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  • 特許-雨具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】雨具
(51)【国際特許分類】
   A41D 3/04 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
A41D3/04 D
A41D3/04 G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018101516
(22)【出願日】2018-05-28
(65)【公開番号】P2019206766
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-05-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第61回東京都児童生徒発明くふう展に出品(開催日 平成29年12月7日から9日) 第61回東京都児童生徒発明くふう展ウェブサイトに掲載(掲載日 平成29年11月28日) http://www.jiii.or.jp/tokyo/jido/2017/index.html http://www.jiii.or.jp/tokyo/jido/2017/works/03.html 第76回全日本学生児童発明くふう展に出品(開催日 平成30年3月28日から31日) 第76回全日本学生児童発明くふう展ウェブサイトに掲載(掲載日 平成30年3月8日) http://koueki.jiii.or.jp/hyosho/gakusei/H30/gakusei_jusho_ichiran.html http://koueki.jiii.or.jp/hyosho/gakusei/H30/gakusei_jusho_ichiran_tokubetsu.html#tokkyochokan http://koueki.jiii.or.jp/hyosho/gakusei/H30/gakusei76_sakuhinshu.html 日本テレビ放送網株式会社「皇室日記」にて放送(放送日 平成30年4月15日) 株式会社TBSテレビ「皇室アルバム」にて放送(放送日 平成30年4月28日)
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】518187293
【氏名又は名称】鈴木 創妃光
(72)【発明者】
【氏名】鈴木創妃光
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3215364(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背負いかばんに固定する装着手段と、生地に取着され折りたたんだ際に保持部同士が付着することで折りたたんだ状態に保つ複数の前記保持部と、取着された持ち手を有する雨具において、前記装着手段により固定した前記背負いかばんを背負った状態で、前記持ち手を引張ることにより、付着した前記保持部同士が離れることで折りたたまれた状態から着用可能な状態へと展開させることが可能であり、前記雨具の一部に袋状の折りたたみ部分を形成する折り目を有し、前記袋状の折りたたみ部分の開口部が前記持ち手取着されている方向を向くことを特徴とする雨具。
【請求項2】
前記雨具の前記折り目の両側または片側に、前記雨具の生地よりも硬質な部材が取着されていることを特徴とする請求項1に記載の雨具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素早く着用することが可能で、さらにコンパクトに折りたたみ、背負いかばんへ装着し携行することができる雨具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、体全体を覆って使用する雨よけの道具として、レインコートやレインポンチョなどが広く用いられてきた。ランドセルやリュックサックに装着し、鞄の中から取出す手間を省いたり、自宅に忘れてきてしまうことを防ぐものが発明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭52-67509号 公報
【文献】特許第5488432号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの発明は、予め鞄から取出す手間を省いてはいても、背面に雨具があるためランドセルやリュックサックを背負った状態では、その取出し口を目視で確認することができない。そのため雨具を着用する場合には、必ず一度ランドセルやリュックサックを脱いで雨具を取出す必要があった。さらに取出して展開した後に、再度ランドセルやリュックサックを背負ってから雨具を着用する動作が必要であり、着用するまでに時間がかかるという課題があった。
【0005】
