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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】ツールボックス
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/06 20060101AFI20230221BHJP
   B60R 5/04 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
B60R11/06
B60R5/04 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019108660
(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公開番号】P2020199905
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(72)【発明者】
【氏名】若色 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】綱島 寛太
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-237377(JP,A)
【文献】特開2000-52873(JP,A)
【文献】特開2015-223867(JP,A)
【文献】特開2018-34528(JP,A)
【文献】特開平9-193715(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0040191(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0280151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 5/04,11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールの凹部が上方に向いた状態で車載されたタイヤ内に収容される本体部と、
前記本体部の上面に設けられ、前記本体部の上面視において第1方向に延びる第1凹部と、
前記本体部の上面に設けられ、前記上面視において前記第1方向に交差する第2方向に前記第1凹部を挟む突出部と、を備えるツールボックス。
【請求項2】
前記第1凹部のうち、前記第1方向の中央部よりも前記第1方向の第1側に位置する第1部分における底面が、前記中央部よりも前記第1方向の第2側に位置する第2部分における底面よりも高い請求項1に記載のツールボックス。
【請求項3】
前記突出部は、前記第1部分を前記第2方向に挟む請求項2に記載のツールボックス。
【請求項4】
前記突出部は、前記本体部から前記第1側に突出している請求項3に記載のツールボックス。
【請求項5】
前記突出部は、前記第1凹部を前記第2方向に挟んで一対設けられ、
一対の前記突出部は、互いに非連結である請求項1から4のいずれか1項に記載のツールボックス。
【請求項6】
前記本体部に設けられ、前記本体部が前記タイヤの軸線回りに回転することを規制する規制部を更に備えている請求項1から5のいずれか1項に記載のツールボックス。
【請求項7】
前記第1凹部のうち、前記第1方向の中央部よりも前記第1方向の第1側に位置する第1部分における底面が、前記中央部よりも前記第1方向の第2側に位置する第2部分における底面よりも高く、
前記規制部は、前記本体部に対して前記第2側に設けられている請求項6に記載のツールボックス。
【請求項8】
前記第1方向は、車両の前後方向である請求項1から7のいずれか1項に記載のツールボックス。
【請求項9】
前記第1凹部のうち、前記第1方向の中央部よりも前記第1方向の第1側に位置する第1部分における底面が、前記中央部よりも前記第1方向の第2側に位置する第2部分における底面よりも高く、
前記第1側は車両の前方であり、前記第2側は車両の後方である請求項8に記載のツールボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1、2に記載されているような、車両に搭載されたスペアタイヤのホイールの内側に収容されるツールボックスが知られている。ツールボックスには、ジャッキ、ドライバー、スパナ等の工具が収容されている。このようなツールボックスは、ホイールの内側に設けられることから、工具を収容するスペースに制限がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載された構成では、これらの工具のうち、ジャッキのような細長い工具(長手状工具)を、中央空間(ツールボックスの工具収容空間の中央を通る空間)に収容している。
