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特許7231597構造スペーサを有する細胞カプセル化デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】構造スペーサを有する細胞カプセル化デバイス
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20230221BHJP
   A61L 27/16 20060101ALI20230221BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20230221BHJP
   A61L 27/40 20060101ALI20230221BHJP
   A61L 27/56 20060101ALI20230221BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20230221BHJP
   A61L 27/38 20060101ALN20230221BHJP
   A61L 27/54 20060101ALN20230221BHJP
   C12N 11/02 20060101ALN20230221BHJP
   C12N 1/00 20060101ALN20230221BHJP
【FI】
C12M1/00 Z
A61L27/16
A61L27/18
A61L27/40
A61L27/56
A61L27/58
A61L27/38
A61L27/54
C12N11/02
C12N1/00 Z
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020182497
(22)【出願日】2020-10-30
(62)【分割の表示】P 2019523550の分割
【原出願日】2017-11-08
(65)【公開番号】P2021013388
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】62/419,148
(32)【優先日】2016-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/806,099
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(73)【特許権者】
【識別番号】391018178
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エイチ.カリー
(72)【発明者】
【氏名】ローレン ザンボッティ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナデッテ パーソンズ
(72)【発明者】
【氏名】ポール ディー.ドラムヘラー
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-516827(JP,A)
【文献】国際公開第96/032076(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C12M
A61L
A61F
A61M
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/CAplus(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層が前記第1層の周囲の一部に沿って、第2層に対して前記第2層の周囲の一部に沿ってシールされて、第1内面と反対側の第2内面とを含むチャンバを画定しており、前記第1内面が前記チャンバ内で前記第2内面から離隔している、第1層と、
前記チャンバの長さ及び/又は幅に沿って前記第1内面と前記第2内面との間の平均距離を維持し、前記第1内面と前記第2内面とを相互接続するように、前記チャンバ内に配置された構造スペーサと、
を含む、カプセル化デバイスであって、
前記構造スペーサは、前記チャンバ内部に細胞を配置するための少なくとも1つのリザーバ空間を更に画定し、
前記第1層及び第2層の少なくとも一つが複合層であり、前記複合層が、
a) 外側多孔質層と、
b) 前記外側多孔質層に隣接する内側多孔質層と
を含み、前記内側多孔質層の空隙率が、前記外側多孔質層よりも低く、そして前記内側多孔質層の一部が前記第1内面又は第2内面であり、
前記構造スペーサが、前記第1層及び第2層の少なくとも一つの前記内側多孔質層の少なくとも一つに接着剤を介して接着されており、前記接着剤は前記第1層及び第2層の少なくとも一つの前記外側多孔質層の孔内へ浸透していない、
カプセル化デバイス。
【請求項2】
前記リザーバ空間と流体連通する少なくとも1つのポートを更に含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つのリザーバ空間内に複数の細胞を更に含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項4】
前記第1層及び第2層が細胞内方成長を遮る、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項5】
前記外側多孔質層は、患者からの血管組織が前記外側多孔質層の孔内部で、前記内側多孔質層まで成長するのを許すが、しかし前記内側多孔質層を貫通するのは許さないほどに充分に多孔性である、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項6】
前記第1層及び第2層のうちの少なくとも一方が生体吸収性材料を含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項7】
前記構造スペーサが酸素透過性材料を含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項8】
前記第1層及び第2層の少なくとも一つの多孔性が維持される、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項9】
前記生体吸収性材料が粉末又はスクリーンの形態を成す、請求項6に記載のカプセル化デバイス。
【請求項10】
前記内側多孔質層が細胞内方成長を遮る、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項11】
前記カプセル化デバイスがほぼ管状の形態を有している、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項12】
前記構造スペーサが、加えられた力のもとで平均距離を維持する、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項13】
前記構造スペーサが多孔質材料を含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項14】
前記構造スペーサが形状記憶材料を含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項15】
前記構造スペーサが酸素透過性材料を含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項16】
前記構造スペーサが無孔質材料を含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項17】
前記第1内面と前記第2内面との間の平均距離が少なくとも約50ミクロンである、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項18】
前記デバイスが、相互接続された複数のリザーバ空間を含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項19】
前記デバイスが、不連続的な少なくとも2つのリザーバ空間を含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項20】
前記内側多孔質層及び前記外側多孔質層のうちの少なくとも一方が、延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項21】
前記構造スペーサが複数の繊維を含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項22】
前記構造スペーサが、熱可塑性ポリマーから成る3D印刷されたビーズを含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【請求項23】
前記構造スペーサが、構造的拘束具を含む三次元織布を含む、請求項1に記載のカプセル化デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に医療デバイスの分野に関し、そして具体的には、細胞をカプセル化して患者内に移植するための構造スペーサを有するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
末梢動脈疾患、動脈瘤、心臓疾患、アルツハイマー病及びパーキンソン病、自閉症、失明、糖尿病、及びその他の病理を治療するための方法として、生物学的療法がますます実行可能になってきている。
【0003】
一般的な生物学的療法に関しては、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、バクテリア、タンパク質、抗体、及びその他の生物活性部分を外科的及び/又は介入的方法によって患者内に導入することができる。多くの場合、生物活性部分を先ずデバイス内に入れ、次いでこのデバイスを患者内に挿入する。或いはデバイスを先ず患者内に挿入し、後から生物活性部分を添加してもよい。
【0004】
周知のカプセル化デバイスは、デバイスのルーメン内部にスペーサを含むことにより、ルーメン内部に細胞を分配し、そして細胞のための開いた空間を維持する。ここではスペーサは、自由に浮遊するメッシュ、発泡体、又は布地の形態を成している。これらのスペーサはルーメン内部で動き、凝集して、所期目的のための効力を低下させることがある。他の細胞カプセル化デバイスはルーメンと内部溶着部(internal weld)とを含む。内部溶着部はルーメンを区画化することによりルーメン内に細胞をより良好に分配するのに役立つが、しかしながら、これは1つ又は2つ以上の場所内でデバイスを圧縮することにより行われ、これによりルーメンの内部容積が低減する。内部容積のこのような低減は外側の血管新生面の不連続性及び中断を招く。
【0005】
細胞及び/又は生物学的部分をカプセル化するデバイスであって、デバイスを構造的に強化することにより、変形及び歪みを防止する一方、デバイスの断面厚及び外面を保持する、デバイスが依然として必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この文書中に使用される「発明(invention)」「発明(the invention)」、「本発明(this invention)」、及び「本発明(the present invention)」という用語は、本特許出願の主題及び下記請求項の全てを広範囲に参照するように意図される。これらの用語を含む言明は、本明細書中に記載された主題を制限するものではなく、又は下記請求項の意味又は範囲を制限するものでもないと理解されるべきである。本概要は、本発明の種々の態様の高レベルな概観であり、下記詳細な説明の項目にさらに記載される概念のいくつかを紹介する。本概要は、主張される主題の重要な又は本質的な特徴を指定するものではなく、主張される主題の範囲を決定するために隔絶して使用されるものでもない。主題は、明細書全体の適宜の部分、任意又は全ての図面、及び各請求項を参照することによって理解されるべきである。
【0007】
本明細書中に記載されるのは、細胞カプセル化デバイスであって、周囲の一部に沿ってシールされる第1層及び第2層と、第1層と第2層との間に配置されたチャンバと、第1層と第2層とを分離するためにチャンバ内部に配置された構造スペーサとを含む、細胞カプセル化デバイスである。チャンバは第1内面と第2内面とを含み、これらの面は所定の距離だけ離隔されている。加えて、構造スペーサは第1内面と第2内面との間の平均距離を維持する。いくつかの実施態様では、第1内面と、第2内面と、構造スペーサとが、チャンバ内部に細胞を配置して保持するためのリザーバ空間を画定している。細胞カプセル化デバイスはさらに、リザーバ空間と流体連通する少なくとも1つのポートを含む。このポートは、第1層と第2層との間のアクセスを可能にし、或いは第1層及び第2層を通ってチャンバへアクセスすることを可能にするので、生物学的部分を含有する流体を細胞カプセル化デバイス内へ送達することができる。いくつかの実施態様では、構造スペーサは少なくとも2つのリザーバ空間を画定する。例えば、構造スペーサは複数のリザーバ空間を画定することができる。いくつかの実施態様では、複数のリザーバ空間は相互接続されている。他の実施態様では、少なくとも2つのリザーバ空間が不連続的である(すなわち相互接続されていない)。
【0008】
いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスはポートを含む。このポートは第1層及び第2層のシールされた周囲を通って延びている。別の実施態様では、ポートは第1層又は第2層を通って延びている。
【0009】
いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスの第1層及び第2層は細胞保持層である。細胞保持層は細胞内方成長を遮る。
【0010】
いくつかの実施態様では、第1層及び/又は第2層は血管新生層である。このような実施態様の場合、細胞カプセル化デバイス内へ挿入されるべき一つ又は複数の細胞はマイクロカプセル化することができる。細胞は、例えばヒドロゲル生体材料を含む天然又は合成起源の生体材料内部でマイクロカプセル化することができる。
【0011】
いくつかの実施態様では、第1層及び第2層のうちの少なくとも1つが複合層である。1実施態様では、第1層及び第2層の両方が複合層である。いくつかの実施態様では、複合層は外側多孔質層と、外側多孔質層に隣接して配置された内側多孔質層とを含む。本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスの内側多孔質層の空隙率(porosity)は、外側多孔質層の空隙率よりも小さくてよい。いくつかの実施態様では、内側多孔質層の一部は、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスの第1内面及び/又は第2内面を形成している。
【0012】
いくつかの実施態様では、外側多孔質層は、患者からの血管組織が外側多孔質層の孔内部で、内側多孔質層まで成長するのを許すが、しかし内側多孔質層を貫通するのは許さないほどに充分に多孔性である。従って、内側多孔質層は細胞内方成長を遮る。
【0013】
いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスの構造スペーサが、第1複合層及び第2複合層の内側多孔質層に接着されている。いくつかの実施態様では、構造スペーサは内側多孔質層の孔の一部を貫通するのに対して、外側多孔質層を貫通していないので、外側多孔質層は細胞内方成長を可能にするのを妨げられないままである。
【0014】
いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスはアルギネート、セルロースアセテート、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、パンビニルポリマー(panvinyl polymers)、例えばポリビニルアルコール、キトサン、ポリアクリレート、例えばポリヒドロキシエチルメタクリレート、アガロース、加水分解ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルコポリマー、ポリビニルアクリレート、例えばポリエチレン-コ-アクリル酸、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、改質多孔質ポリテトラフルオロエチレンポリマー、多孔質テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー、多孔質ポリアルキレン、例えば多孔質ポリプロピレン、及び多孔質ポリエチレン、多孔質ポリビニリデンフルオリド、多孔質ポリエステルスルホン、多孔質ポリウレタン、多孔質ポリエステル、及びこれらのコポリマー及び組み合わせから形成されてよい外側多孔質層を含む。いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスは、多孔質ポリテトラフルオロエチレン、多孔質プロピレン、多孔質ポリエチレン、又は多孔質ビニリデンフルオリドから成る内側多孔質層を含む。
