(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20230221BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230221BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20230221BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230221BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20230221BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
G09F9/30 310
G09F9/30 308Z
G09F9/30 338
G09F9/30 330
G09F9/30 309
G09F9/00 338
G09F9/30 365
H05B33/02
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/10
(21)【出願番号】P 2021143360
(22)【出願日】2021-09-02
(62)【分割の表示】P 2019125358の分割
【原出願日】2014-11-06
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2013239657
(32)【優先日】2013-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕司
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-046565(JP,A)
【文献】特開2006-286238(JP,A)
【文献】特開2011-097007(JP,A)
【文献】特開2011-118082(JP,A)
【文献】特開2011-007986(JP,A)
【文献】特開2009-301040(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0291544(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0042940(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0100897(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30
G09F 9/00
H05B 33/02
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性基板と、
前記可撓性基板の表面の第1領域に設けられた表示素子部と、
前記可撓性基板の表面の前記第1領域と異なる第2領域に設けられ、前記表示素子部と電気的に接続された配線と、
前記可撓性基板の表面の前記第1領域および第2領域と異なる第3領域において、前記配線と電気的に接続された駆動素子部と、
前記可撓性基板の前記第1領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第4領域に設けられ、前記可撓性基板よりも剛性率の高い材料で構成される剛性基板と
を備え、
前記可撓性基板上にはガスバリア層が形成されて
おり、かつ
前記可撓性基板の前記第2領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第5領域に対して、前記剛性基板が、前記第4領域から前記第5領域の前記表示素子部側の一部まで延伸している
表示装置。
【請求項2】
可撓性基板と、
前記可撓性基板の表面の第1領域に設けられた表示素子部と、
前記可撓性基板の表面の前記第1領域と異なる第2領域に設けられ、前記表示素子部と電気的に接続された配線と、
前記可撓性基板の表面の前記第1領域および第2領域と異なる第3領域において、前記配線と電気的に接続された駆動素子部と、
前記可撓性基板の前記第1領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第4領域に設けられ、前記可撓性基板よりも剛性率の高い材料で構成される剛性基板と
を備え、
前記剛性基板と前記可撓性基板との間には、第1の接着層が配置されると共に、前記可撓性基板上にはガスバリア層が形成されている
表示装置。
【請求項3】
可撓性基板と、
前記可撓性基板の表面の第1領域に設けられた表示素子部と、
前記可撓性基板の表面の前記第1領域と異なる第2領域に設けられ、前記表示素子部と電気的に接続された配線と、
前記可撓性基板の表面の前記第1領域および第2領域と異なる第3領域において、前記配線と電気的に接続された駆動素子部と、
前記可撓性基板の前記第1領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第4領域に設けられ、前記可撓性基板よりも剛性率の高い材料で構成される剛性基板と
を備え、
前記可撓性基板上にはガスバリア層が形成されて
おり、かつ
前記剛性基板が、前記可撓性基板の前記第3領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第6領域には設けられていない
表示装置。
【請求項4】
前記可撓性基板は、前記第5領域に折り曲げ箇所を有し、
前記可撓性基板が、前記折り曲げ箇所で折り曲げられている
請求項
1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記
第1の接着層は、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、またはポリイミド樹脂を含む
請求項
2に記載の表示装置。
【請求項6】
前記剛性基板と前記可撓性基板とが直接接触している
請求項
1または3に記載の表示装置。
【請求項7】
前記駆動素子部は、駆動ICを搭載したフレキシブル回路基板である、
請求項1
~6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記可撓性基板の前記第2領域は、少なくとも前記第1領域よりも前記可撓性基板の周辺に位置する
請求項1
~7の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記可撓性基板は、樹脂基板、繊維強化プラスチック基板、又は有機無機複合樹脂基板である、
請求項1~
8の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記可撓性基板上の前記ガスバリア層には、シリコン化合物の膜が含まれる
請求項1~
9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記可撓性基板上の前記ガスバリア層には、金属の膜が含まれる
請求項1~
