(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/02 20060101AFI20230221BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
B65H5/02 M
B65H9/00 J
B65H9/00 B
B65H5/02 F
(21)【出願番号】P 2019138230
(22)【出願日】2019-07-26
【審査請求日】2021-05-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示日:平成30年7月26日~平成30年7月31日 展示会名:IGAS2018(国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展) 開催場所:東京国際展示場(東京ビックサイト 東展示棟)[東京都江東区有明3-10-1] 公開者:株式会社木田鉄工所
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日:平成30年8月9日 販売した場所:富山スガキ株式会社(富山県富山市塚原23-1) 公開者:株式会社木田鉄工所
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日:平成31年1月31日および平成31年3月5日 販売した場所:大塚包装工業株式会社(徳島県鳴門市大津町木津野字東辰巳1番地) 公開者:株式会社木田鉄工所
(73)【特許権者】
【識別番号】592101585
【氏名又は名称】株式会社木田鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【氏名又は名称】岡田 全啓
(72)【発明者】
【氏名】木田 庄一郎
(72)【発明者】
【氏名】木田 憲治
(72)【発明者】
【氏名】廣畑 伸一
(72)【発明者】
【氏名】馬崎 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智久
(72)【発明者】
【氏名】小川 和寛
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-249172(JP,A)
【文献】特開平09-286546(JP,A)
【文献】特開2014-148409(JP,A)
【文献】特開2007-022665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 9/00-9/20
B65G 15/12
B65G 47/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側に順次供給された剛性を有するシート状の被搬送物(W)を下流側に搬送し、前記下流側から作業部に前記被搬送物(W)を搬送する搬送装置であって、
前記搬送装置は、
前記被搬送物(W)の搬送方向の長手方向の前記上流側から前記下流側に配設され、且つ、前記被搬送物(W)の搬送方向の幅方向に間隔を隔てて並列に配設され、前記被搬送物(W)を搬送する無端環状の複数の搬送ベルトと、
前記複数の搬送ベルトの各々において、前記搬送ベルト上面と間隔を隔てて対向するように前記上流側から前記下流側に向って所定の長さの領域を有し、前記上流側から前記下流側に搬送される前記被搬送物に上方から圧力負荷を付与する圧力負荷付与部と、を備えた複数の搬送コンベヤ部、
前記被搬送物(W)の搬送方向の幅方向の一方側および他方側に配設され、前記搬送コンベヤ部で前記上流側から前記下流側に搬送される前記被搬送物(W)の姿勢を補正して案内する案内部、
前記一方側の案内部および前記他方側の案内部の間に配置された前記被搬送物(W)が撓まない部位に前記複数の搬送ベルトが位置するように、前記複数の搬送コンベヤ部間の間隔を変更する第1の間隔変更手段、
前記被搬送物(W)の搬送方向で見て、前記被搬送物(W)の左右方向の長さに応じて、前記一方側の案内部および前記他方側の案内部の間の間隔を変更する第2の間隔変更手段、および
前記複数の搬送コンベヤ部を平面視時計方向または反時計方向に角度θで揺動させて前記被搬送物(W)の搬送方向を偏向可能とする偏向手段を含み、
前記複数の搬送コンベヤ部は、前記被搬送物(W)の搬送方向でみて、前記一方側の案内部および前記他方側の案内部の間に配設され、
前記圧力負荷付与部は、
前記圧力負荷付与部により付与される圧力負荷の大きさを、前記圧力負荷付与部の長手方向の一方側から他方側または他方側から一方側に亘って、漸次、調整することが可能な調整手段、および
複数の前記圧力負荷付与部
は、それぞれ、別々に前記搬送コンベヤ部の長手方向に沿っ
てスライド自在とするスライド手段を含
み、
複数の前記圧力負荷付与部のそれぞれが前記調整手段および前記スライド手段を含むことを特徴とする、搬送装置。
【請求項2】
前記案内部の上流側に搬送された前記被搬送物(W)は、前記スライド手段で前記圧力負荷付与部を前記被搬送物(W)の搬送方向へ所定の長さ分だけスラトイドさせることにより、前記被搬送物(W)の前方側の複数の部位が前記複数の搬送コンベヤ部の圧力負荷付与部と搬送ベルトとの間でほぼ同時に挟持され、前記被搬送物(W)の平面視搬送方向で見て、前記被搬送物(W)の重心(Gc)を通り、前記被搬送物(W)の搬送方向に平行に延びる直線(Lgc-Lgc)に対して、前記被搬送物(W)の重心(Gc)を通り、前記被搬送物(W)の搬送方向に対して幅方向に直線的に延びる基準線(BL-BL)が直角となる姿勢に前記被搬送物(W)が配置されるように、前記被搬送物(W)が前記案内部の上流側から下流側へと搬送されることを特徴とする、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記圧力負荷付与部は、
前記案内部の上流側から下流側に間隔を隔てて、且つ、所定の長さを持って縦列に配列され、前記複数の搬送ベルトの垂直方向に対して付勢される複数のローラを含み、
前記圧力負荷付与部の長手方向の一方側のローラから他方側のローラの付勢力を、F1、F2、・・・、Fnとしたとき、
F1>F2>・・・>Fn、または、F1<F2<・・・<Fn、または、F1=F2=・・・=Fnとなるように、適宜調整する調整手段、および
前記複数の搬送コンベヤ部の前記複数のローラを前記被搬送物(W)の搬送方向に沿ってスライド自在とするスライド手段を含
み、
複数の前記圧力負荷付与部のそれぞれが前記複数のローラ、前記調整手段および前記スライド手段を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記被搬送物(W)は、
前記被搬送物(W)の搬送方向でみて、前記被搬送物(W)の左右方向に非対称に形成され、且つ、前記被搬送物(W)の左右方向の一方の辺部(w1)の長さが他方の辺部(w2)の長さよりも長く形成され、
前記案内部は、
前記被搬送物(W)の左右方向の一方の辺部(w1)および他方の辺部(w2)が嵌入可能となる断面V字状の案内溝を含み、前記被搬送物(W)の左右方向の一方の辺部(w1)および他方の辺部(w2)は、前記案内溝に沿って、前記案内部の上流側から下流側へと搬送されることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記被搬送物(W)は、前記偏向手段により、前記被搬送物(W)の左右方向の前記一方の辺部(w1)が前記案内部の案内溝に嵌入可能となるように、前記複数の搬送コンベヤ部が平面視時計方向または反時計方向に角度(θ)で揺動され、前記被搬送物(W)の平面視搬送方向で見て、前記被搬送物(W)の重心(Gc)を通り、前記被搬送物(W)の搬送方向に平行に延びる直線(Lgc-Lgc)に対して、前記被搬送物(W)の重心(Gc)を通り、前記被搬送物(W)の搬送方向に対して幅方向に直線的に延びる基準線(BL-BL)が直角となる姿勢に前記被搬送物(W)が配置されるように、前記被搬送物(W)が前記案内部の上流側から下流側へと搬送されることを特徴とする、請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記案内部は、前記一方側の案内部および前記他方側の案内部の上流側に、それぞれ、前記被搬送物(W)の前記一方の辺部(w1)および前記他方の辺部(w2)を導き入れる一方の案内入口部および他方の案内入口部を含み、
前記一方の案内入口部および他方の案内入口部は、それぞれ、前記被搬送物(W)の搬送方向の上流側に向って拡がる断面V字状のテーパ溝部を含むことを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記案内部は、
その長手方向の一端から他端にかけて前記案内溝を備える案内部本体、
前記案内部本体の長手方向の一端から他端に沿って前記案内部本体を支持する案内部支持体、および
前記案内部本体と前記案内部支持体の長手方向の一端に配設され、前記被搬送物(W)の前記一方の辺部(w1)および前記他方の辺部(w2)を導き入れる案内入口部を含み、
