(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】移動用台車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/00 20060101AFI20230221BHJP
G01B 11/24 20060101ALN20230221BHJP
E21D 11/00 20060101ALN20230221BHJP
【FI】
B62B3/00 J
G01B11/24 B
E21D11/00 Z
(21)【出願番号】P 2019166555
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2022-09-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594157418
【氏名又は名称】株式会社ドーコン
(73)【特許権者】
【識別番号】000151210
【氏名又は名称】株式会社土谷製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】藤田 学
(72)【発明者】
【氏名】宮野 雄平
【審査官】谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-099092(JP,A)
【文献】特開2005-076194(JP,A)
【文献】特開平10-217956(JP,A)
【文献】特開2001-334930(JP,A)
【文献】登録実用新案第3057085(JP,U)
【文献】特開2005-104407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/00 - 3/18
B61B 13/00 - 13/12
B61F 5/00 - 5/52
G01B 11/00 - 11/30
E21D 11/00 - 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの内空を計測するための計測装置を案内軌条に沿って移動させるための移動用台車であって、
前記計測装置を支持するフレームと、
前記フレームを支持しつつ前記フレームを移動させるために取り付けられた複数のキャスターとを備えており、
前記フレームには、前記移動用台車を前記案内軌条に沿って移動させる際に、当該案内軌条の延在方向と直交する水平方向において前記案内軌条を挟むように配置されたガイド部が設けられて
おり、
前記フレームは、前記複数のキャスターが取り付けられた本体フレームを有しており、
前記本体フレームは、
前記ガイド部と前記案内軌条上に配置可能な前記キャスターである軌条上キャスターとを支持するガイドフレームと、
前記ガイドフレームに連結され、前記トンネルの前記案内軌条を前記水平方向に挟む位置に配置された走行路上に配置可能な前記キャスターである路上キャスターが取り付けられたベースフレームと、
前記ベースフレームを前記ガイドフレームに対して水平に回転可能に連結する連結部とを含んでおり、
前記ベースフレームの前記水平方向の幅サイズが、前記水平方向における前記走行路間よりも小さく、
前記ベースフレームは、
前記連結部を介して前記ガイドフレームに連結されるベース部と、
前記路上キャスターが取り付けられた脚部と、
前記ベース部に対して前記脚部を、前記路上キャスターが前記軌条上キャスターの下端より上方に位置することができるように移動可能に支持する支持部とを有していることを特徴とする移動用台車。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記水平方向において、前記案内軌条を挟みつつ当接可能な一対の当接部と、前記一対の当接部のうちの一方の当接部を前記水平方向に移動可能に支持する支持部と、前記一方の当接部を前記案内軌条に向けて付勢する付勢部材とを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の移動用台車。
【請求項3】
前記一対の当接部のうちの他方の当接部は、前記水平方向に移動不可能に前記フレームに固定されていることを特徴とする請求項2に記載の移動用台車。
【請求項4】
前記当接部は、キャスターであることを特徴とする請求項2又は3に記載の移動用台車。
【請求項5】
前記フレームは、前記複数のキャスターが取り付けられた本体フレームと、前記計測装置を支持する支持フレームとを含み、
前記支持フレームは、前記計測装置を前記本体フレームに対する水平位置及び垂直位置を変位可能に構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の移動用台車。
【請求項6】
前記ガイドフレームに支持された前記ガイド部及び前記キャスターは、前記延在方向に沿って互いに離隔して複数配置されていることを特徴とする請求項
1~5のいずれか1項に記載の移動用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの内空を計測するための計測装置を案内軌条に沿って移動させるための移動用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道トンネルなどのトンネルにおいては、経年劣化による変状(沈下、隆起、移動など)を監視するために、その内壁面をレーザースキャナなどの計測装置を用いて計測することが知られている。例えば、特許文献1には、種々の計測装置が搭載された計測車を、鉄道トンネルのレール上を自走させて、計測装置から得られた測定データに基づいて、トンネル内壁形状の変化を検査する技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術における計測車は、レール上を自走するため、円錐台形状又は略円柱状の車輪を有していると考えられる。