【0015】
いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスの構造スペーサは、加えられた力のもとで第1内面と第2内面との間の平均距離を維持する。平均距離を維持することは、構造形状を無傷のままにし、結果としてデバイスの破裂を招くおそれのある変形を回避するので有利である。加えて、平均距離を維持しないと、望ましくない容積変化をもたらすことがある。最適な間隔は、種々異なる細胞タイプに応じて変化する。内面間の最適な平均距離を上回ると、カプセル化デバイス内部のいくつかの細胞が意図せずにデバイス壁からあまりにも離れて位置して、栄養及び他の生体分子を受容できなくなる。充分な栄養及び酸素を受容しない細胞は死滅する。いくつかの実施態様では、加えられる力は外部圧縮力であるのに対して、他の実施態様では、加えられる力は内部拡張力であってよい。従って、構造スペーサは、平均距離を維持するために両方の力に耐えることができる。
【0016】
いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスの構造スペーサは、多孔質材料から形成されている。いくつかの実施態様では、多孔質材料は、アルギネート、セルロースアセテート、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、パンビニルポリマー(panvinyl polymers)、例えばポリビニルアルコール、キトサン、ポリアクリレート、例えばポリヒドロキシエチルメタクリレート、アガロース、加水分解ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルコポリマー、ポリビニルアクリレート、例えばポリエチレン-コ-アクリル酸、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、多孔質改質ポリテトラフルオロエチレンポリマー、多孔質テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー、多孔質ポリアルキレン、例えば多孔質ポリプロピレン、及び多孔質ポリエチレン、多孔質ポリビニリデンフルオリド、多孔質ポリエステルスルホン、多孔質ポリウレタン、多孔質ポリエステル、及びこれらのコポリマー及び組み合わせである。
【0017】
別の実施態様では、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスの構造スペーサは、無孔質材料から形成されている。いくつかの実施態様では、無孔質材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、溶融加工可能なフルオロポリマー、例えばフッ素化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン-(ペルフルオロアルキル)ビニルエーテル(PFA)、エチレンとテトラフルオロエチレン(ETFE)との交互共重合体、テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とビニリデンフルオリド(THV)とのターポリマー、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、及びこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、無孔質材料はフッ素化エチレンプロピレン、テトラフルオロエチレン-(ペルフルオロアルキル)ビニルエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリビニリデンフルオリド、及びこれらの組み合わせを含む。
【0018】
いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスは、互いに独立して表面積を有する第1内面と第2内面とを含む。表面積は、細胞及び/又は移植部位のサイズに応じて、そして第1内面と第2内面との間の平均距離に応じて変化してよい。表面積は、採用される具体的な細胞治療、及び治療要件を満たすために必要とされる細胞の生産性にさらに依存することになる。いくつかの実施態様では、第1内面と第2内面との間の平均距離は最大50ミクロンである。いくつかの例では、第1内面と第2内面との間の距離は少なくとも約50ミクロン(例えば50ミクロン~100ミクロン)、少なくとも100ミクロン(例えば100~150ミクロン)、少なくとも150ミクロン(例えば150ミクロン~200ミクロン)、又は少なくとも200ミクロン(例えば200ミクロン~250ミクロン)であってよい。いくつかの例では、平均距離は約50ミクロン、100ミクロン、200ミクロン、250ミクロン、少なくとも250ミクロン、又は500ミクロン又はそれ以上であってよい。1つの実施態様では、平均距離を維持することにより、第2層とほぼ平行な関係を成すように第1層を配置することができる。
【0019】
いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスは、第1内面及び第2内面のそれぞれの表面積の少なくとも一部を占める構造スペーサを含む。
【0020】
添付の図面は開示内容のさらなる理解を可能にするために含まれ、本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、実施態様を例示し、そして記述とともに開示内容の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイスを概略的に示す上面図である。
【0022】
図2図2は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイスを概略的に示す断面図である。
【0023】
図3図3は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、複合内層と複合外層とを有する管状カプセル化デバイスを概略的に示す断面図である。
【0024】
図4図4~10は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイスを構成するために使用される多孔質材料を概略的に示す断面図である。
図5図4~10は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイスを構成するために使用される多孔質材料を概略的に示す断面図である。
図6図4~10は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイスを構成するために使用される多孔質材料を概略的に示す断面図である。
図7図4~10は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイスを構成するために使用される多孔質材料を概略的に示す断面図である。
図8図4~10は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイスを構成するために使用される多孔質材料を概略的に示す断面図である。
図9図4~10は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイスを構成するために使用される多孔質材料を概略的に示す断面図である。
図10図4~10は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイスを構成するために使用される多孔質材料を概略的に示す断面図である。
【0025】
図11図11は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイス内に使用するためのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)構造部材を有するメンブレンの断面を示す走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
【0026】
図12図12は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイス内に使用するためのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)構造部材を有するメンブレンの部分断面を示す走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
【0027】
図13図13は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞保持層の表面上に熱可塑性ポリマーを粉末塗布することによって形成された構造スペース部材を示す概略図である。
【0028】
図14図14は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイス内部における、上側複合層と、下側複合層と、構造スペーサを形成するために整列するフルオロポリマースペース部材との配向を示す概略図である。
【0029】
図15図15は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、図14に示された材料によって形成された細胞カプセル化デバイスを概略的に示す断面図である。
【0030】
図16A図16Aは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、フッ素化エチレンプロピレンで粉末塗布されたPTFEメンブレンの上面を、50倍の倍率で示す走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【0031】
図16B図16Bは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、フッ素化エチレンプロピレンで粉末塗布されたPTFEメンブレンの上面を、100倍の倍率で示す走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【0032】
図17図17は、細胞保持層1722と細胞血管新生層1724とを含む複合層1720上に、熱可塑性ポリマー粉末1710が篩部材1732を通して堆積される様子を示す概略図である。
図17A図17Aは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞保持層上に熱可塑性ポリマー粉末を選択的に堆積することによって形成された構造スペース部材を示す概略図である。
【0033】
図17B図17Bは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞保持層上に熱可塑性ポリマー粉末を選択的堆積することを利用して細胞カプセル化デバイスを形成する構成部分の配向を示す概略図である。
【0034】
図17C図17Cは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、熱可塑性粉末によって形成された構造スペーサを備えた細胞カプセル化デバイスを示す概略図である。
【0035】
図18図18は、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞保持層上に熱可塑性ポリマーを選択的に敷設することによって形成された構造スペース部材を示す概略図である。
【0036】
図18A図18Aは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、細胞保持層上に熱可塑性ポリマーを印刷することにより細胞カプセル化デバイスを形成する構成部分の配向を示す概略図である。
【0037】
図18B図18Bは、本明細書中に記載された実施態様に基づく、熱可塑性ポリマーを印刷することにより形成された構造スペーサを備えた細胞カプセル化デバイスを示す概略図である。
【0038】
図19図19は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイスにおいて使用するために模範的パターンを成して形成された構造支持体を示す断面図である。
【0039】
図20図20は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイスにおいて使用するために別の模範的パターンを成して形成された構造支持体を示す断面図である。
【0040】
図21A図21Aは、明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイス内の構造スペーサを形成するために使用されるバイコンポーネント繊維を示す断面図である。
【0041】
図21B図21Bは、明細書中に記載された実施態様に基づく、バイコンポーネント繊維を使用して形成された細胞カプセル化デバイスを示す断面図である。
【0042】
図22図22は、明細書中に記載された実施態様に基づく、三次元織布構造を使用して形成された細胞カプセル化デバイスを示す断面図である。
【0043】
図23図23は、明細書中に記載された実施態様に基づく、生体吸収性材料から形成されたスクリーンを示す図である。
【0044】
図24図24は、明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例9において製造された細胞カプセル化デバイスの上面を示す写真である。
【0045】
図25図25は、明細書中に記載された実施態様に基づく、実施例11において製造された細胞カプセル化デバイスの上面を示す写真である。
【0046】
図26図26は、明細書中に記載された実施態様に基づく種々の細胞カプセル化デバイスの圧力変形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0047】
当業者には容易に明らかなように、所期機能を発揮するように形成されたいかなる数の方法及び装置によっても、本開示の種々の態様を実現することができる。なお、本明細書中に言及された添付の図面は必ずしも原寸に比例しているわけではなく、本開示の種々の態様を例示するために誇張される場合もある。そしてその点において、図面は制限的なものと解釈されるべきではない。
【0048】
本明細書に記載されるのは生物学的部分をカプセル化するためのデバイスであり、このデバイスにおいて、生物学的部分が患者内、例えば組織床内へ移植され、これにより生物学的治療を施す。また本明細書中には、デバイスを形成する方法、及び生物学的部分をデバイス内へ導入する方法も記載されている。いくつかの実施態様では、細胞カプセル化デバイスは複合層から形成されており、それぞれの複合層は、生物学的部分を保持するための内側多孔質層と、血管新生及び細胞内方成長を可能にする外側多孔質層とを有している。これらの複合層は構造スペーサによって離隔されている。構造スペーサは生物学的部分を保持するためのリザーバ空間を画定する。他の実施態様では、デバイスは、リザーバ空間を画定する内部構造スペーサを有する拡張されたメンブレンであってよい。
【0049】
