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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】停車補助装置および洗車装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
B60S3/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019030148
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020132031
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】天野 義樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐紀
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-154605(JP,A)
【文献】特開2007-091166(JP,A)
【文献】特開2003-063364(JP,A)
【文献】特開2010-264939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面の所定の停車位置に自動車を停車させるドライバーを補助する停車補助装置であって、
前記地面に設けられ、前記自動車の車長方向に沿うように並べられた複数のセンサを有し、前記自動車のタイヤを検出するタイヤ検出部と、
前記タイヤ検出部が設けられた前記地面からの設置高さよりも高くに設けられ、前記自動車の車体を検出する車体検出部と、を備え、
前記タイヤ検出部と前記車体検出部との間の距離が、前記タイヤ検出部の前記複数のセンサ間の距離よりも離れており、
前記複数のセンサのうち異常なセンサを用いず、正常なセンサの検出結果と前記車体検出部の検出結果をもとに前記ドライバーに停車案内することを特徴とする停車補助装置。
【請求項2】
前記車体検出部の前記地面からの検出高さが、前記タイヤ検出部の前記地面からの検出高さよりも高いことを特徴とする請求項記載の停車補助装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の停車補助装置と、前記自動車に対して少なくとも洗浄を行う洗車機本体と、を備える洗車装置において、
前記車体検出部は、前記洗車機本体に設けられていることを特徴とする洗車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車を適正な停車位置に停車させるための停車補助装置およびそれを備えた洗車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2017-154605号公報)には、洗車エリアに設けられたタイヤ検出手段を備え、自動車のタイヤを検出しながら適正な停止位置に自動車を案内させる停車補助装置が記載されている。具体的に、タイヤ検出手段は、自動車の入車方向に対して進入側に設けられた第1スイッチと、退出側に設けられた第2スイッチとを備えている。そして、停車補助装置は、第1および第2スイッチのタイヤ検出状況および検出タイミングに応じて、適正な停車位置に自動車を移動させようとするドライバーに対して「前進」、「後進」または「停止」の案内を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-154605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、洗車装置に用いられるタイヤ検出手段の一例として、第1および第2スイッチがそれぞれ光電センサ(発光部および受光部)の光軸によって構成されたタイヤ停止装置が記載されている。洗車受付を開始すると二つの光電センサ(第1および第2スイッチ)が正常であるか光軸チェック(センサの動作チェック)が行われ、二つとも正常であれば停車案内が行われる。そして、洗車装置では、タイヤが二つの光電センサにより検出されている状態、すなわち自動車が適正な停車位置に停車した状態において、洗車が行われる。
【0005】
ところで、タイヤ停止装置を構成する光電センサは、洗車エリアの地面に設けられるため、自動車から落ちた泥や雪を、タイヤとして検出してしまう場合がある。例えば、透過型の光電センサでは、光軸上に落ちた泥で遮光されタイヤがあると検出されてしまう。このため、動作チェック後において落ちた泥をタイヤとして検出してしまう場合もある。この場合、二つの光電センサとも泥をタイヤとして検出した状態が所定時間続けば、異常であるとして停止案内を中止する処理を取ることもできる。しかしながら、一方の光電センサが泥をタイヤとして検出したとしても、他方が正常にタイヤを検出することができる状態であれば停車案内が行われてしまう場合があり、この場合は正常な停止案内をすることができない。
