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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 11/33 20160101AFI20230221BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
H02K11/33
H02K5/22
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018235953
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2020099123
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】江口 悠
(72)【発明者】
【氏名】富田 陽紀
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-187760(JP,A)
【文献】特開2009-261122(JP,A)
【文献】特開2012-125058(JP,A)
【文献】特開2017-221071(JP,A)
【文献】特開2007-173583(JP,A)
【文献】特開2012-239294(JP,A)
【文献】特開2012-135187(JP,A)
【文献】特開2001-275310(JP,A)
【文献】特開2018-019568(JP,A)
【文献】特開2012-074440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/33
H02K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のハウジングを有するモータ部と、
前記ハウジングの開口部を閉塞するヒートシンクと、
前記ヒートシンクに対して前記モータ部の軸方向一方側において前記ヒートシンクに固定され、フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の一部において前記フレキシブル基板の厚み方向両側に積層されたリジッド基板と、によって構成されると共に、前記モータ部に接続されたフレックスリジッド基板と、
を備え、
前記フレックスリジッド基板は、
前記フレキシブル基板及び前記リジッド基板によって構成された第1基板部及び第2基板部と、
前記フレキシブル基板によって構成され、前記第1基板部と前記第2基板部との間に配置され、屈曲可能に構成されたフレキシブル部と、
を含んで構成され
前記第1基板部は、前記モータ部の軸方向を板厚方向として配置されると共に、前記ヒートシンクに固定され、
前記第2基板部は、前記第1基板部に対して前記モータ部の軸方向一方側に配置されると共に、前記モータ部に接続され、
前記第1基板部と前記第2基板部との間には、前記第1基板部及び前記第2基板部を保持するホルダが設けられており、
前記第1基板部には、前記ヒートシンクのターミナル挿通部に前記モータ部の軸方向他方側から挿入されるコネクタアッシーのターミナルを半田付けする接続エリアが設定されており、
前記第1基板部及び前記第2基板部の板厚方向において、前記第2基板部と前記接続エリアとが重なっていないことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
記第1基板部、前記ホルダ、前記第2基板部が、締結部材によって前記ヒートシンクに共締めされていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記ホルダは、前記第1基板部及び前記第2基板部の板厚方向を軸方向とし且つ一部開放された筒状に形成されており、
前記第1基板部の外周部及び前記第2基板部の外周部が、前記ホルダの軸方向両端面に接地されていることを特徴とする請求項2に記載の回転電機。
【請求項4】
前記第1基板部の外周部が前記ハウジングに沿うように、前記第1基板部が形成されると共に、前記第1基板部の外周部には、前記第1基板部の径方向外側へ開放された切欠き部が形成されており、前記切欠き部に前記フレキシブル部が配置されていることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されたモータ(回転電機)では、モータのハウジングの開口部にヒートシンクが設けられており、ヒートシンクに対してモータ部とは反対側に回路基板が設けられている。そして、モータ部のモータ線が回路基板に接続されて、モータ部が回路基板の制御によって駆動するように構成されている。
【0003】
ところで、回路基板に搭載される回路を2系統にすることで、フォールトトレラント対応のモータにすることができると共に、モータの信頼性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-184542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、回路基板に搭載される回路を2系統にするときには、回路基板に実装される電子部品の数が増加するため、回路基板を複数の基板によって構成する必要がある。また、回路基板を複数の基板によって構成するときには、各基板同士を接続するためのコネクタ部材を、各基板に設ける必要がある。これにより、各基板において、コネクタ部材を搭載するスペースが必要になり、基板の大型化、ひいてはモータの大型化を招く可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、大型化を抑制することができる回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、筒状のハウジングを有するモータ部と、前記ハウジングの開口部を閉塞するヒートシンクと、前記ヒートシンクに対して前記モータ部の軸方向一方側において前記ヒートシンクに固定され、フレキシブル基板と、前記フレキシブル基板の一部において前記フレキシブル基板の厚み方向両側に積層されたリジッド基板と、によって構成されると共に、前記モータ部に接続されたフレックスリジッド基板と、を備え、前記フレックスリジッド基板は、前記フレキシブル基板及び前記リジッド基板によって構成された第1基板部及び第2基板部と、前記フレキシブル基板によって構成され、前記第1基板部と前記第2基板部との間に配置され、屈曲可能に構成されたフレキシブル部と、を含んで構成され、前記第1基板部は、前記モータ部の軸方向を板厚方向として配置されると共に、前記ヒートシンクに固定され、前記第2基板部は、前記第1基板部に対して前記モータ部の軸方向一方側に配置されると共に、前記モータ部に接続され、前記第1基板部と前記第2基板部との間には、前記第1基板部及び前記第2基板部を保持するホルダが設けられており、前記第1基板部には、前記ヒートシンクのターミナル挿通部に前記モータ部の軸方向他方側から挿入される前記コネクタアッシーのターミナルを半田付けする接続エリアが設定されており、前記第1基板部及び前記第2基板部の板厚方向において、前記第2基板部と前記接続エリアとが重なっていないことを特徴とする回転電機である。
