(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】蛍光に基づく検知を使用する組織切片の調製
(51)【国際特許分類】
G01N 1/36 20060101AFI20230221BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230221BHJP
G01N 21/78 20060101ALI20230221BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20230221BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
G01N1/36
G01N21/64 Z
G01N21/64 F
G01N21/78 C
G01N21/78 Z
G01N1/28 J
G01N33/53 Y
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018130791
(22)【出願日】2018-07-10
【審査請求日】2021-07-02
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カイル シュライファー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティン ブリアナ バーニック
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン マッキャンベル
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス エム サンパス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター リム
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-515780(JP,A)
【文献】特表2016-517985(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0191937(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0290926(US,A1)
【文献】特表2009-517665(JP,A)
【文献】特開2010-230495(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00209369(EP,A2)
【文献】特開2010-044069(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0146346(US,A1)
【文献】特表2015-516847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
G01N 21/62-21/64
G01N 21/75-21/83
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包埋した試料中の組織の位置を判定する方法であって、
約200nm~約600nmの波長
範囲の中から選ばれる所定の励起波長を有する光で、包埋した試料を照射するステップであって、前記包埋した試料は、組織および包埋剤を備える
、前記ステップと、
前記包埋した試料の
第1の蛍光発光および第2の蛍光発光を検知するステップと、
前記
第1の蛍光発光および第2の蛍光発光に基づいて、前記包埋した試料
表面の
組織領域の位置を判定するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記包埋剤はパラフィンであり、または、前記包埋した試料は、ホルマリンで固定しパラフィン包埋し
た組織塊である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記
第1の蛍光発光および第2の蛍光発光は、カメラを備える撮像装置を使用して検知される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記
第1の蛍光発光および第2の蛍光発光のデジタル画像を、前記包埋した試料
表面の組織領域の位置を判定するために使用する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記デジタル画像の画素強度を、前記包埋した試料
表面の組織領域の位置を判定するために使用する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記
表面の組織
領域の前記位置を判定したのちに、前記包埋した試料から切片を薄く切る、または切除するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記組織切片を、少なくとも1つの染料で染色するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記光は、約250nm~約450nmの波長を有している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の蛍光発光は、前記包埋剤の蛍光発光である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記
第2の蛍光発光は、前記組織の成分の自家蛍光により生成される、請求項1
から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記成分はエラスチンまたはコラーゲンである、
請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蛍光に基づく検知を使用した、ホルマリンで固定しパラフィン包埋した試料などの包埋した試料から、組織切片を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホルマリンで固定しパラフィン包埋した(FFPE; formalin-fixed paraffin-embedded)組織塊(tissue block)の形成は、組織試料の形態および細胞の中身を保存するのに役立つ。組織の処理は一般に、数日などの期間、分離した組織をホルマリン中に置き、次いで組織をパラフィン蝋に包埋することを含んでいる。FFPE試料は、長期間にわたり室温で好適に保管することができ、免疫組織化学的染色および形態分析について特に有用である。FFPE試料は、遺伝子発現を概略提示し、病気を研究するためにも使用することができる。
【0003】
生物学的試験の際に、FFPE組織塊は一般に、ミクロトーム上で組織塊を切断することにより切除される。組織塊は、FFPE中の組織の境界を判定するために、技師により、または自動化された方法を使用して、分析されてもよい。前者の場合、技師は一般に、パラフィン中に包埋した組織の拡散画像を観察するために、FFPE塊を検査する。技師は、組織を備える切片の断面区域がどのように見えるかを把握し、かつ、それをミクロトームの刃から現れた組織切片と比較してもよい。組織塊は、見本となる量の組織を塊の表面に露出するよう、かつ、塊の面が刃の縁と一致することを保証するよう、切除されるのが好ましい。
【0004】
自動化された分析中、組織を撮像するのに、カメラが通常利用される。光源が、パラフィンと組織表面との相違を区別する角度で、組織塊の表面を照らす。パラフィンは組織よりも比較的滑らかであるので、自動化された分析では、パラフィンおよび組織の異なる自然な質感を利用して、2つの素材を区別する。
【0005】
下記特許文献1は、組織の薄い切片を生成するため、かつ、試料を分割することにより生成した表面の画像をカメラを使用して得るための、自動化された方法および装置を開示している。装置を使用して画像を評価し、試料の切片がさらなる使用に耐えるかを判定する。
【0006】
