(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】カルボン酸アミド
(51)【国際特許分類】
C07C 233/36 20060101AFI20230221BHJP
C09K 23/52 20220101ALI20230221BHJP
【FI】
C07C233/36 CSP
C09K23/52
(21)【出願番号】P 2021194127
(22)【出願日】2021-11-30
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000106438
【氏名又は名称】サンノプコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112438
【氏名又は名称】櫻井 健一
(72)【発明者】
【氏名】北村 匠
【審査官】柳本 航佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-031183(JP,A)
【文献】特開2022-133099(JP,A)
【文献】特開2022-148454(JP,A)
【文献】特開2021-055069(JP,A)
【文献】国際公開第2020/040117(WO,A1)
【文献】特開2015-110739(JP,A)
【文献】特開平01-249748(JP,A)
【文献】特開平02-104567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 233/00-233/92
C09K 23/00- 23/56
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されることを特徴とするポリアミンのカルボン酸アミド。
【化1】
R
1は炭素数8~22のアシル基又は水素原子、R
1のうち少なくとも一つは炭素数8~22のアシル基であり、R
2~R
4は炭素数2~36の炭化水素基、R
5は水素原子又は-(AO)
n-Hで表される基(AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、nは1~60の整数)、R
5のうち少なくとも一つは-(AO)
n-Hで表される基であり、xは1~6の整数、yは0~10の整数、Nは窒素原子、Cは炭素原子、Hは水素原子、Oは酸素原子を表し、2個のR
1は異なっていてもよく、xが2~6の整数の場合x個の
〔-N(R
5
)-R
3
-〕で表される単位は異なってもよく、yが2~10の整数の場合
(y+1)個のR
2
、y個
のR
4、(y+1)個の
〔-N(R
5
)-R
3
-〕で表される単位、並びに
x×(y+1)個のR
3及びR
5はそれぞれ異なってもよい。
【請求項2】
請求項1に記載されたカルボン酸アミドを含むことを特徴とする界面活性剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボン酸アミド及びこれを含む界面活性剤に関する。
【背景技術】
【0002】
優れた界面活性をもつ化合物について鋭意研究したところ、新規なカルボン酸アミドを見いだし本発明に至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、優れた界面活性(消泡性、抑泡性、分散性、減粘性及び増粘性等)をもつ化合物の提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のポリアミンのカルボン酸アミドの特徴は式(1)で表される点を要旨とする。
【0005】
【0006】
R1は炭素数8~22のアシル基又は水素原子、R1のうち少なくとも一つは炭素数8~22のアシル基であり、R2~R4は炭素数2~36の炭化水素基、R5は水素原子又は-(AO)n-Hで表される基(AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、nは1~60の整数)、R5のうち少なくとも一つは-(AO)n-Hで表される基であり、xは1~6の整数、yは0~10の整数、Nは窒素原子、Cは炭素原子、Hは水素原子、Oは酸素原子を表し、2個のR1は異なっていてもよく、xが2~6の整数の場合x個の〔-N(R
5
)-R
3
-〕で表される単位は異なってもよく、yが2~10の整数の場合(y+1)個のR
2
、y個のR4、(y+1)個の〔-N(R
5
)-R
3
-〕で表される単位、並びにx×(y+1)個のR3及びR5はそれぞれ異なってもよい。
【0007】
本発明の界面活性剤の特徴は、上記のカルボン酸アミドを含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリアミンのカルボン酸アミドは、優れた界面活性(消泡性、抑泡性、分散性、減粘性及び増粘性等)を発揮する。
【0009】
