(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】シートクッション
(51)【国際特許分類】
A47C 27/00 20060101AFI20230221BHJP
B60N 3/00 20060101ALI20230221BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20230221BHJP
A47C 7/54 20060101ALI20230221BHJP
A47C 16/00 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A47C27/00 M
A47C27/00 Q
B60N3/00 Z
A47C7/62 Z
A47C7/54 A
A47C16/00 Z
(21)【出願番号】P 2019019811
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2021-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】593173493
【氏名又は名称】株式会社MOGU
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】石田 喜信
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-100419(JP,U)
【文献】特開2016-209369(JP,A)
【文献】特許第6124229(JP,B1)
【文献】実公昭47-035056(JP,Y1)
【文献】特開2009-006992(JP,A)
【文献】登録実用新案第3128833(JP,U)
【文献】特表2015-506257(JP,A)
【文献】特開2012-075816(JP,A)
【文献】特開2013-052094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00
B60N 3/00
A47C 7/62
A47C 7/54
A47C 7/42
A47C 16/00
A47G 9/10
A61G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席の背もたれの背もたれ面に装着される背当て部と、前記背当て部に連結された少なくとも1つのアーム部とを有し、
前記背当て部における背もたれ面と対向する裏面に、背もたれの上端または背もたれの上端に設けられたヘッドレストを
下方から挿入することにより前記背当て部を背もたれ面に位置決めする挿入部が設けられ
、
前記背当て部と前記アーム部との間にそれらの周囲部の厚みよりも薄い薄肉部が設けられたシートクッション。
【請求項2】
前記挿入部がポケット形に形成されている請求項1に記載のシートクッション。
【請求項3】
前記アーム部が、前記背当て部に連結された一対のアーム部からなる請求項1に記載のシートクッション。
【請求項4】
前記一対のアーム部のそれぞれの先端に互いに連結分離可能な連結具が設けられた請求項3に記載のシートクッション。
【請求項5】
前記アーム部の先端側にポケット部が設けられた請求項1~4のいずれか1つに記載のシートクッション。
【請求項6】
前記背当て部における前記裏面に滑り止め材が設けられた請求項1~5のいずれか1つに記載のシートクッション。
【請求項7】
前記アーム部の先端側に滑り止め材が設けられた請求項1~6のいずれか1つに記載のシートクッション。
【請求項8】
前記アーム部がその長手方向の中間部に薄肉部を有する請求項1~
7のいずれか1つに記載のシートクッション。
【請求項9】
前記挿入部に物品を引っ掛け可能な輪部が設けられた請求項1~
8のいずれか1つに記載のシートクッション。
【請求項10】
前記背当て部に対して前記アーム部が着脱可能である請求項1~
9のいずれか1つに記載のシートクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシートクッションに関し、詳しくは乗物のシートまたは椅子に着脱可能なシートクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のシートに装着して使用するシートクッションとして、例えば、国際公開WO2017/033467号公報には、シートのヘッドレストから座部に亘って沿うように複数のクッションパッドが連続的に連結してなるシートクッションが提案されている。
