(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】穿刺針
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20230221BHJP
A61M 5/158 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A61B8/14
A61M5/158 500D
(21)【出願番号】P 2020548190
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2019033066
(87)【国際公開番号】W WO2020066401
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2018182413
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】大沢 航介
(72)【発明者】
【氏名】上田 武彦
(72)【発明者】
【氏名】長澤 雅彦
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0224376(US,A1)
【文献】国際公開第2007/013130(WO,A1)
【文献】特開2015-213627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
A61M 5/00 - 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波反射構造を備えた中空状の穿刺針であって、
針本体部と、
前記針本体部から先端方向に延出し、前記穿刺針の軸に対して傾斜した刃面を有する針先端部と、を備え、
前記超音波反射構造は、前記針先端部の内周面にて開口する凹状又は孔状の反射部を少なくとも1つ含み、
前記反射部の内面は、互いに対向し且つ前記針先端部の外周面側に向かうにつれて互いの間隔が小さくなる一対の傾斜面を有し、
前記一対の傾斜面の各々は、前記穿刺針の軸と平行であ
り、
前記一対の傾斜面の少なくとも一方は、前記内周面からの深さが互いに異なる複数の傾斜平面を含む、穿刺針。
【請求項2】
超音波反射構造を備えた中空状の穿刺針であって、
針本体部と、
前記針本体部から先端方向に延出し、前記穿刺針の軸に対して傾斜した刃面を有する針先端部と、を備え、
前記超音波反射構造は、前記針先端部の内周面にて開口する凹状又は孔状の反射部を少なくとも1つ含み、
前記反射部の内面は、互いに対向し且つ前記針先端部の外周面側に向かうにつれて互いの間隔が小さくなる一対の傾斜面を有し、
前記一対の傾斜面の各々は、前記穿刺針の軸と平行であり、
前記一対の傾斜面の各々は、前記内周面からの深さが互いに異なる複数の傾斜平面を含む、穿刺針。
【請求項3】
請求項
1又は
2記載の穿刺針において、
前記複数の傾斜平面の間に、前記反射部の深さ方向の軸に対して垂直な仮想面と平行な中間平面が設けられている、穿刺針。
【請求項4】
請求項
1又は
2記載の穿刺針において、
前記複数の傾斜平面は、傾斜角度が互いに同じである、穿刺針。
【請求項5】
請求項
1又は
2記載の穿刺針において、
前記複数の傾斜平面は、傾斜角度が互いに異なる、穿刺針。
【請求項6】
請求項5記載の穿刺針において、
前記複数の傾斜平面は、第1傾斜平面と、前記第1傾斜平面よりも前記内周面から深い位置に形成された第2傾斜平面とを有し、
前記第2傾斜平面は、前記反射部の深さ方向の軸に対して垂直な仮想面に対する傾斜角度が、前記第1傾斜平面よりも小さい、穿刺針。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の穿刺針において、
前記反射部の深さ方向から見た前記反射部の輪郭形状は四角形状である、穿刺針。
【請求項8】
請求項
7記載の穿刺針において、
前記反射部は、四角錐台形状に形成されている、穿刺針。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の穿刺針において、
前記超音波反射構造は、前記反射部を複数有する、穿刺針。
【請求項10】
請求項
9記載の穿刺針において、
複数の前記反射部は、前記穿刺針の軸に沿って一直線上に配置されている、穿刺針。
【請求項11】
請求項
10記載の穿刺針において、