【0008】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記第1基板部は、前記第1基板部、前記ホルダ、前記第2基板部が、締結部材によって前記ヒートシンクに共締めされていることを特徴とする回転電機である。
【0009】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記ホルダは、前記第1基板部及び前記第2基板部の板厚方向を軸方向とし且つ一部開放された筒状に形成されており、前記第1基板部の外周部及び前記第2基板部の外周部が、前記ホルダの軸方向両端面に接地されていることを特徴とする回転電機である。
【0011】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記第1基板部の外周部が前記ハウジングに沿うように、前記第1基板部が形成されると共に、前記第1基板部の外周部には、前記第1基板部の径方向外側へ開放された切欠き部が形成されており、前記切欠き部に前記フレキシブル部が配置されていることを特徴とする回転電機である。
【発明の効果】
【0012】
上記構成の回転電機によれば、大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係る回転電機を示す斜視図である。
図2図1に示される回転電機を第2方向一方側から見た縦断面図である。
図3図2に示される基板ユニットとモータ部との接続状態を示す第1方向一方側から見た側面図である。
図4図2に示されるECUユニットを下側から見た下面図である。
図5図4に示されるECUユニットを分解した、下側から見た分解斜視図である。
図6】(A)は、図5に示されるヒートシンクを下側から見た下面図であり、(B)は、(A)のヒートシンクを上側から見た斜視図である。
図7図5に示される基板ユニットのフレックスリジッド基板をホルダから分解した状態を示す分解斜視図である。
図8】(A)は、図7に示されるフレックスリジッド基板を展開した状態を示す斜視図であり。(B)は、(A)のフレックスリジッド基板の断面図(図8の8B-8B線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本実施の形態に係る回転電機10について説明する。この回転電機10は、車両(自動車)のステアリング装置に適用される回転電機として構成されている。図1及び図2に示されるように、回転電機10は、全体として略円柱状に形成されている。また、回転電機10は、モータ部12と、モータ部12の回転を制御するためのECUユニット14と、を含んで構成されている。以下、回転電機10の各構成について説明する。
【0015】
なお、以下の説明では、回転電機10の軸方向一方側(図1及び図2の矢印A方向側)を回転電機10の下側とし、回転電機10の軸方向他方側(図1及び図2の矢印B方向側)を回転電機10の上側としている。そして、以下の説明において、上下の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、回転電機10の上下方向を示すものとする。
また、以下の説明では、上側から見た平面視で、上下方向に対して直交する方向を第1方向(図1及び図2の矢印C及び矢印Dを参照)とし、第1方向に対して直交する方向を第2方向(図1の矢印E及び矢印Fを参照)としている。
さらに、平面視で、回転電機10の軸線ALを通過し且つ第1方向に延在する架空線を第1基準線L1(図4参照)とし、回転電機10の軸線ALを通過し且つ第2方向に延在する架空線を第2基準線L2(図4参照)としている。
【0016】
(モータ部12について)
図1及び図2に示されるように、モータ部12は、3相交流のブラシレスモータとして構成されている。このモータ部12は、ハウジング20と、ハウジング20内に収容されたプレートホルダ24、回転軸28、ステータ34、ロータ40、及びバスバーユニット46と、を含んで構成されている。
【0017】
<ハウジング20について>
ハウジング20は、上側へ開放された略有底円筒状に形成されて、回転電機10の外郭を構成している。ハウジング20の下端部における外周部には、一対の取付片20Aが一体に形成されている。一対の取付片20Aは、ハウジング20の軸方向を板厚方向として配置されると共に、ハウジング20から第1方向一方側(図1及び図2の矢印C方向側)及び第1方向他方側(図1及び図2の矢印D方向側)へ突出されている。この取付片20Aには、取付孔20A1が貫通形成されている。そして、図示しないボルト等の締結部材が取付孔20A1内に挿入されて、当該締結部材によってハウジング20(すなわち、回転電機10)がステアリング装置に固定されている。
【0018】
ハウジング20の開口端部における外周部には、径方向外側へ張出された複数の(本実施の形態では、3箇所)の固定部20Bが形成されている(図1では、2箇所の固定部20Bのみが図示されている)。そして、1箇所の固定部20Bが、ハウジング20から第1方向一方側へ突出されており、3箇所の固定部20Bが、ハウジング20の周方向に等間隔毎に配置されている。固定部20Bには、後述するヒートシンク60を固定するためのネジ部20B1が貫通形成されており、ネジ部20B1の内周面には、雌ネジが形成されている。
【0019】
