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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/00 20060101AFI20230221BHJP
   F24C 15/34 20060101ALI20230221BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20230221BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
F24C3/00 L
F24C15/34 A
F24C15/34 D
A47J37/06 366
F24C3/12 U
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019027150
(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公開番号】P2020133995
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】坂井 康弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-078122(JP,A)
【文献】特開2017-172904(JP,A)
【文献】実開昭61-036215(JP,U)
【文献】特開2002-276933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00
F24C 15/34
A47J 37/06
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にグリルバーナを備えたグリル庫と、
前記グリル庫の左右のいずれかの側に設けられ、前記グリルバーナに燃料を供給する燃料供給装置と
を備えたコンロであって、
前記燃料供給装置の上方に設けられるコンロバーナと、
前記コンロバーナと前記燃料供給装置との上下方向における間の位置において、前記燃料供給装置を上側から覆うように設けられる板状部である覆い部とを備え、
前記燃料供給装置には、内部にダイヤフラムを備え、前記グリルバーナに供給される燃料の供給圧を調整するガバナ装置が連結されており、
前記グリル庫の左右の両側壁のうち前記燃料供給装置が設けられる側の側壁の上下方向における略中央には、グリル延設板が設けられ、
前記グリル延設板は、
前記側壁から側方に延び且つ平面視前後方向に延びる第一延設部と、
前記第一延設部の前記側壁から離間する側の一端部から下方に折れ曲がって延びる第二延設部と
を備え、
前記グリル延設板には、前記グリル庫で発生する熱を遮断するためのグリル遮熱部が取り付けられ、
前記グリル遮熱部は、
前記第一延設部と平行に延び、前記第一延設部の上面に取り付けられる取付部と、
前記取付部の前記グリル庫側の一端部から、前記グリル庫と前記ガバナ装置との間において上下方向に延びて配設される遮熱板と
を備え、
前記取付部の前端部は、前記第一延設部の前端部の位置よりも後方に位置し、
前記取付部の後端部は、前記第一延設部の後端部の位置よりも前方に位置し、
前記覆い部は、
前記コンロバーナの下方に配置される部分に設けられ、周縁部よりも一段下方に窪んだ部分である第一部分と、
前記第一部分から前記覆い部のうち前記グリル庫に近接する側の端部であるグリル庫側端部に向けて窪んで延びる第二部分と
を備え、
前記第二部分は、前記グリル庫の前記側壁と前記遮熱板との間の位置に向けて延びることを特徴とするコンロ。
【請求項2】
前記ガバナ装置は、前記燃料供給装置の上側に配置され、
前記遮熱板の上端は、少なくとも前記グリル庫の上面の位置まで延びることを特徴とする請求項1に記載のコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンロバーナ、グリルバーナ等に燃料を供給する燃料配管等に、燃料圧の変動を抑制する調圧機能を有したガバナ装置が設けられたコンロが知られている。特許文献1に開示されたガスコンロは、グリル庫の上火バーナ及び下火バーナへの燃料ガスを制御するガス制御装置に、ガバナ装置を設けている。