前記案内部本体と、前記案内部支持体と、前記案内入口部とは、それぞれ、取り外し自在に設けられている、請求項6に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記複数の搬送コンベヤ部の搬送ベルトは、それぞれ、前記圧力負荷付与部の下流側に、当該圧力負荷付与部の下流側から搬送された前記被搬送物(W)の下面を吸着して、さらに下流側へと当該被搬送物(W)を搬送する吸着搬送部をさらに含むことを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚紙、板紙、プラスチック等のシート状の剛性を有する被搬送物を搬送路の上流側から下流側に搬送する搬送装置に関し、搬送路の上流側に供給された被搬送物を搬送路の下流側から所定の姿勢で排出して、搬送路の下流側に配設された作業装置に搬送する搬送装置に関する。本発明は、特にたとえば、ブランキング(外形抜き・打抜き加工)により目的の形状に抜かれ、折り畳み箱,組立て箱,貼り箱,その他の箱を含む紙器に形成される紙器用板紙等のある程度の剛性を有するブランキングシートに印刷された文字、図形、色、シート上の傷、汚れ等の印刷状態を検査する印刷検査機において、検査部にブランクを搬送する搬送装置に用いられて好適な搬送装置である。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景となる従来技術には、給紙部及び給紙部により給紙されるブランクを製函部まで搬送する搬送部を備え、搬送部から供給されるブランクの片面又は両面を撮像する撮像手段と、撮像手段によって撮像された被検査画像と、検査対象のブランクのマスタ画像とを比較する比較手段と、比較手段による比較値が予め設定された許容値以上のときには、許容値以上の箇所を欠陥箇所として検出する欠陥検出手段とからなるブランク検査部を設けた製函装置があった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この製函装置の搬送部では、当該特許文献1の
図1に示すように、搬送手段として取り出しベルト、吸着ベルト、搬送ベルト等のベルトによってブランクをその上面側および下面側から挟み込んで搬送している。吸着ベルトは、ブランクの上面側を吸着した状態で搬送ベルトまで搬送している。また、搬送路には、当該特許文献1の
図2および
図3に示すように、ブランクの上面側と下面側にガイドが配設されている。
そのため、この従来技術の搬送部では、上記の搬送手段の吸着ベルトおよびガイドによって、搬送時のブランクの上面側および下面側のバタつきを抑制することができるとしている。
【0004】
一方、ブランク検査部において、ブランク表面に印刷された文字および図形等を正確に撮像して検査するためには、ブランクが撮像手段に対して常に正しい位置に配置されるように、ブランクを所定の姿勢でブランク検査部に搬送することが重要である。つまり、ブランクがブランク検査部に搬送されたときに、ブランクの進行方向の基準線に対して水平(直角)となるブランク上の基準線が、撮像時にブランクの進行方向に対して、常時、正しく水平(直角)となる位置に配置されるように、当該ブランクの姿勢を保持してブランク検査部に搬送することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術の搬送部では、搬送手段およびガイドによって、搬送時のブランクの上面側および下面側のバタつきをある程度抑えることができるものの、給紙部に積層された複数のブランクが取り出しベルトによって最下部に位置するブランク4が一枚ずつ取り出され、当該取り出しベルト上にランダムに傾いて供給されたブランクは、取り出しベルト上において、上記した基準線の配置となるように、完全に整列された状態で複数のブランクの全てが取り出しベルト上に供給されることは、実際上、困難なものであった。
【0007】
この従来技術では、取り出しベルト上に供給された場合のブランクの姿勢が上記した基準線の配置となる姿勢であるときはよいが、そうでないときは、仮に、搬送時のブランクの上下方向のバタつきをある程度抑えることができたとしても、特に、ブランクの進行方向に対して幅方向のズレが生じる虞があり、このズレによって、取り出しベルト、吸着ベルトおよび搬送ベルト上のブランクの位置・姿勢が不安定なものとなる。この場合、ブランクを高速で搬送する際には、上記した基準線の配置となるように、ブランクの姿勢を保持した状態でブランク検査部に搬送することは困難なものとなっている。
したがって、この従来技術の搬送部では、ブランク検査部において、ブランクに印刷された文字、図形、色、シート上の傷、汚れ等の印刷状態を検査する印刷検査を正確に行うことが困難であった。
【0008】
また、この製函装置では、搬送ベルトによって正常な位置関係で搬送されているブランクは、製函部に搬送されると糊付領域に糊付け及び貼り付け処理され製函されるが、当該特許文献1の
図10に示すように、正常な位置関係で搬送されていないブランクは、製函部に搬送されると糊付領域に糊付けが十分に行われないため、製函されるものの糊付け領域が小さいために強度不足になることがある。
そこで、この製函装置では、当該特許文献1の
図4および
図7に示すように、ブランク検査部の比較手段によって、前記被検査画像又はマスタ画像のいずれか一方を搬送方向にのみ位置補正し、位置補正した画像と他方の画像とを比較することで、当該
図10に示したようなブランクの搬送時の位置ズレに基づく不良品を検出して区分けすることができ、当該不良品は、検査部および/または製函部に搬送される前に、適宜、搬送路から排除することも可能となり得るものとなっている。
ところが、本来、ブランクの姿勢が上記した基準線の配置となるように、搬送ベルトでブランクが搬送されていれば、このようなブランクの搬送時の位置ズレに基づく不良品を大幅に削減することができ、不良率の低減、延いては生産コストの削減に寄与するものとなる。
しかしながら、この製函装置では、未だ、ブランクの進行方向に対して幅方向のズレが生じる虞があり、このズレによって、取り出しベルト、吸着ベルトおよび搬送ベルト上のブランクの位置・姿勢が不安定なものとなっている。
【0009】
一方で、ブランクは、形状および寸法が異なる種々の形状および寸法(幅方向の長さ、長手方向の長さおよび厚み等)のものがあり、しかも、ブランクの搬送方向にみて、当該ブランクは、幅方向(左右)に非対称のもの、進行方向(前後)に非対称のものが数多くあるが、上記した従来技術の搬送部では、このような異なる種々の態様を備えたブランクに対応した構造を有するものとはなっていない。
また、ブランク検査部の後工程の製函部に搬送されるブランクに、折り癖付け、糊付け、糊接着、底部の折り込み等を行って当該ブランクを製函する工程上の問題により、上記した従来技術では、取り出しベルト上にブランクを供給する給紙部に積層される複数のブランクの配置を、たとえば搬送方向にみて、当該ブランクの前方側および後方側のいずれの側を前側とするかをその都度変更する必要があり、面倒なものとなっていた。
【0010】
それゆえに、本発明の主たる目的は、搬送路の上流側に供給された被搬送物を所定の姿勢で下流側から作業部側向けて搬送することができる、搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る本発明は、上流側に順次供給された剛性を有するシート状の被搬送物(W)を下流側に搬送し、下流側から作業部に前記被搬送物(W)を搬送する搬送装置であって、搬送装置は、被搬送物(W)の搬送方向の長手方向の上流側から下流側に配設され、且つ、被搬送物(W)の搬送方向の幅方向に間隔を隔てて並列に配設され、被搬送物(W)を搬送する無端環状の複数の搬送ベルト、および、複数の搬送ベルトの各々において、搬送ベルト上面と間隔を隔てて対向するように上流側から下流側に向って所定の長さの領域を有し、上流側から下流側に搬送される被搬送物に上方から圧力負荷を付与する圧力負荷付与部を備えた複数の搬送コンベヤ部と、被搬送物(W)の搬送方向の幅方向の一方側および他方側に配設され、搬送コンベヤ部で上流側から下流側に搬送される被搬送物(W)の姿勢を補正して案内する案内部と、一方側の案内部および他方側の案内部の間に配置された被搬送物(W)が撓まない部位に複数の搬送ベルトが位置するように、複数の搬送コンベヤ部間の間隔を変更する第1の変更手段と、被搬送物(W)の搬送方向で見て、被搬送物(W)の左右方向の長さに応じて、一方側の案内部および他方側の案内部の間の間隔を変更する第2の変更手段と、複数の搬送コンベヤ部を平面視時計方向または反時計方向に角度θで揺動させて被搬送物(W)の搬送方向を偏向可能とする偏向手段とを含み、複数の搬送コンベヤ部は、被搬送物(W)の搬送方向でみて、一方側の案内部および他方側の案内部の間に配設され、圧力負荷付与部は、圧力負荷付与部により付与される圧力負荷の大きさを、圧力負荷付与部の長手方向の一方側から他方側または他方側から一方側に亘って、漸次、調整することが可能な調整手段と、複数の圧力負荷付与部は、それぞれ、別々に搬送コンベヤ部の長手方向に沿ってスライド自在とするスライド手段と、を含み、複数の圧力負荷付与部のそれぞれが調整手段およびスライド手段を含むことを特徴とする、搬送装置である。
