(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/9535 20190101AFI20230221BHJP
G06F 16/9537 20190101ALI20230221BHJP
G06Q 30/02 20230101ALI20230221BHJP
【FI】
G06F16/9535
G06F16/9537
G06Q30/02
(21)【出願番号】P 2019080256
(22)【出願日】2019-04-19
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】草野 真史
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/064380(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/186393(WO,A1)
【文献】特開2000-056720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの端末装置から取得される前記ユーザの位置座標と地図データに登録されている実店舗の位置座標とを照合することで、或いは前記位置座標のログデータと前記実店舗の位置座標とが対応する頻度に基づいて、前記ユーザが実店舗を訪問したことを推定または検知する実店舗訪問認識部と、
実店舗に付与された第1カテゴリと、電子商取引で扱われる商品に付与された第2カテゴリとの対応関係を示す対応情報を参照して、前記実店舗訪問認識部により訪問が推定または検知された実店舗の第1カテゴリに対応する第2カテゴリを取得し、前記実店舗訪問認識部により推定または検知されたユーザの実店舗への訪問タイミングから所定時間が経過したタイミングで、前記取得した第2カテゴリの商品を前記ユーザに対してレコメンドすることを決定するレコメンド制御部と、
を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記所定時間は、前記実店舗訪問認識部により推定または検知された実店舗
への訪問タイミングと、前記実店舗に訪問したユーザと同じユーザによる電子商取引または実店舗における商品の購入
タイミングとの時間差を解析する解析処理によって得られた時間に基づき算出される時間である、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定時間は、前記解析処理によって得られた実店舗の訪問タイミングと商品の購入タイミングとの
時間差よりも短い時間である、
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記実店舗訪問認識部により推定または検知された実店舗
への訪問タイミングと、前記実店舗に訪問したユーザと同じユーザによる電子商取引または実店舗における商品の購入
タイミングとの時間差を解析する解析処理により、前記所定時間を算出する解析処理部をさらに備える、
請求項2または3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記レコメンド制御部は、更にユーザによる商品の検索履歴に基づき、前記第1カテゴリに対応する前記第2カテゴリの商品を取得する、
請求項1から
4のうちいずれか1項記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが、
ユーザの端末装置から取得される前記ユーザの位置座標と地図データに登録されている実店舗の位置座標とを照合することで、或いは前記位置座標のログデータと前記実店舗の位置座標とが対応する頻度に基づいて、前記ユーザが実店舗を訪問したことを推定または検知し、
実店舗に付与された第1カテゴリと、電子商取引で扱われる商品に付与された第2カテゴリとの対応関係を示す対応情報を参照して、訪問が推定または検知された実店舗の第1カテゴリに対応する第2カテゴリを取得し、前記推定または検知されたユーザの実店舗への訪問タイミングから所定時間が経過したタイミングで、前記取得した第2カテゴリの商品を前記ユーザに対してレコメンドすることを決定する、
情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
ユーザの端末装置から取得される前記ユーザの位置座標と地図データに登録されている実店舗の位置座標とを照合することで、或いは前記位置座標のログデータと前記実店舗の位置座標とが対応する頻度に基づいて、前記ユーザが実店舗を訪問したことを推定または検知する処理と、
