(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-02-20
(45)【発行日】2023-03-01
(54)【発明の名称】布帛および繊維製品
(51)【国際特許分類】
D04B 1/20 20060101AFI20230221BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20230221BHJP
A41D 31/04 20190101ALI20230221BHJP
A47G 9/02 20060101ALI20230221BHJP
B60N 2/58 20060101ALI20230221BHJP
D01F 8/14 20060101ALI20230221BHJP
D02G 1/02 20060101ALI20230221BHJP
D02G 3/04 20060101ALI20230221BHJP
D02J 3/02 20060101ALI20230221BHJP
D03D 15/47 20210101ALI20230221BHJP
D03D 15/49 20210101ALI20230221BHJP
D03D 15/56 20210101ALI20230221BHJP
【FI】
D04B1/20
A41D31/00 502B
A41D31/00 503G
A41D31/04 F
A47G9/02 F
B60N2/58
D01F8/14 Z
D02G1/02 Z
D02G3/04
D02J3/02 K
D03D15/47
D03D15/49 100
D03D15/49 200
D03D15/56
(21)【出願番号】P 2020557616
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 JP2019045588
(87)【国際公開番号】W WO2020110890
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2018221391
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501270287
【氏名又は名称】帝人フロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】尾形 暢亮
(72)【発明者】
【氏名】宇熊 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】柴田 園未
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-270125(JP,A)
【文献】特開2009-138287(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038239(WO,A1)
【文献】特開平07-003562(JP,A)
【文献】特開昭52-008153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 1/20
A41D 31/00
A41D 31/04
A47G 9/02
B60N 2/58
D01F 8/14
D02G 1/02
D02G 3/04
D02J 3/02
D03D 15/47
D03D 15/49
D03D 15/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合糸を含む布帛であって、前記複合糸が、捲縮糸と伸縮性繊維とを含み、
前記捲縮糸が、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bとを含み、
前記伸縮性繊維が、2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合され少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレートからなる複合繊維、またはポリトリメチレンテレフタレート繊維であり、
前記捲縮糸または前記伸縮性繊維において、単繊維繊度が0.1~1.0dtexの範囲内で
あり、
前記複合糸が、交絡の個数1~150個/mでインターレース加工を施された交絡糸であり、
前記複合糸において、総繊度が40~180dtexの範囲内であり、
布帛が編物であり、
JIS L 1018-1990により測定した、ヨコ方向のストレッチ性が10%以上であり、
JIS L 1018-1990により測定した、ヨコ方向のストレッチ性回復率が85%以上であり、
かつJIS L 1018-1990により測定した、ヨコ方向のストレッチ性回復率が85%以上であることを特徴とする布帛。
【請求項2】
請求項1に記載の布帛を用いてなる、衣料、裏地、芯地、靴下、腹巻、帽子、手袋、寝衣、布団側地、布団カバー、およびカーシート表皮材からなる群より選ばれるいずれかの繊維製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチ性および吸汗速乾性に極めて優れ、さらには天然素材のような風合いおよび外観を有する布帛および繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツ衣料の分野では、競技者向け高機能商品が求められており、捲縮繊維を用いたストレッチ布帛が提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2)。また、吸汗速乾性も求められている。
【0003】
しかしながら、ストレッチ性および吸汗速乾性の点でまだ十分とは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2008/001920号パンフレット
【文献】特開2009-138287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、ストレッチ性および吸汗速乾性に極めて優れ、さらには天然素材のような風合いおよび外観を有する布帛および繊維製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、特殊な複合糸を用いて布帛を構成することで、ストレッチ性および吸汗速乾性に極めて優れ、さらには天然素材のような風合いおよび外観を有する布帛が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0007】
かくして、本発明によれば「複合糸を含む布帛であって、前記複合糸が、捲縮糸と伸縮性繊維とを含むことを特徴とする布帛。」が提供される。
