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特許7231161被験者依存変数および/または体位を考慮するセンサ校正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】被験者依存変数および/または体位を考慮するセンサ校正
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
A61B5/107 300
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020514213
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018053276
(87)【国際公開番号】W WO2019067821
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】15/718,560
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515058422
【氏名又は名称】ヴァイタル コネクト,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Vital Connect,Inc.
【住所又は居所原語表記】224 Airport Parkway,Suite 300,San Jose,CA,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セルバラジ ナンダクマール
(72)【発明者】
【氏名】トラン サン
(72)【発明者】
【氏名】アガ アルシャン
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0302715(US,A1)
【文献】国際公開第2016/088842(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0184630(US,A1)
【文献】特表2009-515662(JP,A)
【文献】特表2014-533140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/107
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者に関連付けられたセンサを校正する方法であって、
前記センサにより、重力ベクトルに対する前記被験者の身体加速に関連付けられたセンサベクトル・ベクトルVを生成することと、
前記センサベクトル・ベクトルVを校正することであって、
前記被験者が基準に対する第1の仰角にある状態で前記センサベクトル・ベクトルVを処理して、第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを生成することと、
前記基準に対する前記被験者の挙上に関連付けられた第2の仰角ηを決定することと、
前記第2の仰角ηを使用して前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを校正して、第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを生成することと、を含む、前記センサベクトル・ベクトルVを校正することと、
前記第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを使用して、前記被験者の生理学的または身体的評価を決定することと、を含み、
前記センサベクトル・ベクトルVを処理して、第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを生成することは、
角度αを決定して、Z軸周りのα°のXY回転である回転行列Rを前記センサベクトル・ベクトルVに適用することと、
角度βを決定して、X軸周りのβ°のYZ回転である回転行列Rを前記センサベクトル・ベクトルVに適用することと、
身体の正中線を参照して前記センサの配向に関するユーザ入力を取得し、理想的な直立センサベクトル・ベクトルVを決定することと、
前記回転行列Rと前記回転行列Rの積によって、中間回転行列である回転行列Rを決定することと、
前記理想的な直立センサベクトル・ベクトルVに前記回転行列Rの回転を適用して、回転した理想的な直立センサベクトル・ベクトルV´を取得することと、
前記回転した理想的な直立センサベクトル・ベクトルV´を使用して角度ζを決定し、前記センサベクトル・ベクトルVに、前記Z軸周りのζ°のXY回転を含む回転行列Rを適用して、前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを取得することと、
を含み、
前記第2の仰角ηを決定することは、
角度δ、および、Y軸周りのδ°のXZ回転である回転行列Rを決定することと、
前記センサベクトル・ベクトルVに前記回転行列Rの回転を適用して、XY平面上の回転ベクトルであるベクトルXYを取得することと、
ベクトルXY、および、仰臥位ベクトルGの理想的な重力ベクトルを参照して、角度γを決定することと、
γの関数としての前記センサの仰角ηを取得することと、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記角度αは、前記センサベクトル・ベクトルVのXY平面における大きさに対するy成分の比のアークコサインであり、
前記角度βは、前記センサベクトル・ベクトルVの全体的な大きさに対する前記XY平面における前記大きさの比のアークコサインの関数であり、
前記角度ζは、前記回転した理想的な直立センサベクトル・ベクトルV´の前記XY平面における前記大きさに対するy成分の比のアークコサインである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記角度δは、前記センサベクトル・ベクトルVの全体的な大きさに対する前記XY平面における前記大きさの比のアークコサインであり、
前記角度γは、ベクトルXYの前記大きさに対するベクトルXYとベクトルGの内積の比のアークコサインである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の仰角ηを使用して前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを校正して、第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを生成することは、
前記X軸周りのη°に対するYZ平面の回転Rを取得することと、
および前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVの関数として、前記第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを計算することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の仰角ηの決定は、前記被験者の身体仰角εの入力を受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記センサベクトル・ベクトルVの前記校正は、
X軸周りのε°に対するYZ平面の回転Rを取得することと、
および前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVの関数として、前記第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを計算することと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
被験者に関連付けられたセンサを校正するシステムであって、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリデバイスと、を備え、前記メモリデバイスは、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
重力ベクトルに対する前記被験者の身体加速に関連付けられたセンサベクトル・ベクトルVを決定することと、
前記センサベクトル・ベクトルVを校正することであって、
前記被験者が基準に対して第1の仰角にある状態で前記センサベクトル・ベクトルVを処理して、第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを生成することと、
前記基準に対する前記被験者の挙上に関連付けられた第2の仰角ηを決定することと、
前記第2の仰角ηを使用して前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを校正して、第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを生成することと、を含む、前記センサベクトル・ベクトルVを校正することと、
前記第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを使用して、前記被験者の生理学的または身体的評価を決定することと、を行わせる、アプリケーションを含み、
前記センサベクトル・ベクトルVを処理して、第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを生成することは、
角度αを決定して、Z軸周りのα°のXY回転である回転行列Rを前記センサベクトル・ベクトルVに適用することと、
角度βを決定して、X軸周りのβ°のYZ回転である回転行列Rを前記センサベクトル・ベクトルVに適用することと、
身体の正中線を参照して前記センサの配向に関するユーザ入力を取得し、理想的な直立センサベクトル・ベクトルVを決定することと、
前記回転行列Rと前記回転行列Rの積によって、中間回転行列である回転行列Rを決定することと、
前記理想的な直立センサベクトル・ベクトルVに前記回転行列Rの回転を適用して、回転した理想的な直立センサベクトル・ベクトルV´を取得することと、
