより、システム100Aでの短絡度合いがかなり小さいときに、比較的長い時間、システム100Aとシステム100Bとの間の電気的接続が維持される。よって、システム100Aでの短絡度合いに応じて、システム100Aとシステム100Bとの間の電気的接続の維持時間を適切に変更することができる。
【0118】
同様に、図6及び7の例では、例えば、システム100Bに度合いがあまり小さくない短絡が発生して第2電圧20bが第4ソフトオフ電圧(例えば9V)未満になり、その状態が、第4ソフトオフ開始時間(例えば5秒)以上継続すると、リレー3はオフにされる。これにより、システム100Bでの短絡度合いがあまり小さくないときには、比較的短い時間だけ、システム100Bとシステム100Aとの間の電気的接続が維持される。一方で、システム100Bにおいて度合いがかなり小さい短絡が発生して第2電圧20bが第1ソフトオフ電圧(例えば10V)未満になり、その状態が、第1ソフトオフ開始時間(例えば10秒)以上継続すると、リレー3はオフにされる。これにより、システム100Bでの短絡度合いがかなり小さいときに、比較的長い時間、システム100Aとシステム100Bとの間の電気的接続が維持される。よって、システム100Bでの短絡度合いに応じて、システム100Bとシステム100Aとの間の電気的接続の維持時間を適切に変更することができる。
【0119】
リレー装置1の構成及び動作は上記の例に限られない。例えば、ハードオフ部5は、第1ハードオフ開始時間以上、第1電圧20aが第1ハードオフ電圧未満のときにハードオフ信号5aを出力し、第2ハードオフ開始時間以上、第1電圧20aが第2ハードオフ電圧未満のときにハードオフ信号5aを出力してもよい。第1ハードオフ開始時間は、第2ハードオフ開始時間と同じであってもよいし、第2ハードオフ開始時間と異なっていてもよい。
【0120】
また、上記の例では、第1ハードオフ電圧と第2ハードオフ電圧とは、互いに同じであったが、互いに異なっていてもよい。同様に、第1ソフトオフ電圧と第2ソフトオフ電圧とは互いに異なってもよいし、第3ソフトオフ電圧と第4ソフトオフ電圧とは互いに異なってもよい。
【0121】
また、上記の例では、第1ソフトオフ開始時間と第2ソフトオフ開始時間とは、互いに同じであったが、互いに異なってもよい。同様に、第3ソフトオフ開始時間と第4ソフトオフ開始時間とは、互いに異なってもよい。
【0122】
また、上記の例では、リレー装置1は、システム100Aでの短絡とシステム100Bでの短絡の両方に対応しているが、制御部4が第1電圧20a及び第2電圧20bのどちらか一方だけを観測することによって、リレー装置1は、システム100Aでの短絡とシステム100Bでの短絡のどちらか一方の短絡のみに対応してもよい。例えば、制御部4が第1電圧20a及び第2電圧20bのうちの第1電圧20aだけを観測する場合には、ハードオフ部5では、コンパレータ52及びOR回路53が不要となり、ハードオフ部5の構成が簡素化される。また、図4及び5の処理において、少なくとも、ステップs8,s9,s10,s16の実行が不要となることから、ソフトオンオフ部600での処理が簡素化される。
【0123】
また、図4において、ステップs2~s4の処理と、ステップs5~s7の処理と、ステップs8~s10の処理との実行順序は入れ替えられてもよい。また、図5において、ステップs15とステップs16の実行順序は入れ替えられてもよい。また、図4及び6の処理において、ステップs2~s4の処理と、ステップs5~s7の処理と、ステップs8~s10の処理と、ステップs21~s23の処理と、ステップs24~s25の処理との実行順序は入れ替えられてもよい。また、図7において、ステップs15と、ステップs16と、ステップs27と、ステップs28との実行順序は入れ替えられてもよい。
【0124】
また、上記の例では、第1電圧20a及び第2電圧20bに基づいてリレー3をオンにするオン制御はソフトウェアにより実行されているが、ハードウェアにより実行されてもよい。
【0125】
また、端子2Aにはバッテリ101Aだけが電気的に接続され、端子2Bには少なくとも一つの負荷102Bだけが電気的に接続されてもよい。同様に、端子2Bにはバッテリ101Bだけが電気的に接続され、端子2Aには少なくとも一つの負荷102Aだけが電気的に接続されてもよい。
【0126】
以上のように、リレー装置1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0127】
1 リレー装置
2A,2B 端子
3 リレー
4 制御部
5 ハードウェア回路(ハードオフ部)
5a ハードオフ信号
6 マイクロコントローラ
6a ソフトオフ信号
6b ハードオフ禁止信号
7 OR回路
8 駆動回路
10 ケース
20a 第1電圧
20b 第2電圧
50 基準電圧回路
50a 第1しきい値電圧(第1ハードオフ電圧)
50b 第2しきい値電圧(第2ハードオフ電圧)
51,52 コンパレータ
53 OR回路
54 フィルタ
55 AND回路
56 NOT回路
60 CPU
61 記憶部
62,63 A/Dコンバータ
64 デジタルI/Oポート
100A,100B,200 システム
101 CPU
101A,101B バッテリ
102A,102B 負荷
600 ソフトオンオフ部
610 プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7