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特許7231206スイッチング電源装置およびそれを利用したモータ駆動制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置およびそれを利用したモータ駆動制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230221BHJP
   H02P 29/024 20160101ALI20230221BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 B
H02P29/024
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019021534
(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公開番号】P2020129904
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】弁理士法人東京UIT国際特許
(72)【発明者】
【氏名】増田 高宏
(72)【発明者】
【氏名】西 匡宏
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-017859(JP,A)
【文献】国際公開第2015/181919(WO,A1)
【文献】特開2009-296790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02P 29/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側コイルおよび2つの二次側コイルを含む動力電源用トランス,該動力電源用トランスの一次側コイルに接続され,直流入力をスイッチングする動力電源用スイッチング素子,該動力電源用スイッチング素子の出力側において上記動力電源用トランスの一方の二次側コイルに並列に設けられ,動力用電源を出力する動力電源用平滑回路,ならびに上記直流入力から,上記動力電源用トランスの他方の二次側コイル,該他方の二次側コイルに直列接続された第1の起動抵抗,および該他方の二次側コイルに並列接続されると共に上記第1の起動抵抗に直列接続された第1のコンデンサを介して発生する電圧によって動作して上記動力電源用スイッチング素子を制御する動力電源用スイッチング制御回路を有する動力用電源回路と,
所与の電源遮断指令信号に応答して上記動力電源用スイッチング素子をオフとさせ,上記動力用電源回路からの動力用電源の出力を停止させる電源遮断回路と,
一次側コイルおよび2つの二次側コイルを含む制御電源用トランス,該制御電源用トランスの一次側コイルに接続され,直流入力をスイッチングする制御電源用スイッチング素子,該制御電源用スイッチング素子の出力側において上記制御電源用トランスの一方の二次側コイルに並列に設けられ,制御用電源を出力する制御電源用平滑回路,ならびに上記直流入力から,上記制御電源用トランスの他方の二次側コイル,該他方の二次側コイルに直列接続された第2の起動抵抗,および該他方の二次側コイルに並列接続されると共に上記第2の起動抵抗に直列接続された第2のコンデンサを介して発生する電圧によって動作して上記制御電源用スイッチング素子を制御する制御電源用スイッチング制御回路を有し,上記電源遮断指令信号の有無にかかわらず制御用電源を出力し続ける制御用電源回路とを備える,
スイッチング電源装置。
【請求項2】
一次側コイルおよび2つの二次側コイルを含む動力電源用トランスと,該動力電源用トランスの一次側コイルに接続され,直流入力をスイッチングする動力電源用スイッチング素子と,該動力電源用スイッチング素子の出力側において上記動力電源用トランスの一方の二次側コイルに並列に設けられる動力電源用平滑回路と,上記直流入力から,上記動力電源用トランスの他方の二次側コイル,該他方の二次側コイルに直列接続された第1の起動抵抗,および該他方の二次側コイルに並列接続されると共に上記第1の起動抵抗に直列接続された第1のコンデンサを介して発生する電圧によって動作して上記動力電源用スイッチング素子を制御する動力電源用スイッチング制御回路とを有し,上記動力電源用平滑回路の出力を動力用電源出力部に出力する動力用電源回路,
一次側コイルおよび2つの二次側コイルを含む制御電源用トランスと,該制御電源用トランスの一次側コイルに接続され,直流入力をスイッチングする制御電源用スイッチング素子と,該制御電源用スイッチング素子の出力側において上記制御電源用トランスの一方の二次側コイルに並列に設けられる制御電源用平滑回路と,上記直流入力から,上記制御電源用トランスの他方の二次側コイル,該他方の二次側コイルに直列接続された第2の起動抵抗,および該他方の二次側コイルに並列接続されると共に上記第2の起動抵抗に直列接続された第2のコンデンサを介して発生する電圧によって動作して上記制御電源用スイッチング素子を制御する制御電源用スイッチング制御回路とを有し,上記制御電源用平滑回路の出力を制御用電源出力部に出力する制御用電源回路,ならびに
所与の電源遮断指令信号に応答して上記動力電源用スイッチング素子をオフとさせ,上記動力用電源出力部への動力用電源の出力を停止させる電源遮断回路を備える,