この従来のシートクッションは、複数のベルトを有し、各ベルトをシートの背もたれおよびヘッドレストに巻き付けて固定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、長距離を走行するトラックドライバーは、トラックを停めて休憩、仮眠、食事等を行う場合も運転席ですることが多いが、休息や仮眠の際には両腕の置き場がないため腕を組んで腹部に置く、あるいは頭の後で手を組むといった姿勢をとることになってしまい、腕が疲れたり肘が痛くなるといた不具合がある。また、運転席で弁当を食べる場合、片手で弁当を持ち、もう一方の手で箸を持って食べることになるため両手がふさがってしまい、飲み物を飲む際には一旦箸を置き、再度箸を持って食事を続けるといった不便さがある。
このような課題を前記従来のシートクッションでは解消することができない。
【0005】
また、例えば右ハンドル車の場合、右手でハンドルを握り左腕を休めて運転することがあるが、左腕用のアームレストが運転席に設けられていない場合は左腕の置き場がないといった不都合がある。このような課題も前記前記従来のシートクッションでは解消することができない。
【0006】
また、乗用車の場合、車両走行中に助手席または後部座席の着座者が、例えば、タブレット型の携帯情報端末で動画を視聴したりゲームをして楽しむ場合、携帯情報端末を持つ手が安定せず画面がぶれて視にくく、腕も疲れるといった不具合がある。このような課題も前記従来のシートクッションでは解消することができない。
【0007】
さらに、前記従来のシートクッションは車両のシートに特化したものであるため、オフィスや家庭等で使用する椅子には不向きであり、使用範囲が限定される。
本発明は、前記課題に鑑みなされたものであり、使用範囲および用途が広いシートクッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、座席の背もたれの背もたれ面に装着される背当て部と、前記背当て部に連結された少なくとも1つのアーム部とを有し、
前記背当て部における背もたれ面と対向する裏面に、背もたれの上端または背もたれの上端に設けられたヘッドレストを下方から挿入することにより前記背当て部を背もたれ面に位置決めする挿入部が設けられたシートクッションが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシートクッションを車両のシートに装着する場合、背もたれの上端に設けられたヘッドレストをシートクッションの挿入部に入れ込むことにより、背当て部を背もたれに位置決めすることができると共に、アーム部を着座者の少なくとも左側または右側に配置することができる。
これにより、車両のシートに装着されたシートクッションの背当て部にて着座者の頭部から背部に亘って支持することができると共に、アーム部にて着座者の少なくとも左右一方の腕を支持することができる。
【0010】
したがって、例えば、本発明のシートクッションが少なくとも左側のアーム部を有するものである場合、シートクッションを右ハンドル車の運転席に装着すると、背当て部にて着座者の頭部から背部に亘って支持することに加えて、左側のアーム部がアームレストとして運転者の左腕を支持することができる。
なお、本発明のシートクッションは、車両のシートに限らず、椅子(肘掛けおよび/またはヘッドレストを有する椅子、車椅子等を含む)への装着も可能であり、その使用例および作用効果について詳しくは後述する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るシートクッションの第1実施形態を示す表面側から視た斜視図である。
【
図2】第1実施形態のシートクッションを裏面側から視た斜視図である。
【
図3】第1実施形態のシートクッションの左側面図である。
【
図4】第1実施形態のシートクッションの内部構造を示す正面側から視た一部断面図である。
【
図5】第1実施形態のシートクッションの正面側から視た使用状態の斜視図である。
【
図6】第1実施形態のシートクッションの裏面側から視た使用状態の斜視図である。
【
図7】第2実施形態のシートクッションを示す表面側から視た斜視図である。
【
図8】第3実施形態のシートクッションを示す背面図である。
【
図9】第4実施形態のシートクッションを示す正面図である。
【
図10】第5実施形態のシートクッションを示す正面図である。
【
図11】第5実施形態のシートクッションの使用状態を示す裏面側から視た斜視図である。
【
