(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】クランプ治具
(51)【国際特許分類】
H02K 15/04 20060101AFI20230221BHJP
B23K 37/04 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
H02K15/04 E
B23K37/04 M
(21)【出願番号】P 2019000929
(22)【出願日】2019-01-08
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】599085633
【氏名又は名称】株式会社タマディック
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 正宜
(72)【発明者】
【氏名】田中 健大
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-063672(JP,A)
【文献】特開平07-022085(JP,A)
【文献】実開昭63-070671(JP,U)
【文献】特開2014-127448(JP,A)
【文献】特開2009-126350(JP,A)
【文献】特開2000-200653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/04
B23K 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に端子穴を有する端子がそれぞれ接続された複数の端子線を保持するためのクランプ治具であって、
前記複数の端子線の各端子が着座される端子座面を上面に有する座面ブロックと、
前記端子座面に対して隙間を有するように形成され、前記複数の端子線の各端子を前記隙間に差し込んで前記端子座面に着座させることが可能な隙間形成部材と、
前記座面ブロックの上方に昇降可能に設けられた昇降ブロックと、
前記昇降ブロックに設けられ、前記端子座面に前記複数の端子線の各端子が着座した状態で前記昇降ブロックが下降端まで下降したときに前記各端子の端子穴に挿通して前記複数の端子線を位置決めする複数の位置決めピンを含む位置決め部材と、
前記昇降ブロックが下降端まで下降したときに該昇降ブロックを前記座面ブロックに対して昇降不能にロックするロック機構と、
前記ロック機構のロックを解除するアンロックレバーと、
を備え
、
前記座面ブロックの上面には、前記各端子の端面が突き当てられる複数の突き当て片を有し、
前記位置決め部材として、前記各端子が前記端子座面に着座した状態で、前記各端子の端子穴を中心とした回転方向の姿勢を矯正する複数の姿勢矯正部材を有し、
前記複数の姿勢矯正部材は、前記昇降ブロックの昇降方向に対して対応する突き当て片に向かって傾斜する傾斜面をそれぞれ有し、前記各端子が前記端子座面に着座した状態で前記昇降ブロックが下降させられると、前記傾斜面が前記各端子に当接し、前記各端子をそれぞれ対応する突き当て片に突き当てる、
クランプ治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のクランプ治具としては、スポット溶接のシステムに用いられ、ワークに開口した複数のピン挿入孔に挿入して当該ワークを位置決めする複数の位置決めピンを有するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、基端部に端子がそれぞれ接続された複数の端子線において、それぞれの端子をクランプすることで複数の端子線を保持して当該複数の端子線の先端部と他の複数の導線の先端部とを接合する場合、端子線は、端子をクランプ治具の座面に載置しただけでは自立しない。このため、端子線を保持するためには、作業者が端子線を片手で支持しつつ、もう一方の手でクランプ部を操作して端子をクランプする必要があり、作業者の作業負担が大きいという問題があった。
【0005】
本発明のクランプ治具は、端部に端子穴を有する端子がそれぞれ接続された複数の端子線を保持するものにおいて、作業者の作業負担をより軽減することができるクランプ治具を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のクランプ治具は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のクランプ治具は、