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、案内部の上流側に搬送された被搬送物(W)は、スライド手段で圧力負荷付与部を被搬送物(W)の搬送方向へ所定の長さ分だけスラトイドさせることにより、被搬送物(W)の前方側の複数の部位が複数の搬送コンベヤ部の圧力負荷付与部と搬送ベルトとの間でほぼ同時に挟持され、前記被搬送物(W)の平面視搬送方向で見て、前記被搬送物(W)の重心(Gc)を通り、前記被搬送物(W)の搬送方向に平行に延びる直線(Lgc-Lgc)に対して、前記被搬送物(W)の重心(Gc)を通り、前記被搬送物(W)の搬送方向に対して幅方向に直線的に延びる基準線(BL-BL)が直角となる姿勢に前記被搬送物(W)が配置されるように、前記被搬送物(W)が前記案内部の上流側から下流側へと搬送されることを特徴とする、搬送装置である。
請求項3に係る本発明は、請求項1または請求項2に係る発明に従属する発明であって、圧力負荷付与部は、案内部の上流側から下流側に間隔を隔てて、且つ、所定の長さを持って縦列に配列され、複数の搬送ベルトの垂直方向に対して付勢される複数のローラを含み、圧力負荷付与部の長手方向の一方側のローラから他方側のローラの付勢力を、F1、F2、・・・、Fnとしたとき、F1>F2>・・・>Fn、または、F1<F2<・・・<Fn、または、F1=F2=・・・=Fnとなるように、適宜調整する調整手段と、複数の搬送コンベヤ部の複数のローラを被搬送物(W)の搬送方向に沿ってスライド自在とするスライド手段と、を含み、複数の圧力負荷付与部のそれぞれが複数のローラ、調整手段およびスライド手段を含むことを特徴とする、搬送装置である。
請求項4に係る本発明は、請求項1~請求項3のいずれか1項に係る発明に従属する発明であって、被搬送物(W)は、被搬送物(W)の搬送方向でみて、被搬送物(W)の左右方向に非対称に形成され、且つ、被搬送物(W)の左右方向の一方の辺部(w1)の長さが他方の辺部(w2)の長さよりも長く形成され、案内部は、被搬送物(W)の左右方向の一方の辺部(w1)および他方の辺部(w2)が嵌入可能となる断面V字状の案内溝を含み、被搬送物(W)の左右方向の一方の辺部(w1)および他方の辺部(w2)は、案内溝に沿って、案内部の上流側から下流側へと搬送されることを特徴とする、搬送装置である。
請求項5に係る本発明は、請求項4に係る発明に従属する発明であって、被搬送物(W)は、偏向手段により、被搬送物(W)の左右方向の一方の辺部(w1)が案内部の案内溝に嵌入可能となるように、複数の搬送コンベヤ部が平面視時計方向または反時計方向に角度(θ)で揺動され、前記被搬送物(W)の平面視搬送方向で見て、前記被搬送物(W)の重心(Gc)を通り、前記被搬送物(W)の搬送方向に平行に延びる直線(Lgc-Lgc)に対して、前記被搬送物(W)の重心(Gc)を通り、前記被搬送物(W)の搬送方向に対して幅方向に直線的に延びる基準線(BL-BL)が直角となる姿勢に前記被搬送物(W)が配置されるように、前記被搬送物(W)が案内部の上流側から下流側へと搬送されることを特徴とする、搬送装置である。
請求項6に係る本発明は、請求項4または請求項5に係る発明に従属する発明であって、案内部は、一方側の案内部および他方側の案内部の上流側に、それぞれ、被搬送物(W)の一方の辺部(w1)および他方の辺部(w2)を導き入れる一方の案内入口部および他方の案内入口部を含み、一方の案内入口部および他方の案内入口部は、それぞれ、被搬送物(W)の搬送方向の上流側に向って拡がる断面V字状のテーパ溝部を含むことを特徴とする、搬送装置である。
請求項7に係る本発明は、請求項6に係る発明に従属する発明であって、案内部は、その長手方向の一端から他端にかけて案内溝を備える案内部本体と、案内部本体の長手方向の一端から他端に沿って案内部本体を支持する案内部支持体と、案内部本体と案内部支持体の長手方向の一端に配設され、被搬送物(W)の一方の辺部(w1)および他方の辺部(w2)を導き入れる案内入口部と、を含み、案内部本体と、案内部支持体と、案内入口部とは、それぞれ、取り外し自在に設けられている、搬送装置である。
請求項8に係る本発明は、請求項1~請求項7のいずれか1項に係る発明に従属する発明であって、複数の搬送コンベヤ部の搬送ベルトは、それぞれ、圧力負荷付与部の下流側に、当該圧力負荷付与部の下流側から搬送された被搬送物(W)の下面を吸着して、さらに下流側へと当該被搬送物(W)を搬送する吸着搬送部をさらに含むことを特徴とする、搬送装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、搬送路の上流側に供給された被搬送物を所定の姿勢で下流側から作業部側向けて搬送することができる、搬送装置が得られる。
【0013】
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る搬送装置を含む検査装置の一例を示す概略正面図である。
【
図3】本発明に係る搬送装置の一例を示す正面図解図である。
【
図6】
図3~
図5に示す搬送装置の要部(主として搬送コンベヤ部および第2の案内手段の一例)を示す正面図解図である。
【
図10】
図3~
図5に示す搬送装置に適用される圧力負荷付与部の一例を示す説明図であって、
図10(A)はその一方の圧力負荷付与部の正面図解図であり、
図10(B)はその他方の圧力負荷付与部の正面図解図である。
【
図12】
図3~
図5に示す搬送装置の他の要部(案内部および第1の案内手段の一例)を示す正面図解図である。
【
図17】
図3~
図5に示す搬送装置のさらに他の要部(偏向手段の一例)を示す平面図解図である。
【
図20】
図3~
図5に示す搬送装置に適用される圧力負荷付与部の作動状態を説明するための要部図解図であって、
図20(A)はその正面図解図であり、
図20(B)はその左側面図解図である。
【
図21】
図3~
図5に示す搬送装置に適用される圧力負荷付与部の作用・効果を説明するための説明図であって、
図21(A)は、一方の圧力負荷付与部の作用・効果を示す正面図解図であり、
図21(B)はその左側面図解図であり、
図21(C)はその右側面図解図であり、
図21(
D)は、他方の圧力負荷付与部の作用・効果を示す正面図解図であり、
図21(
E)はその左側面図解図であり、
図21(
F)はその右側面図解図である。
【
図23】搬送コンベヤ部の上流側に被搬送物が供給され、下流側に搬送される状態の一例を示す要部平面図解図である。
【
図24】
図24(A)は、
図23のA-A矢視図解図であり、
図24(B)は、従来の案内部を用いた場合の問題点を示す説明図解図(比較図)であり、
図24(C)は、従来の他の案内部を用いた場合の問題点を示す説明図解図(比較図)である。
【
図25】搬送コンベヤ部の上流側に
図23に示す被搬送物がその前後を反転させた状態で供給され、下流側に搬送される状態を示す要部平面図である。
【
図26】搬送コンベヤ部の上流側に他の被搬送物が供給され、下流側に搬送される状態の一例を示す要部平面図である。
【
図27】搬送コンベヤ部の上流側に
図26に示す被搬送物が供給され、下流側に搬送される状態の他の例を示す要部平面図である。
【
図28】
図3~
図5に示す搬送装置の偏向手段の作動状態の一例を示す要部平面図である。
【
図29】
図3~
図5に示す搬送装置の偏向手段の作動状態の他の例を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明に係る搬送装置を含む検査装置の一例を示す概略正面図であり、
図2は、
図1の概略平面図である。そして、
図3は、本発明に係る搬送装置の一例を示す正面図解図であり、
図4は、
図3の平面図解図であり、
図5は、
図3の右側面図解図である。
以下に示す発明を実施するための形態の例では、たとえば、ブランキング(外形抜き・打抜き加工)により目的の形状に抜かれ、折り畳み箱,組立て箱,貼り箱,その他の箱を含む紙器に形成される紙器用板紙等のある程度の剛性を有するシート状のブランキングシート(以下、単に、「被搬送物W」という。)に印刷された文字、図形、色、シート上の傷、汚れ等の印刷状態を検査する検査機300(
図1および
図2に示す)等に組み込まれて用いられる搬送装置10について説明する。
この搬送装置10は、
図3、
図4、
図5および
図23等に示すように、当該搬送装置10の上流側に順次供給された被搬送物(W)を下流側へと向けて搬送し、作業部としてのたとえば検査部310側に向けて、当該被搬送物(W)を搬送するものである。
【0016】
搬送装置10は、特に、
図5に示すように、右側面視で見て、たとえば左右対称に配設されている2つの搬送コンベヤ部12Aおよび12Bを含む。2つの搬送コンベヤ部12Aおよび12Bは、同一の構造を有し、同一の部材で左右対称の配置に構成されている。したがって、ここでは、主として、一方の搬送コンベヤ部12Aの構造について、
図3~
図5、
図6~
図9等を参照しながら、以下、説明する。
【0017】
搬送コンベヤ部12Aは、正面視たとえば横長でT字状の支持フレーム14aを含む。支持フレーム14aの一方主面側には、被搬送物(W)を搬送する無端環状の搬送ベルト16Aが配設される。すなわち、支持フレーム14aの一方主面には、その長手方向の中央部側に、ドライブプーリ18aおよびスナッププーリ20aが、その長手方向の一方端側および他方端側に、それぞれ、2つのテールプーリ22a,24aおよび26a,28aが、さらに、テールプーリ28aとドライブプーリ18aの間には、テールプーリ30aが、それぞれ、軸受等(符号省略)によって回動自在に支持されている。そして、ドライブプーリ18a、スナッププーリ20a、テールプーリ22a,24a,26a,28aおよび30aには、特に、
