(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】脚立工具収納構造および受け皿体
(51)【国際特許分類】
E06C 1/18 20060101AFI20230221BHJP
E06C 1/00 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
E06C1/18
E06C1/00 Z
(21)【出願番号】P 2018239887
(22)【出願日】2018-12-21
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】518164858
【氏名又は名称】有限会社エアーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】永田 富十士
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3217139(JP,U)
【文献】登録実用新案第3113438(JP,U)
【文献】実開平06-024199(JP,U)
【文献】登録実用新案第3149979(JP,U)
【文献】米国特許第06591941(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C 1/00-9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右二つ割とした左右天板を左側前後脚柱と右側前後脚柱とにそれぞれ連設し、左側前脚柱上端と、右側前脚柱上端を枢支連結すると共に左側後脚柱上端と、右側後脚柱上端とを枢支連結して、左側前後脚柱と右側前後脚柱とを上端枢支部を中心に折畳み自在に構成した脚立構造において、
左側前後脚柱と右側前後脚柱の中途部に四隅を各脚柱に連結自在とした受け皿体を架設し、
受け皿体は、
四隅部から延設して係止部を備えた支持片と、
周縁部に立設して係止部を備えた周壁部と、
受け皿体の中央部に設けられ受け皿体を全体中空の左右袋体とする折曲仕切り部と
を有し、
脚立の左側前後脚柱と右側前後脚
柱の折畳み形態に合わせて折曲自在に構成
するとともに、左右袋体には硬質プレートを取出し自在に収納した脚立工具収納構造。
【請求項2】
脚立の脚柱と踏桟との連結部
に着脱自在のワイヤーチェーンを前記係止部に取り付ける構成としたことを特徴とする請求項
1に記載の脚立工具収納構造。
【請求項3】
脚立の左側前後脚柱と右側前後脚柱の中途部に四隅を各脚柱に連結自在として架設される受け皿体であって、
四隅部から延設して係止部を備えた支持片と、
周縁部に立設して係止部を備えた周壁部と、
受け皿体の中央部に設けられ受け皿体を全体中空の左右袋体とする折曲仕切り部と
を有し、
脚立の左側前後脚柱と右側前後脚柱の折畳み形態に合わせて折曲自在に構成するとともに、
左右袋体には硬質プレートを取出し自在に収納した受け皿体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脚立工具収納構造および工具を収納するための受け皿体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脚立を利用した高所作業において作業内容を変更するためには作業者の腰に工具を収容したポーチを取付けて高所作業を行うか、一旦脚立から下りて必要な工具と交換し、再度作業場所まで戻る昇降動作を必要としていた。
上記工具の交換作業のうち作業者の腰に工具ポーチを備えた状態では、足場の不安定な脚立上部での作業によりバランスを崩す虞や腰部に荷重が集中して腰を痛める虞があった。また、工具を交換するために脚立の昇降動作をする場合は工具類の載置場所と作業場所との往復運動が必要となり作業効率が悪かった。
このような問題を解消するために作業性を向上しつつ作業者への負担を軽減した種々の方法が検討されている。
【0003】
