(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】潤滑剤封入式真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 27/00 20060101AFI20230221BHJP
F04C 25/02 20060101ALI20230221BHJP
F04C 18/344 20060101ALI20230221BHJP
F16J 15/3232 20160101ALI20230221BHJP
【FI】
F04C27/00 331
F04C25/02 L
F04C18/344 351Z
F16J15/3232 201
(21)【出願番号】P 2019549422
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2018055656
(87)【国際公開番号】W WO2018166875
(87)【国際公開日】2018-09-20
【審査請求日】2021-03-04
(32)【優先日】2017-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508206070
【氏名又は名称】レイボルド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】グルミエ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】バウハディッド,ハキム
(72)【発明者】
【氏名】フルニエ,パトリック
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-230969(JP,A)
【文献】特開2000-110946(JP,A)
【文献】特開平03-223571(JP,A)
【文献】特開平05-044852(JP,A)
【文献】特開昭62-292971(JP,A)
【文献】実開平06-014632(JP,U)
【文献】特開平09-060732(JP,A)
【文献】特開平09-303569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 27/00
F04C 25/02
F04C 18/344
F16J 15/3232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤封入式真空ポンプであって、
吸込チャンバを形成しているポンプハウジングと、
前記吸込チャンバに配置されているロータ要素と、
前記ロータ要素に潤滑剤を供給するための潤滑剤供給チャネルと、
前記ロータ要素を支持して、前記ポンプハウジングに支持されている軸と、
前記軸を囲み、前記ポンプハウジングに配置されている主密閉部と
を備えており、
前記吸込チャンバの方向に面する前記主密閉部の内面に、環状の追加密閉部が設けられており、
前記追加密閉部は、前記軸を囲むシェルの外面に直接接して配置された密閉リップを有しており、
前記シェルを径方向に覆うように前記主密閉部の外面から延びている環状のカバー要素が設けられており、前記カバー要素は、
前記シェルと対向する前記主密閉部の外側及び前記主密閉部の密閉リップの外側と前記シェルの外面との間に潤滑剤用の収集チャンバを形成しており、
前記カバー要素の外縁部が、前記軸の方向に面しており、前記シェルの外径より小さい直径を有していることを特徴とする潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項2】
前記追加密閉部は、前記主密閉部に固定して連結されていることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項3】
前記追加密閉部は、前記主密閉部の凹部に延びている少なくとも1つの突出部を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの突出部及び前記凹部は夫々環状であることを特徴とする請求項3に記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項5】
前記追加密閉部は、前記密閉リップを有する密閉要素を支持する保持要素を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項6】
前記密閉リップは傾いて配置されており、前記吸込チャンバの方向に面していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項7】
前記密閉リップは傾いて配置されており、前記吸込チャンバの方向に面していることを特徴とする請求項5に記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項8】
前記保持要素は、前記密閉リップを支持する支持要素を有していることを特徴とする請求項5又は7に記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項9】
前記支持要素は、前記吸込チャンバの方向に傾いて配置されていることを特徴とする請求項8に記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項10】