【0008】
その際、前記捲縮糸が、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bとを含むことが好ましい。また、前記伸縮性繊維が、2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維、またはポリトリメチレンテレフタレート繊維であることが好ましい。また、前記捲縮糸または前記伸縮性繊維において、単繊維繊度が0.00002~2.0dtexの範囲内であることが好ましい。また、前記複合糸が、交絡の個数1~150個/mでインターレース加工を施された交絡糸であることが好ましい。また、前記複合糸において、総繊度が40~180dtexの範囲内であることが好ましい。
【0009】
本発明の布帛において、布帛が織物または編物であることが好ましい。また、JIS L 1018-1990により測定した、ヨコ方向のストレッチ性が10%以上であることが好ましい。また、JIS L 1018-1990により測定した、ヨコ方向のストレッチ性回復率が85%以上であることが好ましい。また、JIS L 1058-1995 D3法のカナノコにより15時間テストして、抗スナッギング性が3級以上であることが好ましい。
【0010】
また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる、衣料、裏地、芯地、靴下、腹巻、帽子、手袋、寝衣、布団側地、布団カバー、およびカーシート表皮材からなる群より選ばれるいずれかの繊維製品が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ストレッチ性および吸汗速乾性に極めて優れ、さらには天然素材のような風合いおよび外観を有する布帛および繊維製品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の布帛は、捲縮糸と伸縮性繊維とを含む複合糸を含む。その際、前記捲縮糸に、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bが含まれることが好ましい。
【0013】
ここで、仮撚捲縮加工糸には第1ヒーター域で仮撚をセットした、いわゆるone heater仮撚捲縮加工糸と、該糸をさらに第2ヒーター域に導入して弛緩熱処理することによりトルクを減らした、いわゆるsecond heater仮撚捲縮加工糸とがある。また、施撚の方向により、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸とがある。本発明においてこれらの仮撚捲縮加工糸を用いることができる。
【0014】
仮撚捲縮加工の条件は限定されないが、仮撚捲縮加工時の延伸倍率は、0.8~1.5の範囲が好ましい。仮撚数は、仮撚数(T/m)=(32500/(D)1/2)×αの式において、αが0.5~1.5(より好ましくは0.8~1.2)の範囲内であることが好ましい。ただし、Dは糸条の総繊度(dtex)である。用いる撚り掛け装置としては、ディスク式あるいはベルト式の摩擦式撚り掛け装置が糸掛けしやすく、糸切れも少なくて適当であるが、ピン方式の撚り掛け装置であってもよい。
【0015】
前記仮撚捲縮加工糸Aまたは仮撚捲縮加工糸Bを形成する繊維としては、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、さらには、綿、ウール、絹などの天然繊維やこれらを複合したものが使用可能である。ポリエステル繊維は、少なくとも1成分としてポリエステル成分を含む複合繊維を含む。かかる複合繊維としては、サイドバイサイド型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維、芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維などが例示される。また、ナイロン繊維は、ナイロン6繊維やナイロン66繊維を含む。
【0016】
ポリエステル繊維を形成するポリエステルとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、炭素数2~6のアルキレングリコール、すなわちエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種を主たるグリコール成分とするポリエステルが好ましい。なかでも、エチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)またはトリメチレングリコールを主たるグリコール成分とするポリエステル(ポリトリメチレンテレフタレート)が特に好ましい。
【0017】
かかるポリエステルには、必要に応じて少量(通常30モル%以下)の共重合成分を有していてもよい。その際、使用されるテレフタル酸以外の二官能性カルボン酸としては、例えばイソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、β-ヒドロキシエトキシ安息香酸、P-オキシ安息香酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のごとき芳香族、脂肪族、脂環族の二官能性カルボン酸をあげることができる。また、上記グリコール以外のジオール化合物としては、例えばシクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールSのごとき脂肪族、脂環族、芳香族のジオール化合物およびポリオキシアルキレングリコール等をあげることができる。
【0018】
前記ポリエステルは任意の方法によって合成したものでよい。例えばポリエチレンテレフタレートの場合について説明すると、テレフタル酸とエチレングリコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル酸ジメチルのごときテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるかまたはテレフタル酸とエチレンオキサイドとを反応させるかしてテレフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第1段階の反応と、第1段階の反応生成物を減圧下加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって製造されたものでよい。また、前記ポリエステルは、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステル、または、特開2004-270097号公報や特開2004-211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルであってもよい。さらには、ポリ乳酸やステレオコンプレックスポリ乳酸などの生分解性を有するポリエステルでもよい。
