(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】開口部調整機構、空調衣服の服本体及び空調衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 27/00 20060101AFI20230221BHJP
A41D 13/002 20060101ALI20230221BHJP
A41D 27/28 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A41D27/00 A
A41D13/002 105
A41D27/28 A
(21)【出願番号】P 2019042760
(22)【出願日】2019-03-08
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-014644(JP,A)
【文献】登録実用新案第3198778(JP,U)
【文献】特開2018-119230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D27/00-27/28
A41D13/002
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープを挿通させる開口部の開口面積を調整する開口部調整機構であって、
前記開口部の開口面積を最小に調整した際にも、前記開口部に挿通されたロープの周囲に開口部を残存させる開口部創出機構
と、
前記開口部の周囲を収縮させる収縮手段と、
を備え
、
前記収縮手段は、
前記開口部の周囲に配置され、引出口によって外部と通じる空隙を有する紐通し部と、
前記紐通し部に前記引出口から一部が露出するように通された紐状部材と、
を含み、
前記開口部創出機構は、前記収縮手段による収縮を抑制する収縮抑制機構を含み、
前記収縮抑制機構は、前記紐通し部の収縮を抑制し、前記収縮手段によって前記開口部の周囲を最も収縮させた際にも、前記開口部の内周が、前記ロープの前記開口部を挿通する部分の外周よりも大きい状態を維持することを特徴とする開口部調整機構。
【請求項2】
前記収縮手段は、前記紐通し部と前記紐状部材とが結合された結合部を備え、
当該結合部が、前記収縮抑制機構として機能することを特徴とする請求項
1に記載の開口部調整機構。
【請求項3】
前記収縮手段は前記結合部を少なくとも2か所備え、
前記結合部は、前記結合部と前記結合部との間に位置する前記引出口が形成されていない部分の収縮を抑制することを特徴とする請求項
2に記載の開口部調整機構。
【請求項4】
前記収縮手段は、前記開口部の周囲に、前記紐通し部に前記紐状部材が通されている挿通部と、前記紐通し部に前記紐状部材が通されていない非挿通部と、を有し、
前記非挿通部が、前記収縮抑制機構として機能することを特徴とする請求項
1に記載の開口部調整機構。
【請求項5】
前記紐通し部は、所定の間隔を空けて形成された少なくとも2か所の前記引出口を備え、
前記引出口と前記引出口との間に、前記非挿通部が形成されていることを特徴とする請求項
4に記載の開口部調整機構。
【請求項6】
前記引出口が前記紐通し部の外周側に形成された外周側引出口を含むことを特徴とする請求項
5に記載の開口部調整機構。
【請求項7】
前記引出口は、前記外周側引出口と、前記紐通し部の内周側に形成された少なくとも2か所の内周側引出口と、を含み、
前記外周側引出口と前記内周側引出口との間に前記挿通部が形成され、
前記内周側引出口と前記内周側引出口との間に前記非挿通部が形成されていることを特徴とする請求項
6に記載の開口部調整機構。
【請求項8】
前記引出口は、前記紐通し部の内周側に形成された少なくとも4か所の内周側引出口を含み、前記内周側引出口で切り替わるようにして、前記挿通部と前記非挿通部とが交互に形成されていることを特徴とする請求項
5から
7のいずれか一項に記載の開口部調整機構。
【請求項9】
ロープを挿通させる開口部の開口面積を調整する開口部調整機構であって、
前記開口部の開口面積を最小に調整した際にも、前記開口部に挿通されたロープの周囲に開口部を残存させる開口部創出機構と、
前記開口部の周囲を収縮させる収縮手段と、
前記開口部の周囲に沿って所定の長さを有する補強部材
と、
を備え、
前記開口部創出機構は、前記収縮手段による収縮を抑制する収縮抑制機構を含み、
前記収縮抑制機構は、前記収縮手段によって前記開口部の周囲を最も収縮させた際にも、前記開口部の内周が、前記ロープの前記開口部を挿通する部分の外周よりも大きい状態を維持し、
前記補強部材が前記収縮抑制機構として機能することを特徴とす
る開口部調整機構。
【請求項10】
前記収縮手段を収縮させた状態で固定する固定手段をさらに備えることを特徴とする請求項
1から
9のいずれか一項に記載の開口部調整機構。
【請求項11】
ロープを挿通させる開口部の開口面積を調整する開口部調整機構であって、
前記開口部の開口面積を最小に調整した際にも、前記開口部に挿通されたロープの周囲に開口部を残存させる開口部創出機構と、
前記開口部の周囲を収縮させる収縮手段と、
を備え、
前記開口部創出機構は、前記収縮手段による収縮を抑制する収縮抑制機構を含み、
前記収縮手段は、前記開口部の周囲に沿って配置されたゴム紐を備え、
前記開口部周囲の前記ゴム紐が備えられていない部分が、前記収縮抑制機構として機能
し、
前記収縮抑制機構は、前記収縮手段によって前記開口部の周囲を最も収縮させた際にも、前記開口部の内周が、前記ロープの前記開口部を挿通する部分の外周よりも大きい状態を維持することを特徴とす
る開口部調整機構。
【請求項12】
前記収縮手段は、前記開口部の周囲に配置され、内部に前記ゴム紐を通すことができる空隙を有する紐通し部を備え、
前記ゴム紐は、前記紐通し部に通された状態で、前記紐通し部に結合されていることを特徴とする請求項1
1に記載の開口部調整機構。
【請求項13】
ロープを挿通させる開口部の開口面積を調整する開口部調整機構であって、
前記開口部の開口面積を最小に調整した際にも、前記開口部に挿通されたロープの周囲に開口部を残存させる開口部創出機構を備え、
前記開口部の周囲に、
前記開口部の周囲に沿って所定の長さを有する第一接続部と、
前記開口部の周囲に沿って所定の長さを有し、前記第一接続部と着脱自在に形成された第二接続部と、
を備え、
前記開口部の周囲のうち、前記第一接続部及び前記第二接続部が備えられていない部分が、前記開口部創出機構として機能することを特徴とす
る開口部調整機構。
【請求項14】
通気性のない又は空気導入手段による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有する服地によって、少なくとも着用者の胴部を覆う形状に形成され、
前記空気導入手段を取り付けるための取付孔を備えた空調衣服の服本体であって、
当該空調衣服の服本体の内部から外部へとロープを貫通させることができるロープ貫通手段を備え、
前記ロープ貫通手段は、請求項1から1
3のいずれか一項に記載の開口部調整機構を有することを特徴とする空調衣服の服本体。
【請求項15】
請求項1
4に記載の空調衣服の服本体と、
前記空調衣服の服本体の内部に空気を導入する空気導入手段と、
前記空気導入手段に電力を供給する電源手段と、
を備えることを特徴とする空調衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部調整機構、空調衣服の服本体及び空調衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、身体を冷却する空調衣服が実用化され、急速に普及しつつある。従来の空調衣服は、通気性の低い素材で形成された服本体と、服本体の後側の下方に取り付けられた2つのファンと、2つのファンに電力を供給するための電源装置と、電源装置と2つのファンとを電気的に接続するための電源ケーブルと、を備える。
【0003】
ファンを作動させると、大量の空気がファンから服本体内に取り込まれ、取り込まれた空気の圧力により服本体と着用者の身体との間に空気流通路が自動的に形成される。取り込まれた空気は、形成された空気流通路を着用者の身体又は下着の表面に沿って流通し、例えば、襟部や袖部の開口部に形成された空気排出部から外部に排出される。
