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特許7231502消費電力管理装置および消費電力管理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】消費電力管理装置および消費電力管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20230221BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/00 130
H02J3/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019119636
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021005974
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】植嶋 美喜
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 一史
(72)【発明者】
【氏名】馬場▲崎▼ 忠利
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-217599(JP,A)
【文献】特開2016-135040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の需要家に対する消費電力の変化開始時刻である所定のDR開始時刻から経過した時間帯ごとの消費電力の予測変化量であるDR応答量を含む予測DR情報を求めるDR予測部と、
前記予測DR情報に基づいて前記所定の需要家における消費電力の変化が実行された場合の前記時間帯ごとの前記所定の需要家における快適性を評価した予測値を含む予測快適性情報を求める快適性予測部と、
前記予測DR情報および前記予測快適性情報を用いて、前記需要家ごとに前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配する分配部と、
が設けられ、
前記予測DR情報に対して、前記時間帯ごとに前記予測快適性情報における前記快適性を評価した値と、予め定められた快適および不快の境界である閾値と比較し、前記快適性を評価した値が前記不快側の値である前記時間帯における前記DR応答量を削除する修正を行った修正DR情報を作成するDR修正部と、
前記修正DR情報に基づいて、前記需要家が応答可能な消費電力の変化量である応答可能容量、および、継続して消費電力の変化が可能な時間帯である継続可能期間を推計する推計部と、
が更に設けられ、
前記分配部は、前記予測DR情報および前記予測快適性情報の代わりに、前記応答可能容量および前記継続可能期間に基づいて、前記需要家ごとに前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することを特徴とする消費電力管理装置。
【請求項2】
前記需要家における消費電力の予測変化量および変化量の実績値が記憶される記憶部が更に設けられ、
前記DR予測部は、前記消費電力の予測変化量および前記変化量の実績値に基づいて、前記消費電力の予測変化量の予測精度を算出し、
前記分配部は、前記消費電力の予測変化量の予測精度に基づいて、複数の前記需要家において前記予測精度が高い前記需要家を優先して前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することを特徴とする請求項記載の消費電力管理装置。
【請求項3】
前記需要家における前記快適性を評価した予測値および実績値が記憶される記憶部が更に設けられ、
前記快適性予測部は、前記快適性を評価した予測値および前記実績値に基づいて、前記快適性を評価した予測値の予測精度を算出し、
前記分配部は、前記快適性を評価した予測値の予測精度に基づいて、複数の前記需要家において前記予測精度が高い前記需要家を優先して前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することを特徴とする請求項記載の消費電力管理装置。
【請求項4】
前記分配部は、前記消費電力の変化量の分配が可能な全ての前記需要家に対して前記変化量の分配を行うことを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載の消費電力管理装置。
【請求項5】
前記DR予測部は、前記消費電力の変化程度が異なる複数のレベルにおいて、前記予測DR情報を求め、
前記快適性予測部は、前記複数のレベルにおける前記予測DR情報に基づいて、前記予測快適性情報を求めることを特徴とする請求項1記載の消費電力管理装置。
【請求項6】
前記時間帯ごとに前記予測DR情報における前記DR応答量が、所定の応答量の許容範囲以内か否かを判定し、
前記時間帯ごとに前記予測快適性情報における前記快適性を評価した値が、所定の快適性の許容範囲以内か否か判定する判定部が更に設けられ、
前記分配部は、前記予測DR情報および前記予測快適性情報の代わりに、前記DR応答量が前記所定の応答量の許容範囲以内か否かの判定結果、および、前記快適性を評価した値が前記所定の快適性の許容範囲以内か否かの判定結果に基づいて、前記需要家ごとに前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することを特徴とする請求項記載の消費電力管理装置。
【請求項7】
前記需要家が前記消費電力の変化、および、前記快適性のいずれを優先するかを表す優先情報を記憶する記憶部が更に設けられ、
前記分配部は、
前記レベルにおける前記DR応答量が前記所定の応答量の許容範囲以内、かつ、前記快適性を評価した値が前記所定の快適性の許容範囲以内と判定された場合には、前記消費電力の変化量の分配を行い、
前記レベルにおける前記DR応答量が前記所定の応答量の許容範囲以内、かつ、前記快適性を評価した値が前記所定の快適性の許容範囲外、および、前記レベルにおける前記DR応答量が前記所定の応答量の許容範囲外、かつ、前記快適性を評価した値が前記所定の快適性の許容範囲以内と判定された場合には、前記記憶部に記憶されている優先情報に基づいて前記消費電力の変化量の分配を行い、
前記レベルにおける前記DR応答量が前記所定の応答量の許容範囲外、かつ、前記快適性を評価した値が前記所定の快適性の許容範囲外と判定された場合には、前記消費電力の変化量の分配を行わないことを特徴とする請求項記載の消費電力管理装置。
【請求項8】
所定の需要家に対する消費電力の変化開始時刻である所定のDR開始時刻から経過した時間帯ごとの消費電力の予測変化量であるDR応答量を含む予測DR情報を求めるDR予測ステップと、
前記予測DR情報に基づいて前記所定の需要家における消費電力の変化が実行された場合の前記時間帯ごとの前記所定の需要家における快適性を評価した予測値を含む予測快適性情報を求める快適性予測ステップと、
前記予測DR情報および前記予測快適性情報を用いて、前記需要家ごとに前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配する分配ステップと、
を有し、
前記予測DR情報に対して、前記時間帯ごとに前記予測快適性情報における前記快適性を評価した値と、予め定められた快適および不快の境界である閾値とを比較し、前記快適性を評価した値が前記不快側の値である前記時間帯における前記DR応答量を削除する修正を行った修正DR情報を作成するDR修正ステップと、
前記修正DR情報に基づいて、前記需要家が応答可能な消費電力の変化量である応答可能容量、および、継続して消費電力の変化が可能な時間帯である継続可能期間を推計する推計ステップと、
を更に有し、
前記分配ステップは、前記予測DR情報および前記予測快適性情報の代わりに、前記応答可能容量および前記継続可能期間に基づいて、前記需要家ごとに前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配する
ことを特徴とする消費電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力管理装置および消費電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なオフィスビルでは、総電力需要に占める空調電力需要の割合が大きいため、空調装置の制御(空調の設定温度変更や運転停止等)によるディマンドリスポンス(以下「DR」とも表記する。)は多くのDR容量を確保しやすいという利点が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-217598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同じ空調装置であって、外気温や在室人数などの外的要因や内的要因によってDR応答量が変化することや、日によってDR応答量が変化することがある。このDR応答量の変化のため、DR達成率が低下するおそれがあるという問題があった。
【0005】