【0006】
正常な停止案内ができない場合としては、例えば、自動車が前進しているのにいつまでも「前進」の案内をし、車が後進しているのにいつまでも「後進」の案内をしてしまうことが考えらえる。このように、地面に設けられるタイヤ検出手段として、正常動作する光電センサが一つだけのような単にタイヤの有無を検出する装置では、ドライバーに対して正しく「前進」や「後進」の案内を行うことができない。このため、自動車を所定の停車位置に停車させることができないといった問題が生じる。
【0007】
本発明の一目的は、自動車を所定の停車位置に案内することのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態における停車補助装置は、地面の所定の停車位置に自動車を停車させるドライバーを補助する停車補助装置であって、前記地面に設けられ、前記自動車の車長方向に沿うように並べられた複数のセンサを有し、前記自動車のタイヤを検出するタイヤ検出部と、前記タイヤ検出部が設けられた前記地面よりも汚れにくい場所に設けられ、前記自動車の車体を検出する車体検出部と、を備えている。前記複数のセンサのいずれか一つによる検出結果と前記車体検出部の検出結果をもとに前記ドライバーに停車案内する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、自動車を所定の停車位置に案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る洗車装置を模式的に示す平面図である。
図2図1に示す洗車装置を模式的に示す側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る停車補助装置の一部を模式的に示す平面図である。
図4図1に示す洗車装置の制御系を示すブロック図である。
図5】停車案内状況の一例を説明するための図である。
図6】停車案内状況の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る停車補助装置およびこれを備えた洗車装置の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る洗車装置100を模式的に示す平面図である。図2図1に示す洗車装置100を模式的に示す側面図である。図3は本発明の実施形態に係る停車補助装置200の一部(タイヤ検出装置5)を模式的に示す平面図である。図4図1に示す洗車装置100の制御系を示すブロック図である。図5は停車案内状況の一例を説明するための図である。図6は停車案内状況の他の例を説明するための図である。
【0012】
本実施形態に係る洗車装置100は、停車補助装置200と、洗車機本体1とを備えている。停車補助装置200は、地面Gの所定の停車位置に自動車AMを停車させるドライバーを補助する。また、洗車機本体1は、自動車AMに対して少なくとも洗浄を行う。
【0013】
門型に形成されている洗車機本体1は、レール2・2上を往復走行して、レール2・2間に形成される洗車エリアAへ進入した自動車AMを本体1内に設ける洗車処理装置により洗浄・乾燥するものである。洗車エリアAの入場口付近には、洗車料金を投入して希望の洗車コースを選択する等の洗車受付を行う洗車受付装置3と、洗車エリアAの入場を制限するゲート装置4が設けられ、ドライバーが自動車AMに乗ったまま洗車受付装置3を操作し、洗車を受け付けるとゲート装置4のゲートが開いて自動車AMの洗車エリアAへの進入が可能となる。
【0014】
停車補助装置200は、自動車AMのタイヤを検出するタイヤ検出部としてタイヤ検出装置5を備えている。タイヤ検出装置5は、タイヤを検出することで、洗車エリアAにおける自動車AMの停車位置を与える。タイヤ検出装置5は、待機位置にある洗車機本体1の所定距離前方にあたる洗車エリアAの地面Gに敷設されている。
【0015】
タイヤ検出装置5は、洗車する自動車AMを車幅方向に挟むように配置される左右一対のセンサユニット6・7と、該センサユニット6・7の進入方向奥側にセンサユニット6・7間を横断して設けられるタイヤ止め8とを備えている。センサユニット6は、自動車AMの進入方向の前後に2つの発光部6a・6bを配列し、カバー6cによって保護されている。また、センサユニット7は、センサユニット6の発光部6a・6bと対向する受光部7a・7bを配列し、カバー7cによって保護されている。
【0016】
