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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】立体駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
E04H6/18 601A
E04H6/18 606D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018133447
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2020012257
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000228523
【氏名又は名称】日本ケーブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】大川 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】伊波 泰
(72)【発明者】
【氏名】吉野 直也
(72)【発明者】
【氏名】松尾 拓実
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-003493(JP,A)
【文献】特許第6330095(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出庫階に、入出庫扉を有し車両が出入りする入出庫口と、人用出入口扉を有し利用者が出入りする人用出入口と、を備え、前記入出庫扉の近傍には第1運転操作盤を備え、前記人用出入口扉の近傍には第2運転操作盤を備え、前記車両の入庫時には、前記第1運転操作盤の操作により前記入出庫扉が開き、前記車両の前記入出庫階への進入が完了すると前記入出庫扉が閉じ、前記第2運転操作盤の操作により立体駐車装置が運転を開始することを特徴とする立体駐車装置。
【請求項2】
入出庫階に、入出庫扉を有し車両が出入りする入出庫口と、人用出入口扉を有し利用者が出入りする前記人用出入口と、を備え、前記入出庫扉の近傍には第1運転操作盤を備え、前記人用出入口扉の近傍には第2運転操作盤を備え、前記車両の出庫時には、前記第2運転操作盤の操作により駐車室から前記入出庫階へ前記車両が搬送され、前記車両が前記入出庫階に着床すると前記人用出入口扉が解錠されるとともに前記入出庫扉が開き、前記車両が前記入出庫階から退出した後に前記第1運転操作盤を操作することにより前記入出庫扉が閉まることを特徴とする立体駐車装置。
【請求項3】
前記第1運転操作盤と前記第2運転操作盤とには認証装置を備え、前記第1運転操作盤の認証装置に入力された利用者認証情報と前記第2運転操作盤の前記認証装置に入力された利用者認証情報とが相違するときは、前記第2運転操作盤の操作が無効となることを特徴とする請求項1記載の立体駐車装置。
【請求項4】
前記第1運転操作盤と前記第2運転操作盤とには認証装置を備え、前記第1運転操作盤の認証装置に入力された利用者認証情報と前記第2運転操作盤の前記認証装置に入力された利用者認証情報とが相違するときは、前記第1運転操作盤の操作が無効となることを特徴とする請求項2記載の立体駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車装置内部に人が閉じこめられるのを未然に防止する立体駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体駐車装置は、スペースの少ない土地に多数の車両を効率よく駐車できる駐車設備として住宅密集地等において広く利用されており、利用する土地の広狭や経済性などを考慮した種々の構造のものが提供されている。一般的に立体駐車装置には、一箇所または複数箇所に入出庫スペースが設けられており、駐車する車両は自走により入出庫スペースへの出入りを行う。入出庫スペースと駐車スペースとの間には、車両を搬送する搬送装置を備えており、入出庫スペースにおいて搬送装置上に車両を搭載し、所定の駐車スペースへと車両を搬送して格納する。入出庫スペースの入出庫口には、外部との空間を遮断する扉が設けられており、立体駐車装置が動作するときには扉を閉鎖して人が装置内へ進入しないようになっている。立体駐車装置外部の扉近傍には立体駐車装置の運転を操作する運転操作盤が設けられており、これを駐車装置の管理人あるいは車両の運転者自身が操作することにより、扉の開閉や搬送装置の動作が行われる。
【0003】
近年、立体駐車装置は、商業施設での利用に加えてオフィスビルやマンション等の集合住宅に併設されて利用されることも多く、この場合には、駐車装置の管理人が常駐することなく、特定の利用者自身が立体駐車装置の運転操作を行うことが多い。しかしながら、このように専門の管理人の操作によらず、利用者自身の操作により立体駐車装置を動作させる場合には、利用者の注意不足や確認不足により、立体駐車装置内に他の人が取り残された状態で扉が閉じられてしまう可能性がある。例えば、出庫時には利用者が車両を運転して入出庫スペースから退出し、この後、立体駐車装置の運転操作を行うため、他の人が立体駐車装置内に取り残されることはほとんどない。これに対して入庫時には、同乗者を乗せたまま入出庫スペースに進入し、この後同乗者の退出を確認しないまま運転操作を行うと、同乗者が立体駐車装置内に閉じこめられてしまうといった可能性がある。また、車両を装置内に停車させている間に他の人が侵入し、これを知らずに扉を閉じた場合も同様である。
【0004】