【0019】
また、前記ポリエステルに紫外線吸収剤がポリエステル重量対比0.1重量%以上(好ましくは0.1~5.0重量%)含まれていると、布帛に紫外線遮蔽性が付加され好ましい。かかる紫外線吸収剤としては、ベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系有機紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系有機紫外線吸収剤、サリチル酸系有機紫外線吸収剤などが例示される。なかでも、紡糸の段階で分解しないという点からベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤が特に好ましい。
【0020】
かかるベンゾオキサジン系有機紫外線吸収剤としては、特開昭62-11744号公報に開示されたものが好適に例示される。すなわち、2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-ブチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-フェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2,2’-エチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-テトラメチレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、2,2’-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリ(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン-2-イル)ナフタレンなどである。
【0021】
また、前記ポリエステルに艶消し剤(二酸化チタン)がポリエステル重量対比0.1重量%以上(好ましくは0.2~4.0重量%)含まれていると、布帛の防透性が向上し好ましい。
【0022】
さらに前記ポリエステルには、必要に応じて、微細孔形成剤(有機スルホン酸金属塩)、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤(三酸化二アンチモン)、蛍光増白剤、着色顔料、帯電防止剤(スルホン酸金属塩)、吸湿剤(ポリオキシアルキレングリコール)、抗菌剤、その他の無機粒子の1種以上が含まれていてもよい。
【0023】
また、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bにおいて、繊維を構成する成分または単繊維横断面形状または単繊維繊度において互いに異なると、布帛が新規外観を呈し好ましい。
【0024】
ここで、「成分が異なる」とは、異種ポリマーの組合せだけでなく、同種ポリマーで第3成分や添加物が異なる組合せをも含む。例えば、ナイロンとポリエステル、カチオン可染性ポリエステルとカチオン不染性ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、酸化チタンの含有量が互いに異なるポリエステルの組合せ(例えば、ブライトポリエステルとセミダルポリエステル、ブライトポリエステルとフルダルポリエステル、セミダルポリエステルとフルダルポリエステルなど)などが例示される。
【0025】
また、前記伸縮性繊維としては、ポリトリメチレンテレフタレートからなる1成分で構成される繊維、2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維、弾性繊維(ポリウレタン系繊維、ポリエーテルエステル系繊維、吸水性エラストマー繊維など)、未延伸ポリエステル繊維などが好ましい。特に、2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維は、加熱によりコイル状のクリンプを発現し好ましい。なお、伸縮性繊維は前記捲縮糸とは異なることが好ましい。
【0026】
ここで、前記複合繊維としては、少なくとも1成分がポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはポリエチレンテレフタレートからなる複合繊維であることが好ましい。具体的にかかる2成分としては、ポリトリメチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートなどが例示される。
【0027】
ここで、ポリトリメチレンテレフタレートとは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位とするポリエステルからなる繊維をいい、トリメチレンテレフタレート単位が50モル%以上、好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上のものをいう。従って第3成分としての他の酸成分および/またはグリコール成分の合計量が50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下の範囲で含有されたポリトリメチレンテレフタレートを含有する。
【0028】
ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはその機能的誘導体とトリメチレングリコールまたはその機能的誘導体とを、触媒の存在下で適当な反応条件下で縮合させることにより製造される。
【0029】
添加する第3成分としては、脂肪族ジカルボン酸(シュウ酸、アジピン酸など)、脂環族ジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸など)、芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸、ソジウムスルホイソフタル酸など)、脂肪族グリコール(エチレングリコール、1,2-トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなど)、脂環族グリコール(シクロヘキサングリコールなど)、芳香族ジオキシ化合物(ハイドロキノンビスフェノールAなど)、芳香族を含む脂肪族グリコ-ル(1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなど)、脂肪族オキシカルボン酸(p-オキシ安息香酸など)などが挙げられる。