多くの既存の方法では、異なる組織およびパラフィンの種類を分析するために使用された際に、不正確で一貫性のないデータが生じている。これは、多くの方法が、組織およびパラフィンの光学および表面特性の変動性に、敏感なためである。ある場合、既存の方法を使用して、FFPE試料中で、組織をパラフィンから区別することは極めて困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第 2010/0118133 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、パラフィンなどの包埋剤中で組織試料の位置を判定するためには、追加の方法および機器が必要とされている。本方法および機器は、組織塊中で組織をパラフィンから区別するための、正確で一貫した方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態において、本開示は、包埋した試料中の組織の位置を判定する方法を提供する。本方法は、約200nm~約600nmの波長を有する光で、包埋した試料を照射するステップであって、包埋した試料は組織および包埋剤を備えるステップと、包埋した試料の蛍光発光を検知するステップと、蛍光発光に基づいて、包埋した試料中の組織の少なくとも一部分の位置を判定するステップとを含んでいる。
【0010】
別の実施形態において、本開示は、包埋した試料中の組織の位置を判定する方法を提供する。本方法は、組織および包埋剤を備える包埋した試料を、少なくとも1つの光源で照射して、第1の蛍光発光および第2の蛍光発光を生成するステップと、第1の蛍光発光および第2の蛍光発光を検知するステップと、第1の蛍光発光および第2の蛍光発光に基づいて、包埋した試料中の組織の少なくとも一部分の位置を判定するステップとを含んでいる。
【0011】
別の実施形態において、本開示は、包埋した試料から組織切片を薄く切るための機器を提供する。本機器は、直線運動に適合された試料ホルダ、ナイフホルダ、および、試料ホルダの反対にあるナイフホルダにより保持されるナイフを備え、その結果、試料ホルダが直線的に動く際、試料ホルダにより保持された試料がナイフによって薄く切られ、組織切片を形成するミクロトームと、試料ホルダに向けられた少なくとも1つの光源と、試料ホルダにより保持された試料から放出された光を捕捉するよう配置された光学システムとを備えている。
【0012】
本発明の方法および機器の、これらおよび他の特徴および利点は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明より、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】パラフィンに完全に包埋した組織試料の写真である。
【
図1B】パラフィンに包埋され、組織の切片を露出するよう切除された組織試料の写真である。
【
図2】ホルマリンで固定しパラフィン包埋した塊内の組織の例を示す、塊試料中で組織がパラフィンから区別不能となっている写真である。
【
図3A】明視野分析(bright field analysis)を使用した、ホルマリンで固定しパラフィン包埋した組織塊中での組織とパラフィンとの間の界面を示す画像である。
【
図3B】暗視野分析(dark field analysis)を使用した、ホルマリンで固定しパラフィン包埋した組織塊中での組織とパラフィンとの間の界面を示す画像である。
【
図4A】人体組織に対する、さまざまな内因性のフルオロフォア(fluorophores endogenous)の励起スペクトルのグラフを示す図である。グラフは、光の波長対蛍光強度を示している。グラフは、光の波長対蛍光強度を示している。
【
図4B】人体組織に対する、さまざまな内因性のフルオロフォアの発光スペクトルのグラフを示す図である。グラフは、光の波長対蛍光強度を示している。
【
図5】4倍率での、ホルマリンで固定しパラフィン包埋した塊の表面の蛍光発光画像の集合を示している。
【
図6】ホルマリンで固定しパラフィン包埋した組織塊における、組織塊から切片をそれぞれ切断したあとの、エラスチンおよびコラーゲンの自家蛍光の画像の画素強度を示すグラフである。
【
図7A】本開示の実施形態に係る、蛍光に基づく撮像システム用の、ハードウェアを示す図である。
【
図7B】本開示の実施形態に係る、蛍光に基づく撮像システム用の、ハードウェアを示す図である。
【
図7C】本開示の実施形態に係る、蛍光に基づく撮像システム用の、ハードウェアを示す図である。
【
図7D】本開示の実施形態に係る、蛍光に基づく撮像システム用の、ハードウェアを示す図である。
【
図8A】単一の組織を備えるホルマリンで固定しパラフィン包埋した組織塊試料のさまざまな薄片の蛍光発光画像の集合を示す図である。画像は、560nm55nm帯域発光フィルタを有する365nm励起源を使用して取得した。
【
図8B】280nm励起源および405nm20nm広帯域発光フィルタを使用して取得した、同じFFPE薄片の蛍光発光画像の集合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本教示は、添付の図面とともに読むときに、以下の詳細な説明より、最もよく理解される。特徴は、必ずしも原寸に比例して描かれているわけではない。
【0015】
本明細書で使用される術語が、特定の実施形態を説明することを目的としたものであり、限定することを意図していないことを理解されたい。定義された用語は、本教示の技術分野で一般に理解および承認されている定義された用語の技術的および科学的意味に追加されている。
【0016】
「自家蛍光」という用語は、タンパク質などの生体分子による自然な発光を指している。
【0017】
「フルオロフォア(fluorophore)」という用語は、光による励起を受けて光を再放射できる蛍光性化合物を指している。「内因性のフルオロフォア(endogenous fluorophore)」という用語は、自家蛍光が可能な、天然に存在する生体物質を指している。
【0018】
「固定した(fixed)」組織とは、適切な期間、固定剤と接触されているものを言う。
【0019】
「包埋した(embedded)組織」または「包埋した試料」とは、パラフィンまたはエポキシ樹脂などの包埋剤により部分的または完全に包囲された組織試料のことである。包埋した組織または包埋した試料を、包埋した組織を薄く切る、または切除することで得られる組織切片と混同してはならない。
【0020】
「ホルマリンで固定しパラフィン包埋した塊」または「ホルマリンで固定しパラフィン包埋した試料」すなわち「FFPE試料」という用語は、パラフィン中に包埋した、ホルマリン処理した組織を指している。
【0021】
「画素強度」または「画素強度値」という用語は交換可能に使用されており、デジタル画像において、対象となる領域にわたって平均された、検知された蛍光信号を指している。デジタル画像の取得時に、各画素で検知された光子は、検知された光子の数に比例する強度値に変換される。画素強度を使用して、検体におけるフルオロフォアの局所的な濃度を判定することができる。
【0022】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用する際、かつ、それらの通常の意味に加えて、「実質的な」または「実質的に」という用語は、当業者にとって許容できる限度または程度内であることを意味する。例えば、「実質的に取り消された」は、当業者が取り消しを許容できるとみなすという意味である。
【0023】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用する際、かつ、それらの通常の意味に加えて、「おおよそ」および「約」という用語は、当業者にとって許容できる限度または量内であることを意味する。「約」という用語は大略的に、示された数のプラスまたはマイナス15%を指している。例えば、「約10」は、8.5~11.5の範囲を示すことができる。例えば、「おおよそ同じ」は、当業者が、比較されている項目を同じであるとみなすことを意味している。