図12】第6実施形態のシートクッションを示す正面図である。
【
図13】第6実施形態のシートクッションの使用状態を示す裏面側から視た斜視図である。
【
図14】第7実施形態のシートクッションを示す背面図である。
【
図15】第7実施形態のシートクッションの使用状態を示す裏面側から視た斜視図である。
【
図16】第8実施形態の分解したシートクッションの(A)は正面図、(B)は背面図である。
【
図17】第9実施形態のシートクッションを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1は本発明に係るシートクッションの第1実施形態を示す表面側から視た斜視図であり、
図2は第1実施形態のシートクッションを裏面側から視た斜視図である。また、
図3は第1実施形態のシートクッションの左側面図であり、
図4は第1実施形態のシートクッションの内部構造を示す正面側から視た一部断面図である。また、
図5は第1実施形態のシートクッションの正面側から視た使用状態の斜視図であり、
図6は第1実施形態のシートクッションの裏面側から視た使用状態の斜視図である。なお、本明細書において、シートクッションの前後左右上下方向は使用状態での向きを指している。
【0013】
<シートクッションの構成>
図1~
図6に示すように、このクッションシート1は、座席の背もたれの背もたれ面に位置決めされる背当て部2と、背当て部2に薄肉部4を介して連結された少なくとも左右一方のアーム部3とを有する。ここで、「座席」とは、乗用車やトラック等の車両のシートおよび背もたれを有する椅子(肘掛けおよび/またはヘッドレストを有する椅子、車椅子等を含む)を意味する。
【0014】
第1実施形態では、背当て部2に薄肉部4を介して左右一対のアーム部3が二股状に連結され、全体として略U字形に形成されたシートクッション1を例示している。また、
図5および
図6では、シートクッション1を車両のシート90に装着した場合を例示しており、使用状態ではシートクッション1が略倒立U字形となる。
【0015】
図4に示すように、このシートクッション1は、略U字形のクッション本体10と、クッション本体10を収納する略U字形のクッションカバー11とを備えて構成されている。そして、クッション本体10の略U字形の湾曲した中間部分が前記背当て部2を形作り、クッション本体10の中間部分から二股状に分岐した一対のアーム状部分が前記一対のアーム部3を形作り、クッション本体10の中間部分と一対のアーム状部分との連結部分が前記薄肉部4を形作っている。
【0016】
クッション本体10は、湾曲した中間部分に孔部10bを有する略U字形の袋体10aと、袋体10a内に充填された粒子状物とを有してなる。
袋体10aは、孔部10bを有する略U字形の2枚の生地の周囲部および孔部10bの周囲部を縫い合わせて形成されている。この生地としては、例えば、ストレッチ試験で30~300%の伸縮性を有する生地、具体的には、弾性を有するスパンデックス(ポリウレタン弾性糸)を用いることができる。なお、袋体10aの生地は伸縮性を有さないものでもよいが、粒子状物の流動性が容易となる上で伸縮性を有する生地が好ましい。
【0017】
粒子状物としては、発泡樹脂粒子、樹脂またはガラスビーズ、小円筒形の樹脂製ペレット、小豆、そば殻等を用いることができ、第1実施形態では発泡樹脂粒子が用いられている。発泡樹脂粒子としては、例えば、平均粒子径0.3~3.0mm程度の微小な発泡ポリスチレン系樹脂粒子を用いることができる。
【0018】
袋体10aにおいて、背当て部2を形成する中間部分の二股近傍位置には2枚の生地を弧状に縫い合わせた第1弧状縫製部10cが設けられると共に、一対のアーム部3を形成する部分の長手方向の中間部には2枚の生地を緩やかな弧状に縫い合わせた第2弧状縫製部10dがそれぞれ設けられている。
【0019】
袋体10aに第1弧状縫製部を設けることにより、背当て部2と一対のアーム部3との間に厚みが薄い薄肉部4が形成されることとなり、使用状態(
図5、
図6参照)において、薄肉部4によって背当て部2に対して一対のアーム部3が着座者Uの膝側(前方)へ折り曲げやすくなる。
【0020】
また、袋体10aに第2弧状縫製部を設けることにより、一対のアーム部3の長手方向の中間部に厚みが薄い薄肉部3a(
図3参照)が形成されることとなり、使用状態(
図5、
図6参照)において、薄肉部3aによって一対のアーム部3の先端3bを互いに引き寄せる方向に曲げやすくなる。
【0021】