スイッチング電源装置。
【請求項3】
一次側コイルおよび2つの二次側コイルを含む動力電源用トランス,該動力電源用トランスの一次側コイルに接続され,直流入力をスイッチングする動力電源用スイッチング素子,該動力電源用スイッチング素子の出力側において上記動力電源用トランスの一方の二次側コイルに並列に設けられ,動力用電源を出力する動力電源用平滑回路,ならびに上記直流入力から,上記動力電源用トランスの他方の二次側コイル,該他方の二次側コイルに直列接続された第1の起動抵抗,および該他方の二次側コイルに並列接続されると共に上記第1の起動抵抗に直列接続された第1のコンデンサを介して発生する電圧によって動作して上記動力電源用スイッチング素子を制御する動力電源用スイッチング制御回路を有する動力用電源回路を備えるスイッチング電源装置において,
上記動力用電源回路の動力用電源出力部と,それとは別個の制御用電源回路の制御用電源出力部と,
所与の電源遮断指令信号に応答して上記動力電源用スイッチング素子をオフとさせ,上記動力用電源出力部への動力用電源の出力を停止させる電源遮断回路と,
一次側コイルおよび2つの二次側コイルを含む制御電源用トランス,該制御電源用トランスの一次側コイルに接続され,直流入力をスイッチングする制御電源用スイッチング素子,該制御電源用スイッチング素子の出力側において上記制御電源用トランスの一方の二次側コイルに並列に設けられ,制御用電源を出力する制御電源用平滑回路,ならびに上記直流入力から,上記制御電源用トランスの他方の二次側コイル,該他方の二次側コイルに直列接続された第2の起動抵抗,および該他方の二次側コイルに並列接続されると共に上記第2の起動抵抗に直列接続された第2のコンデンサを介して発生する電圧によって動作して上記制御電源用スイッチング素子を制御する制御電源用スイッチング制御回路を有し,電源遮断指令信号の有無にかかわらず上記制御用電源出力部に制御用電源を出力し続ける制御用電源回路とを備える,
スイッチング電源装置。
【請求項4】
上記動力用電源出力部のための第1の出力端子と,上記制御用電源出力部のための第2の出力端子と,上記電源遮断指令信号の入力端子とを備える,請求項2または3に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
共通の交流電源入力端子を備え,該交流電源入力端子に入力される交流電源を整流平滑して上記動力用電源回路および制御用電源回路の直流入力とする,請求項1から4のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
一次側コイルおよび2つの二次側コイルを含む動力電源用トランスと,該動力電源用トランスの一次側コイルに接続され,直流入力をスイッチングする動力電源用スイッチング素子と,該動力電源用スイッチング素子の出力側において上記動力電源用トランスの一方の二次側コイルに並列に設けられ,動力用電源を出力する動力電源用平滑回路と,上記直流入力から,上記動力電源用トランスの他方の二次側コイル,該他方の二次側コイルに直列接続された第1の起動抵抗,および該他方の二次側コイルに並列接続されると共に上記第1の起動抵抗に直列接続された第1のコンデンサを介して発生する電圧によって動作して上記動力電源用スイッチング素子を制御する動力電源用スイッチング制御回路とを有する動力用電源回路を備えるスイッチング電源装置において,
所与の電源遮断指令信号の入力に応答して上記動力電源用スイッチング素子をオフとさせ,動力用電源の出力を停止させる電源遮断回路と,
一次側コイルおよび2つの二次側コイルを含む制御電源用トランスと,該制御電源用トランスの一次側コイルに接続され,直流入力をスイッチングする制御電源用スイッチング素子と,該制御電源用スイッチング素子の出力側において上記制御電源用トランスの一方の二次側コイルに並列に設けられ,制御用電源を出力する制御電源用平滑回路と,上記直流入力から,上記制御電源用トランスの他方の二次側コイル,該他方の二次側コイルに直列接続された第2の起動抵抗,および該他方の二次側コイルに並列接続されると共に上記第2の起動抵抗に直列接続された第2のコンデンサを介して発生する電圧によって動作して上記制御電源用スイッチング素子を制御する制御電源用スイッチング制御回路とを有し,上記電源遮断指令信号の入力の有無にかかわらず,制御用電源を出力し続ける制御用電源回路と,
上記動力用電源回路の動力用電源出力端子と,それとは別個の上記制御用電源回路の制御用電源出力端子とを備える,
スイッチング電源装置。
【請求項7】
上記電源遮断回路が,上記電源遮断指令信号に応答して上記動力電源用スイッチング制御回路のイネーブル端子にディスイネーブル信号を与えるものである,請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
上記電源遮断回路が,上記電源遮断指令信号に応答して,上記動力電源用スイッチング素子を制御する上記動力電源用スイッチング制御回路の制御出力を強制的に,上記動力電源用スイッチング素子をオフに保つ状態とするものである,請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項9】