端部に端子穴を有する端子がそれぞれ接続された複数の端子線を保持するためのクランプ治具であって、
前記複数の端子線の各端子が着座される端子座面を上面に有する座面ブロックと、
前記端子座面に対して隙間を有するように形成され、前記複数の端子線の各端子を前記隙間に差し込んで前記端子座面に着座させることが可能な隙間形成部材と、
前記座面ブロックの上方に昇降可能に設けられた昇降ブロックと、
前記昇降ブロックに設けられ、前記端子座面に前記複数の端子線の各端子が着座した状態で前記昇降ブロックが下降端まで下降したときに前記各端子の端子穴に挿通して前記複数の端子線を位置決めする複数の位置決めピンを含む位置決め部材と、
前記昇降ブロックが下降端まで下降したときに該昇降ブロックを前記座面ブロックに対して昇降不能にロックするロック機構と、
前記ロック機構のロックを解除するアンロックレバーと、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明のクランプ治具は、端部に端子穴を有する端子がそれぞれ接続された複数の端子線を保持するものであり、上面に端子座面を有する座面ブロック、その上方に端子座面に対して所定の隙間を有するように設けられた隙間形成部材と、を備える。これにより、作業者が複数の端子線の各端子を上記隙間に差し込むことにより、各端子は、端子座面に着座すると共に上記隙間に挟まれて仮保持される。したがって、その後に作業者が端子線から手を離しても、端子線がクランプ治具から脱落しないようにすることができる。また、クランプ治具では、座面ブロックの上方で座面ブロックに対して昇降可能に設けられた昇降ブロックを備え、昇降ブロックの下面に、複数の位置決めピンを含む位置決め部材が設けられる。昇降ブロックが下降させられると、端子座面に着座した端子の端子穴に位置決めピンが挿通され、これにより、端子が座面ブロックに対して位置決めされる。このとき、昇降ブロックは、ロック機構により昇降不能にロックされる。したがって、作業者は、端子線の各端子を差し込み、昇降ブロックを押し下げるだけで、各端子を一度にクランプすることができ、複数の端子線をクランプ治具に保持させることが可能となる。複数の端子線に対する作業が完了すると、作業者は、アンロックレバーを操作することにより、複数の端子線の保持を解除させることができる。これらの結果、作業者の作業負担をより軽減させることができるクランプ治具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本発明の一実施例としてのクランプ治具および作業台の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、電動機のステータの概略構成図であり、
図2は、本発明の一実施例としてのクランプ治具および作業台の外観斜視図である。また、
図3~
図5は、クランプ治具の外観斜視図であり、
図6は、クランプ治具の上面図であり、
図7~
図9は、クランプ治具の断面図である。なお、
図7は、
図6のクランプ治具のA-A断面図であり、
図8および
図9は、
図6のクランプ治具のB-B断面図である。
【0012】
ステータ1は、
図1に示すように、例えば電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される三相交流電動機のステータであり、ステータコア2と、複数のステータコイル3と、を備える。ステータコア2は、円環状に形成された電磁鋼板を複数積層することにより構成され、周方向に間隔をおいて外周部から径方向内側に突出する複数のティースを有する。複数のステータコイル3は、ステータコア2のティースに装着されて、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを構成する。各ステータコイル3の一方の端部は、互いに接続(溶接)されて中性点(図示せず)を形成する。各ステータコイル3の他方の端部は、ステータコア2の外周側に引き出されて引出線4u,4v,4wとされ、基端部に端子Tu,Tv,Twが接続された動力線5u,5v,5w(端子線)と接合(溶接)される。本実施例では、一部の引出線4uは、バスバー6を介して動力線5uと接合(溶接)されるようになっている。また、端子Tu,Tv,Twには、端子穴Hu,Hv,Hw(丸穴)が形成される。
【0013】