実店舗に付与された第1カテゴリと、電子商取引で扱われる商品に付与された第2カテゴリとの対応関係を示す対応情報を参照して、訪問が推定または検知された実店舗の第1カテゴリに対応する第2カテゴリを取得し、前記推定または検知されたユーザの実店舗への訪問タイミングから所定時間が経過したタイミングで、前記取得した第2カテゴリの商品を前記ユーザに対してレコメンドすることを決定する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、EC(electronic commerce)サイトの普及に伴い、ネットワークを介した商品の購入がユーザに浸透しつつある。ECサイトにおいては、商品の種類が膨大なため、ユーザが購入対象の商品を探すことが困難な場合がある。これに関連し、特許文献1に記載の技術では、ECサイトにおいて、ユーザが商品を購入する際、ユーザの商品の購買履歴に基づいてユーザの趣向を推定し、商品と合わせて購入されやすい他の商品を選択してユーザに推奨する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、ECサイトにおけるユーザの趣向推定に限定されており、ユーザの購買意欲を高めることができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、ユーザの購買意欲を高めることができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ユーザが実店舗を訪問したことを推定または検知する実店舗訪問認識部と、実店舗に付与された第1カテゴリと、電子商取引で扱われる商品に付与された第2カテゴリとの対応関係を示す対応情報を参照して、前記実店舗訪問認識部により訪問が推定または検知された実店舗の第1カテゴリに対応する第2カテゴリを取得し、前記実店舗訪問認識部により推定または検知されたユーザの実店舗への訪問タイミングから所定時間が経過したタイミングで、前記取得した第2カテゴリの商品を前記ユーザに対してレコメンドすることを決定するレコメンド制御部と、を備える、情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、ユーザの購買意欲を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理装置100の構成と使用環境の一例を示す図である。
【
図2】ユーザデータ70の内容の一例を示す図である。
【
図4】検索結果表示画面IM2の一例を示す図である。
【
図6】商品データ72の内容の一例を示す図である。
【
図7】ログデータ74の内容の一例を示す図である。
【
図8】位置データ210の内容の一例を示す図である。
【
図9】実店舗データ310の内容の一例を示す図である。
【
図10】対応情報150の内容の一例を示す図である。
【
図11】情報処理装置100による処理の概要の一例を示す図である。
【
図12】情報処理装置100による処理の概要の一例を示す図である。
【
図13】情報処理装置100による処理の概要の一例を示す図である。
【
図14】時間差データ152の内容の一例を示す図である。
【
図15】情報処理装置100による処理の概要の一例を示す図である。
【
図16】時間差データ152の分布の一例を示す図である。
【
図17】時間差データ152の代表値に対するオフセット量とコンバージョン率との対応関係の一例を示す図である。
【
図18】情報処理装置100の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[概要]
以下、図面を参照し、本発明の情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。情報処理装置は、一以上のプロセッサにより実現される。情報処理装置は、例えば、電子商取引に係るショッピング(ネットショッピング)、オークションまたはフリーマーケット、ゴルフコースの運営、英会話レッスンなど、種々のサービスをユーザに提供する主体を支援する装置である。以下の説明では、サービスは電子商取引に係るショッピングであるものとする。
【0010】
ショッピングに適用される情報処理装置は、ショッピングサイトを管理するショッピングサーバなどに包含される装置であってもよい。すなわち、情報処理装置は、仮想的な装置であってもよい。また、情報処理装置は、ショッピングサーバそのものであってもよい。以下では、情報処理装置がショッピングサーバとは別体の装置であるものとして説明する。ショッピングサーバは、ブラウザからのリクエストに応じてショッピングサイトを提供するものであってもよいし、スマートフォンなどにインストールされたアプリケーションプログラムからのリクエストに応じてショッピングサイトと同様のコンテンツを提供するものであってもよい。以下の説明では、ショッピングサイトは前者であるものとする。
【0011】
[全体構成]