前記回転した理想的な直立センサベクトル・ベクトルV´を使用して角度ζを決定し、前記センサベクトル・ベクトルVに、前記Z軸周りのζ°のXY回転を含む回転行列Rを適用して、前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを取得することと、
を含み、
前記第2の仰角ηを決定することは、
角度δ、および、Y軸周りのδ°のXZ回転である回転行列Rを決定することと、
前記センサベクトル・ベクトルVに前記回転行列Rの回転を適用して、XY平面上の回転ベクトルであるベクトルXYを取得することと、
ベクトルXY、および、仰臥位ベクトルGの理想的な重力ベクトルを参照して、角度γを決定することと、
γの関数としての前記センサの仰角ηを取得することと、
を含む、
システム。
【請求項8】
前記角度αは、前記センサベクトル・ベクトルVのXY平面における大きさに対するy成分の比のアークコサインであり、
前記角度βは、前記センサベクトル・ベクトルVの全体的な大きさに対する前記XY平面における前記大きさの比のアークコサインの関数であり、
前記角度ζは、前記回転した理想的な直立センサベクトル・ベクトルV´の前記XY平面における前記大きさに対するy成分の比のアークコサインである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記角度δは、前記センサベクトル・ベクトルVの全体的な大きさに対する前記XY平面における前記大きさの比のアークコサインであり、
前記角度γは、ベクトルXYの前記大きさに対するベクトルXYとベクトルGの内積の比のアークコサインである、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の仰角ηを使用して前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを校正して、第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを生成することは、
前記X軸周りのη°に対するYZ平面の回転Rを取得することと、
および前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVの関数として、前記第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを計算することと、を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の仰角ηの決定は、前記被験者の身体仰角εの入力を受信することを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記センサベクトル・ベクトルVの前記校正は、
X軸周りのε°に対するYZ平面の回転Rを取得することと、
および前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVの関数として、前記第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを計算することと、を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
センサデバイスであって、
1つ以上のセンサと、
被験者に取り付けられる前記1つ以上のセンサを支持するように構成された構造と、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリデバイスと、を備え、前記メモリデバイスは、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
重力ベクトルに対する前記被験者の身体加速に関連付けられたセンサベクトル・ベクトルVを決定することと、
前記センサベクトル・ベクトルVを校正することであって、
前記被験者が基準に対して第1の仰角にある状態で前記センサベクトル・ベクトルVを校正して、第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを生成することと、
前記基準に対する前記被験者の挙上に関連付けられた第2の仰角ηを決定することと、
前記第2の仰角ηを使用して前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを校正して、第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを生成することと、を含む、前記センサベクトル・ベクトルVを校正することと、
前記第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを使用して、前記被験者の生理学的または身体的評価を決定することと、を行わせる、アプリケーションを含み、
前記センサベクトル・ベクトルVを処理して、第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを生成することは、
角度αを決定して、Z軸周りのα°のXY回転である回転行列Rを前記センサベクトル・ベクトルVに適用することと、
角度βを決定して、X軸周りのβ°のYZ回転である回転行列Rを前記センサベクトル・ベクトルVに適用することと、
身体の正中線を参照して前記センサの配向に関するユーザ入力を取得し、理想的な直立センサベクトル・ベクトルVを決定することと、
前記回転行列Rと前記回転行列Rの積によって、中間回転行列である回転行列Rを決定することと、
前記理想的な直立センサベクトル・ベクトルVに前記回転行列Rの回転を適用して、回転した理想的な直立センサベクトル・ベクトルV´を取得することと、
前記回転した理想的な直立センサベクトル・ベクトルV´を使用して角度ζを決定し、前記センサベクトル・ベクトルVに、前記Z軸周りのζ°のXY回転を含む回転行列Rを適用して、前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを取得することと、
を含み、
前記第2の仰角ηを決定することは、
角度δ、および、Y軸周りのδ°のXZ回転である回転行列Rを決定することと、
前記センサベクトル・ベクトルVに前記回転行列Rの回転を適用して、XY平面上の回転ベクトルであるベクトルXYを取得することと、
ベクトルXY、および、仰臥位ベクトルGの理想的な重力ベクトルを参照して、角度γを決定することと、
γの関数としての前記センサの仰角ηを取得することと、
を含む、
センサデバイス。
【請求項14】
前記角度αは、前記センサベクトル・ベクトルVのXY平面における大きさに対するy成分の比のアークコサインであり、
前記角度βは、前記センサベクトル・ベクトルVの全体的な大きさに対する前記XY平面における前記大きさの比のアークコサインの関数であり、
前記角度ζは、前記回転した理想的な直立センサベクトル・ベクトルV´の前記XY平面における前記大きさに対するy成分の比のアークコサインである、請求項13に記載のセンサデバイス。
【請求項15】
前記角度δは、前記センサベクトル・ベクトルVの全体的な大きさに対する前記XY平面における前記大きさの比のアークコサインであり、
前記角度γは、ベクトルXYの前記大きさに対するベクトルXYとベクトルGの内積の比のアークコサインである、請求項13に記載のセンサデバイス。
【請求項16】
前記第2の仰角ηを使用して前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを校正して、第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを生成することは、
前記X軸周りのη°に対するYZ平面の回転Rを取得することと、
および前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVの関数として、前記第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを計算することと、を含む、請求項13に記載のセンサデバイス。
【請求項17】
前記第2の仰角ηの決定は、前記被験者の身体仰角εの入力を受信することを含む、請求項13に記載のセンサデバイス。
【請求項18】
前記センサベクトル・ベクトルVの校正は、
X軸周りのε°に対するYZ平面の回転Rを取得することと、
および前記第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVの関数として、前記第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを計算することと、を含む、請求項17に記載のセンサデバイス。
【請求項19】
前記構造がパッチ形態ファクタを含む、請求項13に記載のセンサデバイス。
【請求項20】
前記構造が、前記被験者に取り外し可能に取り付けられるように構成された接着剤を備える、請求項19に記載のセンサデバイス。
【請求項21】
前記構造が、前記被験者に取り外し可能に取り付けられるように構成された接着剤を備える、請求項13に記載のセンサデバイス。
【請求項22】
前記決定された第2の仰角ηを記憶または送信するように構成された無線送信機をさらに含む、請求項13に記載のセンサデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、仰臥位で横たわっている被験者(例えば、患者)に取り付けられたセンサの校正を、被験者を支持する表面(例えば、ベッド)の傾斜の有無を問わずに実行すること、より具体的には、校正プロセス中の被験者の身体の挙上に従ってセンサの仰角を決定することと、身体および重力に関してセンサのアライメントを行うことと、被験者の相対的身体角度または姿勢の真の変化を検出することと、被験者の生理学的および他の身体関連測定の正確な評価を行うことに関する。
【背景技術】
【0002】
無線センサデバイスは、病院内の患者または自宅でのユーザを含む被験者を監視するためにますます使用されるようになってきている。バイタルサインおよび生理学的測定の監視に加えて、無線センサデバイスは、例えば、日中もしくは夜間の体位/姿勢パターンの評価、または患者の床ずれの予防的管理を含む、様々な用途に対して被験者の相対的体位の変化を追跡するのに有用であり得る。例えば、被験者の相対的体位(または姿勢)を客観的に評価するために、センサは、校正、すなわち、重力に関連して被験者の身体フレームにセンサデバイスのフレームのアライメントを可能にするプロセスを必要とすることがある。
