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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】照明装置及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20230221BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20230221BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20230221BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20230221BHJP
   F21V 29/56 20150101ALI20230221BHJP
   F21V 29/60 20150101ALI20230221BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20230221BHJP
   F21V 14/06 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N21/84 E
F21V5/00 510
F21V5/04 600
F21V29/56
F21V29/60
F21V29/503
F21V14/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019087440
(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公開番号】P2020184562
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】石渡 研志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-039871(JP,A)
【文献】特開2004-354047(JP,A)
【文献】特開平04-000408(JP,A)
【文献】特開2019-032471(JP,A)
【文献】特開平09-015163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01N 21/84
F21V 5/00
F21V 5/04
F21V 29/56
F21V 29/60
F21V 29/503
F21V 14/06
F21K 9/00
F21S 2/00
G01B 11/00
G01B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン状に並んで配列された複数の光源と、
前記複数の光源を覆うように、前記複数の光源の配列方向に延びたシリンドリカルレンズと、
前記複数の光源と、前記シリンドリカルレンズとの間において、前記配列方向に配列された複数の微小シリンドリカルレンズを含むシリンドリカルレンズアレーと、
を備え、
前記微小シリンドリカルレンズは、前記光源が生成した照明光を前記配列方向において集光し、
前記シリンドリカルレンズは、前記照明光を前記配列方向に直交した方向において集光し、
前記シリンドリカルレンズは、前記複数の前記微小シリンドリカルレンズを覆う、
照明装置。
【請求項2】
前記シリンドリカルレンズに含まれた円柱部分の円柱軸は、前記配列方向に延び、
前記微小シリンドリカルレンズに含まれた円柱部分の円柱軸は、前記直交した方向に延びる、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記シリンドリカルレンズに含まれた円柱部分の半径は、15~30mmであり、前記微小シリンドリカルレンズに含まれた円柱部分の半径は、2~4mmである、
請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記複数の微小シリンドリカルレンズは、前記複数の光源が前記配列方向に配列されたピッチと同じピッチで前記配列方向に配列された、
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記複数の光源は、前記配列方向における一方向側を一方側、前記一方側の反対方向を他方側とした場合に、前記一方側に配置された一方側光源と、前記他方側に配置された他方側光源と、前記一方側光源と前記他方側光源との間に配置された中心光源と、を含み、
前記中心光源に対向した前記微小シリンドリカルレンズの光軸は、前記中心光源の発光面の中心点を通り、
前記一方側光源に対向した前記微小シリンドリカルレンズの光軸は、前記一方側光源の発光面の中心点よりも前記他方側を通り、
前記他方側光源に対向した前記微小シリンドリカルレンズの光軸は、前記他方側光源の発光面の中心点よりも前記一方側を通る、
請求項1~のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光源と、前記シリンドリカルレンズアレーとの間を、前記光源を冷却する流体が流れる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記複数の光源は、複数の第1光源であり、