本発明の界面活性剤は、上記のカルボン酸アミドを含むので、優れた界面活性(消泡性、抑泡性、分散性、減粘性及び増粘性等)を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
炭素数8~22のアシル基又は水素原子(R1)のうち、炭素数8~22のアシル基としては、オクタノイル、2-エチルヘキサノイル、オクテノイル、ノナノイル、ノネノイル、デカノイル、デセノイル、ウンデカノイル、ウンデセノイル、ドデカノイル、ドデセノイル、テトラデカノイル、テトラデセノイル、ペンタデカノイル、ペンタデセノイル、ヘキサデカノイル、ヘキサデセノイル、ヘプタデカノイル、ヘプタデセノイル、オクタデカノイル、オクタデセノイル、オクタデカジエノイル、オクタデカントリエノイル、ノナデカノイル、ノナデセノイル、イコサノイル、イコセノイル、イコサジエノイル、イコサトリエノイル、イコサテトラエノイル、ヘンイコサノイル及びドコサノイル等が挙げられる。
【0011】
炭素数2~36の炭化水素基(R2~R4)のうち、R2及びR3としては、界面活性の観点から、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、イコシレン、フェニレン、キシレン(-CH2C6H4CH2-)等が好ましく、さらに好ましくはエチレン、フェニレン及びキシレン、特に好ましくはエチレン及びフェニレンである。
【0012】
炭素数2~36の炭化水素基(R2~R4)のうち、R4としては、界面活性の観点から、エチレン、プロピレン、ブチレン(テトラメチレン等)、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン(オクタメチレン等)、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ペンタデシレン、ヘキサデシレン、ヘプタデシレン、オクタデシレン、ノナデシレン、イコシレン、フェニレン、キシレン(-CH2C6H4CH2-)及びダイマー酸の反応残基(ダイマー酸から2個のカルボキシ基を除いた残基;ダイマー酸は混合物であり化学構造の特定が著しく困難である。)等が好ましく、さらに好ましくはテトラメチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクタメチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、フェニレン及びキシレン(-CH2C6H4CH2-)、特に好ましくはテトラメチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクタメチレン、フェニレン及びキシレン(-CH2C6H4CH2-)である。
【0013】
水素原子又は-(AO)n-Hで表される基(AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基、nは1~60の整数)(R5)のうち、-(AO)n-Hで表される基について、炭素数2~4のオキシアルキレン基(AO)としてはオキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが含まれ(界面活性の観点から、オキシエチレン及びオキシプロピレンが好ましく、さらに好ましくはオキシエチレンである。)、n個のAOは全て同じでも異なっていてもよく、異なっている場合結合形式はブロック状、ランダム状及びこれらの組み合わせのいずれでもよい(界面活性の観点からブロック状が好ましい)。
【0014】
xは、1~6の整数が好ましく、さらに好ましくは2~4の整数である。この範囲であると、さらに優れた界面活性を発揮する。
【0015】
yは、0~10の整数が好ましく、さらに好ましくは0~4である。なお、yが0である場合、式(1)において、R1-と-NH-R2(-N(R5)R3-)xNHR1とが直接化学結合していることを意味する。
【0016】
本発明のポリアミンのカルボン酸アミドは、yが0の場合、式(2)で表されるポリアミンと炭素数8~22のカルボン酸とを公知のアミド化反応によって容易に製造できる。また、yが1~10の整数の場合、式(2)で表されるポリアミンと炭素数8~22のカルボン酸と炭素数4~38のジカルボン酸とを公知のアミド化反応によって容易に製造できる。
【0017】
【0018】
R2、R3、R5、x、N及びHについては、式(1)と同じである。
【0019】
式(2)で表されるポリアミンのうち、R5が-(AO)n-Hで表される基であるポリアミンは、公知の方法(たとえば、特開平1―249748号公報)の方法等で容易に製造できる。一方、R5の全てが水素原子であるポリアミンは公知のポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジプロピレントリアミン、ペンタエチレンヘキサミン及び4,4’-イミノビスアニリン等)を使用できる。
【0020】