そして、取り込まれた空気が、服本体と着用者の身体又は下着との間の空気流通路を流通する間に、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体が冷却される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような空調衣服は、高所での作業時に着用する際には、安全を確保するため、フルハーネス型安全帯と共に使用されることが想定されるところ、空調衣服の服本体の外側にフルハーネス型安全帯を装着した場合、服本体が外側から締め付けられ、空気流通路が閉ざされてしまうことから、空調衣服とフルハーネス型安全帯とを同時に使用する際には、空調衣服をフルハーネス型安全帯の上に着用する必要がある。
そこで、空調衣服をフルハーネス型安全帯と共に使用するため、空調衣服の服本体が、フルハーネス型安全帯に備えられたロープを貫通させるためのロープ貫通手段を備えることが求められる。
【0005】
また、フルハーネス型安全帯に備えられたロープには、通常、フルハーネス型安全帯と接続されているのとは反対側の端部に、固定物に引っ掛けるためのフックが備えられていることから、ロープ貫通手段は、このようなフックを通すことができる大きさの開口部を有する必要がある。
これに対し、空調衣服の使用時においては、ロープ貫通手段にフックを通すことができる程の大きさの開口部が形成されたままだと、当該開口部からの空気の漏れが大きくなり過ぎてしまい、襟部や袖部の開口部から外部に排出される空気の量が不足し、空調衣服の上部や、腕部等において、冷却効果が減少してしまう。
そこで、ロープ貫通手段に、空調衣服の使用時において、このような開口部を閉塞する空気漏れ防止手段を備えた空調衣服が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2005/063065号
【文献】特開2017-14644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ロープ貫通手段に形成される開口部は、上記のようにフックを通すことができる程の大きさの開口部が形成されたままでは、空調衣服の冷却効果の向上のため好ましくないが、フックを挿通可能な状態からは縮小しつつ、完全に閉塞することなく、僅かに開口部が残るようにすれば、このような開口部も、ファンによって取り込まれた空気を排出するための空気排出部として活用することができる。
これによって、襟部や袖部の開口部から外部に排出される空気の量を不足させることなく、ロープ貫通手段周辺の空気の流れを促進し、冷却効果の向上が期待できる。
【0008】
この点、特許文献2に記載の空気漏れ防止手段においても、紐通し部に通された紐の長さをコードストッパーによって着用者が調整する際に、開口部を完全に閉塞せず、ロープの周囲に僅かに開口部が残るように適切に調整すれば、当該開口部を空気排出部として活用することは不可能ではない。
しかしながら、開口部を完全に閉塞することを念頭においた空気漏れ防止手段において、着用者に逐一上記のような調整を求めることは、着用の手間を増大させ、現実的ではなかった。
【0009】
本発明の課題は、ロープを挿通させる開口部を空気排出部として活用し易い開口部調整機構、空調衣服の服本体及び空調衣服を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
ロープを挿通させる開口部の開口面積を調整する開口部調整機構であって、
前記開口部の開口面積を最小に調整した際にも、前記開口部に挿通されたロープの周囲に開口部を残存させる開口部創出機構と、
前記開口部の周囲を収縮させる収縮手段と、
を備え、
前記収縮手段は、
前記開口部の周囲に配置され、引出口によって外部と通じる空隙を有する紐通し部と、
前記紐通し部に前記引出口から一部が露出するように通された紐状部材と、
を含み、
前記開口部創出機構は、前記収縮手段による収縮を抑制する収縮抑制機構を含み、
前記収縮抑制機構は、前記紐通し部の収縮を抑制し、前記収縮手段によって前記開口部の周囲を最も収縮させた際にも、前記開口部の内周が、前記ロープの前記開口部を挿通する部分の外周よりも大きい状態を維持することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の開口部調整機構であって、
前記収縮手段は、前記紐通し部と前記紐状部材とが結合された結合部を備え、
当該結合部が、前記収縮抑制機構として機能することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の開口部調整機構であって、
前記収縮手段は前記結合部を少なくとも2か所備え、
前記結合部は、前記結合部と前記結合部との間に位置する前記引出口が形成されていない部分の収縮を抑制することを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の開口部調整機構であって、
前記収縮手段は、前記開口部の周囲に、前記紐通し部に前記紐状部材が通されている挿通部と、前記紐通し部に前記紐状部材が通されていない非挿通部と、を有し、
前記非挿通部が、前記収縮抑制機構として機能することを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の開口部調整機構であって、
前記紐通し部は、所定の間隔を空けて形成された少なくとも2か所の前記引出口を備え、
前記引出口と前記引出口との間に、前記非挿通部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の開口部調整機構であって、
前記引出口が前記紐通し部の外周側に形成された外周側引出口を含むことを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の開口部調整機構であって、
前記引出口は、前記外周側引出口と、前記紐通し部の内周側に形成された少なくとも2か所の内周側引出口と、を含み、
前記外周側引出口と前記内周側引出口との間に前記挿通部が形成され、
前記内周側引出口と前記内周側引出口との間に前記非挿通部が形成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項5から7のいずれか一項に記載の開口部調整機構であって、
前記引出口は、前記紐通し部の内周側に形成された少なくとも4か所の内周側引出口を含み、前記内周側引出口で切り替わるようにして、前記挿通部と前記非挿通部とが交互に形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の発明は、
ロープを挿通させる開口部の開口面積を調整する開口部調整機構であって、
前記開口部の開口面積を最小に調整した際にも、前記開口部に挿通されたロープの周囲に開口部を残存させる開口部創出機構と、
前記開口部の周囲を収縮させる収縮手段と、
前記開口部の周囲に沿って所定の長さを有する補強部材と、
を備え、
前記開口部創出機構は、前記収縮手段による収縮を抑制する収縮抑制機構を含み、
前記収縮抑制機構は、前記収縮手段によって前記開口部の周囲を最も収縮させた際にも、前記開口部の内周が、前記ロープの前記開口部を挿通する部分の外周よりも大きい状態を維持し、
前記補強部材が前記収縮抑制機構として機能することを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の開口部調整機構であって、
前記収縮手段を収縮させた状態で固定する固定手段をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載の発明は、
ロープを挿通させる開口部の開口面積を調整する開口部調整機構であって、
前記開口部の開口面積を最小に調整した際にも、前記開口部に挿通されたロープの周囲に開口部を残存させる開口部創出機構と、
前記開口部の周囲を収縮させる収縮手段と、
を備え、
前記開口部創出機構は、前記収縮手段による収縮を抑制する収縮抑制機構を含み、
前記収縮手段は、前記開口部の周囲に沿って配置されたゴム紐を備え、
前記開口部周囲の前記ゴム紐が備えられていない部分が、前記収縮抑制機構として機能し、
前記収縮抑制機構は、前記収縮手段によって前記開口部の周囲を最も収縮させた際にも、前記開口部の内周が、前記ロープの前記開口部を挿通する部分の外周よりも大きい状態を維持することを特徴とする。