このセンサユニット6・7により、自動車AMの進入方向に対して前方(手前側)に発光部6a-受光部7a(光電センサC1)の光軸B1が形成され、後方(奥側)に発光部6b-受光部7b(光電センサC2)の光軸B2が形成される。このように、タイヤ検出装置5は、自動車AMの車長方向(進入方向)に沿うように並べられた複数の光電センサとして、光軸B1を形成する光電センサC1および光軸B2を形成する光電センサC2を用い、各光軸の検出状況により自動車AMのタイヤを検出し、停車を検出することができる。なお、発光部には例えば発光ダイオードやレーザ、受光部には例えばフォトトランジスタやフォトダイオードを用いることができる。
【0017】
このタイヤ検出装置5は、自動車AMが洗車エリアAに入場してくる際には、自動車AMの停車位置を与える停車検知として機能し、洗車が開始された後には、自動車AMが停車位置にあるか否かを監視する自走検知として機能する。例えば、停車検知機能においては、光軸B1・B2が両方ともタイヤで遮光される状態を自動車AMの適正な停車位置とすることができる。また、自走検知機能においては、光軸B1・B2が両方とも透光となる状態を自動車AMの移動とすることができる。このため、光軸B1・B2の間隔Sは、大小あるタイヤサイズ毎の接地長さと、各機能における検知精度を考慮して決定しておくことができる。
【0018】
停車補助装置200は、ドライバーに対して案内を表示する案内部としてガイド表示器9を備えている。ガイド表示器9は、洗車エリアAの退場口後方に設置され、洗車受付時には自動車AMの入場を案内し、洗車中には洗車動作の進行状況や異常発生等を表示し、洗車終了時には自動車AMの退場を案内する。入場案内は、洗車エリアAに進入する自動車に対して、タイヤ検出装置5で与える自動車の状況に応じて「前進」「停止」「後進」といった指示表示を行う。洗車中案内は、実行している洗車工程の表示と自走を禁止する注意表示を行う。退車案内は、洗車が終了したことを案内し、自動車AMを移動させる指示表示を行う。尚、自動車入場時及び洗車中には自動車AMの運転席から視認しやすい位置にし、自動車退出時には自動車退出路から退避させる揺動式にしてもよい。
【0019】
停車補助装置200は、自動車AMの車体を検出する車体検出部として入車側センサ19を備えている。本実施形態では、入車側センサ19は、洗車機本体1に設けられている。具体的には、入車側センサ19は、自動車AMが入車してくる洗車機本体1の前部から取付アームにより前方に突出させた状態で取り付けられている。この入車側センサ19は、例えば光電センサであり、発光部と受光部を車幅方向に対向させて光軸B3を形成し、その光軸B3の透光/遮光によって車体の有無を検出するものである。図2に示すように、タイヤ検出装置5と入車側センサ19との間の距離d1は、光電センサC1と光電センサC2との間の距離d2よりも離れている。すなわち、入車側センサ19は、泥などによって異常が発生しやすいタイヤ検出装置5から離れた位置(汚れにくい場所)に設けられている。具体的には、入車側センサ19の地面Gからの設置高さh1が、タイヤ検出装置5の地面Gからの設置高さh2よりも高くなるように設けられている。なお、本実施形態では、入車側センサ19の設置高さh1は地面Gから光軸B3までの高さ(検出高さ)と同じとし、タイヤ検出装置5の設置高さh2は地面Gから光軸B1・B2までの高さと同じとして説明している。
【0020】
洗車機本体1に装備される洗車処理装置は、洗浄ブラシ・乾燥ノズル・散液パイプとから構成されている。洗浄ブラシは、車体上面に沿って昇降し同上面をブラッシングするトップブラシ10と、車体に幅方向に対して接離(開閉)動作し車体の前後面および側面をブラッシングする左右一対のサイドブラシ11・11とを備える。乾燥ノズルは、車体上面に沿って昇降し同上面に高圧空気を吹き付けるトップノズル12と、車体側面に高圧空気を吹き付ける左右一対のサイドノズル13・13とを備える。散液パイプは、本体1と同じアーチ状に形成され、水とシャンプーを選択的に散布するシャンプー散布パイプ14と、水とワックスと撥水剤を選択的に散布するワックス散布パイプ15と、水を散布する水散布パイプ16とを備える。
【0021】
その他の装備として、洗車装置100には、洗車機本体1の走行位置を検出する走行検出装置17と、自動車AMの上面位置を検出する車形検出装置18とが設けられている。洗車機本体1の走行に合わせて自動車AMの上面位置を検出していくことで、自動車AMの上面輪郭を抽出し、洗車処理装置の制御データを作成している。また、車形検出装置18は、光電センサC1・C2ともに動作状況が異常である場合、入車側センサ19との組み合わせにより自動車AMの前端位置を検出し、自動車AMの停車位置を出力することができる。
【0022】