図3に示すように、無端環状の搬送ベルト16Aが掛架されている。
【0018】
また、支持フレーム14aの他方主面側には、間隔を隔てて、
図3、
図6および
図9等に示すように、搬送ベルト16aを回転駆動させる駆動部32aが配設される。駆動部32aは駆動モータ34aを含み、駆動モータ34aは、
図3に示すように、正面視横長矩形状の取付けブラケット36aおよび4つの取付けボルト38aにより、支持フレーム14aの他方主面側に取付けられている。駆動モータ34aの駆動軸(符号省略)には、たとえば2つの伝動プーリ40a,40aおよびタイミングベルト42aを介して、ドライブプーリ18aが接続されている。そのため、駆動モータ34aを駆動させることにより、搬送ベルト16aを回転駆動させることが可能となる。なお、この搬送コンベヤ部12Aでは、被搬送物(W)が軽量のため、センタドライブタイプのドライブ方式が用いられている。
【0019】
一方、搬送ベルト16Aの上面には、搬送ベルト16Aの上面と僅かな間隔を隔てて対向するように、搬送ベルト16Aの上流側から下流側に向って所定の長さの領域を有し、上流側から下流側に搬送される被搬送物(W)に対して上方から圧力負荷を付与する圧力負荷付与部50Aが配設されている。
圧力負荷付与部50Aは、
図3、
図4および
図10(A)等に示すように、断面逆U字状で長手方向に延びる長尺体52aを含む。長尺体52aの長手方向に間隔を隔てて縦列に、且つ、所定の長さを持って、たとえば12個のローラ54a
1,54a
2,54a
3,・・・,54a
10,54a
11,54a
12が配列されている。複数のローラ54a
1,~54a
12は、搬送ベルト16Aの上流側から下流側に、順次、配列されている。
【0020】
そこで、複数のローラ54a
1~54a
12の長尺体52aに対する取付け構造は同一であるため、1つのローラ54a
1の取付け構造について、
図10および
図11等を参照しながら、以下に説明する。なお、以下の説明では、複数のローラ54a
1~54a
12の内、被搬送物(W)の搬送方向で見て、搬送ベルト16aの最も上流側に位置するローラ54a
1の取付け構造についてのみ説明する。
すなわち、長尺体52aは、その幅方向の一方側の下面に、
図10(A)に示すように、たとえば横長矩形状の支持部材56aが配設される。支持部材56aは、
図11に示すように、複数の取付けボルト58a,・・・,58aによって、長尺体52aの下面に垂直に固着されている。支持部材56aの内面側には、右側面から見て、左右一対の保持板60aおよび62aが、スペーサとしてのカラー64aを介して、枢軸66aにより軸支されることにより、配設されている。
一方の保持板60aは、正面視「く」の字状に形成されている。他方の保持板62aは、逆「く」の字状に形成され、且つ、その垂下方向の長さが一方の保持板60aよりも略半分の長さに形成されている。そして、垂下方向の長さが長い一方の保持板60aが、支持プレート56aの内側面近傍に位置するように、左右一対の保持板60aおよび62aが支持部材56aの内面側に配置されている。
【0021】
この場合、保持板60aおよび62aには、カラー64aを装着した枢軸66aが挿通され、枢軸66aの軸方向の両端側はブシュ68aで位置決めされる。そして、保持板60a,62aおよび枢軸66aは、ピン70aにより、支持部材56aに回動自在にピン止めされる。それによって、左右一対の保持板60aおよび62aは、支持部材56aの内面側に回動自在に支持される。
さらに、一方の保持板60aの下部の内面側には、1つのローラ54a1が回動自在に取り付けられている。ローラ54a1は、たとえばベアリング部Bを含む。ベアリング部Bの一方主面側の中心には、雄ネジ面tf(thread face)を有する軸部Sが備えられている。さらに、ベアリング部Bの少なくとも外周面には、ウレタン、制電性ウレタン、シリコンゴム等を焼付けられた焼付け塗装面bf(baking finishing)が形成されている。ベアリング部Bは、軸部Sに回動自在に取着され、当該ベアリング部Bがローラとしての機能を有するものとなっている。
【0022】
さらに、このローラ54a1は、付勢部72aによって搬送ベルト16aの略垂直方向に圧力を負荷するように付勢されている。付勢部72aは、断面逆U字状で長手方向に延びる押圧体74aを含み、当該押圧体74aは、長尺体52aの内側でその長手方向に沿って延設して配置されている。また、押圧体74aの下方において、左右一対の保持板60aおよび62aは、枢軸部としてのたとえば円柱状の連結軸76aにより軸支されている。
【0023】
この場合、圧力負荷付与部50aにおいて、たとえば
図20に示すように、保持板60aおよび62aの回動中心をO
1とし、ローラ54a
1の回動中心をO
2とし、保持板60aおよび62aの他の回動中心となる連結軸76aの回動中心をO
3としたとき、それらの回動中心O
1とO
2とO
3との位置関係は、搬送ベルト16aの搬送方向の上流側から、回動中心O
1,O
2,O
3の順序となるように配置されている。
さらに、搬送ベルト16aの搬送方向の上流側から下流側への搬送方向で見たときの回動中心O
1および回動中心O
2間の間隔C1に比べて、回動中心O
2および回動中心O
3間の間隔C2は、小さく形成されている。この発明を実施するための形態では、間隔C2が、間隔C1の大凡1/4程度に形成されている。
【0024】
連結軸76aは、その上面に平坦な座ぐり面78aを有する。そして、押圧体74aおよび連結軸76aには、支持部材56aの上面側から外ネジ式のストリッパボルト80aが挿通される。ストリッパボルト80aの周囲には、座金82a,84aを介して、付勢手段としてのたとえばコイルスプリング86aが装着されている。この場合、一方の座金82aは、連結軸76aの座ぐり面78aに配置され、他方の座金84aは、押圧体74aの内側天面側に配置され、コイルスプリング86aは、座金82aおよび84a間に装着される。
そのため、保持板60aおよび62a間に配置され、一方の保持板60aに支持されているローラ52a1には、コイルスプリング86aの付勢力により、搬送ベルト16aの略垂直方向に対して圧力負荷が付与されるものとなっている。
【0025】
次に、圧力負荷付与部50aの付勢部72aにより付与される圧力負荷の大きさを、例えば、圧力負荷付与部50aの長手方向の一方側から他方側または他方側から一方側に亘って、漸次、調整することが可能な調整手段90aについて、たとえば
図10、
図11、
図20、
図21および
図22を参照しながら、以下、説明する。
調整手段90aは、押圧体74aの上面側で、且つ、押圧体74aの長手方向の一方側および他方側にそれぞれ配設されている。この調整手段90aは、当該押圧体74aをその上方から垂直方向に変位可能な2つの調整部材92aを含む。調整部材92aは、雄ネジ面94aを有する軸部96aを含み、軸部96aの軸方向の一端側には、その外周面にローレット加工が施されたローレット部98aを有する第1のノブ部100aが配設されている。さらに、第1のノブ部100aの下には、ノブ部100aと軸方向に間隔を隔てて、内周面に雌ネジ面102aを有し、外周面にローレット加工が施されたローレット部104aを有する第2のノブ部106aが配設されている。一方、長尺体52aの長手方向の一方側および他方側に、それぞれ、たとえば平面視円形の貫通孔108aが配設され、当該貫通孔108aに調整部材92aの軸部96aが、平面視矩形状の座金部材110aを介して嵌装されている。
【0026】
図20(A),
図20(B)に示すように、調整手段90aにおいて、各調整部材92aの第1のノブ部100aを右回転させて軸部96aを下方向に変位させることによって、すなわち、軸部96aで押圧体74aの上面を押圧することによって、コイルスプリング86aが下方向に圧縮される。そのため、ピン70aを枢点(回動中心O
1)にした左右一対の保持板60aおよび62aの回動に対して、つまり、コイルスプリング86aの初期的な付勢力に対して、さらなる負荷が付与される。
【0027】
この場合、
図21(A)に示すように、たとえば搬送ベルト16Aの搬送方向で見て、押圧体74aの下流側に位置する調整部材92を可動させて押圧体74aを下方に押し下げると、押圧体74aの下流側から上流側に亘って、漸次、コイルスプリング86aの付勢力が小さくなるように、圧力負荷を適宜調整することが可能となる。
すなわち、圧力負荷付与部50Aの長手方向の一方側のローラ54a1から他方側のローラ54a12の付勢力を、F1<F2<・・・<Fn、となるように、適宜調整することが可能となる。
【0028】
反対に、
図21(
D)に示すように、たとえば搬送ベルト16Aの搬送方向で見て、押圧体74aの上流側に位置する調整部材92を可動させて押圧体74aを下方に押し下げると、押圧体74aの上流側から下流側に亘って、漸次、コイルスプリング86aの付勢力が小さくなるように、圧力負荷を適宜調整することが可能となる。