前記第1光源と生成する光の波長が異なる複数の第2光源をさらに備え、
各前記第2光源は、隣り合う前記第1光源の間に配置され、
前記第1光源及び前記第2光源が交互に前記配列方向に配列された基板または前記シリンドリカルレンズアレーを前記配列方向に移動させることにより、前記照明光を、前記第1光源または前記第2光源から生成されるように切り換え可能である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の照明装置と、
前記照明装置により生成された照明光が検査対象で反射した反射光を結像する結像レンズと、
前記結像レンズで結像された前記反射光を受光する受光センサと、
を備えた検査装置。
【請求項9】
前記光源から生成された前記照明光は、前記結像レンズのNAに入るように前記微小シリンドリカルレンズにより集光された、
請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
前記複数の光源は、前記配列方向における一方向側を一方側、前記一方側の反対方向を他方側とした場合に、前記一方側に配置された一方側光源と、前記他方側に配置された他方側光源と、前記一方側光源と前記他方側光源との間に配置された中心光源と、を含み、
前記中心光源に対向した前記微小シリンドリカルレンズの主点は、前記中心光源から生成された前記照明光が前記検査対象で反射した前記反射光を結像する前記結像レンズの主点と、前記中心光源の発光面の中心点とを結ぶ光軸上に配置され、
前記一方側光源に対向した前記微小シリンドリカルレンズの主点は、前記結像レンズの主点と、前記一方側光源の発光面の中心点とを結ぶ光軸上に配置され、
前記他方側光源に対向した前記微小シリンドリカルレンズの主点は、前記結像レンズの主点と、前記他方側光源の発光面の中心点とを結ぶ光軸上に配置された、
請求項8または9に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及び検査装置に関するものであり、例えば、紫外光を用いた半導体ウェハのマクロ検査及び分光撮像検査における照明装置及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDから発光された可視光および360~400nmの波長のUV-A光を、シリンドリカルレンズを用いて集光するライン型照明装置及びライン型照明装置を用いた検査装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-45121号公報
【文献】特開2001-127080号公報
【文献】特開2004-354047号公報
【文献】特開2005-077982号公報
【文献】特開2007-179823号公報
【文献】特開2007-225591号公報
【文献】特開2010-177163号公報
【文献】特開2010-210882号公報
【文献】特開2011-060719号公報
【文献】特開2012-238436号公報
【文献】特開2014-207245号公報
【文献】特開2016-021049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライン型照明装置及びライン型照明装置を用いた検査装置は、(1)カメラセンサの受光量、(2)照明ムラ、(3)照明光量のドリフト、等の課題がある。
【0005】
(1)カメラセンサの受光量の課題としては、受光量が十分でないことが挙げられる。290nmを中心波長としたUV-B光LEDは、発光効率が低いため、UV-B光を検査装置の照明光に用いた場合に、カメラセンサの受光量が低く、検査のスループットが低下する。
【0006】
(2)照明ムラの課題としては、照明ムラを解消するための拡散版の作製が困難なことが挙げられる。LEDライン照明は、拡散板と組み合わせることで、照明ムラを低減させている。拡散板なしではLEDのピッチに起因した照明ムラが発生する。しかしながら、290nmを中心波長としたUV-B光に対応した拡散板は作製が困難である。一般的な拡散板では、UV-B光の透過率が低下する上に、UV-B光により劣化する。
【0007】
(3)照明光量のドリフトの課題としては、照明光量がドリフトすることが挙げられる。LED点灯後に、LEDの温度が徐々に上昇することによって、照明光量のドリフトが発生する。
【0008】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、カメラセンサの受光量の増加、照明光量ドリフトの低減の少なくともいずれかと、照明ムラの低減を達成することができる照明装置及び撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る照明装置は、ライン状に並んで配列された複数の光源と、前記複数の光源を覆うように、前記複数の光源の配列方向に延びたシリンドリカルレンズと、前記複数の光源と、前記シリンドリカルレンズとの間において、前記配列方向に配列された複数の微小シリンドリカルレンズを含むシリンドリカルレンズアレーと、を備え、前記微小シリンドリカルレンズは、前記光源が生成した照明光を前記配列方向において集光し、前記シリンドリカルレンズは、前記照明光を前記配列方向に直交した方向において集光する。このような構成により、照明した検査対象からの受光光量を増加させることができる。