上記電源遮断回路が,上記電源遮断指令信号に応答して,上記動力電源用スイッチング制御回路の動作電源入力を遮断するものである,請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項10】
モータを駆動するモータ駆動回路と,該モータ駆動回路を制御するモータ制御回路とを有するモータ駆動装置,
上記モータ駆動装置のモータ駆動回路に動力用電源を供給する動力用電源回路,
上記モータ駆動装置のモータ制御回路に制御用電源を供給する制御用電源回路,および
所与の電源遮断指令信号の入力に応答して上記動力用電源回路の動力用電源の出力を停止させる電源遮断回路,
を備え
上記動力用電源回路が,
一次側コイルおよび2つの二次側コイルを含む動力電源用トランスと,該動力電源用トランスの一次側コイルに接続され,直流入力をスイッチングする動力電源用スイッチング素子と,該動力電源用スイッチング素子の出力側において上記動力電源用トランスの一方の二次側コイルに並列に設けられる動力電源用平滑回路と,上記直流入力から,上記動力電源用トランスの他方の二次側コイル,該他方の二次側コイルに直列接続された第1の起動抵抗,および該他方の二次側コイルに並列接続されると共に上記第1の起動抵抗に直列接続された第1のコンデンサを介して発生する電圧によって動作して上記動力電源用スイッチング素子を制御する動力電源用スイッチング制御回路とを備え,
上記電源遮断回路が,上記電源遮断指令信号の入力に応答して,上記動力電源用スイッチング素子をオフとさせるものであり,
上記制御用電源回路が,
一次側コイルおよび2つの二次側コイルを含む制御電源用トランスと,該制御電源用トランスの一次側コイルに接続され,直流入力をスイッチングする制御電源用スイッチング素子と,該制御電源用スイッチング素子の出力側において上記制御電源用トランスの一方の二次側コイルに並列に設けられ,制御用電源を出力する制御電源用平滑回路と,上記直流入力から,上記制御電源用トランスの他方の二次側コイル,該他方の二次側コイルに直列接続された第2の起動抵抗,および該他方の二次側コイルに並列接続されると共に上記第2の起動抵抗に直列接続された第2のコンデンサを介して発生する電圧によって動作して上記制御電源用スイッチング素子を制御する制御電源用スイッチング制御回路とを備え,上記電源遮断指令信号の入力の有無にかかわらず,制御用電源を出力し続けるものである,
モータ駆動制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はスイッチング電源装置および同スイッチング電源装置を組込んだモータ駆動制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源回路は,一般に,直流入力をスイッチングするスイッチング素子と,スイッチング素子の出力側に設けられる平滑回路と,スイッチング素子をオン,オフ制御するスイッチング制御回路とを備え,フィードバック制御によりスイッチング素子のオン,オフ時間比率(デューティ比)を制御して,安定化した直流電源(平滑回路の出力)を得るものである。交流入力の場合には前段に交流を直流に変換する整流平滑回路が設けられる。
【0003】
スイッチング電源装置から電源が供給されることにより動作する制御装置や動力装置にエラーが発生したり,緊急停止指令が与えられた場合に,スイッチング電源装置からの電源の供給を停止することが必要となることがある。特に直流動力装置に供給される動力用直流電源の電源ラインを遮断するためにはそれに耐えうる大型の素子,機器(FETやリレー)が必要となり,電源遮断回路の大型化,高価格化は避けられない。
【0004】
特許文献1には,重負荷時に電源を遮断する際に高い過電圧が加わることによりスイッチ素子が破壊されるのを未然に防止する共振形電源装置が開示されている。すなわち,この共振形電源装置では入力される電源しゃ断指令信号に基づいて出力電圧を絞込む電圧制御手段を設けるとともに,出力電圧が十分低下したことを検知して変圧器1次回路の共振にかかるスイッチ素子をオフさせる電源しゃ断手段を設けている。出力電圧制御手段としては,変圧器2次巻線の主回路に制御巻線付きの可飽和リアクトルを挿入し,電源しゃ断指令信号に基づいて上記制御巻線に主回路電源と逆位相の電流を流す構成としている。
【0005】
特許文献1の電源回路では動力装置に供給されるすべての電源を遮断しているので,動力装置内に設けられている制御装置にもその動作電源が供給されなくなり,その後の制御(たとえばエラーへの対処,復旧処理など)ができなくなってしまう。特に制御装置がプロセッサ等を含む場合には,復旧時(立上げ時)におけるプロセッサ等の初期化処理が必要となる
【0006】
特許文献2はロボットシステムの電源装置を開示している。このロボットシステムでは,通常の制御部および駆動部に加えて,ロボットの動作領域からの逸脱を検出して駆動電源を遮断する第1,第2の監視手段を設け,制御部によって制御される電源遮断手段と,第1,第2の監視手段の第1,第2の電源遮断手段とを,駆動電源とロボットを駆動するモータとの間に直列に接続している。駆動電源とモータとの間に3つの遮断手段が直列に接続されているから,いずれにしてもこれらの遮断手段で駆動電力を直接に遮断することになり,これらの遮断手段は大電流に耐えうるものでなければならない。また,特許文献2においてもロボットシステム内に設けられている制御装置にその動作電源が供給されなくなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第2628198号公報
