(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 59/32 20060101AFI20230221BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20230221BHJP
C08K 3/38 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
C08G59/32
C08L63/00 Z
C08K3/38
(21)【出願番号】P 2018176366
(22)【出願日】2018-09-20
【審査請求日】2021-08-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000190611
【氏名又は名称】日東シンコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田渕 聡寛
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 達也
【審査官】吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-114863(JP,A)
【文献】特開平04-337316(JP,A)
【文献】特開2010-132825(JP,A)
【文献】特開2010-094887(JP,A)
【文献】特開2001-151858(JP,A)
【文献】特開平02-258830(JP,A)
【文献】特開平06-179740(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0081188(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00 - 59/72
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂の硬化剤と、無機フィラーとを含有する樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂として、下記式(1)のエポキシ樹脂を含有し、前記硬化剤として、下記式(2)の樹脂を含有し、前記無機フィラーとして、窒化ホウ素フィラーを含有し
ており、
金属ベース回路基板を構成するために、前記金属ベース回路基板の回路層にシート状で硬化されて接着される
樹脂組成物。
【化1】
(ここで、n1は、正の整数である。)
【化2】
(ここで、n2は、正の整数である。)
【請求項2】
硬化後において硬化物の固形分を100体積%としたときに硬化物における前記窒化ホウ素フィラーの含有割合が50体積%以上含有するように、前記窒化ホウ素フィラーを含有す
る
請求項1に記載の樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレクトロニクス分野において、エポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂の硬化剤とを含有する樹脂組成物が用いられている。
【0003】
下記特許文献1には、前記樹脂組成物が、シート状に形成され硬化されることにより、絶縁シートとして用いられていることが開示されている。
また、下記特許文献1には、該樹脂組成物に無機フィラーを含ませることにより、前記絶縁シートの熱伝導性を高めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、無機フィラーを含ませること以外に、樹脂組成物の硬化物の熱伝導性を高める方法についてはこれまで十分には検討がなされていない。
【0006】
そこで、本発明は、硬化物が熱伝導性に優れる樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意研究したところ、特定の無機フィラーを含有する樹脂組成物は、特定のエポキシ樹脂、及び、特定の硬化剤を含有することで、樹脂組成物の硬化物が熱伝導性に優れたものとなることを見出し、本発明を想到するに至った。
【0008】
即ち、本発明に係る樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂の硬化剤と、無機フィラーとを含有する樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂として、下記式(1)のエポキシ樹脂を含有し、前記硬化剤として、下記式(2)の樹脂を含有し、前記無機フィラーとして、窒化ホウ素フィラーを含有する。
【0009】
【0010】
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、硬化物が熱伝導性に優れる樹脂組成物を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
【0014】
本実施形態に係る樹脂組成物は、最終的に硬化物を構成する成分を備えている。
すなわち、本実施形態に係る樹脂組成物は、重合により硬化物の樹脂成分となる重合性成分を含有する。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、熱伝導性に優れるという観点から、無機フィラーを含有する。
さらに、本実施形態に係る樹脂組成物は、プラスチック配合薬品として一般に用いられる添加剤を本発明の効果を損なわない範囲において含有してもよい。
【0015】
本実施形態に係る樹脂組成物では、硬化物となる成分に占める前記重合性成分の含有割合は、好ましくは10~45質量%、より好ましくは20~35質量%である。
