(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】日焼け止め化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/894 20060101AFI20230221BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230221BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A61K8/894
A61K8/34
A61Q17/04
(21)【出願番号】P 2018045576
(22)【出願日】2018-03-13
【審査請求日】2021-02-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅海 千明
(72)【発明者】
【氏名】西川 正一郎
【審査官】松本 要
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-008910(JP,A)
【文献】特開2012-041322(JP,A)
【文献】特開2014-172837(JP,A)
【文献】特開2005-232069(JP,A)
【文献】特開2010-195694(JP,A)
【文献】特開2010-280593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンを化粧料全体の0.1~10質量%と、アルキル基の炭素数が12~24であるアルキルグリセリルエーテルを化粧料全体の0.1~1.2質量%と、粉体を化粧料全体の1~5質量%とを含有する、二層分離タイプの化粧料
(ただし、微粒子酸化亜鉛を含有するものを除く)。
【請求項2】
さらに、引火点88℃以下の油剤を含有する、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
さらに、紫外線吸収剤を化粧料全体の8質量%以上含有する、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
水相の比率が40%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項5】
日焼け止め用である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日焼け止め化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線による肌のダメージを抑えるために、種々のUVケア化粧料が開発されている。UVケア化粧料の1つである日焼け止め化粧料(サンスクリーン、サンプロテクター)は、紫外線吸収剤や紫外線散乱剤等を配合することにより、太陽光線中の紫外線を防御し、紫外線の悪影響から皮膚を守ることを目的とする化粧料である(非特許文献1)。
近年、マリンスポーツやスキー、ゴルフ等、強い太陽光に長時間さらされる屋外でのレジャーシーンに限らず、日常生活においても紫外線防御が重要と考えられており、日焼け止め化粧料の需要やその使用頻度が高まっている。そのため、日焼け止め化粧料には、紫外線防御能はもちろん、使用感の向上も求められている。
【0003】
日焼け止め化粧料には様々な剤型が採用されているが、使用時に振とうして油中水乳化形態を調製する、二層分離タイプのものは、軽くて伸びの良い感触を演出できることから、汎用されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】「化粧品事典」、日本化粧品技術者会編、2004年、丸善株式会社発行、第495~496頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、みずみずしい使用感を与える化粧料を設計するにあたり、水性成分を多量に配合できる高内相の乳化剤型を採用することに想到した。
高内相の乳化粒子を安定に形成するには、通常、化粧料の粘度を高めたり界面活性剤を多用したりすることが必要になる。しかしながら、化粧料の粘度が高いと、化粧料を塗布するときの伸びが悪かったり、べたつきや重さを感じたりして、使用感が損なわれてしまう。
かかる状況に鑑みて、本発明は、安定な高内相乳化形態を形成でき、かつ使用感に優れる、二層分離タイプの化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定のポリエーテル変性シリコーンと特定のアルキルグリセリルエーテルとを含有することで、上記課題を解決できることに想到し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンと、アルキル基の炭素数が12~24であるアルキルグリセリルエーテルとを含有する、二層分離タイプの化粧料。
[2]さらに、引火点88℃以下の油剤を含有する、[1]に記載の化粧料。
[3]さらに、紫外線吸収剤を化粧料全体の8質量%以上含有する、[1]又は[2]に記載
の化粧料。
[4]さらに、粉体を化粧料全体の1~5質量%含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の化粧料。
[5]日焼け止め用である、[1]~[4]のいずれかに記載の化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、低粘度ながら安定な高内相乳化形態を形成でき、かつみずみずしい感触の、二層分離タイプの化粧料が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の化粧料は、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンと、アルキル基の炭素数が12~24であるアルキルグリセリルエーテルとを必須に含有する。これらは協働して高内相でも安定な油中水乳化滴を形成することに寄与する界面活性剤である。
【0011】