【0003】
センサの適切な校正が実行されない場合、部分的には、センサが、被験者の身体上の異なる位置(または部位)で取り付けられ、および/または被験者(例えば、患者)、もしくは関連付けられた支持体(例えば、ベッド、特に、治療、処置および回復段階に基づいて異なる挙上に調節することができる病院のベッド)に対して異なる配向となっていることがあり、校正されていないセンサから得られたデータを使用して姿勢を区別することが潜在的に難しいため、被験者に装着されたセンサ(例えば、加速度計)によって提供される情報からの正確な姿勢検出は困難になることがある。
【0004】
校正データは、被験者の身体上の特定の位置および配向におけるセンサの標準化された取り付けから取得され、かつ校正中に身体の挙上がない仰臥位などの標準化された相対的体位から取得され得る。身体上のセンサの標準化された正確な位置または配向、および仰臥位などの0°の身体挙上での校正プロセスのために所望の体位に厳密に固執するのは、体輪郭の変動(例えば、個人間で性別およびボディマス指数が異なる)、センサの取り付け手順を実施する際の人的エラー、および特定のベッドの挙上(例えば、30°)でベッドに被験者を留めることを必要とすることがある病気状態、病気、臨床的処置等の要因による校正中の理想的な体位の不遵守により実用的に達成可能ではない。
【0005】
したがって、患者またはユーザが直立と仰臥位(仰臥位の場合、身体の挙上の有無を問わない)にいるときに、実用的な制限を克服することによって校正を実施することを可能にし、相対的な体位の正確な評価を可能にするセンサシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
相対的体位の正確な追跡を可能にすることができる、支持面の傾斜の有無を問わない、仰臥位にいる被験者に取り付けられたセンサの校正を実行するための方法、デバイス、およびシステムを提示する。
【0007】
第1の態様では、被験者に関連付けられたセンサを校正する方法は、センサを被験者の一部分に取り付けることと、被験者の一部分を基準に対して第1の仰角で位置決めすることと、センサを起動させて、重力ベクトルに対して被験者の身体加速に関連付けられたセンサベクトル・ベクトルVを生成することと、センサベクトル・ベクトルVを校正することであって、被験者が第1の仰角にある状態でセンサベクトル・ベクトルVを処理して、第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを生成することと、基準に対する前記被験者の挙上に関連付けられた第2の仰角ηを決定することと、第2の仰角ηを使用して第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを校正して、第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを生成することと、を含む、センサベクトル・ベクトルVを校正することと、第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを使用して、被験者の生理学的または身体的評価を決定することと、を含む。
【0008】
第2の態様では、被験者に関連付けられたセンサを校正するシステムは、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリデバイスと、を備え、メモリデバイスは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、重力ベクトルに対する被験者の身体加速に関連付けられたセンサベクトル・ベクトルVを決定することと、センサベクトル・ベクトルVを校正することであって、被験者が基準に対して第1の仰角にある状態でセンサベクトル・ベクトルVを処理して、第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを生成することと、基準に対する被験者の挙上に関連付けられた第2の仰角ηを決定することと、第2の仰角ηを使用して第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを校正して、第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを生成することと、を含む、センサベクトル・ベクトルVを校正することと、第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを使用して、被験者の生理学的または身体的評価を決定することと、を行わせる。
【0009】
第3の態様では、センサデバイスは、1つ以上のセンサと、被験者に取り付けられる1つ以上のセンサを支持するように構成されている構造と、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリデバイスと、を備え、メモリデバイスは、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、重力ベクトルに対する被験者の身体加速に関連付けられたセンサベクトル・ベクトルVを決定することと、センサベクトル・ベクトルVを校正することであって、被験者が基準に対して第1の仰角にある状態でセンサベクトル・ベクトルVを校正して、第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを生成することと、基準に対する被験者の挙上に関連付けられた第2の仰角ηを決定することと、第2の仰角ηを使用して第1の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを校正して、第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを生成することと、を含む、センサベクトル・ベクトルVを校正することと、第2の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηを使用して、被験者の生理学的また身体的評価を決定することと、を行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】1つ以上の実施形態によるセンサデバイスを示す。
図2】1つ以上の実施形態によるセンサ校正を実行する方法を示す。
図3】1つ以上の実施形態によるセンサ/身体の挙上なしを想定した仰臥位アルゴリズムにおける校正の例を示す。
図4】仰臥位アルゴリズムにおける校正がセンサ/身体の挙上なしを想定したセンサを校正するために使用されるときに、仰臥位(上パネル)、傾斜位(中央パネル)、直立(下パネル)の3つの体位における、校正されたセンサベクトルのy成分および計算された垂直身体角度の理想的な例を示す。
図5】体輪郭を有する被験者の仰臥位(上パネル)および挙上した体位(下パネル)においてセンサを校正するために、仰臥位アルゴリズムにおける校正が適用されるときの、校正されたセンサベクトルy成分および計算された垂直身体角度の実用的な例を示す。
図6】基準としての仰臥位(約0°)の体位(上パネル)および約10°、15°、20°、25°、....65°のベッド挙上(下パネル)での仰臥位アルゴリズムにおける校正を適用することによって、一連の連続した体位における被験者の垂直身体角度(θ)の計算例を示す。
図7】仰臥位、挙上した体位にいる別途に横たわっている患者、ならびに関連付けられた重力ベクトルとセンサベクトル、センサ仰角(η)、および水平支持面の関係の概略図を示す。
図8】1つ以上の実施形態による、体輪郭および支持面の傾斜を考慮する、センサ仰角を決定するセンサ仰角アルゴリズムを示す。
図9】胸部に取り付けられたセンサデバイスを備えた被験者において、ベッド仰角が約0°~約65°(X軸)までの漸増的な変化に対する決定されたセンサ仰角(Y軸)の散布図を示し、入力されたベッドの挙上の中間領域における測定されたセンサの挙上において実質的に線形相関を示す。
図10】1つ以上の実施形態による、センサ仰角アルゴリズムと仰臥位アルゴリズムにおける校正の両方を利用するセンサ角度アルゴリズムを伴う校正を使用して、センサ/身体の挙上の有無を問わず、ユーザが仰臥位にあるときのキャリブレーションを実行する方法を示す。
図11】1つ以上の実施形態による、仰臥位(約0°)の体位(上パネル)での仰臥位アルゴリズムにおける校正、および約10°、15°、20°、25°、....65°のベッド挙上(下パネル)でのセンサ角度アルゴリズムを伴う校正を適用することによって、一連の連続した体位における被験者の垂直身体角度(θ)の計算例を示す。
図12】仰臥位アルゴリズムにおける校正(SupCalと示される)(左列)対センサ角度アルゴリズムにおける校正(SenCalと示される)(右列)を使用して、直立姿勢(上行)と仰臥位姿勢(下行)に対して計算された垂直身体角度(θ)測定値の比較を示す。
図13】1つ以上の実施形態による、身体角度(挙上)のユーザ入力を利用する身体角度アルゴリズムを有する校正および仰臥位アルゴリズムにおける校正を使用して、身体仰角(例えば、ベッド仰角)の有無を問わずに、仰臥位にある被験者の校正を実行する方法を示す。