すなわち、圧力負荷付与部50Aの長手方向の一方側のローラ54a1から他方側のローラ54a12の付勢力を、F1、F2、・・・、Fnとしたとき、F1>F2>・・・>Fnとなるように調整することができる。
【0029】
また、押圧体74aの上流側および下流側に位置する2つの調整部材92を可動させて押圧体74aを下方に同じ程度押し下げると、押圧体74aの上流側から下流側に亘って、押圧体74aを下方に押し下げた度合いに応じて、コイルスプリング86aの付勢力を略均一にして、圧力負荷を略同程度に調整することが可能となる。
すなわち、圧力負荷付与部50Aの長手方向の一方側のローラ54a1から他方側のローラ54a12の付勢力を、F1=F2=・・・=Fnとなるように、適宜調整することが可能となる。
【0030】
次に、圧力負荷付与部50Aを搬送コンベヤ部12Aの長手方向に沿って、スライド自在とするスライド手段120Aについて、たとえば
図3、
図10および
図11を参照しながら、以下、説明する。
スライド手段120Aは、ガイドレールとしてのたとえば1つの棒部材122aと、棒部材122aに係合されて棒部材122aの長手方向に沿ってスライド自在となるたとえば2つのスライドブロック124aと、を含む。2つのスライドブロック124aは、それぞれ、棒部材122aに係合するように、当該棒部材122aを囲むように形成されて、棒部材122aの長手方向に相対的に案内される。2つのスライドブロック124aは、それぞれ、天壁とは反対の底壁の四隅側が、既述した圧力負荷付与部50Aの長尺体52aに、例えば、ビス等の固着具126aにより固定されている。
2つのスライドブロック124aは、それぞれ、その内部にロック機構(図示せず)を備え、当該ロック機構は、スライドブロック124aの上面に配設されるたとえば平面視矩形状の操作部128aによって、手動で切り換えられる。
【0031】
操作部12
8aは、たとえば
図10に示すように、その幅方向が棒部材122aの長手方向と同一方向となるとき(ON状態の位置で)、ロック機構が作動し、2つのスライドブロック124aを、それぞれ、棒部材122aの長手方向の所望する位置に停止させて固定することができる。したがって、圧力負荷付与部50Aの複数のローラ54a1~54a12は、その全体を搬送ベルト16Aの上流側から下流側の所望する適宜な位置に固定して配置することが可能となる。
【0032】
また、操作部128aは、その長手方向が棒部材122aの長手方向と同一方向となるとき(OFF状態の位置で)、ロック機構を解除し、2つのスライドブロック124aを、それぞれ、圧力負荷付与部50Aの長尺体52と共に、棒部材122aの長手方向に沿って相対的に移動させることができる。したがって、圧力負荷付与部50Aの複数のローラ54a1~54a12は、その全体を搬送ベルト16Aの上流側から下流側の所望する適宜な位置に移動させることが可能となる。
なお、この発明の実施の形態に係る一例では、たとえば株式会社イマオコーポレーション製の角鋼スライドロック(製品名)が用いられている。
【0033】
この搬送装置10では、2つの搬送コンベヤ部12Aおよび12Bが、同一の構造を有し、同一の部材で左右対称の配置に構成されているため、上記では、主として、一方の搬送コンベヤ部12Aの構造についてのみ詳述し、もう一方の搬送コンベヤ部12Bの詳細についてはその説明を割愛する。なお、図面において、上記した搬送コンベヤ部12Aの説明で記載した各部材の符号の末尾に、「A」または「a」の符号を付したのに対して、搬送コンベヤ部12Bを構成する部材には、各部材の符号の末尾に、「B」または「b」の符号を付している。
【0034】
そこで、次に、左右一対の2つの搬送コンベヤ部12Aおよび12B間の間隔を変更する第1の間隔変更手段130について、
図4、
図5、
図7、
図8および
図9等を参照しながら、以下、説明する。
この搬送装置10では、被搬送物(W)の搬送方向で見て、2つの搬送コンベヤ部12Aおよび12Bは、被搬送物(W)の進行方向に対して水平となる方向の間隔を、第1の間隔変更手段によって、適宜、変更可能となっている。
この第1の間隔変更手段130は、たとえば
図3、
図4、
図7および
図5、
図8に示すように、一方のコンベヤ部12Aを被搬送物(W)の進行方向に対して水平となる方向に移動自在とする軸部130aと、他方のコンベヤ部12Bを被搬送物(W)の進行方向に対して水平となる方向に移動自在とする軸部130bと、を含む。軸部130aおよび軸部130bは、それぞれ、その軸方向の一方側および他方側が、支持ブラケット132aおよび132bに軸受部(符号省略)を介して、回動自在に支持される。支持ブラケット132aおよび132bは、それぞれ、補強ブラケット134aおよび134bにより補強されている。支持ブラケット132a,132bおよび補強ブラケット134a,134bは、それぞれ、ボルト等の固定具(図示せず)により第1のベースプレート136に固定されている。
また、軸部130aおよび130bは、それぞれ、その外周部にたとえば台形ネジ面(図示せず)を有する。軸部130aおよび130bの軸方向の一端側には、それぞれ、ハンドル部138aおよび138bが取り付けられている。
【0035】
さらに、軸部130aおよび軸部130bは、それぞれ、その軸方向の中間部に、台形ネジ面と螺合されるたとえばフランジ付き台形ネジナット等の螺合部材140aおよび140bが配設される。螺合部材140aおよび140bには、それぞれ、接続ブラケット142aおよび142bに取り付けられる。接続ブラケット142aおよび142bは、それぞれ、補強ブラケット144aおよび144bにより補強されている。接続ブラケット142aおよび142bは、それぞれ、ボルト等の固定具(図示せず)により支持フレーム14aおよび14bに固定されている。
【0036】
また、第1のベースプレート136の上面には、たとえば
図8および
図9に示すように、たとえば直動案内機構150が配設されている。直動案内機構150は、
図5および
図8等に示すように、たとえば第1のベースプレート136の左右方向に延設されている直線状の2つのガイドレール152aおよび152bと、当該ガイドレール152aおよび152bに沿って往復動自在となる2つのガイドブロック154aおよび154bと、を含む。2つのガイドレール152aおよび152bは、それぞれ、ボルト等の固定具(図示せず)により、第1のベースプレート136の上面に固定されている。また、ガイドブロック154aおよび154bは、それぞれ、支持フレーム14aおよび14bの外面側下部に、取付けブラケット156aおよび156bを介して固定されている。
この場合、ガイドブロック154aおよび154bは、それぞれ、取付けブラケット156aおよび156bの下面に、ボルト等の固定具(図示せず)により固定されている。そして、取付けブラケット156aおよび156bは、それぞれ、支持フレーム14aおよび14bの外面側下部に、ボルト等の固定具(図示せず)により固定されている。
【0037】
さらに、一方の支持フレーム14aおよび他方の支持フレーム14bは、
図5および
図8等に示すように、右側面視横長矩形状の連結プレート160aおよび160bと、正面視台形状の連結フレーム162aおよび162bと、断面円形状の棒状の連結バー164aおよび164bと、を介して、それぞれ、圧力負荷付与部50A,50Bのスライド手段120A,120Bの棒部材122a,122bに接続されている。
この場合、連結プレート160aは、その長手方向の一端部が支持フレーム14aに、その長手方向の他端部が支持フレーム14bに、それぞれ、ボルト等の固定具(図示せず)により連結されている。また、連結バー164aおよび164bは、それぞれ、連結フレーム162aおよび162bに、セットカラー、ブッシュ等の軸受部166aおよび166bを介して、それぞれ、固定されている。
【0038】
そのため、この搬送装置10では、第1の間隔変更手段130のハンドル部138aおよび138bの回動操作によって、一方の搬送コンベヤ部12Aおよび他方の搬送コンベヤ部12Bを、搬送装置10のたとえば正面視で見て前後方向(たとえば右側面視で見て左右方向)に、つまり、被搬送物(W)の搬送方向で見て水平方向に移動可能とし、一方の搬送コンベヤ部12Aおよび他方の搬送コンベヤ部12B間の間隔を適宜変更することができる。
【0039】
次に、搬送コンベヤ部12Aおよび12Bで上流側から下流側に搬送される被搬送物(W)の姿勢を補正して案内する案内手段170について、
図12,
図13,
図14および
図15,
図16を参照しながら、以下、説明する。
案内手段170は、被搬送物(W)の搬送方向の幅方向の一方側および他方側に配設される2つの案内部172aよび172bを含む。2つの案内部172aおよび172bは、たとえば
図13に示すように、搬送装置10の右側面視で見て左右方向に間隔を隔てて、左右対称に配設されている。2つの案内部172aおよび172bは、同一の構造を有しているため、一方の案内部172bについてのみ、以下、説明する。
【0040】
すなわち、案内部172bは、