このようなことから従来、立体駐車装置内の人の存在を確認する方法として、光電センサにより人を検知する技術(例えば、特許文献1参照)、撮像装置により画像を撮像しこれを画像処理して検知する技術(例えば、特許文献2参照)、マイクロ波を照射してドップラーセンサにより検知する技術(例えば、特許文献3参照)、等が知られており、これらにより人の存在が検知されると立体駐車装置の運転ができないようにしている。また、駐車場内で生じる音を集音し、この音を判定することにより駐車場内に人が閉じ込められていることを検知する技術も知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-59839号公報
【文献】特開2002-167996号公報
【文献】特開平9-228679号公報
【文献】特開平6-257315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来提案された技術は、各種センサを極力死角のないように配置して人の存在を検知するようにしたものであるが、センサの故障や検知不良等により人の存在を検知できない状態となる事態も少なからず想定され、この場合には、前述したように人が立体駐車装置内部に閉じ込められてしまう可能性がある。そして、このような場合には、立体駐車装置内部からは立体駐車装置の運転を行うことができないため、次の利用者等が運転操作盤を操作するまでは扉が開かないという事態を生じる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、立体駐車装置内部に人が閉じ込められることを未然に防止する立体駐車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1の発明は、入出庫階に、入出庫扉を有し車両が出入りする入出庫口と、人用出入口扉を有し利用者が出入りする人用出入口と、を備え、前記入出庫扉の近傍には第1運転操作盤を備え、前記人用出入口扉の近傍には第2運転操作盤を備え、前記車両の入庫時には、前記第1運転操作盤の操作により前記入出庫扉が開き、前記車両の前記入出庫階への進入が完了すると前記入出庫扉が閉じ、前記第2運転操作盤の操作により立体駐車装置が運転を開始することを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、入出庫階に、入出庫扉を有し車両が出入りする入出庫口と、人用出入口扉を有し利用者が出入りする前記人用出入口と、を備え、前記入出庫扉の近傍には第1運転操作盤を備え、前記人用出入口扉の近傍には第2運転操作盤を備え、前記車両の出庫時には、前記第2運転操作盤の操作により駐車室から前記入出庫階へ前記車両が搬送され、前記車両が前記入出庫階に着床すると前記人用出入口扉が解錠されるとともに前記入出庫扉が開き、前記車両が前記入出庫階から退出した後に前記第1運転操作盤を操作することにより前記入出庫扉が閉まることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1に記載の立体駐車装置において、前記第1運転操作盤と前記第2運転操作盤とには認証装置を備え、前記第1運転操作盤の認証装置に入力された利用者認証情報と前記第2運転操作盤の前記認証装置に入力された利用者認証情報とが相違するときは、前記第2運転操作盤の操作が無効となることを特徴としている。
【0011】
請求項4の発明は、前記第1運転操作盤と前記第2運転操作盤とには認証装置を備え、前記第1運転操作盤の認証装置に入力された利用者認証情報と前記第2運転操作盤の前記認証装置に入力された利用者認証情報とが相違するときは、前記第1運転操作盤の操作が無効となることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両を入庫するときには、車両が入出庫階に進入し終えると入出庫扉が閉じられるので、利用者以外の人が入出庫階に侵入するのを防止でき、また、第2運転操作盤で利用者認証を行うときに、第1運転操作盤の認証装置に入力された利用者認証情報と相違するときには運転が開始されないので、利用者が入出庫階に閉じ込められたまま利用者以外の人により運転されることもない。また、車両を出庫するときには、人用出入口を利用して入出庫階へ入場するので、利用者以外の人が入出庫階に侵入しても発見し易く、利用者以外では入出庫扉の閉操作ができないので、利用者以外の人の操作によって利用者が入出庫階に閉じ込められることもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】立体駐車装置の概略を示す側面図
図2】立体駐車装置の概略を示す正面図
図3】入出庫階の平面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。図1及び図2は、立体駐車装置の概略を示す側面図及び正面図であり、本説明においては、具体例としてエレベータ式立体駐車装置を示して説明を行う。立体駐車装置10の内部には、中央を上下に貫通する昇降路11が形成されており、この昇降路11を昇降可能に昇降リフト12を設けている。昇降リフト12は、車両19を搭載する搬器13の四隅にワイヤロープ14を連結し、このワイヤロープ14を立体駐車装置10の上部に設けた巻き上げ装置(図示せず)により、巻き上げ又は繰り出しすることにより搬器13を昇降駆動するようにしたものである。
【0015】
昇降路11の両側方には、複数の駐車室17が上下多段に形成されており、各駐車室17には、それぞれ車両19を搭載するためのパレット18を備えている。この立体駐車装置10においては、地上1階部分を車両19の入出庫階15としており、車両19の入退出方向16は、搬器13の長手方向に対して直交する方向に設定されている。車両19が格納されていない何れかの駐車室17にある空のパレット18は、搬器13上へスライド(横行)させられた後、搬器13とともに入出庫階15に降下して停止する。入出庫階15の下方には、パレット18を旋回して向きを変えるパレット旋回装置20を備えており、入出庫階15に到着したパレット18は、このパレット旋回装置20により90°旋回させられて、その長手方向が車両19の入退出方向16となるように方向転換して待機する。