図14】仰臥位アルゴリズムにおける校正(SupCalと示される)(左列)対身体角度アルゴリズムを有する校正(BodyCalと示される)(右列)を使用して、直立姿勢(上行)と仰臥位姿勢(下行)に対して決定された垂直身体角度(θ)の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、センサ校正を実行することに関し、より詳細には、ベッドのような支持面の傾斜の有無を問わず仰臥位で横たわっている被験者に取り付けられたセンサデバイスの仰角を決定する方法、デバイス、およびシステム、重力に関連して被験者の身体フレームに対するセンサデバイスフレームのアライメントを実行すること、ならびに被験者の相対的な身体角度または姿勢の真の変化を検出することに関する。センサデバイスの例としては、ウェアラブルセンサデバイス、有線または無線のセンサデバイス、ならびに有線および無線の両方の特徴を組み込み得るセンサデバイスのうちの1つ以上が含まれ得るが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態において、有線および/または無線のセンサデバイスは、全体的にまたは部分的にウェアラブルであり得る。センサデバイスは、限定されるものではないが、心電図(ECG:electrocardiogram)およびフォトプレチスモグラム(PPG:photoplethysmogram)などの生理学的信号、または身体運動(例えば、加速度測定を使用)などの生理学的変数の検知を組み込むことができる。
【0012】
本説明において、少なくとも以下の組み合わせにおける用語は、当業者によって潜在的に区別可能であるが、言及される場合を除き、便宜上実質的に交換可能に使用され得る。すなわち、「測定」、「検出」および「監視」、「姿勢」および「体位」、「配置」、「位置」および「配向」、「センサ」および「センサデバイス」(一般には、センサデバイスはセンサを含むことを意図されている)、「取り付ける」、「位置付ける」および「マウントする」、「被験者」、「患者」および「ユーザ」、ならびに「決定する」、「計算する」、「演算する」および「導出する」。
【0013】
本明細書に開示される1つ以上の実施形態は、ベッドにいる患者に取り付けられたセンサを校正する状況において提示されている。このような実施形態は例示的なものであり、状況によって制限されることを意図していない。
【0014】
以下の説明は、当業者が開示された実施形態およびその修正を製造および使用することを可能にするために提示されており、特許出願の内容およびその要件において提供されている。開示された実施形態および本明細書で説明する原理および特徴に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、本開示は、本発明を示された実施形態に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は、本明細書で説明した原理および特徴と一致する最も広い範囲に付与されるべきである。
【0015】
被験者の生理的または身体的変数を測定するように設計されたセンサは、校正、すなわち、センサが特定の条件(例えば、初期)を捕捉すること、または特定の変数を調整すること、および与えられた個人に応じてセンサ出力をカスタマイズすることを可能にするプロセスを必要とし得る。本開示の1つ以上の実施形態は、例えば、加速度計を含み得る加速度計または微小電気機械システム(MEMS:microelectromechanical system)を使用して、被験者の身体加速度(身体またはその一部の加速度を含む)を測定し、呼吸、身体姿勢、ステップカウント、コア身体活動、転倒検出等の生理的/身体的変数を測定する際のセンサの校正に関するものであり得る。
【0016】
センサ校正プロセスを実行することは、要件、仮定および入力に依存して、非常に複雑であったり、単純であったりすることがある。センサが、位置および/または配向の異なる組み合わせでユーザに取り付けられることが許される場合、センサは、重力に関連して、センサまたはセンサフレームを被験者の身体フレームに整合させることによって、測定条件および処理を標準化することができる校正手順を必要とし得る。さらに、校正手順は、所定のまたは所望のまたは「実際の」身体軸に整列させるために、加速度センサの3つの軸の回転を可能とし得る。例えば、校正されていない3軸加速度計データは、身体軸に対して任意に位置決めすることができる。
【0017】
校正されていないデータのみを利用するセンサは、身体姿勢およびコア身体活動レベルのより低い正確性の監視をもたらすことがある。一方、校正は、3軸センサフレームを被験者の身体フレームにアライメントすることを可能にし(例えば、yが「頭部」を指し、zが「臀部」を指し、xが「右から左」を指す)、1つ以上の実施形態によれば、垂直身体角度(θ)、校正されたセンサY軸と負の重力ベクトルとの間の角度等の相対身体角度の真の変化を検出することを可能にし、身体姿勢、コア身体活動レベル、および例えば呼吸に関連する生理学的信号の正確な監視を提供することができる。
【0018】
センサ校正方法は、被験者上のセンサ取り付けの位置および配向、校正プロセス中の被験者の所望の体位、ならびにセンサ位置および体位に関連する入力に基づいて、大きく異なる可能性がある。本開示の1つ以上の実施形態は、ベッドのような支持面の傾斜の有無を問わず、被験者の体位が仰臥位にあるときに、センサ校正を実行することにより関することがある。
【0019】
ベッドの挙上またはベッド頭部の挙上は、病院の一部の患者に処方される。ベッドの位置または挙上は、患者の転帰を決定する際の重要なファクタであることがある。例えば、まっすぐに座ると、脳への血流と酸素の供給の停止につながり、脳卒中の患者に非常に有害である可能性がある。一方、横になると頭蓋内圧が上昇し、脳に損傷を与える可能性がある。したがって、脳卒中の患者では、ベッドの挙上の許容レベルが一般的に使用される。別の例では、人工呼吸器(気管内挿管)と経管栄養を受けている患者は、誤嚥を防ぎ、誤嚥性肺炎(または人工呼吸器関連肺炎)を発症するリスクを減らすのに役立つことができるベッドの挙上を30°~45°にすることが推奨されている。このような特定の患者群に加えて、ベッド上での平らな仰臥位は、実用的でないか、または一般的に最も快適な姿勢ではないことがある。ベッドの位置または挙上は、他の理由からも有用な変数となりうる。
【0020】
したがって、挙上したベッドの状態で病院の患者の監視は一般的である。挙上したベッド設定で患者を監視するのに有用なウェアラブルセンサデバイスは、生理学的および身体的変数を正確に提供するために校正から利益を得ることができる。本明細書に開示される1つ以上の実施形態は最初に、重力に対する身体加速度のセンサベクトルを決定し、センサベクトルおよび重力ベクトルを使用してセンサデバイスフレームを被験者の身体フレームに整合させるための複数の回転を決定し、回転行列とセンサベクトルの積によって校正されたセンサベクトルを決定することによって、被験者がベッドまたは他の支持面上に平らまたは仰臥位で横たわっている状態でセンサ校正を実行する「仰臥位アルゴリズムにおける校正」を提供する。しかし、ベッドの挙上が伴う場合、この方法を単独で行うことは、所望される程度に正確ではないかもしれない。
【0021】
仰臥位アルゴリズムにおける校正の限界を克服し、ベッドの挙上条件で校正を実行するために、本開示は、「センサ角度アルゴリズムを用いた校正」および「ベッド角度アルゴリズムを用いた校正」を提示し、一方または両方の方法が仰臥位アルゴリズムにおける校正と関連して使用され得る。センサ角度アルゴリズムを用いる校正では、校正プロセス中の重力に対する身体加速度の捕捉されたセンサベクトルを使用して、体輪郭および支持面の傾斜を考慮しながら、センサ仰角が自動的に決定され得る。ベッド角度アルゴリズムを用いた校正は、身体仰角のユーザ入力を取得し得る。次いで、自動的に決定されたセンサ仰角またはユーザ入力された身体仰角のいずれかを使用して、両方の方法が、センサベクトル、センサ/身体の仰角および重力ベクトルを使用して、センサデバイスのフレームを身体のフレームに整合させるために複数の回転を決定し、回転マトリクスとセンサベクトルの積によって校正されたセンサベクトルを決定し得る。さらに、被験者が直立しているか、またはそうでなければ仰臥位にはないかどうかの情報を自動的に決定することができる1つ以上の実施形態が説明される。
【0022】
当業者は、本発明の趣旨および範囲内においてパッチ形態ファクタの無線センサに限定されず、加速度計、ジャイロスコープ、および/または圧力センサを含め、全部または部分的な無線デバイスを含む種々のセンサデバイスが利用され得ることを容易に認識する。加速度計の例としては、非限定的に、3軸加速度計、1軸加速度計、2軸加速度計を含むことができ、これらはいずれもMEMS加速度計であってもよい。
【0023】
センサ仰角の検出およびセンサ校正の様々な実施形態が、添付の図面と併せて以下の説明で述べる。
【0024】
図1は、1つ以上の実施形態に従った、呼吸などの1つ以上の生理学的測定および/または姿勢、コア身体活動、転倒検出等の1つ以上の身体的測定の正確な測定を可能にするように、センサ仰角を決定し、センサ校正を実行するセンサデバイス100を示す。図示されたセンサデバイスの1つ以上の特徴は、部分的に無線および/または有線のセンサデバイスにも適用可能であることがあり、したがって、図1の無線特徴は、センサデバイス100を制限するものではないと考えるべきである。センサデバイス100は、図示のように、センサ102、センサ102に結合されたプロセッサ104、プロセッサ104に結合されたメモリ106、メモリ106に結合されたアプリケーション108、およびアプリケーション108に結合された送信機110を含み得る。当業者は、センサデバイス100は、他の構成要素を含むことができ、センサデバイス100の構成要素は、多様な異なる方法で結合することができ、そのような修正は、本発明の趣旨および範囲内にあることを容易に認識する。
【0025】
1つ以上の実施形態において、センサデバイス100は、被験者に対して任意の配向で、その目的に好適な被験者の任意の位置で取り付けられ得る。1つ以上の実施形態において、センサデバイス100は、被験者に対して胸部装着され得る。センサ102は、被験者からデータを取得し、そのデータをメモリ106およびアプリケーション108に送信し得る。プロセッサ104は、アプリケーション108を実行して、呼吸を含む被験者の生理学的測定、身体姿勢、コア身体活動、および/または転倒検出を含む身体関連測定に関する情報を監視し得る。その情報は、送信機110に提供され、次いで、例えば、人間または別のデバイスによる分析、または他の目的のために送信され得る。
【0026】
