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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】掘削装置及び掘削方法
(51)【国際特許分類】
   B25D 17/22 20060101AFI20230221BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20230221BHJP
   B25D 17/16 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
B25D17/22
B23Q11/10 E
B25D17/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018218966
(22)【出願日】2018-11-22
(62)【分割の表示】P 2017244147の分割
【原出願日】2017-12-20
(65)【公開番号】P2019111642
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】517259520
【氏名又は名称】株式会社神名テックス
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】松本 活水
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-217411(JP,A)
【文献】特開2004-314298(JP,A)
【文献】実開平06-039377(JP,U)
【文献】特開2002-307217(JP,A)
【文献】特開2010-173053(JP,A)
【文献】特許第6442036(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 17/16、17/22、16/00
B23Q 11/10
B28D 1/26
B23B 47/00、45/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を発生させる駆動部と、
前記駆動部からの動力を用いて掘削を行う掘削部を取り付け可能な筐体と、
前記駆動部からの動力を用いて前記掘削部に液体を供給するポンプ部と、
前記駆動部からの動力を前記ポンプ部に伝達する動力伝達部と、
前記掘削部が前記掘削の対象物に押し付けられる力又は前記掘削の対象物の硬さを測定するセンサと、
前記センサが測定した前記掘削部が前記掘削の対象物に押し付けられる力又は前記掘削の対象物の硬さに応じて、前記ポンプ部から前記掘削部へ供給する前記液体の量を調整するように前記駆動部を制御する制御部と、
を有し、
前記動力伝達部は、前記ポンプ部に動力を伝達する状態と前記ポンプ部に動力を伝達しない状態との間で切り替え可能である、
掘削装置。
【請求項2】
前記駆動部からの動力を前記掘削部に伝達する第1動力伝達部をさらに有する、請求項1に記載の掘削装置。
【請求項3】
前記センサによる測定内容と前記駆動部の駆動の制御との関係を示す制御情報を記憶する記憶部をさらに有し、
前記制御部は、前記記憶部から読み出した前記制御情報に従って、前記センサによる測定内容に応じて前記駆動部を制御する、請求項又はに記載の掘削装置。
【請求項4】
前記筐体に対して重力方向に沿って上方に設けられた、前記液体を保持する容器と、
前記容器から重力方向に沿って下方に延在し、前記掘削部に前記液体を供給する管と、をさらに有する、請求項1からのいずれか一項に記載の掘削装置。
【請求項5】
駆動部と、掘削部を取り付け可能な筐体と、ポンプ部と、前記駆動部からの動力を前記ポンプ部に伝達する動力伝達部と、を備える掘削装置が実行する、
前記駆動部に動力を発生させるステップと、
前記掘削部に前記駆動部からの動力を用いて掘削を行わせるステップと、
前記掘削を行わせるステップと同時に、前記ポンプ部に前記駆動部からの動力を用いて前記掘削部に液体を供給させるステップと、
センサによって前記掘削部が前記掘削の対象物に押し付けられる力又は前記掘削の対象物の硬さを測定するステップと、
前記測定するステップで測定された前記掘削部が前記掘削の対象物に押し付けられる力又は前記掘削の対象物の硬さに応じて、前記ポンプ部から前記掘削部へ供給する前記液体の量を調整するように前記駆動部を制御するステップと、