また、袋体10aに孔部10bを設けることにより、シート90に装着したシートクッション1の背当て部2の上部がヘッドレストに配置され、着座者Uの後頭部がクッションカバー11を介して孔部10bの凹みにフィットしやすくなる。
【0022】
図1~
図4に示すように、クッションカバー11は、クッション本体10と同様の略U字形の2枚の生地の周囲部を一部を残して縫い合わせ、その一部に線ファスナー11aを取り付けることにより形成されている。なお、線ファスナー11aは、クッションカバー11の湾曲した中間部分の外側(凸側)に設けられており、この部分からクッションカバー11内へクッション本体10を収納できるようにしている。
【0023】
クッションカバー11を構成する生地としては、クッション本体10と同様に、ストレッチ試験で30~300%の伸縮性を有する生地(例えば、スパンデックス(ポリウレタン弾性糸))を用いることができる。なお、クッションカバー11の生地は伸縮性を有さないものでもよいが、着座者に快適な触り心地を与えることができる上で伸縮性を有する生地が好ましい。
【0024】
第1実施形態において、シートクッション1は、その背当て部2におけるシート90の背もたれ面91aと対向する裏面(背面)1aに、背もたれ91の上端に設けられたヘッドレスト92(
図5参照)を
下方から入れ込むことにより背当て部2を背もたれ面91aに位置決めするためのポケット形の挿入部5が設けられている。具体的には、クッションカバー11の裏面における湾曲した中間部分の凸側略半分の領域が挿入部5となっている。
【0025】
挿入部5は、半楕円形の生地を、例えば、クッションカバー11を構成する裏面側の生地と線ファスナー11aとの間に挟み込んで縫い付けることによりポケット形に形成されている。この挿入部5を構成する生地は、クッションカバー11と同様の生地を用いることができる。なお、挿入部5を構成する生地は、伸縮性を有さないものでもよいが、シートクッション1をシート90に装着する際、挿入部5の開口部を大きく広げてヘッドレスト92を容易に入れ込むことができる上で伸縮性を有する生地が好ましい。
【0026】
<シートクッションの使用例および作用効果>
第1実施形態のシートクッション1は、例えば
図5および
図6に示すように、車両のシート90に装着して使用することができる。装着の際は、挿入部5の生地を引っ張って開口部5aを大きく開き、背当て部2が背もたれ91の背もたれ面91a側に位置するようにしてヘッドレスト92を挿入部5内に入れ込むことにより完了する。
【0027】
このようにシートクッション1を装着したシート90に座る着座者Uは、後頭部、肩部および背部上部(肩胛骨付近)が背当て部にてソフトに支持される。また、着座者Uは、左右のアーム部3を左右の脇腹側から左右の太股上へ湾曲させることにより、左右の腕および手を左右のアーム部3上に載せたリラックスした姿勢をとることができる。すなわち、左右のアーム部3がアームレストとして機能する。
【0028】
また、一方のアーム部3を着座者Uの腰部と背もたれ91の間の隙間に入れることにより、一方のアーム部3にて腰部を支持することもできる。
また、左右のアーム部3のアームレストとしての役割が不要な場合は、左右のアーム部3を着座者Uの背部側へ移動させることにより、背当て部2と左右のアーム部3とによって着座者Uの後頭部から腰部に亘る範囲を連続的に支持することもできる。
【0029】
このようなシートクッション1の使用例および作用効果は、ヘッドレストを有する椅子にシートクッション1を装着した場合についても同様である。それに加え、机やテーブルの席に座って使用する場合は、左右のアーム部3を介して左右の腕を机上においてパソコンのキーボードを操作する、あるいはゲームコントローラを持ってゲーム(例えば、eスポーツ)をするといった使用も可能であり、長時間作業する場合はアーム部3によって腕の疲労を軽減することができる。また、休息時には机上の左右のアーム部3を枕にしてうつぶせて仮眠することも可能となる。
【0030】
また、ヘッドレストを有さない椅子(車椅子を含む)にシートクッション1を装着する場合は、背もたれの上端をシートクッション1の挿入部5に入れ込む。この場合、背当て部2にて着座者の背部から腰部に亘る範囲を支持することができる。
また、車椅子の場合、左右のアーム部3は着座者と左右の肘掛けとの間の隙間から前方へ突出して膝上(太股上)に配置されることになる。そのため、左右のアーム部3の先端側を台代わりにして本や雑誌等の書物を置くと、書物を持ち上げずに読むことができるため腕の疲労が軽減する。さらに、左右の肘置き上に置いた左右のアーム部3に左右の腕を載せてリラックスすることもできる。この点は、肘置きを有する椅子についても同様である。