また、居住者の快適性を損なわないように、個々の需要家に対するDR時間を一律30分等の予め定められた比較的短い時間に制限する制御が行われている場合もある。しかしこの制御では確保できるDR応答量が少なくなり、DR達成率が低下するおそれがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、快適性の確保およびDR達成率の向上の両立を図りやすい消費電力管理装置および消費電力管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の第1の態様に係る消費電力管理装置は、所定の需要家に対する消費電力の変化開始時刻である所定のDR開始時刻から経過した時間帯ごとの消費電力の予測変化量であるDR応答量を含む予測DR情報を求めるDR予測部と、前記予測DR情報に基づいて前記所定の需要家における消費電力の変化が実行された場合の前記時間帯ごとの前記所定の需要家における快適性を評価した予測値を含む予測快適性情報を求める快適性予測部と、前記予測DR情報および前記予測快適性情報を用いて、前記需要家ごとに前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配する分配部と、が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様に係る消費電力管理方法は、所定の需要家に対する消費電力の変化開始時刻である所定のDR開始時刻から経過した時間帯ごとの消費電力の予測変化量であるDR応答量を含む予測DR情報を求めるDR予測ステップと、前記予測DR情報に基づいて前記所定の需要家における消費電力の変化が実行された場合の前記時間帯ごとの前記所定の需要家における快適性を評価した予測値を含む予測快適性情報を求める快適性予測ステップと、前記予測DR情報および前記予測快適性情報を用いて、前記需要家ごとに前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配する分配ステップと、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の第1の態様に係る消費電力管理装置、および、第2の態様に係る消費電力管理方法によれば、予測DR情報および予測快適性情報を用いて需要家ごとに時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することができる。そのため、予測DR情報および予測快適性情報の一方のみを用いる場合、または、両者を用いない場合と比較して、快適性の確保およびDR達成率の向上の両立を図りやすい。
【0010】
上記発明の第1の態様においては、前記予測DR情報に対して、前記時間帯ごとに前記予測快適性情報における前記快適性を評価した値と、予め定められた快適および不快の境界である閾値と比較し、前記快適性を評価した値が前記不快側の値である前記時間帯における前記DR応答量を削除する修正を行った修正DR情報を作成するDR修正部と、前記修正DR情報に基づいて、前記需要家が応答可能な消費電力の変化量である応答可能容量、および、継続して消費電力の変化が可能な時間帯である継続可能期間を推計する推計部と、が更に設けられ、前記分配部は、前記予測DR情報および前記予測快適性情報の代わりに、前記応答可能容量および前記継続可能時間に基づいて、前記需要家ごとに前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することが好ましい。
【0011】
このように推計部を設けることにより、予測快適性情報に基づいて予測DR情報における需要家が不快と感じる時間帯のDR応答量を除いた修正DR情報を作成し、修正DR情報に基づいて需要家ごとに時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することができる。
【0012】
また、修正DR情報に基づいて、応答可能容量および継続して消費電力の変化が可能な時間帯である継続可能期間を推計するため、複数の需要家から構成されるグループとしての消費電力の変化目標の達成を図りやすくなる。
【0013】
上記発明の第1の態様においては、前記需要家における消費電力の予測変化量および変化量の実績値が記憶される記憶部が更に設けられ、前記DR予測部は、前記消費電力の予測変化量および前記変化量の実績値に基づいて、前記消費電力の予測変化量の予測精度を算出し、前記分配部は、前記消費電力の予測変化量の予測精度に基づいて、複数の前記需要家において前記予測精度が高い前記需要家を優先して前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することが好ましい。
【0014】
このように消費電力の予測変化量の予測精度に基づいて時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することにより、消費電力の変化目標の達成を図りやすくなる。具体的には、複数の需要家のうち、消費電力の予測変化量の予測精度が高い需要家に対して消費電力の変化量を分配することにより、消費電力の変化目標が達成しやすくなる。
【0015】
上記発明の第1の態様においては、前記需要家における前記快適性を評価した予測値および実績値が記憶される記憶部が更に設けられ、前記快適性予測部は、前記快適性を評価した予測値および前記実績値に基づいて、前記快適性を評価した予測値の予測精度を算出し、前記分配部は、前記快適性を評価した予測値の予測精度に基づいて、複数の前記需要家において前記予測精度が高い前記需要家を優先して前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することが望ましい。
【0016】
このように快適性を評価した予測値の予測精度に基づいて時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することにより、消費電力の変化目標の達成を図りやすくなる。具体的には、複数の需要家のうち、快適性を評価した予測値の予測精度が高い需要家に対して消費電力の変化量を分配することにより、消費電力の変化目標が達成しやすくなる。
【0017】
上記発明の第1の態様において前記分配部は、前記消費電力の変化量の分配が可能な全ての前記需要家に対して前記変化量の分配を行うことが好ましい。
このように消費電力の変化量の分配が可能な全ての需要家に対して変化量の分配を行うことにより、消費電力の変化量を確保しやすくなり、消費電力の変化目標が達成しやすくなる。
【0018】
上記発明の第1の態様において前記DR予測部は、前記消費電力の変化程度が異なる複数のレベルにおいて、前記予測DR情報を求め、前記快適性予測部は、前記複数のレベルにおける前記予測DR情報に基づいて、前記予測快適性情報を求めることが好ましい。
【0019】
このように消費電力の変化程度が異なる複数のレベルにおいて、予測DR情報および予測快適性情報を求めることにより、それぞれのレベルにおいて、需要家ごとに時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することができる。
【0020】
上記発明の第1の態様においては、前記時間帯ごとに前記予測DR情報における前記DR応答量が、所定の応答量の許容範囲以内か否かを判定し、前記時間帯ごとに前記予測快適性情報における前記快適性を評価した値が、所定の快適性の許容範囲以内か否か判定する判定部が更に設けられ、前記分配部は、前記予測DR情報および前記予測快適性情報の代わりに、前記DR応答量が前記所定の応答量の許容範囲以内か否かの判定結果、および、前記快適性を評価した値が前記所定の快適性の許容範囲以内か否かの判定結果に基づいて、前記需要家ごとに前記時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することが好ましい。
【0021】
このようにDR応答量が所定の応答量の許容範囲以内か否かの判定結果、および、快適性を評価した値が所定の快適性の許容範囲以内か否かの判定結果に基づいて、需要家ごとに時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することにより、快適性の確保およびDR達成率の向上の両立を図りやすくなる。
【0022】
上記発明の第1の態様においては、前記需要家が前記消費電力の変化、および、前記快適性のいずれを優先するかを表す優先情報を記憶する記憶部が更に設けられ、前記分配部は、前記レベルにおける前記DR応答量が前記所定の応答量の許容範囲以内、かつ、前記快適性を評価した値が前記所定の快適性の許容範囲以内と判定された場合には、前記消費電力の変化量の分配を行い、前記レベルにおける前記DR応答量が前記所定の応答量の許容範囲以内、かつ、前記快適性を評価した値が前記所定の快適性の許容範囲外、および、前記レベルにおける前記DR応答量が前記所定の応答量の許容範囲外、かつ、前記快適性を評価した値が前記所定の快適性の許容範囲以内と判定された場合には、前記記憶部に記憶されている優先情報に基づいて前記消費電力の変化量の分配を行い、前記レベルにおける前記DR応答量が前記所定の応答量の許容範囲外、かつ、前記快適性を評価した値が前記所定の快適性の許容範囲外と判定された場合には、前記消費電力の変化量の分配を行わないことが好ましい。