前記収集チャンバの内面に、前記吸込チャンバの方向に潤滑剤を搬送するための搬送要素が配置されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項11】
前記搬送要素は送りねじを有していることを特徴とする請求項10に記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項12】
前記
収集チャンバの内面の直径は、前記吸込チャンバの方向に減少していることを特徴とする請求項10又は11に記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項13】
前記搬送要素が配置されている領域
の前記
収集チャンバの内面の直径は、前記吸込チャンバの方向に連続的に減少していることを特徴とする請求項12に記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項14】
潤滑剤用の収集要素が、前記主密閉部の外面及び/又は前記主密閉部を囲む前記ポンプハウジングの外面に設けられていることを特徴とする請求項1~13のいずれか1つに記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項15】
前記収集要素は環状をなし、前記軸を囲んでいることを特徴とする請求項14に記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【請求項16】
回転翼ポンプであることを特徴とする請求項1~15のいずれか1つに記載の潤滑剤封入式真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤封入式真空ポンプ、特に回転翼ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば回転翼ポンプのような潤滑剤封入式真空ポンプは、吸込チャンバが画定されているポンプハウジングを備えている。吸込チャンバ内では、少なくとも1つのロータ要素が配置されている。回転翼ポンプでは、ロータ要素は、円筒状の吸込チャンバ内に偏心して配置されている。ロータ要素は、ロータ要素内を径方向に摺動可能な複数の摺動翼を有しており、摺動翼の外縁部が吸込チャンバの内壁に接する。ロータ要素が偏心して配置されているため、搬送される媒体を圧縮するように、摺動翼によって形成された個々のチャンバの体積が変わる。潤滑剤供給管を介して、潤滑剤が少なくとも1つのロータ要素に供給される。潤滑剤は、ロータ要素と吸込チャンバの内壁との間を密閉するために供給される。従って、回転翼ポンプでは、潤滑剤は、ロータ要素に連結されている摺動翼と吸込チャンバの内壁との間の密閉効果をもたらす役目を果たす。回転翼ポンプでは、潤滑剤供給管は通常ロータ内に延びており、潤滑剤は、摺動翼が径方向の移動のために保持されているロータの凹部に供給される。そのため、潤滑剤は遠心力の影響下で、吸込チャンバの内壁に接する摺動翼の外縁部に達する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ロータ要素は、軸が配置されているハウジングによって密閉されている。通常、軸は電気駆動モータによって駆動される。特に軸がポンプハウジングを通過する領域に主密閉部が設けられている。主密閉部は、軸の表面、又は例えばこの領域で軸に連結されているシェルの外面に接する密閉リップを通常有している。この配置では、シェルを設けることにより、所与の状況に応じて、組立工程での利点、及び/又はシェルが密閉緊密性を改善する材料から形成され得るという利点がある。高品質の密閉部でも、特に長時間の使用後、漏れが生じてしまう場合がある。このような漏れは、例えば潤滑剤に入り込む粒子によって生じる場合がある。これらの粒子は、例えば摩耗などの結果、潤滑剤に入り込むか、又は真空ポンプによって搬送される媒体から潤滑剤に入る場合がある。このような粒子が密閉部の密閉リップと軸の表面又は軸を囲むシェルの外面との間の領域に達してしまうと、漏れが軸密閉部に生じる。
【0004】
本発明は、潤滑剤封入式真空ポンプのこのような軸密閉部の密閉緊密性を改善して、このような軸密閉部の耐用年数を延ばすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、請求項1に定義されている潤滑剤封入式真空ポンプによって達成される。
【0006】
本発明によれば、潤滑剤封入式真空ポンプは、主密閉部に加えて追加密閉部を備えている。主密閉部は、軸の表面、又は軸を囲むシェルの外面に接して配置された密閉リップを通常有している。本発明によれば、好ましくは環状の追加密閉部は、吸込チャンバの方を向いている主密閉部の内面に配置されている。追加密閉部は、軸の表面、又は軸を囲むシェルの外面に接して配置された密閉リップを有している。従って、本発明によれば、2つの密閉部が互いに直接隣接して設けられており、両方の密閉部が、軸の表面又はシェルの外面に接して配置された密閉リップを有していることが好ましい。
【0007】