ガバナ装置は、ゴム、熱可塑性樹脂等で構成されたダイヤフラムを収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-340432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガス制御装置にガバナ装置を設ける場合、コンロ筐体の内部における比較的上部の位置にガバナ装置が配置されやすくなるので、ガバナ装置がグリル庫に近接配置されやすい。高温の影響によりガバナ装置の内部のダイヤフラムが劣化した場合、ガバナ装置の調圧機能が低下する可能性があるといった問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、ガバナ装置がグリル庫に近接配置されても、ガバナ装置の調圧機能を保つことができるコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るコンロは、内部にグリルバーナを備えたグリル庫と、前記グリル庫の左右のいずれかの側に設けられ、前記グリルバーナに燃料を供給する燃料供給装置とを備えたコンロであって、前記燃料供給装置の上方に設けられるコンロバーナと、前記コンロバーナと前記燃料供給装置との上下方向における間の位置において、前記燃料供給装置を上側から覆うように設けられる板状部である覆い部とを備え、前記燃料供給装置には、内部にダイヤフラムを備え、前記グリルバーナに供給される燃料の供給圧を調整するガバナ装置が連結されており、前記グリル庫の左右の両側壁のうち前記燃料供給装置が設けられる側の側壁の上下方向における略中央には、グリル延設板が設けられ、前記グリル延設板は、前記側壁から側方に延び且つ平面視前後方向に延びる第一延設部と、前記第一延設部の前記側壁から離間する側の一端部から下方に折れ曲がって延びる第二延設部とを備え、前記グリル延設板には、前記グリル庫で発生する熱を遮断するためのグリル遮熱部が取り付けられ、前記グリル遮熱部は、前記第一延設部と平行に延び、前記第一延設部の上面に取り付けられる取付部と、前記取付部の前記グリル庫側の一端部から、前記グリル庫と前記ガバナ装置との間において上下方向に延びて配設される遮熱板とを備え、前記取付部の前端部は、前記第一延設部の前端部の位置よりも後方に位置し、前記取付部の後端部は、前記第一延設部の後端部の位置よりも前方に位置し、前記覆い部は、前記コンロバーナの下方に配置される部分に設けられ、周縁部よりも一段下方に窪んだ部分である第一部分と、前記第一部分から前記覆い部のうち前記グリル庫に近接する側の端部であるグリル庫側端部に向けて窪んで延びる第二部分とを備え、前記第二部分は、前記グリル庫の前記側壁と前記遮熱板との間の位置に向けて延びることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係るコンロは、請求項1に記載の構成に加えて、前記ガバナ装置は、前記燃料供給装置の上側に配置され、前記遮熱板の上端は、少なくとも前記グリル庫の上面の位置まで延びることを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
【0009】
グリルバーナで燃焼が行われると、グリル庫が高温になりやすい。燃料供給装置には、内部にダイヤフラムを備えるガバナ装置が連結されている。この場合、ガバナ装置がグリル庫に近接配置されやすいが、グリル庫とガバナ装置との間に遮蔽板が設けられるので、グリル庫で発生する熱がガバナ装置に伝わりにくい。よって、ガバナ装置の内部のダイヤフラムが劣化し難い。したがって、請求項1に係るコンロは、ガバナ装置がグリル庫に近接配置されても、ガバナ装置の調圧機能を保つことができる
また、コンロバーナを用いた調理が行われた場合、煮汁が煮こぼれること等により、液体が鍋等の調理器具からコンロバーナに向けて滴下することがある。コンロは燃料供給装置を上側から覆う覆い部を備えるので、コンロバーナに向けて滴下した液体がガバナ装置及び燃料供給装置にかかることによる不具合を防止することができる。また、覆い部によって受け止められた液体は、第一部分に溜まった後、第二部分を経由して覆い部の外部に流出する。第二部分は、グリル庫と遮熱板との間の位置に向けて延びるので、覆い部から流出する液体がガバナ装置に付着することが防止される。これにより、コンロは、燃料供給装置にガバナ装置が連結し、ガバナ装置がグリル庫に近接配置されるような場合であっても、ガバナ装置に不具合が生ずることを回避できる。
【0010】