図1は、情報処理装置100の構成と使用環境の一例を示す図である。情報処理装置100は、ネットワークNWを介して、端末装置10、ショッピングサーバ50、位置情報サーバ200、および実店舗情報サーバ300と通信する。ショッピングサーバ50は、ネットワークNWを介して、端末装置10と通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ端末、専用回線などを含む。
【0012】
端末装置10は、例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどの携帯電話、タブレット端末などである。これらにおいて、ブラウザやアプリケーションプログラムなどのUA(User Agent)20が起動する。UA20は、ショッピングサーバ50から提供された販売画面を表示すると共に、端末装置10のユーザによってなされた入力操作に応じたリクエストをショッピングサーバ50に送信する。
【0013】
[ショッピングサーバ]
ショッピングサーバ50は、例えば、サイト提供部52と、ログ収集部54と、ランキング処理部56とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの一以上のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0014】
また、ショッピングサーバ50は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置に、ユーザデータ70、商品データ72、ログデータ74などのデータを格納している。この記憶装置は、ショッピングサーバ50に付随するものであってもよいし、ショッピングサーバ50がネットワークNWを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)であってもよい。
【0015】
サイト提供部52は、ユーザデータ70を参照しつつ、以下に説明する各種処理を行う。
図2は、ユーザデータ70の内容の一例を示す図である。ユーザデータ70は、例えば、氏名、性別、年齢、職業などの情報が、ユーザIDに対応付けられたデータである。
【0016】
サイト提供部52は、ショッピングサイトとしての各種画面を端末装置10に提供する。
図3は、検索入力画面IM1の一例を示す図である。検索入力画面IM1には、商品を検索するためのクエリを入力するためのクエリ入力欄A1、および、入力されたクエリで検索を実行させるための検索ボタンB1が設けられている。クエリ入力欄A1にクエリが入力され、検索ボタンB1が操作されると、検索結果表示画面IM2に遷移する。このとき、サイト提供部52は、クエリをランキング処理部56に出力してランキング処理を依頼する。なお、クエリではなくカテゴリが選択された場合も、同様に検索結果表示画面IM2に遷移する。
【0017】
図4は、検索結果表示画面IM2の一例を示す図である。検索結果表示画面IM2には、検索結果表示欄A2が含まれる。検索結果表示欄A2には、ランキング処理部56によって決定されたランキング順に、スクロールすることで視認可能な数の商品の画像や説明が、ポジション順に並べて表示される。検索結果表示画面IM2において一つの商品の画像や説明が操作(選択)されると、商品販売画面IM3に遷移する。
【0018】
図5は、商品販売画面IM3の一例を示す図である。商品販売画面IM3には、商品画像表示欄A3-1、タイトル欄A3-2、詳細説明欄A3-3などが含まれる。タイトル欄A3-2や詳細説明欄A3-3には、選択された商品(選択商品)の製造元、商品の素材、使用、その他の内容がテキストとして掲載される。商品販売画面IM3に対する操作によって、購入者により商品が購入される。
【0019】
各種画面に埋め込まれる情報は、商品データ72から取得される。
図6は、商品データ72の内容の一例を示す図である。商品データ72は、例えば、商品の識別情報である商品IDに対して、カテゴリID、商品のカテゴリ(第2カテゴリ)、商品画像、タイトル、詳細説明、価格、その他のデータが対応付けられたものである。これらのうち、商品IDは、不図示の出品受付部により付番された情報であり、その他の情報は、販売者により入力されたものである。カテゴリは、例えば階層的に設定される。図示の例では、例えば、階層がハイフンによって示されており、「3」が「飲食品」、「35」が「飲食品」の下位階層の「お酒」を示している。また、図示の例では、例えば「2」が「スポーツ用品」、「23」が「スポーツ用品」の下位階層の「ゴルフ用品」を示している。商品データ72のタイトルは、タイトル欄A3-2に表示され、商品データ72の詳細説明は、詳細説明欄A3-3に表示される。
【0020】
ログ収集部54は、ユーザごとのショッピングサイトの利用履歴を収集し、ログデータ74に登録する。
図7は、ログデータ74の内容の一例を示す図である。ログデータ74は、例えば、閲覧ページの識別情報(例えばURL:Uniform Resource Locator)に対して、閲覧時刻、検索結果表示画面であれば紹介商品の商品ID、商品販売画面であれば購入情報などが対応付けられたデータである。購入情報には、購入された商品の商品IDなどが含まれる。