本明細書中に記載されたデバイスを使用したカプセル化又は移植に適した生物学的部分は、細胞、ウイルス、ウイルスベクター、遺伝子治療、バクテリア、タンパク質、多糖類、抗体、及びその他の生物活性部分を含む。便宜上、本明細書では、生物学的部分を細胞と称するが、しかしこの説明におけるいかなるものも、生物学的部分を細胞又は任意の特定のタイプの細胞に制限することはなく、以下の説明は細胞ではない生物学的部分にも適用される。本発明の細胞カプセル化デバイスとともに、種々のタイプの原核細胞、真核細胞、哺乳類細胞、非哺乳類細胞、及び/又は幹細胞を使用することができる。いくつかの実施態様では、細胞は一例としてヒドロゲル生体材料を含む、天然起源又は合成起源の生体材料内部でマイクロカプセル化されてよい。いくつかの実施態様では、細胞は治療上有用な物質を分泌する。このような物質は、ホルモン、成長因子、栄養成長因子、神経伝達物質、リンホカイン、抗体、又は治療上の有用性をデバイスレシピエントに提供する他の細胞生成物を含む。このような治療細胞生成物の一例としては、インスリン、成長因子、インターロイキン、副甲状腺ホルモン、エリトロポエチン、トランスフェリン、及びファクターVIIIが挙げられる。好適な成長因子の一例としては、血管内皮成長因子、血小板由来成長因子、血小板活性化因子、形質転換成長因子、骨形成タンパク質、アクチビン、インヒビン、線維芽細胞成長因子、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、グリア細胞株由来神経栄養因子、増殖分化因子9、上皮成長因子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本開示全体を通して「細胞(cell又はcells)」という用語はそれぞれ生物学的部分(biological moiety又はbiological moieties)」と置き換えることもできることが認められる。
【0050】
細胞をカプセル化するための1つの実施態様が図1に示されている。図1は、細胞カプセル化デバイス100を概略的に示す上面図である。細胞カプセル化デバイス100は、周囲130の一部に沿ってシールされた第1(上)層110及び第2(下)層(図示せず)と、第1層と第2層との間に配置されたチャンバ(図示せず)と、ポート140とを含む。ポート140は、シールされた周囲130を通って延び、チャンバと流体連通している。
【0051】
図2は、細胞カプセル化デバイス200の断面を示す概略図である。細胞カプセル化デバイス200は、第1複合層210及び第2複合層220と、第1複合層210と第2複合層220との間に配置されたチャンバ230と、第1複合層210と第2複合層220とを分離するためにチャンバ230内部に配置された構造スペーサ240とを含む。チャンバ230は第1内面232及び第2内面234を有している。これらの内面は所定の距離236だけ離隔されている。第1複合層210は、外側多孔質層212と、外側多孔質層212に隣接して配置された内側多孔質層214を含む。第2複合層220は、外側多孔質層220と内側多孔質層224とを含む。第1層210及び第2層220の外側多孔質層212,222は、同じ材料又は異なる材料を含むか、又は同じ材料又は異なる材料から形成されてよい。同様に、第1層210及び第2層220の外側多孔質層214,224も、同じ材料又は異なる材料を含むか、又は同じ材料又は異なる材料から形成されてよい。いくつかの実施態様では、内側多孔質層の空隙率は外側多孔質層の空隙率よりも低い。内側多孔質層214,224の部分は、細胞カプセル化デバイス200の第1内面232及び第2内面234を形成している。
【0052】
構造スペーサは、細胞カプセル化デバイスの第1内面と第2内面との間の平均距離を維持する。本明細書中に用いられる「平均距離(average distance)」という表現は、当該寸法を横切る厚さがほぼ一貫している、細胞が内在する細胞カプセル化デバイスのチャンバ内の長さ及び/又は幅(又は第1直径及び第2直径、又はその他の選択された寸法)にわたる、第1複合層(又は第1内面)と第2複合層(又は第2内面)との間の距離を表すものとする。下記のように、細胞が内在する細胞カプセル化デバイスのチャンバ内部の長さ及び/又は幅の範囲内に位置する局所的領域は、厚さが変化し得るが、しかしながら、平均距離は同じままである。本明細書中に用いられる「チャンバ(chamber)」という用語は、第1細胞保持層(例えば第1内側多孔質層又は第1細胞保持層)と第2細胞保持層(例えば第2内側多孔質層又は第2細胞保持層)との間の細胞カプセル化デバイス内部、及び、細胞又は他の生物学的部分の配置が行われる(又は細胞又は他の生物学的部分が内在する)、細胞カプセル化デバイスの周囲より内側の領域全体を定義するものとする。いくつかの実施態様では、第1内面232と第2内面234と構造スペーサ240とは、チャンバ230内部に細胞(図示せず)を配置するための複数のリザーバ空間250を画定する。細胞が種々のリザーバ空間250内へ流入するのを許すように、リザーバ空間250を相互接続することができる。
【0053】
図3は、模範的な管状細胞カプセル化デバイス300を概略的に示す断面図である。管状細胞カプセル化デバイス300は、内層310及び外層320と、内層310と外層320との間に配置された細胞格納層330とを含む。第1複合層310は、外側多孔質層312と、外側多孔質層312に隣接して配置された内側多孔質層314を含む。第2複合層320もまた、外側多孔質層322と内側多孔質層324を含む。チャンバ330は、第1内面342と第2内面344との間に配置されており、そして構造スペーサ340を含んでいる。構造スペーサはデバイス300の幾何学的変化中に距離335を維持し、細胞(又は他の生物学的部分)を配置するための複数のリザーバ空間を画定している。構造スペーサは第1直径から第2直径までの平均距離335を維持する。1実施態様では、分離距離335を維持することにより、内層は外層とほぼ平行な関係を成して配置することができる。構造スペーサ340は細胞格納層330内部に細胞(図示せず)を配置するために複数のリザーバ空間350を画定する。
【0054】
いくつかの実施態様では、第1層及び第2層の内側多孔質ポリマー層は細胞内方成長を遮る。例えば、いくつかの実施態様では、両内側多孔質層の平均孔径は、血管内方成長を阻止するのに充分に小さい。本明細書中では、血管内方成長を制限又は阻止する層を「タイト(tight)」層と呼ぶことがある。内側多孔質層の平均孔径は、ポロメトリーによって測定して約1ミクロン未満、約0.8ミクロン未満、約0.5ミクロン未満、約0.3ミクロン未満、又は約0.1ミクロン未満である。小さな孔径は、内側多孔質層が、細胞カプセル化デバイス内部のチャンバ内に細胞が配置された状態を保つために細胞保持層として機能するのを可能にするが、にもかかわらず、栄養及び他の生体分子が入り、細胞老廃物及び治療生成物が出るのを可能にする。この層は本明細書中では細胞保持層と呼ぶことがある。
【0055】
いくつかの実施態様では、両方の外側多孔質層の空隙率は、患者の血管組織が外側多孔質ポリマー層の孔内へ内方成長するのを許すのに充分に大きい。一方又は両方の外側多孔質層の平均孔径は、血管組織の内方成長を可能にするのに充分に大きい。本明細書中では、血管内方成長を可能にするのに充分に大きい開口を有する層を「オープン(open)」層と呼ぶことがある。いくつかの非制限的な例では、外側多孔質ポリマー層の孔径は、ポロメトリーによって測定して約5.0ミクロンよりも大きく、約7.0ミクロンよりも大きく、又は約10.0ミクロンよりも大きい。外側多孔質層を通る血管組織の内方成長は、栄養及び生体分子が身体から、デバイス内にカプセル化された細胞へ移行するのを促進する。この層を本明細書では血管新生層と呼ぶことがある。
【0056】
種々のタイプの細胞が、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスの多孔質材料から成る血管新生層内へ内方成長することができる。特定の多孔質材料内へ内方成長する主要な細胞タイプは、主として移植部位、材料の組成及び透過性、並びに、例えば材料中に組み込むか、又は一つ又は複数の多孔質材料を通して導入できる任意の生物学的因子、例えばサイトカイン及び/又は細胞接着分子に依存する。いくつかの実施態様では、細胞カプセル化デバイス内で使用するための多孔質材料内へ内方成長する主要な細胞タイプは、血管内皮である。患者の組織から材料の厚さ内へそして厚さを横切るが、しかしながら細胞保持層は横切らない、装置の内面に極めて近接して材料に新血管形成が生じる結果として、毛管網の形態を成す充分に確立された血管内皮細胞群による多孔質材料の血管新生が促される。
【0057】
いくつかの実施態様の場合、第1層210及び第2層220のうちの一方だけが複合層である。例えば、第1層210は、血管新生層である外側多孔質層と、細胞保持層である内側多孔質層とを含む複合層であってよく、これに対して第2層は細胞保持層だけを含んでよい。別の実施態様では、第1層及び第2層のいずれも複合層ではなく、むしろ細胞保持層を含む。
【0058】
さらなる実施態様では、第1層も第2層も複合層ではない。むしろ、第1層及び/又は第2層は血管新生層(ある程度の宿主細胞透過及び細胞カプセル化デバイス内への血管新生を許す)である。このような実施態様では、細胞カプセル化デバイス内へ挿入されるべき細胞は、マイクロカプセル化されて、宿主免疫反応からの細胞の隔離を可能にしてもよい。いくつかの実施態様では、細胞は、一例としてヒドロゲル生体材料を含む、天然起源又は合成起源の生体材料内部でマイクロカプセル化されてよい。結果として、別個の細胞保持層が細胞カプセル化デバイスから省かれてよい。
【0059】
細胞カプセル化デバイスが細胞保持層だけを含み、血管新生層を含まない実施態様では、細胞カプセル化デバイスは任意にはハウジングと一緒に使用することもできる。ハウジングは患者内に配置され、又は配置することができ、そして血管組織の内方成長を可能にする血管新生材料から形成されている。いくつかの実施態様では、ハウジングは、細胞カプセル化デバイスがハウジング内へ挿入される前に血管新生を可能にするのに充分な時間にわたって患者内に移植されていてよい。他の実施態様では、デバイス及びハウジングは患者内へ一緒に挿入されてよい。
[0001]外側多孔質(血管新生)層並びに内側多孔質(細胞保持)層として有用な材料の一例としては、アルギネート、セルロースアセテート、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、パンビニルポリマー(panvinyl polymers)、例えばポリビニルアルコール、キトサン、ポリアクリレート、例えばポリヒドロキシエチルメタクリレート、アガロース、加水分解ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルコポリマー、ポリビニルアクリレート、例えばポリエチレン-コ-アクリル酸、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、多孔質改質ポリテトラフルオロエチレンポリマー、多孔質テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー、多孔質ポリアルキレン、例えば多孔質ポリプロピレン、及び多孔質ポリエチレン、多孔質ポリビニリデンフルオリド、多孔質ポリエステルスルホン(PES)、多孔質ポリウレタン、多孔質ポリエステル、多孔質PPX(ePPX)、多孔質超高分子量ポリエチレン(eUHMWPE)、多孔質エチレンテトラフルオロエチレン(eETFE)、多孔質ビニリデンフルオリド(eVDF)、多孔質ポリ乳酸(ePLLA)、及びこれらのコポリマー及び組み合わせ、並びに繊維又は糸の製織又は不織収集物、又は繊維マトリックスが、単独又は組み合わせの形で挙げられる。
【0060】
いくつかの実施態様の場合、外側多孔質層はポリテトラフルオロエチレン(例えばePTFEメンブレン)である。他の実施態様では、外側多孔質層として有用な材料は生体材料テキスタイルを含む。
【0061】
いくつかの実施態様では、細胞カプセル化デバイスの内層210及び外層220のうちの一方又は両方が、主として又は全体として、選択的な篩過特性及び/又は多孔質特性を有する多孔質材料から形成されている。多孔質材料は、例えば溶質、生化学物質、ウイルス、及び細胞が、例えばサイズに基づいて材料を通過するのを制御する。多孔質材料の一例としては、生体材料テキスタイルを含む、内層及び外層に関して上述した材料のうちの1種又は2種以上が挙げられる。
【0062】
多孔質材料がその厚さの一部を通してのみ多孔質である実施態様の場合、多孔質メンブレンの分画分子量、又は篩過特性は表面で始まる。結果としてある特定の溶質及び/又は細胞は、一方の側から入って材料の孔空間を通って他方の側へ通過することはない。図4は、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスにおいて有用な多孔質材料400を示す断面図である。ここでは多孔質材料400の選択的透過性が、細胞405が多孔質材料400の空間内へ移動又は成長するのを許さないのに対して、溶質410の双方向流束が多孔質材料400の厚さを横切るのを許す。血管内皮細胞は合体することにより多孔質材料上に毛管を形成することができる。多孔質材料400のこのような毛管形成又は新血管形成は、患者の組織と細胞カプセル化デバイスの内容物との間の流体及び溶質流束が増強されるのを許す。
【0063】
いくつかの実施態様では、多孔質材料の透過性は、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスの多孔質材料の厚さにわたって連続的に変化させることができる。図5に示されているように、多孔質材料500の選択的透過性は、図面におけるスティップリングの密度を徐々に増大させることによって示されているように、材料の厚さにわたって連続的に変化することができる。いくつかの実施態様では、多孔質材料500の透過性は、成層構造を形成するために、材料の1つの断面領域から別の断面領域へ向かって変化させられる。図6は、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスに有用な多孔質材料600を示す断面図である。ここでは多孔質材料600の選択的透過性は、図面におけるスティップリングの密度を増大させることによって示されているように、多孔質材料600の厚さにわたって変化する。
【0064】
いくつかの実施態様では、多孔質ポリマー材料の透過性は、多孔質材料付加層と一緒にその厚さにわたって変化させられる。図7は、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスに有用な多孔質材料700を示す断面図である。ここでは多孔質材料700の選択的透過性は、1つ又は2つ以上の多孔質材料付加層705を有する多孔質材料700の厚さにわたって変化させられる。多孔質ポリマー材料付加層(図示せず)は多孔質材料初期層700と同じ組成及び透過性を有してよく、或いは、1つ又は2つ以上の付加層705は異なる組成及び/又は透過性を有してもよい。
【0065】
別の実施態様の場合、多孔質材料の選択的透過性は、多孔質材料のボイド空間をヒドロゲル材料で含浸することにより変化させられる。多孔質材料のボイド空間(例えば多孔質メンブレンの孔)の全て又はほぼ全てに、又はボイド空間の一部だけにヒドロゲル材料を含浸することができる。例えば多孔質材料の内面に隣接する且つ/又は内面に沿った多孔質材料内部の連続した帯の形態で、多孔質材料をヒドロゲル材料で含浸することにより、多孔質材料の選択的透過性は多孔質材料の外側断面領域から多孔質材料の内側断面領域へ向かって変化させられる。図8は、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスに有用な多孔質材料800を示す断面図である。ここでは多孔質材料800の選択的透過性は、ヒドロゲル材料810を有する多孔質材料800の厚さ805にわたって変化させられる。
【0066】
多孔質材料中に含浸されるヒドロゲル材料の量及び組成は、装置を構成するために使用される具体的な多孔質材料、所与の用途のために必要とされる透過度、及びヒドロゲル材料の生体適合性に大部分が依存する。細胞カプセル化デバイスにおいて使用するのに有用なヒドロゲル材料の一例としては、加水分解ポリアクリロニトリル、アルギネート、アガロース、カラギナン、コラーゲン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、フィブリン-トロンビンゲル、又はジェランガム、及びこれらのコポリマーが、単独又は組み合わせの形で挙げられる。ある特定の態様の場合、多孔質材料(例えばPTFE)/ヒドロゲル複合体の総厚は約2μm~約1000μmであってよい。
