(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】道路橋のフインガージョイント
(51)【国際特許分類】
E01C 11/02 20060101AFI20230221BHJP
E01D 19/06 20060101ALI20230221BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
E01C11/02 C
E01D19/06
E01D22/00 A
(21)【出願番号】P 2022101811
(22)【出願日】2022-06-24
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504413735
【氏名又は名称】有限会社 クリエート中川
(74)【代理人】
【識別番号】230115336
【氏名又は名称】山下 あや理
(72)【発明者】
【氏名】中川 孝徳
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-144894(JP,A)
【文献】特開2021-055293(JP,A)
【文献】特開2002-256511(JP,A)
【文献】特開2012-207513(JP,A)
【文献】特開2015-224478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 11/02
E01D 19/06
E01D 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路橋の遊間に沿って横断方向へ延在する向かい合う一対の垂直なウェブプレートと、
その両ウェブプレートの背面から各々一定間隔おきでの一体的に橋軸方向へ張り出す複数ずつのアンカープレートと、
複数ずつのアンカープレートに共通する天板として、そのアンカープレートと上記ウェブプレートの上端部へ各々固着一体化された水平なトッププレートと、
そのトッププレートに片持ちされた基端部から各々上記遊間への前向き連続的に張り出して、その先端部同士が互いに一定量だけ噛み合う一対のフェイスプレートと、
その両フェイスプレートの噛み合い間隙から流れ落ちる雨水を止水すべく、上記遊間の閉塞状態に介在する1次止水材並びにその下方からのバックアップ材と、
そのバックアップ材を受け止める向かい合う一対のアングルプレートから吊り下げられた樋状の2次止水材とを備えた道路橋のフィンガージョイントであって、
上記横断方向への一定間隔おきに点在分布する複数ずつのスタットボルトを、上記両トッププレートから各々上向き一体的に突設する一方、
そのスタッドボルトの受け入れ貫通孔を上記両フェイスプレートに各々対応形成して、
両トッププレート側のスタッドボルトへ上方から両フェイスプレートを各々抜き差し自在に差し込んで、固定ナットを螺合締結すると共に、
両ウェブプレートの背面におけるアンカープレート同士の隣り合う相互間へ袋ナットを各々固着一体化し、その袋ナットへ上記遊間側からウェブプレートを貫通して各々螺合締結する取付ボルトにより、
上記1次止水材とそのバックアップ材を受け止めるアングルプレートを、上記ウェブプレートへ各々着脱自在に取り付け固定したことを特徴とする道路橋のフィンガージョイント。
【請求項2】
横断方向への一定間隔おきに点在分布する少なくとも2本ずつのスタッドボルトを、ウェブプレートの背面から橋軸方向へ張り出すアンカープレートの長手中心線上に並ぶ対応位置関係として、トッププレートから上向き一体的に突設したことを特徴とする請求項1記載の道路橋のフインガージョイント。
【請求項3】
フェイスプレートのスタッドボルト受け入れ貫通孔を平面視の楕円形として、その上端部が固定ナットの相似な楕円形の没入凹溝となる段付き形態に開口分布させると共に、
その没入凹溝へ上方から路面とのほぼ面一状態に圧入した止水用の弾性キャップにより、上記固定ナットを被覆したことを特徴とする請求項1記載の道路橋のフインガージョイント。
【請求項4】
ウェブプレートとアンカープレートとトッププレートとをその互いに接合する同士が直交する関係状態として、しかもそのトッププレートがウェブプレートの上端部から一定量だけ遊間へ張り出すように溶接することにより、
そのトッププレートの張り出し先端部を1次止水材の上方に向かう飛び出し防止ストッパーとして機能させたことを特徴とする請求項1記載の道路橋のフィンガージョイント。
【請求項5】
一対のアングルプレートを向かい合うL字形として、その垂直板片を各々ウェブプレートへ着脱自在に取り付け固定すると共に、
フェイスプレートの先端部同士が噛み合う一定量とほぼ同じ一定量だけ離隔する一対の水平板片に、樋状2次止水材の両端部を着脱自在に取り付け固定することにより、吊り下げたことを特徴とする請求項1記載の道路橋のフィンガージョイント。
【請求項6】
フェイスプレートとして、その表面がスリップ加工されたアルミ合金鋳物を採用したことを特徴とする請求項1記載の道路橋のフィンガージョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路橋の伸縮継手として働く片持ち梁式のフインガージョイントに係り、特にそのフェイスプレートと止水材とを施工現場において、上方から容易に取り替え更新することができるように改良したものである。