【0021】
ランキング処理部56は、サイト提供部52から渡されたクエリに基づいて、商品を順位付けして選択し、サイト提供部52に渡す。例えば、ランキング処理部56は、まずクエリを用いて商品データ72を検索し、タイトルまたは商品詳細の中にクエリが含まれる商品を抽出する。そして、ランキング処理部56は、抽出した商品の特徴量(PV数、クエリとのマッチ度合い、価格など)をランキング用モデルに入力することで商品ごとのスコアを導出し、スコアが高い商品から順に選択してサイト提供部52に渡す。なお、ランキング処理については本発明の中核をなすものではないため、詳細な説明を省略する。
【0022】
[情報処理装置]
図1に戻り、情報処理装置100は、例えば、データ取得部102と、認識部104と、レコメンド制御部106と、結果出力部108と、解析処理部110とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。なお、解析処理部110と、その他の構成要素とは、別体の情報処理装置に実装されてもよい。
【0023】
データ取得部102は、位置情報サーバ200、実店舗情報サーバ300、およびショッピングサーバ50から、処理に必要なデータを取得する。
【0024】
図8は、位置情報サーバ200が管理する位置データ210の内容の一例を示す図である。位置情報サーバ200は、ユーザの端末装置10がGPS衛星から受信したGPS信号に基づいて特定したユーザの位置座標を、端末装置10からネットワークNWを通じて所定の時間間隔で取得する。また、位置情報サーバ200は、端末装置10から取得したユーザの位置座標を、端末装置10に登録されているユーザID、および、ユーザの位置座標を取得した時刻に関連付けて位置データ210として登録する。
【0025】
図9は、実店舗情報サーバ300が管理する実店舗データ310の内容の一例を示す図である。この例では、実店舗データ310には、実店舗の識別情報である実店舗IDに対し、実店舗の名称、カテゴリID、実店舗のカテゴリ(第1カテゴリ)、実店舗の位置座標が関連付けられている。実店舗のカテゴリは、例えば階層的に設定される。図示の例では、例えば、階層がハイフンによって示されており、「1」が「レジャー施設」、「11」が「レジャー施設」の下位階層の「ゴルフ場」、「12」が「レジャー施設」の下位階層の「屋外プール」を示している。
【0026】
認識部104は、位置情報サーバ200が管理する位置データ210からユーザの位置座標を、データ取得部102を通じて取得する。また、認識部104は、位置情報サーバ200から取得したユーザの位置座標に基づき、実店舗情報サーバ300が管理する実店舗データ310を参照して、ユーザが実店舗を訪問したことを推定または検知する。認識部104は、「実店舗訪問認識部」の一例である。この場合、認識部104は、例えば、位置情報サーバ200から取得したユーザの位置座標と、地図データに登録されている実店舗の位置座標とを照合し、照合が成立した場合に、ユーザが実店舗を訪問したことを検知する。また、認識部104は、例えば、位置情報サーバ200からユーザの位置情報のログデータを所定の時間間隔で取得し、実店舗の位置座標に対応するログデータのデータ数が所定の閾値以上である場合に、ユーザが実店舗を訪問したことを推定してもよい。
【0027】
レコメンド制御部106は、実店舗に付与されたカテゴリと、電子商取引で扱われる商品に付与されたカテゴリとの対応関係を示す対応情報150を参照して、認識部104によりユーザの訪問が推定または検知された実店舗のカテゴリに対応する商品のカテゴリを取得する。レコメンド制御部106は、取得したカテゴリの商品をレコメンドすることを決定する。この場合、レコメンド制御部106は、例えば、取得したカテゴリの商品の購入を促す通知を、結果出力部108からネットワークNWを通じてユーザの端末装置10に出力する。なお、商品の購入を促す通知は、例えば、プッシュ通知でもよいし、検索結果表示画面IM2内での商品の画像表示でもよい。
【0028】
図10は、情報処理装置100が管理する対応情報150のデータの一例を示す図である。この例では、対応情報150は、実店舗に付与されたカテゴリ、および、電子商取引で扱われる商品に付与されたカテゴリのそれぞれは、階層的に設定されている。図示の例では、実店舗に対する上位のカテゴリの一例として「スポーツ施設」が付与されており、「スポーツ施設」の下位のカテゴリとして「ゴルフ場」、「テニスコート」を含む複数のカテゴリが付与されている。また、図示の例では、商品に対する上位のカテゴリの一例として「スポーツ用品」がスポーツの種別ごとに付与されており、「スポーツ用品」の下位のカテゴリとして、ゴルフに関連するカテゴリ、テニスに関連するカテゴリを含むスポーツの種別ごとのカテゴリが付与されている。ゴルフに関連する下位のカテゴリは、「ゴルフクラブ」、「ゴルフシューズ」などを含み、テニスに関連する下位のカテゴリは、「テニスラケット」、「テニスウェア」などを含む。そして、図示の例では、実店舗に付与された上位のカテゴリの一例である「スポーツ施設」に対し、上位のカテゴリおよび下位のカテゴリを含め、スポーツに関連する商品のカテゴリが対応付けられている。また、図示の例では、実店舗に付与された下位のカテゴリの一例である「ゴルフ場」に対し、上位のカテゴリおよび下位のカテゴリを含め、ゴルフに関連する商品のカテゴリが対応付けられている。