9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記可撓性基板上の前記ガスバリア層には、金属酸化物の膜が含まれる
請求項1~
9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記可撓性基板上の前記ガスバリア層には、
シリコン窒化物、シリコン酸化物、シリコン窒化酸化物、シリコン炭酸化物、
アルミニウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、タングステン、クロム、銀、銅、チタン、又は、
アルミニウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、タングステン、クロム、銀、銅、若しくは、チタンの酸化物、の膜が含まれる
請求項1~
9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記可撓性基板表面の前記第1領域に設けられた前記表示素子部には素子封止層が設けられている、
請求項1~
13の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記素子封止層は、無機封止層を含む、
請求項
14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記素子封止層は、樹脂封止層を含む、
請求項
14に記載の表示装置。
【請求項17】
前記可撓性基板表面の前記第1領域に設けられた前記表示素子部上に
第2の接着層を介して封止層が設けられている、
請求項1~
16の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項18】
前記剛性基板は、ガラス、セラミクス、又は、アルミナから構成される
請求項1~
17の何れか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置、特に、裏面に剛性基板を備えた可撓性基板の表面に、表示部が設けられた表示装置、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯型情報端末等の普及に伴い、これらの端末等に搭載される表示装置には薄型化、軽量化、および堅牢性の向上が強く求められている。さらに、最近では、これらに加えて可撓性にも優れる表示装置の需要が高まりつつあり、このような需要に応えるための表示装置の製造方法が検討されている。
【0003】
例えば、表示装置の薄型化、軽量化、および可撓性を実現するために、ガラス基板上に表示素子部等を作り込んだ後、ガラス基板を研磨してガラス基板全体の厚みを薄くする表示装置の製造方法が検討されている。一方、表示装置の堅牢性および可撓性を実現するために、基板として樹脂基板と厚みの薄いガラス基板とを用いる構成や、基板として樹脂基板のみを用いる構成が検討されている。特許文献1は、まず薄膜トランジスタをガラス基板に形成し、ガラス基板の全部を除去した後に、薄膜トランジスタを樹脂基板に転写するという表示装置の製造方法を開示している。特許文献2は、ガラス基板上に樹脂基板を形成し、その上に表示素子部等を作り込んだ後に、ガラス基板から樹脂基板を分離する表示装置の製造方法を開示している。
【0004】
ところで、一般に、表示装置は、基板と、基板上に設けられた表示素子部と、表示素子部と電気的に接続された駆動IC(Integrated Circuit)とを備える。表示素子部内には薄膜トランジスタ等が設けられている。この構成により、外部機器からの映像信号が駆動ICを介して表示素子部に入力されると、薄膜トランジスタが映像信号に対応して駆動され、表示装置は映像を表示する。
【0005】
表示素子部と駆動ICとを電気的に接続するためには、表示素子部と電気的に接続された配線に駆動ICを直接接続する方法と、フレキシブル回路基板(Flexible printed circuits;以下、FPCと呼ぶ)を介して接続する方法とがある。直接接続する場合、駆動ICは、表示素子部から引き出された配線とFPC上で電気的に接続される。FPCを介して接続する場合、駆動ICの出力端子は、FPC上に配され、且つ、FPCに設けられた配線と電気的に接続されるように、駆動ICがFPCに実装される。そして、FPCの出力端子は、表示素子部から引き出された配線と基板上で電気的に接続される。いずれの接続方法においても、異方性導電性接着剤(Anisotropic Conductive Film;以下、ACFと呼ぶ)を介する方法が用いられる。ACFを介して接続された2つの端子を熱圧着することにより、両端子間を電気的に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2002/084739号
【文献】特許第4870156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、表示素子部と駆動素子部とを電気的に接続するためには、表示素子部と電気的に接続された配線と駆動素子部とを接続する必要がある。具体的には、当該配線から引き出された接続部と、駆動素子部の出力端子あるいはFPCの出力端子とを基板上で接続し、当該接続部分を圧着することが一般的である。ここで、樹脂基板のような可撓性
基板と、厚みの厚いガラス基板のような剛性基板とを用いた場合、接続部分を圧着する際、剛性基板に圧力がかかることがある。その結果、剛性基板に割れやクラック(crack)が発生するおそれがある。すなわち、剛性基板が損傷することで、表示装置の製造歩留まりが低下してしまうおそれがある。
【0008】
一方、可撓性基板のみを基板とする表示装置では、表示素子部の外部に存在する空気中の水分が、可撓性基板を透過してしまい、当該水分により表示素子部が劣化するおそれがある。すなわち、可撓性基板のみを基板とする表示装置では、封止性が十分でないため、表示素子部が劣化してしまうおそれがある。
【0009】
本開示は、表示装置の可撓性と表示素子部の封止性とを両立しつつ、配線と駆動素子部との接続部分を圧着する際の剛性基板の損傷を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係る表示装置は、可撓性基板と、前記可撓性基板の表面の第1領域に設けられた表示素子部と、前記可撓性基板の表面の前記第1領域と異なる第2領域に設けられ、前記表示素子部と電気的に接続された配線と、前記可撓性基板の表面の前記第1領域および第2領域と異なる第3領域において、前記配線と電気的に接続された駆動素子部と、前記可撓性基板の前記第1領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第4領域を少なくとも含んで設けられ、前記可撓性基板よりも剛性率の高い材料で構成される剛性基板とを備え、前記可撓性基板の前記第2領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第5領域、および前記可撓性基板の前記第3領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第6領域に対して、前記剛性基板が、前記第6領域には存在しない、もしくは、前記剛性基板が、前記第4領域から前記第5領域および前記第6領域まで延伸し、且つ、前記剛性基板の前記第6領域に存在する部分の厚みが、前記剛性基板の前記第4領域に存在する部分の厚みよりも薄い。