また、洗車機本体1には、後部に自動車AMが退車したことを検出する退車側センサ20と、後面に物体を検出するエリアセンサ21とが設けられている。退車側センサ20は、例えば光電センサであり、発光部と受光部を車幅方向に対向させて光軸を形成し、その光軸の透光/遮光によって車体の有無を検出するものである。エリアセンサ21は、照射した赤外光の反射波を検知して物体の有無を検出するもので、本体1が後退する際にその進行方向に退出中の自動車AMや人等の存在を出力する。
【0023】
このように構成する洗車装置100は、洗車受付装置3で洗車受付を行い、開いたゲート装置4からガイド表示器9の案内に従って自動車AMを洗車エリアA内に入場させていき、タイヤ検出装置5で与える停車位置に自動車AMを停車させて洗車機本体1による洗車サービスを受けた後、洗車機本体1の後方へ退出するドライブスルー方式で運用される。なお、セルフサービスの洗車装置100としては、ドライブスルー方式に限らず、洗車後に自動車AMを後退させて退出させる方式や、洗車後に洗車機本体1を後退させ自動車AMが洗車機手前から側方へ退出する方式もある。
【0024】
ここで、洗車装置100が備える制御部(停車補助装置200の制御部が含まれる)について図4を参照して説明する。本実施形態では、洗車装置200の制御部として洗車制御ボード22および受付洗車ボード23が用いられる。洗車制御ボード22は、洗車機本体1に内蔵される。また、受付制御ボード23は、洗車受付装置3に内蔵される。洗車制御ボード22および受付制御ボード23ともマイクロコンピュータを備えており、両ボードはシリアル伝送用のケーブル24で接続されている。
【0025】
洗車制御ボード22は、走行検出装置17・車形検出装置18・入車側センサ19・退車側センサ20・エリアセンサ21が接続されるとともに、洗車駆動部25を介して洗車処理装置(ブラシ系10・11、ノズル系12・13、散水系14・15・16)が接続されている。この洗車制御ボード22は、伝送ケーブル24を介して受付制御ボード23より伝送される洗車要求信号に基づき、接続される各要素の動作を制御する。
【0026】
受付制御ボード23は、ゲート装置4・タイヤ検出装置5・ガイド表示器9・受付操作パネル26が接続され、受付操作パネル26からの洗車料金やメニュー選択を受付可能とし、受け付けた内容に基づいて洗車制御ボード22へ洗車要求信号を出力する。受付操作パネル26は、現金やプリペイドカードにより洗車料金を受け付ける料金受付部をはじめ、洗車メニューキー・洗車スタートキー・取消キー等のキー入力部と、操作案内や洗車スペースへの入場案内等を音声で行う音声ガイド部とを備えている。
【0027】
次に、本実施形態における洗車装置100を用いた作業手順について説明する。まず、自動車AMで洗車受付装置3の前に乗り入れ、ドライバーが自動車AMに乗ったまま洗車受付装置3で洗車受付を開始する。受付制御ボード23では、タイヤ検出装置5の光軸チェック(センサの動作チェック)を行い、各光電センサC1・C2が正常に動作するかの確認を行う。具体的に光軸チェックでは、発光部6a・6bを発光させる前の受光部7a・7bでの受光レベルと、発光部6a・6bを発光させた後の受光部7a・7bでの受光レベルとの差分レベルが基準値よりも高ければ各光軸B1・B2が正常である(すなわち発光不良、受光不良がない)と判断し、差分レベルが基準値よりも低ければ各光軸B1・B2が異常であると判断する。異常と判断される場合としては、泥などにより遮光されて差分レベルが基準値よりも低いことが含まれる。
【0028】
以下では、タイヤ検出装置5の光軸チェック(光電センサの動作チェック)した結果を場合分けして、それぞれの場合に停車補助装置200(洗車装置100)がとり得る動作について説明する。
【0029】
まず、光軸チェックで光電センサC1・C2の光軸B1・B2の両方に異常が認められた場合について説明する。この場合、停車案内にはタイヤ検出装置5を用いず、車形検出装置18及び入車側センサ19を用いた停車案内に切り替える。この際、管理者が素早くタイヤ検出装置5の異常を確認できるよう、洗車受付装置3の受付操作パネル26に備えられる各種キーに対応したLEDランプの表示パターンを通常時と異常発生時とで変化させることで報知させることができる。加えて、洗車機本体1に備える管理用パネル(図示しない)に、タイヤ検出装置5の光軸異常と検査点検を促す表示を行うこともできる。尚、異常報知する方法としては、点灯したり、無線機や携帯端末で管理者に伝送したりするなど様々な実施態様が考えられる。
【0030】