図15に示すように、案内部本体176bおよび当該案内部本体176bを支持する案内部支持体178bを含む。案内部本体176bは、断面V字形で長尺のガイド片180bと、断面L字形で長尺に形成され、ガイド片180bを保持する保持片182bと、を含む。保持片182bは、長辺部184bおよび短辺部186bを有する。ガイド片180bの幅方向の一端で且つその長手方向の一端から他端は、保持片182bの短辺部186bの幅方向の一端で且つその長手方向の一端から他端と連接され、ガイド片180bおよび保持片182bは一体的に形成される。この場合、ガイド片180bは、その山折れ線の内側に、案内溝として、断面V字形の谷溝188bを有している。
【0041】
一方、案内部支持体178bは、たとえば長尺で直方体形のベースブロック190bを含み、このベースブロック190bの長手方向に沿って、案内部本体176bが支持される。ベースブロック190bの1つの角部が、案内部本体176bの保持片182bの長辺部184bおよび短辺部186bの内側に囲繞されるように配置され、
図16に示すように、ボルト等の固定具192bにより、案内部本体176bに案内部支持体178bが取外し自在に取り付けられている。すなわち、案内部本体176bは、案内部支持体178bの長手方向に沿って、当該案内部支持体178bの幅方向の一方面側に取外し自在に配設されるものとなっている。
【0042】
また、案内部172bは、
図15および
図16に示すように、その長手方向の一方端側に配設される案内入口部194bを含む。案内入口部194bは、たとえば直方体状の案内入口ブロック196bを含み、案内入口ブロック196bは、案内部172bの長手方向の一方端側に配設される。また、案内入口ブロック196bの幅方向の一方面には、たとえば断面V字状のテーパ溝部198bが配設されている。テーパ溝部198bは、
図16に示すように、谷2つの溝面200bおよび202bを含み、2つの溝面200bおよび202bが交わる部位に谷溝204bが形成されている。2つの溝面200bおよび202bは、それぞれ、谷溝204bの一端から他端にかけてテーパ面を形成している。この場合、テーパ溝部198bは、被搬送物(W)の搬送方向の上流側に向って拡径するように形成されている。さらに、案内部支持体178bのベースブロック190bの長手方向の一方側には、延長プレート206bが延長プレート受け片208bにより取り付けられている。
なお、もう一方の案内部172aも、上記した案内部172bと同様の構造を有するため、他の図面で記載されている案内部172aを構成する各部材の符号は、案内部172を構成する部材には、各部材の符号の末尾に、「a」の符号を付している。
【0043】
上記した案内手段170の案内部172aおよび案内部172bは、たとえば
図5および
図8に示すように、この搬送装置10の右側面視で見て、それぞれ、搬送ベルト16Aおよび搬送ベルト16Bよりも外方に位置するように配設されている。この場合、一方の案内部172aは、搬送ベルト16Bの右側外方に配設され、他方の案内部172aは、搬送ベルト16Aの左側外方に配設されている。
【0044】
なお、連結バー164aおよび164bの下端面と、案内部支持体178aのベースブロック190aおよび案内部支持体178bのベースブロック190bの上端面と、の間には、それぞれ、たとえば
図5に示すように、ストッパボルト等の突っ張り支持体209a,209bが配設されている。この突っ張り支持体209a,209bは、連結バー164a,164bおよびベースブロック190a,ベースブロック190b間を突っ張り支持するため、搬送コンベヤ部2A,12Bの振動等に対しても、より安定した状態で両者を支持することができる。
【0045】
次に、この搬送装置10における被搬送物(W)の搬送方向で見て、被搬送物(W)の左右方向の長さに応じて、案内手段170の一方側の案内部172aおよび他方側の案内部172bの間の間隔を変更する第2の間隔変更手段210について、たとえば
図5、
図12、
図13および
図14を参照しながら、以下、説明する。
この搬送装置10では、被搬送物(W)の搬送方向で見て、案内部172aおよび案内部172bは、被搬送物(W)の進行方向に対して水平となる方向の間隔を、第2の間隔変更手段210によって、適宜、変更可能となっている。
この第2の間隔変更手段210は、
図5、
図12、
図13および
図14等に示すように、案内部172aを被搬送物(W)の進行方向に対して水平となる方向に移動自在とする軸部212aと、案内部174を被搬送物(W)の進行方向に対して水平となる方向に移動自在とする軸部212bと、を含む。軸部212aおよび軸部212bは、その軸方向の一方側および他方側が、それぞれ、支持フレーム214aおよび214bに軸受部(符号省略)を介して、回動自在に支持される。
また、軸部212aおよび212bは、それぞれ、その外周部にたとえば台形ネジ面(図示せず)を有する。軸部212aおよび212bの軸方向の一端側には、それぞれ、ハンドル部216aおよび216bが取り付けられている。
【0046】
さらに、軸部212aおよび軸部212bは、それぞれ、その軸方向の中間部に、台形ネジ面と螺合されるたとえばフランジ付き台形ネジナット等の螺合部材218aおよび218bが配設される。螺合部材218aおよび218bには、それぞれ、ベアリングホルダ等の支持具(図示せず)を介して、案内部172a,172bの案内部支持体178aおよび178bの下面に取り付けられる。
【0047】
また、案内部172a,172bの案内部支持体178aおよび178bの下面には、
図5、
図12および
図13等に示すように、たとえば直動案内機構220が配設されている。直動案内機構220は、直線状の2つのガイドレール222aおよび222bと、2つのガイドブロック224aおよび224bと、支持フレーム214aおよび214b間に軸受およびベアリングホルダ等(図示せず)を介して配設される支持ロッド226aおよび226bと、を含む。2つのガイドレール222aおよび222bは、たとえば
図6、
図12および
図13に示すように、それぞれ、支持ロッド226aおよび226bの上面に、ボルト等の固定具228a,228bにより固定される。ガイドブロック224aおよび224bは、それぞれ、ガイドレール222aおよび222bに沿って往復動自在となる。
【0048】
また、ガイドブロック224aおよび224bの上面には、それぞれ、平面視矩形状の水平ブラケット230a,230bを介して、正面視縦長矩形状の垂直ブラケット232a,232bが、ボルト等の固定具(図示せず)により固定されている。垂直ブラケット232aおよび232bは、それぞれ、その上端面が案内部支持体178a,178bの下面に、ボルト等の固定具(図示せず)により固定されている。
【0049】
そのため、この搬送装置10では、第2の間隔変更手段210のハンドル部216aおよび216bの回動操作によって、一方の案内部172aおよび他方の案内部172bを、搬送装置10のたとえば正面視で見て前後方向(たとえば右側面視で見て左右方向)に、つまり、被搬送物(W)の搬送方向で見て水平方向に移動可能とし、一方の案内部172aおよび他方の案内部172b間の間隔を適宜変更することができる。
【0050】
次に、既述した搬送コンベヤ部12A,12Bを、この搬送装置10の平面視で見て、時計方向または反時計方向に角度θで揺動させて、搬送ベルト16A,16B上の被搬送物(W)の搬送方向を適宜偏向可能とするに偏向手段240ついて、特に、たとえば
図4~
図6および
図17~
図19を参照しながら、以下、説明する。
すなわち、偏向手段240は、
図17および
図19に示すように、その外周部にたとえば台形ネジ面(図示せず)242を有する軸部244を含む。軸部242は、その軸方向の一端側がベアリングホルダ等の軸受部246を介して、スペーサ248の軸方向の一端側に回動自在に支持されている。そして、スペーサ248の軸方向の中間部の他端側寄りは、軸受部およびベアリングホルダ(図示せず)等を介して支持フレーム214aに回動自在に支持され、さらに、スペーサ248の軸方向の他端部には、摘みハンドル部250が取り付けられている。
【0051】
また、軸部244の軸方向の中間部には、台形ネジ面242と螺合されるたとえばフランジ付き台形ネジナット等の螺合部材252が配設される。螺合部材252には、ベアリングホルダ等の支持具254を介して、平面視矩形状の連結部材256が取り付けられている。この連結部材256は、
図17および
図18に示すように、第1のベースプレート136の長手方向の一端部に、ボルト等の固定具258により固定されている。
【0052】
また、第1のベースプレート136の下面には、たとえば
図18に示すように、たとえば直動案内機構260が配設されている。直動案内機構260は、
図17に示すように、たとえば平面視弧状のガイドレール262と、当該ガイドレールに沿って摺動自在となるたとえば2つのガイドブロック264が配設されている。2つのガイドブロック264は、ガイドレール262の長手方向の中心部および一端部間の略中央と、ガイドレール262の長手方向の中心部および他端部間の略中央と、に配設されている。
【0053】
この場合、
図17および
図18に示すように、ガイドレール262は、取付けブラケット266を介して、第2のベースプレート270の上面にボルト等の固定具(図示せず)により固定されている。第2のベースプレート270は、