前記動力伝達部を、前記ポンプ部に動力を伝達する状態と前記ポンプ部に動力を伝達しない状態との間で切り替えるステップと、
を有する掘削方法。
【請求項6】
前記センサによる測定内容と前記駆動部の駆動の制御との関係を示す制御情報を記憶部から読み出すステップをさらに有し、
前記駆動部を制御するステップにおいて、前記記憶部から読み出した前記制御情報に従って、前記センサによる測定内容に応じて前記駆動部を制御する、請求項に記載の掘削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削装置及び掘削方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドリル等の掘削装置を用いて掘削を行う際に、ドリルの先端に給水しながら掘削を行う方法が知られている。これにより、ドリルを冷却するとともに切り粉の排出を促進することができるため、作業効率を向上させることができる。
【0003】
特許文献1には、ドリルに装着可能な注水装置が記載されている。特許文献1に記載の技術において、注水装置は、ドリルの電源から電力の供給を受け、ドリルの作動に連動して注水を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-87752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ドリルから注水装置に電力が供給されるのみであるため、ドリルだけでなく注水装置にも注水のための駆動部が必要である。そのため、注水装置を装着した状態のドリルは、2つの駆動部を含むため相当に重くなる。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、掘削装置を軽量化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る掘削装置は、動力を発生させる駆動部と、前記駆動部からの動力を用いて掘削を行う掘削部を取り付け可能な筐体と、前記駆動部からの動力を用いて前記掘削部に液体を供給するポンプ部と、を有する。
【0008】
前記掘削装置は、前記駆動部からの動力を前記掘削部に伝達する第1動力伝達部と、前記駆動部からの動力を前記ポンプ部に伝達する第2動力伝達部と、をさらに有してもよい。
【0009】
前記第1動力伝達部及び前記第2動力伝達部は、それぞれ動力を伝達する状態と動力を伝達しない状態との間で切り替え可能であってもよい。
【0010】
前記掘削装置は、前記掘削部による掘削の情報を測定するセンサと、前記センサによる測定内容に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、をさらに有してもよい。
【0011】
前記制御部は、前記センサによる測定内容に応じて前記ポンプ部から前記掘削部へ供給する前記液体の量を調整するように前記駆動部を制御してもよい。
【0012】
前記掘削装置は、前記センサによる測定内容と前記駆動部の駆動の制御との関係を示す制御情報を記憶する記憶部をさらに有し、前記制御部は、前記記憶部から読み出した前記制御情報に従って、前記センサによる測定内容に応じて前記駆動部を制御してもよい。
【0013】
前記掘削装置は、前記筐体に対して重力方向に沿って上方に設けられた、前記液体を保持する容器と、前記容器から重力方向に沿って下方に延在し、前記掘削部に前記液体を供給する管と、をさらに有してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様に係る掘削方法は、駆動部によって動力を発生するステップと、掘削部によって前記駆動部からの動力を用いて掘削を行うステップと、前記掘削を行うステップと同時に、ポンプ部によって前記駆動部からの動力を用いて前記掘削部に液体を供給するステップと、を有する。
【0015】
前記掘削方法は、制御部によって掘削の情報を測定するセンサからの測定内容を取得するステップをさらに有し、前記動力を発生するステップにおいて、前記制御部は、前記センサによる測定内容に基づいて、前記駆動部を制御してもよい。
【0016】
前記動力を発生するステップにおいて、前記制御部は、前記センサによる測定内容に応じて、前記液体を供給するステップで前記ポンプ部から前記掘削部へ供給する前記液体の量を調整するように前記駆動部を制御してもよい。
【0017】