次に、光軸チェックで光電センサC1・C2の光軸B1・B2のいずれかに異常が認められた場合について説明する。ここでは、光電センサC2の光軸B2に異常が認められ、光電センサC1の光軸B1が正常であるとする。この場合、異常な光電センサC2を用いず、正常な光電センサC1の光軸B1の検出結果および入車側センサ19(光電センサ)の検出結果を用いた停車案内に切り替える。以下では、光軸B1の検出結果と光軸B3の検出結果をもとにドライバーに案内を表示する場合について図5を参照して説明する。図5は、光軸B1・B3の透光/遮光の検出状況及び検出タイミング毎に切り替わる案内表示のフローを示している。
【0031】
本実施形態では、タイヤ検出装置5と入車側センサ19との間の距離d1は、光電センサC1と光電センサC2との間の距離d2よりも離れている。すなわち、入車側センサ19は、泥などによって異常が発生しやすいタイヤ検出装置5から離れた位置に設けられている。より具体的には、入車側センサ19(光軸B3)の地面Gからの設置高さh1が、光電センサC1・C2(光軸B1・B2)の地面Gからの設置高さh2よりも高くしている。これにより、入車側センサ19が例えば泥などの影響を受けて異常と認定されるのを防いでいる。したがって、停車補助装置200が安定に動作し、自動車AMを所定の停車位置に停車させることができる。
【0032】
洗車受付が完了してゲート装置4が開くと、両光軸B1・B3が透光している状態で、ガイド表示器9に「前進」の案内表示を行い、光軸B1・B3の透光/遮光状況を監視していく(図5(a))。通常、ドライバーは、このガイド表示に従い自動車AMを洗車エリアAへ乗り入れていき、タイヤ検出装置5のタイヤ止め8を目安に前進させることとなる。
【0033】
図5(a)に示す状態から、自動車AMが前進していくと、タイヤ(前輪)が光軸B1を遮光した状態となる(図5(b))。このとき、自動車AMが停車位置に達したと判断してガイド表示器9で「停止」の案内表示を行い、ドライバーに停車を促す。ドライバーは、この案内に従って自動車AMの走行を停止させれば良く、停車位置に停車された状態が所定時間以上継続されると、停車が確定し、洗車装置100では洗車動作へ移行する。
【0034】
図5(b)に示す状態から、自動車AMが更に前進していくと、自動車AMの車体が光軸B3を遮光し、光軸B1・B3が両方とも遮光された状態となる(図5(c))。このときもガイド表示器9で「停止」の案内表示を行い、ドライバーに停車を促す。停車位置に停車された状態が所定時間以上継続されると、停車が確定し、洗車装置100では洗車動作へ移行する。
【0035】
しかしながら、図5(c)に示す状態から、自動車AMが更に前進してしまうと、タイヤ(前輪)が停車位置を通り抜け、光軸B1が遮光から透光に転じた状態となる(図5(d))。このとき、自動車AMが停車位置から行き過ぎたと判断してガイド表示器9で「後進」の案内表示を行い、ドライバーに後進を促す。
【0036】
図5(d)に示す状態から、ドライバーがガイド表示器9で「後進」の案内表示が出されているにも関わらず自動車AMが更に前進してしまうと、光軸B1・B3の両方とも遮光された状態となる(図5(e))。このとき、タイヤ検出装置5が自動車AMの後輪を検出したと判断してガイド表示器9で「停止」の案内表示を行う。また、タイヤ検出装置5で自動車の後輪を検出することは明らかな異常状態であるため、ガイド表示の他に音声出力して正しい位置へ戻るよう警告することが望ましい。他方、図5(d)に示す状態から、自動車AMが後進していくと、図5(c)に示す状態となる。
【0037】
このように、タイヤ検出装置5がタイヤ(前輪)を検出するまでは、ガイド表示器9へ「前進」の表示をさせ、タイヤ検出装置5がタイヤ(前輪)を検出したときに「停止」の表示をさせることができる。また、再びタイヤ検出装置5がタイヤ(前輪)を検出しなくなると、自動車AMの移動方向を判断して「前進」もしくは「後進」の表示をさせることができる。このようにドライバーに案内を表示することで、自動車AMを所定の停車位置に停車させることができる。
【0038】
次に、光軸チェックで光軸B1・B2の両方が正常と認められた場合、停車案内にはタイヤ検出装置5のみを用いた停車案内を行うことができる。以下、自動車AMが洗車エリアAへ進入する際のタイヤ検出装置5に基づく停車案内について、図6を用いて説明する。図6は光軸B1・B2の透光/遮光の検出状況及び検出タイミング毎に切り替わる案内表示のフローを示している。
【0039】
洗車受付が完了してゲート装置4が開くと、両光軸B1・B2が透光している状態で、ガイド表示器9に「前進」の案内表示を行い(図6(a))、タイヤ検出装置5の透光/遮光状況を監視していく。ドライバーは、このガイド表示に従い自動車AMを洗車エリアAへ乗り入れていき、タイヤ検出装置5のタイヤ止め8を目安に進入させる。自動車AMの進入に伴い、タイヤ(前輪)が光軸B1を遮光し(図6(b))、続いて光軸B2も遮光して両光軸が両方とも遮光されると(図6(c))、自動車AMが停車位置に達したと判断してガイド表示器9で「停止」の案内表示を行い、ドライバーに停車を促す。ドライバーは、この案内に従って自動車AMの走行を停止させれば良く、停車位置に停車された状態が所定時間以上継続されると、停車が確定し洗車動作へ移行する。