【0031】
また、このシートクッション1は、座席から取り外し、枕または抱き枕として使用することも可能である。この場合、例えば、裏面1a側を上に向け、ポケット形の挿入部5に使用者の頭を入れて寝ることができるため、寒い場所での就寝時には顔を冷たい外気にさらしにくくすることができる、あるいはアイマスクのように光を遮断することができる、といった使用が可能となる。
【0032】
(第2実施形態)
図7は第2実施形態のシートクッションを示す表面側から視た斜視図である。なお、
図7において、
図2中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
図7に示すように、第1実施形態のシートクッション1はポケット形の挿入部5を有するものであるが、挿入部5はポケット形に限定されず、
図7に示すような、開口部25aaを形成する横ベルト部25aと、背もたれの上端またはヘッドレストに引っ掛かる縦ベルト部25bとを有する部材によって挿入部25を形成してもよい。
なお、第2実施形態において、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
【0033】
(第3実施形態)
図8は第3実施形態のシートクッションを示す背面図である。なお、
図8において、
図2中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
図8に示すように、第3実施形態のシートクッション31は、背当て部2における裏面1aに、具体的には、背当て部2における薄肉部4の近傍位置に、滑り止め材32が設けられている。
滑り止め材32としては、座席に対して摩擦抵抗の大きなシート材が好ましく、例えば、ゴムシート、生地の表面に滑り止め剤(例えば、シリコン樹脂)をプリントしたシート、生地の表面に滑り止めシートを融着したシート等を用いることができる。
【0034】
第1実施形態のシートクッション1の場合、シートクッション1を座席に装着しても背当て部2が横にずれる、あるいはシートクッション1を座席に装着せずに置いて使用した場合は背当て部2が背もたれの下部側にずり下がる、といった状況が発生することが想定される。そこで、第3実施形態では滑り止め材32を設けることにより、シートクッション31を座席に装着すると背当て部2の横ずれを抑制すると共に、シートクッション31を座席に装着せず置いて使用しても背当て部2のずり下がりを抑えることができる。
なお、第3実施形態において、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
【0035】
(第4実施形態)
図9は第4実施形態のシートクッションを示す正面図である。なお、
図9において、
図1中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第4実施形態のシートクッション41は、一対のアーム部3の先端側の表面(正面)1bに滑り止め材42が設けられている。
なお、
図9では、ストライプ状の凸条を有する楕円形の滑り止め材42を例示しているが、アーム部3の外面を一周するように滑り止め材42を筒状に形成してもよい。
【0036】
滑り止め材42としては、座席に対して摩擦抵抗の大きなシート材が好ましく、例えば、ゴムシート、生地の表面に滑り止め剤(例えば、シリコン樹脂)をプリントしたシート、生地の表面に滑り止めシートを融着したシート等を用いることができる。
滑り止め材42を設けることにより、アーム部3上に置いた手や物が滑り落ちにくくなって安定する。
なお、第4実施形態において、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
【0037】
(第5実施形態)
図10は第5実施形態のシートクッションを示す正面図であり、
図11は第5実施形態のシートクッションの使用状態を示す裏面側から視た斜視図である。なお、
図10および
図11において、
図1および
図6中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
図10と
図11に示すように、第5実施形態のシートクッション51は、一対のアーム部3のそれぞれの先端に互いに連結分離可能な連結具が設けられている。
なお、
図10および