請求項2に係るコンロは、請求項1に記載の発明の効果に加え、遮熱板の上端がグリル庫の上面の位置まで延びているので、ガバナ装置が燃料供給装置の上側に配置されていても、グリル庫からガバナ装置に向けて伝導する熱が遮断される。
【0011】
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】天板を省略したコンロ1の斜視図である。
図2】天板を省略したコンロ1の平面図である。
図3図2に示すI-I線で切断したコンロ1を左斜め後方から見た斜視図である。
図4】天板、コンロバーナ、第一架設部材41、第二架設部材42、第三架設部材43及び受け部31,32を省略したコンロ1の平面図である。
図5図4に示すII-II線矢視方向断面図である。
図6】受け部31の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造は、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられているものである。以下説明では、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0014】
図1から図3を参照して、コンロ1について説明する。コンロ1は、ビルトインタイプのガスコンロである。コンロ1は筐体2を備える。筐体2は、上部が開口した略直方体状に形成される。なお、図1において、筐体2の開口する上部に固定される天板の図示を省略する。筐体2は、筐体2の右側壁、左側壁、前側壁、後側壁及び底面をなす、右側壁部21、左側壁部22、前側壁部23、後側壁部24及び底面20(図3参照)を備える。
【0015】
図1に示すように、コンロ1の前面の略中央には、グリル扉8が設けられる。グリル扉8は、筐体2の内側中央部に設置されたグリル庫25の前側開口部分を開閉する。グリル扉8の右側の領域には、正面視円形状の2つの操作つまみ11、12が左右方向に並んで設けられる。グリル扉8の左側の領域には、操作つまみ11、12と同じ高さの位置に、同一形状の2つの操作つまみ13、14が左右方向に並んで設けられる。
【0016】
筐体2の内側上部に、右側壁部21と左側壁部22との間を左右方向に延びる細長板状の第一架設部材41及び第二架設部材42が設けられる。第一架設部材41は前側に、第二架設部材42は後側に配置され、互いに略平行に設けられている。第一架設部材41及び第二架設部材42の左右方向略中央部との間に、前後方向に延びる細長板状の第三架設部材43が架設される。第一架設部材41、第二架設部材42及び第三架設部材43は、筐体2を補強し、右コンロバーナ4、左コンロバーナ5及び奥コンロバーナ6を筐体2の内側に支持する。第一架設部材41の上面右側に右コンロバーナ4が、上面左側に左コンロバーナ5が、第二架設部材42と第三架設部材43との接続部の上側に奥コンロバーナ6が、それぞれ支持される。また、第一架設部材41、第二架設部材42及び第三架設部材43よりも下方の位置において、筐体2の内側の左右方向における略中央部に、箱状のグリル庫25が設置される。
【0017】
図2に示すように、右コンロバーナ4はグリル庫25の右側に、左コンロバーナ5はグリル庫25の左側に、奥コンロバーナ6はグリル庫25の上方において後側壁部24に近接した位置に、それぞれ配置される。前述の操作つまみ11~14のそれぞれは、右コンロバーナ4、グリル庫25内の上火バーナ255及び下火バーナ256(図3参照)、奥コンロバーナ6、左コンロバーナ5の点火、消火及び火力調節を行うために操作される。以下では、上火バーナ255及び下火バーナ256を総称して、グリルバーナという。右コンロバーナ4、左コンロバーナ5及び奥コンロバーナ6を総称して、コンロバーナという。操作つまみ11~14は、それぞれ、燃料供給装置51~54(図4参照)の前端部に取り付けられる。
【0018】
図2及び図3に示すように、右コンロバーナ4の下側には、受け部31が設けられている。左コンロバーナ5の下側には、受け部32が設けられている。受け部31,32は、ともに平面視で略長方形の皿状であり、右コンロバーナ4及び左コンロバーナ5によって加熱された鍋等の調理器具から吹きこぼれること等により筐体2の内部に滴下する煮汁等の液体を受け止めるために設けられる。
【0019】