【0010】
また、本発明に係る検査装置は、上記記載の照明装置と、前記照明装置により生成された照明光が検査対象で反射した反射光を結像する結像レンズと、前記結像レンズで結像された前記反射光を受光する受光センサと、を備える。このような構成により、検査対象からの受光光量を増加させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カメラセンサの受光量の増加、照明光量ドリフトの低減の少なくともいずれかと、照明ムラの低減を達成することができる照明装置及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る照明装置の構成を例示した斜視図である。
図2】実施形態1に係る照明装置の構成を例示した側面図である。
図3】実施形態1に係る照明装置の構成を例示した断面図である。
図4】実施形態1に係る照明装置を用いた検査装置を例示した図である。
図5】比較例に係る照明装置の構成を例示した斜視図である。
図6】比較例に係る照明装置の構成を例示した側面図である。
図7】比較例に係る照明装置の構成を例示した断面図である。
図8】比較例に係る照明装置において、光源の照明光を例示した図である。
図9】実施形態1に係る照明装置において、CLAによる配列方向の照明光の集光を例示した図である。
図10】実施形態1に係る照明装置において、CLAによる配列方向の照明光の集光を例示した拡大図である。
図11】比較例に係る照明装置において、CLによる配列方向に対して直交した方向の照明光の集光を例示した図である。
図12】実施形態1に係る照明装置において、CLによる配列方向に対して直交した方向の照明光の集光を例示した図である。
図13】比較例に係る照明装置において、CLによる配列方向に対して直交した方向の照明光の集光の状態を例示した図である。
図14】実施形態1に係る照明装置において、CLによる配列方向に対して直交した方向の照明光の集光の状態を例示した図である。
図15】比較例に係る照明装置における受光センサの受光量の分布を例示したグラフであり、横軸は、受光センサの画素番号を示し、縦軸は、受光量に比例した受光センサの出力を示す。
図16】比較例に係る照明装置において、照明光で照明された検査対象を例示した画像である。
図17】実施形態1に係る照明装置における受光センサの受光量の分布を例示したグラフであり、横軸は、受光センサの画素番号を示し、縦軸は、受光量に比例した受光センサの出力を示す。
図18】実施形態1に係る照明装置において、照明光で照明された検査対象を例示した画像である。
図19】比較例に係る検査装置において、検査対象を照明する照明光を例示した図である。
図20】実施形態1に係る検査装置において、検査対象を照明する照明光を例示した図である。
図21】実施形態2に係る検査装置を例示した図である。
図22】実施形態2に係る検査装置において、視野周辺の減光を例示したグラフであり、横軸は、視野の位置を示し、縦軸は、光量を示す。
図23】実施形態3に係る照明装置を例示した断面図である。
図24】実施形態4に係る照明装置を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。また、図面が煩雑になるのを防ぐとともに、図中に示した光路を明確にするために、一部のハッチングを省略している。
【0014】
(実施形態1)
実施形態1に係る照明装置及び検査装置を説明する。図1図3は、実施形態1に係る照明装置の構成を例示した図であり、図1は、斜視図であり、図2は、側面図であり、図3は、断面図である。図1図3に示すように、照明装置1は、複数の光源10、シリンドリカルレンズアレー20(以下、CLA20と呼ぶ)、シリンドリカルレンズ30(以下、CL30と呼ぶ)を備えている。複数の光源10は、一方向にライン状に並んで配列されている。なお、図中において、複数の光源10のうち、いくつかの光源10のみ符号を付している。
【0015】
ここで、照明装置1の説明の便宜のために、XYZ直交座標軸系を導入する。光源10が並んで配列された配列方向をX軸方向とする。光源10からシリンドリカルレンズ30に向かう方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に直交した方向を、Y軸方向とする。
【0016】
複数の光源10は、X軸方向に所定のピッチで並んで配置されている。例えば、複数の光源10は、基板11上において、X軸方向にライン状に並んで配置されている。よって、複数の光源10の配列方向は、X軸方向である。光源10は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。光源10は、例えば、290nmを中心波長としたUV-B光を発光するUV-B光LEDである。なお、光源10は、UV-B光LEDに限らず、360~400nmの波長のUV-A光を発光するUV-A光LEDでもよいし、可視光を発光するLEDでもよい。また、光源10は、LEDに限らず、放電灯等の他の光源でもよい。