【0016】
車両19の入庫時には、車両19が自走してパレット18上へと乗り込んだ後、車両19及びパレット18は、パレット旋回装置20により90°旋回させられて搬器13上に載置される。そしてこの後搬器13は、元の駐車室17の位置、すなわち、パレット18を取り出して空になった駐車室17まで車両19及びパレット18を搬送し、この後パレット18ごと車両19を横行させて格納する。車両19の出庫時は、これと逆の動作であり、車両19が格納された駐車室17まで空の搬器13が移動した後、駐車室17からパレット18および車両19を搬器13上へ横行させる。この後、搬器13が下降して入出庫階15に到着すると、車両19及びパレット18がパレット旋回装置20により90°旋回させられ、運転者が車両19に乗り込んで車両19を運転して立体駐車装置10から退出する。
【0017】
図3は、入出庫階15の平面図である。入出庫階15には、車両19が出入りする入出庫口27に引き戸式の入出庫扉22を備えており、入出庫扉22近傍の外壁には、第1運転操作盤21を備えている。また、入出庫扉22に対面する側には、利用者が出入りする人用出入口28に人用出入口扉24を備えており、人用出入口扉24近傍の外壁には、第2運転操作盤23を備えている。第1運転操作盤21及び第2運転操作盤23には、入出庫を選択する釦類やタッチパネル、ディスプレイ、認証装置等を備えており、利用者が運転操作盤21、23を操作することにより制御装置が立体駐車装置10の動作を制御する。さらに入出庫階15には、カメラ25及び測域センサ26を備えている。カメラ25で撮影された撮像は、第1運転操作盤21及び第2運転操作盤23のディスプレイに表示される。また、測域センサ26により車両19以外の物体が検知された場合には、立体駐車装置10の運転が行われないようになっている。
【0018】
以上の構成により、車両19の入出庫は次のように行われる。まず、入庫時には、利用者が車両19を入出庫扉22の前方で車両19を停車させた後、第1運転操作盤21で利用者認証を行い立体駐車装置10の運転を開始する。立体駐車装置10では、利用者の車両19を格納する駐車室17からパレット18が引き出され、入出庫階15へ搬送される。パレット18が入出庫階15の所定の位置で停止すると入出庫扉22が開き、利用者が車両19を運転してパレット18上へ移動させ、所定の位置で車両19を停止させる。車両19が停止すると入出庫扉22が自動的に閉鎖するとともに、以降の第1運転操作盤21での操作は無効となる。
【0019】
このようにすることで、人が外部より入出庫階15へ侵入できる時間をできるだけ短縮し、利用者以外の人が入出庫階15に侵入して閉じ込められる可能性を低くすることができる。また、入出庫扉22が閉鎖すると第1運転操作盤21での操作は無効となるので、利用者以外の人が第1運転操作盤21を操作しても装置が動き出すことはなく、入出庫階15内の利用者の安全が保たれる。
【0020】
次いで、利用者は車両19から降車した後、車両19の状態及び入出庫階15内の無人及び安全を確認して人用出入口扉24を開いて退出する。続いて、利用者は第2運転操作盤23にて利用者認証を行った後、各種の安全確認項目のチェックを行い安全確認釦を押す。このときに、利用者認証の情報が第1運転操作盤21で行った利用者認証の情報と相違する場合には、安全確認釦を押す操作は無効とされ立体駐車装置10の運転は行えない。利用者認証の情報が一致し、安全確認釦が押されると、人用出入口扉24が施錠されるとともに、車両19が搬送されて所定の駐車室17に格納される。このようにして車両19の格納が終了すると、第1運転操作盤21での操作が可能になる。
【0021】
次ぎに、出庫時には、以下のように操作及び動作が行われる。出庫を行う利用者は、第2運転操作盤23にて利用者認証を行い、その後、運転釦を押すことにより立体駐車装置10の運転が開始される。立体駐車装置10内では、利用者に該当する駐車室17からパレット18及び車両19が引き出された後、入出庫階15へ搬送される。パレット18及び車両19が入出庫階15に着床すると、入出庫扉22が自動的に開くとともに、人用出入口扉24が解錠される。利用者は人用出入口扉24から入出庫階15内へ入り、車両19に乗り込んで入出庫階15から退出する。この際に、人用出入口扉24は閉鎖して施錠され、また、以降の第2運転操作盤23での操作は無効となる。
【0022】
次いで、入出庫階15を退出した車両19は、立体駐車装置10の外部で停車し、利用者が降車して第1運転操作盤21で利用者認証を行う。このときに、利用者認証の情報が第2運転操作盤23で行った利用者認証の情報と相違する場合には、以降の操作は無効とされ立体駐車装置10の運転は行えない。利用者認証の情報が一致することが確認された後に利用者が入出庫階15内の無人及び安全を確認し、第1運転操作盤21の完了釦を押すことで入出庫扉22が閉鎖するとともに施錠され、立体駐車装置10での出庫運転が終了する。そして、出庫運転が終了すると第2運転操作盤23での操作が可能となる。
【符号の説明】
【0023】
10 立体駐車装置
11 昇降路
12 昇降リフト
13 搬器
14 ワイヤロープ
15 入出庫階
16 入退出方向
17 駐車室
18 パレット
19 車両
20 パレット旋回装置
21 第1運転操作盤
22 入出庫扉
23 第2運転操作盤
24 人用出入口扉
25 カメラ
26 測域センサ
27 入出庫口
28 人用出入口
図1
図2
図3