このような計測車においては、レール上を走行する際に、レールに対して左右(レールの延在方向と直交する水平方向)に横ブレしやすい。計測車の移動に伴う位置を検出する装置では、計測車のレールに沿った位置は比較的正確に検出できるものの、レールに対する横ブレが計測車に生じていても、当該横ブレによる計測車の位置までは正確に検出できない。このため、計測装置でトンネルの内空を計測した測定データに計測車の横ブレの影響があったとしても、当該横ブレを考慮した測定データとならない。このようにレールに対して左右に横ブレしやすい計測車によって得られる測定データは信頼性が低下するという問題がある。また、軌条方式に案内軌条方式が採用されている場合でも、計測車が案内軌条に対して横ブレしやすい構成であると、同様の問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、案内軌条に対する横ブレを抑制し、トンネルの内空を計測したときの計測データの精度を向上させ、信頼性を高くすることが可能な移動用台車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の移動用台車は、トンネルの内空を計測するための計測装置を案内軌条に沿って移動させるための移動用台車であって、前記計測装置を支持するフレームと、前記フレームを支持しつつ前記フレームを移動させるために取り付けられた複数のキャスターとを備えている。前記フレームには、前記移動用台車を前記案内軌条に沿って移動させる際に、当該案内軌条の延在方向と直交する水平方向において前記案内軌条を挟むように配置されたガイド部が設けられている。前記フレームは、前記複数のキャスターが取り付けられた本体フレームを有しており、前記本体フレームは、前記ガイド部と前記案内軌条上に配置可能な前記キャスターである軌条上キャスターとを支持するガイドフレームと、前記ガイドフレームに連結され、前記トンネルの前記案内軌条を前記水平方向に挟む位置に配置された走行路上に配置可能な前記キャスターである路上キャスターが取り付けられたベースフレームと、前記ベースフレームを前記ガイドフレームに対して水平に回転可能に連結する連結部とを含んでおり、前記ベースフレームの前記水平方向の幅サイズが、前記水平方向における前記走行路間よりも小さく、前記ベースフレームは、前記連結部を介して前記ガイドフレームに連結されるベース部と、前記路上キャスターが取り付けられた脚部と、前記ベース部に対して前記脚部を、前記路上キャスターが前記軌条上キャスターの下端より上方に位置することができるように移動可能に支持する支持部とを有している。
【0007】
これによると、移動用台車を案内軌条に沿って移動させても、水平方向において、移動用台車の案内軌条に対する横ブレがガイド部によって抑制される。このため、移動用台車で計測装置を支持し、トンネルの内空を計測したときの計測データの精度が向上し、信頼性が高くなる。また、移動用台車をコンパクトにすることが可能となり、トンネル内に搬入しやすくなる。また、連結部を回転中心としてベースフレームをガイドフレームに対して回転させる際に、ベースフレームに取り付けられたキャスターを案内軌条よりも上方に配置させるように移動させることが可能となる。
【0008】
本発明において、前記ガイド部は、前記水平方向において、前記案内軌条を挟みつつ当接可能な一対の当接部と、前記一対の当接部のうちの一方の当接部を前記水平方向に移動可能に支持する支持部と、前記一方の当接部を前記案内軌条に向けて付勢する付勢部材とを含んでいることが好ましい。これにより、移動用台車で案内軌条のカーブ領域を通過させても、一方の当接部が付勢部材により案内軌条に向けて付勢されているため、ガイド部が案内軌条を挟みながらも滑らかに追従することが可能となる。このため、移動用台車はカーブ領域を通過する際も横ブレしにくくなる。
【0009】
また、本発明において、前記一対の当接部のうちの他方の当接部は、前記水平方向に移動不可能に前記フレームに固定されていることが好ましい。これにより、他方の当接部の水平方向の位置が固定されるため、移動用台車と案内軌条との水平方向の位置関係が安定する。
【0010】
また、本発明において、前記当接部は、キャスターであることが好ましい。これにより、移動用台車を案内軌条に沿って移動させる際の負荷が小さくなる。
【0011】
また、本発明において、前記フレームは、前記複数のキャスターが取り付けられた本体フレームと、前記計測装置を支持する支持フレームとを含み、前記支持フレームは、前記計測装置を前記本体フレームに対する水平位置及び垂直位置を変位可能に構成されていることが好ましい。これにより、移動用台車に対する計測装置の設置位置の自由度が向上する。
【0014】
また、本発明において、前記ガイドフレームに支持された前記ガイド部及び前記キャスターは、前記延在方向に沿って互いに離隔して複数配置されていることが好ましい。これにより、移動用台車を案内軌条に沿って安定して移動させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の移動用台車によると、移動用台車を案内軌条に沿って移動させても、水平方向において、移動用台車の案内軌条に対する横ブレがガイド部によって規制され、抑制される。このため、移動用台車で計測装置を支持し、トンネルの内空を計測したときの計測データの精度が向上し、信頼性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る移動用台車が採用された計測システムが鉄道トンネル内に配置された状態を示す概略正面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る移動用台車が採用された計測システムが鉄道トンネル内に配置された状態を示す概略平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る移動用台車が採用された計測システムが鉄道トンネル内に配置された状態を示す概略斜視図である。