本発明において、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン又はラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンは、市販のものが入手しやすく、例えば信越シリコーン社製のKF-6028、KF-6038を使用できる。
PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンの含有量は、合計で、化粧料全体の0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
【0012】
本発明において、アルキル基の炭素数が12~24であるアルキルグリセリルエーテルを用いることで、乳化形態を調製したときに低粘度とすることができる。また、二層分離タイプの化粧料を用時調製するときの各成分の再分散が容易で、効率よく使用することができる。また、化粧料の塗布膜の耐水性も高めることができるため、後述の粉体を含有させる場合にその含有量が少なくても十分な耐水性を実現することができる。
アルキルグリセリルエーテルは、アルキル基の炭素数が12~24のものであり、好ましくは12~18のものである。また、該アルキル基は、分岐又は直鎖のいずれでもよいが、分岐アルキル基が好ましい。また、通常はモノエーテルである。本発明におけるアルキルグリセリルエーテルは、通常は25℃において液状である。
前記アルキルグリセリルエーテルとしては、イソステアリルグリセリルが特に好ましく挙げられ、市販のペネトールGE-IS(花王株式会社製)を好適に用いることができる。
前記アルキルグリセリルエーテルの含有量は、合計で、化粧料全体の0.1~3.0質量%が好ましく、0.1~2.0質量%がより好ましく、0.5~2.0質量%がより好ましく、0.5~1.2質量%が特に好ましい。
【0013】
本発明において、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン及び/又はラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンと、アルキル基の炭素数が12~24であるアルキルグリセリルエーテルとの含有量は、1:30~100:1の質量比で用いることが高内層の乳化滴形成の観点から好ましい。
【0014】
本発明の化粧料は、静置した状態では油相成分の層の下に、非連続の水相(水性成分を抱える微細な粒子)が沈降して存在している二層状態となる。このとき、下の層は局所的に油中水乳化形態になっている。通常は、振とう等により水相の液滴を油相に乳化分散させたときに全体が油中水乳化形態になる。このときに、水相の比率すなわち内相比は好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上、さらに好ましくは50%以上である。水性成分を多量に抱える乳化剤型を調製し得るため、肌に塗布したときにみずみずしくさっぱりした感触を与えることができる。
水相は通常は水性成分で構成され、ここで水性成分とはミネラルオイルと混合したときに溶解せずに分離する成分をいう。ただし、界面活性剤及び粉体は水相を構成する成分に含めないものとする。
【0015】
本発明の化粧料は、さらに、引火点88℃以下の油剤を含有することが好ましく、かかる油剤は油相を構成する。引火点が低い、いわゆる揮発性の油剤を用いることにより、化粧料を肌に塗布したときにさっぱりした使用感をより高めることができる。
かかる油剤としては、特に限定されないが、揮発性炭化水素油や揮発性シリコーン油が挙げられる。より具体的には、揮発性炭化水素油としては、例えば、n-デカン(53℃)、n-ウンデカン(60℃)、n-ドデカン(87℃)等のパラフィン系炭化水素油;イソデカン(46℃)、イソドデカン(48℃)等のイソパラフィン系炭化水素;シクロデカン(65℃)、シクロドデカン(87.6℃)等の環状パラフィン系炭化水素;などが好ましく挙げられる。揮発性シリコーンとしては、KF-96L-1cs(37℃)、KF-96L-1.5cs(64℃)、KF-96L-2cs(88℃)等のジメチコン(いずれも信越化学工業株式会社製);メチルトリメチコン(60℃);4員環(51℃)、5員環(77℃)等の環状シリコーン油;などが好ましく挙げられる。
前記油剤の含有量は、合計で、化粧料全体の5~45質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましい。
【0016】
本発明の化粧料は、さらに、紫外線吸収剤を化粧料全体の好ましくは8質量%以上、より好ましくは9質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上含有することが好ましい。
一般に紫外線吸収剤は、粘稠な油性成分であり、これを配合した化粧料の使用感はべたつきを感じることがある。本発明の化粧料は、低粘度な高内相の剤型であるため、紫外線吸収剤を多く配合してもさっぱりした使用感が得られるため、十分な紫外線防御能を確保することができる。したがって、本発明の化粧料は、日焼け止め用途に好適である。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、等が挙げられる。
【0017】
本発明の化粧料は、さらに、粉体を含有してもよい。
一般に、日焼け止め化粧料やメークアップ化粧料については、塗布後の化粧膜には耐水性が求められるところ、適当な粉体をこれらに配合することで化粧料に耐水性を付与する場合がある。本発明の化粧料は、特定のアルキルグリセリルエーテルを用いることで化粧膜の耐水性を高めることができるため、粉体の含有量を少なく、例えば化粧料全体の1~5質量%とすることができる。
また、粉体には、さらさらした使用感を付与したり、化粧料を着色したりする目的で配合されるものも含まれる。