【0029】
図11は、情報処理装置100が商品のレコメンドを実行する場合の処理の一例を説明するための図である。図示の例では、まず、認識部104は、ユーザの訪問先の実店舗を推定または検知する。そして、レコメンド制御部106は、ユーザの訪問先の実店舗に対応する実店舗IDをキーとして、実店舗データ310を参照して、実店舗のカテゴリを取得する。次に、レコメンド制御部106は、対応情報150を参照して、実店舗のカテゴリに対応する商品のカテゴリを取得する。また、レコメンド制御部106は、ショッピングサーバ50が管理する商品データ72を参照して、商品のカテゴリに対応する商品のデータを取得する。そして、レコメンド制御部106は、取得した商品のレコメンドをユーザの端末装置10に通知する。
【0030】
図12は、情報処理装置100が商品のレコメンドを実行する場合の処理の他の一例を説明するための図である。図示の例では、まず、認識部104は、ユーザの訪問先の実店舗を推定または検知する。そして、レコメンド制御部106は、ユーザの訪問先の実店舗に対応する実店舗IDをキーとして、対応情報150を参照して、実店舗のカテゴリに対応する商品のカテゴリを取得する。この場合、レコメンド制御部106は、対応情報150に加えて、ユーザによる商品の検索履歴に基づき、実店舗のカテゴリに対応する商品のカテゴリの中から商品を絞り込む。図示の例では、レコメンド制御部106は、ユーザの訪問先の実店舗が「ゴルフ場」であるため、「ゴルフ場」という実店舗のカテゴリに対応する、ゴルフに関連する商品のカテゴリを選択する。また、レコメンド制御部106は、ゴルフに関連する商品のカテゴリの中から、ユーザによる商品の検索対象である「スポーツ用品」という商品のカテゴリに対応する商品を絞り込む。なお、この例では、商品の検索対象のキーワードと、絞り込みの対象となる商品のカテゴリとが一致する場合を例に挙げて説明した。ただし、商品の検索対象のキーワードと、絞り込みの対象となる商品のカテゴリとが必ずしも一致する必要はなく、これらの間である程度の相関関係を有していればよい。そして、レコメンド制御部106は、絞り込んだ商品のレコメンドをユーザの端末装置10に通知する。
【0031】
図13は、情報処理装置100が商品のレコメンドを実行する場合の処理の他の一例を説明するための図である。図示の例では、まず、認識部104は、ユーザの訪問先の実店舗を推定または検知する。そして、レコメンド制御部106は、ユーザの訪問先の実店舗に対応する実店舗IDをキーとして、対応情報150を参照して、実店舗のカテゴリに対応する商品のカテゴリを取得する。この場合、レコメンド制御部106は、対応情報150に加えて、ショッピングサーバ50が管理するユーザデータ(ユーザの個人情報)に基づき、実店舗のカテゴリに対応する商品のカテゴリの中から商品を絞り込む。図示の例では、レコメンド制御部106は、ユーザの訪問先の実店舗が「ゴルフ場」であるため、「ゴルフ場」という実店舗のカテゴリに対応する、ゴルフに関連する商品のカテゴリを選択する。図示の例では、レコメンド制御部106は、ユーザの訪問先の実店舗が「ゴルフ場」であるため、「ゴルフ場」という実店舗のカテゴリに対応する、ゴルフに関連する商品のカテゴリを選択する。また、レコメンド制御部106は、ユーザが「女性」であることから、「スポーツ用品」というカテゴリの商品の中から、「女性」による購入が想定される商品を絞り込む。なお、「女性」による購入が想定される商品は、女性向けの商品に加え、ユーザの性別に関係なく使用される商品を含む。そして、レコメンド制御部106は、絞り込んだ商品のレコメンドをユーザの端末装置10に通知する。
【0032】
レコメンド制御部106は、認識部104により推定または検知されたユーザの実店舗への訪問タイミングと現在時刻とを比較することで所定時間を計測する。レコメンド制御部106は、認識部104により推定または検知されたユーザの実店舗への訪問タイミングから所定時間が経過したタイミングで、取得したカテゴリの商品をレコメンドすることを決定する。所定時間は、認識部104により推定または検知された実店舗の訪問の履歴と電子商取引または実店舗における商品の購入の履歴とに基づく解析処理によって得られた時間である。なお、レコメンド制御部106は、認識部104により推定または検知されたユーザの実店舗への訪問タイミングを認識部104により推定または検知した時点でタイマーのカウントを開始し、タイマーのカウント値に基づき、所定時間を計測してもよい。
