(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/06 20120101AFI20230221BHJP
【FI】
G06Q40/06
(21)【出願番号】P 2022146514
(22)【出願日】2022-09-14
【審査請求日】2022-09-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載年月日 令和4年2月24日 掲載アドレス(URL) https://www.money-design.com/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載年月日 令和4年2月24日 掲載アドレス(URL) https://theo.blue/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載年月日 令和4年2月24日 掲載アドレス(URL) https://play.google.com/store/apps/details?id=com.money_design.theo&hl=ja
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載年月日 令和4年2月24日 掲載アドレス(URL) https://apple.co/3DWADtJ
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514081128
【氏名又は名称】株式会社お金のデザイン
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康之
(72)【発明者】
【氏名】桑原 真盾
(72)【発明者】
【氏名】太田 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】岡田 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 正喜
(72)【発明者】
【氏名】山崎 博章
(72)【発明者】
【氏名】眞中 優一
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-504126(JP,A)
【文献】特開2007-272327(JP,A)
【文献】特開2012-94179(JP,A)
【文献】特開2022-110800(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0287178(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0301027(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0161733(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに関連付けられる資産の一部に基づいて、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を調整する情報処理装置であって、
外部ネットワークと通信するための通信部、記憶部、及び制御部を備え、
前記制御部は、
前記記憶部から前記ユーザに関連付けられるバランスシート情報に含まれる前記一部の資産について、第1のポートフォリオの金額、第2のポートフォリオの金額、および第3のポートフォリオの金額の合計金額を算出するステップと、
前記記憶部から、前記ロボアドバイザーサービスにおける前記ユーザに関連付けられる第1のポートフォリオの運用金額、第2のポートフォリオの運用金額、および第3のポートフォリオの運用金額を読み出すステップと、
前記第1のポートフォリオの金額の合計金額、前記第2のポートフォリオの金額の合計金額、および前記第3のポートフォリオの金額の合計金額と、前記第1のポートフォリオの運用金額、前記第2のポートフォリオの運用金額、および前記第3のポートフォリオの運用金額とをそれぞれ合算して、前記第1のポートフォリオの加算済合計金額、前記第2のポートフォリオの加算済合計金額、および前記第3のポートフォリオの加算済合計金額を算出するステップと、
前記記憶部から読み出した前記ユーザのプロファイリングに基づくそれぞれのポートフォリオの最適配分値を抽出するステップと、
前記第1のポートフォリオの加算済合計金額、前記第2のポートフォリオの加算済合計金額、および前記第3のポートフォリオの加算済合計金額と、前記それぞれのポートフォリオの最適配分値とに基づいて算出された変更後最適値に合致するように、前記ロボアドバイザーサービスにおける前記ユーザに関連付けられる第1のポートフォリオの運用金額、第2のポートフォリオの運用金額、および第3のポートフォリオの運用金額を変更するステップと
を実行するように構成されている情報処理装置。
【請求項2】
前記変更後最適値に合致するように、前記ロボアドバイザーサービスにおける前記ユーザに関連付けられる第1のポートフォリオの運用金額、第2のポートフォリオの運用金額、および第3のポートフォリオの運用金額を変更するステップは、
前記第1のポートフォリオの加算済合計金額、前記第2のポートフォリオの加算済合計金額、および前記第3のポートフォリオの加算済合計金額と、前記それぞれのポートフォリオの最適配分値とを乗算して、第1のポートフォリオの変更後最適値、第2のポートフォリオの変更後最適値、および第3のポートフォリオの変更後最適値を算出するステップと、
第1のポートフォリオの加算済合計金額と前記第1のポートフォリオの変更後最適値との第1の差分、前記第2のポートフォリオの加算済合計金額と前記第2のポートフォリオの変更後最適値の第2の差分、および前記第3のポートフォリオの加算済合計金額と前記第3のポートフォリオの変更後最適値の第3の差分を算出するステップと、
前記第1の差分、前記第2の差分、および前記第3の差分に基づいて、前記ロボアドバイザーサービスにおける前記ユーザに関連付けられる第1のポートフォリオの運用金額、第2のポートフォリオの運用金額、および第3のポートフォリオの運用金額を変更するステップと
を備える、請求項1の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザに関連付けられる資産の一部は、ユーザ保有資産のうちの株式を示す、請求項1の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザに関連付けられる資産の一部は、ユーザ保有資産のうちの有価証券を示し、前記有価証券のマーケットデータは、前記通信部を介して、外部装置から取得される、請求項1の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶部に格納されている前記ユーザに関連付けられるバランスシート情報に含まれる前記資産の一部は、前記有価証券のマーケットデータに基づいて更新される、請求項4の情報処理装置。
【請求項6】