図3に示すように、グリル庫25の右壁部252及び左壁部253の上下方向における略中央部に、一対のグリル延設板60,60が設けられている。右壁部252に設けられるグリル延設板60と、左壁部253に設けられるグリル延設板60とは、左右対称の形状である。グリル延設板60は、右壁部252又は左壁部253から右方又は左方に略水平に延びる第一延設部61と、第一延設部61のうち右壁部252又は左壁部253から離間する側の端部から下方に折れ曲がって延びる第二延設部62とを備える。本実施形態二おいて、第一延設部61の左右方向の長さは約2cmである。
【0020】
図3のW1領域に示すように、右壁部252に設けられたグリル延設板60の第一延設部61の右端部において上下方向に延びる、グリル遮熱部70が設けられている。グリル遮熱部70は、第一延設部61に対して取り付け可能に第一延設部61と略同じ幅で略水平に延びる取付部71と(図4参照)、取付部71の右端部から上方に折れ曲がって延びる遮熱板72とを備えた金属製である。遮熱板72の上端部721は、グリル庫25の上面251と略同じ高さまで延びる。すなわち、遮熱板72は、グリル延設板60の第一延設部61の位置からグリル庫25の上面251の位置までに亘って上下方向に延びる板状部である。また、遮熱板72は、グリル庫25の右壁部252に対して略平行に前後方向に延びて配置される。このため、右壁部252と遮熱板72との間には、第一延設部61の左右方向の長さに相当する隙間90が形成される。
【0021】
図4及び図5を参照して、燃料供給装置52について説明する。燃料供給装置52は、操作つまみ12の押し込み操作と回転操作に応じて、グリルバーナの点火と消火、及びグリルバーナに供給するガス量を調節する。図5のW3領域に示すように、燃料供給装置52は、操作つまみ12の操作に応じて動作する合成樹脂製で円筒状の前側本体52Aと、内部のガス流路にメイン弁524及び安全弁526を備える金属製で円筒状の後側本体52Bとを備える。前側本体52Aの内部には、操作つまみ12の押し込み操作によって前後に移動するスライダ523が設けられている。スライダ523は、メイン弁524を開閉させる。安全弁526は、後側本体52Bのガス流路を閉じる閉状態に弾性付勢された電磁操作式である。後側本体52Bの下部には、ガス供給管Gが接続される接続部525が設けられ、この接続部525を介して、ガス供給管Gから後側本体52Bのガス流路に向けてガスが導入される。後側本体52Bの上部には、ガス流路を流れたガスが流出する流出口528が設けられている。なお、メイン弁524及び安全弁526は周知のものであるので、これらの詳細な動作の説明を省略する。
【0022】
図4及び図5を参照して、ガバナ装置80について説明する。ガバナ装置80は、燃料供給装置52に連結して燃料供給装置52から供給されるガス圧を調整し、この調整により安定したガス圧で、ガスをグリルバーナへ供給するための装置である。本実施形態のガバナ装置80は、燃料供給装置52の上側に配置され、後側本体52Bの流出口528から流出するガスを内部に導入し、導入したガスを調圧してグリルバーナに供給する。ガバナ装置80は、ガスガバナ81とガス分配装置88とを備える。ガスガバナ81は、燃料供給装置52から供給されるガス圧を調整する。ガス分配装置88は、ガスガバナ81から供給されるガスを、上火バーナ255及び下火バーナ256のそれぞれに分配する。
【0023】
図5のW3領域に示すように、ガスガバナ81は、本体811、本体受け部812、ダイヤフラム85、弁体86等を備える。本体811及び本体受け部812は、ダイカストによる金属製である。本体811は、中央部が突出した略釣鐘状を有する。本体受け部812は、本体811の周縁部を受け、且つ、ガス分配装置88及び燃料供給装置52に連結する部分である。ダイヤフラム85は、可撓性を有する膜体であり、その周縁部が、本体811の周縁部と本体受け部812との間に挟み込まれた状態で、ガスガバナ81の内部に固定される。ダイヤフラム85は、本体811の内部に設けられたバネ84によって、本体受け部812に向けて付勢されている。バネ84の付勢力は、ネジ83の締め付け度合によって調整される。バネ84の付勢力の調整は、主にコンロ1の設置時に行われる。コンロ1は、ガバナ装置80を燃料供給装置52の上側に連結して、ガスガバナ81のネジ83が筐体2の上部に臨むように配置するので、コンロ設置時のバネ84の付勢力の調整を容易に行うことができる。ダイヤフラム85の中央部には、弁体86の軸状部の上部が連結している。