【背景技術】
【0002】
道路橋における床版部の路面と面一なフェイスプレートと、その道路橋継ぎ目部(遊間)の止水材とを、施工現場での容易に取り替え更新できるように工夫した伸縮継手(フィンガージョイント)が、特許文献1の
図5、6に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012―207513号公報
【文献】特許第6241860号公報
【文献】特許第7084000号公報
【文献】特許第6043121号公報
【文献】特許第5606646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の
図5、6に記載された伸縮継手(フインガージョイント)の構成では、第1、2プレート受け台(1a)(1b)から上向き一体的に突出するスタッドボルト(4a)(4b)へ、上方から第1、2フェイスプレート(5a)(5b)を差し込むためのスタッドボルト受け入れ貫通孔(6a)(6b)が開口形成されているほか、止水シート(W1)も差し込むためのスタッドボルト受け入れ貫通孔(20a)(20b)が開口形成されており、その第1、2フェイスプレート(5a)(5b)と第1、2プレート受け台(1a)(1b)との上下相互間に、上記止水シート(W1)が敷設されている関係上、雨水がその対応合致しているスタッドボルト受け入れ貫通孔(6a)(6b)(20a)(20b)を通じて、止水シート(W1)の下方へ浸透し、道路橋の継ぎ目部(遊間)(S)へ流れ落ちるおそれがあり、その継ぎ目部(S)の止水効果を維持することができない。
【0005】
この点、道路橋継ぎ目部(遊間)の閉塞状態に介在する可撓な樋状の止水材を、フェイスプレートの下面に敷設せず、後打ちコンクリートの堰止め壁となるウエブプレートへ取り付け保持した伸縮継手(フィンガージョイント)も、特許文献2~5に開示されており、公知であると言えるが、その特許文献2に記載の構成では止水材(43)の固定具(R)がブラインドリベットとして、起立フェイスブロック(ウエブ)(21)にかしめ付け固定されているため、その止水材(43)を取り替え更新することは不可能である。
【0006】
また、特許文献3~5に記載の構成ではその何れも倒立L字形の支持金具が、ボルト・ナットを介してウェブプレートに取り付け固定されており、その支持金具の水平板片から樋状の止水材が吊り下げられた設置状態にあるため、その止水材をやはり上方から取り替え更新することはできない。上記ウェブプレートに対する支持金具の取り付け固定用ボルト・ナットやその支持金具の水平板片に対する上記止水材の取り付け固定用ボルト・ナットを、上方から取りはずすことは不可能だからである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこのような課題の改良を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では道路橋の遊間に沿って横断方向へ延在する向かい合う一対の垂直なウェブプレートと、
【0008】
その両ウェブプレートの背面から各々一定間隔おきでの一体的に橋軸方向へ張り出す複数ずつのアンカープレートと、
【0009】
複数ずつのアンカープレートに共通する天板として、そのアンカープレートと上記ウェブプレートの上端部へ各々固着一体化された水平なトッププレートと、
【0010】
そのトッププレートに片持ちされた基端部から各々上記遊間への前向き連続的に張り出して、その先端部同士が互いに一定量だけ噛み合う一対のフェイスプレートと、
【0011】
その両フェイスプレートの噛み合い間隙から流れ落ちる雨水を止水すべく、上記遊間の閉塞状態に介在する1次止水材並びにその下方からのバックアップ材と、
【0012】
そのバックアップ材を受け止める向かい合う一対のアングルプレートから吊り下げられた樋状の2次止水材とを備えた道路橋のフィンガージョイントであって、
【0013】
上記横断方向への一定間隔おきに点在分布する複数ずつのスタットボルトを、上記両トッププレートから各々上向き一体的に突設する一方、
【0014】
そのスタッドボルトの受け入れ貫通孔を上記両フェイスプレートに各々対応形成して、
【0015】
両トッププレート側のスタッドボルトへ上方から両フェイスプレートを各々抜き差し自在に差し込んで、固定ナットを螺合締結すると共に、
【0016】
両ウェブプレートの背面におけるアンカープレート同士の隣り合う相互間へ袋ナットを各々固着一体化し、その袋ナットへ上記遊間側からウェブプレートを貫通して各々螺合締結する取付ボルトにより、
【0017】
上記1次止水材とそのバックアップ材を受け止めるアングルプレートを、上記ウェブプレートへ各々着脱自在に取り付け固定したことを特徴とする。
【0018】
また、請求項2では横断方向への一定間隔おきに点在分布する少なくとも2本ずつのスタッドボルトを、ウェブプレートの背面から橋軸方向へ張り出すアンカープレートの長手中心線上に並ぶ対応位置関係として、トッププレートから上向き一体的に突設したことを特徴とする。