【0067】
さらに他の実施態様では、多孔質材料の透過性は、多孔質材料付加層及びさらなるヒドロゲル材料層を有する多孔質材料の厚さにわたって変化させることができる。図9は、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスに有用な多孔質材料900を示す断面図である。ここでは多孔質材料900の選択的透過性は、多孔質材料付加層910及びさらなるヒドロゲル材料層915を有する多孔質材料900の厚さ905にわたって変化させられる。この実施態様の利点は、このような形態が、強い細胞・液性免疫分離バリアを提供することである。
【0068】
図10は、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスに有用な多孔質材料1000を示す断面図である。ここでは多孔質材料1000は、細胞透過性ゾーン1005を含む。細胞透過性ゾーン1005は、ポリマー材料1000の外面1010で始まって、ポリマー材料1000の厚さを横切って、ポリマー材料1000の内面1020に隣接する、そしてこれに連続するポリマー材料1000内部の細胞排除ゾーン1015まで続く。
【0069】
いくつかの実施態様の場合、構造スペーサは、多孔質材料、例えば内層及び外層に関して上述した材料のいずれかから形成されている。いくつかの実施態様の場合、構造スペーサの多孔性は、構造スペーサを形成する材料内で細胞が内方成長するのを禁止する。いくつかの実施態様では、多孔質材料は、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(例えば延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE))、多孔質ポリプロピレン、多孔質ポリエチレン、ポリエステルスルホン(PES)、ポリウレタン、ポリエステル、及びポリビニリデンフルオリド(PVDF)を、単独又はいずれかの組み合わせで含む。
【0070】
別の実施態様では、構造スペーサは無孔質材料から形成されている。いくつかの実施態様では、無孔質材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、シリコーンポリカーボネートウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネートウレタン、シリコーンポリエーテルウレタン、ポリエステル、ポリエステルテレフタレート、溶融加工可能なフルオロポリマー、例えばフッ素化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン-(ペルフルオロアルキル)ビニルエーテル(PFA)、エチレンとテトラフルオロエチレン(ETFE)との交互共重合体、テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とビニリデンフルオリド(THV)とのターポリマー、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、及びこれらの組み合わせを含む。
【0071】
いくつかの実施態様では、細胞カプセル化デバイスの構造スペーサは、第1層及び第2層の一方又は両方の内面に接着されている。これらの構造スペーサ2500は、図25に示されているような三次元ピラー2520を備えた成形挿入体2510であってよい。成形挿入体2510は、細胞カプセル化デバイスを形成する際に2つの複合層の間に配置されてよい。いくつかの実施態様では、構造スペーサは複合材料の少なくとも1つの内側多孔質層に接着されている。いくつかの実施態様では、第1層及び第2層は両方とも、内側多孔質層を有する複合材料であり、構造スペーサは内側多孔質層の両方に接着されている。構造スペーサは内側多孔質層の孔の一部を貫通するのに対して、外側多孔質層を貫通していないので、外側多孔質層は細胞内方成長を妨げられないまま可能にする。いくつかの実施態様では、構造スペーサは形状記憶材料から形成されてよく、或いは形状記憶材を含んでよい。有用な形状記憶材料の一例としては、形状記憶合金、例えばニチノール(ニッケル-チタン合金)、及び形状記憶ポリマー、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリ-アルファ-ヒドロキシ酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリエステル、ポリグリコール酸、ポリグリコール、ポリラクチド、ポリオルトエステル、ポリホスフェート、ポリオキサエステル、ポリホスホエステル、ポリホスホネート、多糖類、ポリチロシンカーボネート、ポリウレタン、プレポリマー法によって形成されたイオン成分又はメソゲン成分を含むポリウレタン、及びこれらのコポリマー又はポリマーブレンドが挙げられる。他のブロックコポリマー、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエチレンオキシド(PEO)とのブロックコポリマー、ポリスチレンとポリ(1,4-ブタジエン)とを含有するブロックコポリマー、及びポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)とポリテトラヒドロフランとから形成されたABAトリブロックコポリマーも形状記憶効果を示す。形状記憶合金の一例としては、銅-アルミニウム-ニッケル、銅-亜鉛-アルミニウム、及び鉄-マンガン-ケイ素合金が挙げられる。
【0072】
いくつかの実施態様では、構造スペーサは、例えば図11及び12に示されているようなポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されている。図11は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイス内に使用され得るPTFEメンブレン1100の断面を示す走査電子顕微鏡写真(SEM)である。図11のPTFEメンブレンは、細胞保持層(タイト層とも呼ばれる)である第1層1110及び第2層1120と、第1層1110と第2層1120との間に配置されたチャンバ1130と、PTFE構造スペーサ1140によって互いに離隔された、チャンバ1130内の第1内面1132及び第2内面1134と、細胞を受容するためのリザーバ空間1150とを含む。チャンバ1130内部の構造スペーサ1140は、第1内面1132と第2内面1134との間の距離を維持する。チャンバ1130内部に細い水平方向の線としてフィブリル1160が見られる。
【0073】
図12は、本明細書中に記載された実施態様に基づく細胞カプセル化デバイス内に使用され得る別のPTFEメンブレン1200の断面を示すSEMである。図12に示されたメンブレンは、細胞保持層(タイト層とも呼ばれる)である第1層1210及び第2層1220と、第1層1210と第2層1220との間に配置されたチャンバ1430と、互いに離隔された第1内面1232及び第2内面1234と、第1内面1232と第2内面1234との間の距離を維持するためにチャンバ1430内部に配置されたPTFE構造スペーサ1240と、細胞(図示せず)を受容するためのリザーバ空間1250とを含む。チャンバ1230内部に細い水平方向の線としてフィブリル1260が見られる。符号1270で示された部材は、PTFEメンブレン1200を調製するために使用される接着テープであるが、しかしこの接着テープは使用前に取り外され、この実施態様又はいかなる他の実施態様の部分でもない。
【0074】
いくつかの実施態様では、構造スペーサの少なくとも一部を形成するために、細胞保持層上にフルオロポリマーを粉末塗布することによって構造スペーサを形成することができる。構造スペーサの部分は本明細書中では、図13において構造スペース部材1300と呼ばれる。図13は、細胞保持層1322と細胞血管新生層1324とを含む複合層1320上に堆積されたフルオロポリマー粉末1310を示す概略図である。図16A及び16Bは、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)で粉末塗布されたポリテトラフルオロエチレンメンブレンの上面を、それぞれ50倍の倍率及び100倍の倍率で示す走査電子顕微鏡写真(SEM)である。
【0075】
本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスのチャンバを形成するために、熱可塑性ポリマー粉末が塗布された2つの複合細胞保持層、2つの単独細胞保持層、又は複合細胞保持層と単独細胞保持層との組み合わせをサンドイッチすることにより、ポリマー構造スペース部材のうちの少なくともいくつかが整列して、2つの層を接続する構造スペーサを形成する。図14は、上側複合層1410、下側複合層1420、及びフルオロポリマースペース部材1430の配向を示している。フルオロポリマースペース部材1430は細胞カプセル化デバイス内部で構造スペーサを形成するように整列している。図14はさらに、2つの外側血管新生層1412と、ポリマースペース部材1430を有する2つの内側細胞保持層1422と、2つの複合層1410,1420をこれらの周りでシールするために使用される周囲シールリング1440,1460を示している。いくつかの実施態様では、周囲シールリング1440,1460はデバイス内部の内方に配置されている(図示せず)。
【0076】
図15は、図14に示された材料によって形成された細胞カプセル化デバイスを示す断面図である。細胞カプセル化デバイス1500は2つの複合層1510,1520と、2つの複合層1510,1520の間の距離1550を維持するために2つの複合層1510,1520の間に延びる構造スペーサ1570とを含む。図15は、2つの複合層1510,1520の間の距離1550を維持する構造スペーサ1570を形成し、そして細胞を保持するためのリザーバ空間1560を形成するように整列するフルオロポリマースペース部材のうちの少なくともいくつかを示している。リザーバ空間1560内へ細胞を挿入するために、2つの複合層1510,1520の間のリザーバ空間1560と流体連通した状態でポート(図示せず)が配置されている。
【0077】
別の実施態様では、細胞カプセル化デバイスの構造スペーサは、細胞保持層上の所望又は特定の場所上に熱可塑性ポリマー粉末を適用して、構造スペーサの少なくとも一部を形成することによって形成することができる。図17は、細胞保持層1722と細胞血管新生層1724とを含む複合層1720上に、熱可塑性ポリマー粉末1710が篩部材1732を通して堆積される様子を示す概略図である。細胞保持層1722上に取り外し可能なパターン付きマスク1726(又は他の同様のパターニングデバイス)を配置することにより、熱可塑性ポリマー粉末1710は細胞保持層1722上へ、所望の場所で且つ/又は所望のパターンを成して均一又はほぼ均一に適用される。図17Aは、熱可塑性ポリマー粉末1710の構造スペース部材1730内への最終的敷設を示している。
【0078】
図17Bは、上側複合層1710と、下側複合層1780と、細胞カプセル化デバイス内に構造スペーサを形成するように整列する熱可塑性スペース部材1730との配向を示している。図17Bはさらに2つの外側の血管新生層1724と、熱可塑性構造部材1730を有する2つの内側細胞保持層1722と、2つの複合層をこれらの周りでシールするために使用される周囲シールリング1790,1795とを示している。
【0079】
図17Cは、図17Bに示された材料によって形成された細胞カプセル化デバイスを示す断面図である。細胞カプセル化デバイス1700は2つの複合層1710,1780と、2つの複合層1710,1780の間の距離1750を維持するために2つの複合層1710,1780の間に延びる構造スペーサ1730とを含む。図16Cは、2つの複合層1710,1780の間の距離1650を維持する構造スペーサ1740を形成し、そして細胞を保持するためのリザーバ空間1760を形成するように整列するフルオロポリマー粉末構造部材を示している。いくつかの実施態様では、熱可塑性構造部材1730は、構造スペーサ1740を形成するために整列する必要はなく、むしろ構造スペーサ1740は一方の側の複合層からの構造スペーサ1740として形成され、そして反対側の複合層に取り付けられてよい。リザーバ空間1760内へ細胞を挿入するために、2つの複合層1610,1680の間のリザーバ空間1760と流体連通した状態でポート(図示せず)が配置されている。
【0080】
さらに別の実施態様では、細胞カプセル化デバイスの構造スペーサは、構造スペーサの少なくとも一部を形成するために、細胞保持層上に熱可塑性ポリマーを印刷(又は他の形の敷設)することによって形成することができる。任意の従来の印刷技術、例えば転写塗布、スクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷、3D印刷、パターン化吸収(patterned imbibing)、溶融フィラメント製作、溶融堆積モデリング、ステレオリソグラフィ、光重合、選択的レーザー焼結、及びナイフ塗布を利用して、細胞保持層上に熱可塑性ポリマーを置くことができる。図18は、細胞保持層1822と細胞血管新生層1824とを含む複合層1820上に配置された構造スペース部材1830の形態を成す熱可塑性ポリマーを示している(印刷が完了した後)。
【0081】
図18Aは、上側複合層1870、下側複合層1880、及び細胞カプセル化デバイスのための構造スペーサを形成するように整列する熱可塑性スペース部材1830の配向を示している。図18Aはさらに、2つの外側血管新生層1824と、熱可塑性構造部材1830を有する2つの内側細胞保持層1822と、2つの複合層1870,1880をこれらの周りでシールする周囲シールリング1890,1895とを示している。いくつかの実施態様では、周囲シールリング1890,1895はデバイス内部の内方に配置されている(図示せず)。
【0082】
図18Bは、図18Aに示された材料によって形成された細胞カプセル化デバイスを示す断面図である。細胞カプセル化デバイス1800は2つの複合層1870,1880と、2つの複合層1870,1880の間の距離1850を維持するために2つの複合層1870,1880の間に延びる構造スペーサ1840とを含む。図18Bは、2つの複合層1870,1880の間の距離1850を維持する構造スペーサ1840を形成し、そして細胞を保持するためのリザーバ空間1860を形成するように整列するポリマー構造部材を示している。いくつかの実施態様では、構造スペース部材は整列する必要はなく、構造スペース部材と対向する複合層に接触するように印刷される。リザーバ空間1860内へ細胞を挿入するために、2つの複合層1870,1880の間のリザーバ空間1860と流体連通した状態でポート(図示せず)が配置されている。
【0083】
複合層には、任意の数のパターン又は形状(geometries)、例えばドット、直線、角度付き線、曲線、点線、グリッドなどが印刷、又は他の形で適用して、構造部材及び/又は構造スペーサを形成してもよいことが認められる。パターン又は形状は、例えば特定の細胞間隔、治療要件、流れのパターン及び圧力、及び/又は機械強度に対応するように構成されてよい。細胞カプセル化デバイスにおいて使用するためのパターンの一例が図19及び20に概略的に示されている。構造支持体1930,2030はチャンバ1910,2010内部に配置されており、そして構造支持体1930,2030によって、また構造支持体1930,2030の間に形成されたチャネルによって相互接続されたリザーバ空間1940,2040を画定する。細胞カプセル化デバイス1900,2000のチャンバ1910,1910と、ポートが流体連通している。構造支持体内部に且つ/又は構造支持体間に配置されたリザーバ空間がポートと流体連通している限り、パターンは特に制限されない。
【0084】