ユーザに関連付けられる資産の一部に基づいて、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を調整する情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、外部ネットワークと通信するための通信部、記憶部、及び制御部を備え、
前記情報処理方法は、
前記制御部が、前記記憶部から前記ユーザに関連付けられるバランスシート情報に含まれる前記一部の資産について、第1のポートフォリオの金額、第2のポートフォリオの金額、および第3のポートフォリオの金額の合計金額を算出するステップと、
前記制御部が、前記記憶部から、前記ロボアドバイザーサービスにおける前記ユーザに関連付けられる第1のポートフォリオの運用金額、第2のポートフォリオの運用金額、および第3のポートフォリオの運用金額を読み出すステップと、
前記制御部が、前記第1のポートフォリオの金額の合計金額、前記第2のポートフォリオの金額の合計金額、および前記第3のポートフォリオの金額の合計金額と、前記第1のポートフォリオの運用金額、前記第2のポートフォリオの運用金額、および前記第3のポートフォリオの運用金額とをそれぞれ合算して、前記第1のポートフォリオの加算済合計金額、前記第2のポートフォリオの加算済合計金額、および前記第3のポートフォリオの加算済合計金額を算出するステップと、
前記制御部が、前記記憶部から読み出した前記ユーザのプロファイリングに基づくそれぞれのポートフォリオの最適配分値を抽出するステップと、
前記制御部が、前記第1のポートフォリオの加算済合計金額、前記第2のポートフォリオの加算済合計金額、および前記第3のポートフォリオの加算済合計金額と、前記それぞれのポートフォリオの最適配分値とに基づいて算出された変更後最適値に合致するように、前記ロボアドバイザーサービスにおける前記ユーザに関連付けられる第1のポートフォリオの運用金額、第2のポートフォリオの運用金額、および第3のポートフォリオの運用金額を変更するステップと
を備える情報処理方法。
【請求項7】
請求項6に記載された方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
ユーザに関連付けられる資産および負債に基づいて、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を調整する情報処理装置であって、
外部ネットワークと通信するための通信部、記憶部、及び制御部を備え、
前記制御部は、
前記記憶部から前記ユーザに関連付けられるバランスシート情報に含まれる全ての前記資産について、第1のポートフォリオの資産合計金額、第2のポートフォリオの資産合計金額、および第3のポートフォリオの資産合計金額を算出するステップと、
前記記憶部から前記ユーザに関連付けられるバランスシート情報に含まれる全ての前記負債について、第1のポートフォリオの負債合計金額、第2のポートフォリオの負債合計金額、および第3のポートフォリオの負債合計金額を算出するステップと、
前記記憶部から、前記ロボアドバイザーサービスにおける前記ユーザに関連付けられる第1のポートフォリオの運用金額、第2のポートフォリオの運用金額、および第3のポートフォリオの運用金額を読み出すステップと、
前記第1のポートフォリオの資産合計金額、前記第2のポートフォリオの資産合計金額、および前記第3のポートフォリオの資産合計金額と、前記第1のポートフォリオの負債合計金額、前記第2のポートフォリオの負債合計金額、および前記第3のポートフォリオの負債合計金額と、前記第1のポートフォリオの運用金額、前記第2のポートフォリオの運用金額、および前記第3のポートフォリオの運用金額とをそれぞれ合算して、前記第1のポートフォリオの純資産合計金額、前記第2のポートフォリオの純資産合計金額、および前記第3のポートフォリオの純資産合計金額を算出するステップと、
前記記憶部から読み出した前記ユーザのプロファイリングに基づくそれぞれのポートフォリオの最適配分値を抽出するステップと、
前記第1のポートフォリオの純資産合計金額、前記第2のポートフォリオの純資産合計金額、および前記第3のポートフォリオの純資産合計金額と、前記それぞれのポートフォリオの最適配分値とに基づいて算出された変更後最適値に合致するように、前記ロボアドバイザーサービスにおける前記ユーザに関連付けられる第1のポートフォリオの運用金額、第2のポートフォリオの運用金額、および第3のポートフォリオの運用金額を変更するステップと
を実行するように構成されている情報処理装置。
【請求項9】
ユーザに関連付けられる資産および負債に基づいて、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を調整する情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
前記情報処理装置は、
外部ネットワークと通信するための通信部、記憶部、及び制御部を備え、
前記情報処理方法は、
前記制御部が、前記記憶部から前記ユーザに関連付けられるバランスシート情報に含まれる全ての前記資産について、第1のポートフォリオの資産合計金額、第2のポートフォリオの資産合計金額、および第3のポートフォリオの資産合計金額を算出するステップと、
前記制御部が、前記記憶部から前記ユーザに関連付けられるバランスシート情報に含まれる全ての前記負債について、第1のポートフォリオの負債合計金額、第2のポートフォリオの負債合計金額、および第3のポートフォリオの負債合計金額を算出するステップと、
前記制御部が、前記記憶部から、前記ロボアドバイザーサービスにおける前記ユーザに関連付けられる第1のポートフォリオの運用金額、第2のポートフォリオの運用金額、および第3のポートフォリオの運用金額を読み出すステップと、
前記制御部が、前記第1のポートフォリオの資産合計金額、前記第2のポートフォリオの資産合計金額、および前記第3のポートフォリオの資産合計金額と、前記第1のポートフォリオの負債合計金額、前記第2のポートフォリオの負債合計金額、および前記第3のポートフォリオの負債合計金額と、前記第1のポートフォリオの運用金額、前記第2のポートフォリオの運用金額、および前記第3のポートフォリオの運用金額とをそれぞれ合算して、前記第1のポートフォリオの純資産合計金額、前記第2のポートフォリオの純資産合計金額、および前記第3のポートフォリオの純資産合計金額を算出するステップと、
前記制御部が、前記記憶部から読み出した前記ユーザのプロファイリングに基づくそれぞれのポートフォリオの最適配分値を抽出するステップと、
前記制御部が、前記第1のポートフォリオの純資産合計金額、前記第2のポートフォリオの純資産合計金額、および前記第3のポートフォリオの純資産合計金額と、前記それぞれのポートフォリオの最適配分値とに基づいて算出された変更後最適値に合致するように、前記ロボアドバイザーサービスにおける前記ユーザに関連付けられる第1のポートフォリオの運用金額、第2のポートフォリオの運用金額、および第3のポートフォリオの運用金額を変更するステップと