粉体としては、特に限定されないが、表面を処理されていてもよい、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていてもよい、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていてもよい、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていてもよい赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、が挙げられる。
【0018】
本発明の化粧料は、二層分離タイプの化粧料である。これは、静置した状態では、油相成分の層と、その下に存在する非連続の水相(水性成分を抱える微細な粒子)が沈降している層との、二層に分離した状態のものを指す。通常は、使用時に振とう等を行うことによって全体を油中水乳化形態に調製する。通常、用時調製の「振とう」は、容器ごと縦方向に上下に複数回振って内部の組成物を撹拌させることをいう。
本発明の化粧料は、油中水乳化形態としたときに低粘度となる。そのため、化粧料を塗布するときに伸ばしやすく、またべたつかずにさっぱりとした使用感となる。なお、粘度は低いほど良いわけではなく、取り扱い性の観点から液だれ等の難なく塗布できる程度の粘度であることが好ましい。特に限定されないが、B型粘度計 DIGITAL VISMETORON VDA(芝浦システム社製)を用いて、3号ローターを用い、回転数6rpm、60秒間、20℃の条件で測定した粘度が、4000~10000mPa・sであることが好ましく、5500~8500mPa・sであることがより好ましい。
【0019】
本発明の化粧料は、前述した成分以外に、通常の化粧料で使用される成分を本発明の効果を損なわない限りにおいて任意に含有することができる。この様な任意成分としては、各種有効成分、油剤、多価アルコール界面活性剤、保湿剤、pH調整剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤・酸化防止助剤等が挙げられる。
【0020】
有効成分としては、美白成分、シワ改善成分、抗炎症成分、動植物由来の抽出物等が挙げられる。
美白成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3-О-エチルアスコルビン酸、トラネキサム酸、アルブチン、エラグ酸、コウジ酸、リノール酸、ニコチン酸アミド、5,5'-ジプロピルビフェニル-2,2'-ジオール、5'-アデニル酸二ナトリウム、トラネキサム酸セチル、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、ハイドロキノン、パントテン酸等が挙げられる。
【0021】
シワ改善成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸ナトリウム、ニコチン酸アミド、ビタミンA又はその誘導体(レチノール、レチナール、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、レチノイン酸トコフェロール、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール等)、ウルソール酸ベンジルエステル、ウルソール酸リン酸エステル、ベツリン酸ベンジルエステル、ベンジル酸リン酸エステルが挙げられる。
【0022】
動植物由来の抽出物としては、一般的に医薬品、化粧料、食品等に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、アケビエキス、アスナロエキス、アスパラガスエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アーモンドエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アロニアエキス、アンズエキス、イチョウエキス、インドキノエキス、ウイキョウエキス、ウドエキス、エイジツエキス、エゾウコギエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オタネニンジンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オレンジエキス、カキョクエキス、カッコンエキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カンゾウエキス、キウイエキス、キューカンバーエキス、グアバエキス、クジンエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、黒米エキス、クロレラエキス、クワエキス、ケイケットウエキス、ゲットウヨウエキス、ゲンチアナエキス、ゲンノショウコエキス、紅茶エキス、ゴボウエキス、コメエキス、コメ発酵エキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コケモモエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンシャエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウキ
ョウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、ステビアエキス、ステビア発酵物、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ソウハクヒエキス、ダイオウエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、タンポポエキス、茶エキス、チョウジエキス、チンピエキス、甜茶エキス、トウガラシエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、バーチエキス、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、ヒノキエキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マヨナラエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、緑茶エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