炭素数8~22のカルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪酸等が使用でき、2-エチルヘキサン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸及びリシノール酸等が挙げられる。また、これら以外に天然油脂脂肪酸も使用でき、ヤシ油脂肪酸、落花生油脂肪酸、パーム油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、トール油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸及び綿実油脂肪酸等が挙げられる。これらのうち、界面活性の観点から、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、オレイン酸及びヤシ油脂肪酸が好ましく、さらに好ましくは2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸及びオレイン酸である。
【0021】
炭素数4~38のジカルボン酸としては、飽和又は不飽和のジカルボン酸等が使用でき、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10-ドデカンジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びダイマー酸(炭素数18の不飽和脂肪酸の二量化した二塩基酸の混合物、以下同じ。)等が挙げられる。これらのうち、界面活性の観点から、アジピン酸、セバシン酸及びテレフタル酸が好ましい。
【0022】
本発明のポリアミンのカルボン酸アミドは優れた界面活性(消泡性、抑泡性、分散性、減粘性及び増粘性等)を発揮するので、界面活性剤として非常に有用である。
界面活性剤は、ポリアミンのカルボン酸アミドと他の化合物(消泡剤原料、抑泡剤原料、分散剤原料、減粘剤原料、増粘剤原料及びその他の活性剤原料等)と共に構成してもよいし、ポリアミンのカルボン酸アミドのみからも構成できる。
【0023】
本発明の界面活性剤は、消泡剤、抑泡剤、分散剤、減粘剤、増粘剤、乳化剤、洗浄剤、帯電防止剤、潤滑剤又は防錆剤等として応用できる。これらの界面活性剤のうち、消泡剤、抑泡剤、分散剤、減粘剤又は増粘剤への応用が好適である。
【実施例】
【0024】
以下、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
【0025】
<製造例1>
ジエチレントリアミン103部(1モル部)とメチルイソプロピルケトン344部(4モル部)とを副生する水を系外に留去しながら100℃で6時間反応させた(1級アミノ基をケチミン化して保護した)後、100℃でエチレンオキシド(EO)44部(1モル部)を1時間かけて滴下し、付加反応させた(2級アミノ基に付加反応する)。その後、水72部(4モル部)を加え、100℃で2時間撹拌し、加水分解によりケチミンの保護を外した。さらに減圧下で過剰のメチルイソプロピルケトン及び水を留去して、ポリアミン(A1、ジエチレントリアミンのEO1モル付加体;<式(2)において、R2及びR3=エチレン、R5=ヒドロキシエチル、n=1、x=1>)を調製した。
【0026】
<製造例2>
ジエチレントリアミン103部(1モル部)とメチルイソプロピルケトン344部(4モル部)とを副生する水を系外に留去しながら100℃で6時間反応させた(1級アミノ基をケチミン化して保護した)後、水酸化カリウム5.6部(0.1モル部)を加えて均一攪拌してから、120℃で0.5時間脱水し、エチレンオキシド(EO)440部(10モル部)を2時間かけて滴下し、付加反応させた(2級アミノ基に付加反応する)。その後、水72部(4モル部)を加え、100℃で2時間撹拌し、加水分解によりケチミンの保護を外した。さらに減圧下で過剰のメチルイソプロピルケトン及び水を留去して、ポリアミン(A2、ジエチレントリアミンのEO10モル付加体<式(2)において、R2及びR3=エチレン、R5=ヒドロキシエチルポリオキシエチレン、n=10、x=1>)を調製した。
【0027】
<製造例3>
「エチレンオキシド(EO)の440部(10モル部)」を「プロピレンオキシド(PO)580部(10モル部)」に変更したこと、及び「2時間かけて滴下し」を「6時間かけて滴下し」に変更したこと以外、製造例2と同様にして、ポリアミン(A3、ジエチレントリアミンのPO10モル付加体<式(2)において、R2及びR3=エチレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレン、n=10、x=1>)を調製した。
【0028】
<製造例4>
「エチレンオキシド(EO)の440部(10モル部)」を「プロピレンオキシド(PO)2320部(40モル部)」に変更したこと、及び「2時間かけて滴下し」を「6時間かけて滴下し」に変更したこと以外、製造例2と同様にして、ポリアミン(A4、ジエチレントリアミンのPO40モル付加体<式(2)において、R2及びR3=エチレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレン、n=40、x=1>)を調製した。