従来のデバイスの外側に配置された剛性の嵩高な材料と比べて、構造スペーサは、細胞カプセル化デバイス内部に支持を提供してほぼ平面状の構造又は形状を維持するため、構造スペーサは、細胞カプセル化デバイスのより可撓性の外層を使用するのを可能にする。構造支持体はまた、細胞カプセル化デバイス内部の構造スペーサのパターンの特定のデザイン及び/又は形状を通して嵩高なデバイスの剛性を最適化し又は適応させることをも可能にする。本明細書中に使用される「可撓性である(flexible)」及び「可撓性(flexibility)」という用語は、細胞カプセル化デバイスの全体的な柔軟性(compliance)又は曲げ剛性、及び宿主組織と接触している宿主界面/内方成長層の柔軟性を表すものとし、これによりそのような内方成長層は宿主組織の柔軟性、並びに宿主組織に対する細胞カプセル化デバイスの柔軟性とマッチングするので、細胞カプセル化デバイスは、デバイス及びホスト界面/内方成長層と、宿主組織との柔軟性の顕著なミスマッチに起因する過剰な炎症反応を生じさせることなしに、宿主組織と一緒に撓み、運動することができる。
【0085】
構造スペーサは第1層と第2層とを分離するので、層間には所定の距離が存在する。構造スペーサは、加えられた力のもとでその距離を維持する。加えられる力は、外部圧縮力であり得る。外部圧縮力は、構造スペーサが存在しないと第1層と第2層との間のチャンバを圧潰させる傾向がある。例えば、周囲組織が生体内(in vivo)でデバイスに圧縮力を加えることがあり、或いは、臨床医が挿入前又は挿入中にデバイスの外側に圧縮力を加えることもある。外部圧縮力が第1内面と第2内面との間の距離を短くすると、カプセル化デバイス内部の細胞は望ましくない機械的刺激を被ることがある。このような機械的刺激は、細胞機能を最小化し、細胞を死滅させるおそれがある。いくつかの実施態様では、細胞カプセル化デバイスは皮下移植を目的としており、ひいてはデバイスが患者内に移植されている間に患者と接触することにより、例えば患者を抱擁するか又は背中を軽く叩くことにより、或いは患者が転倒した場合に圧縮力が引き起こされる場合がある。
【0086】
或いは、加えられる力は内部拡張力でもあり得る。内部拡張力は、構造スペーサが存在しないと第1層と第2層との間のチャンバを丸みを帯びたバルーン様のメンブレンに拡張させる傾向がある。例えば、複数の細胞をチャンバ内に注入するために圧力が必要とされる場合がある。1つの例では、圧力は操作者のエラーに起因した、挿入時の過剰膨張によって引き起こされることがある。別の例では、細胞の繁殖及び増殖に起因した細胞の増加によって圧力が引き起こされることもある。
【0087】
いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスは、それぞれ独立して表面積を有する第1内面と第2内面とを含む。第1内面及び第2内面の表面積は、細胞又は他の生物学的部分及び/又は移植部のサイズに応じて、且つ/又は第1内面と第2内面との間の平均距離に応じて変化してよい。表面積はさらに、採用される具体的な細胞治療、及び治療要件を満たすために必要とされる細胞の生産性に依存することになる。いくつかの例では、第1内面と第2内面との間の距離は少なくとも約50ミクロン(例えば50ミクロン~100ミクロン)、少なくとも100ミクロン(例えば100~150ミクロン)、少なくとも150ミクロン(例えば150ミクロン~200ミクロン)、又は少なくとも200ミクロン(例えば200ミクロン~250ミクロン)であってよい。いくつかの例では、平均距離は約50ミクロン、100ミクロン、200ミクロン、250ミクロン、少なくとも250ミクロン、又は500ミクロン又はそれ以上であってよい。本明細書中に使用される「平均距離を維持する」という表現は、チャンバ内の第1複合層(又は第1内面)と第2複合層(又は第2内面)とが、平均して少なくとも50ミクロンの距離だけ互いに分離されており、このような距離は、細胞が内在する細胞カプセル化デバイスの少なくとも1つの寸法全体を通した、例えば細胞カプセル化デバイスのチャンバ内の長さ及び/又は幅(又は第1直径及び第2直径)全体を通した距離であり、細胞カプセル化デバイスはその寸法を横切る厚さがほぼ一貫していることを意味する。1つの実施態様では、平均距離を維持することにより、例えばチャンバの長さ及び/又は幅(又は第1直径及び第2直径)に沿って、第2層とほぼ平行な関係を成すように第1層を配置することができる。換言すれば、構造スペーサは、チャンバ内部の細胞カプセル化デバイスの厚さを断面において維持する。また、構造スペーサは、デバイスの外側におけるより可撓性の一つ又は複数の材料、例えばPTFEの使用を許す。加えて、構造スペーサは生体内(in vivo)の経時的な機械力を乗り越え、そして平均厚を維持するのに充分な強度を細胞カプセル化デバイスにもたらす。重要なのは、複合層において使用される材料、例えばePTFEが、移植中及び生体内(in vivo)の両方において細胞カプセル化デバイスの完全性を維持するのに充分な引張強度をも有することである。
【0088】
いくつかの実施態様では、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイス内で利用される構造スペーサは、基礎を成す材料(例えば細胞隔離メンブレン)上のスペーサのフットプリント(基底部)を最小化し、これにより、栄養、生体分子、及び治療用交換(therapeutic exchange)のための有効面積を最大化するように構成されている。いくつかの実施態様において、基底部に対する高さのアスペクト比は1/5~10/1である。いくつかの実施態様では、基底部に対する高さの比は1/3又は1/1又は2/1、又はそれ以上であってよい。いくつかの事例では、チャンバ内部の平均距離を維持しつつ、フットプリントを最小化するべく高さが基底部よりも大きくなるように、アスペクト比は高くてよい。他の事例では、強度及び座屈抵抗を維持するべく、基底部が高さよりも大きくなるように、アスペクト比は低くてよい。このことは構造支持体の特定のデザイン及び形状を通してバランスを取ることのできるトレードオフである。構造スペーサのフットプリントは、細胞カプセル化デバイスの内部表面積と比較して小さい。この小さなフットプリントはまた、細胞カプセル化デバイス内の内部容積を大きくし、細胞リザーバ内への細胞挿入のためのアクセスを容易にすることができる。加えて、フットプリントが小さくなると、大きいフットプリント(例えば溶着部)を有するデバイスと比較して可撓性がより大きくなる(例えば剛性が低くなる)。加えて、溶着とは異なり、構造スペーサの上方の微小孔質構造が維持される。このことは、構造スペーサの上方の空間が多孔質であるため、構造スペーサの上方に宿主組織(細胞、毛管、血管新生構造など)が付着するのを可能にする。構造スペーサが多孔質である実施態様において、構造スペーサは、やはり平均距離を維持しつつ、栄養及び生体分子の通過を許すことができる。加えて、構造スペーサの全体構造は、チャンバ内部の表面積全体を増大させる。
【0089】
いくつかの実施態様では、チャンバは第1内面及び第2内面のそれぞれの表面積の少なくとも一部を占める構造スペーサを含む。いくつかの実施態様では、構造スペーサは第1内面及び第2内面の少なくとも約2%、第1内面及び第2内面の少なくとも約5%、第1内面及び第2内面の約5%、第1内面及び第2内面の約5%~約50%、第1内面及び第2内面の約5%~約70%を占め、或いは第1内面及び第2内面の約5%以下、又は第1内面及び第2内面の約2%以下を占める。いくつかの実施態様では、構造スペーサはチャンバを少なくとも2つのリザーバ空間に分割する。リザーバ空間の境界は、シールされた周囲、構造スペーサ、及び構造スペーサ間又は構造スペーサとシールされた周囲との間の平面状領域によって画定される。リザーバ空間の数は具体的には制限されず、チャンバは最大10,000個又はそれを上回るリザーバ空間を含有してよい。
【0090】
いくつかの実施態様では、少なくとも2つのリザーバ空間が、構造支持体によって、そして構造支持体の間に形成されたチャネルによって相互接続されている。リザーバ空間の間の相互接続は、単一のポートからリザーバのそれぞれに細胞が流入するのを可能にする。リザーバ空間は、内側複合層と外側複合層との間の平均厚を拡張又は変化させることなしに、細胞の挿入を可能にするが、しかしながら、平均厚が一定のままであっても、圧力が増大する局所的領域が存在する場合があることが認められる。このような領域は、平均厚を著しく変化させることなしに、構造スペーサ間の局所的な厚さを一時的に増大させる。例えば、構造支持体の形状及び間隔は、構造支持体間の距離の局所的増大(又は歪み)を適応させるように調節することができる。
【0091】
加えて、リザーバ空間は数多くの形態を成すことができ、レーンの形態(構造スペーサは互いに平行に整列されている)、幾何学的形状(構造スペーサはほぼ平面状の構造又は形状、例えばほぼ方形、円、正方形、半円、半楕円などの形状を成すように互いに間隔を置いて設けられている)を成していてよい。他の実施態様では、少なくとも2つのリザーバ空間は不連続である(すなわち流体接続されていない)。それぞれの不連続なリザーバ空間は別個のポートを有することができる。他の実施態様では、リザーバ空間の一部が相互接続されていてよく、そして別の部分が不連続であってよい(接続されていない)。
【0092】
いくつかの実施態様では、細胞カプセル化デバイスは、空隙率が変化する領域を有する単一の材料又はメンブレンから形成されていてよい。これらの領域は、少なくとも第1層と、第1層に隣接する開いた細胞領域と、開いた細胞領域の反対側に隣接する第2層とを含む。開いた細胞領域が材料内部のチャンバになるように、材料は周囲でシールされる。チャンバは第1層と、第2層と、シールとによって仕切られている。いくつかの実施態様では、メンブレンはその周囲でシールされていてよい。他の実施態様では、メンブレンの区分をシールし、次いでシールの外側のメンブレン部分をトリミングすることにより、シールされた周囲を有するデバイスを形成することができる。
【0093】
別の実施態様では、構造スペーサは繊維の形態を成すことができる。1つの非制限的な例として、バイコンポーネント繊維を使用してスペーサを形成することができる。図21Aは、内側コア2110と外側シース2120とを有するバイコンポーネント繊維2100を示している。外側シース2120の溶融温度は、内側コア2110を形成する材料の溶融温度よりも低い。外側シース2120は、その溶融温度を上回る温度まで加熱されると溶融して接着剤として作用するポリマー材料から形成されていてよい。図21Bは、細胞カプセル化デバイス2150の断面を示す概略図である。細胞カプセル化デバイス2150は、バイコンポーネント繊維2100と、第1複合層2130と、第2複合層2140とを含む。第1複合層2130及び第2複合層2140はそれぞれ細胞保持層2160と細胞血管新生層2170とを含有している。
【0094】
バイコンポーネント繊維2100は、複合層2140の細胞保持層2160上に所望のパターンを成して配置されてよい。次いで、細胞保持層2160がバイコンポーネント繊維2100に面するように、第2複合層2130を配置する。バイコンポーネント繊維2100の外側シース2120を形成する材料を少なくとも部分的に溶融させるのに充分な熱を加えると(しかし内側コア材料2110は溶融させない)、外側シースの材料は溶融し、且つ/又は、バイコンポーネント繊維2100のコア2110を複合層2130,2140に接着させるのに充分に粘着性になる。コア2110繊維間にリザーバ空間2190が画定される。複合層2130,2140の外縁に熱と圧力とを組み合わせたものを加えることにより、シールされた周囲(図示せず)を形成することができる。加えて、シールされた周囲を通ってポート(図示せず)が延びることにより、ポートがチャンバ2195と流体連通するようになる。
【0095】
別の実施態様では、内部構造的拘束具を含む三次元製織構造を使用して、細胞カプセル化デバイスを形成することができる。このような織布構造は、ペンシルベニア州テルフォード 在、Secant Medialから商業的に入手可能である。図22は、三次元製織構造によって形成された細胞カプセル化デバイス2200を示す概略図である。図示のように製織材料2210は、織布材料2210の第1の側2215と、織布材料2210の第2の側2225との間に構造的拘束具2260を含む。構造的拘束具2260は、圧縮に抵抗し、三次元製織材料の厚さを維持するのを助け、それでもなお軟質且つ柔軟(compliant)なデバイスを提供する。製織材料2210が第1複合層2230と第2複合層2250との間に挟まれると、リザーバ2270が形成される。本明細書中に記載された他の実施態様と同様に、第1複合層2230及び第2複合層2250はそれぞれ細胞保持層2240と血管新生層2220とを含む。細胞カプセル化デバイス2200の縁部は、製織材料にヒートシールを施すことにより融合することができる(図示せず)。或いは、縁部を液体シリコーンゴム(続いて架橋する)又は溶融加工可能な熱可塑性物質で充填することにより、シールされた構造を形成することができる。加えて、シールされた周囲を通ってポート(図示せず)が延びることにより、ポートがリザーバ2270と流体連通するようになる。
【0096】
さらなる実施態様の場合、熱可塑性ポリマービーズ(bead)、例えばフッ素化エチレンプロピレン(FEP)、又はテトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とビニリデンフルオリド(VDF)との熱可塑性ターポリマーを細胞保持層上に、例えば3Dプリンタによって印刷することにより、構造スペーサを形成することができる。熱可塑性ポリマーはフルオロポリマーに制限されることはなく、任意の溶融加工可能なポリマー、例えば炭化水素ポリマーに容易に適応させることができることが認められる。加えて、当業者に明らかなように、パターン化されたポリマードット、又はパターンを成して配列されたレーンの所望の構造を達成するための他の技術も知られている。これらの技術の一例としては、グラビア印刷、マスク(又はスクリーン)印刷(例えば上述のもの)、直接重合、粉末のレーザー溶融、溶融フィラメント製作、及びポリマー構造の3D印刷に共通に使用される他の技術が挙げられる。加えて、「プルアウェイ(pull-away)」技術を用いて材料ドットを印刷し、Z軸内でノズルを素早く遠ざける。この急速運動は、細いテーパされたストランドがドットから上方へ隆起したままにされるのを可能にする。全てのドットが印刷されたら、ストランドをブレード、レーザー、又は他の周知の切断法によって、適宜の高さまでシェービングすることができる。
【0097】
熱可塑性ポリマービーズを細胞保持層上に、任意のパターンで、一例としてはドット、直線、角度付き線、曲線、点線、グリッド、及びこれらの組み合わせのパターンで配置することができる。ビーズ(又は複数のビーズ)を使用して周囲シールを形成することもできる。ポリマービーズ上に第2細胞保持層を配置することもできる。細胞保持層は本明細書中で論じられた複合層の部分であってよいことが認められる。一つ又は複数の熱可塑性ビーズを少なくとも部分的に溶融し、2つの細胞保持層を互いに接合するために熱と圧力とを加えることができる。3Dプリンタによって印刷された予め決められたパターンは、細胞を配置するためのリザーバを形成する。加えて、例えば周囲シールを形成するためにビーズを使用するときには、ニチノールワイヤ(又は上記のような他の形状記憶材料)をビーズ間に配置することにより、細胞カプセル化デバイスに付加的な剛性を提供することもできる。或いは、ニチノール(ニッケル-チタン合金)ワイヤ(又は上記のような他の形状記憶材料、合金、又はポリマー)を使用して、構造スペーサを形成することもできる。1つの実施態様では、フルオロ熱可塑性シートを使用して縁部をシールし、シールされた周囲を形成することができる。リザーバ内へ細胞を導入するためのアクセスを可能にするように、シールされた周囲を通ってポートが延びていてよい。
【0098】