前記超音波反射構造は、一直線上に配置された前記複数の反射部からなる列を、複数列有する、穿刺針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波の反射を利用して位置を検出しながら穿刺することが可能な穿刺針に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、患者に栄養剤を輸液するために、カテーテル(外針)及び穿刺針(内針)を含む留置針が用いられる。このような留置針を穿刺する場合には、例えば、超音波撮像装置から超音波を発信し、穿刺する血管の位置を確認するとともに、穿刺した穿刺針に超音波を照射し、その反射波に基づいて得られた画像によって穿刺針の位置を確認しながら施術が行われる。従来、このような留置針において、穿刺針の外周面に、超音波反射用の溝が設けられたものが知られている(例えば、特許第3171525号公報参照)。
【発明の概要】
【0003】
従来の超音波反射用の溝を備えた穿刺針では、穿刺針の外周面(刃面よりも基端側の外周面)に溝が設けられているため、刃面を含む針先端部の位置を正確に把握することが難しい。また、被穿刺部位に対する穿刺針の軸回りの角度によっては超音波が超音波撮像装置のプローブに向けて反射されず、所望のエコー画像を取得することができない。
【0004】
そこで、本発明は、針先端部の位置を容易に把握することができるとともに、被穿刺部位に対する穿刺針の軸回りの角度が変わっても超音波撮像装置のプローブに向けて超音波を反射することができる穿刺針を提供することを目的とする。
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様は、超音波反射構造を備えた中空状の穿刺針であって、針本体部と、前記針本体部から先端方向に延出し、前記穿刺針の軸に対して傾斜した刃面を有する針先端部と、を備え、前記超音波反射構造は、前記針先端部の内周面にて開口する凹状又は孔状の反射部を少なくとも1つ含み、前記反射部の内面は、互いに対向し且つ前記針先端部の外周面側に向かうにつれて互いの間隔が小さくなる一対の傾斜面を有し、前記一対の傾斜面の各々は、前記穿刺針の軸と平行である、穿刺針である。
【0006】
本発明の穿刺針によれば、超音波反射構造が針先端部の内周面に設けられているため、得られたエコー画像から針先端部の位置を容易に把握することができる。また、被穿刺部位に対する穿刺針の軸回りの角度が変わっても、一対の反射面を有する反射部により、超音波撮像装置のプローブに向けて超音波を反射させることができる。従って、超音波を効率的に反射し、より鮮明なエコー画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る穿刺針を備えた留置針の平面図である。
【
図2】第1実施形態に係る穿刺針の先端部の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る穿刺針の先端部の平面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿った穿刺針の断面図である。
【
図5】
図3のV-V線に沿った穿刺針の断面図である。
【
図7】
図7Aは、第1実施形態に係る穿刺針の超音波反射構造の作用を説明する第1の図である。
図7Bは、第1実施形態に係る穿刺針の超音波反射構造の作用を説明する第2の図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る穿刺針の先端部の斜視図である。
【
図9】第2実施形態に係る穿刺針の先端部の平面図である。
【
図11】
図9のXI-XI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る穿刺針について好適な複数の実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一又は同様な要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0009】
図1に示す留置針10は、カテーテル12と、カテーテル12の基端部(矢印Z2方向側の端部)に結合されたカテーテルハブ14と、カテーテル12に抜去可能に挿通された穿刺針16と、穿刺針16の基端部に結合された針ハブ18とを備える。留置針10は、換言すれば、カテーテル組立体である。
【0010】
留置針10は、使用前の初期状態で、カテーテル12及び穿刺針16を重ねた多重管構造(多重管部)を形成している。留置針10は、例えば、末梢静脈カテーテル等の静脈用カテーテル、あるいは末梢動脈カテーテル等の動脈用カテーテルとして構成される。留置針10は、末梢静脈カテーテルよりも長いカテーテル(例えば、中心静脈カテーテル、PICC、ミッドラインカテーテル等)として構成されてもよい。
【0011】
カテーテル12は、例えば、透明な樹脂製材料からなり、可撓性を有する中空状部材である。カテーテル12内には、穿刺針16を収容可能且つ薬液や血液等を流動可能な内腔13が形成されている。