【
図4】
図1に示す移動用台車の支持フレーム及びベースフレームの斜視図である。
【
図5】
図1に示す移動用台車の支持フレーム及びベースフレームの平面図である。
【
図6】
図1に示す移動用台車のガイドフレームの斜視図である。
【
図7】
図3に示すレーザー計測機が固定された第2支持フレームの斜視図である。
【
図8】
図1に示す移動用台車をトンネルの案内軌条に沿って押し進めたときのガイド部の動作状況を示しており、(a)はトンネルの直線領域を進むときの動作状況図であり、(b)はトンネルのカーブ領域に差し掛かったときの動作状況図であり、(c)は移動用台車を
図8(b)に示す位置からさらに押し進めようとしたときの動作状況図である。
【
図9】移動用台車のベースフレームをガイドフレームに対して回転させたときの状況を示す斜視図である。
【
図10】
図2に示す移動用台車のベースフレームをガイドフレームに対して180°回転させた状態を示す状況図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0018】
本発明の一実施形態に係る移動用台車について、
図1~
図10を参照しつつ説明する。本実施形態においては、
図1及び
図2に示すように、トンネル100の内空を3次元計測する計測システム1のレーザー計測機2を、トンネル100の延在方向に沿って移動させるための移動用台車10について述べる。なお、移動用台車10は、
図1~
図3に示すように、トンネル100内に配置して、ユーザがトンネル100の延在方向に押し進めることで使用される。したがって、移動用台車10の説明の便宜上、
図1~
図3に示す第1~第3方向を他の
図4~
図10にも反映して、以下に説明する。第1方向Aは、トンネル100の延在方向に平行な方向である。第2方向Bは、第1方向Aに直交する水平方向である。第3方向Cは、鉛直方向である。
【0019】
本実施形態におけるトンネル100の底部には、
図1及び
図2に示すように、第1方向Aに沿って延在する2つの走行路101と、2つの走行路101の中央に配置され、走行路101と平行に延在する案内軌条102とが設けられている。つまり、トンネル100は、中央案内軌条方式の鉄道トンネルである。案内軌条102は、
図1に示すように、第1方向A(延在方向)に沿って長尺なI形鋼から構成されている。なお、移動用台車10は、案内軌条方式のトンネルであれば、どのようなトンネルでも使用することが可能である。
【0020】
計測システム1は、
図1に示すように、レーザー光を照射してトンネル100の内空を測定する公知のレーザー計測機(計測装置)2と、第1方向Aであって案内軌条102の延在方向において、レーザー計測機2の案内軌条102に沿った位置を自動追尾するための公知の自動追尾装置(不図示)と、レーザー計測機2及び自動追尾装置から出力されたデータを処理するデータ処理装置(不図示)と、移動用台車10とを含む。データ処理装置は、レーザー計測機2からの測定データと自動追尾装置からのレーザー計測機2の位置データとに基づいてトンネル100の内空データに演算処理する装置である。こうして、トンネル100の内空の状態を検出することが可能となり、内空形状のみならず、トンネル100の内壁形状の変位及び亀裂などによる劣化状況を、検出した内空の状態から判断することが可能となる。
【0021】
移動用台車10は、
図3に示すように、レーザー計測機(計測装置)2を支持するフレーム11と、フレーム11を支持しつつ当該フレーム11を移動させるために取り付けられた4つのキャスター21~24とを含む。フレーム11は、本体フレーム12と、支持フレーム13とを有する。本体フレーム12は、走行路101上に配置可能な2つのキャスター21,22が取り付けられたベースフレーム30と、案内軌条102上に配置可能な2つのキャスター23,24が取り付けられたガイドフレーム40と、ベースフレーム30をガイドフレーム40に対して水平に回転可能に支持する連結部50(
図6参照)とを有している。このように本体フレーム12には、4つのキャスター21~24が取り付けられている。これら4つのキャスター21~24によって、フレーム11の荷重が支持されている。
【0022】
ベースフレーム30は、
図2に示すように、第2方向Bにおいて、左側の走行路101と案内軌条102とにちょうど跨るような幅サイズを有しており、2つの走行路101間の幅よりも小さく形成されている。また、ベースフレーム30は、
図4及び
図5に示すように、ガイドフレーム40に連結されるベース部31と、2つの脚部32と、ベース部31に対して脚部32を第3方向Cにスライド可能に支持する2つの支持部33と、ハンドル部34とを有している。ベース部31は、
図3に示す天板31aと、
図4に示す枠部材31bと、軸部材31cとを有している。天板31aは、
図3に示すように、枠部材31b上に固定された2枚の平板31a1,31a2とで構成されている。平板31a1には、円形の貫通孔31a3が形成されている。貫通孔31a3は、
図2に示すように、第2方向Bにおいて、平板31a1の中央よりもやや右側に配置されている。貫通孔31a3には、後述の支柱41b5が配置される。枠部材31bは、四角形状に形成された外枠部31b1と、外枠部31b1内に配置された繋ぎ部31b2と、外枠部31b1と繋ぎ部31b2とを繋ぐ補強部31b3と、繋ぎ部31b2と補強部31b3と繋ぐ2つの斜材部31b4とを有する。繋ぎ部31b2は、