【0024】
本開示では、数字の範囲は、範囲を規定する数字を含む。本開示では、「備える(comprise)」という語があれば、「本質的にからなる」または「からなる」という語を、その代わりに使用してもよいと考えられる。
【0025】
他の仕方で定義されていない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的な用語は、本開示が関係する分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味を持つ。
【0026】
包埋した試料中の包埋剤から、組織を区別することを可能にする方法を提供する。
図1は、パラフィンに完全に包埋した組織(1A)、および、対応する切除された試料(1B)を示している。切除用に組織の位置を判定するために、包埋剤中の試料をしばしば視覚的に査定して、組織と包埋剤との界面を識別する。
【0027】
多くの場合、組織と包埋剤との界面を視覚的に識別するのは困難である。そのような例が
図2に示されている。
図2では、FFPE試料中の組織が、パラフィン包埋した媒体から区別不能となっている。
【0028】
図3Aおよび
図3Bは、明視野分析(bright field analysis)(
図3A)および暗視野分析(dark field analysis)(
図3B)を使用して取得したホルマリンで固定しパラフィン包埋した組織塊中の組織とパラフィンとの間の界面の画像を示している。ある場合、組織と包埋剤との間の界面を、このような方法を使用して識別するのは困難なことがある。本方法および機器は、蛍光を使用して、包埋した試料中の組織を突き止めて、この問題を解決する。
【0029】
既存の方法と異なり、本方法は、組織における内因性のフルオロフォアの自家蛍光を利用して、パラフィンまたはエポキシ樹脂などの包埋剤から組織を区別する。組織と包埋剤との間を対照することは、ホルマリンで固定しパラフィン包埋した(FFPE)組織塊などの包埋した試料を適切な波長で照射し、結果として生じる蛍光発光を検知することにより、達成できる。蛍光発光は、組織の少なくとも一部分の位置を判定するために使用できる。例えば、本方法は、ホルマリンで固定しパラフィン包埋した(FFPE)組織塊中で組織の表面を突き止めるのに使用できる。包埋した試料中で組織を突き止めたのち、切除すること、または薄く切ることにより、組織をさらに処理して、1つまたはそれ以上の組織切片を得ることもできる。
【0030】
本開示の蛍光方法は、組織切片の生物学的解析または染色の前に行われる。本方法は、幅広い組織種用に有効であり、通常の照明条件下で組織が包埋剤から光学的に区別不能な場合に、組織をパラフィンから区別するのに使用できる。
【0031】
吸収された電磁放射を有する物質による光の放出である蛍光は、検体の存在または量を解明するのに、一般に使用される。蛍光性化合物は、放出される光が一般に低エネルギーである特定の条件下で、光を吸収および放出することができる。自家蛍光は、分子が特定の波長で照射されたときの、一般に波長ピークまたはパターンでの、生体分子による、光の自然な放射である。蛍光性の生体分子はそれぞれ、その独自の励起および発光スペクトルを有している。人体および動物組織では、コラーゲンおよびエラスチンなどのタンパク質は、自家蛍光が可能である。
【0032】
図4Aは、多数の生体分子の励起スペクトルを示しており、
図4Bは、同じ生体分子の発光スペクトルを示している。タンパク質は、内因性のフルオロフォアとして機能することができ、タンパク質の蛍光発光を監視することにより、検知または追跡することができる。
【0033】
一実施形態では、本開示は、包埋した試料中の組織の位置を判定する方法を提供する。本方法は、例えば約200nm~約600nmの波長を有する光で、包埋した試料を照射するステップであって、包埋した試料は、組織および包埋剤を備えるステップと、包埋した試料の蛍光発光を検知するステップと、蛍光発光に基づいて、包埋した試料中の組織の少なくとも一部分の位置を判定するステップとを含んでいる。
【0034】
いくつかの実施形態では、包埋剤はパラフィンである。いくつかの実施形態では、包埋剤はエポキシ樹脂である。
【0035】
いくつかの実施形態では、蛍光発光は、撮像装置を使用して検知される。いくつかの実施形態では、撮像装置は、デジタルカメラなどのカメラを備えている。このような場合、組織とパラフィンなどの包埋剤とを備える、包埋した試料は、光を照射され、結果として生ずる蛍光発光は、デジタルカメラを使用して捕捉される。デジタル画像における蛍光の存在は、研究中の試料に組織が存在することを示唆する。いくつかの実施形態では、デジタルカメラおよびミクロトームを備える光学システムを使用して、本方法を行う。いくつかの実施形態では、蛍光顕微鏡使用して、本方法を行う。
【0036】
いくつかの実施形態では、包埋剤は、選択した波長で照射されたときに、実質的な蛍光を発現しない。
【0037】
本発明は、あらゆる種類の組織を分析するために使用することができる。いくつかの実施形態では、組織は人体組織である。いくつかの実施形態では、組織は動物組織である。いくつかの実施形態では、組織は、マウス、ラット、イヌまたは霊長類組織である。
【0038】
本方法は、あらゆる器官または解剖学的部位からの組織切片を分析するために使用することができる。いくつかの実施形態では、組織は、胸部、前立腺、肺、結腸、直腸、膀胱、子宮体部、甲状腺、腎臓、口腔(例えば扁桃腺)、膵臓、肝臓、頸部、胃、小腸、脳、脊髄、心臓、骨、関節、食道、胆嚢、脂肪、皮膚、脾臓、胎盤、陰茎、尿道、卵管、卵巣、陰門、副腎、虫垂または眼から分離される。いくつかの実施形態では、組織は、人体または動物から来るペレット状にした細胞である。いくつかの実施形態では、本方法を、罹患した、または健全な組織を試験するのに使用する。いくつかの実施形態では、本方法を、癌、感染症、代謝性疾患、変性疾患、炎症性疾患、または、それらの組み合わせを識別するのに使用する。
【0039】
いくつかの実施形態では、包埋した試料は、ホルマリンで固定しパラフィン包埋した試料である。ホルマリンで固定しパラフィン包埋した試料は、いずれの種類のパラフィンで形成されていてもよい。いくつかの実施形態では、パラフィンは、十分に精製したパラフィン蝋と合成樹脂またはポリマーとの混合体である。いくつかの実施形態では、パラフィンは、ジメチルスルホキシド(DMSO)を備えている。
【0040】
いくつかの実施形態では、ホルマリンで固定しパラフィン包埋した試料は、粒状にしたパラフィン蝋、十分に精製したパラフィン蝋、半精製した(semi-refined)パラフィン蝋、または、それらの組み合わせで形成されている。このように、いくつかの実施形態では、ホルマリンで固定しパラフィン包埋した試料中で、組織を、粒状にしたパラフィン蝋、十分に精製したパラフィン蝋、または、半精製したパラフィン蝋から区別できる。いくつかの実施形態では、ホルマリンで固定しパラフィン包埋した試料は、スペクトルパラフィン(Spectrum paraffin)、ミリポアパラフィン(Millipore paraffin)、フィッシャーファイネストヒストパス(Fisherfinest Histopath)パラフィン蝋、EMSパラマット(EMS Paramat)、パラプラスト(Paraplast)、ポリフィン(Polyfin)、サクラファインテックティシュー・テックVIP(Sakura Finetek Tissue Tek VIP)、ライカサージパスパラプラスト(Leica Surgipath Paraplast)、または、それらの組み合わせで形成されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、包埋剤はエポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、グリシジルエポキシ樹脂(glycidyl epoxy resin)である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、非グリシジルエポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、脂肪族または脂環式樹脂から選ばれた非グリシジル樹脂である。