【0019】
請求項3ではフェイスプレートのスタッドボルト受け入れ貫通孔を平面視の楕円形として、その上端部が固定ナットの相似な楕円形の没入凹溝となる段付き形態に開口分布させると共に、
【0020】
その没入凹溝へ上方から路面とのほぼ面一状態に圧入した止水用の弾性キャップにより、上記固定ナットを被覆したことを特徴とする。
【0021】
請求項4ではウェブプレートとアンカープレートとトッププレートとをその互いに接合する同士が直交する関係状態として、しかもそのトッププレートがウェブプレートの上端部から一定量だけ遊間へ張り出すように溶接することにより、
【0022】
そのトッププレートの張り出し先端部を1次止水材の上方に向かう飛び出し防止ストッパーとして機能させたことを特徴とする。
【0023】
請求項5では一対のアングルプレートを向かい合うL字形として、その垂直板片を各々ウェブプレートへ着脱自在に取り付け固定すると共に、
【0024】
フェイスプレートの先端部同士が噛み合う一定量とほぼ同じ一定量だけ離隔する一対の水平板片に、樋状2次止水材の両端部を着脱自在に取り付け固定することにより、吊り下げたことを特徴とする。
【0025】
更に、請求項6ではフェイスプレートとして、その表面がスリップ加工されたアルミ合金鋳物を採用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の上記構成によれば、道路橋の継ぎ目部(遊間)に沿って道路横断方向へ延在する垂直のウェブプレートと、そのウェブプレートの背面から平面視での直交する橋軸方向へ張り出す複数の垂直なアンカープレートに、その天板となる水平なトッププレートが固着一体化されており、そのトッププレートから上向き一体的に突出する複数のスタッドボルトに対して、路面となるフェイスプレートのスタッドボルト受け入れ貫通孔を、上方から抜き差し自在に差し込んで、そのスタッドボルトへ固定ナットを螺合締結するようになっているため、フィンガージョイントの経年使用後に行う補修工事において、上記フェイスプレートを上方から容易に便利良く取り替え更新することができ、またそのフェイスプレートを取りはずせば、上記ウェブプレート同士の向かい合う相互間が全開状態になる結果、その相互間に介在している1次止水材とその下方からのバックアップ材も、やはり上方から順次取りはずして、新品と交換することができる。
【0027】
更に、上記1次止水材とそのバックアップ材を受け止め支持しているアングルプレートが、上記ウェブプレートへ取付ボルトによって着脱自在に取り付け固定されており、しかもその取付ボルトと螺合締結する袋ナットは、ウェブプレートの背面に固着一体化されているため、上記1次止水材とそのバックアップ材の取りはずし後、引き続き上方からアングルプレートの取付ボルトを適当な工具の使用によって、上記ウェブプレートから支障なく確実に取りはずすことができ、そのアングルプレートも2次止水材(止水シート)が吊り下げられた状態のままで、取り替え更新し得るのであり、そのアングルプレートから2次止水材を取りはずすことも、アングルプレートを路面上において裏返すことにより、安楽に能率良く行える。
【0028】
その場合、上記袋ナットは取付ボルトとの螺合締結上、回動操作する必要がないように、或いは弛緩しないように、予めウェブプレートの背面に固着一体化されているところ、その螺合締結部分に対する後打ちコンクリートの浸透やその他の支障を生ずるおそれが、その袋ナット自身の形状によって防止されているため、新品のアングルプレートをウェブプレートへ再度固定支持すべく、新品の取付ボルトをその袋ナットへ問題なく螺合締結することができ、補修工事の作業性や耐用性の向上に役立つ。
【0029】
特に、請求項2の構成を採用するならば、道路橋の継ぎ目部(遊間)に向かって張り出す片持ち式のフェイスプレートが、前下がりの輪荷重(曲げモーメント)を受けて後上がりとなる現象に対し、そのフェイスプレートの後端部(基端部)を支持したトッププレートから一体的に垂立する複数のスタッドボルトと、その真下位置に延在するアンカープレートとの言わば連続する全体として、強大な対抗力を発揮させることができる。
【0030】
請求項3の構成を採用するならば、フェイスプレートのスタッドボルト受け入れ貫通孔とその上端部の固定ナット没入凹溝とが、平面視の相似な楕円形をなすことにより、トッププレートに対するスタッドボルトの溶接上、万一位置狂いを生ずることがあっても、そのスタッドボルトへフェイスプレート側のスタッドボルト受け入れ貫通孔を支障なく抜き差しすることができ、固定ナットとの確実な締め付けも行える効果がある。
【0031】
また、請求項4の構成を採用するならば、ウェブプレートとアンカープレートとトッププレートとをその互いに接触し合う(接合する)同士の直交する関係状態に隅肉溶接することにより、剛性なフィンガージョイント本体を形作ることができるほか、そのトッププレートの張り出し先端部を1次止水材の飛び出し防止ストッパーとして、その1次止水材が上方へ飛び出すことを防止できる効果もある。