【0033】
解析処理部110は、認識部104により推定または検知されたユーザの実店舗への訪問タイミングと、電子商取引または実店舗でのユーザによる商品の購入タイミングとの時間差を時間差データ152として登録する。そして、解析処理部110は、時間差データ152に基づき、所定時間を算出する。
【0034】
図14は、時間差データ152の内容の一例を示す図である。図示の例では、時間差データ152は、同一のユーザが実店舗を訪問した後に商品を購入した場合、実店舗の訪問日、電子商取引または実店舗での商品の購入日、および訪問日と購入日との時間差が互いに対応付けられている。この例では、時間差データ152には、ユーザごとに区別することなく、実店舗の訪問日、商品の購入日、および訪問日と購入日との時間差が互いに対応付けられて管理されている。なお、時間差データ152は、ユーザIDをキーとして、実店舗の訪問日、商品の購入日、および訪問日と購入日との時間差が互いに対応付けられてユーザごとに管理されてもよい。
【0035】
図15は、情報処理装置100が時間差データ152を登録する場合の処理の一例を説明するための図である。図示の例では、まず、解析処理部110は、実店舗を訪問したと認識されたユーザの端末装置10からネットワークNWを通じて当該ユーザのユーザIDおよび認識部104により認識された訪問日を取得する。
【0036】
次に、解析処理部110は、電子商取引または実店舗で商品が購入された場合、当該商品を購入したユーザの端末装置10またはショッピングサーバ50からネットワークNWを通じて当該商品を購入したユーザのユーザIDおよび購入日を取得する。解析処理部110は、ショッピングサーバ50から取得した情報に基づいて、ユーザが電子商取引により商品を購入したことを検知する。また、解析処理部110は、ユーザの端末装置10から取得した情報に基づいて、ユーザが実店舗で商品を購入したことを検知する。ユーザの端末装置10から取得する情報は、例えば、クレジットカードの決済情報などを含む。なお、解析処理部110は、例えば、クレジットカードの決済情報を管理する決済情報サーバから取得した情報に基づいて、ユーザが電子商取引または実店舗において商品を購入したことを検知してもよい。
【0037】
次に、解析処理部110は、実店舗を訪問したユーザに対応するユーザIDと、電子商取引または実店舗で商品を購入したユーザに対応するユーザIDとが一致するか否かを判定する。解析処理部110は、ユーザIDが一致すると判定した場合、実店舗の訪問日と、電子商取引または実店舗での商品の購入日との時間差を算出する。また、解析処理部110は、算出した時間差を、実店舗の訪問日、および、電子商取引または実店舗での商品の購入日と対応付けて時間差データ152に登録する。
【0038】
図16は、時間差データ152に含まれる時間差の分布の一例を示す図である。
図16に示すグラフの縦軸は、時間差のデータが取得された頻度を示し、横軸は、実店舗の訪問日と電子商取引または実店舗での商品の購入日との時間差を示す。実店舗の訪問日と、電子商取引または実店舗での商品の購入日との時間差は、訪問先の実店舗と商品の購入先となる店舗との組み合わせ、または、ユーザの趣向などに応じて変化する。この場合、商品の購入先となる店舗は、実店舗だけでなく、電子商取引に用いる仮想店舗を含む。一般には、訪問先の実店舗と商品の購入先となる実店舗との距離が長い場合、訪問先の実店舗と商品の購入先となる実店舗との距離が短い場合と比較して、実店舗の訪問日と電子商取引または実店舗での商品の購入日との時間差が大きくなる。また、ショッピングの頻度が相対的に少ないユーザは、ショッピングの頻度が相対的に多いユーザと比較して、実店舗の訪問日と電子商取引または実店舗での商品の購入日との時間差が大きくなる。そのため、図示の例のように、時間差データ152に含まれる時間差の分布はある程度のばらつきを有する。
【0039】
解析処理部110は、例えば、時間差データ152に含まれる時間差の分布に対して解析処理を行う。本実施形態では、解析処理部110は、解析処理の一例として、時間差の分布に対して統計処理を行い、時間差の代表値を時間差の解析結果として算出する。時間差の代表値は、例えば、時間差の平均値、中央値、中間度などを含む。また、解析処理部110は、算出した時間差の代表値からオフセット量を差し引いた時間を所定時間として設定する。所定時間は、解析処理によって得られた解析結果よりも短い時間である。
【0040】
図17は、解析処理部110がオフセット量を最適化する場合の処理の一例を示す図である。