また、ハウジング20の底壁の中央部には、下側へ隆起された有底円筒状の固定筒部20Cが一体に形成されており、固定筒部20C内には、後述する回転軸28を支持するための第1ベアリング22が嵌入されている。固定筒部20Cの底壁には、後述する回転軸28を挿通させるための挿通孔20C1が貫通形成されており、第1ベアリング22の内部とハウジング20の外部とが挿通孔20C1によって連通されている。
【0020】
<プレートホルダ24について>
図2に示されるように、プレートホルダ24は、上下方向を板厚方向とした略円形プレート状に形成されて、ハウジング20の上下方向中間部内に嵌入されている。プレートホルダ24の中央部には、後述する回転軸28を挿通させるための挿通孔24Aが貫通形成されている。さらに、プレートホルダ24の中央部には、後述する回転軸28を支持するための第2ベアリング26が固定されており、第2ベアリング26と第1ベアリング22とが同軸上に配置されている。
【0021】
<回転軸28について>
回転軸28は、上下方向に延在された丸棒状に形成されて、ハウジング20の内部において、ハウジング20と同軸上に配置されている。そして、回転軸28の下端側の部分が、第1ベアリング22によって回転可能に支持されており、回転軸28の上端側の部分が、第2ベアリング26によって回転可能に支持されている。回転軸28の上端部は、プレートホルダ24に対して上側へ突出しており、当該上端部には、マグネット30が固定されている。一方、回転軸28の下端部は、ハウジング20の底壁に対して下側へ突出しており、当該下端部には、ステアリング装置に連結されるギヤ32が固定されている。
【0022】
<ステータ34について>
ステータ34は、ハウジング20の内部において、プレートホルダ24の下側に配置されると共に、回転軸28の径方向外側に配置されている。ステータ34は、磁性体によって構成されたステータコア36を有しており、ステータコア36は、円筒状に形成されて、ハウジング20の内部に嵌入されている。また、ステータコア36には、第1巻線37及び第2巻線38が巻き回されており、第1巻線37及び第2巻線38は、それぞれU相、V相、W相に対応する巻線を有している。
【0023】
<ロータ40について>
ロータ40は、ロータコア42を有しており、ロータコア42は、上下方向を軸方向とした円筒状に形成されて、ステータ34の径方向内側に配置されている。そして、回転軸28がロータコア42の軸芯部に嵌入されて、ロータコア42(ロータ40)と回転軸28とが一体回転可能に構成されている。また、ロータコア42内には、複数のマグネット44(永久磁石)が固定されている。これにより、ステータ34の第1巻線37又は第2巻線38に電流を流すことで、ロータ40及び回転軸28が軸線AL回りに一体回転するようになっている。
【0024】
<バスバーユニット46について>
バスバーユニット46は、ステータ34の上側に配置されて、プレートホルダ24によって保持されている。図3にも示されるように、バスバーユニット46は、ステータ34の第1巻線37のU相、V相、W相の巻線に対応する3本の第1バスバー47と、ステータ34の第2巻線38のU相、V相、W相の巻線に対応する3本の第2バスバー48と、第1バスバー47及び第2バスバー48を保持するためのバスバーホルダ50と、を含んで構成されている(図3では、1本の第1バスバー47及び1本の第2バスバー48のみが図示されている)。そして、第1バスバー47の一端部が、第1巻線37のU相、V相、W相の各巻線に接続され、第2バスバー48の一端部が、第2巻線38のU相、V相、W相の各巻線に接続されている。第1バスバー47の他端部は、プレートホルダ24から上側へ突出されて、第2方向一方側(図3の矢印E方向側)の位置において、第1方向に並んで配置されており、後述する第2基板部82に接続されている。一方、第2バスバー48の他端部は、プレートホルダ24から上側へ突出されて、第2方向他方側(図3の矢印F方向側)の位置において、第1方向に並んで配置されており、後述する第2基板部82に接続されている。
【0025】
(ECUユニット14について)
図1図3に示されるように、ECUユニット14は、ハウジング20の開口端部に組付けられて、回転電機10の上端部を構成している。このECUユニット14は、ヒートシンク60と、モータ部12を制御するための基板ユニット70と、コネクタアッシー90と、を含んで構成されている。
【0026】
<ヒートシンク60について>
図1図6に示されるように、ヒートシンク60は、熱伝導性の高いアルミニウム合金等によって構成されている。ヒートシンク60は、上下方向を板厚方向とする略円盤状に形成されている。ヒートシンク60の上端部の外周部には、径方向外側へ張出されたフランジ部60Aが一体に形成されており、フランジ部60Aは、ヒートシンク60の周方向全周に亘って形成されている。そして、ヒートシンク60が、ハウジング20の開口部内に上側から嵌入され、フランジ部60Aが、ハウジング20の開口端面の上側に隣接して配置されている。これにより、ハウジング20の開口部がヒートシンク60によって閉塞されている。すなわち、ヒートシンク60が、ハウジング20の蓋部として構成されると共に、回転電機10の外郭の一部を構成している。
【0027】
また、フランジ部60Aには、ハウジング20のネジ部20B1に対応する位置において、径方向外側へ張出された3箇所の第1固定部60Bが一体に形成されている。この第1固定部60Bには、固定孔60B1が貫通形成されている。そして、固定ネジSC1が、固定孔60B1内に上側から挿入されて、ハウジング20のネジ部20B1に螺合されることで、ヒートシンク60がハウジング20に固定されている。
【0028】
また、フランジ部60Aの第1方向他方側の部分には、径方向外側へ張出された一対の第2固定部60Cが一体に形成されており、第2固定部60Cは、ヒートシンク60の周方向に並んで配置されている。この第2固定部60Cには、後述するコネクタアッシー90を固定するための第1固定ネジ部60C1が貫通形成されており、第1固定ネジ部60C1の内周面には、雌ネジが形成されている。
【0029】