【文献】特許第5271499号公報
【発明の概要】
【0008】
この発明は,駆動電源のラインを直接的に遮断する構成を避けるとともに,動力用(駆動用)電源の供給を遮断しても制御系のための制御用電源を確保できるようにすることを目的とするものである。
【0009】
この発明によるスイッチング電源装置は,直流入力をスイッチングする動力電源用スイッチング素子,該動力電源用スイッチング素子の出力側に設けられ,動力用電源を出力する動力電源用平滑回路,および該動力電源用スイッチング素子を制御する動力電源用スイッチング制御回路を有する動力用電源回路と,所与の電源遮断指令信号に応答して上記動力電源用スイッチング素子をオフとさせ,上記動力用電源回路からの動力用電源の出力を停止させる電源遮断回路と,直流入力をスイッチングする制御電源用スイッチング素子,該制御電源用スイッチング素子の出力側に設けられ,制御用電源を出力する制御電源用平滑回路,および該制御電源用スイッチング素子を制御する制御電源用スイッチング制御回路を有し,上記電源遮断指令信号の有無にかかわらず制御用電源を出力し続ける制御用電源回路とを備えるものである。
【0010】
この発明によるスイッチング電源装置は動力用電源回路と制御用電源回路とを備えている。そして,電源遮断指令信号が与えられたときに電源遮断回路によって動力用電源回路からの動力用電源(電力,電圧,電流)の出力(供給)が停止される。動力用電源の出力の停止は,動力用電源回路内の動力電源用スイッチング素子をオフさせることにより実現しており,動力用直流電源の電源ラインを直接に遮断している訳ではないので,大型の素子,機器は必要ない。さらに,この発明のスイッチング電源装置には制御用電源回路が設けられ,上記電源遮断指令信号の有無にかかわらず,この制御用電源回路が制御用電源(電力,電圧,電流)を出力(供給)し続けるので,電源の供給対象装置における制御系のための電源を確保することができる。
【0011】
スイッチング電源装置には,動力用電源回路のための動力用電源出力部と,制御用電源回路の制御用電源出力部とを設けることができる。これらの動力用電源出力部と制御用電源出力部は別個のものである。アースは共通にしてもよい。これらの電源出力部は単なる配線,その一部分,配線パターン等でもよいし,出力端子でもよい。スイッチング電源装置には電源遮断指令信号の入力部または入力端子を設けることができる。これらの出力端子や入力端子は1または複数のコネクタとして実現することもできる。
【0012】
入力電源が交流電源の場合には,この交流電源を整流平滑して上記動力用電源回路および制御用電源回路の直流入力とする。
【0013】
この発明を別の観点から表現すると,この発明は,直流入力をスイッチングする動力電源用スイッチング素子と,該動力電源用スイッチング素子の出力側に設けられ,動力用電源を出力する動力電源用平滑回路と,該動力電源用スイッチング素子を制御する動力電源用スイッチング制御回路とを有する動力用電源回路を備えるスイッチング電源装置において,所与の電源遮断指令信号の入力に応答して上記動力電源用スイッチング素子をオフとさせ,動力用電源の出力を停止させる電源遮断回路と,上記電源遮断指令信号の入力の有無にかかわらず,制御用電源を出力し続ける制御用電源回路と,上記動力用電源回路の動力用電源出力端子と,それとは別個の上記制御用電源回路の制御用電源出力端子とを備えるものである。
【0014】
一実施態様では,上記電源遮断回路は,上記電源遮断指令信号に応答して上記動力電源用スイッチング制御回路のイネーブル端子にディスイネーブル信号を与えるものである。
【0015】
他の実施態様では上記電源遮断回路は,上記電源遮断指令信号に応答して,上記動力電源用スイッチング素子を制御する上記動力電源用スイッチング制御回路の制御出力を強制的に,上記動力電源用スイッチング素子をオフに保つ状態とするものである。たとえば,上記動力電源用スイッチング制御回路の制御出力と上記動力電源用スイッチング素子との間に制御出力遮断用スイッチング素子を設け,上記電源遮断指令信号に応答して上記制御出力遮断用スイッチング素子をオフとする。
【0016】
さらに他の実施態様では上記電源遮断回路は,上記電源遮断指令信号に応答して,上記動力電源用スイッチング制御回路の動作電源入力を遮断するものである。
【0017】
この発明によるスイッチング電源装置を備えるモータ駆動制御システムは,モータを駆動するモータ駆動回路と,該モータ駆動回路を制御するモータ制御回路とを有するモータ駆動装置,上記モータ駆動装置のモータ駆動回路に動力用電源を供給する動力用電源回路,上記モータ駆動装置のモータ制御回路に制御用電源を供給する制御用電源回路,および所与の電源遮断指令信号の入力に応答して上記動力用電源回路から動力用電源の出力を停止させる電源遮断回路を備えるものである。
【0018】