【0030】
前記ポリエチレンテレフタレートは3成分を共重合させたものでもよい。また、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたものでもよい。さらには、特開2004-270097号公報や特開2004-211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物及びチタン化合物を含む触媒を用いて得られたものでもよい。
【0031】
前記のポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどには、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種又は2種以上含まれていてもよい。
【0032】
前記の複合繊維は、例えば、特開2009-46800号公報に記載された方法により製造することができる。
【0033】
本発明において、複合糸は、捲縮糸(好ましくはS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Aと、Z方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bを含む。)と、伸縮性繊維とを含む。
【0034】
その際、前記捲縮糸または前記伸縮性繊維において、単繊維繊度が0.00002~2.0dtex(より好ましくは0.1~1.0dtex、特に好ましくは0.3~0.95tex)の範囲内であることが好ましい。
【0035】
また、前記捲縮糸または前記伸縮性繊維において、単繊維断面形状としては、丸断面の他、楕円形断面、三角、四角、十字、扁平、くびれ付扁平、H型、W型などが例示される。その際、扁平な断面形状の、長手中心線方向の長さbの、この長手中心線方向に直角をなして交差する方向における最大幅c1に対する比b/c1により表される断面扁平度が2~6(より好ましくは3.1~5.0)の範囲内であることが、布帛のソフト性の点で好ましい。また、その幅の最大値c1の、最小値c2に対する比c1/c2が、1.05~4.00(より好ましくは1.1~1.5)の範囲内であることが、布帛の吸水性の点で好ましい。
【0036】
前記複合糸の製造方法は特に限定されない。例えば、S方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bと伸縮性繊維とを引きそろえて、空気加工(インターレース加工やタスラン(登録商標)加工)により空気混繊してもよいし、複合仮撚や合撚してもよい。特に好ましいのは空気混繊法である。
【0037】
その際、前記複合糸が、交絡の個数1~150個/mでインターレース加工を施された交絡糸であることが好ましい。
【0038】
また、前記3種の糸条を複合させる際、適宜オーバーフィード率を変更してもよい。さらには、まず2種の糸条を複合させた後、次の工程で他の糸条を複合させてもよい。
【0039】
かかる複合糸において、総繊度が40~180dtexの範囲内であることが好ましい。また、捲縮率が2%以上(より好ましくは10~60%)であることが好ましい。該捲縮率が2%未満では、ストレッチ性が低下するおそれがある。
【0040】
本発明の布帛は、前記複合糸を含む。その際、前記複合糸が布帛重量対比50重量%以上含まれていることが好ましい。
【0041】
前記布帛の組織は特に限定されず、編物、織物いずれでもよい。例えば、平織、綾織、サテンなどの織組織を有する織物や、天竺、ニットミス、スムース、フライス、鹿の子、そえ糸編、デンビー、ハーフなどの編組織を有する編物、不織布などが好適に例示されるが、これらに限定されるものではない。層数も単層でもよいし、2層以上の多層であってもよい。なかでも優れたストレッチ性を得る上で編物(編地)が好ましい。特に経編または緯編(丸編)組織を有する編物が好ましい。
【0042】
その際、前記編物において、編物密度が、コース数40~100/2.54cmかつウエール数30~60/2.54cmであることが好ましい。
【0043】
本発明の布帛において、布帛の目付けが50~200g/m2の範囲内であることが好ましい。
【0044】
本発明の布帛は、前記複合糸を用いて(必要に応じて他の繊維も用いて)常法により製編織することにより得られる。
【0045】
次いで、染色加工を施すことが好ましい。その際、前記染色加工の温度としては100~140℃(より好ましくは110~135℃)、時間としてはトップ温度のキープ時間が5~40分の範囲内であることが好ましい。染色加工が施された編地には、乾熱ファイナルセットを施すことが好ましい。その際、乾熱ファイナルセットの温度としては120~200℃(より好ましくは140~180℃)、時間としては1~3分の範囲内であることが好ましい。
【0046】
かかる染色加工の熱処理により、2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維が布帛に含まれる場合、該複合繊維が潜在捲縮を発現しコイル状となる。その結果、優れたストレッチ性が布帛に付加される。
【0047】
また、本発明の布帛には吸水加工(親水化剤の付与)が施されていることが好ましい。布帛に吸水加工を施すことにより、吸水性が向上する。かかる吸水加工としては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレートやその誘導体、または、ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体などの親水化剤(吸水加工剤)を布帛に、布帛重量に対して0.25~0.50重量%付着させることなどが好ましく例示される。吸水加工の方法としては、例えば染色加工時に染液に吸水加工剤を混合する浴中加工法や、乾熱ファイナルセット前に、布帛を吸水加工液中にデイッピングしマングルで絞る方法、グラビヤコーテング法、スクリーンプリント法といった塗布による加工方法等が例示される。
【0048】
さらには、常法の起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤、撥水剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【0049】