【0017】
CLA20は、複数の光源10を覆うように、複数の光源10に対向して配置されている。CLA20は、X軸方向に配列した複数のシリンドリカルレンズ21を含んでいる。シリンドリカルレンズ21を微小シリンドリカルレンズとも呼ぶ。なお、図中において、複数のシリンドリカルレンズ21のうち、いくつかのシリンドリカルレンズ21のみ符号を付している。各シリンドリカルレンズ21は、各光源10に対向している。各シリンドリカルレンズ21は、Y軸方向に延びている。各シリンドリカルレンズに含まれた円柱部分の円柱軸は、Y軸方向に延びている。各シリンドリカルレンズ21に含まれた円柱部分の半径は、例えば、2~4mmである。
【0018】
各シリンドリカルレンズ21のY軸方向に直交する断面は、U字状である。よって、各シリンドリカルレンズ21は、断面がU字状の曲面と、平面状の底面とを有している。各シリンドリカルレンズ21の底面は各光源10に対向している。すなわち、各シリンドリカルレンズ21の底面は-Z軸方向を向いている。各シリンドリカルレンズ21の曲面は、+Z軸方向側を向いている。各シリンドリカルレンズ21の曲面は、X軸方向において曲率半径を有している。各シリンドリカルレンズ21の曲面は、Y軸方向において曲率半径を有していない。
【0019】
各シリンドリカルレンズ21は、各光源10に対向し、各光源10が生成した照明光をX軸方向において集光する。よって、各シリンドリカルレンズ21は、Y軸方向に延びたライン状に照明光を集光する。
【0020】
本実施形態において、各シリンドリカルレンズ21の光軸は、対向した各光源10の発光面の中心点を通るように配置されている。発光面の中心点とは、例えば、発光面のX軸方向における中心点である。複数のシリンドリカルレンズ21は、複数の光源10がX軸方向に配列されたピッチと同じピッチでX軸方向に配列されている。
【0021】
CL30は、複数の光源10及び複数のシリンドリカルレンズ21を覆うように、X軸方向に延びている。よって、複数のシリンドリカルレンズ21は、複数の光源10と、CL30との間において、X軸方向に配列されている。CL30に含まれた円柱部分の円柱軸は、X軸方向に延びている。CL30に含まれた円柱部分の半径は、例えば、15~30mmである。
【0022】
CL30のX軸方向に直交する断面は、U字状である。CL30は、断面がU字状の曲面と、平面状の底面とを有している。CL30の底面は、CLA20及び各光源10に対向している。すなわち、CL30の底面は-Z軸方向を向いている。CL30の曲面は、+Z軸方向側を向いている。CL30の曲面は、Y軸方向において曲率半径を有している。CL30の曲面は、X軸方向において曲率半径を有していない。
【0023】
CL30は、各光源10が生成した照明光をY軸方向において集光する。よって、CL30は、X軸方向に延びたライン状に照明光を集光する。例えば、CL30の光軸は、各光源10の発光面の中心点を通るように配置されている。発光面の中心点は、例えば、発光面のY軸方向における中心点である。
【0024】
図4は、実施形態1に係る照明装置を用いた検査装置を例示した図である。図4に示すように、検査装置40は、照明装置1、結像レンズ41、受光センサ42を備えている。検査装置40は、上述の照明装置1を用いて検査対象50を照明する。検査装置40における照明装置1は、検査対象50に対して照明光L10を出射する。結像レンズ41は、照明装置1により生成された照明光L10が検査対象50で反射した反射光R10を結像する。受光センサ42は、結像レンズ41で結像された反射光R10を受光する。検査装置40は、このように、照明光L10で照明された検査対象50からの反射光R10を受光することにより検査対象50を検査する。検査対象50は、例えば、ウェハである。
【0025】
次に、実施形態1に係る照明装置1と比較するために、比較例に係る照明装置を説明する。図5図7は、比較例に係る照明装置の構成を例示した図であり、図5は、斜視図であり、図6は、側面図であり、図7は、断面図である。図5図7に示すように、比較例の照明装置101は、複数の光源110、シリンドリカルレンズ130(以下、CL130と呼ぶ)を備えている。基板11上に配列された複数の光源110は、実施形態1の複数の光源10と同様の構成となっている。比較例の照明装置101は、CLA20を備えていない。
【0026】
比較例においても、説明の便宜のために、XYZ直交座標軸系を導入する。光源110が並んだ方向をX軸方向とする。光源110からCL130に向かう方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に直交した方向をY軸方向とする。
【0027】