図4に示すように、第1方向Aに沿って延在している。補強部31b3は、
図4に示すように、第2方向Bに沿って延在している。
【0023】
枠部材31bの外枠部31b1の内側には、
図5に示すように、筒状部31b5が設けられている。筒状部31b5には、固定レバー31b6が設けられている。筒状部31b5は、平板31a1の貫通孔31a3と第3方向Cに対向する位置に配置されている。また、筒状部31b5は、後述の支柱41b5を挿入可能に構成されており、固定レバー31b6を操作することで、支柱41b5を任意の位置で筒状部31b5に固定することができる。軸部材31cは、
図4に示すように、第3方向Cに沿って延在し、その上端部が繋ぎ部31b2の第1方向Aの中央に固定されている。また、軸部材31cは、枠部材31bから下方に突出している。
【0024】
2つの脚部32は、
図4に示すように、第3方向Cに沿って延在し、その下端にキャスター21,22が取り付けられている。本実施形態におけるキャスター21,22は、水平な軸を中心として回転可能な車輪タイプの公知のキャスターであって、車輪を支持するフォーク部が水平に回転可能なタイプである。これにより、移動用台車10を案内軌条102に沿って移動させる際に、これら2つのキャスター21,22のフォーク部が水平に回転し、キャスター21,22の車輪の向きを移動用台車10の移動方向に合わせるように追従する。なお、キャスター21,22は、公知のボールキャスターであってもよく、特に限定するものではない。
【0025】
2つの支持部33は、
図5に示すように、外枠部31b1の左側角部にそれぞれ固定されている。各支持部33は、内部に脚部32を挿通可能な筒状部33aと、2つの固定用ネジ33bとを有している。2つの固定用ネジ33bは、
図4に示すように、第3方向Cに離隔して配置され、筒状部33aにねじ込むことで、脚部32を支持部33に対して固定可能となる。一方、2つの固定用ネジ33bを筒状部33aに対して弛めることで、脚部32を筒状部33aに対して第3方向Cにスライド可能となる。これにより、キャスター21,22の高さ位置を調整可能となる。
【0026】
ハンドル部34は、
図4に示すように、移動用台車10を移動させる際にユーザが把持して支持フレーム13側に押す部分であり、水平部34aと、水平部34aの両端から下方に延在する一対の垂直部34bとで構成されている。水平部34aの一端近傍には、例えば、タブレットなどの機器を把持可能なクランプ部35が設けられている。
【0027】
ガイドフレーム40は、
図1、
図3及び
図6に示すように、2つのガイド部70、連結部50及び2つのキャスター23,24を支持している。ガイドフレーム40は、連結部50及び2つのキャスター23,24を支持するガイド本体41と、2つのガイド部70を支持する2つのガイド支持部42と、2つのブレーキ部43とを有する。
【0028】
ガイド本体41は、
図6に示すように、第1方向Aに長尺に延在し、第2方向Bに並んで配置される3本の長尺部41aと、第2方向Bに延在する2本の短尺部41bとを有する。
図6中、第1方向Aにおいて、紙面手前側の一方の短尺部41bは、3本の長尺部41aの一端部に固定されており、紙面奥側の他方の短尺部41bは、3本の長尺部41aの他端部に固定されている。一方の短尺部41bの第2方向Bの中央よりもやや左側部分に、筒状部41b1が設けられている。筒状部41b1には、固定レバー41b2が設けられている。他方の短尺部41bの第2方向Bの中央よりもやや右側部分に、筒状部41b3が設けられている。筒状部41b3には、固定レバー41b4が設けられている。これら筒状部41b1,41b3は、連結部50の中心に対して点対称に配置されている。筒状部41b1,41b3は、
図6に示すように、支柱41b5を挿入可能に構成されており、固定レバー41b2,41b4を操作することで、支柱41b5を任意の位置で筒状部41b1,41b3に固定することができる。なお、支柱41b5は、ベースフレーム30とガイドフレーム40との位置決めに使用されるものであり、第1方向Aにおいて、レーザー計測機2を支持する支持フレーム13と離れた方に配置されており、例えば、一方の筒状部41b1に挿入されているときは、他方の筒状部41b3には挿入されない。
【0029】
3本の長尺部41aのうち、第2方向Bにおける中央及び
図6中最も右側に配置された2本の長尺部41aには、第1方向Aにおいて、両端近傍にキャスター23,24が固定され、中央に連結部50が固定されている。本実施形態におけるキャスター23,24も、水平な軸を中心として回転可能な車輪タイプの公知のキャスターであるが、車輪を支持するフォーク部が水平に回転不可能なタイプである。なお、キャスター23,24は、公知のボールキャスターであってもよく、特に限定するものではない。また、これら2本の長尺部41aには、2つのブレーキ部43も固定されている。ブレーキ部43は、それぞれ、キャスター23,24に近接して配置され、図示しない操作部の操作により、キャスター23,24の車輪部分に押し当て可能な構成となっている。これにより、移動用台車10を移動させていても、その移動を容易に停止することが可能となる。
【0030】
2つのガイド支持部42は、
図6に示すように、2本の短尺部41bに設けられ、第1方向Aに互いに離隔して配置されている。また、2つのガイド支持部42は、第1方向Aにおいて、2つのキャスター23,24よりも外側に配置されている。各ガイド支持部42は、短尺部41bの第2方向Bの両端近傍から下方に延在する2つの垂直部42aと、各垂直部42aの下端から水平に延在する2つの水平部42bと、4つの斜材部42cとを有している。4つの斜材部42cは、垂直部42aと水平部42bとでなす2つの角部及び短尺部41bと2つの垂直部42aとでなす2つの角部近傍に配置され、隣接する垂直部42aと水平部42b、及び、垂直部42aと短尺部41bとを繋いでいる。2つの水平部42bのうち、