【0023】
このようにレベルにおけるDR応答量が所定の応答量の許容範囲以内、かつ、快適性を評価した値が所定の快適性の許容範囲外、および、レベルにおけるDR応答量が所定の応答量の許容範囲外、かつ、快適性を評価した値が所定の快適性の許容範囲以内と判定された場合に、優先情報に基づいて消費電力の変化量の分配を行うことにより、快適性の確保およびDR達成率の向上の両立を図りやすくなる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の第1の態様に係る消費電力管理装置、および、第2の態様に係る消費電力管理方法によれば、予測DR情報および予測快適性情報を用いて需要家ごとに時間帯ごとの消費電力の変化量を分配することができるため、予測DR情報および予測快適性情報の一方のみを用いる場合、または、両者を用いない場合と比較して、快適性の確保およびDR達成率の向上の両立を図りやすくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施形態に係る消費電力管理装置の構成を説明するブロック図である。
図2図1における演算処理の内容を説明するフローチャートである。
図3】DR開始時刻から経過した時間帯ごとのDR応答量を表す表である。
図4】DR開始時刻から経過した時間帯ごとの快適性を評価した予測値を表す表である。
図5】DR開始時刻から経過した時間帯ごとの快適、不快の判定を表す表である。
図6】DR開始時刻から経過した時間帯ごとのDR応答量の修正結果を表す表である。
図7】消費電力の削減量の配分を説明するグラフである。
図8】本発明の第2の実施形態に係る消費電力管理装置の構成を説明するブロック図である。
図9図8における演算処理の内容を説明するフローチャートである。
図10図8における演算処理の内容を説明するフローチャートである。
図11図9のラベリングにおける演算処理の内容を説明するフローチャートである。
図12】DR量を増加させた場合に快適性が減少する割合を説明するグラフである。
図13】ラベリングにおける他の演算処理の内容を説明するフローチャートである。
図14】ラベリングにおける更に他の演算処理の内容を説明するフローチャートである。
図15図9のポテンシャル予測における演算処理の内容を説明するフローチャートである。
図16】各DRレベルにおけるDR量およびDR要求量と、快適性および快適性閾値との関係を説明するグラフである。
図17】DR実施の可否判定に用いられる場合分けの内容を説明する図である。
図18】DR実施可否の判定結果が記憶される態様を説明する図である。
図19図10のポテンシャル再予測における演算処理の内容を説明するフローチャートである。
図20】それぞれのDRレベルにおけるDR量およびDR要求量との関係と、快適性および快適性閾値との関係を説明するグラフである。
図21】DR実施の可否を判定に用いられる場合分けの内容を説明する図である。
図22】DR優先である場合のDR実施可否の判定結果および快適性優先である場合のDR実施可否の判定結果を説明する図である。
図23図10のDRレベル判定における演算内容を説明するフローチャートである。
図24図10のDRレベル判定における演算内容を説明するフローチャートである。
図25図10のDRレベル判定における演算内容を説明するフローチャートである。
図26図10のDRレベル判定における演算内容を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る消費電力管理装置10について、図1から図7を参照しながら説明する。本実施形態の消費電力管理装置10は、図1に示すように、需要家における快適性の確保およびDR達成率の向上の両立を図るものである。
【0027】
DR(ディマンドリスポンス)とは、需要家の受電点以下に接続されているエネルギーリソース(発電設備、蓄電設備、需要設備)をその保有者、または、第三者が制御することで、電力需要パターンを変化させることである。これにより発電所と同等の機能を提供することを、バーチャルパワープラント(VPP)という。
【0028】
ここで、消費電力管理装置10は、複数の需要家を束ねてDRによる需要変化量を電気事業者と取引する事業者1に用いられるものである。本実施形態では、需要変化量として、需要削減量を取引する例に適用して説明する。なお、需要変化量として、需要増加量を取引してもよく、特に限定するものではない。
【0029】
事業者1はDRアグリゲータとも呼ばれる。本実施形態では需要家が4つである例に適用して説明する。4つの需要家を区別する場合には、需要家A,需要家B,需要家C,需要家Dと表記する。なお、需要家の数は、4よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0030】
DRアグリゲータのうち、一般送配電事業者や電力市場に対して電力取引を行うものを親アグリゲータと呼ぶ。またDRアグリゲータのうち、需要家とVPPサービス契約を直接締結し、リソース制御を行うものをリソースアグリゲータと呼ぶ。
【0031】
消費電力管理装置10は、図1に示すように、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するコンピュータ等の情報処理装置である。上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて、少なくともDR予測部11と、快適性予測部12と、DR修正部13と、推計部14と、分配部15と、記憶部16と、として機能させるものである。
【0032】
DR予測部11は、予測DR情報を求める演算処理を行うものである。予測DR情報は、所定の需要家に対する消費電力の削減開始時刻である所定のDR開始時刻から経過した時間帯ごとの消費電力の予測削減量であるDR応答量(以下「DR量」とも表記する。)を含むものである。
【0033】
またDR予測部11は、消費電力の予測削減量および削減量の実績値に基づいて、消費電力の予測削減量の予測精度を算出するものでもある。なお、DR予測部11における演算処理の詳細については後述する。
【0034】
快適性予測部12は、予測快適性情報を求める演算処理を行うものである。予測快適性情報は、予測された予測DR情報に基づいて所定の需要家における消費電力の削減が実行された場合の時間帯ごとの所定の需要家における快適性を評価した予測値を含むものである。
【0035】
また快適性予測部12は、快適性を評価した予測値および実績値に基づいて、快適性を評価した予測値の予測精度を算出するものでもある。なお、快適性予測部12における演算処理の詳細については後述する。
【0036】
DR修正部13は、修正DR情報を求める演算処理を行うものである。修正DR情報は、予測DR情報に対して、時間帯ごとに予測快適性情報における快適性を評価した値と、予め定められた快適および不快の境界である閾値と比較した結果に基づいて、DR応答量を削除する修正を行ったものである。DR修正部13における演算処理の詳細については後述する。
【0037】
推計部14は、修正DR情報に基づいて応答可能容量および継続可能期間を推計する演算処理を行うものである。応答可能容量は需要家が応答可能な消費電力の削減量であり、継続可能期間は継続して消費電力の削減が可能な時間帯である。
【0038】
分配部15は、応答可能容量、および、継続可能時間に基づいて、需要家ごとに時間帯ごとの消費電力の削減量を分配する演算処理を行うものである。分配部15における演算処理の詳細は後述する。
【0039】
記憶部16は、需要家における消費電力の予測削減量および削減量の実績値が記憶されるものである。また記憶部16は、需要家における快適性を評価した予測値および実績値が記憶されるものでもある。
【0040】
次に、上記の構成からなる消費電力管理装置10における演算処理について図2から図7を参照しながら説明する。消費電力管理装置10は、予め定められた所定のタイミングで以下に説明する消費電力を管理する演算処理を開始する。
【0041】
本実施形態では、消費電力管理装置10が1日単位で消費電力を管理するものであり、消費電力を管理する期間の開始前にDR応答量を配分する演算処理を行う例に適用して説明する。なお、消費電力管理装置10が消費電力を管理する期間の単位は1日単位でもよいし、1日単位よりも長い単位でもよいし、1日単位よりも短い単位であってもよい。
【0042】
DR応答量を配分する演算処理が開始されると、消費電力管理装置10のDR予測部11は、図2に示すように、DR応答量を含む予測DR情報を求める演算処理を行う(S10:DR予測ステップ)。具体的には、記憶部16に記憶されている所定の需要家Aにおける過去のDR応答量の実績値に基づいて、予測DR情報を求める演算処理を行う。
【0043】
DR予測部11は、図3に示すように、DR開始時刻から経過した時間帯ごとのDR応答量を求める演算処理を行う。また、複数のDR開始時刻ごとに同様にDR応答量を求める演算処理を行う。具体的な演算処理の方法は、公知の演算方法を用いることができ、特に限定するものではない。