いくつかの実施態様では、第1複合層及び第2複合層の一方又は両方は生体吸収性材料であるか、又は生体吸収性材料を含む。生体吸収性材料は、固体(モールディング、押し出し、又は結晶)、自己凝集ウェブ(self-cohered web)、隆起ウェビング(raised webbing)、又はスクリーンとして形成されていてよい。いくつかの実施態様では、1つ又は2つ以上の生体吸収性材料層を、巨視的な孔を有する非生体吸収性材料に取り付けることにより細胞透過(例えば細胞透過性層)が複合体を形成するのを可能にする。他の実施態様では、細胞透過を低減又は防止するための微視的な孔を有する非生体吸収性材料を多孔質自己凝集ウェブに解離可能に取り付けることにより、移植から数日後に患者の身体から格納チューブを無傷除去するのを可能にする。体内への吸収は好ましい1型コラーゲン堆積、新血管形成、及び感染の低下を促進することができる。図23は、生体吸収性材料から形成されたスクリーン2300を示している。このようなスクリーンは、閉じ込められた細胞が増殖し始めた時にデバイスが枕状に膨らむのを防止するように、本明細書中に記載されたデバイス内へ組み込むことができる。他の例では、生体吸収性材料は細胞カプセル化デバイス内へ粉末として組み込むこともできる。好適な生体吸収性材料の一例としては、ポリグリコリド:トリメチレンカーボネート(PGA:TMC)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシバレレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート-コ-バレレート)、及びこれらのコポリマー及びブレンドが挙げられる。
【0099】
いくつかの実施態様では、細胞カプセル化デバイス内に生体吸収性成分を組み込むことは、移植を容易にするのを助ける。例えば生体吸収性材料は温度感受性であってよい。具体的には、生体吸収性材料は低温では著しく剛性であり、高温(例えば移植時の体温)では軟化するので、生体吸収性材料は移植後に、より適合性(conformable)且つ柔軟になる。結果として、生体吸収性材料から形成された長手方向の強度は、臨床医が軽減された労力で且つ外傷を宿主にあまり与えることなしに、細胞カプセル化デバイスを患者内に留置するのを可能にし、そして移植が行われたら、生体吸収性材料はより適合性且つ柔軟になる。
【0100】
いくつかの実施態様では、生体吸収性材料は、種々異なるレベルの活性酸素種(ROS)を体内に発生させる能力を有していてよい。ROSは、例えば細胞の増殖、分化、移動、アポトーシス、及び血管新生の阻害又は促進を含む、体内の種々の細胞応答を促進することが判っている。ROS生成材料は、Brown他の米国特許第9,259,435号明細書に教示された内容に従って形成することができる。
【0101】
本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスは、患者の組織床内の所定の場所に細胞を保持することにより、細胞が生物学的治療を患者に施すのを可能にするのに有用である。
【0102】
いくつかの事例では、細胞は1つ又は2つ以上のポートを通してデバイスのリザーバに導入される。いくつかの実施態様では、細胞がメンブレン材料の縁部を通ってメンブレンのリザーバ内へ導入されるように、ポートは、シールされたメンブレンの第1層と第2層との間のシールされた周囲を通って延びている。
【0103】
いくつかの実施態様では、細胞は媒質中の懸濁液又はスラリーの形態で導入される。細胞は個々の細胞、細胞凝集体、又は細胞クラスターであってよい。一例としては、媒質は細胞培地又は細胞成長培地であってよく、任意には所望の栄養及び/又はその他の生体分子を含む。いくつかの実施態様では、ポートを通した細胞の挿入はシリンジを使用して達成することができる。いくつかの実施態様では、細胞の挿入はデバイスに圧力を加えるが、しかしながら、デバイスは構造スペーサに基づきその全体的な断面形状を保持することになる。
【0104】
細胞をデバイス内へ挿入する前又は挿入した後に、本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスを患者内へ移植することができる。例えば、細胞カプセル化デバイスを患者内へ挿入して血管新生させておくことにより、血管組織が格納チューブの血管新生層内へ内方成長することができる。次いで、デバイスが生体内(in vivo)にある間に細胞を添加することができる。或いは、デバイスを患者の組織床内へ挿入する前に、細胞カプセル化デバイスに細胞を添加することもできる。
【0105】
ある特定の材料、例えばペルフルオロカーボンエマルジョン、フルオロヒドロゲル、シリコーンオイル、シリコーンヒドロゲル、大豆油、シリコーンゴム、及びポリビニルクロリド、及びこれらの組み合わせは、高い酸素溶解性を有することが知られている。このような高酸素透過性材料は、宿主組織からカプセル化デバイス内への酸素の輸送を増強することを可能にする。このような材料は構造スペーサとして利用することができ、或いは、例えば被膜又は充填剤として構造スペーサ上に適用することもできる。
【0106】
本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスを構成するために使用される材料の多くは本質的に放射線不透過性である。本質的に放射線不透過性でない材料は、例えばバリウムで材料を含浸することによって放射線不透過性となるように改質することができる。材料を放射線不透過性にするための他の有用な方法が当業者に知られている。本明細書中に記載された格納チューブを構成するために使用される材料の放射線不透過性は主に、細胞カプセル化デバイスの外科的配置を容易にするために、又は移植に続いて患者内の細胞カプセル化デバイスの位置を確認するために用いられる。
【実施例
【0107】
実施例1
【0108】
図11に示されているような、血管新生(オープン)層によって分離された2つの細胞保持(タイト)層を有するePTFEメンブレンを得た。ePTFEから形成された多孔質構造スペーサが外側保持層を接続し、細胞を収納するためのリザーバ空間を形成した。それぞれの厚さが4ミル(ほぼ100ミクロン)の2つのフッ素化エチレンプロピレン(FEP)シートを、細胞カプセル化デバイスの周囲シールを形成するために切り取った。次いで切り取られたFEPシートを積み重ねて、1”×2”(ほぼ2.5cm×5cm)のePTFEメンブレン試料の外側細胞保持面上に整列させた。ストリップの周囲の小さな領域をカプトンテープによって両側で保護することにより、内部チャンバへのアクセスを可能にするように周囲を結合しないままにした。
【0109】
次いで、ePTFE/FEPスタックを90psi(ほぼ6.2bar又は620.5kPA)の圧力でシリコーンダイによって圧縮し、そして375℃の温度で30秒間にわたってインパルス熱バンドによって加熱することにより、FEPフィルムを溶融させておき、3つのメンブレン層を互いに溶着して周囲シールを形成した。カプトンストリップを取り外し、寸法0.047”(ほぼ1.2mm)(内径)×0.059”(ほぼ1.5mm)(外径)を有するFEPチューブを外径0.045”(ほぼ1.1mm)の鋼マンドレルに被せ、次いで、周囲シールの未接合ストリップ内に挿入することにより、ePTFE構造支持体によって形成されたリザーバチャネルへアクセスした。加熱された手持ち式チップを330℃まで加熱し、未接合領域にこれを当て付けることにより、FEPフィルムを周囲でFEPチューブに対して溶融し、これによりデバイスに対する充填ポートのシールを完成させた。結果として得られたカプセル化デバイスは図1に概略的に示されている。
【0110】
実施例2
【0111】
この実施例では、熱可塑性ポリマーを使用して、パターン化された形状を有する三次元構造支持体を形成した。細胞保持ePTFEメンブレンをフープ内で拘束した。ePTFEメンブレンの表面上にパターン付きグリッドを置くことによりマスクを形成した。グリッドの開いた領域は、熱可塑性構造支持体によって形成される被覆領域となった。マスクで覆われた拘束されたメンブレンに、金属篩を使用して、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)粉末を均一に適用した。150ミクロン及び710ミクロンの両方の開口を有する金属篩を使用した。FEP被覆用粉末を溶解し、そして被覆済ePTFEメンブレンを300℃の炉内に10分間にわたって入れることにより硬化させた。次いでマスクを取り外した。三次元構造支持ピラーが細胞保持メンブレンの表面上に残った。
【0112】
実施例3
【0113】
表1に定義されているような、構造スペーサを有する内層と、2つの外層とを含む三層ePTFE複合体から、それぞれほぼ1”×2”(ほぼ2.5cm×5cm)の試料A,B,C及びDを切り出した。内層を2つの外層の間に配置した(すなわち内層のそれぞれの側に1つの外層が位置する)。メンブレン特性を表1に挙げる。
【表1】
【0114】
厚さ4ミル(ほぼ100ミクロン)のダイカットされたフッ素化エチレンプロピレン(FEP)フィルムシートを、メンブレン試料の外層に対して平行に且つ隣接して置くことにより、スタックを形成した。次いで、各スタックを、シリコーンダイプレート上に輪郭を形成されたデバイス形状と整合させ、そしてインパルス熱ボンディングした。材料スタックを所望のシール形状に沿って90psi(ほぼ6.2bar又は620.5kPA)で圧縮し、そして375℃で30秒間にわたって加熱することにより、周囲シールを形成した。
【0115】
実施例4
【0116】
構造スペーサを有する内層と2つの外層とを含む三層ePTFEから、ほぼ1”×2”(ほぼ2.5cm×5cm)の試料を切り出した。内層を2つの外層の間に配置した(すなわち内層のそれぞれの側に1つの外層が位置する)。メンブレン特性を表2に挙げる。厚さ4ミルのダイカットされたフッ素化エチレンプロピレン(FEP)フィルムシートを、ePTFE複合メンブレンの外層に対して平行に且つ隣接して置くことにより、スタックを形成した。次いで、スタックを、シリコーンダイプレート上に輪郭を形成されたデバイス形状と整合させ、そしてインパルス熱ボンディングした。スタックを所望のシール形状に沿って90psi(ほぼ6.2bar又は620.5kPA)で圧縮し、そして375℃で30秒間にわたって加熱することにより、周囲シールを形成した。0.045”(ほぼ1.1mm)の鋼マンドレル上の0.047”(ほぼ1.2mm)(内径)×0.059”(ほぼ1.5mm)(外径)のFEPチューブを、ePTFE複合メンブレンの外層の間に、シール形状の遠位ギャップにおいて挿入することによってポートを形成した。330℃までほぼ5秒間にわたって加熱された、ジョー内で2.25mmワイヤホールによって改質されたハンドピース4Cを有するHOTweezersサーマルワイヤストリッパーModel M10(カリフォルニア州ウェストレイクビレッジ在、Meisei Corporation)を使用して、平面状周囲シールをFEPポートに接合した。鋼マンドレルを取り外した。デバイスの内部をポートを介して環境に接続した。
【表2】
【0117】
実施例5
【0118】
フッ素化エチレンプロピレン(FEP)の不連続なフルオロポリマー層と一緒に接合された種々異なるメンブレンから成る層を組み合わせることにより、多層延伸PTFE(ePTFE)メンブレンを製造した。第1層(タイト層)は、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容に基づいて処理された、より小さな孔径と、表3に挙げられた材料特性とを有するメンブレンから成る。第2層(オープン層)は、Branca他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容に基づいて製造されたより大きい孔径のメンブレンから成る。ここでは不連続なFEP層がBacinoの国際公開第94/13469号パンフレットのプロセス教示内容に基づいてこのメンブレンの表面上に組み込まれているものの、この支持体がまだ空気透過性であるのを可能にしている。このオープン層の性質は表3に挙げられている。第1層(タイト層)を次いで第2層(オープン層)と接触させた。不連続FEP表面を2つのPTFE層の間に、これらの層がFEPの溶融温度を上回る温度で加熱された状態で配置し、これにより表3に特定された最終特性を有する接合多層複合メンブレンを形成した。ePTFE複合メンブレンには、親水性処理を施した。
【0119】
より大きい孔径は7.5μmであり、そしてePTFE複合メンブレンの反対側のより小さい孔径は0.2μmであった。ePTFE複合メンブレンを、0.2μm孔側が上方に向くように3D印刷機(ニューヨーク州Brooklyn 在Makerbot Industries から入手可能なMakerbot Replicator 2X)上に置いた。
【0120】
テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とビニリデンフルオリド(VDF)とのフルオロ熱可塑性ターポリマーから成る細いストランド(ほぼ1.75mm)を溶融し、ePTFE複合メンブレン上に印刷した。パターンは周囲ビーズであった。この周囲ビーズは、細胞のローディングのために開いたままにされた1つの空間を除いて細胞を保持するように意図された領域全体を取り囲むように配置された。加えて、5つの内部レーンを印刷することにより、6つの行き止まりウェル(dead end wells)を形成した。印刷されたビーズの直径はほぼ300μmであった。細胞を含有するように意図された領域の全寸は46mm×50mmであった。行き止まりウェルを形成するレーンは、10mmのギャップを残した46m長の縁部から40mm延びることにより、分配マニホルドとして作用した。
【0121】
ePTFE複合メンブレンを、1/8”(ほぼ3.2mm)ステンレス鋼シートの上部に、印刷された側が上に向くように置いた。孔径が一方の側では0.2μmであり、反対側では7.5μmである、第1のメンブレンと同一の第2のePTFE複合メンブレンを、0.2μm孔径が印刷済デザイン上で下方へ向くように配置した。厚さ1/16”(ほぼ1.6mm)のステンレス鋼シートをePTFE複合メンブレンのスタックの上部に置いた。厚さ254μmのシムを印刷済領域の周りに配置することにより、ePTFEメンブレンスタックの圧縮距離を制限した。ステンレス鋼シート、これらの間のePTFEメンブレンスタックを、400°F(ほぼ204℃)に設定された加熱されたプレス(インディアナ州Wabash在、Wabash MPIのWabashモデルC30H-15-CPX)内に入れた。
【0122】
プレスを閉じ、圧力設定点を0.2トン(ほぼ182kg)に設定し、そして3分間にわたって閉鎖状態を保った。次いでプレスを開き、ePTFEメンブレンスタックを含有するステンレス鋼スタックを取り出し、金属テーブル上に置くことにより冷却した。ステンレス鋼シートの上部にほぼ2kgのアルミニウム錘を置くことにより、冷却中の歪みを防止した。開いたときには、2つのePTFEメンブレンがTFEとHFPとVDFとのフルオロ熱可塑性ターポリマーに接合されることにより、細胞カプセル化に適した一体的なデバイスを形成していることが観察された。
【表3】
【0123】
実施例6
【0124】
プリントされたパターンが、充填チャネルを形成するために一方の端部から2mmの間隔を置いて延びる周囲ビーズから成る寸法12mm×35mmの方形であることを除いて、実施例5のプロセスを繰り返した。周囲ビーズは、TFEとHFPとVDFから成る印刷されたフルオロ熱可塑性ターポリマーのドットのアレイを取り囲んだ。ドットは、直径及び高さの両方がほぼ30μmであった。ePTFEメンブレン上に19個のドットを印刷し、これらのドットは、5mmの間隔を置いて設けられた、ドット集合間が4mmである二列と、これらの間の中央に4mmの間隔を置いて設けられた、該二列から2mmずらされた単列とを成して配列した。ステンレス鋼プレートを取り外すと、2つのePTFE複合メンブレンがTFEとHFPとVDFとから成るフルオロ熱可塑性ターポリマーに接合されることにより、細胞カプセル化に適した一体的なデバイスを形成していることが観察された。なお、外層は緻密化されず、組織内方成長のために多孔質のままであった。
【0125】
実施例7
【0126】
周囲ビーズが第1周囲ビーズのほぼ1mm外側でePTFE複合メンブレン上に印刷されることを除いて、実施例5のプロセスを繰り返した。第2のePTFE複合メンブレンを第1の印刷済ePTFE複合メンブレン上に置く前に、ビーズ間に適合するように成形された直径10ミル(ほぼ0.25mm)のニチノールワイヤを2つの周囲ビーズ間に置いた。ステンレス鋼シートを開くと、ニチノールワイヤは、ビーズ間にカプセル化されていることが判った。ニチノールワイヤは、細胞カプセル化デバイスの構造に付加的な剛性をもたらし、そして構造スペーサとして機能した。印刷済ターポリマーも構造スペーサとして機能した。
【0127】
実施例8
【0128】