を備える情報処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載された方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人に関連付けられる資産および負債の一部または全体を考慮して、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を適時適切に調整する情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個人の間で投資を通じた資産運用が広まりつつある。投資を始める際、個人は自分の運用目的や投資期間に適したアセットアロケーション(大まかな資産配分)を考え、相応しいと思われる金融商品を選択して自らのポートフォリオを組む。ポートフォリオは、金融商品の組み合わせを意味しており、具体的な運用商品の詳細な組み合わせを指す。
【0003】
個人が自分に適したポートフォリオを考えるのは困難なため、本件特許出願人が提供する投資一任型のロボアドバイザーサービス(非特許文献1)が利用されている。このサービスでは、値上がり益重視のグロースポートフォリオ、安定性重視のインカムポートフォリオ、インフレ対策重視のインフレヘッジポートフォリオという目的別の3つの機能ポートフォリオが組み合わされて運用が行われており、個人は、ロボアドバイザーサービスにおいて自分に合ったポートフォリオで資産運用を行うことが可能になっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】株式会社お金のデザイン、“THEO プロとAIがいる、おまかせ資産運用”、[online]、2016年2月、[2022年7月26日検索]、インターネット<URL: https://theo.blue/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
個人は、上記のようなロボアドバイザーサービスを通じた資産運用以外にも任意の手段を通じて資産運用を行っている。例えば、個人は、証券会社の口座を通じて個別の株式、債券、コモディティ、REIT(不動産投資信託)、FX(外国為替証拠金取引)などの有価証券を売買したり、あるいは、不動産などの実物資産を購入したりしている。そのため、個人が行っている資産運用全体で見ると、必ずしも最適なポートフォリオになっていないことがある。
【0006】
また、個人によっては、住宅ローンや各種ローンなどの負債を抱えている者もおり、投資している資産の額は大きくても、それと同様に負債の額も大きい場合がある。そのため、個人のバランスシート全体の観点および将来予想されるキャッシュフローの観点から見ると、資産運用のポートフォリオが必ずしも最適な配分になっていない場合がある。
【0007】
また、多くの個人は、投資を始めてみたものの、追加的な投資をどのように行っていったらいいのかを検討する時間がなく、あるいは、自分自身の現状に即したポートフォリオの見直しをどのように行ったらいいのか分からないといった問題を抱えている。また、自社株や相続した株式等売却しにくい株式を保有しており、追加的な投資をどのように行ったらよいのか分からない個人も存在する。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、個人に関連付けられる資産の一部を考慮して、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を適時適切に調整する情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。また、本発明は、個人に関連付けられる資産および負債の一部または全体を考慮して、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を適時適切に調整する情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様である情報処理装置は、
ユーザに関連付けられる資産の一部に基づいて、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を調整する情報処理装置であって、
外部ネットワークと通信するための通信部、記憶部、及び制御部を備え、
前記制御部は、
前記記憶部から前記ユーザに関連付けられるバランスシート情報に含まれる前記一部の資産について、第1のポートフォリオの金額、第2のポートフォリオの金額、および第3のポートフォリオの金額の合計金額を算出するステップと、
前記記憶部から、前記ロボアドバイザーサービスにおける前記ユーザに関連付けられる第1のポートフォリオの運用金額、第2のポートフォリオの運用金額、および第3のポートフォリオの運用金額を読み出すステップと、
前記第1のポートフォリオの金額の合計金額、前記第2のポートフォリオの金額の合計金額、および前記第3のポートフォリオの金額の合計金額と、前記第1のポートフォリオの運用金額、前記第2のポートフォリオの運用金額、および前記第3のポートフォリオの運用金額とをそれぞれ合算して、前記第1のポートフォリオの加算済合計金額、前記第2のポートフォリオの加算済合計金額、および前記第3のポートフォリオの加算済合計金額を算出するステップと、
前記記憶部から読み出した前記ユーザのプロファイリングに基づくそれぞれのポートフォリオの最適配分値を抽出するステップと、
前記第1のポートフォリオの加算済合計金額、前記第2のポートフォリオの加算済合計金額、および前記第3のポートフォリオの加算済合計金額と、前記それぞれのポートフォリオの最適配分値とに基づいて算出された変更後最適値に合致するように、前記ロボアドバイザーサービスにおける前記ユーザに関連付けられる第1のポートフォリオの運用金額、第2のポートフォリオの運用金額、および第3のポートフォリオの運用金額を変更するステップと
を実行するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、個人に関連付けられる資産および負債の一部または全体を考慮して、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を適時適切に調整することができるようになり、ユーザの資産運用における適切なポートフォリオの構築が実現できるようになる。
【0011】
本発明によれば、個人に関連付けられる現時点での資産および負債の一部または全体だけでなく、個人の将来にわたる収支をさらに考慮して、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を適時適切に調整することができるようになり、ユーザの資産運用における適切なポートフォリオの構築が実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書において開示される実施形態の詳細な理解は、添付図面に関連して例示される以下の説明から得ることができる。
【