【0012】
カテーテルハブ14は、例えば、硬質樹脂材料からなる中空状部材である。カテーテルハブ14の内部には、カテーテル12の内腔13に連通して輸液剤を流通可能な中空部15が設けられている。カテーテルハブ14は、カテーテル12が血管内に挿入された状態で患者の皮膚上に露出され、テープ等により貼り付けられてカテーテル12とともに留置される。
【0013】
穿刺針16は、生体の皮膚を穿刺可能な剛性を有する中空管に構成され、カテーテル12の内腔13及びカテーテルハブ14の中空部15に貫通配置される。穿刺針16は、カテーテル12よりも長い全長に形成され、その先端には鋭利な針先16aが設けられる。穿刺針16の内部には、断面円形のルーメン16bが設けられている。このルーメン16bは、穿刺針16の軸方向(矢印Z方向。以下、「針軸方向」という)に貫通し、穿刺針16の先端開口16cに連通する。
【0014】
穿刺針16は、針本体部20と、針本体部20から先端方向(矢印Z1方向)に延出した針先端部22とを備える。針本体部20は、針本体部20の主要部(針先端部22以外の部分)を構成する管状体である。穿刺針16の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金、チタン又はチタン合金のような金属材料、硬質樹脂、セラミックス等が挙げられる。
【0015】
図1に示す留置針10の初期状態で、針先端部22は、カテーテル12の先端側開口12aよりも先端側に位置する。
【0016】
図2及び
図3に示すように、穿刺針16の軸a(以下、「針軸a」ともいう)に対して傾斜した刃面16dを有する。刃面16dは、先端開口16cを全周に亘って囲んでいる。針先端部22は、穿刺針16のうち針先16aから刃面16dの最基端部までの部分(
図3において矢印Aで示す範囲の部分)である。
【0017】
針先端部22には、超音波を反射する超音波反射構造26が設けられている。具体的に、超音波反射構造26は、針先端部22の円弧状の内周面22sに開口した凹状又は孔状の反射部30を少なくとも1つ有する。これらの反射部30は、少なくとも針先端部22の内周面22sにおいて互いに独立した(区別可能な)開口部を有する。
【0018】
本実施形態において、超音波反射構造26は、反射部30を複数有する。複数の反射部30は、針軸aに沿って間隔を置いて一直線上に配置されている。
図3に示すように、刃面16dに対向する平面視で、針軸aに重なる位置に複数の反射部30が配置されている。他の態様において、複数の反射部30は、間隔を設けずに互いに隣接して配置されてもよい。他の態様において、超音波反射構造26は、反射部30を1つのみ有していてもよい。
【0019】
反射部30の深さ方向から見た反射部30の輪郭形状は四角形状である。反射部30は、四角錐台形状に形成されている。他の態様において、反射部30は、四角錐形状に形成されてもよい。反射部30は、針先端部22の内周面22sから外周面まで貫通する孔状に形成されてもよい。
【0020】
ここで、
図2等に示すように、反射部30の深さ方向の軸a1に対して垂直な仮想面Pを定義する。
図3に示すように、反射部30の内面は、仮想面Pに対してそれぞれ傾斜した4つの傾斜面32を有する。仮想面Pに対する4つの傾斜面32の傾斜角度は、互いに同じである。他の態様において、4つの傾斜面32の傾斜角度は、互いに同じでなくてもよい。
【0021】
具体的に、反射部30の内面は、針軸方向(矢印Z方向)において互いに対向する一対の傾斜面32a、32aと、互いに対向し且つ各々が針軸aと平行な他の一対の傾斜面32b、32bとを有する。
図4に示すように、一対の傾斜面32a、32aは、針先端部22の外周面側に向かうにつれて互いの間隔が小さくなる。
図5に示すように、一対の傾斜面32b、32bは、針先端部22の外周面側に向かうにつれて互いの間隔が小さくなる。
【0022】
図3及び
図5に示すように、一対の傾斜面32b、32bの各々は、内周面22sからの深さが互いに異なる複数の傾斜平面34を含む。本実施形態では、複数の傾斜平面34は、第1傾斜平面34aと、第1傾斜平面34aよりも内周面22sから深い位置に形成された第2傾斜平面34bとを有する。
図5において、反射部30の軸a1に沿った第2傾斜平面34bの高さH2は、反射部30の軸a1に沿った第1傾斜平面34aの高さH1よりも大きい。他の態様において、第2傾斜平面34bの高さH2は、第1傾斜平面34aの高さH1と同じか、第1傾斜平面34aの高さH1よりも小さくてもよい。
【0023】
仮想面Pに対する第1傾斜平面34aの傾斜角度αは、例えば、15~75°の範囲で設定され、好ましくは30~60°の範囲で設定される。