フッ素化エチレンプロピレン(FEP)の不連続なフルオロポリマー層と一緒に接合された種々異なるメンブレンから成る層を組み合わせることにより、多層延伸PTFE(ePTFE)メンブレンを製造した。第1層(タイト層)は、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容に基づいて処理された、より小さな孔径と、表3に挙げられた材料特性とを有するメンブレンから成る。第2層(オープン層)は、Branca他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容に基づいて製造されたより大きい孔径のメンブレンから成っている。ここでは不連続なFEP層がBacinoの国際公開第94/13469号パンフレットのプロセス教示内容に基づいてこのメンブレンの表面上に組み込まれているものの、この支持体がまだ空気透過性であるのを可能にしている。このオープン層の性質は表3に挙げられている。第1層(タイト層)を次いで第2層(オープン層)と接触させた。不連続FEP表面を2つのPTFE層の間に、これらの層がFEPの溶融温度を上回る温度で加熱された状態で配置し、これにより表3に特定された最終特性を有する接合多層複合メンブレンを形成した。ePTFE複合メンブレンには、親水性処理を施した。
【0129】
より大きい孔径は7.5μmであり、そしてePTFE複合メンブレンの反対側のより小さい孔径は0.2μmであった。ePTFE複合メンブレンを、0.2μm孔側が上方に向くように3D印刷機(ニューヨーク州Brooklyn 在Makerbot Industries から入手可能なMakerbot Replicator 2X)上に置いた。
【0130】
テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とビニリデンフルオリド(VDF)とのフルオロ熱可塑性ターポリマーから成る細いストランド(ほぼ1.75mm)を溶融し、ePTFE複合メンブレン上に印刷した。パターンは7つのドットであり、3つが中央に配置されて6mmの間隔を置いて設けられており、ドット二列は3mm間隔を置き、ドット集合間は6mmであった。
【0131】
ePTFE複合メンブレンを、1/8”ステンレス鋼シートの上部に、印刷された側が上に向くように置いた。厚さ5ミル(ほぼ0.13mm)のTFE-HFP-VDFから成るダイカットされたフルオロ熱可塑性ターポリマーを、ePTFE複合メンブレンの印刷された側に置いた。孔径が一方の側では0.2μmであり、反対側では7.5μmである、第1のメンブレンと同一の第2のePTFE複合メンブレンを、0.2μm孔径側がTFE-HFP-VDFターポリマーフィルム上で下方へ向くように配置した。
【0132】
厚さ5ミル(ほぼ0.13mm)のTFE-HFP-VDFフルオロ熱可塑性ターポリマーフィルムから成る付加層を、それぞれのePTFE複合メンブレンの外側に置き、インパルスヒートシーラ(ペンシルベニア州ナザレス在、Packworld model AO4-2565)を使用して所定の場所でシールした。それぞれのドットの取り付けられていない表面を、550°F(ほぼ288℃)に設定されたはんだ鏝と軽く接触させることによって、ePTFE複合メンブレンの内部に接合し、これにより細胞カプセル化することができるデバイスを形成した。
【0133】
実施例9
【0134】
Bacino他の米国特許第8,808,848号明細書に示されたプロセスによって得られるePTFEメンブレンを得て、これを使用して血管新生(オープン)層によって分離された2つの細胞保持(タイト)層を有する構造を形成することを除いて、実施例1に示された手順を繰り返した。ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)ビーズから形成された構造スペーサは外側保持層を接続し、細胞を収納するためのリザーバ空間を形成した。その結果得られたカプセル化デバイスは図24に示されている。
【0135】
実施例10
【0136】
この実施例のために使用したePTFEメンブレンは、実施例2で利用されたePTFEメンブレンと同一であった。ePTFEメンブレンをインパルスヒートシーラ(Packworld model AO4-2565)のシリコーンダイ上に、細胞保持メンブレンの三次元構造支持ピラーが上方に向くように配置した。5ミル(ほぼ0.13mm)厚のフルオロ熱可塑性ポリマー(すなわち、テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とビニリデンフルオリド(VDF)とのフルオロ熱可塑性ターポリマー)から成るダイカットシートを細胞保持メンブレンに隣接して置き、そしてシリコーンダイプレート上に輪郭を形成されたデバイス形状と整合させた。
【0137】
所望のシール形状に沿って30psi(ほぼ2bar又は206.8kPA)でスタックを圧縮し、280℃で30秒間にわたって加熱することにより、周囲シールを形成した。次いでスタックを90°回転させてフルオロ熱可塑性フィルムの未接合のままの領域がインパルスヒートシールバンドに隣接するようにした。スタックを30psi(ほぼ2bar又は206.8kPA)で圧縮し、280℃で30秒間にわたって加熱することにより、周囲シールを完成させた。
【0138】
周囲シールの外側の余剰の材料をダイカットし、スチールルール抜き型によって取り除いた。熱可塑性ポリマーで形成された三次元構造パターンを使用することにより、細胞を含有するための内部空間を提供する細胞カプセル化デバイスが構築された。
【0139】
実施例11
【0140】
三次元成形挿入体を形成するために、圧縮モールドを製作した。充分な量の熱可塑性ポリマー(すなわち、テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とビニリデンフルオリド(VDF)とのフルオロ熱可塑性ターポリマー)をモールド内に入れ、そして充填済モールドを、5分間の予熱のために400°F(ほぼ204℃)に設定された加熱されたプレス(WabashモデルC30H-15-CPX)内に入れた。次いでプレスを圧力設定点0.2トン(ほぼ182kg)まで閉じ、1分間にわたって閉じたままにした。次いでプレスを開き、モールドを取りのけ、完成した成形挿入体を取り出して任意の余剰ポリマーをトリミングできるようになるまで冷却した。
【0141】
フッ素化エチレンプロピレン(FEP)の不連続なフルオロポリマー層と一緒に接合された種々異なるメンブレンから成る層を組み合わせることにより、多層延伸PTFE(ePTFE)メンブレンを製造した。第1層(タイト層)は、Goreの米国特許第3,953,566号明細書の教示内容に基づいて処理された、より小さな孔径と、表3に挙げられた材料特性とを有するメンブレンから成る。第2層(オープン層)は、Branca他の米国特許第5,814,405号明細書の教示内容に基づいて製造されたより大きい孔径のメンブレンから成っている。ここでは不連続なFEP層がBacinoの国際公開第94/13469号パンフレットのプロセス教示内容に基づいてこのメンブレンの表面上に組み込まれているものの、この支持体がまだ空気透過性であるのを可能にしている。このオープン層の性質は表3に挙げられている。第1層(タイト層)を次いで第2層(オープン層)と接触させた。不連続FEP表面を2つのPTFE層の間に、これらの層がFEPの溶融温度を上回る温度で加熱された状態で配置し、これにより表3に特定された最終特性を有する接合多層複合メンブレンを形成した。第1層(タイト層)を次いで第2層(オープン層)と接触させた。不連続FEP表面を2つのPTFE層の間に、これらの層がFEPの溶融温度を上回る温度で加熱された状態で配置し、これにより表3に特定された最終特性を有する接合多層複合メンブレンを形成した。ePTFE複合メンブレンには、親水性処理を施した。
【0142】
インパルスヒートシーラ(Packworld model AO4-2565)のシリコーンダイ上に、細胞保持(タイト)メンブレンが上方に向くように、ePTFE複合メンブレンを配置した。5ミル(ほぼ0.13mm)厚のフルオロ熱可塑性重合TFE-HFP-VDFターポリマーから成るダイカットシートを細胞保持(タイト)メンブレンに隣接して置き、そしてシリコーンダイプレート上に輪郭を形成されたデバイス形状と整合させた。成形挿入体をフルオロ熱可塑性フィルムのダイカット開口内部に入れた。第1のePTFE複合メンブレンと同一の第2のePTFE複合メンブレンを、オープン層が上方に向くように、成形挿入体の上部に置いた。
【0143】
所望のシール形状に沿って30psi(ほぼ2bar又は206.8kPA)でスタックを圧縮し、280℃で30秒間にわたって加熱することにより、周囲シールを形成した。成形挿入体のそれぞれのピラーの取り付けられていない表面を、550°F(ほぼ288℃)に設定されたはんだ鏝と軽く接触させることによって、ePTFE複合メンブレンの内部に接合した。
【0144】
次いでスタックを90°回転させてフルオロ熱可塑性重合TFE-HFP-VDFターポリマーフィルムの未接合のままの領域がインパルスヒートシールバンドに隣接するようにした。スタックを30psi(ほぼ2bar又は206.8kPA)でスタックを圧縮し、280℃で30秒間にわたって加熱することにより、周囲シールを完成させた。
【0145】
周囲シールの外側の余剰の材料をダイカットし、スチールルール抜き型によって取り除いた。結果として得られたカプセル化デバイスは図25に示されている。
【0146】
実施例12
【0147】
本明細書中に記載された細胞カプセル化デバイスの圧力変形(pressure deflection)を、非接触表面走査法(Keyence VR-3000 3D Macroscope)を用いて測定した。
【0148】
試料細胞カプセル化デバイスをブラントニードルに装着し、ステレオリソグラフィを介して3D印刷されたカスタム固定器具に取り付けることにより試料を評価のために安定化させた。それぞれのデバイスの試料表面をそれぞれ加圧前にIPA/H2Oで湿潤させた。試料デバイスを1psi(ほぼ0.3bar又は6.9kPA)まで加圧し、変形(すなわちePTFEメンブレンからデバイスルーメンの中心までの距離)を測定した。対照試料との比較のために、構造支持体及びリザーバを備えた種々の試料細胞カプセル化デバイスにわたってデータを生成した。データは図26に示されている。内部構造支持体及び/又はリザーバを付加することによって、いかなる内部支持体も備えていないデバイスと比較して変形(すなわちePTFEメンブレンからデバイスルーメンの中心までの距離)が明らかに最小化されることが判った。
【0149】
本出願の発明は下記のものによって記述することもできる。
【0150】
1. 細胞カプセル化デバイスであって、
【0151】
第1層が前記第1層の周囲の一部に沿って、第2層に対して前記第2層の周囲の一部に沿ってシールされて、第1内面と反対側の第2内面とを含むチャンバを画定しており、前記第1内面が前記チャンバ内で前記第2内面から離隔している、第1層と、
前記チャンバの長さ及び/又は幅に沿って前記第1内面と前記第2内面との間の平均距離を維持するように、前記チャンバ内に配置された構造スペーサと、
を含み、
前記構造スペーサは、前記チャンバ内部に細胞を配置するための少なくとも1つのリザーバ空間を更に画定する、
細胞カプセル化デバイス。
【0152】
2.請求項1に記載の細胞カプセル化デバイスであって、
【0153】
- 前記リザーバ空間と流体連通する少なくとも1つのポートを更に含むか、又は
【0154】
- 前記少なくとも1つのリザーバ空間内に複数の細胞を更に含むか、又は
【0155】
- 前記第1層及び第2層が細胞内方成長を遮るか、又は
【0156】
- 前記構造スペーサが酸素透過性材料を含むか、又は
【0157】
- 前記カプセル化デバイスがほぼ管状の形態を有しているか、又は
【0158】
- 前記構造スペーサが、加えられた力のもとで平均距離を維持するか、又は
【0159】
- 前記構造スペーサが多孔質材料を含むか、又は
【0160】
- 前記構造スペーサが形状記憶材料を含むか、又は
【0161】
- 前記第1内面と前記第2内面との間の平均距離が少なくとも約50ミクロンであるか、又は
【0162】
- 前記デバイスが、相互接続された複数のリザーバ空間を含むか、又は
【0163】
- 前記デバイスが、不連続的な少なくとも2つのリザーバ空間を含むか、又は
【0164】
- 前記構造スペーサが複数の繊維を含むか、又は
【0165】
- 前記構造スペーサが、熱可塑性ポリマーから成る3D印刷されたビーズを含むか、又は
【0166】
- 前記構造スペーサが、構造的拘束具を含む三次元織布を含む、
細胞カプセル化デバイス。
【0167】
3. 前記第1層及び第2層の少なくとも一方が複合層であり、前記複合層が、
【0168】
a) 外側多孔質層と、
【0169】
b) 前記外側多孔質層に隣接する内側多孔質層と
を含み、前記内側多孔質層の空隙率が、前記外側多孔質層よりも低く、そして前記内側多孔質層の一部が前記第1内面又は第2内面である、
請求項1に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0170】
4. 前記第1層及び第2層の両方が複合層である、請求項3に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0171】
5.請求項4に記載の細胞カプセル化デバイスであって、
【0172】
- 前記外側多孔質層は、患者からの血管組織が前記外側多孔質層の孔内部で、前記内側多孔質層まで成長するのを許すが、しかし前記内側多孔質層を貫通するのは許さないほどに充分に多孔性であるか、又は
【0173】
- 前記内側多孔質層が細胞内方成長を遮るか、又は
【0174】
- 前記内側多孔質層及び前記外側多孔質層のうちの少なくとも一方が、延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、
細胞カプセル化デバイス。
【0175】
6. 前記第1層及び第2層のうちの少なくとも一方が生体吸収性材料を含む、請求項1に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0176】
7.請求項6に記載の細胞カプセル化デバイスであって、
【0177】
- 前記生体吸収性材料が粉末の形態を成すか、又は
【0178】
- 前記生体吸収性材料がスクリーンの形態を成す、
細胞カプセル化デバイス。
【0179】
8. 前記構造スペーサが、前記第1複合層及び第2複合層の内側多孔質層に接着されている、請求項4に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0180】
9. 前記接着された構造スペーサが、前記第1複合層及び第2複合層の内側多孔質層の孔内へ貫通していない、請求項8に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0181】
10. 前記構造スペーサが無孔質材料を含む、請求項1に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0182】
11. 無孔質材料が、フッ素化エチレンプロピレン、テトラフルオロエチレン-(ペルフルオロアルキル)ビニルエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリビニリデンフルオリド、及びこれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0183】
本発明は下記のものによって定義することもできる。
【0184】
1. 細胞カプセル化デバイスであって、
【0185】
第1層が前記第1層の周囲の一部に沿って、第2層に対して前記第2層の周囲の一部に沿ってシールされて、第1内面と反対側の第2内面とを含むチャンバを画定しており、前記第1内面が前記チャンバ内で前記第2内面から離隔している、第1層と、
【0186】
前記第1内面と前記第2内面との間の平均距離を維持するように、前記チャンバ内に配置された構造スペーサと、
を含み、前記構造スペーサは、前記チャンバ内部に細胞を配置するための少なくとも1つのリザーバ空間を更に画定し、そして前記構造スペーサの基底部に対する高さのアスペクト比が1/5~10/1である、
細胞カプセル化デバイス。