実施例のクランプ治具10は、引出線4u,4v,4wの先端部と動力線5u,5v,5wの先端部(端子Tu,Tv,Twとは反対側の端部)とを接合(溶接)するに際して、端子Tu,Tv,Twをクランプして動力線5u,5v,5wを保持するものである。引出線4u,4v,4wと動力線5u,5v,5wとの接合作業は、
図2に示すように、引出線4u,4v,4wが引き出されたステータコア2を作業台100のコア取付台101に取り付けると共に、動力線5u,5v,5wを保持させたクランプ治具10を作業台100に取り付けた状態で行なわれる。
【0014】
クランプ治具10は、
図3~
図5に示すように、ベースブロック11と、座面ブロック20と、天板30と、昇降ブロック40と、アンロックレバー50と、を備える。
【0015】
ベースブロック11の上面には、
図3~
図5に示すように、幅方向(図中、左右方向)に間隔をおいて複数(2本)の支持柱12が立設されている。また、ベースブロック11の上面には、幅方向における端部(図中、左端部)において支持柱12の延出方向と同方向に延在する回動軸16が形成されており、当該回動軸16には座面昇降レバー15が回動可能に支持されている。
【0016】
座面ブロック20は、
図3~
図5に示すように、ベースブロック11に立設された各支持柱12の外周面を摺動してベースブロック11に対して昇降可能に構成されている。座面ブロック20の下面には、幅方向における端部(図中、左端部)おいて下方に突出する突出ピン26が設けられている。突出ピン26の先端部(突出端)は、座面昇降レバー15の回動軸16側の端部に形成された当接面15sに当接する。当接面15sは、回動軸16を中心に周方向に異なる高さに形成されており、座面昇降レバー15を回動させて当接面15sに対して突出ピン26を当接させる位置を変更することで、ベースブロック11に対する座面ブロック20の昇降位置を変更可能である。なお、座面ブロック20は、ベースブロック11に対して昇降不能に構成されてもよい。この場合、座面ブロック20とベースブロック11は一体的に形成されてもよい。
【0017】
また、座面ブロック20の上面には、動力線5u,5v,5wの端子Tu,Tv,Twが着座する端子座面21u,21v,21wと、端子Tu,Tv,Twの端面が突き当てられる突き当て片22u,22v,22w,23wと、が設けられている。さらに、座面ブロック20の上面には、幅方向に間隔をおいて複数(2本)の支持柱24が立設されている。
【0018】
天板30は、
図3~
図5に示すように、ベースブロック11に立設された各支持柱12の上端に固定された板状の部材である。天板30と座面ブロック20との間は、作業者が動力線5u,5v,5wの端子Tu,Tv,Tw(端子穴Hu,Hv,Hwの部分)を側方から差し込むことができ、且つ、その後に手を離しても動力線5u,5v,5wが脱落しない程度の隙間を有する。また、天板30は、動力線5u,5v,5wの端子Tu,Tv,Twが端子座面21u,21v,21wに着座している状態で端子穴Hu,Hv,Hwの部分のみを覆うように形成されている。また、天板30には、端子Tu,Tv,Twが端子座面21u,21v,21wに着座している状態で、端子Tu,Tv,Twの端子穴Hu,Hv,Hwと連通するように貫通孔31u,31v,31wが形成されている。
【0019】
昇降ブロック40は、
図3~
図5に示すように、座面ブロック20に立設された各支持柱24の外周面を摺動して座面ブロック20に対して昇降可能に構成されている。各支持柱24の上端にはストッパ25が設けられており、昇降ブロック40は、各支持柱24にそれぞれ設けられた図示しない圧縮コイルばねにより上昇方向に付勢されている。昇降ブロック40の上面の幅方向における中央部には、作業者が手を当てて当該昇降ブロック40を押し下げることが可能な操作部材45が固定されている。
【0020】
また、昇降ブロック40の下面には、
図3に示すように、位置決めピン41u,41v,41wと、姿勢矯正コマ42u,42v,42wと、押圧ピン43u,43v,43wとが設けられている。
【0021】
位置決めピン41u,41v,41wは、昇降ブロック40の下面から下方に延出される円柱状の部材であり、端子Tu,Tv,Twが端子座面21u,21v,21wに着座している状態で昇降ブロック40が下降させられると、
図7に示すように、天板30の貫通孔31u,31v,31wを貫通すると共に端子Tu,Tv,Twの端子穴Hu,Hv,Hwに挿通する。これにより、端子Tu,Tv,Twは位置決めピン41u,41v,41wによって位置決めされる。