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、グリシジルアミン、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、および、それらの組み合わせから選ばれたグリシジルエポキシである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、エチレングリコールジグリシジルエーテルである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、アラルダイト、Quetol、エポン812、Embed 812、ポリベッド812、または、それらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂は、グリセロールベースの脂肪族エポキシ樹脂である。いくつかの実施形態では、組織をエポキシ樹脂中に包埋することで、向上した形態を有する組織切片が提供される。
【0042】
いくつかの実施形態では、包埋した試料は、切断され、または薄く切られて、薄片および切除された塊を提供する。いくつかの実施形態では、包埋した試料は、ミクロトーム上で薄く切られ、または切除される。いくつかの実施形態では、包埋した試料の自家蛍光は、包埋した試料がミクロトームにより薄く切られ、または切除されている間に検知される。切除された塊は光を照射され、蛍光の存在を判定するために分析される。蛍光の存在を判定するために、撮像を使用してもよい。切除および/または照射処理は、必要に応じて繰り返される。例えば、切除/照射処理は、組織の表面が見つかるまで繰り返されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、1つまたはそれ以上の内因性の種の自家蛍光は、包埋した試料中の組織の位置を判定するために、定量的に測定される。
【0044】
いくつかの実施形態では、蛍光デジタル画像の画素強度を、包埋した試料中の組織の位置を判定するために使用する。切除された塊に光が照射され、蛍光顕微鏡を使用してデジタル画像が取得される。蛍光顕微鏡システムは、蛍光分析中に検知された光子を画素強度値に変換するソフトウェアを備えており、対象となる領域についてユーザが画素強度を判定できるようにする。切除された塊は、さらに薄く切られ、または切除され、蛍光顕微鏡システムにより分析されて、第2のデジタル画像を提供してもよい。2つまたはそれ以上のデジタル画像の画素強度の比較を、包埋した試料中の組織の位置を判定するために使用することができる。例えば、2つのデジタル画像の間の画素強度値における増加は、切除された塊中の組織が露出しており、生物学的試験用に容易に切断および使用されることを示す場合がある。
【0045】
いくつかの実施形態では、本方法は、包埋した試料中の組織試料の表面の位置を判定するために使用される。いくつかの実施形態では、本方法は、包埋した試料における、組織から包埋剤への移行、または、包埋剤から組織への移行の位置を判定するために使用される。いくつかの実施形態では、本方法は、組織をその全体において突き止めるために使用される。
【0046】
いくつかの実施形態では、本方法は、包埋した試料から切片を薄く切るステップ、および、判定された組織表面の位置に基づいて切片を許容または拒否するステップを含んでいる。いくつかの実施形態では、照射は複数回行われ、包埋した試料は、各照射の前に切断される。
【0047】
組織中の内因性の種の蛍光発光を、包埋した試料中の組織の位置を判定するために使用してもよい。試料中のいずれの内因性のフルオロフォアを使用してもよい。いくつかの実施形態では、内因性のフルオロフォアは、コラーゲン、エラスチン、トリプトファン、ポルフィリン、フラビン、NADH、ピリドキシン、リポ色素(lipo-pigment)、または、それらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、コラーゲンの蛍光発光を、包埋した試料中の組織の位置を判定するために使用する。いくつかの実施形態では、エラスチンの蛍光発光を、包埋した試料中の組織の位置を判定するために使用する。いくつかの実施形態では、トリプトファンの蛍光発光を、包埋した試料中の組織の位置を判定するために使用する。いくつかの実施形態では、コラーゲン、エラスチンおよびトリプトファンの1つまたはそれ以上を、包埋した試料中の組織の位置を判定するために使用する。
【0048】
いくつかの実施形態では、約320nm~約380nmの波長を有する励起光を、コラーゲン自家蛍光を検知するために使用する。いくつかの実施形態では、コラーゲン最大蛍光発光は、約375nm~約425nmの波長で検知される。
【0049】
いくつかの実施形態では、約320nm~約380nmの波長を有する励起光を、エラスチン自家蛍光を検知するために使用する。いくつかの実施形態では、エラスチン最大蛍光発光は、約400nm~約450nmの波長で検知される。
【0050】
いくつかの実施形態では、約180nm~約230nmの波長を有する励起光を、トリプトファン自家蛍光を検知するために使用する。いくつかの実施形態では、トリプトファン最大蛍光発光は、約300nm~約350nmの波長で検知される。
【0051】
包埋した試料を、いずれかの適切な波長を有する光で照射してもよい。いくつかの実施形態では、包埋した試料を、約200nm~約600nmの波長を有する光で照射する。このように、いくつかの実施形態では、包埋した試料を、約200nm~約600nm、約200nm~約550nm、約200nm~約500nm、約200nm~約450nm、約200nm~約400nm、約200nm~約350nm、約250nm~約600nm、約250nm~約550nm、約250nm~約500nm、約250nm~約450nm、約250nm~約400nm、約300nm~約500nm、約300nm~約550nm、約300nm~約600nm、約350nm~約600nm、約400nm~約600nm、約450nm~約600nm、約350nm~約550nm、約350nm~約500nm、約400nm~約600nm、約400nm~約550nm、または、約450nm~約600nmの波長を有する光で照射する。
【0052】
包埋した試料の蛍光発光を、いずれかの適切な波長、通常は最大蛍光波長で、検知することができる。いくつかの実施形態では、包埋した試料は、約300nm~約600nmの波長で、最大蛍光発光を有している。このように、いくつかの実施形態では、包埋した試料は、約300nm~約600nm、約300nm~約550nm、約300nm~約500nm、約300nm~約450nm、約300nm~約400nm、約350nm~約600nm、約350nm~約550nm、約350nm~約500nm、約350nm~約450nm、約400nm~約600nm、約450nm~約550nmまたは約500nm~約600nmの波長で、最大蛍光発光を有している。
【0053】
蛍光方法は通常、当該技術で公知のように、光源と、蛍光を検知するよう構成された検知器とを使用して行われる。いくつかの実施形態では、蛍光技術は、光をその特定の波長または範囲で照らすことのできる光源を使用して実行される。いくつかの実施形態では、包埋した試料を、1つまたはそれ以上の光源を使用して照射する。いくつかの実施形態では、光源は、発光ダイオード(LED)光源である。いくつかの実施形態では、光源は水銀アークランプである。いくつかの実施形態では、光源はキセノンアークランプである。いくつかの実施形態では、光源はレーザである。いくつかの実施形態では、本方法は、1つまたはそれ以上の励起フィルタを有する蛍光システムを使用して行われる。いくつかの実施形態では、蛍光システムは、開口および1つまたはそれ以上の発光フィルタを備えている。いくつかの実施形態では、蛍光システムは、撮像レンズおよび撮像カメラを備えている。