【0023】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の開口部調整機構であって、
前記収縮手段は、前記開口部の周囲に配置され、内部に前記ゴム紐を通すことができる空隙を有する紐通し部を備え、
前記ゴム紐は、前記紐通し部に通された状態で、前記紐通し部に結合されていることを特徴とする。
【0024】
請求項13に記載の発明は、
ロープを挿通させる開口部の開口面積を調整する開口部調整機構であって、
前記開口部の開口面積を最小に調整した際にも、前記開口部に挿通されたロープの周囲に開口部を残存させる開口部創出機構を備え、
前記開口部の周囲に、
前記開口部の周囲に沿って所定の長さを有する第一接続部と、
前記開口部の周囲に沿って所定の長さを有し、前記第一接続部と着脱自在に形成された第二接続部と、
を備え、
前記開口部の周囲のうち、前記第一接続部及び前記第二接続部が備えられていない部分が、前記開口部創出機構として機能することを特徴とする。
【0025】
請求項14に記載の発明は、
通気性のない又は空気導入手段による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有する服地によって、少なくとも着用者の胴部を覆う形状に形成され、
前記空気導入手段を取り付けるための取付孔を備えた空調衣服の服本体であって、
当該空調衣服の服本体の内部から外部へとロープを貫通させることができるロープ貫通手段を備え、
前記ロープ貫通手段は、請求項1から13のいずれか一項に記載の開口部調整機構を有することを特徴とする。
【0026】
請求項15に記載の発明は、空調衣服であって、
請求項14に記載の空調衣服の服本体と、
前記空調衣服の服本体の内部に空気を導入する空気導入手段と、
前記空気導入手段に電力を供給する電源手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ロープを挿通させる開口部を空気排出部として活用し易い開口部調整機構、空調衣服の服本体及び空調衣服を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1実施形態に係る空調衣服の第一開閉手段を開いた状態における正面図である。なお、ロープ挿通部が服本体の外面側に引き出された状態を図示している。この点は他の図面においても同様である。
【
図2】第1実施形態に係る空調衣服の第一開閉手段を閉じた状態における背面図である。
【
図3】第1実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の収縮部を伸ばした状態における概略斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の収縮部を収縮させた状態における概略斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の収縮部を伸ばした状態における概略斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の収縮部を収縮させた状態における概略斜視図である。
【
図7】第3実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の収縮部を伸ばした状態における概略斜視図である。
【
図8】第3実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の収縮部を収縮させた状態における概略斜視図である。
【
図9】第4実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の収縮部を伸ばした状態における概略斜視図である。
【
図10】第4実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の収縮部を収縮させた状態における概略斜視図である。
【
図11】第5実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の収縮部を収縮させた状態における概略斜視図である。
【
図12】第5実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の収縮部を伸ばした状態における概略斜視図である。
【
図13】第6実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の収縮部を伸ばした状態における概略斜視図である。
【
図14】第6実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の収縮部を収縮させた状態における概略斜視図である。
【
図15】第7実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の第1接続部と第2接続部とを接続していない状態における概略斜視図である。
【
図16】第7実施形態に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の第1接続部と第2接続部とを接続した状態における概略斜視図である。
【
図17】第7実施形態の変形例に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の第1接続部と第2接続部とを接続していない状態における概略斜視図である。
【
図18】第7実施形態の変形例に係るロープ貫通手段の開口部調整機構の第1接続部と第2接続部とを接続していない状態における概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態である空調衣服について、
図1から
図18に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。
なお、以下においては、着用者が空調衣服を着用した状態を基準として、着用者の前側を前、着用者の後側を後、着用者の上側を上、着用者の下側を下、着用者の右手側を右、着用者の左手側を左と定めて説明する。
【0030】
[第1実施形態]
第1実施形態に係る空調衣服100について、
図1から
図4に基づいて説明する。
【0031】
{実施形態の構成}
実施形態に係る空調衣服100は、
図1に示すように、服本体1と、服本体1内部に空気を導入するファン2と、ファン2に電力を供給する電源部3と、電源部3とファン2とを接続する接続ケーブル4と、を備え、ファン2によって服本体1内に取り込まれた空気を、着用者の身体又は下着の表面に沿って流通させることで、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体を冷却するものである。
【0032】
(服本体)
服本体1は、
図1及び
図2に示すように、通気性のない又はファン2による空気の導入によって膨らませることができる程度の通気性を有する服地によって、着用者の胴部及び腕部を覆う形状に形成されている。
図1及び
図2においては、服本体1をブルゾン型の上衣の形状に形成しているが、服本体1の形状はこれに限られず、例えば着用者の胴部のみを覆うベスト型に形成してもよい。
服本体1は、
図1及び
図2に示すように、第一開閉手段11と、空気漏れ防止手段12と、ファン取付孔13と、取付孔補強部材14と、襟部空気排出部15と、袖部空気排出部16と、電源部保持手段17と、ケーブル保持手段18と、ロープ貫通手段19と、を備え、ファン取付孔13からファン2によって取り込まれた外気が、襟部空気排出部15及び袖部空気排出部16から排出されるように構成されている。
【0033】
(第一開閉手段)
第一開閉手段11は、服本体1を前開きとし、空調衣服100を着用する際に、服本体1の前部を開閉するためのものであり、
図1に示すように、服本体1の前身頃を左右に分割すると共に、その両側に例えば線ファスナー等を備えて、当該分割部分を着脱自在とすることにより形成されている。
【0034】
(空気漏れ防止手段)
空気漏れ防止手段12は、
図1及び