1つ以上の実施形態において、センサ102は、電極を備えた埋め込みセンサ、加速度計および/または光学システムのいずれかを含むことができ、プロセッサ104は、マイクロプロセッサを含み得る。当業者は、プロセッサ104、メモリ106、アプリケーション108、および送信機110のために種々のデバイスを利用することができ、そのような修正または詳細は、本発明の趣旨および範囲内にあることを容易に認識する。
【0027】
1つ以上の実施形態において、ウェアラブルデバイスは、例えば、底部にヒドロゲルを備える2つの表面電極、バッテリー、埋め込み型プロセッサまたはシステムオンチップの電子モジュールならびに他の電子部品および回路、MEMS3軸加速度計、光学センサ、および低電力ブルートゥース(登録商標)(BLE:Bluetooth Low Energy)トランシーバを組み込んだ、胸部に身につけられた接着性パッチバイオセンサを有し得る。ウェアラブルデバイスは、部分的に(半)使い捨て可能、使い捨て可能、および/または再利用可能であってもよい。
【0028】
1つ以上の実施形態において、校正プロセスまたは手順は、センサデバイス100の電源がオンにされ、被験者(典型的には、ヒト被験者の胸部領域)に取り付けられた後に開始し得る。校正プロセスは、センサデバイスが、手動で開始することによって(例えば、センサデバイス102上に設けられたボタンを押すことによって、もしくは遠隔から信号を提供することによって)、センサデバイスが被験者に取り付けられるたびに繰り返されてもよく、または、挙上なしの仰臥位、挙上ありの仰臥位、直立等の被験者の安定した体位を自動的に決定して、それに応じてセンサを校正することができる。
【0029】
図2は、1つ以上の実施形態による、センサデバイス100などのセンサデバイスを使用して、センサ仰角を決定し、センサ校正を実行するための方法200の高レベルの例を示す。方法200は、センサが被験者の身体に取り付けられた後に、ブロック202において、手動で開始すること(例えば、センサデバイス102上に設けられたボタンを押すこと、スマートフォンまたはタブレット上のユーザインターフェース・アプリケーション上のボタン、トグルまたはタイルを押すこと、または遠隔的に信号を提供することによる)によって、または被験者者の安定した体位に基づいて自動的に開始することによって、身体加速度のセンサベクトルを決定することを伴う。1つ以上の例において、身体加速度のセンサベクトルは、MEMSを含むがこれに限定されない任意の好適な加速度計によって決定してもよいが、本技術分野の1つ以上のデバイスが、加速度計に加えて、またはこれの代替として使用されてもよい。
【0030】
ブロック204では、センサベクトルは、1つ以上の実施形態において、水平面(例えば、地球表面)または確立された基準フレームに対する任意の他の面もしくは方向などの基準面と比較して、被験者の身体に取り付けられたセンサデバイス100の仰角を決定するように処理される。センサ仰角を計算する代わりに、校正プロセスのための代替変数として身体仰角を入力することができる。
【0031】
ブロック206では、センサデバイス100の校正が、ブロック202で決定されたセンサベクトル、ブロック204で決定されたセンサ仰角、またはブロック204で決定された被験者または他のユーザによる身体仰角の入力、および重力ベクトルを使用して実行される。
【0032】
1つまたは複数のファクタ(例えば、1つ以上の条件)およびユーザ入力に基づいてセンサ校正を実行するための方法をこれから提示する。図3に示す方法300は、全く傾斜のないベッドなどの水平支持面上に被験者が仰臥位で横たわることができ、被験者に取り付けられたセンサデバイス100の配向に関する情報が入力される、仰臥位アルゴリズムにおける校正の例である。仰臥位アルゴリズムにおける校正は、1つ以上の実施形態に従って、校正プロセス中のセンサ/本体の挙上なし(必要な初期条件)を想定することができる。
【0033】
図3は、1つ以上の実施形態に従った、仰臥位アルゴリズムにおける校正のための方法300を示す。ステップ302において、安定した仰臥位下での被験者の身体加速度の1つのサンプルまたはサンプルの集合は、1つ以上の実施形態に従って、センサベクトル
【数1】
としてセンサデバイス100から取得されることができ、センサは3軸加速度計であり、[x y z]は3軸における加速度値とすることができる。捕捉されたセンサベクトルは、ステップ304において、式
【数2】
によって、センサベクトルのXY平面に対するy軸の角度としてαを計算するために使用され得る。計算された角度αにより、Z軸の周りのα°に対するセンサベクトルのXY平面の回転を表す回転行列Rが計算され得る。回転が左手の法則を使用して適用されるか、または右手の法則を使用して適用されるかどうかとセンサ構成によって、回転行列は異なることがある。Rの例は、1つ以上の実施形態によれば、[(-cosα)sinα 0;sinα cosα 0;0 0 1]とすることができる。
【0034】
同様に、別の角度βは、ステップ308で与えられる式
【数3】
によって、捕捉されたセンサベクトルを使用して計算され得る。決定された角度βにより、ステップ310を介して、x軸周りのβ°に対するセンサベクトルのYZ平面の回転を表す回転行列Rが計算され得る。1つ以上の実施形態によれば、Rの例は[1 0 0;0 cosβ(-sinβ);0 sinβ cosβ]とすることができる。回転行列RおよびRを使用して、中間回転行列Rが、ステップ312のように、RおよびRの内積として決定され得る。
【0035】
1つ以上の実施形態において、方法300は、対称的に身体を二分する身体の正中線に関して、センサデバイスが傾いているか、平行であるか、垂直であるか等のセンサの配向に関する入力を含み得る。ステップ314において、身体上のセンサ配向は、例えば、センサデバイス100上の入力を手動で使用して入力されるか、遠隔的に入力されるか、またはスマートフォン、タブレット等の別のデバイス上のユーザインターフェース・アプリケーション上の配向入力を選択することによって入力され得る。センサ配向の入力に従って、ステップ316において、直立姿勢にいる被験者に対する理想的なセンサベクトル
【数4】
が決定され得る。1つ以上の実施形態において、直立ベクトル・ベクトルVにおけるセンサベクトルは、例えば、身体正中線に関連して45°傾斜、平行および垂直のセンサ配向に対して、[-0.707-0.707 0]もしくは[0 -1 0]または[-1 0 0]のいずれかとすることができる。
【0036】
ステップ318において、中間回転行列Rと理想的な直立センサベクトル・ベクトルVの積が計算され、ベクトルVを与え得る。ここで、角度ζは、ステップ320において与えられるように、式
【数5】
によって決定され得る。計算された角度ζにより、ステップ322を介して、z軸周りのζ°に対するセンサベクトルのXY平面の回転を表す別の回転行列Rが計算され得る。Rの例は、1つ以上の実施形態に従って、[(-cosζ)(-sinζ)0;sinζ(-cosζ)0;0 0 1]とすることができる。センサを校正するために必要とされる3つの異なる回転(R、R、R)の決定により、回転行列Rは、ステップ324のように、RとRの乗算(R=R×R)によって決定され得る。仰臥位アルゴリズムにおける校正に従って取得された回転行列Rを使用して、入力センサベクトル・ベクトルVは、ステップ326のように、式
【数6】
によって校正されたセンサベクトル・ベクトルVを取得するように回転することができる。したがって、方法300におけるような仰臥位アルゴリズムにおける校正は、被験者が仰臥位にあり、横臥面またはベッドの挙上がないときに、重力ベクトルに関連して被験者のフレームに対するセンサデバイス100(例えば、センサ装置フレーム)の校正またはアライメントを可能にする。
【0037】
身体フレームに整合するセンサベクトルに適用される回転の後、垂直身体角度(θ)は、一実施形態に従って、
【数7】
として、校正されたセンサY軸と直立負の重力ベクトル
【数8】
との間の角度として計算され、ベクトルGに関連して相対身体角度を評価することができる。計算された垂直身体角度度(θ)は、さらに、θの大きさに依存して、直立、上下逆、傾斜、仰臥位、腹臥位を含む被験者の姿勢を決定するために使用することができる。
【0038】
図4は、方法300を使用して、任意の身体の挙上なしで仰臥位で横たわっている「理想的な」上半身(例えば、いかなる体輪郭もなく)に取り付けられたセンサデバイス100の校正を実行する例を示す。上パネル410は、理想的な人体が任意の挙上なしで仰臥位にあるときに、校正されたセンサベクトルのy成分(点線の矢印)および計算された垂直身体角度θ(360°のダイヤル上で角度を指す実線の矢印)を示す。仰臥位で方法300を使用したキャリブレーション後、θ値は仰臥位で90°の身体角度を示し得る。身体支持面(例えば、ベッド)が、420(中央パネル)で示されているように、水平面と比較して30°に挙上されるときに、校正されたy軸および垂直身体角度θは、身体挙上における対応する30°の変化(すなわち、θ値は、仰臥位と比較して30°の変化がある状態で60°とすることができる)を示す。身体の挙上が下パネル430のように直立置に変化し続ける場合、校正されたy軸および垂直身体角度θは、水平面と比較して90°の身体挙上における対応する変化を示すことができる(すなわち、θ値は、仰臥位と比較して90°の変化がある状態で0°とすることができる)。したがって、センサデバイス100の校正は、被験者の姿勢を決定するために使用され得る垂直身体角度θを含む相対的身体角度における相対的変化の追跡を可能にし得る。
【0039】
いかなる体輪郭もない理想的な身体とは対照的に、人体は、矩形のプリズムまたは円柱の形状ではなく、例えば、上半身の輪郭に応じて異なる大きさおよび様々な形状にさらされる。したがって、センサデバイス100が典型的な人体に取り付けられるときに、センサデバイスフレームは、性別、ボディマス指数、取り付け部位等に依存して、特定の挙上(例えば、角度配向)(例えば、20°にまで)にさらされ得る。
【0040】