特許文献1には、軽量で脚立への取付け取外しが簡単で、工具類を載置した際にもバランスを崩さないように重心を脚立の平面視略中央に位置できる脚立用工具載置具について記載されている。この脚立用工具載置具は1枚の織布の各隅部から脚立に取付け固定するための鉤爪状のフックを延設し、脚立の脚柱と天板とで囲まれた空間にフックを利用して固定することで脚立用の収納棚として機能させ、作業者が昇降動作することなく負担を軽減することができる構成について開示されている。
【0004】
特許文献2には、脚立内側の空間を有効利用して作業用工具を収容できる脚立用工具袋について記載されている。この脚立用工具袋は、脚立の内部空間に収まる寸法の工具袋本体と、該工具袋本体の各隅部に設けた脚立の踏桟に引っ掛けるフック体を備えた構成とすることで脚立の内側の空間を有効利用できる工具袋について開示されております。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実登3217139号公報
【文献】実登3149979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、いずれの文献に開示された脚立用の工具袋も、例えば、脚立に搭乗した作業者の作業性と載置した工具類の落下防止の2つの特性を考慮したものではなかった。
【0007】
そこで、本発明は脚立に搭乗した作業者が工具を取り替える際にバランスを崩すことなく、また、作業効率を低下させることなく、さらに、棚に載置した工具類が交換時や作業時に落下する虞のない工具収納袋構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、左右二つ割とした左右天板を左側前後脚柱と右側前後脚柱とにそれぞれ連設し、左側前脚柱上端と、右側前脚柱上端を枢支連結すると共に左側後脚柱上端と、右側後脚柱上端とを枢支連結して、左側前後脚柱と右側前後脚柱とを上端枢支部を中心に折畳み自在に構成した脚立構造において、左側前後脚柱と右側前後脚柱の中途部に四隅を各脚柱に連結自在とした受け皿体を架設し、受け皿体の中央部は左側前後脚柱と右側前後脚柱との折畳み形態に合わせて折曲自在に構成し、しかも、受け皿体はその中央部を折曲仕切り部として全体中空の左右袋体に構成し、左右袋体には硬質プレートを取出し自在に収納した脚立工具収納構造とする。
【0009】
また、前記受け皿体の四隅部から支持片を延設し、前記受け皿体の周端部に周壁部を構成し、前記周壁部及び前記支持片に係止部を構成した脚立工具収納構造とする。
【0010】
前記係止部に脚立の脚柱と踏桟との連結部に係止する着脱自在のワイヤーチェーンを取り付ける構成とした脚立工具収納構造とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、左右二つ割とした左右天板を左側前後脚柱と右側前後脚柱とにそれぞれ連設し、左側前脚柱上端と、右側前脚柱上端を枢支連結すると共に左側後脚柱上端と、右側後脚柱上端とを枢支連結して、左側前後脚柱と右側前後脚柱とを上端枢支部を中心に折畳み自在に構成した脚立構造において、左側前後脚柱と右側前後脚柱の中途部に四隅を各脚柱に連結自在とした受け皿体を架設し、受け皿体の中央部は左側前後脚柱と右側前後脚柱との折畳み形態に合わせて折曲自在に構成し、しかも、受け皿体はその中央部を折曲仕切り部として全体中空の左右袋体に構成し、左右袋体には硬質プレートを取出し自在に収納したため、受け皿体の左右袋体に硬質プレートを内包することで、受け皿体の上部に工具を載置しても受け皿体が撓む蓋然性を可及的に低減し、脚立に搭乗した作業者と載置した工具との位置関係を略一定にできる。
また、受け皿体は折曲仕切り部を設けることで、脚立を収納する際に左右袋体に硬質プレートを内包した状態でも折曲仕切り部を中心として取り畳むことができる。
また、受け皿体の前後左右を脚立の前後左右の脚柱に連結自在とする構成のため、受け皿体の上部に工具を載置するための平面を形成できる。
また、受け皿体は帆布の一端側縁を開放した左右袋体に構成したため、硬質プレートを挿入した状態で工具載置用の棚として機能し、硬質プレートを取り出した状態では袋形状として利用することができる。
【0012】