【0187】
2.請求項1に記載の細胞カプセル化デバイスであって、
【0188】
- 前記リザーバ空間と流体連通する少なくとも1つのポートを更に含むか、又は
【0189】
- 前記少なくとも1つのリザーバ空間内に複数の細胞を更に含むか、又は
【0190】
- 前記第1層及び第2層が細胞内方成長を遮るか、又は
【0191】
- 前記構造スペーサが酸素透過性材料を含むか、又は
【0192】
- 前記カプセル化デバイスがほぼ管状の形態を有しているか、又は
【0193】
- 前記構造スペーサが、加えられた力のもとで平均距離を維持するか、又は
【0194】
- 前記構造スペーサが多孔質材料を含むか、又は
【0195】
- 前記構造スペーサが形状記憶材料を含むか、又は
【0196】
- 前記第1内面と前記第2内面との間の平均距離が少なくとも約50ミクロンであるか、又は
【0197】
- 前記デバイスが、相互接続された複数のリザーバ空間を含むか、又は
【0198】
- 前記デバイスが、不連続的な少なくとも2つのリザーバ空間を含むか、又は
【0199】
- 前記構造スペーサが複数の繊維を含むか、又は
【0200】
- 前記構造スペーサが、熱可塑性ポリマーから成る3D印刷されたビーズを含むか、又は
【0201】
- 前記構造スペーサが、構造的拘束具を含む三次元織布を含む、
細胞カプセル化デバイス。
【0202】
3. 前記第1層及び第2層の少なくとも一方が複合層であり、前記複合層が、
【0203】
a) 外側多孔質層と、
【0204】
b) 前記外側多孔質層に隣接する内側多孔質層と
を含み、前記内側多孔質層の空隙率が、前記外側多孔質層よりも低く、そして前記内側多孔質層の一部が前記第1内面又は第2内面である、
請求項1に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0205】
4. 前記第1層及び第2層の両方が複合層である、請求項3に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0206】
5.請求項4に記載の細胞カプセル化デバイスであって、
【0207】
- 前記外側多孔質層は、患者からの血管組織が前記外側多孔質層の孔内部で、前記内側多孔質層まで成長するのを許すが、しかし前記内側多孔質層を貫通するのは許さないほどに充分に多孔性であるか、又は
【0208】
- 前記内側多孔質層が細胞内方成長を遮るか、又は
【0209】
- 前記内側多孔質層及び前記外側多孔質層のうちの少なくとも一方が、延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、
細胞カプセル化デバイス。
【0210】
6. 前記第1層及び第2層のうちの少なくとも一方が生体吸収性材料を含む、請求項1に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0211】
7.請求項6に記載の細胞カプセル化デバイスであって、
【0212】
- 前記生体吸収性材料が粉末の形態を成すか、又は
【0213】
- 前記生体吸収性材料がスクリーンの形態を成す、
細胞カプセル化デバイス。
【0214】
8. 前記構造スペーサが、前記第1複合層及び第2複合層の内側多孔質層に接着されている、請求項4に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0215】
9. 前記接着された構造スペーサが、前記第1複合層及び第2複合層の内側多孔質層の孔内へ貫通していない、請求項8に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0216】
10. 前記構造スペーサが無孔質材料を含む、請求項1に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0217】
11. 無孔質材料が、フッ素化エチレンプロピレン、テトラフルオロエチレン-(ペルフルオロアルキル)ビニルエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリビニリデンフルオリド、及びこれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の細胞カプセル化デバイス。
【0218】
本出願の発明を全体的に、そして具体的な実施態様に関して上述してきた。当業者には明らかなように、本開示の範囲を逸脱することなしに、種々の改変及び変更を加えることができる。このように、実施態様は本発明の改変形及び変更形にも範囲が及ぶものとする。ただし、これらが添付の請求項及びこれらと同等のものの範囲に含まれることを条件とする。
以下の項目[1]~[54]に、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
細胞カプセル化デバイスであって、
第1層が上記第1層の周囲の一部に沿って、第2層に対して上記第2層の周囲の一部に沿ってシールされて、第1内面と反対側の第2内面とを含むチャンバを画定しており、上記第1内面が上記チャンバ内で上記第2内面から離隔している、第1層と、
上記チャンバの長さ及び/又は幅に沿って上記第1内面と上記第2内面との間の平均距離を維持するように、そして上記第1内面と上記第2内面とを相互接続するように、上記チャンバ内に配置された構造スペーサと、
を含み、
上記構造スペーサは、上記チャンバ内部に細胞を配置するための少なくとも1つのリザーバ空間を更に画定する、
細胞カプセル化デバイス。
[2]
上記リザーバ空間と流体連通する少なくとも1つのポートを更に含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[3]
上記少なくとも1つのリザーバ空間内に複数の細胞を更に含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[4]
上記第1層及び第2層が細胞内方成長を遮る、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[5]
上記第1層及び第2層の少なくとも一方が複合層であり、上記複合層が、
a) 外側多孔質層と、
b) 上記外側多孔質層に隣接する内側多孔質層と
を含み、上記内側多孔質層の空隙率が、上記外側多孔質層よりも低く、そして上記内側多孔質層の一部が上記第1内面又は第2内面である、
項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[6]
上記第1層及び第2層の両方が複合層である、項目5に記載の細胞カプセル化デバイス。
[7]
上記外側多孔質層は、患者からの血管組織が上記外側多孔質層の孔内部で、上記内側多孔質層まで成長するのを許すが、しかし上記内側多孔質層を貫通するのは許さないほどに充分に多孔性である、項目6に記載の細胞カプセル化デバイス。
[8]
上記第1層及び第2層のうちの少なくとも一方が生体吸収性材料を含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[9]
上記構造スペーサが酸素透過性材料を含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[10]
上記第1外側多孔質層及び上記第2外側多孔質層の多孔性が維持される、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[11]
上記生体吸収性材料が粉末又はスクリーンの形態を成す、項目8に記載の細胞カプセル化デバイス。
[12]
上記内側多孔質層が細胞内方成長を遮る、項目6に記載の細胞カプセル化デバイス。
[13]
上記構造スペーサが、上記第1複合層及び第2複合層の内側多孔質層に接着されている、項目6に記載の細胞カプセル化デバイス。
[14]
上記構造スペーサが接着剤を介して接着されており、上記接着剤は上記第1複合層及び第2複合層の外側多孔質層の孔内へ浸透していない、項目13に記載の細胞カプセル化デバイス。
[15]
上記カプセル化デバイスがほぼ管状の形態を有している、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[16]
上記構造スペーサが、加えられた力のもとで平均距離を維持する、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[17]
上記構造スペーサが多孔質材料を含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[18]
上記構造スペーサが形状記憶材料を含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[19]
上記構造スペーサが酸素透過性材料を含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[20]
上記構造スペーサが無孔質材料を含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[21]
上記第1内面と上記第2内面との間の平均距離が少なくとも約50ミクロンである、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[22]
上記デバイスが、相互接続された複数のリザーバ空間を含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[23]
上記デバイスが、不連続的な少なくとも2つのリザーバ空間を含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[24]
上記内側多孔質層及び上記外側多孔質層のうちの少なくとも一方が、延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、項目6に記載の細胞カプセル化デバイス。
[25]
上記構造スペーサが複数の繊維を含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[26]
上記構造スペーサが、熱可塑性ポリマーから成る3D印刷されたビーズを含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[27]
上記構造スペーサが、構造的拘束具を含む三次元織布を含む、項目1に記載の細胞カプセル化デバイス。
[28]
細胞カプセル化デバイスであって、
第1層が上記第1層の周囲の一部に沿って、第2層に対して上記第2層の周囲の一部に沿ってシールされて、第1内面と反対側の第2内面とを含むチャンバを画定しており、上記第1内面が上記チャンバ内で上記第2内面から離隔している、第1層と、
上記第1内面と上記第2内面との間の平均距離を維持するように、上記チャンバ内に配置された構造スペーサと、
を含み、上記構造スペーサは、上記チャンバ内部に細胞を配置するための少なくとも1つのリザーバ空間を更に画定し、そして上記構造スペーサの基底部に対する高さのアスペクト比が1/5~10/1である、
細胞カプセル化デバイス。
[29]
上記リザーバ空間と流体連通する少なくとも1つのポートを更に含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[30]
上記少なくとも1つのリザーバ空間内に複数の細胞を更に含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[31]
上記第1層及び第2層が細胞内方成長を遮る、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[32]
上記第1層及び第2層の少なくとも一方が複合層であり、上記複合層が、
a) 外側多孔質層と、
b) 上記外側多孔質層に隣接する内側多孔質層と
を含み、上記内側多孔質層の空隙率が、上記外側多孔質層よりも低く、そして上記内側多孔質層の一部が上記第1内面又は第2内面である、
項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[33]
上記第1層及び第2層の両方が複合層である、項目32に記載の細胞カプセル化デバイス。
[34]
上記外側多孔質層は、患者からの血管組織が上記外側多孔質層の孔内部で、上記内側多孔質層まで成長するのを許すが、しかし上記内側多孔質層を貫通するのは許さないほどに充分に多孔性である、項目33に記載の細胞カプセル化デバイス。
[35]
上記第1層及び第2層のうちの少なくとも一方が生体吸収性材料を含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[36]
上記構造スペーサが酸素透過性材料を含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[37]
上記第1外側多孔質層及び上記第2外側多孔質層の多孔性が維持される、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[38]
上記生体吸収性材料が粉末又はスクリーンの形態を成す、項目35に記載の細胞カプセル化デバイス。
[39]
上記内側多孔質層が細胞内方成長を遮る、項目33に記載の細胞カプセル化デバイス。
[40]
上記構造スペーサが、上記第1複合層及び第2複合層の内側多孔質層に接着されている、項目33に記載の細胞カプセル化デバイス。
[41]
上記構造スペーサが接着剤によって接着されており、上記接着剤は上記第1複合層及び第2複合層の外側多孔質層の孔内へ浸透していない、項目40に記載の細胞カプセル化デバイス。
[42]
上記カプセル化デバイスがほぼ管状の形態を有している、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[43]
上記構造スペーサが、加えられた力のもとで平均距離を維持する、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[44]
上記構造スペーサが多孔質材料を含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[45]
上記構造スペーサが形状記憶材料を含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[46]
上記構造スペーサが酸素透過性材料を含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[47]
上記構造スペーサが無孔質材料を含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[48]
上記第1内面と上記第2内面との間の平均距離が少なくとも約50ミクロンである、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[49]
上記デバイスが、相互接続された複数のリザーバ空間を含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[50]
上記デバイスが、不連続的な少なくとも2つのリザーバ空間を含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[51]
上記内側多孔質層及び上記外側多孔質層のうちの少なくとも一方が、延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む、項目33に記載の細胞カプセル化デバイス。
[52]
上記構造スペーサが複数の繊維を含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[53]
上記構造スペーサが、熱可塑性ポリマーから成る3D印刷されたビーズを含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
[54]
上記構造スペーサが、構造的拘束具を含む三次元織布を含む、項目28に記載の細胞カプセル化デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図17A
図17B
図17C
図18
図18A
図18B
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24
図25
図26