図2に示すように、服本体1下部に備えられた、服本体1と着用者の身体との間の空間内の空気が服本体1の裾部から外部に漏れることを防止するための手段であり、例えば、服本体1の下部の端部付近に、ゴム紐等の伸縮性のある部材を、着用者の身体を周回するように備えることによって形成される。空調衣服100の着用時においては、空気漏れ防止手段12によって、服本体1の裾部が絞り込まれて着用者の身体に密着し、服本体1下部から空気が外部に漏れることを防止することができる。
なお、服本体1が、裾部が絞り込まれた形状に形成された場合や、服本体1の裾部をズボンに入れて使用する場合等、裾部からの空気の流出量が僅かである場合には、必ずしも空気漏れ防止手段12を備えずともよい。
【0035】
(ファン取付孔)
ファン取付孔13は、
図1及び
図2に示すように、服本体1を形成する服地の着用者の腰の左右に対応する位置に形成された、空調衣服100の着用時において、服本体1と着用者の身体との間の空間と、服本体1の外部の空間と、を繋ぐこととなる円形の孔部である。
ファン取付孔13を挿通するようにしてファン2を取り付けることで、ファン取付孔13を介して、外部の空気を服本体1内に取り込むことができる。
なお、ファン取付孔13が形成される位置は、上記の位置に限られず、服本体1の側面、前面等に形成することも可能である。また、ファン取付孔13が形成される個数は、2個に限られず、これより少数又は多数のファン取付孔13を形成し、これに対応した数のファン2を取り付けてもよい。
【0036】
(取付孔補強部材)
取付孔補強部材14は、
図1に示すように、例えばプラスチック等によって形成された扁平な環状の部材であり、中心にファン取付孔13と大きさが略一致する孔部141を有する。取付孔補強部材14は、孔部141が、ファン取付孔13に重なるように、服本体1の内面側に取り付けられる。これによって、服本体1のファン取付孔13周辺が補強され、ファン2をファン取付孔13に取り付け易くなり、また、取り付けられたファン2が外れ難くなる。
取付孔補強部材14は、服本体1を形成する服地に対し、縫合、接着等任意の方法によって取り付けることができる。また、取付孔補強部材14を服本体1の内面側から覆う裏地が備えられていてもよい。
なお、ファン2の取付けの容易性及びファン2の外れ難さは低下するものの、取付孔補強部材14を備えない構成とすることも可能である。
【0037】
(空気排出部)
襟部空気排出部15及び袖部空気排出部16は、ファン2によってファン取付孔13から導入された空気を、着用者の身体又は下着に沿って流通させた後に排出するための開口部であり、
図1及び
図2に示すように、襟部空気排出部15は、着用者の首と服本体1の襟部の端部との間の開口部に形成され、袖部空気排出部16は、着用者の腕と服本体1の袖部の端部との間の開口部に形成される。
【0038】
(電源部保持手段)
電源部保持手段17は、
図1に示すように、服本体1の内面側に形成されたポケットであり、電源部3が収納される。
図1においては、電源部保持手段17が、服本体1の前身頃の左側の下方の位置に備えられた場合について図示したが、これに限られず、服本体1の内面側の任意の位置に備えることが可能である。
なお、電源部保持手段17としては、必ずしもポケットを用いる必要はなく、電源部3を服本体1に装着することが可能であれば、任意の構成を採用することができる。さらに、服本体1に電源部保持手段17を備えず、例えば着用者のズボンのベルト等に電源部3をクリップ等を用いて取り付けることにより、電源部3が服本体1に装着されないようにすることも可能である。
【0039】
(ケーブル保持手段)
ケーブル保持手段18は、
図1に示すように、接続ケーブル4を、服本体1の内面側に保持するための手段であり、例えば、接続ケーブル4を挿通可能な開口部を有するリング状に形成され、当該開口部に接続ケーブル4を挿通させることによって、これを保持することができるように構成されている。
【0040】
ケーブル保持手段18としては、接続ケーブル4を服本体1内面側において所定の位置に保持することができれば、種々の形状及び材料のものを使用可能であり、例えば、一般的なベルト通しのように、上下方向に長い布を上下2か所において縫い付けることにより形成することができる。また、配置位置も、
図1に示すものに限られない。
【0041】
(ロープ貫通手段)
ロープ貫通手段19は、着用者が服本体1の内側に着用したフルハーネス型安全帯のロープRを、服本体1の内部から外部へと引き出すための貫通部である。
なお、本発明において、「ロープ」には、具体的な形状、材質を問わず、フルハーネス型安全帯の本体と、固定物に引っ掛けるためのフック等とを接続するための部材であれば広く含まれるものとする。
【0042】
ロープ貫通手段19は、
図1及び
図2に示すように、服本体1の後身頃の左右方向中央上部に備えられ、
図2から
図4に示すように、服本体1の服地に形成された開閉自在な孔部である第二開閉手段191と、筒状に形成され、一方の端部が第二開閉手段191を囲むように服本体1の服地の内面側に接合されたロープ挿通部192と、ロープ挿通部192の服本体1の服地に接合されているのとは反対側の端部に形成された開口部調整機構193と、を備える。
【0043】
なお、本実施形態においては、着用者の後ろ側にロープRが接続されるフルハーネス型安全帯の上に着用することを念頭に、ロープ貫通手段19を、服本体1の後身頃の左右方向中央上部に形成した場合につき図示したが、ロープ貫通手段19の形成位置はこれに限られない。
例えば、着用者の前側にロープRが接続されるフルハーネス型安全帯の上に着用することを念頭に、ロープ貫通手段19を、服本体1の前身頃の左右方向中央上部に形成してもよいし、着用者の後ろ側にロープRが接続されるフルハーネス型安全帯及び着用者の前側にロープRが接続されるフルハーネス型安全帯の両者に対応することを可能とするため、ロープ貫通手段19を、服本体1の後身頃及び前身頃の両方に備えてもよい。
【0044】
(第二開閉手段)
第二開閉手段191は、
図2から
図4に示すように、服本体1の後身頃の上部の服地に形成された上下方向の切れ目を開閉自在とすることにより形成されている。第二開閉手段191を開閉自在とする手段としては、例えば、第一開閉手段11と同様に線ファスナーを用いることができる。
【0045】
(ロープ挿通部)
ロープ挿通部192は、
図1から
図4に示すように、一方の端部が第二開閉手段191を囲むように服本体1の服地の内面側に接合された筒状に形成されている。また、他方の端部に開口部調整機構193が備えられている。
ロープ挿通部192の材料としては、通気性のない又は通気性の小さい折り曲げ自在なシート状部材が用いられ、例えば、服本体1の服地と同じ材料を用いてもよいし、ビニール等の別の材料を用いてもよい。
【0046】
第二開閉手段191及びロープ挿通部192がこのような構成を有することで、ロープ貫通手段19を使用しない場合には、ロープ挿通部192を、第二開閉手段191を介して服本体1の内面側に押し込み、第二開閉手段191を閉じることによって、服本体1の内部に収納することができる。また、ロープ貫通手段19を使用する際には、第二開閉手段191を開けて、ロープ挿通部192を引き出せばよい。
【0047】
(開口部調整機構)
開口部調整機構193は、
図3及び
図4に示すように、ロープ挿通部192の服本体1の服地に接続されているのとは反対側の端部に、2か所の引出口1932を有し、内部に紐を通すことができる空隙を有する略環状の紐通し部1931を形成し、紐通し部1931に、これを一周する長さよりも長い紐状部材1933を通し、紐状部材1933の引出口1932から外部に出ている2つの端部に、紐状部材1933の紐通し部1931を通る部分の長さが短くなった状態でこれを固定する固定手段としてのコードストッパー1934を備えることによって、形成されている。
【0048】
なお、紐状部材1933は、紐通し部1931に通すことができる細長い部材であればよく、「紐」には限定されない。例えば、ゴム製のゴム紐、金属製のワイヤー等であってよく、また、形状についても特に限定されず、例えば平坦な帯状の部材であってもよい。
また、「略環状」には、円形に限らず、両端が一致する閉曲線状の形状を全て含むものとする。したがって、例えば、三角形や四角形等の多角形状であっても含まれる。
【0049】