また、本発明の請求項1に記載の発明によれば、受け皿体の四隅部から支持片を延設し、受け皿体の周端部に周壁部を構成し、前記周壁部及び前記支持片に係止部を配設したため、受け皿体の対向する四方向に均等に引っ張られた際に棚が傾く蓋然性を可及的に低減している。また、受け皿体の周端部に周壁部を構成することで、受け皿体の上面に載置した工具が落下する蓋然性を可及的に低減し、脚立上での工具の交換作業を効率よく実施できる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の発明によれば、脚立の脚柱と踏桟との連結部に受け皿体を係止するワイヤーチェーンを設け、ワイヤーチェーンは、一端部を支持片の係止部に係合固定し、他端部を周壁部の係止部に係合固定した構成としたため、ワイヤーチェーンを脚柱に巻きまわすことで周壁部が前後左右に均等に引っ張られて確実に工具を落下しない高さに形成すると共に、工具載置面を水平に形成して受け皿体に載置された工具等が収納及び取り出しの際、又は作業中に落下する虞を可及的に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態における脚立の工具収納構造を脚立に取り付けて使用する状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態における脚立の工具収納構造を脚立に取り付けた状態を示す側面図である。
【
図3】本発明の実施形態における脚立の工具収納構造を脚立に取り付けて脚立を折り畳んだ状態を示す側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に置ける脚立の工具収納構造を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態における脚立の工具収納構造を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施形態における脚立の工具収納構造を示す
図5のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、左右二つ割とした左右天板を左側前後脚柱と右側前後脚柱とにそれぞれ連設し、左側前脚柱上端と、右側前脚柱上端を枢支連結すると共に左側後脚柱上端と、右側後脚柱上端とを枢支連結して、左側前後脚柱と右側前後脚柱とを上端枢支部を中心に折畳み自在に構成した脚立構造において、左側前後脚柱と右側前後脚柱の中途部に四隅を各脚柱に連結自在とした受け皿体を架設し、受け皿体の中央部は左側前後脚柱と右側前後脚柱との折畳み形態に合わせて折曲自在に構成し、しかも、受け皿体はその中央部を折曲仕切り部として全体中空の左右袋体に構成し、左右袋体には硬質プレートを取出し自在に収納した構成としたことを要旨としている。
【0016】
この発明の実施形態について
図1~
図6を参照して詳細に説明する。以下の説明において、
図1に示す矢印Aで示す方向を正面とし、矢印Bで示す方向を側面としている。
【0017】
本発明の脚立の工具収納構造Sは、
図1に示すように脚立10と、脚立10の対向する脚柱12間に架設する受け皿体40とで構成している。
【0018】
脚立10は、左右2つ割れの天板11,11と、各天板11,11に連結した脚柱12a,12b,12c,12dと、脚柱12a,12b,12c,12dの内、右前脚柱12aと左前脚柱12d(または、右後脚柱12bと左後脚柱12c)を枢支連結する枢支部13eと、脚柱12a,12b,12c,12dの上下方向に所定間隔で対向する右前脚柱12aと右後脚柱12b(または、左前脚柱12dと左後脚柱12d)間に架設した踏桟16とで構成している。
【0019】
天板11は平面視略方形状に構成しており、長手方向の両端部に左側前後脚柱12d,12cと右側前後脚柱12a,12bの上端部を連結している。
【0020】
左側前後脚柱12d,12cと右側前後脚柱12a,12bはそれぞれ上端部でヒンジ軸取付け連結金具13a、13b、13c、13dを介して枢支連結している。
このヒンジ軸取付け連結金具13a、13b、13c、13dは側面視略三角形状で1つの頂点部を円弧状に構成しており、この円弧中心で2枚のヒンジ軸取付け連結金具(例えば、ヒンジ軸取付金具13a,13d、または、ヒンジ軸取付金具13b,13c)が回動自在に枢支連結されている。このように構成することでヒンジ軸取付け金具13に連結した各脚柱12a,12b,12c,12dを左右方向に回動自在としている。