【0016】
本実施形態に係る樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、固形分を100体積%としたときに、無機フィラーを、好ましくは50体積%以上、より好ましくは53~70体積%、さらに好ましくは55~65体積%含有する。
また、前記硬化物における前記無機フィラーの含有割合が上記のような範囲内となり易くなるという観点から、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記重合性成分100質量部に対して、前記無機フィラーを、好ましくは150~400質量部、より好ましくは200~300質量部含有する。
【0017】
さらに、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記重合性成分100質量部に対して、前記添加剤を、好ましくは0.05~4.0質量部、より好ましくは0.5~2.0質量部含有する。
【0018】
本実施形態に係る樹脂組成物は、前記重合性成分として、エポキシ樹脂と、該エポキシ樹脂の硬化剤とを含有する。
【0019】
前記重合性成分は、前記エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂の硬化剤を、合計で、好ましくは10~100質量%、より好ましくは20~50質量%含有する。
【0020】
エポキシ樹脂の当量に対する、エポキシ樹脂の硬化剤の当量の比は、好ましくは1/2~2/1、より好ましくは2/3~3/2である。
【0021】
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂として、下記式(1)のエポキシ樹脂を含有し、前記硬化剤として、下記式(2)の樹脂を含有することが重要である。
【0022】
【0023】
【0024】
前記エポキシ樹脂は、上記式(1)のエポキシ樹脂を、好ましくは50~100質量%、より好ましくは70~100質量%、更により好ましくは80~100質量%含有する。
但し、発明の効果を確実に発揮させる上において、前記エポキシ樹脂における上記式(1)のエポキシ樹脂の割合が高い方が好ましい。
【0025】
上記式(1)のエポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは280~400、より好ましくは320~360である。
なお、本実施形態において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めることができる。
【0026】
前記エポキシ樹脂の硬化剤は、上記式(2)の樹脂を、好ましくは50~100質量%、より好ましくは70~100質量%、更により好ましくは80~100質量%含有する。
但し、発明の効果を確実に発揮させる上において、前記エポキシ樹脂の硬化物における上記式(2)の樹脂の割合が高い方が好ましい。
【0027】
上記式(2)の樹脂の重量平均分子量は、好ましくは160~280、より好ましくは200~240である。
【0028】
上記式(1)のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0029】
前記エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物などが挙げられる。
前記アミン系硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、ビスフェノール系フェノール樹脂などが挙げられる。
前記酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0030】
本実施形態に係る樹脂組成物は、前記無機フィラーとして、窒化ホウ素フィラーを含有することが重要である。
なお、本実施形態に係る樹脂組成物は、硬化物の熱伝導性を高めやすくするという観点から、窒化ホウ素フィラー以外の無機フィラーを含まないか、或いは、窒化ホウ素フィラー以外の無機フィラーが少ないことが好ましい。
すなわち、前記無機フィラーは、窒化ホウ素フィラーを、好ましくは70~100体積%、より好ましくは80~100体積%、更により好ましくは90~100体積%、特に好ましくは95~100体積%含有する。
窒化ホウ素フィラー以外の無機フィラーとしては、窒化アルミニウムフィラー、窒化ケイ素フィラー、窒化ガリウムフィラー、アルミナフィラー、炭化ケイ素フィラー、二酸化ケイ素フィラー、酸化マグネシウムフィラー、ダイヤモンドフィラーなどが挙げられる。
【0031】
本実施形態に係る樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、固形分を100体積%としたときに、窒化ホウ素フィラーを、好ましくは50体積%以上、より好ましくは53~70体積%、さらに好ましくは55~65体積%含有する。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記式(1)のエポキシ樹脂及び前記式(2)の樹脂の合計100質量部に対して、前記窒化ホウ素フィラーを、好ましくは120~450質量部、より好ましくは150~400質量部、更により好ましくは200~300質量部含有する。
【0032】
また、無機フィラーと樹脂とを馴染みやすくするという観点から、本実施形態に係る樹脂組成物は、シランカップリング剤を含むことが好ましい。
【0033】
前記添加剤としては、例えば、前記エポキシ樹脂と前記エポキシ樹脂の硬化剤との硬化反応を促進する硬化促進剤が挙げられ、また、分散剤、粘着性付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、加工助剤、安定剤、消泡剤、難燃剤、増粘剤、顔料なども挙げられる。