【0029】
<製造例5>
ジエチレントリアミン103部(1モル部)とメチルイソプロピルケトン344部(4モル部)とを副生する水を系外に留去しながら100℃で6時間反応させた(1級アミノ基をケチミン化して保護した)後、水酸化カリウム5.6部(0.1モル部)を加えて均一攪拌してから、120℃、0.5時間脱水し、エチレンオキシド(EO)1320部(30モル部)を2時間かけて滴下した。続いてプロピレンオキシド(PO)1740部(30モル部)を6時間かけて滴下し、2時間撹拌し付加反応さた。その後、水72部(4モル部)を加え、100℃で2時間攪拌し、加水分解によりケチミンの保護を外した。さらに、過剰のメチルイソプロピルケトン及び水を減圧留去して、ポリアミン(A5、ジエチレントリアミンのEO30モルPO30モル付加体<式(2)において、R2及びR3=エチレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレンポリオキシエチレン、n=60、x=1>)を調製した。
【0030】
<製造例6>
ペンタエチレンヘキサミン232部(1モル部)とメチルイソプロピルケトン344部(4モル部)とを副生する水を系外に留去しながら100℃で6時間反応させた(1級アミノ基をケチミン化して保護した)後、水酸化カリウム5.6部(0.1モル部)を加えて均一攪拌してから、120℃で0.5時間脱水し、プロピレンオキシド(PO)2320部(40モル部)を6時間かけて滴下し、滴下終了から2時間撹拌し、付加反応させた。その後、水72部(4モル部)を加え、100℃で2時間攪拌し加水分解によりケチミンの保護を外した。さらに、過剰のメチルイソブチルケトン及び水を減圧留去して、ポリアミン(A6、ペンタエチレンヘキサミンのPO40モル付加体<式(2)において、R2及びR3=エチレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレン、n=10、x=4>)を調製した。
【0031】
<製造例7>
「ジエチレントリアミン103部(1モル部)」を「4,4’-イミノビスアニリン199部(1モル部)」に変更したこと、「エチレンオキシド(EO)の440部(10モル部)」を「プロピレンオキシド(PO)580部(10モル部)」に変更したこと、及び「2時間かけて滴下し」を「6時間かけて滴下し」に変更したこと以外、製造例2と同様にして、ポリアミン(A7、4,4’-イミノビスアニリンのPO10モル付加体<式(2)において、R2及びR3=フェニレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレン、n=10、x=1>)を調製した。
【0032】
<実施例1>
ポリアミン(A1)147部(1モル部)及び2-エチルヘキサン酸(B1)288部(2モル部)を減圧下(10kPa)、100℃、48時間反応させて、本発明のポリアミンのカルボン酸アミド(1、<式(1)において、R1=2-エチルヘキサノイル、R2及びR3=エチレン、R5=ヒドロキシエチル、n=1、x=1、y=0>)を得た。
【0033】
<実施例2>
ポリアミン(A2)543部(1モル部)及びラウリン酸(B2)400部(2モル部)を減圧下(10kPa)、100℃、48時間反応させて、本発明のポリアミンのカルボン酸アミド(2、<式(1)において、R1=ドデカノイル、R2及びR3=エチレン、R5=ヒドロキシエチルポリオキシエチレン、n=10、x=1、y=0>)を得た。
【0034】
<実施例3>
ポリアミン(A3)683部(1モル部)及びオレイン酸(B3)564部(2モル部)を減圧下(10kPa)、150℃、12時間反応させて、本発明のポリアミンのカルボン酸アミド(3、<式(1)において、R1=オクタデセノイル、R2及びR3=エチレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレン、n=10、x=1、y=0>)を得た。
【0035】
<実施例4>
ポリアミン(A3)2049部(3モル部)、オレイン酸(B3)564部(2モル部)及びアジピン酸(C1)292部(2モル部)を減圧下(10kPa)、150℃、12時間反応させて、本発明のポリアミンのカルボン酸アミド(4、<式(1)において、R1=オクタデセノイル、R2及びR3=エチレン、R4=テトラメチレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレン、n=10、x=1、y=2>)を得た。
【0036】
<実施例5>
ポリアミン(A3)3415部(5モル部)、オレイン酸(B3)564(2モル部)及びセバシン酸(C2)808部(4モル部)を減圧下(10kPa)、150℃、12時間時間反応させて、本発明のポリアミンのカルボン酸アミド(5、<式(1)において、R1=オクタデセノイル、R2及びR3=エチレン、R4=オクタメチレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレン、n=10、x=1、y=4>)を得た。