さらに、雨具に使用される生地は通気性が悪く、木綿などでできた衣服とは異なり、折りたたんでも生地の中を空気が通り抜けることがなく、生地と生地との間に空気がたまりやすい。また撥水性も高く、生地自体が滑りやすいため、折り目をつけてたたんでも、たたんでいくにつれその折り目がずれてしまう事から、収納袋などに合わせて、薄く正確に折りたたむ事が難しい。特に低学年の児童にとって雨具を折りたたむことは苦手な場合が多いが、不器用な使用者が小さくたためない雨具を収納袋の蓋などを利用して、無理やり収納部へ押込んでしまう可能性もある(特許文献2参照)。
【0006】
折りたたんだ状態の雨具の厚さは、折りたたむ回数と、折りたたんだ生地と生地との間隔に比例して増す。無理やり押込む場合は、折りたたむ回数が膨大に増えることと同じ状態になる上、さらに生地と生地との間に入り込んだ空気を十分に逃がすことができず収納される事になり、生地の間隔も大幅に増す。そのため生地の間の空気を逃がしながら、収納部の大きさに合わせて正確に折りたたむ場合に比べ、その厚さが極端に大きくなるため収納部が膨らんでしまい、見た目も悪くなるという課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
背負いかばんに固定する装着手段と、生地に取着され折りたたんだ際に保持部同士が付着することで折りたたんだ状態に保つ複数の前記保持部と、取着された持ち手を有する雨具において、前記装着手段により固定した前記背負いかばんを背負った状態で、前記持ち手を引張ることにより、付着した前記保持部同士が離れることで折りたたまれた状態から着用可能な状態へと展開させることが可能であり、前記雨具の一部に袋状の折りたたみ部分を形成する折り目を有し、前記袋状の折りたたみ部分の開口部が前記持ち手取着されている方向を向くことを特徴とするものである。
【0008】
また、前記雨具の前記折り目の両側または片側に、前記雨具の生地よりも硬質な部材が取着されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
背負いかばんを背負った状態で雨具の着用が可能なため、動作を大幅に削減することができ、より素早く雨具を着用する事ができる。また雨具を折りたたむ時も、薄く正確にたたむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による雨具を平面状に開展させた状態を示す図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】本発明による雨具を折りたたむ状態を示す図である。
図4】本発明による雨具をランドセルへ装着した状態を示す図である。
図5】本発明による雨具を着用するための手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、大人から子供まで利用でき、その効果を発揮する雨具を提供するものであるが、ここでは特にランドセルを背負った児童が着用する場合について説明する。
【0012】
以下、本発明による実施の形態を図面を基に説明する。図1は本発明による雨具を平面状に開展させた状態を示す図であり、図2はそのA-A断面図である。装着部12は屈曲可能な材質とし、雨具11の背中側に位置し、図2から見て下側から雨具11と接している。折りたたみ位置14a・14c・14d・14eの4辺と装着部12が重なる位置で、装着部12は雨具11と接合されている。雨具11は頭からかぶるポンチョタイプとし、胸側の裾部に持ち手13が取着されている。
【0013】
着脱可能な保持部15a・15bが図2から見て雨具11の下側から、保持部15c・15d・15eが図2からみて雨具11の上側からそれぞれ取着されている。同様に保持部15fは図2からみて装着部12の上側に取着されている。また雨具11は、頭部を雨から守るフード16aと、フード16aを頭からかぶり着用した後に首元から雨の侵入を防ぐ前立て16bを持つ。フード16aの額側と前立て16bの根本側にも着脱可能な保持部15g・15hが取着されており、雨具11を折りたたむ前に、図2の様に保持部15gを保持部15hへ付着させることで、雨具11を着用するときに、フード16aをかぶる動作も削減することが可能になる。
【0014】
保持部15a・15b・15c・15d・15e・15f・15g・15hはいずれも、着脱可能な機能のついたものであればよく、面ファスナーや磁石、スナップなどの保持具を使用してもよい。該保持部の面積や数の増減をすることによって、該保持部の保持力を変更することも可能である。また、保持部15g・15hの様に付着させる該保持部同士を同じ形状や同じ色にする事や、該保持部の傍にマークを付けるなどして、視覚的にも使用者が付着させる該保持部同士を判別するための補助の機能を持たせてもよい。
【0015】