ヒートシンク60の外周部における上下方向中間部には、シール溝60Dが形成されている。シール溝60Dは、ヒートシンク60の径方向外側へ開放されると共に、ヒートシンク60の周方向全周に亘って延在されている。このシール溝60D内には、リング状のOリングOLが収容されており、OリングOLは、ゴム等の弾性部材によって構成されている。そして、ヒートシンク60のハウジング20への固定状態では、OリングOLが、弾性変形して、シール溝60Dの内周面及びハウジング20の内周面に密着している。これにより、ヒートシンク60とハウジング20の開口端部との間が、OリングOLによってシールされて、ハウジング20内の気密性を確保するようになっている。
【0030】
図5及び図6(A)に示されるように、ヒートシンク60の下面60Eの外周部には、後述する基板ユニット70を接地するための接地部61が形成されている。接地部61は、ヒートシンク60の下面60Eから下側へ突出されると共に、ヒートシンク60の周方向の全周に亘って延在されたリブ状に形成されている。
【0031】
また、接地部61は、ヒートシンク60の径方向内側へ張り出された一対の基板固定部61Aを有しており、基板固定部61Aの先端面(下面)が、接地部61の先端面(下面)と面一に配置されている。また、一対の基板固定部61Aは、軸線ALに対して第2方向に対称を成す位置に配置されている。
【0032】
一対の基板固定部61Aには、下側へ開放された凹状の基板固定ネジ部61Bが、それぞれ形成されている。そして、基板固定ネジ部61Bの内周面には、雌ネジが形成されている。また、第2方向一方側(図5及び図6(A)の矢印E方向側)の基板固定部61Aの下面には、基板固定ネジ部61Bに対して第1方向他方側において、下側へ開放された凹状の第1位置決め孔61Cが形成されており、第1位置決め孔61Cは、下面視で円形状に形成されている。第2方向他方側(図5及び図6(A)の矢印F方向側)の基板固定部61Aの下面には、基板固定ネジ部61Bに対して第1方向他方側において、下側へ開放された凹状の第2位置決め孔61Dが形成されており、第2位置決め孔61Dは、下面視で第2方向を長手方向とする略トラック形状に形成されている。そして、第2位置決め孔61Dの幅方向(第1方向)の寸法が、第1位置決め孔61Cの直径と一致する寸法に設定されている。
【0033】
また、ヒートシンク60の第1方向一方側の部分(詳しくは、第2基準線L2に対して第1方向一方側の部分)は、後述する第1基板部80のFET81によって発生した熱を放熱するための放熱部62として構成されている。これにより、後述する第1基板部80のFET81によって発生した熱をヒートシンク60(放熱部62)によって、回転電機10の外部へ放熱するように構成されている。
【0034】
ヒートシンク60の下面60Eには、放熱部62を除く部分(第1方向他方側部分)において、下側へ開放された凹部60Fが形成されており、凹部60Fは、下面視で、略6角形状に形成されている。この凹部60Fの第1方向他方側の部分には、後述するコネクタアッシー90のターミナル94を挿通させるためのターミナル挿通部60Gが貫通形成されている。ターミナル挿通部60Gは、下面視で、第1方向一方側へ開放された略V字形状に形成されている。
【0035】
図6(B)に示されるように、ヒートシンク60の上面には、第1方向一方側部分において、上側へ開放された肉逃げ60Hが形成されており、肉逃げ60Hは、平面視で略扇形状に形成されている。
【0036】
さらに、ヒートシンク60の上面には、肉逃げ60Hとターミナル挿通部60Gとの間の位置において、後述するコネクタアッシー90を固定するための複数(本実施の形態では、3箇所)の第2固定ネジ部60Jが形成されている。第2固定ネジ部60Jは、ヒートシンク60の上側へ開放された凹状に形成されており、第2固定ネジ部60Jの内周面には、雌ネジが形成されている。そして、3箇所の第2固定ネジ部60Jが、平面視で、第2方向に所定の間隔を空けて配置されている。
【0037】
<基板ユニット70について>
図2図5に示されるように、基板ユニット70は、全体として、上下方向を厚み方向とした略円盤状に形成されて、ヒートシンク60の下側に隣接して配置されている。この基板ユニット70は、フレックスリジッド基板74と、フレックスリジッド基板74を保持するためのホルダ72と、を含んで構成されている。
【0038】
[ホルダ72について]
図5及び図7に示されるように、ホルダ72は、樹脂材(絶縁材)によって構成されている。ホルダ72は、上下方向を軸方向とし、且つ第1方向他方側へ一部開放された比較的高さの低い略円筒状に形成されている。つまり、ホルダ72が、平面視で、第1方向他方側へ開放された略C字形柱状に形成されている。そして、ホルダ72の直径が、ヒートシンク60(図7では、不図示)の直径よりも僅かに小さく設定されている。
【0039】
ホルダ72の長手方向両端側の部分には、ヒートシンク60の基板固定部61Aに対応する位置において、一対のホルダ側固定部72Aが形成されている。一対のホルダ側固定部72Aは、略矩形ブロック状に形成されて、ホルダ72に対して径方向内側(第2方向一方側及び第2方向他方側)へ突出されている。また、ホルダ側固定部72Aの上面及び下面は、ホルダ72の上面及び下面とそれぞれ面一に配置されている。
【0040】
ホルダ側固定部72Aには、円形状のホルダ固定孔72Bが貫通形成されており、ホルダ固定孔72Bは、ヒートシンク60の基板固定ネジ部61Bと同軸上に配置されている。
【0041】
ホルダ側固定部72Aの上面(ヒートシンク60側の面)には、ホルダ固定孔72Bよりも第1方向他方側の位置において、第1保持ピン72C(広義には、「保持部」として把握される要素である)が一体に形成されている。この第1保持ピン72Cは、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、ホルダ側固定部72Aから上側へ突出されている。そして、第2方向一方側の第1保持ピン72Cが、後述する第1基板部80の第1基板側保持孔80A内に嵌入されると共に、第1保持ピン72Cの先端部が、ヒートシンク60の第1位置決め孔61C内に嵌入されている。また、第2方向他方側の第1保持ピン72Cが、後述する第1基板部80の第1基板側保持長孔80B内に嵌入されると共に、第1保持ピン72Cの先端部が、ヒートシンク60の第2位置決め孔61D内に嵌入されている。これにより、ホルダ72(すなわち、基板ユニット70)のヒートシンク60に対する位置が決まるように構成されている。
