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  • 特許-渦巻きばねの製造方法 図1
  • 特許-渦巻きばねの製造方法 図2
  • 特許-渦巻きばねの製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】渦巻きばねの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 11/06 20060101AFI20230221BHJP
   F16F 1/06 20060101ALI20230221BHJP
   F16F 1/10 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
B21D11/06
F16F1/06 A
F16F1/10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019011113
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020116620
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000210986
【氏名又は名称】中央発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一郎
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-060265(JP,A)
【文献】特開平09-257069(JP,A)
【文献】特開平06-033962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 11/06
F16F 1/06
F16F 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の帯板が渦巻き状に成形された渦巻きばねの製造方法において、
前記帯板の長手方向一端側及び金属製のチェーン(以下、スペーサという。)を、円柱状又は円筒状の芯金に係止した状態で、前記スペーサが前記帯板間に位置するように、当該帯板を前記スペーサと共に前記芯金に巻き付け、
前記巻き付けが終了したときに、前記スペーサ及び前記芯金を前記帯板から取り外し、
さらに、前記帯板を前記スペーサと共に前記芯金に巻き付ける際には、巻き付けられる前の前記帯板を誘導加熱
渦巻きばねの製造方法。
【請求項2】
金属製の帯板が渦巻き状に成形された渦巻きばねを製造するための製造装置において、
前記帯板の長手方向一端側及び金属製のチェーン(以下、スペーサという。)が係止される円柱状又は円筒状の芯金であって、回転することにより、前記スペーサが前記帯板間に位置した状態で、前記帯板を前記スペーサと共に巻いていく芯金と、
前記芯金に巻き付けられる前の前記帯板を加熱する誘導加熱方式の加熱器と
を備える渦巻きばねの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属製の帯板が渦巻き状に成形された渦巻きばねの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発明では、2つ以上のローラ状の渦巻きツールにて金属製の帯板を渦巻き状に成形している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3030688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、大きな渦巻きばね、つまり板厚及び周長(帯板の長手方向寸法)が大きい渦巻きばねを製造することが難しい。本開示は、左記点に鑑み、大きな渦巻きばねであっても製造可能な渦巻きのばねの製造方法の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
金属製の帯板(2)が渦巻き状に成形された渦巻きばねの製造方法は、例えば、以下の手順(作業工程)のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
すなわち、当該手順は、帯板(2)の長手方向一端側及び可撓性を有する金属製のスペーサ(12)を、円柱状又は円筒状の芯金(11)に係止した状態で、スペーサ(12)が帯板(2)間に位置するように、当該帯板(2)をスペーサ(12)と共に芯金(11)に巻き付け、巻き付けが終了したときに、スペーサ(12)及び芯金(11)を帯板(2)から取り外すことである。
【0006】
これにより、渦巻きばねの製造する者(製造装置も含む。以下、製造者という。)は、例えば、帯板(2)とスペーサ(12)とが密着するように、帯板(2)とスペーサ(12)とを芯金(11)に巻き付けた後、スペーサ(12)を取り外すことにより、隣り合う帯板(2)間に容易に隙間を確保しながら当該帯板(2)を渦巻き状に成形することができ得る。したがって、製造者は、板厚及び周長が大きい場合であっても渦巻きばねを確実に製造することができ得る。
【0007】
なお、帯板(2)をスペーサ(12)と共に芯金(11)に巻き付ける際には、巻き付けられる前の帯板(2)を加熱することが望ましい。これにより、製造者は、確実に帯板(2)を渦巻き状に成形でき得る。
【0008】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る渦巻きばねを示す図である。
図2】第1実施形態に係る渦巻きばねの製造装置を示す図である。
図3】第1実施形態に係る渦巻きばねの製造装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0011】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
【0012】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された製造装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素を備える。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態は、図1に示される渦巻きばね1の製造方法及び製造装置に本開示に係る製造方法及び製造装置の一例が適用されたものである。
【0014】
渦巻きばね1は、金属製の帯板2が渦巻き状に成形されたばねである。当該渦巻きばね1は、例えば、板厚約11mm、板幅60mm、直径約500mm、帯板長さ約5m超の大型の渦巻きばねである。
【0015】
<製造装置の概要>
製造装置10は、図2に示されるように、芯金11及び加熱器13等を少なくとも備える。芯金11は、帯板2の長手方向一端側及び金属製のチェーン12が係止される円柱状又は円筒状の部材である。
【0016】
芯金11は、電動モータ等の回転機(図示せず。)により回転駆動される。このため、芯金11が回転すると、図3に示されるように、チェーン12が帯板2間に位置した状態で、帯板2がチェーン12と共に巻かれていく。なお、チェーン12は、可撓性を有する金属製のスペーサの一例である。
【0017】
加熱器13は、芯金11に巻き付けられる前の帯板2を加熱する。加熱器13による加熱は、帯板2を芯金11に巻き付けることを可能にするためである。なお、本実施形態に係る加熱器13は、誘導加熱方式の加熱器である。
【0018】
<製造方法の概要(図2及び図3参照)>
作業者又は製造装置(以下、作業者等という。)は、先ず、帯板2の長手方向一端側及びチェーン12を芯金11に係止する。次に、作業者等は、チェーン12を帯板2間に位置させた状態で、芯金11を回転させる。つまり、作業者等は、帯板2を加熱しながら、当該帯板2をチェーン12と共に芯金11に巻き付けていく。
【0019】
そして、上記巻き付け作業が終了したときに、チェーン12及び芯金11を渦巻き状に成形された帯板2から取り外す。その後、作業者等は、成形が終了した帯板2、つまり渦巻きばね1に熱処理等の後工程を施す。
【0020】
<本実施形態に係る製造方法及び製造装置の特徴>
作業者等は、例えば、帯板2とチェーン12とが密着するように、帯板2とチェーン12とを芯金11に巻き付けた後、チェーン12を取り外すことにより、隣り合う帯板2間に容易に隙間を確保しながら当該帯板2を渦巻き状に成形することができ得る。
【0021】
したがって、作業者等は、板厚及び帯板長さが大きい場合であっても渦巻きばね1を確実に製造することができ得る。
帯板2をチェーン12と共に芯金11に巻き付ける際には、巻き付けられる前の帯板2を加熱する。これにより、作業者等は、確実に帯板2を渦巻き状に成形でき得る。
【0022】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、スペーサとして金属製のチェーン12を用いた。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。
【0023】
上述の実施形態では、帯板2をチェーン12と共に芯金11に巻き付ける際には、巻き付けられる前の帯板2を加熱する加熱工程を備えていた。しかし、本開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、上記の加熱工程を廃止された製造方法又は製造装置であってもよい。
【0024】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成でもよい。
【符号の説明】
【0025】
1… 渦巻きばね
2… 帯板
10… 製造装置
11… 芯金
12… チェーン
13… 加熱器
図1
図2
図3