かくして得られた布帛は、捲縮糸(好ましくはS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bを含む。)のソフトな伸びと、伸縮性繊維(好ましくは2成分がサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に接合された複合繊維である。)の優れたキックバック性を複合させた独自のストレッチ性を有し、理想的な着圧感を呈する。また、ランダムな糸構造による天然繊維調の上質な質感とソフトで密度感のあるコンパクト性を有し、高級感のある質感を呈する。また、2種類の異なるクリンプ(捲縮糸のマイクロクリンプと伸縮性繊維のコイル状クリンプ)を複合した層構造糸による毛細管現象によって優れた吸汗速乾性を有する。さらには、撥水加工を施した場合、捲縮糸にS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bが含まれると、微細凹凸により優れた撥水性を有する。
【0050】
ここで、布帛の表裏少なくともどちらか一方表面において、JIS L1907-1998 5.1.2 バイレック法により測定した吸水性が7cm以上(より好ましくは7~15cm)であることが好ましい。
【0051】
また、JIS L0217-1998、103法により3回の洗濯を行った後の布帛の表裏少なくともどちらか一方表面において、JIS L1907-1998 5.1.2 バイレック法により測定した吸水性が8cm以上(より好ましくは8~16cm)であることが好ましい。
【0052】
また、抗スナッギング性としては、JIS L 1058-1995 D3法のカナノコにより15時間テストして、抗スナッギング性が3級以上であることが好ましい。
【0053】
また同時に、本発明の布帛において、前記捲縮繊維によりストレッチ性を呈する。かかるストレッチ性としては、JIS L 1018-1990により測定した、ヨコストレッチ性で10%以上、好ましくは15~150%、さらに好ましくは50~130%)であることが好ましい。また、JIS L 1018-1990により測定した、ヨコ方向のストレッチ性回復率が85%以上、好ましくは90%以上であることが好ましい。
【0054】
また、本発明によれば、前記の布帛を用いてなる、衣料、裏地、芯地、靴下、腹巻、帽子、手袋、寝衣、布団側地、布団カバー、およびカーシート表皮材からなる群より選ばれるいずれかの繊維製品が提供される。前記衣料には、ファッション衣料、学生服、ユニフォームなどが含まれる。かかる繊維製品は前記の布帛を用いているので、ストレッチ性および吸汗速乾性に極めて優れ、さらには天然素材のような風合いおよび外観を有する。
【実施例】
【0055】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)インターレース度
交絡糸を8.82mN×表示テックス(0.1g/de)の荷重下で1mの長さをとり、除重後、室温で24時放縮後の結節点の数を読み取り、個/mで表示する。
(2)捲縮率
供試糸条を、周長が1.125mの検尺機のまわりに巻きつけて、乾繊度が3333dtexのかせを調製する。前記かせを、スケール板の吊り釘に懸垂して、その下部分に6gの初荷重を付加し、さらに600gの荷重を付加したときのかせの長さL0を測定する。その後、直ちに、前記かせから荷重を除き、スケール板の吊り釘から外し、このかせを沸騰水中に30分間浸漬して、捲縮を発現させる。沸騰水処理後のかせを沸騰水から取り出し、かせに含まれる水分をろ紙により吸収除去し、室温において24時間風乾する。この風乾されたかせを、スケール板の吊り釘に懸垂し、その下部分に、600gの荷重をかけ、1分後にかせの長さL1aを測定し、その後かせから荷重を外し、1分後にかせの長さL2aを測定する。供試フィラメント糸条の捲縮率(CP)を、下記式により算出する。
CP(%)=((L1a-L2a)/L0)×100
(3)ヨコ方向のストレッチ性、ヨコ方向のストレッチ性回復率
JIS L 1018-1990により測定する。
(4)抗スナッギング性
JIS L 1058-1995 D3法のカナノコにより15時間テストする。
(5)目付け
JISL1018-1998 6.4により測定する。
(6)吸汗速乾性(残留水分率)
20×20cmの試験片に精製水0.6ml滴下し、試験片が水滴を吸収したら自動乾燥速度測定装置に試料を取り付け、5分ごとの質量変化を90分間測定する。吸汗速乾性の基準とされる55分後の残留水分率で比較評価を行った。
残留水分率(%)=(任意時間に残留している水滴下量÷測定開始時の水滴下量)×100
[実施例1]
カチオン不染性ポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%、セミダル(SD))を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条(総繊度35dtex/24本、単繊維の断面形状:丸断面、POY)を得た。
【0056】
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(S方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度22dtex/24本の仮撚捲縮加工糸Aを得た。
【0057】
一方、前記ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(Z方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度22dtex/24本の仮撚捲縮加工糸Bを得た。
【0058】
また、特開2009-46800号公報の実施例24に記載された方法において、総繊度とフィラメント数だけを変えて、総繊度33dtex/24本の、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)成分とポリエチレンテレフタレート(PET)成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維(伸縮性繊維)を得た。
【0059】
次いで、これらS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Aと、Z方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bと、複合繊維(伸縮性繊維)とを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(総繊度77dtex/72fil、捲縮率16%、トルク0T/m)を得た。その際、空気交絡処理は、インターレースノズルを用いたインターレース加工であり、103個/mの交絡を付与した。