【0032】
請求項5の構成を採用するならば、アングルプレートをウェブプレートへ遊間側から容易に取り付け又は取りはずし操作することができるほか、アングルプレートから吊り下がる樋状の2次止水材を、上方からその水平板片同士の互いに離隔した間隙を通じて目視することができ、その吊り下げ状態の失念や不良などの点検に役立つ。
【0033】
更に、請求項6の構成を採用するならば、そのアルミ合金鋳物の表面に対するアルミスリップ加工により、路面となるフェイスプレートに車両や歩行者の滑り止め機能を付与することができ、耐腐蝕性の向上も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の好適な実施形態に係るフィンガージョイントの平面図である。
【
図3】上記フィンガージョイントの分解状態を示す側面図である。
【
図4】同じくフィンガージョイントの施工状態を示す側面図である。
【
図5】
図3から抽出して示すジョイント本体の正面図である。
【
図11】上記フィンガージョイントを新設工事する作業順序の説明図である。
【
図12】上記フィンガージョイントの
図4と別な施工状態を示す側面図である。
【
図13】同じくフィンガージョイントの更に別な施工状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態を詳述する。
図1、2はその道路橋のフィンガージョイントを示す平面図と正面図であり、
図3はそのフィンガージョイントの分解状態を示し、
図4は同じくフィンガージョイントの施工状態を示している。
【0036】
但し、その場合
図4では要約して説明するための便宜上、道路橋におけるPC桁と鋼桁との合成した継ぎ目部(遊間)に跨る施工状態を示しているが、実際には互いに同じPC桁同士や鋼桁同士の継ぎ目部へ跨る状態に施工されることとなる。
【0037】
また、同じく
図4の施工状態ではやはり要約して説明するための便宜上、埋設鉄筋と差筋アンカーとの併用された合成状態を示しているが、実際上新設工事時には差筋アンカーでなく、埋設鉄筋が使用される一方、経年使用後の補修工事時には埋設鉄筋でなく、差筋アンカーが使用されることになる。
【0038】
図1~4において、(10)は道路橋の継ぎ目部(遊間)(S)に沿って道路横断方向(左右方向)へ一定長さ(製品長さ/単位長さ)(L)(例えば1000mm)だけほぼ平行に延在する向かい合う一対の垂直なウェブプレート(サイドプレート)であって、一定な幅(背丈)(例えば90mm)と、厚み(例えば12mm)のフラットバーから成り、後述する後打ちコンクリートの堰止め壁(型枠)としても機能する。
【0039】
(11)はその両ウェブプレート(10)における上記遊間(床版遊間)(S)と反対側の背面から橋軸方向(前後方向/車両の走行方向)へ、一定の間隔(d1)(例えば200mm)を保つ並列状態として、各々一体的に張り出し延長された複数(図例では5本)ずつの埋込み用アンカープレート(リブプレート)であり、一定の厚み(例えば19mm)と幅(背丈)(例えば80mm)並びに長さ(y1)(例えば400mm)を有する鋼板から成る。
【0040】
そして、その上記ウェブプレート(10)から張り出す基端側をなす前半には、所要数(図例では前後一対の2個)の抜き穴(12)が開口分布されている一方、残る張り出し先端側をなす後半の上端縁部が、後述する水平な通し筋(補強鉄筋)の受け枕(13)として、その上記前半よりも低いフラット面に形成されている。上記抜き穴(12)はこれも通し筋を案内支持するほか、後打ちコンクリートの廻り込みに役立つ。
【0041】
(14)はその複数のアンカープレート(11)に共通する大きさを有する平面視の長方形な言わば天板として、その上記前半の上端部とウェブプレート(10)の上端部に亘り固着(溶接)一体化された水平なトッププレート(フェイスプレート支持プレート)であり、一定な幅(y2)(例えば225mm)と上記アンカープレート(11)と同じ厚み並びに上記ウェブプレート(10)と同じ長さ(L)を備えている。
【0042】
その際、上記垂直なウェブプレート(10)と直交する関係状態に隅肉溶接された水平なトッププレート(14)の前端部は、そのウェブプレート(10)の上端部から上記遊間(S)に向かって一定量(y3)(例えば15mm)だけ張り出しており、その張り出し前端部(先端部)が後述する1次止水材の飛び出し防止ストッパー(14a)として、その1次止水材が遊間(S)から上方へ飛び出さないようになっている。
【0043】
(15)は上記ウェブプレート(10)の背面から橋軸方向(前後方向)へ張り出すアンカープレート(11)の長手中心線(O-O)上に複数(図例では前後一対の2本)ずつ並ぶ位置関係として、上記トッププレート(14)から一定の高さ(h)(例えば75mm)だけ上向き一体的に突設されたスタッドボルトであり、上記アンカープレート(11)の厚みよりも大きな寸法の直径(例えば22mm)を有している。
【0044】