主密閉部及び追加密閉部を設けることにより、例えば、追加密閉部の密閉リップを型内で製造することが可能である、及び/又は追加密閉部と主密閉部との間の領域への粒子の入り込みを防いで、このような入り込みの危険性を低下させるために特に適した材料から密閉リップを製造することが可能である。従って、追加密閉部は、粒子が主密閉部の方向に運ばれることを防ぐ一種のフィルタとしての機能を果たす。その結果、主密閉部を損なう可能性がある粒子が主密閉部に達する場合がある危険性を低下させるので、主密閉部の特に密閉リップをより軟質な材料から製造することが可能である。従って、主密閉部の材料が、実質的に可能な限り最良の密閉効果を達成する観点から選択され得る一方、追加密閉部の材料が、実質的に有害な粒子を安全に保持する観点から選択される。主密閉部の材料として、Viton 、FKM 、FPM 、PTFE及び/又はEPDMの使用が好ましい。追加密閉部は、好ましくは織物繊維及び/又は不織織物から形成されている。有機又は無機の織物を使用することが可能である。
【0008】
好ましい実施形態によれば、追加密閉部は主密閉部に、特には固定して連結されている。例えば、追加密閉部は主密閉部の内面に接合、係合係止などによって、固定して連結され得る。追加密閉部は、主密閉部の特に環状の凹部に延びている、特に環状の突出部を有していることが好ましい。そのため、一方では、追加密閉部と主密閉部との連結を実現又は改善することができ、他方では、追加密閉部の剛性及び位置を改善することができる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、追加密閉部は保持要素を有している。保持要素は、密閉リップを有する追加密閉部の密閉要素を支持している。この配置では、密閉要素は保持要素に、例えば接合、溶接などによって連結され得る。2つの要素から追加密閉部を構成することによって、異なる材料を使用することが特に可能である。
【0010】
追加密閉部が保持要素を有している場合、保持要素が主密閉部に、特には固定して連結されており、好ましい実施形態によれば、主密閉部に連結するために上述した突出部を有していることが好ましい。更に、保持要素は主密閉部に一体に連結され得る。
【0011】
更に、追加密閉部の好ましい実施形態によれば、密閉リップが傾いて配置されており、吸込チャンバの方向に面していることが好ましい。このようにして、粒子のより確実な保持、及び追加密閉部のより確実な濾過効果が達成される。
【0012】
特に密閉リップが傾いて配置されている場合、保持要素が、密閉リップを支持する支持要素を有しており、密閉リップが支持要素に載置されていることが好ましい。この配置では、支持要素は、好ましくは吸込チャンバの方向に傾いて配置されている。軸の表面及びシェルの外面に対する支持要素及び/又は密閉リップの傾きは、好ましくは10°~60°の角度範囲内にある。
【0013】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、主密閉部の外面に環状のカバー要素が連結されている。ここで、主密閉部の外面は、吸込チャンバから離れる方向を向いている主密閉部の側である。環状の突起部として特に形成され得る前記カバー要素は、好ましくは主密閉部と一体に形成されており、主密閉部に接合、溶接、係合係止などによって連結されている。環状のカバー要素によって、潤滑剤用の収集チャンバが主密閉部の外側に形成されている。特に長い動作期間後、特に追加密閉部が設けられているにも関わらず、潤滑剤が主密閉部から流出したら、この潤滑剤は前記収集チャンバに捕捉される。
【0014】
シェルが軸に配置されている本発明の実施形態では、カバー要素の外縁部が軸の方向に面しており、シェルの外径より小さい直径を有していることが好ましい。従って、カバー要素はシェルを径方向に覆っている。このようにして、潤滑剤がシェルの外面に沿って流れるとき、外側に達してカバー要素によって保持されるので、潤滑剤用の更なる収集チャンバが形成される。生じる遠心力により、潤滑剤は、特にシェルを少なくとも部分的に囲む収集チャンバに保持される。
【0015】
耐用年数を更に延ばすために、本発明の特に好ましい実施形態では、収集チャンバの内面に搬送要素が更に設けられている。前記搬送要素を用いて、収集チャンバに達した潤滑剤は吸込チャンバの方向に搬送される。このような搬送は、例えば収集チャンバの内面から内部に延びている横断孔によって実現されることができ、この開口部は、潤滑剤を遠心力により対応して搬送するように傾いて形成されるべきである。前記搬送要素は、収集チャンバの内面に送りねじとして形成されていることが特に好ましい。潤滑剤が収集チャンバ内を移動するため、吸込チャンバの方向に搬送される。特に、潤滑剤が主密閉部の密閉リップの方向に搬送されるため、この領域では、流出した潤滑剤が吸込チャンバの方向に再度戻される。更にこのようにして、主密閉部の密閉リップの外面に逆圧が生じるため、潤滑剤が漏れる危険性が低下する。
【0016】
特に搬送要素が配置されている領域の収集チャンバの内面の直径は、吸込チャンバの方向に、特には連続的に減少していることが特に好ましい。このようにして、吸込チャンバの方向への潤滑剤の戻りが改善される。そのため特に、突出部又は溝を設けることにより、螺旋状の搬送手段を収集チャンバの内面に形成することが簡単な方法で可能になる。
【0017】
更なる好ましい実施形態によれば、潤滑剤用の収集要素が、主密閉部の外面及び/又は主密閉部を囲むハウジングの外面に更に設けられている。そのため、耐用年数を更に延ばすことが可能である。前記収集要素の機能は、潤滑剤が収集チャンバから流出すると、この潤滑剤を収集要素によって受けるか又は吸い込むということである。ここで、前記収集要素は、特にはスポンジなどと同様に形成されている。例えば、収集要素は環状をなして、軸を特には完全に囲むことができる。このような収集要素を設けることにより、一方では潤滑剤がハウジングの外面を流れず、作業現場に滴らないなどの利点があり、他方では潤滑剤の漏れがユーザに容易に見えるという利点がある。