【0054】
包埋した試料を、いずれかの適切な方法を使用して形成してもよい。いくつかの実施形態では、組織を対象から取得し、分割する。組織を、ホルマリン溶液に接触させ、室温で少なくとも48時間の間、固定する。組織は通常、一連のエタノール浴を使用して脱水し、次いで蝋塊中へと包埋される。蝋は一般に、約20~約40個の炭素の鎖長を有する直鎖アルカンの混合物を備えている。いくつかの実施形態では、エポキシ樹脂に組織を包埋するために、グルタルアルデヒドを固定剤として使用する。包埋した試料を、続く分析(例えば顕微鏡スライド分析)用に薄く切り、または分割してもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、包埋した試料をさらに切除または分割して、組織切片または薄片を形成してもよい。包埋した試料を、適切な方法を使用して(例えば、ミクロトームの刃を使用して)、切除または分割してもよい。いくつかの実施形態では、キシレンなどの洗浄剤を使用して、切片から包埋剤を除去することができる。いくつかの実施形態では、ヘマトキシリンおよび/またはエオシン、酸/塩基性フクシン(Acid/Basic Fuchsin)、またはグラム染料などの少なくとも1つの染料を使用して、組織切片を染色する。いくつかの実施形態では、組織切片を、分析用のスライドに載置してもよい。染色した組織切片を、いずれかの適切な方法(例えば、顕微鏡を使用した病理分析)を使用して、さらなる分析にかけてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、本方法を実行して、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH; fluorescence in situ hybridization)試験方法での使用のために、包埋した組織を突き止める。いくつかの実施形態では、本方法を実行して、色原体in situハイブリダイゼーション(CISH; chromogenic in situ hybridization)試験方法での使用のために、包埋した組織を突き止める。
【0057】
別の実施形態では、本開示は、組織および包埋剤を備える包埋した試料を少なくとも1つの光源で照射して第1の蛍光発光および第2の蛍光発光を生成すること、第1の蛍光発光および第2の蛍光発光を検知すること、および、第1の蛍光発光および第2の蛍光発光に基づいて、包埋した試料中の組織の少なくとも一部分の位置を判定することにより、包埋した試料中の組織の位置を判定する方法を提供する。
【0058】
いくつかの実施形態では、包埋した試料は、約250nm~約325nmの波長を有する光で照射される。いくつかの実施形態では、包埋した試料は、約300nm~約400nmの波長を有する光で照射される。いくつかの実施形態では、包埋した試料は、両方の波長で並行して照射される。いくつかの実施形態では、包埋した試料中の組織の位置を判定するために、明視野顕微鏡検査が、本方法と組み合わせて使用される。
【0059】
いくつかの実施形態では、包埋した試料(例えばパラフィン)中の包埋剤の蛍光により、第1の蛍光発光が生成される。いくつかの実施形態では、包埋した試料中に存在する組織成分の自家蛍光により、第2の蛍光発光が生成される。いくつかの実施形態では、第1の蛍光発光は、約375nm~約425nmの波長で最大蛍光を有しており、第2の蛍光発光は、約500nm~約600nmの波長で最大蛍光を有している。
【0060】
いくつかの実施形態では、2つまたはそれ以上の光源(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つ)を使用して、包埋した試料を照射する。いくつかの実施形態では、2つまたはそれ以上の光源は同じである。いくつかの実施形態では、2つまたはそれ以上の光源は異なっている。いくつかの実施形態では、2つまたはそれ以上の光源により、試料を同時または別個に照射する。
【0061】
いくつかの実施形態では、本方法は、ダイクロイックフィルタなしで行われる。
【0062】
いくつかの実施形態では、本方法は、包埋した試料を、包埋した試料の面の平面から約10度~約20度の斜角などで、横切って正面照射するステップを含んでいる。いくつかの実施形態では、高開口数を有するレンズにより、蛍光発光が集合される。いくつかの実施形態では、2つまたはそれ以上の横切る方向(例えば、左もしく右または上または下)から照らすことで、均一な励起および発光パターンが生成される。
【0063】
いくつかの実施形態では、高開口数対物レンズを、励起と放出された光の集合とのために使用し、励起および発光フィルタを有するダイクロイックビームスプリッタを備えるフィルタキューブも同様である。いくつかの実施形態では、追加のレンズが、ダイクロイックフィルタの後で、放出された光を撮像センサに集束するために使用される。
【0064】
いくつかの実施形態では、包埋剤は弱蛍光性である。ゆえに、いくつかの実施形態では、蛍光染料を包埋剤に追加することができる。蛍光染料は、組織試料中の内因性のフルオロフォアの発光波長と異なる波長の光を放出し、そのため、蛍光染料からの蛍光発光を、包埋した試料中の組織の位置を判定するために使用できる。包埋した試料の形成に先立って、蛍光染料を包埋剤に組み込んでもよい。
【0065】
別の実施形態では、本開示により、包埋した試料から組織切片を薄く切るための機器が提供される。この機器は、直線運動に適合された試料ホルダ、ナイフホルダ、および、試料ホルダの反対にあるナイフホルダにより保持されるナイフを備え、その結果、試料ホルダが直線的に動く際、試料ホルダにより保持された試料がナイフによって薄く切られ、組織切片を形成するミクロトームと、試料ホルダに向けられた少なくとも1つの光源と、試料ホルダにより保持された試料から放出された光を捕捉するよう配置された光学システムとを備えている。
【0066】
いくつかの実施形態では、機器は少なくとも2つの光源を備えている。いくつかの実施形態では、機器は少なくとも3つの光源を備えている。いくつかの実施形態では、機器は少なくとも4つの光源を備えている。
【0067】
いくつかの実施形態では、機器は、励起および発光フィルタを有するダイクロイックビームスプリッタを備えるフィルタキューブを備えている。いくつかの実施形態では、機器はダイクロイックフィルタを備えている。いくつかの実施形態では、機器は、ダイクロイックフィルタの後で、放出された光を撮像センサに集束する追加のレンズを備えている。いくつかの実施形態では、機器は、フィルタキューブアセンブリ内に、少なくとも1つの励起源の切り替えが少なくとも1つのフィルタを切り替える、発光フィルタを備えている。
【0068】
いくつかの実施形態では、機器は、1つまたはそれ以上の励起フィルタを含んでいる。いくつかの実施形態では、機器は開口を含んでいる。いくつかの実施形態では、機器は、高開口数を有するレンズを備えている。いくつかの実施形態では、機器は、1つまたはそれ以上の発光フィルタを備えている。いくつかの実施形態では、機器は撮像レンズを備えている。いくつかの実施形態では、光学システムはカメラを備えている。いくつかの実施形態では、光学システムはデジタルカメラを備えている。いくつかの実施形態では、光学システムは、少なくとも1つの蛍光発光を検知することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、機器は、ミクロトームの刃、少なくとも1つの光源、少なくとも1つの励起フィルタ、少なくとも1つの開口、少なくとも1つの発光フィルタ、レンズアセンブリ、および、少なくとも1つのカメラを備えている。
【0070】