図11では、連結具として、フック部52aとループ部52bを有する面状ファスナー52を用いた場合を例示しているが、その他の連結具としては、例えば、ホック(スナップボタン)、差し込み式バックル、フック金具、磁石等が挙げられる。
【0038】
このシートクッション51によれば、一対のアーム部3の先端を連結具(この場合は面状ファスナー52)にて連結することができるため、連結した左右のアーム部3に安定的に手を組んでリラックスすることができる。また、一対のアーム部3の連結部周辺に物を置くことが可能となる。例えば、
図11に示すように、タブレット型携帯情報端末Tを置いて動画を観たりゲームをする、ノートパソコンを置いて文書を作成する、本や雑誌を置いて読む、弁当を置いて食べる等の様々な行為を、一対のアーム部3の連結部周辺を台代わりに使用して行うことができて非常に便利であり、特に、机やテーブルが無い車内や室内においても快適に過ごすことができる。
なお、第5実施形態において、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
【0039】
(第6実施形態)
図12は第6実施形態のシートクッションを示す正面図であり、
図13は第6実施形態のシートクッションの使用状態を示す裏面側から視た斜視図である。なお、
図12および
図13において、
図2および
図6中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
図12と
図13に示すように、第6実施形態のシートクッション61は、一対のアーム部3の先端側における表面1bにポケット部62が設けられている。なお、一対のアーム部3の先端側における裏面1aにポケット部62が設けられてもよく、表面1bと裏面1aの両方にポケット部62が設けられてもよい。
【0040】
このシートクッション61によれば、ポケット部62に手を入れた状態で腕をアーム部3上に載せてリラックスすることができる。そのため、手がアーム部3上からずり落ちず安定する。また、寒い車内においてはポケット部62を手袋代わりに使用したり、あるいはポケット部62に使い捨てカイロを入れて手を温めることもできる。
なお、第6施形態において、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
【0041】
(第7実施形態)
図14は第7実施形態のシートクッションを示す背面図であり、
図15は第7実施形態のシートクッションの使用状態を示す裏面側から視た斜視図である。なお、
図14および
図15において、
図2および
図6中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
図14と
図15に示すように、第7実施形態のシートクッション71は、挿入部5の外面に物品を引っ掛け可能な輪部72が設けられている。
輪部72は、例えば、細長い帯状の生地を輪状にして挿入部5の外面に縫い付けることにより形成することができる。
【0042】
挿入部5に輪部72を設けることにより、シートクッション71を座席(シート90)に装着した状態において、例えば、着座者Uや同乗者の上着を掛けるためのハンガーHを輪部72に引っ掛けて吊しておくことができて便利である。また、輪部72にはハンガーH以外の物、例えば、車内用の小物入れも吊すことができるため、車内に収納部を増設することができると共に、小物整理できて便利になる。
なお、第7実施形態において、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
【0043】
(第8実施形態)
図16は第8実施形態の分解したシートクッションの(A)は正面図、(B)は背面図である。
前記第1~第7実施形態ではシートクッションの各部が一体形成された場合を例示したが、第8実施形態のシートクッション81は背当て部82に対して一対のアーム部83が着脱可能に構成されている。なお、
図16(A)および(B)において、符号83aは薄肉部、85はポケット形の挿入部である。
【0044】
このシートクッション81は、第1実施形態のシートクッション1における薄肉部4(
図1~
図3参照)を切断して背当て部2と一対のアーム部3とを分離し、それらの切断部を縫合し、それらの切断部に面状ファスナーのフック部とループ部を縫い付けて作製することができる。
図16(A)および(B)では、各アーム部83の切断部の表面にフック部84aがそれぞれ設けられ、背当て部82の2箇所の切断部の裏面にループ部84bがそれぞれ設けられた場合を例示している。なお、背当て部82にフック部84aを設け、各アーム部83にループ部84bを設けてもよい。また、面状ファスナーの代わりにホック(スナップボタン)、差し込み式バックル、フック金具等を用いてもよい。