【0042】
一方、ホルダ側固定部72Aの下面には、第2保持ピン72D(広義には、「保持部」として把握される要素である)が一体に形成されている。第2保持ピン72Dは、上下方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、ホルダ側固定部72Aから下側へ突出されている。また、第2保持ピン72Dは、第1保持ピン72Cと同軸上に配置されており、第2保持ピン72Dの軸長が、第1保持ピン72Cの軸長よりも短く設定されている。
【0043】
また、ホルダ72の第1方向一方側の部分には、ホルダ側凹部72Eが形成されている。ホルダ側凹部72Eは、平面視で、第1方向一方側へ開放され且つホルダ72の径方向内側へ突出された略U字形状に形成されており、ホルダ側凹部72Eの長手方向両端部が、ホルダ72に連結されている。
【0044】
[フレックスリジッド基板74について]
図8(A)及び(B)に示されるように、フレックスリジッド基板74は、ポリイミドフィルムなどによって構成されたフレキシブル基板76と、ガラスエポキシなどによって構成されたリジッド基板78と、を含んで構成されており、フレキシブル基板76及びリジッド基板78を厚み方向に積層した積層構造をなしている。詳しくは、フレックスリジッド基板74の両端側の部分では、リジッド基板78がフレキシブル基板76の厚み方向両側に積層されており、フレックスリジッド基板74の中間部は、フレキシブル基板76のみによって構成されている。また、フレキシブル基板76及びリジッド基板78が積層された部分では、リジッド基板78及びフレキシブル基板76が、スルーホールによって接続されている。
【0045】
そして、フレックスリジッド基板74では、フレキシブル基板76及びリジッド基板78によって構成された一端側の部分を第1基板部80とし、フレキシブル基板76及びリジッド基板78によって構成された他端側の部分を第2基板部82としている。そして、第1基板部80及び第2基板部82に、電子部品が実装されるようになっている。さらに、フレックスリジッド基板74では、第1基板部80と第2基板部82との間に配置されたフレキシブル基板76のみで構成された部分を、フレキシブル部84としており、フレキシブル部84が、屈曲可能に構成されている。これにより、第1基板部80及び第2基板部82が、フレキシブル部84によって接続されている。
【0046】
また、図2図5、及び図7に示されるように、基板ユニット70のユニット状態では、フレキシブル部84が屈曲されて、第1基板部80が上下方向を板厚方向としてホルダ72の上側に隣接して配置されており、第2基板部82が上下方向を板厚方向としてホルダ72の下側に隣接して配置されている。これにより、第1基板部80と第2基板部82とが平行に配置されている。そして、基板ユニット70が、ヒートシンク60の下側に隣接して配置されて、ヒートシンク60に固定されている。以下、フレックスリジッド基板74の構成を、基板ユニット70のユニット状態として説明する。
【0047】
第1基板部80は、略円板状に形成されている。第1基板部80の直径は、ヒートシンク60の直径よりも僅かに小さく設定されており、第1基板部80の外周部が、ホルダ72の上面に接地されている。第1基板部80には、ホルダ72における第2方向一方側の第1保持ピン72Cに対応する位置において、円形状の第1基板側保持孔80Aが貫通形成されている。また、第1基板部80には、ホルダ72における第2方向他方側の第1保持ピン72Cに対応する位置において、第1基板側保持長孔80B(図8参照)が貫通形成されており、第1基板側保持長孔80Bは、平面視で第2方向を長手方向とする略トラック形状に形成されている。
【0048】
そして、ホルダ72の第1保持ピン72Cが、第1基板部80の第1基板側保持孔80A及び第1基板側保持長孔80Bにそれぞれ嵌入されて、第1基板部80が、ホルダ72によって保持されている。なお、第1基板部80のホルダ72への保持状態では、第1保持ピン72Cの先端部が第1基板部80よりも上側へ突出している。
【0049】
また、第1基板部80には、ホルダ72のホルダ固定孔72Bに対応する位置において、一対の円形状の第1基板側固定孔80Cが貫通形成されている。そして、基板ユニット70のヒートシンク60への固定状態では、第1基板部80の上面の外周部が、ヒートシンク60の接地部61の下面に接地されて、第1基板部80とヒートシンク60とが上下方向に対向して配置されている(図2参照)。さらに、基板ユニット70のヒートシンク60への固定状態では、第1基板部80の外周部が、モータ部12のハウジング20の周方向に沿って配置されている。
【0050】
また、第1基板部80の上面には、第1方向一方側の領域(ヒートシンク60の放熱部62と上下方向に対向する領域)において、複数のFET81(発熱素子であり、図2参照)が設けられている(実装されている)。また、基板ユニット70のヒートシンク60への固定状態では、FET81と、ヒートシンク60の下面60Eと、の間に、上下方向において僅かな隙間が形成されるようになっている。そして、当該隙間に、放熱用のグリス等が介在されている。
【0051】
さらに、第1基板部80の第1方向一方側の外周部には、「切欠部」としての第1切欠部80Dが形成されている。第1切欠部80Dは、第1方向一方側へ開放された凹状に形成されており、平面視で第1切欠部80Dが、ホルダ72のホルダ側凹部72E内に配置されるようになっている。
【0052】
また、第1基板部80におけるヒートシンク60のターミナル挿通部60Gと対向配置される部分は、接続エリア80E(図4のハッチングが施された部分を参照)として構成されている。そして、接続エリア80Eには、後述するコネクタアッシー90のターミナル94が接続される複数の端子孔80Fが形成されている。
【0053】
第2基板部82は、第1方向他方側へ切り欠かれた略半円板状に形成されている。第2基板部82の直径は、第1基板部80の直径と同じに設定されており、第2基板部82の外周部が、ホルダ72の下面に接地されている。
【0054】