いくつかの実施形態では、機器は、ミクロトームの刃、少なくとも2つの光源、少なくとも2つの励起フィルタ、少なくとも1つの開口、少なくとも2つの発光フィルタ、レンズアセンブリ、少なくとも1つのカメラ、および、励起フィルタの間を切り換えるための少なくとも1つの機構を備えている。
【0071】
いくつかの実施形態では、機器は、ミクロトームの刃、少なくとも2つの光源、少なくとも2つの励起フィルタ、少なくとも1つの開口、デュアルバンドの帯域発光フィルタ、レンズアセンブリ、および、少なくとも1つの多色カメラを備えている。いくつかの実施形態では、多色カメラは、各ピクセルの前に、マイクロフィルタを有している。
【0072】
いくつかの実施形態では、機器は、ミクロトームの刃、少なくとも1つの光源、少なくとも1つの励起フィルタ、少なくとも1つの開口、対物レンズアセンブリ、チューブレンズまたはリレーレンズ、ダイクロイックビームスプリッタ、フィルタキューブアセンブリ内にある少なくとも1つの発光フィルタ、少なくとも1つのカメラを備えている。いくつかの実施形態では、励起源の間の切り替えに、フィルタの切り替えが伴っている。
【0073】
図7A~
図7Dは、蛍光に基づく撮像システムの非限定的な例を示している。各システムは、ミクロトームの刃、1つまたはそれ以上の光源、1つまたはそれ以上の励起フィルタ、二次元の開口、1つまたはそれ以上の発光フィルタ、撮像レンズおよび撮像カメラを含んでいる。
【0074】
図7Aは、包埋した試料703を撮像するのに使用でき、本開示の実施形態に係ってミクロトームの刃705、LED光源707、励起フィルタ709、開口711、発光フィルタを切り替えるための機構を有する発光フィルタ713、レンズアセンブリ715およびカメラ717を備える、単色の蛍光撮像システム701を示している。
【0075】
図7Bは、包埋した試料721を撮像するのに使用でき、かつ、本開示の実施形態に係りミクロトームの刃723、LED光源725、励起フィルタ727、開口729、モータ付きのホイールアセンブリ731を有する発光フィルタ、レンズアセンブリ733およびカメラ735を備える、二色の蛍光撮像システム719を示している。
【0076】
図7Cは、包埋した試料739を撮像するのに使用でき、かつ、本開示の実施形態に係りミクロトームの刃741、LED光源743、励起フィルタ745、開口747、二色の帯域発光フィルタ749、レンズアセンブリ751、多色の撮影センサ755を有するカラーカメラ735を備える、二色の蛍光撮像システム737を示している。
【0077】
図7Dは、包埋した試料759を撮像するのに使用でき、かつ、本開示の実施形態に係りミクロトームの刃761、LED光源763、開口765、励起フィルタ767、対物レンズアセンブリ769、ダイクロイックビームスプリッタ771、発光フィルタ773、チューブレンズまたはリレーレンズ775、および、励起源の切り替えにフィルタの切り替えが伴うカメラ777を備える、蛍光撮像システム757を示している。
【0078】
いくつかの実施形態では、光学システムは、光学システムと通信しており、かつ、試料からの蛍光発光に基づいて信号を供給するよう構成されたプロセッサを備えている。
【0079】
本開示の教示が、説明した特定の実施形態に限定されず、かつ、そうしたものとして当然ながら変更してもよいことを理解されたい。本明細書で使用された技術が、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、限定することを意図していないことも、理解されたい。これは、本教示の範囲が、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるためである。
【0080】
本明細書で開示したように、多数の範囲の値が設けられている。各介在値は、下限の単位の10分の1まで、そうでないことが文脈により明瞭に述べられていない限り、その範囲の上限および下限の間で、特に開示されてもいる。表示範囲における表示値または介在値と、表示範囲における他のいずれかの表示または介在値との間の、それぞれの、より小さな範囲は、本発明内に包含される。これらの、より小さな範囲の上限および下限は、独立して、範囲に含まれても、または含まれなくてもよく、より小さな範囲にいずれかが含まれ、いずれもが含まれず、または、両方が含まれる、それぞれの範囲も、本発明内に包含されて、表示範囲内において特に排除される限界に従う。表示範囲が1つまたは両方の限界を含んでいる場合、これら含まれた限界のいずれかまたは両方を含まない範囲も、本発明に含まれる。
【0081】
そうでないことが述べられていない限り、本明細書で使用される技術的および科学的な用語はすべて、この開示が属する分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似または均等のいずれかの方法および材料も、本教示の実行および試験において使用することができるが、いくつかの例示的な方法および材料をここに記載しておく。
【0082】
本明細書で言及したすべての特許および文献は、参照により明示的に組み込まれる。文献の引用は、提出日よりも前の開示についてであり、本特許請求の範囲が、こうした文献に先行する資格がないことを認めるものと解釈すべきではない。さらに、示された文献の日付は、実際の発行日と異なっている場合があり、個別に確認することができる。
【0083】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「1つの」および「前記」という用語は、そうでないことが文脈により明瞭に述べられていない限り、単数および複数の言及の両方を含んでいる。
【0084】
この開示を読む際、当業者にとって明らかであろうが、本明細書に記載および例示した個々の実施形態はそれぞれ、別々の構成要素および特徴を有しており、これらは、本教示の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態の特徴から容易に分離することができ、または、他のいくつかの実施形態の特徴と容易に組み合わせることができる。記載した方法は、記載した事象順に実行されてもよく、または、論理的に可能な他の順で実行されてもよい。
【実施例】
【0085】
〈実施例1〉
この実施例は、本開示の実施形態に係る、人体組織における内因性のフルオロフォアの蛍光を測定する方法を示す。
【0086】
FFPE人体組織塊を得た。FFPE塊を分析し、FFPE塊中の組織をパラフィンから分別するのに自家蛍光を使用できるかを判定した。未切断のFFPE塊を、エラスチンおよびコラーゲンの励起波長に対応する光にさらした。結果として生じる蛍光発光を、デジタル撮像を使用して検知した。サーモフィッシャーのミクロトームの刃を使用してFFPE塊を切断し、その際、FFPE塊の連続した切断を、厚みが5~40ミクロンの範囲の間隔で行った。各切断ののち、FFPE塊の塊面を、エラスチンおよびコラーゲンの励起波長に対応する光にさらし、蛍光発光を、デジタル撮像を使用して検知した。撮像は、4倍で収集した。各画像についての画素強度を、記録およびプロットした。
【0087】
実験のために、X-Cite 120 Qを光源として使用した。エラスチンの蛍光を、470/525nmの励起/発光スペクトル(40nmの帯域)を有するフルオレセインまたは緑色蛍光タンパク質について、Zeiss Filter Set 38を使用して検知した。コラーゲンの蛍光を、365/445nmの励起/発光スペクトル(50nmの帯域)を有するDAPIについて、Zeiss Filter Set 49を使用して検知した。GFPおよびDAPI用の露光時間はそれぞれ65ミリ秒および175ミリ秒であった。Zeiss Axio Imager M2を使用して、FFPE試料中の自家蛍光の存在を視覚化した。自家蛍光の画像を、AxioCAM MRMを使用して取得した。
【0088】
実験で得た画像を
図5に示す。
図6に示すように、各画像の切断数対画素強度のプロットがプロットされている。