図6中右側の水平部42bの下端には、第2方向Bに貫通する筒状部42b1が固定されている。
【0031】
2つのガイド部70は、
図1及び
図3に示すように、案内軌条102のウエブ102aを第2方向Bから挟むように配置されている。また、2つのガイド部70は、
図6に示すように、ガイド支持部42にそれぞれ支持されており、第1方向Aに互いに離隔して配置されている。また、2つのガイド部70も、第1方向Aにおいて、2つのキャスター23,24よりも外側に配置されている。ガイド部70は、案内軌条102のウエブ102aを挟みつつ当接可能な一対のキャスター(当接部)71,72と、一方のキャスター72を支持する支持部73と、キャスター72をウエブ102aに向けて付勢するコイルバネ74とを有している。
【0032】
キャスター71,72は、
図6に示すように、サイズがキャスター23,24よりも小さく、垂直な軸を中心として回転可能な車輪タイプの公知のキャスターであり、車輪を支持するフォーク部が回転不可能なタイプである。キャスター71は、ガイド支持部42の
図6中左側の水平部42bの端部に支持されている。なお、キャスター71,72は、公知のボールキャスターであってもよく、特に限定するものではない。本実施形態においては、ガイド部70がウエブ102aに当接した状態で回転可能な2つのキャスター71,72を有しているが、特に回転せずにウエブ102aに当接可能な単なる当接部から構成されていてもよい。これにおいても、当接部がウエブ102aに当接することで、移動用台車10の第2方向Bへの横ブレを抑制することが可能となる。
【0033】
支持部73は、
図6に示すように、第2方向Bに延在し、筒状部42b1に挿通された水平部73aと、水平部73aに固定され水平部42bに挿通された筒状部73bを有する。支持部73は、第2方向Bに移動可能に水平部42bに支持されている。コイルバネ74は、第2方向Bにおいて、水平部42bの外側端部に配置されており、筒状部73bを内側に付勢している。つまり、キャスター72は、支持部73を介してコイルバネ74によってウエブ102aに向けて付勢されている。なお、支持部73を介してキャスター72をウエブ102aに付勢することができれば、付勢部材としてコイルバネ74以外の弾性部材を用いてもよい。
【0034】
このようにガイド部70は、第2方向Bにおいて、キャスター71が水平方向に移動不可能に配置され、キャスター72が水平方向に移動可能に配置されている。さらにキャスター72は、案内軌条102のウエブ102aに向けて付勢され、2つのキャスター71,72によって案内軌条102が第2方向Bに挟持されている。そして、このようなガイド部70が、第1方向Aに沿って互いに離隔して配置されている。2つのガイド部70によって案内軌条102のウエブ102aが挟持されることで、移動用台車10のハンドル部34をユーザが押して移動用台車10を移動させても、後述のように当該移動用台車10が案内軌条102に沿って安定して移動する。
【0035】
連結部50は、
図6に示すように、筒状部51と、筒状部51を外側から支持する支持部52とを有する。支持部52は、複数のフレームによって構成され、2本の長尺部41aの第1方向Aの中央に固定されている。筒状部51は、支持部52によって支持される外筒51aと、外筒51a内において、第3方向Cに平行な回転軸を中心に回転可能に配置された内筒51bとを有している。内筒51bは、軸部材31cが嵌合可能に形成されている。連結部50は、ガイドフレーム40に対してベースフレーム30を水平に回転可能に支持する。
【0036】
支持フレーム13は、
図4、
図5及び
図7に示すように、第1支持フレーム14と、第2支持フレーム15とを有している。第1支持フレーム14は、ベースフレーム30の外枠部31b1にスライド移動可能に支持されている。これにより、第1支持フレーム14の第2方向Bの位置を調整可能となり、レーザー測定機2の第2方向Bの位置を調整可能となる。第1支持フレーム14は、
図5に示すように、第1方向Aに沿って延在し、第2方向Bに並べられた2つの水平部14aと、第2方向Bに沿って延在し2つの水平部14aの先端を繋ぐ繋ぎ部14bと、4つの支持部14cとを有している。2つの水平部14aは、第2方向Bにおいて、外枠部31b1にスライド移動可能に支持されている。4つの支持部14cは、2つの水平部14aの第1方向Aの両端近傍に固定されている。各支持部14cは、第2支持フレーム15の支柱15c(後述する)を挿通可能な筒状部14c1と、固定用ネジ14c2とを有している。固定用ネジ14c2は、筒状部14c1にねじ込むことで、支柱15cを支持部14cに対して固定可能となる。一方、固定用ネジ14c2を筒状部14c1に対して弛めることで、支柱15cを筒状部14c1に対して第3方向Cにスライド可能となる。これにより、第2支持フレーム15の第3方向Cの位置を調整可能となり、レーザー測定機2の高さ位置が調整可能となる。
【0037】
第2支持フレーム15は、
図7に示すように、平板状の天板15aと、四角形状の枠部15bと、4つの支柱15cとを有している。枠部15bは、天板15aの下面に固定されている。4つの支柱15cは、第3方向Cに沿って延在し、その上端が枠部15bに固定されている。また、4つの支柱15cは、第1支持フレーム14の4つの支持部14cと対向する位置に配置されている。また、第2支持フレーム15とレーザー計測機2とは、