【0018】
特に主密閉部の外面及び/又はハウジングの外面に設けられた収集要素に関連して、主密閉部の外面にカバー要素を設けるということは、主密閉部の内面に設けられた追加密閉部から独立した発明をそれ自体で表す。しかしながら、2つの発明の組み合わせが好ましい。
【0019】
本発明を、特に好ましい実施形態によって添付図面を参照して以下に更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】回転翼ポンプを大幅に簡略化した断面略図である。
【
図2】本発明に係る軸密閉部の好ましい実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
回転翼ポンプは、ハウジング12によって形成された吸込チャンバ10を備えている。吸込チャンバ10は入口14に連結されている。入口14は、真空状態にする不図示のチャンバに連結されており、不図示の入口バルブを有している。吸込チャンバ10内には、様々なチャンバ18が円筒状の吸込チャンバ10に形成されるように、ロータ要素16が偏心して配置されている。前記チャンバ18は摺動翼20によって夫々画定されており、摺動翼20は、摺動翼20の径方向の移動を可能にするようなロータ要素のスロット、ひいては凹部22に保持されている。前記凹部22は、(図面に概略的に輪郭のみが示されている)潤滑剤供給チャネル24に連結されている。ロータ要素16はロータ軸26によって支持されている。そのため、ロータ要素16及びロータ軸26は一体に形成され得る。更に、最小のチャンバ18が出口28に連結されている。前記出口28には、特に油封入式バルブプレートなどの形態の出口バルブが設けられている。
【0022】
図2に示されているような本発明に係る軸密閉部の特に好ましい実施形態では、主密閉部内に配置された追加密閉部と、主密閉部の外側に配置された収集チャンバ及び収集要素とに関する2つの発明が組み合わせられている。
【0023】
図示された例示的な実施形態では、ロータ軸26はシェル30又はスリーブリングに囲まれている。シェル30は、例えばロータ軸26に押し付けられている。更に、シェル30は主密閉部32に囲まれている。図示された例示的な実施形態では、主密閉部32は、シェル30の外面36に接して配置された密閉リップ34を有している。当接力を高めるために、環状の金属ばね38が密閉リップ34の内面に配置され得る。主密閉部32のC字形状の環状要素40が密閉リップ34に連結されている。主密閉部32はハウジング12の環状の凹部に配置されている。
【0024】
吸込チャンバ10の方向に面する主密閉部32の内面42に、環状の追加密閉部44が配置されている。図示された例示的な実施形態では、追加密閉部44は2つの部分から構成されており、密閉要素46及び保持要素48を有している。密閉要素46は、ここでもシェル30の外面36に密閉状態で接して配置された密閉リップ50を形成している。密閉リップ50は、粒子が主密閉部32の密閉リップ34の方向に進むことができないように、粒子を濾過又は保持する役目を果たす。密閉リップ50は傾いており、ひいては吸込チャンバ10の方向に傾いて配置されている。更に追加密閉部44は、密閉要素46のこの部分を支持する支持要素52を有している。支持要素52は回転スリーブ30に接していない。支持要素52とスリーブ30との間に径方向の隙間がある。
【0025】
図示された例示的な実施形態では、追加密閉部44の保持要素48は1つ又は2つの軸方向の環状の突出部54, 56を更に有している。突出部54, 56は、特に主密閉部32のC字形状の環状要素40に連結する役目を果たす。このために、2つの突出部54, 56は、C字形状の環状要素40によって形成された主密閉部32の開口部58に延びている。環状のリング54をC字形状の環状要素40に固定又は接着することにより、追加密閉部44は主密閉部32に連結される。
【0026】
図示された例示的な実施形態では、カバー要素62が、主密閉部32の外面60(
図3)に配置されている。図示された例示的な実施形態では、部分的なリング状の突起部として形成された前記カバー要素62は、ロータ軸の表面65の方向に面するが、ロータ軸の表面65に接しない外縁部64を有している。静止したリップ64と回転表面65との間に隙間がある。前記外縁部64の直径はシェル30の外径より小さい。このようにして、密閉リップ34の領域で漏れてしまう場合がある潤滑剤を収集するための収集チャンバ66が形成されている。このように漏れた潤滑剤を、矢印68によって示されているように、収集チャンバ66の方向に戻すために、特に螺旋状体として形成された搬送要素72が、収集チャンバ66の内面70に配置されている。特に搬送要素72の領域では、前記内面70の直径が吸込チャンバの方向に減少するので、場合によっては漏れる潤滑剤を収集チャンバ66から吸込チャンバ10に確実に戻す。
【0027】
好ましい実施形態によれば、同様の環状の収集要素74(
図2)を主密閉部32の外面60に設けるか、又はハウジング12の表面75に固定することが更に可能である。この収集要素74によって、収集チャンバ66から漏れてしまう場合がある潤滑剤を吸い込むか又は蓄積することが可能である。収集要素74は、好ましくは有機又は無機のスポンジ状の材料から形成されている。