【0034】
前記硬化促進剤としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム テトラフェニルボレート(Tetraphenylphosphonium tetraphenylborate)、イミダゾール類、トリフェニルフォスフェイト(TPP)、アミン系硬化促進剤などが挙げられる。該アミン系硬化促進剤としては、例えば、三フッ化ホウ素モノエチルアミンなどが挙げられる。
【0035】
本実施形態に係る樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂と前記エポキシ樹脂の硬化剤との合計100質量部に対して、前記硬化促進剤を、好ましくは0.5~1.5質量部、より好ましくは0.5~5.0質量部含有する。
【0036】
重合性成分(エポキシ樹脂等)は、重合によって硬化することにより、硬化樹脂(硬化物の樹脂成分)となる。
【0037】
本実施形態に係る樹脂組成物は、シート状で硬化されて、金属ベース回路基板に用いられうる。該金属ベース回路基板は、例えば、シート状の樹脂組成物の硬化物に回路層が接着されて構成されうる。斯かる構成からなる金属ベース回路基板は、前記シート状の樹脂組成物の硬化物を有しているため、この金属ベース回路基板も熱伝導性に優れたものとなる。
【0038】
更に、本実施形態に係る樹脂組成物は、シート状で硬化されて、パワーモジュールに用いられうる。該パワーモジュールは、例えば、前記金属ベース回路基板の回路層の上に半導体チップや、パワーICなどの発熱素子が実装され、これらの素子が一旦シリコーンゲルにて封止され、さらにシリコーンゲル上に樹脂モールドが実施されて構成されうる。斯かる構成からなるパワーモジュールは、前記シート状の樹脂組成物の硬化物を有しているため、このパワーモジュールも熱伝導性に優れたものとなる。
【0039】
なお、本発明に係る樹脂組成物は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明に係る樹脂組成物は、上記した作用効果によって限定されるものでもない。本発明に係る樹脂組成物は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例】
【0040】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。
【0041】
(実施例1)
下記エポキシ樹脂、下記硬化剤、下記硬化促進剤、及び、下記無機フィラーを混合することにより、樹脂組成物を得た。
エポキシ樹脂 : 下記式(1)のエポキシ樹脂(重量平均分子量:340)
硬化剤 : 下記式(2)の樹脂(重量平均分子量:220)
硬化促進剤 : テトラフェニルホスホニウム テトラフェニルボレート(Tetraphenylphosphonium tetraphenylborate)(TPP-K(登録商標)、北興化学工業社製)
無機フィラー : 窒化ホウ素フィラー
エポキシ樹脂及び硬化剤は、当量比1:1で樹脂組成物に含ませた。
また、硬化促進剤は、エポキシ樹脂と硬化剤との合計100質量部に対して0.01質量部で樹脂組成物に含ませた。
さらに、樹脂組成物を硬化して得られる硬化物が固形分を100体積%としたときに無機フィラーを59体積%となるように、無機フィラーを樹脂組成物に含ませた。
なお、前記樹脂組成物は、硬化物となる成分に占める、エポキシ樹脂を16.5質量%、硬化剤を10.7質量%含有していた。すなわち、前記樹脂組成物は、硬化物となる成分に占める重合性成分(エポキシ樹脂及び硬化剤)を27.2質量%含有していた。
また、前記樹脂組成物は、前記重合性成分(エポキシ樹脂及び硬化剤)100質量部に対して、前記無機フィラー(窒化ホウ素フィラー)を266.2質量部含有していた。
【0042】
【0043】
【0044】
(比較例1)
エポキシ樹脂として下記式(3)のエポキシ樹脂を用い、硬化剤として下記式(4)の樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を得た。
なお、エポキシ樹脂及び硬化剤は、当量比1:1で樹脂組成物に含ませた。
また、硬化促進剤は、エポキシ樹脂と硬化剤との合計100質量部に対して0.01質量部で樹脂組成物に含ませた。
さらに、樹脂組成物の硬化後において該樹脂組成物の硬化物の固形分を100体積%としたときの無機フィラーの含有割合が59体積%となるように、無機フィラーを樹脂組成物に含ませた。
【0045】
【0046】
【0047】
(比較例2)
エポキシ樹脂として上記式(3)のエポキシ樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を得た。
なお、エポキシ樹脂及び硬化剤は、当量比1:1で樹脂組成物に含ませた。
また、硬化促進剤は、エポキシ樹脂と硬化剤との合計100質量部に対して0.01質量部で樹脂組成物に含ませた。
さらに、樹脂組成物の硬化後において該樹脂組成物の硬化物の固形分を100体積%としたときの無機フィラーの含有割合が59体積%となるように、無機フィラーを樹脂組成物に含ませた。
【0048】
(比較例3)
硬化剤として上記式(4)の樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を得た。
なお、エポキシ樹脂及び硬化剤は、当量比1:1で樹脂組成物に含ませた。
また、硬化促進剤は、エポキシ樹脂と硬化剤との合計100質量部に対して0.01質量部で樹脂組成物に含ませた。