【0040】
タイヤ(前輪)が停車位置を通り抜け、光軸B1が遮光から透光に転じると(図6(d))、自動車AMが停車位置から行き過ぎたと判断してガイド表示器9で「後進」の案内表示を行い、ドライバーに後進を促す。ドライバーは、この案内に従って自動車AMをバックさせることで、自動車AMを所定の停止位置に停車させることができる。
【0041】
ドライバーがガイド表示器9で「後進」の案内表示が出されているにも関わらず自動車AMを前進させ続け、両光軸B1・B2が透光に転じると(図6(e))、タイヤ(前輪)がタイヤ検出装置5を突き抜けたと判断して、次に遮光される光軸によって案内表示を切り替える。すなわち、光軸B1・光軸B2が透光から遮光に転じる順番からタイヤ検出装置5で検出されるタイヤが前輪か後輪かを判別している。
【0042】
ここで、光軸B2が先に遮光されると(図6(d))、自動車AMの後進によりタイヤ検出装置5が自動車AMの前輪を検出したと判断してガイド表示器9で「後進」の案内表示を継続させ、続いて光軸B1も遮光して両光軸が遮光されると、自動車AMが停車位置に達したと判断してガイド表示器9で「停止」の案内表示を行う。
【0043】
一方、光軸B1が先に遮光されると(図6(f))、自動車AMが前進を続けタイヤ検出装置5が自動車の後輪を検出したと判断してガイド表示器9で「後進」の案内表示を継続させ、続いて光軸B2も遮光して両光軸が両方とも遮光されると(図6(g))、ガイド表示器9で「停止」の案内表示を行う。尚、タイヤ検出装置5で自動車AMの後輪を検出することは明らかな異常状態であるため、ガイド表示の他に音声出力して正しい位置へ戻るよう警告することが望ましい。
【0044】
このように、タイヤ検出装置5がタイヤ(前輪)を検出するまでは、ガイド表示器9へ「前進」の表示をさせ、タイヤ検出装置5がタイヤ(前輪)を検出したときに「停止」の表示をさせ、再びタイヤ検出装置5がタイヤ(前輪)を検出しなくなると、自動車AMの移動方向を判断して「前進」もしくは「後進」の表示をさせて、自動車AMを確実に所定の停止位置へ案内することができる。
【0045】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0046】
上記説明では、洗車装置に利用した場合を例示しているが、洗車装置以外であっても、自動車を所定の停車位置に案内するための機能として広く応用することができる。また、洗車装置としても上記説明のドライブスルー方式の洗車装置以外のセルフサービス洗車装置にも適用できる。また、タイヤ検出装置として、透過型の光電センサを用いているが、反射式の光電センサ、超音波センサ、タイヤ踏圧で変形する圧力スイッチ、光ファイバーなど検出媒体に限定はない。
【0047】
また、前記実施形態では、タイヤ検出装置(タイヤ検出部)が二つのセンサを備えて構成される場合について説明した。これに限らず、三つ以上を備えて構成される場合であってもよく、一つのセンサが正常であればその検出結果と車体検出部の検出結果をもとにドライバーに案内を表示させることができる。
【0048】
また、前記実施形態では、車体検出部として洗車機本体の前部に設けた入車側センサを適用した場合について説明した。これに限らず、汚れにくい場所であれば、例えば洗車機本体の内部側や、地面に設けられた保護ケース内に車体検出部としてのセンサを設けてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 洗車機本体、 2 レール、 3 洗車受付装置、 4 ゲート装置、 5 タイヤ検出装置、 6 センサユニット、 6a、6b 発光部、 6c カバー、 7 センサユニット、 7a、7b 受光部、 7c カバー、 8 タイヤ止め、 9 ガイド表示器、 10 トップブラシ、 11 サイドブラシ、 12 トップノズル、 13 サイドノズル、 14 シャンプー散布パイプ、 15 ワックス散布パイプ、 16 水散布パイプ、 17 走行検出装置、 18 車形検出装置、 19 入車側センサ、 20 退車側センサ、 21 エリアセンサ、 22 洗車制御ボード、 23 受付制御ボード、 24 伝送ケーブル、 25 洗車駆動部、 26 受付操作パネル、 100 洗車装置、 200 停車補助装置、 A 洗車エリア、 AM 自動車、 B1、B2、B3 光軸、 C1、C2 光電センサ、 G 地面、 h1、h2 検知高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6