また、引出口1932は必ずしも2か所に形成されている必要はなく、単一の引出口1932から、紐状部材1933の両端部が露出するようにしてもよい。
また、紐状部材1933を、その両端が接続された略環状に形成することで、引出口1932から露出し、コードストッパー1934が備えられる部分が、その端部とならないように構成することも可能である。
【0050】
さらに、開口部調整機構193は、紐通し部1931と紐状部材1933とが結合された結合部1935を2か所に備える。
結合部1935は、紐通し部1931に紐状部材1933が通され、かつ紐通し部1931が伸縮せずに伸びた状態で、紐通し部1931と紐状部材1933とを例えば縫合等の方法で結合することによって形成されている。結合部1935は所定の間隔を空けて2か所に形成されている。
【0051】
なお、結合部1935の形成箇所は、必ずしも2か所には限られない。
例えば、
図3及び
図4における結合部1935と結合部1935との間の部分(引出口1932が形成されていない部分)に、さらに結合部1935を設けてもよい。
また、例えば、結合部1935を、紐通し部1931の周方向に沿って所定の長さの全体に亘って紐通し部1931と紐状部材1933とが結合されるように形成し、後述の非収縮部193aの全体に亘って紐通し部1931と、紐状部材1933とが結合されるようにしてもよい。
【0052】
これによって、紐通し部1931のうち、結合部1935と結合部1935との間に位置する部分(引出口1932が形成されていない部分)は、紐状部材1933を引っ張っても紐通し部1931が収縮しない非収縮部193aとなり、結合部1935と引出口1932との間の部分が、紐状部材1933を引っ張ることによって紐通し部1931を収縮させることができる収縮部193bとなる。
すなわち、本実施形態においては、紐通し部1931及び紐状部材1933が、本発明における収縮手段として機能し、結合部1935が、本発明における開口部創出機構及び収縮抑制機構として機能する。
【0053】
また、上記のように、結合部1935を、紐通し部1931の周方向に沿って所定の長さの全体に亘って紐通し部1931と紐状部材1933とが結合されるように形成した場合においては、結合部1935が非収縮部193aとなり、結合部1935が形成されてない部分が、収縮部193bとなる。例えば、
図3及び
図4について、結合部1935と結合部1935の間の部分(引出口1932が形成されていない部分)の全体に亘って紐通し部1931と紐状部材1933とを結合した場合に、このような構成となる。
この場合も、紐通し部1931及び紐状部材1933が、本発明における収縮手段として機能し、結合部1935が、本発明における開口部創出機構及び収縮抑制機構として機能する。
【0054】
開口部調整機構193は、ロープ貫通手段19の開口部を空気排出部として活用し易くするため、ロープ挿通部192にフルハーネス型安全帯のロープRを挿通させた状態で収縮部193bを収縮させ、開口部を最大限狭めた状態においても、ロープRの周囲に開口部が残ることが求められる。
また、収縮部193bは、最大限収縮させた状態でも、
図4に示すように、紐通し部1931を形成するシート状部材の重なりによって、ある程度の長さが残ることから、ロープ貫通手段19の開口部の、開口部調整機構193によって最大限狭めた状態における大きさは、非収縮部193aの長さに、最大限収縮させた状態における収縮部193bの長さを合わせた長さによって定まることとなる。
したがって、非収縮部193a及び収縮部193bの長さは、非収縮部193aの長さに、最大限収縮させた状態における収縮部193bの長さを合わせた長さが、使用を予定するフルハーネス型安全帯のロープRの周囲の長さよりも長くなり、かつ、収縮部193bを最大限収縮させた状態におけるロープ貫通手段19の開口部の大きさが、これを空気排出部として活用する上で適切な範囲の開口面積となるように設定することとなる。
具体的には、ロープRの周囲の長さが約40mmのフルハーネス型安全帯の上に着用する場合であれば、一例としては、非収縮部193aの長さが80mm、収縮部193bの長さが、これを最大限伸ばした状態で280mm、最大限収縮させた状態で50mmとなるようにする。
【0055】
なお、上記においては、固定手段としてコードストッパー1934を用いる場合につき説明したが、これに限られず、紐状部材1933を引っ張り、紐通し部1931の収縮部193bを収縮させることで、紐状部材1933の紐通し部1931を通る部分の長さが短くなった状態で、これを固定することが可能であれば、任意の構成を採用可能である。
また、特に固定手段を別途備えることなく、紐状部材1933自体を縛ることで、紐通し部1931を通る部分の長さが短くなった状態でこれを固定するようにしてもよい。
【0056】
(ファン)
ファン2は、
図1及び
図2に示すように、ファン取付孔13を挿通するようにして服本体1に取り付けられ、ファン取付孔13を通して、服本体1と着用者の身体との間の空間に空気を導入するためのものである。
ファン2には、電源部3より、接続ケーブル4を通じて必要な電力が供給される。
【0057】
ファン2としては、ファン取付孔13を挿通するようにして服本体1に取り付けられ、服本体1内部に空気を導入できるものであれば、任意の構成を採用可能である。
【0058】
(電源部)
電源部3は、ファン2に電力を供給するための部材であり、例えば、安全保護回路が付加されたリチウムイオン組電池が内蔵され、接続ケーブル4を通じてファン2と接続される。
電源部3は、ファン2に電力を供給することができるものであれば、その具体的な構成は任意である。
また、
図1に示すように、本実施形態においては、電源部3は、電源部保持手段17としてのポケットに収納されているが、上記のように電源部3を保持するための手段はこれに限られない。
【0059】
(接続ケーブル)
接続ケーブル4は、電源部3とファン2とを接続するケーブルであり、接続ケーブル4を通じて、電源部3からファン2に対して、ファン2の稼働に必要な電力が供給される。接続ケーブル4は、
図1に示すように、ケーブル保持手段18によって、服本体1の内面側に保持されている。
なお、接続ケーブル4は、電源部3からファン2に対して、ファン2の稼働に必要な電力を供給できるものであればよく、その具体的な構成は任意である。
また、接続ケーブル4を備えることなく、ファン2と電源部3とが直接接続される構成とすることも可能である。また、ファン2と電源部3とを一体化してもよい。
【0060】
{実施形態の効果}
本実施形態に係る空調衣服100によれば、服本体1に備えられたロープ貫通手段19が開口部調整機構193を備え、開口部調整機構193は、引出口1932を有し、内部に紐を通すことができる空隙を有する略環状の紐通し部1931に、これを一周する長さよりも長い紐状部材1933を通し、紐状部材1933の引出口1932から外部に出ている露出部分にコードストッパー1934を備えることによって、形成されている。
さらに、開口部調整機構193は、紐通し部1931と紐状部材1933とが結合された結合部1935を2か所に備えることで、紐通し部1931のうち、結合部1935と結合部1935との間の部分に、紐状部材1933を引っ張っても収縮しない非収縮部193aが形成され、結合部1935と引出口1932との間の部分に、紐状部材1933を引っ張ることによって収縮させることができる収縮部193bが形成されている。
【0061】
従来のように結合部1935が備えられていない場合、紐状部材1933の両端部を引っ張ることで、ロープ貫通手段の開口部を閉塞することができ、当該状態で、コードストッパー1934を引出口1932付近に固定することで、ロープ貫通手段の開口部を、フルハーネス型安全帯のロープRを通した状態で密閉することが可能となるが、この場合、ロープ貫通手段をファンによって取り込まれた空気を排出するための空気排出部としても活用することはできなくなる。
これに対し、ロープ貫通手段の開口部を最大限開放した状態では、ロープ貫通手段には、フルハーネス型安全帯のロープRに備えられたフックを通すことができる程の開口部が形成されることから、当該開口部からの空気の漏れが大きくなり過ぎてしまい、襟部空気排出部15や袖部空気排出部16から外部に排出される空気の量が不足し、空調衣服の上部や、腕部等において、冷却効果が減少してしまうおそれがあることから、却って好ましくない。