【0044】
本実施形態では時間帯が30分単位の長さを有する例に適用して説明する。なお、時間帯の長さは、30分単位であってもよいし、30分よりも長い単位であってもよいし、短い単位であってもよい。
【0045】
また複数のDR開始時刻の差が30分である例に適用して説明する。なお、複数のDR開始時刻の差が30分であってもよいし、30分よりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0046】
予測DR情報が求められると、消費電力管理装置10の快適性予測部12は、図2に示すように、快適性を評価した予測値を含む予測快適性情報を求める演算処理を行う(S20:快適性予測ステップ)。快適性の評価は、PPD(Predicted Percentage of Dissatisfied、予測不快率)や、SET(Stadard new Effective Temperature、標準新有効温度)や、PMV(Predicted Mean Vote,予測温冷感申告)などの公知の評価方法を用いることができる。本実施形態ではPPDを用いた例に適用して説明する。
【0047】
快適性予測部12は、S10において求めた予測DR情報に基づいて消費電力の削減が実行された場合の快適性を評価した予測値を求める演算処理を行う。予測値は、図4に示すように、DR開始時刻から経過した時間帯ごとに求められる。また、複数のDR開始時刻ごとに予測値が求められる。予測値を求める具体的な演算処理の方法は、公知の演算方法を用いることができ、特に限定するものではない。
【0048】
本実施形態では、時間帯および複数のDR開始時刻の差が30分である例に適用して説明する。なお、時間帯および複数のDR開始時刻の差が30分であってもよいし、30分よりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0049】
予測快適性情報が求められると、消費電力管理装置10のDR修正部13は、図2に示すように、予測DR情報を修正した修正DR情報を作成する演算処理を行う(S30:DR修正ステップ)。
【0050】
まずDR修正部13は、図5に示すように、予測快適性情報における快適性を評価した予測値と、予め定められた快適および不快の境界である閾値とを比較する演算処理を行う。比較の結果、予測値が-0.5以上0.5以下の範囲内に含まれる時間帯は快適(○)と判定し、予測値が-0.5以上0.5以下の範囲から外れる時間帯は不快(×)と判定する。
【0051】
ここでは快適と不快とを判定する閾値が±0.5である例に適用して説明したが、閾値は±0.5以外の値であってもよい。例えば、消費電力管理装置10を使用する事業者1が、この閾値を任意に設定してもよい。
【0052】
その後DR修正部13は、図6に示すように、予測DR情報に対して、不快(×)と判定された時間帯のDR応答量を削除する演算処理を行う。言い換えると快適(○)と判定された時間帯のDR応答量のみを残す演算処理を行う。
【0053】
修正DR情報を作成すると、図2に示すように、消費電力管理装置10は全ての需要家に対して修正DR情報を作成したか否かを判定する処理を行う(S40)。全ての需要家に対して修正DR情報を作成していないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置10はS10に戻り上述の処理を繰り返し行う。
【0054】
全ての需要家に対して修正DR情報を作成したと判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置10の推計部14は、修正DR情報に基づいて、需要家が応答可能な消費電力の削減量である応答可能容量、および、継続して消費電力の削減が可能な時間帯である継続可能期間を推計する演算処理を行う(S50:推計ステップ)。
【0055】
応答可能容量、および、継続可能期間の推計が行われると、消費電力管理装置10の分配部15は、応答可能容量および継続可能期間に基づいて、需要家ごとに時間帯ごとの消費電力の削減量を分配する演算処理を行う(S60:分配ステップ)。
【0056】
例えば図7に示すように、4つの需要家のそれぞれに対して、時間帯ごとの消費電力の削減量を変えて分配するとともに、消費電力の削減を継続する時間を変えて分配する。なお、消費電力の削減量を分配する具体的な演算処理としては、公知の演算処理を用いることができ、演算処理の具体的な内容を限定するものではない。
【0057】
上記の構成の消費電力管理装置10によれば、予測DR情報および予測快適性情報を用いて需要家ごとに時間帯ごとの消費電力の削減量を分配することができる。そのため、予測DR情報および予測快適性情報の一方のみを用いる場合、または、両者を用いない場合と比較して、快適性の確保およびDR達成率の向上の両立を図りやすい。
【0058】
予測快適性情報に基づいて予測DR情報における需要家が不快と感じる時間帯のDR応答量を除いた修正DR情報を作成し、修正DR情報に基づいて需要家ごとに時間帯ごとの消費電力の削減量を分配することができる。
【0059】
また、修正DR情報に基づいて、応答可能容量および継続して消費電力の削減が可能な時間帯である継続可能期間を推計するため、複数の需要家から構成されるグループとしての消費電力の削減目標の達成を図りやすくなる。
【0060】
なお、分配部15は、消費電力の予測削減量の予測精度に基づいて、複数の需要家において予測精度が高い需要家を優先して時間帯ごとの消費電力の削減量を分配してもよい。
【0061】
消費電力の予測削減量の予測精度に基づいて時間帯ごとの消費電力の削減量を分配することにより、消費電力の削減目標の達成を図りやすくなる。具体的には、複数の需要家のうち、消費電力の予測削減量の予測精度が高い需要家に対して消費電力の削減量を分配することにより、消費電力の削減目標が達成しやすくなる。
【0062】
また分配部15は、快適性を評価した予測値の予測精度に基づいて、複数の需要家において予測精度が高い需要家を優先して時間帯ごとの消費電力の削減量を分配してもよい。
【0063】
快適性を評価した予測値の予測精度に基づいて時間帯ごとの消費電力の削減量を分配することにより、消費電力の削減目標の達成を図りやすくなる。具体的には、複数の需要家のうち、快適性を評価した予測値の予測精度が高い需要家に対して消費電力の削減量を分配することにより、消費電力の削減目標が達成しやすくなる。
【0064】
消費電力の削減量の分配が可能な全ての需要家に対して削減量の分配を行うことにより、個々の需要家の消費電力の予測削減量の予測誤差による影響が均され、消費電力の予測削減量の合計値の予測誤差が小さくなる。これにより、消費電力の削減目標が達成しやすくなる。
【0065】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図8から図26を参照して説明する。本実施形態の消費電力管理装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、判定部が設けられている点等が異なっている。よって、本実施形態においては、図8から図26を用いて判定部における処理および当該処理に関連する処理について説明し、第1の実施形態の消費電力管理装置における同様な処理の説明を省略する。
【0066】
本実施形態の消費電力管理装置110は、図8に示すように、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM、RAM、入出力インタフェース等を有するコンピュータ等の情報処理装置である。上述のROM等の記憶装置に記憶されているプログラムは、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェースを協働させて、少なくともDR予測部111と、快適性予測部112と、分配部115と、記憶部16と、判定部117として機能させるものである。
【0067】
DR予測部111は、消費電力の削減程度が異なる複数のレベル(以下、「DRレベル」とも表記する。)において、予測DR情報を求める演算処理を行うものである。DRレベルは、消費電力の削減程度が小さいものから順にDRレベル1、DRレベル2、DRレベル3、…、DRレベルn、…、DRレベルn_max(nは自然数、n_maxはDRレベルの最大値)と表記する。なお、本実施形態ではn_maxが4である例に適用して説明する。
【0068】
具体的には、空調の設定温度緩和幅が1℃ならDRレベル1に対応し、2℃ならDRレベル2に対応する場合などを例示することができる。なお、消費電力の削減量と各DRレベルとの対応関係や、各DRレベルにおける消費電力の削減量の幅などは、上述の例に限定されるものではなく、任意に設定してもよい。
【0069】
またDR予測部111は、消費電力の削減程度が異なる複数のレベルにおいて、消費電力の予測削減量および削減量の実績値に基づいて、消費電力の予測削減量の予測精度を算出するものでもある。なお、DR予測部111における演算処理の詳細については後述する。