【0024】
弁体86の下側端部は、ダイヤフラム85の下方に設けられた弁室813の内部に配置される。弁室813の下端部から下方に向けて、後側本体52Bの流出口528に連通する流入路871が設けられている。流出口528から流出したガスは、流入路871に流入して弁室813をガスで満たす。弁室813のガス圧が高くなると、ガスが弁室813からダイヤフラム85に向けて流入し、ダイヤフラム85が本体811の方向へ変位する。弁体86も本体811の方向へ移動し、弁室813の開度が大きくなる。一方、弁室813のガス圧が低くなると、本体811の方向へ変位していたダイヤフラム85が本体受け部812の方向へ戻る。弁体86も本体受け部812の方向へ移動し、弁室813の開度が小さくなる。これにより、流入路871から弁室813及び本体受け部812とダイヤフラム85との間に生ずる空間に流入したガスの、ガス圧の変動が減衰される。ガス圧が安定したガスは、本体受け部812の内部を前後方向に延びるガス流路872に流出する。
【0025】
ガス分配装置88は、ガスガバナ81の後部に設けられる。ガス分配装置88のガス流路881の前端部は、ガスガバナ81の内部を前後方向に延びるガス流路872の後端部に接続する。ガス流路881の後端部は、ガス分配装置88の後部に設けられるガス室882に接続する。図示しないが、上側流路884及び下側流路885は、それぞれガス室882に連通している。上側流路884は、上火バーナ255にガスを供給するガス管521に接続する。下側流路885は、下火バーナ256にガスを供給するガス管522に接続する。このようにして、上火バーナ255及び下火バーナ256に安定したガス圧でガスが供給されるので、グリルバーナの燃焼状態が安定する。なお、ガス分配装置88の後部には、上側流路884及び下側流路885に連通するガス室882内の流路を開閉することで、グリルバーナの火力を弱火力と強火力とに切替えるための火力切替電磁弁886,886が設けられている。
【0026】
図4のW2領域に示すように、グリル遮熱部70の遮熱板72は、前端部722をガスガバナ81の本体811の位置に、後端部723をガバナ装置80の火力切替電磁弁886の最後部の位置にそれぞれ配置する。このため、遮熱板72は、ガバナ装置80の全体とグリル庫25との間において、左面をグリル庫25の右壁部252に対向させた状態で、右壁部252に略平行に延びて立設する。
【0027】
グリル庫25においてグリルバーナの燃焼が行われると、グリル庫25に燃焼による熱(以下、「燃焼熱」という。)が発生する。ガバナ装置80のダイヤフラム85は、ゴム又はその他の合成樹脂等の弾性材料で設けられる。このような弾性材料は、高温の影響によって劣化する可能性がある。燃焼熱によって高温になった空気は、筐体2の内部のうち上部に集まりやすいので、筐体2の上部に配置される部品は高温の影響を特に受けやすい。
【0028】
遮熱板72は、グリル庫25とガバナ装置80との間に配置されるので、グリル庫25の熱を受け止め、グリル庫25で発生した熱がガバナ装置80に直接伝導することを防止する。特に、コンロ1においては、遮熱板72の上端部721が、グリル庫25の上面251と略同じ高さまで延びている(図3参照)。このため、ガバナ装置80が燃料供給装置52の上側に連結し、筐体2の内部のうち上部に配置されても、燃焼熱が遮熱板72によって効果的に遮熱され、ガバナ装置80が過熱されにくい。よって、コンロ1が長期間使用されても、ダイヤフラム85に高温による劣化が生じ難い。また、グリル庫25と火力切替電磁弁886との間にも遮熱板72が配置されるので、グリル庫25において発生した熱が火力切替電磁弁886に直接伝導せず、火力切替電磁弁886が故障し難い。したがって、コンロ1は、コンロ1が長期間に亘って使用されても、グリルバーナに安定したガス圧でガスを供給する機能及びグリルバーナの火力を切り替える機能を、ガバナ装置80に維持させることができる。
【0029】
なお、図5のW3領域に示すように、燃料供給装置52の後側本体52Bの前端部はガスガバナ81の前端部の下方に配置され、後側本体52Bの後端部529はガス分配装置88の後部のガス室882の下方に配置される。遮熱板72は、グリル庫25の右壁部252と燃料供給装置52の後側本体52Bとの間にも配置されるので、グリル庫25の燃焼熱が後側本体52Bに直接伝導することが、遮熱板72によって防止される。よって、後側本体52Bの内部に設けられるメイン弁524及び安全弁526が過熱され難く、メイン弁524及び安全弁526が故障し難い。したがって、コンロ1は、ガバナ装置80及びグリルバーナへガスを供給する機能を、燃料供給装置52に維持させることができる。