【0037】
<実施例6>
ポリアミン(A4)7269部(3モル部)、オレイン酸(B3)564部(2モル部)及びアジピン酸(C1)292部(2モル部)を減圧下(10kPa)、150℃、12時間反応させて、本発明のポリアミンのカルボン酸アミド(5、<式(1)において、R1=オクタデセノイル、R2及びR3=エチレン、R4=テトラメチレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレン、n=40、x=1、y=2>)を得た。
【0038】
<実施例7>
ポリアミン(A5)3163部(1モル部)及びオレイン酸(B3)564部(2モル部)を減圧下(10kPa)、150℃、12時間反応させて、本発明のポリアミンのカルボン酸アミド(7、<式(1)において、R1=オクタデセノイル、R2及びR3=エチレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレンポリオキシエチレン、n=60、x=1、y=0>)を得た。
【0039】
<実施例8>
ポリアミン(A6)7656部(3モル部)、オレイン酸(B3)564部(2モル部)及びテレフタル酸(C3)332部(2モル部)を減圧下(10kPa)、150℃、12時間反応させて、時間反応させて、本発明のポリアミンのカルボン酸アミド(8、<式(1)において、R1=オクタデセノイル、R2及びR3=エチレン、R4=フェニレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレン、n=10、x=4、y=2>)を得た。
【0040】
<実施例9>
ポリアミン(A7)779部(1モル部)及びオレイン酸(B3)564部(2モル部)を減圧下(10kPa)、150℃、12時間時間反応させて、本発明のポリアミンのカルボン酸アミド(9、<式(1)において、R1=オクタデセノイル、R2及びR3=フェニレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレンポリオキシエチレン、n=10、x=1、y=0>)を得た。
【0041】
<実施例10>
ポリアミン(A3)1366部(2モル部)、ポリアミン(A4)2423部(1モル部)、オレイン酸(B3)564(2モル部)及びセバシン酸(C2)404部(2モル部)を減圧下(10kPa)、150℃、12時間時間反応させて、本発明のポリアミンのカルボン酸アミド(10、<式(1)において、R1=オクタデセノイル、R2及びR3=エチレン、R4=オクタメチレン、R5=ヒドロキシプロピルポリオキシプロピレン、n=10又は40、x=1、y=2>)を得た。
【0042】
<比較例1>
カラリン102(ポリオキシプロピレングリコール、三洋化成工業株式会社、「カラリン」は同社の登録商標である。)を比較用の界面活性剤(H1)とした。
【0043】
<比較例2>
イオネットS-80(ソルビタン脂肪酸エステル、HLB=4.3、三洋化成工業株式会社、「イオネット」は同社の登録商標である。)を比較用の界面活性剤(H2)とした。
【0044】
<界面活性の評価1>
アクロナール295DN(アクリルスチレンエマルション、BASF社、「ACRONAL」はビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの登録商標である。)80部と水20部及び評価試料{実施例1~10で得たカルボン酸アミド(1)~(10)又は比較用の界面活性剤(H1)、(H2)のいずれか}0.1部をホモディスパーで1500rpm×5分間均一混合して、試験液(101)~(112)をそれぞれ調製した。
試験液(101)~(112)のそれぞれについて、500mLメスシリンダーに試験液100mL入れ、25℃に調整した後、ガラスフィルター(G4)を通じ、窒素ガスを1.0L/分の流量でメスシリンダーの最下部へ通気し、1分後の試験液及び泡の容量(mL)をそれぞれ、測定し、下表に示した。この容量の値が小さい程、界面活性(消泡性、抑泡性等)が優れていることを意味する。
【0045】
【0046】
<界面活性の評価2>
N-メチルピロリドン82部、アセチレンブラック15部(デンカブラック、デンカ株式会社、「デンカ ブラック」は同社の登録商標である。)、評価試料{実施例1~10で得たカルボン酸アミド(1)~(10)又は比較用の界面活性剤(H1)、(H2)のいずれか}3部及びガラスビーズ(直径1mm)100部をペイントシェーカーで1時間均一混合した後、ガラスビーズを濾別してスラリーを得た。
このスラリーを25℃に調整した後、粘度測定(TVB15粘度計、東機産業株式会社、25℃、60rpm)し、下表に示した。この粘度の値が小さい程、界面活性(分散性、減粘性等)が優れていることを意味する。