CL130は、X軸方向に延びている。CL130のX軸方向に直交する断面は、U字状である。CL130は、断面がU字状の曲面と、平面状の底面とを有している。CL130の底面は、各光源110に対向している。すなわち、CL130の底面は-Z軸方向を向いている。CL130の曲面は、+Z軸方向側を向いている。CL130は、各光源110が生成した照明光をY軸方向において集光する。よって、CL130は、X軸方向に延びたライン状に照明光を集光する。CL130の光軸は、各光源110の中心を通るように配置されている。
【0028】
次に、本実施形態の照明装置1の動作を、<CLAによる配列方向の照明光の集光と受光光量の増加>、<CLによる配列方向に対して直交した方向の照明光の集光>、<照明ムラの低減>に分けて説明する。
【0029】
<CLAによる配列方向の照明光の集光と受光光量の増加>
図8は、比較例に係る照明装置において、光源の照明光を例示した図である。図9は、実施形態1に係る照明装置において、CLAによる配列方向の照明光の集光を例示した図である。図10は、実施形態1に係る照明装置において、CLAによる配列方向の照明光の集光を例示した拡大図である。
【0030】
図8に示すように、比較例の照明装置101においては、光源110から生成された照明光L110は、CL130を通り、検査対象50を照明する。CL130は、光源110の配列方向、すなわち、X軸方向において照明光L110を集光しない。Y軸方向から見て、照明光L110は、CL130によって影響を受けずに検査対象50のウェハを照明する。したがって、検査対象50で反射した反射光R110のうち、結像レンズ41のNAから外れた反射光R110aは、受光センサ42に到達しない。よって、受光センサ42は、受光する受光光量にロスを生じ、受光光量を増加させることができない。
【0031】
一方、図9に示すように、本実施形態の照明装置1においては、光源10から生成された照明光L10は、CLA20及びCL30を通り、検査対象50を照明する。CLA20は、光源10の配列方向、すなわち、X軸方向において照明光L10を集光する。
【0032】
図10に示すように、例えば、光源10の中心点Cから発した光が平行光となるように、シリンドリカルレンズ21の焦点距離の位置に光源10を配置させる。実際には、光源10の発光面は点光源ではないため、図に示すように拡がる。
【0033】
図9に示すように、CL30は、比較例と同様に、X軸方向において照明光L10を集光しない。Y軸方向から見て、照明光L10は、CLA20によって集光され、CL30によって影響を受けずに検査対象50のウェハを照明する。
【0034】
本実施形態の照明装置1において、光源10から生成された照明光L10は、結像レンズ41のNA内に入るように、CLA20が配置されている。そして、照明光L10は、結像レンズ41のNA内に入るように、CLA20により集光される。よって、検査対象50で反射した反射光R10のうち、結像レンズ41のNAから外れた反射光R10を低減させることができる。これにより、受光センサ42は、受光する受光光量を増加させることができる。
【0035】
図8及び図9では、光源10及び110がともに8個しか示していないが、図1及び図5に示すように、比較例及び本実施形態においては、光源10がX軸に沿って設置されている範囲が十分に長い。よって、CL130及びCL30の違いはあるものの、基本的に、ウェハ等の検査対象50における照射面の照度は、CLA20の有り無しによらず同じ照度になる。しかしながら、本実施形態では、CLA20による光源10の配列方向の集光によって、受光センサ42が受光する反射光R10のロスが低減する。これにより、受光光量を増加させることができる。
【0036】
<CLによる配列方向に対して直交した方向の照明光の集光>
次に、CL130及びCL30による配列方向に対して直交した方向の照明光の集光を説明する。図11は、比較例に係る照明装置において、CLによる配列方向に対して直交した方向の照明光の集光を例示した図である。図12は、実施形態1に係る照明装置において、CLによる配列方向に対して直交した方向の照明光の集光を例示した図である。図13は、比較例に係る照明装置において、CLによる配列方向に対して直交した方向の照明光の集光の状態を例示した図である。図14は、実施形態1に係る照明装置において、CLによる配列方向に対して直交した方向の照明光の集光の状態を例示した図である。
【0037】
図11及び図13に示すように、比較例の照明装置101において、光源110から生成された照明光L110は、CL130を通り、検査対象50を照明する。CL130は、光源10の配列方向に対して直交した方向、すなわち、Y軸方向において照明光L110を集光する。
【0038】
図12及び図14に示すように、本実施形態の照明装置1において、光源10から生成された照明光L10は、CLA20及びCL30を通り、検査対象50を照明する。CLA20は、光源10の配列方向に対して直交するY軸方向において照明光L10を集光しない。CL30は、光源10の配列方向に対して直交するY軸方向において照明光L10を集光する。
【0039】