【0070】
快適性予測部112は、複数のDRレベルにおける予測DR情報に基づいて、予測快適性情報を求める演算処理を行うものである。また快適性予測部112は、複数のDRレベルにおける予測快適性情報および実績値に基づいて、快適性を評価した予測値の予測精度を算出するものでもある。なお、快適性予測部112における演算処理の詳細については後述する。
【0071】
分配部115は、複数のDRレベルにおいて、予測DR情報に含まれるDR応答量、および、予測快適性情報に含まれる快適性を評価した予測値に基づいて、需要家ごとに時間帯ごとの消費電力の削減量を分配する演算処理を行うものである。分配部115における演算処理の詳細は後述する。
【0072】
記憶部16は、需要家が消費電力の削減、および、快適性のいずれを優先するかを表す優先情報を記憶するものである。また、第1の実施形態の記憶部16と同様に、需要家における消費電力の予測削減量および削減量の実績値や、需要家における快適性を評価した予測値および実績値が記憶されるものでもある。
【0073】
判定部117は、前記時間帯ごとに、予測DR情報におけるDR応答量が所定の応答量の許容範囲以内か否かを判定する演算処理を行うものである。また、時間帯ごとに、予測快適性情報における快適性を評価した値が所定の快適性の許容範囲以内か否か判定する演算処理を行うものでもある。
【0074】
次に、上記の構成からなる消費電力管理装置110における演算処理について図9から図26を参照しながら説明する。消費電力管理装置110は、予め定められた所定のタイミングで以下に説明する消費電力を管理する演算処理を開始する。
【0075】
消費電力を管理する演算処理が開始されると消費電力管理装置110は、図9に示すように、任意の1つの需要家について、消費電力の削減、および、快適性のいずれを優先するかを表す優先情報が記憶(以下「ラベリング」とも表記する。)されているかを判定する演算処理を行う(S101)。
【0076】
需要家にラベリングされていないと判定された場合には、消費電力管理装置110は需要家に対してラベリングする演算処理を行う(S200)。ラベリングする演算処理が開始されると消費電力管理装置110は、図11に示すように、DR量を増加させた場合に快適性が減少する割合dy/dxが予め定められた閾値α以下であるか否かを判定する演算処理を行う(S201)。なお、閾値αは消費電力管理装置110の運用者や、需要家などが任意に設定でき、変更できる値である。
【0077】
DR量を増加させた場合に快適性が減少する割合dy/dxは、図12に示すように、横軸(X軸)にDR量をとり、縦軸(Y軸)に快適性をとった場合におけるグラフの傾きを意味するものである。
【0078】
ここで、DR量が増えるとX軸の正側(右側)へ移動し、快適性が高くなるとY軸の正側(上側)へ移動する。本実施形態では、dy/dxが負の値をとる場合に適用して説明する。言い換えると、図12においてグラフが右下がりである例に適用して説明する。
【0079】
S201の判定処理においてdy/dxが閾値α以下であると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、当該需要家に対して快適性を優先するラベリングを行う処理を行う(S202)。
【0080】
dy/dxが閾値α以下である場合とは、DR量を増加させた場合に快適性が減少する割合が、需要家などが許容できる割合よりも大きい場合であると考えられる。この場合、快適性を需要家などが許容できる範囲に収めやすい制御が行われるように、快適性を優先するラベリングが行われる。
【0081】
S201の判定処理においてdy/dxが閾値α以下ではないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、当該需要家に対してDR量を優先するラベリングを行う処理を行う(S203)。
【0082】
dy/dxが閾値α以下ではない(閾値αを超える)場合とは、DR量を増加させた場合に快適性が減少する割合が、需要家などが許容できる割合よりも小さい場合であると考えられる。この場合、快適性は需要家などが許容できる範囲に収まりやすいため、DR量を確保しやすい制御が行われるように、DR量を優先するラベリングが行われる。
【0083】
なお、消費電力管理装置110は、図11に示す演算処理の代わりに、図13に示す演算処理を行ってもよい。つまり、消費電力管理装置110は、需要家からDR実施時にクレームがあったか否かを判定する演算処理を行う(S211)。具体的には、記憶部16に当該需要家と紐づけされたクレームの記憶があるか否かを判定する処理が行われる。
【0084】
クレームとしては、DR実施時に快適性が損なわれた旨を訴えるものや、空調の設定温度の低下を訴えるものなどを例示することができる。クレームがあった場合には、記憶部16に記憶される。
【0085】
記憶部16は、クレームと、クレームをした需要家を識別する情報とを紐づけして記憶する。なお、記憶部16は、クレームがあった日時や、クレームの内容などを併せて記憶してもよい。
【0086】
S211の判定処理においてクレームがあったと判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、当該需要家に対して快適性を優先するラベリングを行う処理を行う(S202)。
【0087】
クレームがあったと判定された場合には、DR制御を行うと当該需要家から再びクレームが出る可能性が高いと考えられる。そのため、クレームがでる可能性が小さくなる制御が行われるように、快適性を優先するラベリングが行われる。
【0088】
S211の判定処理においてクレームがなかったと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、当該需要家に対してDR量を優先するラベリングを行う処理を行う(S203)。
【0089】
クレームがなかったと判定された場合には、DR制御を行っても当該需要家から再びクレームが出る可能性が低いと考えられる。そのため、DR量を確保しやすい制御が行われるように、DR量を優先するラベリングが行われる。
【0090】
さらに、消費電力管理装置110は図14に示す演算処理を行ってもよい。つまり、消費電力管理装置110は、需要家が快適性を重要視しているか否かを判定する演算処理を行う(S221)。具体的には、記憶部16に当該需要家と快適性を重要視する情報とが紐づけされて記憶されているか否かを判定する処理が行われる。
【0091】
快適性を重要視する情報としては、需要家の業種などを表す種別を例示することができる。例えば、種別に基づき当該需要家が医療機関であることを知ることができる。予め医療機関は快適性を重要視することを定めておくことにより、医療機関である需要家が、快適性を重要視していると判定することが可能となる。
【0092】
なお、需要家の業種などを表す種別の数は、1つの種別に含まれる範囲は、消費電力管理装置110の管理者が任意に設定することができる。また、快適性を重要視する業種や種別も、上述の管理者が任意に設定することができる。
【0093】
また、快適性を重要視する情報は、需要家からの申告に基づいて設定されていてもよい。つまり、快適性を重要視すると申告した需要家については、快適性を重要視していると判定してもよい。また、快適性を重要視しないと申告した需要家については、快適性を重要視していないと判定してもよい。
【0094】
S221の判定処理において快適性を重要視していると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、当該需要家に対して快適性を優先するラベリングを行う処理を行う(S202)。
【0095】
S221の判定処理において快適性を重要視していないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、当該需要家に対してDR量を優先するラベリングを行う処理を行う(S203)。
【0096】
なお、消費電力管理装置110は上述の図11図13および図14により説明されるいずれか1つの演算処理のみを行ってもよいし、これらの演算処理の少なくとも2つを組み合わせた演算処理を行ってもよい。
【0097】
需要家に対してラベリングする演算処理が行われると、消費電力管理装置110は図9に戻り、DRポテンシャルを予測する演算処理を行う。または、S101の演算処理において需要家にラベリングされていると判定される(YESと判定される)と、消費電力管理装置110はDRポテンシャルを予測する演算処理を行う(S300)。ここで、DRポテンシャルとは、それぞれのDRレベルnにおける予測DR情報および予測快適性情報を含むものである。
【0098】
DRポテンシャルを予測する演算処理が開始されると消費電力管理装置110は、図15に示すように、DRレベルnをDRレベル1に設定する演算処理を行う(S301)。本実施形態ではDRレベルを表す変数nに1を格納する演算処理を行う例に適用して説明する。
【0099】
