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  • 特許-農作業機の連結具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】農作業機の連結具
(51)【国際特許分類】
   A01B 59/042 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
A01B59/042 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018101505
(22)【出願日】2018-05-28
(65)【公開番号】P2019205364
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000198330
【氏名又は名称】株式会社IHIアグリテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉森 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】横内 博史
(72)【発明者】
【氏名】伊東 辰幸
(72)【発明者】
【氏名】高泉 宏二郎
(72)【発明者】
【氏名】野上 浩美
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-190407(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第00196426(EP,A1)
【文献】米国特許第04838015(US,A)
【文献】実開昭59-059705(JP,U)
【文献】実開平01-167813(JP,U)
【文献】特開2000-188908(JP,A)
【文献】実開昭59-159209(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 59/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車と農作業機とを連結すると共に、前記走行車で前記農作業機をけん引するための農作業機の連結具であって、
前記連結具は、前記走行車側の第1の連結部と、前記農作業機側の第2の連結部とを備え、
前記第1の連結部は、前記走行車側を開放側として前記走行車の車軸の軸方向に沿って拡開され、内側に空間が確保された二又状の拡開連結杆と、
備え、
前記連結具は、前記拡開連結杆の空間上に、走行車の出力と農作業機の入力にわたるように接続されるユニバーサルジョイント軸が位置すると共に、前記拡開連結杆の左杆部と右杆部が、前記ユニバーサルジョイント軸に上下方向で重ならない位置に配置されるものであることを特徴とする農作業機の連結具。
【請求項2】
前記第1の連結部と前記第2の連結部とが、前記車軸の軸方向に対して鉛直方向で直交する軸を有する支持軸を介して回転自在に軸支されていることを特徴とする請求項1に記載の農作業機の連結具。
【請求項3】
前記拡開連結杆右杆部と左杆部を備え、前記右杆部と前記左杆部は、前記走行車の走行方向と平行な中心線を対称軸として線対称となるように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の農作業機の連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機と走行車とを連結するための連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
牽引式の農作業機を走行車に連結する構造は、下記特許文献1に記載されているように、走行車の連結ヒッチに農作業機に設けられた連結具を連結すると共に、連結具の直上に位置するように、走行車の出力部と農作業機の入力部とにわたるようにユニバーサルジョイント軸を接続する構造が知られている。
【0003】
前述の連結構造によって、走行車による農作業機の牽引走行ができると共に、走行車の動力を農作業機の動力として伝達できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-209211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の連結構造は、凹凸面を走行中の連結された走行車と農作業機の上下動に追従して、連結具とユニバーサルジョイント軸とが上下方向に折れ曲がるようになっており、この上下方向に折れ曲がりによって、走行車と農作業機の上下動による連結具とユニバーサルジョイント軸とに作用する力を吸収し、連結具とユニバーサルジョイント軸との破損等を防止できるようになっている。