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、駆動素子部に対応する部分の剛性基板の厚みが薄い、あるいは、駆動素子部に対応する部分には剛性基板が存在しない。そのため、配線と駆動素子部とを電気的に接続するために、配線から引き出された接続部と駆動素子部との接続部分を圧着する際に、剛性基板が損傷することを抑制できる。また、本開示の一態様によれば、表示素子部に対応する部分の剛性基板の厚みが厚いため、表示素子部の封止性を確保できる。表示装置の可撓性と表示素子部の封止性とを両立しつつ、配線と駆動素子部との接続部分を圧着する際の剛性基板の損傷を抑制することができる。その結果、製造歩留まりが良好であり、且つ、保存安定性の高い表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係る表示装置を示す模式平面図である。
【
図3】
図1に示す表示装置の製造方法を示す模式図であって、(a)は裏面にガラス層が設けられた樹脂基板を準備する工程、(b)は、配線金属層を形成する工程、(c)は配線層を形成する工程をそれぞれ示す図である。
【
図4】
図1に示す表示装置の製造方法を示す模式図であって、(a)は表示素子部を形成する工程、(b)はガラス層をエッチングする工程をそれぞれ示す図である。
【
図5】
図1に示す表示装置の製造方法を示す模式図であって、(a)は裏面にガラス基板を形成する工程、(b)は駆動素子部、接着層、および封止層を形成する工程を示す図である。
【
図6】
図1に示す表示装置の製造方法における駆動素子部を形成する工程を説明する模式図であって、(a)は駆動素子部の形成前を示す図であり、(b)は駆動素子部の圧着工程を示す図である。
【
図7】(a)は
図1に示す実施の形態1に係る表示装置の効果を説明する模式断面図であり、(b)は比較例に係る表示装置の効果を説明する模式断面図である。
【
図8】実施の形態2に係る表示装置を示す模式断面図である。
【
図9】実施の形態3に係る表示装置を示す模式断面図である。
【
図10】実施の形態4に係る表示装置を示す模式図であって、(a)は折り曲げ前の表示装置の平面図を示す図であり、(b)は折り曲げ後の表示装置を表側から見た斜視図を示す図であり、(c)は折り曲げ後の表示装置を裏側から見た斜視図を示す図である。
【
図12】実施の形態5に係る表示装置を示す模式断面図である。
【
図13】実施の形態6に係る表示装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明の一態様に至った経緯>
上述したように、表示素子部と駆動素子部とを電気的に接続するためには、表示素子部と電気的に接続された配線と駆動素子部とを接続する必要がある。具体的には、当該配線から引き出された接続部と、駆動素子部の出力端子あるいはFPCの出力端子とを基板上で接続し、当該接続部分を圧着することが一般的である。ここで、樹脂基板のような可撓性基板と、厚みの厚いガラス基板のような剛性基板とを用いた場合、接続部分を圧着する際、剛性基板に圧力がかかることがある。その結果、剛性基板に割れやクラックが発生するおそれがある。すなわち、剛性基板が損傷することで、表示装置の製造歩留まりが低下してしまうおそれがある。
【0014】
一方、可撓性基板のみを基板とする表示装置では、表示素子部の外部に存在する空気中の水分が、可撓性基板を透過してしまい、当該水分により表示素子部が劣化するおそれがある。すなわち、可撓性基板のみを基板とする表示装置では、封止性が十分でないため、表示素子部が劣化してしまうおそれがある。以上の経緯により、本発明者は以下に説明する本開示の一態様に想到した。
【0015】
<本開示の一態様の概要>
本開示の一態様に係る表示装置は、可撓性基板と、前記可撓性基板の表面の第1領域に設けられた表示素子部と、前記可撓性基板の表面の前記第1領域と異なる第2領域に設けられ、前記表示素子部と電気的に接続された配線と、前記可撓性基板の表面の前記第1領域および第2領域と異なる第3領域において、前記配線と電気的に接続された駆動素子部と、前記可撓性基板の前記第1領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第4領域を少なくとも含んで設けられ、前記可撓性基板よりも剛性率の高い材料で構成される剛性基板とを備え、前記可撓性基板の前記第2領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第5領域、および前記可撓性基板の前記第3領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第6領域に対して、前記剛性基板が、前記第6領域には存在しない、もしくは、前記剛性基板が、前記第4領域から前記第5領域および前記第6領域まで延伸し、且つ、前記剛性基板の前記第6領域に存在する部分の厚みが、前記剛性基板の前記第4領域に存在する部分の厚みよりも薄い。
【0016】
本開示の一態様に係る表示装置では、表示装置の可撓性と表示素子部の封止性とを両立しつつ、配線と駆動素子部との接続部分を圧着する際の剛性基板の損傷を抑制することができる。
【0017】
また、上記一態様に係る表示装置は、その別態様において、前記剛性基板はガラス基板であり、前記可撓性基板は樹脂基板であってもよい。また、前記剛性基板(ガラス基板)の前記第4領域に存在する部分の厚みは、1μmより大きく200μm以下であってもよい。
【0018】
上記別態様によれば、ガラス基板の厚みを1μmより大きくすることで、第4領域に存在する部分のガラス基板が外部から表示素子部への水分の侵入を抑制できる。そのため、表示素子部の封止性を確保できる。さらに、ガラス基板の厚みを200μm以下とすることで、表示装置を曲げた場合でも、ガラス基板の割れやクラックが発生しにくい。
【0019】
また、上記一態様に係る表示装置は、その別態様において、前記剛性基板は、前記第4領域から、前記第5領域および前記第6領域まで延伸し、前記剛性基板の前記第6領域に存在する部分の厚みは、0μmより大きく1μm以下であってもよい。
【0020】
上記別態様によれば、駆動素子部の圧着工程でガラス基板に割れやクラックが発生することを抑制できる。
【0021】
また、上記一態様に係る表示装置は、その別態様において、前記第4領域の全域において、前記剛性基板の厚みが前記第6領域の前記剛性基板の厚みよりも厚くしてもよい。
【0022】
上記別態様によれば、第4領域の一部に、第6領域における剛性基板の厚み以下の剛性基板が配置されている表示装置と比較して、表示素子部における封止性を良好に保つことができる。
【0023】