図5において、仮想面Pに対する第1傾斜平面34aの傾斜角度αは、60°に設定されている。仮想面Pに対する第2傾斜平面34bの傾斜角度βは、例えば、15~75°の範囲で設定され、好ましくは30~60°の範囲で設定される。
図5において、仮想面Pに対する第2傾斜平面34bの傾斜角度βは、60°に設定されている。
【0024】
第1傾斜平面34aと第2傾斜平面34bとは、仮想面Pに対する傾斜角度が、互いに同じである。他の態様において、複数の傾斜平面34は、仮想面Pに対する傾斜角度が互いに異なっていてもよい。例えば、
図5において仮想線で示すように、第2傾斜平面34bは、仮想面Pに対する傾斜角度が、第1傾斜平面34aよりも小さくてもよい。他の態様において、一対の傾斜面32b、32bの一方のみが複数の傾斜平面34を含んでもよい。
【0025】
図3及び
図5に示すように、複数の傾斜平面34(第1傾斜平面34aと第2傾斜平面34b)の間に、仮想面Pと平行な中間平面38が設けられている。反射部30が四角錐台形状に形成された第1実施形態では、中間平面38は、四角環状に形成されている。他の態様において、中間平面38はなくてもよい。反射部30は、各々が針軸aに平行な一対の傾斜面32b、32bを少なくとも有していればよく、他の態様において、反射部30の深さ方向から見た反射部30の輪郭形状は、四角形状以外の形状、例えば、六角形状等であってもよい。
【0026】
次に、上記のように構成された穿刺針16を備えた留置針10の作用を説明する。
【0027】
図6に示すように、留置針10の使用において、留置針10は、患者PTの皮膚S(被穿刺部位)から血管に向かって穿刺される。その際、超音波撮像装置40のプローブ42を患者PTの穿刺部位近傍に対して押し当て、超音波(エコービーム)Eを照射する。プローブ42は、超音波Eを発信し、超音波Eの反射波(反射エコー)を受信可能に構成されている。超音波Eは、患者PTの皮膚S表面から内部に向かって発信され、留置針10の先端部に照射される。そして、超音波Eは、針先端部22に設けられた超音波反射構造26(
図2参照)により、プローブ42側に反射される。超音波撮像装置40は、プローブ42にて受信した反射波に基づいてエコー画像を生成し、生成したエコー画像をディスプレイ44に表示する。
【0028】
この場合、本実施形態に係る穿刺針16は、以下の効果を奏する。
【0029】
穿刺針16によれば、
図2等に示したように、超音波反射構造26が針先端部22の内周面22sに設けられているため、得られたエコー画像から針先端部22(穿刺針16の先端部)の位置を容易に把握することができる。また、
図7A及び
図7Bに示すように、被穿刺部位に対する穿刺針16の軸回りの角度が変わっても、一対の傾斜面32b、32bを有する反射部30により、超音波撮像装置40のプローブ42(
図6)に向けて超音波を反射させることができる。従って、超音波を効率的に反射し、より鮮明なエコー画像を取得することができる。
【0030】
図5に示したように、一対の傾斜面32b、32bの少なくとも一方は、内周面22sからの深さが互いに異なる複数の傾斜平面34を含む。このように複数の傾斜平面34を含むことで、超音波を一層効果的に反射させることができる。
【0031】
一対の傾斜面32b、32bの各々は、内周面22sからの深さが互いに異なる複数の傾斜平面34を含む。これにより、被穿刺部位に対する穿刺針16の軸回りの角度が変わっても、複数の傾斜平面34のいずれかにより、超音波を反射させることができる。
【0032】
複数の傾斜平面34の間に、反射部30の深さ方向の軸に対して垂直な仮想面Pと平行な中間平面38が設けられている。この構成により、中間平面38と、この中間平面38の両側にそれぞれ隣接する傾斜平面34と、の境界に形成される角部(エッジ)の屈曲角度が適度に大きくなるため、効率的に超音波を反射させることができる。
【0033】
複数の傾斜平面34は、傾斜角度が互いに異なってもよい。この構成により、プローブ42(
図6)に対する穿刺針16の軸回りの角度変化に対応可能な角度パターンが増えるため、プローブ42に向けて超音波を一層効果的に反射させることができる。
【0034】
図5において仮想線で示すように、第2傾斜平面34bは、反射部30の深さ方向の軸a1に対して垂直な仮想面Pに対する傾斜角度が、第1傾斜平面34aよりも小さい場合(β<α)、超音波が第2傾斜平面34bに到達しやすくなり、一層効率的に超音波を反射させることができる。
【0035】
図3に示したように、反射部30の深さ方向から見た反射部30の輪郭形状は四角形状である。この構成により、プローブ42に向けて超音波を一層効果的に反射させることができる。