図17に示すグラフの縦軸は、ユーザに対して商品がレコメンドされた場合のコンバージョン率を示し、横軸は、時間差の代表値と所定時間との差分に相当するオフセット量を示す。図示の例では、解析処理部110は、オフセット量を段階的に変化させた場合のコンバージョン率を評価している。コンバージョン率は、商品のレコメンドが通知されたユーザのうち、実際に商品を購入したユーザの比率を示している。オフセット量が変化した場合、ユーザが実店舗を訪問したタイミングから、ユーザに対して商品がレコメンドされるタイミングまでの期間の長さが変化する。これにより、商品のレコメンドの通知によりユーザの購買意欲に与える影響の度合いが変化する。この例では、解析処理部110は、オフセット量を段階的に変化させ、オフセット量の変化量ごとに算出されるコンバージョン率を比較する。そして、解析処理部110は、コンバージョン率が最大となった場合、ユーザの購買意欲が最も高まったものとして処理し、そのときのオフセット量を最適値として算出する。
【0041】
図18は、実施形態に係る情報処理装置100が、商品のレコメンドの通知タイミングを制御する場合の動作を説明するための図である。
【0042】
まず、ユーザが実店舗を訪問した後に、ユーザが実店舗で商品を購入する前のタイミングで、商品のレコメンドをユーザの端末装置10に通知する場合の情報処理装置100の動作について説明する。この場合、ユーザの訪問先となる実店舗と商品の購入先となる実店舗とは、共通の実店舗でもよいし、互いに異なる実店舗でもよい。この例では、解析処理部110は、まず、認識部104によりユーザが実店舗を訪問したことが推定または検知された場合、時間差データ152に含まれる時間差の分布を参照して、時間差の代表値を算出する。この場合、解析処理部110は、時間差データ152に登録されている時間差のうち、ユーザが実店舗を訪問した後にユーザが実店舗で商品を購入した場合に取得された時間差に基づき、実店舗用のオフセット量を事前に算出しておく。そして、解析処理部110は、時間差の代表値から実店舗用のオフセット量を差し引いた値を所定時間として算出する。時間差の代表値は、ユーザが実店舗を訪問したタイミングから、ユーザが実店舗で商品を購入するタイミングまでの時間差に相当し、この時間差よりも短い時間として所定時間が設定されている。また、レコメンド制御部106は、認識部104によりユーザが実店舗を訪問したことを推定または検知されたタイミングから、解析処理部110により算出された所定時間が経過したタイミングで、商品のレコメンドをユーザの端末装置10に通知する。
【0043】
次に、ユーザが実店舗を訪問した後に、ユーザが電子商取引により商品を購入する前のタイミングで、商品のレコメンドをユーザの端末装置10に通知する場合の情報処理装置100の動作について説明する。この例では、解析処理部110は、まず、認識部104によりユーザが実店舗を訪問したことが推定または検知された場合、時間差データ152に含まれる時間差の分布を参照して、時間差の代表値を算出する。この場合、解析処理部110は、時間差データ152に登録されている時間差のうち、ユーザが実店舗を訪問した後にユーザが電子商取引で商品を購入した場合に取得された時間差に基づき、電子商取引用のオフセット量を事前に算出しておく。そして、解析処理部110は、時間差の代表値から電子商取引用のオフセット量を差し引いた値を所定時間として算出する。時間差の代表値は、ユーザが実店舗を訪問したタイミングから、ユーザが電子商取引で商品を購入するタイミングまでの時間差に相当し、この時間差よりも短い時間として所定時間が設定されている。そして、レコメンド制御部106は、認識部104によりユーザが実店舗を訪問したことを推定または検知されたタイミングから、解析処理部110により算出された所定時間が経過したタイミングで、商品のレコメンドをユーザの端末装置10に通知する。
【0044】
以上説明した実施形態によれば、ユーザが実店舗を訪問したことを推定または検知する認識部104と、実店舗に付与されたカテゴリと、電子商取引で扱われる商品に付与されたカテゴリとの対応関係を示す対応情報150を参照して、認識部104により訪問が推定または検知された実店舗のカテゴリに対応する商品のカテゴリを取得し、認識部104により推定または検知されたユーザの実店舗への訪問タイミングから所定時間が経過したタイミングで、取得したカテゴリの商品をユーザに対してレコメンドすることを決定するレコメンド制御部106とを備えることにより、適切なタイミングにおいてユーザにレコメンドすることができ、ユーザの購買意欲を高めることができる。
【0045】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0046】
10 端末装置
50 ショッピングサーバ
100 情報処理装置
102 データ取得部
104 認識部
106 レコメンド制御部
108 結果出力部
110 解析処理部
150 対応情報
152 時間差データ