また、上記一態様に係る表示装置は、その別態様において、前記剛性基板は、前記第4領域から、前記第5領域および前記第6領域まで延伸し、前記剛性基板は、前記第6領域側ほど厚みの薄いテーパー部を有してもよい。また、前記剛性基板のテーパー部の前記第4領域に近い方の端部は、前記表示素子部の外周端縁よりも前記駆動素子部の内周端縁側に位置してもよい。
【0024】
上記態様によれば、表示素子部の封止性をさらに向上できる。
【0025】
また、前記剛性基板は、前記第4領域から、前記第5領域および前記第6領域まで延伸し、前記表示素子部は、有機材料で構成される発光層と、当該発光層を囲む素子封止層とを含み、前記剛性基板は、前記第4領域に、前記第6領域側ほど厚みの薄いテーパー部を有し、前記テーパー部の、前記第6領域から遠い方の端部は、前記第4領域内であって、前記発光層の外周端縁よりも外側に位置してもよい。
【0026】
上記別態様によれば、テーパー部のうち厚みが減少する領域が、水分等による影響を受けやすい発光層よりも外側に配置されることで、表示装置の封止性劣化を抑制することができる。
【0027】
また、上記一態様に係る表示装置は、その別態様において、前記駆動素子部は、前記表示素子部に電力を供給する駆動ICを含み、前記配線は、前記駆動ICに接続されていてもよい。また、前記可撓性基板は、前記第5領域に折り曲げ箇所を有し、前記可撓性基板が、前記折り曲げ箇所で折り曲げられていてもよい。
【0028】
上記別態様によれば、駆動素子部を回路基板および駆動ICで構成することで、駆動ICを配置する場所に関して、設計の自由度が向上する。例えば、駆動ICを回路基板の外側(表示装置の外周側)に設けると、回路基板を折り曲げて表示装置を狭縁化することができる。
【0029】
また、上記一態様に係る表示装置は、その別態様において、前記折り曲げ箇所における前記剛性基板の厚みは、前記第4領域における前記剛性基板の厚みよりも薄く、且つ、前記第5領域における前記剛性基板の厚みと前記第6領域における前記剛性基板の厚みとの合計よりも厚くてもよい。
【0030】
上記別態様によれば、表示装置を小さくし、かつ表示装置の厚みを薄くすることができる。
【0031】
また、上記一態様に係る表示装置は、その別態様において、前記折り曲げ箇所における前記剛性基板の厚みは、前記第4領域における前記剛性基板の厚みと、前記第6領域における前記剛性基板の厚みとの合計よりも薄くてもよい。
【0032】
上記別態様によれば、表示装置を曲げた際に、折り曲げ箇所におけるガラス基板の厚みを薄くできるので、ガラス基板のうち最も応力が大きくなるガラス基板の折り曲げ箇所にかかる応力を低減することができる。その結果、表示素子部の封止性をさらに向上することができる。
【0033】
また、本開示の一態様に係る表示装置の製造方法は、剛性基板の表面に、可撓性基板を形成する工程と、前記可撓性基板の表面の第1領域に、表示素子部を形成する工程と、前記可撓性基板の表面の前記第1領域と異なる第2領域に、前記表示素子部と電気的に接続される配線を形成する工程と、前記可撓性基板の表面の前記第1および前記第2領域と異なる第3領域において、駆動素子部と前記配線とを電気的に接続するように接続領域を押圧する工程と、前記剛性基板の少なくとも一部をエッチングする工程と、を有し、前記エッチングする工程において、前記可撓性基板の前記第3領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第6領域に存在する前記剛性基板の全部を除去するようにエッチングを行う、もしくは、前記可撓性基板の前記第1領域に対向する前記可撓性基板の裏面の第4領域に存在する前記剛性基板を少なくとも残し、かつ前記可撓性基板の前記第3領域に対向する前記可撓性基板の裏面の前記第6領域に存在する前記剛性基板の厚みを薄くするようにエッチングを行う。
【0034】
本開示の一態様に係る表示装置の製造方法では、表示装置の可撓性と表示素子部の封止性とを両立しつつ、配線と駆動素子部との接続部分を圧着する際の剛性基板の損傷を抑制することができる。
【0035】
また、上記一態様に係る表示装置の製造方法は、その別態様において、前記剛性基板はガラス基板であり、前記可撓性基板は樹脂基板であってもよい。また、前記剛性基板の前記第4領域に存在する部分の厚みは、1μmより大きく200μm以下であってもよい。
【0036】
上記別態様によれば、ガラス基板の厚みを1μmより大きくすることで、第4領域に存在する部分のガラス基板が外部から表示素子部への水分の侵入を抑制できる。そのため、表示素子部の封止性を確保できる。さらに、ガラス基板の厚みを200μm以下とすることで、表示装置を曲げた場合でも、ガラス基板の割れやクラックが発生しにくい。
【0037】
また、上記一態様に係る表示装置の製造方法は、その別態様において、前記エッチングする工程は、前記剛性基板の前記第6領域に存在する部分の厚みが、0μmより大きく1μm以下となるようにエッチングを行ってもよい。
【0038】
上記別態様によれば、駆動素子部の圧着工程でガラス基板に割れやクラックが発生することを抑制できる。
【0039】
また、上記一態様に係る表示装置の製造方法は、その別態様において、前記第4領域の全域において、前記剛性基板の厚みが前記第6領域の前記剛性基板の厚みよりも厚くしてもよい。
【0040】
上記別態様によれば、第4領域の一部に、第6領域における剛性基板の厚み以下の剛性基板が配置されている表示装置と比較して、表示素子部における封止性を良好に保つことができる。
【0041】
また、上記一態様に係る表示装置の製造方法は、その別態様において、前記エッチングする工程において、前記エッチングによって形成される、前記剛性基板の凹端部が、前記第5領域内となるようにエッチングを行ってもよい。また、前記エッチングする工程において、前記第5領域に存在する前記剛性基板の少なくとも一部の領域を、前記第4領域側から前記第6領域側にかけて厚みが薄くなるようテーパー形状にエッチングを行ってもよい。また、前記エッチングする工程において、テーパー形状の開始点は、前記表示素子部
の外周端縁よりも前記駆動素子部の内周端縁側に位置し、テーパー形状の終了点は、前記開始点よりも前記駆動素子部の内周端縁側に位置するようにエッチングを行ってもよい。
【0042】
上記別態様によれば、第6領域に存在する部分のガラス基板の厚みは、第4領域に存在する部分のガラス基板の厚みよりも薄くなる。その結果、第6領域に存在する部分のガラス基板の損傷やクラックを抑制することができる。
【0043】
<実施の形態1>
以下、本開示の実施の形態1に係る表示装置について、
図1および
図2を用いて詳細に説明をする。
【0044】
1.全体構成
図1は、実施の形態1に係る表示装置を示す模式平面図である。
図1に示すように、表示装置1は、可撓性基板10と、表示部20と、配線21aと、駆動素子部22とを備える。
図2は、
図1に示す表示装置のII-II線における模式断面図である。
図2に示すように、表示装置1は、