【0047】
【表2】
表中、「-」は著しく高粘度となりガラスビーズを濾別できず粘度測定できなかったことを意味する。
【0048】
<界面活性の評価3>
トルエン14.5部、エタノール14.5部及び評価試料{実施例1~10で得たカルボン酸アミド(1)~(10)又は比較用の界面活性剤(H1)、(H2)のいずれか}1部を均一混合してからホモディスパー(2000rpm)で撹拌しながら、チタン酸バリウム(BT-01、堺化学工業株式会社)70部を徐々に加え、チタン酸バリウムを全量加え終わってからさらに10分間撹拌して、スラリーを調製した。
各スラリーを25℃に調整した後、粘度測定(TVB15粘度計、東機産業株式会社、25℃、60rpm)し、下表に示した。この粘度の値が小さい程、界面活性(分散性、減粘性等)が優れていることを意味する。
【0049】
【0050】
<界面活性の評価4>
p-フタル酸ポリエステルポリオール(川崎化成工業株式会社、マキシモールRFK-505、「マキシモール」は同社の登録商標である。)40.1部、ポリリン酸アンモニウム難燃剤(クラリアント プロドゥクテ(ドイチュラント)ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング、Exolite AP 422、「Exolite」は同社の登録商標である。)26.7部、評価試料{実施例1~10で得たカルボン酸アミド(1)~(10)又は比較用の界面活性剤(H1)、(H2)のいずれか}1部、トリス(クロロプロピル)ホスフェート難燃剤(大八化学工業株式会社、TMCPP)16部、発泡剤(Honeywell International Inc.、Solstice LBA、「SOLSTICE」は同社の登録商標である。)11.4部、シリコーン整泡剤(ダウ・東レ株式会社、SH-193)0.9部、水1.1部、硬化触媒(1;N―メチルジシクロヘキシルアミン、エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコ―ポレ―テツド、POLYCAT 12、「POLYCAT」は同社の登録商標である。)1.3部及び硬化触媒(2;三級アミン、東ソー株式会社、TOYOCAT-DM-70、「TOYOCAT」は同社の登録商標である。)1.3部を均一混合して、評価用のポリウレタン製造用のプレミックス組成物(401)~(412)を調製した。
プレミックス組成物(401)~(412)について、粘弾性測定装置(回転型レオメーター、Physica MCR301、Anton Paar社)を用いて、剪断速度1s-1での粘度(η1;15℃、Pa・s)及び100s-1での粘度(η2;15℃、Pa・s)をそれぞれ、測定し、(TI)=(η1)/(η2)として、チクソトロピーインデックス(TI)を算出し、下表に示した。この粘度(η1)及びTIの値が大きい程、界面活性(増粘性等)が優れていることを意味する。
【0051】
【0052】
<界面活性の評価5>
重量平均分子量12,000のポリプロピレングリコール27.8部、重量平均分子量3000のポリプロピレングリコール18.5部、重質炭酸カルシウム(竹原化学工業株式会社、SL-300)39.3部、表面処理合成炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社、白艶華CCR、「白艶華」は同社の登録商標である。)13.9部及び評価試料{実施例1~10で得たカルボン酸アミド(1)~(10)又は比較用の界面活性剤(H1)、(H2)のいずれか}1.0部を均一混合し、評価用のポリウレタン製造用のプレミックス組成物(501)~(512)を調製した。
プレミックス組成物(501)~(512)について、粘弾性測定装置(回転型レオメーター、Physica MCR301、Anton Paar社)を用いて、剪断速度1s-1での粘度(η1;25℃、Pa・s)及び100s-1での粘度(η2;25℃、Pa・s)をそれぞれ、測定し、(TI)=(η1)/(η2)として、チクソトロピーインデックス(TI)を算出し、下表に示した。この粘度(η1)及びTIの値が大きい程、界面活性(増粘性等)が優れていることを意味する。
【0053】
【0054】
以上に示すとおり、本発明のポリアミンのカルボン酸アミドは、比較用の界面活性剤と比べて、優れた界面活性を示した。したがって、本発明のポリアミンのカルボン酸アミドは、各種界面活性剤として応用できる。
【要約】
【課題】本発明の目的は、優れた界面活性(消泡性、抑泡性、分散性、減粘性及び増粘性等)をもつ化合物の提供することである
【解決手段】式(1)で表されることを特徴とするポリアミンのカルボン酸アミドを用いる。
R
1はアシル基又は水素原子、R
1の少なくとも一つはアシル基、R
2~R
4は炭化水素基、R
5は水素原子又は-(AO)
n-Hで表される基(AOはオキシアルキレン基、nは1~60)、R
5の少なくとも一つは-(AO)
n-Hで表される基、xは1~6、yは0~10。
【選択図】なし