【0006】
しかしながら、農作業を行う圃場や圃場周りの凹凸の大きさは様々であり、整備が悪く凹凸が大きい場所では、走行車と農作業機の上下動が大きくなり、この上下動の大きさに対応して連結具とユニバーサルジョイント軸が大きく折れ曲がることによって、連結具とユニバーサルジョイント軸及び出力軸とが互いに接触し、この接触衝撃で連結具とユニバーサルジョイント軸及び出力軸に破損が生じるおそれがあった。
【0007】
前述のような問題から現在では、農作業を行う圃場や圃場周りの凹凸の大きさにかかわらず、連結具とユニバーサルジョイント軸及び出力軸との接触を防止できる連結具の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために本発明が採用した手段は、走行車と農作業機とを連結すると共に、前記走行車で前記農作業機をけん引するための農作業機の連結具1であって、前記連結具1は、前記走行車側の第1の連結部10と、前記農作業機側の第2の連結部20とを備え、前記第1の連結部10は、前記走行車側を開放側として前記走行車の車軸SHの軸方向に沿って拡開され、内側に空間Sが確保された二又状の拡開連結杆10Bとを備え、前記連結具1は、前記拡開連結杆10Bの空間S上に、走行車の出力部B1と農作業機の入力部A1にわたるように接続されるユニバーサルジョイント軸AB1が位置すると共に、前記拡開連結杆10Bの左杆部10BLと右杆部10BRが、前記ユニバーサルジョイント軸AB1に上下方向で重ならない位置に配置されるものであることを特徴とする農作業機の連結具にしたことである。
【0009】
前記第1の連結部と前記第2の連結部とが、前記車軸の軸方向に対して鉛直方向で直交する軸を有する支持軸を介して回転自在に軸支されていることが好ましい。
【0010】
前記拡開連結杆右杆部と左杆部を備え、前記右杆部と前記左杆部は、前記走行車の走行方向と平行な中心線を対称軸として線対称となるように形成されていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る第1実施形態の農作業機の連結具を用いて連結された走行車と農作業機の平面図である。
図2図1の側面図である。
図3】本発明に係る第1実施形態の農作業機の連結具の平面図である。
図4図3の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る実施形態の農作業機Aの連結具1を図1図4に基づいて説明する。
【0013】
以下で例示する農作業機Aは、けん引式のスクエアベーラであり、走行車Bに連結具1を介して連結されてけん引されると共に、走行車Bの動力がPTO(Power Take Off)を介して伝達され、伝達された動力を利用して圃場の作物をピックアップすると共に、細断し、且つ角形のベールに成型するものである
【0014】
以下では、図1及び図2において、走行車Bの車軸SHの軸方向を左右、走行車B側を前、農作業機A側を後、前後方向に対して鉛直方向で交差する方向を上下という。
【0015】
農作業機Aは、例示するスクエアベーラに限らず、走行車Bに連結されてけん引されると共に、走行車Bの動力がPTO等の動力伝達手段によって伝達され、伝達された動力によって動作するものすべてを含む。
【0016】
連結具1は、図1図4に示すように、農作業機Aと走行車Bとを走行方向(図1において矢印で示す方向)に沿って直列に連結するものであり、走行車Bに軸支される第1の連結部10を備えていると共に、農作業機Aに軸支される第2の連結部20を備えている。
【0017】
連結具1は、図1及び図2に示すように、走行車Bの出力部B1と農作業機Aの入力部A1とにわたるように接続されたユニバーサルジョイント軸AB1の直下に配置され、第1の連結部10を走行車Bに軸支し、第2の連結部20を農作業機Aに軸支することで、農作業機Aと走行車Bとを連結している。
【0018】
第1の連結部10と第2の連結部20とは、上下方向の軸を有する支持軸30を介して互いに左右方向に回転自在に連結されている。
【0019】
第1の連結部10が走行車Bに対して左右方向の軸を有する連結軸10Aを介して上下方向に回転自在に軸支され、第2の連結部20が農作業機Aに対して上下方向の軸を有する連結軸20Aを介して左右方向に回転自在に軸支される。
【0020】
第1の連結部10は、図1図3に示すように、平面視において前方に向かって拡開された半円状の拡開連結杆10Bを備えており、拡開連結杆10Bの左右前端部の夫々に連結軸10Aが軸支されていると共に、拡開連結杆10Bの後方に支持軸30を軸支する軸支板31が設けられている。