図17に示すように、平面視縦長矩形状に形成され、第1のベースプレート136の長手方向の一方側でガイドレール262の下に配設されている。第2のベースプレート270は、支持フレーム214aおよび214b間に間隔を隔てて支持されるたとえば2つの支持ロッド272の上面にボルト等の固定具(図示せず)により固定されている。さらに、2つのガイドブロック264は、それぞれ、第1のベースプレート136の下面の所定の位置にボルト等の固定具(図示せず)により固定されている。
【0054】
さらに、第1のベースプレート136の長手方向の他方側の下面には、枢軸部274が配設されている。枢軸部274は、第1のベースプレート136の長手方向の他方側を第3のベースプレート280に回動自在に支持するためのものである。第3のベースプレート280は、
図17に示すように、平面視縦長矩形状に形成され、第1のベースプレート136の長手方向の他方側の下方に配設されている。第3のベースプレート280は、支持フレーム214aおよび214b間に間隔を隔てて支持されるたとえば2つの支持ロッド282の上面にボルト等の固定具(図示せず)により固定されている。
枢軸部274は、支点ピン276を含み、支点ピン276は、その軸方向の上端部が第1のベースプレート136の長手方向の他方側に回動自在に支持され、その軸方向の下端部がベアリングホルダ等の軸受部278により、第3のベースプレート280の幅方向の一端部に回動自在に支持されている。
【0055】
一方、偏向手段240の軸部244の軸受部246は、
図17、
図18および
図19に示すように、緩衝枢軸部290を有する。緩衝枢軸部290は、緩衝ピン292を含む。緩衝ピン292は、その軸方向の上端部が、軸部244および摘みハンドル部250のスペーサ248間を接続する軸受部246の下面に回動自在に支持されている。
したがって、この搬送装置10では、偏向手段240の摘みハンドル部250の回転操作によって、たとえば
図28および
図29に示すように、第1のベースプレート136の長手方向の一端側が、当該第1のベースプレート136の長手方向の他端側の枢軸部274の支点ピン276を支点にして、たとえば
図17、
図28および
図29で見て、平面視時計方向または反時計方向に揺動自在とすることができる。すなわち、この搬送装置10は、当該偏向手段240によって、搬送コンベヤ部12A,12Bを平面視時計方向または反時計方向に角度θで揺動させてブランクWの搬送方向を偏向することができる。
【0056】
この場合、偏向手段240には、摘みハンドル部250の軸部244とスペーサ248とを接続する軸受部246に緩衝軸受部294が形成されているため、偏向手段240によって、搬送コンベヤ部12A,12Bを平面視時計方向または反時計方向に角度θで揺動させるときに、軸部244、スペーサ248、連結部材256および枢軸部274に過度の負荷が掛からないように、緩衝作用が機能するものとなっている。
【0057】
なお、上述した搬送装置10では、たとえば
図3に示すように、搬送コンベヤ部12A,12Bにおいて、搬送ベルト16A,16Bは、それぞれ、圧力負荷付与部50A,50Bの下流側に搬送される被搬送物(W)の下面を吸着して、さらに下流側の検査部等の作業部に向けて、当該被搬送物(W)を搬送する吸着搬送部296が配設されていてもよい。この吸着搬送部296は、圧力負荷付与部50A,50Bの下流側の搬送ベルト16A,16Bに、吸引孔を備えた真空吸着ベルト(図示せず)を含むように構成される。
また、この吸着搬送部296は、その下側に負圧チャンバ297が配設されている。負圧チャンバ297には、吸引口部298が配設される。そして、搬送コンベヤ部12A,12Bの下方には、負圧チャンバ297に負圧を発生させるための吸引装置299a,299b(
図1参照)が配設される。吸引装置299a,299bと吸引口部298との間には、吸引ホース(図示せず)が接続される。
【0058】
この搬送装置10において、搬送コンベヤ部12A,12Bの上流側に順次供給される被搬送物(W)は、たとえば
図23に示すように、当該被搬送物(W)の搬送方向でみて、その左右方向に間隔を隔てた2つの搬送ベルト16A,16Bと、圧力負荷付与部50A,50Bの複数のローラ54a
1~54a
12,54b
1~54b
12と、の間に挟持された状態で案内部172a,172bの案内入口部194a,194bに搬送される。
被搬送物(W)は、たとえば
図23に示すように、当該被搬送物(W)の搬送方向の平面視で見て、左右方向に非対称に形成され、且つ、当該被搬送物(W)の左右方向の一方の辺部(w1)の長さが他方の辺部(w2)の長さの長さよりも長く形成されている。また、
図23に示す被搬送物(W)は、当該被搬送物(W)の搬送方向の平面視で見て、その前方端に、たとえば6つのフラップwf
1~wf
6を有し、その後方端に、たとえば3つのフラップwb
1~wb
3を有する。そして、6つのフラップwf1~wf6の前方端は、搬送方向に対して同一水平線上に位置する態様となっている。
【0059】
この搬送装置10では、被搬送物(W)の左右方向のサイズに合わせて、第2の間隔変更手段210によって、案内部172a,172bの谷溝(案内溝)188a,188b間の間隔が調整される。さらに、被搬送物(W)が撓んでバタつかないように搬送される位置に、第1の間隔変更手段130によって、搬送コンベヤ部12A,12B間の間隔が被搬送物(W)の適正位置にセットされる。
この搬送装置10の案内部172a,172bでは、その谷溝(案内溝)188a,188bが断面V字状に形成されているため、たとえば
図24の(A)に示すように、谷溝(案内溝)188a,188bの溝面200a,200bおよび溝面202a,202b間で、被搬送物(W)の左右方向の一方の辺部(w1)および他方の辺部(w2)のバタつきおよび湾曲を防止することができる。
【0060】
それに対して、
図24の(B)に示すように、案内部の案内溝がたとえば断面L字状に形成されている場合、および、
図24の(C)に示すように、案内部が案内溝を有することなく、単に、垂直な案内面で形成されている場合、それぞれ、被搬送物(W)の左右方向の一方の辺部(w1)および他方の辺部(w2)のバタつきおよび湾曲が発生し、当該被搬送物(W)を安定した正しい姿勢で搬送することができず、さらに、被搬送物(W)の辺部分に傷や凹みが発生する等の不具合が生じるものとなっていた。
【0061】
また、この搬送装置10では、被搬送物(W)の平面視形状により、圧力負荷付与部50A,50Bの複数のローラ54a
1~54a
12および54b
1~54b
12の内、それぞれ、最も上流側に位置するローラ54a
1およびローラ54b
1と、搬送ベルト16A,16Bと、の間に同時に被搬送物(W)の前方端部が挟持されるように、圧力負荷付与部50A,50Bがセットされる。
この場合、
図23に示すように、被搬送物(W)の前方端の6つのフラップwf
1~wf
6は、被搬送物(W)の搬送方向に対して同一水平線上に位置しているので、圧力負荷付与部50A,50Bの複数のローラ54a
1~54a
12,54b
1~54b
12は、スライド手段120A,120Bを可動させずに、当該圧力負荷付与部50A,50Bの複数のローラ54a
1~54a
12,54b
1~54b
12を搬送方向に平行に配置される。
また、たとえば
図26に示す被搬送物(W)の場合、被搬送物(W)の前方端の3つのフラップwf
1~wf
3が、被搬送物(W)の搬送方向に対して同一水平線上に位置しているので、上記した
図23に示す被搬送物(W)の場合と同様に、スライド手段120A,120Bを可動させず、被搬送物(W)の前方端部が同時に挟持されるように、圧力負荷付与部50A,50Bがセットされる。
【0062】
それに対して、
図25および
図27に示す被搬送物(W)の場合、被搬送物(W)の前方端の3つのフラップwf
1~wf
3は、被搬送物(W)の搬送方向に対して同一水平線上に位置しておらず、フラップwf
2が、前方に突出した態様となっているので、圧力負荷付与部50A,50Bの複数のローラ54a
1~54a
12および54b
1~54b
12の内、たとえば一方の圧力負荷付与部50Bの複数の54b
1~54b
12を、スライド手段120Bにより、被搬送物(W)の搬送方向の上流側に所定のストローク分だけスライドさせることによって、圧力負荷付与部50A,50Bの複数のローラ54a
1~54a
12および54b
1~54b
12の内、それぞれ、最も上流側に位置するローラ54a
1およびローラ54b
1と、搬送ベルト16A,16Bと、の間に同時に被搬送物(W)の前方端部が挟持されるように、圧力負荷付与部50A,50Bがセットされる。
このように、被搬送物(W)の前方端部が挟持されるように、圧力負荷付与部50A,50Bがセットされることによって、被搬送物(W)の搬送歪みの発生を防止することができる。
【0063】
さらに、この搬送装置10では、たとえば
図28および