そのスタッドボルト(15)は上記アンカープレート(11)の長手中心線(O-O)上に沿って、一定の間隔(d2)(例えば100mm)を保つ複数の点在分布状態にあるため、後述の片持ち梁となるフェイスプレートに上記トッププレート(14)の張り出し前端部(1次止水材飛び出し防止ストッパー)(14a)を揺動支点(P)とする前下がりの輪荷重(曲げモーメント)が働き、そのフェイスプレートの後端部(基端部)が浮上しようとしても、上記アンカープレート(11)とその真上位置に垂立する複数ずつのスタッドボルト(15)が、言わば一連の全体的なアンカーとして機能し、その後上がりの動きに対する強大な抵抗力を発揮することができる。
【0045】
このような垂直のウェブプレート(10)と、その背面から橋軸方向へ張り出す複数のアンカープレート(11)と、そのアンカープレート(11)の全体的な天板になる水平のトッププレート(14)とを、その互いに接触し合う同士の直交する関係状態に隅肉溶接した構成の全体が、後述のフェイスプレートと第1、2止水材を支持する言わばフィンガージョイント本体(J)として機能し得るようになっている。
【0046】
図5~10はそのジョイント本体(J)を抽出して示しており、これらから明白なように、水平な上記トッププレート(14)における前後一対の2本ずつ垂立するスタッドボルト(15)の隣り合う相互間には、後打ちコンクリート打設時のエヤー抜き穴(16)が開口分布されてもいる。その円形の口径は例えば40mmであるが、コンクリート打設後にはそのコンクリートによって閉塞されることになる。
【0047】
(17)は上記フェイスプレートの向かい合う一対であって、耐腐蝕性に富む一定厚み(例えば85mm)のアルミ合金鋳物から成り、上記ウェブプレート(10)と同じ長さ(L)を有しているが、その一定幅(y4)(例えば560mm)は上記トッププレート(14)のそれよりも広く、そのトッププレート(14)から上記遊間(S)上への前向きに大きく張り出す片持ち梁として、その後端部(基端部)が上記ジョイント本体(J)の水平なトッププレート(14)に各々搭載されている。
【0048】
その場合、フェイスプレート(17)はほぼ水平な路面を形成するものとして、
図1のような平面視の鋸歯形状を呈し、その向かい合う一対が上記遊間(S)上での一定量(ニュートラル時)(W)(例えば180mm)だけ噛み合うオーバーラップ状態にある。
【0049】
更に詳しく言えば、上記フェイスプレート(17)は平面視の鋸歯形状として、遊間(S)に向かい張り出す先細りの二等辺三角形をなし、その二等辺が橋軸方向(前後方向/車両の走行方向)と平行せず、その橋軸方向と直交する関係にもないため、二輪車のタイヤがその噛み合い間隙に嵌まり込んだり(脱輪したり)、通行車両の大きな衝撃音(騒音)が発生したりするおそれはない。但し、平面視の櫛形状や波形状などとして、その張り出し先端部同士の一定量(W)だけ噛み合う状態にオーバーラップさせても良い。
【0050】
また、上記アルミ合金鋳物のフェイスプレート(17)は、その表面から多数の耐摩耗性粒状物(図示省略)が部分的に突出した状態で鋳包まれており、滑り止め機能(アンチスリップ性)を発揮するようになってもいる。
【0051】
(18)は上記トッププレート(14)から上向きに突出するスタッドボルト(15)の受け入れ貫通孔であり、その水平なトッププレート(14)に搭載される上記フェイスプレート(17)の後端部(基端部)に、やはり一定間隔(d2)を保って並ぶ複数(図例では前後一対の2個)ずつとして対応的に開口分布されている。
【0052】
しかも、そのスタッドボルト受け入れ貫通孔(18)の各個は
図1、3,4のような段付き形態として、その上端部に固定ナット(19)の径大な没入凹溝(20)が連通開口されており、上記スタッドボルト(15)へ上方から螺合締結される固定ナット(19)を、上記フェイスプレート(17)の路面となる表面から没入させることができるようになっている。
【0053】
更に、その固定ナット(19)の径大な没入凹溝(20)を備えた段付き形態のスタッドボルト受け入れ貫通孔(18)は、
図1のような平面視の楕円形に開口形成されており、その上記トッププレート(14)に対するボルト(15)のスタッド溶接上、万一位置狂いを生じることがあっても、そのスタッドボルト(15)へ上方からフェイスプレート(17)側のスタッドボルト受け入れ貫通孔(18)を支障なく差し込み、そのスタッドボルト(15)に対して固定ナット(19)を常に安定良く、確実に締め付けることができるようになっている。
【0054】
(21)は上記固定ナット(19)を被覆するように、そのフェイスプレート(17)側の没入凹溝(20)へ上方から圧入されるゴムや合成樹脂などの弾性キャップであり、その没入凹溝(20)からスタッドボルト受け入れ貫通孔(18)へ雨水などが浸入しないように封止する。
【0055】
(22)は上記フェイスプレート(17)における前後一対の2個ずつ開口するスタッドボルト受け入れ貫通孔(18)の隣り合う相互間へ、点在分布状態に開口された吊り金具受け入れ孔であって、例えば20mmの口径を有し、現場施工時に使うクレーンなどの吊り金具(図示省略)が、ここへ上方から抜き差し自在に差し込み係止されることになる。
【0056】