そこで、この場合、ロープ貫通手段を空気排出部として活用することで冷却効率の向上を図るためには、紐状部材1933の両端部をある程度引っ張り、ロープ貫通手段の開口部が、ロープRの周囲に僅かに開口部が残る適切な開口面積となるように調整した状態で、コードストッパー1934を、引出口1932付近に固定することが必要となるが、空調衣服の着用者が、逐一このような調整を行うことは困難であった。
【0062】
これに対し、本実施形態によれば、開口部調整機構193の紐状部材1933の両端部をどれだけ引っ張ったとしても、これによって収縮するのは収縮部193bのみであり、非収縮部193aの長さが変わることはない。
したがって、開口部調整機構193によって、ロープ貫通手段19の開口部を最小とした場合においても、
図4に示すように一定の開口部が残ることとなり、かつ、空調衣服100の作製者は、このような最小とした状態の開口部の面積を、非収縮部193a及び収縮部193bの長さによって定まる所定の面積に予め定めることができる。
【0063】
これによって、空調衣服100の着用者は、紐状部材1933の両端部を引っ張って、ロープ貫通手段19の開口部を最小とした状態で、コードストッパー1934を、引出口1932付近に固定するのみで、予め空調衣服100の作製者によって定められた、ロープRの周囲にわずかに開口部が残存する、ロープ貫通手段を空気排出部として活用する上で適切な所定の面積となるように、ロープ貫通手段19の開口部の面積を調整することができることから、ロープ貫通手段に形成される開口部を、空気排出部として活用することが容易となる。
【0064】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る空調衣服について、
図5及び
図6に基づいて説明する。
なお、ロープ貫通手段19A以外の構成については、第1実施形態に係る空調衣服100と同一であることから、説明を省略する。
【0065】
{実施形態の構成}
第2実施形態に係るロープ貫通手段19Aは、
図5及び
図6に示すように、開口部調整機構193Aにつき、紐状部材1933の両端部に別個にコードストッパー1934を備えると共に、2か所の引出口1932につき、第1実施形態においては近接した位置に配置されていたものを、離隔させたものである。
また、結合部1935は備えられておらず、紐通し部1931Aと、紐状部材1933とは結合されていない。
【0066】
紐状部材1933の両端部を引っ張ると、
図6に示すように、紐通し部1931Aに紐状部材1933が通された部分は収縮し、紐状部材1933が通されていない部分は収縮しない。したがって、この場合、紐通し部1931Aに紐状部材1933が通された部分が収縮部193bとなり、紐状部材1933が通されていない部分が非収縮部193aとなる。
すなわち、本実施形態においては、紐通し部1931A及び紐状部材1933が、本発明における収縮手段として機能し、紐通し部1931Aのうち、紐状部材1933が通されていない部分が、本発明における開口部創出機構及び収縮抑制機構として機能する。
【0067】
{実施形態の効果}
本実施形態に係る開口部調整機構193Aによれば、
図6に示すように、フルハーネス型安全帯のロープRを紐通し部1931Aの開口部に挿通させた状態で、紐状部材1933の両端部を引っ張ると、紐通し部1931Aに紐状部材1933が通された収縮部193bは収縮するが、紐通し部1931Aに紐状部材1933が通されていない非収縮部193aの長さが変わることはない。
したがって、開口部調整機構193Aによって、ロープ貫通手段19Aの開口部を最小にした場合においても、
図6に示すように非収縮部193a及び収縮した収縮部193bによって囲まれた一定の開口部が残ることとなり、かつ、空調衣服100の作製者は、このような最小とした状態の開口部の面積を、非収縮部193a及び収縮部193bの長さによって定まる所定の面積に予め定めることができる。
【0068】
これによって、第2実施形態においても、空調衣服の着用者は、紐状部材1933の両端部を引っ張って、ロープ貫通手段19Aの開口部を最小とした状態で、コードストッパー1934を、引出口1932付近に固定するのみで、予め空調衣服の作製者によって定められた、ロープRの周囲に僅かに開口部が残存する、ロープ貫通手段を空気排出部として活用する上で適切な所定の面積となるように、ロープ貫通手段19Aの開口部の面積を調整することができることから、第1実施形態と同様、ロープ貫通手段に形成される開口部を、空気排出部として活用することが容易となる。
【0069】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る空調衣服について、
図7及び
図8に基づいて説明する。
なお、ロープ貫通手段19B以外の構成については、第1実施形態に係る空調衣服100と同一であることから、説明を省略する。
【0070】
{実施形態の構成}
第3実施形態に係るロープ貫通手段19Bは、
図7に示すように、開口部調整機構193Bにつき、紐通し部1931Bの外周側に、2か所の外周側引出口1932aを備え、紐通し部1931Aの内周側に、2か所の内周側引出口1932bを備える構成としたものである。
また、結合部1935は備えられておらず、紐通し部1931と、紐状部材1933とは結合されていない。
【0071】
この場合、紐状部材1933は
図7に示すように、両端部が2か所の外周側引出口1932aから露出し、中間部において、2か所の内周側引出口1932bから、紐通し部1931Bの開口部を横断するようにして露出している。
【0072】
紐状部材1933の両端部を引っ張ると、
図8に示すように、紐通し部1931Bに紐状部材1933が通された外周側引出口1932aと内周側引出口1932bとの間の部分2か所は収縮し、紐状部材1933が通されていない内周側引出口1932bと内周側引出口1932bとの間の部分は収縮しない。したがって、この場合、紐通し部1931Bに紐状部材1933が通された外周側引出口1932aと内周側引出口1932bとの間の部分が収縮部193bとなり、紐通し部1931Bに紐状部材1933が通されていない内周側引出口1932bと内周側引出口1932bとの間の部分が非収縮部193aとなる。
すなわち、本実施形態においても、紐通し部1931B及び紐状部材1933が、本発明における収縮手段として機能し、紐通し部1931Bのうち、紐状部材1933が通されていない部分が、本発明における開口部創出機構及び収縮抑制機構として機能する。なお、本発明において「ロープの周囲」とは、ロープの周りを周回する状態に限られず、
図8に示すようにロープの近傍の一部に開口部が残存していれば、ロープの周囲に開口部が残存しているものとする。
【0073】
また、上記においては、開口部調整機構193Bが、紐通し部1931Bと紐状部材1933とが結合された結合部1935を備えない場合につき説明したが、
図7における2か所の内周側引出口1932bから僅かに外周側引出口1932a寄りの位置の2か所に、結合部1935を備える構成としてもよい。この場合、紐状部材1933の内周側引出口1932bと内周側引出口1932bとの間に露出している部分が結合部1935によって固定されることから、
図8のように紐通し部1931Bの開口部が中央で二つに分断した状態となることを防止できる。
【0074】
{実施形態の効果}
本実施形態に係る開口部調整機構193Bにおいては、フルハーネス型安全帯のロープRを、紐通し部1931Bに形成された開口部のうち、紐状部材1933によって囲まれた部分に挿通させる。
当該状態で紐状部材1933の両端部を引っ張ると、
図8に示すように、紐通し部1931Bのうち、紐状部材1933が通された収縮部193bは収縮するものの、紐状部材1933が通されていない内周側引出口1932bと内周側引出口1932bとの間の部分の非収縮部193aは収縮しない。
したがって、開口部調整機構193Bによって、ロープ貫通手段19Bの開口部を最小にした場合においても、
図8に示すように非収縮部193aによって囲まれた一定の開口部が残ることとなり、かつ、空調衣服100の作製者は、このような最小とした状態の開口部の面積を、非収縮部193aの長さによって定まる所定の面積に予め定めることができる。