また、例えば特許文献2には、ジャッキ等のツールを、水平面に対して傾斜して収容するツールボックスが開示されている。これにより、ツールを水平面に平行な状態で収容する場合に比べて、収容できるツールを長くし易くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-223867号公報
【文献】特開2018-34528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、SUV(Sport Utility Vehicle:スポーツ用多目的車)のように、車重が大きく、車高も高い車両の場合、車体を持ち上げるためのジャッキが大型なものとなる。このようなジャッキは、スペアタイヤのホイールの内側に収容したツールボックスに収まりきらない場合がある。例えば、特許文献2に開示された構成のように、ジャッキを傾斜して収容したとしても、ジャッキの一部がツールボックスから上方に突出してしまい、ジャッキに他の物品が干渉して傷ついてしまう可能性もある。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、大型のジャッキ等の工具類であっても、その工具類を良好に収容し、他の物品との干渉を抑えることができるツールボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るツールボックスは、ホイールの凹部が上方に向いた状態で車載されたタイヤ内に収容される本体部と、前記本体部の上面に設けられ、前記本体部の上面視において第1方向に延びる第1凹部と、前記本体部の上面に設けられ、前記上面視において前記第1方向に交差する第2方向に前記第1凹部を挟む突出部と、を備える。
【0008】
突出部が、第1凹部を第2方向に挟んでいる。これにより、第1凹部に収容した工具が第1凹部から第1方向に突出しても、工具に対して第2方向の両側に突出部が位置し、工具が突出部によって保護される。したがって、大型のジャッキ等であっても、工具類を良好に収容し、他の物品との干渉を抑えることが可能となる。
【0009】
前記第1凹部のうち、前記第1方向の中央部よりも前記第1方向の第1側に位置する第1部分における底面が、前記中央部よりも前記第1方向の第2側に位置する第2部分における底面よりも高くてもよい。
【0010】
第1凹部のうち、第1部分における底面が、第2部分における底面よりも高い。第1凹部に収容された工具が、第1部分における底面と第2部分における底面とで支持されると、工具は、第1方向の第2側よりも第1側が高くなるように傾斜する。これにより、第1凹部について、第1方向において工具の収容に要する寸法が小さくて済む。また、工具は、第1方向の第1側よりも第2側が低くなるように傾斜して第1凹部に収容される。これにより、工具を収容したツールボックスの低重心化を図ることができる。
【0011】
前記突出部は、前記第1部分を前記第2方向に挟むようにしてもよい。
【0012】
突出部は、第1部分を第2方向に挟む。工具が第1凹部に収容され、第1方向の第1側が高くなるように傾斜した工具が第1凹部の第1部分から上方に突出した場合、工具のうち第1部分から突出した部分に対して第2方向の両側に突出部が位置し、工具を保護する。これにより、第1凹部から上方に突出した工具に、他の物品が干渉するのを抑えることができる。
【0013】
前記突出部は、前記本体部から前記第1側に突出しているようにしてもよい。
【0014】
突出部は、本体部から第1側に突出している。よって、工具が第1凹部から第1側に突出しても、突出部によって保護される。
【0015】
前記突出部は、前記第1凹部を前記第2方向に挟んで一対設けられ、一対の前記突出部は、互いに非連結であるようにしてもよい。
【0016】
一対の突出部は、互いに非連結である。一対の突出部を連結した場合、例えば、第1凹部に工具を出し入れするときに、一対の突出部同士の連結部が工具に干渉することもある。これに対し、一対の突出部を互いに非連結とすることで、第1凹部に工具を出し入れするときに一対の突出部同士を連結する部分が工具に干渉することもなく、工具の出し入れをスムーズに行うことができる。
【0017】
前記本体部に設けられ、前記本体部が前記タイヤの軸線回りに回転することを規制する規制部を更に備えているようにしてもよい。
【0018】