図11及び図12に示すように、照明光L10を集光して検査対象50を照明するように設計していることは、比較例及び実施形態1とも同様である。しかしながら、本実施形態の照明装置1では、CL30のサイズを大きくし、CL30の焦点距離を比較例のCL130より長く設定している。例えば、比較例のCL130に含まれた円柱部分の半径が10mmであるのに対して、本実施形態のCL30に含まれた円柱部分の半径は15~30mmである。よって、本実施形態のCL30は、検査対象50に投影された光源10の発光面の像の倍率を下げることで照明光L10の密度を大きくしている。
【0040】
このように、本実施形態では、光源10の配列方向及び光源10の配列方向に直交した方向に分けて照明光L10を集光する。光源10の配列方向において、CLA20は、照明光L10が結像レンズ41のNA内に入るように集光する。光源10の配列方向に直交した方向において、焦点距離の大きいCL30を用いることによって、照明光L10の光量を大きくしている。このような両方向の集光により、受光光量を増加させることができる。
【0041】
<照明ムラの低減>
次に、照明ムラの低減を説明する。図15は、比較例に係る照明装置における受光センサの受光量の分布を例示したグラフであり、横軸は、受光センサの画素番号を示し、縦軸は受光量に比例した受光センサの出力を示す。図16は、比較例に係る照明装置において、照明光で照明された検査対象を例示した画像である。図17は、実施形態1に係る照明装置における受光センサの受光量の分布を例示したグラフであり、横軸は、受光センサの画素番号を示し、縦軸は受光量に比例した受光センサの出力を示す。図18は、実施形態1に係る照明装置において、照明光で照明された検査対象を例示した画像である。
【0042】
図15及び図16に示すように、比較例の照明装置101においては、照明ムラが発生している。比較例の照明装置101において、光源110が間隔を空けて配置されているために、照明光L110の光量が、光源110の配列方向に沿って増減する。
【0043】
一方、図17及び図18に示すように、本実施形態の照明装置1においては、照明ムラが発生していない。実施形態の照明装置1において、光源10は、比較例と同様に間隔を空けて配置されているが、CLA20により、連続した発光面があるのと等しい状態になっている。
【0044】
図19は、比較例に係る検査装置において、検査対象を照明する照明光を例示した図である。図20は、実施形態1に係る検査装置において、検査対象を照明する照明光を例示した図である。
【0045】
図19に示すように、比較例の照明装置101においては、光源110が飛び飛びに間隔を空けて配置されている。そうすると、検査対象50上の位置によって、結像レンズ41のNA内に入射する照明光L110を発光した光源110の発光面の個数が異なる。例えば、ある位置では、4個の光源110の発光面からの照明光L110による反射光R110が結像レンズ41に入射する。また、他の位置では、5個の光源110の発光面からの照明光L110による反射光R110が結像レンズ41に入射する。このように、比較例の検査装置140では、検査対象50上の位置により、結像レンズ41に入る発光面の数が異なるために、照明ムラが発生する。
【0046】
一方、図20に示すように、本実施形態の照明装置1においては、光源10が飛び飛びに間隔を空けて配置されているが、CLA20により、連続した発光面があるのと等しい状態になっている。よって、検査対象50上の位置によらずに、結像レンズ41のNA内に入る反射光R10の光量は等しくなる。よって、検査装置40において、光源10の配置ピッチに起因する照明ムラを低減することができる。
【0047】
このように、本実施形態では、CLA20による連続した発光面によって、照明ムラを低減させることができる。よって、比較例の照明装置101で用いられる拡散板を不要とすることができる。これにより、受光光量をさらに増加させることができる。
【0048】
例えば、拡散板がない状態の光量を1とした場合に、拡散板の効率を0.5とする。そうすると、比較例の検査装置140において、拡散板を用いることにより、受光センサ42の受光光量は0.5となる。これに対して、本実施形態の照明装置1においては、拡散板を不要とすることができる。よって、本実施形態の検査装置40は、受光センサ42の受光光量を、比較例の検査装置140に対して、2倍にすることができる。
【0049】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の照明装置1は、CLA20及びCL30を組み合わせることにより、光源10の配列方向及び光源10の配列方向に直交した方向の集光をそれぞれ独立に行うことができる。そして、配列方向の集光を結像レンズ41のNAに合わせることにより、受光センサ42の受光光量を増加させることができる。例えば、実験において、比較例に比べて、6倍に増加させることができる。
【0050】
また、本実施形態の照明装置1は、CLA20を備えている。CLA20により、連続した発光面があるのと等しい状態とすることにより、光源10の配置ピッチに起因する照明ムラを低減させることができる。
【0051】
さらに、本実施形態の照明装置1は、照明ムラを低減させることができるので、拡散板を不要とすることができる。前述の6倍と掛け合わせて、比較例の照明装置101に対して、12倍の受光光量を得ることができる。