一実施態様では,上記動力用電源回路は,直流入力をスイッチングする動力電源用スイッチング素子と,該動力電源用スイッチング素子の出力側に設けられる動力電源用平滑回路と,該動力電源用スイッチング素子を制御する動力電源用スイッチング制御回路とを備え,上記電源遮断回路が,上記電源遮断指令信号の入力に応答して,上記動力電源用スイッチング素子をオフとさせるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】スイッチング電源装置を含むモータ駆動制御システムの全体的構成を示すブロック図である。
図2】動力用電源回路の回路図であり,特にシャットダウン(電源遮断)回路の一例を示す。
図3】動力用電源回路の回路図であり,特にシャットダウン(電源遮断)回路の他の例を示す。
図4】動力用電源回路の回路図であり,特にシャットダウン(電源遮断)回路のさらに他の例を示す。
【実施例
【0020】
図1はスイッチング電源装置を含むモータ駆動制御システムの全体的構成を示すブロック図である。
【0021】
モータ駆動制御システムはスイッチング電源装置10とモータ駆動制御装置80とから構成される。
【0022】
スイッチング電源装置10は2つの電源回路を含む。すなわち,動力用(駆動用)電源回路20と制御用電源回路60である。これらの電源回路20と60の構成は,動力用電源回路20がシャットダウン回路(電源遮断回路)40を備えている点を除いて,基本的に同じである。もっとも,これらの電源回路20と60の出力電圧,容量(定格)等は異なってもよいし,これに伴ってこれらの電源回路20,60を構成する電気,電子部品,素子の大きさ,定格等が異なることがある。
【0023】
これらの電源回路20,60(電源装置10)から出力される電源は,電源ケーブル(コード,ライン)90,電源装置10側の電源出力コネクタ90A,モータ駆動制御装置80側の電源入力コネクタ90Bを通してモータ駆動制御装置80に供給される。コネクタ90A,90Bは動力電源用端子(動力用電源出,入力部)と,制御電源用端子(制御用電源出,入力部)と,アース(接地)端子とを有する。
【0024】
さらに電源装置10(電源回路20)およびモータ駆動制御装置80には,シャットダウン(電源遮断)指令信号の入力用および出力用のコネクタ91A,91Bが設けられ,ライン91により着脱自在に接続される。これらのコネクタ91A,91Bは電源用のコネクタ90A,90Bの中に組込んでもよい。またはコネクタ91A,91Bを設けずに,両装置10(20)と80をラインで接続しておいてもよい。電源用のコネクタ90A,90Bを設けずに,両装置10と80を直接的に(着脱自在ではなく)電気的に接続しておいてもよい。この場合には,動力用電源出,入力部と制御用電源出,入力部は配線(配線パターンを含む)上の一部分となろう。装置10と80をそれぞれ別個の筐体内に収納してもよいし,装置10と80を一つの筐体内に組込んで一体化とすることもできる。
【0025】
スイッチング電源装置10の動力用(駆動用)電源回路20はスイッチング電源回路である。交流(AC)(たとえば商用交流電源)入力は整流回路(後述するように,たとえばダイオード・ブリッジ整流回路)12で全波整流され,平滑コンデンサ13によって平滑される。整流平滑された直流入力はトランス(降圧トランス)14の一次側コイル(巻線)を経て動力電源用スイッチング素子22によって,一般には高い繰返し周波数で,オン,オフ・スイッチングされる。スイッチング素子22は図示の例ではn型チャネルFET(電界効果トランジスタ)であり,ソースが抵抗23を介して接地されている。動力電源用スイッチング制御回路21はFET22をオン,オフ制御する制御出力を出力するもので,制御出力(方形波またはパルス)のデューティ比は後述するようにフィードバック制御される。スイッチング制御回路21の出力はFET22のゲートに与えられる。FET22のスイッチングによってトランス14の一次側から二次側に交流の電気エネルギーが伝達される。トランス14の二次側コイルに誘起される交流は平滑コンデンサ46に蓄積されて平滑され,直流(DC)が出力され,コネクタ90Aの動力電源用出力端子に与えられる。
【0026】
トランス14の二次側で平滑化されたDC電圧はフィードバック制御回路30を経てスイッチング制御回路21に与えられる。これによって二次側出力DC電圧が一定になるように,スイッチング制御回路21のFET22のゲートに与えられる制御信号(パルスまたは方形波信号)のデューティ比が調整される。
【0027】
後述するように,モータ駆動制御装置80からシャットダウン(電源遮断)指令信号が入力コネクタ91Aを経てシャットダウン(電源遮断)回路40に与えられると,シャットダウン回路40はスイッチング制御回路21を介してスイッチング素子22の動作を停止させる(オフとする)。すなわち,FET22のベースに入力する制御信号は停止し(Lレベルに保持され),FET22はスイッチング動作を停止する(オフ状態となる)。これによってトランス14の二次側に電気エネルギーが伝達されなくなり,動力用電源のコネクタ90Aへの供給が停止する。
【0028】
シャットダウン回路40の具体的構成の例については図2から図4を参照して詳述するが,シャットダウン回路40からスイッチング制御回路21に向う矢印は,これらの具体的構成例をカバーし,スイッチング制御回路21の動作を停止させる,またはスイッチング素子22の動作を停止させる(すなわち,スイッチング素子をオフとする)ように働く態様のすべてを表わすものと理解されたい。
【0029】