【0075】
これによって、第3実施形態によっても、空調衣服の着用者は、紐状部材1933の両端部を引っ張って、ロープ貫通手段19Bの開口部を最小にした状態で、コードストッパー1934を外周側引出口1932a付近に固定するのみで、予め空調衣服の作製者によって定められた、ロープの周囲に僅かに開口部が残存する、ロープ貫通手段を空気排出部として活用する上で適切な所定の面積となるように、ロープ貫通手段19Aの開口部の面積を調整することができることから、第1実施形態と同様、ロープ貫通手段に形成される開口部を、空気排出部として活用することが容易となる。
【0076】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る空調衣服について、
図9及び
図10に基づいて説明する。
なお、ロープ貫通手段19C以外の構成については、第1実施形態に係る空調衣服100と同一であることから、説明を省略する。
【0077】
{実施形態の構成}
第4実施形態に係るロープ貫通手段19Cは、
図9及び
図10に示すように、開口部調整機構193Cにつき、紐通し部1931Cの外周側に、2か所の外周側引出口1932aを備え、紐通し部1931Cの内周側に、8か所の内周側引出口1932bを備える構成としたものである。
また、結合部1935は備えられておらず、紐通し部1931と、紐状部材1933とは結合されていない。
なお、内周側引出口1932bの形成数は、必ずしも8か所には限られず、4か所以上の偶数か所に形成されていればよい。
【0078】
この場合、紐状部材1933は、
図9に示すように、両端部が2か所の外周側引出口1932aから露出し、かつ、紐通し部1931Cの内周側において、紐通し部1931Cの内周側に8か所形成された内周側引出口1932bごとに、紐状部材1933が紐通し部1931Cの内周側に露出する部分と、紐通し部1931C内に通された部分とが交互に繰り返されるようにして、紐通し部1931Cに通されている。
【0079】
紐状部材1933の両端部を引っ張ると、
図10に示すように、紐通し部1931Cのうち、紐状部材1933が紐通し部1931Cに通された部分は収縮し、紐状部材1933が紐通し部1931Cの内周側に露出する部分は収縮しない。したがって、この場合、紐通し部1931Cに紐状部材1933が通された部分が収縮部193bとなり、紐状部材1933が紐通し部1931Cに通されず、その内周側に露出する部分が非収縮部193aとなる。
すなわち、本実施形態においても、紐通し部1931C及び紐状部材1933が、本発明における収縮手段として機能し、紐通し部1931Cのうち、紐状部材1933が通されていない部分が、本発明における開口部創出機構及び収縮抑制機構として機能する。
【0080】
{実施形態の効果}
本実施形態に係る開口部調整機構193Cによれば、
図10に示すように、フルハーネス型安全帯のロープを紐通し部1931Cの開口部に挿通させた状態で、紐状部材1933の両端部を引っ張ると、収縮部193bは収縮するが、紐状部材1933が紐通し部1931Cの内周側に露出する非収縮部193aは収縮せず、外側に突出した状態となる。
したがって、開口部調整機構193Cによって、ロープ貫通手段19Cの開口部を最小とした場合においても、
図10に示すように非収縮部193aによって囲まれた一定の開口部が4か所残ることとなり、かつ、空調衣服の作製者は、このような最小とした状態の4か所の開口部の面積を、非収縮部193aの長さによって定まる所定の面積に予め定めることができる。
【0081】
これによって、第4実施形態によっても、空調衣服の着用者は、紐状部材1933の両端部を引っ張って、ロープ貫通手段19Cの開口部を最小にした状態で、コードストッパー1934を、外周側引出口1932a付近に固定するのみで、予め空調衣服100の作製者によって定められた、ロープの周囲に僅かに開口部が残存する、ロープ貫通手段を空気排出部として活用する上で適切な所定の面積となるように、ロープ貫通手段19Cの開口部の面積を調整することができることから、第1実施形態と同様、ロープ貫通手段に形成される開口部を、空気排出部として活用することが容易となる。
【0082】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る空調衣服について、
図11及び
図12に基づいて説明する。
なお、ロープ貫通手段19D以外の構成については、第1実施形態に係る空調衣服100と同一であることから、説明を省略する。
【0083】
{実施形態の構成}
第5実施形態に係るロープ貫通手段19Dは、
図11及び
図12に示すように、開口部調整機構193Dにつき、紐状部材1933及びコードストッパー1934に替えて、ゴム紐1936を備えたものである。
また、ゴム紐1936は全体が紐通し部1931Dに収納されていることから、引出口1932は備えられていない。
【0084】
ゴム紐1936は、紐通し部1931D内に全体が通され、両端部近傍の結合部1935Aにおいて、紐通し部1931Dに、例えば縫合等の方法で結合されている。
また、伸ばされていない状態におけるゴム紐1936の結合部1935Aと結合部1935Aとの間の長さは、紐通し部1931Dのゴム紐1936が通された部分の結合部1935Aと結合部1935Aとの間の長さよりも短く、
図11に示すように、ゴム紐1936に力が加わっていない状態においては、ゴム紐1936に合わせて当該部分の紐通し部1931Dが収縮して、収縮部193bを構成しており、その他の部分が非収縮部193aを構成している。
すなわち、本実施形態においては、紐通し部1931D及びゴム紐1936が、本発明における収縮手段として機能し、紐通し部1931Dのうち、ゴム紐1936が備えられていない部分、すなわち、ゴム紐1936に合わせて収縮することのない部分である非収縮部193aが、本発明における開口部創出機構及び収縮抑制機構として機能する。
【0085】
なお、結合部1935Aの形成箇所は、必ずしも2か所には限られない。
例えば、
図11及び
図12における結合部1935Aと結合部1935Aとの間の部分に、さらに結合部1935Aを設けてもよい。
また、例えば、結合部1935Aをゴム紐全体に亘って形成し、ゴム紐1936の全体に亘って、紐通し部1931Dと結合されるようにしてもよい。
【0086】
また、本実施形態においては、紐通し部1931Dにゴム紐1936が通された場合につき説明したが、紐通し部1931Dを備えることなく、ゴム紐1936が、ロープ挿通部192の服本体の服地と接続されているのと反対側の端部の開口部の周囲に、直接取り付けられていてもよい。
【0087】
空調衣服をフルハーネス型安全帯の上に着用する際には、着用者は、
図12に示すように、収縮部193bを手で引き伸ばして開口部調整機構193Dの開口部を広げた状態で、ロープRに備えられたフックを通す。その後に手を離せば、ゴム紐1936が収縮し、それに伴って収縮部193bが収縮し、開口部の大きさは、
図11に示すように、自動的にゴム紐1936によって調整可能な最小の大きさとなる。
【0088】
{実施形態の効果}
本実施形態に係る開口部調整機構193Dによれば、
図11に示すように、ロープ貫通手段19Dの開口部を最小にした状態(ゴム紐1936に力が加わっていない通常状態)においても、非収縮部193a及びゴム紐1936によって収縮した状態の収縮部193bによって囲まれた一定の開口部が残ることとなり、かつ、空調衣服100の作製者は、このような最小とした状態の開口部の面積を、非収縮部193a及び収縮部193bの長さによって定まる所定の面積に予め定めることができる。
【0089】
これによって、第5実施形態によっても、空調衣服の着用者は、収縮部193bを伸ばして開口部の大きさを大きくした状態でフックを通した後に、手を放すのみで、予め空調衣服の作製者によって定められた、ロープの周囲に僅かに開口部が残存する、ロープ貫通手段を空気排出部として活用する上で適切な所定の面積となるように、ロープ貫通手段19Dの開口部の面積を調整することができることから、第1実施形態と同様、ロープ貫通手段に形成される開口部を、空気排出部として活用することが容易となる。
【0090】
[第6実施形態]
第6実施形態に係る空調衣服について、
図13及び