消費電力管理装置110のDR予測部111は、DRレベルnにおけるDR応答量を含む予測DR情報を求める演算処理を行う(S302:DR予測ステップ)。具体的には、DR予測部111は、記憶部16に記憶されている所定の需要家Aにおける過去のDR応答量の実績値に基づいて、予測DR情報を求める演算処理を行う。S302における予測DR情報を求める演算処理は、第1の実施形態のDR予測部11における演算処理と同様である。
【0100】
予測DR情報が求められると、消費電力管理装置110の快適性予測部112は、DRレベルnにおける快適性を評価した予測値を含む予測快適性情報を求める演算処理を行う(S303:快適性予測ステップ)。S303における快適性予測部112が行う予測快適性情報を求める演算処理は、第1の実施形態の快適性予測部12における演算処理と同様である。
【0101】
予測快適性情報が求められると、消費電力管理装置110は変数nに格納されている値が、変数nの最大値であるn_maxと等しくなっているか否かを判定する演算処理を行う(S304)。言い換えるとDRレベルnが、最大レベルになっているか否かを判定する演算処理を行う。
【0102】
変数nに格納されている値がn_maxでない(n_maxと等しくなっていない)と判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は変数nに格納されている値に1を加える演算を行い、当該演算結果を変数nに格納する演算処理を行う(S305)。
【0103】
変数nに1が加算されると、消費電力管理装置110はS302に戻り上述の演算処理を繰り返し行う。この場合、変数nに1が加算されているため、1つ上のDRレベルにおける演算処理が行われる。
【0104】
S304の判定処理において、変数nに格納されている値がn_maxと等しくなっていると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110における演算処理は図9に戻る。言い換えると、当該需要家において、DRレベル1からDRレベルn_maxまでのそれぞれのレベルについて予測DR情報および予測快適性情報が求められると、消費電力管理装置110における演算処理は図9に戻る。
【0105】
消費電力管理装置110は、図9に示すように、全ての需要家に対してDRポテンシャルを予測したか否かを判定する演算処理を行う(S102)。S102における具体的な演算処理としては公知の判定処理を用いることができ、特に限定するものではない。
【0106】
全ての需要家に対して、DRポテンシャルを予測していないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110はS101に戻り上述の演算処理を繰り返し行う。なお、S101に戻った場合には、すでにS101の演算処理の対象となった需要家とは異なる需要家が選択されることが好ましい。
【0107】
全ての需要家に対して、DRポテンシャルを予測していると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110の判定部117はDR実施の可否を判定する演算処理を行う(S103)。判定部117における判定する演算処理は、全ての需要家のそれぞれに対して行われる。また各需要家におけるDR開始時刻から経過した時間帯ごとに判定する演算処理が行われ、複数のDR開始時刻ごとに同様に判定する演算処理が行われる。
【0108】
判定する演算処理においては、図16に示すように、応答量の許容範囲および快適性の許容範囲が参照される。なお図16における横軸はDRレベルを表し、右側の縦軸はDR量を表し、左側の縦軸は快適性の評価値を表している。右側の縦軸は上側に向かうとともにDR量が大きくなり、左側の縦軸は上側に向かうとともに快適性が高くなることを表している。また、実線のグラフDはDR量を表し、点線のグラフCは快適性を表している。
【0109】
応答量の許容範囲は、少なくともDR要求量を満たすDR応答量の範囲である。DR要求量は事業者1から要請されるDR応答量である。事業者1からの要請に応じてその値が定められるものである例を挙げることができる。快適性の許容範囲は、快適性がその範囲以内であれば需要家が快適と感じ、範囲外であれば不快と感じるものである。快適性の許容範囲としては、需要家との間で取り決めされた範囲を用いる例を挙げることができる。
【0110】
図16に示す例では、所定の需要家の場合、DRレベル1においてDR量は応答量の許容範囲外、言い換えるとDR要求量未満であり(図中では×と表示している。)、快適性は快適性の許容範囲以内である(図中では○と表示している。)。DRレベル2では、DR量は応答量の許容範囲以内、言い換えるとDR要求量以上(図中では○と表示している。)であり、快適性は快適性の許容範囲以内である。DRレベル3およびDRレベル4では、DR量は応答量の許容範囲以内であり、快適性は快適性の許容範囲外である(図中では×と表示している。)。
【0111】
消費電力管理装置110の判定部117は、さらに図17に示す表に基づいてDR実施の可否を判定する演算処理を行う。つまり、それぞれのDRレベルにおいてDR量が応答量の許容範囲以内か外か、および、快適性が快適性の許容範囲以内か外かに基づいてDR実施の可否を判定する。
【0112】
消費電力管理装置110の判定部117は、DR量が応答量の許容範囲以内、かつ、快適性が快適性の許容範囲以内の場合にのみDR実施が可と判定する。さらに消費電力管理装置110は、DR実施が可と判定された場合の具体的なDR量(kWの値)も判定する。
【0113】
その他のDR量が応答量の許容範囲以内かつ快適性が快適性の許容範囲外の場合、DR量が応答量の許容範囲外かつ快適性が快適性の許容範囲以内の場合、および、DR量が応答量の許容範囲外かつ快適性が快適性の許容範囲外の場合には、DR実施は不可と判定する。
【0114】
消費電力管理装置110の判定部117におけるDR実施可否の判定結果は、図18に示すように、需要家と、DR開始時刻と、DR開始時刻から経過した時間帯と、に紐付けされて記憶部16に記憶される。
【0115】
DR実施の可否が判定されると、消費電力管理装置110の分配部115は、それぞれの需要家に対してDR量を分配する演算処理を行う(S104)。S104における分配部115による分配の演算処理は、DR実施が可と判定されたDRレベルのうち最もDR量が大きなDRレベルを選択する点を除き、第1の実施形態におけるS60における分配の演算処理と同様に行われる(図2および図7など参照。)。
【0116】
DR量が分配されると、消費電力管理装置110は分配されたDR量を対応する需要家に対して指令する処理を行う(S105)。例えば、需要家Aに対して10:00から10:30の期間は10kWの消費電力を削減し、10:30から11:00の期間は15kWの消費電力を削減する内容の指令を行う。
【0117】
また需要家Bに対して13:30から14:00の期間は15kWの消費電力を削減し、14:00から14:30の期間は10kWの消費電力を削減する内容の指令を行う。ここでは、それぞれの需要家に対して分配されたDR量は指令されるが、需要家における消費電力を削減する制御は実行されていない。
【0118】
DR量が指令されると、図10に示すように、消費電力管理装置110のDR予測部111は任意の1つの需要家についてDRポテンシャルを再予測する演算処理を行う(S400)。なおDR予測部111によるDRポテンシャルの再予測は、S300におけるDRポテンシャルの予測と同じ演算処理であるため、図19にDRポテンシャルの再予測の演算処理を説明するフローチャートを図示し、その説明を省略する。
【0119】
DRポテンシャルを再予測する演算処理が行われると、図10に戻り、消費電力管理装置110は全ての需要家に対して、DRポテンシャルを再予測したか否かを判定する演算処理を行う(S106)。
【0120】
全ての需要家に対して、DRポテンシャルを再予測していないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110はS400に戻り上述の演算処理を繰り返し行う。なお、S400に戻った場合には、すでにS400の演算処理の対象となった需要家とは異なる需要家が選択されることが好ましい。
【0121】
全ての需要家に対して、DRポテンシャルを再予測していると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110はDR実施の可否を判定する演算処理を行う(S107)。
【0122】
判定する演算処理は、全ての需要家のそれぞれに対して行われる。また各需要家におけるDR開始時刻から経過した時間帯ごとに判定する演算処理が行われ、複数のDR開始時刻ごとに同様に判定する演算処理が行われる。
【0123】
ここでは、図20に示す例に基づいて説明する。図20に示す例では、DRレベル1およびDRレベル2においてDR量は応答量の許容範囲外であり(図中では×と表示している。)、快適性は快適性の許容範囲以内である(図中では○と表示している。)。DRレベル3およびDRレベル4では、DR量は応答量の許容範囲以内であり(図中では○と表示している。)、快適性は快適性の許容範囲外である(図中では×と表示している。)。図20に示す例は、DR量が応答量の許容範囲以内、かつ、快適性が快適性の許容範囲以内となるDRレベルは存在していない点が、図16に示す例とは異なる。