第2基板部82には、ホルダ72における第2方向一方側の第2保持ピン72Dに対応する位置において、円形状の第2基板側保持孔82Aが貫通形成されている。また、第2基板部82には、ホルダ72における第2方向他方側の第2保持ピン72Dに対応する位置において、第2基板側保持長孔82Bが貫通形成されており、第2基板側保持長孔82Bは、平面視で第2方向を長手方向とする略トラック形状に形成されている。そして、ホルダ72の第2保持ピン72Dが、第2基板部82の第2基板側保持孔82A及び第2基板側保持長孔82Bに嵌入されて、第2基板部82が、ホルダ72によって保持されている。
【0055】
また、第2基板部82には、ホルダ72のホルダ固定孔72Bに対応する位置において、一対の円形状の第2基板側固定孔82Cが貫通形成されている。そして、「締結部材」としての固定ネジSC2が、第2基板部82の第2基板側固定孔82C、ホルダ72のホルダ固定孔72B、及び第1基板部80の第1基板側固定孔80Cに下側から挿入され、ヒートシンク60の基板固定ネジ部61Bに螺合されることで、基板ユニット70が、ヒートシンク60に固定さている。
【0056】
また、第2基板部82の第1方向一方側の部分には、第2切欠部82Dが形成されている。第2切欠部82Dは、第1基板部80の第1切欠部80Dと同様に、第1方向一方側へ開放された凹状に形成されており、平面視で、ホルダ72のホルダ側凹部72E内に配置されるようになっている。また、第2基板部82の第2切欠部82D及び第1基板部80の第1切欠部80Dの幅寸法(第2方向の寸法)は同じに設定されている。
【0057】
さらに、第2基板部82の第1方向他方側の部分には、コネクタ用切欠部82Eが形成されている。このコネクタ用切欠部82Eは、第1基板部80の接続エリア80Eに対応して、下面視で略W字形状に形成されている。詳しくは、コネクタ用切欠部82Eは、下面視で、第1基板部80の接続エリア80Eに対して第1方向一方側に若干ずれて配置されている。これにより、第1基板部80の接続エリア80E(すなわち、端子孔80F)と第2基板部82とが、下面視で重ならないように構成されている。また、前述したように、ホルダ72は、第1方向他方側へ一部開放されており、接続エリア80Eには、ホルダ72が設けられていない構成になっている。すなわち、第1基板部80の接続エリア80Eが、下側及び第1方向他方側へ開放されている。
【0058】
第2基板部82の下面の中央部には、磁気センサ83(図2参照)が設けられている(実装されている)。この磁気センサ83は、モータ部12の回転軸28におけるマグネット30の上側に近接して配置されており、磁気センサ83とマグネット30とが上下方向に対向配置されている。これにより、回転軸28の回転量(回転角度)を磁気センサ83によって検出する構成になっている。
【0059】
また、図示は省略するが、第2基板部82の下面には、モータ部12の第1バスバー47及び第2バスバー48に対応する位置において、接続端子が設けられており、第1バスバー47及び第2バスバー48が接続端子に圧入されている。これにより、モータ部12と基板ユニット70とが電気的に接続されている。
【0060】
フレキシブル部84は、第1基板部80の第1切欠部80Dから第2基板部82の第2切欠部82Dへ延出されて、第1基板部80及び第2基板部82を接続している。すなわち、フレキシブル部84が第1基板部80の第1切欠部80D内に配置されている。また、フレキシブル部84の幅寸法は、第1切欠部80D及び第2切欠部82Dの幅寸法よりも小さく設定されている。そして、第1基板部80の第1切欠部80Dから第1方向一方側へ延出されたフレキシブル部84が、第1方向他方側へ折り返されて、第2基板部82の第2切欠部82D側へ延出されている。詳しくは、フレキシブル部84は、第2方向から見て、第1方向他方側へ開放された略U字形状に屈曲されて、ホルダ72のホルダ側凹部72E内に配置されている。また、基板ユニット70のヒートシンク60への固定状態では、フレキシブル部84の屈曲部が、ヒートシンク60の径方向外側へ突出しないように配置されている。
【0061】
<コネクタアッシー90について>
図1図5に示されるように、コネクタアッシー90は、モールド部91を有しており、モールド部91は、樹脂材(絶縁材)によって構成されている。モールド部91は、モールドベース92と、3箇所の第1コネクタ部93A、第2コネクタ部93B、及び第3コネクタ部93Cと、を含んで構成されている。モールドベース92は、上下方向を板厚方向としたプレート状に形成されている。そして、モールドベース92が、ヒートシンク60における第1方向他方側の部分の上側に隣接して配置されて、ヒートシンク60のターミナル挿通部60Gを閉塞している。換言すると、ヒートシンク60における放熱部62(第1方向一方側の部分)が、モールドベース92(モールド部91)によって覆われておらず、回転電機10の外部に露出されている。
【0062】
モールドベース92には、ヒートシンク60の第1固定ネジ部60C1及び第2固定ネジ部60Jに対応する位置において、5箇所の固定孔92Aが貫通形成されている。そして、固定ネジSC3が、固定孔92A内に挿入され、第1固定ネジ部60C1及び第2固定ネジ部60Jに螺合されることで、モールドベース92(すなわち、コネクタアッシー90)がヒートシンク60に固定されている。
【0063】
第1コネクタ部93A、第2コネクタ部93B、及び第3コネクタ部93Cは、それぞれ筒状に形成されて、モールドベース92の第1方向他方側の端部から下側へ延出されている。また、第1コネクタ部93A、第2コネクタ部93B、及び第3コネクタ部93Cは、ハウジング20の上端部の径方向外側に配置されると共に、ハウジング20の周方向に並んで配置されている。すなわち、第1コネクタ部93A~第3コネクタ部93Cは、下側へ開放された筒状に形成されている。
【0064】