【0030】
図2図3及び図6を参照して、受け部31について詳細に説明する。図6に示すように、受け部31は、延設部301、突出部302及び後縁部303を主に備える。延設部301は、受け部31のうち下側の位置において略水平に延びる部分である。図2及び図3に示すように、突出部302は、延設部301の前方において、延設部301から上方に突出する部分である。突出部302は、前後方向に所定の幅を有して左右方向に亘って延びて、第一架設部材41と前側壁部23との間の位置に配置される。延設部301は突出部302の後端部に接続する部分を第一架設部材41の下側にくぐらせて、右コンロバーナ4の下側において後方に延びてガバナ装置80及び燃料供給装置51,52を上側から覆う。延設部301は、後部の左側の角部が切り欠かれた切欠き部301Aを備える。後縁部303は、延設部301の後端部において延設部301の上面から斜め上方に折り返された部分である。なお、延設部301を補強するため、延設部301の前後方向略中央部を左右方向に延びて隆起する隆起部304が設けられている。
【0031】
延設部301の左右方向略中央部には、第一部分305が設けられている。第一部分305は、延設部301の上面よりも一段下方に、平面視で略三角形状に窪んだ部分である。第一部分305には、第二部分306が連結する。第二部分306は、第一部分305の後端部から第一部分305と略同じ高さで後方に延びた後、切欠き部301Aに向けて左方に延びる溝状である。第二部分306のうち第一部分305とは反対側の端部306Aは、切欠き部301Aに形成される。第一部分305は、右コンロバーナ4のバーナヘッドの下側の位置に配置される。右コンロバーナ4によって調理等が行われることによって生じた吹きこぼれ等の液体は、延設部301の上面に受け止められる。延設部301に受け止められた液体は、延設部301よりも低い第一部分305に移動する。第一部分305に集まった液体は、第二部分306に向けて広がり、第二部分306の端部306Aから受け部31の外部に流出する。なお、後縁部303が設けられているので、延設部301において受け止められた液体は受け部31の後方に流出せず、第一部分305又は第二部分306に導かれる。
【0032】
図3に示すように、第二部分306の端部306Aは、グリル庫25の右壁部252と遮熱板72との間の隙間90の上側に配置される。すなわち、第二部分306は、第一部分305の後端部から隙間90の位置に向けて延びる。このため、第一部分305に集まった液体は、第二部分306の端部306Aから隙間90に流出する。隙間90に流出した液体は、遮熱板72、取付部71(図4参照)及びグリル庫25の右壁部252によって囲まれた溝部に溜まる。その後、遮熱板72の前端部722又は後端部723の位置からグリル延設板60の第一延設部61に流出した後、第二延設部62を伝って筐体2の底面20に向けて滴下する。よって、受け部31から液体が流出しても、その液体がガバナ装置80及び燃料供給装置51,52にかかり難い。コンロ1は、このようにして、ガバナ装置80及び燃料供給装置51,52の内部に液体が浸入すること、液体が付着した部分が過熱すること等によるガバナ装置80及び燃料供給装置51,52不具合の発生を低減できる。
【0033】
以上説明したように、燃料供給装置52にはガバナ装置80が連結されており、グリル庫25とガバナ装置80との間には、遮熱板72が設けられる。このため、グリル庫25においてグリルバーナが燃焼を行っても、発生した燃焼熱は遮熱板72によって遮断され、ガバナ装置80に直接伝導しない。よって、ガバナ装置80が過熱されることがなく、コンロ1が長期間にわたって使用されても、ガスガバナ81の内部に設けられるダイヤフラム85が劣化し難い。したがって、コンロ1は、ガバナ装置80が燃料供給装置52に接続されることでグリル庫25に近接配置されても、ガバナ装置80の調圧機能を保つことができる。
【0034】