図1の構成に加えて、剛性基板11と、接続部21bと、接着層24と、封止層25とを備える。可撓性基板10としては可撓性を有した基板であればよいが、例えば樹脂基板を用いてもよい。また、剛性基板11は剛性率の高い基板であればよいが、例えばガラス基板を用いてもよい。本実施の形態1では、可撓性基板10として樹脂基板を、剛性基板11としてガラス基板を用いることとする。
【0045】
表示装置1は、可撓性を有する有機EL(Organic Electro-Luminescence)表示パネルであり、表示素子部23からの光を樹脂基板10の反対側から取り出すトップエミッション型である。表示部20には、有機EL素子が複数個配設されている。以下、表示装置1の各構成を具体的に説明する。
2.各部構成
[樹脂基板10]
樹脂基板10は、可撓性を有する材料で構成される樹脂フィルムである。樹脂基板10の表面10aには、第1領域31と、第2領域32と、第3領域33とが存在する。また、樹脂基板10の裏面10bには、第1領域31に対応する第4領域34と、第2領域32に対応する第5領域35と、第3領域33に対応する第6領域36とが存在する。第1領域31には表示部20が設けられ、第2領域32には配線21aが設けられ、第3領域33には駆動素子部22が設けられている。
【0046】
樹脂基板10の材料としては、例えば、ポリイミドである。これに限らず、樹脂基板10の材料は、例えば、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、アクリル系樹脂等であってもよい。
【0047】
[ガラス基板11]
ガラス基板11は、樹脂基板10の裏面10bの第4領域34から、第5領域35および第6領域36まで延伸している。
図1に示す破線が、ガラス基板11の厚みが変化する境界部分(凹端面)11bである。そして、破線よりも外側(表示装置1の外周側)に存在するL字型の領域において、ガラス基板11の厚みが薄くなっている。
図2に戻って、ガラス基板11の厚みが変化する境界部分11bは、ガラス基板11を断面視したときに段差形状となっている。ガラス基板11の第6領域36に存在する部分の厚みd2は、ガラス基板11の第4領域34に存在する部分の厚みd1よりも薄い。また、ガラス基板11の第4領域34の全域において、ガラス基板11の厚みはd1であり、第6領域36のガラス基板11の厚みd2よりも厚くなっている。なお、第4領域34に存在するガラス基板11の厚みd1は、必ずしも一定である必要は無く、1μmより大きく200μm以下という範囲内であればよい。同様に、第6領域36に存在するガラス基板11の厚みd2は、必ずしも一定である必要は無く、0μmより大きく1μm以下という範囲内であればよい。この場合、ガラス基板11の厚みd1、d2は、それぞれ、第4領域34に存在する部分の厚みの平均値、第6領域36に存在する部分の厚みの平均値である。ガラス基板11の厚みd1は、例えば、1μmより大きく200μm以下である。ガラス基板11の厚みd1を1μmより厚くすることで、第4領域34に存在する部分のガラス基板11が外部から表示素子部23への水分の侵入を抑制できる。そのため、表示素子部23の封止性を確保できる。また、ガラス基板11の厚みd1を200μm以下とすることで、表示装置1を曲げた場合でも、ガラス基板11の割れやクラックが発生しにくい。一方、ガラス基板11の厚みd2は0μmより大きく1μm以下である。ガラス基板11の厚みd2が1μmより大きいと、駆動素子部22の圧着工程でガラス基板11に割れやクラックが発生するおそれがある。これについては、後述する。
【0048】
ガラス基板11の材料は、樹脂基板10の材料よりも剛性率が高い材料、例えば、無アルカリガラスである。これに限らず、ガラス基板11の材料は、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英等であってもよい。
【0049】
[表示部]
表示素子部23は、有機EL素子、平坦化層、およびTFT(Thin Film Transistor)層を含む。有機EL素子は、平坦化層を介してTFT層上に配置されている。
【0050】
有機EL素子は、陽極と、有機材料で構成される発光層と、陰極と、素子封止層とを備える。以下、発光層が配置されている領域を「発光領域」と呼ぶ。発光領域は、外部から侵入する水分により陽極と、発光層と、陰極とが劣化しないよう、素子封止層により被覆されている。すなわち、発光層は、素子封止層に囲まれている。素子封止層は、無機材料を主成分とする無機封止層と、樹脂材料を主成分とする樹脂封止層とが用いられる。表示素子部23では、発光領域の上方に無機封止層が配置され、無機封止層の外周がさらに樹脂封止層で覆われている。なお、図示しないが、
図2からも理解されるように、封止層25を構成する無機封止層の外周端縁は、表示素子部23の発光領域よりも駆動素子部22に近い領域に位置し、上記無機封止層の外周を覆う樹脂封止層の外周端縁は無機封止層の外周端縁よりもさらに駆動素子部22に近い領域に位置している。また、ガラス基板11の厚みが変化する境界部分11bは、表示素子部23の外周端縁および封止層25の外周端縁よりも駆動素子部22に近い領域に位置している。すなわち、ガラス基板11の厚みが変化する境界部分11bは、有機EL素子の発光領域よりも、駆動素子部22に近い領域に位置している。
【0051】
TFT層は、薄膜トランジスタ、キャパシタ等の素子と、絶縁層とを含む。薄膜トランジスタは、有機EL素子を駆動する機能を有する。薄膜トランジスタを構成する電極には、選択線、電源線、および信号線等の配線が接続されている。
【0052】
[配線層21]
配線層21は、配線21aと接続部21bとで構成される。配線21aは、表示素子部23内の有機EL素子と電気的に接続している。配線層21の材料は、例えば、銅(Cu)である。これに限らず、配線層の材料は、金属のような導電材料であればよい。
【0053】
[駆動素子部22]
駆動素子部22は、配線層21に電気的に接続される部材であって、表示素子部23に電力を供給する部材である。駆動素子部22は、駆動ICで構成されている。駆動ICは、ACF(不図示)を用いて接続部21bと直接接続される。これにより、配線21aは、駆動ICに接続される。表示装置1を駆動させる際には、外部映像機器から入力された映像信号が、駆動ICから接続部21bを介し表示素子部23へ入力される。
【0054】
3.表示装置1の製造方法
次に、表示装置1の製造方法について、図面を用いて説明する。
図3(a)~
図3(c)、
図4(a)~
図4(b)および
図5(a)~
図5(b)は、
図1に示す表示装置の製
造方法の各工程を示した図である。
【0055】
まず、
図3(a)に示すように、裏面にガラス層11aが設けられた樹脂基板10を準備する。具体的には、無アルカリガラスで構成されるガラス層11a上に、ポリイミドで構成される樹脂基板10を形成する。
【0056】
次に、
図3(b)に示すように、樹脂基板10上に配線層材料21cを積層する。具体的には、例えば、スパッタ法により、厚みが数百nm程度になるように配線層材料21cを積層する。
【0057】
その後、