前記掘削方法は、前記制御部によって前記センサによる測定内容と前記駆動部の駆動の制御との関係を示す制御情報を記憶部から読み出すステップをさらに有し、前記動力を発生するステップにおいて、前記制御部は、前記記憶部から読み出した前記制御情報に従って、前記センサによる測定内容に応じて前記駆動部を制御してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、掘削装置を軽量化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態に係る掘削装置の外観図である。
図2】第1の実施形態に係る掘削装置の模式図である。
図3】第1の実施形態に係る掘削装置のブロック図である。
図4】第1の施形態に係る掘削方法のフローチャートを示す図である。
図5】第1の実施形態に係る掘削装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
[掘削装置1の概要]
図1は、本実施形態に係る掘削装置1の外観図である。図1において、部材の内部の構造は破線で表されている。掘削装置1は、コンクリート、金属材、木材等の対象物の掘削(穿孔、切断、切削を含む)を行うことができる電動の工具であり、例えば振動ドリル又はハンマードリルである。掘削装置1は、筐体10と、駆動部20と、ポンプ部30と、制御部40と、タンク50と、を有する。
【0021】
筐体10は、ユーザによって保持可能な所定の形状を有し、内部に駆動部20、ポンプ部30及び制御部40を備える。また、筐体10は、外部空間に向かって突出しており、動力によって回転する掘削部11を備える。
【0022】
掘削部11は、例えば金属で構成されているドリル又はカッターである。掘削部11は、動力によって回転しながら対象物に接触することによって掘削を行う。また、掘削部11には、動力によって回転するとともに回転軸方向に打撃する力が加えられてもよい。掘削部11は、筐体10から着脱可能に構成されてもよい。
【0023】
駆動部20は、動力を発生させる装置であり、例えばモータ又はアクチュエータを含む。駆動部20は、供給された電力を、回転運動又は並進運動に変換して出力する。駆動部20には、掘削装置1内に設けられたバッテリから電力が供給されてもよく、外部に接続された電源から電力が供給されてもよい。また、駆動部20は、ユーザが加えた外力(例えばレバーやピストンの往復運動)によって動力を発生させてもよい。
【0024】
第1動力伝達部21は、駆動部20が発生した動力を掘削部11へ伝達する機構である。第2動力伝達部22は、駆動部20が発生した動力をポンプ部30へ伝達する機構である。第1動力伝達部21及び第2動力伝達部22は、それぞれギア、シャフト等の動力の伝達に必要な機構を含む。
【0025】
第1動力伝達部21及び第2動力伝達部22は、掘削部11及びポンプ部30に動力の伝達を行う状態と行わない状態との間で切り替え可能である。動力の伝達を行う状態では、第1動力伝達部21及び第2動力伝達部22は、駆動部20と掘削部11及びポンプ部30とに接触するように配置される。動力の伝達を行わない状態では、第1動力伝達部21及び第2動力伝達部22は、駆動部20と掘削部11及びポンプ部30との少なくとも一方に接触しないように配置される。
【0026】
筐体10には、掘削部11へ供給される液体を保持する容器であるタンク50が設けられている。タンク50は、筐体10に着脱可能に設けられており、筐体10から外した状態で液体を補充できるように構成されている。タンク50に保持される液体は、掘削部11を冷却するとともに切り粉を除去するための液体であり、好ましくは容易に入手できる水である。液体として、アルコール、油等のその他液体を用いてもよい。
【0027】
ポンプ部30は、駆動部20からの動力を用いて圧力を発生させることによってタンク50から液体を吸い上げ、掘削部11へ送出するポンプである。ポンプ部30は、ピストン、プランジャ、ダイヤフラム、インペラ等の液体を吸い上げて送出するのに必要な機構を含む。すなわち、ポンプ部30は、駆動部20からの動力によってポンプ部30に含まれるピストン、プランジャ、ダイヤフラム、インペラ等の機構を動作させて圧力を発生させ、発生した圧力によってタンク50の液体を吸い上げて送出する。
【0028】