本体部がタイヤの軸線回りに回転することを規制部が規制する。これにより、ツールボックスがタイヤの軸線周りに回転することが抑えられる。したがって、ツールボックス内の工具と他の物品とが干渉することを抑えられる。
【0019】
前記第1凹部のうち、前記第1方向の中央部よりも前記第1方向の第1側に位置する第1部分における底面が、前記中央部よりも前記第1方向の第2側に位置する第2部分における底面よりも高く、前記規制部は、前記本体部に対して前記第2側に設けられているようにしてもよい。
【0020】
規制部は、本体部に対して第2側に設けられている。これにより、第1方向の第1側で工具が第1凹部から突出しても、工具が規制部と干渉することが抑えられる。
【0021】
前記第1方向は、車両の前後方向であるようにしてもよい。
【0022】
第1方向は、車両の前後方向である。これにより、第1凹部に収容される工具は、車両の前後方向に延びる。例えば、車両が左右方向に曲がって向きを変えても、第1凹部に収容された工具を左右方向に動かないように安定して固定することができる。
【0023】
前記第1凹部のうち、前記第1方向の中央部よりも前記第1方向の第1側に位置する第1部分における底面が、前記中央部よりも前記第1方向の第2側に位置する第2部分における底面よりも高く、前記第1側は車両の前方であり、前記第2側は車両の後方であるようにしてもよい。
【0024】
第1凹部のうち、車両の前方に位置する第1部分における底面が、車両の後方に位置する第2部分における底面よりも高い。第1凹部に工具を収容すると、工具は、車両の後方よりも前方が高くなるように傾斜する。これにより、第1凹部に収容された工具は、第1凹部について、第1方向において工具の収容に要する寸法が小さくて済む。また、工具は、車両の前方よりも後方が低くなるように傾斜して第1凹部に収容される。工具を第1凹部から取り出す場合、車両の前方で工具を保持し、車両の後方側に引き起こすようにすることができる。したがって、工具の出し入れをより容易に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、大型のジャッキ等であっても、工具類を良好に収容し、他の物品との干渉を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係るツールボックスを示す斜視図である。
図2図1に示すツールボックスを、ツールボックスの中心軸方向から見た平面図である。
図3図2に示すツールボックスのIII-III矢視断面図である。
図4図2に示すツールボックスのIV-IV矢視断面図である。
図5図1に示すツールボックスを、図1とは反対側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るツールボックスを説明する。ツールボックス10は、スペアタイヤ2に収容される。なお、以下の説明において、前後方向FRは、スペアタイヤ2が車載された車両の走行方向前方と後方とを結ぶ方向である。左右方向LRは、前記車両の走行方向前方を向いた状態における左方と右方とを結ぶ方向である。上下方向UDは、前記車両から見て鉛直上方と下方とを結ぶ方向である。
【0028】
図1図5に示すツールボックス10は、ジャッキ(工具)100をはじめとする各種の工具を収容する。
図3に示すように、ツールボックス10は、車両の荷室等の荷物収容スペース1に車載されたスペアタイヤ(タイヤ)2に収容されている。荷物収容スペース1は、例えば車両の後部に形成されている。荷物収容スペース1には、車体の一部を構成するフロアパネル3に、荷物収容スペース1の床面1fに対して下方に窪むスペアタイヤ収容凹部4が形成されている。スペアタイヤ収容凹部4の中央部には、上方に向かって隆起するタイヤ固定ボス部4bが形成されている。スペアタイヤ2は、スペアタイヤ収容凹部4に寝かせた状態で収容される。
【0029】
スペアタイヤ2は、ホイール2Wと、ホイール2Wの外周部に装着されたタイヤ本体2Tと、を有する。ホイール2Wは、略円盤状のディスク部2dと、ディスク部2dの外周部から筒状に立ち上がるリム部2rと、を一体に有している。リム部2rは、そのリム内周面2fが、ディスク部2d側から上下方向UDの上方に向かって漸次拡径するように形成されている。リム部2rの内側には、ツールボックス10が収容される凹部Sが形成されている。タイヤ本体2Tは、リム部2rの径方向外側に装着されている。
【0030】
