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  • 特許-土木用袋体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】土木用袋体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/04 20060101AFI20230221BHJP
   E02D 17/20 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
E02B3/04 301
E02D17/20 102A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018084186
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2019190135
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-09-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-20
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591224766
【氏名又は名称】ナカダ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092680
【弁理士】
【氏名又は名称】入江 一郎
(72)【発明者】
【氏名】石 川 祐 介
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】藤脇 昌也
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-28203(JP,A)
【文献】特開2015-209746(JP,A)
【文献】特開2002-13119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/04
E02D 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木用袋体に中詰め材を充填して製造する土木用袋体の製造方法であって、
前記土木用袋体の開口部を介して前記中詰め材を充填し、前記開口部を閉じ、
前記土木用袋体を載置場所へ載置し、前記載置場所へ載置した略直方体形状の前記土木用袋体の上面の編み地に樹脂材を付与するものであり、
前記載置場所へ載置し、前記樹脂材を付与した前記土木用袋体の前記上面の前記編み地の目の開口部は、前記樹脂材で塞がれていないものであり、
前記樹脂材は、イソシアネートとアミンの2液を反応させて、ウレア結合を生成したポリウレアであり、
前記土木用袋体は、人工リーフの下部又は、突堤・離岸堤の下部又は護岸の根固め工に使用されるものである
ことを特徴とする土木用袋体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木用袋体の製造方法に係り、特に、土木用袋体に中詰め材を効率良く充填できる土木用袋体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、袋状の編地に樹脂材が付与された土木用袋体がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-209746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した土木用袋体にあっては、袋状の編地に樹脂材が付与されたため、摩耗や衝撃を受けるような環境下でも耐久性に優れる。
ところが、中詰め材が充填される前に、編地に樹脂材が付与されるため、土木用袋体に中詰め材を充填すると、編地の伸びによる変形が上記樹脂材により阻害され、中詰め材を効率良く土木用袋体に充填できないという問題点が生じた。
【0005】