【0124】
消費電力管理装置110の判定部117は、さらに図21に示す表に基づいてDR実施の可否を判定する演算処理を行う。図21に示す表は、DR量が応答量の許容範囲以内、かつ、快適性が快適性の許容範囲外の場合、および、DR量が応答量の許容範囲外、かつ、快適性が快適性の許容範囲以内の場合における内容が、図17に示す表とは異なっている。つまり、図17に示す表では、DR実施は不可とされているのに対して、図21に示す表では優先順位で判定するとされている。
【0125】
なお、DR量が応答量の許容範囲以内、かつ、快適性が快適性の許容範囲以内の場合、および、DR量が応答量の許容範囲外、かつ、快適性が快適性の許容範囲外の場合におけるDR実施の可否判定は、S103における可否判定と同じである。
【0126】
DR量が応答量の許容範囲以内、かつ、快適性が快適性の許容範囲外の場合、および、DR量が応答量の許容範囲外、かつ、快適性が快適性の許容範囲以内の場合における可否判定の内容について、図22を参照しながら説明する。
【0127】
図22には、各DRレベルにおけるDR量が応答量の許容範囲以内である否かの判定結果、快適性が快適性の許容範囲以内であるか否かの判定結果、需要家のラベリングがDR優先である場合のDR実施可否の判定結果、および、需要家のラベリングが快適性優先である場合のDR実施可否の判定結果が示されている。なお、DR量の判定結果における括弧内の記載は、それぞれのDRレベルにおけるDR量の値である。
【0128】
ここでDR優先である場合のDR実施可否の判定とは、DR量の確保を優先する判定である。そのため、DR量の確保するために快適性が快適性の許容範囲外となることも許容する判定が行われる。図22の場合には、DRレベル1からDRレベル4においてDR実施が可(図中では○と表記している。)と判定される。
【0129】
また快適性優先である場合のDR実施可否の判定とは、快適性が快適性の許容範囲以内になることを優先する判定である。そのため、DR量が応答量の許容範囲外となることも許容する判定が行われる。図22の場合には、DRレベル1およびDRレベル2においてDR実施が可と判定され、DRレベル3およびDRレベル4においてDR実施が不可(図中では×と表記している。)と判定される。
【0130】
DR要求量が10kWである場合、需要家のラベリングがDR優先のときには、DR実施が可と判定されたDRレベルのうち、DR量がDR要求量(10kW)を超え、かつ、最もDR要求量に近いDRレベル3が、DR実施が可能なDRレベルとして選択される。
【0131】
また、需要家のラベリングが快適性優先のときには、DR実施が可と判定されたDRレベルのうち、DR量がDR要求量(10kW)に最も近いDRレベル2が、DR実施が可能なDRレベルとして選択される。
【0132】
DR実施の可否を判定する演算処理が行われると、消費電力管理装置110はDRを実施する処理を行う(S108)。消費電力管理装置110は、S105において指令した内容、および、S107において判定して選択したDRレベルおよびDR量にてDRを実施する処理を行う。
【0133】
DRを実施する処理が行われると、消費電力管理装置110は、任意の1つの需要家について快適性を優先するラベリングがされているか否かを判定する演算処理を行う(S109)。
【0134】
快適性を優先するラベリングがされていると判定された場合(YESの場合)、消費電力管理装置110はDRレベルを判定する演算処理を行う(S500)。DRレベルを判定する演算処理が開始されると消費電力管理装置110は、図23に示すように、DR要求量の値X(以下「DR要求量X」とも表記する。)を取得する処理を行う(S501)。
【0135】
DR要求量Xが取得されると、消費電力管理装置110は、DRレベルの値n(以下「DRレベルn」とも表記する。)を取得する処理を行う(S502)。ここで取得されるDRレベルnは、S108において実施されたDRにおけるDRレベルの値である。
【0136】
DRレベルnが取得されると、消費電力管理装置110は、緩和指令が出力されているか否かを判定する演算処理を行う(S503)。ここで緩和指令とは、需要家から消費電力管理装置110に入力されるものであり、快適性悪化の解消などを目的とした消費電力削減を緩和する内容の指令である。
【0137】
緩和指令が出力されていると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、DR実績値がDR要求量X以上であるか否かを判定する演算処理を行う(S505)。
【0138】
DR実績値がDR要求量X以上ではない(未満である)と判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、DRレベルを表すnに格納されている値から1を引く減算処理を行い、減算結果をnに仮に格納する処理を行う(S506)。
【0139】
減算処理が行われると、消費電力管理装置110のDR予測部111は、仮のnの値に基づいてDR量を予測する演算処理を行う(S507)。ここで行われるDR量の予測は、第1の実施形態におけるS10と同じ演算処理で行われる。
【0140】
DR量の予測が行われると、消費電力管理装置110は、予測されたDR量であるDR予測値がDR要求量X以上であるか否かを判定する演算処理が行われる(S508)。DR予測値がDR要求量X以上であると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、快適性を予測する演算処理を行う(S509)。ここで行われる快適性の予測は、第1の実施形態におけるS20と同じ演算処理で行われる。
【0141】
快適性が予測されると、消費電力管理装置110は、予測された快適性の値である快適性予測値が快適性の許容範囲以内であるか否かを判定する演算処理が行われる(S510)。快適性予測値が快適性の許容範囲以内にないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、S506に戻り、上述の処理を再び行う。
【0142】
S510において快適性予測値が快適性の許容範囲以内にあると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、S506においてnに仮に格納された値を正式な値として決定する処理を行う(S511)。
【0143】
その一方で、S508においてDR予測値がDR要求量X以上でないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、nに仮に格納された値に1を加える加算処理を行う(S512)。
【0144】
S511においてnに格納された値が正式な値として決定されると、S512においてnに仮に格納された値に1を加算する演算処理が行われると、または、S505においてDR実績値がDR要求量X以上であると判定される(YES)と、消費電力管理装置110は、DRレベルnでDRを継続する処理を行う(S513)。DRレベルnでDRを継続する処理が行われると、消費電力管理装置110は、DRレベルを判定する演算処理は終了し、図10に戻る。
【0145】
その一方で、S503において緩和指令がないと判定された場合(NOの場合)、または、快適性実測値が快適性の許容範囲以内にないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、図24に示すように、nに格納されている値がn_maxと等しいか否かを判定する演算処理を行う(S514)。
【0146】
nに格納されている値がn_maxと等しくないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、nに格納されている値に1を加算し、加算結果をnに仮に格納する演算処理を行う(S515)。
【0147】
加算処理が行われると、消費電力管理装置110のDR予測部111は、仮のnの値に基づいてDR量を予測する演算処理を行う(S516)。ここで行われるDR量の予測は、第1の実施形態におけるS10と同じ演算処理で行われる。
【0148】
DR量の予測が行われると、消費電力管理装置110は、DR予測値がDR要求量X以上であるか否かを判定する演算処理を行う(S517)。DR予測値がDR要求量X以上であると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、S515においてnに仮に格納された値を正式な値として決定する処理を行う(S518)。
【0149】
S517においてDR予測値がDR要求量X以上でないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、S515に戻り、上述の処理を繰り返し行う。
nに格納された値が正式な値として決定されると、消費電力管理装置110は、DRレベルnでDRを継続する処理を行う(S519)。