スペアタイヤ2は、タイヤ固定ボス部4bに固定金具6を用いて着脱可能に固定されている。本実施形態において、スペアタイヤ2は、前後方向FRの後方(第2側)Drから前方(第1側)Dfに向かって僅かに上方に傾斜して(例えば、4°程度傾斜して)スペアタイヤ収容凹部4に収容されている。
【0031】
荷物収容スペース1には、スペアタイヤ収容凹部4を覆い、荷物収容スペース1の床面1fをフラットに形成するためのカバープレート5が設けられている。スペアタイヤ収容凹部4に収容されたスペアタイヤ2、およびスペアタイヤ2の凹部Sに収容されるツールボックス10は、カバープレート5の下方に配置される。
【0032】
ツールボックス10は、凹部Sに着脱自在に収容される。図1図5に示すように、ツールボックス10は、本体部11と、ジャッキ収容凹部(第1凹部)21と、工具収容凹部22と、突出部30A,30Bと、規制部19と、を主に備えている。ツールボックス10は、発泡樹脂によって形成されている。ツールボックス10を形成する発泡樹脂としては、例えば、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン等を用いることができる。
【0033】
本体部11は、上部プレート部12と、下部凸部13と、を一体に有している。本体部11は、ホイール2Wの凹部Sが上方に向いた状態で車載されたスペアタイヤ2内に収容される。上部プレート部12は、本体部11の中心軸Cに直交する上面12tを有している。
【0034】
図5に示すように、下部凸部13は、凸条部14と、突起脚15と、を一体に有している。凸条部14は、本体部11の中心軸C周りの周方向に間隔をあけて複数(例えば8個)設けられている。これら複数の凸条部14は、上下方向UDの下方(図5において紙面上方)から見て、上部プレート部12の中央部から径方向外側に向かって放射状に延びている。各凸条部14は、上部プレート部12から下方に向かって突出するように形成されている。図3に示すように、これら複数の凸条部14は、ホイール2Wのリム部2rのリム内周面2fに突き当たることで、ツールボックス10が凹部S内でホイール2Wの径方向(前後方向FRおよび左右方向LR(第2方向D2))に動かないように拘束する。
【0035】
図5に示すように、突起脚15は、上下方向UDの下方から見て、下部凸部13の中央部に設けられている。突起脚15は、各凸条部14から上下方向UDの下方に突出するよう形成されている。図3に示すように、これら複数の突起脚15は、凹部Sの底面(ホイール2Wのディスク部2d)上に載置される。このとき、前述したように、スペアタイヤ収容凹部4内のスペアタイヤ2は、前後方向FRの後方Drから前方Dfに向かって僅かに(例えば、4°程度)上方に傾斜している。このため、スペアタイヤ2のディスク部2d上に複数の突起脚15を載せると、ツールボックス10の中心軸Cは、上下方向UDの上方に向かって後方Drに傾斜する。言い換えると、スペアタイヤ2の凹部Sにツールボックス10が収容された状態で、複数の突起脚15の下面15bは、水平面に傾斜する。ここで、本体部11の上面を形成する上部プレート部12の上面12tは、前記下面15bに対して平行ではない。その結果、傾斜したスペアタイヤ2の凹部Sにツールボックス10が収容された状態で、上部プレート部12の上面12tは、水平面に対して、スペアタイヤ2の傾斜(例えば、4°程度)よりも小さい傾き(例えば、1.6°程度)をもって、後方Drから前方Dfに向かって上方に傾斜している。
【0036】
下部凸部13には、複数の突起脚15に囲まれた部分に、上方に向かって窪む逃げ凹部13bが形成されている。この逃げ凹部13bには、スペアタイヤ2をフロアパネル3に固定するための固定金具6が収容される。
【0037】
図1図4に示すように、ジャッキ収容凹部21、および工具収容凹部22は、本体部11の上面12tに設けられている。ジャッキ収容凹部21、および工具収容凹部22は、それぞれ、上面12tから下方に向かって窪んで形成されている。
【0038】
ジャッキ収容凹部21は、ジャッキ(工具)100を収容する。
ここで、図2図3に示すように、ジャッキ収容凹部21に収容されるジャッキ100は、いわゆるパンタグラフ式であり、ベース部101と、パンタグラフ部102と、パッド部103と、を備えている。ベース部101は、ジャッキ100を使用する際に、地面に接する。ベース部101は、例えば矩形状の接地板を有している。パンタグラフ部102は、一対のリンクアーム104を備える。パンタグラフ部102は、ジャッキハンドル(図示無し)でネジシャフト(図示無し)を回転させることで、一対のリンクアーム104が伸縮し、ベース部101に対してパッド部103を上方にリフトアップさせる。パッド部103は、ジャッキ100の使用時に、車体の下面に突き当てられる。