本発明は、上記問題点を考慮してなされた土木用袋体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の土木用袋体の製造方法は、土木用袋体に中詰め材を充填して製造する土木用袋体の製造方法であって、前記土木用袋体の開口部を介して前記中詰め材を充填し、前記開口部を閉じ、前記土木用袋体を載置場所へ載置し、前記載置場所へ載置した略直方体形状の前記土木用袋体の上面の編み地に樹脂材を付与するものであり、 前記載置場所へ載置し、前記樹脂材を付与した前記土木用袋体の前記上面の前記編み地の目の開口部は、前記樹脂材で塞がれていないものであり、前記樹脂材は、イソシアネートとアミンの2液を反応させて、ウレア結合を生成したポリウレアであり、前記土木用袋体は、人工リーフの下部又は、突堤・離岸堤の下部又は護岸の根固め工に使用されるものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の土木用袋体の製造方法によれば、土木用袋体の開口部を介して中詰め材を充填し、前記開口部を閉じ、前記土木用袋体を載置場所へ載置し、前記載置場所へ載置した前記土木用袋体の上面の編み地に樹脂材を付与するため、土木用袋体の編み地に予め樹脂材を付与したものに比べ、中詰め材の充填に伴う土木用袋体の編み地の変形を阻害せず、土木用袋体に中詰め材を効率良く充填でき、しかも、充填後、中詰め材が充填した土木用袋体を載置場所へ載置し、前記載置場所へ載置した前記土木用袋体の上面の編み地に樹脂材を付与するため、付与作業を簡易且つ迅速に行うことができ、加えて、土木用袋体の上面の編み地の強度が強くなり、例えば、土木用袋体の上面にバックホウ等の重機が乗って施工作業を行うことができる等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施例の土木用袋体の製造方法に用いられる中詰め材を充填した土木用袋体の写真である。
図2図2は、図1の土木用袋体の一部を拡大して示す写真である。
図3図3は、図3の上面に樹脂材が付与された土木用袋体の一部を拡大して示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施例の土木用袋体の製造方法を図面を参照して説明する。
(実施例1)
図1に示すDは、中詰め材1を充填して製造された土木用袋体(図1参照)で、この土木用袋体Dは、例えば、人工リーフの下部、突堤・離岸堤の下部、護岸の根固め工等に使用されるものである。
また、中詰め材1(図2参照)、例えば、砂利石、石材、玉石、割栗石、砕石、栗石、コンクリートガラ等である。
土木用袋体Dの大きさは、例えば、縦 約10m、横 約2m、高さ 約0.25mの略直方体形状である。
土木用袋体Dの材料は、例えば、ポリエステル繊維、再生ポリエステル繊維等である。
【0014】
先ず、土木用袋体Dの開口部(図示せず)を介して中詰め材1を充填し、開口部(図示せず)を閉じる。なお、この開口部(図示せず)は、例えば、口縛りロープ(図示せず)を用いて閉じるようにする。そして、土木用袋体Dを載置場所2へクレーン等の重機を使って載置し、載置場所2へ載置した土木用袋体Dの上面D1の編み地に樹脂材3を付与する(図3参照)。
なお、載置場所2は、施工場所、施工場所に設置する前の仮置き場等である。
樹脂材3は、例えば、ポリウレア、ポリウレタンで、望ましくは、ポリウレアであり、ポリウレアの場合、イソシアネートとアミンの2液を反応させて、ウレア結合を生成したポリウレアを用いる。
樹脂材3の付与手段、スプレーガンによる吹き付け、ブラシによる塗布で、土木用袋体Dの上面D1の編み地の略全体に亘って、樹脂材3を付与する。場合により、土木用袋体Dの上面D1のみならず、編み地の側面を略全体に亘って、樹脂材3を付与するようにしても良い。樹脂材3の編み地への付与量は、例えば、約200重量% ~約300重量%である。
【0015】
従って、上述した土木用袋体の製造方法によれば、土木用袋体Dの開口部(図示せず)を介して中詰め材1を充填し、開口部(図示せず)を閉じ、土木用袋体Dを載置場所2へ載置し、載置場所2へ載置した土木用袋体Dの上面D1の編み地に樹脂材3を付与するため、土木用袋体Dの編み地に予め樹脂材3を付与したものに比べ、中詰め材1の充填に伴う土木用袋体Dの編み地の変形を阻害せず、土木用袋体Dに中詰め材1を効率良く充填でき、しかも、充填後、中詰め材1が充填した土木用袋体Dを載置場所2へ載置し、載置場所2へ載置した土木用袋体Dの上面D1の編み地に樹脂材3を付与するから、付与作業を簡易且つ迅速に行うことができ、加えて、土木用袋体Dの上面D1の編み地の強度が強くなり 、例えば、土木用袋体Dの上面D1にバックホウ等の重機が乗って施工作業を行うことができる等の効果を有する。