なお,動力用電源回路20のトランス14,制御用電源回路60のトランス54,およびフィードバック制御回路30,39の後述するフォトカプラ34,42(フィードバック制御回路39に含まれるフォトカプラも)は,電源装置10(電源回路20,60)の入力側と出力側(トランス14,54の一次側と二次側)を電気的に絶縁するためのものである。
【0030】
制御用電源回路60にはシャットダウン回路40に相当する電源遮断のための回路は設けられていない。これ以外の電気的構成は両電源回路20と60において同じである。
【0031】
念の為に簡単に説明しておくと,スイッチング電源装置10の制御用電源回路60もスイッチング電源回路である。交流入力は整流回路52で全波整流され,平滑コンデンサ53によって平滑される。整流平滑された直流はトランス(降圧トランス)54の一次側コイル(巻線)を経て制御電源用スイッチング素子(FET)62によってオン,オフ・スイッチングされる。スイッチング素子62のソースが抵抗63を介して接地されている。制御電源用スイッチング制御回路61の出力はFET62のゲートに与えられる。FET62のスイッチングによってトランス54の一次側から二次側に一般には高周波の交流の電気エネルギーが伝達される。トランス54の二次側コイルに誘起される交流は平滑コンデンサ56に蓄積されて平滑され,コネクタ90Aの制御電源用出力端子に直流(DC)が与えられる。
【0032】
トランス54の二次側で平滑されたDC電圧はフィードバック制御回路39を経てスイッチング制御回路61に与えられる。これによって二次側出力DC電圧が一定になるように,FET62のゲートに与えられる制御信号のデューティ比が調整される。
【0033】
制御用電源回路60にはスイッチング制御回路61の動作を停止させる,またはFET62の動作を停止させる(オフとする)シャットダウン回路(電源遮断回路)は設けられていない。したがって,モータ駆動制御装置80からシャットダウン指令信号が出力されても,制御用電源回路60はその動作を停止することはなく,制御用電源を出力し続け,コネクタ90A,90Bを経てモータ駆動制御装置80に供給し続ける。
【0034】
モータ駆動制御装置80は上述したように,動力用電源の入力端子,制御用電源の入力端子およびアース端子を有するコネクタ90Bを備え,電源装置10からコネクタ90Bのこれらの端子に供給される電源によって動作する。
【0035】
まず動力用電源は平滑コンデンサ84によって平滑され,モータドライバ(駆動回路)82に供給される。モータドライバ82は制御装置(制御回路)81の制御の下に,ロボット,アクチュエータ,その他の動力装置に組込まれたモータ(図示略)をモータコネクタ85を介して駆動する。
【0036】
制御装置81はモータの駆動制御を行うとともに,モータを含む動力装置の監視(エラーの検出,警告の発生,エラーへの対処,復旧等),シャットダウン(電源遮断)指令信号の発生,その他の制御動作を行う。電源装置10の制御用電源回路60から出力され,コネクタ90Bを経て入力する制御用電源は制御電源生成回路83において,制御装置81の動作に適した電圧に変換されて制御装置81に与えられる。制御装置81はこの制御電源生成回路83から供給される電源により上記の所定の制御動作を行う。
【0037】
モータ駆動制御装置80に供給される制御電源はまた,非常停止コネクタ86を経て外部回路88に与えられる。外部回路88はたとえば非常停止ボタン(図示略)を含む非常停止回路である。非常停止ボタンが押されると,制御用電源がコネクタ86を経て非常停止信号として減圧(降圧)(分圧による減圧,降圧を含む)回路87に入力する。この非常停止信号は減圧回路87で制御装置81が受入可能な電圧に変換されて制御装置81に入力する。
【0038】
制御装置81は動力用電源の供給を停止すべき事態が発生したときにそれを検知してシャットダウン(電源遮断)指令信号を発生する。動力用電源の供給を停止すべき事態の例として,減圧回路87を経て外部回路88から非常停止信号が入力した場合,モータを含むロボット,アクチュエータ等の動力装置にエラーが発生した場合等がある。制御装置81から出力されるシャットダウン指令信号は,コネクタ91B,ライン91,コネクタ91Aを経て,電源回路20のシャットダウン回路40に入力し,上述したように電源回路20からの動力用電源の供給が停止する。制御用電源回路60は動作を続けるので,制御用電源はモータ駆動制御装置80,特にその制御装置81に供給され続ける。
【0039】
シャットダウン指令信号は必ずしもモータ駆動制御装置80の制御装置81が発生する構成としなくてもよい。たとえばモータ駆動制御装置80が上位の制御装置によって統括されるような構成においては,モータ駆動制御装置80の制御装置81が非常停止信号やエラーを検出した場合に,その旨を上位の制御装置に報告する。上位の制御装置はこの報告を受けてシャットダウン指令信号を出力すべきかどうか判断または決定し,出力すべきと判断,決定したときにシャットダウン指令信号を動力用電源回路20のシャットダウン回路40に与える。上位の制御装置は複数台のモータ駆動制御装置を統括するものでもよい。電源装置10はこれらの上位の制御装置および1台または複数台のモータ駆動制御装置に動力用電源および制御用電源を供給する構成でもよい。