【0052】
また、受光光量を増加させることにより、検査対象50の検査のスループットを向上させることができる。
【0053】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る照明装置を説明する。実施形態2の照明装置は、視野周辺の減光の対策に関する。図21は、実施形態2に係る検査装置を例示した図である。図22は、実施形態2に係る照明装置において、視野周辺の減光を例示したグラフであり、横軸は、視野の位置を示し、縦軸は、光量を示す。図21には、照明装置の光源10近傍の拡大図を示している。
【0054】
図21に示すように、本実施形態の照明装置1aでは、配列方向における視野端の光源10のピッチと、視野端の各シリンドリカルレンズ21のピッチとをずらしている。例えば、基準となる光源10を中心光源13とする。中心光源13に対向したシリンドリカルレンズ21の光軸は、中心光源13の発光面の中心点を通っている。複数の光源10は、中心光源13と、中心光源13よりも+X軸方向側に配列した光源14と、中心光源13よりも-X軸方向側に配列した光源15とを含んでいる。
【0055】
X軸方向における+X軸方向側を一方側、-X軸方向側を他方側とした場合に、+X軸方向側に配置された光源14を一方側光源14と呼ぶ。-X軸方向側に配置された光源15を他方側光源15と呼ぶ。中心光源13は、一方側光源14と他方側光源15との間に配置されている。
【0056】
一方側光源14に対向したシリンドリカルレンズ21の光軸は、一方側光源14の発光面の中心点よりも、-X軸方向側を通っている。他方側光源15に対向したシリンドリカルレンズ21の光軸は、他方側光源15の発光面の中心点よりも、+X軸方向側を通っている。
【0057】
図21に示すように、光源10からCLA20及びCL30を介して検査対象50を照明する照明光L10と、照明光L10が検査対象50で反射して結像レンズ41に入射する反射光R10とを繋げた光路を設定する。本実施形態では、中心光源13に対向したシリンドリカルレンズ21の主点は、結像レンズ41の主点と、中心光源13の発光面の中心点とを結ぶ光軸上に配置されている。結像レンズ41は、中心光源13から生成された照明光L10が検査対象50で反射した反射光R10を結像する。
【0058】
図21の拡大図に示すように、一方側光源14に対向したシリンドリカルレンズ21の主点は、結像レンズ41の主点と、一方側光源14の発光面の中心点と、を結ぶ光軸上に配置されている。結像レンズ41は、一方側光源14から生成された照明光L10が検査対象50で反射した反射光R10を結像する。
【0059】
また、図示しないが、他方側光源15に対向したシリンドリカルレンズ21の主点は、結像レンズ41の主点と、他方側光源15の発光面の中心点と、を結ぶ光軸上に配置されている。結像レンズ41は、他方側光源15から生成された照明光L10が検査対象50で反射した反射光R10を結像する。
【0060】
具体的には、例えば、図21に示すように、検査装置40aにおいて、X軸方向に配列された複数の光源10からなる視野照明の長さはmmである。光源10の発光面と検査対象50との間の長さは、300mmである。検査対象50と、結像レンズ41の主点との間の長さは300mmである。結像レンズ41と受光センサ42において結像した像との間の長さは300mmである。X軸方向における照明視野は、150mmである。検査対象50のX軸方向における視野は75mmである。
【0061】
図21の拡大図に示すように、光源10のX軸方向のピッチは、4mmである。光源10の発光面と、当該光源10に対向したシリンドリカルレンズ21の主点との間の長さは、4mmである。
【0062】
この場合において、視野端における光源10の発光面の中心点と、当該光源10に対応したシリンドリカルレンズ21の主点との間のX軸方向のずれは、0.2mmである。また、当該シリンドリカルレンズ21と、隣り合うシリンドリカルレンズ21との間のピッチは3.99mmである。よって、視野端において、シリンドリカルレンズ21のピッチは、光源10のピッチよりも0.01mm、0.3%減少している。
【0063】
図21では、+X軸方向側の視野端の光源10として、一方側光源14を例示しているが、-X軸方向側の視野端の光源10及びシリンドリカルレンズ21の配置関係も+X軸方向と-X軸方向が異なる以外は同様である。
【0064】
このように、配列方向における視野端の光源10のピッチと、視野端のCLA20の各シリンドリカルレンズ21のピッチとをずらすことにより、視野周辺の減光を抑制することができる。
【0065】
図22に示すように、実施形態1の場合には、視野周辺の光量が減少している。実施形態1では、光源10のピッチ及びシリンドリカルレンズ21のピッチは、いずれも4mmである。本実施形態では、例えば、光源10のピッチは4mmのまま、視野周辺のシリンドリカルレンズ21のピッチを4mmよりも、0.01mm、0.02mm、0.04mmだけずらしている。すなわち、視野周辺のシリンドリカルレンズ21のピッチを、3.99mm、3.98mm、3.96mmに設定している。視野周辺のシリンドリカルレンズ21のピッチを4mmから、3.99mm、3.98mmにした場合には、視野周辺の光量減少を抑制することができる。また、この場合には、図示しないが、比較例よりも視野周辺の光量減少を抑制することができる。