【0089】
図5は、FFPE塊中の試料の蛍光撮像を、FFPE塊中で試料を検知し突き止めるのに使用できることを示している。そのうえ、
図6に示すように、GFPおよびDAPIの両方を使用したときに、未切断のFFPE塊についての200画素から、面取りした塊についての1000画素強へと増加した。この結果に基づき、画素強度で観察された増加を利用して、組織が露出されて、生物学的試験用に切断および使用される準備ができたときを判定できると考えられる。
【0090】
〈実施例2〉
この実施例は、本開示の実施形態に係る、パラフィンの蛍光発光を使用して組織を対照する方法を示す。
【0091】
FFPE人体組織塊を得た。FFPE塊を分析し、FFPE塊中の組織をパラフィンから分別するのにパラフィンの自家蛍光を使用できるかを判定した。特に、組織中の内因性のフルオロフォアの存在下で、パラフィン蛍光について画像を得られるかを判定するために、本実験を行った。FFPE試料中の組織の蛍光強度を、560nm(55nm帯域)を中心とする発光フィルタを有する365nmのLED励起源を使用して測定した。FFPE試料中の組織を取り巻くパラフィンの蛍光強度を、280nmのLED励起源および405nm(20nm広帯域)を中心とする発光フィルタで測定した。
【0092】
このデータを収集するために、両方の励起源が、面の平面から10~20度の間の斜角で、横切って塊を前面照射した。ダイクロイックフィルタは必要なかった。放出された光を、塊の面に対して法線方向に向いた、高開口数を有するレンズで収集した。2つまたはそれ以上の横切る方向(例えば、左右または上下)から照らすことで、より均一な励起および発光パターンを生成した。
【0093】
図8Aは、560nm(55nm広帯域)を中心とする発光フィルタを有する365nmの励起源を使用した、パラフィンの存在下にある組織の蛍光の画像を示している。
【0094】
図8Bは、280nmの励起源および405nm(20nm広帯域)を中心とする発光フィルタを使用した、パラフィン蛍光を示している。
図8Bに示すように、パラフィンは、包埋した試料中の組織の明らかな蛍光なしに、蛍光を被る(undergo)ことができる。この結果は、組織とパラフィンとの間の対照が、パラフィンの領域における蛍光を検査することにより、さらに高められる場合のあることを示している。
【0095】
この明細書の開示に鑑みて、本方法および機器を、本教示に沿って実施できることが分かることに注意されたい。さらに、さまざまな構成要素、材料、構造およびパラメータが、単なる説明および例として含まれるが、限定のためではない。この開示に鑑みて、本教示を、他の用途、構成要素、材料および構造において、実施することができ、これらの用途を実施する機材を、添付の特許請求の範囲内において決定することができる。
【0096】
〈予備的な請求項の記述〉
本明細書に開示された主題に関して提示された実施形態は、特許請求の範囲および以下の予備的な記述を含むが、これに限定されるものではない。
【0097】
A1. 包埋した試料中の組織の位置を判定する方法であって、
包埋した試料を光で照射するステップであって、包埋した試料は組織および包埋剤を備える、ステップと、
包埋した試料の蛍光発光を検知するステップと、
蛍光発光に基づいて、包埋した試料中の組織の少なくとも一部分の位置を判定するステップとを含む、方法。
【0098】
B1. 包埋した試料中の組織の位置を判定する方法であって、
組織および包埋剤を備える包埋した試料を、少なくとも1つの光源で照射して、第1の蛍光発光および第2の蛍光発光を生成するステップと、
第1の蛍光発光および第2の蛍光発光を検知するステップと、
第1の蛍光発光および第2の蛍光発光に基づいて、包埋した試料中の組織の少なくとも一部分の位置を判定するステップとを含む、方法。
【0099】
B2. 第1の蛍光発光は、包埋剤の蛍光発光である、項B1に記載の方法。
【0100】
B3. 第2の蛍光発光は、組織の構成要素の蛍光発光である、項B1またはB2に記載の方法。
【0101】
B4. 第1の蛍光発光および/または第2の蛍光発光は、300nm~600nm、好ましくは300nm~550nm、より好ましくは300nm~500nm、さらにより好ましくは300nm~450nmの波長で最大を有している、項B1~B3のいずれか1項に記載の方法。
【0102】
B5. 第1の蛍光発光は、375nm~425nmの波長で最大蛍光を有し、第2の蛍光発光は、500nm~600nmの波長で最大蛍光を有している、項B1~B4のいずれか1項に記載の方法。
【0103】
AB1. 包埋剤はパラフィンである、上記いずれか1項に記載の方法。
【0104】
AB1.a 包埋した試料は、ホルマリンで固定しパラフィン包埋した(FFPE)組織塊である、項AB1に記載の方法。
【0105】
AB1.b パラフィンは、粒状にしたパラフィン蝋、十分に精製したパラフィン蝋、半精製したパラフィン蝋、または、それらの組み合わせである、項AB1またはAB1.aに記載の方法。
【0106】
AB1.c パラフィンは、十分に精製したパラフィン蝋と合成樹脂またはポリマーとの混合体である、項AB1またはAB1.aに記載の方法。
【0107】
AB1.d パラフィンは、スペクトルパラフィン、ミリポアパラフィン、フィッシャーファイネストヒストパスパラフィン蝋、EMSパラマット、パラプラスト&ポリフィン、サクラファインテックティシュー・テックVIP、ライカサージパスパラプラスト、または、それらの組み合わせである、項AB1またはAB1.aに記載の方法。
【0108】
AB1.e パラフィンは、ジメチルスルホキシド(DMSO)を備える、項AB1~AB1.dのいずれか1項に記載の方法。
【0109】
AB2. 包埋剤はエポキシ樹脂である、項AB~B5のいずれか1項に記載の方法。
【0110】
AB2.a エポキシ樹脂は、グリシジルエポキシ樹脂である、項AB2に記載の方法。
【0111】
AB2.a.i グリシジルエポキシ樹脂は、グリシジルアミン、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、および、それらの組み合わせである、項AB2.aに記載の方法。
【0112】
AB2.a.ii エポキシ樹脂は、アラルダイト、Quetol、エポン812、Embed 812、ポリベッド812、または、それらの組み合わせである、項AB2.aに記載の方法。
【0113】
AB2.a.iii グリシジルエポキシ樹脂は、エチレングリコールジグリシジルエーテルである、項AB2.aに記載の方法。
【0114】
AB2.b エポキシ樹脂は、非グリシジルエポキシである、項AB2に記載の方法。
【0115】
AB2.b.i 非グリシジル樹脂は、脂肪族および脂環式樹脂から選ばれた、項AB2.bに記載の方法。
【0116】
AB3. 蛍光発光は、撮像装置を使用して検知される、上記いずれか1項に記載の方法。
【0117】
AB3.a 蛍光発光は、カメラを備える撮像装置を使用して検知される、項AB3に記載の方法。
【0118】
AB3.b カメラはデジタルカメラである、項AB3.aに記載の方法。
【0119】
AB3.c 蛍光発光のデジタル画像を、包埋した試料中の組織の位置を判定するために使用する、項AB3~AB3.bに記載の方法。
【0120】
AB4. 本方法を、組織表面の位置を判定するために使用する、上記いずれか1項に記載の方法。
【0121】
AB5. 組織表面の位置を判定したのちに、包埋した試料から切片を薄く切るステップをさらに含む、上記いずれか1項に記載の方法。
【0122】
AB5.a 組織表面の判定した位置に基づいて、包埋した試料から切片を薄く切り、かつ、切片を許容または拒否するステップをさらに含む、項AB5に記載の方法。
【0123】
AB6. 包埋剤は、照射されたときに、実質的な蛍光を発現しない、上記いずれか1項に記載の方法。
【0124】