図3は本発明による雨具を折りたたむ状態を示す図である。折りたたみ位置14aを図1からみて谷折り、折りたたみ位置14bを図1からみて山折りし、保持部15aを保持部15bへ付着させることで、雨具11の胸側を折りたたむことができる。次に折り紙の中割り折りの様に、折りたたみ位置14b付近にある保持部15cを保持部15dに付着させながら内側に折込む。この時に、雨具11の生地よりも硬質な部材である補助23a・23bを折りたたみ位置14fを基準に対称に取着することで、折りたたみ位置14f以外の位置では、補助23a・23bが取着されているため折りにくいのに対し、折りたたみ位置14fは補助23a・23bの影響がなく折りやすくなる。あえて折りたたみにくい部分を設けることで、折りたたむ位置に制限を持たせることになり、毎回意図した同じ位置で折りたたむことが可能になる。したがって、補助23a・23bを合わせながら保持部15c・15dを付着させると、図2の袖部21側の様に、自然に中割り折りの形状にすることができる。さらにこの中割り折りをすると、折りたたんだ状態の開口部24が持ち手13を取着する方向を向く様になる。
【0016】
さらに折りたたみ位置14cで谷折りをし、袖部21側を内側に折りたたんだ後、袖部22側も同様に中割り折り後、折りたたみ位置14dで内側に折りたためば、折りたたみ状態の開口部24は、持ち手13が取着されている方向と、前記方向の180度逆方向の2方向を向く。さらに折りたたみ位置14eの位置で谷折りし、保持部15eを保持部15fへ付着させることにより、折りたたんだ状態の開口部24は、持ち手13の取着されている方向を向くことになり、雨具11の生地の間に空気がたまっいる場合でも、折りたたみ位置14eから持ち手13の方向に空気を逃がしながら折りたたむ事が可能になるため、その結果折りたたみ回数も減り、生地の間隔も狭くなり、より雨具11を薄く折りたたむことができる。
【0017】
図4は本発明による雨具をランドセルへ装着した状態を示す図である。ランドセル31のカブセ32の外側へ装着部12を装着する。その装着手段は、カブセ32の開け閉めなどの際に、装着部12が外れてしまうことがないようにカブセ32へ装着できていれば、その装着方法はいずれでもよく、ベルトで締めて固定しても、ボタンで留めても、紐などで固縛しても、これら複数の方法を組合わせてもよい。
【0018】
折りたたまれた雨具11の状態ではその上側に持ち手13が位置する。持ち手13はランドセル31を背負った状態でも肩越しに見ることができるが、目視確認をしなくても腕を肩越しに背中側へ回した状態で、手探りでも持ち手13を確認し、つかむことも可能である。持ち手13は目視によらなくても手で触れて持ち手13だと確認できればよい。そのため、雨具11の生地と比較して厚さや形状、手触り等が異なっていれば、穴形状や突起形状など、いずれの形態に変更してもよい。
【0019】
図5は本発明による雨具を着用するための手順を示す図である。雨具11を着用する場合は、持ち手13をつかんだ腕を、上に引上げながら前方へ腕を倒す。折りたたみ時に、持ち手13が取着された雨具11の胸側の部分51の上に、袖部21・22がある側面の部分52が前記胸側の部分51の上に、保持部15eが取着された背中側の部分53が前記側面の部分52の上にさらに折り重ねる形になっている。持ち手13を引上げる動作を行うと、前記胸側の部分51の上に折り重なっている前記側面の部分52と前記背中側の部分53も一緒に押し上げられる。押し上げられるに伴い、保持部15e・15fの付着された状態が離れるため、前記背中側の部分53は折りたたみ位置14eを支点に下方へ展開し、前記側面の部分52も折りたたみ位置14c・14dを支点に両側面側へ展開する形になり、それらの動作と持ち手13を前方に倒し雨具11を頭からかぶる動作することで、雨具11展開し着用することができる。
【0020】
また、図2の様に雨具11を折りたたむ前に保持部15g・15hを付着させている場合は、頭からかぶる動作によりフード16aを頭にかぶることができるが、前立て16bはさらに胸側に下方へ移動するため、保持部15g・15hの付着状態が離れるため、フード16の着用も可能にすることができる。
【0021】
以上の効果により、背負かばんを背負った状態で雨具11を装着することが可能なため、ランドセル31を脱ぎ、再び背負うという従来の動作を省略できる。さらに、持ち手13を手でつかみ上に引張りながら前方へおろす一つの動作が、雨具11を展開してから着用するまでの動作に置換えることができる。そのため雨具の着用するまでの動作を大幅に削減することが可能になり、より素早く雨具を着用する事ができる。
【0022】
その上雨具の折りたたむ部分の開口部24を、持ち手13を取着する方向へ向けることで、開口部により空気を巻き込みながら、雨具11の展開が容易になりより素早く着用することができる。
【符号の説明】
【0023】
11雨具
12装着部
13持ち手
14a折りたたみ位置
14b折りたたみ位置
14c折りたたみ位置
14d折りたたみ位置
14e折りたたみ位置
14f折りたたみ位置
15a保持部
15b保持部
15c保持部
15d保持部
15e保持部
15f保持部
15g保持部
15h保持部
16aフード
16b前立て
21袖部
22袖部
23a補助
23b補助
24開口部
31ランドセル
32カブセ
51胸側の部分
52側面の部分
53背中側の部分
図1
図2
図3
図4
図5