また、(23)は上記垂直なウェブプレート(10)の背面におけるアンカープレート(11)同士の隣り合う相互間へ
図5のように、そのアンカープレート(11)同士の上記一定間隔(d1)と同じ一定間隔を保って貫通形成された複数(図例では6個)ずつのボルト受け入れ孔であり、そのボルト受け入れ孔(23)の各個と対応合致する袋ナット(24)が
図2、3や
図6、8~10のように、同じくウェブプレート(10)の背面に固着(溶接)一体化されている。
【0057】
そして、上記遊間(S)からウェブプレート(10)のボルト受け入れ孔(23)を通じて抜き差し自在に差し込まれ、その袋ナット(溶接ナット)(24)へ螺合締結される取付ボルト(25)によって、後述する第1止水材とそのバックアップ材を受け止め支持するアングルプレート(26)が、そのウェブプレート(10)へ着脱自在に取り付け固定されるようになっている。
【0058】
つまり、アングルプレート(26)は
図3、4のような向かい合うL字形の溶融亜鉛メッキ鋼板から成り、その一対が上記両フェイスプレート(17)における先端部同士の噛み合うオーバーラップ量(W)とほぼ同じ一定量(X)だけ離隔された状態にあって、その垂直板片(26a)が上記取付ボルト(25)によりウェブプレート(10)の前面へ取り付け固定される一方、並列する水平板片(26b)から後述の第2止水材が吊り下げられるようになっている。
【0059】
更に、(27)は両ウェブプレート(10)の向かい合う相互間(継手遊間)(D)に介在する1次止水材(遊間保護材)であって、一定厚み(例えば40mm)のポリブタジエン系ゴムから成り、上記フェイスプレート(17)同士の噛み合い間隙から流れ落ちる雨水を封止する。
【0060】
(28)はその1次止水材(27)を下方から受け止めるバックアップ材であって、ウレタンフォームやスタイロフォーム、グラスウール、その他の弾性変形可能な充填材から成り、その前後両端コーナー部が上記アングルプレート(26)の向かい合う一対によって受け止め支持されている。
【0061】
そして、このような1次止水材(27)とそのバックアップ材(28)がフィンガージョイントの製品長さ(単位長さ)(L)と同じ一定長さを有し、道路橋の継ぎ目部(遊間)(S)を閉塞する状態として介在することになるに比し、その道路橋の全体長さ又はその片側車線の全体長さだけ道路横断方向(左右方向)に沿い延在する長い連続一枚物(シームレス)の止水シート(2次止水材)(29)が、両アングルプレート(26)の水平板片(26b)から吊り下げられている。
【0062】
その止水シート(29)は上記1次止水材(27)からバックアップ材(28)を通じて、万一落下する漏水を道路橋の横断勾配に沿って路肩部へ誘導・排出するものとして、引裂強さに富むナイロンなどの難燃性織布入りゴムシートから樋状に弯曲形成されており、その上記両アングルプレート(26)の離隔する一定量(X)よりも幅広い間隔を保つ前後両端部が、そのアングルプレート(26)の水平板片(26b)へ下方から差し込むボルト(30)と、その上方から螺合締結するナット(31)によって、着脱自在に取り付け固定されているのである。
【0063】
尚、図示省略するが、上記ウェブプレート(10)の一定長さ(製品長さ/単位長さ)(L)を備えたフィンガージョイントの左右両端部に位置するアンカープレート(11)同士は、互いに平行な一対の連結ボルトとその固定ナットにより継ぎ足し一体化され、施工現場の求められる橋長さ(道路橋の全体長さや片側車線の全体長さなど)(例えば3.6mや4.0mm)に応じて連結使用されることになる。
【0064】
上記樋状の止水シート(2次止水材)(29)における道路橋の横断勾配に沿って低くなる最低の端部付近から下向きに開口する排水孔が、路肩部に配管済みの排水ドレン管へ接手管を介して連通接続されることは言うまでもない。
【0065】
図示実施形態のフィンガージョイントは上記の構成を備えており、その現場施工するに当たっては予め道路橋継ぎ目部(遊間)(S)に跨る向かい合う断面ほぼL字形として、道路橋のコンクリート床版(橋桁)(F)に切り欠かれた箱抜き凹所(G)の内部へ、そのフィンガージョイントに設置されるジャッキベース付きの架設治具とクレーン(図示省略)などを使用して、その吊り金具を上記フェイスプレート(17)の吊り金具受け入れ孔(22)へ差し込み係止することにより、その垂直なウェブプレート(10)同士の向かい合う継手遊間(D)が道路橋継ぎ目部(床版遊間)(S)上へ臨む対応位置関係となるように、吊り降ろし挿入セットする。その際、ウェブプレート(10)は上記箱抜き凹所(G)に対する後打ちコンクリート(C)の堰止め壁(型枠)となる。
【0066】
そこで、
図11(a)に示す如く、両ウェブプレート(10)から相反する背後方向へ張り出す複数の平行なアンカープレート(11)の上記受け枕(13)に、その上方から複数の通し筋(補強鉄筋)(32)を横架させたり、同じくアンカープレート(11)の上記抜き穴(12)に通し筋(32)を通し込んだりすると共に、その水平な通し筋(32)とコンクリート床版(F)に既設の埋設鉄筋(U字筋)(33)又は差筋アンカー(34)とを、縦横の立体交叉状態や平面交叉状態に組立溶接した後、上記箱抜き凹所(G)の内部へ上方から後打ちコンクリート(C)を打設する(