なお、実施例1においては、土木用袋体Dの開口部(図示せず)を介して中詰め材1を充填し、開口部(図示せず)を閉じ、土木用袋体Dを載置場所2へ載置し、載置場所2へ載置した土木用袋体Dの上面D1の編み地に樹脂材3を付与するが、付与後、土木用袋体Dの上面D1そのままの状態で、使用しても良いし、次の実施例2に述べるように、付与後、土木用袋体Dの上面D1が下になるように、載置場所2へ載置するようにしても良い。
【0016】
(実施例2)
また、施工場所が、例えば、岩礁がある水底の場合、土木用袋体Dの下面の強度を図る必要がある。かかる場合の土木用袋体の製造方法について、以下説明する。
先ず、上述の実施例と同様に、土木用袋体Dの図示しない開口部を介して中詰め材1を充填し、図示しない開口部を閉じ(図示しない開口部は、例えば、図示しない口縛りロープを用いて閉じるようにする。)、土木用袋体Dを載置場所2へクレーン等の重機を使って載置し、載置場所2へ載置した土木用袋体Dの上面D1の編み地に樹脂材3を付与する。付与は、例えば、土木用袋体Dの上面D1の編み地の略全体に亘って、樹脂材3を付与する。
付与後、土木用袋体Dの上面が下になるように、クレーン等の重機を使って載置場所2へ載置することができる。なお、樹脂材3の編み地への付与量は、上述の実施例1と同様、例えば、約200重量% ~約300重量%である。
【0017】
その結果、上述した土木用袋体の製造方法によれば、土木用袋体Dの開口部(図示せず)を介して中詰め材1を充填し、開口部(図示せず)を閉じ、土木用袋体Dを載置場所2へ載置し、載置場所2へ載置した土木用袋体Dの上面D1の編み地に樹脂材3を付与するため、土木用袋体Dの編み地に予め樹脂材3を付与したものに比べ、中詰め材1の充填に伴う土木用袋体Dの編み地の変形を阻害せず、土木用袋体Dに中詰め材1を効率良く充填でき、しかも、充填後、中詰め材1が充填した土木用袋体Dを載置場所2へ載置し、載置場所2へ載置した土木用袋体Dの上面D1の編み地に樹脂材3を付与し、付与後、土木用袋体Dの上面D1が下になるように、載置場所2へ載置するため、土木用袋体Dの下面の付与作業を簡易且つ迅速に行うことができる等の効果を有する。
【0018】
(実施例3)
上述した実施例においては、土木用袋体Dの上面D1の編み地に樹脂材3を付与(実施例1)、土木用袋体Dの下面の編み地に樹脂材3を付与(実施例2)したが、本願発明はこれに限らず、土木用袋体Dの上面D1及び下面の編み地に樹脂材3を付与するようにしても良い。付与は、例えば、土木用袋体Dの上面D1及び土木用袋体Dの下面の編み地の略全体に亘って、樹脂材3を付与する。
なお、場合により、土木用袋体Dの側面の略全体に亘って、樹脂材3を付与するようにしても良い。
即ち、上述の実施例と同様に、土木用袋体Dの開口部(図示せず)を介して中詰め材1を充填し、開口部(図示せず)を閉じ、土木用袋体Dを載置場所2へ載置し、載置場所2へ載置した土木用袋体Dの上面D1の編み地に樹脂材3を付与する。付与後、土木用袋体Dの上面D1が下になるように、載置場所2へ載置する。
載置後、載置した土木用袋体Dの上面D1の編み地に樹脂材3を付与する。
【0019】
その結果、上述した土木用袋体の製造方法によれば、土木用袋体Dの開口部(図示せず)を介して中詰め材1を充填し、開口部(図示せず)を閉じ、土木用袋体Dを載置場所2へ載置し、載置場所2へ載置した土木用袋体Dの上面D1の編み地に樹脂材3を付与するため、土木用袋体Dの編み地に予め樹脂材3を付与したものに比べ、中詰め材1の充填に伴う土木用袋体Dの編み地の変形を阻害せず、土木用袋体Dに中詰め材1を効率良く充填でき、しかも、充填後、中詰め材1が充填した土木用袋体Dを載置場所2へ載置し、載置場所2へ載置した土木用袋体Dの上面D1の編み地に樹脂材3を付与し、付与後、土木用袋体Dの上面D1が下になるように、載置場所2へ載置するため、土木用袋体Dの下面の付与作業を簡易且つ迅速に行うことができ、加えて、土木用袋体Dの上面D1の編み地の強度が強くなり、例えば、土木用袋体Dの上面D1にバックホウ等の重機が乗って施工作業を行うことができる等の効果を有する。
【符号の説明】
【0020】
D 土木用袋体
D1 上面
1 中詰め材
2 載置場所
3 樹脂材
図1
図2
図3