【0021】
拡開連結杆10Bは、左右杆部10BL、10BRの間で前後方向に沿う中心線CLを対称軸として左右対称となるように形成され、平面視において拡開連結杆10Bの左右杆部10BL、10BRの間に空間Sが確保されている。
【0022】
軸支板31には、支持軸30を軸支する軸支孔31Aが開孔されており、軸支孔31Aは、中心線CL上に配置されている。
【0023】
連結軸10Aは、左右杆部10BL、10BRの端部の夫々に、左右方向の軸を中心として回転自在に軸支された連結体10Cの前端に、左右方向の軸を有して、左右外側方向に突出するように固着されている。
【0024】
第2の連結部20は、図2及び図4に示すように、第1の連結部10に連結される支持杆20Bと、支持杆20Bの前端部に固着され、支持軸30を支持する支持板32と、後端部に設けられた連結軸20Aとを備えている。
【0025】
第2の連結部20は、支持軸30を軸支孔31Aに挿入することによって、第1の連結部10に対して支持軸30を回転中心として左右方向に回転自在に連結されている。
【0026】
軸支板31の左右と支持板32の左右とには、第1の連結部10と第2の連結部20との左右回転時に、相互に接触する接触面部31B、31Cが設けられており、接触面部31B、31C同士が接触した位置において、第1の連結部10Aと第2の連結部20との左右回転の限界を規定している。
【0027】
このような連結具1は、図1及び図2に示すように、走行車Bの後部に対して連結軸10Aを回転自在に軸支すると共に、農作業機Aの前部に対して連結軸20Aを回転自在に軸支することで、農作業機Aと走行車Bとを連結することができる。
【0028】
連結具1は、拡開連結杆10Bに対して連結体10Cが回転すると共に、走行車Bに対して連結軸10Aが回転することによって、拡開連結杆10Bと連結体10Cとの軸支部分で上下方向に折れ曲がるようになっている。
【0029】
すなわち、連結された農作業機Aと走行車Bとが走行中に上下の凹凸を乗り越えるときに、連結具1が上下に折れ曲がることによって、農作業機Aと走行車Bとを凹凸に沿うように走行させることができので、走行時の上下動による衝撃を緩和することができる。
【0030】
また、連結具1は、図1に示すように、走行車Bの方向変換・方向転換に応じて、第1の連結部10と第2の連結部20とが支持軸30を回転中心として左右方向に回転して支持軸30部分で折れ曲がると共に、農作業機Aに対して連結軸20Aを回転中心として左右方向に回転することによって、走行車Bの方向変換・方向転換に農作業機Aをスムーズに追従させることができる。
【0031】
連結具1の連結状態では、図1に示すように、平面視において拡開連結杆10Bが左右方向に開いていおり、空間S上にユニバーサルジョイント軸AB1が位置すると共に、左右杆部10BL、10BRがユニバーサルジョイント軸AB1に対して上下方向で重ならないように位置している。
【0032】
すなわち、連結具1の連結状態において、拡開連結杆10Bの空間S上にユニバーサルジョイント軸AB1が位置しているため、凹凸が大きく連結具1の折れ曲がりが大きい場合でも、連結具1のユニバーサルジョイント軸AB1及び出力部B1への接触を防ぐことができる。
【0033】
したがって、連結具1は、農作業を行う圃場や圃場周りの凹凸の大きさにかかわらず、ユニバーサルジョイント軸AB1及び出力部B1に対する接触を防止でき、これによって、連結具1やユニバーサルジョイント軸AB1及び出力部B1の故障・破損等の不具合の発生を防止することができる。
【0034】
連結具1の拡開連結杆10Bの平面形状は、例示した形状に限らず、左右方向に拡開された二又状の形状であればよい(図示せず)。
【0035】
また、連結具1の拡開連結杆10Bの平面形状は、例示したように、走行車Bの走行方向と平行な中心線CLを対称軸とした線対称とした平面形状に限らない(図示せず)。
【0036】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0037】
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
A:農作業機
B:走行車
AB1:ユニバーサルジョイント軸
1:連結具
10:第1の連結部
20:第2の連結部
30:支持軸
10A:連結軸
10B:拡開連結
10BL:左杆部
10BR:右杆部
10C:連結体
20A:連結軸
SH:車軸
CL:中心線(対称軸)
S:空間
図1
図2
図3
図4