図7に示すように、互いに固定されている。より詳細には、レーザー計測機2をそのベースプレート2aを介して天板15a上に配置し、天板15a及び枠部15bとベースプレート2aとを2枚の帯状プレート15dで挟み、これら帯状プレート15dの両端を2組のボルト15e及びナット15fで連結することで、第2支持フレーム15とレーザー計測機2とが固定されている。
【0038】
続いて、計測システム1でトンネル100の内空を測定する際の移動用台車10の動作について、
図1、
図2、
図8~
図10を参照しつつ以下に説明する。
【0039】
まず、
図1及び
図2に示すように、レーザー計測機2を搭載した移動用台車10をトンネル100内に設置する。このとき、キャスター21,22を、
図1及び
図2中の左側の走行路101上に配置させ、キャスター23,24を、案内軌条102上に配置させる。このように移動用台車10を配置することで、各ガイド部70の2つのキャスター71,72が案内軌条102のウエブ102aと第2方向Bに対向する位置に配置される。そして、各ガイド部70の2つのキャスター71,72で案内軌条102のウエブ102aを第2方向Bから挟持させる。また、このとき、
図2に示すように、レーザー計測機2を左側の走行路101と案内軌条102との間において、左側の走行路101寄りに配置する。これにより、トンネル100内の略左側半部の内空を計測することが可能となる。なお、レーザー計測機2の下方位置は支持フレーム13により死角となるため、後述するようにレーザー計測機2の位置をずらして再度計測する。
【0040】
次に、ユーザは、レーザー計測機2を起動させつつ、ハンドル部34を把持して移動用台車10を
図2中上方であって往方向A1(第1方向Aに平行な方向)に押し進め、トンネル100の略左側半部の内空を計測する。
図8(a)に示すように、移動用台車10がトンネル100の直線領域を進む際、キャスター71,72が第2方向Bにウエブ102aを挟持する。より詳細には、キャスター72がコイルバネ74によりウエブ102a側に付勢され、位置が固定されたキャスター71とでウエブ102aを挟持する。これら4つのキャスター71,72がウエブ102aを挟持しつつ、キャスター71,72の車輪が移動用台車10の移動に伴って第3方向Cに平行な回転軸を中心に回転することで、移動用台車10は案内軌条102に対する横ブレが抑制されつつ、案内軌条102に沿って移動させることが可能となる。
【0041】
図8(b)に示すように、移動用台車10がトンネル100のカーブ領域(例えば、左方にカーブする領域)を進む際、まず、前方のキャスター72がウエブ102aにより矢印D方向に押される。このとき、ウエブ102aは、左方へのカーブにより、前方のキャスター71から離れようとする。前方のキャスター72がウエブ102aにより押されることで、前方のコイルバネ74に圧縮力が加えられるが、コイルバネ74の復元力によって前方のキャスター71がウエブ102aに接近するように、前方のガイド支持部42自体が矢印D方向に引き寄せられる。より詳細には、
図8(c)に示すように、前方のコイルバネ74の復元力により、ガイドフレーム40自体に、後方のキャスター71とウエブ102aとの当接点を中心にした反時計回りの回転力が加えられ、前方のキャスター71がウエブ102aに当接する。このように前方のキャスター71は、
図8(b)に示すようにウエブ102aから瞬間的に離れようとするものの、
図8(c)に示すように直ぐにガイドフレーム40が回転してウエブ102aに当接する。なお、
図8(b)中に示す前方のキャスター71とウエブ102aとの隙間は、説明上分かりやすくするために比較的大きく示しているものの、その隙間はわずかであり、さらにウエブ102aとキャスター71との離隔時間もわずかである。また、このときのガイドフレーム40自体の回転は、2つのコイルバネ74により、前方及び後方のキャスター71,72がウエブ102aを挟持しつづけるように調整される。これにより、移動用台車10全体が案内軌条102に横ブレせずに追従する。
【0042】
また、図示は省略するが、移動用台車10がトンネル100の右方にカーブする領域を進む際、まず、前方のキャスター71がウエブ102aにより
図8中矢印D方向とは反対方向に押される。キャスター71は、ガイドフレーム40によって位置が固定されているため、前方のキャスター71がウエブ102aにより押圧されると、後方のキャスター71とウエブ102aとの当接点を中心にした時計回りの回転力がガイドフレーム40自体に加えられる。このときも、2つのコイルバネ74により、前方及び後方のキャスター71,72がウエブ102aを挟持しつづけるように調整される。これにより、移動用台車10全体が案内軌条102に横ブレせずに追従する。このため、トンネル100の直線領域及びカーブ領域のいずれにおいても、ガイド部70により移動用台車10の横ブレを抑制しつつレーザー計測機2でトンネル100の内空を計測することが可能となる。
【0043】
ユーザによって往方向A1に押し進めた移動用台車10がトンネル100の所定位置に達したら一端レーザー計測機2を停止させる。このとき、ユーザが図示しない操作部を操作してブレーキ部43をキャスター23,24に押し当てることで、移動用台車10を容易に停止させることができる。そして、トンネル100の右半部の内空を計測するために、移動用台車10のベースフレーム30をガイドフレーム40に対して回転させる。このときもブレーキ部43をキャスター23,24に押し当てておくことで、安定した状態でベースフレーム30を回転させることが可能となる。
【0044】
この場合、まず、すべての固定用ネジ33bを弛めて、