図14に基づいて説明する。
なお、ロープ貫通手段19E以外の構成については、第1実施形態に係る空調衣服100と同一であることから、説明を省略する。
【0091】
{実施形態の構成}
第6実施形態に係るロープ貫通手段19Eは、
図13及び
図14に示すように、開口部調整機構193Eに、紐通し部1931E内に収納されるようにして、補強部材1937を備えたものである。
また、結合部1935は備えられておらず、紐通し部1931Eと、紐状部材1933とは結合されていない。
【0092】
補強部材1937としては、紐通し部1931E内に収納可能な細長い部材であり、かつ紐状部材1933を引っ張って紐通し部1931Eを収縮させた際に、収縮しない程度の強度を有するものであれば任意であるが、例えば、樹脂製や金属製の板状の部材を用いればよい。
すなわち、本実施形態においては、紐通し部1931E及び紐状部材1933が、本発明における収縮手段として機能し、補強部材1937が、本発明における開口部創出機構及び収縮抑制機構として機能する。
【0093】
なお、補強部材1937は、紐通し部1931Eにおいて位置が固定されていてもよいし、固定されず、紐通し部1931E内を動かすことが可能であってもよい。
また、補強部材1937は、必ずしも紐通し部1931内に収納されていることを要せず、紐通し部1931の外部に固定されていてもよい。
【0094】
{実施形態の効果}
本実施形態に係る開口部調整機構193Eによれば、
図14に示すように、フルハーネス型安全帯のロープRを紐通し部1931Eに挿通させた状態で、紐状部材1933の両端部を引っ張ると、紐通し部1931Eが収縮するが、上記のように補強部材1937は収縮しないことから、紐通し部1931Eの開口部の周の長さは、最も短くしても、補強部材1937の長さ以上に保たれる。
したがって、開口部調整機構193Eによって、ロープ貫通手段19Eの開口部を最小にした場合においても、
図14に示すように、紐通し部1931Eの補強部材1937が収納された部分によって囲まれた一定の開口部が残ることとなり、かつ、空調衣服の作製者は、このような最小とした状態の開口部の面積を、補強部材1937の長さによって定まる所定の面積に予め定めることができる。
【0095】
これによって、第6実施形態によっても、空調衣服の着用者は、紐状部材1933の両端部を引っ張って、ロープ貫通手段19Eの開口部を最小とした状態で、コードストッパー1934を、引出口1932付近に固定するのみで、予め空調衣服の作製者によって定められた、ロープの周囲に僅かに開口部が残存する、ロープ貫通手段を空気排出部として活用する上で適切な所定の面積となるように、ロープ貫通手段19Eの開口部の面積を調整することができることから、第1実施形態と同様、ロープ貫通手段に形成される開口部を、空気排出部として活用することが容易となる。
【0096】
[第7実施形態]
第7実施形態に係る空調衣服について、
図15及び
図16に基づいて説明する。
なお、ロープ貫通手段19F以外の構成については、第1実施形態に係る空調衣服100と同一であることから、説明を省略する。
【0097】
{実施形態の構成}
第7実施形態に係るロープ貫通手段19Fは、
図15及び
図16に示すように、開口部調整機構193Fにつき、ロープ挿通部192の開口部の周囲に沿って所定の長さに亘って形成された第1接続部1938と、ロープ挿通部192の開口部の周囲の第1接続部1938と対向する他の部分に所定の長さに亘って形成され、第1接続部1938と着脱自在に接続可能な第2接続部1939とから構成したものである。
なお、本実施形態においては、第1実施形態のような紐通し部1931、引出口1932、紐状部材1933、コードストッパー1934及び結合部1935はいずれも要しない。
【0098】
第1接続部1938及び第2接続部1939としては、例えば、
図15及び
図16に示すように線ファスナーが用いられる。
図15及び
図16においては、一般的な線ファスナーとして、第1接続部1938が、線ファスナーのスライダーを備える場合について図示している。
【0099】
図15及び
図16に示すように、第1接続部1938及び第2接続部1939は、ロープ挿通部192の服本体の服地に接続されているのと反対側の端部に形成された開口部の一部にしか形成されていないことから、これらを接続したとしても、ロープ挿通部の開口部の全体が閉塞されることはない。
すなわち、ロープ挿通部192の服本体の服地と接続されているのと反対側の端部の開口部の周囲の部分のうち、第1接続部1938及び第2接続部1939が備えられていない部分が、本発明における開口部創出機構として機能する。
【0100】
なお、
図15及び
図16においては、第1接続部1938と第2接続部1939とが接して形成され、これらを接続した際に、
図16に示すように、開口部が1つのみ形成される場合につき図示したが、これに限られず、第1接続部1938と第2接続部1939とを離れた位置に形成してもよい。
この場合、これらを接続した際に開口部が2つ形成されることとなるが、その少なくともいずれかが、フルハーネス型安全帯のロープRを挿通可能な面積を有すればよい。
【0101】
{実施形態の効果}
本実施形態に係る開口部調整機構193Fによれば、
図16に示すように、フルハーネス型安全帯のロープをロープ挿通部192に挿通させた状態で、第1接続部1938と第2接続部1939とを接続することで、ロープ挿通部192の開口部を、第1接続部1938及び第2接続部1939が備えられていない部分の長さによって定まる所定の大きさまで小さくすることができるが、これ以上小さくすることはできない。
したがって、開口部調整機構193Fによって、ロープ貫通手段19Fの開口部を最小にした場合においても、
図16に示すように、ロープ挿通部192には、ロープ挿通部192の服本体の服地と接続されたのと反対側の端部のうち、第1接続部1938及び第2接続部1939が形成されていない部分の長さに対応した一定の開口部が残ることとなり、かつ、空調衣服の作製者は、このような最小とした状態の開口部の面積を、上記部分の長さによって定まる所定の面積に予め定めることができる。
【0102】
これによって、第7実施形態によっても、空調衣服の着用者は、第1接続部1938と第2接続部1939とをその全体に亘って接続するのみで、予め空調衣服の作製者によって定められた、ロープの周囲に僅かに開口部が残存する、ロープ貫通手段を空気排出部として活用する上で適切な所定の面積となるように、ロープ貫通手段19Fの開口部の面積を調整することができることから、第1実施形態と同様、ロープ貫通手段に形成される開口部を、空気排出部として活用することが容易となる。
【0103】
{変形例}
第1接続部及び第2接続部は、ロープ挿通部192の服本体の服地と接続されたのと反対側の端部の開口部付近を所定の長さに亘って接続可能であればよく、具体的な構成は線ファスナーには限られない。
例えば、
図17に示す開口部調整機構193Gのように、第1接続部1938A及び第2接続部1939Aとして、ロープ挿通部192の服本体と接続されたのと反対側の端部の近傍に、所定の長さを有する面ファスナーを配置してもよいし、
図18に示す開口部調整機構193Hのように、ロープ挿通部192の服本体と接続されたのと反対側の端部の近傍に、第1接続部1938B及び第2接続部1939Bとして、複数のボタン及びボタン穴を、ロープ挿通部192の開口部に沿って並ぶように配置してもよい。
【符号の説明】
【0104】
100 空調衣服
1 服本体
13 ファン取付孔(取付孔)
19、19A、19B、19C、19D、19E、19F、19G、19H ロープ貫通手段
193、193A、193B、193C、193D、193E、193F、193G、193H 開口部調整機構
1931、1931A、1931B、1931C、1931D、1931E 紐通し部
1932 引出口
1932a 外周側引出口
1932b 内周側引出口
1933 紐状部材
1934 コードストッパー(固定手段)
1935、1935A 結合部
1936 ゴム紐
1937 補強部材
1938 第1接続部
1939 第2接続部
193a 非収縮部
193b 収縮部
2 ファン(空気導入手段)
3 電源部(電源手段)
4 接続ケーブル(電源手段)
R ロープ