図3(c)に示すように、樹脂基板10上に配線層21を形成する。具体的には、配線層材料21cに対して、フォトリソグラフィ技術によりレジストをパターン形成し、当該レジストをマスクとして配線層材料21cをエッチングすることで、配線層21を形成する。
【0058】
次に、
図4(a)に示すように、樹脂基板10上に表示素子部23を形成する。表示素子部23は、配線層21に接続される。なお、この工程の最後に、表示素子部23内に封止層を形成する。
【0059】
次に、
図4(b)に示すように、樹脂基板10の裏面の第4領域34に存在するガラス層11aを覆うようにフォトリソグラフィ技術により形成したレジスト51をマスクとして、ガラス層11aのウェットエッチングを行う。
【0060】
その結果、
図5(a)に示すように、レジスト51が形成されていなかった部分がエッチングされてこの部分の厚みが薄くなったガラス基板11が形成される。後述するが、このとき、エッチングによって形成されるガラス基板11の凹端面11bは、第5領域35内となるようにエッチングをおこなう。
【0061】
さらに、
図5(b)に示すように、駆動素子部22を接続部21bと圧着し、表示素子部23に接着層24を介して封止層25を貼り付けて表示装置1を完成させる。
【0062】
以下、駆動素子部22と接続部21bとの圧着について詳しく説明する。
【0063】
図6(a)は、
図1に示す表示装置における駆動素子部を形成する工程を説明する模式図であって、駆動素子部の形成前を示す図であり、
図6(b)は、駆動素子部の圧着工程を示す図である。
【0064】
駆動素子部22と接続部21bとは、ACF(異方性導電性接着剤)を介して熱圧着する。熱圧着前の状態を、
図6(a)に示す。具体的には、まず、接続部21bをアセトン等で洗浄する。次に、接続部21bにACFを貼り合わせ、
図6(b)に示すように、圧着ヘッド52と駆動素子部22とのアライメントを行った後、仮圧着を行う。その後、ACFを介して接続部21bと駆動素子部22とを本圧着する。本圧着は、駆動素子部22を加熱しながら駆動素子部22とACFが設けられた接続部21bとを押圧することにより行われる。その結果、接続部21bと駆動素子部22とは、良好な接着性と導通状態とを得ることができる。
【0065】
4.効果
本実施の形態1に係る表示装置1では、駆動素子部22の圧着時に、第6領域36に存在する部分のガラス基板11に割れやクラックが発生しにくい。また、仮に、駆動素子部22の圧着時に、第6領域36に存在する部分のガラス基板11にクラックが発生しても、第4領域34に存在する部分のガラス基板11には伝播しにくい。以下、この効果について、
図7(a)、
図7(b)を用いて説明する。
【0066】
図7(a)は本実施の形態1に係る表示装置1の効果を説明するための模式断面図である。第6領域36に存在する部分のガラス基板11の厚みd2は、0μmより大きく1μmである。一方、
図7(b)は比較例に係る表示装置901の効果を説明するための模式
断面図である。第6領域36に存在する部分のガラス基板11の厚みd902は1μmより大きい。
【0067】
圧着ヘッド52が駆動素子部22を圧着する際に、比較例に係る表示装置901では、第6領域36に存在する部分のガラス基板911に応力が発生する。表示装置1でも、表示装置901と同様に、第6領域36に存在する部分のガラス基板11に応力が発生する。ただし、第6領域36に存在する部分のガラス基板911に発生する応力は、第6領域36に存在する部分のガラス基板11に発生する応力よりも大きい。これは、厚みd902の厚い第6領域36に存在する部分のガラス基板911では、厚みd2の薄い第6領域36に存在する部分のガラス基板11よりも、圧着によるひずみが大きく、引っ張り応力がより大きくなるためである。その結果、表示装置901では、第6領域36に存在する部分のガラス基板11が割れたり、クラックが発生したりすることがある。これにより、第4領域34に存在する部分のガラス基板11に、クラックが伝播してしまい、その結果、表示素子部23の封止性が低下してしまう。
【0068】
これに対して、本実施の形態1に係る表示装置1では、第6領域に存在する部分のガラス基板11の厚みが十分に薄いため、圧着によってもガラス基板11が割れたりクラックが発生したりすることを抑制できる。また、仮に第6領域36に存在する部分のガラス基板11にクラックが発生しても、第6領域36に存在する部分のガラス基板11における引っ張り応力が抑制されるため、第4領域34に存在する部分のガラス基板11までクラックが伝播することを抑制できる。その結果、製造歩留まりが良好であり、且つ、保存安定性の高い表示装置を提供することができる。
【0069】
なお、本実施の形態1に係る表示装置1に曲げ応力が加わった場合に、ガラス基板11のクラック等の損傷を抑制するためには、第5領域35に存在する部分のガラス基板11の厚みは、薄くてもよい。さらに、第5領域35に存在する部分のガラス基板11の厚みは、第6領域に存在する部分のガラス基板11の厚みと同一であってもよい。これは、第6領域36に存在するガラス基板11の厚みと、第4領域34および第5領域35のガラス基板11の厚みとの差が大きくなるほど、表示装置1に曲げ応力が加わった際に、ガラス基板11の厚みが変化する部分においてクラック等の損傷が生じやすくなるためである。
図7(a)に示した表示装置1では、第6領域36に存在する部分のガラス基板11が残存しているので、表示装置1に曲げ応力が加わった際のガラス基板11の損傷を抑制することができる。
【0070】
このように、本実施の形態1に係る表示装置1は、第6領域36に存在する部分のガラス基板11の厚みd2が、0μmより大きく1μm以下である。これにより、第6領域36に存在する部分のガラス基板11の厚みd2が、第4領域34に存在するガラス基板の厚みd1よりも薄い。これにより、駆動素子部22の接続部21bへの接続時に発生するガラス基板11の損傷を抑制しつつ、表示素子部23の封止性を確保することができる。
【0071】
<実施の形態2>
実施の形態2に係る表示装置201の模式断面図を
図8に示す。実施の形態2は、実施の形態1に対して、ガラス基板の厚みが変化する部分がテーパー形状である点で異なる。なお、以下、両者の相違点についてのみ説明し、共通する構成については同じ符号を記して説明を省略する。
【0072】
第6領域36に存在する部分のガラス基板211の厚みd2は、第4領域34に存在する部分のガラス基板211の厚みd1よりも薄い。また、ガラス基板211の厚みが変化する境界部分は、緩やかに厚みが変化するテーパー形状のテーパー部211bである。テーパー部211bにおいて、ガラス基板211の厚みは、第6領域36側ほど薄くなっている。なお、テーパー部211bを有するガラス基板211を製造するためには、
図4(b)に示したウェットエッチングにおいてレジストのエッチングレートを調整すればよい。このように、第5領域35に存在するガラス基板211の少なくとも一部の領域を、第4領域34側から第6領域36側にかけて厚みが薄くなるようテーパー形状にエッチングを行う。
【0073】