【0040】
図2はシャットダウン回路40の具体的構成例を示すためのものであり,動力用電源回路20の具体的構成を示している。図2において,図1に示すものと同一物には同一符号を付し,重複説明を避ける。
【0041】
動力電源用スイッチング制御回路21はイネーブル端子ENB を有するIC回路である。イネーブル端子の有無にかかわらずスイッチング電源用のスイッチング制御回路ICとして多くの種類のものが市販されており,その中からイネーブル端子ENB を有するスイッチング制御回路ICを選択することができる。このIC21は,イネーブル端子ENB にプルアップ抵抗43を介して電源電圧Vcc (Hレベル)が印加されている場合に動作状態(イネーブル)となっており,スイッチング素子22のオン,オフ制御を行う。イネーブル端子ENB の入力がなくなると(接地レベル,Lレベル),IC21はディスエーブル(動作不能)となる。
【0042】
図2において整流回路12はダイオードブリッジ整流回路である。トランス14の一次側コイル(巻線)が符号15で示されている。この一次側コイル15にはスイッチング素子22と抵抗23が直列に接続されている。トランス14の二次側コイル(巻線)は2つあり,符号16と17で示されている。二次側コイル16は動力用電源の出力側用であり,二次側コイル16の出力側にはダイオード45(図1では図示略)とコンデンサ46によりなる整流平滑回路が接続され,その出力はコネクタ90Aの動力用電源出力端子に接続される。
【0043】
二次側コイル17はスイッチング制御回路21の電源用であり,その両端に平滑コンデンサ24とツェナーダイオード25が接続されており,電圧Vcc はツェナーダイオード25のツェナー電圧(降状電圧)で定まる。平滑コンデンサ24の両端はスイッチング制御回路21の電源端子VBと接地(グランド)端子GND とに接続されている。コイル17と直列に整流用ダイオードを接続してもよい。
【0044】
抵抗値の大きい起動抵抗18がトランス14の一次側コイル15と二次側コイル17との間に接続されている。電源装置10のAC電源投入時にコンデンサ13に蓄えられた電荷による電流が起動抵抗18を通って流れ,コンデンサ24に電荷が蓄えられ,電源電圧Vcc が発生し,スイッチング制御回路21の電源端子Vccとイネーブル端子ENBの間に印加される。これによりスイッチング制御回路21が動作を開始し,スイッチング素子のFET22をオン,オフ制御し始める。後述するようにシャットダウン指令信号の入力により,イネーブル端子ENB がLレベルになるとスイッチング制御回路21は動作を停止し,FET22はオフになる。このときも抵抗18を通って電流がコンデンサ24に流れ続けるので,スイッチング制御回路21の動作電源は確保されている。再びイネーブル端子ENB に印加される電圧がHレベルになれば,スイッチング制御回路21は再び動作を開始する。抵抗18,コンデンサ24およびツェナーダイオード25はスイッチング制御回路21の電源回路である。もっとも,動力用電源回路20のスイッチング制御回路21の電源としては,シャットダウン指令信号の有無にかかわらず制御用電源を供給し続けている制御用電源回路60の制御電源を用いてもよい。
【0045】
フィードバック制御回路30はシャントレギュレータ33を含む。このシャントレギュレータ33とフォトカプラ34のフォトダイオードとによる直列回路に動力用出力電圧(コンデンサ46の両端間の電圧)が印加される。他方,この動力用出力電圧は抵抗31と32との直列接続分圧回路にも印加され,分圧回路によって分圧された電圧がシャントレギュレータ33の制御端子に印加される。この分圧された電圧がシャントレギュレータの内部基準電圧と比較され,分圧された電圧が内部基準電圧よりも高い場合にシャントレギュレータ33に電流が流れ,フォトカプラ34のフォトダイオードが発光する。これによってフォトカプラ34のフォトトランジスタがオンし,電源電圧Vcc がスイッチング制御回路21のフィードバック端子FBに印加される。フィードバック端子FBに電圧が加わるとスイッチング制御回路の制御出力のデューティ比が,スイッチング素子FET22のオフの時間が長くなる方向に変化する。これによって動力用出力電圧が低下する方向に働き,動力用出力電圧が安定する。
【0046】
シャットダウン回路40Aにおいて,スイッチング制御回路21のイネーブル端子ENB と接地(アース)との間には,フォトカプラ42のフォトトランジスタが接続されている。イネーブル端子ENBは上記のようにプルアップ抵抗43を通して電源電圧Vccに接続されている。一方,フォトカプラ42のフォトダイオードのアノードは抵抗41を介してシャットダウン指令信号入力コネクタ91Aに接続され,そのカソードは接地されている。
【0047】