図4を参照)ことにより、上記アンカープレート(11)の複数をコンクリート床版(F)へ埋設一体化する。
【0067】
その箱抜き凹所(G)への埋設状態にある上記フィンガージョイント本体(J)をなす垂直なウエブプレート(10)の背面には、複数の袋ナット(溶接ナット)(24)が一定間隔(d1)おきに固着(溶接)一体化されているため、上記後打ちコンクリート(C)の養生と相前後して、予め水平板片(26b)から
樋状の止水レート(2次止水材)(29)を吊り下げた状態にある両アングルプレート(26)の垂直板片(26a)を
図11(b)のように、上記継手遊間(D)側から袋ナット(24)へ螺合締結する取付ボルト(25)により取り付け固定する。
【0068】
そして、その両ウェブプレート(10)へ取り付け固定された向かい合う一対のアングルプレート(26)へ、上方からバックアップ材(28)とこれにより支持されることになる1次止水材(遊間保護材)(27)とを、
図11(c)(d)に示す如く順次弾圧的に嵌め込んで積層状態に保つ。その上段の1次止水材(27)が上方へ飛び出すおそれは、上記トッププレート(14)の前端部から張り出すストッパー(14a)によって防止されることになる。
【0069】
他方、上記箱抜き凹所(G)への埋設状態にあるフィンガージョイント本体(J)の水平なトッププレート(14)からは、複数ずつのスタッドボルト(15)が一定間隔(d2)おきの点在分布状態に立設されているため、そのスタッドボルト(15)へ引き続き上方からフェイスプレート(17)のスタッドボルト受け入れ貫通孔(18)を差し込んで、そのスタッドボルト(15)へ上方から
図11(e)のように固定ナット(19)を螺合して締め付け、最後にその固定ナット(19)の没入凹溝(20)へ弾性キャップ(21)を圧入して、その固定ナット(19)を密封状態に被覆すれば良い。
【0070】
図4の施工状態にあるフィンガージョイントの使用中、その道路橋継ぎ目部(遊間)(S)上に向かって張り出す片持ち梁となるフェイスプレート(17)には、その上記トッププレート(14)の張り出す前端部を揺動支点(P)とする前下がりの輪荷重(曲げモーメント)が働くところ、そのフェイスプレート(17)の後端部(基端部)はこれを支持するトッププレート(14)から突出する複数ずつのスタッドボルト(15)並びにそのスタッドボルト(15)に締結される固定ナット(19)のほか、その点在分布するスタッドボルト(15)の軸芯と連結する如く、その真下位置にアンカープレート(11)の長手中心線(O-O)が延在しているため、そのアンカープレート(11)がスタッドボルト(15)の言わば基礎となり、アンカープレート(11)とスタッドボルト(15)との連続する全体として、上記フェイスプレート(17)の後上がり現象に対する強大な対抗力を発揮することができる。
【0071】
更に言えば、後打ちコンクリート(C)の表面へ
図4のようにアスファルト舗装(A)を覆工するような場合には、その舗装(A)と上記フェイスプレート(17)との隣り合う前後相互間や、同じく舗装(A)と後打ちコンクリート(C)との隣り合う上下相互間へ、アスファルトエマルジョンと合成ゴムとの混合液を塗布し、乾燥硬化させた防水塗膜(35a)(35b)を介挿設置することが好ましい。
【0072】
防水塗膜(35a)(35b)はシーラントと異なって液体であり、溶融温度が低く短時間で乾燥硬化するため、現場施工中における道路橋の車両通行止め状態を早く解放できる実益がある。
【0073】
また、
図4とは異なるフィンガージョイントの施工状態を例示した
図12から明白なように、フェイスプレート(17)とアスファルト舗装(A)との隣り合う前後相互間へ、後打ちコンクリート(C)を表出する状態に介在させたり、更に別な施工状態を例示した
図13~15のように、除雪作業車の刃先保護用となるリブアンカー(誘導板)(36)を、フェイスプレート(17)の後端部(基端部)から背後方向(橋軸方向)へ上記アンカープレート(11)と平行な複数として、一体的に張り出したりすることも可能である。
【0074】
図示実施形態に係るフィンガージョイントの新設工事した施工状態を説明したが、その経年使用後の補修工事を行う場合には、
図11(a)(b)(c)(d)(e)に示した新設工事の逆順序に作業すれば良く、先ず
図4や
図11(e)のような上記固定ナット(19)の被覆状態にある弾性キャップ(21)を取りはずすか又は切り取って、そのスタッドボルト(15)に締結されている固定ナット(19)を、トルクレンチなどの適当な工具(図示省略)により取りはずした後、フェイスプレート(17)を上記スタッドボルト(15)から上方へ引き抜き除去する。
【0075】
そうすれば、
図11(d)のようにウェブプレート(10)同士の向かい合う継手遊間(D)が全開状態になるため、上方から1次止水材(遊間保護材)(27)とそのバックアップ材(28)を順次取りはずすか又は切断除去する。
【0076】