テーパー部211bの開始点、すなわち、第4領域34から近い側の端部211b1は、表示部20もしくは表示素子部23の外周端縁40よりも駆動素子部22の内周端縁22a側(すなわち、第6領域36側)に位置している。さらに、テーパー部211bの終了点、すなわち、第4領域34から遠い側の端部211b2は、端部211b1よりも駆動素子部22の内周端縁22a側(すなわち、第6領域36側)に位置している。これにより、第6領域36に存在する部分のガラス基板211の厚みd2は、第4領域34に存在する部分のガラス基板211の厚みd1よりも薄い。その結果、第6領域36に存在する部分のガラス基板211の損傷やクラックを抑制することができる。
【0074】
本実施の形態2に係る表示装置201は、第4領域34に存在する部分のガラス基板211の厚みd1と、第6領域36に存在するガラス基板211の厚みd2との変化を緩やかにすることができる。そのため、ガラス基板211の損傷やクラックの伝播を抑制することができる。そのため、第6領域36に存在する部分のガラス基板211の割れやクラックが伝播することを抑制でき、その結果、第4領域34に存在する部分のガラス基板211のクラックを抑制できる。従って、本実施の形態2に係る表示装置201では、表示素子部23の封止性をさらに向上できる。
【0075】
以下、好ましいテーパー部の形状について説明する。
【0076】
テーパー部211bの終了点、すなわち、第4領域34から遠い側の端部211b2は駆動素子部22の内周端縁22aよりも表示素子部23側に位置していてもよい。これにより、第6領域36に存在するガラス基板211の厚みが一定となる。これにより、第6領域36に存在する部分のガラス基板211を平坦にすることができるため、圧着工程において第6領域36に存在する部分のガラス基板211にかかる圧力を第6領域36内のどの部分においても一定にできる。その結果、ACFの接着力や導電性のばらつきを小さくすることができる。
【0077】
また、テーパー部211bの開始点、すなわち、第4領域34から近い側の端部211b1は、表示素子部23の外周端縁23aよりも駆動素子部22側に位置してもよい。これにより、表示素子部23の封止性をさらに向上できる。なお、表示素子部23の外周端縁23aとは、有機EL素子を封止する封止層25の外周端縁を指す。
【0078】
さらに、表示素子部23を、有機材料で構成される発光層と、発光層を覆い囲むように形成した素子封止層とを含んで構成した場合には、以下のように構成してもよい。ガラス基板211は、第4領域34に、第6領域36側ほど厚みの薄いテーパー部を有し、このテーパー部の第6領域から遠い方の端部は、第4領域34内であって、素子封止層で覆い囲まれた発光層の外周端縁よりも外側(表示装置201の外周側)に位置するようにしてもよい。詳細には、テーパー部211bの開始点、すなわち、第4領域34から近い側の端部211b1(第6領域36から遠い側の端部)は、表示素子部23のうち、素子封止層で覆い囲まれた発光層(発光領域)の外周端縁よりも外側(表示装置201の外周側)に位置してもよい。これにより、少なくとも発光領域において封止性を良好に保つことができることに加えて、テーパー部211bの水平方向の幅D1を長く確保することができる。テーパー部211bの水平方向の幅D1が長いと、ガラス基板211の厚みが徐々に緩やかに変化するので、表示装置の損傷をさらに抑制することができる。なお、テーパー部は必ずしも1つだけではなく、2つ以上でも構わない。
【0079】
<実施の形態3>
実施の形態3に係る表示装置301の模式断面図を
図9に示す。実施の形態3は、実施の形態1に対して、第6領域36にガラス基板が存在しない点で異なる。なお、以下、両者の相違点についてのみ説明し、共通する構成については同じ符号を記して説明を省略する。
【0080】
本実施の形態3に係る表示装置301では、ガラス基板311は、第4領域34から第5領域35の表示素子部23側の一部まで延伸している。そのため、駆動素子部22の圧着時においてガラス基板311に圧力がかからないため、ガラス基板311内に応力が発生しない。従って、ガラス基板311に割れやクラックが発生することを防止できる。
【0081】
<実施の形態4>
実施の形態4に係る表示装置401の模式平面図を
図10(a)~
図10(c)に、また、
図10(b)の一点鎖線XI-XI線における模式断面図を
図11に示す。実施の形態4は、実施の形態1に対して、第5領域35に設けられた折り曲げ箇所で表示装置を折り曲げる点で異なる。なお、以下、両者の相違点についてのみ説明し、共通する構成については同じ符号を記して説明を省略する。
【0082】
図10(a)に示す二点鎖線α,βの位置で表示装置401を折り曲げると、
図10(b)に示すように表側に表示部20が現れ、
図10(c)に示すように裏側に駆動素子部22が配置される。そして、第6領域36に存在する部分のガラス基板11は、折り曲げられて収納される。
図11(
図10(b)のXI-XI断面図)に示すように、第5領域35において樹脂基板10が略U字形に折り曲げられ、駆動素子部22は表示素子部23の下方に設けられている。すなわち、第6領域36に存在する部分のガラス基板11は、表示素子部23に対して、樹脂基板10および第5領域35に存在する部分のガラス基板11を挟んで反対側に配置される。これにより、駆動素子部22が表示装置401の外側に突出することがなくなり、表示装置401を狭縁化することができる。
【0083】
駆動素子部22が折り曲げられている箇所(
図10(a)に示す二点鎖線α,βの位置)におけるガラス基板11の厚みd6は、第4領域34におけるガラス基板11の厚みd1よりも薄く、且つ、第5領域35におけるガラス基板11の厚みd2と第6領域36におけるガラス基板11の厚みd2との合計よりも厚い。
【0084】
以上の構成によれば、第6領域36に存在するガラス基板11は、折り曲げられて収納されるため、表示装置401を小さくし、かつ表示装置の厚みを薄くすることができる。
【0085】
<実施の形態5>
実施の形態5に係る表示装置501の模式断面図を
図12に示す。実施の形態5は、実施の形態4に対して、ガラス基板の厚みの異なる境界部分が、段差形状ではなくテーパー形状である点で異なる。なお、以下、両者の相違点についてのみ説明し、共通する構成については同じ符号を記して説明を省略する。
【0086】
本実施の形態5に係る表示装置501では、ガラス基板511の厚みの異なる境界部分がテーパー部511bとなっている。ガラス基板511のうち、折り曲げ部分の一端511c1、折り曲げ部分の他端511c2とすると、テーパー形状の開始位置511b1は折り曲げ部分の一端511c1よりも、表示素子部23が形成されている表示部20の外周端縁40から遠い側に位置する。また、テーパー形状の終了位置511b2はテーパー開始位置511b1よりも、表示素子部23が形成されている表示部20の外周端縁から遠い側に位置する。これにより、ガラス基板511の厚みが薄くなった領域にガラス基板511の折り曲げ箇所αが配置される。そのため、折り曲げ箇所αで表示装置501を折り曲げても、ガラス基板511に割れやクラックが発生しにくい。従って、表示素子部23の封止性を向上することができる。