【0022】
姿勢矯正コマ42u,42v,42wは、座面ブロック20に設けられた突き当て片22u,22v,22wと共に端子Tu,Tv,Twの両側を拘束して端子穴Hu,Hv,Hwを中心とした回転方向の姿勢を矯正するものである。姿勢矯正コマ42u,42v,42wは、
図3に示すように、その下端部(先端部)に、昇降ブロック40の昇降方向に対して対応する突き当て片22u,22v,22wに向かって傾斜する傾斜面を有する。動力線5u,5v,5wの各端子Tu,Tv,Twが端子座面21u,21v,21wに着座した状態で昇降ブロック40が下降させられると、姿勢矯正コマ42u,42v,42wの傾斜面が端子Tu,Tv,Twの端面に当接し、当該端子Tu,Tv,Twを座面ブロック20の突き当て片22u,22v,22wに突き当てる。これにより、端子Tu,Tv,Twの端子穴Hu,Hv,Hwを中心とした回転方向の姿勢が矯正される。なお、座面ブロック20の上面に、昇降ブロック40が下降端まで下降したときに姿勢矯正コマ42u,42v,42wの先端部が挿入される窪みが形成されてもよい。
【0023】
押圧ピン43u,43v,43wは、
図7に示すように、昇降ブロック40の昇降方向に伸縮するソレノイドピンとして構成される。昇降ブロック40が下降させられると、押圧ピン43u,43v,43wが下方に伸張して端子Tu,Tv,Twを端子座面21u,21v,21wに押し付ける。
【0024】
このように、端子Tu,Tv,Twは、座面ブロック20の端子座面21u,21v,21wに着座している状態で、昇降ブロック40が下降させられることにより、位置決めピン41u,41v,41wと姿勢矯正コマ42u,42v,42wと押圧ピン43u,43v,43wとによってクランプされる。
【0025】
アンロックレバー50は、
図8および
図9に示すように、昇降ブロック40の背面に対してその昇降方向に対して直交する方向に設けられた揺動軸51を支点に揺動可能に支持されている。アンロックレバー50は、揺動軸51よりも基端部側(図中、上側)に設けられた圧縮コイルばね54によって揺動方向の一方側に付勢されている。なお、圧縮コイルばね54に代えて揺動軸51に捻りばねを設けるものとしてもよい。アンロックレバー50の先端部(図中、下端部)には、係合爪52が形成されている。係合爪52は、先端から後端に向かうにつれて厚みが厚くなるように傾斜した傾斜面を有する。係合爪52は、昇降ブロック40が下降させられると、傾斜面が天板30の端縁に当接し、天板30の端縁が傾斜面を乗り越えると、圧縮コイルばね54の付勢力により天板30と座面ブロック20との間の隙間に係合される。これにより、昇降ブロック40は、その下降端において、天板30(座面ブロック20)に対して昇降不能にロックされる。係合爪52と天板30の端縁とは、昇降ブロック40を昇降不能にロックするロック機構を構成する。昇降ブロック40は、アンロックレバー50を圧縮コイルばね54の付勢力に抗して揺動させて係合爪52の係合を解除させることにより、アンロックされる。昇降ブロック40は、座面ブロック20に対して圧縮コイルばねにより上昇方向に付勢されているから、アンロックされると、座面ブロック20に対して上昇する。
【0026】
こうして構成されたクランプ治具10において、作業者が、動力線5u,5v,5wをクランプ治具10に保持させる際に行なう作業について説明する。作業者は、
図3,
図4に示すように、昇降ブロック40を上昇させた状態で、動力線5u,5v,5wの各端子Tu,Tv,Twを、座面ブロック20と天板30との間の隙間に順番に差し込んで座面ブロック20の端子座面21u,21v,21wに着座させる。端子座面21u,21v,21wに着座した端子Tu,Tv,Twは、座面ブロック20と天板30との間の隙間に挟まれて仮保持される。このため、その後に作業者が手を離しても動力線5u,5v,5wが脱落することはない。そして、作業者は、操作部材45の上面に手をかけて昇降ブロック40を押し下げる。昇降ブロック40が下降端まで押し下げられると、端子Tu,Tv,Twは、その端子穴Hu,Hv,Hwに位置決めピン41u,41v,41wが挿通される。また、端子Tu,Tv,Twは、その端面に姿勢矯正コマ42u,42v,42wの傾斜面が当接され、姿勢矯正コマ42u,42v,42wの下降に伴って傾斜面により座面ブロック20の突き当て片22u,22v,22wに突き当てられる。さらに、端子Tu,Tv,Twは、その上面に押圧ピン43u,43v,43wの先端が当接され、押圧ピン43u,43v,43wの伸張に伴って端子座面21u,21v,21wに押し付けられる。これにより、端子Tu,Tv,Twは、