図1】本発明の実施形態に係るシステム全体の構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る情報処理装置10のシステム構成図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るユーザマスタ106のデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る有価証券情報107のデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るバランスシート情報108のデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るユーザ登録に関する処理を説明するフロー図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るユーザ保有資産(マーケットデータが存在する金融商品)を考慮して3つのポートフォリオの配分を調整する処理を説明するフロー図である。
【
図8】ユーザ保有資産の情報を入力させるための入力画面800の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るユーザに関連付けられる資産および負債の一部または全体を考慮して3つの機能ポートフォリオの配分を調整する処理を説明するフロー図である。
【
図10】ユーザ保有資産および負債の情報を入力させるための入力画面1000の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置10、ユーザ端末11、およびマーケットデータ提供装置12を含むシステム全体の構成図である。
図1では、ユーザ端末11およびマーケットデータ提供装置12は1つしか示されていないが、複数存在し得る。情報処理装置10は、インターネットなどの周知のネットワーク13を介してユーザ端末11およびマーケットデータ提供装置12と相互に通信可能に接続される。
【0014】
情報処理装置10は、ロボアドバイザーサービスをユーザ端末11に提供する。情報処理装置10は、ロボアドバイザーサービスの中で、プロファイリング用の質問に対するユーザ回答の内容に基づいて、3つの機能ポートフォリオ(グロース、インカム、インフレヘッジ)間の配分割合を決定することができる。また、情報処理装置10は、予め定められた周期でリプロファイリングを行い、3つの機能ポートフォリオの配分を変更することができる。
【0015】
情報処理装置10は、ユーザ資金の運用開始後、所定の周期ごとに、投資しているETFの価格変動に応じてロボアドバイザーサービスを通じて運用している投資資産の配分を定められた配分割合に戻す「リバランス」処理を行う。情報処理装置10は、所定の周期ごとに、投資対象や投資配分の見直しを行う「リアロケーション」処理も行う。
【0016】
情報処理装置10は、ユーザ端末11を介してユーザによって登録された1つ以上の有価証券の価格情報に基づいて、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を変更する調整処理を行うことができる。また、情報処理装置10は、ユーザ端末11を介してユーザによって登録された有価証券以外の資産情報および負債情報に基づいてロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を変更する調整処理を行うことができる。
【0017】
さらに、情報処理装置10は、ユーザ端末11を介してユーザによって登録されたユーザの将来収支、および将来収支の発生タイミングにさらに基づいてロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を変更する調整処理を行うこともできる。ユーザの将来収支は、ユーザの年齢、職業、および退職時年齢などを考慮して推計される、ユーザが人生を通して得るキャッシュフローの現在価値と、教育費など扶養家族にかかるトータルの費用等の現在価値や将来見込まれる収支発生タイミングとに基づいて決定され得る。
【0018】
情報処理装置10は、1つまたは複数のマーケットデータ提供装置12からデータを取得して、各種有価証券の値動きの情報を取得することができる。
【0019】
ユーザ端末11は、有線または無線環境において動作可能な任意のタイプのデバイスである。ユーザ端末11は、情報処理装置10によって提供されるロボアドバイザーサービスの所定のインターフェースを介して、自らが保有している有価証券、不動産などのその他資産、および負債の情報を情報処理装置10に送信することができる。ユーザ端末11は、情報処理装置10によって提供されるロボアドバイザーサービスの所定のインターフェースを介して、ポートフォリオ構築の調整結果を受信することができる。
【0020】
(システム構成)
図2は、本発明の実施形態に係る情報処理装置10のシステム構成図である。
図2に示すように、情報処理装置10は、一般的なコンピュータと同様に、バス120などによって相互に接続された制御部101、主記憶部102、補助記憶部103、インターフェース(IF)部104、および出力部105を備える。情報処理装置10は、ファイル/データベースなどの形式で、ユーザマスタ106、有価証券情報107、およびバランスシート情報108を備える。
【0021】
制御部101は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、情報処理装置10の各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部103に格納されている各種プログラムを主記憶部102に読み出して実行する。主記憶部102は、メインメモリとも呼ばれ、受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶する。補助記憶部103は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する。
【0022】
図2の実施形態は、制御部101、主記憶部102および補助記憶部103を同一のコンピュータの内部に設ける実施形態について説明するが、他の実施形態として、情報処理装置10は、制御部101、主記憶部102および補助記憶部103を複数個使用することにより、複数のコンピュータによる並列分散処理を実現するように構成することもできる。また、他の実施形態として、情報処理装置10のための複数のサーバを設置し、複数サーバが一つの補助記憶部103を共有する実施形態にすることも可能である。
【0023】
IF部104は、他のシステムや装置との間でデータを送受信する際のインターフェースの役割を果たし、また、システムオペレータから各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースを提供する。出力部105は、処理されたデータを表示する表示画面や当該データを印刷するための印刷手段などを提供する。
【0024】
ユーザマスタ106は、ユーザのプロファイリング情報、3つの機能ポートフォリオの配分情報、実際の運用情報、および将来収支に関する情報を格納する。