遮熱板72の上端部721は、グリル庫25の上面と略同じ高さまで延びる。このため、ガバナ装置80が燃料供給装置52の上側に配置され、筐体2の内部のうち上部に配置されるような場合であっても、グリル庫25に発生した燃焼熱が遮熱板72によって遮断され、ガバナ装置80が過熱されにくい。
【0035】
右コンロバーナ4とガバナ装置80及び燃料供給装置51,52との間の位置に、受け部31が配置されているので、右コンロバーナ4によって調理等が行われることによって生じた吹きこぼれ等の液体が、受け部31によって受け止められる。受け部31の延設部301には、平面視で右コンロバーナ4のバーナヘッドに対応する位置において一段下方に窪んだ第一部分305と、第一部分305の後端部から後方に延びた後、切欠き部301Aに向けて左方に延びる第二部分306とが設けられる。第二部分306のうち切欠き部301Aに形成される端部306Aは、グリル庫25の右壁部252と遮熱板72との間の隙間90の上側に配置される。このため、延設部301に受け止められて第一部分305に溜まった液体は第二部分306を介して端部306Aから隙間90に向けて排出される。よって、ガバナ装置80がグリル庫25に近接して配置される場合であっても、受け部31流出する液体がガバナ装置80及び燃料供給装置51,52に付着し難い。したがって、コンロ1は、受け部31から液体が流出しても、ガバナ装置80に不具合が生ずることを回避できる。
【0036】
本実施形態において、コンロ1が、本発明の「コンロ」に相当する。上火バーナ255及び下火バーナ256が、本発明の「グリルバーナ」に相当する。燃料供給装置52が、本発明の「燃料供給装置」に相当する。ガバナ装置80が、本発明の「ガバナ装置」に相当する。ダイヤフラム85が、本発明の「ダイヤフラム」に相当する。遮熱板72が、本発明の「遮熱板」に相当する。右コンロバーナ4が、本発明の「コンロバーナ」に相当する。受け部31が、本発明の「覆い部」に相当する。第一部分305が、本発明の「第一部分」に相当する。第二部分306が、本発明の「第二部分」に相当する。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、遮熱板72の上端部721は、グリル庫25の上面よりも上方まで延びてもよい。この場合、遮熱板72は、グリル庫25の上面よりも上方の高温雰囲気をガバナ装置80に対して遮断できるので、ガバナ装置80が高温の影響を受ける可能性がさらに低下する。また、ガバナ装置80が燃料供給装置52に左側から連結する等、上記実施形態よりもガバナ装置80が筐体2の下部に配置されることもある。このような場合には、遮熱板72の上端部721が、グリル庫25の上面よりも下方に配置されてもよい。
【0038】
遮熱板72の後端部723は、少なくともガバナ装置80のうちガスガバナ81の後端部の位置まで延びていることが好ましい。これにより、ガスガバナ81の内部のダイヤフラム85が劣化する可能性が低減される。
【0039】
グリルバーナに対応する燃料供給装置52及びガバナ装置80が、グリル庫25の左側に配置されてもよい。この場合、遮熱板72は、右面をグリル庫25の左壁部253に、左面をグリル庫25の左側に配置される燃料供給装置52及びガバナ装置80に、それぞれ対向させた状態で立設されてもよい。
【0040】
上記実施形態では、グリル延設板60の第一延設部61にグリル遮熱部70の取付部71が取り付けられることで、遮熱板72がグリル庫25と、ガバナ装置80及び燃料供給装置52との間に立設している。例えば、コンロ1はグリル延設板60を備えず、グリル遮熱部70の取付部71が筐体2の底面20に取り付けられることによって、遮熱板72がグリル庫25とガバナ装置80及び燃料供給装置52との間に立設されてもよい。
【0041】
遮熱板72は、グリル庫25と、ガバナ装置80及び燃料供給装置52との間に配置されればよいので、グリル庫25の右壁部252と遮熱板72との間の隙間90の幅は、上記実施形態よりも広くてもよいし、狭くてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 コンロ
4 右コンロバーナ
31 受け部
52 燃料供給装置
80 ガバナ装置
85 ダイヤフラム
72 遮熱板
255 上火バーナ
256 下火バーナ
305 第一部分
306 第二部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6