【0060】
次いで、46ゲージの丸編機を使用して、前記複合糸を用いて天竺組織の丸編物を編成した。
【0061】
そして、該編物を、分散染料を用いて、温度130℃、キープ時間15分で染色加工した。その際、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体)を染液に対して2ミリリットル/リットルの割合にて、染色加工時に同浴処理を行うことにより、編物に親水化剤を付与した。次いで、該丸編物に、温度160℃、時間1分で乾熱ファイナルセットを施した。
【0062】
得られた編物(布帛)は、吸水速乾性、ストレッチ性に優れ、かつ外観や風合いの不均一感により、天然素材のような風合いおよび外観を有するものであった。評価結果を表1に示す。
【0063】
[実施例2]
カチオン不染性ポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率0.3重量%、セミダル)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条(総繊度35dtex/72本、単繊維の断面形状:丸断面、POY)を得た。
【0064】
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(S方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度22dtex/72本の仮撚捲縮加工糸Aを得た。
【0065】
一方、前記ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(Z方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度22dtex/72本の仮撚捲縮加工糸Bを得た。
【0066】
また、特開2009-46800号公報の実施例24に記載された方法において、総繊度とフィラメント数だけを変えて、総繊度33dtex/24本の、ポリトリメチレンテレフタレート成分とポリエチレンテレフタレート成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維(伸縮性繊維)を得た。
【0067】
次いで、これらS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Aと、Z方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bと、複合繊維(伸縮性繊維)とを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(総繊度77dtex/168fil、捲縮率13%、トルク0T/m)を得た。その際、空気交絡処理は、インターレースノズルを用いたインターレース加工であり、98個/mの交絡を付与した。
【0068】
次いで、46ゲージの丸編機を使用して、前記繊維を用いて天竺組織の丸編物を編成した。
【0069】
そして、該編物を、分散染料を用いて、温度130℃、キープ時間15分で染色加工した。その際、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体)を染液に対して2ミリリットル/リットルの割合にて、染色加工時に同浴処理を行うことにより、編物に親水化剤を付与した。次いで、該丸編物に、温度160℃、時間1分で乾熱ファイナルセットを施した。
【0070】
得られた編物(布帛)は、吸水速乾性、ストレッチ性に優れ、かつ外観や風合いの不均一感により、天然素材のような風合いおよび外観を有するものであった。評価結果を表1に示す。
【0071】
[実施例3]
カチオン不染性ポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率2.5重量%、フルダル(FD))を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条(総繊度56dtex/36本、単繊維の断面形状:丸断面、POY)を得た。
【0072】
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(S方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度33dtex/36本の仮撚捲縮加工糸Aを得た。
【0073】
一方、カチオン可染性共重合ポリエチレンテレフタレート(5-ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合、艶消し剤の含有率0.3重量%、CD)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条(総繊度56dtex/36本、単繊維の断面形状:丸断面、POY)を得た。
【0074】
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(Z方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度33dtex/36本の仮撚捲縮加工糸Bを得た。
【0075】
また、総繊度56dtex/36本のポリトリメチレンテレフタレート単独から構成される繊維(伸縮性繊維)を用意した。
【0076】
次いで、これらS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Aと、Z方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bと、総繊度56dtex/36本のポリトリメチレンテレフタレート単独から構成される繊維(伸縮性繊維)とを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(総繊度122dtex/108fil、捲縮率21%、トルク0T/m)を得た。その際、空気交絡処理は、インターレースノズルを用いたインターレース加工であり、90個/mの交絡を付与した。
【0077】
次いで、28ゲージの丸編機を使用して、前記複合糸を用いて天竺組織の丸編物を編成した。
【0078】
そして、該編物を、分散染料を用いて、温度130℃、キープ時間15分で染色加工した。その際、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体)を染液に対して2ミリリットル/リットルの割合にて、染色加工時に同浴処理を行うことにより、編物に親水化剤を付与した。次いで、該丸編物に、温度160℃、時間1分で乾熱ファイナルセットを施した。