また、この枢支部13eは左右天板11,11間の左右方向略中央に位置しており、左側前後脚柱12d,12cと右側前後脚柱12a,12bが折り畳まれる際の偏りを規制している。
【0021】
また、右側前後脚柱12a、12b間には上下所定間隔で地面に対して略水平に板状の踏桟16を複数枚架設している。
左側前後脚柱12d、12c間も同様に上下所定間隔で地面に対して略水平に板状の踏桟16を複数枚架設している。
【0022】
左側前脚柱12dと右側前脚柱12a(または、左側後脚柱12cと右側後脚柱12b)の一側面には左右前後脚柱12a、12b、12c、12dの左右方向への回動が所定の角度以上に開かないように左右前後脚柱12a、12b、12c、12dの左右方向への回動を規制する係合手段20を設けている。
【0023】
係合手段20は2枚の板状の開き止め金具21,21と、開き止め金具21の略中央部で2枚の開き止め金具21,21を回動自在に連結する枢支部22と、左右脚柱12d,12a(または、左右脚柱12c,12b)から側方に突設した係合ピン23,23とで構成している。
【0024】
開き止め金具21は、正面視略方形状で隅部を円弧状とした略板状に形成し、一端部を脚柱(例えば、脚柱12a)の側面から前後外方に突設した係合ピン23に回動自在に連結している。また、開き止め金具21の他端部は枢支部22を介して他の開き止め金具21に回動自在に連結している。各開き止め金具21,21のうち一方の開き止め金具21の上端部には、回転規制部(図示せず)を備えており、各開き止め金具21,21に連結した左側前後脚柱12c,12dと右側前後脚柱12a,12bが一定以上左右方向に開かないように規制している。
【0025】
このように脚立10を構成することで、脚立10を使用する際には係合手段20の図示しないロック機構を解除して、左側前後脚柱12a,12dと右側前後脚柱12a,12bを正面視略ハ字状となる形態までヒンジ軸取付け連結金具13a、13b、13c、13dを介して回動し、係合手段20にて脚立10を開脚状態に固定できると共に、脚立10の左右2つの天板11,11を所定の高さに固定できる。
【0026】
この脚立10の左側前後脚柱12c,12dと右側前後脚柱12a、12bとを略ハ字形状の開脚状態で固定することで左右天板11,11と左側前後脚柱12c、12dと右側前後脚柱12a、12bとで囲われた工具載置空間30が形成される。
【0027】
工具載置空間30には左右側前後脚柱12a,12b,12c、12dと踏桟16との連結部に後述するワイヤーチェーン100を巻回して受け皿体40を連結固定している。
【0028】
受け皿体40は、
図4に示すように、2枚の略長方形の布を縫製することで構成しており、工具の載置部となる上層布50と、上層布50と略同一形状で上層布50の下面に縫製した下層布60と、上層布50及び下層布60の側面視略中央部を幅広に縫製することで形成した下層布60と、上層布50及び下層布60の左右方向略中央を幅広に前後端部まで縫製することで形成した折曲仕切り部Pと、折曲仕切り部Pによって受け皿体40の左右に形成された左右袋体70,70と、左右袋体70,70にそれぞれ収納された硬質プレート80,80と、左右袋体70,70の開口部71近傍に配設した面ファスナー90と、上層布50と下層布60の縫製した各隅部から延設した支持片53と、支持片53の側面視略中央に穿設した
支持片53の係止部としての支持片鳩目54と、支持片鳩目54に係合して受け皿体40を支持するワイヤーチェーン100とで構成している。
【0029】
下層布60は、
図4及び
図6に示すように、平面視略長方形状で短手方向の両端部及び長手方向の一端部を上方に折曲して折曲片61を構成し、3辺が折曲片61に囲まれて1辺を開放状態とした略箱型に構成している。
【0030】
上層布50は平面視略長方形状で各辺を上方に折曲して一定距離立ち上げた後に再度下方に折曲することで断面略U字形状の壁面51a、51b、51c、51dを構成し、さらに、上層布50の各隅部55a、55b、55c、55dから側面視略方形状の支持片53a、53b、53c、53dを延設している。