例えば、図5の上パネル510に示されるように、被験者が、挙上なしで水平面(例えば、ベッド)上に仰臥位で横たわっているときに、センサデバイス100が、特定のレベルの挙上(水平面に対して正または負)を経験することがある。このような場合、方法300は、校正中のセンサの挙上を定量化しないか、または考慮しないことがある。例えば、体輪郭によるセンサの挙上は、方法300を使用して仰臥位について計算された垂直身体角度θにおいて無効にすることができ、結果として90°の値をもたらす。したがって、方法300における本体の真の相対位置における偏差は、体輪郭によって引き起こされるセンサ仰角にほぼ等しくなる。しかし、図5の下パネル520に示されているように、同じ方法300がセンサデバイス100を校正するのに適用され、被験者が0°のベッドの挙上(仰臥位)ではなく、45°のようなかなりのベッドの挙上で適用される場合、相対的な身体角度は、大きな誤差が生じる可能性がある。例えば、垂直身体角度が、真の相対身体角度45°の代わりに90°として定量化される可能性がある。したがって、挙上した仰臥位に対する方法300の適用は、相対的身体角度および、結果として導出される身体姿勢評価における誤差を潜在的に大きくする可能性がある。
【0041】
図6は、一連の連続した体位を実施する一例の被験者における計算された垂直身体角度(θ)を示す。図において、方法300は、被験者が仰臥位(すなわち、ベッドの挙上が約0°)で体位を有する場合にセンサを校正するために使用され、計算されたθ値は、上パネル602に示される。したがって、計算されたθ値は、直立した体位に対して約10°、仰臥位の体位に対して約90°である。0°のベッドの挙上で校正を行うことは、方法300のために意図される使用ケースのシナリオであり、上パネルのように結果として生じる垂直身体角度(θ)は、挙上したベッド角度における使用ケースのシナリオの比較のための基準θ値とみなすことができる。
【0042】
被験者が10°、15°、20°、25°、...、および65°のベッド挙上のいずれかで体位を有するときに、方法300がセンサを校正するために使用される場合、計算されたθが下パネル604に示される。挙上した仰臥位の位置(10°~65°のベッドの挙上)において方法300を使用して校正を実行することは、下パネル604のように、0°のベッド挙上での仰臥位の位置からの基準θ値(上パネル602)と比較して、計算されたθ値において誤差または偏差を示す。図600では、ベッド挙上によるセンサ/身体挙上が大きいほど、0°のベッド挙上で取得された基準身体角度値と比較して、導出された垂直身体角度の誤差が大きくなる。したがって、大きくなったベッド挙上で方法300を実行することは、ベッド挙上量に依存して、決定された垂直身体角度度(θ)に対してわずかな誤差から実質的な誤差までをもたらすことがある。このような誤差は、0°のベッド挙上からの所望の初期条件における偏差または他の理由により、ベッド挙上で適用されるときに、方法300において生じることがある。
【0043】
実際、大きくなったベッド挙上で方法300を使用した校正は、身体姿勢の重大な混乱を引き起こすことがある。例えば、身体姿勢の分類のために設定されたθのベッド挙上量および閾値に依存して(一実施形態によれば、θ<30°は直立を指すことができ、θ>65°は仰臥位を指すことができ、30°~65°のθは傾斜を指すことができる)、大きくなったベッド挙上でセンサを校正するために方法300が使用される場合、例えば、直立姿勢が傾斜または仰臥位として誤って分類されることがあるか、または傾斜姿勢が仰臥位として誤って分類されることがある。
【0044】
図6の上パネル602を考えてみると、これは、方法300を使用して仰臥位における校正した後に決定された垂直身体角度(θ)を示す。このような条件下で、直立した被験者の垂直身体角度(θ)は約10°(例えば、上半身の輪郭により正確な0°ではない)であり、仰臥位の被験者の垂直身体角度(θ)は約90°であると決定される。上パネル602が示すように、決定された垂直身体角度(θ)は、約0°、10°、15°、20°、...65°のベッド挙上の対応する変化に対して、方法300が約0°のベッド挙上(仰臥位)でセンサを校正するために使用される場合、約90°から段階的に減少する。
【0045】
他方、下パネル604では、測定された垂直身体角度(θ)の精度は、仰臥位(すなわち、0°)以外の大きくなったベッド仰角での校正に悩まされる可能性がある。例えば、下パネル604は、5°ずつ増分したベッド仰角10°~65°の各々で校正した後に決定された垂直身体角度(θ)を示し、示された実施例では、約20°~約60°の範囲の各角度における矛盾または誤差を示す(約0°で校正を実行し、上パネル602において示されているような直立姿勢イベントを考慮することに関連して)。したがって、仰臥位アルゴリズムにおける校正のみは、約10°~約65°の間のベッド仰角では信頼できないように思われ、上述のように、身体角度および身体姿勢の結果として生じる決定を誤らせることがある。
【0046】
したがって、ベッド挙上によるセンサ仰角の決定が、1つ以上の実施形態において、センサの校正の一部として考慮され得る。すなわち、校正アルゴリズムは、ゼロベッド挙上を想定すべきではなく、可能なセンサ仰角を単純に補償または無効にするべきではない。むしろ、センサ仰角が任意のベッド挙上で決定することができ、センサデバイスのフレームは、理想的な0°の挙上(例えば、水平地球面)を参照して、ボディフレームに整合され得る。1つ以上の実施形態において、身体上のセンサの実際の相対位置を追跡することができ、それによって、挙上したベッド角度でも校正を可能にする。
【0047】
図7は、仰臥位および挙上した体位でベッド(例えば、病院ベッド)に横たわっている患者の例の概略図700を示す。右パネルの上および中央の図720、730は、それぞれ仰臥位および挙上した体位において、上胸部にセンサを取り付けた患者を示し、関連する重力ベクトル(G)とセンサベクトル(V)との間の関係が、所与の体位について図示されている。右パネルの下図740は、挙上した体位での代表的なセンサベクトル、重力ベクトル、XY水平センサ平面に対するセンサベクトルの回転、センサ仰角(η)、および水平支持面を図示する。図7に示す関係を利用して、水平面および重力に対するセンサベクトルを使用して、センサ仰角を自動的に導出することができる。
【0048】
図7に示された例では、参照番号710は、仰臥位の位置で病院ベッドに横たわっている(患者およびベッドフレームは実線で描かれている)のと、病院ベッドの一部が傾斜して患者に対して上半身の挙上を与えるときに(この場合、ベッドフレームおよび患者は点線で描かれている)、センサを(1つ以上の実施形態によれば胸部に)取り付けられた患者の例を示す。ベッド挙上の変化は、センサ仰角と呼ばれる、水平面に対する被験者上のセンサの正面の(XY)平面への特定の挙上を引き起こすことがある。
【0049】
720では、図7は、実質的に仰臥位の被験者(左パネル710における実線表示)および関連付けられたセンサデバイスを示す。ベクトル・ベクトルGは重力を示し、ベクトル・ベクトルVはセンサベクトルを示す。被験者上のセンサ取り付け部位が理想的に平らで、体輪郭が影響しない場合、ベクトル・ベクトルGとベクトル・ベクトルVは整合される。上図720のように、センサと重力は、本体の輪郭により完全に整合されないことがある。中央図730は、病床が挙上し、上半身の挙上をもたらし(左パネル710における点線表現)、センサベクトル・ベクトルVが、重力ベクトル・ベクトルGから逸脱して示されるシナリオを示す。下図740は、挙上した身体条件でのセンサベクトルが、センサベクトルに角度δの回転を適用して、センサベクトルのXY平面と整合し、回転したセンサベクトルと重力ベクトルとの間の角度γを計算することによって、水平支持(または接地)面に関連してセンサ仰角ηを計算するためにどのように使用され得るかを示す。
【0050】
所与のセンサベクトルに対して、センサ仰角ηは、図8に示されるセンサ仰角アルゴリズム800によって決定することができる。ステップ802において、センサベクトル・ベクトルVは、ステップ302のプロセスと同様のプロセスを使用して、MEMS(例えば、加速度計)によって決定され得る。例えば、安定した仰臥位の下での被験者の身体加速度の1つのサンプルまたはサンプルの集合は、1つ以上の実施形態に従って、センサベクトル
【数9】
としてセンサデバイス100から取得されることができ、センサは3軸加速度計であり、[x y z]が3軸における加速度値である。ステップ804は、式
【数10】
のように、角度δを決定し、
【数11】
は、
【数12】
によって決定されたセンサベクトル・ベクトルVのXYの大きさであり、
【数13】
は、
【数14】
によって決定されたセンサベクトル・ベクトルVの全体の大きさである。回転行列Rは、ステップ806においてY軸周りのδ°によってセンサベクトルのXZ平面を回転するために決定され得る。回転が左手の法則を使用して適用されるか、または右手の法則を使用して適用されるかどうかとセンサ構成によって、回転行列は異なることがある。Rの例は、1つ以上の実施形態によれば、[1 0 0;cosδ(-sinδ)0;0 sinδ cosδ]とすることができる。ステップ808において、XY平面ベクトルXY状の回転したセンサベクトルVは、RとベクトルVの積によって決定され得る。ステップ810では、理想的な仰臥位の位置(0°)でのベクタXYベクタと重力ベクトル・ベクトルGとの間の角度γが式
【数15】
によって決定され得、ベクトルGは、一実施形態によれば、[0 0 1]とすることができる。決定されたγ角度により、センサ仰角ηが、ステップ812において、式η=90-γによって決定され得る。したがって、被験者が任意のベッド挙上がある状態で仰臥位にある場合、センサ仰角アルゴリズムは、測定されたセンサベクトルを使用してベッド挙上によるセンサのXY平面をもたらす挙上角度ηを自動的に決定することができる。
【0051】
図9は、胸部にセンサデバイスが取り付けられた状態で被験者において、0°~65°(X軸)までのベッド仰角の漸増的変化に対して決定された例示的なセンサ仰角(Y軸)散布図を示し、入力されたベッド挙上の範囲に対して測定されたセンサ挙上において全体として実質的に非線形の関係を示す。仰臥位および直立体位付近でのベッド挙上のわずかな漸増変化は、身体の適合性による身体挙上の実質的な変化を生成しないことがあるため、非線形応答が特に低位および高位でのベッド挙上における漸増変化に対して明白である。プロットによって示されるように、被験者の身体がベッド平面に良好に適合する場合、ベッド仰角の範囲に対して線形関係がそれでも可能であり得る。