【0045】
このように構成されたシートクッション81によれば、背当て部82と各アーム部83とを分離した状態で使用することが可能となる。例えば、一対のアーム部83のうちの一方は背当て部82と連結して使用し、他方のアーム部83は使用しないため取り外しておくといった使い方や、両方のアーム部83を使用しないため背当て部82から取り外しておくといった使い方をすることができる。具体的には、運転席には背当て部82のみを装着し、助手席の着座者や後部座席の着座者がアーム部83を膝に載せて台代わりに使用する、といった使い方をすることができる。また、座席から取り外したシートクッション81を背当て部82と2つのアーム部83に分解してそれぞれを枕として使用する、といった使い方も可能となる。
なお、第8実施形態において、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
【0046】
(第9実施形態)
図17は第9実施形態のシートクッションを示す正面図である。なお、
図17において、
図1中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第1~第8実施形態では左右一対のアーム部を有するシートクッションを例示したが、第9実施形態のシートクッション91は背当て部2にアーム部3が左右一方のみ連設されて構成されている。
図17では、背当て部2に左のアーム部3のみが連設されてなるシートクッション91を例示しているが、背当て部2に右のアーム部のみが連設されてなるシートクッションであってもよい。
【0047】
このシートクッション91によれば、着座者の左右一方の腕のみをアーム部3にて支持することができる。例えば、アームレストを有さない右ハンドルの車両の運転席にシートクッション91を装着すれば左のアーム部3をアームレストの代わりに使用することができ、アームレストを有さない左ハンドルの車両の運転席にシートクッション91を装着すれば右のアーム部をアームレストの代わりに使用することができる。
なお、第9実施形態において、その他の構成は第1実施形態と概ね同様である。
【0048】
(他の実施形態)
第1実施形態ではクッションカバー内にクッション本体を収納し、かつ、クッションカバーの裏面に挿入部を設けた場合を例示したが、クッションカバーを省略し、クッション本体の裏面に挿入部を設けてもよい。
【0049】
(まとめ)
本発明のシートクッションは、座席の背もたれの背もたれ面に装着される背当て部と、前記背当て部に連結された少なくとも1つのアーム部とを有し、
前記背当て部における背もたれ面と対向する裏面に、背もたれの上端または背もたれの上端に設けられたヘッドレストを下方から挿入することにより前記背当て部を背もたれ面に位置決めする挿入部が設けられたものである。
この構成によれば、シートクッションの座席への装着および取り外しを迅速かつ容易に行うことができる。
また、アーム部をアームレストとして使用することができるため、アームレストまたは肘掛けを有さない座席(車両のシート、オフィスや住宅内の椅子等)に本発明のクッションシートを装着すれば着座者の腕をアーム部に載せてリラックスすることができる。
また、肘掛けを有する椅子や車椅子にシートクッションを装着することも可能である。この場合、例えば、車椅子に座る着座者は両腕を肘掛けに載せ続けると肘や腕が痛くなることがあるため、膝上に乗せたアーム部に腕を置くことにより肘や腕をリラックスさせることができる。さらに、アーム部を台代わりにして本や雑誌を置いて読むといったことも可能となる。なお、肘掛けを有する椅子や車椅子にシートクッションを装着した場合、アーム部は柔らかいため、着座者と肘掛けの間の隙間から膝上の方へ自由に湾曲させることができる。
また、座席から取り外したシートクッションは枕や抱き枕として使用することもできる。
【0050】
本発明のシートクッションは、次のように構成されてもよく、それらが適宜組み合わされてもよい。
【0051】
・前記挿入部がポケット形に形成されてもよい。
この構成によれば、ベルト等にて縛って固定する場合と比べて、シートクッションの座席への装着および取り外しを簡単に行えると共に、見た目にすっきりとしたデザインとなる。