AB7. 包埋した試料は、200nm~600nm、好ましくは250nm~550nm、より好ましくは300nm~550nm、さらにより好ましくは300nm~500nmの波長を有する光で照射される、上記いずれか1項に記載の方法。
【0125】
AB8. 包埋した試料は、300nm~600nmの波長で最大蛍光発光を有している、上記いずれか1項に記載の方法。
【0126】
AB9. 蛍光発光は、組織の構成要素の自家蛍光により生成される、上記いずれか1項に記載の方法。
【0127】
AB9.a 構成要素は、コラーゲン、エラスチン、トリプトファン、ポルフィリン、フラビン、NADH、ピリドキシン、リポ色素、または、それらの組み合わせである、項AB9に記載の方法。
【0128】
AB9.b 構成要素は、300nm~550nmの波長で最大蛍光発光を有している、項AB9に記載の方法。
【0129】
AB10. 照射は複数回行われ、包埋した試料は、各照射の前に切断される、上記いずれか1項に記載の方法。
【0130】
AB11. 組織は人体組織である、上記いずれか1項に記載の方法。
【0131】
AB12. 組織は動物組織である、上記いずれか1項に記載の方法。
【0132】
AB12.a 組織は、マウス、ラット、イヌまたは霊長類組織である、項AB12に記載の方法。
【0133】
AB13. 組織は、器官または解剖学的部位から来る、上記いずれか1項に記載の方法。
【0134】
AB13.a 組織は、胸部、前立腺、肺、結腸、直腸、膀胱、子宮体部、甲状腺、腎臓、口腔(例えば扁桃腺)、膵臓、肝臓、頸部、胃、小腸、脳、脊髄、心臓、骨、関節、食道、胆嚢、脂肪、皮膚、脾臓、胎盤、陰茎、尿道、卵管、卵巣、陰門、副腎、虫垂または眼から分離される、上記いずれか1項に記載の方法。
【0135】
AB14. 組織は、人体または動物起源のペレット状にした細胞である、上記いずれか1項に記載の方法。
【0136】
AB15. 組織は、罹患した、または健全な組織である、上記いずれか1項に記載の方法。
【0137】
AB16. 組織を、癌、感染症、代謝性疾患、変性疾患、炎症性疾患、または、それらの組み合わせを識別するのに使用する、上記いずれか1項に記載の方法。
【0138】
AB17. 本方法を実行して、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)試験方法での使用のために、包埋した組織の位置を突き止める、上記いずれか1項に記載の方法。
【0139】
AB18. 本方法を実行して、色原体in situハイブリダイゼーション(CISH)試験方法での使用のために、包埋した組織を突き止める、上記いずれか1項に記載の方法。
【0140】
AB19. 1つまたはそれ以上の内因性の種の自家蛍光は、包埋した試料中の組織の位置を判定するために、定量的に測定される、上記いずれか1項に記載の方法。
【0141】
AB20. デジタル画像の画素強度を、包埋した試料中の組織の位置を判定するために使用する、上記いずれか1項に記載の方法。
【0142】
AB21. 本方法は、包埋した試料が薄く切られ、または切除されるステップを含む、上記いずれか1項に記載の方法。
【0143】
AB21.a. 本方法は、組織切片を、少なくとも1つの染料で染色するステップを含み、組織切片は、包埋した組織を薄く切る、または切除することにより得られる、上記いずれか1項に記載の方法。
【0144】
AB22. 包埋剤は蛍光染料を備える、上記いずれか1項に記載の方法。
【0145】
AB23. 包埋した試料を、2つまたはそれ以上の光源により照射する、上記いずれか1項に記載の方法。
【0146】
AB24. 包埋した試料を、発光ダイオード、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、レーザ、および、それらの組み合わせから選ばれる光源を使用して照射する、上記いずれか1項に記載の方法。
【0147】
AB25. 本方法は、包埋した試料を横切って前面照射するステップを含む、上記いずれか1項に記載の方法。
【0148】
AB25.a 包埋した試料を、包埋した試料の面の平面から約10度~約20度の斜角で前面照射する、項AB25に記載の方法。
【0149】
C1. 包埋した試料から組織切片を薄く切るための機器であって、
直線運動に適合された試料ホルダ、ナイフホルダ、および、試料ホルダの反対にあるナイフホルダにより保持されるナイフを備え、その結果、試料ホルダが直線的に動く際、試料ホルダにより保持された試料がナイフによって薄く切られ、組織切片を形成するミクロトームと、
試料ホルダに向けられた少なくとも1つの光源と、
試料ホルダにより保持された試料から放出された光を捕捉するよう配置された光学システムとを備える、機器。
【0150】
C2. 光学システムはカメラを備えている、項C1に記載の機器。
【0151】
C2.a カメラはデジタルカメラである、項C2に記載の機器。
【0152】
C2.b カメラは、各ピクセルの前にマイクロフィルタを有する多色カメラである、項C2またはC2.aに記載の機器。
【0153】
C3. 光学システムと通信しており、かつ、試料からの蛍光発光に基づいて信号を供給するよう構成されたプロセッサをさらに備える、項C1に記載の機器。
【0154】
C4. 少なくとも1つの光源は、LED光源、水銀アークランプ、キセノンアークランプまたはレーザである、項C1~C3に記載の機器。
【0155】
C5. 光学システムは、少なくとも2つの光源、少なくとも3つの光源、または、少なくとも4つの光源を備える、項C1~C4に記載の機器。
【0156】
C6. 機器は、励起および発光フィルタを有するダイクロイックビームスプリッタを備えるフィルタキューブを備えている、項C1~C5に記載の機器。
【0157】
C6.a 機器は、ダイクロイックフィルタの後で、放出された光を撮像センサに集束する追加のレンズを備えている、項C6に記載の機器。
【0158】
C7. 機器は、フィルタキューブアセンブリ内に、少なくとも1つの励起源の切り替えが少なくとも1つのフィルタを切り替える、発光フィルタを備えている、項C1~C6.aに記載の機器。
【0159】
C8. 機器は、1つまたはそれ以上の励起フィルタを含んでいる、項C1~C7に記載の機器。
【0160】
C9. 機器は、開口を備えている、項C1~C8に記載の機器。
【0161】
C9.a 開口は、高開口数の開口である、項C9に記載の機器。
【0162】
C10. 機器は、1つまたはそれ以上の発光フィルタを備えている、項C1~C9.aに記載の機器。
【0163】
C11. 機器は撮像レンズを備えている、項C1~C10に記載の機器。
【0164】
C12. 機器は、ミクロトームの刃、少なくとも1つの光源、少なくとも1つの励起フィルタ、少なくとも1つの開口、少なくとも1つの発光フィルタ、レンズアセンブリ、および、少なくとも1つのカメラを備えている、項C1~C4に記載の機器。
【0165】
C13. 機器は、ミクロトームの刃、少なくとも2つの光源、少なくとも2つの励起フィルタ、少なくとも1つの開口、少なくとも2つの発光フィルタ、レンズアセンブリ、少なくとも1つのカメラ、および、励起フィルタの間を切り換えるための少なくとも1つの機構を備えている、項C1~C4に記載の機器。
【0166】
C14. 機器は、ミクロトームの刃、少なくとも2つの光源、少なくとも2つの励起フィルタ、少なくとも1つの開口、デュアルバンドの帯域発光フィルタ、レンズアセンブリ、および、少なくとも1つの多色カメラを備えている、項C1~C4に記載の機器。
【0167】
C14.a 多色カメラは、各ピクセルの前に、マイクロフィルタを有している、項C14に記載の機器。
【0168】
C15. 機器は、ミクロトームの刃、少なくとも1つの光源、少なくとも1つの励起フィルタ、少なくとも1つの開口、対物レンズアセンブリ、チューブレンズまたはリレーレンズ、ダイクロイックビームスプリッタ、フィルタキューブアセンブリ内にある少なくとも1つの発光フィルタ、および、少なくとも1つのカメラを備えている、項C1~C4に記載の機器。