【0087】
また、
図12に示したように、折り曲げ箇所αにおけるガラス基板の厚みd5は、第4領域34におけるガラス基板511の厚みd4と、第6領域36におけるガラス基板511の厚みd3との合計よりも薄い。これにより、表示装置501を曲げた際に、折り曲げ箇所αにおけるガラス基板511の厚みを薄くできるので、ガラス基板511のうち最も応力が大きくなるガラス基板511の折り曲げ箇所αにかかる応力を低減することができる。その結果、表示素子部23の封止性をさらに向上することができる。
【0088】
<実施の形態6>
実施の形態6に係る表示装置601の模式断面図を
図13に示す。実施の形態6は、上記各実施形態に対して、駆動素子部が駆動ICを搭載したフレキシブル回路基板(FPC;Flexible printed circuits)である点で異なる。なお、以下、両者の相違点についてのみ説明し、共通する構成については同じ符号を記して説明を省略する。
【0089】
本実施の形態6に係る表示装置601では、駆動素子部がFPC622および駆動IC(不図示)で構成される。FPC622は、ベースフィルム622aと、接続配線622bと、カバーフィルム622cとを含む。接続部21bとFPC622とは、ACF(異方性導電性接着剤)661を介して圧着することにより接続される。これにより、配線21aは、FPC622に接続される。接続部21bとFPC622との圧着領域の上方には、接着層662が積層されている。また、ガラス基板11、樹脂基板10およびACF661等を覆うように接着層663が設けられている。なお、駆動素子部に、ACF661は含まれない。
【0090】
この構成では、駆動IC(不図示)と配線21aとがFPC622を介して接続されている。FPCを介して接続する場合、駆動ICの出力端子は、FPC上に配され、且つ、FPCに設けられた配線と電気的に接続されるように、駆動ICがFPCに実装される。そして、FPCの出力端子は、表示素子部23から引き出された配線21aとFPC上で電気的に接続される。
【0091】
このように、駆動素子部をFPC622および駆動ICで構成することで、駆動ICを配置する場所に関して、設計の自由度が向上する。例えば、駆動ICをFPC622の外側(表示装置601の外周側)に設けると、FPC622を折り曲げて表示装置601を狭縁化することができる。
【0092】
<変形例>
本開示の一態様に係る表示装置は、上記実施の形態で示した構成に限定されない。以下、変形例について具体的に述べる。
【0093】
(表示装置)
上記各実施の形態では、表示装置はトップエミッション型であったが、これに限らず、ボトムエミッション型であってもよい。
【0094】
上記実施の形態4では、表示装置を折り曲げ箇所で略折り返しているが、これに限らず、表示装置を任意の角度で折り曲げてもよい。折り曲げの角度は、製品の仕様に合わせて適宜定めることができる。
【0095】
(剛性基板)
上記実施の形態等では、剛性基板はガラス基板としたが、これに限らず、例えば、可撓性基板よりも剛性が高い材料で構成されていてもよい。可撓性基板よりも剛性が高い材料としては、セラミクス、アルミナ等がある。
【0096】
また、上記実施の形態等では、剛性基板を薄膜化するため、ウェットエッチングを用いたが、これ以外にも、ドライエッチングや研磨等を用いてもよい。
【0097】
さらに、上記実施の形態等では、
図1に示す破線よりも外側に存在するL字型の領域において、剛性基板の厚みが薄くなっていた。しかしながら、これに限らず、少なくとも第6領域36に存在する部分の剛性基板の厚みが薄ければよい。
【0098】
(可撓性基板)
上記実施の形態等では、可撓性基板は樹脂基板としたが、これに限らず、例えば、ガラス繊維や炭素繊維を含んだ繊維強化プラスチック基板や、シリカやゼオライトなどの無機フィラーを含んだ有機無機複合樹脂基板であってもよい。
【0099】
また、可撓性基板は一層のみで構成されるものを示したが、これに限らず、封止性を向上させるために可撓性基板上にガスバリア層を設けてもよい。ガスバリア層の材料としては、例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、シリコン窒化酸化物、シリコン炭酸化物などに加えてアルミニウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、タングステン、クロム、銀、銅、チタンなどの金属や、これらの金属酸化物の薄膜が挙げられる。
【0100】
上記実施の形態等では、剛性基板と可撓性基板とが直接接触しているが、これに限らず、剛性基板と可撓性基板との間に接着層が配置されていても良い。この場合に用いられる接着層の材料として、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、およびポリイミド樹脂などが挙げられる。
【0101】
(表示部)
上記実施の形態等では、有機EL素子を、陽極と、発光層と、陰極とで構成した。しかしながら、有機EL素子は、これらに加えて、電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、正孔輸送層等の機能層を含んでもよい。
【0102】
(配線)
上記実施の形態等では、配線と接続部とを一体的に形成したが、これに限らず、配線と接続部とは別の部材を電気的に接続したものであってもよい。また、配線と駆動素子部との接続はACFに限らず、NCF(非導電性膜)を用いて行ってもよい。なお、駆動素子部と接続部との接続方法は、圧着以外の方法であってもよい。
【0103】
(駆動素子部)
上記実施の形態の構成に加えて、駆動素子部を別途保護膜で覆っていてもよい。
【0104】
(その他)
なお、上記実施の形態等では、表示部を形成した後にガラス層の薄膜化を行ったが、これに限らない。ガラス層の薄膜化は駆動素子部の圧着前に行えばよく、例えば、表示部の形成前に行ってもよい。
【0105】
以上、本開示の一態様に係る表示装置とその製造方法を説明したが、本開示は、その本質的な特徴的構成要素を除き、以上の実施の形態に何ら限定を受けるものではない。例えば、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本開示の表示装置、およびその製造方法は、例えば、携帯型情報端末等に搭載されるディスプレイ等を構成するフレキシブルディスプレイやその製造方法に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0107】
1,201,301,401,501,601 表示装置
10 樹脂基板(可撓性基板)
10a 表面
10b 裏面
11,211,311,511 ガラス基板(剛性基板)
21a 配線
21b 接続部
22 駆動素子部
23 表示素子部
31 第1領域
32 第2領域
33 第3領域
34 第4領域
35 第5領域
36 第6領域
211b,511b テーパー部