【0039】
図2に示すように、ジャッキ収容凹部21は、本体部11の上面視において、上部プレート部12の径方向に沿った第1方向D1に延びている。ツールボックス10は、第1方向D1の第1側の一端10aを車両の前後方向FRの前方Dfに向け、第1方向D1の第2側の他端10bを車両の前後方向FRの後方Drに向けて配置される。つまり、ツールボックス10は、ジャッキ収容凹部21が延びる第1方向D1を、車両の前後方向FRに一致させて設けられる。したがって、ツールボックス10の使用状態において、ジャッキ収容凹部21は、前後方向FRに延びている。
【0040】
図1図4に示すように、ジャッキ収容凹部21の底面21bは、第1支持部(第1部分)23と、第2支持部(第2部分)24と、中央凹部25と、を有する。
第1支持部23は、ジャッキ収容凹部21のうち、前後方向FRの中央部21cよりも前後方向FRの前方Df(第1側)に位置する。第2支持部24は、ジャッキ収容凹部21のうち、中央部21cよりも前後方向FRの後方Dr(第2側)に位置する。第1支持部23と第2支持部24とは、前後方向FRに間隔をあけて配置されている。
【0041】
第1支持部23の底面(第1部分における底面)23sは、上下方向UDにおいて、第2支持部24の底面(第2部分における底面)24sよりも高く設定されている。第1支持部23の底面23s、および第2支持部24の底面24sは、本体部11の上面12tに対して所定の傾斜角θ(図3参照)で傾斜して形成されている。図3図4に示すように、ジャッキ収容凹部21を左右方向LRから側面視すると、第1支持部23の底面23sと第2支持部24の底面24sとは、同一直線上に位置するよう形成されている。第1支持部23の底面23sは、前後方向FRの前方Dfの端部23eが、本体部11の上面12tとほぼ同じ高さとなるよう形成されている。
【0042】
中央凹部25は、ジャッキ収容凹部21のうち、前後方向FRの中央部21cに位置する。中央凹部25は、前後方向FRにおいて第1支持部23と第2支持部24との間に位置する。中央凹部25は、第1支持部23の底面23s、および第2支持部24の底面24sよりも下方に窪んでいる。中央凹部25の底面25bは、第1支持部23の底面23s、第2支持部24の底面24sと平行に傾斜して形成されている。
【0043】
このようにして、ジャッキ収容凹部21は、前後方向FRの前方Dfから後方Drに向けて下方に傾斜している。図5に示すように、下部凸部13を形成する複数の凸条部14のうち、前後方向FRの後方Drに向かって延びる凸条部14Rは、ジャッキ収容凹部21を形成するため、他の凸条部14に比較し、左右方向LRに幅広に形成されている。
【0044】
図3図4に示すように、第1支持部23と第2支持部24とは、ジャッキ収容凹部21に収容されるジャッキ100を下方から支持する。第1支持部23と第2支持部24とは、ジャッキ100のパンタグラフ部102を構成するリンクアーム104の側面を下方から支持する。これにより、ジャッキ収容凹部21は、ジャッキ100を前後方向FRにおいて傾斜して支持する。ジャッキ収容凹部21内で、ジャッキ100は、前方Dfに位置する端部100aが高く、後方Dfに位置する端部100bが低くなるように傾斜する。ジャッキ100の前記端部100aは、ジャッキ収容凹部21から前方Dfに突出し、かつ本体部11の上面12tよりも上方に突出する。
図2図4に示すように、ジャッキ収容凹部21内で、ジャッキ100のベース部101の一部は、下方に窪んだ中央凹部25に挿入される。
【0045】
図2に示すように、ジャッキ収容凹部21の左右方向LR一方の側面21sには、前後方向FRの中央部21cに、左右方向LR一方の側に窪むベース収容凹部26が形成されている。ベース収容凹部26には、ジャッキ100のベース部101が収容される。
図2図3に示すように、ジャッキ収容凹部21の左右方向LR他方の側面21tには、前後方向FRの中央部21cに、左右方向LR他方の側に窪むパッド収容凹部27が形成されている。パッド収容凹部27には、ジャッキ100のパッド部103が収容される。
ジャッキ収容凹部21は、中央凹部25、ベース収容凹部26、およびパッド収容凹部27に、ジャッキ100のベース部101およびパッド部103を収容することで、ジャッキ100がジャッキ収容凹部21内で前後方向FRに移動することを規制する。
【0046】