図3は、本発明の実施形態に係るユーザマスタ106のデータ構造の一例を示す図である。ユーザマスタ106は、ユーザID301、ユーザ情報302、プロファイリング情報303、グロースポートフォリオ304、インカムポートフォリオ305、インフレヘッジポートフォリオ306、グロース運用金額307、インカム運用金額308、インフレヘッジ運用金額309、人的収入310、および人的支出311を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことができる。
【0025】
ユーザID301は、情報処理装置10によってユーザに割り当てられたロボアドバイザーサービスでのユーザ識別子である。ユーザ情報302は、ユーザの氏名、電話番号、メールアドレス、生年月日、住所、性別、職業などの情報を示す。プロファイリング情報303は、ロボアドバイザーサービスを開始する際にユーザに対して行われたプロファイリングに対するユーザの回答を示す。プロファイリング情報303は、所定のタイミングで修正されてよい。
【0026】
グロースポートフォリオ304、インカムポートフォリオ305、およびインフレヘッジポートフォリオ306は、ロボアドバイザーサービスにおける3つの機能ポートフォリオのそれぞれを示す。ユーザのプロファインリングによる質問を元にユーザの投資目的を診断し、それを元に機能ポートフォリオのそれぞれの配分割合が決定される。これら3つの機能ポートフォリオの配分割合は、所定の周期で見直され得る。
【0027】
グロースポートフォリオ304は、長期的に高いリターンを狙うために世界中の様々な株式ETFを中心に投資する資産の配分割合を示す。インカムポートフォリオ305は、相対的に安定的かつ着実にリターンを得るために債券ETFを中心に投資する資産の配分割合を示す。インフレヘッジポートフォリオ306は、株式との相関を避けることによりイベントリスクを軽減させるためにコモディティや不動産などの実物資産や物価連動債などインフレーションに追随する資産のETFに投資する資産の割合を示す。
【0028】
グロース運用金額307、インカム運用金額308、およびインフレヘッジ運用金額309は、ロボアドバイザーサービスを通じて運用されているユーザ資産のそれぞれの金額を示す。
【0029】
人的収入310は、ユーザの現在の年収、職業、および退職時年齢などの情報と、これらの情報に基づいて推計される、ユーザが人生を通して得るキャッシュフローの現在価値を示す。人的支出311は、ユーザの扶養家族の情報と、これらの情報に基づいて推計される、教育費など扶養家族にかかるトータルの費用等の現在価値を示す。
【0030】
図2に戻って説明すると、有価証券情報107は、株式、債券、コモディティ、REIT、FX、投資信託などの有価証券のマスタ情報を格納する。これらの情報は、マーケットデータ提供装置12から受信したデータに基づいて更新され得る。
図4は、本発明の実施形態に係る有価証券情報107のデータ構造の一例を示す図である。有価証券情報107は、資産区分401、市場402、金融商品コード403、価格404、グロースポートフォリオ割合405、インカムポートフォリオ割合406、およびインフレヘッジポートフォリオ割合407を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことができる。
【0031】
資産区分401は、有価証券の種類、例えば、株式、債券、コモディティ、REIT、FX、投資信託などを示す。市場402は、有価証券が取引されている市場(例えば、東京、ニューヨーク)を示す。金融商品コード403は、当該市場で取引される際の有価証券を識別するためのコードを示す。価格404は、当該有価証券の価格を示す。
【0032】
グロースポートフォリオ割合405、インカムポートフォリオ割合406、およびインフレヘッジポートフォリオ割合407は、当該有価証券の3つの機能ポートフォリオについての配分割合をそれぞれ示す。例えば、A社の株式の割合405~407は、それぞれ、60%、30%、10%であり得るし、B投信の割合405~407は、それぞれ、15%、25%、60%であり得る。これらの配分割合は、情報処理装置10によって決定され得る。
【0033】
図2に戻って説明すると、バランスシート情報108は、ロボアドバイザーサービスで運用されている資産以外のユーザに関連付けられる資産情報と負債情報とを格納する。ユーザに関連付けられる資産情報は、実物資産および将来見込まれる人的収入やその発生タイミングの情報を含み得る。ユーザに関連付けられる負債情報は、債務および将来見込まれる人的支出やその発生タイミングの情報を含み得る。
【0034】
図5は、本発明の実施形態に係るバランスシート情報108のデータ構造の一例を示す図である。バランスシート情報108は、ユーザID301、BS区分501、中分類502、市場503、金融商品コード504、数量505、金額506、グロース重み507、インカム重み508、およびインフレヘッジ重み509を含むことができるが、これらのデータ項目に限定されることはなく他のデータ項目も含むことができる。
【0035】
BS区分501は、ユーザ入力データがバランスシートの資産に区分されるのか、負債に区分されるのかを示す。中分類502は、資産または負債として区分されるユーザ入力データをさらに区分するための分類を示す。例えば、中分類502は、株式(国内、外国)、債券(国債、社債)、コモディティ、不動産(REIT、居住用、投資用)、FX、投資信託(「投信」とも言う)、人的収入、住宅ローン、その他ローン(自動車、カード)、奨学金、人的支出などを示すことができる。
【0036】
市場503は、中分類502が株式や債券などの有価証券を示す場合に、どの市場で取引されているかを示す(例えば、東京、ニューヨーク)。金融商品コード504は、当該有価証券が市場で取引される際の識別コードを示す。例えば、東京証券取引所では、株式やETFには4桁のコードが付与されて取引が行われている。数量505は、当該有価証券の数量や他の資産、負債の数量を示す。他の資産、負債の数量に関しては、数量を1とおいてもよい。金額506は、所定の時点での資産や負債の価格を示す。金額506は、有価証券情報107に格納されている情報に基づいて更新されてよく、あるいは、ユーザ端末11を介してユーザによって更新されてもよい。
【0037】
グロース重み507、インカム重み508、およびインフレヘッジ重み509は、ユーザに関連付けられる資産情報と負債情報に対する3つの機能ポートフォリオの配分割合(重み)をそれぞれ示す。
図5の例では、ある会社の国内株式の重み507~509は、それぞれ、60%、30%、10%であり得るし、別の会社の外国株式の重み507~509は、それぞれ、70%、10%、20%であり得る。資産や負債のそれぞれの重みは、情報処理装置10によって決定され得る。グロース重み507、インカム重み508、およびインフレヘッジ重み509のうちの1つを100%とし、他を0%としてもよい。
【0038】