図29に示すように、偏向手段240によって、第1のベースプレート136の揺動角度θ(偏向角度θ)を被搬送物(W)の特性(形状、材質、厚み等)に合わせて調整し、当該案内部172a,172bの谷溝(案内溝)188a,188bの内のたとえば一方の案内部172aの谷溝(案内溝)188aに、被搬送物(W)の辺部(w1)が沿うように、第1のベースプレート136を所望の揺動角度θ(偏向角度θ)で揺動させて偏向させるものとなっている。この場合、被搬送物(W)の特性(形状、材質、厚み等)により、案内部172a,172bの谷溝(案内溝)188a,188bに沿わす被搬送物(W)の辺部の長さが長く確保できる側に揺動角θを調整して、第1のベースプレート136、延いては、搬送コンベヤ部12A,12Bの偏向角度が調整される。
【0064】
さらに、この搬送装置10では、圧力負荷付与部50A,50Bの調整手段90a,90bによって、被搬送物(W)の辺部(w1)をたとえば一方の案内部172aの上流側の谷溝(案内溝)188aに沿わせるときの強さが調整される。つまり、調整手段90a,90bにより、圧力負荷付与部50A,50Bの複数のローラ54a1~54a12,54b1~54b12の付勢力を強くすれば、搬送ベルト16A,16Bと、複数のローラ54a1~54a12,54b1~54b12と、の間での挟持する強さ、つまり、被搬送物(W)の保持力が大きくなり、当該被搬送物(W)を一方の案内部172aの谷溝(案内溝)188aに強く当てることができる。
【0065】
反対に、圧力負荷付与部50A,50Bの複数のローラ54a1~54a12,54b1~54b12の付勢力を弱くすれば、搬送ベルト16A,16Bと、複数のローラ54a1~54a12,54b1~54b12と、の間での挟持する強さ、つまり、被搬送物(W)の保持力が小さくなり、当該被搬送物(W)を一方の案内部172aの谷溝(案内溝)188aに軽く当てることができる。
【0066】
このように、当該搬送装置10では、圧力負荷付与部50A,50Bの複数のローラ54a1~54a12,54b1~54b12の付勢力を適宜調整することによって、被搬送物(W)が案内部172a,172bの谷溝(案内溝)188a,188bに対して、過度に当接することを抑制し、当該被搬送物(W)の一方の辺部(w1)および他方の辺部(w2)の部位に、傷や凹みによる損傷が発生することを防止している。
【0067】
この搬送装置10では、特に、たとえば
図21(B)に示すように、搬送ベルト16Aの搬送方向で見て、押圧体74aの上流側に位置する調整部材92を可動させて押圧体74aを下方に押し下げて、押圧体74aの上流側から下流側に亘って、漸次、コイルスプリング86aの付勢力が小さくなるように、すなわち、圧力負荷付与部50Aの長手方向の一方側のローラ54a1から他方側のローラ54a12の付勢力を、F1、F2、・・・、Fnとしたとき、F1>F2>・・・>Fnとなるように調整されている。
この場合、圧力負荷付与部50A,50Bの複数のローラ54a
1~54a
12および54b
1~54b
12の内、それぞれ、最も上流側に位置するローラ54a
1およびローラ54b
1と、搬送ベルト16A,16Bと、の間に同時に、且つ、強い保持力で、被搬送物(W)の前方端部が挟持され、その他のローラ54a
2~54a
12および54b
2~54b
12は、その順で、漸次、弱い保持力で挟持されるものとなっている。
そのため、案内部172a,172bの谷溝(案内溝)188a,188bに被搬送物(W)の前方端が当たった後、被搬送物(W)の後方側の自由度の度合いを確保することができ、当該被搬送物(W)を谷溝(案内溝)188a,188bに沿わし易くすることができる。
【0068】
したがって、この搬送装置10では、
図23、
図25、
図26および
図27に示すように、搬送ベルト16A,16B上において、被搬送物(W)は、その重心Gc(gravity center)を通る搬送方向に平行な直線Lgc-Lgcが、案内部172a,172bの谷溝(案内溝)188a,188bと平行となる位置で、且つ、被搬送物(W)の重心Gcを通る搬送方向に水平(直角)な直線BL-BLが、直線Lgc-Lgcに対して水平(直角)となる姿勢に配置される。なお、被搬送物(W)の搬送方向で見て、当該被搬送物の左右方向の長さの中心線と、当該被搬送物の前後方向の長さの中心線とが交わる点を上記重心Gcに代えて用いてもよい。
すなわち、この搬送装置10では、上記した被搬送物(W)の姿勢となるように、案内手段、調整手段、スライド手段、第1の間隔変更手段、第2の間隔変更手段および偏向手段によって、被搬送物(W)が上記姿勢で案内部172a,172bの上流側から下流側に搬送されていく。
【0069】
そのため、この搬送装置10では、検査部200においてブランクWの表面に印刷された文字および図形等を正確に撮像して検査することができるように、つまり、ブランクWがたとえば
図1に示す検査部310の撮像手段(図示せず)に対して常に正しい位置に配置されるように、ブランクWの姿勢を保持して検査部200に搬送することができる。
【符号の説明】
【0070】
10 搬送装置
12A,12B 搬送コンベヤ部
14a 支持フレーム
16A,16B 搬送ベルト
18a ドライブプーリ
20a スナッププーリ
22a,24a,26a,28a,30a テールプーリ
32a,32b 駆動部
34a,34b 駆動モータ
36a,36b 取付けブラケット
38a,38b ボルト
50A,50B 圧力負荷付与部
52a,52b 長尺体
54a1~54a12,54b1~54b12 ローラ
56a,56b 支持部材
58a,58b ボルト
60a,60b,62a,62b 保持板
64a,64b カラー
66a,66b 枢軸
68a,68b ブシュ
70a,70b ピン
B 各ローラのベアリング部
S 各ローラの軸部
tf 雄ネジ面
bf 焼付け塗装面
72a,72b 付勢部
74a,74b 押圧体
76a,76b 連結軸
O1 保持板の回動中心
O2 ローラの回動中心
O3 連結軸の回動中心
C1 保持板の回動中心とローラの回動中心の間隔
C2 ローラの回動中心と連結軸の回動中心の間隔
78a,78b 座ぐり面
80a,80b ストリッパボルト
82a,82b,84a,84b 座金
86a,86b コイルスプリング
90a,90b 調整手段
92a,92b 調整部材
94a,94b 調整部材の雄ネジ面
96a,96b 調整部材の軸部
98a,98b ローレット部
100a,100b 第1のノブ部
102a,102b 雌ネジ面
104a,104b ローレット部
106a,106b 第2のノブ部
108a,108b 貫通孔
110a,110b 座金部材
120A,120B スライド手段
122a,122b 棒部材
124a,124b スライドブロック
126a,126b 固着具
128a,128b 操作部
130 第1の間隔変更手段
130a,130b 第1の間隔変更手段の軸部
132a,132b 支持ブラケット
134a,134b 補強ブラケット
136 第1のベースプレート
138aおよび138b ハンドル部
140a,140b 螺合部材
142a,142b 接続ブラケット
144a,144b 補強ブラケット
150 直動案内機構
152a,152b ガイドレール
154a,154b ガイドブロック
156a,156b 取付けブラケット
160a,160b 連結プレート
162a,162b 連結フレーム
164a,164b 連結バー
166a,166b 軸受部
170 案内手段
172a,172b 案内部
176a,176b 案内部本体
178a,178b 案内部支持体
180a,180b ガイド片
182a,182b 保持片
184a,184b 長辺部
186a,186b 短辺部
188a,188b 谷溝
190a,190b ベースブロック
192a,192b 固定具
194a,194b 案内入口部
196a,196b 案内入口ブロック
198a,198b テーパ溝部
200a,200b,202a,202b 溝面
204a,204b 谷溝
206a,206b 延長プレート
208a,208b 延長プレート受け片
209a,209b 突っ張り支持体
210 第2の間隔変更手段
212a,212b 軸部
214a,214b 支持フレーム
216a,216b ハンドル部
218a,218b 螺合部材
220 直動案内機構
222a,222b ガイドレール
224a,224b ガイドブロック
226a,226b 支持ロッド
228a,228b 固定具
230a,230b 水平ブラケット
232a,232b 垂直ブラケット
240 偏向手段
242 台形ネジ面
244 軸部
246 軸受部
248 スペーサ
250 摘みハンドル部
252 螺合部材
254 支持具
256 連結部材
258 固定具
260 直動案内機構
262 ガドレール
264 ガイドブロック
266 取付けブラケット
270 第2のベースプレート
272 支持ロッド
274 枢軸部
276 支点ピン
278 軸受部
280 第3のベースプレート
290 緩衝枢軸部
292 緩衝ピン
294 緩衝軸受部
296 吸着搬送部(真空吸着ベルト)
297 真空チャンバ
298 吸引口部
299a,299b 吸引装置
300 検査機
310 検査部
W 被搬送物
w1,w2 ブランクの辺部
wf1~wf6,wb1~wb6,wf1~wf3,wb1~wb3 被搬送物のフラップ
Lgc-Lgc ブランクの重心を通る搬送方向に平行な直線
BL-BL ブランクの重心を通る搬送方向に水平(直角)な直線〔被運搬送物の基準線〕