図9に示すように、キャスター21,22が筒状部33a近傍に配置されるまで、脚部32を上方にスライドさせる。そして、固定用ネジ33bを締めてキャスター21,22が案内軌条102よりも上方に配置されるように固定する。この後、固定レバー31b6,41b2を操作して筒状部31b5,41b1に固定された支柱41b5を、
図9に示すように、筒状部41b1から抜けるように上方にスライドさせる。そして、固定レバー31b6を操作して筒状部31b5に支柱41b5を固定する。こうすることで、ベースフレーム30がガイドフレーム40に対して回転可能となる。
【0045】
次に、ユーザが、
図9に示すように、ベースフレーム30をガイドフレーム40に対して反時計回りに回転させる。これにより、支持フレーム13とともにレーザー計測機2も回転する。このとき、キャスター21,22が案内軌条102よりも上方位置にあるため、案内軌条102を回避することが可能となる。そして、
図10に示すように、ベースフレーム30をガイドフレーム40に対して反時計回りに180°回転させることで、支柱41b5が筒状部41b3に挿入可能な位置に配置される。なお、ベースフレーム30をガイドフレーム40に対して時計回りに180°回転させてもよい。このため、固定レバー31b6,41b4を操作して支柱41b5を下方にスライドさせて支柱41b5を筒状部41b3に挿入する。そして、固定レバー31b6,41b4を操作して筒状部31b5,41b3に支柱41b5を固定する。この後、すべての固定用ネジ33bを弛めて、キャスター21,22が右側の走行路101上に配置されるまで、脚部32を下方にスライドさせる。そして、固定用ネジ33bを締める。こうして、移動用台車10を、右側の走行路101と案内軌条102上に配置させることで、トンネル100内の右半部の内空を計測することが可能となる。
【0046】
なお、支持フレーム13をベースフレーム30に対してスライド移動させていないため、
図10に示すように、レーザー計測機2は、右側の走行路101と案内軌条102との間において、右側の走行路101寄りに配置される。これにおいても、トンネル100の略右側半部の内空を計測することが可能となる。このときも、レーザー計測機2の下方位置は支持フレーム13により死角となるため、後述するようにレーザー計測機2の位置をずらして再度計測する。
【0047】
次に、ユーザは、図示しない操作部を操作してブレーキ部43をキャスター23,24から離隔して移動用台車10の移動を可能にする。そして、ユーザは、レーザー計測機2を起動させつつ、ハンドル部34を把持して移動用台車10を
図10中下方であって復方向A2(第1方向Aに平行な方向)に押し進め、トンネル100の左側半部の内空を計測したときと同様に、右側半部の内空を計測する。このときも、移動用台車10全体が案内軌条102に横ブレせずに追従するため、トンネル100の直線領域及びカーブ領域のいずれにおいても、ガイド部70により移動用台車10の横ブレを抑制しつつレーザー計測機2でトンネル100の内空を計測することが可能となる。
【0048】
そして、ユーザによって復方向A2に押し進めた移動用台車10がトンネル100の所定位置に達したら一端レーザー計測機2を停止させる。このときも上述と同様にブレーキ部43をキャスター23,24に押し当てる。そして、移動用台車10のベースフレーム30を、上述と同様に、ガイドフレーム40に対して回転させて、トンネル100内の左側半部の内空を計測する前の状態と同じにする。この後、支持フレーム13をベースフレーム30に対して右方にスライドさせて、レーザー計測機2を
図2中二点鎖線で示す位置に配置する。つまり、レーザー計測機2を左側の走行路101と案内軌条102との間において、案内軌条102寄りに配置する。そして、ブレーキ部43をキャスター23,24から離隔し、トンネル100の左側半部の内空を計測したときと同様に、レーザー計測機2を起動させつつ、移動用台車10を往方向Aに押し進める。この後、移動用台車10がトンネル100の所定位置に達したらブレーキ部43をキャスター23,24に押し当てて一旦レーザー計測機2を停止させる。こうして、先のトンネル100の左側半部の内空の計測では死角になっていた部分の内空が計測される。
【0049】
次に、上述と同様に、移動用台車10のベースフレーム30をガイドフレーム40に対して回転させて、トンネル100内の右側半部の内空を計測する。これにおいても、先のトンネル100の右側半部の内空の計測では死角になっていた部分の内空が計測される。こうして、レーザー計測機2により測定された測定データと、自動追尾装置からのレーザー計測機2の位置データとに基づいて、データ処理装置がトンネル100の内空データに演算処理し、計測システム1でのトンネル100の内空の測定が終了する。
【0050】
以上に述べたように、移動用台車10によると、移動用台車10を案内軌条102に沿って移動させても、水平方向(第2方向B)において、移動用台車10の案内軌条102に対する横ブレがガイド部70によって抑制される。このため、移動用台車10でレーザー計測機2(計測装置)を支持し、トンネル100の内空を計測したときの計測データの精度が向上し、信頼性が高くなる。
【0051】
ガイド部70は、一対のキャスター(当接部)71,72のうちの一方のキャスター72を案内軌条102に向けて付勢するコイルバネ74を有している。これにより、移動用台車10で案内軌条102のカーブ領域を通過させても(
図8(b)、(c)参照)、一方のキャスター72がコイルバネ74(付勢部材)により案内軌条102に向けて付勢されているため、ガイド部70が案内軌条102を挟みながらも滑らかに追従することが可能となる。このため、移動用台車10はカーブ領域を通過する際も横ブレしにくくなる。
【0052】