以下、本発明のいくつかの実施形態について説明する。まず、本発明に係る情報処理装置10によって提供されるロボアドバイザーサービスで運用を開始する際のポートフォリオ構築について説明し、第1の実施形態として、価格などのマーケットデータが存在する金融商品に基づいて3つのポートフォリオの配分を調整する機能を説明し、その後、第2の実施形態として、ユーザに関連付けられる資産および負債の一部または全体の情報に基づいて3つのポートフォリオの配分を調整する機能を説明する。
【0039】
(処理フロー:ユーザ登録処理)
図6は、本発明の実施形態に係るユーザ登録に関する処理を説明するフロー図である。
図6の処理フローでは、情報処理装置10は、ユーザ端末11に対してプロファイリング用の質問を提示し、その質問に対する回答をユーザ端末11から受信した後、当該ユーザの3つの機能ポートフォリオを決定してユーザ登録を行う処理を説明する。
【0040】
S601にて、情報処理装置10は、ユーザ情報入力欄と複数の質問をユーザ端末11に表示する。表示される質問は、年齢、年収、金融資産額、初回投資金額、積立金額など、ユーザのポートフォリオを決定するために設定された質問であってよい。
【0041】
S602にて、情報処理装置10は、ユーザ端末11からユーザ情報およびユーザ回答を受信する。
【0042】
S603にて、情報処理装置10は、ユーザ回答の内容を所定の基準に照らして、当該ユーザの資産運用方針としての3つの機能ポートフォリオ、すなわち、グロースポートフォリオ304、インカムポートフォリオ305、およびインフレヘッジポートフォリオ306のそれぞれの配分割合を決定する。
【0043】
S604にて、情報処理装置10は、ユーザ情報および3つの機能ポートフォリオの情報をユーザマスタ106に格納する。
【0044】
本処理フローによりユーザ登録処理が完了した後は、月々の入金積み立てや一時的な入金処理が行われ、ユーザの資産運用が行われる。情報処理装置10は、資産運用の結果を、ユーザに関連付けられるグロース運用金額307、インカム運用金額308、およびインフレヘッジ運用金額309に格納する。
【0045】
(処理フロー:第1の実施形態の3つのポートフォリオの配分を調整する処理)
図7は、本発明の実施形態に係るユーザ保有資産(マーケットデータが存在する金融商品)を考慮して3つのポートフォリオの配分を調整する処理を説明するフロー図である。情報処理装置10は、ユーザ端末11にユーザ保有資産の入力欄を表示し、ユーザ保有資産情報を受信後、ユーザのプロファイリングに基づく最適配分に近づくように、ロボアドバイザーサービスでの投資資産の配分を変更する。後述する入力画面800には、ユーザに関連付けられる資産の情報を入力する欄が含まれるが、入力画面800は、価格などのマーケットデータが存在する金融商品と存在しない金融商品の両方を入力することができるように構成されている。以下で説明する第1の実施形態では、価格などのマーケットデータが存在する金融商品に基づいてロボアドバイザーサービスでの配分を調整する処理を説明するが、第1の実施形態を両方の種類の金融商品を対象とするように構成することも可能であることは言うまでもない。
【0046】
この処理を行う前提として、情報処理装置10は、株式、債券、コモディティ、投資信託、REIT、FXなどの有価証券の情報を周期的にマーケットから取得し、有価証券情報107に格納しているものとする。
【0047】
S701にて、情報処理装置10は、ユーザ端末11にユーザ保有資産の情報を入力させるための入力画面800を表示する。ユーザは、ユーザ端末11を介して入力画面800上でユーザ保有資産の情報を入力する。
【0048】
ここで、
図8を参照しながら、入力画面800におけるデータ項目について説明する。入力画面800は、ユーザ表示欄801、現預金入力欄802、有価証券入力欄803、不動産入力欄804、およびその他資産入力欄805を含む。
図8におけるユーザ保有資産の情報としては、<現預金>、<有価証券>、<不動産>、および<その他資産>がある。
図8の例では、<株式>、<投資信託>など下線がついている箇所はクリックやタップなどの操作によりポップアップ入力画面が表示されて、詳細な資産の情報を入力することができる。
【0049】
ユーザ表示欄801は、情報処理装置10にアクセスしているユーザ名を表示する。現預金入力欄802は、ユーザの保有する現金、普通預金、および定期預金の金額を入力する欄である。現預金は、無リスク資産として考慮され得る。有価証券入力欄803は、ユーザの保有する株式、債券、コモディティ、REIT、FX、投資信託の情報を入力する欄である。これらの有価証券は、マーケットで取引される金融商品であり、情報処理装置10は、定期的にマーケットから各金融商品の情報を取得し、取得した情報に基づいてユーザ保有資産の金額を推計することができる。
【0050】
不動産入力欄804は、ユーザの保有する実物不動産の金額を入力する入力欄であり、居住用不動産および投資用不動産の情報を入力することができる。その他資産入力欄805は、現預金、有価証券、および不動産以外のユーザ資産の情報を入力する欄である。
【0051】
S702にて、情報処理装置10は、ユーザ保有資産の情報をユーザ端末11から受信し、バランスシート情報108に格納する。
【0052】
S703にて、情報処理装置10は、予め定められたタイミング(例えば、毎月最後の営業日、など)でバランスシート情報108から各ユーザに関連付けられる保有資産の情報を読み出し、読み出したそれぞれの情報の市場503および金融商品コード504に基づいて有価証券情報107に問い合わせを行い、数量505の値に基づいてその時点での当該金融商品の金額506、グロース重み507、インカム重み508、およびインフレヘッジ重み509の値を決定して、バランスシート情報108の対応する情報を更新する。このようにして、情報処理装置10は、予め定められたタイミングでのユーザ保有資産のそれぞれの金額506、グロース重み507、インカム重み508、およびインフレヘッジ重み509の値を決定することができる。
【0053】
S704にて、情報処理装置10は、バランスシート情報108から読み出したユーザ保有資産のうちの有価証券のそれぞれについて、以下の計算を行い、3つの機能ポートフォリオのそれぞれの金額を算出する。
金額506の値×グロース重み507の配分割合=グロースポートフォリオの金額
金額506の値×インカム重み508の配分割合=インカムポートフォリオの金額
金額506の値×インフレヘッジ重み509の配分割合=インフレヘッジポートフォリオの金額
【0054】
情報処理装置10は、上記で算出された有価証券のそれぞれのグロースポートフォリオの金額、インカムポートフォリオの金額、およびインフレヘッジポートフォリオの金額を合算することにより、ユーザ保有資産のうちの有価証券全体でのグロースポートフォリオの合計金額、インカムポートフォリオの合計金額、およびインフレヘッジポートフォリオの合計金額を算出する(表1の「ユーザ保有資産」)。
【0055】