【0052】
ベッド挙上の変化に対する全体的なセンサ仰角応答は、体輪郭における変動、ボディマス指数、被験者状のセンサの配置によって影響される個人間で大きく変動する可能性がある。線形範囲外のより低い、またはより高いベッド挙上の値では、センサ仰角は、例えば、前かがみの姿勢またはだぶついた筋肉塊上のセンサ配置により、より非線形的方法で劇的に変動することがある。
【0053】
図10は、1つ以上の実施形態による、センサ仰角アルゴリズム800と仰臥位アルゴリズムにおける校正300の両方を利用し得るセンサ角度アルゴリズムを伴う校正1000を使用して、センサ/身体挙上の有無を問わず、被験者が仰臥位にあるときに校正を実行する方法を示す。ステップ1002において、センサデバイス100は、被験者に取り付けられることができ、ステップ1004において、センサデバイス100に関連付けられたMEMSが起動され得る。ステップ1006において、センサベクトル・ベクトルVは、例えば、ステップ302または802のプロセスと同様のプロセスを使用して、MEMSから決定され得る。
【0054】
ステップ1008において、センサ仰角アルゴリズム800が実行されて、センサベクトル・ベクトルVを使用してセンサ仰角ηを決定し得る。センサ仰角ηが、ステップ1010のように、出力され得る。ステップ1012において、計算されたセンサ仰角ηにより、回転行列RがX軸周りのη°に対するセンサベクトルのYZ平面を回転するために決定され得る。
【0055】
ステップ1014において、仰臥位アルゴリズムにおける校正300がセンサベクトル・ベクトルVを使用して実行されて、校正されたセンサベクトル・ベクトルVを決定し得る。ステップ1016において、校正されたセンサベクトル・ベクトルVが回転行列Rを使用して回転され、センサ仰角ηを考慮した校正されたセンサベクトル
【数16】
を取得し得る。校正されたセンサベクトル・ベクトルVSηが、ステップ1018において出力され、例えば、垂直身体角度および姿勢、呼吸、コア身体活動、ならびに転倒検出を含む生理学的および身体的評価の処理のために使用され得る。したがって、センサ角度アルゴリズムを伴う校正1000は、患者がベッドのような支持面に横たわっているときに、挙上の有無を問わず、センサの校正を可能にし、センサ挙上を考慮する追加の回転を実施することによって、単独で使用される仰臥位アルゴリズムにおける校正300の限界を克服する。
【0056】
見られるように、システム、デバイス、および方法の1つ以上の実施形態によれば、センサ角度アルゴリズムを伴う校正1000は、センサ仰角を自動的に決定し(センサ仰角アルゴリズム800を介して)、初期センサベクトルを使用して、仰臥位アルゴリズムにおける校正300と併せてセンサ100を校正することによって、支持面の傾斜の有無を問わず、例えば、ベッドに仰臥位で横たわっている被験者に対してセンサの校正を実行することを可能にする。したがって、方法1000は、方法300および方法800を組み込み、センサの真の校正のために追加の回転を実行する。全体的に、方法1000は、体輪郭またはベッド/身体挙上によるセンサ仰角を正確に定量化し、水平面に関してセンサを重力ベクトルに整合させ、身体上のセンサの真の相対位置の正確な追跡を可能にし、仰臥位と同様に挙上したベッド角度での校正を可能にする。
【0057】
図11は、比較のための基準として仰臥位(約0°)の体位(上パネル1102)での仰臥位アルゴリズムにおける校正300を適用し、1つ以上の実施形態による、約10°、15°、20°、25°、....65°のベッド挙上(下パネル1104)でのセンサ角度アルゴリズムを伴う校正1000を適用することによって、一連の連続した体位を実施する被験者における垂直身体角度(θ)の計算例1100を示す。図11の下パネル1104における垂直身体角度値と(仰臥位アルゴリズムにおける校正300で取得された)図6の下パネル604との比較は、センサ角度アルゴリズムを伴う校正1000が、挙上したベッド角度に対する仰臥位アルゴリズムにおける校正300の適用と比較すると、θ値の誤差を大幅に低減し得ることを示している。
【0058】
例えば、上パネル1102は、意図された使用事例シナリオとして、例えば、0°のベッド挙上での仰臥位アルゴリズムにおける校正300で取得された垂直身体角度(θ)を示し、これは、挙上したベッド角度での使用事例シナリオの比較のための基準θ値とみなされ得る。したがって、垂直身体角度θは、0°のベッド挙上の状態で、直立で約10°、仰臥位で90°である。θ値は、ベッド挙上の段階的増加に対する段階的減少を示す。図11の上パネル1102におけるデータは、図6の上パネル602におけるデータと比較可能である。
【0059】
下パネル1104は、5°ずつ増分したベッド仰角10°~65°の各々でセンサ角度アルゴリズムを伴う校正1000を使用して実行される校正によって取得された垂直身体角度(θ)を示す。特に下パネル604と対照的に見られるように、下パネル1104は、センサ角度アルゴリズムを伴う校正1000が、より高いベッド/身体挙上での校正を実行しながら、垂直本体角度(θ)における不正確さを除去するのに役立ち得ることを示す。特に、校正の様々な仰角にわたる垂直身体角度(θ)の変動は、理想的な基準(上パネル1102)に対して、5°ずつ増分した10°~65°のベッド挙上でのすべての校正についてわずか約10°の合理的な誤差マージンを示すに過ぎない。これは、下パネル604に示される約20°~約60°の誤差とは対照的である。
【0060】
0°~65°までのベッド挙上の各々で校正を適用することによって、一連の連続した体位に対する1人の被験者で計算された垂直身体角度(θ)が図11に示されている。図12は、校正方法300および1000のうち、複数の被験者で算出されたθ角がどのように変動するかを示す。図12は、仰臥位アルゴリズムにおける校正300(SupCalと表示)(左列)対センサ角度アルゴリズムを伴う校正1000(SenCalと表示)(右列)を使用した直立姿勢(上行)と仰臥位姿勢(下行)に対する例として3人の被験者で計算された垂直身体角度(θ)測定値の比較1200を示し、0°のSupCalに関連してSenCalを使用した30°および40°の挙上したベッド角度でのθ値の実質的な誤差の低減を示し、そのような挙上したベッド角度において校正後に直立姿勢および仰臥位姿勢を決定する精度が改善されていることを示す。
【0061】
パネル1202は、仰臥位アルゴリズムにおける校正300(SupCal)を使用して、ベッド仰角0°、30°、および40°で校正を実行することによって、被験者1、2および3において直立姿勢で測定された垂直角度(θ)を示す。0°のベッド挙上で校正を実行することは、SupCalのための意図された使用事例であり、3人の被験者すべてにおいて直立位置ついて測定したθが約10°となる。一方、30°および40°のベッド挙上でSupCalを使用して校正すると、図示のようにθ値が30°を超えることがあり(40°のベッド挙上でSupCalを使用して校正された被験者1の例は、直立位置では60°に近いθを示している)、これは、識別されることが期待される直立位置と比較して、誤って傾斜位置として識別される可能性がある。したがって、ベッド挙上でのSupCalを使用した校正を実行することは、0°の基準ケースと比較して、ベッド挙上レベルに依存して実質的な誤差を有するθ値を提供することがある。対照的に、パネル1204では、30°および40°のベッド挙上でのセンサ角度アルゴリズムを伴う校正1000(SenCal)は、直立位置に対して各被験者において測定されたθの誤差が約10°以下であることを示し、30°および40°の挙上したベッドでの校正に対するθ値の実質的な誤差の低減、およびSenCalアルゴリズム1000を使用した直立姿勢の決定の精度が改善されたことを示す。
【0062】
パネル1206は、仰臥位アルゴリズムにおける校正300(SupCal)を使用して、ベッド仰角0°、30°および40°で校正を実行することによる被験者1、2および3における仰臥位姿勢での測定された垂直角度(θ)を示す。0°のベッド挙上で校正を実行することは、SupCalのための意図された使用事例であり、3人の被験者すべてにおいて仰臥位姿勢について測定したθが90°となる。一方、30°および40°ベッド挙上でSupCalを使用して校正すると、図示のようにθ値が110°を超えることがあり(40°のベッド挙上でSupCalを使用して校正された被験者1の例は、理想的な90°に比べて直立位置での140°に近いθを示しており、約50°の誤差をもたらしている)。対照的に、パネル1208では、30°および40°のベッド挙上でのセンサ角度アルゴリズムを伴う校正1000(SenCal)は、仰臥位の位置に対して各被験者において測定されたθの誤差が約10°以下であることを示し、SenCalアルゴリズム1000を使用して、30°および40°の挙上したベッド角度でのθ値の大幅な誤差の低減を示している。
【0063】
図13は、1つ以上の実施形態による、身体角度のユーザ入力(または例えば、病院ベッドのインジケータから読み出されるベッド挙上であり、インジケータは遠隔的を含めて、ベッドに装着される、そうでなければ動作可能に結合され得る)および仰臥位アルゴリズムにおける校正300を利用する身体角度アルゴリズムを伴う校正1300を使用して、身体仰角(例えば、ベッド仰角)の有無を問わず、仰臥位にある被験者の校正を実行する方法を示す。ステップ1302では、センサデバイス100が被験者に取り付けられ得る。ステップ1304において、センサデバイス100に関連付けられたMEMS(例えば、加速度計)が起動され得る。ステップ1306において、センサベクトル・ベクトルVは、例えば、ステップ302、802、または1006と同様のプロセスを使用して、MEMSから決定され得る。ステップ1308において、センサベクトル・ベクトルVを使用して、仰臥位アルゴリズムにおける校正300が実行されて、中間の校正されたセンサベクトル・ベクトルVを決定し得る。