また、他方のキャスター71は、ガイド支持部42の水平部42bに固定され、水平方向に移動不可能である。このように一方のキャスター72が水平移動可能に構成されているのに対して、他方のキャスター71が水平移動不可能に構成されていることで、移動用台車10と案内軌条102との水平方向の位置関係が安定する。
【0053】
また、ガイド部70が、案内軌条102のウエブ102aを挟持する一対の当接部としてキャスター71,72を有していることで、移動用台車10を案内軌条102に沿って移動させる際にキャスター71,72の車輪が回転するため、ウエブ102aとの間に生じる負荷が小さくなる。
【0054】
また、支持フレーム13は、ベースフレーム30(本体フレーム12)に対して水平移動可能な第1支持フレーム14と、第1支持フレーム14に対して垂直移動可能な第2支持フレーム15とを有している。つまり、支持フレーム13は、レーザー計測機2を本体フレーム12に対する水平位置及び垂直位置を変位可能に構成されている。これにより、移動用台車10に対するレーザー計測機2の設置位置の自由度が向上する。したがって、上述したように、トンネル10の内空を測定する際に死角が生じても、再度、トンネル10の内空を測定する際に、当該死角部分を測定可能な位置にレーザー計測機2の取り付けることが可能となる。上述の実施形態においては、支持フレーム13の移動は水平方向のみの移動であるが、垂直方向への移動でレーザー計測機2の死角をなくしてもよい。
【0055】
また、ベースフレーム30が、第2方向Bにおいて、2つの走行路101間よりも小さく形成されていることで、移動用台車10がコンパクトになる。このため、移動用台車10をトンネル100内に搬入しやすくなる。
【0056】
また、本体フレーム12は、ベースフレーム30と、ガイドフレーム40と、ベースフレーム30をガイドフレーム40に対して水平に回転可能に連結する連結部50を有している。そして、ベースフレーム30は、キャスター21,22が取り付けられた脚部32を第3方向Cにスライド可能に支持する支持部33を有している。これにより、連結部50を回転中心としてベースフレーム30をガイドフレーム40に対して回転させる際に、ベースフレーム30に取り付けられたキャスター21,22を案内軌条102よりも上方に配置させるように移動させることが可能となる。また、支持フレーム13が取り付けられたベースフレーム30のサイズをコンパクトにしても、連結部50によりガイドフレーム40に対して回転可能となる。このため、移動用台車10をコンパクトにしつつも、トンネル100の内空全体を測定可能な位置に支持フレーム13を容易に配置させることが可能となる。したがって、レーザー測定機2でトンネル100の内空全体を測定することが可能となる。
【0057】
また、ガイドフレーム40に支持された2つのガイド部70及び2つのキャスター23,24は、第1方向Aに沿って互いに離隔して配置されている。これにより、移動用台車10を案内軌条102に沿って安定して移動させることが可能となる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、ベースフレーム30が、第2方向Bにおいて、2つの走行路101に跨る幅サイズを有し、キャスター21,22が配置された走行路101とは別のもう一方の走行路101に配置可能なキャスターが取り付けられていてもよい。この場合、ガイドフレーム40に2つのキャスター23,24が取り付けられていなくてもよい。この場合でもガイド部70が設けられているため、移動用台車の案内軌条102に対する横ブレが抑制され、上述の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0059】
また、上述のガイド部70は、第1方向Aに沿って2つ設けられているが、1つだけ設けられていてもよいし、3以上設けられていてもよい。また、上述の実施形態における移動用台車10には、4つのキャスター21~24が設けられているが、キャスターが3つだけ設けられていてもよいし、5以上設けられていてもよい。
【0060】
また、上述のガイド部70は、キャスター72を付勢する付勢部材としてのコイルバネ74を有しているが、略直線状のトンネルの案内軌条102に移動用台車10を採用する際は、特にコイルバネ74を有していなくてもよい。つまり、キャスター72を案内軌条102に向けて付勢していなくてもよい。この場合、2つのキャスター71,72で案内軌条102を挟持可能な構成であればよい。
【0061】
また、支持フレーム13は、本体フレーム12に対して移動不可能に固定されていてもよいし、レーザー計測機2の本体フレーム12に対する水平位置及び垂直位置を変位不可能に構成されていてもよい。
【0062】
また、ベースフレーム30は、ガイドフレーム40に対して回転不可能に固定されていてもよい。この場合、支持部33は脚部32をスライド不可能に支持していてもよい。また、上述の実施形態における移動用台車10のガイド部70は、I形鋼からなる案内軌条102のウエブ102aを挟持しているが、案内軌条が例えば、上フランジを有さない凸形状の場合、その上方に突出する凸部分をガイド部70で挟持すればよい。つまり、移動用台車10は、凸形状の案内軌条であっても採用することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
2 レーザー計測機(計測装置)
10 移動用台車
11 フレーム
12 本体フレーム
13 支持フレーム
21~24 キャスター
30 ベースフレーム
31 ベース部
32 脚部
33 支持部
40 ガイドフレーム
50 連結部
70 ガイド部
71 キャスター(他方の当接部)
72 キャスター(一方の当接部)
73 支持部
74 コイルバネ(付勢部材)
100 トンネル
101 走行路
102 案内軌条