【0031】
この支持片53a、53b、53c、53dは正面視略方形状の略中央部に略円形の孔を穿設しており、この孔に支持片鳩目54を圧着している。この支持片鳩目54には、ワイヤーチェーン100を連結している。
【0032】
ワイヤーチェーン100は、
図4に示すように、細い金属ワイヤーを捩じり束ねてひも状とし、その回りをビニールで被覆し、さらに、両端部に着脱自在の連結手段101を係合している。
【0033】
このように構成された下層布60及び上層布50は、上層布50の壁面51に形成した略逆U字状の凹部51eに下層布60の折曲片61及び略方形状の芯材56を挿入し、この状態で下層布60及び上層布50の立ち上がり基端部を縫製することで周壁部Wを構成している。この周壁部Wは3辺を下層布60の折曲片61が構成された位置に上述のように構成している。残りの1辺に関しては上層布50の壁面51と略逆U字状の凹部51eに挿入した芯材56とを併せて縫製することで構成している。
【0034】
また、上層布50及び下層布60の左右方向略中央部は一定の幅員で前後方向の両端部に亘って縫製した折曲仕切り部Pを構成している。
この折曲仕切り部Pを構成することで左右均等に左右袋体70を構成している。
【0035】
左右袋体70は3辺を閉塞された袋形状で1辺を開口状態として開口部71を構成している。この開口部71近傍の上層布50の端部背面側と下層布60の端部上面側にそれぞれ面ファスナー90、90を配設している。
【0036】
面ファスナー90はフック部91とループ部92とで構成されており、上層布50の下面側にループ部92を配設し、下層布60の端部上面にフック部91を構成している。ここで、面ファスナー90のフック部91とループ部92は接触した際の強度が異なっており、フック部91よりもループ部92の方が柔らかく形成されている。
そのため、左右袋体70、70に略方形所の硬質プレート80、80を挿脱する際に貼付した面ファスナー90が硬質プレート80の挿脱を阻害することがない。
なお、左右袋体70に挿入される硬質プレート80は高所作業に利用される工具類を載置した際に変形する虞がなく、前述の面ファスナー90で開口部71を閉塞した際に面ファスナー90によって係合している開口部71が開放しない重量であればどのような材質で構成されていてもよく、例えば、ダンパネで構成されている。
【0037】
また、硬質プレート80,80のいずれかの上面前端部に硬質プレート80の半分程度の大きさの磁性体81を貼設している。
このように硬質プレート80,80のいずれかの上面に磁性体81を貼設することで上層布50を介して金属製の作業部材(例えば、釘やネジ)などを磁性体81の上面に固定できる。そのため、脚立10を開脚した状態で受け皿体40を使用する際には、金属製の部材を所定の位置に固定でき作業中に作業部材を探す手間を可及的に低減して作業性を向上すると共に、作業終了後には収納箱に金属製の作業部材を収納することなく受け皿体40に固定した状態で脚立10を閉脚して収納できる。
【0038】
また、受け皿体40の左右袋体70,70の開口部71に面ファスナー90を配設することで左右袋体70,70に内包した硬質プレート80、80の位置を規制できる。
【0039】
また、受け皿体40は左右袋体70、70に内包した硬質プレート80、80と上層布50の前後左右端部に周壁部Wa、Wb、Wc、Wdを構成することで上層布50に工具を載置し、外的要因によって受け皿体40が揺動したとしても工具が落下する蓋然性を可及的に低減している。
【0040】
また、受け皿体40の四隅近傍で左右側に位置する周壁部Wa、Wcに周壁部Wの係止部としての壁部鳩目52a、52b、52c,52dを配設している。この壁部鳩目52a、52b、52c,52dには連結手段101を介してワイヤーチェーン100の一端部を係止し、ワイヤーチェーン100の他端部を脚立10の内方、すなわち、脚柱の内側(例えば、右前脚柱12aと右後脚柱12bの間)から脚柱12aの外方に向かうように巻き回し、その後、支持片鳩目54に連結手段を介して係合している。
【0041】