ジャッキ収容凹部21の側面21s、21tには、複数の隆起部28が形成されている。各隆起部28は、側面21s、21tから左右方向LRにおいてジャッキ収容凹部21の内側に突出している。各隆起部28は、ジャッキ100のベース部101、パンタグラフ部102、パッド部103に対し、左右方向LRから突き当たることで、ジャッキ100がジャッキ収容凹部21内で左右方向LRに移動することを規制する。
【0047】
図1図2に示すように、工具収容凹部22は、ジャッキ収容凹部21に対し、左右方向LRの両側に複数形成されている。工具収容凹部22は、上部プレート部12の上面12tから下方に窪んで形成されている。工具収容凹部22は、ジャッキ100のパンタグラフ部102を伸縮させるためのジャッキハンドル、ドライバー、レンチ等の工具を収容する。
【0048】
突出部30A,30Bは、本体部11の上面12tに設けられている。突出部30A,30Bは、本体部11を上下方向UDの上方から上面視したときに、前後方向FRに交差する左右方向LRで、ジャッキ収容凹部21を挟むように二個一対で設けられている。一対の突出部30A,30Bは、ジャッキ収容凹部21の第1支持部23を左右方向LRに挟むように設けられている。
【0049】
一対の突出部30A,30Bは、それぞれ、本体部11の上面12tから上方に隆起して形成され、互いに非連結である。一対の突出部30A,30Bが互いに非連結であることは、一対の突出部30A,30Bが、本体部11以外を介して連結されていないことを意味する。
突出部30A,30Bは、本体部11から前後方向FRの前方Dfに突出している。図3に示すように、これら突出部30A,30Bは、スペアタイヤ2のタイヤ本体2Tの上方に差し掛かる位置まで突出している。
【0050】
一対の突出部30A、30Bにおいて、前後方向FRの前方Dfの前端30f、30gが、ジャッキ収容凹部21に収容されるジャッキ100の前方Dfの端部100aよりも前方Dfに位置する。図3図4に示すように、突出部30A、30Bにおいて、前後方向FRの後方Drの後端30r、30sが、本体部11の上面12tよりも上方に突出するジャッキ100(パンタグラフ部102)の少なくとも一部を、左右方向LRから覆う。一対の突出部30A、30Bにおける上端面30t、30uが、ジャッキ収容凹部21に収容されるジャッキ100の前方Dfの端部100aよりも高い位置に形成されている。
これにより、一対の突出部30A、30Bは、ジャッキ収容凹部21から前方Dfおよび上方に突出するジャッキ100の端部100aを、左右方向LR、上下方向UD、前後方向FRの3方向で、他の物品による干渉から保護する。
【0051】
図3図4に示すように、一対の突出部30A、30Bの後端30r、30sよりも後方Drには、上端面30t、30uよりも低い上部プレート部12の上面12tが位置している。このため、一対の突出部30A、30Bの後端30r、30sよりも後方Drには、上部プレート部12と前記カバープレート5との間に、上下方向UDの隙間200(図3参照)が形成される。この隙間200に、例えばトノカバー等の物品を収容することができる。
【0052】
図1図4に示すように、規制部19は、本体部11の上部プレート部12に設けられている。規制部19は、本体部11に対して第1方向D1の第2側(前後方向FRの後方Dr)の他端10bに設けられている。規制部19は、本体部11の上部プレート部12から、前後方向FRの後方Drに突出するよう形成されている。
【0053】
図2に示すように、規制部19は、上下方向UDの上方から上面視すると、前後方向FRの後方Drの端縁部19rが、直線状に延びている。スペアタイヤ収容凹部4に対し、前後方向FRの後方Drには、カバープレート5の端部を載せる台座部材8が設けられている。台座部材8は、左右方向LRに直線状に延びている。ツールボックス10を凹部Sに収容するとき、規制部19は、端縁部19rを台座部材8に沿わせて配置される。これにより、ツールボックス10の本体部11がスペアタイヤ2の軸線回りに回転することが規制される。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係るツールボックス10によれば、突出部30A,30Bが、左右方向LRにジャッキ収容凹部21を挟んでいる。これにより、ジャッキ100がジャッキ収容凹部21から前後方向FRに突出しても、ジャッキ100に対して左右方向LRの両側に突出部30A,30Bが位置し、ジャッキ100が突出部30A,30Bによって保護され、ジャッキ100に他の物品が干渉するのを抑えることができる。したがって、大型のジャッキ等であっても、ジャッキ100類を良好に収容し、他の物品との干渉を抑えることが可能となる。