コネクタ91Aは正常状態ではLレベルに保持されている。コネクタ91AにHレベルのシャットダウン指令信号が入力すると,フォトカプラ42のフォトダイオードが発光し,そのフォトトランジスタがオンとなり,スイッチング制御回路21のイネーブル端子ENB が接地され(Lレベルになり),スイッチング制御回路21の動作が停止し,その制御出力は接地状態(Lレベル)に保たれる。これによって,スイッチング素子FET22はオフ状態に保持される。スイッチング素子FET22がオフになると,トランス14の二次側コイル16に電圧が誘起されなくなるので,動力用電源回路20の出力(コネクタ90Aへの出力)は停止する。この場合でも,コンデンサ24には蓄電されているので,スイッチング制御回路21には電源電圧Vcc が供給され続けている。入力するシャットダウン指令信号がLレベルに戻ればフォトカプラ42のフォトトランジスタはオフするので,スイッチング制御回路21のイネーブル端子ENBに電源電圧Vccが印加され,スイッチング制御回路21は動作状態となる。スイッチング素子FET22はオン,オフを繰返すので,動力用電源回路20の出力は復活する。
【0048】
なお,シャットダウン指令信号がパルス信号の場合には,この入力パルスによりHレベルを保持するホールド回路を設けておけばよい。そしてシャットダウン終了信号によってホールドされているHレベルをLレベルに戻せばよい。
【0049】
制御用電源回路60の具体的構成例としては,図2に示す動力用電源回路において,シャットダウン回路40Aを除いた回路構成(制御回路IC21においてイネーブル端子ENB は必ずしも必要ない)により実現することができる。もちろん動力用電源回路20と制御用電源回路60とは電源容量が異なるので,回路素子の定格等は当然異なるものとなる。
【0050】
図3はシャットダウン回路の他の例を示す。このシャットダウン回路40Bはシャットダウン指令信号に応答してスイッチング素子FET22のゲートを接地(L)レベルに強制的に引き下げるものである。スイッチング制御回路21は動作し続けている。図2に示すものと同一物には同一符号を付し,重複説明を避ける。スイッチング制御回路21はイネーブル端子のないものでもよい。
【0051】
スイッチング素子FET22のゲートと接地(アース)との間にはトランジスタ(制御出力遮断用スイッチング素子)44が接続されている。また,スイッチング制御回路21の制御出力端子とトランジスタ44との間に電流制限抵抗45が接続されている。フォトカプラ42のフォトトランジスタは制御電源Vcc の正側とトランジスタ44のベースとの間に抵抗47を介して接続されている。
【0052】
正常状態ではトランジスタ44はオフしており,スイッチング制御回路21の制御出力はスイッチング素子FET22のゲートに与えられるので,FET22はオン,オフを繰返している。Hレベルのシャットダウン信号が入力すると,フォトカプラのフォトトランジスタがオンとなり,トランジスタ44のベースにHレベルの信号が与えられるので,このトランジスタ44がオンし,スイッチング素子FET22のゲートは接地(L)レベルに引き下げられるもので,オフする。これにより,動力用電源の出力は止む。シャットダウン指令信号がLレベルに戻れば,動力用電源回路20は上記の正常状態に戻る。
【0053】
図4はシャットダウン回路のさらに他の例を示すものである。このシャットダウン回路40Cはスイッチング制御回路21の動作電源の供給を断つものである。このために,スイッチング制御回路21の動作電源端子VBと制御電源Vcc の正側(コンデンサ24の正電位側)との間にスイッチング素子としてのFET50が接続されている。制御電源Vcc の正側と接地との間に分圧抵抗26,27およびトランジスタ51が直列に接続され,抵抗26と27の接続点がFET50のゲートに接続されている。他方,制御電圧Vcc の正側と接地との間に抵抗49とフォトカプラ42のフォトトランジスタが接続され,抵抗49とこのトランジスタとの接続点が抵抗48を介してトランジスタ51のベースに接続されている。
【0054】
正常状態ではフォトカプラ42のフォトトランジスタはオフ,トランジスタ51はオン,FET50はオンの状態にあり,スイッチング制御回路21の電源端子VBには電源電圧Vcc が供給されている。スイッチング制御回路21は正常に動作し,動力用電源回路20は動力用電源を出力している。
【0055】
シャットダウン指令信号が入力すると,フォトカプラ42のフォトトランジスタがオンとなり,トランジスタ51がオフとなるから,抵抗26と27とからなる分圧回路には電流が流れなくなり,FET50のゲート/ソース間が同電位となるのでFET50はオフとなる。これにより,スイッチング制御回路21には電源電圧Vcc が供給されなくなるのでスイッチング制御回路21は動作を停止し,FET22のゲートには制御信号が与えられなくなり(フローティング状態),FET22はオフする。したがって,動力用電源回路20の電圧出力は停止する。
【符号の説明】
【0056】
10 スイッチング電源装置
12,45,52 整流回路
13,24,46,53,56,84 平滑コンデンサ
14,54 トランス
20 動力用(駆動用)電源回路
21,61 スイッチング制御回路
22,62 スイッチング素子(FET)
25 ツェナーダイオード
30,39 フィードバック制御回路
34,42 フォトカプラ
40,40A,40B,40C シャットダウン(電源遮断)回路
44 トランジスタ(スイッチング素子)
50 FET(スイッチング素子)
60 制御用電源回路
80 モータ駆動制御装置
81 制御装置
82 モータドライバ
83 制御電圧生成回路
90 電源ケーブル
90A,90B 電源出力,入力コネクタ
91 ライン
91A,91B シャットダウン(電源遮断)指令信号の入力,出力用コネクタ
図1
図2
図3
図4