【0066】
本実施形態の照明装置1a及び検査装置40aによれば、受光センサ42の視野周辺の光量が視野中央の光量に対して減光することを抑制することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0067】
(実施形態3)
次に、実施形態3を説明する。本実施形態の照明装置は、冷却用の流体の流路構造についての例である。図23は、実施形態3に係る照明装置を例示した断面図である。図23には、照明装置の一部の拡大図を示している。
【0068】
図23に示すように、照明装置1bは、筐体12を備えている。筐体12は、内部に空洞を有している。基板11における光源10が配置された面の反対側の面は、空洞の内面に取り付けられている。よって、光源10は、空洞側を向いている。CLA20は、複数の光源10が配置された基板11と間隔を空けて配置されている。光源10と、CLA20との間に空間が形成されている。
【0069】
本実施形態では、光源10とCLA20との間を、光源10を冷却する流体16が流れるようになっている。光源10を冷却する流体16は、例えば、窒素ガスである。なお、流体16は、窒素ガスに限らず、CDA(Clean Dry Air)でもよいし、光源10を冷却するならば、他の気体でもよいし、液体でもよい。また、光源10とCLA20との間を流れる流体16の圧力のバランスをとるために、CLA20と、図示しないCL30との間にも流体を流してもよい。
【0070】
一般的に、光源10は、点灯後、温度が徐々に上昇する。これにより、光量ドリフトが発生する。これを低減するために、光源10の周辺に、窒素ガスまたはCDAを流して排熱することが必要となる。比較例の照明装置においては、光源110と、CL130との間の空間は広い。このため、光源110と、CL130との間に窒素ガス等の流体を流しても、光源10の周辺に流体の流れが生じにくい。
【0071】
本実施形態の照明装置によれば、CLA20を隔壁として利用することにより、光源10に接する狭い流路を構成することができる。よって、光源10の周辺に効率よく流体16を流し冷却することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1及び2の記載に含まれている。
【0072】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る照明装置を説明する。本実施形態の照明装置は、光源を切り替え可能である。図24は、実施形態4に係る照明装置を例示した図である。図24に示すように、照明装置1cは、基板11上に、複数の光源10aを有している。複数の光源10aは、X軸方向に間隔を空けて並んで配置されている。複数の光源10aは、各シリンドリカルレンズ21に対向している。
【0073】
また、照明装置1cは、基板11上に、複数の光源10bをさらに備えている。光源10bは、光源10aと生成する光の波長が異なる。各光源10bは、隣り合う光源10aの間に配置されている。よって、光源10a及び光源10bは、基板11上においてX軸方向に交互に配置されている。
【0074】
光源10bから生成される照明光L10を用いる場合には、基板11またはCLA20を、光源10aの半ピッチまたは光源10bの半ピッチだけ、X軸方向に移動させる。これにより、各シリンドリカルレンズ21を複数の光源10bに対向させることができる。このようにして、照明光L10を、光源10aまたは光源10bから生成されるように切り換え可能である。
【0075】
本実施形態の照明装置1cは、2つのタイプの光源10a及び10bを基板11に交互に実装している。そして、光源10a及び10bの配列方向にピッチ分だけ、基板11またはCLA20を移動すれば、照明光L10の光軸を動かすことなく、2つのタイプの光源10a及び10bを切り替えることができる。この場合に、受光光量のロスもない。また、隣り合う光源10aの間に光源10bを配置させるので、サイズの増大を抑制することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。
【符号の説明】
【0077】
1、1a、1b、1c 照明装置
10、10a、10b 光源
11 基板
12 筐体
13 中心光源
14 一方側光源
15 他方側光源
16 流体
20 シリンドリカルレンズアレー
21 シリンドリカルレンズ
30 シリンドリカルレンズ
40、40a 検査装置
41 結像レンズ
42 受光センサ
50 検査対象
101 照明装置
110 光源
130 シリンドリカルレンズ
C 中心点
L10、L110 照明光
R10、R110、R110a 反射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24