S705にて、情報処理装置10は、ユーザマスタ106からグロース運用金額307、インカム運用金額308、およびインフレヘッジ運用金額309(表1の「ロボアドバイザーサービスの運用額」)を読み出し、S704にて算出したグロースポートフォリオの合計金額、インカムポートフォリオの合計金額、およびインフレヘッジポートフォリオの合計金額(表1の「ユーザ保有資産」)にそれぞれ加算し、3つの機能ポートフォリオごとの加算済合計金額を算出する(表1の「加算済合計金額」)。
【0056】
情報処理装置10は、ユーザマスタ106からグロースポートフォリオ304、インカムポートフォリオ305、およびインフレヘッジポートフォリオ306を読み出し、3つの機能ポートフォリオの最適配分値を抽出する(表1の「プロファイリングに基づく最適配分値」)。
【0057】
情報処理装置10は、表1の加算済合計金額の合計値とプロファイリングに基づく最適配分値のそれぞれを乗算し、ユーザに関連付けられる資産の変更後最適値を計算する(表1の「変更後最適値」)。表1の例では、ユーザ保有資産とロボアドバイザーサービスの運用額の合計としての最適配分値が算出されることとなる。
【0058】
その後、情報処理装置10は、変更後最適値の3つの機能ポートフォリオのそれぞれの金額と、加算済合計金額の3つの機能ポートフォリオのそれぞれの金額との差分を算出する(表1の「変更値」)。情報処理装置10は、算出された差分に基づいて、ロボアドバイザーサービスの3つの機能ポートフォリオの配分を変更する。この結果、表1の例では、ロボアドバイザーサービスでの運用金額は、グロースポートフォリオは+10となり、インカムポートフォリオは-5となり、インフレヘッジポートフォリオは-5となる。また、情報処理装置10は、3つの機能ポートフォリオの配分を調整した後の、3つの機能ポートフォリオの配分割合を算出する。表1の例では、グロースポートフォリオの運用額は40であり、インカムポートフォリオの運用額は10であり、インフレヘッジポートフォリオの運用額は0であるので、それぞれの配分割合は、80%、20%、0%である。情報処理装置10は、ロボアドバイザーサービスを通じて、3つの機能ポートフォリオの変更後の投資資産額の割合に基づいて運用を行う。
【0059】
【0060】
このようにして、情報処理装置10は、価格などのマーケットデータが存在する金融商品に基づいてロボアドバイザーサービスでの配分を調整することができるようになる。第1の実施形態では、ユーザ保有資産のうちの有価証券(株式、債券、コモディティ、REIT、FX、投資信託)に基づいて、ロボアドバイザーサービスでの3つの機能ポートフォリオの配分を変更することを説明したが、情報処理装置10は、これに限定されず、例えば、株式のみに基づいて、あるいは有価証券の一部のみに基づいて、配分を変更するように構成されてもよいし、いくつかの有価証券と別の資産の組み合わせに基づいて配分を変更するように構成されてもよい。また、情報処理装置10は、マーケットデータ提供装置12から価格などのマーケットデータを取得できない金融商品も対象に加えてロボアドバイザーサービスでの配分を調整するように構成されてもよい。
【0061】
(処理フロー:第2の実施形態の3つのポートフォリオの配分を調整する処理)
図9は、本発明の実施形態に係るユーザに関連付けられる資産および負債の一部または全体を考慮して3つの機能ポートフォリオの配分を調整する処理を説明するフロー図である。情報処理装置10は、ユーザ端末11にユーザ保有資産および負債の入力欄を表示し、ユーザ保有資産および負債の情報を受信後、ユーザのプロファイリングに基づく最適配分に近づくように、ロボアドバイザーサービスでの投資資産の配分を変更する。
【0062】
この処理を行う前提として、情報処理装置10は、株式、債券、コモディティ、投資信託、REIT、FXなどの有価証券の情報を周期的にマーケットから取得し、有価証券情報107に格納しているものとする。
【0063】
S901にて、情報処理装置10は、ユーザ端末11にユーザ保有資産および負債の情報を入力させるための入力画面1000を表示する。ユーザは、ユーザ端末11を介して入力画面1000上でユーザ保有資産および負債の情報を入力する。
【0064】
ここで、
図10を参照しながら、入力画面1000におけるデータ項目について説明する。入力画面1000は、ユーザ表示欄801、現預金入力欄802、有価証券入力欄803、不動産入力欄804、その他資産入力欄805、人的収入入力欄1001、負債入力欄1002、および人的支出入力欄1003を含む。入力画面1000におけるユーザ保有資産の情報としては、<現預金>、<有価証券>、<不動産>、<その他資産>、および<人的収入>である。また、入力画面1000におけるユーザ保有負債の情報としては、<負債>および<人的支出>である。
図8の例と同様に、
図10でも、<株式>、<投資信託>など下線がついている箇所はクリックやタップなどの操作によりポップアップ入力画面が表示されて、詳細な資産や負債の情報を入力することができる。
【0065】
現預金入力欄802、有価証券入力欄803、不動産入力欄804、およびその他資産入力欄805は、
図8を参照しながら説明した機能と同様なので、ここでの説明は省略する。
【0066】
人的収入入力欄1001は、ユーザの現在の年収、職業、および退職時年齢の情報の入力欄である。情報処理装置10は、これらの情報に基づいて、ユーザが退職するまでの収入額を推計することができる。
【0067】
負債入力欄1002は、ユーザの住宅ローン、自動車ローン、カードローン、および奨学金の情報を入力する欄である。
【0068】
人的支出入力欄1003は、ユーザの扶養家族の有無および扶養家族の年齢の情報の入力欄である。情報処理装置10は、これらの情報に基づいて、22歳以下の扶養家族については大学卒業までに想定されるコストを推計し、22歳から85歳までの扶養家族については一人当たりの所定の生活費を推計することができる。人的収入入力欄1001および人的支出入力欄1003には、これらの推計をする際に必要となる、将来見込まれる収支発生のタイミング情報も含めることが可能である。
【0069】
S902にて、情報処理装置10は、ユーザ保有資産および負債の情報をユーザ端末11から受信し、バランスシート情報108に格納する。この際、情報処理装置10は、人的収入入力欄1001に入力されたユーザの現在の年収、職業、および退職時年齢などの情報に基づいてユーザの生涯年収の現在価値を算出し、また、人的支出311に入力されたユーザの扶養家族の情報に基づいて将来のアウトキャッシュフローの現在価値を算出した上で、バランスシート情報108に格納する。
【0070】
S903にて、情報処理装置10は、予め定められたタイミング(例えば、毎月最後の営業日、など)でバランスシート情報108から各ユーザに関連付けられる保有資産の情報を読み出し、読み出したそれぞれの情報の市場503および金融商品コード504に基づいて有価証券情報107に問い合わせを行い、数量505の値に基づいてその時点での当該金融商品の金額506、グロース重み507、インカム重み508、およびインフレヘッジ重み509の値を決定して、バランスシート情報108の対応する情報を更新する。このようにして、情報処理装置10は、予め定められたタイミングでのユーザ保有資産のそれぞれの金額506、グロース重み507、インカム重み508、およびインフレヘッジ重み509の値を決定することができる。