ポンプ部30は、供給管31と、吸い上げ管32とを有する。供給管31は液体が通過する空洞を内部に有するとともに両端に開口部を有する管であり、一方端は掘削部11に対して液体を供給可能な位置に配置されており、他方端はポンプ部30に接続されている。掘削部11が筐体10から取り外されている状態においては、供給管31は掘削部11が取り付けられる位置に液体を供給する。
【0029】
吸い上げ管32は液体が通過する空洞を内部に有するとともに両端に開口部を有する管であり、一方端はポンプ部30に接続されており、他方端はタンク50内に配置されている。ポンプ部30は、吸い上げ管32を介してタンク50から液体を吸い上げ、供給管31を介して掘削部11に送出する。
【0030】
制御部40は、駆動部20の制御を行うコンピュータ(プロセッサ)である。筐体10の壁面上には、制御部40に接続された操作部41が設けられている。操作部41は、ユーザによる操作を受け付ける入力装置であり、例えばボタン、レバー、ダイヤル、タッチパネル等を含む。制御部40は、操作部41におけるユーザによる操作に従って、駆動部20の駆動を制御する。
【0031】
[掘削装置1の動作の説明]
図2は、本実施形態に係る掘削装置1の模式図である。駆動部20は、電力の供給を受けて駆動すると、第1動力伝達部21を介して掘削部11に動力を与えるとともに、第2動力伝達部22を介してポンプ部30に動力を与える。
【0032】
掘削部11は、駆動部20からの動力によって回転しながら対象物に接触することによって掘削を行う。ポンプ部30は、駆動部20からの動力によってタンク50から液体を吸い上げ、供給管31を介して掘削部11へ送出する。
【0033】
このように本実施形態では単一の駆動部20によって掘削部11及びポンプ部30が作動するため、複数の駆動部を備える構成よりも掘削装置1を軽量化できる。
【0034】
操作部41は、駆動部20を駆動させるON状態と駆動させないOFF状態との間で切り替える操作をユーザから受け付けるように構成される。さらに操作部41は、第1動力伝達部21及び第2動力伝達部22のそれぞれについて、動力の伝達を行う状態と動力の伝達を行わない状態との間で切り替える操作をユーザから受け付けるように構成されてもよい。
【0035】
さらに掘削部11の近傍には、掘削部11による掘削の情報を測定するセンサ42が設けられる。センサ42として、例えば掘削部11の単位時間あたりの回転数を測定するセンサ、掘削部11を対象物に押し付ける力を測定するセンサ、又は掘削部11が押し付けられている対象物の硬さを測定するセンサを用いることができる。ここで示した種類のセンサ42は一例であり、掘削の情報を測定可能な任意のセンサを用いることができる。
【0036】
制御部40は、駆動部20、操作部41及びセンサ42と、導線43によって電気的に接続されている。制御部40は、導線43を介して、操作部41及びセンサ42から操作内容及び測定内容を示す信号を受信し、また駆動部20に駆動のための信号を送信する。
【0037】
[掘削装置1の構成]
図3は、本実施形態に係る掘削装置1のブロック図である。図3において、矢印は主な情報の流れを示しており、図3に示したもの以外の情報の流れがあってよい。図3において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図3に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてよい。
【0038】
掘削装置1は、上述の構成に加えて、記憶部44を有する。記憶部44は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部44は、制御部40が実行するプログラム、及び駆動部20の駆動制御を行うための制御プロファイルを予め記憶している。
【0039】
制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部40は、記憶部44に記憶されたプログラムを実行することにより機能する。制御部40は、情報取得部45と、駆動制御部46と、を含む。制御部40の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。
【0040】
情報取得部45は、センサ42からの信号を受信し、受信した信号から測定内容の情報を取得する。また情報取得部45は、操作部41からの信号を受信し、受信した信号から操作内容の情報を取得する。
【0041】