【0079】
得られた編物(布帛)は、吸水速乾性、ストレッチ性に優れ、かつ外観や風合いの不均一感により、天然素材のような風合いおよび外観を有するものであった。評価結果を表1に示す。
【0080】
[実施例4]
カチオン不染性ポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率2.5重量%、フルダル(FD))を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条(総繊度56dtex/36本、単繊維の断面形状:丸断面、POY)を得た。
【0081】
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(S方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度33dtex/36本の仮撚捲縮加工糸Aを得た。
【0082】
一方、カチオン可染性共重合ポリエチレンテレフタレート(5-ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合、艶消し剤の含有率0.3重量%、CD)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条(総繊度56dtex/36本、単繊維の断面形状:丸断面、POY)を得た。
【0083】
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(Z方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度33dtex/36本の仮撚捲縮加工糸Bを得た。
【0084】
また、特開2009-46800号公報に記載された方法において、総繊度とフィラメント数だけを変えて、総繊度56dtex/36本の、ポリブチレンテレフタレート成分とポリエチレンテレフタレート成分とがサイドバイサイド型に接合された複合繊維(伸縮性繊維)を得た。
【0085】
次いで、これらS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Aと、Z方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bと、複合繊維(伸縮性繊維)とを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(総繊度122dtex/108fil、捲縮率16%、トルク0T/m)を得た。その際、空気交絡処理は、インターレースノズルを用いたインターレース加工であり、
100個/mの交絡を付与した。
【0086】
次いで、28ゲージの丸編機を使用して、前記複合糸を用いて天竺組織の丸編物を編成した。
【0087】
そして、該編物を、分散染料を用いて、温度130℃、キープ時間15分で染色加工した。その際、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体)を染液に対して2ミリリットル/リットルの割合にて、染色加工時に同浴処理を行うことにより、編物に親水化剤を付与した。次いで、該丸編物に、温度160℃、時間1分で乾熱ファイナルセットを施した。
【0088】
得られた編物(布帛)は、吸水速乾性、ストレッチ性に優れ、かつ外観や風合いの不均一感により、天然素材のような風合いおよび外観を有するものであった。評価結果を表1に示す。
【0089】
[比較例1]
カチオン不染性ポリエチレンテレフタレート(艶消し剤の含有率2.5重量%、フルダル)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条(総繊度56dtex/36本、単繊維の断面形状:丸断面、POY)を得た。
【0090】
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(S方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度33dtex/36本の仮撚捲縮加工糸Aを得た。
【0091】
一方、カチオン可染性共重合ポリエチレンテレフタレート(5-ナトリウムスルホイソフタル酸を共重合、艶消し剤の含有率0.3重量%)を用いて通常の紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、半延伸されたポリエステル糸条(総繊度56dtex/36本、単繊維の断面形状:丸断面、POY)を得た。
【0092】
次いで、該ポリエステル糸条を用いて、延伸倍率1.6倍、仮撚数2500T/m(Z方向)、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で同時延伸仮撚捲縮加工を行い、総繊度33dtex/36本の仮撚捲縮加工糸Bを得た。
【0093】
次いで、これらS方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸AとZ方向のトルクを有する仮撚捲縮加工糸Bとを合糸して空気交絡処理を行い、複合糸(総繊度66dtex/72fil、捲縮率18%、トルク4T/m)を得て捲縮繊維とした。その際、空気交絡処理は、インターレースノズルを用いたインターレース加工であり、オーバーフィード率1.0%で95個/mの交絡を付与した。
【0094】
次いで、28ゲージの丸編機を使用して、前記複合糸を用いてハニカム組織の丸編物を編成した。
【0095】
そして、該編物を、カチオン染料を用いて、温度130℃、キープ時間15分で染色加工した。その際、親水化剤(ポリエチレンテレフタレート-ポリエチレングリコール共重合体)を染液に対して2ミリリットル/リットルの割合にて、染色加工時に同浴処理を行うことにより、編地に親水化剤を付与した。次いで、該丸編物に、温度160℃、時間1分で乾熱ファイナルセットを施した。
【0096】
得られた編物は、ストレッチ性に優れ、かつ外観や風合いの不均一感により新規外観および新規風合いを呈するものであったが速乾性の点で劣るものであった。評価結果を表1に示す。
【0097】
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明によれば、ストレッチ性および吸汗速乾性に極めて優れた布帛および繊維製品が提供され、その工業的価値は極めて大である。