図5に示すように、クランプされる。したがって、作業者は、複数の動力線5u,5v,5wの各端子Tu,Tv,Twを座面ブロック20と天板30との間の隙間に順番に差し込み、昇降ブロック40を押し下げるだけで、端子Tu,Tv,Twを一度にクランプすることができ、複数の動力線5u,5v,5wをクランプ治具10に保持させることができる。
【0027】
以上説明した本実施例のクランプ治具10では、上面に端子座面21u,21v,21wを有する座面ブロック20と、その上方に端子座面21u,21v,21wに対して所定の隙間を有するように設けられた隙間形成部材としての天板30と、を備える。これにより、作業者が複数の動力線5u,5v,5wの各端子Tu,Tv,Twを上記隙間に差し込むことにより、各端子Tu,Tv,Twは、端子座面21u,21v,21wに着座すると共に上記隙間に挟まれて仮保持される。したがって、その後に作業者が動力線5u,5v,5wから手を離しても、動力線5u,5v,5wがクランプ治具10から脱落しないようにすることができる。また、クランプ治具10では、座面ブロック20の上方で座面ブロック20に対して昇降可能に設けられた昇降ブロック40を備え、昇降ブロック40の下面に、位置決めピン41u,41v,41wが設けられる。昇降ブロック40が下降させられると、端子座面21u,21v,21wに着座した端子Tu,Tv,Twの端子穴Hu,Hv,Hwに位置決めピン41u,41v,41wが挿通され、これにより、端子Tu,Tv,Twが位置決めされる。このとき、昇降ブロック40は、アンロックレバー50の先端部に設けられた係合爪52が天板30に対して係合することにより昇降不能にロックされる。したがって、作業者は、動力線5u,5v,5wの各端子Tu,Tv,Twを差し込み、昇降ブロック40を押し下げるだけで、端子Tu,Tv,Twを一度にクランプすることができ、動力線5u,5v,5wをクランプ治具10に保持させることが可能となる。動力線5u,5v,5wの接合作業が完了すると、作業者は、アンロックレバー50を操作することにより、動力線5u,5v,5wの保持を解除することができる。これらの結果、作業者の作業負担をより軽減させることができるクランプ治具とすることができる。
【0028】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、動力線5u,5v,5wが「複数の端子線」に相当し、座面ブロック20が「座面ブロック」に相当し、天板30が「隙間形成部材」に相当し、昇降ブロック40が「昇降ブロック」に相当し、位置決めピン41u,41v,41wが「位置決めピン」に相当し、位置決めピン41u,41v,41wと姿勢矯正コマ42u,42v,42wと押圧ピン43u,43v,43wとが「位置決め部材」に相当し、係合爪52と天板30の端縁とが「ロック機構」に相当し、アンロックレバー50が「アンロックレバー」に相当する。
【0029】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0030】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、クランプ治具の製造産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 ステータ、2 ステータコア、3 ステータコイル、4u,4v,4w 引出線、5u,5v,5w 動力線、6 バスバー、10 クランプ治具、11 ベースブロック、12 支持柱、15 座面昇降レバー、15s 当接面、20、座面ブロック、21u,21v,21w 端子座面、22u,22v,22w,23w 突き当て片、24 支持柱、25 ストッパ、26 突出ピン、30 天板、31u,31v,31w 貫通孔、40 昇降ブロック、41u,41v,41w 位置決めピン、42u,42v,42w 姿勢矯正コマ、43u,43v,43w 押圧ピン、45 操作部材、50 アンロックレバー、51 揺動軸、52 係合爪、54 圧縮コイルばね、100 作業台、101 コア取付台、Tu,Tv,Tw 端子、Hu,Hv,Hw 端子穴。