駆動制御部46は、情報取得部45が取得した測定内容及び操作内容の情報に基づいて、駆動部20の駆動を制御する。具体的には、まず駆動制御部46は、情報取得部45が取得した操作内容がON状態とOFF状態とのどちらを示すかを判定する。操作内容がOFF状態を示す場合には、駆動制御部46は、駆動を行わない(駆動中の場合には停止させる)ように駆動部20を制御する。
【0042】
操作内容がON状態を示す場合には、情報取得部45は、記憶部44から制御プロファイルを読み出して取得する。制御プロファイルは、センサ42による測定内容(測定値)と駆動部20の駆動の制御(電圧、電流、タイミング等)との関係を示す情報であり、予め記憶部44に記憶される。そして駆動制御部46は、情報取得部45が取得した制御プロファイルに従って、駆動部20へ駆動のための信号を送信することによって駆動部20を制御する。具体的には、駆動制御部46は、制御プロファイルに従って、センサ42による測定内容に応じて、掘削部11へ単位時間あたりに供給する液体の量(すなわち液体を供給する速さ)を制御する。
【0043】
例えばセンサ42が掘削部11の単位時間あたりの回転数を測定する場合に、駆動制御部46は、回転数が多いほどポンプ部30が送出する液体の量が多くなり、回転数が少ないほどポンプ部30が送出する液体の量が少なくなるように、駆動部20の駆動を制御する。
【0044】
センサ42が掘削部11を対象物に押し付ける力を測定する場合に、駆動制御部46は、押し付ける力が大きいほどポンプ部30が送出する液体の量が多くなり、押し付ける力が小さいほどポンプ部30が送出する液体の量が少なくなるように、駆動部20の駆動を制御する。
【0045】
センサ42が対象物の硬さを測定する場合に、駆動制御部46は、対象物の硬さが大きいほどポンプ部30が送出する液体の量が多くなり、対象物の硬さが小さいほどポンプ部30が送出する液体の量が少なくなるように、駆動部20の駆動を制御する。
【0046】
このように駆動制御部46は、センサ42によって測定した掘削部11による掘削の情報に基づいてポンプ部30から掘削部11に供給する液体の量を自動的に調整することによって、状況に応じて適した量の液体を用いて掘削を行うことができる。
【0047】
さらに駆動制御部46は、操作部41におけるユーザの操作内容に従って、第1動力伝達部21及び第2動力伝達部22を、それぞれ動力の伝達を行う状態と行わない状態との間で切り替えるように制御してもよい。これにより、駆動制御部46は、掘削部11とポンプ部30とを独立して作動させることができ、例えば掘削部11への液体の供給を伴わずに掘削部11により掘削を行うことができる。
【0048】
[掘削方法のフローチャート]
図4は、本実施形態に係る掘削装置1による掘削方法のフローチャートを示す図である。図4のフローチャートは、例えば掘削装置1の電源が入れられた場合に開始される。
【0049】
まず情報取得部45は、操作部41からの信号を受信し、受信した信号から操作内容の情報を取得する(S11)。ステップS11で取得した操作内容がOFF状態を示す場合に(S12のNO)、駆動制御部46は、駆動を行わない(駆動中の場合には停止させる)ように駆動部20を制御し(S13)、ステップS11に戻る。
【0050】
ステップS11で取得した操作内容がON状態を示す場合に(S12のYES)、情報取得部45は、センサ42からの信号を受信し、受信した信号から測定内容の情報を取得する(S14)。また、情報取得部45は、記憶部44から制御プロファイルを読み出して取得する(S15)。ステップS14及びステップS15は、逆の順序で行われてもよく、又は並行して行われてもよい。
【0051】
そして駆動制御部46は、情報取得部45が取得した制御プロファイルに従って、情報取得部45が取得した測定内容に応じて駆動部20へ駆動のための信号を送信することによって駆動部20を制御する(S16)。このとき、駆動部20からの動力によって、掘削部11による掘削と、ポンプ部30による掘削部11への液体の供給とが同時に行われる。
【0052】
所定の終了条件(例えば掘削装置1の電源が落とされること)が満たされない場合に(S17のNO)、掘削装置1はステップS11に戻って処理を繰り返す。所定の終了条件が満たされる場合に(S17のYES)、掘削装置1は処理を終了する。
【0053】
[第1の実施形態の効果]