【0055】
ジャッキ収容凹部21のうち、第1支持部23における底面23sが、第2支持部24における底面24sよりも高い。ジャッキ収容凹部21に収容されたジャッキ100が、第1支持部23における底面23sと第2支持部24における底面24sとで支持されると、ジャッキ100は、前後方向FRの後方Drよりも前方Dfが高くなるように傾斜して支持される。これにより、ジャッキ収容凹部21について、前後方向FRにおいてジャッキ100の収容に要する寸法が小さくて済む。
【0056】
ジャッキ100は、前後方向FRの前方Dfよりも後方Drが低くなるように傾斜してジャッキ収容凹部21に収容される。これにより、ジャッキ100を収容したツールボックス10の低重心化を図ることができる。さらに、ジャッキ100をジャッキ収容凹部21から取り出す場合、車両の前方Dfの端部100aでジャッキ100を保持し、車両の後方Dr側の端部100bを中心として後方Drに引き起こすようにすることができる。したがって、ジャッキ100の出し入れをより容易に行うことが可能となる。
【0057】
突出部30A,30Bは、第1支持部23を左右方向LRに挟む。ジャッキ100がジャッキ収容凹部21に収容され、前後方向FRの前方Dfが高くなるように傾斜したジャッキ100がジャッキ収容凹部21の第1支持部23から上方に突出しても、ジャッキ100のうち第1支持部23から突出した部分に対して左右方向LRの両側に突出部30A,30Bが位置し、ジャッキ100を保護する。これにより、ジャッキ収容凹部21から上方に突出したジャッキ100に、他の物品が干渉するのを抑えることができる。
【0058】
突出部30A,30Bは、本体部11から前方Dfに突出している。よって、ジャッキ100がジャッキ収容凹部21から前方Dfに突出しても、突出部30A,30Bによって保護される。
【0059】
一対の突出部30A,30Bは、互いに非連結である。一対の突出部30A,30Bを連結した場合、例えば、ジャッキ収容凹部21にジャッキ100を出し入れするときに、一対の突出部30A,30B同士の連結部がジャッキ100に干渉することもある。これに対し、一対の突出部30A,30Bを互いに非連結とすることで、ジャッキ収容凹部21にジャッキ100を出し入れするときに一対の突出部30A,30Bがジャッキ100に干渉することもなく、ジャッキ100の出し入れをスムーズに行うことができる。
【0060】
また、本体部11がスペアタイヤ2の軸線回りに回転することを規制部19が規制する。これにより、ツールボックス10がスペアタイヤ2の軸線周りに回転することが抑えられる。したがって、ツールボックス10内のジャッキ100と他の物品とが干渉することを抑えられる。
【0061】
規制部19は、本体部11に対して後方Drに設けられている。これにより、前後方向FRの前方Dfでジャッキ100がジャッキ収容凹部21から突出しても、ジャッキ100が規制部19と干渉することが抑えられる。
【0062】
ジャッキ収容凹部21が延びる第1方向D1は、車両の前後方向FRである。これにより、ジャッキ収容凹部21に収容されるジャッキ100は、車両の前後方向FRに延びる。これにより、例えば車両が左右方向に曲がって向きを変えても、ジャッキ収容凹部21に収容されたジャッキ100を左右方向に動かないように安定して固定することができる。
【0063】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前後方向FRにおいて突出部30A、30Bを設ける長さ、突出部30A,30Bの高さ、ジャッキ収容凹部21の内形形状等は、適宜変更可能である。
上記実施形態では、ジャッキ100を前後方向FRに延びるように収容したが、本発明はこれに限らない。ジャッキ収容凹部21が延びる第一方向D1は、前後方向FRに沿った方向に限らず、他の異なる方向としてもよい。
【0064】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
2…スペアタイヤ(タイヤ)
2W…ホイール
10…ツールボックス
11…本体部
12t…上面
19…規制部
21…ジャッキ収容凹部(第1凹部)
21b…底面
21c…中央部
23…第1支持部(第1部分)
23s…底面(第1部分における底面)
24…第2支持部(第2部分)
24s…底面(第2部分における底面)
30A、30B…突出部
100…ジャッキ(工具)
D1…第1方向
Df…前方(第1側)
Dr…後方(第2側)
FR…前後方向
LR…左右方向(第2方向)
S…凹部
図1
図2
図3
図4
図5