【0064】
ステップ1310において、身体仰角εが手動で(例えば、センサデバイス100上に設けられたキーパッド入力、もしくはスマートフォンもしくはタブレット上のユーザインターフェースアプリケーションを介して、または遠隔的に信号を提供することによって)、または自動で(例えば、電気的に、またはベッド挙上設定を提供する他の方法によって)入力され得る。ステップ1312において、身体仰角に関するユーザ入力εにより、X軸周りのε°に対するセンサベクトルのYZ平面の回転を表す回転行列Rが決定され得る。回転が左手の法則を使用して適用されるか、右手の法則を使用して適用されるかとセンサ構成に依存して、回転行列は異なることがある。Rの例は、一実施形態によれば、[1 0 0;0 cosε(-sinε);0 sinε cosε]とすることができる。ステップ1314において、ステップ1308において取得された中間の校正されたセンサベクトル・ベクトルVは、回転行列Rによって回転されて、式
【数17】
によって身体仰角εを考慮した最終の校正されたセンサベクトル・ベクトルVSεを取得し得る。最終の校正されたセンサベクトルは、ステップ1316によって出力されることができ、例えば、垂直身体角度および姿勢、呼吸、コア身体活動、ならびに落下検出を含む生理学的および身体的評価の処理のために使用され得る。
【0065】
図14は、複数の被験者の校正方法300および1300において、計算された角度がどのように変化し得るかを示す。図14は、仰臥位アルゴリズムにおける校正300(SupCalと表示)(左列)対身体角度アルゴリズムを伴う校正1300(BodyCalと表示)(右列)を使用した直立姿勢(上行)と仰臥位姿勢(下行)に対する例として3人の被験者で決定された垂直身体角度(θ)測定値の比較1400を示し、0°のSupCalに関連してBodyCalを使用した30°および40°の挙上したベッド角度でのθ値の実質的な誤差の低減を示し、そのような挙上したベッド角度において校正後に直立姿勢および仰臥位姿勢を決定する精度が改善されていることを示す。
【0066】
パネル1402は、(パネル1202のように)仰臥位アルゴリズムにおける校正300(SupCal)を使用して、ベッド仰角0°、30°、および40°で校正を実行することによって、被験者1、2および3において直立姿勢で測定された垂直角度(θ)の例を示す。0°のベッド挙上で校正を実行することは、SupCalのための意図された使用事例であり、3人の被験者すべてにおいて直立位置ついて測定したθが約10°となる。一方、30°および40°のベッド挙上でSupCalを使用して校正すると、図示のようにθ値が30°を超えることがあり(40°のベッド挙上でSupCalを使用して校正された被験者1の例は、直立位置では60°に近いθを示している)、これは、識別されることが期待される直立位置と比較して、誤って傾斜位置として識別される可能性がある。したがって、ベッド挙上でのSupCalを使用した校正を実行することは、0°の基準ケースと比較して、ベッド挙上レベルに依存して実質的な誤差を有するθ値を提供することがある。対照的に、パネル1404では、30°および40°のベッド挙上での身体角度アルゴリズムを伴う校正1300(BodyCal)は、直立位置に対して各被験者において測定されたθの誤差が約10°以下であることを示し、30°および40°の挙上したベッドでのθ値の実質的な誤差の低減、およびBodyCalアルゴリズム1300を使用した直立姿勢の決定の精度が改善されたことを示す。
【0067】
パネル1406は、(パネル1206のように)仰臥位アルゴリズムにおける校正300(SupCal)を使用して、ベッド仰角0°、30°および40°で校正を実行することによる被験者1、2および3における仰臥位姿勢での測定された垂直角度(θ)の例を示す。0°のベッド挙上で校正を実行することは、SupCalのための意図された使用事例であり、3人の被験者すべてにおいて仰臥位姿勢について測定したθが90°となる。一方、30°および40°ベッド挙上でSupCalを使用して校正すると、図示のようにθ値が110°を超えることがあり(40°のベッド挙上でSupCalを使用して校正された被験者1の例は、理想的な90°に比べて直立位置での140°に近いθを示しており、約50°の誤差をもたらしている)。対照的に、パネル1408では、30°および40°のベッド挙上での身体角度アルゴリズムを伴う校正1300(BodyCal)は、仰臥位の位置に対して各被験者において測定されたθの誤差が約10°以下であることを示し、BodyCalアルゴリズム1300を使用して、30°および40°の挙上したベッド角度でのθ値の大幅な誤差の低減を示している。
【0068】
方法300、方法1000または方法1300を使用して校正を実行することは、いかなる傾斜の有無を問わずベッドなどの水平支持面に仰臥位で横たわっている被験者を含み得る。図3図8図10、および/または図13の1つ以上のステップは、本明細書に開示されているすべての方法のように、組み合わせられ、および/または修正された順序で実行され、および/または1つ以上のステップを省略してもよいと留意されたい。
【0069】
本開示で説明するセンサデバイスは、1つ以上の実施形態に従って、完全に使い捨て可能または半使い捨て可能な形態のウェアラブル・パッチセンサ、および/または1つ以上の実施形態に従って、再利用可能な電子デバイスの形態を含む、またはその形態をとり得る。このセンサデバイスは、スマートフォン、タブレット、またはリレーを含むがこれらに限られない1つ以上の外部デバイスに有線または無線を介して接続/ペアリングすることができる。1つ以上の実施形態において、機械可読信号特徴が、オンボードセンサプロセッサ、アプリケーション、およびメモリを使用して処理され、本明細書で説明する信号特徴を含むがこれに限定されない、人間および/または機械可読出力を生成し、次いで、さらなる分析、記憶、および/または観察のために、暗号化され、BLEリンクを介して外部リレーに送信され得る。1つ以上の実施形態において、センサ信号または信号特徴は、プロセッサおよびメモリにおいて処理され、次いで、暗号化され、BLEリンクを介して外部リレーおよび/またはクラウドに送信されることができ、これらの信号または特徴の処理は、被験者の姿勢、コア身体活動、および/または他の情報を決定するために実施されることができる。
【0070】
センサ仰角を決定し、センサの校正を実行するための方法、デバイスおよびシステムが開示されている。本明細書で説明する実施形態は、完全なハードウェアの実装、完全なソフトウェアの実装、またはハードウェアとソフトウェアの要素の両方を含有する実装の形態をとることができる。実施形態は、これらに限定されないが、アプリケーションソフトウェア、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含むソフトウェアで実装され得る。
【0071】
本明細書で説明するステップは、任意の好適なコントローラまたはプロセッサ、および任意の好適な記憶位置または計算機可読媒体に記憶され得るソフトウェアアプリケーションを使用して実装され得る。ソフトウェアアプリケーションは、プロセッサが本明細書で説明する機能の1つ以上を実行することを可能にする命令を提供し得る。
【0072】
さらに、1つ以上の実施形態は、計算機または任意の命令実行システムによって、またはそれらと関連して使用するためにプログラムコードを提供する計算機使用可能媒体または計算機可読媒体からアクセス可能な計算機プログラム製品の形態をとり得る。この説明の目的のために、計算機使用可能媒体または計算機可読媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、またはそれらと関連して使用するためにプログラムを含有し、記憶し、通信し、伝播し、または転送することができる任意のデバイスとすることができる。
【0073】
媒体は、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線、半導体システム(もしくは装置もしくはデバイス)、または伝搬媒体であり得る。計算機可読媒体の例としては、半導体またはソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブル計算機ディスケット、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、剛体磁気ディスク、および光ディスクが含まれる。現在の光ディスクの例としては、DVD、コンパクト・ディスク・リード・オンリー・メモリ(CD-ROM)、コンパクト・ディスク-リード/ライト(CD-R/W)が含まれる。
【0074】
上記に提案したように、センサデバイス100が無線で情報を提供し得る1つ以上の実施形態が開示されているが、センサデバイス100は、有線で情報を送信する能力がある構造を追加的にまたは代替的に含み得る。例えば、センサデバイス100は、情報が送信され得るワイヤを接続するための1つ以上のポートを有することがある。さらに、単一のセンサデバイス100は、一例として説明しているが、開示される機能の1つ以上は、ウェアラブルであるか未装着であるかどうかを問わず、1つ以上の他のセンサ装置、および/または被験者の外部に配置されたデバイスによって実行され得る。
【0075】
上記のように、前述の説明は、当業者が開示された実施形態およびその修正を製造および使用することを可能にするために提示され、特許出願およびその要件の文脈において提供されている。
【0076】
開示された実施形態および本明細書で説明する原理および特徴に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、本開示は、本発明を示された実施形態に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は、本明細書で説明した原理および特徴と一致する最も広い範囲に付与されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14