本実施形態に係る掘削装置1は、駆動部20から第1動力伝達部21を介して掘削部11に動力を伝達させるとともに、第2動力伝達部22を介してポンプ部30に動力を伝達させる。このような構成によれば、単一の駆動部20によって掘削部11及びポンプ部30が作動するため、複数の駆動部を備える構成よりも掘削装置1を軽量化できる。また、複数の駆動部を備える構成では少なくとも1つの駆動部が故障すると作業の続行ができなくなるのに対して、本実施形態に係る掘削装置1は単一の駆動部20を備えるため全体として故障が発生する確率を低くすることができる。
【0054】
さらに掘削装置1は、センサ42が取得した掘削部11による掘削の情報の測定内容に応じて、掘削部11に供給する液体の量を自動的に調整する。そのため、掘削装置1は、状況に応じて適した量の液体を用いて掘削を行うことができる。
【0055】
(第2の実施形態)
第1の実施形態に係る掘削装置1は掘削部11と共通の駆動部20を用いてポンプ部30による液体の供給を行うのに対して、本実施形態に係る掘削装置1はタンク50内の液体の自重によって液体の供給を行う。このような構成によっても、追加の駆動部を必要とせずに、掘削部11へ液体の供給を行うことができる。
【0056】
図5は、本実施形態に係る掘削装置1の外観図である。図5において、部材の内部の構造は破線で表されている。本実施形態に係る掘削装置1は、図1の構成と比べて、ポンプ部30が省略され、タンク50が筐体10の重力方向に沿って上方に設けられている。それ以外の構成は第1の実施形態と同様である。
【0057】
供給管31の一方端は掘削部11に対して液体を供給可能な位置に配置されており、他方端はタンク50内に配置されている。供給管31は、タンク50の重力方向に沿って下方に延在している。このような構成により、タンク50内の液体は、自重によって供給管31を介して掘削部11に供給される。掘削部11が筐体10から取り外されている状態においては、供給管31は掘削部11が取り付けられる位置に液体を供給する。
【0058】
本実施形態に係る掘削装置1は、第1の実施形態と同様のポンプ部30をさらに有してもよい。例えば建物の天井の掘削を行う場合等、掘削部11を重力方向に沿って上に向けて作業を行う状況では、タンク50内の液体が自重で掘削部11に供給されない。このような状況であっても、駆動部20の動力によって作動するポンプ部30がタンク50内の液体を能動的に送出することによって、掘削部11へ液体を供給することができる。このような構成においても、タンク50内の液体が自重で掘削部11へ供給されている間には、電力を消費しないという利点がある。
【0059】
本実施形態に係る掘削装置1は、第1の実施形態と同様に、掘削部11による掘削の情報の測定するセンサ42をさらに有し、測定内容に応じて液体の供給量を調整するように構成されてもよい。この場合には、例えば供給管31の途中に制御部40によって開度を制御可能なバルブを設け、センサ42の測定内容に応じてバルブの開度を変化させることによって、液体の供給量を調整することができる。
【0060】
[第2の実施形態の効果]
本実施形態によれば、筐体10の上方に設けられたタンク50から掘削部11へ液体を自重で供給できるため、複数の駆動部を備える構成よりも掘削装置1を軽量化できる。また、複数の駆動部を備える構成では少なくとも1つの駆動部が故障すると作業の続行ができなくなるのに対して、本実施形態に係る掘削装置1は単一の駆動部20を備えるため全体として故障が発生する確率を低くすることができる。また、タンク50から掘削部11へ液体を自重で供給する際には、電力を消費しない。
【0061】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0062】
掘削装置1の制御部40(プロセッサ)は、図4に示す掘削方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、制御部40は、図4に示す掘削方法を実行するための掘削プログラムを記憶部44から読み出し、該掘削プログラムを実行して掘削装置1の各部を制御することによって、図4に示す掘削方法を実行する。
【符号の説明】
【0063】
1 掘削装置
10 筐体
20 駆動部
21 第1動力伝達部
22 第2動力伝達部
30 ポンプ部
31 供給管
40 制御部
42 センサ
44 記憶部
50 タンク

図1
図2
図3
図4
図5