また、座席から取り外したシートクッションを枕として使用する場合、例えば、裏面側を上に向け、ポケット形の挿入部に使用者の頭を入れて寝ることができる。そのため、寒い場所での就寝時には顔を冷たい外気にさらしにくくすることができる、あるいはアイマスクのように光を遮断することができる、といった使用が可能となる。
【0052】
・前記アーム部が、前記背当て部に連結された一対のアーム部からなるものであってもよい。
この構成によれば、一対のアーム部に着座者の左右の腕をそれぞれ載せてリラックスすることができる。また、ゲームコントローラを持ちながら両腕を一対のアーム部に載せてゲーム(例えば、eスポーツ)をする、一対のアーム部を介して両腕を机やテーブル上に置いてパソコンのキーボードを打つといったことが可能となる。そのため、比較的長い時間着座姿勢を続ける着座者の両腕の負担を軽減することができる。
【0053】
・前記一対のアーム部のそれぞれの先端に互いに連結分離可能な連結具が設けられてもよい。
この構成によれば、一対のアーム部の先端を連結具にて連結することができるため、連結した左右のアーム部に安定的に手を組んでリラックスすることができる。また、一対のアーム部の連結部周辺に物を置くことが可能となる。例えば、携帯情報端末(所謂スマートフォン、タブレット等)を置いて動画を観たりゲームをする、ノートパソコンを置いて文書を作成する、本や雑誌を置いて読む、弁当を置いて食べる等の様々な行為を、一対のアーム部の連結部周辺を台代わりに使用して行うことができて非常に便利である。特に、机やテーブルが無い車内や室内においても快適に過ごすことができるメリットがある。
【0054】
・前記アーム部の先端側にポケット部が設けられてもよい。
この構成によれば、ポケット部に手を入れた状態で腕をアーム部上に載せてリラックスすることができるため、手がアーム部上からずり落ちず安定する。また、寒い車内においてはポケット部を手袋代わりに使用したり、あるいはポケット部に使い捨てカイロを入れて手を温めることもできる。
【0055】
・前記背当て部における前記裏面に滑り止め材が設けられてもよい。
この構成によれば、滑り止め材を設けることにより、シートクッションを座席に装着すると背当て部の横ずれを抑制すると共に、シートクッションを座席に装着せず置いて使用しても背当て部のずり下がりを抑えることができる。
【0056】
・前記アーム部の先端側に滑り止め材が設けられてもよい。
この構成によれば、アーム部上に置いた手や物が滑り落ちにくくなって安定する。
【0057】
・前記背当て部と前記アーム部との間にそれらの周囲部の厚みよりも薄い薄肉部が設けられてもよい。
この構成によれば、薄肉部を設けることにより、座席の背もたれ面に沿って配置される背当て部に対してアーム部を前方へ容易に折り曲げることができる。
【0058】
・前記アーム部がその長手方向の中間部に薄肉部を有するものであってもよい。
この構成によれば、アーム部を着座者の腹部側に曲げやすくなる。
【0059】
・前記挿入部に物品を引っ掛け可能な輪部が設けられてもよい。
この構成によれば、シートクッションを座席に装着した状態において、例えば、着座者や同乗者の上着を掛けるためのハンガーを輪部に引っ掛けて吊しておくことができて便利である。また、輪部にはハンガー以外の物、例えば、車内用の小物入れも吊すことができるため、車内に収納部を増設することができると共に、小物整理できて便利になる。
【0060】
・前記背当て部に対して前記アーム部が着脱可能であってもよい。
この構成によれば、背当て部とアーム部とを分離した状態で使用することが可能となる。例えば、一対のアーム部のうちの一方は背当て部と連結して使用し、他方のアーム部は使用しないため取り外しておくといった使い方や、両方のアーム部を使用しないため背当て部から取り外しておくといった使い方をすることができる。具体的には、運転席には背当て部のみを装着し、助手席の着座者や後部座席の着座者がアーム部を膝に載せて台代わりに使用する、といった使い方をすることができる。また、座席から取り外したシートクッションを背当て部と2つのアーム部に分解してそれぞれを枕として使用する、といった使い方も可能となる。
【0061】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1、21、31、41、51、61、71、81、91 シートクッション
1a 裏面
2、82 背当て部
3、83 アーム部
3a、4、83a 薄肉部
5、25 挿入部
32、42 滑り止め材
52 面状ファスナー(連結具)
62 ポケット部
72 輪部
90 シート(座席)
91 背もたれ
91a 背もたれ面
92 ヘッドレスト