また、上記1次止水材(遊間保護材)(27)とそのバックアップ材(28)を除去すれば、樋状の止水シート(2次止水材)(29)を吊り下げているアングルプレート(26)の一対と、そのアングルプレート(26)の垂直板片(26a)を各々ウェブプレート(10)に固定している取付ボルト(25)の複数とが、
図11(b)のように露出することとなるため、やはり上方から挿入する電動ドライバーなどの適当な工具(図示省略)によって、その取付ボルト(25)をウェブプレート(10)の袋ナット(溶接ナット)(24)から抜き取り、
図11(a)のように上記アングルプレート(26)を取りはずす。
【0077】
その場合、アングルプレート(26)としてはその水平板片(26b)から止水シート(2次止水材)(29)が吊り下がった状態にあるままで、上記ウェブプレート(10)から取りはずせば良く、そのアングルプレート(26)から止水シート(2次止水材)(29)を取りはずす必要があれば、上記アングルプレート(26)を遊間(S)から上方へ取り出した路面上において裏返し、その水平板片(26b)に対するボルト(30)とナット(31)の締結状態を解いて、上記止水シート(2次止水材)(29)を取りはずすことができ、これだけの取り替え更新も路面上での便利良く行えるのである。
【0078】
このようにして、経年使用した古い弾性キャップ(21)や固定ナット(19)、フェイスプレート(17)、1次止水材(27)、そのバックアップ材(28)、アングルプレート(26)並びに止水シート(2次止水材)(29)を、すべて上方から新品と容易に取り替えることができ、その上記フィンガージョイント本体(J)までも取り替える必要はない。道路橋の継ぎ目部(遊間)(S)へ下方から潜り込んで、上記第1、2止水材(27)(29)を取りはずす困難な重労働を行う必要もない。その取り替え(メンテナンス)作業を現場での安楽に能率良く実行することができる。
【0079】
しかも、上記取付ボルト(25)と螺合締結している袋ナット(24)は、ウェブプレート(10)の背面に固着(溶接)一体化されており、その取付ボルト(25)との螺合締結部分に対する後打ちコンクリート(C)の浸透やその他の支障を与えるおそれが、袋ナット(24)自身の形状によって防止されているため、新品の上記アングルプレート(26)をウェブプレート(10)へ再度固定支持すべく、新品の取付ボルト(25)をその袋ナット(24)へ支障なく螺合締結することができるのである。
【0080】
尚、上記スタッドボルト(15)が経年的な劣化によって、金属疲労を起こしていたり、破損したりしていて、取り替える必要があれば、その古いスタッドボルト(15)を上記トッププレート(14)への付け根部から切断除去し、その後グラインダーなどの工具(図示省略)により平滑に仕上げたトッププレート(14)の表面へ、再度新品のスタッドボルト(15)を肉盛りしない状態のネジ付き溶接スタッドとして、植え付け一体化すれば良い。
【符号の説明】
【0081】
(10)・・・ウェブプレート
(11)・・・アンカープレート
(14)・・・トッププレート
(14a)・・・飛び出し防止ストッパー
(15)・・・スタッドボルト
(17)・・・フェイスプレート
(18)・・・スタッドボルト受け入れ貫通孔
(19)・・・固定ナット
(20)・・・没入凹溝
(21)・・・弾性キャップ
(25)・・・取付ボルト
(26)・・・アングルプレート
(26a)・・・垂直板片
(26b)・・・水平板片
(27)・・・1次止水材(遊間保護材)
(28)・・・バックアップ材
(29)・・・止水シート(2次止水材)
(30)・・・ボルト
(31)・・・ナット
(32)・・・通し筋(補強鉄筋)
(33)・・・埋設鉄筋
(34)・・・差筋アンカー
(35a)・・・防水塗膜
(35b)・・・防水塗膜
(36)・・・リブアンカー
(A)・・・アスファルト舗装
(C)・・・後打ちコンクリート
(D)・・・継手遊間(ウェブプレートの相互間)
(F)・・・コンクリート床版(橋桁)
(G)・・・箱抜き凹所
(J)・・・フィンガージョイント本体
(L)・・・製品長さ(単位長さ)
(O-O)・・・長手中心線
(P)・・・揺動支点
(S)・・・道路橋の継ぎ目部(床版遊間)
(W)・・・オーバーラップ量(噛み合い量)
(X)・・・一定量
【要約】 (修正有)
【課題】施工現場において上方から容易に取り替え更新できるフィンガージョイントを提供する。
【解決手段】垂直なウェブプレート(10)と、プレートの背面から橋軸方向へ張り出す複数の垂直なアンカープレート(11)と、プレートの全体的な天板になる水平のトッププレート(14)とを、互いに接触し合う同士の直交する関係状態に隅肉溶接した構成のジョイント本体を形作り、トッププレートから垂立する複数のスタッドボルト(15)へ、スタッドボルト受け入れ貫通孔が対応形成されたフェイスプレート(17)を上方から抜き差し自在に差し込み固定すると共に、ウェブプレートの背面に溶接した袋ナット(24)へ遊間側から螺入締結する取付ボルト(25)により、遊間に介在する1次止水材(27)を受け止め支持し且つ桶状の2次止水材(29)が吊り下げられたアングルプレート(26)を、ウェブプレートへ着脱自在に取り付け固定した。
【選択図】
図4