このように受け皿体40は、ワイヤーチェーン100を周壁部Wの壁部鳩目52に連結し、脚立10の脚柱12の内方から外側に向けて巻回して支持片53の支持片鳩目54に連結する構成とすることで、受け皿体40が自重や載置した工具の重量により下方に変位しようとするが、この変位動をワイヤーチェーン100が規制する。この際ワイヤーチェーン100には受け皿体40の下方変位に抗する力が生起しており、この生起した斜め上方への力により確実に四方の周壁部Wa、Wb、Wc、Wdを立ち上げた状態を保持できる。
【0042】
このように受け皿体40を構成することで左右袋体70、70に硬質プレート80、80を内包した状態で折曲仕切り部Pを中心として折り畳むことができる。なお、この折曲仕切り部Pは幅によって受け皿体40の棚としての剛性と作業終了時の折り畳む際の作業性に影響を及ぼす。
【0043】
仮に、折曲仕切り部Pが最適状態よりも広い場合は、工具を載置した際に工具重量により上層布50の略中央部に凹部が形成され、硬質プレート80,80上部の略水平状態を維持することができず、載置した工具と作業者との間に一定の空間が形成されてしまい作業性を損なう虞がある。
【0044】
また、折曲仕切り部Pが最適状態よりも狭い場合は、左右袋体70、70に内包した硬質プレート80、80の側面が他方の硬質プレートと接触状態となり受け皿体40の剛性が向上して上層布50の上部を略水平状態に維持することができる。しかし、高所作業が終了し、脚立10を折り畳む際には左右袋体70,70に内包した硬質プレート80,80の内側面が干渉してしまう。そのため、受け皿体40を設置した状態で脚立10を収納する際にはいずれか一方の硬質プレート80,80を抜き取るか、両方の硬質プレート80,80を抜き取る必要が生じ、作業性を損なう虞がある。
【0045】
上述のように構成された受け皿体40を脚立10の脚柱12間に架設することで脚立10の工具収納構造を構成しており、その設置手順について
図1~3を参照して説明する。
【0046】
まず、脚立10の脚柱12を閉脚状態からヒンジ軸取付け金具13の枢支部13eを回転中心として前後方向に回動し、脚立10の使用状態となる所定の角度まで開脚する。脚立10の最大開脚状態は係合手段20によって最大開脚状態から脚柱12が開かないように固定されている。
【0047】
次に、受け皿体40の各隅部55a、55b、55c、55dに延設した支持片53a、53b、53c、53dの支持片鳩目54a、54b、54c、54dに連結したワイヤーチェーン100、100、100、100をそれぞれ最も近い場所に位置する脚柱12a、12b、12c、12dの外方から巻き回して周壁部Wa、Wb、Wc、Wdの壁部鳩目52a、52b、52c、52dに係合する。
【0048】
その後、必要に応じて受け皿体40の左右袋体70、70の面ファスナー90を開放して開口部71を形成し、該開口部71から左右袋体70、70に硬質プレート80、80を挿入して棚を完成させる。
【0049】
作業終了後は、受け皿体40を脚立10に設置した状態で脚立10の開脚状態を維持している係合手段20の枢支部22を上方に移動させることで固定状態を解除して脚立10の脚柱12を閉脚状態にすると共に、受け皿体40の折曲仕切り部Pを下方に変位するように周壁部Wb、Wdを対向するように折り畳むことで脚立10を収納形態に変形できる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0051】
10 脚立
11 天板
12、12a、12b、12c、12d 脚柱
13、13a、13b、13c、13d ヒンジ軸取付け金具
13e 枢支部
16 踏桟
20 係合手段
21 止め金具
22 枢支部
23 係合ピン
30 工具載置空間
40 受け皿体
50 上層布
51a~d 壁面
51e 凹部
52a~d 壁部鳩目
53 支持片
54a~d 支持片鳩目
55a~d 隅部
60 下層布
61 折曲片
70 左右袋体
71 開口部
80 硬質プレート
81 磁性体
90 面ファスナー
91 フック部
92 ループ部
100 ワイヤーチェーン
101 連結手段
W、Wa、Wb、Wc、Wd 周壁部
P 折曲仕切り部