【0150】
その一方で、S514においてnに格納されている値がn_maxと等しいと判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、DRレベルn_maxでDRを継続する処理を行う(S520)。S519またはS520においてDRを継続する処理が行われると、消費電力管理装置110は、DRレベルを判定する演算処理を終了し、図10に戻る。
【0151】
S109の判定処理において、快適性を優先するラベリングがされていないと判定された場合(NOの場合)、消費電力管理装置110はDRレベルを判定する演算処理を行う(S600)。DRレベルを判定する演算処理が開始されると消費電力管理装置110は、図25に示すように、DR要求量Xを取得する処理を行う(S601)。
【0152】
DR要求量Xが取得されると、消費電力管理装置110は、DRレベルnを取得する処理を行う(S602)。DRレベルnが取得されると、消費電力管理装置110は、緩和指令が出力されているか否かを判定する演算処理を行う(S603)。
【0153】
緩和指令が出力されていると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、快適性実測値が快適性の許容範囲以内であるか否かを判定する演算処理を行う(S605)。
【0154】
快適性実測値が快適性の許容範囲以内ではないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、nに格納されている値から1を加える加算処理を行い、加算結果をnに仮に格納する処理を行う(S606)。加算処理が行われると、消費電力管理装置110の快適性予測部112は、仮のnの値に基づいて快適性予測値を求める演算処理を行う(S607)。
【0155】
快適性予測値が求められると、消費電力管理装置110は、快適性予測値が快適性の許容範囲以内であるか否かを判定する演算処理を行う(S608)。快適性予測値が快適性の許容範囲以内であると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、DR量を予測する演算処理を行う(S609)。
【0156】
DR量が予測されると、消費電力管理装置110は、DR予測値がDR要求量X以上であるか否かを判定する演算処理を行う(S610)。DR予測値がDR要求量X以上でないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、S606に戻り、上述の処理を再び行う。
【0157】
S610においてDR予測値がDR要求量X以上であると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、S606においてnに仮に格納された値を正式な値として決定する処理を行う(S611)。
【0158】
その一方で、S608において快適性予測値が快適性の許容範囲以内でないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、nに仮に格納された値から1を減算する処理を行う(S612)。
【0159】
S611においてnに格納された値が決定されると、S612においてnに仮に格納された値に1を減算する処理が行われると、または、S605においてDR実績値がDR要求量X以上であると判定される(YES)と、消費電力管理装置110は、DRレベルnでDRを継続する処理を行う(S613)。DRレベルnでDRを継続する処理が行われると、消費電力管理装置110は、DRレベルを判定する演算処理を終了し、図10に戻る。
【0160】
その一方で、S603において緩和指令がないと判定された場合(NOの場合)、または、快適性実測値が快適性の許容範囲以内にないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、図26に示すように、nに格納されている値が1と等しいか否かを判定する演算処理を行う(S614)。
【0161】
nに格納されている値が1と等しくないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、nに格納されている値から1を減算し、減算結果をnに仮に格納する演算処理を行う(S615)。
【0162】
減算処理が行われると、消費電力管理装置110は、仮のnの値に基づいて快適性予測値を求める演算処理を行う(S616)。快適性予測値が求められると、消費電力管理装置110は、快適性予測値が快適性の許容範囲以内であるか否かを判定する演算処理を行う(S617)。
【0163】
快適性予測値が快適性の許容範囲以内であると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、S615においてnに仮に格納された値を正式な値として決定する処理を行う(S618)。
【0164】
S617において快適性予測値が快適性の許容範囲以内でないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110は、S615に戻り、上述の処理を繰り返し行う。
nに格納された値が正式な値として決定されると、消費電力管理装置110は、DRレベルnでDRを継続する処理を行う(S619)。
【0165】
その一方で、S614においてnに格納されている値が1と等しいと判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は、DRレベル1でDRを継続する処理を行う(S620)。S619またはS620においてDRを継続する処理が行われると、消費電力管理装置110は、DRレベルを判定する演算処理を終了し、図10に戻る。
【0166】
S500またはS600のDRレベルを判定する演算処理が行われると、図10に戻り、消費電力管理装置110は全ての需要家に対して、S500またはS600のDRレベルを判定したか否かを判定する演算処理を行う(S110)。
【0167】
全ての需要家に対して、S500またはS600のDRレベルを判定していないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110はS109に戻り上述の演算処理を繰り返し行う。なお、S109に戻った場合には、すでにS109の演算処理の対象となった需要家とは異なる需要家が選択されることが好ましい。
【0168】
全ての需要家に対して、S500またはS600のDRレベルを判定していると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110はDRが終了しているか否かを判定する演算処理を行う(S111)。
【0169】
DRが終了していないと判定された場合(NOの場合)には、消費電力管理装置110はS109に戻り上述の演算処理を繰り返し行う。この場合、消費電力管理装置110は再び任意の1つの需要家を選択することが好ましい。
【0170】
DRが終了していると判定された場合(YESの場合)には、消費電力管理装置110は消費電力を管理する演算処理を終了し、次の消費電力を管理する演算処理が開始するタイミングまで待機する。
【0171】
上記の構成の消費電力管理装置110によれば、消費電力の削減程度が異なる複数のDRレベルにおいて、予測DR情報および予測快適性情報を求めることにより、それぞれのDRレベルにおいて、需要家ごとに時間帯ごとの消費電力の削減量を分配することができる。
【0172】
DR応答量が所定の応答量の許容範囲以内か否かの判定結果、および、快適性を評価した値が所定の快適性の許容範囲以内か否かの判定結果に基づいて、需要家ごとに時間帯ごとの消費電力の削減量を分配することにより、快適性の確保およびDR達成率の向上の両立を図りやすくなる。
【0173】
DRレベルにおけるDR応答量が所定の応答量の許容範囲以内、かつ、快適性を評価した値が所定の快適性の許容範囲外、および、DRレベルにおけるDR応答量が所定の応答量の許容範囲外、かつ、快適性を評価した値が所定の快適性の許容範囲以内と判定された場合に、優先情報に基づいて消費電力の削減量の分配を行うことにより、快適性の確保およびDR達成率の向上の両立を図りやすくなる。
【0174】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、本発明を上記の実施形態に適用したものに限られることなく、これらの実施形態を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定するものではない。
【符号の説明】
【0175】
10,110…消費電力管理装置、 11,111…DR予測部、 12,112…快適性予測部、 13…DR修正部、 14…推計部、 15,115…分配部、 16,116…記憶部、 117…判定部、 S10,S302…DR予測ステップ、 S20,S303…快適性予測ステップ、 S30…DR修正ステップ、 S50…推計ステップ、 S60…分配ステップ
図1
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