【0071】
S904にて、情報処理装置10は、バランスシート情報108から読み出したユーザ保有資産のうちの有価証券のそれぞれについて、以下の計算を行い、3つの機能ポートフォリオのそれぞれの金額を算出する。
金額506の値×グロース重み507の配分割合=グロースポートフォリオの金額
金額506の値×インカム重み508の配分割合=インカムポートフォリオの金額
金額506の値×インフレヘッジ重み509の配分割合=インフレヘッジポートフォリオの金額
【0072】
情報処理装置10は、上記で算出された有価証券のそれぞれのグロースポートフォリオの金額、インカムポートフォリオの金額、およびインフレヘッジポートフォリオの金額を合算することにより、ユーザ保有資産のうちの有価証券全体でのグロースポートフォリオの合計金額、インカムポートフォリオの合計金額、およびインフレヘッジポートフォリオの合計金額を算出する。さらに、情報処理装置10は、バランスシート情報108からユーザに関連付けられる資産のうち有価証券以外の情報を読み出し、ユーザ保有資産としてのグロースポートフォリオの合計金額、インカムポートフォリオの合計金額、およびインフレヘッジポートフォリオの合計金額を算出する(表2の「ユーザ保有資産」)。第2の実施形態は、ユーザ保有資産が有価証券以外の資産も含まれている点で第1の実施形態と相違する。
【0073】
S905にて、情報処理装置10は、当該ユーザの負債に関する情報のうち、金額506、グロース重み507、インカム重み508、およびインフレヘッジ重み509の値をバランスシート情報108から読み出し、金額506とそれぞれの重み507~509の値を乗算して、ユーザ保有負債全体での、グロースポートフォリオの合計金額、インカムポートフォリオの合計金額、およびインフレヘッジポートフォリオの合計金額を算出する(表2の「ユーザ負債」)。
【0074】
情報処理装置10は、ユーザマスタ106からグロース運用金額307、インカム運用金額308、およびインフレヘッジ運用金額309(表2の「ロボアドバイザーサービスの運用額」)を読み出す。情報処理装置10は、S904にて算出したユーザ保有資産全体でのグロースポートフォリオの合計金額、インカムポートフォリオの合計金額、およびインフレヘッジポートフォリオの合計金額と、ユーザ保有負債全体でのグロースポートフォリオの合計金額、インカムポートフォリオの合計金額、およびインフレヘッジポートフォリオの合計金額の差額を算出し、さらに、ロボアドバイザーサービスでのそれぞれの運用金額をそれぞれ加算することにより、ユーザの純資産としてのグロースポートフォリオの合計金額、インカムポートフォリオの合計金額、およびインフレヘッジポートフォリオの合計金額を算出する(表2の「加算済合計金額」)。なお、負債金額は、正の数でも負の数でも構わないが、加算済合計金額を算出する処理は、負債金額の符号(+、-)にしたがって変わり得る。
【0075】
情報処理装置10は、ユーザマスタ106からグロースポートフォリオ304、インカムポートフォリオ305、およびインフレヘッジポートフォリオ306を読み出し、3つの機能ポートフォリオの最適配分値を抽出する(表2の「プロファイリングに基づく最適配分値」)。
【0076】
情報処理装置10は、表2の加算済合計金額の合計値とプロファイリングに基づく最適配分値のそれぞれを乗算し、ユーザに関連付けられる純資産の変更後最適値を計算する(表2の「変更後最適値」)。表2の例では、ユーザ保有資産から負債を差し引いた上でロボアドバイザーサービスの運用額を加算した合計としての最適配分値が算出されている。
【0077】
その後、情報処理装置10は、変更後最適値の3つの機能ポートフォリオのそれぞれの金額と、加算済合計金額の3つの機能ポートフォリオのそれぞれの金額との差分を算出する(表2の「変更値」)。情報処理装置10は、算出された差分に基づいて、ロボアドバイザーサービスの3つの機能ポートフォリオの配分を変更する。この結果、表2の例では、ロボアドバイザーサービスでの運用金額は、グロースポートフォリオは+2となり、インカムポートフォリオは-4となり、インフレヘッジポートフォリオは+2となる。また、情報処理装置10は、3つの機能ポートフォリオの配分を調整した後の、3つの機能ポートフォリオの配分割合を算出する。表2の例では、グロースポートフォリオの運用額は32であり、インカムポートフォリオの運用額は11であり、インフレヘッジポートフォリオの運用額は7であるので、それぞれの配分割合は、64%、22%、14%である。情報処理装置10は、ロボアドバイザーサービスを通じて、3つの機能ポートフォリオの変更後の投資資産額の割合に基づいて運用を行う。
【0078】
【0079】
このようにして、情報処理装置10は、ユーザに関連付けられる資産および負債の一部または全体に基づいてロボアドバイザーサービスでの3つの機能ポートフォリオの配分を調整することができるようになる。第2の実施形態では、ユーザ保有資産および負債の一部または全体に基づいて、ロボアドバイザーサービスでの3つの機能ポートフォリオの配分を変更することを説明したが、資産および負債には、それぞれ、人的収入および人的支出の概念が含まれ得る。また、情報処理装置10は、ユーザに関連付けられる資産および負債の全てを使用して上述した配分変更の処理を行うように構成されていてもよいし、資産および負債の一部を処理対象外とするように構成されていてもよい。
【0080】
以上、例示的な実施形態を参照しながら本発明の原理を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく、構成および細部において変更する様々な実施形態を実現可能であることを当業者は理解するだろう。すなわち、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 情報処理装置
11 ユーザ端末
12 マーケットデータ提供装置
13 ネットワーク
101 制御部
102 主記憶部
103 補助記憶部
104 インターフェース(IF)部
105 出力部
106 ユーザマスタ
107 有価証券情報
108 バランスシート情報
【要約】
【課題】個人に関連付けられる資産および負債の一部または全体を考慮して、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を適時適切に調整する。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザに関連付けられる資産の一部または全体に基づいて、ロボアドバイザーサービスにおけるポートフォリオの配分を調整する。情報処理装置は、一部の資産のそれぞれの機能ポートフォリオの合計金額と、それぞれの機能ポートフォリオの運用金額とから運用資産の合計額を算出する。情報処理装置は、ユーザのプロファイリングに基づくそれぞれのポートフォリオの最適配分値に合致するように、機能ポートフォリオの運用金額のそれぞれを加算あるいは減算する。資産の一部は、株式または有価証券全体であってよい。
【選択図】
図7