また、コネクタアッシー90は、フレックスリジッド基板74と車両の制御部とを接続するための複数のターミナル94を有しており、ターミナル94は、モールド部91に一体に形成されている。具体的には、ターミナル94の長手方向中間部が、ヒートシンク60のターミナル挿通部60G内を挿通している。そして、ターミナル94の一端部が、第1基板部80の端子孔80Fに挿入され、第1基板部80に半田付けされている。また、ターミナル94の他端部が、第1コネクタ部93A、第2コネクタ部93B、及び第3コネクタ部93Cの内部にそれぞれ配置されている。そして、車両側の外部コネクタが、第1コネクタ部93A~第3コネクタ部93Cに接続されている。これにより、車両側からフレックスリジッド基板74に電流が供給されると共に、制御信号が出力されて、モータ部12が、フレックスリジッド基板74の制御によって駆動する構成になっている。
【0065】
(作用効果)
次に、回転電機10の組立手順を説明しつつ、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0066】
上記のように構成された回転電機10の組立では、先にモータ部12及びECUユニット14を、それぞれユニット状態に組付ける。すなわち、モータ部12のユニット状態では、3本の第1バスバー47の他端部及び3本の第2バスバー48の他端部が、プレートホルダ24から上側へ延出されている。
【0067】
一方、ECUユニット14の組立では、先に基板ユニット70をユニット状態に組立てる。具体的には、フレックスリジッド基板74の第1基板部80を、ホルダ72の上側に配置して、ホルダ72の第1保持ピン72Cを第1基板部80の第1基板側保持孔80A及び第1基板側保持長孔80Bに嵌入させる。これにより、第1基板部80がホルダ72に保持される。
【0068】
次に、フレックスリジッド基板74のフレキシブル部84を屈曲させながら、フレックスリジッド基板74の第2基板部82を、ホルダ72の下側に配置する。そして、ホルダ72の第2保持ピン72Dを第2基板部82の第2基板側保持孔82A及び第2基板側保持長孔82Bに嵌入させる。これにより、第2基板部82がホルダ72に保持される。以上により、基板ユニット70がユニット状態に組立てられる。
【0069】
そして、基板ユニット70をヒートシンク60の下側に隣接配置して、基板ユニット70をヒートシンク60に固定する。具体的には、ホルダ72における一方の第1保持ピン72Cを、ヒートシンク60の第1位置決め孔61C内に嵌入させると共に、ホルダ72における他方の第1保持ピン72Cを、ヒートシンク60の第2位置決め孔61D内に嵌入させる。これにより、ヒートシンク60に対する基板ユニット70の位置が決定されると共に、第1基板部80の外周部が、ヒートシンク60の接地部61に接地される。この状態で、固定ネジSC2を、第2基板部82の第2基板側固定孔82C、ホルダ72のホルダ固定孔72B、及び第1基板部80の第1基板側固定孔80Cに下側から挿入させ、ヒートシンク60の基板固定ネジ部61Bに螺合させる。これにより、基板ユニット70が、ヒートシンク60に固定される。
【0070】
次に、コネクタアッシー90をヒートシンク60の上側に配置して、コネクタアッシー90のターミナル94を、ヒートシンク60のターミナル挿通部60G内に挿入させる。そして、ターミナル94の一端部を第1基板部80の端子孔80F内に挿入させると共に、モールドベース92をヒートシンク60の第1方向他方側の上側に隣接配置する。そして、固定ネジSC3をヒートシンク60の第1固定ネジ部60C1及び第2固定ネジ部60Jに螺合させて、固定ネジSC3によってコネクタアッシー90をヒートシンク60に固定する。また、コネクタアッシー90のターミナル94の一端部を第1基板部80に半田付けして固定する。これにより、ECUユニット14がユニット化される。
【0071】
そして、ECUユニット14をモータ部12へ組付ける。この組付では、ECUユニット14をモータ部12の上側に配置し、その後、ヒートシンク60をハウジング20の開口端部内に嵌入させる。そして、固定ネジSC1を、ハウジング20のネジ部20B1に螺合させて、固定ネジSC1によって、ヒートシンク60(ECUユニット14)をハウジング20に固定する。これにより、ECUユニット14がハウジング20に固定される。
【0072】
また、ヒートシンク60をハウジング20の開口端部内に嵌入させるときには、モータ部12における第1バスバー47及び第2バスバー48を、第1基板部80の接続端子に圧入する。これにより、ECUユニット14とモータ部12とが、電気的に接続される。以上により、回転電機10の組立が完了する。
【0073】
ここで、回転電機10は、第1基板部80及び第2基板部82を有している。すなわち、回転電機10は、2枚の基板部を有している。このため、仮に、回転電機10を1枚の基板部で構成する場合と比べて、基板部に実装する電子部品の数を増加させることができる。したがって、回転電機10をフォールトトレラント対応の構造にすることができる。
【0074】
しかも、第1基板部80及び第2基板部82が、フレックスリジッド基板74の一部を構成している。詳しくは、フレックスリジッド基板74が、フレキシブル基板76及びリジッド基板78によって構成された第1基板部80及び第2基板部82と、フレキシブル基板76によって構成されたフレキシブル部84と、を含んで構成されており、フレキシブル部84が第1基板部80と第2基板部82との間に配置されている。これにより、第1基板部80及び第2基板部82を接続するためのコネクタ部材を第1基板部80及び第2基板部82に設けることなく、第1基板部80及び第2基板部82を接続することができる。このため、仮に、第1基板部80と第2基板部82とを別体の基板として構成し且つ第1基板部80と第2基板部82とをコネクタ部材によって接続する比較例の基板ユニットと比べて、第1基板部80及び第2基板部82における電子部品の実装スペースを大きくすることができる。すなわち、上記比較例と比べて、第1基板部80及び第2基板部82を小型化することができる。
以上により、回転電機10の大型化を抑制しつつ、回転電機10をフォールトトレラント対応の構造にすることができる。
【0075】