さらに、樹脂組成物の硬化後において該樹脂組成物の硬化物の固形分を100体積%としたときの無機フィラーの含有割合が59体積%となるように、無機フィラーを樹脂組成物に含ませた。
【0049】
(実施例2)
無機フィラーとして、窒化ホウ素フィラーとアルミナとの混合物(窒化ホウ素フィラーとアルミナとの体積比(BN:アルミナ)が7:3である混合物)を用いたこと以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を得た。
なお、樹脂組成物を硬化して得られる硬化物が固形分を100体積%としたときに無機フィラーを59体積%となるように、無機フィラーを樹脂組成物に含ませた。
また、前記樹脂組成物は、前記重合性成分(エポキシ樹脂及び硬化剤)100質量部に対して、窒化ホウ素フィラーを148質量部、アルミナを193質量部含有していた。すなわち、前記樹脂組成物は、前記重合性成分(エポキシ樹脂及び硬化剤)100質量部に対して、無機フィラー(窒化ホウ素フィラー及びアルミナ)を341質量部含有していた。
【0050】
(比較例4)
エポキシ樹脂として上記式(3)のエポキシ樹脂を用い、硬化剤として上記式(4)の樹脂を用いたこと以外は、実施例2と同様に樹脂組成物を得た。
なお、エポキシ樹脂及び硬化剤は、当量比1:1で樹脂組成物に含ませた。
また、硬化促進剤は、エポキシ樹脂と硬化剤との合計100質量部に対して0.01質量部で樹脂組成物に含ませた。
さらに、樹脂組成物の硬化後において該樹脂組成物の硬化物の固形分を100体積%としたときの無機フィラーの含有割合が59体積%となるように、無機フィラーを樹脂組成物に含ませた。
【0051】
(比較例5)
エポキシ樹脂として上記式(3)のエポキシ樹脂を用いたこと以外は、実施例2と同様に樹脂組成物を得た。
なお、エポキシ樹脂及び硬化剤は、当量比1:1で樹脂組成物に含ませた。
また、硬化促進剤は、エポキシ樹脂と硬化剤との合計100質量部に対して0.01質量部で樹脂組成物に含ませた。
さらに、樹脂組成物の硬化後において該樹脂組成物の硬化物の固形分を100体積%としたときの無機フィラーの含有割合が59体積%となるように、無機フィラーを樹脂組成物に含ませた。
【0052】
(比較例6)
硬化剤として上記式(4)の樹脂を用いたこと以外は、実施例2と同様に樹脂組成物を得た。
なお、エポキシ樹脂及び硬化剤は、当量比1:1で樹脂組成物に含ませた。
また、硬化促進剤は、エポキシ樹脂と硬化剤との合計100質量部に対して0.01質量部で樹脂組成物に含ませた。
さらに、樹脂組成物の硬化後において該樹脂組成物の硬化物の固形分を100体積%としたときの無機フィラーの含有割合が59体積%となるように、無機フィラーを樹脂組成物に含ませた。
【0053】
<ピール試験>
実施例及び比較例の樹脂組成物を電解銅箔(厚み:35μm)の片面に塗布し、樹脂層(厚み:145μm)を有するシートを2枚作製した。
次に、2枚のシートを熱プレス(3.0MPa、120℃、20min)して樹脂層どうしを貼り合わせ、シートの背面から銅箔を1枚剥離した。
そして、この銅箔を剥離した面にアルミニウム板を配置させ、熱プレス(2.0MPa、120℃、20min)によりシートをアルミニウム板に転着させ、さらに該シートから銅箔を剥がすことにより、半硬化状態のシートを得た。
次に、この半硬化状態のシートに被着体(銅箔1oz)を積層し、熱プレス(2.0MPa、180℃、120min)により樹脂層と被着体を一体化させるとともに、樹脂層を十分に硬化させた後、20mm×100mmのサイズに切り出し、切り出したものの被着体を幅10mm幅に加工(エッチング)し剥離試験用テストピースを作製した。
該テストピースを50mm/minの剥離速度で90°ピール試験を実施し、被着体と樹脂層との密着度合いを接着力によって評価した。
結果を下記表1、2に示す。
【0054】
<熱伝導率>
熱伝導率はトランジスタ法により測定した。測定方法の詳細について
図1を参照しながら以下に説明する。
実施例及び比較例の樹脂組成物を電解銅箔(厚み:105μm)の片面に塗布し、樹脂層(厚み:100μm)を有するシートを2枚作製した。
次に、2枚のシートを熱プレス(3.0MPa、120℃、20min)して樹脂層どうしを貼り合わせ、シートの背面から銅箔を1枚剥離した。
そして、この銅箔を剥離した面にアルミニウム板を配置させ、熱プレス(2.0MPa、180℃、120min)によりシートをアルミニウム板に転着させ、樹脂層が十分に熱硬化した熱伝導シートを得た。
この熱伝導シートにおける銅箔を10×15mmのサイズでエッチングし、この部分に、トランジスタ(TO-220型 「C2233」)をハンダで固定し、アルミニウム板に「1W/m・Kの放熱グリース」を適量塗布して、ここにヒートシンクを貼り付けた。そしてトランジスタにかける電圧と電流とを調整してトランジスタの消費電力が10~40Wとなるようにして、トランジスタの放熱部の直下、及びアルミニウム板それぞれに取り付けた熱電対で温度を測定した。
トランジスタの放熱部の直下の温度(Tj)から、アルミニウム板の温度(Ts)を引き、それを電力で割り、その逆数から熱伝導率を算出した。
結果を下記表1、2に示す。
【0055】
【0056】
【0057】
表1に示すように、本発明の範囲内である実施例1の樹脂組成物では、無機フィラーが同じ配合であり、接着力が同程度であった比較例1~3の樹脂組成物に比べて、硬化物の熱伝導率が高かった。
また、表2に示すように、本発明の範囲内である実施例2の樹脂組成物では、無機フィラーが同じ配合であり、接着力が同程度であった比較例4~6の樹脂組成物に比べて、硬化物の熱伝導率が高かった。