【0036】
反射部30は、四角錐台形状に形成されているため、金型を用いて反射部30を形成する場合に、金型の先端部の摩耗を抑制することができる。
【0037】
超音波反射構造26は、反射部30を複数有するため、プローブ42に向けて超音波を一層効果的に反射させることができる。
【0038】
複数の反射部30は、穿刺針16の軸aに沿って一直線上に配置されているため、より多くの反射部30を効率的に配置することができる。
【0039】
図8~
図11に示す第2実施形態に係る穿刺針56は、針先端部22に、超音波を反射する超音波反射構造58が設けられている。超音波反射構造58は、針先端部22の円弧状の内周面22sに開口した凹状又は孔状の反射部60を少なくとも1つ有する。これらの反射部60は、針先端部22の内周面22sにおいて互いに独立した(区別可能な)開口部を有する。
【0040】
第2実施形態において、超音波反射構造58は、反射部60を複数有する。複数の反射部60は、間隔を設けずに互いに隣接して配置されている。他の態様において、複数の反射部60は、間隔を置いて配置されてもよい。他の態様において、超音波反射構造58は、反射部60を1つのみ有していてもよい。
【0041】
図9に示すように、反射部60の深さ方向から見た反射部60の輪郭形状は四角形状である。反射部60は、四角錐形状に形成されている。他の態様において、反射部60は、四角錐台形状に形成されてもよい。反射部60は、針先端部22の内周面22sから外周面まで貫通する孔状に形成されてもよい。
【0042】
超音波反射構造58は、一直線上に配置された複数の反射部60からなる列60Lを、複数列(図示例では第1列60Laと第2列60Lb)有する。これらの列60Lは互いに平行に延在している。
図11に示すように、各列60Lにおける反射部60の深さ方向に沿った軸a2は、針軸aと交差している。従って、複数の列60L間で、反射部60の深さ方向に沿った軸a2は、互いに傾斜している。
【0043】
図8及び
図9に示すように、超音波反射構造58の先端部では、先端開口16cの幅方向(矢印X方向)中央に反射部60が1つだけ設けられている。超音波反射構造58の基端部では、先端開口16cの幅方向中央に反射部60が1つだけ設けられている。
【0044】
ここで、
図8に示すように、反射部60の深さ方向の軸a2(
図11参照)に対して垂直な仮想面(第1列60Laについては仮想面P1、第2列60Lbについては仮想面P2)を定義する。
図9に示すように、反射部60の内面は、上記仮想面に対してそれぞれ傾斜した4つの傾斜面64を有する。仮想面に対する4つの傾斜面64の傾斜角度は、互いに同じである。他の態様において、4つの傾斜面64の傾斜角度は、互いに同じでなくてもよい。
【0045】
具体的に、反射部60の内面は、針軸方向(矢印Z方向)において互いに対向する一対の傾斜面64a、64aと、互いに対向し且つ各々が針軸aと平行な他の一対の傾斜面64b、64bとを有する。
図10に示すように、一対の傾斜面64a、64aは、針先端部22の外周面側に向かうにつれて互いの間隔が小さくなる。
図11に示すように、一対の傾斜面64b、64bは、針先端部22の外周面側に向かうにつれて互いの間隔が小さくなる。
【0046】
このように構成される第2実施形態に係る穿刺針56によっても、第1実施形態に係る穿刺針16と同様の効果が得られる。すなわち、超音波反射構造58が針先端部22の内周面22sに設けられているため、得られたエコー画像から針先端部22の位置を容易に把握することができる。また、被穿刺部位に対する穿刺針56の軸回りの角度が変わっても、一対の傾斜面64b、64bを有する反射部60により、超音波撮像装置40のプローブ42(
図6)に向けて超音波を反射させることができる。従って、超音波を効率的に反射し、より鮮明なエコー画像を取得することができる。
【0047】
図8及び
図9に示すように、超音波反射構造58は、一直線上に配置された複数の反射部60からなる列60Lを、複数列有するため、プローブ42(
図6)に向けて超音波を一層効果的に反射させることができる。
【0048】
その他、第2実施形態のうち、第1実施形態と共通する部分については、第1実施形態と同一又は同様の作用及び効果が得られる。
【0049】
なお、反射部60は、各々が針軸aに平行な一対の傾斜面64b、64bを少なくとも有していればよい。従って、他の態様において、反射部60の深さ方向から見た反射部60の輪郭形状は、四角形状以外の形状、例えば、六角形状等であってもよい。
【0050】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。