また、第1基板部80は、上下方向を板厚方向として、ヒートシンク60の下側に配置されており、第2基板部82は、第1基板部80の下側において、第1基板部80と平行に配置されている。さらに、ホルダ72が、フレックスリジッド基板74の第1基板部80と第2基板部82との間に配置されており、ホルダ72、第1基板部80、及び第2基板部82が、固定ネジSC2によってヒートシンク60に共締めされている。このため、第1基板部80及び第2基板部82を、上下方向(すなわち、回転電機10の軸方向)に離間させた状態に並べて、ヒートシンク60に固定することができる。これにより、上下方向における、第1基板部80の下面及び第2基板部82の上面に実装される電子部品の実装スペースを確保しつつ、第1基板部80及び第2基板部82を回転電機10の軸方向に離間して配置することができる。したがって、回転電機10の径方向の大型化を抑制することができる。
また、ホルダ72とヒートシンク60とは、別体に構成されているため、ホルダ72の上下方向の高さを適宜変更することで、第1基板部80の下面及び第2基板部82の上面に実装される電子部品の高さ寸法に容易に対応することができる。
さらに、基板ユニット70をヒートシンク60に固定することで、ユニット化した基板ユニット70及びヒートシンク60をモータ部12に組付けることができる。これにより、回転電機10の作業性の効率化を図ることができる。
【0076】
また、ホルダ72は、上側へ突出された第1保持ピン72Cを有している。そして、第1保持ピン72Cを第1基板部80の第1基板側保持孔80A及び第1基板側保持長孔80Bに嵌入させることで、第1基板部80がホルダ72に保持される。また、ホルダ72は、下側へ突出された第2保持ピン72Dを有している。そして、第2保持ピン72Dを、第2基板部82の第2基板側保持孔82A及び第2基板側保持長孔82Bに嵌入させることで、第2基板部82がホルダ72に保持される。これにより、第1基板部80と第2基板部82とを平行に保持した状態で、基板ユニット70をヒートシンク60に組付けることができる。したがって、基板ユニット70をヒートシンク60に組付けるときの組付性を向上することができる。
【0077】
また、ホルダ72は、上下方向を軸方向とし且つ第1方向他方側へ一部開放された円筒状に形成されている。そして、基板ユニット70では、第1基板部80の外周部がホルダ72の上面に接地され、第2基板部82の外周部がホルダ72の下面に接地されている。すなわち、ホルダ72を、第1基板部80及び第2基板部82の内周側の部分に配置しない構成になっている。このため、第1基板部80の下面及び第2基板部82の上面に実装される電子部品の実装スペースを効果的に確保することができる。
【0078】
また、第2基板部82の第1方向他方側の部分には、コネクタ用切欠部82Eが形成されている。さらに、第1基板部80の接続エリア80Eは、コネクタアッシー90のターミナル94と接続されるエリアとして構成されている。そして、コネクタ用切欠部82Eによって、第2基板部82が、下面視で、第1基板部80の接続エリア80Eと重ならないように構成されている。このため、基板ユニット70をヒートシンク60に固定した状態において、接続エリア80E(端子孔80F)を下側から視認することができる。これにより、第1基板部80と第2基板部82とを平行に配置した構造にしても、コネクタアッシー90のターミナル94を第1基板部80の接続エリア80Eに容易に半田付けすることができる。したがって、ターミナル94を第1基板部80に半田付けするときの作業性を向上することができる。
【0079】
また、第1基板部80では、その外周部がハウジング20に沿うように形成されており、第1基板部80の外周部には、径方向外側へ開放された第1切欠部80Dが形成されている。そして、フレックスリジッド基板74のフレキシブル部84が、第1基板部80から延出されて、第1切欠部80D内に配置されている。このため、フレキシブル部84のハウジング20への干渉を抑制しつつ、フレキシブル部84によって第1基板部80及び第2基板部82を接続することができる。換言すると、第1基板部80と第2基板部82との間のスペースを有効に活用してフレキシブル部84を配置することができると共に、回転電機10の小型化に寄与することができる。
【0080】
なお、本実施の形態の回転電機10では、第1基板部80、ホルダ72、第2基板部82を、ヒートシンク60に共締めして、第1基板部80及び第2基板部82をヒートシンク60に固定しているが、第1基板部80及び第2基板部82の固定方法はこれに限らない。例えば、ホルダ72を省略して、第1基板部80及び第2基板部82をヒートシンク60に直接固定するように構成してもよい。この場合には、例えば、ヒートシンク60の下側の外周部に、下側へ突出したボスを設けて、第2基板部82を当該ボスに固定すると共に、当該ボスが挿通される切欠きを第1基板部80に形成してもよい。
【0081】
また、本実施の形態では、ホルダ72が樹脂製とされているが、ホルダ72を金属製としてもよい。この場合には、第1基板部80の外周部の一部を切り欠いて、ホルダ72の一部を、当該切欠部内に突出させると共に、ヒートシンク60に接触させる構成にしてもよい。これにより、ホルダ72が、第1基板部80の下面、第2基板部82の上面に実装される電子部品に対するシールド部材として機能する。したがって、電子部品の輻射ノイズ等を低減することができる。さらに、この場合には、第1基板部80及び第2基板部82をホルダ72にグランド接地させるように構成してもよい。また、この場合には、ホルダ72を、第1基板部80の外周部の全体を接地するような円筒状に形成してもよい。
【0082】
また、本実施の形態では、ホルダ72の第1保持ピン72C(第2保持ピン72D)によって第1基板部80(第2基板部82)を保持する構成になっているが、ホルダ72における第1基板部80(第2基板部82)を保持する構成はこれに限らない。例えば、ホルダ72に保持爪を設けて、当該保持爪を第1基板部80(第2基板部82)に係合させることで、ホルダ72が第1基板部80(第2基板部82)を保持する構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 回転電機
12 モータ部
60 ヒートシンク
72 ホルダ
74 フレックスリジッド基板
76 フレキシブル基板
78 リジッド基板
80 第1基板部
80D 第1切欠部(切欠部)
80E 接続エリア
82 第2基板部
84 フレキシブル部
90 コネクタアッシー
94 ターミナル
SC2 固定ネジ(締結部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8