【0023】
抗炎症成分としては、クラリノン、グラブリジン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、パントテニルアルコール等が挙げられ、好ましくは、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸アルキル及びその塩、並びに、グリチルレチン酸及びその塩である。
【0024】
他の油剤としては、シリコーン油、エステル油、天然油等が挙げられる。
シリコーン油としてはシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、カプリリルメチコン、ジメチコン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン等が挙げられる。
【0025】
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタンエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパンを挙げることができる。
さらに、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリル、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ク
エン酸トリエチル、オクチルメトキシシンナメート等も挙げられる。
【0026】
また、天然油として、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル等が挙げられる。
【0027】
他の界面活性剤としては、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、
ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等) 、グリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸グリセリル等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、等が挙げられる。
【0028】
多価アルコールとしては、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ヘキシレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等が挙げられる。
【0029】
保湿剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
pH調製剤としては、例えば、乳酸-乳酸ナトリウム、クエン酸-クエン酸ナトリウム、コハク酸-コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
防腐剤としては、エチルパラベン、ブチルパラベン等が挙げられる。
抗菌剤としては、1,3-ブチレングリコールやパラオキシ安息香酸エステルなどの合成系の他、カプリリルグリコール、カプリル酸グリセリル、エチルヘキシルグリセリン、カプリルヒドロキサム酸等の天然抗菌物質も好ましく挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。酸化防止助剤としては、
例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
<製造例>
下記の表1に示す処方にしたがい、実施例及び比較例の二層分離タイプの化粧料をそれぞれ製造した。すなわち、成分イ及び成分ロをそれぞれ、75℃に加熱して均一に混合した。75℃に保ったまま、成分イに成分ロを徐々に添加し、撹拌して乳化した。その後混合物を30℃迄冷却し、化粧料を得た。なお、静置しておくと油相成分の層とその下に存在する水性成分を抱える粒子が沈降した層との二層に分離した状態となった。
【0032】
<試験例>
各化粧料について、以下の項目を評価した。
(1)粘度
各化粧料を10回振とうして油中水乳化形態としたものについて、B型粘度計 DIGITAL VISMETORON VDA(芝浦システム社製)を用いて、3号ローターを用い、回転数6rpm、60秒間、20℃の条件で粘度を測定した。測定値(mPa・s)を以下の基準で4段階評価した。
◎:5500以上~8500未満
○:4000以上5500未満、8500以上10000未満
△:4000mPa・s以下、又は10000以上12000未満
×:12000以上
【0033】
(2)感触
各化粧料を10回振とうして油中水乳化形態としたものについて、適量を腕に塗布したときのみずみずしさを熟練の評価者が以下の基準で4段階評価した。
◎:優れている
○:良好
△:あまり良くない
×:不良
【0034】
(3)耐水性
各化粧料を10回振とうして油中水乳化形態としたものについて、適量を腕に塗布して乾かした後に流水で軽く洗い流したときの耐水性を熟練の評価者が以下の基準で4段階評価した。
◎:優れている
○:良好
△:あまり良くない
×:不良
【0035】
(4)再分散性
各化粧料を10回振とうして、化粧料の用時調製のしやすさについて、熟練の評価者が以下の基準で4段階評価した。
◎:10回の振とうで均一な状態となる
○:10回の振とうでややムラが見えるが、ほぼ均一な状態
△:10回の振とうでムラが目立つが、使用できる状態
×:10回の振とうで不均一な状態で油滴が見える
【0036】
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明により、低粘度ながら安定な高内相乳化形態を形成でき、かつみずみずしい感触の、二層分離タイプの化粧料が提供される。かかる化粧料は日焼け止め化粧料として好適である。